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2022年11月の記事一覧

  • サ高住(サービス付き高齢者住宅)はどうやって選べばよい?6つのポイントをご紹介!

    今まで生活していた自宅を離れて生活することには不安がつきものです。 入居者がより安心安全に生活を送るためにも、6つのチェックポイントを確認し、入居者の理想や条件に合ったサ高住を選びましょう。 サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際のポイント サ高住を選ぶポイントは、以下の6つです。 立地・アクセス 費用 サービス内容 居室・設備 一般型か介護型か 夫婦での同居が可能か それぞれのポイントについて詳しく説明します。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方①立地・アクセス サ高住を選ぶポイント1つ目は、立地とアクセスです。 地域の中での自立した生活を送るために、立地やアクセスの良さには注意しましょう。 今までの人間関係や行動範囲を変えたくない場合は、住み慣れた地域にある施設がおすすめです。 同じ趣味や境遇を持つ人と新しい関係を築きたい場合は、条件に合ったエリアや施設を探すと良いでしょう。 生活環境や地域が大きく変わることでセカンドライフを楽しむきっかけとなります。 また、付近にバス停や駅があるかなどの利便性もチェックしましょう。 交通のアクセスが良ければ、一人での外出も安心です。 自由度の高いサ高住は、今まで通りの生活とほぼ変わらないことが特徴です。 そのため、家族や友人の自宅を訪問する機会も持てます。 近くに家族や友人がいるとより安心できるため、居住地が近い場所であるかも大事なポイントです。 ワンポイントアドバイス 行き慣れたスーパーや医療機関がサ高住の近くにあることは非常に大事です。 介護スタッフに買い物を代行してもらう場合には、スーパーの欲しい商品も的確に伝えることができます。 医療機関の混み具合や診療時間などを把握していると、通院時や緊急時の連絡がよりスムーズです。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方②費用 サ高住を選ぶポイントの2つ目は、費用です。 賃貸借契約であるサ高住は、一般的な賃貸マンションを契約する場合と同じように月々の家賃や光熱費が中心になります。 初期費用となる敷金・礼金は、施設により大きく異なるため注意しましょう。 食事など、サービスを追加することでかかる費用の確認も必要です。 また、介護サービスが必要になった場合には、さらに費用がプラスされます。 特定施設である介護型に入居する際は、利用権契約になる場合もあるため、一般型よりも高額になります。 費用の支払い方法には、月払いと前払いの方法があります。 月払い方法は、大きな初期費用がかからない代わりに長期になると支払額が多くなります。 前払い方法は、入居時の負担は大きいですが、長期利用であれば費用は割安です。 しかし、短期利用であれば割高になる可能性もあります。 自立して生活できる方ほど費用はやすくなり、手厚い介護サービスを必要とする方は費用が高くなる傾向にあります。 入居時の注意点 月々にかかる費用が高額にるため、受けられるサービスが限定されることやお金に制限がかかる入居者も多いです。 買い物代行や入浴の回数などのサービスに調製が必要になり、十分なサービスが受けられないこともあります。 自由に使用できるお金が少ないと、欲しい物を購入できなくなります。 ストレスが溜まることや施設とのトラブルの原因になるため、費用の確認には注意が必要です。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方③サービス内容 サ高住を選ぶポイントの3つ目は、サービス内容です。 サ高住には、安否確認サービスと生活相談サービスの2つがあります。 安否確認サービスは、定期的に医療や介護の専門スタッフが各居室を巡回し、入居者の状況を確認するサービスです。 その他の食事や介護、生活支援のサービスは施設によって対応が異なるため、入居者が必要とするサービスがカバーされているかチェックしましょう。 ①食事 施設が提供する食事サービスを利用する場合は、食事内容も確認しておきましょう。 味や見た目、季節のイベントに合わせた食事を味わえる施設もあります。 買い物代行や病院への付き添いの対応をするサービスもあり、一人暮らしをする入居者をサポートします。 ②認知症患者の受け入れ 近年は、認知症を患っている入居者も対応可能な施設も増えていますが、認知症患者を受け入れ可能な施設か確認が必要です。 また、介護保険サービスが必要になった場合のことを考えて介護事業所やデイサービスが併設されていると便利です。 ③夜間対応 サ高住では専門のスタッフが常駐していますが、夜間は緊急通報システムが導入されている施設もあります。 専門スタッフが24時間常駐している施設を選ぶとより安心です。 さらに、介護サービスと医療サービスの連携がしっかりしている施設であれば、緊急時もスムーズに医師や看護師による対応を受けられます。 ④レクリエーション イベントやレクリエーションなどを実施しているかも確認しましょう。 初詣やお花見クリスマス会などを実施する施設も多く、イベントに参加することで四季を感じられます。 レクリエーションでは、頭を使用するクイズ大会や身体を使用する運動が一般的です。 他の入居者とコミュニケーションが図れ、認知機能や身体機能の低下を防ぐ効果もあります。 ワンポイントアドバイス 食事は、入居者にとって毎日の楽しみでもあります。 実際には施設で提供する食事が美味しくないと言われ、徐々に食べる量が減り痩せて活気がなくなる高齢者もいます。 食事は一番の特効薬と言われるものでもあり、見た目の豪華さや入居者の口に合うかは非常に重要です。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方④居室・設備 サ高住を選ぶポイントの4つ目は、居室・設備です。 家具や家電を持ち込むスペースがあるか、キッチンや浴室が付いているか、収納場所が確保できているかなど自分の希望と照らし合わせましょう。 豊かな生活ができるようフィットネスジムやカラオケなどの娯楽スペースを設けた施設も多いです。 入居者の理想とするライフスタイルを考えながら入居する施設を選ぶことが重要です。 入居前の確認ポイント 共有スペースを利用する入居者の様子や、スタッフとの関わり方はどのような感じであるかなど、施設によって大きく異なります。 スタッフや入居者との関わりを大事にしたい方が、一人を好むような静かな施設に入居した場合は、退屈に感じるでしょう。 実際に足を運んで雰囲気などを確認しておきましょう。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方⑤一般型か介護型か サ高住を選ぶポイントの5つ目は、一般型か介護型であるかです。 一般型のサ高住は、介護が必要になった場合に外部のサービスを手配しなければいけません。 介護型のサ高住は特定施設の指定を受けているため介護保険の給付対象となり、施設スタッフから介護サービスを受けられます。 一般型は自立して生活できる方を対象としているため、介護度が高くなる認知症を患うなど、状況によっては退去しなければいけない施設もあります。 ニーズに合わせて訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを用意している施設もあるため 事前に確認が必要です。 ワンポイントアドバイス 最期の瞬間まで住み続けたいと考えている方は、特定施設の介護型であることを条件にしておきましょう。 看護師が常駐している施設であれば、看取りの対応も可能です。 親族がいない入居者でも、介護・医療スタッフのケアを受けられるため、寂しさや不安が軽減されるでしょう。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方⑥夫婦での同居が可能か サ高住を選ぶポイントの6つ目は、夫婦での居住が可能であるかです。 サ高住の中には、配偶者とともに入居できる施設もあります。 広めの夫婦部屋が完備されているケースもあり、夫婦で一緒に暮らしながら生活支援サービスを受けることができます。 二人で快適に生活を送ることができる環境であるかも大事なポイントです。 サ高住では、契約者が亡くなった場合でも、配偶者はそのまま住み続けられます。 トラブル回避のポイント 夫婦部屋は広い1部屋のみの施設が多く、24時間2人で過ごすことになります。 そのため、喧嘩や意見の違いがあった場合でも同じ部屋で生活します。 近くに住む安心感も欲しいが、一人の時間も確保したいという夫婦は隣同士の居室を用意してくれる施設を選びましょう。 まとめ 今回は、サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ6つのポイントを紹介しました。 サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ6つのポイントは、「立地・アクセス」「費用」 「サービス内容」「居室・設備」「一般型か介護型か」「夫婦での同居が可能か」である。 自宅と変わらない生活を送るために、入居者の希望に合わせた施設を選ぶことが重要である。 サービス付き高齢者向け住宅は、施設によって費用やサービス内容、設備が異なるものである。 ぜひ、参考にしてみてください。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • ケアマネはなんでも屋?ケアマネが抱えてしまいがちな業務外の仕事内容を解説

    やるべきことが多すぎて本来のケアマネジャーの仕事が出来ない!と思われているケアマネージャーは結構多いものです。 ケアマネジャーは介護保険制度内の他職種と対比した場合、サービス提供時間やサービス内容も明確にされていないのが現状です。 ここでは居宅ケアマネジャーを悩ませる業務について説明します。 介護支援専門員(ケアマネジャー)の本来の仕事内容とは? ケアマネジャーとは要介護・要支援の状態にある高齢者の心身状況に応じ、適切な介護サービスが利用できるようケアプランを作成し、市町村やサービス事業所や介護保険施設と連絡・調整を行う専門職です。 ケアマネジャーは居宅ケアマネジャー、施設ケアマネジャー、介護予防マネジメントの大きく3つに分別されます。 居宅ケアマネジャー 居宅ケアマネジャーは自宅で介護を受ける人を対象にケアプランを作成します。 サービス利用者の自宅を訪問して状況を確認し、利用者がスムーズにサービスを受けられるよう、関係各所との調整を行います。 施設ケアマネジャー 施設ケアマネジャーは介護老人福祉施設などに勤務し、入所者のケアプランを作成します。 施設ケアマネジャーは入居者の状態変化を把握しやすい反面、担当件数が居宅ケアマネジャーより多く各職種とのチームワークが必要となります。 介護予防ケアマネジメント(総合事業) 介護予防マネジメントとは、要支援の認定を受けた人が、要介護状態にならないようにサポートする取り組みです。 介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが統括しており、委託を受けた居宅介護支援事業所でも行う事が出来ます。 ケアマネージャーの主な仕事内容 ケアマネージャーの主な仕事内容は、以下の通りです。 ・インテーク ・アセスメント(課題分析) ・ケアプランや各種書類の作成 ・月1回のモニタリング訪問 ・介護保険関係の手続き ・各事業所、医療機関とのやり取り ・請求業務(給付管理) ケアマネジャーはケアマネジメントを開始するにあたって、初回の顔合わせ(インテーク)を通じて、介護サービスやケアマネジャーの役割を利用者やその家族に伝え、契約を行います。 契約後、利用者や家族の意向を確認し、本人の身体状況や置かれている環境、介護保険外の支援などを分析し(アセスメント)総合的な援助方針を検討します。 ケアマネジャーの仕事には利用者の権利擁護やサービスの公平・中立性のほか、プライバシー保護などの倫理が求められます。 インフォーマルな社会資源の活用などを駆使し、利用者やその家族が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的な知識と技術が必要になります。 ケアマネジャーの主な仕事内容は業務範囲外になりやすい 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると65歳以上の者がいる世帯は、全世帯の約半分で単独世帯や夫婦のみ世帯が全体の過半数と、一人暮らしの高齢者は年々増加しています。 家族情景やケアマネジャーという職種の把握からか、担当ケアマネジャーが家族の役割を担うようになり、本来の業務ではない仕事が際限なく増えています。 主な仕事内容である「ケアマネジャーは月1回のモニタリング訪問をして必要時にケアプランを作成」「各関係機関とのやり取りや請求業務を行う」は、いわばやれて当たり前なのです。 ケアマネジャーの仕事がこれだけで済むのであれば平穏な日々を過ごせます。 ケアマネジャーを悩ませる業務外の仕事とは ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外は突然やってきます。 高齢者は加齢に伴う生理的老化の進行によって臓器機能、自律神経、免疫機能等の低下、病気の併存などの身体的特徴が多く、複数の症状や病気を抱えがちです。 そのため、急変などのサービスの調整や業務範囲外の仕事が発生しやすくなります。 高齢者は退職による「職業や社会的立場の喪失」と併せ、身体面の老化といった心理的、肉体上の喪失体験も重なり精神的機能の低下により頑固になることが多々あります。 また、保守的傾向になる事が多く、町内会や自治会など、域コミュニティから孤立する高齢者も増えてきているのです。 そのため、問題が表面化されず突然、行政から連絡が入ることもあります。 居宅ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外の仕事 ケアマネージャーに発生しがちな業務範囲外の仕事は以下のようなものがあります。 救急搬送や受診同行 ケアマネジャーは救急車への同乗や搬送先への同行を求められることがあります。 治療が必要な疾患や症状を放置している高齢者が急変することや、受診を拒むため受診予約にあわせた通院ができず訪問介護の通院介助などのサービス調整が難しい場合等、ケアマネジャー通院時の付き添いをすることは多く見られます。 親族が近くにいない、身寄りがないなどの場合、救急搬送はもちろん、病院の入院手続き入院時の必要物品準備などを医療機関から依頼されることもあり、一日のスケジュールが狂ってしまうこともあります。 近隣住民からの苦情対応 住居から悪臭や異臭を放っていたり、敷地外に大量のゴミや不用品が溢れ、近隣住民からケアマネジャーへ対応を求めてくる場合もあります。 ゴミの分別ができず、指定日にゴミを出さないなどと近隣とトラブルになっていたり、室内がゴミ屋敷で足の踏み場もないなんてこともあるのです。 65歳以上の高齢者の住宅火災による死者数は平成27年は611人で、全死者数に占める割合は66.8%と高くなっています。 本人は全く気にはしていなくても「火事になるのでは?」「どうして施設に入所させないんだ」などと近隣住民より不安を煽られることもあります。 地域から疎外され心を閉ざした高齢者の心を解きほぐすにはさらに時間を要し、訪問介護の生活援助も大掃除は出来ないため、介入出来る環境までを作るためにケアマネジャーが関わる場合があります。 金銭・財産管理の欠如 生活費のほとんどをアルコールやギャンブルに散財していたり、家賃や公共料金などが数カ月にわたり滞納している場合があります。 この場合でも、関係業者へケアマネジャーが対応することがあるのです。 生計の理解が乏しくなる反面、必要な支払いをしている家族がお金を盗んだと思い込む事や、必要な公共料金さえも「そんなものは払わなくていい」などと支払いを滞っている場合もあります。 そのため、居宅サービスの依頼をうけ、いざ訪問をしたら電気・ガス・水道などのライフラインが止まりそう、なんてこともよくあることです。 金銭管理ができないことや金銭感覚など、認知面や性格的な部分への介入や後見人制度の手続きを含め、ケアマネジャーが一役をかうことになるでしょう。 認知症への対応 認知症高齢者が行方不明になり家族や警察と認知症高齢者の捜索をしたり、消費者被害の対応をケアマネジャーがすることもあります。 行政からの必要書類が郵送されていても紛失している事があり、必要書類の再発行や郵便物の配達にあわせて訪問したり、仕分け等も必要時に応じて行なうことがあります。 知らないうちに電話勧誘販売や無料キャンペーンなどを強調し、初回以外や一定期間内に解約をしないことで料金が発生する無料商法などの消費者被害にあって多額の借金を背負っていたり、金銭を搾取されている場合があります。 また、ペットの飼育が出来なくなっていたり、野良猫などに餌をあたえ、猫屋敷になったまま放置されているなど、多頭飼育崩壊していることもあります。 ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をする理由とは ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をするのはケアマネの業務範囲が明確ではなく、利用者や家族の介護保険への理解、多職種や業種によるケアマネジャー本来の仕事に対して共通認識が出来ていないからです。 境界線を張り「ここまでは自分の仕事」として割り切ることを提言する行政や、上司なども多いですが要支援・要介護の高齢者を地域で支えていく仕組みの中で、ケアマネが足りない部分を補う非常に重要な役割を担っているのも現実です。 ケアマネの業務範囲外の仕事を断る対処法とは そもそもケアマネが業務範囲外の事を請け負う必要はありません。 利用者さんやその家族が困っているから、と、そのすべてを引き受けていたら、ケアマネが倒れてしまいます。 ケアマネの業務範囲外の事を頼まれたら適切に対応し、本来のケアマネの仕事をきちんとできるようにすることがとても重要です。 では、実際にケアマネの業務範囲外の仕事を頼まれたときにどう対処すればよいか、その方法についてご紹介します。 対応できない理由を利用者や家族に伝える そもそもケアマネージャーはなんでも屋ではありません。 できない理由を丁寧に伝えしっかりと断るようにしましょう。 そうすることでケアマネとしてやるべき本来の仕事が円滑にできるようになります。 そのくらい対応できる、と引き受けていると、頼まれる内容がどんどん増大になることが考えられます。 1人のケアマネージャーが業務外のことを行ってしまうと、他のケアマネージャーにも迷惑がかかってしまうこともありますので、毅然とした態度でお断りすることが重要です。 行政や管理者に相談する 利用者やその家族に業務範囲外の事を頼まれて困ってしまったら、まずは施設の管理者などに相談するようにしましょう。 もし、ここで対応するように言われたら、そこで働くことを検討することをおすすめします。 何にせよ、誰にも話さずに一人でなんとかしようとしては行けません。 利用者様や家族との信頼関係が壊れる、と悩む方もいるかもしれませんが、まずはケアマネとしての仕事がスムーズにできるようになることが重要です。 なにより、他の利用者様の対応がおろそかになってしまいます。 あまりにも悪質な場合は行政に相談しましょう。 まずは自分をきちんと守ってあげることが重要です。     まとめ ケアマネジャーは介護保険の基本理念である「利用者本位」を実現するうえで、各関係機関とのサービス調整を行う専門職です。 ケアマネジャーの業務は多岐にわたり、地域共生型社会の実現に向け、高齢者の支援にとどまらず、障害や児童のケアマネジメントにも目を向けて職域を広げる活動をしています。 本人らしい生活を支え、身近で相談しやすい存在であり、ときに人生の最終段階までの伴奏者となる対人援助の専門職であるからこそ、利用者の生活全般に関わる事になります。 そのため、時に制度のはざまにある人への支援として「なんでも屋」にならざる得ないのが現状です。 しかし、それだけ高齢者にとって重要な役割を担った職務であるといえます。

  • 介護やケアマネの仕事は人手不足!人員不足の原因や介護職のモチベーションが低下したときの対処法をご紹介!

    誰かの役に立ちたい」という想いからこの業界で働くことを選んだ方も多いのではないでしょうか。 本来、介護やケアマネの仕事は魅力に満ちあふれています。 しかし、その想いを保ち続けることは容易ではないこともまた事実です。 半面、メンタルダウンを上手に乗り越える人もいます。 また、介護職員は常に人手不足です。 特にケアマネージャーの仕事は人手不足が問題となっています。 今回の記事では、「ケアマネージャーや介護職の人手不足の原因」や「介護職員のモチベーションアップのコツ」を見ていきましょう。 ケアマネージャーの仕事内容 ケアマネージャーは「ケアマネ」と略されることがありますが、正式名称では「介護支援専門員」といいます。 ケアマネージャーの仕事は、要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成し、市町村やサービス事業者、本人、家族との連絡調整をする専門職です。 専門職であるため、ケアマネージャーになるには資格が必要です。 ケアマネージャーの資格の取得方法 ケアマネージャーの資格を取得するためには、指定業務を5年以上かつ900日以上経験するという条件をクリアし、試験に合格する必要があります。 ケアマネージャーの資格試験は年に1回10月に行われています。 主任ケアマネージャーとは ケアマネージャーの上位には主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)という職業があり、2021年3月施行の改正介護保険法では「居宅介護支援事業所の管理者は、原則主任ケアマネでなければならない」と改訂されています。 そのため、主任ケアマネージャーは現在とても重要視されています。 主任ケアマネージャーになるには特に資格試験があるわけではありません。 以下の条件を満たしたうえで、「主任介護支援専門員研修」を受講する必要があります。 専任のケアマネジャーとして勤務していた期間が、通算で5年(60カ月)以上である人 ケアマネジメントリーダー養成研修を修めた人で、さらに専任のケアマネジャーとして働いた期間が通算して3年(36か月)以上である人 主任介護支援専門員に準ずる者として、地域包括支援センターに配置されている人 ケアマネジャーの業務に関し十分な知識と経験を持っており、都道府県によって認められた人 ケアマネージャーが人手不足な理由 ケアマネージャーや主任ケアマネージャーは常に人手不足が問題となっています。 ケアマネージャーの人手不足が続いているには、以下の理由が考えられます。 資格取得が難しい ケアマネージャーの資格試験の合格率は10~20%程度を推移しています。 そのうえ、毎年受験者数も減ってきているのです。 受験者数が減ってきているのは、頑張って資格を取得しても給料などの待遇面がよくならないことが考えられます。 給料などの待遇面が悪い 令和3年現在、ケアマネージャーの平均年収は約410万円です。 介護職全体での給料平均は約380万円とされているので、年収としてみると30万円のアップになります。 しかし、全国的な年収で見ると決して高いといえる金額ではありません。 そのため、2019年には「介護職員等特定処遇改善加算」が実施されていますが、すべての事業所が対象ではないため、大きな改善にはいたってはいません。 介護職員のモチベーションを下げる要因 介護職員が増えない理由にはモチベーションを保つことができないことも挙げられています。 では、介護従事者のやる気が削られてしまうのか、要因を1つ1つ見ていきましょう。  給料が安い 介護業界で働いていると、他の業界に比べて待遇の悪さを感じる人が多いようです。 また、同じ介護業界でも介護職・相談員・ケアマネなどの職種によっても待遇に差があります。  夜勤がある施設の介護職は、夜勤手当がある分他の職種や夜勤なしの介護職(たとえばデイサービスの職員など)に比べると給与は若干良くなるでしょう。 また、同じ介護職でも勤め先によって待遇差が生じます。 当然ながら業績により賞与には差が出ますし、特養などの公的施設と有料老人ホームなどの民間施設では利用者が支払う利用料にも差があるので、当然といえば当然です。 しかし、国が介護士の処遇改善に乗り出してくれたこともあり、一昔前に比べれば介護士の給与は良くなってきていると言えます。 また、役職が上がれば責任も伴いますが、手当も上がります。 役職に就く見込みがあるのかどうかを見極めることも大切になってくるでしょう。  職場の人間関係がツラい 介護業界の魅力を半減させてしまう要素は、何も給与などの待遇面だけではありません。 人間関係も大きな要素になっています。 アンケートによっては、この人間関係が退職理由の1位になっているものもあるくらいです。  介護士やケアマネは1人で利用者のケアをすることはできません。 必然的に他の介護士や他職種と連携を取る場面が多くなってきます。 そこでの人間関係に問題がなければよいのですが、やはり何人か集まれば合わない人も出てくるのが世の常です。 仕事だからとお互いが割り切れればよいのですが、何かにつけて粗さがしをしてくる人はどの業界にもいるものです。 そういった人間関係がイヤで「職場を離れる」「介護を辞める」という声も聞きます。 でも、どの業界・どの職場にも、自分に合わない人は一定数いるもの。 上司に相談したり、うまくストレス解消をしながら、乗り越えていきましょう。  家族からのクレーム 近年よく耳にするようになった「カスタマーハラスメント」 介護業界も例外ではありません。 介護保険法でできることとできないことが決まっていますが、それに納得がいかずに利用者本人やご家族からもクレームになるのはよく聞くケースです。 また、最近では入所施設でコロナ禍で思うように面会できず、ご家族の知らない間にADLが低下していてクレームになるというケースも増えています。 それが常識の範囲内であればまだしも、度を越えたクレームに心をやられてしまう職員も少なくないようです。 カスハラは社会的にも問題になっています。 こういった問題に直面した場合は、迷わず上司に相談しましょう。  人手不足など職場の体制 ご存知のように、介護業界では多くの事業所が人手不足です。 その中を、今いる人手でなんとかやりくりしているのが現状です。 そうした中で、さらに辞める人が出てくると、残った職員にしわ寄せが行ってしまいます。 夜勤に月10回前後入るとか、休日出勤する人もいます。 どこの事業所も必死に募集をかけており、派遣や紹介会社を活用して、人員確保に東奔西走しています。 しかし、身体が資本ですのであまりに長い間改善されないのであれば、自分の身体を第一に考えた選択肢を視野に入れてもいいのではないでしょうか。  実地検査・行政指導 筆者の知り合いのケアマネでは実地指導がイヤで、ケアマネ業務を離れた人もいます。 いわく「休日返上で利用者やご家族の要望に応えようと頑張っているのに、実地検査ではかなり厳しく細かいところまで追及された。微々たるものだが返還も発生してしまった。今までの頑張りを否定された気分になった」とのことでした。 普段から定められたことを守って業務ができていればまったく問題ありませんが、時には気付かずに業務を進行してしまうこともあるでしょう。 複数の目で定期的に確認しながら業務を進めていくことが大切ですね。  事業所の理念に不満 法人や事業所の理念・考え方についていけずに退職をするケースもあります。 人手不足なのに職員が入る前にどんどん新規利用者を獲得したり、現場の声に耳を傾けてくれない決定ばかりだと「やっぱり経営陣は何もわかってくれない」と愛想を尽かしてしまう方が多くいます。 ろくに休みも取れずに働いているのに労いの言葉がなかったりすれば、そうなってしまうのも仕方ないと言えるかもしれません。  モチベーションが低下した時の対処法 これまで見てきたような不満が溜まりに溜まってしまい、やる気を失くしてしまう職員は多いものです。 それでは、どのようにモチベーションアップを図ればよいのでしょうか。 いくつかの方法をご紹介します。  研修に参加する  研修に参加する本来の目的は知識やスキルをアップさせることですが、「知識よりもモチベーションをアップした」という方も、実は多くいます。 積極的に活用するのも一つの手です。  職場の良い点を紙に書き出す どんな職場でも良いところは必ずあるものです。 それを書き出すことで、あらためて認識できるようになるかもしれません。 たとえば  ・気の合う仲間がいる ・他に比べて給与が高い ・家から近くて通うのに便利  などを書き出すことにより、意識していなかったことを脳が認識する効果もあります。  「仕事だから」と割り切る 「今は仕事だから」と割り切ってしまいましょう。 「仕事だから楽しいことばかりではない」と思って、せめて自宅にまでは落ち込んだ気持ちを持ち込まないように努めてみてはいかがでしょうか。 家であれこれ考えても余計ストレスが溜まるだけです。  周囲に相談する 問題の中には自分一人では解決できそうにないことも多いですし、時間が解決してくれないものもあります。 そういう時は思いきって周囲に相談するのも良い方法です。 話しを聞いてもらうだけでスッキリすることもありますし、もし相談したのが職場の人であれば解決に向かって動き出すこともあるでしょう。  しっかり休む 介護職員やケアマネが笑顔や元気でいることが、良いパフォーマンスを提供することにつながります。 しかし、人間ですから、どんな対策を講じても気分が解消されないこともあります。 そんな時には思い切って休むことも大切です。 一番大事なのは、ご自身の健康です。 休職して心身ともにリフレッシュさせるのも1つの方法です。 真面目な方は「人手不足なのに私だけ休むなんて」と考えてしまいます。 しかし、1番大事なのはご自身の心と体の健康です。 自分を守ってあげられるのは自分だけです。  まとめ 最後に要点をまとめておきます。 ケアマネージャーの仕事とは ・要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成と調整 ケアマネージャーの人手不足の原因 ・給料などの待遇面の悪さ モチベーションを低下させる、介護の魅力を奪うもの 給与 人間関係 クレーム 人手不足 実地指導 事業所の理念 モチベーションを上げる方法 研修に参加する 職場のいいところを紙に書き出す 仕事と割り切る 周囲に相談する しっかり休む   ご自分にあったリフレッシュ方法を見つけ出して、上手にストレス発散してください。

  • 訪問介護は家政婦さんとは違う!訪問介護が担う自立支援とはどんな内容なのかを解説!

    家政婦さんと間違えられてしまう訪問介護ですが、実際は目的や意義が全く違う仕事です。 そのなかでも今回は家政婦さんとは違う「訪問介護が担う自立支援」とは?についてお伝えします。 「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違い 「家政婦さん」と聞いてまず思い浮かぶのは、以下のようなイメージではないでしょうか。 ・「家政婦さんは裕福な家に居る何でも助けてくれる人」 ・「料理や洗濯などの家事全般をしてくれる人」 では次に「訪問介護員(ホームヘルパー)」と聞いて思い浮かぶのはどのようなイメージでしょうか? ・「自宅で介護士さんに助けてもらって生活を出来るようにしてもらう」 ・「元気で病気もしていないけれど、一人にしておくのは不安だから介護士さんに様子を見てもらおう」 どちらも「自宅で家族の身の回りお世話を行う」ことや「家族の手助けをする」部分で大きな違いはありません。 訪問介護の成り立ちをひも解いてみますと、以前は「家庭内で家族のお世話をする」という状態が当たり前でした。 戦後20年が経ち、戦争による生活困窮者のために訪問介護の前身である「家庭養護婦」と言う仕事が誕生し時を経て「訪問介護」に変わりました。 家政婦さんの場合は家族全員が対象になり、家族に関わることであればどんな事でも行いますし、本人が出来ることであっても代わりに行います。 介護士の場合は、助けが必要な人が誰なのか、介護士の基本の一つである自立支援を目的としているかの2点で、目的と仕事の内容が違います。 「訪問介護とは」 訪問介護とは、ご利用者様が在宅における生活の中で自立した日常生活が行えるように、訪問介護員がご利用者様のご自宅へ訪問をし身体的な支援や介助を行う「身体介護」と、家事などを支援したり介助する「生活援助」の2種類があります。 介護保険が始まる前は「ホームヘルプ」と呼ばれ、介護保険開始後は「訪問介護」の名称に変わりました。 訪問介護には高齢者の方達だけではなく、「障害者総合支援法」という障害者の方を支援し介助も行います。 訪問介護では「日常生活の援助に該当しない行為」は行えません。 例えば草むしり・ペットのお世話・大掃除等のご利用者様本人に関わることでないと訪問介護を行う事ができません。 「介護保険が始まる前と始まった後の違い」 介護や支援を求める方が増えて、2000年より介護保険の制度が始まりました。 高齢者や障害者の方の自宅を訪問し、「身体介護」「生活援助」の二つを行う事には介護保険が開始される前後で大きく変わりません。 介護保険開始前は自宅での介護福祉は各都道府県の市町村にある社会福祉協議会や福祉公社になどによる措置の制度であった為、サービス内容を選べず利用料は所得に応じた負担になっていました。 変わった部分として、介護保険開始後は利用者または家族が申請して利用できるようになり、サービスも選べるようになったことです。 現在は介護保険の法整備が進み、社会保険の制度の一つになっています。 サービス提供に様々な民間団体や法人組織が参加しており、自分や家族に必要なサービスを選択し提供してもらう形になっています。 介護保険が始まった当初は「介護」を行う上で「ご利用者様の出来ないことを代りに行う」ことを中心に行っており、家政婦さんとの違いもはっきりとは認識されておらず家政婦さんのように利用する方もいました。 その結果「自分で出来ること」を奪ってしまう事になり、次第に「介護」を必要とするひとが増える要因の一つになりました。 この問題に対して2001年に「介護を必要とする人の出来ること」に注目をして様々な要因や環境を見つけ出し、生活の全体像を掴み支援や介助を行う考え方が提唱され、QOL※の向上や自立支援に注目するようになりました。 ※QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは 一般にひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた「生活の質」のことを指し、どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。 「訪問介護が担う自立支援」 自立支援とはご利用者様に「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」です。 「できる限り自分の力で生活するためのサポート」と一言でいってもご利用者様ひとりひとり状況と状態が違い、はじめは信頼関係もなく一人で行う事が難しく、なかなか上手くいかない事に落ち込んだりやる気を出せないでいるご利用者様もいます。 そういう様々なご利用者様に対して、一人で行えるようまたは行いやすくなる為の道具の提案を行ったり、環境を整えて一人でも行える様にする事が介護員の役目になります。 では現場ではどのようにして「自立支援」が行われているかの事例を紹介します。 自立支援の事例 介護員が女性のご利用者様のご自宅に訪問をしました。 ご利用者様に元気がないため、どうしたのか尋ねると「最近こけてばかりだから、庭の草むしりをしないでほしいと家族に言われた」との言葉が返ってきました。 ご利用者様は「草むしりをすることで少しでも家族の役に立ちたい」「草むしり中に近所の方と話すのが楽しみ」と介護員に話をしました。 そこで介護員はご利用者様の希望の「草むしり」を安全に行えない原因を考えました。 ・なぜこけたのか。 ・なにが危険なのか。 ・どうすれば安全にできるか。 この3点について、ご本人様と家族様、話を伺い様々な事がわかりました。 ・腰が少し曲がっていて、前のめりの姿勢である。 ・腰が少し曲がっている為、前のめりにこけてしまっている。 ・前のめりにこけてしまうので、何度も頭をぶつけている。 ・庭が広く、草むしりをするために、移動する必要がある。 そこで介護員は、庭が広く移動しながら「草むしり」をしている為に転倒してしまう可能性が高いと考え、ご自宅にあった「小さな椅子」を使って少しづつ移動しながら、座って草むしりを出来ないかと、ご利用者様と家族様に提案してみました。 後日、訪問した際にご利用者様より「座って(草むしり)したら1度も危ないことにならず、転倒する心配もなくなった。ありがとう」「生き甲斐が戻ってきた」と草むしりが継続して出来ることを喜ばれました。 ご家族様からは「安全にできる方法を考えてくれたおかげでおばあちゃんに笑顔が戻ってきて嬉しいです。」との言葉をいただきました。 ご家族からの「危ないからやめてほしい」との声で全て制限してしまえば、活気や生活の楽しみが失われ生活の質が低下してしまっていたでしょう。 また、以前のように「なんでもしてしまう介護」や家政婦さんに「やってもらう」という利用が続いていれば、「草むしり」という一つのやりがいが失われ、活動量の低下や元気がなくなりさらなる介護が必要になっていたかもしれません。 今回の事例のように、「自立支援」や「QOLの向上」に注目をし、訪問をしているからこそ気付き、アドバイスすることで、ご利用者様は活気を取り戻されてご近所付き合いも継続出るようになりました。 ご家族様もおばあちゃんに活気が戻り、以前のような生活に戻ったことを安心される結果に繋がりました。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違いについて、「介護保険が始まった前と後の違い」について、そして最後に「訪問介護の担う自立支援」について事例を交えてお伝えしました。 ・「家政婦さん」と「訪問介護員」の違いは資格の有無や専門知識があるかないか できることに制限があるかないか。 ・自立支援とは「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」。 ・訪問介護が担っている自立支援は、ご本人様・家族・関わる人全てに繋がる援助。 最後まで読んでいただきありがとうございます。

  • 要介護者の転倒の危険性を防ごう!自宅でできる転倒予防や対策をご紹介!

    ”転倒”は どこで起こることが一番多いと思いますか? 実は屋外ではなく、屋内の方が転倒の危険性が高いと言われています。 特に高齢者の方は屋内の中でも自宅で過ごす時間がとても長く、そのため自宅での転倒予防が非常に大切です。 また転倒は転んだ瞬間の「痛い」ではなく、転倒後の怪我や気持ちの変化が懸念されます。 今回は転倒によって起こる事例と、転倒予防の方法についてお話します。 近年の転倒事故についてと介護との関係 厚労省の発表によると65歳以上の高齢者の転倒・転落・墜落の死亡事故は年々増加しており、令和2年では8,851件発生しています。 これは交通事故の約4倍となり、ただの転倒と思って甘く見ていると大変なことになります。 さらにこの内の1,678件は自宅で起こった事故であり、この数字に驚いた方も多いのではないでしょうか。 また消費者庁のデータによると65歳以上の転倒の半数は自宅内で起こっています。 介護が必要になってしまった原因といえば《病気》が想像されますが、「骨折・転倒」が介護の原因となった割合は「認知症」「脳卒中」「高齢による衰弱」ときて、4番目の13.0%とかなり高い数字です。 たとえ死亡事故に至らなかったとしても、転倒や転落は介護に直接結びつく原因となる恐れがあり、自宅で起こる可能性の高さを考えると、自宅での転倒を予防することは非常に大切だと言えます。 転倒の危険性について まず高齢者の転倒はなぜ起こってしまうのでしょうか。 理由は主に2つ挙げられます。 1つめの内的要因 内的要因とは加齢に伴う身体の変化のことです。 高齢になるにつれて筋力の低下、平衡感覚機能の低下、また視力の低下も考えられます。 場合によっては服用している薬の影響で、ふらつきやぼーっとしてしまう方もいらっしゃいます。 こういった内的要因の影響で、以前であれば起きなかった転倒につながる可能性がグンと上がります。 2つめの外的要因 外的要因とは自宅の中に必ず存在する段差です。 「家には大した段差はないから大丈夫」・・・と思っても安心できません。 数ミリの段差でも転倒のリスクがあり、その結果死に至る可能性があると言われています。 段差のほかにもスリッパ、カーペット、電化製品のコードなど、今まで気にしていなかったもの全てが転倒につながる恐れがあります。 それでは転倒してしまったらどうなるのでしょうか。 上記で死に至る可能性があるとお話しましたが、怪我をしてしまうだけでも十分なリスクがあるのが転倒の怖いところです。 若い方と比べて高齢者の方は転倒することで骨折のリスクが非常に高いといえます。 どの部分を骨折しても辛いですが、一番心配したいのは太ももに通っている骨である大腿骨の骨折です。 大腿骨は上半身を支えたり歩く上で非常に大切な骨で、骨折してしまった場合は多くの場合痛みで歩くことが難しくなります。 しばらくはベッド上で安静に過ごすこととなり、場合によってはその後寝たきりの生活につながってしまう可能性があるということです。 今まで認知症の心配もなく元気に過ごされていたとしても、大腿骨骨折で寝たきりの生活となりその後認知症が発症してしまう事例もあります。 転倒して特に怪我がなかったとしても、転倒した恐怖から歩くことが怖くなり、運動する機会が減る場合もあります。 その場合も同じように認知症のリスクや、運動機能の低下が心配されます。 だからこそ自宅での転倒予防は高齢者の方が自宅で過ごす上で見逃すことのできないポイントとなっています。 自宅でできる転倒予防 それでは転倒を意識した自宅での予防・対策をお伝えします。 身体機能低下を防ぐ運動 まずは少しでもいいので歩くことです。 日中テレビを観たりして、ずっと座って1日を過ごすなんてことしていませんか? 座って過ごすだけではなく、いつもより少し意識して立ったり座ったり、歩いて何かを取りに行ったり少しでも良いので動いてみましょう。 自宅で歩くにはスペースの問題で難しいこともあるかもしれませんが、その時は家の近くを軽く散歩することで運動機能の低下だけでなく、脳の活性化にもつながります。 もっと元気な方はラジオ体操をすることで上半身の筋力維持にもなります。 膝や脚の痛みで歩くことが難しい方は、ベッドの柵や椅子の背もたれを持ったりして足踏みを行うだけでも違いがあります。 無理のない範囲で自宅でのトレーニングを日常に取り入れましょう。 室内の段差解消を行いましょう 先ほど数ミリの段差でも転倒のリスクはあると伝えましたが、数ミリは難しくても数センチの段差の解消は簡単です。 段差解消をしたい箇所に室内用のスロープを置くだけで工事は必要ありません。 介護認定を受けており介護保険を使うことができる方は、1割〜3割負担でレンタル商品として使用できます。 もし介護認定を受けていなかったり購入したいという方も、高価でないため自宅に取り入れやすい段差解消アイテムです。 置き型や突っ張り型手すりを設置しましょう   自宅の中でもリビングや寝室は、起き上がり立ち上がりの動作が多く、これらは大きな動作のため転倒のリスクも高くなります。 ただ手すりというのは本来壁に取り付けるもので、取り付けることができるスペースというのは限られてしまいます。 そこで活躍するのが置き型の手すりと突っ張り型の手すりです。 この二つは置いたり突っ張ったりするだけで、手すりとしての機能を発揮します。 つまり場所を選ぶことなく、手すりの欲しい場所に設置することができる優れものです。 形やサイズも様々で、コの字型であったり、高さのあるものから低いものまでさまざまな種類があります。 蓄光テープが貼ってあることで、夜中トイレに行きたい時でも手すりを見失わないようになっているものもあります。 突っ張り型だと床から天井まで手すりがあるので、起き上がりの動作の際に活躍します。 介護保険を使用できる方はレンタル価格で利用できる福祉用具です。 しかしこれは介護保険を使用しない場合、高価な商品になることがデメリットです。 浴室に手すりを設置しましょう 先ほど紹介した置き型や突っ張り型の手すりは浴室に置くことは難しい場合が多いです。 上の画像のような浴槽の淵に取り付けるレンタルできる手すりもありますが、手すりの設置箇所は限られてしまいます。 その場合は住宅改修で手すりを取り付けることになります。 制限がありますが、介護保険はレンタルだけではなく住宅改修でも使用できます。 条件は以下の通りです。 ・原則1人1回まで ・本人が自宅に住んでいる ・介護保険による支給額は20万円まで(費用が20万円の場合自己負担額は2万円となり、18万円が介護保険からの支給となる) 最近はお風呂に手すりがついている家も増えてきましたが、高齢者の方の自宅は古い家も多くまだまだ浴室に手すりがついておらず、危険な場合があります。 住宅改修はお金がかかるため今まで検討できなかった方も、この介護保険の制度を使用することで少し前向きに住宅改修を考えられるのではないでしょうか。 転倒予防のための介護保険を使った福祉用具の取り入れ方 では、どのように福祉用具を取り入れるのか、その方法をご紹介します。 レンタルの場合 まずはケアマネージャーに相談しましょう。 自身の身体の状態を理解してくれているケアマネージャーであれば、安心してお願いすることができます。 その後数ある商品の中から自分に合ったものを選び、福祉用具業者に設置してもらいます。 自宅に届いたからといってそこで終了ではなく、不具合が起きる場合もあります。 何かあれば福祉用具業者に連絡し、メンテナンスを怠らず安全に使用しましょう。 住宅改修の場合 レンタルの時と同じように、まずはケアマネージャーに相談となります。 申請書類と見積書を保険者に提出する必要があり、適切な住宅改修かどうか認められた後に、施工開始することができます。 ただし厚生労働省より2018年から一社からの見積もりではなく、複数社から見積もりをとる”相見積もり”が通達されました。 その結果ケアマネージャーから利用者の方に相見積もりが必要であることが説明されます。 住宅改修する上で必須条件ではありませんが、複数社から見積もりをもらうことで自己負担額が減る可能性もあります。 ここもケアマネージャーに相談するポイントとして忘れないようにしましょう。 まとめ ・屋外ではなく屋内の方が転倒の危険性が高い。 ・転倒には内的要因と外的要因の2つがある。 ・転倒により大腿骨を骨折してしまった場合寝たきりの生活となる可能性もあり、転倒予防は非常に大切。 ・怪我をしなかった場合でも、転倒してしまった恐怖から歩くことにネガティブになりそのまま歩行困難となってしまう恐れがある。 ・自宅でできる転倒予防としてなによりもまず歩行や簡単な運動が大切。 ・少しの段差でも転倒につながるので、室内スロープを置いて段差解消を行う。 ・介護保険が使える方は置き型や突っ張り型手すりを設置し、転倒予防を行う。 ・置き型や突っ張り型手すりの設置が難しい浴室には、介護保険を使用し住宅改修を行って手すりを設置することを検討する。 ・いかなる手すりの設置にも、まずはケアマネージャーに相談する。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。    

  • 医療ソーシャルワーカーとはどんな仕事をする人?役割や所属を解説!

    医療ソーシャルワーカーって何をする人かご存知でしょうか? あまり病院にかかったことがない方にとっては、なじみの少ない方も多いかと思います。 今回は退院されるときに「あなたに逢えて良かった!」と感謝される仕事である医療ソーシャルワーカーについてご紹介していきます。 医療ソーシャルワーカーとは!? 医療ソーシャルワーカーとは、保健医療機関において社会福祉の立場から患者さんやその家族の方々の抱えている経済的・心理的・社会的問題の解決や調整を援助して、社会復帰の促進を図る業務を行う人のことを指します。 簡単に言いますと、病院やクリニック・診療所などにかかる患者さんや家族の入院中や退院後の問題を共に考え、解決する相談員です。 必須条件ではありませんが、多くの医療ソーシャルワーカーが社会福祉士という国家資格を所有して業務にあたっています。 この社会福祉士資格を所有して業務を担っている人のことをソーシャルワーカーと言います。 社会福祉士は高齢分野・児童分野・障害分野・低所得者分野など様々な分野で活躍しています。 医療ソーシャルワーカーは中でも医療分野で活躍している社会福祉士のことで、前述したように社会福祉の立場から患者さんやその家族の方が抱える問題を共に解決する専門職です。 医療ソーシャルワーカーが支援する際には個人感情や価値観・一般論などではなく、価値・原則、理論基準に基づいた実践を行い、時には国の諸制度を利用しつつ支援を行う専門職としての社会的役割を果たしています。 医療ソーシャルワーカーの6つの役割 日本医療ソーシャルワーカー協会は下記の6つを業務指針として掲げています。 ①社会復帰援助 ②退院援助 ③経済的問題の援助 ④地域活動 ⑤心理・社会的問題の援助 ⑥受診・受療援助 保健医療機関においての治療が終了したのち、社会復帰のため仕事や家屋の変更や調整が必要な場合や退院後の継続的な治療やリハビリ、生活様式などの調整を患者さんやその家族と主に考え、環境を変えていきます。 国の諸制度を利用する場合には 申請方法からその制度で何が出来るのか、デメリットは何なのかを説明します。 医療ソーシャルワーカーは介護保険・医療保険・障害福祉サービスなど諸制度の専門知識を兼ね備えていますので、「こんな制度は対象になるのかな?」「こういうことに困っているけど、何か制度はないのかな?」というときに相談をすると解決に導いてくれます。 それは生活面だけでなく、経済面でも同様です。 突然の病気・怪我で治療費が支払えない場合、病気・怪我が原因で退院後の金銭状況が不安な方に対しても、同じく国の諸制度を利用して支援を行います。 そのほかにも、こちらから相談を待つ姿勢だけではなく、保健医療機関が属する地域の方々に対しての健康維持や治療促進等のために医療ソーシャルワーカーが地域へ出向くこともあります。 患者さんやその家族だけでなく、地域の方々が安心して生活が送れるように、そして万が一の病気・怪我の場合でも安心して療養・退院後の生活が送れるよう様々な面から支援を行います。 具体例の紹介 医療ソーシャルワーカーの仕事内容を具体的に紹介します。 「70歳のAさんは独身で、頼れる家族はいません。現在は職場の寮に住んでいます。しかし病気が発覚し緊急手術が必要となり、入院しました。しかし、治療費を支払うことが出来ず、また病気のせいで仕事復帰が難しくなってしまったため退院後に寮に戻ることも出来なくなってしまいました。」 このような状況の場合、いろいろな支援方法がありますが一例として支援内容を解説します。 医療ソーシャルワーカーは、まず経済的問題の解決を図ります。 治療費を支払うことが困難であるため、Aさんの金銭収支を把握します。 そして条件に当てはまると判断すれば 生活保護の申請を勧めます。 そして、寮に戻れないということで新たな住宅を医療ソーシャルワーカーはAさんと共に探します。 もちろんAさんの身体状況や金銭状況に配慮した住宅を探しますが、多くの場合賃貸契約を結ぶためには保証人が必要となります。 Aさんには家族がいないので、医療ソーシャルワーカーは各自治体が認めている保証人不要の家屋を紹介する不動産会社を探して契約まで調整を続けます。 また、生活をするために必要な家具家電についても医療ソーシャルワーカーが患者さんと共に探し、購入や新居への搬入が出来るよう支援を行います。 そして仕事に関しては、主治医と相談し本人が可能である範囲の仕事を探す必要があれば、ハローワーク等と連携し新たな仕事を探す場合もあります。 このように医療ソーシャルワーカーは、患者さんと共に退院後の生活について共に考え、支援を行います。 その間に患者さんから治療の不安や、生活の不安を聞き出し、心理的なサポートも行います。 医療ソーシャルワーカーは病気のことは知らないの? ここまで、医療ソーシャルワーカーは社会福祉の立場から支援を行っていると説明してきました。 医療ソーシャルワーカーに医療面のことを尋ねても回答が得られないのかと聞かれると、答えはNOです。 患者さんの病名や既往歴、現在の病状についても把握していますし、それがどんな病気かについてもおおよそ説明することが出来ます。 しかし支援を行う中で、福祉よりも医療を重要視しなければならない場合もあります。 そのような患者さんには看護師資格を持った医療ソーシャルワーカーが担当することが多いです。 正確には医療ソーシャルワーカーではなく退院支援看護師と言いますが、例えば癌末期患者の支援に関しては医療面が大きく影響しますので、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)ではなく退院支援看護師のほうが良い支援を行える場合があります。 そのため、基本的には担当病棟制を取っている保健医療機関が多いですが、患者さんの病状や支援内容によって担当を変更する場合もあります。 医療ソーシャルワーカーの場合では支援をする上で医療知識は必要不可欠ですので、一般人レベル以上の知識はありますし、患者さん個人個人の病気や既往・病状についても把握しているので不安ごとは全て相談しても問題ありません。 医療ソーシャルワーカーが相談に乗るよりも、他の職種(医師や看護師、リハビリスタッフなど)が 相談に乗る方が適切であると判断した場合は、医療ソーシャルワーカーから他の職種へ申し伝え正しい説明が受けられるよう調整してくれます。 医療ソーシャルワーカーは保健医療機関のどこに所属しているの? 多くの場合、地域医療連携室や地域連携室あるいは患者サポートセンターなどの名前を掲げて保健医療機関に相談室を構えています。 小さなクリニック等では存在しないこともありますが、保健医療機関を受診した際に、医療ソーシャルワーカーに相談したい旨を伝えると対応してくれる場合がほとんどです。 まとめ いかがだったでしょうか。 医療ソーシャルワーカーという名前を初めて聞いたという方も多いでしょうが、保健医療機関において必要不可欠な存在です。 ・医療ソーシャルワーカーとは保健医療機関に勤める社会福祉士である。 ・治療を終えた後の生活を社会福祉の観点から支援をする専門職である。 ・保健医療機関のある地域に住む住民に対しても支援を行い、医療に繋げる。 ・支援を行うのは社会福祉士だけでなく、看護師の場合もある。 ・医療ソーシャルワーカーは地域医療連携室・地域連携室・患者サポートセンターに所属している。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。

  • ユニット型特養とはどんなもの?従来型との違いやメリット・デメリットを解説!

    老人ホーム探しで「ユニット型特養」という言葉を良く見たりしませんか? しかし、ほとんどの方が「ユニット型特養」についての概要がよくわからないのではないでしょうか。 ここではユニット型特養とはどんなところなのか、ユニットケアとはどんなものなのかについてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。 ユニットケアとは?? 厚生労働省のユニットケアの定義では、「居宅に近い居住環境の下、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位を一致させたケア」と定義しています。 こういう言い回しではわかりずらいので、具体的に説明します。 介護を必要とする方を10名から12名で1つのユニットとします。 お部屋は個別に提供し、そこにはその方にとってなじみのあるもの、例えば家具や仏壇などを置くことで、「アパートやマンション」に引っ越してきたという感覚で生活していただけます。 入居されている方は、自由に居室や食堂を行き来できますし、顔なじみになった介護スタッフが常時いるので、在宅にいた時と同じように安心して生活のサポートを受けられると言ったほうがしっくりくるかもしれません。 従来型とユニット型特養の違いとは? 今までは従来型として経営してきた特養が、どんどんユニット型特養に移行しています。 それは、個別での居室を求められる方が増えてきていることが影響しているのかもしれません。 それでは従来型とユニット型特養の違いとはなんでしょうか? 従来型特養の特長 従来型特養とは、入居者の居室の人数が2名から4名、1フロア40名〜50名の入居者の介護を集団で行う場所です。 1フロアでは最大6名から8名の介護職の皆さんがシフト制で動いていると言われています。 病院のような環境な為、以下のような問題点が挙げられます。 ・家族だけで面会するのが難しい。 ・カーテン1枚だけで仕切られているため、プライバシーがあまり保たれていない。 ・入居される方の好きなものが置けない。 ・常に職員が動いているので、家族が確認したいことをその場で聞けず解決できない。 ユニット型特養の特長 ユニット型は、10名から12名の入居者のグループになっています。 入居者の身体状況や自立具合によって、ユニットごとに異なったケアを行っている特養です。 従来型は、「集団」対応となりますが、ユニット型特養は「個別」対応を目指している施設となります。 例えば排泄介助を入居者さんのペースで行ったり、予め決まった時間に食事を摂る必要もありません。 食堂兼リビングで過ごしてもいいですし、居室でゆっくり過ごしていても問題ありません。 食事についてもごはんや味噌汁は、ユニットのキッチンで作り、入居者の皆さんの食欲を促す工夫をしている施設もあります。 また、職員の数が固定されていることは「入居者が気持ちを伝えやすい」という最大のメリットもあります。 ユニット型特養のデメリット ユニット型特養でもやはりデメリットはあります。 それは入居されている方同士の人間関係の問題です。 中には「ボス的存在」の入居者さんがいて、集団で特定の入居者さんへ攻撃したり、周りに迷惑をかけてクレームやケンカをしたりすることもあります。 また介護度の高い入居者さんや認知症の症状が強くて、周りを歩き回る方や大声を出したりする方もいます。 集団生活がもともと苦手という方で金銭的な余裕がある場合は、有料施設などの方が向いている場合もあるでしょう。 従来型とユニット型特養の値段の違いについて 従来型の特養の月々の費用は、全国平均で8〜9万円と言われています。 ユニット型特養ですと、月々の費用は全国平均で12万〜14万と言われています。 これは個室にかかる居住費・備品代・光熱費や電気代などが含まれている為です。 年金だけで入居したい、あるいはさせたいという場合の選択肢は従来型となりますが、そちらは希望される方も多く、入所の空き待ちに時間がかかっています。 その点、ユニット型では費用面の課題がクリアされれば比較的早く入所できる場合も多く、残された人生を快適に過ごさせたい、プライバシーを充実させてあげたいと思う場合におすすめです。 もちろんご本人の希望もありますから、よく話し合って決めることが大事です。 従来型特養とユニット型特養、どっちがおすすめ? 従来型特養とユニット型特養の費用や仕組みについてはお話ししてまいりました。 従来型とユニット型特養のどちらが良いかは、施設の特性がその方とマッチするのかが重要となります。 従来型特養というと、寝たきりの方が多く入居されるケースが多いのですが、ユニット型特養は、どちらかというとある程度自立で行動できる方が向いていると言えます。 ある程度自立されている人から寝たきりの方まで幅広く介護を必要とする人への受け入れ態勢のあるのがユニット型特養です。 ・手厚い介護を最期までしてもらいたい。 ・入居される方の自立に合わせた介護をしてもらいたい このようなご希望のある方にはユニット型特養のほうがオススメと言えそうです。 ユニット型特養へ入居の検討をされている方へ ユニット型特養は時間の流れがゆっくりなので、入居されてる方もゆっくり過ごせます。 そのため、決められた食事や入浴以外はリビングで他の入居者さんとおしゃべりしたり、お部屋でテレビを見て好きなように過ごすことが可能です。 実際に入居されている方のお部屋を見ますと、思い出の品や趣味などを楽しんで生活されている方もいらっしゃいます。 また、介護スタッフと簡単なレクレーションをしたり、普段は食べられないおやつを作って食べたりして楽しむ機会が多くあるのがユニット型特養の大きな特徴です。 また、従来型特養とは異なりユニット型特養はプライバシーが守られているので、家族の面会はお部屋でゆっくりできます。 中にはスタッフに助けてもらいながら携帯電話で家族に電話したり、好きなパソコンで家族との通話をする方もいらっしゃいます。 敷地が広いユニット型特養や自然に囲まれたユニット型特養だと、外を散歩できたりミニ家庭菜園を作って水やりをしたり成長を見たりしながら収穫を楽しみにしている入居者様もいらっしゃいます。 従来型特養に比べると月々の料金は上がってしまいますが、立地や入居条件、入居される方の希望などに沿ったユニット型特養を探してみてはいかがでしょうか? また、ユニット型特養には短期入所(ショートステイ)が併用されている施設や、最近では小規模多機能施設を併用している施設もあります。 まずはお試しという形で利用してみて、どんな生活ぶりか体験することも可能です。 実際にあるユニット型特養のショートステイでは、一度ロングステイとして長く入居体験して、そのまま入居されたという方もいらっしゃいます。 もちろん、入居希望の方には見学だけでもできます。 気になるユニット型特養があれば直接でも構いませんし、ケアマネージャーさんを通して問い合わせをしてみましょう。 まとめ ユニット型特養に実際に働いていて、気づいた点をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか? 近年、「集団ケア」から「個別ケア」への転換が行われております。 今まで従来型だった特養がユニット型特養に変わったり、グループホームや有料老人ホームでも個室化され、個別ケアが行われています。 ユニット型特養はこれからも色々な形で進化して介護施設の魁として業界を盛り上げてくれることでしょう。 老人ホームを探すに当たっては、立地や空きの有無、経済面など様々な課題をクリアしていかなければいけません。 しかし、介護が必要なご本人が納得して入居されることが一番重要です。 そのご本人の意向を良く聞き、実際に見学して様子を体験していただいたうえでその方にあったユニット型特養を探すための参考にしていただければと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございます。

  • 介護予防支援としてのデイサービスとは?サービス内容や利用する方法を解説!

    介護予防支援としてのデイサービスとは具体的にどんな所なのでしょうか。 この記事では、介護予防のデイサービスの目的や利用する方法、対象者、種類や料金を紹介します。 介護予防としてのデイサービスとは? 介護予防のデイサービスとは、高齢者が集まり心身機能の回復または低下しないように訓練を日帰りで行う場所です。 高齢者が住み慣れた場所で生活できることを目的としています。 サービス内容は「生活機能の向上のための機能訓練」です。 生活機能とは人が暮らしていく上で必要な能力で、特に高齢者は自立した生活を送る為に欠かせません。 高齢者の生活機能は基本的日常生活動作と手段的日常生活動作と2つに分類されます。 基本的日常生活動作 【歩く】【食事】【着替え】【入浴】【整容】 手段的日常生活動作 【交通機関の利用】【電話対応】【買物】【家事】【服薬管理】 これらの機能の回復または維持をして在宅で自立した生活ができることを目的としています。 参考サイト:高齢者の生活機能|健康長寿ネット 介護予防のデイサービスを利用するには? 利用する方法は、住んでいる市町村窓口で介護保険申請をします。 以下が介護保険申請の流れです。 ①お住まいの市町村の窓口で介護保険認定申請 申請時に必要な物は「申請書」と「介護保険被保険証」になります。 介護保険被保険証とは、お住まいの市町村から65歳以上の方に発行される保険証です。 64歳から40歳以上の場合は「医療保険証」が必要です。 ②申請後は、認定調査が行われる 認定調査とは、市町村職員または市町村から委託を受けた職員が、自宅に来て現在の心身の状態や暮らしについて調査を行うことです。 ③市町村からの依頼でかかりつけ医が主治医意見書を作成 主治医意見書とは、かかりつけ医が病歴や治療した内容など身体に関することを記載したものです。 かかりつけ医がない場合は、市町村の医師または市町村が指定する医師に作成依頼ができます。 ④主治医意見書と認定調査を基に、コンピューターが判定を行う コンピューター判定のことを「一次判定」と言います。 目的は介護度の目安を出すことです。 ⑤それぞれの専門職が集まり「介護認定調査会」を行う 介護認定審査会とは、認定調査結果や主治医意見書により算出された一次判定をもとに、専門職が集まり審査を行うことです。 これを「二次判定」と言います。 専門職は、保健、医療、福祉の学識者で構成されています。 ここは審査の判定を行う場所なので、介護区分の決定をする権限はありません。 ⑥市町村が介護区分認定を決定・通知 市町村は介護認定結果を申請日から、原則30日以内に出さなければなりません。 そのため、介護認定が分かるまで1か月かかります。 サービスを受けたいと思っても、時間がかかってしまうので注意が必要です。 参考サイト:厚生労働省 サービス利用までの流れ|介護保険の解説 介護保険認定後は、以下のような区分に分けられます。 要支援1 基本的日常生活は自立しているが、手段的日常生活(公共交通機関の利用、電話対応、買物、家事、服薬管理)に介助が必要とする人 要支援2 要支援1の状態に加え、歩く状態が安定せず、介護が必要になる可能性がある人 要介護度1 基本的日常生活に介助が必要で、歩く状態が安定せず、加えて認知機能低下も見られる人 要介護度2 基本的日常生活と手段的日常生活のどちらとも介助が必要で、認知機能低下が見られる人。 要介護度3 自分で歩くことが出来ず、杖、歩行器、車いすを使用している人。 基本的日常生活と手段的日常生活の介助が必要な人。 要介護度4 思考力や判断能力が著しく低下している人。 日常生活の場で常に介助が必要な人。 要介護度5 寝たきり状態で会話も困難で常に介護が必要な人。 要介護度は数字が大きくなってくると、介護度が重くなるという判定になります。 参考サイト:介護保険の介護度とは|健康長寿ネット 【目安がわかる】要介護度とは?8段階の状態像と受けられる介護サービス|みんなの介護      介護予防のデイサービスを利用できる人は? 介護保険申請が非該当でも、事業対象者に該当すると介護予防のデイサービスは利用できます。 事業対象者とは、基本チェックリストに該当する方です。 基本チェックリストとは、25項目の質問に答えて身体状態をチェックできるツールになります。 ▼こちらが実際のチェックリストです。 厚生労働省 表4 基本チェックリスト 運動機能低下、低栄養状態、口腔機能の低下、閉じこもり、認知機能の低下、うつ病の可能性などが判断の基準になります。 基本チェックリストを実施できる場所は、地域包括支援センターや行政です。 地域包括支援センターとは、介護の相談窓口です。 専職員が集まり、住み慣れた地域で暮らしていけるようにサポートしています。 参考サイト:LIFULL介護【はじめての方へ】地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法 チェックリストは、介護保険申請に比べると面倒な手続きがなく5分〜10分で行えます。 参考サイト:基本チェックリストの概要 介護予防のデイサービスはどんな種類やサービスがあるのか 多様なサービスが受けられるように、デイサービスの種類は4つあります。 サービスの種類 サービスの内容 ①通所型介護 ・生活に関する支援 ・生活機能向上の為の機能訓練 ②通所型サービスA ・通所型介護より小さいデイサービス ・運動、レクレーション ③通所型サービスB ・利用者の自主的な通いの場 ・体操、運動 ④通所型サービスC ・3~6か月で生活機能向上を目指す ・運動や栄養改善のプログラムの実施 それぞれサービス内容に特徴があるので具体的に解説します。 ①通所型介護 入浴、排泄、食事、機能訓練、相談など日常生活に関する支援を受けられます。 一番の特徴は、在宅で暮らす上で必要な機能訓練サービスを行っていることです。 機能訓練とは、身体の維持と向上を目指す訓練です。 介護サービス提供者が利用者の身体状況に合わせて目標を設定しプランを作成します。 ②通所型サービスA 通所型サービスAでは、運動やレクリエーションが行われます。 レクリエーションとは、介護現場では娯楽や余暇ではなく心身の向上を目指すことが目的です。 レクリエーションの種類は、身体を使う、手先を使う、頭を使うなどがあります。 通所型介護と比べると小規模のデイサービスです。 ③通所型サービスB サービスの内容は、体操や運動で、利用者主体の通いの場となります。 サービスの提供がボランティアや町内会なので、職員もボランティア主体となります。 イメージとしては、いきいきサロンや町内会の集まりです。 ④通所型サービスC サービスの内容は、3〜6カ月の短期間で生活機能向上を目指します。 実施するプログラム内容は、運動機能や栄養改善などです。 提供が市町村の保健・医療の専門職になっています。 参考サイト:介護予防・日常生活支援総合事業 ガイドライン|厚生労働省 介護予防のデイサービス費用は? デイサービスの費用は市町村によって違います。 以下は2022年10月現在の熊本市の通所型サービスの利用料金です。 通所型介護 料金 要支援1 1,672円/月 要支援2 3,428円/月 基本料金に加え、必要に応じて加算がついてきます。 加算とは、サービスの提供体制や利用者の状況に応じて発生するお金のことです。 加算の内容は、運動器機能向上加算、栄養加算、口腔機能向上加算などがあります。 それぞれの加算は、必要なサービスであると判断された場合介護サービス提供者がプランを作成しサービス提供します。 参考サイト:【開業】介護報酬の構造、加算・減算とは? 通所型介護や通所型A.B.Cは、市町村事業になるので、詳しい金額は異なります。 上記金額は、目安になるのでお住まいの市町村にお問合せかホームページで確認をおすすめします。 【まとめ】 いかがでしたでしょうか。 介護予防のデイサービス利用についてお伝えしました。 ・介護予防のデイサービスは「生活機能の向上のための機能訓練を行う」場所である。 ・介護予防のデイサービスを利用するには、市町村で介護保険申請をする必要がある。 ・介護予防のデイサービスが利用できる対象者は要支援1.2と事業者対象者である。 ・事業対象者は、基本チェックリスト該当者である。 ・介護予防のデイサービスの種類は①通所型介護②通所型サービスA③通所型サービスB④通所型サービスCの4つである。 ・費用は市町村事業の為、金額が異なるので確認がおすすめである。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 「小規模多機能」ってどういうもの?メリットからデメリットまで詳しく解説!

    「自分の生活もあるけれど、親を施設には入れることに悩んでいる」と悩んでいる方に小規模多機能はおすすめのサービスです。 今回は小規模多機能について分かりやすく解説します。 そもそも小規模多機能ってどういう仕組み? 小規模多機能はご家族様の都合に合わせて「通い」「宿泊」「訪問」を利用できる介護保険のサービスです。 上手に活用すれば介護する側、される側にとって負担軽減になるおすすめのサービスです。 ここでは小規模多機能の3つの特徴と気になる料金形態を解説します。 1.通い(利用者様が事業所に行ってサービスを受けること) 通いは事業所で入浴や食事、レクリエーションなどを受けるサービスになります。 提供サービスは事業所により異なるので一度気になる事業所があったら相談してみましょう。 朝夕の送迎サービスもあるのでご本人もご家族も安心して利用できます。 2.泊り(事業所で泊まること) 事前に事業所へ連絡することで宿泊サービスを利用することが可能です。 ご家族様の急な予定で宿泊を利用したい場合も、定員に余裕があれば宿泊サービスを利用することができます。 ただ、ベッド数に限りがあるため事前に相談することをおすすめします。 3.訪問(介護職員がご自宅にお伺いしてサービス提供をすること) 介護職員がご自宅にお伺いして様々なニーズに応じたサービスを提供します。 サービス内容にはトイレ介助などの身体介助や服薬確認、買い物支援、家事のお手伝いなどがあります。 回数や時間をご家族様の状況にあわせて柔軟に変更できるのが特徴です。 小規模多機能の料金形態 小規模多機能の料金形態は①基本利用料(定額)+②加算+③日常生活費の3つから構成されます。 ①基本利用料(定額制) 基本利用料は利用者様の介護度に応じた定額制となります。 介護保険の自己負担は基本1割負担ですが、所得に応じて2~3割負担となる場合もあるため、事前に市区町壮の窓口に相談してみましょう 要介護度 単位数 1ヶ月の料金 介護保険1割負担 介護保険2割負担 介護保険3割負担 要支援1 3,418単位 34,180円 3,418円 6,836円 10,254円 要支援2 6,908単位 69,080円 6,908円 13,816円 20,724円 要介護1 10,364単位 103,640円 10,364円 20,728円 31,092円 要介護2 15,232単位 152,320円 15,232円 30,464円 45,696円 要介護3 22,157単位 221,570円 22,157円 44,314円 66,471円 要介護4 24,454単位 244,540円 24,454円 48,908円 73,362円 要介護5 26,964単位 269,640円 26,964円 53,928 80,892円 (1単位=10円) 介護保険サービスはお住まいの地域によって1単位あたりの単価に変動があります。 大きな変動はないですがお住まいの地域により自己負担額が異なるため、一度利用する事業所の負担額を確認しておきましょう。 ②加算 小規模多機能は事業所の体制により様々な加算があります。 加算とは専門的なケアの提供など質の高いサービス体制を整えている事業所への報酬になります。 加算があることは利用料の面では負担になりますが、質の高いケアを提供しているという証にもなります。 下記に主な加算を記載します。 初期加算 ⇒ 30円/日…サービスを利用する最初の段階で支払う加算になります。 認知症加算 ⇒ 500~800円/月…認知症の利用者様を介助する際の加算になります。 訪問体制強化加算 ⇒ 1,000円/月…訪問サービスを担当する職員の配置体制や、一月の訪問回数が一定の水準を満たした事業所に加算されます。 総合マネジメント加算 ⇒ 1,000円/月…介護計画を随時見直している事業所に加算されます。 看護職員配置加算 ⇒ 480~900円/月…看護職員の配置体制に応じて加算されます。 サービス提供体制加算 ⇒ 350~640円/月…職員数に対しての介護福祉士の割合や、勤続年数から質の高いサービスを提供する体制にあると判断された事業所に加算されます。 それぞれの事業所により取得している加算に違いがあるため、一度利用を検討している事業所に相談してみましょう。 ③日常生活費 日常生活費は介護保険給付の対象外の費用です。 給付対象外のため全額が自己負担となります。下記に主な日常生活費を記載します。 宿泊費 ⇒ 2,000~3,000円/1泊…事業所により宿泊費は異なります。 お食事代 ⇒朝食400円、昼食500円、おやつ100円、夕食500円…事業所により食事代は異なります。 おむつ代…おむつやパットなどの消耗品費になります。 ④料金のイメージ イメージしにくいと思うので事例を元にシュミレーションをしてみました。 (事例)…要介護度2、介護保険1割負担、月に5回宿泊を利用、通いを5回利用した場合 1.基本利用料(定額制)⇒ 15,232円 要介護度2、1割負担の場合15,232円となります。 2.加算 ⇒ 4,500円 今回のケースでは分かりやすいように4,500円で計算しました。 (実際は事業所により算定している加算にバラツキがあるので一度確認してみることをお勧めします。) 3.日常生活費 ⇒ 23,000円 宿泊費…3,000円(1泊)× 5日=15,000円 食事代…500円(1食)×15食分(5日分)=7,500円 おやつ代…500円(5日分) 事例のパターンで計算すると42,732円が1ヶ月の利用料になります。 実際に契約する前に利用料のシュミレーションを事業所に依頼するのもオススメです。 小規模多機能を利用するにはどうしたらいい? では、小規模多機能を利用するためには、どのようにすればよいのでしょうか。 まだ介護保険サービスを利用したことがない場合 小規模多機能を利用するには要介護認定の申請をすることが必要です。 まだ要介護認定を受けてない場合は市区町村の担当窓口で相談しましょう。 すでに他の介護保険サービスを利用している場合 小規模多機能の利用を検討している場合は担当のケアマネージャーにまずは相談してみましょう。 注意点は、新たに小規模多機能と契約するには小規模多機能のケアマネージャーに変更する必要があることです。 担当ケアマネージャーに相談しにくい場合は、地域の相談窓口である地域包括支援センターに相談してみましょう。 小規模多機能のメリット3つ 小規模多機能には以下の3つのメリットが考えられます。 1つの事業所で「通い」「訪問」「宿泊」のサービスが受けられる 小規模多機能は1つの事業所と契約することで3つのサービスを受けることができます。 顔なじみのスタッフが「通い」「訪問」「宿泊」の対応をするため、環境変化にストレスを抱えやすい利用者様にとって優しいサービスです。 1つの事業所に利用者様の情報が集約されるため、適切なケアができるのも特徴です。 柔軟な対応が可能 ご家族様の状況に応じて臨機応変にサービス内容を変えられるのが特徴です。 「日中は仕事だから通いを利用しよう」「明後日は急な出張だから宿泊を利用しよう」など、様々な状況に応じて臨機応変に対応することが可能です。 職員や利用者様との信頼が構築しやすい 3つのサービスを同じ事業所の職員が対応するため信頼関係の構築がしやすいです。 サービスを受ける利用者様も顔なじみの職員が対応してくれるため安心感が得られるでしょう。 また、小規模多機能は1日の通いの定員が概ね18人以下、宿泊は概ね9人以下と少人数になります。 そのため、利用者様間での関係性の構築もしやすいのが特徴です。 小規模多機能のデメリット3つ 小規模多機能を利用することは、メリットだけでなく以下のデメリットも考えられます。 ケアマネージャーが変わる 小規模多機能と契約する場合、馴染みのケアマネージャーから小規模多機能のケアマネージャーに変更する必要があります。 通い、宿泊が定員制 小規模多機能には定員があります。 もし利用したい時に定員が上限に達していたら利用できないこともあります。 事業所の登録人数にもよりますが、通いは概ね18人宿泊は9人が定員の上限値になるため注意が必要です。 別のサービスを利用できない 「小規模多機能便利だけど通いサービスは前のデイサービスが良かったな」という場合、通いだけ他の事業所と契約することはできません。 訪問や宿泊も同様に他のサービス事業との契約ができないので注意が必要です。 その他にも、訪問入浴介護、デイケア、居宅介護支援も併用が不可になります。 まとめ ここまで小規模多機能の特徴や料金形態、メリットデメリットを解説してきました。 小規模多機能は3つのサービス(通い、訪問、宿泊)を1つの事業所で提供するサービスである 利用料金が定額制であるため分かりやすいのが特徴である 急な通い、急な訪問、急な宿泊などにも臨機応変に対応してくれる頼りになる存在である 小規模多機能と契約する場合、ケアマネージャーが変わるため注意が必要である 併用できないサービスがあるため注意が必要である 小規模多機能にはメリットもあればデメリットもあります。 1人で悩まずにケアマネージャーや地域の相談窓口に相談してみましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護による退職を決断する前に!確認しておくべき利用可能な制度やサービスをご紹介!

    家族に介護が必要になると、仕事を続けることが困難と判断し退職を決断する人もおられます。 しかし。それは会社にとっては大きな痛手です。 また、退職者にとっても後悔する結果になりかねません。 今回は、介護の為に退職を決断する前に確認しておきたい利用可能な制度やサービスについて紹介します。 介護の為に退職するデメリットや、退職を決断の前に知っておきたい内容についても紹介していますので、ぜひご一読ください。 介護による退職の決断は焦らないこと 結論からいうと、介護による退職の決断は焦らないことです。 介護による退職には、メリットよりデメリットの方が多いといえます。 それでは、介護による退職のメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。 介護による退職のメリットは? 介護退職のメリットは、以下の2つが考えられます。 仕事から解放されるため、精神的、肉体的な負担が減る 仕事から解放されるため、精神的、肉体的な負担が減り、余裕を持った生活基盤を構築できます。 また、出勤や退社時間の調整など仕事量を調整する必要がなくなり、職場に迷惑がかからないなどの精神的な負担感を減らせます。 介護費用などの負担が減る 介護を中心とした生活になるため、仕事の間に利用していた介護サービスの利用頻度が減り、介護費用などが軽減できます。 介護離職のデメリットは? しかし、介護退職には以下のようなデメリットがあることも重々考えておかなくてはいけません。 生活の基盤となる収入がなくなる 生活の基盤となる収入がなくなるため節約する生活になるとともに、将来受け取る年金が減り介護者本人の老後が心配になります。 親の年金や貯蓄に頼る生活になる 親の年金や貯蓄に頼る生活になるため、介護期間が長引くと、介護破産になる可能性があります。 会社で培ってきたキャリアを失い、再就職が困難になる 今まで培ってきたキャリアが中断するため、再就職の際には年齢や経験スキル不足が障壁となり、再就職が困難になります。 介護ストレスが増える 介護に専念することで、ストレスを解消する環境がなくなり、介護疲れを感じやすくなります。 孤立しやすくなる 介護のみの生活に陥りやすく、また退職していることで、周囲から孤立しやすくなります。 家族の介護が必要だと分かれば、気持ちだけが先走りし、回りが見えなくなる可能性があります。 しかし、一時的な感情による退職は、デメリットが多く存在することも知っておくことが大切です。 介護による退職を決断する前の対応 介護による退職をする前に以下の事柄について十分考えておきましょう。 介護の先を考えておく 介護を始めた頃は退職した気持ちに迷いはなく、介護に追われる日々を過ごせることでしょう。 しかし、介護期間が長くなると、少しずつ気力や体力、経済力に不安を感じます。 特に家や車のローン、子供の教育費、家族の生活費など経済的な不安が募り、気力がなくなる可能性が高いのです。 介護を続けた先がどうなるのか、介護者や家族でも分かりません。 介護は先が見通せないため、会社を退職した後悔が残らないよう将来の姿を考えておくことが大切です。 会社の支援制度を知っておく 勤め先の会社の支援制度を知っておきましょう。 会社には介護離職を防ぐための制度を設けています。 この制度を知らず有給休暇ばかり消化していると、そう遠くない介護離職が待っています。 退職を考える前に、介護休暇や介護休業など会社の支援制度の積極的な利用を考えましょう。 ただし、制度を利用する前には労務担当者に内容を確認の上、上司や同僚など職場の理解を得ておくことも大切です。 介護保険サービス内容を確認しておく 介護保険サービスの内容を確認しておくことも大切です。 仕事を続けながらの介護は介護サービスを利用することが不可欠です。 介護保険で利用できるサービスには、訪問介護や福祉用具、介護用品のレンタル、通所介護施設などさまざまなサービスがあります。 仕事を続けながら介護する意思をケアマネジャーに伝え、可能な限り利用できるサービスを組み合わせ、介護の負担感は極力減らしておくことが大切です。 介護保険利用による介護費用を確認しておく ケアマネジャーと相談し、月ごとに介護費用を確認しておきましょう。 介護保険サービスを利用する場合の利用者の介護費用負担は利用した介護サービスの1割(一定以上の所得者の負担割合は、2割または3割)です。 また、通所介護施設を利用する場合も、要介護者の介護度によって利用料金が変わります。 特に通所介護施設では、利用料以外でも食事代やおむつ代などの生活に関わる費用(保険適用外)も必要です。 なお、低所得者の方や1か月の利用料が高額になる方には費用負担額の軽減措置もありますので、よく確認しておきましょう。 退職を決断した主な理由 退職を決断した主な理由は今の職場環境や生活環境によってさまざまですが、特に次の3つの理由が大きいです。 仕事の合間の介護が困難 家族の介護度によって、要介護者の負担割合が変わります。 要介護度が上がれば介護者の負担が増え、介護に合わせて職場や部署の異動、仕事量の調整が必要になることが多いです。 そのため介護と仕事の両立が困難になり、退職を決断してしまうのです。 職場の理解が得られない、または話しづらい 職場によっては介護に対する理解が得られない、介護の状況を話しづらいという状況もあるでしょう。 有給休暇や介護休暇、介護休業を取得しにくい職場環境にある人は、仕事を辞めた方が精神的に楽という考え方になってしまいます。 家族のために介護したい気持ちが強い 家族のために仕事より介護したい気持ちが強いため、将来を深く考えずに退職を決断する人もいるでしょう。 特に、今まで育ててくれた両親のために、自宅で介護したいという愛情が強い人です。 退職を決断する前に知ってほしいこと 退職をすることは簡単なことではありません。後悔することが多いので、下記のことを良く考えるようにしてください。 一時的な感情による退職は必ず後悔する 一時的な感情による退職は、必ず後悔する時がきます。 介護のための退職は心身の負担を減らす目的としての決断であることが多いです。 しかし、介護中心の生活は退職前と比べるとさまざまな負担が増すことも知っておかなければなりません。 特に収入の減少は、心の負担が重くなる原因になります。 介護サービスを最低6か月は利用する さまざまな介護サービスを最大限に組み合わせて最低6か月は利用し、家庭の経済状況を確認してからでも介護離職は遅くはありません。 現状の生活と介護サービスを利用した場合の家計を比較すれば、現在の生活水準を可能な限り維持できる最適な介護サービスの利用方法を見つけることができます。 再就職先探しは難しい 介護による退職のデメリットでもお伝えしましたが、今までのキャリアを捨てて会社を辞めると業種によっては再就職は非常に難しくなります。 特にキャリアアップを望む企業の求人は求める年齢や資格などの条件が厳しくなるため、自分が思うような就職活動になる可能性は極めて低くなります。 まとめ 介護によって退職した場合を想定して、さまざまな角度から日常生活などに与える影響をご紹介しました。 介護のために退職した場合を想定した内容をまとめると次のとおりです。 一時的な感情で退職を決断しない 介護による退職は、負担が増え、大きなリスクを背負う 介護による退職を避けるためには、会社の支援制度や介護サービスを最大限利用するとともに、期間を定めて費用負担の割合を確認しておく ケアマネージャーと連携し、仕事を続けられる体制を構築しておく 介護による退職はメリットよりデメリットが大きく、後悔する結果になりかねません。 退職の決断は、さまざまな対応を試してからでも遅くはありません。

  • サ高住(サービス付き高齢者住宅)はどうやって選べばよい?6つのポイントをご紹介!

    今まで生活していた自宅を離れて生活することには不安がつきものです。 入居者がより安心安全に生活を送るためにも、6つのチェックポイントを確認し、入居者の理想や条件に合ったサ高住を選びましょう。 サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ際のポイント サ高住を選ぶポイントは、以下の6つです。 立地・アクセス 費用 サービス内容 居室・設備 一般型か介護型か 夫婦での同居が可能か それぞれのポイントについて詳しく説明します。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方①立地・アクセス サ高住を選ぶポイント1つ目は、立地とアクセスです。 地域の中での自立した生活を送るために、立地やアクセスの良さには注意しましょう。 今までの人間関係や行動範囲を変えたくない場合は、住み慣れた地域にある施設がおすすめです。 同じ趣味や境遇を持つ人と新しい関係を築きたい場合は、条件に合ったエリアや施設を探すと良いでしょう。 生活環境や地域が大きく変わることでセカンドライフを楽しむきっかけとなります。 また、付近にバス停や駅があるかなどの利便性もチェックしましょう。 交通のアクセスが良ければ、一人での外出も安心です。 自由度の高いサ高住は、今まで通りの生活とほぼ変わらないことが特徴です。 そのため、家族や友人の自宅を訪問する機会も持てます。 近くに家族や友人がいるとより安心できるため、居住地が近い場所であるかも大事なポイントです。 ワンポイントアドバイス 行き慣れたスーパーや医療機関がサ高住の近くにあることは非常に大事です。 介護スタッフに買い物を代行してもらう場合には、スーパーの欲しい商品も的確に伝えることができます。 医療機関の混み具合や診療時間などを把握していると、通院時や緊急時の連絡がよりスムーズです。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方②費用 サ高住を選ぶポイントの2つ目は、費用です。 賃貸借契約であるサ高住は、一般的な賃貸マンションを契約する場合と同じように月々の家賃や光熱費が中心になります。 初期費用となる敷金・礼金は、施設により大きく異なるため注意しましょう。 食事など、サービスを追加することでかかる費用の確認も必要です。 また、介護サービスが必要になった場合には、さらに費用がプラスされます。 特定施設である介護型に入居する際は、利用権契約になる場合もあるため、一般型よりも高額になります。 費用の支払い方法には、月払いと前払いの方法があります。 月払い方法は、大きな初期費用がかからない代わりに長期になると支払額が多くなります。 前払い方法は、入居時の負担は大きいですが、長期利用であれば費用は割安です。 しかし、短期利用であれば割高になる可能性もあります。 自立して生活できる方ほど費用はやすくなり、手厚い介護サービスを必要とする方は費用が高くなる傾向にあります。 入居時の注意点 月々にかかる費用が高額にるため、受けられるサービスが限定されることやお金に制限がかかる入居者も多いです。 買い物代行や入浴の回数などのサービスに調製が必要になり、十分なサービスが受けられないこともあります。 自由に使用できるお金が少ないと、欲しい物を購入できなくなります。 ストレスが溜まることや施設とのトラブルの原因になるため、費用の確認には注意が必要です。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方③サービス内容 サ高住を選ぶポイントの3つ目は、サービス内容です。 サ高住には、安否確認サービスと生活相談サービスの2つがあります。 安否確認サービスは、定期的に医療や介護の専門スタッフが各居室を巡回し、入居者の状況を確認するサービスです。 その他の食事や介護、生活支援のサービスは施設によって対応が異なるため、入居者が必要とするサービスがカバーされているかチェックしましょう。 ①食事 施設が提供する食事サービスを利用する場合は、食事内容も確認しておきましょう。 味や見た目、季節のイベントに合わせた食事を味わえる施設もあります。 買い物代行や病院への付き添いの対応をするサービスもあり、一人暮らしをする入居者をサポートします。 ②認知症患者の受け入れ 近年は、認知症を患っている入居者も対応可能な施設も増えていますが、認知症患者を受け入れ可能な施設か確認が必要です。 また、介護保険サービスが必要になった場合のことを考えて介護事業所やデイサービスが併設されていると便利です。 ③夜間対応 サ高住では専門のスタッフが常駐していますが、夜間は緊急通報システムが導入されている施設もあります。 専門スタッフが24時間常駐している施設を選ぶとより安心です。 さらに、介護サービスと医療サービスの連携がしっかりしている施設であれば、緊急時もスムーズに医師や看護師による対応を受けられます。 ④レクリエーション イベントやレクリエーションなどを実施しているかも確認しましょう。 初詣やお花見クリスマス会などを実施する施設も多く、イベントに参加することで四季を感じられます。 レクリエーションでは、頭を使用するクイズ大会や身体を使用する運動が一般的です。 他の入居者とコミュニケーションが図れ、認知機能や身体機能の低下を防ぐ効果もあります。 ワンポイントアドバイス 食事は、入居者にとって毎日の楽しみでもあります。 実際には施設で提供する食事が美味しくないと言われ、徐々に食べる量が減り痩せて活気がなくなる高齢者もいます。 食事は一番の特効薬と言われるものでもあり、見た目の豪華さや入居者の口に合うかは非常に重要です。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方④居室・設備 サ高住を選ぶポイントの4つ目は、居室・設備です。 家具や家電を持ち込むスペースがあるか、キッチンや浴室が付いているか、収納場所が確保できているかなど自分の希望と照らし合わせましょう。 豊かな生活ができるようフィットネスジムやカラオケなどの娯楽スペースを設けた施設も多いです。 入居者の理想とするライフスタイルを考えながら入居する施設を選ぶことが重要です。 入居前の確認ポイント 共有スペースを利用する入居者の様子や、スタッフとの関わり方はどのような感じであるかなど、施設によって大きく異なります。 スタッフや入居者との関わりを大事にしたい方が、一人を好むような静かな施設に入居した場合は、退屈に感じるでしょう。 実際に足を運んで雰囲気などを確認しておきましょう。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方⑤一般型か介護型か サ高住を選ぶポイントの5つ目は、一般型か介護型であるかです。 一般型のサ高住は、介護が必要になった場合に外部のサービスを手配しなければいけません。 介護型のサ高住は特定施設の指定を受けているため介護保険の給付対象となり、施設スタッフから介護サービスを受けられます。 一般型は自立して生活できる方を対象としているため、介護度が高くなる認知症を患うなど、状況によっては退去しなければいけない施設もあります。 ニーズに合わせて訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを用意している施設もあるため 事前に確認が必要です。 ワンポイントアドバイス 最期の瞬間まで住み続けたいと考えている方は、特定施設の介護型であることを条件にしておきましょう。 看護師が常駐している施設であれば、看取りの対応も可能です。 親族がいない入居者でも、介護・医療スタッフのケアを受けられるため、寂しさや不安が軽減されるでしょう。 サービス付き高齢者向け住宅の選び方⑥夫婦での同居が可能か サ高住を選ぶポイントの6つ目は、夫婦での居住が可能であるかです。 サ高住の中には、配偶者とともに入居できる施設もあります。 広めの夫婦部屋が完備されているケースもあり、夫婦で一緒に暮らしながら生活支援サービスを受けることができます。 二人で快適に生活を送ることができる環境であるかも大事なポイントです。 サ高住では、契約者が亡くなった場合でも、配偶者はそのまま住み続けられます。 トラブル回避のポイント 夫婦部屋は広い1部屋のみの施設が多く、24時間2人で過ごすことになります。 そのため、喧嘩や意見の違いがあった場合でも同じ部屋で生活します。 近くに住む安心感も欲しいが、一人の時間も確保したいという夫婦は隣同士の居室を用意してくれる施設を選びましょう。 まとめ 今回は、サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ6つのポイントを紹介しました。 サービス付き高齢者向け住宅を選ぶ6つのポイントは、「立地・アクセス」「費用」 「サービス内容」「居室・設備」「一般型か介護型か」「夫婦での同居が可能か」である。 自宅と変わらない生活を送るために、入居者の希望に合わせた施設を選ぶことが重要である。 サービス付き高齢者向け住宅は、施設によって費用やサービス内容、設備が異なるものである。 ぜひ、参考にしてみてください。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • ケアマネはなんでも屋?ケアマネが抱えてしまいがちな業務外の仕事内容を解説

    やるべきことが多すぎて本来のケアマネジャーの仕事が出来ない!と思われているケアマネージャーは結構多いものです。 ケアマネジャーは介護保険制度内の他職種と対比した場合、サービス提供時間やサービス内容も明確にされていないのが現状です。 ここでは居宅ケアマネジャーを悩ませる業務について説明します。 介護支援専門員(ケアマネジャー)の本来の仕事内容とは? ケアマネジャーとは要介護・要支援の状態にある高齢者の心身状況に応じ、適切な介護サービスが利用できるようケアプランを作成し、市町村やサービス事業所や介護保険施設と連絡・調整を行う専門職です。 ケアマネジャーは居宅ケアマネジャー、施設ケアマネジャー、介護予防マネジメントの大きく3つに分別されます。 居宅ケアマネジャー 居宅ケアマネジャーは自宅で介護を受ける人を対象にケアプランを作成します。 サービス利用者の自宅を訪問して状況を確認し、利用者がスムーズにサービスを受けられるよう、関係各所との調整を行います。 施設ケアマネジャー 施設ケアマネジャーは介護老人福祉施設などに勤務し、入所者のケアプランを作成します。 施設ケアマネジャーは入居者の状態変化を把握しやすい反面、担当件数が居宅ケアマネジャーより多く各職種とのチームワークが必要となります。 介護予防ケアマネジメント(総合事業) 介護予防マネジメントとは、要支援の認定を受けた人が、要介護状態にならないようにサポートする取り組みです。 介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが統括しており、委託を受けた居宅介護支援事業所でも行う事が出来ます。 ケアマネージャーの主な仕事内容 ケアマネージャーの主な仕事内容は、以下の通りです。 ・インテーク ・アセスメント(課題分析) ・ケアプランや各種書類の作成 ・月1回のモニタリング訪問 ・介護保険関係の手続き ・各事業所、医療機関とのやり取り ・請求業務(給付管理) ケアマネジャーはケアマネジメントを開始するにあたって、初回の顔合わせ(インテーク)を通じて、介護サービスやケアマネジャーの役割を利用者やその家族に伝え、契約を行います。 契約後、利用者や家族の意向を確認し、本人の身体状況や置かれている環境、介護保険外の支援などを分析し(アセスメント)総合的な援助方針を検討します。 ケアマネジャーの仕事には利用者の権利擁護やサービスの公平・中立性のほか、プライバシー保護などの倫理が求められます。 インフォーマルな社会資源の活用などを駆使し、利用者やその家族が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的な知識と技術が必要になります。 ケアマネジャーの主な仕事内容は業務範囲外になりやすい 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると65歳以上の者がいる世帯は、全世帯の約半分で単独世帯や夫婦のみ世帯が全体の過半数と、一人暮らしの高齢者は年々増加しています。 家族情景やケアマネジャーという職種の把握からか、担当ケアマネジャーが家族の役割を担うようになり、本来の業務ではない仕事が際限なく増えています。 主な仕事内容である「ケアマネジャーは月1回のモニタリング訪問をして必要時にケアプランを作成」「各関係機関とのやり取りや請求業務を行う」は、いわばやれて当たり前なのです。 ケアマネジャーの仕事がこれだけで済むのであれば平穏な日々を過ごせます。 ケアマネジャーを悩ませる業務外の仕事とは ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外は突然やってきます。 高齢者は加齢に伴う生理的老化の進行によって臓器機能、自律神経、免疫機能等の低下、病気の併存などの身体的特徴が多く、複数の症状や病気を抱えがちです。 そのため、急変などのサービスの調整や業務範囲外の仕事が発生しやすくなります。 高齢者は退職による「職業や社会的立場の喪失」と併せ、身体面の老化といった心理的、肉体上の喪失体験も重なり精神的機能の低下により頑固になることが多々あります。 また、保守的傾向になる事が多く、町内会や自治会など、域コミュニティから孤立する高齢者も増えてきているのです。 そのため、問題が表面化されず突然、行政から連絡が入ることもあります。 居宅ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外の仕事 ケアマネージャーに発生しがちな業務範囲外の仕事は以下のようなものがあります。 救急搬送や受診同行 ケアマネジャーは救急車への同乗や搬送先への同行を求められることがあります。 治療が必要な疾患や症状を放置している高齢者が急変することや、受診を拒むため受診予約にあわせた通院ができず訪問介護の通院介助などのサービス調整が難しい場合等、ケアマネジャー通院時の付き添いをすることは多く見られます。 親族が近くにいない、身寄りがないなどの場合、救急搬送はもちろん、病院の入院手続き入院時の必要物品準備などを医療機関から依頼されることもあり、一日のスケジュールが狂ってしまうこともあります。 近隣住民からの苦情対応 住居から悪臭や異臭を放っていたり、敷地外に大量のゴミや不用品が溢れ、近隣住民からケアマネジャーへ対応を求めてくる場合もあります。 ゴミの分別ができず、指定日にゴミを出さないなどと近隣とトラブルになっていたり、室内がゴミ屋敷で足の踏み場もないなんてこともあるのです。 65歳以上の高齢者の住宅火災による死者数は平成27年は611人で、全死者数に占める割合は66.8%と高くなっています。 本人は全く気にはしていなくても「火事になるのでは?」「どうして施設に入所させないんだ」などと近隣住民より不安を煽られることもあります。 地域から疎外され心を閉ざした高齢者の心を解きほぐすにはさらに時間を要し、訪問介護の生活援助も大掃除は出来ないため、介入出来る環境までを作るためにケアマネジャーが関わる場合があります。 金銭・財産管理の欠如 生活費のほとんどをアルコールやギャンブルに散財していたり、家賃や公共料金などが数カ月にわたり滞納している場合があります。 この場合でも、関係業者へケアマネジャーが対応することがあるのです。 生計の理解が乏しくなる反面、必要な支払いをしている家族がお金を盗んだと思い込む事や、必要な公共料金さえも「そんなものは払わなくていい」などと支払いを滞っている場合もあります。 そのため、居宅サービスの依頼をうけ、いざ訪問をしたら電気・ガス・水道などのライフラインが止まりそう、なんてこともよくあることです。 金銭管理ができないことや金銭感覚など、認知面や性格的な部分への介入や後見人制度の手続きを含め、ケアマネジャーが一役をかうことになるでしょう。 認知症への対応 認知症高齢者が行方不明になり家族や警察と認知症高齢者の捜索をしたり、消費者被害の対応をケアマネジャーがすることもあります。 行政からの必要書類が郵送されていても紛失している事があり、必要書類の再発行や郵便物の配達にあわせて訪問したり、仕分け等も必要時に応じて行なうことがあります。 知らないうちに電話勧誘販売や無料キャンペーンなどを強調し、初回以外や一定期間内に解約をしないことで料金が発生する無料商法などの消費者被害にあって多額の借金を背負っていたり、金銭を搾取されている場合があります。 また、ペットの飼育が出来なくなっていたり、野良猫などに餌をあたえ、猫屋敷になったまま放置されているなど、多頭飼育崩壊していることもあります。 ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をする理由とは ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をするのはケアマネの業務範囲が明確ではなく、利用者や家族の介護保険への理解、多職種や業種によるケアマネジャー本来の仕事に対して共通認識が出来ていないからです。 境界線を張り「ここまでは自分の仕事」として割り切ることを提言する行政や、上司なども多いですが要支援・要介護の高齢者を地域で支えていく仕組みの中で、ケアマネが足りない部分を補う非常に重要な役割を担っているのも現実です。 ケアマネの業務範囲外の仕事を断る対処法とは そもそもケアマネが業務範囲外の事を請け負う必要はありません。 利用者さんやその家族が困っているから、と、そのすべてを引き受けていたら、ケアマネが倒れてしまいます。 ケアマネの業務範囲外の事を頼まれたら適切に対応し、本来のケアマネの仕事をきちんとできるようにすることがとても重要です。 では、実際にケアマネの業務範囲外の仕事を頼まれたときにどう対処すればよいか、その方法についてご紹介します。 対応できない理由を利用者や家族に伝える そもそもケアマネージャーはなんでも屋ではありません。 できない理由を丁寧に伝えしっかりと断るようにしましょう。 そうすることでケアマネとしてやるべき本来の仕事が円滑にできるようになります。 そのくらい対応できる、と引き受けていると、頼まれる内容がどんどん増大になることが考えられます。 1人のケアマネージャーが業務外のことを行ってしまうと、他のケアマネージャーにも迷惑がかかってしまうこともありますので、毅然とした態度でお断りすることが重要です。 行政や管理者に相談する 利用者やその家族に業務範囲外の事を頼まれて困ってしまったら、まずは施設の管理者などに相談するようにしましょう。 もし、ここで対応するように言われたら、そこで働くことを検討することをおすすめします。 何にせよ、誰にも話さずに一人でなんとかしようとしては行けません。 利用者様や家族との信頼関係が壊れる、と悩む方もいるかもしれませんが、まずはケアマネとしての仕事がスムーズにできるようになることが重要です。 なにより、他の利用者様の対応がおろそかになってしまいます。 あまりにも悪質な場合は行政に相談しましょう。 まずは自分をきちんと守ってあげることが重要です。     まとめ ケアマネジャーは介護保険の基本理念である「利用者本位」を実現するうえで、各関係機関とのサービス調整を行う専門職です。 ケアマネジャーの業務は多岐にわたり、地域共生型社会の実現に向け、高齢者の支援にとどまらず、障害や児童のケアマネジメントにも目を向けて職域を広げる活動をしています。 本人らしい生活を支え、身近で相談しやすい存在であり、ときに人生の最終段階までの伴奏者となる対人援助の専門職であるからこそ、利用者の生活全般に関わる事になります。 そのため、時に制度のはざまにある人への支援として「なんでも屋」にならざる得ないのが現状です。 しかし、それだけ高齢者にとって重要な役割を担った職務であるといえます。

  • 介護やケアマネの仕事は人手不足!人員不足の原因や介護職のモチベーションが低下したときの対処法をご紹介!

    誰かの役に立ちたい」という想いからこの業界で働くことを選んだ方も多いのではないでしょうか。 本来、介護やケアマネの仕事は魅力に満ちあふれています。 しかし、その想いを保ち続けることは容易ではないこともまた事実です。 半面、メンタルダウンを上手に乗り越える人もいます。 また、介護職員は常に人手不足です。 特にケアマネージャーの仕事は人手不足が問題となっています。 今回の記事では、「ケアマネージャーや介護職の人手不足の原因」や「介護職員のモチベーションアップのコツ」を見ていきましょう。 ケアマネージャーの仕事内容 ケアマネージャーは「ケアマネ」と略されることがありますが、正式名称では「介護支援専門員」といいます。 ケアマネージャーの仕事は、要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成し、市町村やサービス事業者、本人、家族との連絡調整をする専門職です。 専門職であるため、ケアマネージャーになるには資格が必要です。 ケアマネージャーの資格の取得方法 ケアマネージャーの資格を取得するためには、指定業務を5年以上かつ900日以上経験するという条件をクリアし、試験に合格する必要があります。 ケアマネージャーの資格試験は年に1回10月に行われています。 主任ケアマネージャーとは ケアマネージャーの上位には主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)という職業があり、2021年3月施行の改正介護保険法では「居宅介護支援事業所の管理者は、原則主任ケアマネでなければならない」と改訂されています。 そのため、主任ケアマネージャーは現在とても重要視されています。 主任ケアマネージャーになるには特に資格試験があるわけではありません。 以下の条件を満たしたうえで、「主任介護支援専門員研修」を受講する必要があります。 専任のケアマネジャーとして勤務していた期間が、通算で5年(60カ月)以上である人 ケアマネジメントリーダー養成研修を修めた人で、さらに専任のケアマネジャーとして働いた期間が通算して3年(36か月)以上である人 主任介護支援専門員に準ずる者として、地域包括支援センターに配置されている人 ケアマネジャーの業務に関し十分な知識と経験を持っており、都道府県によって認められた人 ケアマネージャーが人手不足な理由 ケアマネージャーや主任ケアマネージャーは常に人手不足が問題となっています。 ケアマネージャーの人手不足が続いているには、以下の理由が考えられます。 資格取得が難しい ケアマネージャーの資格試験の合格率は10~20%程度を推移しています。 そのうえ、毎年受験者数も減ってきているのです。 受験者数が減ってきているのは、頑張って資格を取得しても給料などの待遇面がよくならないことが考えられます。 給料などの待遇面が悪い 令和3年現在、ケアマネージャーの平均年収は約410万円です。 介護職全体での給料平均は約380万円とされているので、年収としてみると30万円のアップになります。 しかし、全国的な年収で見ると決して高いといえる金額ではありません。 そのため、2019年には「介護職員等特定処遇改善加算」が実施されていますが、すべての事業所が対象ではないため、大きな改善にはいたってはいません。 介護職員のモチベーションを下げる要因 介護職員が増えない理由にはモチベーションを保つことができないことも挙げられています。 では、介護従事者のやる気が削られてしまうのか、要因を1つ1つ見ていきましょう。  給料が安い 介護業界で働いていると、他の業界に比べて待遇の悪さを感じる人が多いようです。 また、同じ介護業界でも介護職・相談員・ケアマネなどの職種によっても待遇に差があります。  夜勤がある施設の介護職は、夜勤手当がある分他の職種や夜勤なしの介護職(たとえばデイサービスの職員など)に比べると給与は若干良くなるでしょう。 また、同じ介護職でも勤め先によって待遇差が生じます。 当然ながら業績により賞与には差が出ますし、特養などの公的施設と有料老人ホームなどの民間施設では利用者が支払う利用料にも差があるので、当然といえば当然です。 しかし、国が介護士の処遇改善に乗り出してくれたこともあり、一昔前に比べれば介護士の給与は良くなってきていると言えます。 また、役職が上がれば責任も伴いますが、手当も上がります。 役職に就く見込みがあるのかどうかを見極めることも大切になってくるでしょう。  職場の人間関係がツラい 介護業界の魅力を半減させてしまう要素は、何も給与などの待遇面だけではありません。 人間関係も大きな要素になっています。 アンケートによっては、この人間関係が退職理由の1位になっているものもあるくらいです。  介護士やケアマネは1人で利用者のケアをすることはできません。 必然的に他の介護士や他職種と連携を取る場面が多くなってきます。 そこでの人間関係に問題がなければよいのですが、やはり何人か集まれば合わない人も出てくるのが世の常です。 仕事だからとお互いが割り切れればよいのですが、何かにつけて粗さがしをしてくる人はどの業界にもいるものです。 そういった人間関係がイヤで「職場を離れる」「介護を辞める」という声も聞きます。 でも、どの業界・どの職場にも、自分に合わない人は一定数いるもの。 上司に相談したり、うまくストレス解消をしながら、乗り越えていきましょう。  家族からのクレーム 近年よく耳にするようになった「カスタマーハラスメント」 介護業界も例外ではありません。 介護保険法でできることとできないことが決まっていますが、それに納得がいかずに利用者本人やご家族からもクレームになるのはよく聞くケースです。 また、最近では入所施設でコロナ禍で思うように面会できず、ご家族の知らない間にADLが低下していてクレームになるというケースも増えています。 それが常識の範囲内であればまだしも、度を越えたクレームに心をやられてしまう職員も少なくないようです。 カスハラは社会的にも問題になっています。 こういった問題に直面した場合は、迷わず上司に相談しましょう。  人手不足など職場の体制 ご存知のように、介護業界では多くの事業所が人手不足です。 その中を、今いる人手でなんとかやりくりしているのが現状です。 そうした中で、さらに辞める人が出てくると、残った職員にしわ寄せが行ってしまいます。 夜勤に月10回前後入るとか、休日出勤する人もいます。 どこの事業所も必死に募集をかけており、派遣や紹介会社を活用して、人員確保に東奔西走しています。 しかし、身体が資本ですのであまりに長い間改善されないのであれば、自分の身体を第一に考えた選択肢を視野に入れてもいいのではないでしょうか。  実地検査・行政指導 筆者の知り合いのケアマネでは実地指導がイヤで、ケアマネ業務を離れた人もいます。 いわく「休日返上で利用者やご家族の要望に応えようと頑張っているのに、実地検査ではかなり厳しく細かいところまで追及された。微々たるものだが返還も発生してしまった。今までの頑張りを否定された気分になった」とのことでした。 普段から定められたことを守って業務ができていればまったく問題ありませんが、時には気付かずに業務を進行してしまうこともあるでしょう。 複数の目で定期的に確認しながら業務を進めていくことが大切ですね。  事業所の理念に不満 法人や事業所の理念・考え方についていけずに退職をするケースもあります。 人手不足なのに職員が入る前にどんどん新規利用者を獲得したり、現場の声に耳を傾けてくれない決定ばかりだと「やっぱり経営陣は何もわかってくれない」と愛想を尽かしてしまう方が多くいます。 ろくに休みも取れずに働いているのに労いの言葉がなかったりすれば、そうなってしまうのも仕方ないと言えるかもしれません。  モチベーションが低下した時の対処法 これまで見てきたような不満が溜まりに溜まってしまい、やる気を失くしてしまう職員は多いものです。 それでは、どのようにモチベーションアップを図ればよいのでしょうか。 いくつかの方法をご紹介します。  研修に参加する  研修に参加する本来の目的は知識やスキルをアップさせることですが、「知識よりもモチベーションをアップした」という方も、実は多くいます。 積極的に活用するのも一つの手です。  職場の良い点を紙に書き出す どんな職場でも良いところは必ずあるものです。 それを書き出すことで、あらためて認識できるようになるかもしれません。 たとえば  ・気の合う仲間がいる ・他に比べて給与が高い ・家から近くて通うのに便利  などを書き出すことにより、意識していなかったことを脳が認識する効果もあります。  「仕事だから」と割り切る 「今は仕事だから」と割り切ってしまいましょう。 「仕事だから楽しいことばかりではない」と思って、せめて自宅にまでは落ち込んだ気持ちを持ち込まないように努めてみてはいかがでしょうか。 家であれこれ考えても余計ストレスが溜まるだけです。  周囲に相談する 問題の中には自分一人では解決できそうにないことも多いですし、時間が解決してくれないものもあります。 そういう時は思いきって周囲に相談するのも良い方法です。 話しを聞いてもらうだけでスッキリすることもありますし、もし相談したのが職場の人であれば解決に向かって動き出すこともあるでしょう。  しっかり休む 介護職員やケアマネが笑顔や元気でいることが、良いパフォーマンスを提供することにつながります。 しかし、人間ですから、どんな対策を講じても気分が解消されないこともあります。 そんな時には思い切って休むことも大切です。 一番大事なのは、ご自身の健康です。 休職して心身ともにリフレッシュさせるのも1つの方法です。 真面目な方は「人手不足なのに私だけ休むなんて」と考えてしまいます。 しかし、1番大事なのはご自身の心と体の健康です。 自分を守ってあげられるのは自分だけです。  まとめ 最後に要点をまとめておきます。 ケアマネージャーの仕事とは ・要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成と調整 ケアマネージャーの人手不足の原因 ・給料などの待遇面の悪さ モチベーションを低下させる、介護の魅力を奪うもの 給与 人間関係 クレーム 人手不足 実地指導 事業所の理念 モチベーションを上げる方法 研修に参加する 職場のいいところを紙に書き出す 仕事と割り切る 周囲に相談する しっかり休む   ご自分にあったリフレッシュ方法を見つけ出して、上手にストレス発散してください。

  • 訪問介護は家政婦さんとは違う!訪問介護が担う自立支援とはどんな内容なのかを解説!

    家政婦さんと間違えられてしまう訪問介護ですが、実際は目的や意義が全く違う仕事です。 そのなかでも今回は家政婦さんとは違う「訪問介護が担う自立支援」とは?についてお伝えします。 「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違い 「家政婦さん」と聞いてまず思い浮かぶのは、以下のようなイメージではないでしょうか。 ・「家政婦さんは裕福な家に居る何でも助けてくれる人」 ・「料理や洗濯などの家事全般をしてくれる人」 では次に「訪問介護員(ホームヘルパー)」と聞いて思い浮かぶのはどのようなイメージでしょうか? ・「自宅で介護士さんに助けてもらって生活を出来るようにしてもらう」 ・「元気で病気もしていないけれど、一人にしておくのは不安だから介護士さんに様子を見てもらおう」 どちらも「自宅で家族の身の回りお世話を行う」ことや「家族の手助けをする」部分で大きな違いはありません。 訪問介護の成り立ちをひも解いてみますと、以前は「家庭内で家族のお世話をする」という状態が当たり前でした。 戦後20年が経ち、戦争による生活困窮者のために訪問介護の前身である「家庭養護婦」と言う仕事が誕生し時を経て「訪問介護」に変わりました。 家政婦さんの場合は家族全員が対象になり、家族に関わることであればどんな事でも行いますし、本人が出来ることであっても代わりに行います。 介護士の場合は、助けが必要な人が誰なのか、介護士の基本の一つである自立支援を目的としているかの2点で、目的と仕事の内容が違います。 「訪問介護とは」 訪問介護とは、ご利用者様が在宅における生活の中で自立した日常生活が行えるように、訪問介護員がご利用者様のご自宅へ訪問をし身体的な支援や介助を行う「身体介護」と、家事などを支援したり介助する「生活援助」の2種類があります。 介護保険が始まる前は「ホームヘルプ」と呼ばれ、介護保険開始後は「訪問介護」の名称に変わりました。 訪問介護には高齢者の方達だけではなく、「障害者総合支援法」という障害者の方を支援し介助も行います。 訪問介護では「日常生活の援助に該当しない行為」は行えません。 例えば草むしり・ペットのお世話・大掃除等のご利用者様本人に関わることでないと訪問介護を行う事ができません。 「介護保険が始まる前と始まった後の違い」 介護や支援を求める方が増えて、2000年より介護保険の制度が始まりました。 高齢者や障害者の方の自宅を訪問し、「身体介護」「生活援助」の二つを行う事には介護保険が開始される前後で大きく変わりません。 介護保険開始前は自宅での介護福祉は各都道府県の市町村にある社会福祉協議会や福祉公社になどによる措置の制度であった為、サービス内容を選べず利用料は所得に応じた負担になっていました。 変わった部分として、介護保険開始後は利用者または家族が申請して利用できるようになり、サービスも選べるようになったことです。 現在は介護保険の法整備が進み、社会保険の制度の一つになっています。 サービス提供に様々な民間団体や法人組織が参加しており、自分や家族に必要なサービスを選択し提供してもらう形になっています。 介護保険が始まった当初は「介護」を行う上で「ご利用者様の出来ないことを代りに行う」ことを中心に行っており、家政婦さんとの違いもはっきりとは認識されておらず家政婦さんのように利用する方もいました。 その結果「自分で出来ること」を奪ってしまう事になり、次第に「介護」を必要とするひとが増える要因の一つになりました。 この問題に対して2001年に「介護を必要とする人の出来ること」に注目をして様々な要因や環境を見つけ出し、生活の全体像を掴み支援や介助を行う考え方が提唱され、QOL※の向上や自立支援に注目するようになりました。 ※QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは 一般にひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた「生活の質」のことを指し、どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。 「訪問介護が担う自立支援」 自立支援とはご利用者様に「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」です。 「できる限り自分の力で生活するためのサポート」と一言でいってもご利用者様ひとりひとり状況と状態が違い、はじめは信頼関係もなく一人で行う事が難しく、なかなか上手くいかない事に落ち込んだりやる気を出せないでいるご利用者様もいます。 そういう様々なご利用者様に対して、一人で行えるようまたは行いやすくなる為の道具の提案を行ったり、環境を整えて一人でも行える様にする事が介護員の役目になります。 では現場ではどのようにして「自立支援」が行われているかの事例を紹介します。 自立支援の事例 介護員が女性のご利用者様のご自宅に訪問をしました。 ご利用者様に元気がないため、どうしたのか尋ねると「最近こけてばかりだから、庭の草むしりをしないでほしいと家族に言われた」との言葉が返ってきました。 ご利用者様は「草むしりをすることで少しでも家族の役に立ちたい」「草むしり中に近所の方と話すのが楽しみ」と介護員に話をしました。 そこで介護員はご利用者様の希望の「草むしり」を安全に行えない原因を考えました。 ・なぜこけたのか。 ・なにが危険なのか。 ・どうすれば安全にできるか。 この3点について、ご本人様と家族様、話を伺い様々な事がわかりました。 ・腰が少し曲がっていて、前のめりの姿勢である。 ・腰が少し曲がっている為、前のめりにこけてしまっている。 ・前のめりにこけてしまうので、何度も頭をぶつけている。 ・庭が広く、草むしりをするために、移動する必要がある。 そこで介護員は、庭が広く移動しながら「草むしり」をしている為に転倒してしまう可能性が高いと考え、ご自宅にあった「小さな椅子」を使って少しづつ移動しながら、座って草むしりを出来ないかと、ご利用者様と家族様に提案してみました。 後日、訪問した際にご利用者様より「座って(草むしり)したら1度も危ないことにならず、転倒する心配もなくなった。ありがとう」「生き甲斐が戻ってきた」と草むしりが継続して出来ることを喜ばれました。 ご家族様からは「安全にできる方法を考えてくれたおかげでおばあちゃんに笑顔が戻ってきて嬉しいです。」との言葉をいただきました。 ご家族からの「危ないからやめてほしい」との声で全て制限してしまえば、活気や生活の楽しみが失われ生活の質が低下してしまっていたでしょう。 また、以前のように「なんでもしてしまう介護」や家政婦さんに「やってもらう」という利用が続いていれば、「草むしり」という一つのやりがいが失われ、活動量の低下や元気がなくなりさらなる介護が必要になっていたかもしれません。 今回の事例のように、「自立支援」や「QOLの向上」に注目をし、訪問をしているからこそ気付き、アドバイスすることで、ご利用者様は活気を取り戻されてご近所付き合いも継続出るようになりました。 ご家族様もおばあちゃんに活気が戻り、以前のような生活に戻ったことを安心される結果に繋がりました。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違いについて、「介護保険が始まった前と後の違い」について、そして最後に「訪問介護の担う自立支援」について事例を交えてお伝えしました。 ・「家政婦さん」と「訪問介護員」の違いは資格の有無や専門知識があるかないか できることに制限があるかないか。 ・自立支援とは「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」。 ・訪問介護が担っている自立支援は、ご本人様・家族・関わる人全てに繋がる援助。 最後まで読んでいただきありがとうございます。

  • 要介護者の転倒の危険性を防ごう!自宅でできる転倒予防や対策をご紹介!

    ”転倒”は どこで起こることが一番多いと思いますか? 実は屋外ではなく、屋内の方が転倒の危険性が高いと言われています。 特に高齢者の方は屋内の中でも自宅で過ごす時間がとても長く、そのため自宅での転倒予防が非常に大切です。 また転倒は転んだ瞬間の「痛い」ではなく、転倒後の怪我や気持ちの変化が懸念されます。 今回は転倒によって起こる事例と、転倒予防の方法についてお話します。 近年の転倒事故についてと介護との関係 厚労省の発表によると65歳以上の高齢者の転倒・転落・墜落の死亡事故は年々増加しており、令和2年では8,851件発生しています。 これは交通事故の約4倍となり、ただの転倒と思って甘く見ていると大変なことになります。 さらにこの内の1,678件は自宅で起こった事故であり、この数字に驚いた方も多いのではないでしょうか。 また消費者庁のデータによると65歳以上の転倒の半数は自宅内で起こっています。 介護が必要になってしまった原因といえば《病気》が想像されますが、「骨折・転倒」が介護の原因となった割合は「認知症」「脳卒中」「高齢による衰弱」ときて、4番目の13.0%とかなり高い数字です。 たとえ死亡事故に至らなかったとしても、転倒や転落は介護に直接結びつく原因となる恐れがあり、自宅で起こる可能性の高さを考えると、自宅での転倒を予防することは非常に大切だと言えます。 転倒の危険性について まず高齢者の転倒はなぜ起こってしまうのでしょうか。 理由は主に2つ挙げられます。 1つめの内的要因 内的要因とは加齢に伴う身体の変化のことです。 高齢になるにつれて筋力の低下、平衡感覚機能の低下、また視力の低下も考えられます。 場合によっては服用している薬の影響で、ふらつきやぼーっとしてしまう方もいらっしゃいます。 こういった内的要因の影響で、以前であれば起きなかった転倒につながる可能性がグンと上がります。 2つめの外的要因 外的要因とは自宅の中に必ず存在する段差です。 「家には大した段差はないから大丈夫」・・・と思っても安心できません。 数ミリの段差でも転倒のリスクがあり、その結果死に至る可能性があると言われています。 段差のほかにもスリッパ、カーペット、電化製品のコードなど、今まで気にしていなかったもの全てが転倒につながる恐れがあります。 それでは転倒してしまったらどうなるのでしょうか。 上記で死に至る可能性があるとお話しましたが、怪我をしてしまうだけでも十分なリスクがあるのが転倒の怖いところです。 若い方と比べて高齢者の方は転倒することで骨折のリスクが非常に高いといえます。 どの部分を骨折しても辛いですが、一番心配したいのは太ももに通っている骨である大腿骨の骨折です。 大腿骨は上半身を支えたり歩く上で非常に大切な骨で、骨折してしまった場合は多くの場合痛みで歩くことが難しくなります。 しばらくはベッド上で安静に過ごすこととなり、場合によってはその後寝たきりの生活につながってしまう可能性があるということです。 今まで認知症の心配もなく元気に過ごされていたとしても、大腿骨骨折で寝たきりの生活となりその後認知症が発症してしまう事例もあります。 転倒して特に怪我がなかったとしても、転倒した恐怖から歩くことが怖くなり、運動する機会が減る場合もあります。 その場合も同じように認知症のリスクや、運動機能の低下が心配されます。 だからこそ自宅での転倒予防は高齢者の方が自宅で過ごす上で見逃すことのできないポイントとなっています。 自宅でできる転倒予防 それでは転倒を意識した自宅での予防・対策をお伝えします。 身体機能低下を防ぐ運動 まずは少しでもいいので歩くことです。 日中テレビを観たりして、ずっと座って1日を過ごすなんてことしていませんか? 座って過ごすだけではなく、いつもより少し意識して立ったり座ったり、歩いて何かを取りに行ったり少しでも良いので動いてみましょう。 自宅で歩くにはスペースの問題で難しいこともあるかもしれませんが、その時は家の近くを軽く散歩することで運動機能の低下だけでなく、脳の活性化にもつながります。 もっと元気な方はラジオ体操をすることで上半身の筋力維持にもなります。 膝や脚の痛みで歩くことが難しい方は、ベッドの柵や椅子の背もたれを持ったりして足踏みを行うだけでも違いがあります。 無理のない範囲で自宅でのトレーニングを日常に取り入れましょう。 室内の段差解消を行いましょう 先ほど数ミリの段差でも転倒のリスクはあると伝えましたが、数ミリは難しくても数センチの段差の解消は簡単です。 段差解消をしたい箇所に室内用のスロープを置くだけで工事は必要ありません。 介護認定を受けており介護保険を使うことができる方は、1割〜3割負担でレンタル商品として使用できます。 もし介護認定を受けていなかったり購入したいという方も、高価でないため自宅に取り入れやすい段差解消アイテムです。 置き型や突っ張り型手すりを設置しましょう   自宅の中でもリビングや寝室は、起き上がり立ち上がりの動作が多く、これらは大きな動作のため転倒のリスクも高くなります。 ただ手すりというのは本来壁に取り付けるもので、取り付けることができるスペースというのは限られてしまいます。 そこで活躍するのが置き型の手すりと突っ張り型の手すりです。 この二つは置いたり突っ張ったりするだけで、手すりとしての機能を発揮します。 つまり場所を選ぶことなく、手すりの欲しい場所に設置することができる優れものです。 形やサイズも様々で、コの字型であったり、高さのあるものから低いものまでさまざまな種類があります。 蓄光テープが貼ってあることで、夜中トイレに行きたい時でも手すりを見失わないようになっているものもあります。 突っ張り型だと床から天井まで手すりがあるので、起き上がりの動作の際に活躍します。 介護保険を使用できる方はレンタル価格で利用できる福祉用具です。 しかしこれは介護保険を使用しない場合、高価な商品になることがデメリットです。 浴室に手すりを設置しましょう 先ほど紹介した置き型や突っ張り型の手すりは浴室に置くことは難しい場合が多いです。 上の画像のような浴槽の淵に取り付けるレンタルできる手すりもありますが、手すりの設置箇所は限られてしまいます。 その場合は住宅改修で手すりを取り付けることになります。 制限がありますが、介護保険はレンタルだけではなく住宅改修でも使用できます。 条件は以下の通りです。 ・原則1人1回まで ・本人が自宅に住んでいる ・介護保険による支給額は20万円まで(費用が20万円の場合自己負担額は2万円となり、18万円が介護保険からの支給となる) 最近はお風呂に手すりがついている家も増えてきましたが、高齢者の方の自宅は古い家も多くまだまだ浴室に手すりがついておらず、危険な場合があります。 住宅改修はお金がかかるため今まで検討できなかった方も、この介護保険の制度を使用することで少し前向きに住宅改修を考えられるのではないでしょうか。 転倒予防のための介護保険を使った福祉用具の取り入れ方 では、どのように福祉用具を取り入れるのか、その方法をご紹介します。 レンタルの場合 まずはケアマネージャーに相談しましょう。 自身の身体の状態を理解してくれているケアマネージャーであれば、安心してお願いすることができます。 その後数ある商品の中から自分に合ったものを選び、福祉用具業者に設置してもらいます。 自宅に届いたからといってそこで終了ではなく、不具合が起きる場合もあります。 何かあれば福祉用具業者に連絡し、メンテナンスを怠らず安全に使用しましょう。 住宅改修の場合 レンタルの時と同じように、まずはケアマネージャーに相談となります。 申請書類と見積書を保険者に提出する必要があり、適切な住宅改修かどうか認められた後に、施工開始することができます。 ただし厚生労働省より2018年から一社からの見積もりではなく、複数社から見積もりをとる”相見積もり”が通達されました。 その結果ケアマネージャーから利用者の方に相見積もりが必要であることが説明されます。 住宅改修する上で必須条件ではありませんが、複数社から見積もりをもらうことで自己負担額が減る可能性もあります。 ここもケアマネージャーに相談するポイントとして忘れないようにしましょう。 まとめ ・屋外ではなく屋内の方が転倒の危険性が高い。 ・転倒には内的要因と外的要因の2つがある。 ・転倒により大腿骨を骨折してしまった場合寝たきりの生活となる可能性もあり、転倒予防は非常に大切。 ・怪我をしなかった場合でも、転倒してしまった恐怖から歩くことにネガティブになりそのまま歩行困難となってしまう恐れがある。 ・自宅でできる転倒予防としてなによりもまず歩行や簡単な運動が大切。 ・少しの段差でも転倒につながるので、室内スロープを置いて段差解消を行う。 ・介護保険が使える方は置き型や突っ張り型手すりを設置し、転倒予防を行う。 ・置き型や突っ張り型手すりの設置が難しい浴室には、介護保険を使用し住宅改修を行って手すりを設置することを検討する。 ・いかなる手すりの設置にも、まずはケアマネージャーに相談する。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。    

  • 医療ソーシャルワーカーとはどんな仕事をする人?役割や所属を解説!

    医療ソーシャルワーカーって何をする人かご存知でしょうか? あまり病院にかかったことがない方にとっては、なじみの少ない方も多いかと思います。 今回は退院されるときに「あなたに逢えて良かった!」と感謝される仕事である医療ソーシャルワーカーについてご紹介していきます。 医療ソーシャルワーカーとは!? 医療ソーシャルワーカーとは、保健医療機関において社会福祉の立場から患者さんやその家族の方々の抱えている経済的・心理的・社会的問題の解決や調整を援助して、社会復帰の促進を図る業務を行う人のことを指します。 簡単に言いますと、病院やクリニック・診療所などにかかる患者さんや家族の入院中や退院後の問題を共に考え、解決する相談員です。 必須条件ではありませんが、多くの医療ソーシャルワーカーが社会福祉士という国家資格を所有して業務にあたっています。 この社会福祉士資格を所有して業務を担っている人のことをソーシャルワーカーと言います。 社会福祉士は高齢分野・児童分野・障害分野・低所得者分野など様々な分野で活躍しています。 医療ソーシャルワーカーは中でも医療分野で活躍している社会福祉士のことで、前述したように社会福祉の立場から患者さんやその家族の方が抱える問題を共に解決する専門職です。 医療ソーシャルワーカーが支援する際には個人感情や価値観・一般論などではなく、価値・原則、理論基準に基づいた実践を行い、時には国の諸制度を利用しつつ支援を行う専門職としての社会的役割を果たしています。 医療ソーシャルワーカーの6つの役割 日本医療ソーシャルワーカー協会は下記の6つを業務指針として掲げています。 ①社会復帰援助 ②退院援助 ③経済的問題の援助 ④地域活動 ⑤心理・社会的問題の援助 ⑥受診・受療援助 保健医療機関においての治療が終了したのち、社会復帰のため仕事や家屋の変更や調整が必要な場合や退院後の継続的な治療やリハビリ、生活様式などの調整を患者さんやその家族と主に考え、環境を変えていきます。 国の諸制度を利用する場合には 申請方法からその制度で何が出来るのか、デメリットは何なのかを説明します。 医療ソーシャルワーカーは介護保険・医療保険・障害福祉サービスなど諸制度の専門知識を兼ね備えていますので、「こんな制度は対象になるのかな?」「こういうことに困っているけど、何か制度はないのかな?」というときに相談をすると解決に導いてくれます。 それは生活面だけでなく、経済面でも同様です。 突然の病気・怪我で治療費が支払えない場合、病気・怪我が原因で退院後の金銭状況が不安な方に対しても、同じく国の諸制度を利用して支援を行います。 そのほかにも、こちらから相談を待つ姿勢だけではなく、保健医療機関が属する地域の方々に対しての健康維持や治療促進等のために医療ソーシャルワーカーが地域へ出向くこともあります。 患者さんやその家族だけでなく、地域の方々が安心して生活が送れるように、そして万が一の病気・怪我の場合でも安心して療養・退院後の生活が送れるよう様々な面から支援を行います。 具体例の紹介 医療ソーシャルワーカーの仕事内容を具体的に紹介します。 「70歳のAさんは独身で、頼れる家族はいません。現在は職場の寮に住んでいます。しかし病気が発覚し緊急手術が必要となり、入院しました。しかし、治療費を支払うことが出来ず、また病気のせいで仕事復帰が難しくなってしまったため退院後に寮に戻ることも出来なくなってしまいました。」 このような状況の場合、いろいろな支援方法がありますが一例として支援内容を解説します。 医療ソーシャルワーカーは、まず経済的問題の解決を図ります。 治療費を支払うことが困難であるため、Aさんの金銭収支を把握します。 そして条件に当てはまると判断すれば 生活保護の申請を勧めます。 そして、寮に戻れないということで新たな住宅を医療ソーシャルワーカーはAさんと共に探します。 もちろんAさんの身体状況や金銭状況に配慮した住宅を探しますが、多くの場合賃貸契約を結ぶためには保証人が必要となります。 Aさんには家族がいないので、医療ソーシャルワーカーは各自治体が認めている保証人不要の家屋を紹介する不動産会社を探して契約まで調整を続けます。 また、生活をするために必要な家具家電についても医療ソーシャルワーカーが患者さんと共に探し、購入や新居への搬入が出来るよう支援を行います。 そして仕事に関しては、主治医と相談し本人が可能である範囲の仕事を探す必要があれば、ハローワーク等と連携し新たな仕事を探す場合もあります。 このように医療ソーシャルワーカーは、患者さんと共に退院後の生活について共に考え、支援を行います。 その間に患者さんから治療の不安や、生活の不安を聞き出し、心理的なサポートも行います。 医療ソーシャルワーカーは病気のことは知らないの? ここまで、医療ソーシャルワーカーは社会福祉の立場から支援を行っていると説明してきました。 医療ソーシャルワーカーに医療面のことを尋ねても回答が得られないのかと聞かれると、答えはNOです。 患者さんの病名や既往歴、現在の病状についても把握していますし、それがどんな病気かについてもおおよそ説明することが出来ます。 しかし支援を行う中で、福祉よりも医療を重要視しなければならない場合もあります。 そのような患者さんには看護師資格を持った医療ソーシャルワーカーが担当することが多いです。 正確には医療ソーシャルワーカーではなく退院支援看護師と言いますが、例えば癌末期患者の支援に関しては医療面が大きく影響しますので、医療ソーシャルワーカー(社会福祉士)ではなく退院支援看護師のほうが良い支援を行える場合があります。 そのため、基本的には担当病棟制を取っている保健医療機関が多いですが、患者さんの病状や支援内容によって担当を変更する場合もあります。 医療ソーシャルワーカーの場合では支援をする上で医療知識は必要不可欠ですので、一般人レベル以上の知識はありますし、患者さん個人個人の病気や既往・病状についても把握しているので不安ごとは全て相談しても問題ありません。 医療ソーシャルワーカーが相談に乗るよりも、他の職種(医師や看護師、リハビリスタッフなど)が 相談に乗る方が適切であると判断した場合は、医療ソーシャルワーカーから他の職種へ申し伝え正しい説明が受けられるよう調整してくれます。 医療ソーシャルワーカーは保健医療機関のどこに所属しているの? 多くの場合、地域医療連携室や地域連携室あるいは患者サポートセンターなどの名前を掲げて保健医療機関に相談室を構えています。 小さなクリニック等では存在しないこともありますが、保健医療機関を受診した際に、医療ソーシャルワーカーに相談したい旨を伝えると対応してくれる場合がほとんどです。 まとめ いかがだったでしょうか。 医療ソーシャルワーカーという名前を初めて聞いたという方も多いでしょうが、保健医療機関において必要不可欠な存在です。 ・医療ソーシャルワーカーとは保健医療機関に勤める社会福祉士である。 ・治療を終えた後の生活を社会福祉の観点から支援をする専門職である。 ・保健医療機関のある地域に住む住民に対しても支援を行い、医療に繋げる。 ・支援を行うのは社会福祉士だけでなく、看護師の場合もある。 ・医療ソーシャルワーカーは地域医療連携室・地域連携室・患者サポートセンターに所属している。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。

  • ユニット型特養とはどんなもの?従来型との違いやメリット・デメリットを解説!

    老人ホーム探しで「ユニット型特養」という言葉を良く見たりしませんか? しかし、ほとんどの方が「ユニット型特養」についての概要がよくわからないのではないでしょうか。 ここではユニット型特養とはどんなところなのか、ユニットケアとはどんなものなのかについてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。 ユニットケアとは?? 厚生労働省のユニットケアの定義では、「居宅に近い居住環境の下、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位を一致させたケア」と定義しています。 こういう言い回しではわかりずらいので、具体的に説明します。 介護を必要とする方を10名から12名で1つのユニットとします。 お部屋は個別に提供し、そこにはその方にとってなじみのあるもの、例えば家具や仏壇などを置くことで、「アパートやマンション」に引っ越してきたという感覚で生活していただけます。 入居されている方は、自由に居室や食堂を行き来できますし、顔なじみになった介護スタッフが常時いるので、在宅にいた時と同じように安心して生活のサポートを受けられると言ったほうがしっくりくるかもしれません。 従来型とユニット型特養の違いとは? 今までは従来型として経営してきた特養が、どんどんユニット型特養に移行しています。 それは、個別での居室を求められる方が増えてきていることが影響しているのかもしれません。 それでは従来型とユニット型特養の違いとはなんでしょうか? 従来型特養の特長 従来型特養とは、入居者の居室の人数が2名から4名、1フロア40名〜50名の入居者の介護を集団で行う場所です。 1フロアでは最大6名から8名の介護職の皆さんがシフト制で動いていると言われています。 病院のような環境な為、以下のような問題点が挙げられます。 ・家族だけで面会するのが難しい。 ・カーテン1枚だけで仕切られているため、プライバシーがあまり保たれていない。 ・入居される方の好きなものが置けない。 ・常に職員が動いているので、家族が確認したいことをその場で聞けず解決できない。 ユニット型特養の特長 ユニット型は、10名から12名の入居者のグループになっています。 入居者の身体状況や自立具合によって、ユニットごとに異なったケアを行っている特養です。 従来型は、「集団」対応となりますが、ユニット型特養は「個別」対応を目指している施設となります。 例えば排泄介助を入居者さんのペースで行ったり、予め決まった時間に食事を摂る必要もありません。 食堂兼リビングで過ごしてもいいですし、居室でゆっくり過ごしていても問題ありません。 食事についてもごはんや味噌汁は、ユニットのキッチンで作り、入居者の皆さんの食欲を促す工夫をしている施設もあります。 また、職員の数が固定されていることは「入居者が気持ちを伝えやすい」という最大のメリットもあります。 ユニット型特養のデメリット ユニット型特養でもやはりデメリットはあります。 それは入居されている方同士の人間関係の問題です。 中には「ボス的存在」の入居者さんがいて、集団で特定の入居者さんへ攻撃したり、周りに迷惑をかけてクレームやケンカをしたりすることもあります。 また介護度の高い入居者さんや認知症の症状が強くて、周りを歩き回る方や大声を出したりする方もいます。 集団生活がもともと苦手という方で金銭的な余裕がある場合は、有料施設などの方が向いている場合もあるでしょう。 従来型とユニット型特養の値段の違いについて 従来型の特養の月々の費用は、全国平均で8〜9万円と言われています。 ユニット型特養ですと、月々の費用は全国平均で12万〜14万と言われています。 これは個室にかかる居住費・備品代・光熱費や電気代などが含まれている為です。 年金だけで入居したい、あるいはさせたいという場合の選択肢は従来型となりますが、そちらは希望される方も多く、入所の空き待ちに時間がかかっています。 その点、ユニット型では費用面の課題がクリアされれば比較的早く入所できる場合も多く、残された人生を快適に過ごさせたい、プライバシーを充実させてあげたいと思う場合におすすめです。 もちろんご本人の希望もありますから、よく話し合って決めることが大事です。 従来型特養とユニット型特養、どっちがおすすめ? 従来型特養とユニット型特養の費用や仕組みについてはお話ししてまいりました。 従来型とユニット型特養のどちらが良いかは、施設の特性がその方とマッチするのかが重要となります。 従来型特養というと、寝たきりの方が多く入居されるケースが多いのですが、ユニット型特養は、どちらかというとある程度自立で行動できる方が向いていると言えます。 ある程度自立されている人から寝たきりの方まで幅広く介護を必要とする人への受け入れ態勢のあるのがユニット型特養です。 ・手厚い介護を最期までしてもらいたい。 ・入居される方の自立に合わせた介護をしてもらいたい このようなご希望のある方にはユニット型特養のほうがオススメと言えそうです。 ユニット型特養へ入居の検討をされている方へ ユニット型特養は時間の流れがゆっくりなので、入居されてる方もゆっくり過ごせます。 そのため、決められた食事や入浴以外はリビングで他の入居者さんとおしゃべりしたり、お部屋でテレビを見て好きなように過ごすことが可能です。 実際に入居されている方のお部屋を見ますと、思い出の品や趣味などを楽しんで生活されている方もいらっしゃいます。 また、介護スタッフと簡単なレクレーションをしたり、普段は食べられないおやつを作って食べたりして楽しむ機会が多くあるのがユニット型特養の大きな特徴です。 また、従来型特養とは異なりユニット型特養はプライバシーが守られているので、家族の面会はお部屋でゆっくりできます。 中にはスタッフに助けてもらいながら携帯電話で家族に電話したり、好きなパソコンで家族との通話をする方もいらっしゃいます。 敷地が広いユニット型特養や自然に囲まれたユニット型特養だと、外を散歩できたりミニ家庭菜園を作って水やりをしたり成長を見たりしながら収穫を楽しみにしている入居者様もいらっしゃいます。 従来型特養に比べると月々の料金は上がってしまいますが、立地や入居条件、入居される方の希望などに沿ったユニット型特養を探してみてはいかがでしょうか? また、ユニット型特養には短期入所(ショートステイ)が併用されている施設や、最近では小規模多機能施設を併用している施設もあります。 まずはお試しという形で利用してみて、どんな生活ぶりか体験することも可能です。 実際にあるユニット型特養のショートステイでは、一度ロングステイとして長く入居体験して、そのまま入居されたという方もいらっしゃいます。 もちろん、入居希望の方には見学だけでもできます。 気になるユニット型特養があれば直接でも構いませんし、ケアマネージャーさんを通して問い合わせをしてみましょう。 まとめ ユニット型特養に実際に働いていて、気づいた点をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか? 近年、「集団ケア」から「個別ケア」への転換が行われております。 今まで従来型だった特養がユニット型特養に変わったり、グループホームや有料老人ホームでも個室化され、個別ケアが行われています。 ユニット型特養はこれからも色々な形で進化して介護施設の魁として業界を盛り上げてくれることでしょう。 老人ホームを探すに当たっては、立地や空きの有無、経済面など様々な課題をクリアしていかなければいけません。 しかし、介護が必要なご本人が納得して入居されることが一番重要です。 そのご本人の意向を良く聞き、実際に見学して様子を体験していただいたうえでその方にあったユニット型特養を探すための参考にしていただければと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございます。

  • 介護予防支援としてのデイサービスとは?サービス内容や利用する方法を解説!

    介護予防支援としてのデイサービスとは具体的にどんな所なのでしょうか。 この記事では、介護予防のデイサービスの目的や利用する方法、対象者、種類や料金を紹介します。 介護予防としてのデイサービスとは? 介護予防のデイサービスとは、高齢者が集まり心身機能の回復または低下しないように訓練を日帰りで行う場所です。 高齢者が住み慣れた場所で生活できることを目的としています。 サービス内容は「生活機能の向上のための機能訓練」です。 生活機能とは人が暮らしていく上で必要な能力で、特に高齢者は自立した生活を送る為に欠かせません。 高齢者の生活機能は基本的日常生活動作と手段的日常生活動作と2つに分類されます。 基本的日常生活動作 【歩く】【食事】【着替え】【入浴】【整容】 手段的日常生活動作 【交通機関の利用】【電話対応】【買物】【家事】【服薬管理】 これらの機能の回復または維持をして在宅で自立した生活ができることを目的としています。 参考サイト:高齢者の生活機能|健康長寿ネット 介護予防のデイサービスを利用するには? 利用する方法は、住んでいる市町村窓口で介護保険申請をします。 以下が介護保険申請の流れです。 ①お住まいの市町村の窓口で介護保険認定申請 申請時に必要な物は「申請書」と「介護保険被保険証」になります。 介護保険被保険証とは、お住まいの市町村から65歳以上の方に発行される保険証です。 64歳から40歳以上の場合は「医療保険証」が必要です。 ②申請後は、認定調査が行われる 認定調査とは、市町村職員または市町村から委託を受けた職員が、自宅に来て現在の心身の状態や暮らしについて調査を行うことです。 ③市町村からの依頼でかかりつけ医が主治医意見書を作成 主治医意見書とは、かかりつけ医が病歴や治療した内容など身体に関することを記載したものです。 かかりつけ医がない場合は、市町村の医師または市町村が指定する医師に作成依頼ができます。 ④主治医意見書と認定調査を基に、コンピューターが判定を行う コンピューター判定のことを「一次判定」と言います。 目的は介護度の目安を出すことです。 ⑤それぞれの専門職が集まり「介護認定調査会」を行う 介護認定審査会とは、認定調査結果や主治医意見書により算出された一次判定をもとに、専門職が集まり審査を行うことです。 これを「二次判定」と言います。 専門職は、保健、医療、福祉の学識者で構成されています。 ここは審査の判定を行う場所なので、介護区分の決定をする権限はありません。 ⑥市町村が介護区分認定を決定・通知 市町村は介護認定結果を申請日から、原則30日以内に出さなければなりません。 そのため、介護認定が分かるまで1か月かかります。 サービスを受けたいと思っても、時間がかかってしまうので注意が必要です。 参考サイト:厚生労働省 サービス利用までの流れ|介護保険の解説 介護保険認定後は、以下のような区分に分けられます。 要支援1 基本的日常生活は自立しているが、手段的日常生活(公共交通機関の利用、電話対応、買物、家事、服薬管理)に介助が必要とする人 要支援2 要支援1の状態に加え、歩く状態が安定せず、介護が必要になる可能性がある人 要介護度1 基本的日常生活に介助が必要で、歩く状態が安定せず、加えて認知機能低下も見られる人 要介護度2 基本的日常生活と手段的日常生活のどちらとも介助が必要で、認知機能低下が見られる人。 要介護度3 自分で歩くことが出来ず、杖、歩行器、車いすを使用している人。 基本的日常生活と手段的日常生活の介助が必要な人。 要介護度4 思考力や判断能力が著しく低下している人。 日常生活の場で常に介助が必要な人。 要介護度5 寝たきり状態で会話も困難で常に介護が必要な人。 要介護度は数字が大きくなってくると、介護度が重くなるという判定になります。 参考サイト:介護保険の介護度とは|健康長寿ネット 【目安がわかる】要介護度とは?8段階の状態像と受けられる介護サービス|みんなの介護      介護予防のデイサービスを利用できる人は? 介護保険申請が非該当でも、事業対象者に該当すると介護予防のデイサービスは利用できます。 事業対象者とは、基本チェックリストに該当する方です。 基本チェックリストとは、25項目の質問に答えて身体状態をチェックできるツールになります。 ▼こちらが実際のチェックリストです。 厚生労働省 表4 基本チェックリスト 運動機能低下、低栄養状態、口腔機能の低下、閉じこもり、認知機能の低下、うつ病の可能性などが判断の基準になります。 基本チェックリストを実施できる場所は、地域包括支援センターや行政です。 地域包括支援センターとは、介護の相談窓口です。 専職員が集まり、住み慣れた地域で暮らしていけるようにサポートしています。 参考サイト:LIFULL介護【はじめての方へ】地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法 チェックリストは、介護保険申請に比べると面倒な手続きがなく5分〜10分で行えます。 参考サイト:基本チェックリストの概要 介護予防のデイサービスはどんな種類やサービスがあるのか 多様なサービスが受けられるように、デイサービスの種類は4つあります。 サービスの種類 サービスの内容 ①通所型介護 ・生活に関する支援 ・生活機能向上の為の機能訓練 ②通所型サービスA ・通所型介護より小さいデイサービス ・運動、レクレーション ③通所型サービスB ・利用者の自主的な通いの場 ・体操、運動 ④通所型サービスC ・3~6か月で生活機能向上を目指す ・運動や栄養改善のプログラムの実施 それぞれサービス内容に特徴があるので具体的に解説します。 ①通所型介護 入浴、排泄、食事、機能訓練、相談など日常生活に関する支援を受けられます。 一番の特徴は、在宅で暮らす上で必要な機能訓練サービスを行っていることです。 機能訓練とは、身体の維持と向上を目指す訓練です。 介護サービス提供者が利用者の身体状況に合わせて目標を設定しプランを作成します。 ②通所型サービスA 通所型サービスAでは、運動やレクリエーションが行われます。 レクリエーションとは、介護現場では娯楽や余暇ではなく心身の向上を目指すことが目的です。 レクリエーションの種類は、身体を使う、手先を使う、頭を使うなどがあります。 通所型介護と比べると小規模のデイサービスです。 ③通所型サービスB サービスの内容は、体操や運動で、利用者主体の通いの場となります。 サービスの提供がボランティアや町内会なので、職員もボランティア主体となります。 イメージとしては、いきいきサロンや町内会の集まりです。 ④通所型サービスC サービスの内容は、3〜6カ月の短期間で生活機能向上を目指します。 実施するプログラム内容は、運動機能や栄養改善などです。 提供が市町村の保健・医療の専門職になっています。 参考サイト:介護予防・日常生活支援総合事業 ガイドライン|厚生労働省 介護予防のデイサービス費用は? デイサービスの費用は市町村によって違います。 以下は2022年10月現在の熊本市の通所型サービスの利用料金です。 通所型介護 料金 要支援1 1,672円/月 要支援2 3,428円/月 基本料金に加え、必要に応じて加算がついてきます。 加算とは、サービスの提供体制や利用者の状況に応じて発生するお金のことです。 加算の内容は、運動器機能向上加算、栄養加算、口腔機能向上加算などがあります。 それぞれの加算は、必要なサービスであると判断された場合介護サービス提供者がプランを作成しサービス提供します。 参考サイト:【開業】介護報酬の構造、加算・減算とは? 通所型介護や通所型A.B.Cは、市町村事業になるので、詳しい金額は異なります。 上記金額は、目安になるのでお住まいの市町村にお問合せかホームページで確認をおすすめします。 【まとめ】 いかがでしたでしょうか。 介護予防のデイサービス利用についてお伝えしました。 ・介護予防のデイサービスは「生活機能の向上のための機能訓練を行う」場所である。 ・介護予防のデイサービスを利用するには、市町村で介護保険申請をする必要がある。 ・介護予防のデイサービスが利用できる対象者は要支援1.2と事業者対象者である。 ・事業対象者は、基本チェックリスト該当者である。 ・介護予防のデイサービスの種類は①通所型介護②通所型サービスA③通所型サービスB④通所型サービスCの4つである。 ・費用は市町村事業の為、金額が異なるので確認がおすすめである。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 「小規模多機能」ってどういうもの?メリットからデメリットまで詳しく解説!

    「自分の生活もあるけれど、親を施設には入れることに悩んでいる」と悩んでいる方に小規模多機能はおすすめのサービスです。 今回は小規模多機能について分かりやすく解説します。 そもそも小規模多機能ってどういう仕組み? 小規模多機能はご家族様の都合に合わせて「通い」「宿泊」「訪問」を利用できる介護保険のサービスです。 上手に活用すれば介護する側、される側にとって負担軽減になるおすすめのサービスです。 ここでは小規模多機能の3つの特徴と気になる料金形態を解説します。 1.通い(利用者様が事業所に行ってサービスを受けること) 通いは事業所で入浴や食事、レクリエーションなどを受けるサービスになります。 提供サービスは事業所により異なるので一度気になる事業所があったら相談してみましょう。 朝夕の送迎サービスもあるのでご本人もご家族も安心して利用できます。 2.泊り(事業所で泊まること) 事前に事業所へ連絡することで宿泊サービスを利用することが可能です。 ご家族様の急な予定で宿泊を利用したい場合も、定員に余裕があれば宿泊サービスを利用することができます。 ただ、ベッド数に限りがあるため事前に相談することをおすすめします。 3.訪問(介護職員がご自宅にお伺いしてサービス提供をすること) 介護職員がご自宅にお伺いして様々なニーズに応じたサービスを提供します。 サービス内容にはトイレ介助などの身体介助や服薬確認、買い物支援、家事のお手伝いなどがあります。 回数や時間をご家族様の状況にあわせて柔軟に変更できるのが特徴です。 小規模多機能の料金形態 小規模多機能の料金形態は①基本利用料(定額)+②加算+③日常生活費の3つから構成されます。 ①基本利用料(定額制) 基本利用料は利用者様の介護度に応じた定額制となります。 介護保険の自己負担は基本1割負担ですが、所得に応じて2~3割負担となる場合もあるため、事前に市区町壮の窓口に相談してみましょう 要介護度 単位数 1ヶ月の料金 介護保険1割負担 介護保険2割負担 介護保険3割負担 要支援1 3,418単位 34,180円 3,418円 6,836円 10,254円 要支援2 6,908単位 69,080円 6,908円 13,816円 20,724円 要介護1 10,364単位 103,640円 10,364円 20,728円 31,092円 要介護2 15,232単位 152,320円 15,232円 30,464円 45,696円 要介護3 22,157単位 221,570円 22,157円 44,314円 66,471円 要介護4 24,454単位 244,540円 24,454円 48,908円 73,362円 要介護5 26,964単位 269,640円 26,964円 53,928 80,892円 (1単位=10円) 介護保険サービスはお住まいの地域によって1単位あたりの単価に変動があります。 大きな変動はないですがお住まいの地域により自己負担額が異なるため、一度利用する事業所の負担額を確認しておきましょう。 ②加算 小規模多機能は事業所の体制により様々な加算があります。 加算とは専門的なケアの提供など質の高いサービス体制を整えている事業所への報酬になります。 加算があることは利用料の面では負担になりますが、質の高いケアを提供しているという証にもなります。 下記に主な加算を記載します。 初期加算 ⇒ 30円/日…サービスを利用する最初の段階で支払う加算になります。 認知症加算 ⇒ 500~800円/月…認知症の利用者様を介助する際の加算になります。 訪問体制強化加算 ⇒ 1,000円/月…訪問サービスを担当する職員の配置体制や、一月の訪問回数が一定の水準を満たした事業所に加算されます。 総合マネジメント加算 ⇒ 1,000円/月…介護計画を随時見直している事業所に加算されます。 看護職員配置加算 ⇒ 480~900円/月…看護職員の配置体制に応じて加算されます。 サービス提供体制加算 ⇒ 350~640円/月…職員数に対しての介護福祉士の割合や、勤続年数から質の高いサービスを提供する体制にあると判断された事業所に加算されます。 それぞれの事業所により取得している加算に違いがあるため、一度利用を検討している事業所に相談してみましょう。 ③日常生活費 日常生活費は介護保険給付の対象外の費用です。 給付対象外のため全額が自己負担となります。下記に主な日常生活費を記載します。 宿泊費 ⇒ 2,000~3,000円/1泊…事業所により宿泊費は異なります。 お食事代 ⇒朝食400円、昼食500円、おやつ100円、夕食500円…事業所により食事代は異なります。 おむつ代…おむつやパットなどの消耗品費になります。 ④料金のイメージ イメージしにくいと思うので事例を元にシュミレーションをしてみました。 (事例)…要介護度2、介護保険1割負担、月に5回宿泊を利用、通いを5回利用した場合 1.基本利用料(定額制)⇒ 15,232円 要介護度2、1割負担の場合15,232円となります。 2.加算 ⇒ 4,500円 今回のケースでは分かりやすいように4,500円で計算しました。 (実際は事業所により算定している加算にバラツキがあるので一度確認してみることをお勧めします。) 3.日常生活費 ⇒ 23,000円 宿泊費…3,000円(1泊)× 5日=15,000円 食事代…500円(1食)×15食分(5日分)=7,500円 おやつ代…500円(5日分) 事例のパターンで計算すると42,732円が1ヶ月の利用料になります。 実際に契約する前に利用料のシュミレーションを事業所に依頼するのもオススメです。 小規模多機能を利用するにはどうしたらいい? では、小規模多機能を利用するためには、どのようにすればよいのでしょうか。 まだ介護保険サービスを利用したことがない場合 小規模多機能を利用するには要介護認定の申請をすることが必要です。 まだ要介護認定を受けてない場合は市区町村の担当窓口で相談しましょう。 すでに他の介護保険サービスを利用している場合 小規模多機能の利用を検討している場合は担当のケアマネージャーにまずは相談してみましょう。 注意点は、新たに小規模多機能と契約するには小規模多機能のケアマネージャーに変更する必要があることです。 担当ケアマネージャーに相談しにくい場合は、地域の相談窓口である地域包括支援センターに相談してみましょう。 小規模多機能のメリット3つ 小規模多機能には以下の3つのメリットが考えられます。 1つの事業所で「通い」「訪問」「宿泊」のサービスが受けられる 小規模多機能は1つの事業所と契約することで3つのサービスを受けることができます。 顔なじみのスタッフが「通い」「訪問」「宿泊」の対応をするため、環境変化にストレスを抱えやすい利用者様にとって優しいサービスです。 1つの事業所に利用者様の情報が集約されるため、適切なケアができるのも特徴です。 柔軟な対応が可能 ご家族様の状況に応じて臨機応変にサービス内容を変えられるのが特徴です。 「日中は仕事だから通いを利用しよう」「明後日は急な出張だから宿泊を利用しよう」など、様々な状況に応じて臨機応変に対応することが可能です。 職員や利用者様との信頼が構築しやすい 3つのサービスを同じ事業所の職員が対応するため信頼関係の構築がしやすいです。 サービスを受ける利用者様も顔なじみの職員が対応してくれるため安心感が得られるでしょう。 また、小規模多機能は1日の通いの定員が概ね18人以下、宿泊は概ね9人以下と少人数になります。 そのため、利用者様間での関係性の構築もしやすいのが特徴です。 小規模多機能のデメリット3つ 小規模多機能を利用することは、メリットだけでなく以下のデメリットも考えられます。 ケアマネージャーが変わる 小規模多機能と契約する場合、馴染みのケアマネージャーから小規模多機能のケアマネージャーに変更する必要があります。 通い、宿泊が定員制 小規模多機能には定員があります。 もし利用したい時に定員が上限に達していたら利用できないこともあります。 事業所の登録人数にもよりますが、通いは概ね18人宿泊は9人が定員の上限値になるため注意が必要です。 別のサービスを利用できない 「小規模多機能便利だけど通いサービスは前のデイサービスが良かったな」という場合、通いだけ他の事業所と契約することはできません。 訪問や宿泊も同様に他のサービス事業との契約ができないので注意が必要です。 その他にも、訪問入浴介護、デイケア、居宅介護支援も併用が不可になります。 まとめ ここまで小規模多機能の特徴や料金形態、メリットデメリットを解説してきました。 小規模多機能は3つのサービス(通い、訪問、宿泊)を1つの事業所で提供するサービスである 利用料金が定額制であるため分かりやすいのが特徴である 急な通い、急な訪問、急な宿泊などにも臨機応変に対応してくれる頼りになる存在である 小規模多機能と契約する場合、ケアマネージャーが変わるため注意が必要である 併用できないサービスがあるため注意が必要である 小規模多機能にはメリットもあればデメリットもあります。 1人で悩まずにケアマネージャーや地域の相談窓口に相談してみましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護による退職を決断する前に!確認しておくべき利用可能な制度やサービスをご紹介!

    家族に介護が必要になると、仕事を続けることが困難と判断し退職を決断する人もおられます。 しかし。それは会社にとっては大きな痛手です。 また、退職者にとっても後悔する結果になりかねません。 今回は、介護の為に退職を決断する前に確認しておきたい利用可能な制度やサービスについて紹介します。 介護の為に退職するデメリットや、退職を決断の前に知っておきたい内容についても紹介していますので、ぜひご一読ください。 介護による退職の決断は焦らないこと 結論からいうと、介護による退職の決断は焦らないことです。 介護による退職には、メリットよりデメリットの方が多いといえます。 それでは、介護による退職のメリット・デメリットとはどのようなものでしょうか。 介護による退職のメリットは? 介護退職のメリットは、以下の2つが考えられます。 仕事から解放されるため、精神的、肉体的な負担が減る 仕事から解放されるため、精神的、肉体的な負担が減り、余裕を持った生活基盤を構築できます。 また、出勤や退社時間の調整など仕事量を調整する必要がなくなり、職場に迷惑がかからないなどの精神的な負担感を減らせます。 介護費用などの負担が減る 介護を中心とした生活になるため、仕事の間に利用していた介護サービスの利用頻度が減り、介護費用などが軽減できます。 介護離職のデメリットは? しかし、介護退職には以下のようなデメリットがあることも重々考えておかなくてはいけません。 生活の基盤となる収入がなくなる 生活の基盤となる収入がなくなるため節約する生活になるとともに、将来受け取る年金が減り介護者本人の老後が心配になります。 親の年金や貯蓄に頼る生活になる 親の年金や貯蓄に頼る生活になるため、介護期間が長引くと、介護破産になる可能性があります。 会社で培ってきたキャリアを失い、再就職が困難になる 今まで培ってきたキャリアが中断するため、再就職の際には年齢や経験スキル不足が障壁となり、再就職が困難になります。 介護ストレスが増える 介護に専念することで、ストレスを解消する環境がなくなり、介護疲れを感じやすくなります。 孤立しやすくなる 介護のみの生活に陥りやすく、また退職していることで、周囲から孤立しやすくなります。 家族の介護が必要だと分かれば、気持ちだけが先走りし、回りが見えなくなる可能性があります。 しかし、一時的な感情による退職は、デメリットが多く存在することも知っておくことが大切です。 介護による退職を決断する前の対応 介護による退職をする前に以下の事柄について十分考えておきましょう。 介護の先を考えておく 介護を始めた頃は退職した気持ちに迷いはなく、介護に追われる日々を過ごせることでしょう。 しかし、介護期間が長くなると、少しずつ気力や体力、経済力に不安を感じます。 特に家や車のローン、子供の教育費、家族の生活費など経済的な不安が募り、気力がなくなる可能性が高いのです。 介護を続けた先がどうなるのか、介護者や家族でも分かりません。 介護は先が見通せないため、会社を退職した後悔が残らないよう将来の姿を考えておくことが大切です。 会社の支援制度を知っておく 勤め先の会社の支援制度を知っておきましょう。 会社には介護離職を防ぐための制度を設けています。 この制度を知らず有給休暇ばかり消化していると、そう遠くない介護離職が待っています。 退職を考える前に、介護休暇や介護休業など会社の支援制度の積極的な利用を考えましょう。 ただし、制度を利用する前には労務担当者に内容を確認の上、上司や同僚など職場の理解を得ておくことも大切です。 介護保険サービス内容を確認しておく 介護保険サービスの内容を確認しておくことも大切です。 仕事を続けながらの介護は介護サービスを利用することが不可欠です。 介護保険で利用できるサービスには、訪問介護や福祉用具、介護用品のレンタル、通所介護施設などさまざまなサービスがあります。 仕事を続けながら介護する意思をケアマネジャーに伝え、可能な限り利用できるサービスを組み合わせ、介護の負担感は極力減らしておくことが大切です。 介護保険利用による介護費用を確認しておく ケアマネジャーと相談し、月ごとに介護費用を確認しておきましょう。 介護保険サービスを利用する場合の利用者の介護費用負担は利用した介護サービスの1割(一定以上の所得者の負担割合は、2割または3割)です。 また、通所介護施設を利用する場合も、要介護者の介護度によって利用料金が変わります。 特に通所介護施設では、利用料以外でも食事代やおむつ代などの生活に関わる費用(保険適用外)も必要です。 なお、低所得者の方や1か月の利用料が高額になる方には費用負担額の軽減措置もありますので、よく確認しておきましょう。 退職を決断した主な理由 退職を決断した主な理由は今の職場環境や生活環境によってさまざまですが、特に次の3つの理由が大きいです。 仕事の合間の介護が困難 家族の介護度によって、要介護者の負担割合が変わります。 要介護度が上がれば介護者の負担が増え、介護に合わせて職場や部署の異動、仕事量の調整が必要になることが多いです。 そのため介護と仕事の両立が困難になり、退職を決断してしまうのです。 職場の理解が得られない、または話しづらい 職場によっては介護に対する理解が得られない、介護の状況を話しづらいという状況もあるでしょう。 有給休暇や介護休暇、介護休業を取得しにくい職場環境にある人は、仕事を辞めた方が精神的に楽という考え方になってしまいます。 家族のために介護したい気持ちが強い 家族のために仕事より介護したい気持ちが強いため、将来を深く考えずに退職を決断する人もいるでしょう。 特に、今まで育ててくれた両親のために、自宅で介護したいという愛情が強い人です。 退職を決断する前に知ってほしいこと 退職をすることは簡単なことではありません。後悔することが多いので、下記のことを良く考えるようにしてください。 一時的な感情による退職は必ず後悔する 一時的な感情による退職は、必ず後悔する時がきます。 介護のための退職は心身の負担を減らす目的としての決断であることが多いです。 しかし、介護中心の生活は退職前と比べるとさまざまな負担が増すことも知っておかなければなりません。 特に収入の減少は、心の負担が重くなる原因になります。 介護サービスを最低6か月は利用する さまざまな介護サービスを最大限に組み合わせて最低6か月は利用し、家庭の経済状況を確認してからでも介護離職は遅くはありません。 現状の生活と介護サービスを利用した場合の家計を比較すれば、現在の生活水準を可能な限り維持できる最適な介護サービスの利用方法を見つけることができます。 再就職先探しは難しい 介護による退職のデメリットでもお伝えしましたが、今までのキャリアを捨てて会社を辞めると業種によっては再就職は非常に難しくなります。 特にキャリアアップを望む企業の求人は求める年齢や資格などの条件が厳しくなるため、自分が思うような就職活動になる可能性は極めて低くなります。 まとめ 介護によって退職した場合を想定して、さまざまな角度から日常生活などに与える影響をご紹介しました。 介護のために退職した場合を想定した内容をまとめると次のとおりです。 一時的な感情で退職を決断しない 介護による退職は、負担が増え、大きなリスクを背負う 介護による退職を避けるためには、会社の支援制度や介護サービスを最大限利用するとともに、期間を定めて費用負担の割合を確認しておく ケアマネージャーと連携し、仕事を続けられる体制を構築しておく 介護による退職はメリットよりデメリットが大きく、後悔する結果になりかねません。 退職の決断は、さまざまな対応を試してからでも遅くはありません。