皆さんは介護業界にどのようなイメージをお持ちですか? 3Kと呼ばれる「汚い」「きつい」「危険」や、給料が安いなどネガティブなワードを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 今回は介護業界の実態とそんな介護業界で働くことのメリットをお伝えします。 介護業界ってどんなイメージ? 冒頭でも述べましたが、介護業界というより「介護」自体にネガティブなイメージを持っている方は非常に多いです。 ではなぜ世間ではそのようなイメージを持っているのでしょうか。 その要因は主に3つあります。 ①テレビや新聞が与えるネガティブなイメージ 日本では長年、少子高齢化社会が問題とされており、それによる「老老介護」など介護の問題が注視されています。 それにまつわるニュースが取り上げられることも日々の中で非常に多く、介護は日本人共通の問題です。 また介護に追われる日々を過ごしている方に密着して報道したりと、リアリティのある番組もよく目にします。 そんなメディアに共通するのは「暗い声のナレーションや音楽」で、見ていても決して明るい気分にはならないことです。 確かに社会問題としてはそのような表現は適切で、実態を世間に訴えかけるのは大切なことです。 しかし、やりがいを感じて楽しく介護業界で働く方も多くいらっしゃいます。 そういった方に着目したメディアはまだまだ非常に少ないです。 世間で「介護=ネガティブ」というイメージとなってしまうのには、こういった理由が挙げられます。 ②周囲の人に「偉いね」「凄いね」と言われる 介護士であれば一度は経験したことがあるのではないでしょうか。 これは自分が介護士として働いていると周囲に伝えると、「介護士をするなんて凄い」「偉い」と言われるということです。 上記で説明した介護=ネガティブというイメージがあるため、「介護業界で働いているなんて凄い」に繋がります。 そういった声かけでネガティブなイメージは周囲に連鎖していきます。 介護業界や介護士だって他の仕事と同じです。 ③職員同士のネガティブな声かけ 職員から職員へネガティブな声かけがされているのを耳にすることもあります。 「大学まで出たのに介護士なんて親が悲しむ」「若いのになんで介護士なんて選んだの?」 実際に私が言われた言葉です。 同じ介護業界にいる職員の言葉は、世間から言われるより一層ネガティブな気持ちになります。 こういった声かけを職員間で行うと、世間という外部からだけでなく、内部から介護業界のネガティブなイメージを植え付けてしまう結果となります。 上記の3つの要因も、介護業界で働くことが嫌煙されている理由の一つです。 では世間が抱く介護のイメージの実態は正しいのでしょうか。 介護業界の実態って? 世間で持たれている介護業界のイメージの中でも、特に多い4つの実態をお話します。 3Kの「汚い」「きつい」「危険」って本当? 介護の仕事として排泄業務や入浴業務などがあります。 これは介護にとって切っては切れない業務になりますので、結果3Kは正しいと言えます。 人手不足という点からどうしても慌ただしくなることも多く、「きつい」と感じる瞬間は非常に多いです。 また利用者の方の中には歩行が不安定であったり、嚥下が上手く行えない方も多くいらっしゃいます。 利用者の方には安全に過ごしてもらわなければならないので、そういった理由で常に「危険」を意識して仕事をします。 介護業界は給料が安い? 介護業界といっても働き方は本当にそれぞれです。 介護士やケアマネージャー、介護事務、ドライバー、施設長、などたくさんの仕事があります。 実は皆さんが想像するような介護士の仕事は、無資格でも働くことができます。 未経験で無資格の介護士として働く場合は、やはり給料は安くなる傾向にあります。 しかし介護業界はキャリアアップできるのが良いところです。 無資格だったとしても初任者研修や実務者研修の取得ができますし、経験を積んで国家資格である介護福祉士を取得することもできます。 最初は希望のお給料でなくても、キャリアアップをすることで、納得のいくお給料を得ることができる可能性も高くなります。 介護業界は離職率が高い? 介護業界は離職率が高いイメージの方も多いのではないでしょうか。 実は他産業と比較しても離職率にそれほど差はありません。 公益財団法人介護労働安定センターによると、平成19年度に21.6%とピークを迎えたものの その後下がってきており令和2年度には14.9%となっています。 処遇改善が行われた結果、介護業界の離職率は年々下がっている傾向にあります。 また全産業の離職率は14.2%ですから、比較しても介護業界が飛びぬけて離職率が高いというわけではありません。 介護業界の人間関係は悪い? こちらもよく聞かれるイメージではないでしょうか。 介護というのは「尊厳や接遇を大切に」「拘束は原則行わない」など大まかなマニュアルはあるものの、十人十色のケアを提供する必要がある仕事です。 それにより職員間で意見がぶつかることも多々あります。 また人手不足による余裕の無さで、会話が淡白になってしまうこともあります。 ただこういったケースは介護業界だけではありません。 人間関係の悩みも他業界でもよくあることです。 介護業界だけが特別多いということはありません。 介護業界で働くことの良い点は? どうしてもネガティブなイメージを持たれやすい介護業界で働くことで得られることは何があるでしょうか? 4つご紹介します。 ①やりがいを感じることができる やはり介護士として働く中で利用者の方から「ありがとう」と言ってもらえることは一番のやる気に繋がります。 中にはコミュニケーションをとることが難しい利用者の方もいらっしゃいます。 ですが日々のケアで少しずつ信頼関係を築き喜ばれたりと、やりがいを感じることができる仕事です。 自分の成長を感じやすい業界なので、モチベーションを保って仕事に充実感を得れるのも介護業界の特色です。 ②性別や年齢、学歴に左右されない 介護士は間口が広く、無資格・未経験でも務めることができる仕事です。 学歴が問われることも少なく、興味のある方は飛び込みやすい業界であるともいえます。 介護業界と普段関わりのない方の中には、資格が必要ないという事実を意外と知らない方も多くいらっしゃいます。 勿論資格がある方が就職や給与面で有利です。 ですが介護士としてまず最初に取得を目指すであろう初任者研修や実務者研修などは比較的難易度の低い資格です。 介護業界が自分に向いていると実感してから取得のために行動しても遅くありません。 ③様々な年代の方と関わることができる 多くの企業では職員の中で最も高齢の方は70歳前後でしょう。 介護業界は職場によりますが職員を含めると、10代~100歳までと本当に幅広い年齢の方が集まる場所です。 今では考えられないような当時の話や感覚を知ることができ、驚くこともよくあります。 人生の大先輩から学べる機会が多くあるのは介護業界ならではです。 ④健康の大切さを実感することができる 介護を必要とする方は身体や精神に悩みや不安のある方ばかりです。 介護度が高くなると自分の足で歩いたり、食べたいものを食べたり、当たり前にできていたことが難しくなります。 そんな介護度の高い方と一緒に過ごしていると健康の大切さや尊さを実感します。 行きたい場所に自分の足で行ける、食べたいものを自分で作って食べれるという、そんな簡単なことでも有難いと思える瞬間が必ずあります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 こちらを読んだ方が少しでも介護業界に対してポジティブな印象を持ってくださると幸いです。 ・介護業界がネガティブなイメージを持たれがちな要因として、メディアから与えられた印象、周囲の反応、職員間のネガティブな会話が挙げられる。 ・3K「汚い」「きつい」「危険」は事実である。 ・介護業界でもキャリアアップすれば給与面の悩みは払拭される可能性がある。 ・介護業界だからといって他業界より明らかに離職率が高いわけではない。 ・ケアへの価値観の違いですれ違うことはあるものの、特別人間関係が悪い業界だとは言えない。 ・自分の成長を実感しやすい業界なので、やりがいを感じる場面は多い。 ・性別や年齢、学歴にとらわれず、間口が広い業界である。 ・他業界より幅広い年齢の方と関わる機会も多く、その分学びも多い。 ・自分の足で歩けたり食べたいものを食べたりと、今まで気にも留めなかった健康が大切なものだと実感することができる。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
質の高いケアを提供する上で、チームの連携は不可欠といえます。 これは介護施設でも在宅介護でも同様です。 チームの連携が取れていれば、利用者にクオリティの高いケアを提供することができます。 逆に、チームとして連携が不十分である場合、提供するケアの質が下がってしまうケースが多々あります。 当然ながら、ケアマネとしては事業所内でスムーズに連携が取れているところに仕事を依頼したくなるものです。 では、ケアマネはどのような時にチームとして連携が取れていると感じているのでしょうか。 連携不足の弊害 連携が取れていないチームの場合、以下のような弊害が生まれてきてしまいます。 提供するサービスのクオリティを統一できない 情報共有ができない(特に他職種) 職員同士の仲を深められない さっそく1つ1つ、具体的に見ていきましょう。 提供するサービスのクオリティを統一できない 一番の弊害は何といっても、提供するサービスを統一できなくなることです。 介護職は利用者に対して、1対1で接するのが基本となります。 また、施設であればシフト制で数日会わない職員もいますし、訪問介護であれば個人で対応することが基本となってきます。 それでも、介護職員によって提供するケアがバラバラであってはなりません。 たとえば、嚥下能力が落ちてきているご利用者に対し、水分100ccにどの程度のトロミ剤を使用するのかということがチーム内で統一されていなければ、職員が個々の考えで勝手に決めてしまいます。 すると、対応する職員によってトロミの固さにバラつきが出てしまいます。 これではご利用者やご家族は安心できませんし、プロフェッショナルの仕事とは言えません。 情報共有ができない(特に他職種) 連携が重要なのは、他の職種に対しても同様です。 「めまいを訴えていたご利用者が、横になったらすぐに落ち着いた」とします。 落ち着いたので、看護チームには伝えなかったということでいいのでしょうか。 もしかしたら、大きな病気の前兆かもしれません。 その日の深夜に同様の訴えが出た場合、どう対処すればよいでしょうか。 些細なことでも、情報があることで先に手を打てる可能性があります。 何よりも、他職種と連携が取れていれば、それだけ幅広い視点でのケアを提供することができるようになり、結局はご利用者に還元することができるのです。 職員同士の仲を深められない 連携が十分に取れていないことを気にかけている職員は、必ずいるはずです。 そういった職員は不満を抱えている可能性があります。 それだけならまだしも、周りの職員に不満を漏らしているケースすらあります。 そうなると職場や上司へ不満を抱く職員も出てきてしまうことでしょう。 負の連鎖が始まる前に、しっかりとコミュニケーションを図る必要があります。 上記のような弊害が生じてくることで、結局、割りを食ってしまうのはご利用者とその家族です。 お金をいただいているプロフェッショナルであるならば、こうした事態は避けたいものです。 連携不足はこうして起こる うまく連携を取れていない介護チームは、数多くあります。 その事実を、ご利用者やご家族から指摘されるケースもあるようです。 なぜ、こういったことが起こるのでしょうか。 連携不足が起こるのは、以下のような理由があります。 報連相の重要性を理解していない チームケアの重要性を理解していない どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 1つ1つ解説していきます。 報連相の重要性を理解していない 1点目は報告・連絡・相談の重要性を職員が理解していないという点が挙げられます。 こういった職員に対しては、「情報を共有するとケアの質が上がる」ということを指導していく必要があります。 チームケアの重要性を理解していない 2点目として、チームケアの重要性を理解していないということが挙げられます。 「ケア」というものは個人で行うものでなく、チームで行うものです。 介護職だけでなく、医療やリハビリ・福祉用具の専門家、ケアマネや行政も関わってくる場合もあるでしょう。 関わる全員がすべての情報を共有する必要はない場合もあるかもしれません。 しかし、最低限知っておくべきことはきちんと伝えられるようにするべきです。 どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 職員の中には(特に入社したばかりの職員)は、どんなタイミングで、どんな情報を共有すればいいのかわからないというケースがあるようです。 これについては、マニュアル化しておくのがベストです。 マニュアルがなかったとしても、先輩が具体的に示してあげる必要があります。 連携不足にならないために それでは、きちんと連携が取れているチームを構築するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。 以下の点に気を付けるだけで、格段に連携が取れるようになります。 リーダー役が必要 連携の重要性を確認する チームで目標を共有する 情報を共有するツールを作る リーダー役を明確にする チームとしてうまく連携を取りあい機能させるには、リーダーが必要になります。 在宅介護であれば、その役割を担うのはケアマネです。 また、1人の利用者に対し複数のヘルパーが介入する訪問介護事業所なら、サービス提供責任者がリーダーとなるでしょう。 それぞれのチームにおいて、リーダー役や中心になる人が必要となります。 連携の重要性を理解する 「連携の重要性を理解していない」という要因に対しては、研修が有効です。 もちろん、入社時に報連相の重要性をきちんと伝える必要はありますし、これはどこの事業所も実践していることでしょう。 しかし、人間は忘れる動物です。 日々の忙しさに流され、基本がおろそかになってしまうという経験は誰しもあるはずです。 そのため、研修で連携の重要性について学びなおすことは、とても価値があります。 チームで目標を共有する もう1つ重要なのが、チームとして目標を共有することです。 目標が明確であれば、ご利用者に対して「どのようなケアを行ったのか」「その効果はどうだったのか」「次にどのようなケアをしていくべきか」など、情報共有をする目的ができるため、自然と連携を取りやすくなります。 情報を共有するツールを作る 連携の必要性を理解していたとしても、「どのように連携を取りあえばいいのか、わからない」という職員もいます。 そのため、リーダーは連携を取るためのツールを用意してあげましょう。 今は介護記録をスマホで入力し、クラウド上で共有することもできます。 施設であれば、ノートだって構いません。 いずれにしても「重要な情報はここに記載し、業務の前に一読する」などのルールを設定し、研修でその重要性を訴えていきましょう。 信頼は連携から生まれる 連携というのは介護の基本でもあり、かつ最重要事項といっても過言ではありません。 なぜなら、介護というものは1人では成立しないからです。 ケアマネからすると「伝えたはずのことが事業所内できちんと全員に伝わっていない」 ということになれば、次にお仕事を頼むのはやっぱり二の足を踏んでしまいます。 反対に、些細なことでも情報共有ができている事業所にはまたお仕事をお願いしたくなるものです。 まとめ ケアを提供するにあたり、チームの連携、情報共有は不可欠です。 連携不足だと以下のような弊害が生じます。 提供するサービスを統一できない 特に他職種への情報提供が不足する 職員同士の仲を深めることができない 連携不足になる要因には以下のような事柄が考えられます。 職員が報連相の重要性を理解できていない チームケアの重要性を理解できていない どの情報を、どのタイミングで共有すればいいか悩んでいる 連携不足を解消するためには、以下のような方法をとりましょう。 リーダー役を明確にする 連携の重要性を理解する チームで目標を共有する 情報共有のためのツールを用意する 連携は介護における最重要事項の1つです。 「いい介護はいい連携から」ということを常に頭においておきましょう。 チームの全員が連携の重要性を理解できるよう働きかけ、いい介護を提供していってください。
在宅介護を受けながら暮らす高齢者が増えている中、支援困難な事例も比例して増加しています。 ケアマネとしては腕の見せどころでもありますが、解決の糸口が見つからないというケースも散見されるようです。 今回の記事では支援困難事例にぶつかったときにどのような解決方法があるのか見ていきましょう。 支援困難事例とは何か そもそも「支援困難事例」とは、どういうものなのでしょうか。 実は具体的な定義はありません。 対応に苦慮する事象や問題の特徴はさまざまですし、複数の要因が重複していることもあり得ます。 そして、問題に取り組むケアマネによって、感じ方・受け止め方が違います。 経験のあるケアマネなら対応できるケースでも、新人ケアマネが対応したときには戸惑う場合もあるでしょう。 言い換えれば、ケアマネとして経験を重ねることで、支援困難だと感じる事例が減ってくるといえます。 ほとんどのケアマネが支援困難事例を経験している 今から約10年前、大阪の社会福祉協議会がケアマネに行ったアンケート結果では、約90%のケアマネが「支援について困った経験がある」と答えています。 この結果から「10人中9人のケアマネが困難事例を担当したことがある」ということがわかります。 経験を積めば困難事例と感じなくなるケースも どんな職業であっても、すべてにおいて最初からうまくできることはありません。 経験を積んでいくことで、成長していきます。 ケアマネも同様で、いろいろなケースに対応していくことで、選択肢の引き出しも増え、心の余裕も生まれてくるものです。 特に対人援助については経験値が上がることで、より良い対応につながるケースは多いといえます。 困難事例を解決する方法 では実際に、自分一人の経験だけでは対処しきれないような困難事例に遭遇したとき、どのようにすればよいでしょうか。 対応の仕方にはいくつかのパターンがありますので、そちらをご紹介します。 似たような困難事例がなかったか事業所内で確認する まずは自分が所属している事業所内で、他のケアマネに相談してみましょう。 実際に、各ケアマネが支援に困っている例を相談する会議を定期的に設けているところもあります。 朝礼や夕礼の場で行う事業所もあるようです。 他のケアマネに相談することで、良い対応方法を教えてもらえたり、似たような事例に対応した経験を持つケアマネもいるかも知れません。 地域包括支援センターや基幹包括支援センターに相談する 地域包括支援センターや基幹包括支援センターは居宅ケアマネが対応に苦慮しているケースの相談に乗ってくれます。 他の事業所からの相談も受けていますので、過去に似たような相談が持ち込まれており、解決のきっかけを与えてくれることがあります。 場合によっては、相談にのってくれるだけでなく、解決に向けて一緒に動いてくれることもあり、とても心強い存在です。 問題解決にはケアマネ個人ではなく、チームで取り組む 自分一人で解決できない事例は、事業所内のケアマネや包括支援センターに相談することが重要ですが、ケアに取り組むチームで情報を共有することも大切です。 たとえば、訪問介護事業所のサービス提供責任者や、福祉用具担当者、デイサービスの責任者などが挙げられます。 対応に苦慮していることを共有し、多くの人から知恵を出してもらうことで、問題が解決に向かうこともあります。 ただし、デリケートな情報を必要以上の人数で共有することはやめましょう。 契約時に個人情報使用の許可を得ていても、必要最低限の人数にとどめるべきです。 相談が解決に結びついた実例4例 それでは、実際にチームケアや包括支援センターに相談することで、解決に向かった実例をご紹介します。 サービス担当者会議をきっかけに解決した例 Aさんはケアマネになってまだ2ヵ月です。 担当する利用者Bさんは認知症が進行してきました。 特に入浴を嫌がり、デイサービスには行くものの入浴は拒否が強く、体臭がするようになってきてしまいました。 他の利用者からも「Bさんが臭う」と苦情が出るようになってしまいました。 ケアマネやヘルパーが入浴するように何度説得しても、耳を貸してくれません。 このままではデイサービスも利用できなくなってしまいます。 どうすべきか、担当者会議を開催したところサービス提供責任者より、「昔、近所のCさんとよく銭湯に行っていたと話していたことがあります。Cさんに相談してみてはどうでしょう」と意見が出ました。 さっそくCさんに相談してみたところ、快く了承いてくれました。 Bさんに「これからはCさんと一緒に銭湯に行きませんか」と話したところ、思いのほか喜んでくれ、週に2回、一緒に銭湯に行ってくれることになりました。 包括支援センターに相談して解決した例 Dさんはケアマネージャーとして長年、介護施設で働いてきました。 担当している利用者Eさんの娘さんは、毎日のように電話をしてきます。 その電話の内容というのが、「なぜ母の部屋しか掃除してくれないのか。洗濯にしてもそう、一緒に住んでいる家族の分までやるのが当然じゃないか」というもので、いくら説明しても介護保険制度を理解してくれません。 困ったDさんは包括支援センターに相談し、括の職員からEさんの娘さんに介護保険制度について 改めて説明してもらうことにしました。 そうしたところ、介護保険制度について理解してくれたようで、その後電話がなることはなくなりました。 問題解決後も、包括支援センターの職員はDケアマネのことを気にかけてくれ、それからというもの、Dさんも相談がしやすくなりました。 事業所内で相談し、解決に向かった例 Eさんについて、近隣より「異臭がする」との情報が寄せられました。 室内は物が散乱している状況で、着衣には汚れが目立ち、尿臭もします。 Fケアマネは訪問介護を提案していますが、Eさんは他者の入室を拒みます。 身寄りはなく、30年以上お一人で暮らしている方です。 事業所内で話し合った結果、「入室を拒む」ということから、プラン立案の段階ではなく、まずはこまめに訪問し、信頼関係を築くことが必要と判断しました。 長年の独居生活から、「ご自分のペースがある」と判断、性急な生活改善はあえて避けました。 その間もちろん、近隣への配慮の連絡も欠かさないようにします。 支援が必要だと本人が判断した段階で、サービスを導入することができました。 弟妹とケースワーカーに協力を仰いだ例 Gさんは認知症が進行してきていました。 また、生活保護を受給されています。 会話をしている限りでは一見問題ないように思えますが、病識がなく、生活全般に困難が生じてきています。 特に食事や水分をきちんと摂れていないようです。 幻覚症状も出現し、気分に波があり、物忘れも多くなってきました。 通帳を紛失したり、身に覚えのない訪問販売の契約書もあります。 親族は高齢で疾病を抱えている弟妹がいます。 Gさんは不安な気持ちが大きくなると、弟妹や訪問介護事業所に電話をするそうです。 ケアマネは成年後見制度の必要性が高いと判断しました。 ただ、日常生活が成り立たないわけではなく、その進め方にも悩みます。 本人の不安な気持ちを解消するためにも、成年後見制度の活用を本人と弟妹に説明し、理解を求めました。 また、ケースワーカーからも話しをしてもらったところ、Gさんも納得され、後見制度の利用に結びつきました。 介護保険以外の他機関を活用も検討を 支援を困難にする要素の1つに、「介護保険サービスしか利用していない」という可能性があります。 その場合は、介護保険外サービスを利用することも検討すると幅が広がります。 ケアマネ研修でも「インフォーマルサービスの活用を」と何度も言われました。 インフォーマルサービスを活用することで、困難事例が解決に向かうことがあります。 行政機関はインフォーマルサービスの活用に長けていますので、相談することが重要なのです。 「ご利用者の経済状態と相談しながら」という条件が付きますが、金銭的に介護保険外のサービスが難しくても、無料で行政のサポートなどが受けられるケースもあります。 まとめ 最後に、今回の記事のまとめです。 約90%のケアマネが困難事例を経験している 困難事例は1人で抱え込まないことが重要。 困難事例の解決策として 事業所内で相談する 地域包括支援センターなど、行政機関にも相談・活用する チームで解決に向けて動く 介護保険外のインフォーマルサービスを活用するなど、柔軟に対処する 支援困難な事例に1人で関わり続けるのは大変なことです。 多くの人に相談し、チームとしてうまく関わることで、解決の糸口が見つかることがあります。 最後までお読みいただきありがとうござます。
介護保険制度では、介護記録を残すことが定められています。 介護記録とは提供したサービス内容や、利用者の状態変化を記録したものです。 また、年々介護事故による訴訟や賠償なども増えてきています。 利用者や家族のために懸命に仕事に取り組んでいても、事故は起きてしまうものです。 そんなとき大切になってくるのが介護記録です。 今回は介護記録の目的や書き方についてご紹介します。 介護記録を書く目的 先述したとおり、提供したサービスを記録に残すことは、介護保険法で定められています。 それはなぜなのか、その目的について、考えたことはありますか? 目的はいくつかありますが、そこを理解しておくことで、記録も書きやすくなります。 スタッフ間の情報共有 介護現場では多くの方が一人の利用者に関わります。 ヘルパーや介護士も複数でケアに当たりますし、看護師や理学療法士など、多くの職種の方が関わり、その方の生活を支えてくれます。 しかし、関わる全員が同日同時刻に関与するわけではありません。 そのため、日々変化する状況を全員が共有する必要があるわけです。 利用者は日々の生活の中で、体調が安定しているときもあれば、そうでないこともあります。 「あまり食事を摂りたがらない」「微熱がある」等普段と変わったことがあれば、いつから、どういう状況なのかを記録に残すことによって、情報を共有し、統一した対応を行うことができます。 個人ではなく、組織として、より良いサービスを継続的に提供していくことができるのです。 利用者や家族とのコミュニケーションを深める 日常的に様子を記録しておくことで、家族から普段の様子を聞かれたときにも、的確に答えることができます。 また、利用者本人と話しをする際にも、自分が関わっていなかったときの記録に「膝の痛みを訴えていた」「頭痛を訴えていた」等とあれば、その情報を基に「体調はいかがですか?」などと声をかけ、コミュニケーションを深めていくことが可能になります。 ケアプランに反映させる 普段の様子を記録に残しておくことで、ケアプランの達成度合いが見えやすくなります。 「もう少し、違う角度からアプローチしてみようか」とチームでも検討しやすくなることでしょう。 また、新たなニーズについても発見しやすくなるというメリットもあります。 介護記録は事故が起きたときに身を守る証拠にもなる これまで見てきたように、介護記録は利用者や家族と事業所を信頼でつなぐツールになります。 日常的にいくら素晴らしいサービスを提供していたとしても、それが正確に記録されていなければ いざ事故が起きてしまい、訴訟となったときに不利な立場におかれてしまうことになりかねません。 事故が起きたときには、家族から記録の開示を求められることがあります。 その際に記録が不正確であったり、記録そのものがなかったりすると信頼を損なうだけでなく、社会的責任を追及される事態にもなってしまいます。 逆に言えば、万が一訴訟に発展してしまったような場合でも、適切な介護記録があれば、適切な介護サービスを提供しており、職員は適切な行動をとっていたという証明にすることができます。 事業所や職員を守る法的証拠となるのです。 介護事故から記録が守ってくれる例 たとえば、転倒事故であれば、利用者の普段の様子(歩行能力等)はどうだったのか。 「この1~2週間、膝の痛みを訴えていて転倒の危険性が高まっており、職員が側につきそうようにしていた」 それが記録にあるかどうかで、訴訟になった際の過失割合は変わってくる可能性が高いです。 「いざ」という時、正確な介護記録が身を守る武器となってくれる。 記録というのは、それほど大事なものなのです。 介護記録の書き方のルールとポイント ここからは、介護記録の書き方について解説していきます。 様式に決まりはありませんが、いくつかのルールが存在します。 それは以下の項目を必ず記載することです。 日時 記録者 事実を記載する 上記の3点を正確に記載するようにしてください。 次に記載するときのポイントを解説します。 以下のポイントを理解していることで、書きやすさが格段に変わります。 メモを残す サービス提供中や会議の最中にはこと細かく記録をする時間はありません。 そのため、要点や気が付いたことをメモしておくことで、後々記録を書く際に忘れてしまうのを防ぐことができます。 メモは忘備録のためですので、箇条書きでもよいでしょう。 メモを取ることを習慣にすると、「どうだったっけな」と思い悩むことも少なくなります。 結果的に記録の時間を短縮できる上、記録抜け・記録漏れを防ぐことができます。 5W1H 記録の基本は5W1Hです。 いつ(When) どこで(Where) 誰が(Who) 何を(What) なぜ(Why) どのように(How) 上記の6項目を網羅して記録すれば、読んだ人が「何を言っているのか、わからない」ということはありません。 常に5W1Hを意識して、記録をするよう心掛けてください。 である調で書く 記録は「である調」で記載します。 「ですます調」で記載してはいけないというものではありませんが、それこそ訴訟などになったときには公式の文書ともなるため、である調での記載が望ましいでしょう。 客観的事実を書く 記録には、客観的な事実のみを記載します。 提供したサービスの内容や、利用者の行動や発言、また、体調などです。 「私は○○と思ったが」という主観や感想、また憶測などは記載しないようにしましょう。 専門用語の使用は控える 介護記録は利用者や家族から提示を求められることもあり得ます。 「介護記録は開示されるもの」という意識でいた方がよいでしょう。 その際、専門用語やその事業所特有の略語などを使用していると、外部の方には理解することができません。 略語を使うと、記録の時間を短縮することができるように感じますが、実際には5分も10分も短縮できるわけではありません。 上記のような理由から、一般的にも馴染みのある言葉で記録をすることが望ましいといえます。 当然ながら利用者や家族が読んだときにも不快な気持ちを抱かせない表現を使用するようにしましょう。 「させた」などの命令表現や、人格を否定するような言葉を用いることは絶対に許されません。 また、介護職では当たり前のように使う表現でも家族はイヤな気持ちになるのが以下のことばです。 「認知」 「不穏」 「徘徊」 それぞれ「認知症」「落ち着かない」「一人歩き」などと言い換えるとよいでしょう。 【まとめ】 ・介護保険制度では、介護記録を残すことが義務付けられている ・介護記録の目的 スタッフの情報共有 利用者、家族とのコミュニケーションのため ケアプランに反映させ、ケアの質を高める 事故が起きて、訴訟などの際に正当性を主張する証拠となる ・介護記録のポイント 忘れないようにメモをとっておく 5W1Hを意識する である調で記載する 主観を交えず、客観的事実を記録に残す 専門用語、略語は控える 利用者や家族が読んだ時に、不快な念を抱かせない表現を使う 上記のポイントを頭に入れておくと、記録業務がスムーズにいきます。 また、「いざ」という時にも自分の身を守ってくれることとなります。 「記録業務も、立派な介護業務の一環」という気持ちで取り組むようにしましょう。
デイサービスにはさまざまな種類があります。 そのため、どんなサービスを行いどんな違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 今回はデイサービスの違いと、自分に合う施設の選び方を解説します。 デイサービスとは? まずは、デイサービスとはどんな所かをご紹介します。 デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所です。 また、一緒に暮らす家族の介護負担軽減も役割の1つです。 高齢になるにつれ、心身機能が低下し家で生活することが難しくなります。 そのために、デイサービスで日常生活に関するサービスを受け、住み慣れた家で生活できるように支援しています。 また、デイサービスで他者と交流することで心の機能回復も目的としています。 サービスの内容は、食事、排泄、口腔ケア、入浴、機能訓練、相談や助言など日常生活に関することです。 どんなデイサービスがある?違いを知って選ぼう デイサービスは、それぞれに特色があり以下の5つ種類があります。 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 どんなサービスを提供しているのか具体的に解説します。 違いを知ることで、自分にあった所を選びやすくなります。 ①通所介護 通所介護とは、高齢者が在宅で自立した生活ができるように支援する場所です。 サービスの内容は、機能訓練や社会交流、家族の介護負担軽減、日常生活に関する支援、相談を行っています。 ②通所リハビリテーション 通所リハビリテーション(以下通リハ)とは、リハビリに特化したデイサービスです。 主治医の指示で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職がリハビリを実施します。 通リハはリハビリを目的としていますが、食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスも提供しています。 参照元:厚生労働省 通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 認知症対応型デイサービスとは、認知症に特化したデイサービスです。 通常のデイサービスでも認知症の方は通えますが、利用人数が多いと対応が難しい場合があります。 認知症のデイサービスは、利用者の人数が12人以下と定められています。 また、デイサービスの責任者は、「認知症対応型サービス事業管理研修」を修了していることが義務付けられています。 食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスはもちろん、認知症進行の緩和や認知症に対するケアが受けられます。 参照元:LIFULL介護 認知症対応型通所介護とは ④地域密着型通所介護 地域密着型通所介護は定員数が18人以下で、「事業所がある市町村に住んでいる人」と定められています。 これは、より細やかなニーズと手厚い支援を受けられるように限するためです。 サービス内容は通所介護とほとんど変わりませんが、人数が少ないので、利用者一人一人に合ったケアを提供しています。 参照元:健康ネット 地域密着型通所介護とは?サービスや通うメリットについて解説! ⑤療養型通所介護施設 療養型通所型介護施設は、医療的なケアを必要とする人が利用できるデイサービスです。 通常のデイサービスでも、利用できますが事業所によって受け入れに制限があります。 看護師が常駐する中で、日常生活の全般の支援から機能訓練を行います。 対象者は、難病や脳血管疾患後遺症・がん末期など常に医療ケアが必要な人等です。 参照元:介護ワーカー 療養通所介護とはどんなサービス?役割や仕事内容について解説! 違いが分かったところで、次の章ではデイサービスの選び方のポイントを紹介します。 ポイントを押さえて自分に合った事業所を選びましょう。 デイサービスの選び方のポイントは4つ ここでは、デイサービスを選ぶ時に押さえたいポイントを4つ解説していきます。 ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容はどうなのか ③対応できる利用時間 ④入浴やトイレの設備の確認 それぞれのポイントを具体的にご紹介します。 ①デイサービスの人数はどれくらいか デイサービスの1日の利用者人数を確認しておくと雰囲気が分かります。 人数が少ないと利用者の一人一人の細かいニーズに応えやすいです。 人数が多いと法人運営しているところが大半になるので、スタッフの育成がしっかりできています。 デイサービスの1日の利用者人数を見るのもデイサービス選びのポイントの一つです。 ②食事の内容を確認する デイサービスでは食事にこだわっている事業所が多く、主食を魚かお肉に選択できたり、すべて手作りの施設もあります。 まとめて食事を作っている事業所もあるので、糖尿病や塩分制限がある方は、食事が対応できるか確認しましょう。 ③対応できる利用時間 どれくらいの時間を利用できるのか、短時間など対応してくれるのかなどを確認しましょう。 身体の調子が悪い時や退院後は長時間のデイサービスが体力的にきつい場合があります。 また、病院を受診するから早く帰宅したい、ヘルパーの利用があるから短時間にしたいなど、要望に応えられるか確認しておくと安心です。 ④入浴やトイレなど施設の設備を確認する 施設によって、入浴設備が自宅のようなお風呂だったり大浴場のお風呂だったりします。 入浴時は職員がついていますが、恥ずかしいから個浴で入りたい、温泉のようにみんなでワイワイと入りたいなど好みがあるのでチェックしておきたい設備です。 また、トイレもみておきたい設備の一つです。 たくさんの事業所がある中で、古民家を改装したデイサービスもあるので、トイレの向きによっては麻痺がある人は使いにくくなってしまいます。 トイレの設備が自分の身体に合うか確認しましょう。 デイサービスの選び方のポイントを押さえたところで、次は見学する時にみておきたい項目をご紹介します。 デイサービスを見学する時のポイント デイサービスの見学はした方がいいと言われますが、どこを見ればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。 この章では、見学する際のポイントをご紹介します。 ①いつも出入りするに人に対して挨拶しているのか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している人の雰囲気を見る 一つ一つ具体的に解説していきます。 ①いつも出入りする人に対して挨拶がきちんとしているか 基本的にお客さんにはきちんと挨拶するので、ここではいつも施設に出入りがある業者や職員同士が挨拶をきちんとしているかチェックします。 いつも出入りする人に対しては、自然な対応になるので、見ておきたいポイントなのです。 ②方針や方向性が定められているか デイサービスでの方針や方向性が定まっていると職員間で摩擦が生じにくく、ケアに対して統一感があります。 例えば、利用者の目標をきちんと職員が共有出来ており、やるべきケアが統一されている施設もあります。 職員の動きは、見学時に確認しておきたい項目です。 ③現在利用されている方の雰囲気をみる 施設全体の雰囲気が合うのかチェックするのも大切ですが、今利用されている方が楽しそうにされているか見るのもポイントです。 職員は新規利用者獲得の為、良いところを見せようとする場合がありますが、今利用されている方は楽しそうに取り繕う必要性がないからです。 実際、自分に合うかは利用して見ないと分かりませんが、大半のデイサービスは1日体験利用を実施しています。 上記ポイントを意識して、体験利用してみると自分に合う事業所が見つけやすくなります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 デイサービスの違いと自分に合う選び方のポイントをご紹介しました。 ・デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所である ・デイサービス 5つの種類 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 ・デイサービスの選び方 4つのポイント ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容 ③利用時間 ④施設の設備を確認する ・デイサービスを見学時の3つのポイント ①顔見知りの人に挨拶しているか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している方の雰囲気を見る 最後まで読んでいただきありがとうございました。
将来介護されることになったら不安ですよね。 不安を解消するには、早め早めの対応と備えが大切です。 今回は、将来介護されることになった時の備えを紹介します。 将来介護されることになった時の不安な理由は? 将来介護されることになった時の不安な理由は、家族に迷惑をかけたくない、頼れる人がいない、病気に対する不安、経済面が心配、など人によって様々です。 中にはよく分からないけど、不安を抱えているという人もいます。 この章では、内閣府が55歳以上の人を対象に、介護の不安に対する調査を行った結果を元に具体的な理由を紹介します。 まずは自分が何に対して不安を感じているのか整理してみましょう。 介護に対する不安な内容 ①家族に肉体的・精神的負担をかけること 50.6% ②身体の自由が感じられなくなること 40.5% ③介護に要する経済的負担が大きいこと 28.8% ④特に理由はないが、漠然と不安を感じる 22.2% ⑤人生の楽しみが感じられなくなること 20.6% ⑥希望する介護施設等に入られないこと 17.8% ⑦収入がなくなること 16.7% ⑧特に不安なことはない 15.6% ⑨介護をしてくれる家族がいないこと 14.1% ⑩現在の住宅構造に問題があること 10.5% 約半数の人が、家族に肉体的・精神的負担をかけることを不安に感じていました。 一番の理想は住み慣れた家で最後を過ごすことですが、核家族が多い中では難しいのが現実です。 また、他にも身体面や経済面が不安といった内容も多かったです。 環境面では介護状態になった場合、現在の家に住めなくなるという心配点もあります。 不安な理由は、5つに分類できます。 次の章では、不安な理由を分類し今からできる備えをご紹介します。 将来介護されることになった時の解決策と備え 介護をされることになった時に不安を感じる具体的な内容が分かった所で 理由を分類すると大きく5つに分かれます。 ①家族 ②身体面 ③経済面 ④環境面 ⑤生きがい この分類を元に不安に対する対策を考えていきましょう。 ①家族について 解決方法は、家族に自分が思っていることを正直に話すことです。 具体的な内容は自分が不安に思っていること、自分の生活や人間関係、必要であればお金のことや希望の施設があれば話しておくと安心です。 直接話すのが難しい場合は、紙に書いておくと分かりやすいです。 子どもが遠くに住んでいたり、配偶者が先立っている場合があります。 いざという時の保証人を決めておきましょう。 介護施設を利用する場合、「緊急時に対応してくれる人」が必要です。 保証人がいないとなると利用できない場合があります。 調査結果で一番多かった回答が「家族に迷惑かけたくない」というものでした。 核家族がすすみ、介護は家族がするものという価値は変化しています。 まずは、自分自身ができることから始めましょう。 ②身体面 運動や規則正しい生活をしたり、定期的に病院に通うなど、いわゆる「介護予防」をしておくことが大切です。 介護予防とは要介護状態の発生をできるだけ遅らせることと定義されています。 具体的な内容は、運動機能の維持や食生活の見直しなどがあげられます。 身体のことだけではなく、社会参加や生活の中での役割を持って 生きがいがある生活を送っていくことも大切です。 参考サイト:厚生労働省 介護予防について ③経済面 まずは毎月の収支やどれだけのお金を持っているか金銭面の把握をしましょう。 預貯金以外にも、契約している保険や不動産関係も確認しておくと安心です。 老後の費用を「増やす」という方法もあります。 増やす方法は、貯蓄・投資・保険の3種類です。 ・現在の収支から出来る範囲でお金を貯めていく「貯蓄」 ・投資信託や株式などを購入し利益を見込む「投資」 ・日常で起こるリスクに備えて準備をしておく「保険」 それぞれに経済状況が違うので自分にあった方法を活用することも大事です。 ④環境面 家の中の片付けや不用品の処理を元気なうちにしておくと安心です。 高齢になると筋力の低下とともに転倒するリスクが高くなります。 そして、転倒する多くの場所が自宅内なので、片づけをすることで転倒予防になります。 また、自宅内の転倒が多い場所は以下の通りです。 ①お風呂場 ②庭・駐車場 ③ベット・布団 ④玄関・勝手口 ⑤階段 転倒の原因は滑る・つまずく・ふらつく・移動している時・引っ掛かるなどです。 家をバリアフリーにするにはお金が掛かりますし、賃貸の場合は住宅の改修ができません。 家の片づけはすぐできるので動線を確保したり、使用頻度が高い物は取りやすくしておくなど住宅を見直ししておきましょう。 参照サイト:消費者庁 ⑤生きがい 生きがいとは、「人生の価値」や「生きていく喜び」などと表記されています。 価値や喜びは人それぞれ違うので、生きがいもその人によって異なります。 シニア世代は仕事を退職したり、子育てがひと段落するので、生活に張り合いがなくなったと感じる人が多いです。 そこで「生きがい」が大切になってきます。 では「生きがい」はどうやってみつけるのでしょうか。 生きがいを見つける4つのポイント ①自分が楽しい・嬉しいと感じること ②社会参加や役割を持つ ③新しいことにチャレンジする ④暮らしの中で幸せを感じるよう意識する これを軸としてこの機会に生きがいを考えてみてくださいね。 将来の介護に対する不安に対しての具体例を紹介 ここの章では、高齢期に備えてみんながどんな備えをしているのか、アンケートを行った結果をご紹介します。 ぜひ参考にしてみてください。 ①健康維持・体力作り 64% ②日々の節約・体力作り 51% ③身の回りの整理をしておく 36% (不用品の処分、通帳、クレジットカードなど重要書類の整理、運転免許証納品など) ④資産形成 35% (金融商品への投資、保険商品の加入など各種資産運用) ⑤長く続けられる趣味・娯楽を始める 33% ⑥老後の家計予想・シミュレーション 30% ⑦家族、親戚、知人、近隣などとの付き合いや交流の拡充・維持 19% ⑧高齢期に住む住宅の検討または購入 11% アンケートの中身を具体的に見ていくと、健康に対する意識は、9割以上が日頃から自分の健康状態に気を付けて生活しているとの回答があがっています。 また、「定期的な健康診断」「食事の管理」「適度な運動スポーツ」を行っている人が6割です。 健康に関しては、日頃から取り組んでいる人が多いという結果でした。 参考サイト:2019年10月高齢期の暮らしに関する意識調査・実態調査 将来介護される前に備えておくことが大事 将来、介護されるのは誰だって嫌だし不安ですよね。 筆者自身、介護職として約10年間施設で働いていましたが、介護をしてほしいという人はいませんでした。 可能であれば、自分でできることは自分でしたい、身の回りのことは自分でしたいという人が大半です。 しかし、早めに対策しておくことで介護が必要になった時の備えはできます。 人それぞれに価値観や環境が違うので、出来ることから自分に合った備えをしていきましょう。 まとめ 今回は、将来介護が必要になった時の備えについてご紹介しました。 いかがでしたでしょうか。 ・将来介護が必要になった時の不安な理由を整理しておくこと大事である ・不安な理由を大まかに分類すると①家族②身体面③経済面④環境面⑤生きがいについての5つである ・この理由を元に将来介護が必要になった時の備えをしていく方法がある ・平成29年に実施したアンケート結果を参考にしてみる ・将来介護が必要にる前に出来ることから早めに対策しておくことで備えができる 最後まで読んでいただきありがとうございました。
介護業界は人間関係が悪く、離職率が高いというイメージがあります。 なぜ人間関係が悪いと言われるのか、介護業界で長く働ける人間関係のコツを紹介します。 介護業界は人間関係が悪い? 世間一般での介護職のイメージは、離職率が高く人間関係が悪いと言われています。 しかし人間関係の良し悪しは、【施設による】というのが現実です。 また、介護業界の人間関係が悪いのではなく、関わる人が多いので大変な一面があります。 介護に関わる人は「同僚」「上司」「専門職」「利用者」「ご家族」が基本です。 さらに職種によっては、ケアマネージャーや医師、役所関連などたくさんの人と関わる機会が多いです。 そのため、人間関係に疲れる人が多くなってしまいます。 介護業界で働く中で、以下の4つがストレスになりやすい人間関係です。 ①関わる人が多いのでストレスになりやすい 介護職は利用者を中心に、たくさんの人とコミュニケーションを図りながら仕事をすすめることが重要です。 時には、納得できないことや他人に振り回されることがあります。 自分の感情を表に出さないように、他者と関わることも多いので、非常にストレスが掛かりやすいです。 ②新人が馴染めない、先輩職員が強い 馴染みにくさや、強い先輩がいるのは介護業界だけでなく、一般業界もあります。 新人のうちは慣れず大変ですが、出来る範囲でコツコツと仕事をしていけば大丈夫です。 きちんと仕事していれば見ていてくれる人は必ずいます。 ③他職間での意見の食い違いがある 介護職と他職間では倫理観が異なったり、業務内容の違いなどですれ違うケースはよくあります。 本人の意向に沿いながら介護職、看護職、リハビリ、管理栄養士、ケアマネージャーはそれぞれに役割を担っているがゆえに、摩擦が生じてしまいます。 ④慢性的な人手不足でピリピリしている 人手が足りないと、業務をたくさん抱えながら事故を起こさないように細心の注意を図りながら仕事をしなければなりません。 なので精神的に余裕がなくなり、職場の雰囲気がピリピリしてしまいます。 言い換えると、上記の人間関係と上手く付き合っていくことで、介護業界で長く働くことができます。 次の章では、介護業界で長く働く人間関係のコツを紹介します。 介護業界で長く働く人間関係のコツは? 介護業界で約10年間働いた筆者が、スムーズな人間関係を築く上で意識して取り組んでいたこと5つを紹介します。 ①しっかり笑顔で挨拶する ②否定せずに相手の話を最後まで聞く ③愚痴には参加しない ④相手の立場になって考える ⑤キーポイントの人は押さえておく 職場の人・利用者・ご家族など、どんな人にも対応でき、仕事以外でも役にたちます。 それぞれ具体的に紹介していきますので、参考にしてみてくださいね。 ①しっかり笑顔で挨拶する 毎日、笑顔で挨拶するだけで信頼度があがります。 挨拶をしっかりすると、その後の会話がスムーズです。 お互いが気持ちよく挨拶できたらそれだけでいい一日のスタートが切れます。 ②否定せずに相手の話を最後まで聞く 「それは厳しい」などと否定せず、最後まで話をじっくり聞くことが大事です。 後輩・同僚などと話しているとついつい口出ししたくなりますが、最後まで聞くことでその人の想いや貴重な情報が聞き出せる可能性があります。 介護職として相手の情報を引き出すことはとても大事なスキルの一つです。 ③愚痴には参加しない 職場内での愚痴に参加してしまうと、意図しない噂が出てしまい、仕事がしにくくなることがあります。 職員同士での愚痴には参加せず、興味ないことを示しておくことが大事です。 ④相手の立場になって考える 介護の基本は「相手の気持ちに寄り添う」です。 利用者だけでなく、ご家族や職員の気持ちも想像することが大切です。 「なぜそのような行動をしたのか」「なぜそのような発言をしたのか」を考えると人間関係がうまくいきます。 ⑤キーポイントの人は押さえておく 職場には、上司以外にもキーポイントとなる人が必ずいます。 例えば、「利用者や職員に対しても丁寧な人」「仕事の回し方が上手い人」など自分が尊敬できる人がいます。 もちろんみんなと対等に接することが大前提ですが、キーポイントの人を押さえておくと仕事が円滑にすすみます。 上記の5点を少しでも意識しておくと、介護業界で長く働ける人間関係が作れます。 介護業界で長く働くコツとしてストレス解消も大事! 介護業界ではストレスと上手く付き合うことが大切です。 なぜなら、常に人との関わりが多く、「感情労働」だからです。 感情労働とは、自分の感情をコントロールしながら他人の感情に合わせることです。 常に感情をコントロールしながら仕事をするので、ストレスがかかりやすい職業なので発散が大切です。 ストレス解消法は人それぞれですが、以下6つは代表的なストレス解消法です。 ①しっかり休む、寝る ②おいしいものを食べる ③身体を動かす ④誰かに相談したり、アドバイスを求める ⑤ノートに気持ちを書き出す ⑥好きな事に没頭する ストレスと上手く付き合うと、心に余裕が生まれ人間関係がスムーズです。 人間関係が円滑になると介護業界で長く働きやすくなります。 しかし、人間関係を築く前に【環境】が大事です。 次の章ではその環境の選び方についてご紹介します。 介護業界で長く働くには人間関係がいい施設を選ぶのも大事! 仕事をするなら、いい人間関係の施設で働きたいですよね。 ここでは、人間関係のいい施設の選び方のポイントを4つご紹介します。 ①給与が極端に高い・求人がいつもでている施設は要注意 ②福利厚生を確認する ③施設の理念や業務内容が自分のやりたい介護であるか ④職員の表情や利用者への対応を見る それぞれどんな内容なのか具体的にご紹介します。 ①給与が極端に高い・求人がいつもでている施設は要注意 例えば、給与欄に15万〜50万と記載されている求人票があります。 ここで働けば50万もらえるのではなく、50万が施設長の給与という場合があります。 手当が含まれた金額が記載されている場合もあり、相場より高めの給与に見えてしまいます。 給与を高く見せて、人手を呼ぶというほど深刻な状況とも捉えられます。 また、頻繁に求人が出ている施設は離職率が高い可能性があるので要注意です。 ②福利厚生を確認する 福利厚生が充実していると、働きやすい環境を考えてくれる施設なので、職員に余裕があります。 育児休暇や介護休暇、リフレッシュ休暇、年間休日120日、時短制度、住宅手当が導入されている施設もあります。 働く上で福利厚生はとても大事なので、しっかりチェックしましょう。 ③施設の理念や業務内容が自分のやりたい介護であるか 施設の理念があり、実際にそれに従って業務が行われているかがポイントです。 どの施設にも素晴らしい理念がありますが、ただ掲げている施設が多いのも事実です。 理念に向かって取り組んでいると目標が明確なので仕事をすすめやすいので、職員間とのズレが少なくなります。 また、その理念に向かって一緒に介護をしていけるのか考えるのも重要です。 ④職員の表情や利用者の対応をみる 職員に余裕がないと表情が暗かったり、利用者さんに冷たい対応をしてしまいます。 施設全体の雰囲気が悪くないかなど、見学しないと感じ取れない部分があります。 働く前は施設見学は必ずチェックしましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は介護業界で長く働く人間関係のコツについてお伝えしました。 ・介護業界の人間関係の良し悪しは施設によるが、人と関わる仕事のなので人間関係でストレスを感じる業界である ・介護業界の人間関係でストレス代表 ①関わる人が多い ②新人が馴染めない、先輩職員が強い ③他職間での意見の食い違いがある ④慢性的な人手不足 ・介護業界で長く働く人間関係のコツ ①笑顔で挨拶する ②否定せず話を聞く ③愚痴には参加しない ④相手の立場になって考える ⑤キーポイントの人は押さえておく ・介護業界で長く働くコツはストレス解消も大事である ・介護業界で長く働くにはいい人間関係の施設を選ぶことも大事である 最後まで読んでいただきありがとうございました。
「転倒骨折が原因で入院している親の退院後はこのまま施設しかない?」 「高齢の親が退院するけどこのまま家に帰すには不安だから施設?」と心配してる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 退院後、家に帰れなかったら施設入所と考えている方が多いと思いますが、そんなことはありません。 家と施設の中間地点としての役割を果たしている「介護老人保健施設」があります。 退院後は「介護老人保健施設」に一旦入所して家に帰るためのリハビリ等を受けられます。 今回は、「介護老人保健施設」について紹介します。 「退院後すぐに親を家に帰すのは不安だけど、ずっと施設に入れておくのは嫌!」という方は、ぜひ参考にしてください。 介護老人保健施設ってどんなところ? 介護老人保健施設は、要介護者にリハビリをメインに行うことで在宅復帰を目指す施設です。 略して「老健」と呼ばれていて、自宅と施設の中間地点の施設です。 いわゆる「特養」など、期間が定められず入所して生活する施設とは違います。 たとえば、親が転倒して骨折すると、急性期の病院に入院して治療を受けます。 その後、転院して集中してリハビリを受けることになります。 リハビリが集中的に行われる回復期リハビリ病棟がある病院は、入院期間が決まっているのです。 骨折などの疾患の場合の入院期間は、最長90日間です。 90日間で在宅復帰が難しいと思った時は、介護老人保健施設に一旦入所して、引き続きリハビリを受けることができます。 リハビリをメインに受けて、在宅復帰して自立した生活を送ることを目標にしているのが、介護老人保健施設です。 どんな人が入所できる? ここでは、どんな人が介護老人保健施設に入所できるのか、その条件について紹介します。 要介護1~5の判定を受けている、原則65歳以上の人 入所できるのは、要介護1以上の65歳以上の人です。 関節リウマチや脳血管疾患などの特定疾病によって要介護認定を受けた40~64歳の人も、入所できます。 要支援1~2の人は入所できませんので、ご注意ください。 症状が安定している人 介護老人保健施設が医療費を全額負担するので、症状が安定していない人は入所を断られることがあります。 また、在宅復帰を目的としている、リハビリや医療行為が必要な人が優先されます。 「入院しておくほどではないけど、親を家に帰すのは不安」という人に、ぴったりです。 感染症にかかっていない人 施設ですので、集団生活になります。 そのため、感染症にかかっている人は対象外になってしまいます。 介護老人保健施設のサービスはどんなものがある? 介護老人保健施設のサービスには、入所して利用するものと在宅生活をしながら利用できるものがあります。 入所サービス リハビリ 医療・看護 介護 栄養管理 在宅サービス 通所リハビリ(デイケア) 訪問リハビリ ショートステイ 介護老人保健施設は、入所期間が原則3~6ヶ月と決められています。 退所してからも在宅生活をサポートするサービスを受けられるのが、介護老人保健施設の特徴です。 介護老人保健施設は医療従事者も多く、医療体制が整っているため、本人も家族も安心して過ごせるのが特徴です。 それでは1つ1つの項目について、詳しく解説していきます。 リハビリ 介護老人保健施設は、リハビリを受けられるのが大きな特徴です。 リハビリを受けて、家での暮らしをすることを目的にしているからです。 リハビリの専門職を入所定員100人に対して1人以上配置するように決められています。 そのため、専門職による個別でのリハビリを受けられる体制が整っているのです。 リハビリは、「週に2回以上、1回につき20~30分」受けることができます。 料金が上がりますが、入所後3ヶ月間は週3回以上受けられるので、在宅復帰にグっと近づくことができますよ。 医療・看護 介護老人保健施設は、入所定員100人に対し、医師が1人以上配置されています。 看護師は9人に対し、1人の配置です。 医療スタッフが入所者の体調管理を行っているので、医療面で心配な方も入所が可能です。 床ずれの処置や経管栄養、インシュリン注射の対応なども行われています。 介護職員の数も多く、食事や排泄介助、入浴介助など、基本的なサービスが受けることが可能です。 レクリエーションもあるので、楽しく過ごせます。 栄養 栄養士も配置されていて、栄養ケアが行われています。 在宅復帰に向けて必要な食事の面からサポートしてくれているのです。 病気や嚥下能力に応じた食事形態も配慮されていて、バランスの良い食事が提供されます。 介護老人保健施設の費用はどれくらいかかる? 介護老人保健施設は公的施設ですので、民間の施設と比べると安く入所できます。 また、収入が少ない世帯では、居住費や食事代が安くなる場合もあります。 なぜなら国が利用者負担軽減策を設けているからです。 入所一時金など、初期費用もかかりません。 医療費も介護老人保健施設が全額負担することになっています。 そのため、比較的安く入所サービスを受けることが可能です。 以下に介護老人保健施設の費用についてまとめましたので、参考にしてください。 (令和3年8月1日時点) ざっくりとみて、月10万円前後 介護老人保健施設は、居住費や食事代込みで、月におおよそ10万円前後です。 要介護度や部屋のタイプによって、料金が変わってきます。 基本料金(介護保険給付サービス) 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 個室 836円 910円 974円 1,030円 1,085円 多床室 756円 828円 890円 946円 1,003円 これは、1日にかかる基本料金です。 1割負担の金額を載せていますが、所得に応じて2~3割負担のこともあります。 居住費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 個室 490円 490円 1,310円 1,310円 多床室 0円 370円 370円 370円 一定の低所得要件を満たした人が適用されるため、段階によって金額が変わります。 食費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 300円 390円 650円 1,360円 食費も所得に応じた負担限度額が設定されています。 その他、日常生活費 理美容代、新聞、娯楽にかかわるものなどは実費負担です。 おむつなどは施設サービス費に含まれていますので、別途でかかることはありません。 加算料金(介護保険給付サービス) 介護老人保健施設は、基本料金にかかる加算があります。 たとえば、リハビリを3ヶ月間集中的に受ける加算は、1割負担の場合、1回につき240円かかります。 その他、在宅復帰に向けた加算が複数あり、手厚いサービスを受けることができるのです。 まとめ ここまで、介護老人保健施設について、紹介してきました。 介護老人保健施設は、自宅と施設の中間地点で、在宅復帰を目標にしている。 リハビリをメインに、医療や介護サービスを受けられる。 入所できるのは、要介護認定を受けた人のみで、要支援の人は不可。 1ヶ月間の費用は、おおよそ月10万円前後で、民間の施設と比べると割安。 入所にかかわる初期費用もかからず、所得に応じて 食費や居住費の負担限度額が設定されている。 入所できる期間は3~6ヶ月で、退所後も在宅サービスを受けることができる。 入院中の親を家に帰してあげたいけれど、今家に帰すことに不安を覚えていたり、親を施設にずっといれておくのは気が引けると感じている人は、介護老人保健施設でリハビリを受けてもらってはいかがでしょうか。 介護老人保健施設は、在宅復帰に向けてサポートを手厚く行ってくれます。 期間も限定されているので、家に帰る時期が明確です。 あなたの大切な人が再び家で暮らせるよう、応援しています。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
皆さんは介護業界にどのようなイメージをお持ちですか? 3Kと呼ばれる「汚い」「きつい」「危険」や、給料が安いなどネガティブなワードを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 今回は介護業界の実態とそんな介護業界で働くことのメリットをお伝えします。 介護業界ってどんなイメージ? 冒頭でも述べましたが、介護業界というより「介護」自体にネガティブなイメージを持っている方は非常に多いです。 ではなぜ世間ではそのようなイメージを持っているのでしょうか。 その要因は主に3つあります。 ①テレビや新聞が与えるネガティブなイメージ 日本では長年、少子高齢化社会が問題とされており、それによる「老老介護」など介護の問題が注視されています。 それにまつわるニュースが取り上げられることも日々の中で非常に多く、介護は日本人共通の問題です。 また介護に追われる日々を過ごしている方に密着して報道したりと、リアリティのある番組もよく目にします。 そんなメディアに共通するのは「暗い声のナレーションや音楽」で、見ていても決して明るい気分にはならないことです。 確かに社会問題としてはそのような表現は適切で、実態を世間に訴えかけるのは大切なことです。 しかし、やりがいを感じて楽しく介護業界で働く方も多くいらっしゃいます。 そういった方に着目したメディアはまだまだ非常に少ないです。 世間で「介護=ネガティブ」というイメージとなってしまうのには、こういった理由が挙げられます。 ②周囲の人に「偉いね」「凄いね」と言われる 介護士であれば一度は経験したことがあるのではないでしょうか。 これは自分が介護士として働いていると周囲に伝えると、「介護士をするなんて凄い」「偉い」と言われるということです。 上記で説明した介護=ネガティブというイメージがあるため、「介護業界で働いているなんて凄い」に繋がります。 そういった声かけでネガティブなイメージは周囲に連鎖していきます。 介護業界や介護士だって他の仕事と同じです。 ③職員同士のネガティブな声かけ 職員から職員へネガティブな声かけがされているのを耳にすることもあります。 「大学まで出たのに介護士なんて親が悲しむ」「若いのになんで介護士なんて選んだの?」 実際に私が言われた言葉です。 同じ介護業界にいる職員の言葉は、世間から言われるより一層ネガティブな気持ちになります。 こういった声かけを職員間で行うと、世間という外部からだけでなく、内部から介護業界のネガティブなイメージを植え付けてしまう結果となります。 上記の3つの要因も、介護業界で働くことが嫌煙されている理由の一つです。 では世間が抱く介護のイメージの実態は正しいのでしょうか。 介護業界の実態って? 世間で持たれている介護業界のイメージの中でも、特に多い4つの実態をお話します。 3Kの「汚い」「きつい」「危険」って本当? 介護の仕事として排泄業務や入浴業務などがあります。 これは介護にとって切っては切れない業務になりますので、結果3Kは正しいと言えます。 人手不足という点からどうしても慌ただしくなることも多く、「きつい」と感じる瞬間は非常に多いです。 また利用者の方の中には歩行が不安定であったり、嚥下が上手く行えない方も多くいらっしゃいます。 利用者の方には安全に過ごしてもらわなければならないので、そういった理由で常に「危険」を意識して仕事をします。 介護業界は給料が安い? 介護業界といっても働き方は本当にそれぞれです。 介護士やケアマネージャー、介護事務、ドライバー、施設長、などたくさんの仕事があります。 実は皆さんが想像するような介護士の仕事は、無資格でも働くことができます。 未経験で無資格の介護士として働く場合は、やはり給料は安くなる傾向にあります。 しかし介護業界はキャリアアップできるのが良いところです。 無資格だったとしても初任者研修や実務者研修の取得ができますし、経験を積んで国家資格である介護福祉士を取得することもできます。 最初は希望のお給料でなくても、キャリアアップをすることで、納得のいくお給料を得ることができる可能性も高くなります。 介護業界は離職率が高い? 介護業界は離職率が高いイメージの方も多いのではないでしょうか。 実は他産業と比較しても離職率にそれほど差はありません。 公益財団法人介護労働安定センターによると、平成19年度に21.6%とピークを迎えたものの その後下がってきており令和2年度には14.9%となっています。 処遇改善が行われた結果、介護業界の離職率は年々下がっている傾向にあります。 また全産業の離職率は14.2%ですから、比較しても介護業界が飛びぬけて離職率が高いというわけではありません。 介護業界の人間関係は悪い? こちらもよく聞かれるイメージではないでしょうか。 介護というのは「尊厳や接遇を大切に」「拘束は原則行わない」など大まかなマニュアルはあるものの、十人十色のケアを提供する必要がある仕事です。 それにより職員間で意見がぶつかることも多々あります。 また人手不足による余裕の無さで、会話が淡白になってしまうこともあります。 ただこういったケースは介護業界だけではありません。 人間関係の悩みも他業界でもよくあることです。 介護業界だけが特別多いということはありません。 介護業界で働くことの良い点は? どうしてもネガティブなイメージを持たれやすい介護業界で働くことで得られることは何があるでしょうか? 4つご紹介します。 ①やりがいを感じることができる やはり介護士として働く中で利用者の方から「ありがとう」と言ってもらえることは一番のやる気に繋がります。 中にはコミュニケーションをとることが難しい利用者の方もいらっしゃいます。 ですが日々のケアで少しずつ信頼関係を築き喜ばれたりと、やりがいを感じることができる仕事です。 自分の成長を感じやすい業界なので、モチベーションを保って仕事に充実感を得れるのも介護業界の特色です。 ②性別や年齢、学歴に左右されない 介護士は間口が広く、無資格・未経験でも務めることができる仕事です。 学歴が問われることも少なく、興味のある方は飛び込みやすい業界であるともいえます。 介護業界と普段関わりのない方の中には、資格が必要ないという事実を意外と知らない方も多くいらっしゃいます。 勿論資格がある方が就職や給与面で有利です。 ですが介護士としてまず最初に取得を目指すであろう初任者研修や実務者研修などは比較的難易度の低い資格です。 介護業界が自分に向いていると実感してから取得のために行動しても遅くありません。 ③様々な年代の方と関わることができる 多くの企業では職員の中で最も高齢の方は70歳前後でしょう。 介護業界は職場によりますが職員を含めると、10代~100歳までと本当に幅広い年齢の方が集まる場所です。 今では考えられないような当時の話や感覚を知ることができ、驚くこともよくあります。 人生の大先輩から学べる機会が多くあるのは介護業界ならではです。 ④健康の大切さを実感することができる 介護を必要とする方は身体や精神に悩みや不安のある方ばかりです。 介護度が高くなると自分の足で歩いたり、食べたいものを食べたり、当たり前にできていたことが難しくなります。 そんな介護度の高い方と一緒に過ごしていると健康の大切さや尊さを実感します。 行きたい場所に自分の足で行ける、食べたいものを自分で作って食べれるという、そんな簡単なことでも有難いと思える瞬間が必ずあります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 こちらを読んだ方が少しでも介護業界に対してポジティブな印象を持ってくださると幸いです。 ・介護業界がネガティブなイメージを持たれがちな要因として、メディアから与えられた印象、周囲の反応、職員間のネガティブな会話が挙げられる。 ・3K「汚い」「きつい」「危険」は事実である。 ・介護業界でもキャリアアップすれば給与面の悩みは払拭される可能性がある。 ・介護業界だからといって他業界より明らかに離職率が高いわけではない。 ・ケアへの価値観の違いですれ違うことはあるものの、特別人間関係が悪い業界だとは言えない。 ・自分の成長を実感しやすい業界なので、やりがいを感じる場面は多い。 ・性別や年齢、学歴にとらわれず、間口が広い業界である。 ・他業界より幅広い年齢の方と関わる機会も多く、その分学びも多い。 ・自分の足で歩けたり食べたいものを食べたりと、今まで気にも留めなかった健康が大切なものだと実感することができる。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
質の高いケアを提供する上で、チームの連携は不可欠といえます。 これは介護施設でも在宅介護でも同様です。 チームの連携が取れていれば、利用者にクオリティの高いケアを提供することができます。 逆に、チームとして連携が不十分である場合、提供するケアの質が下がってしまうケースが多々あります。 当然ながら、ケアマネとしては事業所内でスムーズに連携が取れているところに仕事を依頼したくなるものです。 では、ケアマネはどのような時にチームとして連携が取れていると感じているのでしょうか。 連携不足の弊害 連携が取れていないチームの場合、以下のような弊害が生まれてきてしまいます。 提供するサービスのクオリティを統一できない 情報共有ができない(特に他職種) 職員同士の仲を深められない さっそく1つ1つ、具体的に見ていきましょう。 提供するサービスのクオリティを統一できない 一番の弊害は何といっても、提供するサービスを統一できなくなることです。 介護職は利用者に対して、1対1で接するのが基本となります。 また、施設であればシフト制で数日会わない職員もいますし、訪問介護であれば個人で対応することが基本となってきます。 それでも、介護職員によって提供するケアがバラバラであってはなりません。 たとえば、嚥下能力が落ちてきているご利用者に対し、水分100ccにどの程度のトロミ剤を使用するのかということがチーム内で統一されていなければ、職員が個々の考えで勝手に決めてしまいます。 すると、対応する職員によってトロミの固さにバラつきが出てしまいます。 これではご利用者やご家族は安心できませんし、プロフェッショナルの仕事とは言えません。 情報共有ができない(特に他職種) 連携が重要なのは、他の職種に対しても同様です。 「めまいを訴えていたご利用者が、横になったらすぐに落ち着いた」とします。 落ち着いたので、看護チームには伝えなかったということでいいのでしょうか。 もしかしたら、大きな病気の前兆かもしれません。 その日の深夜に同様の訴えが出た場合、どう対処すればよいでしょうか。 些細なことでも、情報があることで先に手を打てる可能性があります。 何よりも、他職種と連携が取れていれば、それだけ幅広い視点でのケアを提供することができるようになり、結局はご利用者に還元することができるのです。 職員同士の仲を深められない 連携が十分に取れていないことを気にかけている職員は、必ずいるはずです。 そういった職員は不満を抱えている可能性があります。 それだけならまだしも、周りの職員に不満を漏らしているケースすらあります。 そうなると職場や上司へ不満を抱く職員も出てきてしまうことでしょう。 負の連鎖が始まる前に、しっかりとコミュニケーションを図る必要があります。 上記のような弊害が生じてくることで、結局、割りを食ってしまうのはご利用者とその家族です。 お金をいただいているプロフェッショナルであるならば、こうした事態は避けたいものです。 連携不足はこうして起こる うまく連携を取れていない介護チームは、数多くあります。 その事実を、ご利用者やご家族から指摘されるケースもあるようです。 なぜ、こういったことが起こるのでしょうか。 連携不足が起こるのは、以下のような理由があります。 報連相の重要性を理解していない チームケアの重要性を理解していない どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 1つ1つ解説していきます。 報連相の重要性を理解していない 1点目は報告・連絡・相談の重要性を職員が理解していないという点が挙げられます。 こういった職員に対しては、「情報を共有するとケアの質が上がる」ということを指導していく必要があります。 チームケアの重要性を理解していない 2点目として、チームケアの重要性を理解していないということが挙げられます。 「ケア」というものは個人で行うものでなく、チームで行うものです。 介護職だけでなく、医療やリハビリ・福祉用具の専門家、ケアマネや行政も関わってくる場合もあるでしょう。 関わる全員がすべての情報を共有する必要はない場合もあるかもしれません。 しかし、最低限知っておくべきことはきちんと伝えられるようにするべきです。 どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 職員の中には(特に入社したばかりの職員)は、どんなタイミングで、どんな情報を共有すればいいのかわからないというケースがあるようです。 これについては、マニュアル化しておくのがベストです。 マニュアルがなかったとしても、先輩が具体的に示してあげる必要があります。 連携不足にならないために それでは、きちんと連携が取れているチームを構築するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。 以下の点に気を付けるだけで、格段に連携が取れるようになります。 リーダー役が必要 連携の重要性を確認する チームで目標を共有する 情報を共有するツールを作る リーダー役を明確にする チームとしてうまく連携を取りあい機能させるには、リーダーが必要になります。 在宅介護であれば、その役割を担うのはケアマネです。 また、1人の利用者に対し複数のヘルパーが介入する訪問介護事業所なら、サービス提供責任者がリーダーとなるでしょう。 それぞれのチームにおいて、リーダー役や中心になる人が必要となります。 連携の重要性を理解する 「連携の重要性を理解していない」という要因に対しては、研修が有効です。 もちろん、入社時に報連相の重要性をきちんと伝える必要はありますし、これはどこの事業所も実践していることでしょう。 しかし、人間は忘れる動物です。 日々の忙しさに流され、基本がおろそかになってしまうという経験は誰しもあるはずです。 そのため、研修で連携の重要性について学びなおすことは、とても価値があります。 チームで目標を共有する もう1つ重要なのが、チームとして目標を共有することです。 目標が明確であれば、ご利用者に対して「どのようなケアを行ったのか」「その効果はどうだったのか」「次にどのようなケアをしていくべきか」など、情報共有をする目的ができるため、自然と連携を取りやすくなります。 情報を共有するツールを作る 連携の必要性を理解していたとしても、「どのように連携を取りあえばいいのか、わからない」という職員もいます。 そのため、リーダーは連携を取るためのツールを用意してあげましょう。 今は介護記録をスマホで入力し、クラウド上で共有することもできます。 施設であれば、ノートだって構いません。 いずれにしても「重要な情報はここに記載し、業務の前に一読する」などのルールを設定し、研修でその重要性を訴えていきましょう。 信頼は連携から生まれる 連携というのは介護の基本でもあり、かつ最重要事項といっても過言ではありません。 なぜなら、介護というものは1人では成立しないからです。 ケアマネからすると「伝えたはずのことが事業所内できちんと全員に伝わっていない」 ということになれば、次にお仕事を頼むのはやっぱり二の足を踏んでしまいます。 反対に、些細なことでも情報共有ができている事業所にはまたお仕事をお願いしたくなるものです。 まとめ ケアを提供するにあたり、チームの連携、情報共有は不可欠です。 連携不足だと以下のような弊害が生じます。 提供するサービスを統一できない 特に他職種への情報提供が不足する 職員同士の仲を深めることができない 連携不足になる要因には以下のような事柄が考えられます。 職員が報連相の重要性を理解できていない チームケアの重要性を理解できていない どの情報を、どのタイミングで共有すればいいか悩んでいる 連携不足を解消するためには、以下のような方法をとりましょう。 リーダー役を明確にする 連携の重要性を理解する チームで目標を共有する 情報共有のためのツールを用意する 連携は介護における最重要事項の1つです。 「いい介護はいい連携から」ということを常に頭においておきましょう。 チームの全員が連携の重要性を理解できるよう働きかけ、いい介護を提供していってください。
在宅介護を受けながら暮らす高齢者が増えている中、支援困難な事例も比例して増加しています。 ケアマネとしては腕の見せどころでもありますが、解決の糸口が見つからないというケースも散見されるようです。 今回の記事では支援困難事例にぶつかったときにどのような解決方法があるのか見ていきましょう。 支援困難事例とは何か そもそも「支援困難事例」とは、どういうものなのでしょうか。 実は具体的な定義はありません。 対応に苦慮する事象や問題の特徴はさまざまですし、複数の要因が重複していることもあり得ます。 そして、問題に取り組むケアマネによって、感じ方・受け止め方が違います。 経験のあるケアマネなら対応できるケースでも、新人ケアマネが対応したときには戸惑う場合もあるでしょう。 言い換えれば、ケアマネとして経験を重ねることで、支援困難だと感じる事例が減ってくるといえます。 ほとんどのケアマネが支援困難事例を経験している 今から約10年前、大阪の社会福祉協議会がケアマネに行ったアンケート結果では、約90%のケアマネが「支援について困った経験がある」と答えています。 この結果から「10人中9人のケアマネが困難事例を担当したことがある」ということがわかります。 経験を積めば困難事例と感じなくなるケースも どんな職業であっても、すべてにおいて最初からうまくできることはありません。 経験を積んでいくことで、成長していきます。 ケアマネも同様で、いろいろなケースに対応していくことで、選択肢の引き出しも増え、心の余裕も生まれてくるものです。 特に対人援助については経験値が上がることで、より良い対応につながるケースは多いといえます。 困難事例を解決する方法 では実際に、自分一人の経験だけでは対処しきれないような困難事例に遭遇したとき、どのようにすればよいでしょうか。 対応の仕方にはいくつかのパターンがありますので、そちらをご紹介します。 似たような困難事例がなかったか事業所内で確認する まずは自分が所属している事業所内で、他のケアマネに相談してみましょう。 実際に、各ケアマネが支援に困っている例を相談する会議を定期的に設けているところもあります。 朝礼や夕礼の場で行う事業所もあるようです。 他のケアマネに相談することで、良い対応方法を教えてもらえたり、似たような事例に対応した経験を持つケアマネもいるかも知れません。 地域包括支援センターや基幹包括支援センターに相談する 地域包括支援センターや基幹包括支援センターは居宅ケアマネが対応に苦慮しているケースの相談に乗ってくれます。 他の事業所からの相談も受けていますので、過去に似たような相談が持ち込まれており、解決のきっかけを与えてくれることがあります。 場合によっては、相談にのってくれるだけでなく、解決に向けて一緒に動いてくれることもあり、とても心強い存在です。 問題解決にはケアマネ個人ではなく、チームで取り組む 自分一人で解決できない事例は、事業所内のケアマネや包括支援センターに相談することが重要ですが、ケアに取り組むチームで情報を共有することも大切です。 たとえば、訪問介護事業所のサービス提供責任者や、福祉用具担当者、デイサービスの責任者などが挙げられます。 対応に苦慮していることを共有し、多くの人から知恵を出してもらうことで、問題が解決に向かうこともあります。 ただし、デリケートな情報を必要以上の人数で共有することはやめましょう。 契約時に個人情報使用の許可を得ていても、必要最低限の人数にとどめるべきです。 相談が解決に結びついた実例4例 それでは、実際にチームケアや包括支援センターに相談することで、解決に向かった実例をご紹介します。 サービス担当者会議をきっかけに解決した例 Aさんはケアマネになってまだ2ヵ月です。 担当する利用者Bさんは認知症が進行してきました。 特に入浴を嫌がり、デイサービスには行くものの入浴は拒否が強く、体臭がするようになってきてしまいました。 他の利用者からも「Bさんが臭う」と苦情が出るようになってしまいました。 ケアマネやヘルパーが入浴するように何度説得しても、耳を貸してくれません。 このままではデイサービスも利用できなくなってしまいます。 どうすべきか、担当者会議を開催したところサービス提供責任者より、「昔、近所のCさんとよく銭湯に行っていたと話していたことがあります。Cさんに相談してみてはどうでしょう」と意見が出ました。 さっそくCさんに相談してみたところ、快く了承いてくれました。 Bさんに「これからはCさんと一緒に銭湯に行きませんか」と話したところ、思いのほか喜んでくれ、週に2回、一緒に銭湯に行ってくれることになりました。 包括支援センターに相談して解決した例 Dさんはケアマネージャーとして長年、介護施設で働いてきました。 担当している利用者Eさんの娘さんは、毎日のように電話をしてきます。 その電話の内容というのが、「なぜ母の部屋しか掃除してくれないのか。洗濯にしてもそう、一緒に住んでいる家族の分までやるのが当然じゃないか」というもので、いくら説明しても介護保険制度を理解してくれません。 困ったDさんは包括支援センターに相談し、括の職員からEさんの娘さんに介護保険制度について 改めて説明してもらうことにしました。 そうしたところ、介護保険制度について理解してくれたようで、その後電話がなることはなくなりました。 問題解決後も、包括支援センターの職員はDケアマネのことを気にかけてくれ、それからというもの、Dさんも相談がしやすくなりました。 事業所内で相談し、解決に向かった例 Eさんについて、近隣より「異臭がする」との情報が寄せられました。 室内は物が散乱している状況で、着衣には汚れが目立ち、尿臭もします。 Fケアマネは訪問介護を提案していますが、Eさんは他者の入室を拒みます。 身寄りはなく、30年以上お一人で暮らしている方です。 事業所内で話し合った結果、「入室を拒む」ということから、プラン立案の段階ではなく、まずはこまめに訪問し、信頼関係を築くことが必要と判断しました。 長年の独居生活から、「ご自分のペースがある」と判断、性急な生活改善はあえて避けました。 その間もちろん、近隣への配慮の連絡も欠かさないようにします。 支援が必要だと本人が判断した段階で、サービスを導入することができました。 弟妹とケースワーカーに協力を仰いだ例 Gさんは認知症が進行してきていました。 また、生活保護を受給されています。 会話をしている限りでは一見問題ないように思えますが、病識がなく、生活全般に困難が生じてきています。 特に食事や水分をきちんと摂れていないようです。 幻覚症状も出現し、気分に波があり、物忘れも多くなってきました。 通帳を紛失したり、身に覚えのない訪問販売の契約書もあります。 親族は高齢で疾病を抱えている弟妹がいます。 Gさんは不安な気持ちが大きくなると、弟妹や訪問介護事業所に電話をするそうです。 ケアマネは成年後見制度の必要性が高いと判断しました。 ただ、日常生活が成り立たないわけではなく、その進め方にも悩みます。 本人の不安な気持ちを解消するためにも、成年後見制度の活用を本人と弟妹に説明し、理解を求めました。 また、ケースワーカーからも話しをしてもらったところ、Gさんも納得され、後見制度の利用に結びつきました。 介護保険以外の他機関を活用も検討を 支援を困難にする要素の1つに、「介護保険サービスしか利用していない」という可能性があります。 その場合は、介護保険外サービスを利用することも検討すると幅が広がります。 ケアマネ研修でも「インフォーマルサービスの活用を」と何度も言われました。 インフォーマルサービスを活用することで、困難事例が解決に向かうことがあります。 行政機関はインフォーマルサービスの活用に長けていますので、相談することが重要なのです。 「ご利用者の経済状態と相談しながら」という条件が付きますが、金銭的に介護保険外のサービスが難しくても、無料で行政のサポートなどが受けられるケースもあります。 まとめ 最後に、今回の記事のまとめです。 約90%のケアマネが困難事例を経験している 困難事例は1人で抱え込まないことが重要。 困難事例の解決策として 事業所内で相談する 地域包括支援センターなど、行政機関にも相談・活用する チームで解決に向けて動く 介護保険外のインフォーマルサービスを活用するなど、柔軟に対処する 支援困難な事例に1人で関わり続けるのは大変なことです。 多くの人に相談し、チームとしてうまく関わることで、解決の糸口が見つかることがあります。 最後までお読みいただきありがとうござます。
介護保険制度では、介護記録を残すことが定められています。 介護記録とは提供したサービス内容や、利用者の状態変化を記録したものです。 また、年々介護事故による訴訟や賠償なども増えてきています。 利用者や家族のために懸命に仕事に取り組んでいても、事故は起きてしまうものです。 そんなとき大切になってくるのが介護記録です。 今回は介護記録の目的や書き方についてご紹介します。 介護記録を書く目的 先述したとおり、提供したサービスを記録に残すことは、介護保険法で定められています。 それはなぜなのか、その目的について、考えたことはありますか? 目的はいくつかありますが、そこを理解しておくことで、記録も書きやすくなります。 スタッフ間の情報共有 介護現場では多くの方が一人の利用者に関わります。 ヘルパーや介護士も複数でケアに当たりますし、看護師や理学療法士など、多くの職種の方が関わり、その方の生活を支えてくれます。 しかし、関わる全員が同日同時刻に関与するわけではありません。 そのため、日々変化する状況を全員が共有する必要があるわけです。 利用者は日々の生活の中で、体調が安定しているときもあれば、そうでないこともあります。 「あまり食事を摂りたがらない」「微熱がある」等普段と変わったことがあれば、いつから、どういう状況なのかを記録に残すことによって、情報を共有し、統一した対応を行うことができます。 個人ではなく、組織として、より良いサービスを継続的に提供していくことができるのです。 利用者や家族とのコミュニケーションを深める 日常的に様子を記録しておくことで、家族から普段の様子を聞かれたときにも、的確に答えることができます。 また、利用者本人と話しをする際にも、自分が関わっていなかったときの記録に「膝の痛みを訴えていた」「頭痛を訴えていた」等とあれば、その情報を基に「体調はいかがですか?」などと声をかけ、コミュニケーションを深めていくことが可能になります。 ケアプランに反映させる 普段の様子を記録に残しておくことで、ケアプランの達成度合いが見えやすくなります。 「もう少し、違う角度からアプローチしてみようか」とチームでも検討しやすくなることでしょう。 また、新たなニーズについても発見しやすくなるというメリットもあります。 介護記録は事故が起きたときに身を守る証拠にもなる これまで見てきたように、介護記録は利用者や家族と事業所を信頼でつなぐツールになります。 日常的にいくら素晴らしいサービスを提供していたとしても、それが正確に記録されていなければ いざ事故が起きてしまい、訴訟となったときに不利な立場におかれてしまうことになりかねません。 事故が起きたときには、家族から記録の開示を求められることがあります。 その際に記録が不正確であったり、記録そのものがなかったりすると信頼を損なうだけでなく、社会的責任を追及される事態にもなってしまいます。 逆に言えば、万が一訴訟に発展してしまったような場合でも、適切な介護記録があれば、適切な介護サービスを提供しており、職員は適切な行動をとっていたという証明にすることができます。 事業所や職員を守る法的証拠となるのです。 介護事故から記録が守ってくれる例 たとえば、転倒事故であれば、利用者の普段の様子(歩行能力等)はどうだったのか。 「この1~2週間、膝の痛みを訴えていて転倒の危険性が高まっており、職員が側につきそうようにしていた」 それが記録にあるかどうかで、訴訟になった際の過失割合は変わってくる可能性が高いです。 「いざ」という時、正確な介護記録が身を守る武器となってくれる。 記録というのは、それほど大事なものなのです。 介護記録の書き方のルールとポイント ここからは、介護記録の書き方について解説していきます。 様式に決まりはありませんが、いくつかのルールが存在します。 それは以下の項目を必ず記載することです。 日時 記録者 事実を記載する 上記の3点を正確に記載するようにしてください。 次に記載するときのポイントを解説します。 以下のポイントを理解していることで、書きやすさが格段に変わります。 メモを残す サービス提供中や会議の最中にはこと細かく記録をする時間はありません。 そのため、要点や気が付いたことをメモしておくことで、後々記録を書く際に忘れてしまうのを防ぐことができます。 メモは忘備録のためですので、箇条書きでもよいでしょう。 メモを取ることを習慣にすると、「どうだったっけな」と思い悩むことも少なくなります。 結果的に記録の時間を短縮できる上、記録抜け・記録漏れを防ぐことができます。 5W1H 記録の基本は5W1Hです。 いつ(When) どこで(Where) 誰が(Who) 何を(What) なぜ(Why) どのように(How) 上記の6項目を網羅して記録すれば、読んだ人が「何を言っているのか、わからない」ということはありません。 常に5W1Hを意識して、記録をするよう心掛けてください。 である調で書く 記録は「である調」で記載します。 「ですます調」で記載してはいけないというものではありませんが、それこそ訴訟などになったときには公式の文書ともなるため、である調での記載が望ましいでしょう。 客観的事実を書く 記録には、客観的な事実のみを記載します。 提供したサービスの内容や、利用者の行動や発言、また、体調などです。 「私は○○と思ったが」という主観や感想、また憶測などは記載しないようにしましょう。 専門用語の使用は控える 介護記録は利用者や家族から提示を求められることもあり得ます。 「介護記録は開示されるもの」という意識でいた方がよいでしょう。 その際、専門用語やその事業所特有の略語などを使用していると、外部の方には理解することができません。 略語を使うと、記録の時間を短縮することができるように感じますが、実際には5分も10分も短縮できるわけではありません。 上記のような理由から、一般的にも馴染みのある言葉で記録をすることが望ましいといえます。 当然ながら利用者や家族が読んだときにも不快な気持ちを抱かせない表現を使用するようにしましょう。 「させた」などの命令表現や、人格を否定するような言葉を用いることは絶対に許されません。 また、介護職では当たり前のように使う表現でも家族はイヤな気持ちになるのが以下のことばです。 「認知」 「不穏」 「徘徊」 それぞれ「認知症」「落ち着かない」「一人歩き」などと言い換えるとよいでしょう。 【まとめ】 ・介護保険制度では、介護記録を残すことが義務付けられている ・介護記録の目的 スタッフの情報共有 利用者、家族とのコミュニケーションのため ケアプランに反映させ、ケアの質を高める 事故が起きて、訴訟などの際に正当性を主張する証拠となる ・介護記録のポイント 忘れないようにメモをとっておく 5W1Hを意識する である調で記載する 主観を交えず、客観的事実を記録に残す 専門用語、略語は控える 利用者や家族が読んだ時に、不快な念を抱かせない表現を使う 上記のポイントを頭に入れておくと、記録業務がスムーズにいきます。 また、「いざ」という時にも自分の身を守ってくれることとなります。 「記録業務も、立派な介護業務の一環」という気持ちで取り組むようにしましょう。
デイサービスにはさまざまな種類があります。 そのため、どんなサービスを行いどんな違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 今回はデイサービスの違いと、自分に合う施設の選び方を解説します。 デイサービスとは? まずは、デイサービスとはどんな所かをご紹介します。 デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所です。 また、一緒に暮らす家族の介護負担軽減も役割の1つです。 高齢になるにつれ、心身機能が低下し家で生活することが難しくなります。 そのために、デイサービスで日常生活に関するサービスを受け、住み慣れた家で生活できるように支援しています。 また、デイサービスで他者と交流することで心の機能回復も目的としています。 サービスの内容は、食事、排泄、口腔ケア、入浴、機能訓練、相談や助言など日常生活に関することです。 どんなデイサービスがある?違いを知って選ぼう デイサービスは、それぞれに特色があり以下の5つ種類があります。 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 どんなサービスを提供しているのか具体的に解説します。 違いを知ることで、自分にあった所を選びやすくなります。 ①通所介護 通所介護とは、高齢者が在宅で自立した生活ができるように支援する場所です。 サービスの内容は、機能訓練や社会交流、家族の介護負担軽減、日常生活に関する支援、相談を行っています。 ②通所リハビリテーション 通所リハビリテーション(以下通リハ)とは、リハビリに特化したデイサービスです。 主治医の指示で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職がリハビリを実施します。 通リハはリハビリを目的としていますが、食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスも提供しています。 参照元:厚生労働省 通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 認知症対応型デイサービスとは、認知症に特化したデイサービスです。 通常のデイサービスでも認知症の方は通えますが、利用人数が多いと対応が難しい場合があります。 認知症のデイサービスは、利用者の人数が12人以下と定められています。 また、デイサービスの責任者は、「認知症対応型サービス事業管理研修」を修了していることが義務付けられています。 食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスはもちろん、認知症進行の緩和や認知症に対するケアが受けられます。 参照元:LIFULL介護 認知症対応型通所介護とは ④地域密着型通所介護 地域密着型通所介護は定員数が18人以下で、「事業所がある市町村に住んでいる人」と定められています。 これは、より細やかなニーズと手厚い支援を受けられるように限するためです。 サービス内容は通所介護とほとんど変わりませんが、人数が少ないので、利用者一人一人に合ったケアを提供しています。 参照元:健康ネット 地域密着型通所介護とは?サービスや通うメリットについて解説! ⑤療養型通所介護施設 療養型通所型介護施設は、医療的なケアを必要とする人が利用できるデイサービスです。 通常のデイサービスでも、利用できますが事業所によって受け入れに制限があります。 看護師が常駐する中で、日常生活の全般の支援から機能訓練を行います。 対象者は、難病や脳血管疾患後遺症・がん末期など常に医療ケアが必要な人等です。 参照元:介護ワーカー 療養通所介護とはどんなサービス?役割や仕事内容について解説! 違いが分かったところで、次の章ではデイサービスの選び方のポイントを紹介します。 ポイントを押さえて自分に合った事業所を選びましょう。 デイサービスの選び方のポイントは4つ ここでは、デイサービスを選ぶ時に押さえたいポイントを4つ解説していきます。 ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容はどうなのか ③対応できる利用時間 ④入浴やトイレの設備の確認 それぞれのポイントを具体的にご紹介します。 ①デイサービスの人数はどれくらいか デイサービスの1日の利用者人数を確認しておくと雰囲気が分かります。 人数が少ないと利用者の一人一人の細かいニーズに応えやすいです。 人数が多いと法人運営しているところが大半になるので、スタッフの育成がしっかりできています。 デイサービスの1日の利用者人数を見るのもデイサービス選びのポイントの一つです。 ②食事の内容を確認する デイサービスでは食事にこだわっている事業所が多く、主食を魚かお肉に選択できたり、すべて手作りの施設もあります。 まとめて食事を作っている事業所もあるので、糖尿病や塩分制限がある方は、食事が対応できるか確認しましょう。 ③対応できる利用時間 どれくらいの時間を利用できるのか、短時間など対応してくれるのかなどを確認しましょう。 身体の調子が悪い時や退院後は長時間のデイサービスが体力的にきつい場合があります。 また、病院を受診するから早く帰宅したい、ヘルパーの利用があるから短時間にしたいなど、要望に応えられるか確認しておくと安心です。 ④入浴やトイレなど施設の設備を確認する 施設によって、入浴設備が自宅のようなお風呂だったり大浴場のお風呂だったりします。 入浴時は職員がついていますが、恥ずかしいから個浴で入りたい、温泉のようにみんなでワイワイと入りたいなど好みがあるのでチェックしておきたい設備です。 また、トイレもみておきたい設備の一つです。 たくさんの事業所がある中で、古民家を改装したデイサービスもあるので、トイレの向きによっては麻痺がある人は使いにくくなってしまいます。 トイレの設備が自分の身体に合うか確認しましょう。 デイサービスの選び方のポイントを押さえたところで、次は見学する時にみておきたい項目をご紹介します。 デイサービスを見学する時のポイント デイサービスの見学はした方がいいと言われますが、どこを見ればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。 この章では、見学する際のポイントをご紹介します。 ①いつも出入りするに人に対して挨拶しているのか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している人の雰囲気を見る 一つ一つ具体的に解説していきます。 ①いつも出入りする人に対して挨拶がきちんとしているか 基本的にお客さんにはきちんと挨拶するので、ここではいつも施設に出入りがある業者や職員同士が挨拶をきちんとしているかチェックします。 いつも出入りする人に対しては、自然な対応になるので、見ておきたいポイントなのです。 ②方針や方向性が定められているか デイサービスでの方針や方向性が定まっていると職員間で摩擦が生じにくく、ケアに対して統一感があります。 例えば、利用者の目標をきちんと職員が共有出来ており、やるべきケアが統一されている施設もあります。 職員の動きは、見学時に確認しておきたい項目です。 ③現在利用されている方の雰囲気をみる 施設全体の雰囲気が合うのかチェックするのも大切ですが、今利用されている方が楽しそうにされているか見るのもポイントです。 職員は新規利用者獲得の為、良いところを見せようとする場合がありますが、今利用されている方は楽しそうに取り繕う必要性がないからです。 実際、自分に合うかは利用して見ないと分かりませんが、大半のデイサービスは1日体験利用を実施しています。 上記ポイントを意識して、体験利用してみると自分に合う事業所が見つけやすくなります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 デイサービスの違いと自分に合う選び方のポイントをご紹介しました。 ・デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所である ・デイサービス 5つの種類 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 ・デイサービスの選び方 4つのポイント ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容 ③利用時間 ④施設の設備を確認する ・デイサービスを見学時の3つのポイント ①顔見知りの人に挨拶しているか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している方の雰囲気を見る 最後まで読んでいただきありがとうございました。
将来介護されることになったら不安ですよね。 不安を解消するには、早め早めの対応と備えが大切です。 今回は、将来介護されることになった時の備えを紹介します。 将来介護されることになった時の不安な理由は? 将来介護されることになった時の不安な理由は、家族に迷惑をかけたくない、頼れる人がいない、病気に対する不安、経済面が心配、など人によって様々です。 中にはよく分からないけど、不安を抱えているという人もいます。 この章では、内閣府が55歳以上の人を対象に、介護の不安に対する調査を行った結果を元に具体的な理由を紹介します。 まずは自分が何に対して不安を感じているのか整理してみましょう。 介護に対する不安な内容 ①家族に肉体的・精神的負担をかけること 50.6% ②身体の自由が感じられなくなること 40.5% ③介護に要する経済的負担が大きいこと 28.8% ④特に理由はないが、漠然と不安を感じる 22.2% ⑤人生の楽しみが感じられなくなること 20.6% ⑥希望する介護施設等に入られないこと 17.8% ⑦収入がなくなること 16.7% ⑧特に不安なことはない 15.6% ⑨介護をしてくれる家族がいないこと 14.1% ⑩現在の住宅構造に問題があること 10.5% 約半数の人が、家族に肉体的・精神的負担をかけることを不安に感じていました。 一番の理想は住み慣れた家で最後を過ごすことですが、核家族が多い中では難しいのが現実です。 また、他にも身体面や経済面が不安といった内容も多かったです。 環境面では介護状態になった場合、現在の家に住めなくなるという心配点もあります。 不安な理由は、5つに分類できます。 次の章では、不安な理由を分類し今からできる備えをご紹介します。 将来介護されることになった時の解決策と備え 介護をされることになった時に不安を感じる具体的な内容が分かった所で 理由を分類すると大きく5つに分かれます。 ①家族 ②身体面 ③経済面 ④環境面 ⑤生きがい この分類を元に不安に対する対策を考えていきましょう。 ①家族について 解決方法は、家族に自分が思っていることを正直に話すことです。 具体的な内容は自分が不安に思っていること、自分の生活や人間関係、必要であればお金のことや希望の施設があれば話しておくと安心です。 直接話すのが難しい場合は、紙に書いておくと分かりやすいです。 子どもが遠くに住んでいたり、配偶者が先立っている場合があります。 いざという時の保証人を決めておきましょう。 介護施設を利用する場合、「緊急時に対応してくれる人」が必要です。 保証人がいないとなると利用できない場合があります。 調査結果で一番多かった回答が「家族に迷惑かけたくない」というものでした。 核家族がすすみ、介護は家族がするものという価値は変化しています。 まずは、自分自身ができることから始めましょう。 ②身体面 運動や規則正しい生活をしたり、定期的に病院に通うなど、いわゆる「介護予防」をしておくことが大切です。 介護予防とは要介護状態の発生をできるだけ遅らせることと定義されています。 具体的な内容は、運動機能の維持や食生活の見直しなどがあげられます。 身体のことだけではなく、社会参加や生活の中での役割を持って 生きがいがある生活を送っていくことも大切です。 参考サイト:厚生労働省 介護予防について ③経済面 まずは毎月の収支やどれだけのお金を持っているか金銭面の把握をしましょう。 預貯金以外にも、契約している保険や不動産関係も確認しておくと安心です。 老後の費用を「増やす」という方法もあります。 増やす方法は、貯蓄・投資・保険の3種類です。 ・現在の収支から出来る範囲でお金を貯めていく「貯蓄」 ・投資信託や株式などを購入し利益を見込む「投資」 ・日常で起こるリスクに備えて準備をしておく「保険」 それぞれに経済状況が違うので自分にあった方法を活用することも大事です。 ④環境面 家の中の片付けや不用品の処理を元気なうちにしておくと安心です。 高齢になると筋力の低下とともに転倒するリスクが高くなります。 そして、転倒する多くの場所が自宅内なので、片づけをすることで転倒予防になります。 また、自宅内の転倒が多い場所は以下の通りです。 ①お風呂場 ②庭・駐車場 ③ベット・布団 ④玄関・勝手口 ⑤階段 転倒の原因は滑る・つまずく・ふらつく・移動している時・引っ掛かるなどです。 家をバリアフリーにするにはお金が掛かりますし、賃貸の場合は住宅の改修ができません。 家の片づけはすぐできるので動線を確保したり、使用頻度が高い物は取りやすくしておくなど住宅を見直ししておきましょう。 参照サイト:消費者庁 ⑤生きがい 生きがいとは、「人生の価値」や「生きていく喜び」などと表記されています。 価値や喜びは人それぞれ違うので、生きがいもその人によって異なります。 シニア世代は仕事を退職したり、子育てがひと段落するので、生活に張り合いがなくなったと感じる人が多いです。 そこで「生きがい」が大切になってきます。 では「生きがい」はどうやってみつけるのでしょうか。 生きがいを見つける4つのポイント ①自分が楽しい・嬉しいと感じること ②社会参加や役割を持つ ③新しいことにチャレンジする ④暮らしの中で幸せを感じるよう意識する これを軸としてこの機会に生きがいを考えてみてくださいね。 将来の介護に対する不安に対しての具体例を紹介 ここの章では、高齢期に備えてみんながどんな備えをしているのか、アンケートを行った結果をご紹介します。 ぜひ参考にしてみてください。 ①健康維持・体力作り 64% ②日々の節約・体力作り 51% ③身の回りの整理をしておく 36% (不用品の処分、通帳、クレジットカードなど重要書類の整理、運転免許証納品など) ④資産形成 35% (金融商品への投資、保険商品の加入など各種資産運用) ⑤長く続けられる趣味・娯楽を始める 33% ⑥老後の家計予想・シミュレーション 30% ⑦家族、親戚、知人、近隣などとの付き合いや交流の拡充・維持 19% ⑧高齢期に住む住宅の検討または購入 11% アンケートの中身を具体的に見ていくと、健康に対する意識は、9割以上が日頃から自分の健康状態に気を付けて生活しているとの回答があがっています。 また、「定期的な健康診断」「食事の管理」「適度な運動スポーツ」を行っている人が6割です。 健康に関しては、日頃から取り組んでいる人が多いという結果でした。 参考サイト:2019年10月高齢期の暮らしに関する意識調査・実態調査 将来介護される前に備えておくことが大事 将来、介護されるのは誰だって嫌だし不安ですよね。 筆者自身、介護職として約10年間施設で働いていましたが、介護をしてほしいという人はいませんでした。 可能であれば、自分でできることは自分でしたい、身の回りのことは自分でしたいという人が大半です。 しかし、早めに対策しておくことで介護が必要になった時の備えはできます。 人それぞれに価値観や環境が違うので、出来ることから自分に合った備えをしていきましょう。 まとめ 今回は、将来介護が必要になった時の備えについてご紹介しました。 いかがでしたでしょうか。 ・将来介護が必要になった時の不安な理由を整理しておくこと大事である ・不安な理由を大まかに分類すると①家族②身体面③経済面④環境面⑤生きがいについての5つである ・この理由を元に将来介護が必要になった時の備えをしていく方法がある ・平成29年に実施したアンケート結果を参考にしてみる ・将来介護が必要にる前に出来ることから早めに対策しておくことで備えができる 最後まで読んでいただきありがとうございました。
介護業界は人間関係が悪く、離職率が高いというイメージがあります。 なぜ人間関係が悪いと言われるのか、介護業界で長く働ける人間関係のコツを紹介します。 介護業界は人間関係が悪い? 世間一般での介護職のイメージは、離職率が高く人間関係が悪いと言われています。 しかし人間関係の良し悪しは、【施設による】というのが現実です。 また、介護業界の人間関係が悪いのではなく、関わる人が多いので大変な一面があります。 介護に関わる人は「同僚」「上司」「専門職」「利用者」「ご家族」が基本です。 さらに職種によっては、ケアマネージャーや医師、役所関連などたくさんの人と関わる機会が多いです。 そのため、人間関係に疲れる人が多くなってしまいます。 介護業界で働く中で、以下の4つがストレスになりやすい人間関係です。 ①関わる人が多いのでストレスになりやすい 介護職は利用者を中心に、たくさんの人とコミュニケーションを図りながら仕事をすすめることが重要です。 時には、納得できないことや他人に振り回されることがあります。 自分の感情を表に出さないように、他者と関わることも多いので、非常にストレスが掛かりやすいです。 ②新人が馴染めない、先輩職員が強い 馴染みにくさや、強い先輩がいるのは介護業界だけでなく、一般業界もあります。 新人のうちは慣れず大変ですが、出来る範囲でコツコツと仕事をしていけば大丈夫です。 きちんと仕事していれば見ていてくれる人は必ずいます。 ③他職間での意見の食い違いがある 介護職と他職間では倫理観が異なったり、業務内容の違いなどですれ違うケースはよくあります。 本人の意向に沿いながら介護職、看護職、リハビリ、管理栄養士、ケアマネージャーはそれぞれに役割を担っているがゆえに、摩擦が生じてしまいます。 ④慢性的な人手不足でピリピリしている 人手が足りないと、業務をたくさん抱えながら事故を起こさないように細心の注意を図りながら仕事をしなければなりません。 なので精神的に余裕がなくなり、職場の雰囲気がピリピリしてしまいます。 言い換えると、上記の人間関係と上手く付き合っていくことで、介護業界で長く働くことができます。 次の章では、介護業界で長く働く人間関係のコツを紹介します。 介護業界で長く働く人間関係のコツは? 介護業界で約10年間働いた筆者が、スムーズな人間関係を築く上で意識して取り組んでいたこと5つを紹介します。 ①しっかり笑顔で挨拶する ②否定せずに相手の話を最後まで聞く ③愚痴には参加しない ④相手の立場になって考える ⑤キーポイントの人は押さえておく 職場の人・利用者・ご家族など、どんな人にも対応でき、仕事以外でも役にたちます。 それぞれ具体的に紹介していきますので、参考にしてみてくださいね。 ①しっかり笑顔で挨拶する 毎日、笑顔で挨拶するだけで信頼度があがります。 挨拶をしっかりすると、その後の会話がスムーズです。 お互いが気持ちよく挨拶できたらそれだけでいい一日のスタートが切れます。 ②否定せずに相手の話を最後まで聞く 「それは厳しい」などと否定せず、最後まで話をじっくり聞くことが大事です。 後輩・同僚などと話しているとついつい口出ししたくなりますが、最後まで聞くことでその人の想いや貴重な情報が聞き出せる可能性があります。 介護職として相手の情報を引き出すことはとても大事なスキルの一つです。 ③愚痴には参加しない 職場内での愚痴に参加してしまうと、意図しない噂が出てしまい、仕事がしにくくなることがあります。 職員同士での愚痴には参加せず、興味ないことを示しておくことが大事です。 ④相手の立場になって考える 介護の基本は「相手の気持ちに寄り添う」です。 利用者だけでなく、ご家族や職員の気持ちも想像することが大切です。 「なぜそのような行動をしたのか」「なぜそのような発言をしたのか」を考えると人間関係がうまくいきます。 ⑤キーポイントの人は押さえておく 職場には、上司以外にもキーポイントとなる人が必ずいます。 例えば、「利用者や職員に対しても丁寧な人」「仕事の回し方が上手い人」など自分が尊敬できる人がいます。 もちろんみんなと対等に接することが大前提ですが、キーポイントの人を押さえておくと仕事が円滑にすすみます。 上記の5点を少しでも意識しておくと、介護業界で長く働ける人間関係が作れます。 介護業界で長く働くコツとしてストレス解消も大事! 介護業界ではストレスと上手く付き合うことが大切です。 なぜなら、常に人との関わりが多く、「感情労働」だからです。 感情労働とは、自分の感情をコントロールしながら他人の感情に合わせることです。 常に感情をコントロールしながら仕事をするので、ストレスがかかりやすい職業なので発散が大切です。 ストレス解消法は人それぞれですが、以下6つは代表的なストレス解消法です。 ①しっかり休む、寝る ②おいしいものを食べる ③身体を動かす ④誰かに相談したり、アドバイスを求める ⑤ノートに気持ちを書き出す ⑥好きな事に没頭する ストレスと上手く付き合うと、心に余裕が生まれ人間関係がスムーズです。 人間関係が円滑になると介護業界で長く働きやすくなります。 しかし、人間関係を築く前に【環境】が大事です。 次の章ではその環境の選び方についてご紹介します。 介護業界で長く働くには人間関係がいい施設を選ぶのも大事! 仕事をするなら、いい人間関係の施設で働きたいですよね。 ここでは、人間関係のいい施設の選び方のポイントを4つご紹介します。 ①給与が極端に高い・求人がいつもでている施設は要注意 ②福利厚生を確認する ③施設の理念や業務内容が自分のやりたい介護であるか ④職員の表情や利用者への対応を見る それぞれどんな内容なのか具体的にご紹介します。 ①給与が極端に高い・求人がいつもでている施設は要注意 例えば、給与欄に15万〜50万と記載されている求人票があります。 ここで働けば50万もらえるのではなく、50万が施設長の給与という場合があります。 手当が含まれた金額が記載されている場合もあり、相場より高めの給与に見えてしまいます。 給与を高く見せて、人手を呼ぶというほど深刻な状況とも捉えられます。 また、頻繁に求人が出ている施設は離職率が高い可能性があるので要注意です。 ②福利厚生を確認する 福利厚生が充実していると、働きやすい環境を考えてくれる施設なので、職員に余裕があります。 育児休暇や介護休暇、リフレッシュ休暇、年間休日120日、時短制度、住宅手当が導入されている施設もあります。 働く上で福利厚生はとても大事なので、しっかりチェックしましょう。 ③施設の理念や業務内容が自分のやりたい介護であるか 施設の理念があり、実際にそれに従って業務が行われているかがポイントです。 どの施設にも素晴らしい理念がありますが、ただ掲げている施設が多いのも事実です。 理念に向かって取り組んでいると目標が明確なので仕事をすすめやすいので、職員間とのズレが少なくなります。 また、その理念に向かって一緒に介護をしていけるのか考えるのも重要です。 ④職員の表情や利用者の対応をみる 職員に余裕がないと表情が暗かったり、利用者さんに冷たい対応をしてしまいます。 施設全体の雰囲気が悪くないかなど、見学しないと感じ取れない部分があります。 働く前は施設見学は必ずチェックしましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は介護業界で長く働く人間関係のコツについてお伝えしました。 ・介護業界の人間関係の良し悪しは施設によるが、人と関わる仕事のなので人間関係でストレスを感じる業界である ・介護業界の人間関係でストレス代表 ①関わる人が多い ②新人が馴染めない、先輩職員が強い ③他職間での意見の食い違いがある ④慢性的な人手不足 ・介護業界で長く働く人間関係のコツ ①笑顔で挨拶する ②否定せず話を聞く ③愚痴には参加しない ④相手の立場になって考える ⑤キーポイントの人は押さえておく ・介護業界で長く働くコツはストレス解消も大事である ・介護業界で長く働くにはいい人間関係の施設を選ぶことも大事である 最後まで読んでいただきありがとうございました。
「転倒骨折が原因で入院している親の退院後はこのまま施設しかない?」 「高齢の親が退院するけどこのまま家に帰すには不安だから施設?」と心配してる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 退院後、家に帰れなかったら施設入所と考えている方が多いと思いますが、そんなことはありません。 家と施設の中間地点としての役割を果たしている「介護老人保健施設」があります。 退院後は「介護老人保健施設」に一旦入所して家に帰るためのリハビリ等を受けられます。 今回は、「介護老人保健施設」について紹介します。 「退院後すぐに親を家に帰すのは不安だけど、ずっと施設に入れておくのは嫌!」という方は、ぜひ参考にしてください。 介護老人保健施設ってどんなところ? 介護老人保健施設は、要介護者にリハビリをメインに行うことで在宅復帰を目指す施設です。 略して「老健」と呼ばれていて、自宅と施設の中間地点の施設です。 いわゆる「特養」など、期間が定められず入所して生活する施設とは違います。 たとえば、親が転倒して骨折すると、急性期の病院に入院して治療を受けます。 その後、転院して集中してリハビリを受けることになります。 リハビリが集中的に行われる回復期リハビリ病棟がある病院は、入院期間が決まっているのです。 骨折などの疾患の場合の入院期間は、最長90日間です。 90日間で在宅復帰が難しいと思った時は、介護老人保健施設に一旦入所して、引き続きリハビリを受けることができます。 リハビリをメインに受けて、在宅復帰して自立した生活を送ることを目標にしているのが、介護老人保健施設です。 どんな人が入所できる? ここでは、どんな人が介護老人保健施設に入所できるのか、その条件について紹介します。 要介護1~5の判定を受けている、原則65歳以上の人 入所できるのは、要介護1以上の65歳以上の人です。 関節リウマチや脳血管疾患などの特定疾病によって要介護認定を受けた40~64歳の人も、入所できます。 要支援1~2の人は入所できませんので、ご注意ください。 症状が安定している人 介護老人保健施設が医療費を全額負担するので、症状が安定していない人は入所を断られることがあります。 また、在宅復帰を目的としている、リハビリや医療行為が必要な人が優先されます。 「入院しておくほどではないけど、親を家に帰すのは不安」という人に、ぴったりです。 感染症にかかっていない人 施設ですので、集団生活になります。 そのため、感染症にかかっている人は対象外になってしまいます。 介護老人保健施設のサービスはどんなものがある? 介護老人保健施設のサービスには、入所して利用するものと在宅生活をしながら利用できるものがあります。 入所サービス リハビリ 医療・看護 介護 栄養管理 在宅サービス 通所リハビリ(デイケア) 訪問リハビリ ショートステイ 介護老人保健施設は、入所期間が原則3~6ヶ月と決められています。 退所してからも在宅生活をサポートするサービスを受けられるのが、介護老人保健施設の特徴です。 介護老人保健施設は医療従事者も多く、医療体制が整っているため、本人も家族も安心して過ごせるのが特徴です。 それでは1つ1つの項目について、詳しく解説していきます。 リハビリ 介護老人保健施設は、リハビリを受けられるのが大きな特徴です。 リハビリを受けて、家での暮らしをすることを目的にしているからです。 リハビリの専門職を入所定員100人に対して1人以上配置するように決められています。 そのため、専門職による個別でのリハビリを受けられる体制が整っているのです。 リハビリは、「週に2回以上、1回につき20~30分」受けることができます。 料金が上がりますが、入所後3ヶ月間は週3回以上受けられるので、在宅復帰にグっと近づくことができますよ。 医療・看護 介護老人保健施設は、入所定員100人に対し、医師が1人以上配置されています。 看護師は9人に対し、1人の配置です。 医療スタッフが入所者の体調管理を行っているので、医療面で心配な方も入所が可能です。 床ずれの処置や経管栄養、インシュリン注射の対応なども行われています。 介護職員の数も多く、食事や排泄介助、入浴介助など、基本的なサービスが受けることが可能です。 レクリエーションもあるので、楽しく過ごせます。 栄養 栄養士も配置されていて、栄養ケアが行われています。 在宅復帰に向けて必要な食事の面からサポートしてくれているのです。 病気や嚥下能力に応じた食事形態も配慮されていて、バランスの良い食事が提供されます。 介護老人保健施設の費用はどれくらいかかる? 介護老人保健施設は公的施設ですので、民間の施設と比べると安く入所できます。 また、収入が少ない世帯では、居住費や食事代が安くなる場合もあります。 なぜなら国が利用者負担軽減策を設けているからです。 入所一時金など、初期費用もかかりません。 医療費も介護老人保健施設が全額負担することになっています。 そのため、比較的安く入所サービスを受けることが可能です。 以下に介護老人保健施設の費用についてまとめましたので、参考にしてください。 (令和3年8月1日時点) ざっくりとみて、月10万円前後 介護老人保健施設は、居住費や食事代込みで、月におおよそ10万円前後です。 要介護度や部屋のタイプによって、料金が変わってきます。 基本料金(介護保険給付サービス) 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 個室 836円 910円 974円 1,030円 1,085円 多床室 756円 828円 890円 946円 1,003円 これは、1日にかかる基本料金です。 1割負担の金額を載せていますが、所得に応じて2~3割負担のこともあります。 居住費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 個室 490円 490円 1,310円 1,310円 多床室 0円 370円 370円 370円 一定の低所得要件を満たした人が適用されるため、段階によって金額が変わります。 食費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 300円 390円 650円 1,360円 食費も所得に応じた負担限度額が設定されています。 その他、日常生活費 理美容代、新聞、娯楽にかかわるものなどは実費負担です。 おむつなどは施設サービス費に含まれていますので、別途でかかることはありません。 加算料金(介護保険給付サービス) 介護老人保健施設は、基本料金にかかる加算があります。 たとえば、リハビリを3ヶ月間集中的に受ける加算は、1割負担の場合、1回につき240円かかります。 その他、在宅復帰に向けた加算が複数あり、手厚いサービスを受けることができるのです。 まとめ ここまで、介護老人保健施設について、紹介してきました。 介護老人保健施設は、自宅と施設の中間地点で、在宅復帰を目標にしている。 リハビリをメインに、医療や介護サービスを受けられる。 入所できるのは、要介護認定を受けた人のみで、要支援の人は不可。 1ヶ月間の費用は、おおよそ月10万円前後で、民間の施設と比べると割安。 入所にかかわる初期費用もかからず、所得に応じて 食費や居住費の負担限度額が設定されている。 入所できる期間は3~6ヶ月で、退所後も在宅サービスを受けることができる。 入院中の親を家に帰してあげたいけれど、今家に帰すことに不安を覚えていたり、親を施設にずっといれておくのは気が引けると感じている人は、介護老人保健施設でリハビリを受けてもらってはいかがでしょうか。 介護老人保健施設は、在宅復帰に向けてサポートを手厚く行ってくれます。 期間も限定されているので、家に帰る時期が明確です。 あなたの大切な人が再び家で暮らせるよう、応援しています。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。