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2022年12月の記事一覧

  • 介護の調査訪問とは?家族が準備するためのチェックポイントを解説

    家族に介護が必要な状況となり、「初めて認定調査を受けることになった」という方は、何が必要か分からず不安でいっぱいではないでしょうか。 認定調査は介護者と要介護者にとって非常に大切なものです。 今回は認定調査を受けるにあたって、必要なものや当日スムーズに行えるように事前に準備しておくと良いものをご紹介します。 「認定調査」について では認定調査とはどのようなものなのかを解説します。 認定調査とは? 認定調査とは要介護申請後に申請を受けた市区町村が訪問員を派遣し、要介護者がどの程度自立しているのかを調査することです。 認定調査の聞き取り先は本人と立ち会っている家族や施設の方になります。 これは要介護認定を受けるには必ず必要なことで、デイサービスやヘルパーなどの介護サービスを利用したい方にとって認定調査は必須です。 認定調査を受けるためには? 認定調査を受ける前に、まず市区町村へ要介護認定の申請を行うことが必要です。 要介護認定に必要なものは以下の通りです。 ・申請書(市区町村の窓口またはホームページよりダウンロード可能です) ・マイナンバーカードまたは通知書 ・介護保険被保険者証(65歳以上) ・健康保険被保険者証(64歳以下) ただし、各市町村によって必要なものが異なる場合があるので、事前に役所のホームページなどで確認しておくようにしましょう。 また、かかりつけ医がいる方はその診察券も用意しておくようにしてください。 また認定調査と並行して、市区町村から要介護者のかかりつけ医に「主治医の意見書」を作成するように申し入れがあります。 主治医の意見書とは要介護者の既往歴など、介護するにあたって重要な情報が記載されている大切な書類のことです。 市区町村からかかりつけ医へ依頼されますが、事前に病院へ相談しておくとスムーズですので可能であれば前もって打診しておきましょう。 かかりつけ医がいない要介護者は市区町村が指定した医師を受診することになります。 認定調査の内容とは? 認定調査の所要時間は30分~1時間程度で、74項目を対象に要介護者の普段の様子や困りごとについて調査します。 74項目の調査内容は以下の5つの分野に分かれます。 ①身体機能、起居動作・・・立位、座位が保てるか、麻痺があるかどうかなど ②生活機能・・・食事や入浴、排泄が可能かなど ③認知機能・・・生年月日や短期記憶、意思の伝達が可能かなど ④精神、行動障害・・・被害的な思考ではないか、情緒が安定しているかなど ⑤社会への適応・・・簡単な調理が可能か、薬や金銭の管理が可能かなど これは一部を抜粋したもので全てではありません。 実際の調査はさらに詳細な内容になります。 「認定調査」を受ける前に準備しておくことは? 74項目と聞くと、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その不安から認定調査が終わった後に言い残しや聞き残しがないようにすることが大切です。 当日スムーズに進むように5つのポイントに分けて、事前に準備しておくと良いことをお話します。 ①普段の様子を理解しておく どんな時に介護のサポートが必要だと感じたのかということです。 食事なのか入浴なのか、外出先でなのか都度メモをしておいてください。 徘徊や会話の受け答えが以前と違うと感じた介護者は、動画や写真に残すのも良いでしょう。 特に介護度が低い場合は、初対面の調査員にとってどの程度介護が必要だと理解するのは難しいです。 麻痺があったり、不穏であったり明らかに介護が必要な方であれば、分かりやすいのですが、明るく出迎え、自分で歩行ができている様子を見ると「しっかりしている」という第一印象を受けます。 調査の短い時間の中で、症状が出るとは限りません。 ですので普段の様子をありのまま伝えることはとても大切です。 ②介護者の困りごとを確認しておく 普段の様子を踏まえ、介護者がどんなことで困っているのかを調査員に伝えましょう。 勿論調査対象となるのは要介護者ですが、介護者がどのようなことで困っているのかを伝えることも大切です。 また介護者である家族の住まいが遠方であったり、自身にも体調に問題があったりと介護をすることが難しい方もいます。 介護者の置かれている状況も併せて説明しましょう。 ③認定調査の項目を把握しておく 74項目を記憶する必要はありませんが、当日回答に困らないために調査項目に目を通しておきましょう。 普段の生活で意識していなかったことや、調査項目を見ることで思い出す困りごともあるかもしれません。 ④要介護者に聞かれたくないことはメモで伝える 例えば認知機能の低下により介護が必要だと介護者が判断していた場合、「認知症の可能性がある」と心配していることを要介護者の耳に入れたくない方も多いです。 困っている事実を伝えたくても、要介護者の前で初対面の調査員にありのままを伝えることに抵抗を感じる介護者もいるでしょう。 その時は要介護者から少し離れた場所で会話したり、メモを使って伝えてみたりしましょう。 ⑤病気や怪我なども伝え漏れがないようにする 主治医の意見書があってもそこに全ての既往歴が記載されているとは限りません。 また長年のかかりつけ医が作成した場合ではなく、市区町村が指定した病院で主治医を作成した場合は漏れがある可能性もあります。 些細なことでも良いのでしっかりと伝えましょう。 「認定調査」で気をつけたいこと 認定調査で決定される介護度はとても重要です。 介護度によって受けることができる介護サービスに制限があったり、介護保険を利用できる額も変わってきます。 調査員に適切な判断をしてもらえず実際の介護度より低く判定されてしまった場合、介護者にとっては大きな負担となりかねませんので注意が必要です。 ここでは特に気をつけたい点を2つご紹介します。 ①認定調査にはなるべく立ち合いましょう すでに入所をしていて施設で認定調査を受ける場合はそこの施設職員が立ち合うことが多いですが、自宅で受ける場合は要介護者本人1人で受けることができます。 遠方であったり、やむを得ない都合でどうしても難しい場合を除き、認定調査には必ず立ち合ってください。 認定調査に立ち会う人数に制限は基本的にありません。 様々な目線から調査員に現状を伝えましょう。 立ち合いが必要な理由を例として挙げると、初対面の方やお客さんを前にすると普段よりハキハキと話すことができたり、調子が良くなったりするという話を耳にしたことはありませんでしょうか? また歩行にふらつきのある方が認定調査の際にしっかり歩いてまるで別人のようになるなどは聞いたことがありますよね。 調査員に「何でもできる方だ」と判断されてしまうことを避けるために、本人1人だけで認定調査を受けることはなるべく避けましょう。 また先ほど話した通り、介護者や家族の立場から困っていることを伝える必要もあります。 ②「認定調査」について要介護者にどのように伝えるか 後期高齢者であったり、自覚症状が強くある方は「介護サービスを日常に取り入れよう」と言われても抵抗なく受け入れられるかもしれません。 しかしまだ60代、70代で周りに介護を受けている人が少ない年齢の方や、自覚症状のない方はいきなり「介護」と言われると受け入れ難いものです。 そのような方に「介護サービスを使ってほしいから認定調査を受けよう」と伝えるとどうでしょうか。 調査員が訪問しても普段の姿で認定調査が受けられなかったり、頑張ってしまったり、そもそも認定調査を受けてくれない可能性もあります。 ですので「認定調査を受けよう」ではなく、「市から健康調査のために調査員が来る」というような直接的な表現を避けて要介護者の自尊心を傷つけないように配慮しましょう。 このような表現を要介護者にすることで、嘘をついているような感覚になり罪悪感のある方もいます。 そのような場合は要介護者と向き合い、介護者自身が困っていることや協力してほしいことを本人に伝えてみましょう。 気持ちが上手く伝われば要介護者、介護者両者ともに積極的に認定調査を受けることができます。 まとめ いかがでしたでしょうか。 初めての認定調査で分からないことも多く緊張してしまいますが、要介護者本人がなるべく普段通りの様子でいることが一番大切です。 適切な判断をしてもらえるように立ち会う方はサポートに努めましょう。 ・要介護認定を受けるために認定調査は必須で、申請した市区町村から調査員が訪問する。 ・かかりつけ医がいる方は事前に打診しておくと主治医の意見書をスムーズに作成できる。 ・認定調査では74項目の質問をされて、およそ30分~1時間の時間を要する。 ・要介護者の普段の様子を理解しておき、メモや動画などに残すことが良い。 ・介護者の立場から困っていることをメモしておく。 ・認定調査の当日に焦りがないように調査項目には目を通しておく。 ・要介護者に聞かれたくないが、調査員に伝えたいことはメモに書いて渡す。 ・主治医の意見書だけでは不十分な場合もあるので、既往歴や身体で心配のある部分は伝える。 ・要介護者1人だけで認定調査を受けることも可能だが、普段と違う振る舞いをしてしまう恐れもあるので可能な限り調査には立ち会う。 ・「介護」というワードから認定調査に構えてしまう要介護者には直接的な表現は避ける。 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • ディサービスとディケアの違いとは?利用目的や条件・料金などを解説

    在宅介護と呼ばれるサービスには様々なものがあります。 そんな在宅介護のサービスの中に「ディサービス」や「ディケア」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 名前が似ていて同じものだと思われがちですが、実はディサービスとディケアは意外と違いが多いのです。 今回は「ディサービス」と「ディケア」の違いを様々な側面からお話しします。 「ディサービス」と「ディケア」のサービスの違いは? まず両者を比較すると利用する目的が大きく違います。 その違いから見ていきましょう。 「ディサービス」の利用目的 ディサービスの特徴として、自宅での入浴が難しいなど自立度の低い方も多く利用しているという点が挙げられます。 これはディサービスの利用目的として自宅での自立度を高めたり、ご家族の負担を軽減することがあるからです。 ですので入浴や食事など日常生活の介護がサービスの中心となります。 また他者とのコミュニケーションをとる場面も多く、レクリエーションの内容が充実しているのも特徴です。 入浴や食事の時間の他に身体を動かす時間が設定されていたり、席の近い方とお話ししたり、趣味やテレビの時間を作ったりとゆったりと過ごす時間も多いのがディサービスです。 「ディケア」の利用目的 ディケアは「通所リハビリテーション」とも呼ばれ、最大の特徴は医師が常駐していることです。 医師から医療的なアドバイスが受けられたり、健康管理をしてもらえたりすることがサービスの内容に含まれます。 ディサービスにも看護師が常駐していますが、ディケアの方がより医療体制が整っていると言えます。 またリハビリ専門職がいることもあり、サービスの目的は身体機能の維持や回復で、しっかりと身体を動かしてリハビリに取り組む時間が多く設けられています。 また施設によって1日だったり半日などの短時間だったり、食事や入浴の時間はなかったりと様々です。 「ディサービス」と「ディケア」の人員配置の違いは? 上記のようなサービス内容の違いから、サービスに携わる専門職にも違いが出ています。 「ディサービス」の人員配置 ディサービスは介護士、看護師、生活相談員の人員配置で成り立っています。 日常生活の支援を行うのがディサービスの利用目的になるので、介護士が入浴や食事を、看護師がバイタルチェックなどで健康管理を行い、そして機能訓練指導員が機能訓練を行います。 またディサービスを利用する方の多くは、日常生活に不安を抱えています。 そこで自宅での介護の不安を相談できる生活相談員が常駐しているのが特徴です。 「ディケア」の人員配置 一方ディケアでは介護士、看護師に、リハビリ専門職と医師が加わります。 リハビリ専門職とは理学療法士や言語聴覚士、作業療法士です。 このようなリハビリ専門職が常駐していることで、リハビリに特化した時間を過ごすことができ、より身体機能の回復が期待されます。 また医師が常駐していることで、先ほど説明した健康への不安を緩和することができます。 「ディサービス」と「ディケア」の利用条件は? 料金は? ディサービスは自宅での生活に不安のある方が多く、ディケアは身体機能を維持・回復を目的とする方が多いということはご理解いただけたでしょう。 それは両者の利用条件でも確認することができます。 ディサービスは通所介護のため利用条件は、介護認定の内要介護1~5の方のみと設定されています。(今回の記事では、介護予防を含めず記載しています。) 一方ディケアは要支援でも要介護でも関係なく介護認定を受けていれば、介護保険を使用して、サービスを利用することができます。 また介護認定を受けていなくても自費であれば利用することが可能です。 では利用料金にはどのような違いがあるでしょうか。 ディケアには医師が常駐していたり、受けるリハビリも専門的なものになるので、ディサービスと比較すると少し高い料金が設定されています。 自治体にもよりますが、1日あたりおよそ100円~300円程度ディケアの方が高くなります。 「ディサービス」と「ディケア」どちらがオススメ? 両者の特徴を様々な側面からお話しましたが、利用する方によってどちらがオススメなのかは違います。 「ディサービス」がオススメの方 まず自宅での入浴や食事に不安があり、本人や家族に自宅での負担が大きくかかっている場合は ディサービスの方がオススメです。 また、「運動は少しだけ行いたい」や「身体で痛めている部分があるので無理はしたくない」という方にもディサービスの方が良いでしょう。 ディケアは運動を積極的に行いたい方が多いため、「運動は程々にしたい」または「一切したくない」という方が利用してしまうと精神的にも不安を感じてしまいます。 ディサービスは他の利用者の方とコミュニケーションをとりやすい場なので、「おしゃべりを楽しみたい」や「友人をつくりたい」という方にも楽しめる介護サービスです。 「ディケア」がオススメの方 医師が常駐していることもあり、退院したばかりの方や、身体機能の不安が大きい方はディケアの方が安心して利用することができます。 リハビリ専門職が揃っていることで身体をしっかりと動かして、とにかくリハビリを頑張りたいと思っている方も満足して利用できます。 ディサービスと比較するとディケアを利用する方は日常生活の動作に不安がある方は少ないです。 今の健康を維持したい、より元気になりたい方には、ディケアの方がオススメです。 リハビリ型ディサービスとは? ここまでディサービスとディケアの違いについて説明しましたが、「リハビリ型ディサービス」というサービスもあります。 リハビリ型ディサービスの多くが、午前と午後で利用する方が入れ替わる半日型を採用しています。 半日型であるため食事や入浴はサービスには含まれていません。 こう聞くと「リハビリ型ディサービス」と「ディケア」の違いがないように思いますが、大きな違いがあります。 それはディケアは医師の指導のもとリハビリが行われていることです。 リハビリ型ディサービスはそうではありません。 同じようなサービス内容だとしても身体の不安が大きい方はディケアを検討しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 同じ「ディ」というワードがついていても、サービスの内容は大きく違うので、利用する方の希望や状況に合わせて適切に選択しましょう。 ・ディサービスを利用する方は自宅での日常生活に不安を抱えている場合が多いので、食事や入浴などの時間が中心である。 ・ディサービスでは趣味やレクリエーションなど、他の利用者の方とのコミュニケーションをとる場面も多い。 ・ディケアは身体機能の維持や回復を目的として利用している方が多い。 ・ディサービスには生活相談員が常駐しているため、 気軽に介護の相談を聞いてもらいやすい。 ・ディケアには医師が常駐しているので、健康面での不安が多い方は安心して利用できる。 ・またリハビリ専門職と呼ばれる人員配置がディケアにはあるので、身体機能の維持や回復も期待できる。 ・ディサービスは要介護1~5の方という制限があるが、ディケアの場合は介護認定を受けていれば要支援でも制限なく、介護保険を使用して利用できる。 ・自治体にも差があるが医師が常駐しているという理由で、ディケアの方が1日あたり100円~300円程度利用料が高い。 ・リハビリ型ディサービスは半日型で食事や入浴なしとしている場合が多く、ディケアとの違いはリハビリが医師の指導のもとであるかどうかである。 最後までお読みいただきありがとうございます。  

  • 訪問介護事業とはどんな仕事?ヘルパーの仕事内容をご紹介!

    あなたは「訪問介護」に対し、どんなイメージを持つでしょうか? 今回は幾つかの事例を踏まえつつ、訪問介護が担う役割や現状、重要性を、ヘルパーの視点から紹介します。 訪問介護のヘルパーは何をする人? ここでは訪問介護のヘルパーがどのような仕事をしているか、詳しく解説します。 「高齢者の身の回りの世話をする人」=半分正解、半分不正解です。 世間一般で「訪問介護」の「ヘルパー」と聞いたら、まず何を思い浮かべるでしょうか? 実際によく耳にしたのは、「家に行って世話をする人」「家で介護をする人」「高齢者の代わりに家事とか身の回りの事をする人」で、次に「きつい、しんどい仕事」とイメージするようでした。 家族や身内に介護対象者がいる場合は、訪問介護についてのイメージは介護の説明を受けている分理解があるのですが、まだ介護に携わる経験が無い世代では、よく言われる一般論やきつい労働のイメージから、ややマイナス傾向に捉えるものが多いようです。 では実際に、訪問介護のヘルパーは何をするのでしょうか? 「介護、身の回りの世話でしょ。」と答える人が大半です。 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解です。 では「家政婦とヘルパーの違いは何ですか?」と問われたら何と答えるでしょうか? 家政婦も契約した利用者の世話をする事もあります。 「洗濯物が溜まったから洗って欲しい。」「朝はいるけど昼と夕は娘(又は息子)がいないから、ごはんを作って一緒に食べて欲しい。」等、色々要望があるようです。 中には、契約者のご両親が高齢な為に、自分が仕事で不在の1か月の内、週5日の日中ずっと世話をして看て欲しいという要望もあるそうです。 訪問介護のヘルパーは、残念ながら上記のような希望通りに物事を行う事はできません。 「介護を行う事」は「利用者の希望通りの世話を行う事」では無いのです。 そして介護を受ける利用者やその家族も、正しい認識が為されていない事も多いのです。 介護保険の理念 訪問介護は介護保険サービスの一つです。 下記の図のように、3つのサービスに分かれ、主に身体介護や生活援助をメインに行われます。 訪問介護は介護保険法に則りサービスが行われています。 介護保険法には、第一章・総則の(目的)第一条に、要介護状態となった利用者が介護保険サービスを利用する為の目的を謳っています。 それは、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」ということです。 要介護となり介護を必要とする状態にあったとしても、人として生きる為に自分自身でできる動作・作業・行動があればそれを維持するように努めることや、人としての尊厳を失う事が無いように日々の生活が送れるように支援する事が介護保険を利用してのサービスであると謳っているのです。 そして介護保険法の第四条に(国民の努力及び義務)があり、要介護状態になる事を予防する為、健康でいる事に努めるよう謳っています。 また、要介護状態になった場合においても、適切な医療または介護サービスを利用する事で、未だ本人が多かれ少なかれ自身で行える動作・作業・行動の能力の維持向上に努めるよう謳っています。 それを踏まえた上で、訪問介護のヘルパーは何をする人なのでしょうか? 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解の意味が分かりましたでしょうか。 介護認定を受けた利用者が、日々生活を送る上で難しいとされる動作・作業・行動を介助する事で、 「その人が、その人らしい、その人なり」の自立した日常生活を送れるように支援するサービスが訪問介護であり、その介助をする者がヘルパーなのです。 利用者又はその家族や身内の希望する、日常生活での困った事、こうしてくれたら便利だと思う事を代行する「何でも屋」では無く、介護保険という国の制度を利用しているサービスなのだという事の認識が求められます。 訪問介護ヘルパーのあるある、色々大変なのです。 先程の介護保険の理念でも述べましたが、訪問介護は介護保険という国の制度を利用しているサービスです。 つまり、介護保険法という法律を遵守した上で、利用者が自身の身体状態や生活状況に応じ、自立した生活を送れるように支援を行うものです。 しかし、実際に訪問介護でサービスに入ると、予想しない事態や心身共に参ってしまうような問題に直面する事があります。 他にも色々ありますが、訪問介護サービスでヘルパーとして入り、こういった場に直面した際は、その状況や場に応じ、臨機応変に対応していく事になります。 多くの場合は訪問介護事業所に報告や連絡、相談する必要性があるものばかりですが、なかにはサービス提供責任者やケアマネージャーに報告や相談し、サービス内容の見直しや利用者への説明対応が必要になってくるものもあります。 特に訪問介護サービスに入って暫く経過し、利用者との対人関係や状況に慣れてきた頃、慣れが生じてそうなってしまう傾向もあるようです。 ヘルパーにそう言う事で、(あの人はああしてくれた、こうしてくれた等)このヘルパーにもあれこれ動いて貰おうとする意を持つ場合もあります。 また、ヘルパー自身の技術力や対応面の未熟さへの苦言である可能性もあるので、言われた事は一度受け止めて、どう介助すべきか対応の仕方について考える事も必要になります。 夏冬の訪問でよくある例ですが、その状況が利用者にとって、その季節においての過ごし方であれば、その状況で訪問介護を行うようになる事もあります。 あまりに環境が適しておらず、脱水や熱中症、または火事などの生命の危険を孕む場合は、できる限り環境を改善していくように支援していきます。 しかし、なかなかスムーズにいかないことが多いです。 「ずっとこれで生活してきたから大丈夫」と、長年生活してきた経験を根拠とし、不変を望む相手を納得させるのは大変です。 そのため、サービス提供責任者やケアマネージャー、身内の方との協力の下で意見を聞きながら対応していくようにします。 一般的には問題行動を言われる行為・行動がある場合、なぜそういう行動に出るのか、なぜそのような暴言や妄想被害を言ってしまうのかという事をチームでカンファレンスをする必要があります。 ヘルパーも利用者も同じ人間ですので、何か利用者本人にとって不都合が生じていることや、思わぬ障害が潜んでいる可能性があります。 または、ただ単に男尊女卑の考え方が強い等の様々な理由からそういった行為・行動を起こす事もあります。 双方が怪我をしてしまってはいけないので、早めに対応策を講じ、決して一人で解決しないように抱え込まないように訪問介護事業所側もヘルパーをフォローしなければなりません。 緊急性が高い対応を求められることもあります。 家にいない理由は人それぞれですが、「急に病院受診で出掛けた」「ちょっと散歩に出掛けた」 「訪問介護の中止の連絡を忘れて家族や身内と外出されている」等、無事が確認できるものはまだ良いです。 しかし、徘徊傾向のある人が突然出て行った場合や、ベランダや屋内のどこかで倒れていた場合等、利用者の身の安全が守れない、危険に晒されている場合は早急の対応が必要になります。 救急対応が求められ、近くに家族や身内がいない場合はヘルパーが早急に119に電話するなど、然るべき対応を取り、いち早い利用者の安全を守るように動きます。 介護保険を利用してサービスを受けた利用者の支払う費用は、1割負担若しくは所得に応じて2~3割負担となっています。 家政婦や家事代行と比べると金額は低いですが、利用者にとって出費には変わりありません。 お金を出してサービスを受けるという意味では家政婦や家事代行と混同されてしまいがちになりますが、ただ身体介護を行っている、生活援助を行っているだけではありません。 介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはあるのです。 ちょっとした言葉が大きな力と成長に。 上記でも紹介した思わぬ事態や状況、問題に直面する事も多々ありますが、訪問介護サービスに入って感謝の気持ちを耳にしたり、利用者の状態や状況が改善されて良い方向に進むと仕事とは言え嬉しくなるものです。 「ヘルパーさんが入ってくれてから、入院しないで良いようになった。」 「家族からは色々怒られるけど、ヘルパーさんは話を聞いてくれる。」 「このままずっとこの家に住んでいけたらいいなぁ。」 「ありがとなぁ。」 「退院してきたから、また宜しくな。」 「ヘルパーさんがアンタで良かったわ。」 会話や介助の節々でポロっと言われたり、帰る間際に何気なく言われたりすると、その言葉でヘルパーのやる気も出ます。 どうしたら利用者の状態が悪くならないようにできるかを考えて行動したり、住み慣れた自宅で望む生活を送れるようになるかを共に考えていけるようになるのです。 訪問介護事業所もヘルパーも前向きな力と成長を手にし、利用者は自立した生活を送れるようになる「win-winの関係」となるでしょう。 まとめ 色々な例を交えながら訪問介護が担う役割や現状、重要性をヘルパーからの視点ベースで紹介しました。 ・訪問介護の仕事は、あくまでも利用者の身体介護や生活援助を行う事で、家政婦や家事代行の仕事と似ている部分はあっても希望通り全ての家事や世話を行うものではない。 ・訪問介護は介護保険サービスの理念である「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」に沿って利用者へ介護サービスを行う。 ・状態の悪化を予防し、また悪化を防げず進行したとしても、出来得る限りの能力の維持向上に努めなければならない。 ・訪問介護サービスに入ると、予想しない事態や心身共に参るような問題に直面する事が多々ある。 ・そのような事態や問題も解決する為の対応方法や考え方がある。 ・介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはある。 ・利用者の何気ない言葉や感謝の気持ちは、訪問介護事業に関わる人達の力と成長に繋がる。 目に見えるようなはっきりとした成果は表れずとも、利用者やその家族や身内が、緩やかに穏やかに毎日を「当たり前に」自立して過ごせるようになります。 サービスを行う介護事業(訪問介護事業所やヘルパー、ケアマネージャー等)側も、その支援を責任を持って担う事で、双方が「より良い関係を築き上げられるパートナー」となります。 訪問介護で誰よりも利用者と接するヘルパーは、もっと評価されるに値するのではないでしょうか。 どうか誇りを持ち続け、胸を張って介護サービスに携わって下さい。 最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

  • 介護の仕事は素晴らしい!介護の仕事内容や魅力・スキルについて解説!

    これから介護の仕事を始めてみたいけど、「自分にできるかな?」「続けられるかな?」「介護って難しそうだな」と不安になっていませんか。 この記事では介護の仕事の素晴らしさについて、分かりやすく解説していきます。 そもそも介護の仕事ってどういうことをするの? 簡単に自己紹介をします 私は介護業界10年目の現役介護福祉士です。 いままで3つの法人で働いてきて、いろんな職員や利用者様とかかわってきました。 今までの経験談や見聞きしたことを踏まえた上で、介護の仕事の素晴らしさをお伝えしていきます。 介護の仕事に興味がある方は、 「介護の仕事に挑戦してみたいけど実際にどういうことをするの?」と不安に思っているのではないでしょうか。 ここでは簡単に介護士の仕事の内容を説明していきます。 介護の仕事内容とは 介護施設を利用されている利用者様には様々な身体レベルのかたがいます。 「自分で全部できる人」「ある程度は自分でできる人」「まったく自分でできない人」…と様々です。 私たち介護士は利用者様のできない部分のお手伝いをするのが仕事です。 従事する施設により業務内容は異なりますが、主に次のような業務に携わることになるでしょう。 食事のお手伝い トイレのお手伝い お風呂のお手伝い 就寝のお手伝い 起床のお手伝い 着替えのお手伝い 歯磨きのお手伝い 定期的なシーツ交換 レクリエーションの提供など その他にも、職員間での情報共有(申し送り)や医療職との連携、ご家族様とのやりとりなど業務は多岐にわたります。 介護の仕事の魅力とは 介護の仕事の一番の魅力は利用者様に貢献することで、直接感謝の言葉をいただけることではないでしょうか。 そこで得られる喜びや達成感は仕事へのモチベーションにもなります。 人間だれしも誰かに認められたい、必要とされたいという欲求があります。 介護の仕事は日々の仕事を通じて、他者から認められ、自己肯定感を高められる素晴らしい仕事です。 介護で身につけられる3つのスキル 介護の仕事の魅力は、どの業界でも通用する汎用的なスキルを身に付けられることです。 介護の仕事には、おむつ交換や食事介助など技術的なスキルを求められる事が多くあります。 しかし、思考力や人間性、コミュニケーションスキルなど、ビジネスの根幹となるスキルも求められる仕事です。 一つ一つ解説していきます。 ①人間性 介護の仕事のみならず、どの仕事もそうですが人間性が問われます。 ただ介護は、より人間性が求められる職業ではないでしょうか。 なぜなら介護は自分自身が商品だからです。 一般的な商売なら物を仕入れ販売してお金を受け取ります。 なので物が商品になります。 ただ、介護は物を販売するのではなく、自分達の提供するサービス自体が商品になります。 そのサービスに対して利用者様はお金を支払います。 具体的に介護職が利用者様に提供するサービスには以下のようなものがあります。 おむつ交換 トイレ介助 就寝介助、離床介助 お風呂介助 リクリエーション 日常的なコミュニケーション おむつ交換一つとっても羞恥心に配慮せず適当に対応する職員もいれば、丁寧に声かけをして羞恥心に配慮した介助ができる職員もいます。 日常的なコミュニケーションでも、無愛想な表情で馴れ馴れしい言葉遣いをする職員もいれば、いつも笑顔で礼儀正しい職員もいます。 自分が逆の立場だったら、どちらにサービスを提供して欲しいか明白です。 利用者様は良いサービスを受けようが、悪いサービスを受けようが、選択の余地もなく私達に対して利用料を支払って下さいます。 なので介護の仕事では、プロ意識を持ち、常に自分の商品価値を高める努力をしなければなりません。 人間性という資質が活かせるのも魅力ですし、仕事を通じて人間性を高めることも可能です。 ②コミュニケーションスキル 介護の仕事ではコミュニケーションスキルが不可欠です。 なぜなら利用者様の健康や安心を支えるためには、他職種やご家族様との円滑な情報共有が欠かせないからです。 そのためにも、コミュニケーションスキルは必須と言えるでしょう。 ただ、コミュニケーションスキルと言っても範囲が広いので、分かりづらいと感じるのではないでしょうか? まず介護で必要なコミュニケーションスキルは何か考えてみます。 誰にでも分かりやすく伝えるスキル 介護の仕事では様々な人達とかかわります。 看護師やケアマネ、生活相談員、ご家族様など多種多様です。 職員一人とってもベテランもいれば経験の浅い新人もいます。 仕事の性質上、利用者様の命にかかわる大切な情報もあるため、正確に分かりやすく伝える技術が求められます。 そのためにも、受け手のレベルに応じた伝わる表現を習得する必要があります。 「事実」と「意見」をしっかりと分けて伝えるスキル 一つの事象に対して受け取り方は人それぞれです。 外気が20度下回ると「寒い」と感じる人もいれば「涼しい」と感じる人もいます。 同じように利用者様の健康状態も職員の捉え方によりバラバラです。 利用者様の血圧が平時より若干高い場合、介護職の勝手な判断でたぶん大丈夫と判断するのは危険です。 もしかしたら薬を飲む必要があるかもしれません。 利用者様の安全を守るためにも、自分の意見ではなく、事実をしっかりと伝えるスキルが必要になります。 相手を不快にさせないためのコミュニケーションスキル チームで仕事を進めるためには、スタッフ同士が気持ちよく仕事をする必要があります。 そのために必要なスキルが相手を不快にさせないコミュニケーションではないでしょうか。 日頃からの率先した挨拶や笑顔での対応、約束を守ること、悪口を言わないなど、人として当たり前のことをしっかりと行うことで相手との信頼関係が高まります。 そうすることで、仕事もスムーズにはかどり、利用者様の満足にも繋がるでしょう。 ③問題解決力 介護の仕事では問題解決力が鍛えられます。 現場では日々様々な問題が発生するため解決策を考える必要があります。 「利用者様の転倒」や「感染症の発生」「利用者様同士のトラブル」など日々発生する問題は様々です。 再発させないためにも発生した問題に対して、「なぜ?」を繰り返し発生原因を突き詰める必要があります。 原因に対して効果的な対策を講じたり、その後の経過を検証したりとやるべき事はたくさんあります。大変ですが「学び」も多いです。 介護の仕事にはその他にもたくさんの魅力がある 今までご紹介してきたように、介護の仕事にはさまざま魅力があり、多くのスキルを身に付けられます。 ここでは介護の仕事をすることで感じられる、その他の魅力についてご紹介します。 資格取得を通じてステップアップしやすい 介護には「介護初任者研修」や「実務者研修」「介護福祉士」、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」など様々な資格があります。 資格取得を通じて計画的なステップアップを目指せるのが魅力です。 もちろん資格に応じた手当もあります。 事業所の多くは職員のキャリアアップに積極的で、費用負担してくれる法人も多くあります。 機械(AI)にとって変わられない 介護は人と人がかかわる仕事のため、工場の機械化のように仕事が奪われることはないでしょう。 今ではロボットや機械を使って介護の仕事を楽にできるものがたくさん開発されています。 しあし、微妙な表情や声のトーンから相手の感情を読み取ることは人間にしかできない技です。 それに、利用者様は生身の人間(職員)とのコミュニケーションに生きがいを感じるものです。 将来の親の介護に役立つ 当たり前ですが、介護の仕事に携わると高齢者の疾患や認知症の症状に詳しくなります。 そこで得た知識は将来自分の親が介護状態になったときに活かせるでしょう。 また介護業界で人脈ができることは将来自分の親を介護する際に大きな手助けとなります。 まとめ ここまで介護の仕事の素晴らしさについて解説してきました。 介護は自己肯定感を高められる素晴らしい職業である 介護は人間性が高められる素晴らしい職業である 介護はコミュニケーションスキルを高められる素晴らしい職業である 介護は問題解決力を高められる素晴らしい職業である 介護は資格取得を通じてステップアップしやすい職業である 介護は機械(AI)に取って代わられない職業である 介護は将来、自分の親を介護する時に役立つ職業である 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • 介護保険で住宅改修をしよう!改修箇所別のポイントを解説!

    高齢者の暮らしを支える住宅改修。 有効に使って、要介護者も介護する人も共に暮らしやすいようにしたいですよね。  介護保険での住宅改修ができるのは下記の5箇所と決まっています。 手すりの取り付け 段差解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のためのまたは通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え これから、それぞれのポイントや注意点を紹介します。   手すりの取り付け 介護保険の住宅改修でもっとも工事件数が多いのが、手すりの取り付けです。 手すりは、歩行や立ち上がりの補助をする働きがあります。 そんな手すりですが、たくさん取り付けても意味がありません。 邪魔になって通路が狭くなったり、使わない可能性があるからです。 生活動線や本人の能力を考慮したうえで、手すりを取り付けるようにしましょう。   手すりの役割  手すりの役割は、以下のようなものがあります。 立ち上がりの補助 歩行の補助や誘導  それぞれ、詳しく紹介していきます。  立ち上がりの補助 加齢とともに筋力が落ちて、立ち上がりに時間がかかったり、1人でできなくなりがちです。 そうなると、誰かの手助けが必要になって、介護の負担が増えることになってしまいます。 しかし、すりにつかまれば、立ち上がりが楽にできるようになります。 手すりが、立ち上がりを助けてくれるからです。 たとえば、トイレの壁に手すりを取り付けた場合には、手すりにつかまってスムーズに立ち上がることができます。  1人で立ち上がりができるようになるためにも、介護負担が増えないためにも、補助をしてくれる手すりの取り付けが重要です。  歩行の補助や誘導  加齢とともに落ちるのは、筋力だけではありません。 バランス能力も低くなってふらつきが多くなり、転びやすい状態になります。  壁に手すりを取り付けることで、転ばずに歩くことができます。 手すりが、ふらつかずにバランスをとる支えになるからです。 例えば、夜中にトイレに行きたくなると、トイレまで移動するために暗い場所を歩かなくてはなりません。 そんな時に廊下にに手すりがあることで、移動を助けてくれたり、誘導してくれるので、転ばずに歩くことができます。 転ばずに目的地まで歩くためにも、手すりの取り付けが重要になります。  手すりの種類  手すりには、大きくわけて、5種類あります。  横手すり 縦手すり(I型) L字型 階段用 据え置き型  しかし、どのタイプを取り付ければいいのか迷ってしまいがちです。 それぞれ、どんな時に使用するのか、詳しく解説します。  横手すり  横手すりは、地面に対して水平に取り付ける手すりで、もっとも一般的なタイプです。 つかまって移動する時に使用できるため、廊下や玄関への取り付けが多くみられます。   縦手すり(I型)  縦手すりは、地面に対して垂直に取り付ける手すりです。 段差を上がる時や立ち上がりの時の補助になるので、玄関やトイレに取り付けることが多いタイプになります。  L字型  L字型の手すりは、横手すりと縦手すりが一体化したものです。 立ち上がりと立位保持の手助けをするので、トイレや浴室に取り付けることが多くみられます。  階段用  階段用の手すりは、階段の昇り降りを補助する手すりです。 両側にとりつけることが望ましいですが、片側だけの時は降りる時の利き手側に取り付けるようにしましょう。 しかし高齢者は自室を1階にしていることが多いため、使用する頻度が少ないです。  据え置き型  床に置いて使用するタイプの手すりです。 手すりを取り付けることができない場所にも置くことができます。 工事を必要としないため、住宅改修での対応はできません。 福祉用具貸与での対応になります。  段差の解消 次に、段差の解消です。 対象は、自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差になります。 電力で稼働する段差昇降機や工事を伴わないスロープは、福祉用具貸与の対象外になりますので注意しましょう。  それでは、場所別に解説していきます。  玄関  玄関の上がりかまちは、高齢者にとって大きな障害です。 特に日本家屋は段差が高く、上がるのが大変だからです。 工事としては式台の設置が行われますが、工事を伴わない場合は、介護保険の対象外になります。  駐車場  高齢者にとって屋外の移動は段差も多く、転倒のリスクが高くなります。 筋力やバランス能力など、身体機能が低下しているからです。  たとえば、病院に行く時など外出の際には、駐車場に移動する必要があります。 駐車場までに段差など障害がある時は、スロープを設置したり、階段の段数を増やして、一段ごとの高さを低くすることができます。 敷居 若い人にとってなんともない少しの段差でも、高齢者にとっては転ぶ要因になります。 敷居などは取り外すことが難しいので、小さなスロープを取り付けて段差を解消します。 この時、1/4〜1/5の勾配にすることがポイントです。   滑りの防止及び移動の円滑等のための床または通路面の材料の変更 床などの通路は素材によっては、滑りやすく転倒しやすい要因になっています。 材料を変更することで、転倒予防を図ることができるのです。 もしくは、畳やカーペットでは車椅子の運びが悪いため材料を変更することで、移動をしやすくなります。  ただし、生活動線以外の工事や老朽化によるものは、対象外ですので注意してください。 引き戸等への扉の取替え [caption id="attachment_1295" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 日本の玄関は、「開き戸」が多く使われています。 しかし、「開き戸」は、筋力が低下した人にとっては、開け閉めがつらいものになります。 扉の開け閉め時に、扉の開きしろを考慮するため、筋力やバランスが必要になるからです。 そこで、「引き戸」にすることで、扉の開きしろを気にせずに開け閉めができます。  ちなみに、ドアノブをレバー型に変更することも、住宅改修の対象です。 ただし、扉の老朽化といった交換は、対象外になっています。   洋式便器への取替え 洋式便器への取替えは、和式便器を洋式便器に取り替える場合が一般的に想定されています。 その他、どういった工事が対象になるのか、紹介します。  和式便器を洋式便器へ  現代では少なくなりましたが、日本家屋では和式便器が主流で、現在も残存しているところがあります。 ですが、和式便器は高齢者にとって、使いにくいものです。 しゃがむ動作をする必要がありますが、足の変形から痛みを伴い困難になっていきます。 また、筋力も低下しているので、しゃがんだはいいものの、立ち上がれなかったりすることもあります。  こういった時に、洋式便器への交換は有用です。  暖房・洗浄機能付便器への取替え  現在洋式のものを交換はできませんが、和式を洋式に変更する時は住宅改修の対象になります。  便器の取替えに伴う給排水設備工事  便器を取り替える時は、水回りの交換も必要になりますが、給排水にかかわる工事も住宅改修の対象です。 ただし、もともと水洗だったトイレのみになります。  便器の取替えに伴う床材変更  便器を取替える時は、床や壁も改修が必要になりますが、これも対象になります。  こういった時は対象外  住宅改修の対象外にもなる工事もあります。 洋式トイレを新設 手洗い器やペーパーホルダーの新設 基本的に、新設する場合は対象外です。 既存のものを交換する場合のみ対象になりますので、ご注意ください。  まとめ ここまで、介護保険での住宅改修のポイントや注意点を箇所別にわけて、紹介してきました。  ・手すりは歩行や立ち上がりの補助をするが、たくさん取りつけても意味がない。  手すりは数タイプあるので、目的や場所によってわける。 ・段差解消は自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差をなくすもの。  工事を伴わない段差解消機やスロープの取り付けは、住宅改修の対象にならない。 ・床または通路面の材料の変更は、生活動線以外や老朽化によるものは対象外。 ・引き戸等への扉の取替えは、高齢者にとって開け閉めが難しい開き戸を取替える時に有用。  開けやすいドアノブへの変更も住宅改修の対象だが、老朽化による扉の交換は対象外。 ・洋式便器への取替えは、一般的に和式便器を洋式便器に変更する時。  洋式トイレやペーパーホルダーを新設する場合は対象外。 親に元気に家で過ごしてもらうために、住宅改修を利用して生活環境を整えましょう。  そのためには、箇所別にポイントを把握しておくことが大切です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • 福祉用具の住宅改修とは?基本的な内容から注意点まで解説! 

    介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。  ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは  住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。  親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。   福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption]  「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。   どんな人が使えるの?   住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている  介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。  介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。  入院中などではなく、現在家で生活している  住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。  しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。  家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。  本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る  住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。   いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。  住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。  ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。   1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は?   住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。  要介護度が3段階以上上がった時  要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。  引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。   支払い方法は?   住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。  償還払い  償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。  受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。  ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。   まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。  住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 認知症専門医とは?かかりつけ医から専門医に変更するメリットを解説!

    「認知症専門医」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。 認知症を患った場合、進行を遅らせるための治療が重要です。 そのため、医師の選び方も関わってきます。 今回は、認知症の医療に特化した認知症専門医について紹介します。 認知症専門医とは? 認知症専門医とは、日本認知症学会および日本老年精神医学会に認定されている医師で、全国に約2,000人存在します。 主に精神科、神経内科、老年科に在籍しており、認知症の早期発見や早期治療を担っています。 しかし、人数が少ないため、お近くの病院に在籍していないこともあるので注意が必要です。 良い認知症専門医の見分け方 良い認知症専門医の見分け方のポイントは以下の3つがあります。 MRIなどの「画像診断」を行ってくれる 「認知症テスト」を実施してくれる 定期受診時に丁寧な「問診」を行ってくれる ここでは、3つのポイントをそれぞれ解説します。 丁寧な「問診」 良い認知症専門医の見分け方のポイント1つ目は「問診」です。 問診は、定期的な受診をすると必ず行われるものですが、内容が最も重要です。 良い認知症専門医は、認知症患者にどのような症状や行動があるのか、現状家族にどのような負担があるのか等、丁寧な聞き取りをしてくれます。 また、前回の受診時からそのような変化があるのか、それに対して今後の医療計画や薬の処方内容はどうしていくのか、話し合いの時間を設けてくれます。 介護家族は認知症患者の日々の様子や変化をしっかり専門医に伝えられるよう、現状の把握しておきましょう。 デイサービスや高齢者施設を利用している場合は、介護スタッフから事前に聞いておくことが重要です。 CTやMRIなどの「画像診断」 良い認知症専門医の見分け方のポイント2つ目は「画像診断」です。 CT(コンピュータ断層装置)やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)などを使い、脳の状態を画像で判断します。 実際の脳の画像を元に、認知症が以前と比べてどれだけ進行しているか、服用している薬の効き目があるのかを診断するため、より確実な医療方針を決められます。 また、定期的に画像診断を行うことで、認知症の進行度合いも把握できます。 数値化する「認知症テスト」 良い認知症専門医の見分け方のポイント3つ目は「認知症テスト」です。 認知症テストとは、認知機能障害の有無を調べるために行う簡単なテストです。 長谷川式スケールやMMSEという種類があり、テストの結果で認知症の状態を数値化し、どのくらいの認知機能障害があるか判断します。 認知症テストをすることで、実際にどれくらい認知症が進行しているのか把握できます。 認知症専門医を見つけるためには? 認知症専門医を見つけるために有効な手段は、「ケアマネジャー」や「地域包括支援センター」を尋ねることです。 ケアマネジャー ケアマネジャーは、介護や支援を必要とする方から相談を受け、心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるように介護計画を作成する役割を担う人です。 ケアマネジャーは、実際に介護現場で認知症患者のケアを経験したことがある人も多く、小認知症患者や介護家族に対しての理解があります。 地域の居宅介護支援事業所に常駐しているため、近くの事業所を探しましょう。 地域包括支援センター 地域包括支援センターは、地域内の高齢者の相談や権利擁護、支援体制作り、介護予防に必要な援助などを行う公的機関です。 全国に約5,000ヵ所以上あり、介護の必要の有無に関わらずすべての高齢者の相談を受ける施設です。 ホームページで確認する 認知症専門医は日本老年精神医学会と日本認知症学会のホームページからも検索することが出来ます。 公益社団法人日本老年精神医学会 日本認知症学会 また厚生労働省は、全国約250カ所に 「認知症疾患医療センター」を設置してます。 ここでは認知症専門医が鑑別診断や治療、精神保健福祉士などの専門の相談員による医療福祉相談など医療・福祉関係者を支援する体制が整えられているので、こちらを利用するのもいいかもしれません 認知症疾患医療センター 直接認知症専門外来を受診する方法もありますが、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。 認知症専門医にかかるメリット 認知症には治療法がないため、「早期発見・早期治療」が重要です。 早期発見から早期治療につなげることで、進行を遅らせることができます。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるメリットは、主に以下の4つがあります。 知識や経験が豊富なため、選択肢が増える 患者本人の変化や状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる 大きな病院などの医療連携が速やかである 選択肢が増える 認知症専門医にかかるメリット1つ目は、知識や経験が豊富なため「選択肢が増える」ことです。 かかりつけ医は認知症に関する知識が少ない場合もあります。 認知症には、明確な治療法がなく、一人ひとりの症状や環境に合わせたケアが重要です。 知識や経験が豊富な認知症専門医にかかることで、具体的なケアを考えることができます。 患者の状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット2つ目は、患者本人の変化や状態を把握し「常に医療方針を考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、認知症患者の心身の状態を把握し、新しい医療方針を提供してくれます。 かかりつけ医の場合は、定期検診で認知症患者に異常がなければ簡単に診察を終わらせてしまう可能性があります。 介護家族の負担を減らすことを考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット3つ目は、「介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、介護家族の負担を減らすことを考えて、医療方針を考えてくれます。 介護が負担になるという理由で薬を増やすだけでは、意味がありません。 飲み方を変える、別の薬を利用するなど、家族の意見とともに医療方針を決めていきます。 医療連携が速やかである 認知症専門医にかかるメリット4つ目は、大きな病院などの「医療連携が速やかである」ことです。 認知症専門医が在籍する科には、「認知症センター」や「もの忘れ外来」など認知症が専門となります。 認知症の専門外来には、脳の画像検査機器であるCTやMRIが設置されていることが多く、認知症患者の状態を正確に把握できます。 また、大きな病院とも連携しており、必要があれば速やかに受診できる仕組みです。 どのような時に認知症専門医にかかる? ここまで、認知症専門医について紹介しました。 しかし、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えれば良いのかわからない方も多いのではないのでしょうか。 認知症には明確な治療法がないため、認知症患者に合わせた早期治療が大切です。 以下の点が思い当たる場合、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えることをおすすめします。 認知症の症状の進行が明らかに早い 症状に変化があった場合、薬の調整しか行わない 認知症の進行が明らかに早い 認知症の進行が明らかに早いと感じた場合、治療法が合っていない場合があります。 認知症専門医に相談することで、薬以外の治療法も見つけることが可能です。 例えば、リハビリなどの運動療法や、楽器などを使用する音楽療法も効果が期待できる治療法などがあります。 治療で薬の調整しか行わない 認知症の症状である、うつ・徘徊などの治療薬として、抗精神病薬や睡眠薬が処方される場合があります。 しかし、患者の症状が進行した際、過度に服薬をすると副作用が大きくなります。 薬が効きすぎると、意識が朦朧とする、歩行が不安定になるなどの症状が現れることがあり、転倒などのリスクも高くなるため注意が必要です。 まとめ 今回は、認知症専門医についてと認知症専門医にかかるメリットをお伝えしました。 認知症専門医は、日本に約2,000人存在し、認知症の早期発見や早期治療を担う医師である。 良い認知症専門医を見分けるための3つのポイントは、「丁寧な問診」「CTなどを利用した画像診断」「認知症テストを用いた診断」である。 認知症専門医は、認知症患者の変化をしっかり把握し、医療方針を考えてくれる。 認知症専門医にかかるメリットは、「選択肢が増える」「患者の状態を把握し常に新しい医療方針を考えてくれる」 「介護家族の負担を減らすことを考えてくれる」「医療連携が速やかである」の4つである。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるタイミングは、「認知症の進行が明らかに早い」「治療で薬の調整しか行わない」場合である。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 認知症は改善できる?認知症の種類と改善例を解説!

    高齢者が発症しやすい病気としてよく聞く「認知症」。 しかし、認知症にもさまざまな種類があり、症状によっては改善したり進行を遅らせたりする方法があることをご存知でしょうか。 今回は、認知症の種類や改善例について紹介します。 認知症の種類と原因・症状 では認知症とはどのような症状がでるのか、種類や認知症の原因について解説します。 認知症とは? 認知症とは、脳の病気や障害などが原因で認知機能が低下する病気です。 認知症は高齢になるほど発症リスクが高まると言われ、2020年時点で日本の65歳以上の患者数は約600万人です。 認知症の代表的な症状として、以下の6種類があります。 自分の体験や過去の記憶が欠落する「記憶障害」 計画を立てて物事が行えなくなる「実行機能障害」 時間や場所など自分の状況が把握できなくなる「見当識障害」 言葉の理解や表出が難しくなる「言語障害(失語)」 ご飯を食べるなど日常的な行為ができなくなる「失効」 自分の体の状態や自分と物との位置関係などの空間認識が難しくなる「失認」 認知症は、一時的に思い出せない、一部分を忘れてしまうなどの加齢による物忘れとは異なります。 自分の環境や状況を正しく理解できない、今までできていたことができなくなるなど日常生活に支障をきたすようになります。 また、認知症には主に以下の4種類があります。 アルツハイマー型認知症 血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 4種類の認知症は、それぞれ発症する原因と症状が異なります。 それぞれの認知症の原因・症状 次に、4種類の認知症について紹介します。 アルツハイマー型認知症 「アルツハイマー型認知症」は、日本で最も多いと言われている認知症で、認知症患者全体の約63%を占めます。 脳の神経細胞にタンパク質であるアミロイドベータが溜まり、神経細胞が破壊され脳が萎縮することで起こります。 原因は、加齢や遺伝が影響する可能性が高いとされていますが、近年では、糖尿病や高血圧の人が発症しやすいと明らかになりました。 アルツハイマー型認知症の初期症状は、物忘れから始まり、食事をしたことを忘れるなど行動そのものを忘れる記憶障害が現れます。 症状の進行は緩やかですが、徐々に脳の萎縮が進行します。 血管性認知症 「血管性認知症」は、認知症患者全体の約20%を占め、2番目に多いとされる認知症です。 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害によって脳の血流が阻害され、脳の一部が壊死することで起こります。 原因は、脳梗塞などを引き起こす高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病です。 血管性認知症の症状は、障害が起きた脳の部位によって異なります。 主な症状には、歩行障害や手足のしびれ、排尿障害、言葉が出にくくなる言語障害、感情のコントロールができないなどの精神障害があります。 また、脳梗塞や脳出血などの血管障害の発作を繰り返すと症状も重くなっていきます。 レビー小体型認知症 「レビー小体型認知症」は、神経細胞にできる特殊なタンパク質である「レビー小体」が脳に溜まり、神経細胞を破壊することで起こります。 しかし、レビー小体が脳に溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 レビー小体型認知症の症状には、手足の震えや体がこわばるなどの身体障害が挙げられ、徐々に進行し、転びやすくなります。 他にも、実際には存在しないものや人物が見える幻覚、うつ症状も現れます。 調子の良し悪しで、気分や行動が異なり、症状の変化が大きいことが特徴です。 前頭側頭型認知症 「前頭側頭型認知症」は、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで起こります。 65歳未満で発症することが多い認知症であり、10年以上かけて症状が進行していく場合がほとんどとなります。 原因は、脳に、異常構造物である「ピック球」が溜まることによるものと、タンパク質である「TDP-43」が溜まるものと言われています。 しかし、ピック球とTDP-43が溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 前頭側頭型認知症の症状には、性格が極端に変わることが多くなり、万引きや悪ふざけなどの反社会的行動が増える、衛生面の管理ができないなどが挙げられます。 また、同じ行動を繰り返す、身勝手な行動をとる、時間通りに行動しないと気がすまないなどの症状が特徴です。 症状が進行すると、言葉の意味がわからなくなる、言葉が出なくなる症状も現れます。 認知症は改善するの? 脳の神経障害によって起こる認知症には、現在根本的な治療法はないと言われています。 また、認知症は完治するものではありませんが、ケアによって症状の改善が見込まれる場合もあります。 次は、実際に体験した認知症の改善方法について紹介します。 認知症の改善例①食事を自己摂取されない高齢者Aさん 認知症の症状には、自分で食事をとる、洋服を着るなど、今までできていた行動ができなくなる「失効」があります。 認知症の進行により、食事を自己摂取できなくなった高齢者Aさんに自分で食べてもらうよう促しますが、何度スプーンを渡してもテーブルに戻してしまいます。 しつこく介助をすると、怒ることもありました。 実施したケア Aさんの座席の前に、よく喋りよく食べる高齢者Bさんに座っていただき、Bさんが食事する様子を見てもらいながら、最初は介助にて食事を取ってもらいます。 そして、お皿を持ってもらう、おかずをのせたスプーンを持ってもらうなど促すと、真似をして少しずつ自己摂取するようになりました。 また、Bさんが話しかけてくれることで笑顔や発語する様子も見られるようになりました。 認知症の改善例②介護スタッフが抱えて移乗していた高齢者Cさん Cさんは、認知症の症状によって意思の疎通が難しく、脚の力はありますが、ベッドから立ち上がってくれません。 また、ベッドから車いすに移る際に怖がってしまい、ベッド柵を握るなど力を入れてしまいます。 ベッド柵を握っていては安全に移乗ができないため、介護スタッフの肩に手を回してもらい、全介助にて移乗を行っていました。 実施したケア ベッドから立ち上がる、車いすに座るという行為を繰り返し行うことで、移乗の行為を覚えてもらうよう努めました。 その際、毎回車いすを見せて示すことで、「ここ(車いす)に座る」という認識をしてもらいやすくなります。 また、日常的に声掛けをすることで気持ちも穏やかになり、介護スタッフに対する不安などがなくなり、力むこともなくなりました。 最終的には、Cさんは見守りをするだけで車いすに移乗できるようになります。 ここで紹介したAさんとCさんは、一時的に認知症の改善が見られましたが、認知症が進行すると元の状態に戻ることも考えられます。 また、すべての認知症を持つ患者さんに当てはまるものでもありません。 しかし、声のかけ方や何度も繰り返し促すことで、理解できるようになる場合もあるため、一人ひとりに合ったケアが重要です。 まとめ 今回は、認知症の内容、改善例についてお伝えしました。 認知症とは、脳の神経に障害が起こることによって発症する病気である。 認知症は、記憶障害・実行機能障害・見当識障害・言語障害・失効・失認の症状が現れる。 認知症には、主に、アルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の4種類がある。 認知症は、現在も原因が明らかになっていないものが多い病気である。 認知症を治す治療法はなく、一人ひとりに合わせたケアが必要である。 認知症は、声のかけ方や促し方の工夫によって、改善が見られる場合もある。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 介護をする家族が後悔しないための準備とは?重要なポイントを解説!

    親が高齢になると、急に介護が必要になることがあります。 今回は、家族に介護が必要になり、介護家族になった際に後悔しないよう準備しておくべきことを紹介します。 介護家族は介護を受ける親の情報を把握しておく 介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の1つ目は、「介護家族は介護を受ける親の情報を把握しておく」ことです。 把握しておくべき情報は、主に以下の3つです。 親の健康状態 親の経済状態 介護に関する親の希望 これらの情報は、親が望む介護・必要とする介護を提供するために参考になります。 親の健康状態 まずは、「親の健康状態」について知っておきましょう。 必要な介護を受けるためには、親の現在の体調、服用している薬、過去の病歴や怪我など基本的な情報が重要です。 かかりつけの病院や、親と親交のある近所の人など、介護が必要になる前の様子や体調がわかる人に話を聞いておきましょう。 親の経済状況 次に、「親の経済状況」を確認しましょう。 認知症などの病気によって、自己管理ができなくなる場合もあります。 通帳や印鑑の場所、証書類やカード類などを整理しておくと安心です。 しかし、介護にどのくらいのお金が必要であるかわからない方も多いのではないでしょうか。 介護度別の平均介護費用額は、以下の表のようになります。 介護度 介護費用 要介護1 月3.3万円 要介護2 月4.4万円 要介護3 月5.9万円 要介護4 月5.9万円 要介護5 月7.5万円 出典:みんなの介護 介護度は、どの程度の介護を必要とするかを表す基準です。 要介護1は、家事や歩行などの動作に見守りなど一部の介助が必要な方、要介護5は、ほぼ寝たきりの方を指します。 要介護度が高くなるほど、介護費用も高くなる傾向にあります。 また、介護が必要になった場合に準備すべきものは、主に以下の4つです。 車いすや歩行器 介護用ベッド 着脱がしやすい衣類や靴 簡易トイレやおむつなどの排泄用品 歩行に不安が現れた際は、車いすや歩行器を利用します。 身体が不自由な人でも利用しやすい衣類などの消耗品も必要になります。 介護を必要とする生活はいつまで続くかわからないため、経済面での余裕は重要です。 介護家族の負担を増やさないためにも、金銭管理は早めにしておきましょう。 介護に関する親の希望 「介護に関する親の希望」は、介護家族が後悔しないために重要なポイントです。 「在宅介護」か「施設介護」か 介護が必要になった場合、住み慣れた家で生活を続ける「在宅介護」にするのか、高齢者向けの施設に入居する「施設介護」にするのかを決めなければいけません。 今まで自由な生活を送っていた場合、施設に入居することに抵抗を持つ方もいます。 しかし、介護家族側は、常に見守ってもらえる環境が整う施設に入居してほしいと望む方が多くなります。 「どのような生活を送りたいか」も、事前に話し合っておくべき重要な点です。 介護士経験者からの重要ポイント 病気が進行し治療法がなくなった際に必要になるのが「看取り」に関する決断です。 「看取り」とは、病気が治る見込みがなくなった場合に、延命治療を行わず、安らかに最期を迎えることです。 延命治療は体力的にも負担がかかるため、治療を中止して苦痛のない看取りを選ぶのか、本人と家族の意見が重要になる場面です。 親と意思疎通が取れなくなった場合に、親がどう考えているのかわからず後悔する家族もいます。 そうならないためにも、事前に将来のことを話し合い、親の希望に寄り添う準備をしておきましょう。 介護家族内で介護方針や役割分担を決めておく 介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の2つ目は、「介護家族内で介護方針や役割分担を決めておく」ことです。 介護方針 基本的な決定権は、介護を必要とする親と家族であるため、意見をまとめておくことが重要です。 親の治療に関して積極的に行っていくのか、病気が悪化した場合どうするのかなどさまざまな選択が必要になります。 家族同士で意見が異なると、スムーズに介護方針を決められません。 役割分担 家族内での役割分担をしておきましょう。 在宅介護を選択した場合、24時間ひとりで介護を行うことは現実的ではありません。 親戚と情報共有をして、時間や曜日で役割分担し、協力するようにしましょう。 介護士経験者からの重要ポイント 役割の一つとして、1番目の緊急連絡先となる「キーパーソン」を決めなければいけません。 親の急な体調不良などがあった場合、主治医や介護事業所から連絡が入ります。 また、本人が意思表示できない場合の意思決定を行う役割もあります。 病院や介護事業所など介護機関と最も多く関わる役割であるため、柔軟に対応できる方や、親について最も理解している方が向いています。 介護家族は必要な知識を身につけておく 介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の3つ目は、「必要な知識を身につけておく」ことです。 介護サービスについて 介護は、家族のみで行うものではありません。 高齢者支援サービスや行政サービスを利用して、介護家族の負担を減らすことができます。 情報不足によって制度などを利用できなかったということがないように注意しましょう。 介護保険サービス 必要な介護の度合いを表す要介護認定を受けることで、介護保険サービスを利用できます。 親と家族だけでは負担できない部分を補えるサービスです。 介護保険サービスには、主に以下の6種類があります。 介護サービスに関する相談、ケアプランの作成 自宅で受けられる家事援助などのサービス 日帰りで利用するデイサービス 施設で生活し、介護を受けられるサービス 訪問、通い、宿泊を組み合わせて受けられるサービス 介護用ベッドなどの福祉用具の利用にかかるサービス 介護保険サービスを利用すれば、介護に関する相談ができる、介護サービスを提供する機関と連携ができるなどのメリットがあり、初心者の方でも安心です。 介護保険サービスは、在宅介護でも施設介護でも利用できます。 介護保険外サービス 介護保険サービス以外にも、自治体や地域のボランティアが行うさまざまなサービスがあります。 自治体が行うサービスには、以下の4つのようなものがあります。 寝たきりの高齢者の散髪などを行う理髪サービス おむつの支給やおむつ代の助成 高齢者が住みやすい住宅を作るための改修の補助 高齢者の介護を行う家族に対する家族介護慰労金 自治体によって、実施対象者や金額はさまざまですが、利用することで負担を減らせます。 地域のボランティア団体や民間が行うサービスには、高齢者向けの付き添いや安否確認サービス、弁当などの配色サービスがあります。 家族の負担を減らすためにも利用したいサービスです。 自治体や地域のサービスは、広告していることが少ないため、住んでいる地域について一度調べてみましょう。 介護家族の支援制度について 介護支援制度には「介護休暇制度」と「介護休業制度」があります。 介護休暇制度 「介護休暇制度」は、親の通院などの付き添いなどで短期間の休みが必要な場合に、労働者が利用できる制度です。 以下の表は、介護休暇制度の特徴です。 対象となる労働者 対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く) 対象家族 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 取得可能日数 年5日まで/対象家族が1人 年10日まで/対象家族が2人以上 取得単位 1日または時間単位 出典:厚生労働省 介護休暇制度は、取得できる休暇日数は少ないですが、対象となる労働者の基準が低く、気軽に取得できます。 介護休業制度 「介護休業制度」は、休業して介護を行いながら、仕事と両立できる環境を整える制度です。 以下の表は介護休業制度の特徴です。 対象となる労働者 取得予定日から起算して、93日を経過する日から 6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、 更新されないことが明らかでないこと。 対象家族 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 利用期間/回数 対象家族一人人1人につき3回まで、通算93日 出典:厚生労働省 介護休業制度は、仕事と介護の両立を支援する制度であり、自治体やケアマネジャーと連携しながら介護を行えます。 まとめ 今回は、介護家族が後悔しないために準備しておくポイントについてお伝えしました。 親の健康状態、金銭状況の確認が必要である。 介護に関する親の希望を確認しておくべきである。 介護家族内で役割分担と情報共有が重要である。 介護に関する知識を身につけるべきである。 自治体や事業所と協力して介護の環境づくりが重要である。 最後までご覧下さり、ありがとうございます。

  • 介護現場での情報共有の大切さとは!情報共有する相手や方法を解説

    皆さんは情報共有を積極的に行えていますか? 介護の世界では「情報共有」はとても大切なことです。 それは職員の間だけではなく、利用者の方やご家族等にも情報共有が十分にできていないと、トラブルが発生する原因となります。 今回は情報共有の大切さと、どのようにすればスムーズに行えるのかをご紹介します。 情報共有ってどのくらい大切? 介護においての情報共有の関係には3パターンあります。 まずは職員対職員。次に職員対ご家族、最後にご家族対ご家族。 この3つに分けて情報共有の大切さをお伝えします。 ①職員対職員の情報共有 職員間で最も大切なのは利用者の方の身体や精神のケアについての情報共有です。 薬が変更になったり、食事形態が変わったりなどケアの方法が変わることはよくあることです。 また利用者の方が置かれている環境の変化についての情報共有も行います。 例えばキーパーソンが変わったり、連絡先が変更になったり、ご家族が亡くなったりとこちらも大切な情報です。 特にセンシティブな情報は利用者の方の不安感に繋がるので、注意して取り扱うことが必要です。 また介護業界は日勤や夜勤、正社員とパートなど様々な勤務形態の職員が混在しています。 しっかりと情報共有をしておかなければ、漏れが出てくる場合があるので気をつけましょう。 ②職員対ご家族の情報共有 職員対ご家族も入念な情報共有が必要となります。 ご家族→職員の情報共有 これは特に「デイサービス」や「ホームヘルパー」など在宅介護に関係のある現場で必要です。 入所施設であれば施設職員が日常の様子や、定期的な通院など変化に気づきます。 しかし在宅介護の現場であれば利用者の方と関わる時間は僅かですので、ご家族からの情報でケアの方法が変更となるケースが多いです。 独居の利用者の方であれば「最近着替えていることが少ない」「布のパンツでは排泄が難しそう」など、介護士やケアマネージャーが気づくこともあります。 職員→ご家族への情報共有 入所施設などの施設介護は職員→ご家族への情報共有が必要です。 定期的に面会に来られるご家族であれば利用者の方の変化に気づくことは容易ですが、遠方にお住まいのご家族であれば気づくことが難しいでしょう。 久しぶりの面会で自立度が落ちてしまい、以前とあまりに様子が変わっていると驚いてショックを受ける可能性も少なくありません。 他にも持病の調子が変わった、体調が悪いなど通院の結果や日常の変化まで伝えておくとご家族も安心できます。 ご家族の立場に立って些細なことでも情報共有を怠らないようにすることが大切です。 ③介護をしているご家族同士の情報共有 1日、2日で終わることのない介護で、不安や負担を感じているご家族も多いはず。 周りにも頼れる環境であれば良いですが、孤立して孤独を感じている介護者の方もいます。 ただでさえ身体的、精神的に負担のかかる介護ですから、少しでも精神面を安定させるために同じように介護で悩んでいる方との情報共有も大切です。 他の方と情報共有することで少しでも前向きになれたり、孤独感を減らすことができるかもしれません。 Twitterでは#(ハッシュタグ)家族介護などで介護者同士コミュニケーションをとったり、他にも介護をしている方を孤独にさせない取り組みも全国で行われていたりします。 介護で悩む介護者の方は、同じく介護の悩みをもつ方と情報共有してみましょう。 介護現場で情報共有するための課題 このように介護現場では情報共有することがとても重要です。 しかし、情報共有行う上での課題もあります。 記載方法が人によって違う 働いているスタッフの性格や経験、スキルなどによって記載する情報の制度に差が出てしまいます。 そのため情報のボリュームが1つずつ異なり、適切な情報共有ができなくなってしまうのです。 介護施設で共有しなくてはいけない情報は数が多いため、確実に統一した情報量で記載するのは困難です。 できるだけ情報量にばらつきが出ないように記載項目を統一するなどの対策が重要です。 情報共有に時間がかかる 先も解説した通り、介護施設でスタッフ間が共有しなくてはいけない情報量は膨大です。 そのため、情報共有をするためのアウトプットもインプットも多くの時間がかかってしまいます。 しかし、情報共有だけに多くの時間を割いてしまうと、肝心の利用者様へのケアがおろそかになってしまいます。 できるだけ短時間で効率よく情報共有できる仕組みづくりをすることが重要です。 スタッフ全体で情報共有すること 施設で働くスタッフはシフト制ですし、訪問介護の場合は利用者様のご自宅に行くため、スタッフ全員が集まって情報共有するのは難しいのです。 しかし、利用者様に適切なケアをするためには、スタッフ全体で共有するべき情報は数多くあります。 そのため、すべてのスタッフが確実に必要な情報を理解しているのかを管理することが重要です。 情報共有不足で起きるトラブルとは? 最も大切な職員間の情報共有が上手くできていないと何が起こってしまうのかを4つお伝えします。 ①誤った介護につながる恐れがある 間違った介護をすることが仕事をするうえで一番怖いことです。 例えば薬が追加された情報が共有できていなかった場合、もしその薬が命に関わるものだったらどうなるでしょうか。 それがきっかけとなって命を落としてしまう可能性もあります。 命に関わるものでなくても、その方にとっては症状を緩和させる大切な薬です。 また食事形態の変化なども気をつけておかなければ、誤嚥や窒息につながる恐れがあります。 大きなトラブルとならないよう職員全員が利用者様の情報を確認しておくことが重要です。 ②ケアの目的に差が発生する どういった目的でその介護サービスを利用しているのかの情報も大切です。 例えばコミュニケーションをとることが難しい方が利用していたとします。 「スタッフが間に入り他の利用者の方とコミュニケーションをとれるようになった方が良いのか」、それとも「自分のペースでゆっくり過ごせたら良いのか」、目的によってケアの方法が全く違います。 後者が目的でサービスを利用しているにもかかわらず、無理にスタッフが間に入ることで状態が悪化してしまったり、利用者の方が不安になる可能性もあります。 リハビリや食事や入浴、利用者の方にとって目的は様々です。 無理なケアとならないよう、職員間でその方にあったケアの目的を共有しましょう。 ③利用者の方、ご家族の方が不信感を抱く 利用者様の事故が実際に起こってしまうと利用者の方やご家族が不安に思ったり不信感を抱いたりします。 利用者の方が今までできていたことが進んでできなくなったり、笑顔や会話が減ってしまったりする場合もあります。 ご家族もそんな利用者の方の様子を見て、万が一サービスの利用を停止してしまうとまた介護の負担がご家族にかかってしまいます。 利用者様にもご家族の方にも安心してご利用いただけるように、情報共有を確実に行うようにしましょう。 ④職員のモチベーションが低下し、人間関係の悪化に繋がる 共有せず情報を得た人だけ抱えたり、日誌で共有しても見てもらえなかったり、そういうことが起きると職員のモチベーションの低下に繋がります。 きちんと情報共有されておらず、自分1人だけその情報を知らなかったら、疎外や孤立を感じて人間関係の悪化に繋がります。 介護はチームワークがとても大切です。 得た情報は自分だけで抱えず、すぐにスタッフ間で共有するようにしましょう。 積極的に情報共有を行うには? 情報共有を積極的に行うために、以下のことを心がけるようにしましょう。 毎日ミーティングを行うようにする スタッフ間のコミュニケーションをとるためにも、毎日10~15分程度のコミュニケーションを行うことをおすすめします。 ミーティングの内容は、当日の予定や連絡事項、問題点など共有したい内容を簡単に伝えるだけでも十分効果的です。 時間帯は皆が集まりやすい始業前や、シフトの切り替えタイミングを使うようにしましょう。 話し合いをできる場を作る 全員で集まるのは難しいかもしれませんが、スタッフ間で意見を言い合う場をつくることをおすすめします。 お互いの意見を言い合い、相手の立場や意見を尊重するようにできれば、協調性も生まれることでしょう。 また、スタッフ間のコミュニケーションの場にもなります。 情報共有できるツールを取り入れる できればスタッフ間でこまめにコミュニケーションをとったりやり取りができることがよいのですが、日々の業務に追われてなかなかうまくいかないこともあります。 そういった状況でも情報のやり取りがきちんとできるように、ツールを使用することはとても重要です。 ここでは介護現場で使用するのにおすすめのツールをご紹介します。 ①LINEWORKS 「LINEWORKSって何?」「聞いたことあるけどどういったもの?」という方にご説明します。 職員対職員 介護の現場では日誌などの紙媒体を使った情報共有が多いのではないでしょうか? LINEWORKSを使用すると無料で職員全員とメッセージや通話ができるようになります。 写真や画像を用いてメッセージを送ることができ、使用感はLINEと同じような感覚です。 薬や食事形態の変更、ケガなど文章だけでは不十分でも、写真や動画を一緒にすることでより適切な情報共有が可能です。 また送ったメッセージは1職員だけでなく、フロアごとや施設全体などの一斉送信も可能なので共有の漏れもありません。 またビデオ通話もでき、オンラインで1対1の面談をすることもできます。 職員対ご家族 職員間だけでなく、ご家族との連絡もLINEWORKSで行うことができます。 職員からお伝えしたいこと、ご家族からお伝えしたいことを気軽にサッと連絡できるので便利です。 またこちらでも写真や動画を使ったメッセージが可能なので、事務的な連絡だけでなく日常生活を遠方のご家族に伝えることもできて安心です。 施設を利用した介護はどうしてもキーパーソンの方に負担がかかってしまいがちですが、一斉にメッセージを行う機能を使えばキーパーソンの方の手間や負担を減らすことができます。 オンライン面会を取り入れよう コロナが発生したことにより面会を制限する施設も増えました。 入所施設からオンライン面会の案内をされたことのあるご家族も多いのではないでしょうか。 オンライン面会では遠方だったり自身の置かれている環境で、なかなか施設へ足を運べない方に便利なサービスです。 15分や30分程の短い時間であっても、どのように過ごしているのか様子を見ることができると安心します。 施設職員もご家族へ一緒に情報共有ができて、両者共に利点があります。 しかしLINEWORKSもオンライン面会も取り入れるのはハードルが高く感じますよね。 そこで今回ご紹介したいのは介護業界のIT活用を支援する「タダカヨ」というNPO法人です。 「タダカヨ」さんは「タダでカイゴをヨくしよう!」をテーマにしていて、なるべくお金をかけずに、介護をより良いものにできるよう活動しています。 ・LINEWORKSマニュアルの無償提供 「タダカヨ」さんではLINEWORKSを推進しており、無償提供のマニュアルではLINEWORKSを利用するメリットや利用方法が詳しく紹介されています。 ・オンライン面会マニュアルの無償提供 オンライン面会ですが操作方法や始め方が分からず、実行できていない方もいらっしゃいます。 「タダカヨ」さんではそんな方向けにオンライン面会のマニュアルを無償適用しています。 LINE版、Zoom版の公開がされており、面会希望者向けにオンライン面会の案内テンプレートも用意されています。 まとめ ・薬や食事形態の変更だったり、利用者の方の周りの環境の変化だったりと様々な情報が存在する。 ・介護業界は人によって勤務時間や形態に違いがあるので、漏れがないように情報共有する。 ・トラブル防止のため在宅介護においてはご家族→職員、施設介護においては職員→ご家族を特に大切にする。 ・介護者同士の情報共有は孤独や孤立を感じないために大切なので、SNSなどを利用して積極的に行う。 ・情報共有不足は命に関わることもあるので気をつける。 ・利用者の方が望んでいるケアを行うために、ケアの目的を周知しておく。 ・利用者の方やご家族の不信感に繋がる恐れがあるので、情報共有はきちんと行う。 ・職員間や、ご家族との情報共有のためにLINEWORKSは非常に有効である。 ・オンライン面会を取り入れることで、直接の面会は難しくても、表情や声などの情報をご家族に伝えることができる。 ・「タダカヨ」さんではLINEWORKSとオンライン面会のマニュアルが無償提供されている。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護の調査訪問とは?家族が準備するためのチェックポイントを解説

    家族に介護が必要な状況となり、「初めて認定調査を受けることになった」という方は、何が必要か分からず不安でいっぱいではないでしょうか。 認定調査は介護者と要介護者にとって非常に大切なものです。 今回は認定調査を受けるにあたって、必要なものや当日スムーズに行えるように事前に準備しておくと良いものをご紹介します。 「認定調査」について では認定調査とはどのようなものなのかを解説します。 認定調査とは? 認定調査とは要介護申請後に申請を受けた市区町村が訪問員を派遣し、要介護者がどの程度自立しているのかを調査することです。 認定調査の聞き取り先は本人と立ち会っている家族や施設の方になります。 これは要介護認定を受けるには必ず必要なことで、デイサービスやヘルパーなどの介護サービスを利用したい方にとって認定調査は必須です。 認定調査を受けるためには? 認定調査を受ける前に、まず市区町村へ要介護認定の申請を行うことが必要です。 要介護認定に必要なものは以下の通りです。 ・申請書(市区町村の窓口またはホームページよりダウンロード可能です) ・マイナンバーカードまたは通知書 ・介護保険被保険者証(65歳以上) ・健康保険被保険者証(64歳以下) ただし、各市町村によって必要なものが異なる場合があるので、事前に役所のホームページなどで確認しておくようにしましょう。 また、かかりつけ医がいる方はその診察券も用意しておくようにしてください。 また認定調査と並行して、市区町村から要介護者のかかりつけ医に「主治医の意見書」を作成するように申し入れがあります。 主治医の意見書とは要介護者の既往歴など、介護するにあたって重要な情報が記載されている大切な書類のことです。 市区町村からかかりつけ医へ依頼されますが、事前に病院へ相談しておくとスムーズですので可能であれば前もって打診しておきましょう。 かかりつけ医がいない要介護者は市区町村が指定した医師を受診することになります。 認定調査の内容とは? 認定調査の所要時間は30分~1時間程度で、74項目を対象に要介護者の普段の様子や困りごとについて調査します。 74項目の調査内容は以下の5つの分野に分かれます。 ①身体機能、起居動作・・・立位、座位が保てるか、麻痺があるかどうかなど ②生活機能・・・食事や入浴、排泄が可能かなど ③認知機能・・・生年月日や短期記憶、意思の伝達が可能かなど ④精神、行動障害・・・被害的な思考ではないか、情緒が安定しているかなど ⑤社会への適応・・・簡単な調理が可能か、薬や金銭の管理が可能かなど これは一部を抜粋したもので全てではありません。 実際の調査はさらに詳細な内容になります。 「認定調査」を受ける前に準備しておくことは? 74項目と聞くと、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その不安から認定調査が終わった後に言い残しや聞き残しがないようにすることが大切です。 当日スムーズに進むように5つのポイントに分けて、事前に準備しておくと良いことをお話します。 ①普段の様子を理解しておく どんな時に介護のサポートが必要だと感じたのかということです。 食事なのか入浴なのか、外出先でなのか都度メモをしておいてください。 徘徊や会話の受け答えが以前と違うと感じた介護者は、動画や写真に残すのも良いでしょう。 特に介護度が低い場合は、初対面の調査員にとってどの程度介護が必要だと理解するのは難しいです。 麻痺があったり、不穏であったり明らかに介護が必要な方であれば、分かりやすいのですが、明るく出迎え、自分で歩行ができている様子を見ると「しっかりしている」という第一印象を受けます。 調査の短い時間の中で、症状が出るとは限りません。 ですので普段の様子をありのまま伝えることはとても大切です。 ②介護者の困りごとを確認しておく 普段の様子を踏まえ、介護者がどんなことで困っているのかを調査員に伝えましょう。 勿論調査対象となるのは要介護者ですが、介護者がどのようなことで困っているのかを伝えることも大切です。 また介護者である家族の住まいが遠方であったり、自身にも体調に問題があったりと介護をすることが難しい方もいます。 介護者の置かれている状況も併せて説明しましょう。 ③認定調査の項目を把握しておく 74項目を記憶する必要はありませんが、当日回答に困らないために調査項目に目を通しておきましょう。 普段の生活で意識していなかったことや、調査項目を見ることで思い出す困りごともあるかもしれません。 ④要介護者に聞かれたくないことはメモで伝える 例えば認知機能の低下により介護が必要だと介護者が判断していた場合、「認知症の可能性がある」と心配していることを要介護者の耳に入れたくない方も多いです。 困っている事実を伝えたくても、要介護者の前で初対面の調査員にありのままを伝えることに抵抗を感じる介護者もいるでしょう。 その時は要介護者から少し離れた場所で会話したり、メモを使って伝えてみたりしましょう。 ⑤病気や怪我なども伝え漏れがないようにする 主治医の意見書があってもそこに全ての既往歴が記載されているとは限りません。 また長年のかかりつけ医が作成した場合ではなく、市区町村が指定した病院で主治医を作成した場合は漏れがある可能性もあります。 些細なことでも良いのでしっかりと伝えましょう。 「認定調査」で気をつけたいこと 認定調査で決定される介護度はとても重要です。 介護度によって受けることができる介護サービスに制限があったり、介護保険を利用できる額も変わってきます。 調査員に適切な判断をしてもらえず実際の介護度より低く判定されてしまった場合、介護者にとっては大きな負担となりかねませんので注意が必要です。 ここでは特に気をつけたい点を2つご紹介します。 ①認定調査にはなるべく立ち合いましょう すでに入所をしていて施設で認定調査を受ける場合はそこの施設職員が立ち合うことが多いですが、自宅で受ける場合は要介護者本人1人で受けることができます。 遠方であったり、やむを得ない都合でどうしても難しい場合を除き、認定調査には必ず立ち合ってください。 認定調査に立ち会う人数に制限は基本的にありません。 様々な目線から調査員に現状を伝えましょう。 立ち合いが必要な理由を例として挙げると、初対面の方やお客さんを前にすると普段よりハキハキと話すことができたり、調子が良くなったりするという話を耳にしたことはありませんでしょうか? また歩行にふらつきのある方が認定調査の際にしっかり歩いてまるで別人のようになるなどは聞いたことがありますよね。 調査員に「何でもできる方だ」と判断されてしまうことを避けるために、本人1人だけで認定調査を受けることはなるべく避けましょう。 また先ほど話した通り、介護者や家族の立場から困っていることを伝える必要もあります。 ②「認定調査」について要介護者にどのように伝えるか 後期高齢者であったり、自覚症状が強くある方は「介護サービスを日常に取り入れよう」と言われても抵抗なく受け入れられるかもしれません。 しかしまだ60代、70代で周りに介護を受けている人が少ない年齢の方や、自覚症状のない方はいきなり「介護」と言われると受け入れ難いものです。 そのような方に「介護サービスを使ってほしいから認定調査を受けよう」と伝えるとどうでしょうか。 調査員が訪問しても普段の姿で認定調査が受けられなかったり、頑張ってしまったり、そもそも認定調査を受けてくれない可能性もあります。 ですので「認定調査を受けよう」ではなく、「市から健康調査のために調査員が来る」というような直接的な表現を避けて要介護者の自尊心を傷つけないように配慮しましょう。 このような表現を要介護者にすることで、嘘をついているような感覚になり罪悪感のある方もいます。 そのような場合は要介護者と向き合い、介護者自身が困っていることや協力してほしいことを本人に伝えてみましょう。 気持ちが上手く伝われば要介護者、介護者両者ともに積極的に認定調査を受けることができます。 まとめ いかがでしたでしょうか。 初めての認定調査で分からないことも多く緊張してしまいますが、要介護者本人がなるべく普段通りの様子でいることが一番大切です。 適切な判断をしてもらえるように立ち会う方はサポートに努めましょう。 ・要介護認定を受けるために認定調査は必須で、申請した市区町村から調査員が訪問する。 ・かかりつけ医がいる方は事前に打診しておくと主治医の意見書をスムーズに作成できる。 ・認定調査では74項目の質問をされて、およそ30分~1時間の時間を要する。 ・要介護者の普段の様子を理解しておき、メモや動画などに残すことが良い。 ・介護者の立場から困っていることをメモしておく。 ・認定調査の当日に焦りがないように調査項目には目を通しておく。 ・要介護者に聞かれたくないが、調査員に伝えたいことはメモに書いて渡す。 ・主治医の意見書だけでは不十分な場合もあるので、既往歴や身体で心配のある部分は伝える。 ・要介護者1人だけで認定調査を受けることも可能だが、普段と違う振る舞いをしてしまう恐れもあるので可能な限り調査には立ち会う。 ・「介護」というワードから認定調査に構えてしまう要介護者には直接的な表現は避ける。 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • ディサービスとディケアの違いとは?利用目的や条件・料金などを解説

    在宅介護と呼ばれるサービスには様々なものがあります。 そんな在宅介護のサービスの中に「ディサービス」や「ディケア」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 名前が似ていて同じものだと思われがちですが、実はディサービスとディケアは意外と違いが多いのです。 今回は「ディサービス」と「ディケア」の違いを様々な側面からお話しします。 「ディサービス」と「ディケア」のサービスの違いは? まず両者を比較すると利用する目的が大きく違います。 その違いから見ていきましょう。 「ディサービス」の利用目的 ディサービスの特徴として、自宅での入浴が難しいなど自立度の低い方も多く利用しているという点が挙げられます。 これはディサービスの利用目的として自宅での自立度を高めたり、ご家族の負担を軽減することがあるからです。 ですので入浴や食事など日常生活の介護がサービスの中心となります。 また他者とのコミュニケーションをとる場面も多く、レクリエーションの内容が充実しているのも特徴です。 入浴や食事の時間の他に身体を動かす時間が設定されていたり、席の近い方とお話ししたり、趣味やテレビの時間を作ったりとゆったりと過ごす時間も多いのがディサービスです。 「ディケア」の利用目的 ディケアは「通所リハビリテーション」とも呼ばれ、最大の特徴は医師が常駐していることです。 医師から医療的なアドバイスが受けられたり、健康管理をしてもらえたりすることがサービスの内容に含まれます。 ディサービスにも看護師が常駐していますが、ディケアの方がより医療体制が整っていると言えます。 またリハビリ専門職がいることもあり、サービスの目的は身体機能の維持や回復で、しっかりと身体を動かしてリハビリに取り組む時間が多く設けられています。 また施設によって1日だったり半日などの短時間だったり、食事や入浴の時間はなかったりと様々です。 「ディサービス」と「ディケア」の人員配置の違いは? 上記のようなサービス内容の違いから、サービスに携わる専門職にも違いが出ています。 「ディサービス」の人員配置 ディサービスは介護士、看護師、生活相談員の人員配置で成り立っています。 日常生活の支援を行うのがディサービスの利用目的になるので、介護士が入浴や食事を、看護師がバイタルチェックなどで健康管理を行い、そして機能訓練指導員が機能訓練を行います。 またディサービスを利用する方の多くは、日常生活に不安を抱えています。 そこで自宅での介護の不安を相談できる生活相談員が常駐しているのが特徴です。 「ディケア」の人員配置 一方ディケアでは介護士、看護師に、リハビリ専門職と医師が加わります。 リハビリ専門職とは理学療法士や言語聴覚士、作業療法士です。 このようなリハビリ専門職が常駐していることで、リハビリに特化した時間を過ごすことができ、より身体機能の回復が期待されます。 また医師が常駐していることで、先ほど説明した健康への不安を緩和することができます。 「ディサービス」と「ディケア」の利用条件は? 料金は? ディサービスは自宅での生活に不安のある方が多く、ディケアは身体機能を維持・回復を目的とする方が多いということはご理解いただけたでしょう。 それは両者の利用条件でも確認することができます。 ディサービスは通所介護のため利用条件は、介護認定の内要介護1~5の方のみと設定されています。(今回の記事では、介護予防を含めず記載しています。) 一方ディケアは要支援でも要介護でも関係なく介護認定を受けていれば、介護保険を使用して、サービスを利用することができます。 また介護認定を受けていなくても自費であれば利用することが可能です。 では利用料金にはどのような違いがあるでしょうか。 ディケアには医師が常駐していたり、受けるリハビリも専門的なものになるので、ディサービスと比較すると少し高い料金が設定されています。 自治体にもよりますが、1日あたりおよそ100円~300円程度ディケアの方が高くなります。 「ディサービス」と「ディケア」どちらがオススメ? 両者の特徴を様々な側面からお話しましたが、利用する方によってどちらがオススメなのかは違います。 「ディサービス」がオススメの方 まず自宅での入浴や食事に不安があり、本人や家族に自宅での負担が大きくかかっている場合は ディサービスの方がオススメです。 また、「運動は少しだけ行いたい」や「身体で痛めている部分があるので無理はしたくない」という方にもディサービスの方が良いでしょう。 ディケアは運動を積極的に行いたい方が多いため、「運動は程々にしたい」または「一切したくない」という方が利用してしまうと精神的にも不安を感じてしまいます。 ディサービスは他の利用者の方とコミュニケーションをとりやすい場なので、「おしゃべりを楽しみたい」や「友人をつくりたい」という方にも楽しめる介護サービスです。 「ディケア」がオススメの方 医師が常駐していることもあり、退院したばかりの方や、身体機能の不安が大きい方はディケアの方が安心して利用することができます。 リハビリ専門職が揃っていることで身体をしっかりと動かして、とにかくリハビリを頑張りたいと思っている方も満足して利用できます。 ディサービスと比較するとディケアを利用する方は日常生活の動作に不安がある方は少ないです。 今の健康を維持したい、より元気になりたい方には、ディケアの方がオススメです。 リハビリ型ディサービスとは? ここまでディサービスとディケアの違いについて説明しましたが、「リハビリ型ディサービス」というサービスもあります。 リハビリ型ディサービスの多くが、午前と午後で利用する方が入れ替わる半日型を採用しています。 半日型であるため食事や入浴はサービスには含まれていません。 こう聞くと「リハビリ型ディサービス」と「ディケア」の違いがないように思いますが、大きな違いがあります。 それはディケアは医師の指導のもとリハビリが行われていることです。 リハビリ型ディサービスはそうではありません。 同じようなサービス内容だとしても身体の不安が大きい方はディケアを検討しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 同じ「ディ」というワードがついていても、サービスの内容は大きく違うので、利用する方の希望や状況に合わせて適切に選択しましょう。 ・ディサービスを利用する方は自宅での日常生活に不安を抱えている場合が多いので、食事や入浴などの時間が中心である。 ・ディサービスでは趣味やレクリエーションなど、他の利用者の方とのコミュニケーションをとる場面も多い。 ・ディケアは身体機能の維持や回復を目的として利用している方が多い。 ・ディサービスには生活相談員が常駐しているため、 気軽に介護の相談を聞いてもらいやすい。 ・ディケアには医師が常駐しているので、健康面での不安が多い方は安心して利用できる。 ・またリハビリ専門職と呼ばれる人員配置がディケアにはあるので、身体機能の維持や回復も期待できる。 ・ディサービスは要介護1~5の方という制限があるが、ディケアの場合は介護認定を受けていれば要支援でも制限なく、介護保険を使用して利用できる。 ・自治体にも差があるが医師が常駐しているという理由で、ディケアの方が1日あたり100円~300円程度利用料が高い。 ・リハビリ型ディサービスは半日型で食事や入浴なしとしている場合が多く、ディケアとの違いはリハビリが医師の指導のもとであるかどうかである。 最後までお読みいただきありがとうございます。  

  • 訪問介護事業とはどんな仕事?ヘルパーの仕事内容をご紹介!

    あなたは「訪問介護」に対し、どんなイメージを持つでしょうか? 今回は幾つかの事例を踏まえつつ、訪問介護が担う役割や現状、重要性を、ヘルパーの視点から紹介します。 訪問介護のヘルパーは何をする人? ここでは訪問介護のヘルパーがどのような仕事をしているか、詳しく解説します。 「高齢者の身の回りの世話をする人」=半分正解、半分不正解です。 世間一般で「訪問介護」の「ヘルパー」と聞いたら、まず何を思い浮かべるでしょうか? 実際によく耳にしたのは、「家に行って世話をする人」「家で介護をする人」「高齢者の代わりに家事とか身の回りの事をする人」で、次に「きつい、しんどい仕事」とイメージするようでした。 家族や身内に介護対象者がいる場合は、訪問介護についてのイメージは介護の説明を受けている分理解があるのですが、まだ介護に携わる経験が無い世代では、よく言われる一般論やきつい労働のイメージから、ややマイナス傾向に捉えるものが多いようです。 では実際に、訪問介護のヘルパーは何をするのでしょうか? 「介護、身の回りの世話でしょ。」と答える人が大半です。 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解です。 では「家政婦とヘルパーの違いは何ですか?」と問われたら何と答えるでしょうか? 家政婦も契約した利用者の世話をする事もあります。 「洗濯物が溜まったから洗って欲しい。」「朝はいるけど昼と夕は娘(又は息子)がいないから、ごはんを作って一緒に食べて欲しい。」等、色々要望があるようです。 中には、契約者のご両親が高齢な為に、自分が仕事で不在の1か月の内、週5日の日中ずっと世話をして看て欲しいという要望もあるそうです。 訪問介護のヘルパーは、残念ながら上記のような希望通りに物事を行う事はできません。 「介護を行う事」は「利用者の希望通りの世話を行う事」では無いのです。 そして介護を受ける利用者やその家族も、正しい認識が為されていない事も多いのです。 介護保険の理念 訪問介護は介護保険サービスの一つです。 下記の図のように、3つのサービスに分かれ、主に身体介護や生活援助をメインに行われます。 訪問介護は介護保険法に則りサービスが行われています。 介護保険法には、第一章・総則の(目的)第一条に、要介護状態となった利用者が介護保険サービスを利用する為の目的を謳っています。 それは、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」ということです。 要介護となり介護を必要とする状態にあったとしても、人として生きる為に自分自身でできる動作・作業・行動があればそれを維持するように努めることや、人としての尊厳を失う事が無いように日々の生活が送れるように支援する事が介護保険を利用してのサービスであると謳っているのです。 そして介護保険法の第四条に(国民の努力及び義務)があり、要介護状態になる事を予防する為、健康でいる事に努めるよう謳っています。 また、要介護状態になった場合においても、適切な医療または介護サービスを利用する事で、未だ本人が多かれ少なかれ自身で行える動作・作業・行動の能力の維持向上に努めるよう謳っています。 それを踏まえた上で、訪問介護のヘルパーは何をする人なのでしょうか? 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解の意味が分かりましたでしょうか。 介護認定を受けた利用者が、日々生活を送る上で難しいとされる動作・作業・行動を介助する事で、 「その人が、その人らしい、その人なり」の自立した日常生活を送れるように支援するサービスが訪問介護であり、その介助をする者がヘルパーなのです。 利用者又はその家族や身内の希望する、日常生活での困った事、こうしてくれたら便利だと思う事を代行する「何でも屋」では無く、介護保険という国の制度を利用しているサービスなのだという事の認識が求められます。 訪問介護ヘルパーのあるある、色々大変なのです。 先程の介護保険の理念でも述べましたが、訪問介護は介護保険という国の制度を利用しているサービスです。 つまり、介護保険法という法律を遵守した上で、利用者が自身の身体状態や生活状況に応じ、自立した生活を送れるように支援を行うものです。 しかし、実際に訪問介護でサービスに入ると、予想しない事態や心身共に参ってしまうような問題に直面する事があります。 他にも色々ありますが、訪問介護サービスでヘルパーとして入り、こういった場に直面した際は、その状況や場に応じ、臨機応変に対応していく事になります。 多くの場合は訪問介護事業所に報告や連絡、相談する必要性があるものばかりですが、なかにはサービス提供責任者やケアマネージャーに報告や相談し、サービス内容の見直しや利用者への説明対応が必要になってくるものもあります。 特に訪問介護サービスに入って暫く経過し、利用者との対人関係や状況に慣れてきた頃、慣れが生じてそうなってしまう傾向もあるようです。 ヘルパーにそう言う事で、(あの人はああしてくれた、こうしてくれた等)このヘルパーにもあれこれ動いて貰おうとする意を持つ場合もあります。 また、ヘルパー自身の技術力や対応面の未熟さへの苦言である可能性もあるので、言われた事は一度受け止めて、どう介助すべきか対応の仕方について考える事も必要になります。 夏冬の訪問でよくある例ですが、その状況が利用者にとって、その季節においての過ごし方であれば、その状況で訪問介護を行うようになる事もあります。 あまりに環境が適しておらず、脱水や熱中症、または火事などの生命の危険を孕む場合は、できる限り環境を改善していくように支援していきます。 しかし、なかなかスムーズにいかないことが多いです。 「ずっとこれで生活してきたから大丈夫」と、長年生活してきた経験を根拠とし、不変を望む相手を納得させるのは大変です。 そのため、サービス提供責任者やケアマネージャー、身内の方との協力の下で意見を聞きながら対応していくようにします。 一般的には問題行動を言われる行為・行動がある場合、なぜそういう行動に出るのか、なぜそのような暴言や妄想被害を言ってしまうのかという事をチームでカンファレンスをする必要があります。 ヘルパーも利用者も同じ人間ですので、何か利用者本人にとって不都合が生じていることや、思わぬ障害が潜んでいる可能性があります。 または、ただ単に男尊女卑の考え方が強い等の様々な理由からそういった行為・行動を起こす事もあります。 双方が怪我をしてしまってはいけないので、早めに対応策を講じ、決して一人で解決しないように抱え込まないように訪問介護事業所側もヘルパーをフォローしなければなりません。 緊急性が高い対応を求められることもあります。 家にいない理由は人それぞれですが、「急に病院受診で出掛けた」「ちょっと散歩に出掛けた」 「訪問介護の中止の連絡を忘れて家族や身内と外出されている」等、無事が確認できるものはまだ良いです。 しかし、徘徊傾向のある人が突然出て行った場合や、ベランダや屋内のどこかで倒れていた場合等、利用者の身の安全が守れない、危険に晒されている場合は早急の対応が必要になります。 救急対応が求められ、近くに家族や身内がいない場合はヘルパーが早急に119に電話するなど、然るべき対応を取り、いち早い利用者の安全を守るように動きます。 介護保険を利用してサービスを受けた利用者の支払う費用は、1割負担若しくは所得に応じて2~3割負担となっています。 家政婦や家事代行と比べると金額は低いですが、利用者にとって出費には変わりありません。 お金を出してサービスを受けるという意味では家政婦や家事代行と混同されてしまいがちになりますが、ただ身体介護を行っている、生活援助を行っているだけではありません。 介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはあるのです。 ちょっとした言葉が大きな力と成長に。 上記でも紹介した思わぬ事態や状況、問題に直面する事も多々ありますが、訪問介護サービスに入って感謝の気持ちを耳にしたり、利用者の状態や状況が改善されて良い方向に進むと仕事とは言え嬉しくなるものです。 「ヘルパーさんが入ってくれてから、入院しないで良いようになった。」 「家族からは色々怒られるけど、ヘルパーさんは話を聞いてくれる。」 「このままずっとこの家に住んでいけたらいいなぁ。」 「ありがとなぁ。」 「退院してきたから、また宜しくな。」 「ヘルパーさんがアンタで良かったわ。」 会話や介助の節々でポロっと言われたり、帰る間際に何気なく言われたりすると、その言葉でヘルパーのやる気も出ます。 どうしたら利用者の状態が悪くならないようにできるかを考えて行動したり、住み慣れた自宅で望む生活を送れるようになるかを共に考えていけるようになるのです。 訪問介護事業所もヘルパーも前向きな力と成長を手にし、利用者は自立した生活を送れるようになる「win-winの関係」となるでしょう。 まとめ 色々な例を交えながら訪問介護が担う役割や現状、重要性をヘルパーからの視点ベースで紹介しました。 ・訪問介護の仕事は、あくまでも利用者の身体介護や生活援助を行う事で、家政婦や家事代行の仕事と似ている部分はあっても希望通り全ての家事や世話を行うものではない。 ・訪問介護は介護保険サービスの理念である「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」に沿って利用者へ介護サービスを行う。 ・状態の悪化を予防し、また悪化を防げず進行したとしても、出来得る限りの能力の維持向上に努めなければならない。 ・訪問介護サービスに入ると、予想しない事態や心身共に参るような問題に直面する事が多々ある。 ・そのような事態や問題も解決する為の対応方法や考え方がある。 ・介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはある。 ・利用者の何気ない言葉や感謝の気持ちは、訪問介護事業に関わる人達の力と成長に繋がる。 目に見えるようなはっきりとした成果は表れずとも、利用者やその家族や身内が、緩やかに穏やかに毎日を「当たり前に」自立して過ごせるようになります。 サービスを行う介護事業(訪問介護事業所やヘルパー、ケアマネージャー等)側も、その支援を責任を持って担う事で、双方が「より良い関係を築き上げられるパートナー」となります。 訪問介護で誰よりも利用者と接するヘルパーは、もっと評価されるに値するのではないでしょうか。 どうか誇りを持ち続け、胸を張って介護サービスに携わって下さい。 最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

  • 介護の仕事は素晴らしい!介護の仕事内容や魅力・スキルについて解説!

    これから介護の仕事を始めてみたいけど、「自分にできるかな?」「続けられるかな?」「介護って難しそうだな」と不安になっていませんか。 この記事では介護の仕事の素晴らしさについて、分かりやすく解説していきます。 そもそも介護の仕事ってどういうことをするの? 簡単に自己紹介をします 私は介護業界10年目の現役介護福祉士です。 いままで3つの法人で働いてきて、いろんな職員や利用者様とかかわってきました。 今までの経験談や見聞きしたことを踏まえた上で、介護の仕事の素晴らしさをお伝えしていきます。 介護の仕事に興味がある方は、 「介護の仕事に挑戦してみたいけど実際にどういうことをするの?」と不安に思っているのではないでしょうか。 ここでは簡単に介護士の仕事の内容を説明していきます。 介護の仕事内容とは 介護施設を利用されている利用者様には様々な身体レベルのかたがいます。 「自分で全部できる人」「ある程度は自分でできる人」「まったく自分でできない人」…と様々です。 私たち介護士は利用者様のできない部分のお手伝いをするのが仕事です。 従事する施設により業務内容は異なりますが、主に次のような業務に携わることになるでしょう。 食事のお手伝い トイレのお手伝い お風呂のお手伝い 就寝のお手伝い 起床のお手伝い 着替えのお手伝い 歯磨きのお手伝い 定期的なシーツ交換 レクリエーションの提供など その他にも、職員間での情報共有(申し送り)や医療職との連携、ご家族様とのやりとりなど業務は多岐にわたります。 介護の仕事の魅力とは 介護の仕事の一番の魅力は利用者様に貢献することで、直接感謝の言葉をいただけることではないでしょうか。 そこで得られる喜びや達成感は仕事へのモチベーションにもなります。 人間だれしも誰かに認められたい、必要とされたいという欲求があります。 介護の仕事は日々の仕事を通じて、他者から認められ、自己肯定感を高められる素晴らしい仕事です。 介護で身につけられる3つのスキル 介護の仕事の魅力は、どの業界でも通用する汎用的なスキルを身に付けられることです。 介護の仕事には、おむつ交換や食事介助など技術的なスキルを求められる事が多くあります。 しかし、思考力や人間性、コミュニケーションスキルなど、ビジネスの根幹となるスキルも求められる仕事です。 一つ一つ解説していきます。 ①人間性 介護の仕事のみならず、どの仕事もそうですが人間性が問われます。 ただ介護は、より人間性が求められる職業ではないでしょうか。 なぜなら介護は自分自身が商品だからです。 一般的な商売なら物を仕入れ販売してお金を受け取ります。 なので物が商品になります。 ただ、介護は物を販売するのではなく、自分達の提供するサービス自体が商品になります。 そのサービスに対して利用者様はお金を支払います。 具体的に介護職が利用者様に提供するサービスには以下のようなものがあります。 おむつ交換 トイレ介助 就寝介助、離床介助 お風呂介助 リクリエーション 日常的なコミュニケーション おむつ交換一つとっても羞恥心に配慮せず適当に対応する職員もいれば、丁寧に声かけをして羞恥心に配慮した介助ができる職員もいます。 日常的なコミュニケーションでも、無愛想な表情で馴れ馴れしい言葉遣いをする職員もいれば、いつも笑顔で礼儀正しい職員もいます。 自分が逆の立場だったら、どちらにサービスを提供して欲しいか明白です。 利用者様は良いサービスを受けようが、悪いサービスを受けようが、選択の余地もなく私達に対して利用料を支払って下さいます。 なので介護の仕事では、プロ意識を持ち、常に自分の商品価値を高める努力をしなければなりません。 人間性という資質が活かせるのも魅力ですし、仕事を通じて人間性を高めることも可能です。 ②コミュニケーションスキル 介護の仕事ではコミュニケーションスキルが不可欠です。 なぜなら利用者様の健康や安心を支えるためには、他職種やご家族様との円滑な情報共有が欠かせないからです。 そのためにも、コミュニケーションスキルは必須と言えるでしょう。 ただ、コミュニケーションスキルと言っても範囲が広いので、分かりづらいと感じるのではないでしょうか? まず介護で必要なコミュニケーションスキルは何か考えてみます。 誰にでも分かりやすく伝えるスキル 介護の仕事では様々な人達とかかわります。 看護師やケアマネ、生活相談員、ご家族様など多種多様です。 職員一人とってもベテランもいれば経験の浅い新人もいます。 仕事の性質上、利用者様の命にかかわる大切な情報もあるため、正確に分かりやすく伝える技術が求められます。 そのためにも、受け手のレベルに応じた伝わる表現を習得する必要があります。 「事実」と「意見」をしっかりと分けて伝えるスキル 一つの事象に対して受け取り方は人それぞれです。 外気が20度下回ると「寒い」と感じる人もいれば「涼しい」と感じる人もいます。 同じように利用者様の健康状態も職員の捉え方によりバラバラです。 利用者様の血圧が平時より若干高い場合、介護職の勝手な判断でたぶん大丈夫と判断するのは危険です。 もしかしたら薬を飲む必要があるかもしれません。 利用者様の安全を守るためにも、自分の意見ではなく、事実をしっかりと伝えるスキルが必要になります。 相手を不快にさせないためのコミュニケーションスキル チームで仕事を進めるためには、スタッフ同士が気持ちよく仕事をする必要があります。 そのために必要なスキルが相手を不快にさせないコミュニケーションではないでしょうか。 日頃からの率先した挨拶や笑顔での対応、約束を守ること、悪口を言わないなど、人として当たり前のことをしっかりと行うことで相手との信頼関係が高まります。 そうすることで、仕事もスムーズにはかどり、利用者様の満足にも繋がるでしょう。 ③問題解決力 介護の仕事では問題解決力が鍛えられます。 現場では日々様々な問題が発生するため解決策を考える必要があります。 「利用者様の転倒」や「感染症の発生」「利用者様同士のトラブル」など日々発生する問題は様々です。 再発させないためにも発生した問題に対して、「なぜ?」を繰り返し発生原因を突き詰める必要があります。 原因に対して効果的な対策を講じたり、その後の経過を検証したりとやるべき事はたくさんあります。大変ですが「学び」も多いです。 介護の仕事にはその他にもたくさんの魅力がある 今までご紹介してきたように、介護の仕事にはさまざま魅力があり、多くのスキルを身に付けられます。 ここでは介護の仕事をすることで感じられる、その他の魅力についてご紹介します。 資格取得を通じてステップアップしやすい 介護には「介護初任者研修」や「実務者研修」「介護福祉士」、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」など様々な資格があります。 資格取得を通じて計画的なステップアップを目指せるのが魅力です。 もちろん資格に応じた手当もあります。 事業所の多くは職員のキャリアアップに積極的で、費用負担してくれる法人も多くあります。 機械(AI)にとって変わられない 介護は人と人がかかわる仕事のため、工場の機械化のように仕事が奪われることはないでしょう。 今ではロボットや機械を使って介護の仕事を楽にできるものがたくさん開発されています。 しあし、微妙な表情や声のトーンから相手の感情を読み取ることは人間にしかできない技です。 それに、利用者様は生身の人間(職員)とのコミュニケーションに生きがいを感じるものです。 将来の親の介護に役立つ 当たり前ですが、介護の仕事に携わると高齢者の疾患や認知症の症状に詳しくなります。 そこで得た知識は将来自分の親が介護状態になったときに活かせるでしょう。 また介護業界で人脈ができることは将来自分の親を介護する際に大きな手助けとなります。 まとめ ここまで介護の仕事の素晴らしさについて解説してきました。 介護は自己肯定感を高められる素晴らしい職業である 介護は人間性が高められる素晴らしい職業である 介護はコミュニケーションスキルを高められる素晴らしい職業である 介護は問題解決力を高められる素晴らしい職業である 介護は資格取得を通じてステップアップしやすい職業である 介護は機械(AI)に取って代わられない職業である 介護は将来、自分の親を介護する時に役立つ職業である 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • 介護保険で住宅改修をしよう!改修箇所別のポイントを解説!

    高齢者の暮らしを支える住宅改修。 有効に使って、要介護者も介護する人も共に暮らしやすいようにしたいですよね。  介護保険での住宅改修ができるのは下記の5箇所と決まっています。 手すりの取り付け 段差解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のためのまたは通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え これから、それぞれのポイントや注意点を紹介します。   手すりの取り付け 介護保険の住宅改修でもっとも工事件数が多いのが、手すりの取り付けです。 手すりは、歩行や立ち上がりの補助をする働きがあります。 そんな手すりですが、たくさん取り付けても意味がありません。 邪魔になって通路が狭くなったり、使わない可能性があるからです。 生活動線や本人の能力を考慮したうえで、手すりを取り付けるようにしましょう。   手すりの役割  手すりの役割は、以下のようなものがあります。 立ち上がりの補助 歩行の補助や誘導  それぞれ、詳しく紹介していきます。  立ち上がりの補助 加齢とともに筋力が落ちて、立ち上がりに時間がかかったり、1人でできなくなりがちです。 そうなると、誰かの手助けが必要になって、介護の負担が増えることになってしまいます。 しかし、すりにつかまれば、立ち上がりが楽にできるようになります。 手すりが、立ち上がりを助けてくれるからです。 たとえば、トイレの壁に手すりを取り付けた場合には、手すりにつかまってスムーズに立ち上がることができます。  1人で立ち上がりができるようになるためにも、介護負担が増えないためにも、補助をしてくれる手すりの取り付けが重要です。  歩行の補助や誘導  加齢とともに落ちるのは、筋力だけではありません。 バランス能力も低くなってふらつきが多くなり、転びやすい状態になります。  壁に手すりを取り付けることで、転ばずに歩くことができます。 手すりが、ふらつかずにバランスをとる支えになるからです。 例えば、夜中にトイレに行きたくなると、トイレまで移動するために暗い場所を歩かなくてはなりません。 そんな時に廊下にに手すりがあることで、移動を助けてくれたり、誘導してくれるので、転ばずに歩くことができます。 転ばずに目的地まで歩くためにも、手すりの取り付けが重要になります。  手すりの種類  手すりには、大きくわけて、5種類あります。  横手すり 縦手すり(I型) L字型 階段用 据え置き型  しかし、どのタイプを取り付ければいいのか迷ってしまいがちです。 それぞれ、どんな時に使用するのか、詳しく解説します。  横手すり  横手すりは、地面に対して水平に取り付ける手すりで、もっとも一般的なタイプです。 つかまって移動する時に使用できるため、廊下や玄関への取り付けが多くみられます。   縦手すり(I型)  縦手すりは、地面に対して垂直に取り付ける手すりです。 段差を上がる時や立ち上がりの時の補助になるので、玄関やトイレに取り付けることが多いタイプになります。  L字型  L字型の手すりは、横手すりと縦手すりが一体化したものです。 立ち上がりと立位保持の手助けをするので、トイレや浴室に取り付けることが多くみられます。  階段用  階段用の手すりは、階段の昇り降りを補助する手すりです。 両側にとりつけることが望ましいですが、片側だけの時は降りる時の利き手側に取り付けるようにしましょう。 しかし高齢者は自室を1階にしていることが多いため、使用する頻度が少ないです。  据え置き型  床に置いて使用するタイプの手すりです。 手すりを取り付けることができない場所にも置くことができます。 工事を必要としないため、住宅改修での対応はできません。 福祉用具貸与での対応になります。  段差の解消 次に、段差の解消です。 対象は、自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差になります。 電力で稼働する段差昇降機や工事を伴わないスロープは、福祉用具貸与の対象外になりますので注意しましょう。  それでは、場所別に解説していきます。  玄関  玄関の上がりかまちは、高齢者にとって大きな障害です。 特に日本家屋は段差が高く、上がるのが大変だからです。 工事としては式台の設置が行われますが、工事を伴わない場合は、介護保険の対象外になります。  駐車場  高齢者にとって屋外の移動は段差も多く、転倒のリスクが高くなります。 筋力やバランス能力など、身体機能が低下しているからです。  たとえば、病院に行く時など外出の際には、駐車場に移動する必要があります。 駐車場までに段差など障害がある時は、スロープを設置したり、階段の段数を増やして、一段ごとの高さを低くすることができます。 敷居 若い人にとってなんともない少しの段差でも、高齢者にとっては転ぶ要因になります。 敷居などは取り外すことが難しいので、小さなスロープを取り付けて段差を解消します。 この時、1/4〜1/5の勾配にすることがポイントです。   滑りの防止及び移動の円滑等のための床または通路面の材料の変更 床などの通路は素材によっては、滑りやすく転倒しやすい要因になっています。 材料を変更することで、転倒予防を図ることができるのです。 もしくは、畳やカーペットでは車椅子の運びが悪いため材料を変更することで、移動をしやすくなります。  ただし、生活動線以外の工事や老朽化によるものは、対象外ですので注意してください。 引き戸等への扉の取替え [caption id="attachment_1295" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 日本の玄関は、「開き戸」が多く使われています。 しかし、「開き戸」は、筋力が低下した人にとっては、開け閉めがつらいものになります。 扉の開け閉め時に、扉の開きしろを考慮するため、筋力やバランスが必要になるからです。 そこで、「引き戸」にすることで、扉の開きしろを気にせずに開け閉めができます。  ちなみに、ドアノブをレバー型に変更することも、住宅改修の対象です。 ただし、扉の老朽化といった交換は、対象外になっています。   洋式便器への取替え 洋式便器への取替えは、和式便器を洋式便器に取り替える場合が一般的に想定されています。 その他、どういった工事が対象になるのか、紹介します。  和式便器を洋式便器へ  現代では少なくなりましたが、日本家屋では和式便器が主流で、現在も残存しているところがあります。 ですが、和式便器は高齢者にとって、使いにくいものです。 しゃがむ動作をする必要がありますが、足の変形から痛みを伴い困難になっていきます。 また、筋力も低下しているので、しゃがんだはいいものの、立ち上がれなかったりすることもあります。  こういった時に、洋式便器への交換は有用です。  暖房・洗浄機能付便器への取替え  現在洋式のものを交換はできませんが、和式を洋式に変更する時は住宅改修の対象になります。  便器の取替えに伴う給排水設備工事  便器を取り替える時は、水回りの交換も必要になりますが、給排水にかかわる工事も住宅改修の対象です。 ただし、もともと水洗だったトイレのみになります。  便器の取替えに伴う床材変更  便器を取替える時は、床や壁も改修が必要になりますが、これも対象になります。  こういった時は対象外  住宅改修の対象外にもなる工事もあります。 洋式トイレを新設 手洗い器やペーパーホルダーの新設 基本的に、新設する場合は対象外です。 既存のものを交換する場合のみ対象になりますので、ご注意ください。  まとめ ここまで、介護保険での住宅改修のポイントや注意点を箇所別にわけて、紹介してきました。  ・手すりは歩行や立ち上がりの補助をするが、たくさん取りつけても意味がない。  手すりは数タイプあるので、目的や場所によってわける。 ・段差解消は自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差をなくすもの。  工事を伴わない段差解消機やスロープの取り付けは、住宅改修の対象にならない。 ・床または通路面の材料の変更は、生活動線以外や老朽化によるものは対象外。 ・引き戸等への扉の取替えは、高齢者にとって開け閉めが難しい開き戸を取替える時に有用。  開けやすいドアノブへの変更も住宅改修の対象だが、老朽化による扉の交換は対象外。 ・洋式便器への取替えは、一般的に和式便器を洋式便器に変更する時。  洋式トイレやペーパーホルダーを新設する場合は対象外。 親に元気に家で過ごしてもらうために、住宅改修を利用して生活環境を整えましょう。  そのためには、箇所別にポイントを把握しておくことが大切です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • 福祉用具の住宅改修とは?基本的な内容から注意点まで解説! 

    介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。  ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは  住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。  親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。   福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption]  「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。   どんな人が使えるの?   住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている  介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。  介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。  入院中などではなく、現在家で生活している  住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。  しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。  家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。  本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る  住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。   いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。  住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。  ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。   1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は?   住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。  要介護度が3段階以上上がった時  要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。  引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。   支払い方法は?   住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。  償還払い  償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。  受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。  ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。   まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。  住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 認知症専門医とは?かかりつけ医から専門医に変更するメリットを解説!

    「認知症専門医」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。 認知症を患った場合、進行を遅らせるための治療が重要です。 そのため、医師の選び方も関わってきます。 今回は、認知症の医療に特化した認知症専門医について紹介します。 認知症専門医とは? 認知症専門医とは、日本認知症学会および日本老年精神医学会に認定されている医師で、全国に約2,000人存在します。 主に精神科、神経内科、老年科に在籍しており、認知症の早期発見や早期治療を担っています。 しかし、人数が少ないため、お近くの病院に在籍していないこともあるので注意が必要です。 良い認知症専門医の見分け方 良い認知症専門医の見分け方のポイントは以下の3つがあります。 MRIなどの「画像診断」を行ってくれる 「認知症テスト」を実施してくれる 定期受診時に丁寧な「問診」を行ってくれる ここでは、3つのポイントをそれぞれ解説します。 丁寧な「問診」 良い認知症専門医の見分け方のポイント1つ目は「問診」です。 問診は、定期的な受診をすると必ず行われるものですが、内容が最も重要です。 良い認知症専門医は、認知症患者にどのような症状や行動があるのか、現状家族にどのような負担があるのか等、丁寧な聞き取りをしてくれます。 また、前回の受診時からそのような変化があるのか、それに対して今後の医療計画や薬の処方内容はどうしていくのか、話し合いの時間を設けてくれます。 介護家族は認知症患者の日々の様子や変化をしっかり専門医に伝えられるよう、現状の把握しておきましょう。 デイサービスや高齢者施設を利用している場合は、介護スタッフから事前に聞いておくことが重要です。 CTやMRIなどの「画像診断」 良い認知症専門医の見分け方のポイント2つ目は「画像診断」です。 CT(コンピュータ断層装置)やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)などを使い、脳の状態を画像で判断します。 実際の脳の画像を元に、認知症が以前と比べてどれだけ進行しているか、服用している薬の効き目があるのかを診断するため、より確実な医療方針を決められます。 また、定期的に画像診断を行うことで、認知症の進行度合いも把握できます。 数値化する「認知症テスト」 良い認知症専門医の見分け方のポイント3つ目は「認知症テスト」です。 認知症テストとは、認知機能障害の有無を調べるために行う簡単なテストです。 長谷川式スケールやMMSEという種類があり、テストの結果で認知症の状態を数値化し、どのくらいの認知機能障害があるか判断します。 認知症テストをすることで、実際にどれくらい認知症が進行しているのか把握できます。 認知症専門医を見つけるためには? 認知症専門医を見つけるために有効な手段は、「ケアマネジャー」や「地域包括支援センター」を尋ねることです。 ケアマネジャー ケアマネジャーは、介護や支援を必要とする方から相談を受け、心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるように介護計画を作成する役割を担う人です。 ケアマネジャーは、実際に介護現場で認知症患者のケアを経験したことがある人も多く、小認知症患者や介護家族に対しての理解があります。 地域の居宅介護支援事業所に常駐しているため、近くの事業所を探しましょう。 地域包括支援センター 地域包括支援センターは、地域内の高齢者の相談や権利擁護、支援体制作り、介護予防に必要な援助などを行う公的機関です。 全国に約5,000ヵ所以上あり、介護の必要の有無に関わらずすべての高齢者の相談を受ける施設です。 ホームページで確認する 認知症専門医は日本老年精神医学会と日本認知症学会のホームページからも検索することが出来ます。 公益社団法人日本老年精神医学会 日本認知症学会 また厚生労働省は、全国約250カ所に 「認知症疾患医療センター」を設置してます。 ここでは認知症専門医が鑑別診断や治療、精神保健福祉士などの専門の相談員による医療福祉相談など医療・福祉関係者を支援する体制が整えられているので、こちらを利用するのもいいかもしれません 認知症疾患医療センター 直接認知症専門外来を受診する方法もありますが、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。 認知症専門医にかかるメリット 認知症には治療法がないため、「早期発見・早期治療」が重要です。 早期発見から早期治療につなげることで、進行を遅らせることができます。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるメリットは、主に以下の4つがあります。 知識や経験が豊富なため、選択肢が増える 患者本人の変化や状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる 大きな病院などの医療連携が速やかである 選択肢が増える 認知症専門医にかかるメリット1つ目は、知識や経験が豊富なため「選択肢が増える」ことです。 かかりつけ医は認知症に関する知識が少ない場合もあります。 認知症には、明確な治療法がなく、一人ひとりの症状や環境に合わせたケアが重要です。 知識や経験が豊富な認知症専門医にかかることで、具体的なケアを考えることができます。 患者の状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット2つ目は、患者本人の変化や状態を把握し「常に医療方針を考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、認知症患者の心身の状態を把握し、新しい医療方針を提供してくれます。 かかりつけ医の場合は、定期検診で認知症患者に異常がなければ簡単に診察を終わらせてしまう可能性があります。 介護家族の負担を減らすことを考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット3つ目は、「介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、介護家族の負担を減らすことを考えて、医療方針を考えてくれます。 介護が負担になるという理由で薬を増やすだけでは、意味がありません。 飲み方を変える、別の薬を利用するなど、家族の意見とともに医療方針を決めていきます。 医療連携が速やかである 認知症専門医にかかるメリット4つ目は、大きな病院などの「医療連携が速やかである」ことです。 認知症専門医が在籍する科には、「認知症センター」や「もの忘れ外来」など認知症が専門となります。 認知症の専門外来には、脳の画像検査機器であるCTやMRIが設置されていることが多く、認知症患者の状態を正確に把握できます。 また、大きな病院とも連携しており、必要があれば速やかに受診できる仕組みです。 どのような時に認知症専門医にかかる? ここまで、認知症専門医について紹介しました。 しかし、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えれば良いのかわからない方も多いのではないのでしょうか。 認知症には明確な治療法がないため、認知症患者に合わせた早期治療が大切です。 以下の点が思い当たる場合、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えることをおすすめします。 認知症の症状の進行が明らかに早い 症状に変化があった場合、薬の調整しか行わない 認知症の進行が明らかに早い 認知症の進行が明らかに早いと感じた場合、治療法が合っていない場合があります。 認知症専門医に相談することで、薬以外の治療法も見つけることが可能です。 例えば、リハビリなどの運動療法や、楽器などを使用する音楽療法も効果が期待できる治療法などがあります。 治療で薬の調整しか行わない 認知症の症状である、うつ・徘徊などの治療薬として、抗精神病薬や睡眠薬が処方される場合があります。 しかし、患者の症状が進行した際、過度に服薬をすると副作用が大きくなります。 薬が効きすぎると、意識が朦朧とする、歩行が不安定になるなどの症状が現れることがあり、転倒などのリスクも高くなるため注意が必要です。 まとめ 今回は、認知症専門医についてと認知症専門医にかかるメリットをお伝えしました。 認知症専門医は、日本に約2,000人存在し、認知症の早期発見や早期治療を担う医師である。 良い認知症専門医を見分けるための3つのポイントは、「丁寧な問診」「CTなどを利用した画像診断」「認知症テストを用いた診断」である。 認知症専門医は、認知症患者の変化をしっかり把握し、医療方針を考えてくれる。 認知症専門医にかかるメリットは、「選択肢が増える」「患者の状態を把握し常に新しい医療方針を考えてくれる」 「介護家族の負担を減らすことを考えてくれる」「医療連携が速やかである」の4つである。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるタイミングは、「認知症の進行が明らかに早い」「治療で薬の調整しか行わない」場合である。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 認知症は改善できる?認知症の種類と改善例を解説!

    高齢者が発症しやすい病気としてよく聞く「認知症」。 しかし、認知症にもさまざまな種類があり、症状によっては改善したり進行を遅らせたりする方法があることをご存知でしょうか。 今回は、認知症の種類や改善例について紹介します。 認知症の種類と原因・症状 では認知症とはどのような症状がでるのか、種類や認知症の原因について解説します。 認知症とは? 認知症とは、脳の病気や障害などが原因で認知機能が低下する病気です。 認知症は高齢になるほど発症リスクが高まると言われ、2020年時点で日本の65歳以上の患者数は約600万人です。 認知症の代表的な症状として、以下の6種類があります。 自分の体験や過去の記憶が欠落する「記憶障害」 計画を立てて物事が行えなくなる「実行機能障害」 時間や場所など自分の状況が把握できなくなる「見当識障害」 言葉の理解や表出が難しくなる「言語障害(失語)」 ご飯を食べるなど日常的な行為ができなくなる「失効」 自分の体の状態や自分と物との位置関係などの空間認識が難しくなる「失認」 認知症は、一時的に思い出せない、一部分を忘れてしまうなどの加齢による物忘れとは異なります。 自分の環境や状況を正しく理解できない、今までできていたことができなくなるなど日常生活に支障をきたすようになります。 また、認知症には主に以下の4種類があります。 アルツハイマー型認知症 血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 4種類の認知症は、それぞれ発症する原因と症状が異なります。 それぞれの認知症の原因・症状 次に、4種類の認知症について紹介します。 アルツハイマー型認知症 「アルツハイマー型認知症」は、日本で最も多いと言われている認知症で、認知症患者全体の約63%を占めます。 脳の神経細胞にタンパク質であるアミロイドベータが溜まり、神経細胞が破壊され脳が萎縮することで起こります。 原因は、加齢や遺伝が影響する可能性が高いとされていますが、近年では、糖尿病や高血圧の人が発症しやすいと明らかになりました。 アルツハイマー型認知症の初期症状は、物忘れから始まり、食事をしたことを忘れるなど行動そのものを忘れる記憶障害が現れます。 症状の進行は緩やかですが、徐々に脳の萎縮が進行します。 血管性認知症 「血管性認知症」は、認知症患者全体の約20%を占め、2番目に多いとされる認知症です。 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害によって脳の血流が阻害され、脳の一部が壊死することで起こります。 原因は、脳梗塞などを引き起こす高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病です。 血管性認知症の症状は、障害が起きた脳の部位によって異なります。 主な症状には、歩行障害や手足のしびれ、排尿障害、言葉が出にくくなる言語障害、感情のコントロールができないなどの精神障害があります。 また、脳梗塞や脳出血などの血管障害の発作を繰り返すと症状も重くなっていきます。 レビー小体型認知症 「レビー小体型認知症」は、神経細胞にできる特殊なタンパク質である「レビー小体」が脳に溜まり、神経細胞を破壊することで起こります。 しかし、レビー小体が脳に溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 レビー小体型認知症の症状には、手足の震えや体がこわばるなどの身体障害が挙げられ、徐々に進行し、転びやすくなります。 他にも、実際には存在しないものや人物が見える幻覚、うつ症状も現れます。 調子の良し悪しで、気分や行動が異なり、症状の変化が大きいことが特徴です。 前頭側頭型認知症 「前頭側頭型認知症」は、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで起こります。 65歳未満で発症することが多い認知症であり、10年以上かけて症状が進行していく場合がほとんどとなります。 原因は、脳に、異常構造物である「ピック球」が溜まることによるものと、タンパク質である「TDP-43」が溜まるものと言われています。 しかし、ピック球とTDP-43が溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 前頭側頭型認知症の症状には、性格が極端に変わることが多くなり、万引きや悪ふざけなどの反社会的行動が増える、衛生面の管理ができないなどが挙げられます。 また、同じ行動を繰り返す、身勝手な行動をとる、時間通りに行動しないと気がすまないなどの症状が特徴です。 症状が進行すると、言葉の意味がわからなくなる、言葉が出なくなる症状も現れます。 認知症は改善するの? 脳の神経障害によって起こる認知症には、現在根本的な治療法はないと言われています。 また、認知症は完治するものではありませんが、ケアによって症状の改善が見込まれる場合もあります。 次は、実際に体験した認知症の改善方法について紹介します。 認知症の改善例①食事を自己摂取されない高齢者Aさん 認知症の症状には、自分で食事をとる、洋服を着るなど、今までできていた行動ができなくなる「失効」があります。 認知症の進行により、食事を自己摂取できなくなった高齢者Aさんに自分で食べてもらうよう促しますが、何度スプーンを渡してもテーブルに戻してしまいます。 しつこく介助をすると、怒ることもありました。 実施したケア Aさんの座席の前に、よく喋りよく食べる高齢者Bさんに座っていただき、Bさんが食事する様子を見てもらいながら、最初は介助にて食事を取ってもらいます。 そして、お皿を持ってもらう、おかずをのせたスプーンを持ってもらうなど促すと、真似をして少しずつ自己摂取するようになりました。 また、Bさんが話しかけてくれることで笑顔や発語する様子も見られるようになりました。 認知症の改善例②介護スタッフが抱えて移乗していた高齢者Cさん Cさんは、認知症の症状によって意思の疎通が難しく、脚の力はありますが、ベッドから立ち上がってくれません。 また、ベッドから車いすに移る際に怖がってしまい、ベッド柵を握るなど力を入れてしまいます。 ベッド柵を握っていては安全に移乗ができないため、介護スタッフの肩に手を回してもらい、全介助にて移乗を行っていました。 実施したケア ベッドから立ち上がる、車いすに座るという行為を繰り返し行うことで、移乗の行為を覚えてもらうよう努めました。 その際、毎回車いすを見せて示すことで、「ここ(車いす)に座る」という認識をしてもらいやすくなります。 また、日常的に声掛けをすることで気持ちも穏やかになり、介護スタッフに対する不安などがなくなり、力むこともなくなりました。 最終的には、Cさんは見守りをするだけで車いすに移乗できるようになります。 ここで紹介したAさんとCさんは、一時的に認知症の改善が見られましたが、認知症が進行すると元の状態に戻ることも考えられます。 また、すべての認知症を持つ患者さんに当てはまるものでもありません。 しかし、声のかけ方や何度も繰り返し促すことで、理解できるようになる場合もあるため、一人ひとりに合ったケアが重要です。 まとめ 今回は、認知症の内容、改善例についてお伝えしました。 認知症とは、脳の神経に障害が起こることによって発症する病気である。 認知症は、記憶障害・実行機能障害・見当識障害・言語障害・失効・失認の症状が現れる。 認知症には、主に、アルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の4種類がある。 認知症は、現在も原因が明らかになっていないものが多い病気である。 認知症を治す治療法はなく、一人ひとりに合わせたケアが必要である。 認知症は、声のかけ方や促し方の工夫によって、改善が見られる場合もある。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 介護をする家族が後悔しないための準備とは?重要なポイントを解説!

    親が高齢になると、急に介護が必要になることがあります。 今回は、家族に介護が必要になり、介護家族になった際に後悔しないよう準備しておくべきことを紹介します。 介護家族は介護を受ける親の情報を把握しておく 介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の1つ目は、「介護家族は介護を受ける親の情報を把握しておく」ことです。 把握しておくべき情報は、主に以下の3つです。 親の健康状態 親の経済状態 介護に関する親の希望 これらの情報は、親が望む介護・必要とする介護を提供するために参考になります。 親の健康状態 まずは、「親の健康状態」について知っておきましょう。 必要な介護を受けるためには、親の現在の体調、服用している薬、過去の病歴や怪我など基本的な情報が重要です。 かかりつけの病院や、親と親交のある近所の人など、介護が必要になる前の様子や体調がわかる人に話を聞いておきましょう。 親の経済状況 次に、「親の経済状況」を確認しましょう。 認知症などの病気によって、自己管理ができなくなる場合もあります。 通帳や印鑑の場所、証書類やカード類などを整理しておくと安心です。 しかし、介護にどのくらいのお金が必要であるかわからない方も多いのではないでしょうか。 介護度別の平均介護費用額は、以下の表のようになります。 介護度 介護費用 要介護1 月3.3万円 要介護2 月4.4万円 要介護3 月5.9万円 要介護4 月5.9万円 要介護5 月7.5万円 出典:みんなの介護 介護度は、どの程度の介護を必要とするかを表す基準です。 要介護1は、家事や歩行などの動作に見守りなど一部の介助が必要な方、要介護5は、ほぼ寝たきりの方を指します。 要介護度が高くなるほど、介護費用も高くなる傾向にあります。 また、介護が必要になった場合に準備すべきものは、主に以下の4つです。 車いすや歩行器 介護用ベッド 着脱がしやすい衣類や靴 簡易トイレやおむつなどの排泄用品 歩行に不安が現れた際は、車いすや歩行器を利用します。 身体が不自由な人でも利用しやすい衣類などの消耗品も必要になります。 介護を必要とする生活はいつまで続くかわからないため、経済面での余裕は重要です。 介護家族の負担を増やさないためにも、金銭管理は早めにしておきましょう。 介護に関する親の希望 「介護に関する親の希望」は、介護家族が後悔しないために重要なポイントです。 「在宅介護」か「施設介護」か 介護が必要になった場合、住み慣れた家で生活を続ける「在宅介護」にするのか、高齢者向けの施設に入居する「施設介護」にするのかを決めなければいけません。 今まで自由な生活を送っていた場合、施設に入居することに抵抗を持つ方もいます。 しかし、介護家族側は、常に見守ってもらえる環境が整う施設に入居してほしいと望む方が多くなります。 「どのような生活を送りたいか」も、事前に話し合っておくべき重要な点です。 介護士経験者からの重要ポイント 病気が進行し治療法がなくなった際に必要になるのが「看取り」に関する決断です。 「看取り」とは、病気が治る見込みがなくなった場合に、延命治療を行わず、安らかに最期を迎えることです。 延命治療は体力的にも負担がかかるため、治療を中止して苦痛のない看取りを選ぶのか、本人と家族の意見が重要になる場面です。 親と意思疎通が取れなくなった場合に、親がどう考えているのかわからず後悔する家族もいます。 そうならないためにも、事前に将来のことを話し合い、親の希望に寄り添う準備をしておきましょう。 介護家族内で介護方針や役割分担を決めておく 介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の2つ目は、「介護家族内で介護方針や役割分担を決めておく」ことです。 介護方針 基本的な決定権は、介護を必要とする親と家族であるため、意見をまとめておくことが重要です。 親の治療に関して積極的に行っていくのか、病気が悪化した場合どうするのかなどさまざまな選択が必要になります。 家族同士で意見が異なると、スムーズに介護方針を決められません。 役割分担 家族内での役割分担をしておきましょう。 在宅介護を選択した場合、24時間ひとりで介護を行うことは現実的ではありません。 親戚と情報共有をして、時間や曜日で役割分担し、協力するようにしましょう。 介護士経験者からの重要ポイント 役割の一つとして、1番目の緊急連絡先となる「キーパーソン」を決めなければいけません。 親の急な体調不良などがあった場合、主治医や介護事業所から連絡が入ります。 また、本人が意思表示できない場合の意思決定を行う役割もあります。 病院や介護事業所など介護機関と最も多く関わる役割であるため、柔軟に対応できる方や、親について最も理解している方が向いています。 介護家族は必要な知識を身につけておく 介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の3つ目は、「必要な知識を身につけておく」ことです。 介護サービスについて 介護は、家族のみで行うものではありません。 高齢者支援サービスや行政サービスを利用して、介護家族の負担を減らすことができます。 情報不足によって制度などを利用できなかったということがないように注意しましょう。 介護保険サービス 必要な介護の度合いを表す要介護認定を受けることで、介護保険サービスを利用できます。 親と家族だけでは負担できない部分を補えるサービスです。 介護保険サービスには、主に以下の6種類があります。 介護サービスに関する相談、ケアプランの作成 自宅で受けられる家事援助などのサービス 日帰りで利用するデイサービス 施設で生活し、介護を受けられるサービス 訪問、通い、宿泊を組み合わせて受けられるサービス 介護用ベッドなどの福祉用具の利用にかかるサービス 介護保険サービスを利用すれば、介護に関する相談ができる、介護サービスを提供する機関と連携ができるなどのメリットがあり、初心者の方でも安心です。 介護保険サービスは、在宅介護でも施設介護でも利用できます。 介護保険外サービス 介護保険サービス以外にも、自治体や地域のボランティアが行うさまざまなサービスがあります。 自治体が行うサービスには、以下の4つのようなものがあります。 寝たきりの高齢者の散髪などを行う理髪サービス おむつの支給やおむつ代の助成 高齢者が住みやすい住宅を作るための改修の補助 高齢者の介護を行う家族に対する家族介護慰労金 自治体によって、実施対象者や金額はさまざまですが、利用することで負担を減らせます。 地域のボランティア団体や民間が行うサービスには、高齢者向けの付き添いや安否確認サービス、弁当などの配色サービスがあります。 家族の負担を減らすためにも利用したいサービスです。 自治体や地域のサービスは、広告していることが少ないため、住んでいる地域について一度調べてみましょう。 介護家族の支援制度について 介護支援制度には「介護休暇制度」と「介護休業制度」があります。 介護休暇制度 「介護休暇制度」は、親の通院などの付き添いなどで短期間の休みが必要な場合に、労働者が利用できる制度です。 以下の表は、介護休暇制度の特徴です。 対象となる労働者 対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く) 対象家族 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 取得可能日数 年5日まで/対象家族が1人 年10日まで/対象家族が2人以上 取得単位 1日または時間単位 出典:厚生労働省 介護休暇制度は、取得できる休暇日数は少ないですが、対象となる労働者の基準が低く、気軽に取得できます。 介護休業制度 「介護休業制度」は、休業して介護を行いながら、仕事と両立できる環境を整える制度です。 以下の表は介護休業制度の特徴です。 対象となる労働者 取得予定日から起算して、93日を経過する日から 6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、 更新されないことが明らかでないこと。 対象家族 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 利用期間/回数 対象家族一人人1人につき3回まで、通算93日 出典:厚生労働省 介護休業制度は、仕事と介護の両立を支援する制度であり、自治体やケアマネジャーと連携しながら介護を行えます。 まとめ 今回は、介護家族が後悔しないために準備しておくポイントについてお伝えしました。 親の健康状態、金銭状況の確認が必要である。 介護に関する親の希望を確認しておくべきである。 介護家族内で役割分担と情報共有が重要である。 介護に関する知識を身につけるべきである。 自治体や事業所と協力して介護の環境づくりが重要である。 最後までご覧下さり、ありがとうございます。

  • 介護現場での情報共有の大切さとは!情報共有する相手や方法を解説

    皆さんは情報共有を積極的に行えていますか? 介護の世界では「情報共有」はとても大切なことです。 それは職員の間だけではなく、利用者の方やご家族等にも情報共有が十分にできていないと、トラブルが発生する原因となります。 今回は情報共有の大切さと、どのようにすればスムーズに行えるのかをご紹介します。 情報共有ってどのくらい大切? 介護においての情報共有の関係には3パターンあります。 まずは職員対職員。次に職員対ご家族、最後にご家族対ご家族。 この3つに分けて情報共有の大切さをお伝えします。 ①職員対職員の情報共有 職員間で最も大切なのは利用者の方の身体や精神のケアについての情報共有です。 薬が変更になったり、食事形態が変わったりなどケアの方法が変わることはよくあることです。 また利用者の方が置かれている環境の変化についての情報共有も行います。 例えばキーパーソンが変わったり、連絡先が変更になったり、ご家族が亡くなったりとこちらも大切な情報です。 特にセンシティブな情報は利用者の方の不安感に繋がるので、注意して取り扱うことが必要です。 また介護業界は日勤や夜勤、正社員とパートなど様々な勤務形態の職員が混在しています。 しっかりと情報共有をしておかなければ、漏れが出てくる場合があるので気をつけましょう。 ②職員対ご家族の情報共有 職員対ご家族も入念な情報共有が必要となります。 ご家族→職員の情報共有 これは特に「デイサービス」や「ホームヘルパー」など在宅介護に関係のある現場で必要です。 入所施設であれば施設職員が日常の様子や、定期的な通院など変化に気づきます。 しかし在宅介護の現場であれば利用者の方と関わる時間は僅かですので、ご家族からの情報でケアの方法が変更となるケースが多いです。 独居の利用者の方であれば「最近着替えていることが少ない」「布のパンツでは排泄が難しそう」など、介護士やケアマネージャーが気づくこともあります。 職員→ご家族への情報共有 入所施設などの施設介護は職員→ご家族への情報共有が必要です。 定期的に面会に来られるご家族であれば利用者の方の変化に気づくことは容易ですが、遠方にお住まいのご家族であれば気づくことが難しいでしょう。 久しぶりの面会で自立度が落ちてしまい、以前とあまりに様子が変わっていると驚いてショックを受ける可能性も少なくありません。 他にも持病の調子が変わった、体調が悪いなど通院の結果や日常の変化まで伝えておくとご家族も安心できます。 ご家族の立場に立って些細なことでも情報共有を怠らないようにすることが大切です。 ③介護をしているご家族同士の情報共有 1日、2日で終わることのない介護で、不安や負担を感じているご家族も多いはず。 周りにも頼れる環境であれば良いですが、孤立して孤独を感じている介護者の方もいます。 ただでさえ身体的、精神的に負担のかかる介護ですから、少しでも精神面を安定させるために同じように介護で悩んでいる方との情報共有も大切です。 他の方と情報共有することで少しでも前向きになれたり、孤独感を減らすことができるかもしれません。 Twitterでは#(ハッシュタグ)家族介護などで介護者同士コミュニケーションをとったり、他にも介護をしている方を孤独にさせない取り組みも全国で行われていたりします。 介護で悩む介護者の方は、同じく介護の悩みをもつ方と情報共有してみましょう。 介護現場で情報共有するための課題 このように介護現場では情報共有することがとても重要です。 しかし、情報共有行う上での課題もあります。 記載方法が人によって違う 働いているスタッフの性格や経験、スキルなどによって記載する情報の制度に差が出てしまいます。 そのため情報のボリュームが1つずつ異なり、適切な情報共有ができなくなってしまうのです。 介護施設で共有しなくてはいけない情報は数が多いため、確実に統一した情報量で記載するのは困難です。 できるだけ情報量にばらつきが出ないように記載項目を統一するなどの対策が重要です。 情報共有に時間がかかる 先も解説した通り、介護施設でスタッフ間が共有しなくてはいけない情報量は膨大です。 そのため、情報共有をするためのアウトプットもインプットも多くの時間がかかってしまいます。 しかし、情報共有だけに多くの時間を割いてしまうと、肝心の利用者様へのケアがおろそかになってしまいます。 できるだけ短時間で効率よく情報共有できる仕組みづくりをすることが重要です。 スタッフ全体で情報共有すること 施設で働くスタッフはシフト制ですし、訪問介護の場合は利用者様のご自宅に行くため、スタッフ全員が集まって情報共有するのは難しいのです。 しかし、利用者様に適切なケアをするためには、スタッフ全体で共有するべき情報は数多くあります。 そのため、すべてのスタッフが確実に必要な情報を理解しているのかを管理することが重要です。 情報共有不足で起きるトラブルとは? 最も大切な職員間の情報共有が上手くできていないと何が起こってしまうのかを4つお伝えします。 ①誤った介護につながる恐れがある 間違った介護をすることが仕事をするうえで一番怖いことです。 例えば薬が追加された情報が共有できていなかった場合、もしその薬が命に関わるものだったらどうなるでしょうか。 それがきっかけとなって命を落としてしまう可能性もあります。 命に関わるものでなくても、その方にとっては症状を緩和させる大切な薬です。 また食事形態の変化なども気をつけておかなければ、誤嚥や窒息につながる恐れがあります。 大きなトラブルとならないよう職員全員が利用者様の情報を確認しておくことが重要です。 ②ケアの目的に差が発生する どういった目的でその介護サービスを利用しているのかの情報も大切です。 例えばコミュニケーションをとることが難しい方が利用していたとします。 「スタッフが間に入り他の利用者の方とコミュニケーションをとれるようになった方が良いのか」、それとも「自分のペースでゆっくり過ごせたら良いのか」、目的によってケアの方法が全く違います。 後者が目的でサービスを利用しているにもかかわらず、無理にスタッフが間に入ることで状態が悪化してしまったり、利用者の方が不安になる可能性もあります。 リハビリや食事や入浴、利用者の方にとって目的は様々です。 無理なケアとならないよう、職員間でその方にあったケアの目的を共有しましょう。 ③利用者の方、ご家族の方が不信感を抱く 利用者様の事故が実際に起こってしまうと利用者の方やご家族が不安に思ったり不信感を抱いたりします。 利用者の方が今までできていたことが進んでできなくなったり、笑顔や会話が減ってしまったりする場合もあります。 ご家族もそんな利用者の方の様子を見て、万が一サービスの利用を停止してしまうとまた介護の負担がご家族にかかってしまいます。 利用者様にもご家族の方にも安心してご利用いただけるように、情報共有を確実に行うようにしましょう。 ④職員のモチベーションが低下し、人間関係の悪化に繋がる 共有せず情報を得た人だけ抱えたり、日誌で共有しても見てもらえなかったり、そういうことが起きると職員のモチベーションの低下に繋がります。 きちんと情報共有されておらず、自分1人だけその情報を知らなかったら、疎外や孤立を感じて人間関係の悪化に繋がります。 介護はチームワークがとても大切です。 得た情報は自分だけで抱えず、すぐにスタッフ間で共有するようにしましょう。 積極的に情報共有を行うには? 情報共有を積極的に行うために、以下のことを心がけるようにしましょう。 毎日ミーティングを行うようにする スタッフ間のコミュニケーションをとるためにも、毎日10~15分程度のコミュニケーションを行うことをおすすめします。 ミーティングの内容は、当日の予定や連絡事項、問題点など共有したい内容を簡単に伝えるだけでも十分効果的です。 時間帯は皆が集まりやすい始業前や、シフトの切り替えタイミングを使うようにしましょう。 話し合いをできる場を作る 全員で集まるのは難しいかもしれませんが、スタッフ間で意見を言い合う場をつくることをおすすめします。 お互いの意見を言い合い、相手の立場や意見を尊重するようにできれば、協調性も生まれることでしょう。 また、スタッフ間のコミュニケーションの場にもなります。 情報共有できるツールを取り入れる できればスタッフ間でこまめにコミュニケーションをとったりやり取りができることがよいのですが、日々の業務に追われてなかなかうまくいかないこともあります。 そういった状況でも情報のやり取りがきちんとできるように、ツールを使用することはとても重要です。 ここでは介護現場で使用するのにおすすめのツールをご紹介します。 ①LINEWORKS 「LINEWORKSって何?」「聞いたことあるけどどういったもの?」という方にご説明します。 職員対職員 介護の現場では日誌などの紙媒体を使った情報共有が多いのではないでしょうか? LINEWORKSを使用すると無料で職員全員とメッセージや通話ができるようになります。 写真や画像を用いてメッセージを送ることができ、使用感はLINEと同じような感覚です。 薬や食事形態の変更、ケガなど文章だけでは不十分でも、写真や動画を一緒にすることでより適切な情報共有が可能です。 また送ったメッセージは1職員だけでなく、フロアごとや施設全体などの一斉送信も可能なので共有の漏れもありません。 またビデオ通話もでき、オンラインで1対1の面談をすることもできます。 職員対ご家族 職員間だけでなく、ご家族との連絡もLINEWORKSで行うことができます。 職員からお伝えしたいこと、ご家族からお伝えしたいことを気軽にサッと連絡できるので便利です。 またこちらでも写真や動画を使ったメッセージが可能なので、事務的な連絡だけでなく日常生活を遠方のご家族に伝えることもできて安心です。 施設を利用した介護はどうしてもキーパーソンの方に負担がかかってしまいがちですが、一斉にメッセージを行う機能を使えばキーパーソンの方の手間や負担を減らすことができます。 オンライン面会を取り入れよう コロナが発生したことにより面会を制限する施設も増えました。 入所施設からオンライン面会の案内をされたことのあるご家族も多いのではないでしょうか。 オンライン面会では遠方だったり自身の置かれている環境で、なかなか施設へ足を運べない方に便利なサービスです。 15分や30分程の短い時間であっても、どのように過ごしているのか様子を見ることができると安心します。 施設職員もご家族へ一緒に情報共有ができて、両者共に利点があります。 しかしLINEWORKSもオンライン面会も取り入れるのはハードルが高く感じますよね。 そこで今回ご紹介したいのは介護業界のIT活用を支援する「タダカヨ」というNPO法人です。 「タダカヨ」さんは「タダでカイゴをヨくしよう!」をテーマにしていて、なるべくお金をかけずに、介護をより良いものにできるよう活動しています。 ・LINEWORKSマニュアルの無償提供 「タダカヨ」さんではLINEWORKSを推進しており、無償提供のマニュアルではLINEWORKSを利用するメリットや利用方法が詳しく紹介されています。 ・オンライン面会マニュアルの無償提供 オンライン面会ですが操作方法や始め方が分からず、実行できていない方もいらっしゃいます。 「タダカヨ」さんではそんな方向けにオンライン面会のマニュアルを無償適用しています。 LINE版、Zoom版の公開がされており、面会希望者向けにオンライン面会の案内テンプレートも用意されています。 まとめ ・薬や食事形態の変更だったり、利用者の方の周りの環境の変化だったりと様々な情報が存在する。 ・介護業界は人によって勤務時間や形態に違いがあるので、漏れがないように情報共有する。 ・トラブル防止のため在宅介護においてはご家族→職員、施設介護においては職員→ご家族を特に大切にする。 ・介護者同士の情報共有は孤独や孤立を感じないために大切なので、SNSなどを利用して積極的に行う。 ・情報共有不足は命に関わることもあるので気をつける。 ・利用者の方が望んでいるケアを行うために、ケアの目的を周知しておく。 ・利用者の方やご家族の不信感に繋がる恐れがあるので、情報共有はきちんと行う。 ・職員間や、ご家族との情報共有のためにLINEWORKSは非常に有効である。 ・オンライン面会を取り入れることで、直接の面会は難しくても、表情や声などの情報をご家族に伝えることができる。 ・「タダカヨ」さんではLINEWORKSとオンライン面会のマニュアルが無償提供されている。 最後までお読みいただきありがとうございました。