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2023年1月の記事一覧

  • 夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」とは?サービス内容やメリット・デメリットを解説!

    訪問介護は日中のサービスだけではありません。実は夜間にサービスを行う訪問介護もあります。 こちらの記事では夜間の訪問介護はどのようなサービスを行っているのかを解説いたします。 夜間に対応する訪問介護ってなに? 一般に訪問介護と聞くと、ヘルパーが日中のみ来訪しご利用者様の介護を行い、夜間は家族が介護するイメージが強いのではないでしょうか。 しかし寝たきりの被介護者を介護をする家族の方が、高齢などの理由により体力を必要とする介護ができない場合、ヘルパーが帰ってしまった後は 十分なケアをすることができません。 そのような悩みに寄り添ってできたサービスが、夜間対応に特化した「定期巡回サービス」です。 正式には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と呼ばれています。 このサービスは、在宅で頻回にサービスを必要とされているご利用者様に適したサービスで、このサービスは夜間訪問も対応しています。 定期巡回サービスとは 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、在宅で生活しながら、24時間体制で訪問介護のサービスを受けられるといったサービスです。 このサービスは、「施設に入りたくない」「自分の住み慣れた自宅で最後まで過ごしたい」「家族が遠くて何かあったとき心配だ」といった様々なニーズに対応したサービスとなっています。 このサービスの中に、夜間に訪問する介護サービスが含まれているのです。 夜間に対応する訪問介護が必要な人とは 家族が日常的に介護をしていても、常に家族が被介護者の介護をできるとは限りません。 仕事や子育て、体力の限界など各ご家庭さまざまな事情があるものです。 1人暮らしができている方でも、誰かの手を借りないと生活するのが困難な方もいらっしゃいます。 そういった方々が、夜間の訪問介護が可能なこの制度の利用に適しています。 他にも、昼夜問わず定期的な介護サービスを必要としている方なども、おすすめです。 夜間はどんなサービスを提供してくれるのか 夜間対応では主に以下のサービスを提供しています。 ①排泄介助・おむつ交換 このサービスは特に要介護度が高いご利用者様に必要なサービスです。 要介護度が低い人でもベットの近くにあるポータブルトイレへ誘導したり 普通のトイレまでお連れして排泄介助をすると言うサービス内容もあります。 ②体位変換のサービス このサービスは寝たきりご利用者様に適したサービスです。人は寝ている時に体を動かさないと体とベッドに面した部分に圧がかかり、皮膚が壊死してしまいます。 普通の人だと寝返りで無意識のうちに圧力を分散しますが、寝たきりのご利用者様は基本的にそれができない人が多いです。 そのため職員が一定の時間間隔で訪問し体の向きを変えて除圧します。 ③安否確認サービス 独居で住んでいるご利用者様は、安否確認が必要です。 体調の急変もいつ起こるかわからず、そういった意味での安否確認が必要になるのです。 このサービスを利用するご利用者様や家族は多くいます。 ④基本的にはご利用者様に対するサービスのみ 基本的にこのサービスは、ご利用者様に関わることしか行えないと言う決まりがあります。 例えば家族に関するサービスを行うことは禁止されています。 夜間も対応の随時訪問サービス 夜間対応には、随時訪問のサービスがあります。 随時訪問とはご自宅で1人で過ごしている人には特に必要なサービスになります。 例えば自宅で転んでしまったものの一人暮らしで立ち上がることができない時などに、事業所から配布されたナースコールでヘルパーを呼び、対応してもらうという仕組みです。 筆者は夜勤時の随時訪問で、主に排泄介助を緊急で行ってほしいというコールや転倒して助けて欲しいが、家族が寝ていて助けてもらえないので来てほしいなどのコールがありました。 他には認知症の方で、幻覚や幻聴が聞こえる等の問い合わせで対応したこともあります。 夜間対応の時は、一時的にご自宅の鍵を預かって訪問し鍵を開けて入室します。 そのため、緊急時にも対応が可能ですし、夜間も伺うことができるのです。 基本的に随時訪問で可能な稼働時間は約30分程度です。 私が過去に実際に行って要した時間は長くて20分程度だったと記憶しています。 それぐらいの短めのサービス内容である事が多いです。 オペレーションサービス ご利用者様のコールを受け取り、訪問するヘルパーに伝達する役割も必要です。 最初の電話の段階で、このコールは緊急性があるかどうかの判断をします。 実際多方面からコールが複数回来る場合もあり、優先順位を間違えると、ご利用者様の命に関わる場面もあるからです。 この判断をするオペレーターは基本的に、看護師、ケアマネジャー、介護福祉士の資格を持つ職員です。 どれも国家資格のため、利用者の通報内容からご利用者様への的確な指示を伝え、ヘルパーの派遣をし、場合によっては救急車の手配も行います。 オペレーターを行う人は定期的にご利用者様宅を訪問し、適切な判断をするために様子観察を行う必要があります。 また、オペレーションセンターではご利用者様300人に対して、オペレーションセンター1箇所の設置になります。 しかし、事業所のご利用者様が少なく、ヘルパーが直接利用者様からのコールに対応できるときは、オペレーションセンターの設置を行わない場合もあります。 このオペレーションサービスは2016年から介護保険の対象になり、ご利用者様が利用しやすいようになりました。 オペレーターの従事者の条件は、2018年の介護報酬改定により緩和されています。 元々は医師、看護師、介護福祉士の仕事に3年以上従事した人限定でしたが 現在は1年以上従事した人が対応できるようになりました。 夜間に対応する訪問介護のメリット 夜間に訪問介護のサービスを受けることは、以下のようなメリットがあります。 ①夜間緊急時に連絡可能 どのような環境のご利用者様も、事業所から配布されたナースコールを押すだけで、オペレーションセンターにつながります。 ナースコールは、一人暮らしのご利用者様に特に重宝されます。 他にも、家族が遠くてすぐに駆けつけられないなど、対応できない時に便利です。 ②家族の介護負担軽減になる 先にも説明しましたが、このナースコールがあることでヘルパーが随時対応できます。 そのため、介護者が介護のために仕事を辞めたりする必要もなく、日中夜間含めて自分の時間を守ることが可能です。 夜間に対応する訪問介護のデメリット 夜間の訪問介護はメリットばかりに感じられますが、デメリットも存在ます。 メリットとデメリットの双方を考え、利用することが重要です。 ①料金が高額になることがある コールの端末にはレンタル料などはかかりませんが、夜間対応型訪問介護には月額料金がかかります。 他にサービスを利用すると1回毎に料金が発生するため、利用回数によっては料金が高くなる可能性があります。 ②住んでいる市区町村の事業所だけしか使えない このサービスは、ご利用者様自身が住んでいる市区町村内の事業所しか 利用できないと言う決まりがあります。 そのため、夜間の訪問介護を行っている事業所を探す場合は、担当のケアマネジャーか、住んでいる地域の担当窓口に相談することをおすすめいたします。 まとめ ここでは夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」について解説いたしました。 夜間の介護は寝ているから何も起きないわけではありません。さまざまな手が必要になる場合もあります。 利用する必要が出てくる前に、近くにサービスを受けられる事業所があるかどうかを探しておいてはいかがでしょうか。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 成年後見制度とはどんな制度?種類や選定方法・役割について解説!

    「将来、自分が認知症になったらどうなるんだろう?」 「詐欺や悪徳商法に遭うんじゃないか?」 そんな不安を抱えていませんか? 成年後見制度は、そんな不安を抱えているあなたにぴったりの制度です。   この記事では成年後見制度について分かりやすく解説していきます。 成年後見制度とは? 成年後見制度は「認知症」や「障害のある方」でも、地域社会で安心した生活が送れるように制定された制度で、介護保険制度と共に平成12年にスタートしました。 自己決定の尊重を理念におき、財産と権利を守ることを主な目的としています。 成年後見制度には2種類ある 成年後見制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があります。 ①任意後見制度 任意後見制度は自分の「判断力がはっきりしている時」に、「支援してくれる人(後見人)」と「支援してほしい内容」を自分の意思で決める制度です。 将来の不安に備えて、あらかじめ助けてくれる人(後見人)を決めておく制度になります。 ②法定後見制度 法定後見制度は家庭裁判所に後見人を選任してもらう制度です。 認知症などにより本人の判断能力が低下した際に、「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が家庭裁判所に申し立てを行います。 すでに判断能力が低下しているため「後見人の選定」や「支援内容」について本人の意思を介在させることは困難になるでしょう。 法定後見制度は本人の判断力に応じて3つの種類に分けられます。 補助…判断能力がある程度低下した人に適用される。3つの中では最も軽い類型 保佐…判断能力が相当程度低下した人に適用される。3つの中で中間に位置する類型 後見…判断能力がほとんどなくなった人に適用される。3つの中でで最も重い類型 任意後見制度も法定後見制度も支援内容にほとんど違いはありません。 あらかじめ信頼できる人に後見人を頼みたいのであれば、元気なうちに任意後見制度の手続きを進めておきましょう。 そもそも誰が成年後見人になれるの? 実は成年後見人になるために必要な資格や規定は設けられていません。 欠格事由(成年後見人になることができない要件)に該当してなければ、誰でも成年後見人になることは可能です。 では欠格事由にはどのようなものがあるのでしょうか。 未成年 過去に後見人を含む法定代理人を解任されたことがある人 破産者 被後見人に訴訟を起こした人とその配偶者 行方不明者 その他不正な行為を行うなど後見人に適さない経歴がある人 これらの欠格事由に該当しなければ、基本的にだれでも成年後見人になれます。 成年後見人の役割は?何をするの? 成年後見人の役割は「判断能力が不十分になった人のサポート」です。 より詳しく説明すると「財産管理」「身上監護」「職務内容の報告」の3つに分けられます。 ①財産管理とは? 財産管理とは成年後見人が本人の財産を適切に管理をすることです。 具体的には下記のようなものがあります。 現金や預貯金の管理 不動産や資産などの管理 税金の申告と納税 年金の申請や受取 契約の締結および取り消し ②身上監護とは? 身上監護とは本人の生活や安全、健康を守るために必要な役割を果たすことです。 具体的には下記のようなものがあります。 病院での手続きや支払い 医療や福祉サービスの契約や手続き 住居の契約や支払い 介護保険の認定申請 郵便物の管理 ③職務内容の報告とは? 成年後見人は「財産管理」と「身上監護」を適切におこなっていることを明らかにするために、家庭裁判所に対して報告する役割も担います。 報告は自主的におこなう必要があり、「後見等事務報告書」「財産目録」「預貯金通帳のコピー」「本人収支表」の4つの資料を提出しなければなりません。 成年後見制度メリット3選 ここでは成年後見制度のメリットについて見ていきましょう。 ①成年後見制度の開始後に行った不当な手続きを取り消すことができる 判断力の低下した人を狙った詐欺は世の中に横行しています。 リフォーム詐欺や健康食品の大量購入など、様々な詐欺のニュースを見聞きしたことがある人もいるのではないでしょうか。 成年後見制度では、後見人を通さずに本人が行った不当な契約などを取消したり、代金の返還を求めたりすることが可能になります。 ②財産を守ってくれる 家族や親族の中には本人の財産を勝手に使ってしまうケースがあることも否定できません。 成年後見制度では後見人が銀行に対して、成年後見人になった旨を届け出ることで、成年後見人以外の人が預貯金を引き出すことができなくなります。 ③後見人の監視機能がある 事案にもよりますが家庭裁判所は「成年後見監督人」を選任することができます。 成年後見監督人は、後見人が不正な行為をしてないか確認する役割があります。 また、家庭裁判所は成年後見人が著しく不正な行為を行った場合、諸手続を通じて、成年後見人を解任することができます。 成年後見制度デメリット3選 成年後見制度にはデメリットもあるため、しっかりと確認しておきましょう。 ①自分の財産が自由に使えない 成年後見制度は本人の財産を管理し維持する制度です。 そのため自分で財産を使う行為は制限されてしまいます。 ②後見人へ報酬を支払う必要がある 成年後見人は判断能力の低下した人の代理となり、様々な手続きをこなさなければなりません。 当然ですがそこには報酬が発生します。 成年後見人に一般の人を選任する場合は3万円以下で報酬が設定されることが多いですが、弁護士や司法書士などの士業に依頼する場合3~6万円くらいが相場になります。 毎月のコストになるため慎重に検討することが重要です。 ③後見人を簡単に変えられない 家庭裁判所で後見人が指定された場合、基本的に本人が亡くなるまで後見人を務めることになります。 報酬を支払いたくないからといって、途中で利用をやめることはできません。 ただし後見人が著しく不適格な場合、家庭裁判所は成年後見人を解任することは可能です。 下記に民法の条文を記載します。 民法第846条「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる」 まとめ ここまで成年後見制度について解説してきました。 「まだ若いから大丈夫」「自分には関係ない」と考えている人もいるのではないでしょうか。 しかし人間は誰でも年齢を重ねていきます。 年齢を重ねるにつれて判断能力が衰えるのも避けられない事実です。 最後にポイントを整理しておきましょう。 今だからこそ将来の不安に備えておくことをおすすめします。 成年後見制度には2種類ある 「任意後見制度」…元気なうちに自分で後見人を決めておくことができる 「法定後見制度」…判断能力がすでに低下した時に家庭裁判所が後見人を選定 成年後見制度は詐欺や悪徳商法から大切な財産を守ってくれる制度である 成年後見制度は自分の身を守るために必要な「医療」や「福祉」の架け橋になってくれる制度である 成年後見制度は「自分の財産が自由に使えない」というデメリットもあるため、注意が必要である 成年後見制度は「後見人への報酬」というランニングコストが必要になるので、事前に確認しておく必要がある 判断能力が低下してから困るのではなく、事前に任意後見制度を活用して将来に備えるのも1つの手である 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護従事者の実経験!いわれのないクレーム対応はどうしていますか?

    介護従事者が経験する嫌な対応の一つに「いわれのないクレームにどう対応するか」があります。 いわゆるモンスタークレーマーへの対応です。 利用者やその家族はお客様だから… 介護は福祉の仕事だから… という気持ちから、理不尽だと思いながらもつい言われるがまま、相手の言うことを聞いてしまうことはありませんか? 本記事では、いわれのないクレームの内容や、クレーム対応を怠った場合のリスク、クレームへの対応方法について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 介護従事者が経験するいわれのないクレームについて クレームとは、サービスに対する苦情や改善要求のことです。 利用者やその家族からクレームを言われると、対応した職員は嫌な気持ちになるかもしれませんが、中には正当なクレームもあります。 正当なクレームは利用者への対応や業務の改善につながることもあるので 一概にクレーム=悪ということではありません。 ここで言う「いわれのないクレーム」とは、筋が通らない苦情や過剰な改善要求などの理不尽なクレームのことです。 いわれのないクレームには施設単位での毅然とした対応が必要です。 教育現場では、クレーマーへの対応を怠った学校側が、精神を病んでしまった教師から訴えられて敗訴する判例も出ています (甲府市立小学校教諭事件:甲府地裁平成30年11月13日判決)。 厚生労働省も、近年のクレームの発生状況から、顧客からの著しい迷惑行為から労働者が被害を受けないようにする行動指針を示しています。 各事業所では、クレームが正当なものなのか、理不尽なものなのかを検討し、理不尽なものと判断した場合は適切に対処することが求められます。 参考:「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号) 介護従事者が経験するクレームの内容 [caption id="attachment_1760" align="alignnone" width="512"] Concept of complaints. Customer complaint, dissatisfaction from product or service problem, angry feedback from client. Complain on everything.[/caption] ここでは、介護従事者が経験するクレームがどのようなものかについてgp紹介します。 過剰なサービスの要求 まずは過剰なサービスの要求です。 父の好きな饅頭を毎食つけてほしい 寝たきりの利用者に必ずスラックスを履かせてベルトもつけてほしい 毎日本人のスマホで家族に電話をかけさせてほしいと言われ、スタッフが1時間とられてしまう 上記のような、通常のサービスの範囲を超えた対応できない要求です。 家族としては本人を思う気持ちから出てくる要求なのでしょうが、本人のためにならないことや人員配置上むずかしい要求は断りましょう。 できることであれば、最大限の努力をして対応すべきです。 ですが、一度話を聞いてしまうと「あの時はやってくれた」「あのスタッフはやってくれた」「次はこうしてほしい」とどんどん要求がエスカレートしてしまいます。 現場の介護職員で判断がつかない場合は上長への相談後の返答として、相談員や他の管理職が毅然とした態度で臨むべきでしょう。 職員を罵倒・威圧する 「お金を払っているんだ」「責任者を出せ」「そのやり方は間違っている」など、スタッフの細かい所作をつつき必要以上に罵倒する家族がいます。 大声でスタッフを怒鳴り散らして自分の威厳を示すかのように振る舞う人もいます。 他の利用者に大きな影響を与えますし、なによりスタッフが安心して働けません。 中には介護士に対して殴る・蹴るといった暴力をふるう方もいます。 この場合は現場スタッフでの対応は難しい場合が多いので、管理者が責任を持って対応すべきです。 長時間拘束してくる 同じ要求を1時間以上続けたり、1日に10回以上電話をかけてきたり、面会に来るたびに同じ要求を繰り返したりする人や、訪問先から帰らせてもらえなかった事例もあります。 なにか納得できないことが起きたときに、スタッフに説明を求め、説明しても「納得がいかない」「嘘をついている」などと根拠のない主張を繰り返してくるのです。 他の事例でもそうですが、日時と場所、訴えの内容についてしっかり記録を残することが重要です。 できれば録音もしておくことをおすすめします。 セクシュアルハラスメント 介護職として働いているのは女性の割合が多いためか、利用者の中には介護士に対して性的な発言や接触をしようとする方がいらっしゃいます。 特に訪問介護など利用者の自宅に伺って介護を行う場合は、他の人の目がないため注意が必要です。 クレーム対応を怠った場合のリスク いわれのない理不尽なクレームは、直接対応したスタッフだけではなく、事業所全体に深刻な問題を引き起こす場合があります。 ここではクレーム対応を怠った場合のリスクについて説明します。 当事者が働けなくなる クレーム対応を怠った場合のリスクの1つは、当事者が働けなくなることです。 理不尽なクレームで利用者やその家族から罵倒されてしまったら、当事者はショックを受けます。 メンタルに不調をきたし出勤できなくなり、休職してしまう可能性もあります。。 場合によっては退職に至ってしまうケースもでてくるかもしれません。 周りのスタッフに不満が生まれる クレームの対応を怠った場合、当事者だけではなくその他のスタッフからの不満も大きくなります。 理由は2つです。 1つはクレームを受けた当事者が働けなくなることで人員が不足し、現場が回りにくくなることです。 ただでさえ介護現場は人手不足です。 スタッフに休職や退職者がでてしまうとさらに人手が不足します。 残ったスタッフのシフト変更や残業が生じ、不満のもととなります。 もう一つは、残されたスタッフが、「自分がクレームを受けたときに施設は守ってくれない」と感じてしまうことです。 事故を起こさないように緊張感を持って毎日の業務にあたっている現場スタッフが安心して働けなくなるので、モチベーションが下がります。 「こんな職場だったら別の施設で働く」と退職に拍車がかかることもあるでしょう。 スタッフから訴えられる スタッフがメンタルに不調をきたし、精神疾患に罹患した場合、事業所は安全配慮義務に違反したとして損害賠償責任を負う可能性があります。 冒頭で紹介したように、教育現場ではクレーマーへの対応を怠った学校側が精神を病んでしまった教師から訴えられて、敗訴する判例がすでにでています。 介護現場でも同様のことが起こりかねません。 このように、一つのクレームから、当事者が働けなくなり、他のスタッフからの不満が大きくなり、訴えられる可能性まであります。 はじめにクレームを受けるのは管理者ではなく一般職員のことが多いです。 一般のスタッフに対応を任せるのではなく、事業所として対応し、スタッフのケアまでしっかり行えるとよいでしょう。 いわれのないクレームへの対応方法 クレームを受けたときには、まずは内容の事実確認が必要になります。 感情的にならず、冷静に話の内容を聞き取り、事業所内のルールに従って管理者に報告しましょう。 報告を受けた管理者は非のある部分とそうでない部分を分析し、どのような行動を取るのか判断します。 理不尽なクレームと判断した場合は、施設で対応するのか、法人本部などの別の窓口で対応するのかを決めて対応していきます。 クレームを受ける時の注意点は以下の通りです。 2人以上で対応する 録音する 約束はしない 2人以上で対応する 対面でクレームを受ける場合、2人以上で対応するようにしましょう。 話の内容を正確に聞き取るためと、対応するスタッフの精神的な負担を軽減するためです。 クレーマーは自分の言うことを聞かせようと過激な言動をとる場合もあります。 話を聞く人と記録をする人のように役割を分けても構いません。 1人のスタッフに任せるのではなく、2人以上で対応しましょう。 録音する 話を聞くときは可能な限り録音を残しましょう。 話したことの証拠が残りますし、要求が正当なものであっても、相手の態度によっては警察へ相談する必要もあるためです。 暴行や傷害、脅迫や強要など刑法に触れる場合もあります。 相手に無断で録音しても違法ではありません。 どのような会話をしたのか後で確認できるよう録音しておきましょう。 約束はしない クレーマーが自身の要求を通すため、その場で約束させられたり、サインを求められたりする場合がありますが、応じてはいけません。 「ここで返事をしろ」と言われても、上司と相談すると伝えます。 書面がある場合はコピーをとり返却します。 早く終わらせるためにと安易にサインしてしまうことがないようにしましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、いわれのないクレームの内容やクレーム対応を怠った場合のリスク、クレームへの対応方法について解説しました。 クレームには、正当なものと理不尽ものがある 正当なクレームは利用者への対応や業務の改善につながることもある 理不尽クレームには施設や法人単位で対応する 理不尽なクレームには「過剰なサービスの要求」「職員を罵倒、威圧」 「長時間の拘束」などがある 理不尽なクレームへの対応を怠ると「当事者が働けなくなる」 「他のスタッフからの不満が大きくなる」 「クレームを受けたスタッフから訴えられる」などのリスクがある クレーマーの対応をするときは、「2人以上で対応する」「録音する」「約束はしない」 クレームを受けると、スタッフは疲弊します。 大切な人材を失うことのないよう、1人のスタッフに任せるのではなく、組織的に対応できるよう準備が必要です。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 成年後見制度にかかる費用とは?制度の種類や費用のシュミレーションを解説!

    「将来に備えて任意後見制度を利用しようと考えてるけど費用はいくらかかるの?」 「認知症になった親のために法定後見制度を利用したいけど いくらかかるんだろう?」 そんな不安や疑問を抱えていませんか? この記事では成年後見制度にかかる費用について、分かりやすく解説していきます。 そもそも成年後見制度ってなに? 成年後見制度とは「認知症」や「障害」などにより判断能力が不十分になった人を守る制度になります。 大切な財産を詐欺などから守ることはもちろんですが、病院の受診や介護施設の契約時など、1人で判断することが難しい時に後見人がサポートしてくれる制度です。 そんな成年後見制度ですが「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類に分かれます。 任意後見制度とは? 任意後見制度とは本人の判断能力十分なうちに「後見人(助けてくれる人)」と「支援して欲しい内容」を決めておく制度になります。 制度を利用する人が元気なうちに将来に備える仕組みです。 法定後見制度とは? 法定後見制度とは認知症などにより既に判断能力が不十分になった人に対して、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。 既に判断能力が不十分になっているため、本人の意向を汲み取ることは困難になります。 また、法定後見制度は本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3種類の類型に分類されます。 法定後見制度にかかる費用は? 法定後見制度にかかる費用には、最初の手続き時のみ発生する「初期費用」と、後見人への報酬など「継続的に発生する費用」の2つに分かれます。 法定後見制度の手続きに発生する初期費用 法定後見制度では本人の判断能力が衰えた時に「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が、家庭裁判所に申立を行います。 その家庭裁判所への申立の際に費用が発生します。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 申立て手数料 800~2,400円 ・類型が補助の場合、補助人への代理権と同意権を付与する申立てが必要なため追加で1,600円(各800円)が必要になります。 ・保佐の場合も必要に応じて代理権と同意権が必要になる場合があります 戸籍謄本 450円 住民票 300円 登記されていないことの証明書 300円 本人が既に成年後見制度を利用してないことを確認するための証明書 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合に必要 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合に必要 郵便切手代 4,000~5,000円 登記費用手数料 2,600円 後見・保佐・補助いずれの類型でも同額 鑑定費用 5万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士などに手続きを依頼した場合 10万~20万 手続きを自分で行うことは可能ですが、弁護士や司法書士などへ依頼することも可能です 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用です。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 法定後見制度の継続的に発生する費用 後見人の業務が開始すると、後見人に対して報酬を支払う義務が発生します。 毎月発生する報酬には2種類あります。 基本報酬:後見人への報酬 成年後見監督人への報酬:成年後見監督人が選任されている場合に発生 ※成年後見監督人は後見人がきちんと業務をしているか監督する立場にあります。 それでは2つの報酬の相場を確認していきましょう。 ①基本報酬(後見人への報酬)の相場 基本報酬は本人の管理してる財産額により決められるのが一般的になります。 また管轄の家庭裁判所により報酬額にバラツキがあるため確認しておきましょう。 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ③成年後見監督人に対する報酬 成年後見人への報酬と同様に管理している財産額によって相場が変わるのが一般的です。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円 法定後見制度の費用シュミレーション 実際に法定後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Aさん80歳】……類型が補助の場合 財産1,000万未満 / 申立て手続きを司法書士に依頼 / 成年後見監督人を選任 Aさんをモデルに初期費用と継続的に発生する費用を確認していきましょう。 ①初期費用(家庭裁判所への申立て費用) 家庭裁判所への申立てにかかる費用 ➡ 約2万円前後 ※鑑定費用は発生しないと想定しました。 理由…鑑定が行われるのは希で、発生する割合は例年1割未満のため。 作成などの手続きを司法書士に依頼 ➡ 150,000円 上記の費用を合算すると、およそ17万円が初期の費用として発生する計算になります。 ②継続的に発生する費用 成年後見人への報酬 ➡ 月額2万円程度 成年後見監督人への報酬 ➡ 月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月4万円程度の支払いが発生する計算になります。 年間にすると48万円の支出になり、決して安い金額とは言えません。 仮に亡くなるまでの期間を20年と想定した場合、960万円の支払が必要になる計算です。 任意後見制度にかかる費用は? ここからは任意後見制度にかかわる費用について見ていきます。 任意後見制度の初期費用 任意後見制度の初期費用には判断能力が十分なうちに発生する 「任意後見契約書の作成費用」と、判断能力が衰えたときに発生する「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなります。 時間をおいて2段階で費用が発生するイメージです。 ①任意後見契約書の作成費用 任意後見制度では判断能力が十分なうち、任意後見人を定める任意後見契約を結ぶ必要があります。 【任意後見契約書の作成費用】 項目 金額 備考 公正証書作成基本手数料 11,000円 ・公証役場への手数料 ・4枚を超える場合は1枚ごとに250円追加 印鑑登録証明書 300円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 正本等の作成手数料 250円 1枚あたり250円 登記嘱託手数料 1,400円 郵便切手代 540円 登記手数料 2,600円 法務局へ納める印紙代 司法書士に依頼した場合 5~10万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約1.7万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で5万〜10万の費用が発生します。 ②家庭裁判所への申立てにかかる費用 実際に本人の判断能力が低下し後見人が必要になったら、任意後見人が家庭裁判所に対して 任意後見監督人選任の申立を行う必要があります。 任意後見制度では任意後見監督人(後見人の監督役)を選任する必要があります。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 任意後見監督人選任申立て手数料 800円 後見登記手数料 1,400円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 後見登記事項証明書 550円 オンライン請求の場合380円 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合 郵便切手代 4,000~5,000円 鑑定費用 10万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士に依頼した場合 10万~20万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 任意後見制度の継続的に発生する費用 任意後見制度の継続的に発生する費用には基本報酬(後見人への報酬)と 後見監督人への報酬があります。 ①基本報酬(後見人への報酬) 任意後見人への報酬は本人と後見人候補者で事前に取り決めた金額になります。 一般の人が後見人になる場合、2万円程度が報酬の相場です。 家族に後見人を依頼するのであれば、0円(無料)になる場合もあります。 弁護士や司法書士などに依頼する場合、管理財産額により報酬が変動するのが一般的です。 【後見人に司法書士などの士業を選任した場合】 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ②任意後見監督人への報酬 任意後見監督人への報酬も本人の管理財産額により報酬が変動します。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円  任意後見制度の費用シュミレーション では実際に任意後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Bさん80歳】……任意後見人を家族に依頼 財産1,000万未満 / 任意後見人を家族に依頼 / 成年後見監督人を選任 ※成年後見契約書作成を司法書士に依頼……10万円 ※家庭裁判所への申立を司法書士に依頼……15万円 ①初期費用 任意後見契約書の作成時:1.7万円+10万円(司法書士への報酬)➡ 約12万円 家庭裁判所への申立て時:2万円+15万円(司法書士への報酬)➡ 17万円 上記の費用を合算すると、およそ29万円が初期の費用として発生する計算になります。 任意後見契約書を作成してから、実際に認知症などにより判断能力が低下するまでには数年から数十年かかることが想定されます。 そのため、一気に27万円の支払いが発生するわけではありません。 ②継続的に発生する費用 任意後見人(家族)への報酬 ➡無料 ※家族のため無料と想定 任意後見監督人への報酬 ➡月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月2万円の支払いが発生する計算になります。 年間では24万の支出です。 ※任意後見人を家族に依頼した場合、必ずしも報酬が無料になるわけではありません。 まとめ ここまで成年後見制度にかかる費用について見てきました。 最後にポイントを復習しておきましょう。 成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」2種類ある 成年後見制度の費用には、申立て費用などの「初期費用」と後見開始後に発生する 「継続的な費用」の2つがある 法定後見制度の「初期費用(家庭裁判所への申立て)」は17万円前後である ※司法書士に手続きを依頼したと想定 法定後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」は月額2~9万である ※後見人への報酬額は管理財産額により変動する 任意後見制度の初期費用は「任意後見契約書の作成費用」と 「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなる。 初期費用の合計はおよそ29万円前後である 任意後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」2~9万円前後である 任意後見制度の後見人を家族に依頼する場合報酬が無料の場合もある 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 訪問介護も新しいカタチへ。時代に合わせた変化への対応と結果をご紹介!

    訪問介護利用者の日常生活を取り巻く環境は、日々変化しています。 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAIは、訪問介護にどう取り入れられるのかを紹介します。 多種多様化、ヘルパーさんも随時対応中 訪問介護には色々な「サービス行為ごとの区分」があります。 利用者の身体に纏わる介助を行う身体介護や、日常生活に纏わる援助を行う生活援助、病院受診等の対応に纏わる介助を行う通院等乗降介助などです。 訪問介護の名の通り、ヘルパーが利用者宅へ訪問し介護や援助を行うことですが、ここ最近では日々の生活にデジタル化やAI化したものは普通に浸透しており、介護保険を利用する利用者も例外ではありません。 訪問介護では、サービスの基準となる「老計第10号」という法令があり、身体介護や生活援助のサービスの基本例が記載されています。 訪問介護に関わるヘルパーや職員には、必ず目にするサービスの教科書の様なものとイメージしたら良いでしょう。 大まかに言えば、介護の基本中の基本であるサービス事例が記されているのですが、ここ数年でサービス対応について幾分内容が変わってきたものがあります。 買い物対応、色々な「カタチ」 訪問介護サービスの一つ生活援助には、買い物・薬の受け取りというものがあり、老計第10号にもサービスの内容例が記されています。 2-6 買い物・薬の受け取り 〇日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む) 〇薬の受け取り  利用者の日常品の買い物に対する介助をこの例を元に計画するのですが、通常は食料品や生活雑貨品を購入する為に利用者と同行するパターンと、代行するパターンがあります。 <利用者同行パターン> ・買い物の為の移動手段の確認 ・利用店舗の確認 ・店舗へ移動 ・買い物、レジにて支払い、釣銭預かり、購入品収納 ・自宅へ移動 ・商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 <ヘルパー代行パターン> ・購入品リスト、金額の確認 ・利用店舗の確認 ・ヘルパーによる買い物代行 (レジ支払い、釣銭預かり、購入品収納) ・利用者宅にて商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 今までは、同行や代行においても利用者とお金の確認をし、店舗でレジにて支払いをし、お釣りがあれば受け取り、最後は利用者と商品や購入金額、釣銭を確認していました。 現在もその形で行っているケースもありますが、近年買い物の形が変わりつつあり、新たなパターンでの対応を求められる事もあります。 実際に訪問介護サービスの生活援助の計画に「買い物援助」がありますが、ここ最近ではこんな事例もあります。 ①宅配ネット注文やネットスーパーで購入 県外に住む長女より「久しぶりに帰省して利用者(母)に会った際に前みたいに歩けない、買い物にも行けなくなった」と言われました。 「これまでは調理と掃除片付けをお願いしていたけど、ヘルパーさんに買い物もお願いしたい。」 との相談があり、始まった買い物援助です。 パソコンの操作方法は、図で分かる様にした物を印刷し、それをコルクボードに貼り付け、ヘルパーが訪問した日に見守りの下で、手順通りに入力し商品を選んで注文しています。 ②スーパーやドラッグストアでセルフレジ対応 独居生活の利用者の週2回ある生活援助の内の一つが買い物同行と整理整頓です。 昨年まで利用店舗は有人レジでしたが、店舗改装後にレジの半分がセルフレジに変更となってしまいました。 買い物援助の際に人対応の方のレジへ並ぶも時間が掛かり、生活援助サービスの時間が押してしまう事もあった為、 「セルフレジで買い物ができるようになる(バーコード読み取り、マイバックに詰める 支払いをする、ショッピングカートに入れて持って帰る)」 という見守り的援助プランに変更しました。 現在も見守りの下で買い物をされています。 ③支払いは電子マネー決済(キャッシュレスで買い物、現金不所持) 長男とは同居も、日中は仕事で出張も多く留守がちで独居状態に近く、利用者が財布類を持つと置いた場所が分からなくなるので、 「母のスマホにダウンロードした電子マネーでの決済」 を希望をされました。 合わせて、できるだけお金を持たせたくないと強く言われます。 利用者も置いたはずのお金がどこにいったか分からなくなる事があるので、長男が準備してくれた金額を使う事を了承済みです。 ケアマネジャーや自治体と相談・検討の結果、 ①利用者のスマートフォンをヘルパーが持ち出すのは、緊急事態時に連絡や対応ができなくなる事 ②紛失した場合に損失が大きい上に日常生活に支障を来す との判断で、買い物代行時の金銭取り扱いは流通系の電子マネー(カード型)対応に変更してもらい、様子をみる形を取りました。 結果としては、現金を取り扱わない事で、利用者宅のあちこちに小銭が見つかる事や財布類が見つからない事も少なくなります。 重ねて台帳管理も上手くいっている為、買い物代行は継続中です。 前述にもありましたが、訪問介護サービスでの買い物援助は人の手を介して現金を取り扱う事が通常だった為に、現代の流れに沿った対応に若干違和感を感じられる事もあるかもしれません。 介護認定を受けた利用者も私たちも同じ日常を過ごしているのだから、時代の流れに沿って介護サービスのカタチを変えていくのは必然の流れです。 中には新しい流れを嫌がる利用者もいますが、少しずつ『現在の暮らしの普通のカタチ』を取り入れ、地域に暮らす日常に慣れていく事も「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう(介護保険法第1条)」になるのではないでしょうか。 お掃除ロボ、発進! 一般的という程ではありませんが、最近は自宅にロボット掃除機を導入している所もちらほらあるようです。 訪問介護を受ける利用者宅で導入される事もここ数年、僅かながらもみられるようになりました。 まだ圧倒的に生活援助で掃除のプランが立てられている場合は、掃除機やフローリングワイパー等の掃除用具で行う事が主立っています。 しかし、中には家族が購入したロボット掃除機が活動されている所もあるのです。 訪問介護において、同居家族がいる場合の生活援助は基本的に受ける事ができません。 (但し、同居家族にやむを得ない場合や状況によっては生活援助のサービス利用が可能になる場合もあります。) ロボット掃除機も同様で、独居状態にある利用者へ離れて住む家族や身内から贈られた物、あるいは利用者自身で購入した物であれば、生活環境が利用者中心である為、使用については特に問題はありません。 それに応じたプラン変更は求められますが、日常生活を送る上での一部という事で対応していきます。 同居家族にやむを得ない場合や状況が有り、生活援助サービスを認められた場合では注意が必要です。 ケアマネージャーによる居宅プラン、それに沿って立てられた訪問介護計画書に則りサービスは行いますが、同居家族がいる場合の生活援助は、利用者のみが利用する場所においてサービスが行われ、同居家族が利用する共用場所へのサービスは認められません。 あくまでも訪問介護計画書に記されたサービスしか行えない為、プランが利用者の寝室や寝室周辺(利用者しか利用しない事を前提)の掃除や整理整頓であった場合、ロボット掃除機がリビングにあり、居室指定の設定をせずに利用者の寝室へ辿り着くまでの間の共用部分の掃除をしてしまう事が認められないのです。 「細かすぎる!少し位は良いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、訪問介護は介護保険を利用した介護認定を受けた利用者の為のサービスなのです。(各自治体によっては、許容認可の範囲が違う場合もあるので確認が必要です。) どんなに便利な機器や器具が導入されても、介護保険を利用している訪問介護の基本を踏まえた上で プランに沿ったサービスを行う事を忘れてはいけません。 もはや、もう一人のヘルパーさん 最近では日常生活においてAI機器の導入が色々みられるようになりました。 前述にもありましたロボット掃除機もそうですが、スマートスピーカーも導入され日常生活に反映されているようです。 同居している家族が導入したので利用者も使用するという例もあり、ヘルパーやケアマネージャーも最新の流れをインプットやアウトプットしていく事が求められる様になります。 まず始めに利用者が「これ、どうやって使うんだろう?」と思うように、ヘルパーやケアマネージャーも「これ、どうやって使うんだろう?」「サービスにどう取り入れていけばいいんだろう?」と頭を悩ませるでしょう。 知識を得る為にスマートスピーカーについて学び(インプット)、「こうやって使うんだ!こんな機能があるなら支援や援助に取り入れていこう。」とプランに取り入れてサービスを行う事で実行に移す(アウトプット)形となるのです。 日々の生活が進化していく事に比例して、利用者の生活も進化し、サービスを行う介護事業所全体も進化し追従していかないといけません。 スマートスピーカーでできる事につきましては、下記の図を参照して下さい。 利用者がスマートスピーカーへ「今日の予定は何?」と聞けば、「〇日〇時から訪問介護です。」や「〇時に〇〇病院に受診です。」等のスケジュールを答えてくれます。 また、、「電気点けて、消して。」「エアコン点けて、消して。」「テレビ点けて、消して。」等の家電や機器の操作も音声で対応でき、「今、何時?」にも、時刻を音声で伝え、日用品が切れた時に 「(日用品名)を注文して」と頼めば、ネット注文で買い物もできてしまうのです。 こうなると、もう一人の家族であり、万能ヘルパーでもあります。 とは言っても、流石にできない作業や動作もあります。 そこはアセスメントやモニタリングによって必要となった介護プランに沿ったサービスを行い、AIを上手く活用していく事ができれば日常生活がよりよいものとなるでしょう。 まとめ 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAI化は訪問介護にどう取り入れられるのかを幾つか例を挙げて紹介しました。 ・訪問介護は老計第10号の法令の基本に沿って対応も、最新のデジタル化やAI化によって サービス内容が変化しつつある。・生活援助における買い物同行や代行においても、「宅配ネット注文」 「ネットスーパーの利用」や、店舗にて購入も「セルフレジ」対応、 支払いは「電子マネー決済」対応等、今までの買い物のカタチが変わり 利用者もヘルパーも対応していかなければならない。・生活援助における掃除においては、「ロボット掃除機」が導入されている所もあり 利用については同居家族がいる場合において注意を要する。・「スマートスピーカー」という、AIが搭載された多機能なスピーカーを 導入されている所も少なからずあり、日常生活に反映される対応が可能になっている。 ・「スマートスピーカー」のできる事は ①音楽の再生②家電や機器との連携操作③検索や情報収集やネット対応が可能 ④メールやデータの送受信や音声読み上げ⑤スケジュール管理などがある。 ・デジタル化やAI化が進んでも、日常生活ではできない動作や作業があるので 上手く活用しながら対応していく事が求められる。 デジタル化やAI化の波に乗って訪問介護もカタチを変えつつあります。 しかし未だそういった進化の波とは無縁の環境で日常生活を過ごす利用者がいるのも事実です。 其々の生活環境や状況に応じた対応を求められますが、一朝一夕には対応できません。 介護保険に関する法令遵守や法改正に伴うサービスの変更等に加え、最新のデジタルAI関連にも目を向けないといけない状況はとても大変です。 新旧共々に対応していけるヘルパー力を身に付けていきましょう。

  • 介護を「作業」としてこなす人。「ケア」として向き合う人の違いについて解説

    この記事では、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人の違いについて紹介します。 またお互い協力して仕事ができる方法についてもお伝えします。 介護を「作業」としてこなす人の特徴 1,「速さ」「効率」を重視している 介護を「作業」としてこなしている人は、何よりも「速さ」「効率」を重視しています。 その為、想定外のことが起こったり、声かけに拒否があっても、無理矢理にでも連れて行こうとし、業務時間内に介助を終わらせようとします。 この考え方は、在宅よりも施設、特に多床室のような従来型特養で働いている人に多いです。 従来型特養は、何十人ものケアを時間内で終わらせなければなりません。 その為「速く終わらせること」を求められた結果、「速く、効率的に終わらせることが最優先」という思考回路になってしまうのです。 2,ケアの理由について考えていない 施設内で行う介護(ケア)は、ケアプランに基づいて行われています。 それは、「なぜそのケアがその人にとって必要なのか」という、根拠あり、それを基にケアを行う必要があるからです。 しかし介護を「作業」としてこなしている人の場合、根拠についてあまり考えていません。 「そう決まっているから」と、疑問を持ったり改善しようとせず、自分の業務をこなすことを最優先事項としているのです。 介護を「ケア」として向き合う人の特徴 1,入居者や利用者の気持ちを重視している 介護を「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の気持ちを重視し 1人1人丁寧に向き合っています。 例えば入浴の声かけをして嫌がったとき、「今は無理に行ってもダメだから、時間を置いて声をかけてみよう」と考え方を変えることができます。 また入居者や利用者の気持ちに向き合って対応しているので、不穏な人でもその人が対応すると、落ち着くことが多いです。 2,ケアを行う根拠を把握している ケアとして向き合っている人は、ケアプランの内容を把握し、「なぜこのケアを行うのか」という根拠を明確に説明することができる人が多いです。 根拠を知っていることで、新人職員などに教えるときに分かりやすく説明することができます。 また「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の状態は日々変化しているということを知っています。 なので「ケアプランではこのようなケアを行うとあるけれど、今のこの人には、適応しているのか」と疑問を持ち、改善点を他職種に提案することができるのです。 どちらが正しいとは言えない 上記にて介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合っている人の特徴についてお伝えしてきました。 ここまでだと「仕事としては、ケアとして向き合っている人の方が良いのではないか?」と思いがちです。 しかし実際は、「どちらが正しい」とは、一概には言えないのです。 というのも、介護業務というのは、限られた時間内と人数で業務を回さなければなりません。 その中で、入居者や利用者1人1人に丁寧に向き合っていたら、業務時間内に仕事が終わらなくなってしまいます。 それは、他の職員に迷惑がかかってしまうことになります。 そのため、ある程度「作業」としてこなすことも、必要なことなのです。 両者が協力するために ここでは、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人が、お互い協力する為に、何をすると良いのかお伝えしていきます。 ①お互いを知る 両者が協力するためにまず必要なことは、「お互いを知る」ことです。 具体的には ・日々どのように介護業務を行っているか ・どのような価値観や考え方を持って行っているのか ・他の職員の業務に支障が出ていないか ということが挙げられます。 特に最後の「他の職員の業務に支障が出ていないか」という点を忘れないでおきましょう。 支障が出ていなければ、お互い考え方や価値観を変えず、現状維持するという方法もあります。 人の価値観というのは、簡単に変えることができません。 なので、無理に考え方を変えようとすると、かえって関係性が悪化してしまい、施設全体が悪くなってしまう可能性があります。 ②問題について共有する お互いについて知ることができたら、次は「今施設の中で問題になっていることは何か」を、共有しましょう。 例えば「ナースコールで頻回に呼ぶ利用者がいて、業務が進まない」という問題が挙げられたとします。 介護を「作業」としてこなす人であれば、 「頻回に呼ばれて、業務が進まない」 という点に着目します。 しかし「ケア」として向き合っている人の場合、 「なぜ呼ぶのだろうか」 「寂しいからなのか、何か訴えがあるからなのか」 と、疑問を持ちます。 このように同じ問題でも、着目点が異なるのです。 ③お互いの価値観を用いて、意見を聴く 上記のような問題が発生した場合、お互いの価値観を用いて意見を提案しましょう。 介護を「作業」としてこなす人であれば 「業務が進まないから、ナースコールは無視する」 「何回も呼ばないで欲しい」と、注意する という意見が出てきがちです。 一見すると「介護職としてどうなのか」と思いがちです。 しかし利用者の中には、用もないのに何回も呼ぶ人もいます。 なので時には、注意するということも必要なのです。 一方「ケア」として向き合う人の場合 「日中居室に籠もりがちですることがないので、呼ぶのではないか」 「何か役割を持たせると良いのではないか」 と、疑問や改善点を思い浮かべます。 重要なのは「お互い、相手の意見に最初から否定しない」ことです。 自分にとって意にそぐわない意見だとしても、その人にとっては 「明確な理由があって」話をしています。 「そういう考え方もありますね」と、相手に伝えることで、相手もこちら側の意見を受け入れやすくなります。 ④試行錯誤してみる お互いの立場で意見が出てきたら、実際にやってみましょう。 上記の「ナースコールが頻回な人の対応」については ・役割を持たせて、不安な気持ちを軽減させる ・夜ナースコールが頻回な場合は、日中活動の時間を増やす ・看護師や相談員、ご家族様にも相談し、精神科に受診し、薬を処方してもらう ・それでも頻回な場合は、理由を伝えて「何回も呼ばないで欲しい」と言う といった方法を実践してみましょう。 しかし、1回で成功するとは限りません。 何回も行い、どれがその人にとって1番良い方法なのか、実践してみましょう。 試行錯誤していく中で、「作業」としてこなす人、「ケア」として向き合う人それぞれの価値観が共有されるようになり、結束し、協調して仕事に取り組めるようになります。 試行錯誤した結果、ナースコールが減れば、介護職員の負担が軽減されるだけでなく、利用者本人も不安が減り、施設での生活を快適に送れるようになります。 介護の仕事は、試行錯誤 介護業務、特に施設内のケアというのは、日々同じことの繰り返しに見えるので、単純労働でルーチンの業務だと思いがちです。 しかし上記でも挙げましたが、入居者や利用者の状態は日々変化していくので、臨機応変な対応が求められます。 また医療のように「治癒」という明確なゴールが設定しづらいので、介護職だけでなく、ケアを受ける本人や、他の職種と一緒に、ケアを考え続ける必要があります。 これからのケアは、お互いの価値観ややり方を理解し、「どうすればより良くなれるか」を考え続けることが、求められるのです。   まとめ ここまで介護を作業としてこなす人、「ケア」として向き合う人の違いについて解説してきました。 介護を「作業」としてこなす人の特徴は、「速さ」「効率」を重視している ・「ケア」として向き合う人の特徴は、ケアを行う根拠を理解しながら 入居者や利用者に対応している ・限られた時間と人数で業務を回さなければいけない以上 どちらが正しいとは一概には言えない ・両者が協力するためには、お互いの価値観ややり方を理解した上で 問題を改善するための意見を提案し合い、試行錯誤しながら お互いの価値観を共有していくことが重要である 最後までお読みいただきましてありがとうございます。  

  • これは介護と医療どちらですか?介護と医療が連携する場合の対処方法を解説

    訪問介護のヘルパーはサービス時でも、医療行為や医療機関との連携を求められる状況が発生する場合もあります。 今回は、そんな状況時での対応の仕方について紹介します。 介護なのに医療行為? 訪問介護でのヘルパーさんのボーダーライン 利用者宅へ訪問し、介護サービスを行うヘルパーですが、利用者の日常生活には些細な形でも医療行為を必要とする様な事態や、簡単な処置対応を求められる事があります。 ・自宅で家具にぶつけてしまい、手に小さな擦り傷ができてしまった。 ・高血圧と診断されており、毎日血圧を測るように主治医から言われている。 ・脊柱管狭窄症の為、屈伸動作が難しくなかなか足の爪が切れない。 ・ドライアイが強く、医師より点眼薬が処方されている。 ・加齢による乾皮症で、ワセリンが処方されている。 ・利用者の手が不自由な為、口腔ケアや義歯洗浄ができない。 サービス開始前のケアマネージャーや訪問介護事業所側のモニタリングやアセスメントで以下の事柄を確認します。 ・利用者のADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作) ・身体的にどういった動作ができて、どういった動作が難しいのか ・日常生活では何ができて何が難しいのか ・傷病歴や生活環境等 基本的には、ケアマネージャーの立てたケアプランに則り、訪問介護計画が立てられサービスを行うのですが、時に身体介護においてこれは医行為ではないのか?とヘルパーが判断に迷う事もあります。 基本的に訪問介護のヘルパーは医療行為を行う事はできませんが、下記の図の様に厚生労働省より「医行為ではないと考えられる」とされる事例があるので参照して下さい。 例えば訪問介護サービスにおいて、食事介助と図の⑤にある様に食後の口腔ケアと義歯洗浄まで訪問介護計画にある場合は、計画通りサービスを行わなければなりません。 私達も普段の生活で、食事の後に歯みがきをしたり、人によっては義歯のケアをする事は何の疑問も持たないでしょう。 利用者も同じで、口腔内外に炎症も病例も特に何も無く、食事を安全に行った後の清潔保持の為に行う口腔ケアや義歯洗浄は、ケアプランに立てられていれば、ヘルパーは口腔ケアの介助や見守り的援助にて対応します。 但し、利用者の口内に歯周病や酷い歯槽膿漏があったり、口腔内潰瘍やヘルペスの症状があり医師による診察や治療が行われている状態での口腔ケアや義歯洗浄となると、話は違ってきます。 明らかに医師の対応が必要となる状態=重篤な状態での口腔ケアを行う時は、必ず医師の指示書や看護師の指導の下にサービスを行う必要があります。 そういった場合では基本的には処置や医療行為を求められる為、軽微な状態とは言えず介護対応はできません。 その際は訪問介護ではなく訪問看護での対応となる場合もあるので、利用者の状態においては安易に自己判断したり利用者の言い分要求を鵜呑みにして言われるまま対応したりせず、ケアマネージャーや訪問介護事業所等に報告した上で正しく利用者に応じる等の注意が必要です。 訪問介護でヘルパーができる医療行為は、利用者の心身状態が安定しており、入院の必要が無く、医療技術や専門的な管理、処置を伴う事が無い状態である場合に軽微で簡易的なもののみ行えるものです。 ヘルパーができる医療行為の例外として、研修を受講した介護福祉士が行える喀痰吸引と経管栄養がありますが、「たん吸引は咽頭の手前まで」や「経管栄養の胃ろうや腸ろうの状態確認は看護師対応」等行為にはできる行為とできない行為があるので注意が必要です。 医療機関で訪問介護? 訪問介護はその名の通り、ヘルパーが利用者宅にて訪問して行われるものですが、利用者宅から出て対応する事が必要とされる場合もあります。 日常生活に必要な動作であれば、訪問介護として認められるものもあり、その認められるものに「医療機関への受診対応」も条件によっては可能です。 「ちょっと風邪ひいたから病院行ってくる。」 「毎月の定期受診だから月末病院に行かないといけない。」 「入れ歯のかみ合わせが悪くてご飯が食べにくい、歯医者に掛からないといけない。」 様々な理由により、生活に医療が関わってくるものですが、基本的に医療機関への受診対応は訪問介護ではできないとされています。 ですが、医療機関への対応が利用者一人では困難な場合や利用者の取り巻く環境や、介護を要する事が明らかに認められる状況によっては、事前対応次第で訪問介護にて対応する事が可能となります。 【院内介助ができる条件】 ①要介護度1~5の認定がある利用者 ②医療関係者の介助が望めないと事前に確認済の場合 ③当日、家族や身内の通院付添いが望めない場合 ④院内で常時見守りや介助が必要とされる場合 介護タクシーを利用される場合、訪問介護の基本として当然ながら病院内の院内介助は医療機関対応の為行えませんが、上記にある①~④全てに該当する場合は対応可能となる事もあります。 ここで注意したいのは、ヘルパーが介助できるのは受診受付、院内での移動や、トイレ介助、病院代支払い、薬の受取りです。 心身不安定で一人で待ち時間を過ごす事が困難な場合は条件により介助可能ですが、検査や処置、診察は医療対応の為、介護保険である訪問介護のヘルパーは対応できません。 では、認知症の傾向があったり、または視聴覚が困難な利用者が訪問介護を利用して受診した場合、どうなるでしょうか? 医師の診察において病状の報告や診断結果を受け対応する事は医療対応の為、訪問介護では対応できない事とされています。 この場合は上記でも述べましたが、事前対応によりヘルパー同席が可能になる事もあります。 全ての自治体が事前対応可能とは限らない為、利用者居住区の自治体に相談が必要です。 対象となる利用者が、どの動作に介助を要するのか、またはどこからが医療対応で介護対応では無くなるのかをよく確認した上で線引きし、対応しなければなりません。 介護側が計画通り対応を行っていても、突如介助や見守りを要する事があったり、医師や看護師の説明を聞いたり、利用者の状態を報告したりと、医療と介護の対応が混乱する事も多々ある為、その場その場に応じた臨機応変な対応が求められます。 医療機関で訪問介護(通院介助、院内介助)を行う為に必要な事は下記の図を参照して下さい。 あくまでも「訪問介護対応」で介助しないと病院に受診する事ができない為に、ヘルパーを介して行われるものが、通院介助または院内介助です。 訪問介護対応という事は、先程にもあった通り事前確認やそれに伴う打合せや会議、計画書の作成、記録または報告書の作成等が必要となるという事です。 要介護度認定があっても看護師の介助があれば一人でも受診できたり、医師とのやり取りが可能な場合は、ヘルパーは立ち入る事はできません。 身内や家族の様に寄り添う気持ちは大切ですが、介護保険を利用している事を忘れずに対応しましょう。 皮膚は人の身体の信号機です 訪問介護では、要介護の利用者でも自身で何等かの形でも動ける利用者と、自身の思うようには動けない利用者がいます。 (ここでは、施設や医療機関に入所せず自宅で家族の援助を受けながら過ごす寝たきりに近い状態を指します。) そういった利用者への介護は、ほぼ身体介護メインである事が多いのですが、「寝たきり」状態である場合、ケアマネージャーのプランを踏まえた上で更に注意すべき点がいくつかあります。 ヘルパーは訪問介護を通じて利用者の状態を確認した上で、「おかしいな?」「あれ?前回より状態悪くなってる!」と感じたら、状況や状態の報告を行い、適切な判断や今後の対応を検討しなければなりません。 図の①や②の場合は、状況によっては医師の診断が必要になりますし、介護ではなく訪問看護対応となる事もあります。 図③の場合、医師の診断やケアマネージャーとの検討、利用者の身体状態によっては訪問リハビリ対応となり、介護との連携を図っていく形になる事もあります。 図④~⑤に関して特に図④の場合、皮膚に状態悪化がみられ、褥瘡が確認された場合は注意が必要です。 褥瘡部への処置は医療行為ですので介護では対応できませんが、排泄により患部周辺が汚染された場合は、清拭対応としてヘルパーが介護を行います。 排泄物で汚染されたまま放置では状態悪化に繋がる為、排泄汚染されている場合は、患部周辺の洗浄、ガーゼやパットの交換、おむつやリハビリパンツの交換はヘルパーが対応します。 褥瘡、床ずれは同じ体勢により同じ個所に体圧が掛かってしまった場合にできる事が多いので、体位を定期的に動かし圧を分散させる必要があります。 それと同じくして、栄養摂取においても食事による栄養が摂取できなくなり、低栄養になってくると褥瘡ができやすく、また発症しても治りにくくなってしまいます。 食事による栄養摂取の為には、嚥下状態も大きく関わってきますし、上下肢の動きも体圧分散に繋がる上に、排泄などの基本的な身体動作に上下肢の動きは必須な為、その動作が維持できるかどうかは褥瘡発症のリスク増減に関わってくるので注意が必要です。 図①~⑤は全て連動しており、訪問介護でヘルパーが対応する介助は一つ一つが全て重要なものであると同時に、目に見えてその状態の良し悪しを教えてくれるのが「利用者の皮膚」であったりします。 ・特に状態に問題なく、その利用者なりの日常生活が送れていたら青信号です。 ・日常生活は送れているけれども、何らかの「あれ?おかしいな?」が みられたら黄信号です。 ・はっきりと異常が確認されたら赤信号で、医療対応が必要です。 介護で対応すべき範囲と医療で対応すべき範囲を理解し、利用者から出される信号を正しく受け取り、日常生活を送るという道路を走る車の一つが介護であると考えられるならば、訪問介護にて ヘルパーがどう対応すれば良いのかが分かってくるでしょう。 まとめ 今回は、訪問介護のヘルパーが、医療行為や医療機関との連携を求められる状況時での対応の仕方について紹介しました。 ・利用者の日常生活には、医療行為を必要とする様な事態や簡単な処置対応を 求められる事があり、基本的には医療行為はできないが、介護で対応可能と 解釈されたヘルパーができる医療行為がある。・ヘルパーができる医療行為でも、医療(医師や看護士等)との連携が求められる。・医療機関への受診対応も訪問介護サービスの一つであり 介助を行うには条件や事前または事後の対応が含まれる。・通院または院内介助を計画されサービスを実施しても 介護で行えるサービスと行えないサービスがある。・訪問介護で寝たきりや思うように自身で動けない利用者へのサービスでは ケアプランの他にも気を付けなければならない点があり、実際サービスに入って 認識や確認できる事が少なくない。・嚥下、栄養、可動域、皮膚、排泄の5点は連動しており 皮膚状態は身体全体の良し悪しを現す信号である。 ・状態の変化の気付きを意識して生活状況の対応をし、状態の異常時は すぐに医療との連携を図る事ができる最前線にいるのがヘルパーであるので 訪問介護時はサービスは繋がっている事を意識して行う。 「医療と介護の連携」と言われると難しく捉えられがちですが、基本的にできる事やできない事をきちんと踏まえた上で、サービスを行えば特に問題はないのです。 訪問介護で身体介護を行う、通院または院内介助を行う、身体介護で利用者の状態をよく確認する、これらは全て利用者の日常生活を安全に送る為の一つで、全ては連動しているのだと考えられたならば介護に対しての理解も深まるでしょう。 不安を持ったままサービスを行えば利用者にも不安が伝わります。 「ヘルパーは介護のプロだ」と自信を持って訪問介護サービスを行いましょう。

  • 有効求人倍率15倍!? ヘルパーが働き続けたくなる環境とはどんな職場?

    介護の職場は有効求人倍率15倍と言われています。 人材難の介護業界でヘルパーが働き続けるには何が必要なのでしょうか。 ここでは介護の人材難に向き合う課題についてご紹介していきます。 ヘルパーが働きやすい職場が少ない 介護業界はどこも人材が圧倒的に足りていません。 同じ職場に定着する人の割合が他の業界に比べて少ないことが人手不足の要因にあげられています。 例えば、新卒からずっと同じ職場で働いていると言う職員を筆者はあまり見たことがありません。 ではヘルパーが介護業界で定着しやすい職場はどんなところなのでしょうか。 まずはヘルパーの離職の原因から確認していきます。   ヘルパー離職の原因 職場の人間関係 介護ヘルパーが同じ職場で働き続けたくなくなる理由の1つ目は、職場の人間関係です。 この理由は他職種でもあるかもしれませんが、介護の現場においては特に重要なものになります。 介護の仕事は、夜勤、日勤、遅番などのシフト制がほとんどで、ご利用者様の状態や業務の引き継ぎが必要になります。 それは職員とのやりとりが多くあるということです。 他にも日中の業務で連携をとりながら仕事をする必要もあります。 その際のちょっとした言葉の行き違いなどから不快感を感じ、その積み重ねで徐々に険悪になる職員を多く見てきました。 人は皆違う人生と価値観で生きています。 ちょっとした事から関係性が悪くなり退職する人は多いようです。 そんな事例からも、職場の人間関係が安定している事業所は働きやすく、結果として離職率が低いと言えます。 慢性的な人手不足 ヘルパー離職の理由の2つ目は、慢性的な人手不足です。 介護の仕事は基本的にマンパワーが必要になってきます。 例えば24時間対応の施設系の職場であれば、早番、日勤、遅番、夜勤と最低でも1日のシフトで4人の職員が必要です。 この環境で職員が1人辞めると、3人で現場を回す必要があります。 これは体験しなければわからないことですが、場合によっては休憩が出来ないこともあります。 最悪の場合、時間外で残業をしなければ現場が回らないこともあります。 これが1日だけであればまだ続けようと思えますが、職員の補充があるまでずっと続くところもあります。 職員の補充を求めたとしても、すぐに入ってくるとは限りません。 例え入職してくれる人がいたとしても、そのまま長く続けてくれるとは限りません。 余談ですが、ある時入職した翌日に家族の急病を理由に休んだ新入職員がいました。 そしてそのまま音信不通になり、復職することはありませんでした。 このような事からも、介護業界での定着率は低い傾向がわかります。 給料や待遇面 離職率の高い理由3番目は、介護のヘルパーの給料や待遇は仕事の大変さのわりに低い点です。 さらに昨今、一般企業のサラリーマンやOLとの差は更に開いてきていると感じます。 筆者は社会福祉法人の施設に勤務するまで、ボーナスをもらったことがありませんでした。 それぐらい、介護業界の給料は低い設定になっていて、介護職の定着に大きな影響を与えています。 健康の不安が原因 離職率の高い理由4番目は、健康の悪化です。 特に介護ヘルパーの仕事をしていると痛めるのが腰です。 腰は日常生活でも大切な部分ですが、その腰を酷使する仕事でもあるため、介護の仕事をしてから腰が悪くなったと言う人は多いです。 介護現場では、腰にコルセットを巻かないと仕事ができない人が多くいて、その大半が女性でした。 高齢者は体重の重い人から軽い人まで色々な人がいます。 介助の仕方、技術次第で腰を痛めないも方法もありますが、逆に介助方法を間違えて痛めてしまうこともあります。 なので、介護ヘルパーの健康不安要因1番は腰の痛みです。 その他では、感染症に感染することがあります。 高齢者は免疫力が低下していることもあり、感染症にかかりやすい可能性が高いです。 そのため介護ヘルパーもそこからの2次感染の確率は高く、その点においても健康を害するリスクは高いです。 高齢者の健全な生活を守るヘルパーは、健康面においても離職しやすい環境であると言えます。   ヘルパーが働きたくなる職場とは 先の紹介で介護ヘルパーが、仕事を続けたくなくなる環境のご説明をしてきました。 ではヘルパーが働き続けたくなる職場とはどのような環境なのでしょうか。 将来を描きやすい職場づくり ヘルパーの仕事は、営業などのタスク達成型の仕事と違い、1日の仕事がルーティンワークに近いため、マンネリ化しやすく目標が見えにくい仕事です。 そのため、この仕事を続けても将来が見えないという理由で、他の業界に転職する人も多くいます。 福祉という特徴から、目標にコミットしてそれを達成するという環境づくりが難しい面もあるのです。 なので入職した職員が、この職場でどうなっていけるのかなど将来性を提示できる環境があれば職員の定着率も上がり、求人への応募も増えるのではないでしょうか。 介護現場ではヘルパー自身が未来を描きやすい環境整備が最も重要です。 この職場で働きたいと思える職場づくり 介護ヘルパーが、この職場で働きたいと思える職場作りも、応募してもらうために必要なことです。 全ての環境を他の職場よりベストにできればいいのですが、そう簡単にはいきません。 なので、ご自分の職場でここなら改善できて、うちの職場の魅力としてアピールできるであろうと思うところを見つけて宣伝しましょう。 最初の方でお伝えした、給料、福利厚生、職場の人間関係、研修環境、労働環境など、入職する人によって職場を選ぶ基準は様々です。 ご自身の事業所や職場で改善できる点を取り上げて求人倍率の向上に繋げるようにしましょう。 悩みを抱え込ませない職場づくり 退職で多い理由の人間関係の問題など、各職員が抱えている悩みを出来る限り抱え込ませない環境を作りましょう。 実際に働いてみて感じますが、職員間の対人関係の悩みは尽きません。 それぞれ違う人生を生きてきているわけですから、価値観の違いですれ違いや喧嘩をすることもあります。 個々人の問題であると言えばそれまでですが、その問題はできる限り目を瞑らずに環境改善に取り組むべきです。 例えば、上司の面談をある一定の期間で設定するとか、ストレスチェックシートを書いてもらうなどの対応もいいでしょう。 他にも、上司と職員間での日々のコミュニケーションも大事です。 何か問題などがあれば言いやすい環境づくりは、役職者の責務とも言えます。 悩みを抱え込ませないためにも、コミュニケーションによる運営者側の努力が必要になります。 仕事のオンとオフができる職場づくり 介護ヘルパーの仕事でよくあるのが、仕事のオンとオフが難しい環境であることがあります。 特に中間管理職の職員に多いですが、休みの日にも仕事の電話が鳴り止まず、なかなか休めない人もいます。 一般職員でも、休みの日に引き継ぎの件で確認の電話があったり、人員不足で夜勤明けからの日勤業務で昼まで働くなど過酷な環境があります。 ひどい時だと、日勤をしてから夜勤をするなどの勤務もあります。 一言で言えば過重労働なのです。 このような仕事の切り替えがしづらい環境を変えるために、職員が定着したくなる環境を作り運営していく必要があります。 まとめ 結論として求人倍率15倍の環境を作るためには、シンプルにこの職場にいたいと思える場所を作るのが最短です。 そのためには、給料、福利厚生、職場の人間関係、研修環境、労働環境これらの環境改善を行い、求人票状でも魅力的な職場を作る必要があります。 また、実際にヘルパー同士のコミュニケーションをしっかりと図り、働きやすい環境づくりが必要です。 簡単ではありませんが、1番の近道はコツコツ積み上げて作り上げていくことが大切です。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 在宅介護の救世主!定期巡回・随時対応型訪問介護看護について解説

    できる限り自宅で自立して生活したいと願われるご利用者様の救世主ともいえる定期巡回・随時対応型訪問介護看護とはどんなものなのでしょうか。 ここでは定期巡回や随時対応型訪問介護看護について解説します。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護って何? このサービスの名前を聞きなれない方も多いのではないでしょうか。 このサービスは24時間体制で主に在宅介護で介護を受けているご利用者様へできる限り自立した生活を行ってもらう為の支援サービスです。 このサービスは通常の訪問介護と少し違い、定額でサービスが利用できます。 ここまではざっくりとした説明ですが、ここからは細かい点も含めての説明をしていきます。 定期巡回について このサービスは、ご利用者様ごとに作成した訪問介護計画書をもとにして行われます。 内容としては一般的な訪問介護と一緒で、食事介助、入浴介助、排泄介助といった身体介護のサービスがメインです。 サービス内容にもよりますが、筆者が経験したケースでは、短いもので10〜15分程度、長いもので1時間ほどのサービスでした。 このように、数分で終わる安否確認から、1時間かかる排泄介助、食事の提供等長時間に及ぶものなどさまざまなサービスがあります。 随時対応・随時訪問について このサービスはご自宅にナースコールのようなものを設置し、ご利用者様は緊急時にそのコールを鳴らすことでオペレーターと話をすることができます。 オペレーターにどのようなことで困っているのかを伝え、その結果その方の近くで手の空いている職員に依頼をして対応してもらうと言う流れになります。 基本的に夜間も含む24時間対応で、必要に応じてご利用者様のお宅に伺いサービスの提供を致します。  訪問看護サービスについて   訪問看護は、看護師が自宅に訪問しご利用者様ごとの病気や障害に応じて医療的ケアを行ってくれるサービスです。   このサービスは基本的に医師の指示のもと行いますが、病院と同じような医療処置も行うことがあります。 そのため、ご自宅で最後を迎えたいという希望がある場合は、それに沿った看護も行うことも可能です。 具体的なサービス内容は以下の通りです。 健康状態の観察 ・病状悪化の防止・回復 ・療養生活の相談とアドバイス ・リハビリテーション、点滴、注射などの医療処置 ・痛みの軽減や服薬の管理 ・緊急時の対応 ・主治医・ケアマネジャー・薬剤師・歯科医師との連携 自宅で介護を受けたいご利用者様からすれば、訪問看護の仕事は、定期巡回サービスにおいて欠かせないものであると言えます。 訪問回数はどれくらい? 結論からお伝えすると要介護度が上がれば上がるほど、介助する内容も増えるため訪問回数は増えます。 要介護が低いと基本的にご自身でできることは行ってもらい、ご利用者様の負担になることをヘルパーがお手伝いするケースが多い為、時間も短くなります。 介護度が高いと、基本的に全ての動きでヘルパーに委ねられることが多いため、当然介助に時間がかかります。 なので、訪問頻度も増えるご利用者様が多かった記憶があります。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のメリット   定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスはどのようなメリットがあるのかご説明していきます。 ①24時間対応が可能な唯一の介護サービス 定期巡回・随時対応型訪問介護看護はあらかじめ決められた定期巡回に加えて、緊急のコールの24時間体制サービスが受けられます。 そのため、施設とは違い一人暮らしの方や、家族が遠くてすぐに駆けつけられない方などは安心して在宅生活できるサービスです。 施設入所をすれば、24時間のサービスを受けれるところは多いですが、中には施設入所を拒否されるご利用者様もいらっしゃいます。 経験談として、施設入所をしているご利用者様はご自分の慣れた環境ではないため、不安定になる方が多いです。 その点在宅介護でのご利用者様は、メンタル的な不安定さは感じられず穏やかなご利用者様がほとんどでした。 その点から見ても、このサービスは訪問介護の救世主と言えます。 ②定額制のサービス 通常の訪問介護では介護度が上がると費用も増えて、ご家族の費用負担もサービスの回数ごとに変動します。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスであれば、定額の金額設定なので予算の見通しが立てやすく、経済的にも優しい良いサービスと言えます。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のデメリット 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスはメリットばかりではありません。デメリットも併せてよく考えてから利用するようにしましょう。 ①他サービスとの併用禁止 このサービスは他の訪問介護サービスとの併用禁止です。 利用するサービスが限定的になってしまうため、このサービスを利用をしないと言うご利用者様もいると思います。 ②介護職員が変化する 定期巡回のサービスは、特定の介護職員だけが来ることはなくなります。 特に随時訪問になると近くで手が空いている介護職員の対応になるため、その辺りの理解が必要になります。 介護はご利用様との相性も重要なので、契約の際に事業所の職員の雰囲気なども見ておく事をお勧めします。 ③利用頻度によっては通常の訪問介護の方がお得 定額の部分がメリットとして大きいサービスと説明しましたが、このサービスの利用頻度によっては通常の訪問介護サービスの方がお得になることもあります。 要介護度によって、訪問介護一回にかかる費用が違いますが、実際にどれくらい利用してどのようなサービスを受けたいのかをよく見極める必要があります。 その上で、定期巡回サービスか訪問介護かを決めて利用すると良いでしょう。   どんな人が利用しているの?   この章では定期巡回・随時対応型訪問介護看護の実際のサービス利用者についてお話ししていきます。 サービスの内容はお伝えしましたが、どのような方が利用しているのかを知ることで、今後の介護の参考にしてみてください。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用がおすすめの人とは このサービスは24時間体制で緊急時含めた対応を行なってくれます。 施設ではなく自分の生活してきた環境で介護を受けたい人や、自分の生活してきた環境でサポートを受けながら生活していきたい人などにおすすめです。 特にこのような人にへおすすめします。 ・独居で家族が近くに住んでいないご利用者様 ・一部介助が必要なご利用者様 ・自立しているが安否が心配なご利用者様 ・介護が必要だが、定期的にサービスを受けたいご利用者様 このサービスは定額で、食事・入浴・排泄などを一定の間隔でサービス提供してくれます。 他にもナースコールのようなものが配布され、何かあった際に、随時サービスを提供してくれるのです。 定期的に介護が必要で、安心して自宅で生活したい人に最適なサービスです。 サービスを受けるため条件と対象者とは まず前提条件として、要介護1〜5のご利用者様が対象です。 注意点としては以下の2点に注意しなければいけません。 ①地域密着型サービスなのでご利用者様の住民票が利用したい事業所と同じ地域にある必要があること ②定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用すると他の訪問介護・看護と夜間対応サービスの併用はできないこと この条件を満たした人は、ご自身の地域に定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスを提供している事業所がないかをケアマネジャーさんに聞いてみて、サービス使用の検討をするのも良いかもしれません。 まとめ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスは以下のような特徴があります。 ・利用頻度が多く特に在宅生活を希望しているご利用者様に適しているサービス ・費用や利用したいサービスの内容がマッチした時は、このサービスのコストパフォーマンスは大きいものになり、ご利用者様と家族の救世主となる。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 介護保険適応時の生活援助と身体介護の違いとは?やっていいことと悪いことを解説

    介護保険を使った訪問介護。 実は生活援助と身体介護には違いがあります。 今回はその点をご説明します。 生活援助って何? 介護の業界を知らない人に「生活援助と聞いて何を連想しますか?」と聞いたことがあります。 その方は「高齢者の出来ない買い物とか、掃除とかですか?」と答えていました。 それも生活援助の一つですが、細かく言うと他にもたくさんの生活援助の内容があるのです。 この章では生活援助の中身をご説明していきます。 生活援助でやってはいけないこと 生活援助とは身体介護以外のサービスで、ご利用者様が日常生活で行う活動内容を、代わりに訪問介護ヘルパーが行う支援のことを指します。 ここで注意点があります。 生活援助はあくまで「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるのが基本です。 そのため、生活援助で行っては行けないことがあります。 以下のようなサービスは生活援助のサービス外です。 ・ご利用者様が飼っているペットのゲージの掃除や散歩などの世話 ・ご利用者様以外の食事を作る(ご利用者様の家族など) ・ご利用者様本人が使わない部屋や、庭の掃除 ・イベント時に特別な料理を作る ・ご利用者様の家族の買い物 ・家電や家具などの移動や修理 ・車の運転代行 ・ご利用者様の家にある車の清掃 ・預貯金の引き出し代行、お金を扱うこと ・家にある植木や、草花の手入れ ・酒やタバコなど嗜好品の購入代行 ・室内の電球取り替え ・ご利用者様が家にいない状態での留守番サービス 訪問介護を実際に行うと正直なぜ行ってはダメなのか分からない内容もあります。 例えば電球の交換などは行なってもいいように感じます。 しかし、実際は禁止されているのです。 このように、生活援助と言ってもやっていいこと、やってはいけないことがあることを事前に利用者にお伝えしておかなくてはいけません。 その上で生活援助の内容をご説明していきます。 生活援助でやっていいこと 基本的な決まりとして、生活援助は「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるとお伝えしました。 この決まりを踏まえて今から生活援助の具体的な内容をお伝えしていきます。 買い物代行 このサービスはご利用者様が生活する上で必要な食材や日用品などをメインに、生活に必要なものだけをヘルパーが代わりに買い物代行するサービスになります。 掃除代行 このサービスは、ご利用者様の住環境の清潔な環境を整えるためのサービスです。 ご利用者様によっては、右半身麻痺だけど自分で歩ける人もいたりします。 そのような方は、掃除を自分で行えないことがあるので、ヘルパーが代わりにゴミを集めたり、床の掃除を行なったりします。 実際、1時間ほどでトイレ、居室、お風呂の掃除のみのサービスなどもあります。 洗濯代行 ご利用者様が使用した衣服や、生活の中で汚れたものなどを洗濯するサービスです。 過去に干したものを回収し、洗濯したものを干すまでがサービスの一つです。 場合によっては、訪問した時に汚れたシーツや身の回りのものがあれば、それも洗濯することもあります。 ベッドメイキング 訪問介護の仕事をしていると、訪問先のベッドメイキングの仕事もあります。 このサービスは、経験上あまり行なったことはありませんが、ごく稀にサービスとして行うことがあるので、覚えておいて損をすることはないと思います。 伺うお宅によって使う布団やシーツの種類なども違うので、臨機応変にサービスの行い方を学ぶことができます。 衣類の整理、被服の補修 ご利用者様の生活を守る上で、衣服の整理や被服の補修は重要になってきます。 認知症のご利用者様などは暑い真夏の季節でも厚手のダウンを着ようとする方もいます。 そのような方がいることもあるので、季節に合った衣服の準備や整理整頓、被服の補修はご利用者様の生活を守る上で重要になってきます。 薬の受け取り代行 ご利用者様の生活の中で重要になる薬の受け取り代行も生活援助の一つとして行います。 訪問介護をしていると、ほとんどのご利用者様が薬の内服をおこなっているので、ご利用者様によっては薬の受け取りを行うサービスを必要としている人もいます。 重要なので覚えておきましょう。 身体介護って何? この章では身体介護についてお伝えしていきます。 結論からお伝えすると、身体介護はご利用者様の体に触れてサービスを提供するものです。 具体的は以下の内容になります。 ・ご利用者様の体に直接触れて行う介助サービス ・ご利用者様の自立支援・重度化防止のためのサービス ・その他の専門的知識・技術を要する生活上のサービス (出典‘厚生労働省「「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」」の一部改正について」) ではさらに細かく分解するとどのようなサービスなのかをご説明していきます。 身体介護の種類と内容 では、身体介護はどのような種類と内容があるのか、詳しく解説していきます。 食事介助 身体介護の中でも代表的な食事介助ですが、主に食事をご自身で食べることが難しいご利用者様を対象に行う介助です。 食事介助は、見守りで大丈夫な場合と一部を誘導やお手伝いすれば大丈夫なもの、また全ての介助をしなければならないものと3パターンに分かれます。 他に食事形態の面でも違いがあり、ヘルパーはご利用者様がどの職形態で食べれるかも把握して、介助を行う必要があります。 介助方法もご利用者様によって違い、食具も変わります。 食事介助は、多岐に渡り注意しながら行う必要のある介助です。 排泄介助 排泄介助は、何パターンかに環境が分かれています。 ①トイレで排泄する場合 ご利用者様の身体状況で大きく変わりますが 職員1人で介助可能な方もいれば、職員2名で対応する必要のある方もいらっしゃいます。 ②ベッドなどで排泄介助をする場合 主にトイレで排泄介助困難なご利用者様が、この状態にあたります。 この場合職員1人で行うときと、2人で行うときがあります。 理由としては、ご利用者様の身体状況などで大きく変化するためです。 ベット上での排泄介助は必ず体位変換が必要となるのですが、その体位変換が職員1人で行えない時などは職員2名体制で行います。 更衣介助 主に起床した時と寝る前に行うことが多いです。 その他にもイベントの時や、入浴の前後などにも行います。 更衣介助は基本的には職員1人で対応できるご利用者様が多く、更衣の時は「脱健着患」を守り介助を行います。 「脱健着患」とは 健康な手や足から服を脱ぎ、患側(体の一部が麻痺してて動かない等)から服を着る事で ご利用者様の負担を少なくする基本となる介助ルールです。 入浴介助 もう一つ代表的な介助が入浴介助です。 これは全身浴と部分浴に分かれます。 全身浴とは、全身を洗い湯船に入浴していただく一般的な入浴介助で、部分浴は足のみ、もしくは手や頭のみを洗浄するといった、部分的な入浴のことを言います。 身体状況と目的別でこの全身浴と部分欲は分かれますが、この介助も技術力が必要な介助なのでしっかりと学び行う必要があります。 まとめ 今回は介護保険適応時の生活援助と身体介護の違いについてご紹介しました。 ・生活援助はご利用者様の体に触れることなく ご利用者様の身の回りの生活のお世話を生活援助という。・身体介護は、ご利用者様の体に触れて介助を行う。 この2つの違いは、ご利用者様の体に触れてサービスを提供するかどうかが、大きく違うものになってきます。 最後までお読み頂きましてありがとうございます。

  • 夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」とは?サービス内容やメリット・デメリットを解説!

    訪問介護は日中のサービスだけではありません。実は夜間にサービスを行う訪問介護もあります。 こちらの記事では夜間の訪問介護はどのようなサービスを行っているのかを解説いたします。 夜間に対応する訪問介護ってなに? 一般に訪問介護と聞くと、ヘルパーが日中のみ来訪しご利用者様の介護を行い、夜間は家族が介護するイメージが強いのではないでしょうか。 しかし寝たきりの被介護者を介護をする家族の方が、高齢などの理由により体力を必要とする介護ができない場合、ヘルパーが帰ってしまった後は 十分なケアをすることができません。 そのような悩みに寄り添ってできたサービスが、夜間対応に特化した「定期巡回サービス」です。 正式には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と呼ばれています。 このサービスは、在宅で頻回にサービスを必要とされているご利用者様に適したサービスで、このサービスは夜間訪問も対応しています。 定期巡回サービスとは 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、在宅で生活しながら、24時間体制で訪問介護のサービスを受けられるといったサービスです。 このサービスは、「施設に入りたくない」「自分の住み慣れた自宅で最後まで過ごしたい」「家族が遠くて何かあったとき心配だ」といった様々なニーズに対応したサービスとなっています。 このサービスの中に、夜間に訪問する介護サービスが含まれているのです。 夜間に対応する訪問介護が必要な人とは 家族が日常的に介護をしていても、常に家族が被介護者の介護をできるとは限りません。 仕事や子育て、体力の限界など各ご家庭さまざまな事情があるものです。 1人暮らしができている方でも、誰かの手を借りないと生活するのが困難な方もいらっしゃいます。 そういった方々が、夜間の訪問介護が可能なこの制度の利用に適しています。 他にも、昼夜問わず定期的な介護サービスを必要としている方なども、おすすめです。 夜間はどんなサービスを提供してくれるのか 夜間対応では主に以下のサービスを提供しています。 ①排泄介助・おむつ交換 このサービスは特に要介護度が高いご利用者様に必要なサービスです。 要介護度が低い人でもベットの近くにあるポータブルトイレへ誘導したり 普通のトイレまでお連れして排泄介助をすると言うサービス内容もあります。 ②体位変換のサービス このサービスは寝たきりご利用者様に適したサービスです。人は寝ている時に体を動かさないと体とベッドに面した部分に圧がかかり、皮膚が壊死してしまいます。 普通の人だと寝返りで無意識のうちに圧力を分散しますが、寝たきりのご利用者様は基本的にそれができない人が多いです。 そのため職員が一定の時間間隔で訪問し体の向きを変えて除圧します。 ③安否確認サービス 独居で住んでいるご利用者様は、安否確認が必要です。 体調の急変もいつ起こるかわからず、そういった意味での安否確認が必要になるのです。 このサービスを利用するご利用者様や家族は多くいます。 ④基本的にはご利用者様に対するサービスのみ 基本的にこのサービスは、ご利用者様に関わることしか行えないと言う決まりがあります。 例えば家族に関するサービスを行うことは禁止されています。 夜間も対応の随時訪問サービス 夜間対応には、随時訪問のサービスがあります。 随時訪問とはご自宅で1人で過ごしている人には特に必要なサービスになります。 例えば自宅で転んでしまったものの一人暮らしで立ち上がることができない時などに、事業所から配布されたナースコールでヘルパーを呼び、対応してもらうという仕組みです。 筆者は夜勤時の随時訪問で、主に排泄介助を緊急で行ってほしいというコールや転倒して助けて欲しいが、家族が寝ていて助けてもらえないので来てほしいなどのコールがありました。 他には認知症の方で、幻覚や幻聴が聞こえる等の問い合わせで対応したこともあります。 夜間対応の時は、一時的にご自宅の鍵を預かって訪問し鍵を開けて入室します。 そのため、緊急時にも対応が可能ですし、夜間も伺うことができるのです。 基本的に随時訪問で可能な稼働時間は約30分程度です。 私が過去に実際に行って要した時間は長くて20分程度だったと記憶しています。 それぐらいの短めのサービス内容である事が多いです。 オペレーションサービス ご利用者様のコールを受け取り、訪問するヘルパーに伝達する役割も必要です。 最初の電話の段階で、このコールは緊急性があるかどうかの判断をします。 実際多方面からコールが複数回来る場合もあり、優先順位を間違えると、ご利用者様の命に関わる場面もあるからです。 この判断をするオペレーターは基本的に、看護師、ケアマネジャー、介護福祉士の資格を持つ職員です。 どれも国家資格のため、利用者の通報内容からご利用者様への的確な指示を伝え、ヘルパーの派遣をし、場合によっては救急車の手配も行います。 オペレーターを行う人は定期的にご利用者様宅を訪問し、適切な判断をするために様子観察を行う必要があります。 また、オペレーションセンターではご利用者様300人に対して、オペレーションセンター1箇所の設置になります。 しかし、事業所のご利用者様が少なく、ヘルパーが直接利用者様からのコールに対応できるときは、オペレーションセンターの設置を行わない場合もあります。 このオペレーションサービスは2016年から介護保険の対象になり、ご利用者様が利用しやすいようになりました。 オペレーターの従事者の条件は、2018年の介護報酬改定により緩和されています。 元々は医師、看護師、介護福祉士の仕事に3年以上従事した人限定でしたが 現在は1年以上従事した人が対応できるようになりました。 夜間に対応する訪問介護のメリット 夜間に訪問介護のサービスを受けることは、以下のようなメリットがあります。 ①夜間緊急時に連絡可能 どのような環境のご利用者様も、事業所から配布されたナースコールを押すだけで、オペレーションセンターにつながります。 ナースコールは、一人暮らしのご利用者様に特に重宝されます。 他にも、家族が遠くてすぐに駆けつけられないなど、対応できない時に便利です。 ②家族の介護負担軽減になる 先にも説明しましたが、このナースコールがあることでヘルパーが随時対応できます。 そのため、介護者が介護のために仕事を辞めたりする必要もなく、日中夜間含めて自分の時間を守ることが可能です。 夜間に対応する訪問介護のデメリット 夜間の訪問介護はメリットばかりに感じられますが、デメリットも存在ます。 メリットとデメリットの双方を考え、利用することが重要です。 ①料金が高額になることがある コールの端末にはレンタル料などはかかりませんが、夜間対応型訪問介護には月額料金がかかります。 他にサービスを利用すると1回毎に料金が発生するため、利用回数によっては料金が高くなる可能性があります。 ②住んでいる市区町村の事業所だけしか使えない このサービスは、ご利用者様自身が住んでいる市区町村内の事業所しか 利用できないと言う決まりがあります。 そのため、夜間の訪問介護を行っている事業所を探す場合は、担当のケアマネジャーか、住んでいる地域の担当窓口に相談することをおすすめいたします。 まとめ ここでは夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」について解説いたしました。 夜間の介護は寝ているから何も起きないわけではありません。さまざまな手が必要になる場合もあります。 利用する必要が出てくる前に、近くにサービスを受けられる事業所があるかどうかを探しておいてはいかがでしょうか。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 成年後見制度とはどんな制度?種類や選定方法・役割について解説!

    「将来、自分が認知症になったらどうなるんだろう?」 「詐欺や悪徳商法に遭うんじゃないか?」 そんな不安を抱えていませんか? 成年後見制度は、そんな不安を抱えているあなたにぴったりの制度です。   この記事では成年後見制度について分かりやすく解説していきます。 成年後見制度とは? 成年後見制度は「認知症」や「障害のある方」でも、地域社会で安心した生活が送れるように制定された制度で、介護保険制度と共に平成12年にスタートしました。 自己決定の尊重を理念におき、財産と権利を守ることを主な目的としています。 成年後見制度には2種類ある 成年後見制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類があります。 ①任意後見制度 任意後見制度は自分の「判断力がはっきりしている時」に、「支援してくれる人(後見人)」と「支援してほしい内容」を自分の意思で決める制度です。 将来の不安に備えて、あらかじめ助けてくれる人(後見人)を決めておく制度になります。 ②法定後見制度 法定後見制度は家庭裁判所に後見人を選任してもらう制度です。 認知症などにより本人の判断能力が低下した際に、「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が家庭裁判所に申し立てを行います。 すでに判断能力が低下しているため「後見人の選定」や「支援内容」について本人の意思を介在させることは困難になるでしょう。 法定後見制度は本人の判断力に応じて3つの種類に分けられます。 補助…判断能力がある程度低下した人に適用される。3つの中では最も軽い類型 保佐…判断能力が相当程度低下した人に適用される。3つの中で中間に位置する類型 後見…判断能力がほとんどなくなった人に適用される。3つの中でで最も重い類型 任意後見制度も法定後見制度も支援内容にほとんど違いはありません。 あらかじめ信頼できる人に後見人を頼みたいのであれば、元気なうちに任意後見制度の手続きを進めておきましょう。 そもそも誰が成年後見人になれるの? 実は成年後見人になるために必要な資格や規定は設けられていません。 欠格事由(成年後見人になることができない要件)に該当してなければ、誰でも成年後見人になることは可能です。 では欠格事由にはどのようなものがあるのでしょうか。 未成年 過去に後見人を含む法定代理人を解任されたことがある人 破産者 被後見人に訴訟を起こした人とその配偶者 行方不明者 その他不正な行為を行うなど後見人に適さない経歴がある人 これらの欠格事由に該当しなければ、基本的にだれでも成年後見人になれます。 成年後見人の役割は?何をするの? 成年後見人の役割は「判断能力が不十分になった人のサポート」です。 より詳しく説明すると「財産管理」「身上監護」「職務内容の報告」の3つに分けられます。 ①財産管理とは? 財産管理とは成年後見人が本人の財産を適切に管理をすることです。 具体的には下記のようなものがあります。 現金や預貯金の管理 不動産や資産などの管理 税金の申告と納税 年金の申請や受取 契約の締結および取り消し ②身上監護とは? 身上監護とは本人の生活や安全、健康を守るために必要な役割を果たすことです。 具体的には下記のようなものがあります。 病院での手続きや支払い 医療や福祉サービスの契約や手続き 住居の契約や支払い 介護保険の認定申請 郵便物の管理 ③職務内容の報告とは? 成年後見人は「財産管理」と「身上監護」を適切におこなっていることを明らかにするために、家庭裁判所に対して報告する役割も担います。 報告は自主的におこなう必要があり、「後見等事務報告書」「財産目録」「預貯金通帳のコピー」「本人収支表」の4つの資料を提出しなければなりません。 成年後見制度メリット3選 ここでは成年後見制度のメリットについて見ていきましょう。 ①成年後見制度の開始後に行った不当な手続きを取り消すことができる 判断力の低下した人を狙った詐欺は世の中に横行しています。 リフォーム詐欺や健康食品の大量購入など、様々な詐欺のニュースを見聞きしたことがある人もいるのではないでしょうか。 成年後見制度では、後見人を通さずに本人が行った不当な契約などを取消したり、代金の返還を求めたりすることが可能になります。 ②財産を守ってくれる 家族や親族の中には本人の財産を勝手に使ってしまうケースがあることも否定できません。 成年後見制度では後見人が銀行に対して、成年後見人になった旨を届け出ることで、成年後見人以外の人が預貯金を引き出すことができなくなります。 ③後見人の監視機能がある 事案にもよりますが家庭裁判所は「成年後見監督人」を選任することができます。 成年後見監督人は、後見人が不正な行為をしてないか確認する役割があります。 また、家庭裁判所は成年後見人が著しく不正な行為を行った場合、諸手続を通じて、成年後見人を解任することができます。 成年後見制度デメリット3選 成年後見制度にはデメリットもあるため、しっかりと確認しておきましょう。 ①自分の財産が自由に使えない 成年後見制度は本人の財産を管理し維持する制度です。 そのため自分で財産を使う行為は制限されてしまいます。 ②後見人へ報酬を支払う必要がある 成年後見人は判断能力の低下した人の代理となり、様々な手続きをこなさなければなりません。 当然ですがそこには報酬が発生します。 成年後見人に一般の人を選任する場合は3万円以下で報酬が設定されることが多いですが、弁護士や司法書士などの士業に依頼する場合3~6万円くらいが相場になります。 毎月のコストになるため慎重に検討することが重要です。 ③後見人を簡単に変えられない 家庭裁判所で後見人が指定された場合、基本的に本人が亡くなるまで後見人を務めることになります。 報酬を支払いたくないからといって、途中で利用をやめることはできません。 ただし後見人が著しく不適格な場合、家庭裁判所は成年後見人を解任することは可能です。 下記に民法の条文を記載します。 民法第846条「後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、後見監督人、被後見人若しくはその親族若しくは検察官の請求により又は職権で、これを解任することができる」 まとめ ここまで成年後見制度について解説してきました。 「まだ若いから大丈夫」「自分には関係ない」と考えている人もいるのではないでしょうか。 しかし人間は誰でも年齢を重ねていきます。 年齢を重ねるにつれて判断能力が衰えるのも避けられない事実です。 最後にポイントを整理しておきましょう。 今だからこそ将来の不安に備えておくことをおすすめします。 成年後見制度には2種類ある 「任意後見制度」…元気なうちに自分で後見人を決めておくことができる 「法定後見制度」…判断能力がすでに低下した時に家庭裁判所が後見人を選定 成年後見制度は詐欺や悪徳商法から大切な財産を守ってくれる制度である 成年後見制度は自分の身を守るために必要な「医療」や「福祉」の架け橋になってくれる制度である 成年後見制度は「自分の財産が自由に使えない」というデメリットもあるため、注意が必要である 成年後見制度は「後見人への報酬」というランニングコストが必要になるので、事前に確認しておく必要がある 判断能力が低下してから困るのではなく、事前に任意後見制度を活用して将来に備えるのも1つの手である 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護従事者の実経験!いわれのないクレーム対応はどうしていますか?

    介護従事者が経験する嫌な対応の一つに「いわれのないクレームにどう対応するか」があります。 いわゆるモンスタークレーマーへの対応です。 利用者やその家族はお客様だから… 介護は福祉の仕事だから… という気持ちから、理不尽だと思いながらもつい言われるがまま、相手の言うことを聞いてしまうことはありませんか? 本記事では、いわれのないクレームの内容や、クレーム対応を怠った場合のリスク、クレームへの対応方法について解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。 介護従事者が経験するいわれのないクレームについて クレームとは、サービスに対する苦情や改善要求のことです。 利用者やその家族からクレームを言われると、対応した職員は嫌な気持ちになるかもしれませんが、中には正当なクレームもあります。 正当なクレームは利用者への対応や業務の改善につながることもあるので 一概にクレーム=悪ということではありません。 ここで言う「いわれのないクレーム」とは、筋が通らない苦情や過剰な改善要求などの理不尽なクレームのことです。 いわれのないクレームには施設単位での毅然とした対応が必要です。 教育現場では、クレーマーへの対応を怠った学校側が、精神を病んでしまった教師から訴えられて敗訴する判例も出ています (甲府市立小学校教諭事件:甲府地裁平成30年11月13日判決)。 厚生労働省も、近年のクレームの発生状況から、顧客からの著しい迷惑行為から労働者が被害を受けないようにする行動指針を示しています。 各事業所では、クレームが正当なものなのか、理不尽なものなのかを検討し、理不尽なものと判断した場合は適切に対処することが求められます。 参考:「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和2年厚生労働省告示第5号) 介護従事者が経験するクレームの内容 [caption id="attachment_1760" align="alignnone" width="512"] Concept of complaints. Customer complaint, dissatisfaction from product or service problem, angry feedback from client. Complain on everything.[/caption] ここでは、介護従事者が経験するクレームがどのようなものかについてgp紹介します。 過剰なサービスの要求 まずは過剰なサービスの要求です。 父の好きな饅頭を毎食つけてほしい 寝たきりの利用者に必ずスラックスを履かせてベルトもつけてほしい 毎日本人のスマホで家族に電話をかけさせてほしいと言われ、スタッフが1時間とられてしまう 上記のような、通常のサービスの範囲を超えた対応できない要求です。 家族としては本人を思う気持ちから出てくる要求なのでしょうが、本人のためにならないことや人員配置上むずかしい要求は断りましょう。 できることであれば、最大限の努力をして対応すべきです。 ですが、一度話を聞いてしまうと「あの時はやってくれた」「あのスタッフはやってくれた」「次はこうしてほしい」とどんどん要求がエスカレートしてしまいます。 現場の介護職員で判断がつかない場合は上長への相談後の返答として、相談員や他の管理職が毅然とした態度で臨むべきでしょう。 職員を罵倒・威圧する 「お金を払っているんだ」「責任者を出せ」「そのやり方は間違っている」など、スタッフの細かい所作をつつき必要以上に罵倒する家族がいます。 大声でスタッフを怒鳴り散らして自分の威厳を示すかのように振る舞う人もいます。 他の利用者に大きな影響を与えますし、なによりスタッフが安心して働けません。 中には介護士に対して殴る・蹴るといった暴力をふるう方もいます。 この場合は現場スタッフでの対応は難しい場合が多いので、管理者が責任を持って対応すべきです。 長時間拘束してくる 同じ要求を1時間以上続けたり、1日に10回以上電話をかけてきたり、面会に来るたびに同じ要求を繰り返したりする人や、訪問先から帰らせてもらえなかった事例もあります。 なにか納得できないことが起きたときに、スタッフに説明を求め、説明しても「納得がいかない」「嘘をついている」などと根拠のない主張を繰り返してくるのです。 他の事例でもそうですが、日時と場所、訴えの内容についてしっかり記録を残することが重要です。 できれば録音もしておくことをおすすめします。 セクシュアルハラスメント 介護職として働いているのは女性の割合が多いためか、利用者の中には介護士に対して性的な発言や接触をしようとする方がいらっしゃいます。 特に訪問介護など利用者の自宅に伺って介護を行う場合は、他の人の目がないため注意が必要です。 クレーム対応を怠った場合のリスク いわれのない理不尽なクレームは、直接対応したスタッフだけではなく、事業所全体に深刻な問題を引き起こす場合があります。 ここではクレーム対応を怠った場合のリスクについて説明します。 当事者が働けなくなる クレーム対応を怠った場合のリスクの1つは、当事者が働けなくなることです。 理不尽なクレームで利用者やその家族から罵倒されてしまったら、当事者はショックを受けます。 メンタルに不調をきたし出勤できなくなり、休職してしまう可能性もあります。。 場合によっては退職に至ってしまうケースもでてくるかもしれません。 周りのスタッフに不満が生まれる クレームの対応を怠った場合、当事者だけではなくその他のスタッフからの不満も大きくなります。 理由は2つです。 1つはクレームを受けた当事者が働けなくなることで人員が不足し、現場が回りにくくなることです。 ただでさえ介護現場は人手不足です。 スタッフに休職や退職者がでてしまうとさらに人手が不足します。 残ったスタッフのシフト変更や残業が生じ、不満のもととなります。 もう一つは、残されたスタッフが、「自分がクレームを受けたときに施設は守ってくれない」と感じてしまうことです。 事故を起こさないように緊張感を持って毎日の業務にあたっている現場スタッフが安心して働けなくなるので、モチベーションが下がります。 「こんな職場だったら別の施設で働く」と退職に拍車がかかることもあるでしょう。 スタッフから訴えられる スタッフがメンタルに不調をきたし、精神疾患に罹患した場合、事業所は安全配慮義務に違反したとして損害賠償責任を負う可能性があります。 冒頭で紹介したように、教育現場ではクレーマーへの対応を怠った学校側が精神を病んでしまった教師から訴えられて、敗訴する判例がすでにでています。 介護現場でも同様のことが起こりかねません。 このように、一つのクレームから、当事者が働けなくなり、他のスタッフからの不満が大きくなり、訴えられる可能性まであります。 はじめにクレームを受けるのは管理者ではなく一般職員のことが多いです。 一般のスタッフに対応を任せるのではなく、事業所として対応し、スタッフのケアまでしっかり行えるとよいでしょう。 いわれのないクレームへの対応方法 クレームを受けたときには、まずは内容の事実確認が必要になります。 感情的にならず、冷静に話の内容を聞き取り、事業所内のルールに従って管理者に報告しましょう。 報告を受けた管理者は非のある部分とそうでない部分を分析し、どのような行動を取るのか判断します。 理不尽なクレームと判断した場合は、施設で対応するのか、法人本部などの別の窓口で対応するのかを決めて対応していきます。 クレームを受ける時の注意点は以下の通りです。 2人以上で対応する 録音する 約束はしない 2人以上で対応する 対面でクレームを受ける場合、2人以上で対応するようにしましょう。 話の内容を正確に聞き取るためと、対応するスタッフの精神的な負担を軽減するためです。 クレーマーは自分の言うことを聞かせようと過激な言動をとる場合もあります。 話を聞く人と記録をする人のように役割を分けても構いません。 1人のスタッフに任せるのではなく、2人以上で対応しましょう。 録音する 話を聞くときは可能な限り録音を残しましょう。 話したことの証拠が残りますし、要求が正当なものであっても、相手の態度によっては警察へ相談する必要もあるためです。 暴行や傷害、脅迫や強要など刑法に触れる場合もあります。 相手に無断で録音しても違法ではありません。 どのような会話をしたのか後で確認できるよう録音しておきましょう。 約束はしない クレーマーが自身の要求を通すため、その場で約束させられたり、サインを求められたりする場合がありますが、応じてはいけません。 「ここで返事をしろ」と言われても、上司と相談すると伝えます。 書面がある場合はコピーをとり返却します。 早く終わらせるためにと安易にサインしてしまうことがないようにしましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、いわれのないクレームの内容やクレーム対応を怠った場合のリスク、クレームへの対応方法について解説しました。 クレームには、正当なものと理不尽ものがある 正当なクレームは利用者への対応や業務の改善につながることもある 理不尽クレームには施設や法人単位で対応する 理不尽なクレームには「過剰なサービスの要求」「職員を罵倒、威圧」 「長時間の拘束」などがある 理不尽なクレームへの対応を怠ると「当事者が働けなくなる」 「他のスタッフからの不満が大きくなる」 「クレームを受けたスタッフから訴えられる」などのリスクがある クレーマーの対応をするときは、「2人以上で対応する」「録音する」「約束はしない」 クレームを受けると、スタッフは疲弊します。 大切な人材を失うことのないよう、1人のスタッフに任せるのではなく、組織的に対応できるよう準備が必要です。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 成年後見制度にかかる費用とは?制度の種類や費用のシュミレーションを解説!

    「将来に備えて任意後見制度を利用しようと考えてるけど費用はいくらかかるの?」 「認知症になった親のために法定後見制度を利用したいけど いくらかかるんだろう?」 そんな不安や疑問を抱えていませんか? この記事では成年後見制度にかかる費用について、分かりやすく解説していきます。 そもそも成年後見制度ってなに? 成年後見制度とは「認知症」や「障害」などにより判断能力が不十分になった人を守る制度になります。 大切な財産を詐欺などから守ることはもちろんですが、病院の受診や介護施設の契約時など、1人で判断することが難しい時に後見人がサポートしてくれる制度です。 そんな成年後見制度ですが「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類に分かれます。 任意後見制度とは? 任意後見制度とは本人の判断能力十分なうちに「後見人(助けてくれる人)」と「支援して欲しい内容」を決めておく制度になります。 制度を利用する人が元気なうちに将来に備える仕組みです。 法定後見制度とは? 法定後見制度とは認知症などにより既に判断能力が不十分になった人に対して、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。 既に判断能力が不十分になっているため、本人の意向を汲み取ることは困難になります。 また、法定後見制度は本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3種類の類型に分類されます。 法定後見制度にかかる費用は? 法定後見制度にかかる費用には、最初の手続き時のみ発生する「初期費用」と、後見人への報酬など「継続的に発生する費用」の2つに分かれます。 法定後見制度の手続きに発生する初期費用 法定後見制度では本人の判断能力が衰えた時に「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が、家庭裁判所に申立を行います。 その家庭裁判所への申立の際に費用が発生します。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 申立て手数料 800~2,400円 ・類型が補助の場合、補助人への代理権と同意権を付与する申立てが必要なため追加で1,600円(各800円)が必要になります。 ・保佐の場合も必要に応じて代理権と同意権が必要になる場合があります 戸籍謄本 450円 住民票 300円 登記されていないことの証明書 300円 本人が既に成年後見制度を利用してないことを確認するための証明書 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合に必要 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合に必要 郵便切手代 4,000~5,000円 登記費用手数料 2,600円 後見・保佐・補助いずれの類型でも同額 鑑定費用 5万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士などに手続きを依頼した場合 10万~20万 手続きを自分で行うことは可能ですが、弁護士や司法書士などへ依頼することも可能です 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用です。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 法定後見制度の継続的に発生する費用 後見人の業務が開始すると、後見人に対して報酬を支払う義務が発生します。 毎月発生する報酬には2種類あります。 基本報酬:後見人への報酬 成年後見監督人への報酬:成年後見監督人が選任されている場合に発生 ※成年後見監督人は後見人がきちんと業務をしているか監督する立場にあります。 それでは2つの報酬の相場を確認していきましょう。 ①基本報酬(後見人への報酬)の相場 基本報酬は本人の管理してる財産額により決められるのが一般的になります。 また管轄の家庭裁判所により報酬額にバラツキがあるため確認しておきましょう。 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ③成年後見監督人に対する報酬 成年後見人への報酬と同様に管理している財産額によって相場が変わるのが一般的です。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円 法定後見制度の費用シュミレーション 実際に法定後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Aさん80歳】……類型が補助の場合 財産1,000万未満 / 申立て手続きを司法書士に依頼 / 成年後見監督人を選任 Aさんをモデルに初期費用と継続的に発生する費用を確認していきましょう。 ①初期費用(家庭裁判所への申立て費用) 家庭裁判所への申立てにかかる費用 ➡ 約2万円前後 ※鑑定費用は発生しないと想定しました。 理由…鑑定が行われるのは希で、発生する割合は例年1割未満のため。 作成などの手続きを司法書士に依頼 ➡ 150,000円 上記の費用を合算すると、およそ17万円が初期の費用として発生する計算になります。 ②継続的に発生する費用 成年後見人への報酬 ➡ 月額2万円程度 成年後見監督人への報酬 ➡ 月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月4万円程度の支払いが発生する計算になります。 年間にすると48万円の支出になり、決して安い金額とは言えません。 仮に亡くなるまでの期間を20年と想定した場合、960万円の支払が必要になる計算です。 任意後見制度にかかる費用は? ここからは任意後見制度にかかわる費用について見ていきます。 任意後見制度の初期費用 任意後見制度の初期費用には判断能力が十分なうちに発生する 「任意後見契約書の作成費用」と、判断能力が衰えたときに発生する「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなります。 時間をおいて2段階で費用が発生するイメージです。 ①任意後見契約書の作成費用 任意後見制度では判断能力が十分なうち、任意後見人を定める任意後見契約を結ぶ必要があります。 【任意後見契約書の作成費用】 項目 金額 備考 公正証書作成基本手数料 11,000円 ・公証役場への手数料 ・4枚を超える場合は1枚ごとに250円追加 印鑑登録証明書 300円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 正本等の作成手数料 250円 1枚あたり250円 登記嘱託手数料 1,400円 郵便切手代 540円 登記手数料 2,600円 法務局へ納める印紙代 司法書士に依頼した場合 5~10万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約1.7万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で5万〜10万の費用が発生します。 ②家庭裁判所への申立てにかかる費用 実際に本人の判断能力が低下し後見人が必要になったら、任意後見人が家庭裁判所に対して 任意後見監督人選任の申立を行う必要があります。 任意後見制度では任意後見監督人(後見人の監督役)を選任する必要があります。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 任意後見監督人選任申立て手数料 800円 後見登記手数料 1,400円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 後見登記事項証明書 550円 オンライン請求の場合380円 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合 郵便切手代 4,000~5,000円 鑑定費用 10万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士に依頼した場合 10万~20万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 任意後見制度の継続的に発生する費用 任意後見制度の継続的に発生する費用には基本報酬(後見人への報酬)と 後見監督人への報酬があります。 ①基本報酬(後見人への報酬) 任意後見人への報酬は本人と後見人候補者で事前に取り決めた金額になります。 一般の人が後見人になる場合、2万円程度が報酬の相場です。 家族に後見人を依頼するのであれば、0円(無料)になる場合もあります。 弁護士や司法書士などに依頼する場合、管理財産額により報酬が変動するのが一般的です。 【後見人に司法書士などの士業を選任した場合】 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ②任意後見監督人への報酬 任意後見監督人への報酬も本人の管理財産額により報酬が変動します。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円  任意後見制度の費用シュミレーション では実際に任意後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Bさん80歳】……任意後見人を家族に依頼 財産1,000万未満 / 任意後見人を家族に依頼 / 成年後見監督人を選任 ※成年後見契約書作成を司法書士に依頼……10万円 ※家庭裁判所への申立を司法書士に依頼……15万円 ①初期費用 任意後見契約書の作成時:1.7万円+10万円(司法書士への報酬)➡ 約12万円 家庭裁判所への申立て時:2万円+15万円(司法書士への報酬)➡ 17万円 上記の費用を合算すると、およそ29万円が初期の費用として発生する計算になります。 任意後見契約書を作成してから、実際に認知症などにより判断能力が低下するまでには数年から数十年かかることが想定されます。 そのため、一気に27万円の支払いが発生するわけではありません。 ②継続的に発生する費用 任意後見人(家族)への報酬 ➡無料 ※家族のため無料と想定 任意後見監督人への報酬 ➡月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月2万円の支払いが発生する計算になります。 年間では24万の支出です。 ※任意後見人を家族に依頼した場合、必ずしも報酬が無料になるわけではありません。 まとめ ここまで成年後見制度にかかる費用について見てきました。 最後にポイントを復習しておきましょう。 成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」2種類ある 成年後見制度の費用には、申立て費用などの「初期費用」と後見開始後に発生する 「継続的な費用」の2つがある 法定後見制度の「初期費用(家庭裁判所への申立て)」は17万円前後である ※司法書士に手続きを依頼したと想定 法定後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」は月額2~9万である ※後見人への報酬額は管理財産額により変動する 任意後見制度の初期費用は「任意後見契約書の作成費用」と 「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなる。 初期費用の合計はおよそ29万円前後である 任意後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」2~9万円前後である 任意後見制度の後見人を家族に依頼する場合報酬が無料の場合もある 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 訪問介護も新しいカタチへ。時代に合わせた変化への対応と結果をご紹介!

    訪問介護利用者の日常生活を取り巻く環境は、日々変化しています。 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAIは、訪問介護にどう取り入れられるのかを紹介します。 多種多様化、ヘルパーさんも随時対応中 訪問介護には色々な「サービス行為ごとの区分」があります。 利用者の身体に纏わる介助を行う身体介護や、日常生活に纏わる援助を行う生活援助、病院受診等の対応に纏わる介助を行う通院等乗降介助などです。 訪問介護の名の通り、ヘルパーが利用者宅へ訪問し介護や援助を行うことですが、ここ最近では日々の生活にデジタル化やAI化したものは普通に浸透しており、介護保険を利用する利用者も例外ではありません。 訪問介護では、サービスの基準となる「老計第10号」という法令があり、身体介護や生活援助のサービスの基本例が記載されています。 訪問介護に関わるヘルパーや職員には、必ず目にするサービスの教科書の様なものとイメージしたら良いでしょう。 大まかに言えば、介護の基本中の基本であるサービス事例が記されているのですが、ここ数年でサービス対応について幾分内容が変わってきたものがあります。 買い物対応、色々な「カタチ」 訪問介護サービスの一つ生活援助には、買い物・薬の受け取りというものがあり、老計第10号にもサービスの内容例が記されています。 2-6 買い物・薬の受け取り 〇日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む) 〇薬の受け取り  利用者の日常品の買い物に対する介助をこの例を元に計画するのですが、通常は食料品や生活雑貨品を購入する為に利用者と同行するパターンと、代行するパターンがあります。 <利用者同行パターン> ・買い物の為の移動手段の確認 ・利用店舗の確認 ・店舗へ移動 ・買い物、レジにて支払い、釣銭預かり、購入品収納 ・自宅へ移動 ・商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 <ヘルパー代行パターン> ・購入品リスト、金額の確認 ・利用店舗の確認 ・ヘルパーによる買い物代行 (レジ支払い、釣銭預かり、購入品収納) ・利用者宅にて商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 今までは、同行や代行においても利用者とお金の確認をし、店舗でレジにて支払いをし、お釣りがあれば受け取り、最後は利用者と商品や購入金額、釣銭を確認していました。 現在もその形で行っているケースもありますが、近年買い物の形が変わりつつあり、新たなパターンでの対応を求められる事もあります。 実際に訪問介護サービスの生活援助の計画に「買い物援助」がありますが、ここ最近ではこんな事例もあります。 ①宅配ネット注文やネットスーパーで購入 県外に住む長女より「久しぶりに帰省して利用者(母)に会った際に前みたいに歩けない、買い物にも行けなくなった」と言われました。 「これまでは調理と掃除片付けをお願いしていたけど、ヘルパーさんに買い物もお願いしたい。」 との相談があり、始まった買い物援助です。 パソコンの操作方法は、図で分かる様にした物を印刷し、それをコルクボードに貼り付け、ヘルパーが訪問した日に見守りの下で、手順通りに入力し商品を選んで注文しています。 ②スーパーやドラッグストアでセルフレジ対応 独居生活の利用者の週2回ある生活援助の内の一つが買い物同行と整理整頓です。 昨年まで利用店舗は有人レジでしたが、店舗改装後にレジの半分がセルフレジに変更となってしまいました。 買い物援助の際に人対応の方のレジへ並ぶも時間が掛かり、生活援助サービスの時間が押してしまう事もあった為、 「セルフレジで買い物ができるようになる(バーコード読み取り、マイバックに詰める 支払いをする、ショッピングカートに入れて持って帰る)」 という見守り的援助プランに変更しました。 現在も見守りの下で買い物をされています。 ③支払いは電子マネー決済(キャッシュレスで買い物、現金不所持) 長男とは同居も、日中は仕事で出張も多く留守がちで独居状態に近く、利用者が財布類を持つと置いた場所が分からなくなるので、 「母のスマホにダウンロードした電子マネーでの決済」 を希望をされました。 合わせて、できるだけお金を持たせたくないと強く言われます。 利用者も置いたはずのお金がどこにいったか分からなくなる事があるので、長男が準備してくれた金額を使う事を了承済みです。 ケアマネジャーや自治体と相談・検討の結果、 ①利用者のスマートフォンをヘルパーが持ち出すのは、緊急事態時に連絡や対応ができなくなる事 ②紛失した場合に損失が大きい上に日常生活に支障を来す との判断で、買い物代行時の金銭取り扱いは流通系の電子マネー(カード型)対応に変更してもらい、様子をみる形を取りました。 結果としては、現金を取り扱わない事で、利用者宅のあちこちに小銭が見つかる事や財布類が見つからない事も少なくなります。 重ねて台帳管理も上手くいっている為、買い物代行は継続中です。 前述にもありましたが、訪問介護サービスでの買い物援助は人の手を介して現金を取り扱う事が通常だった為に、現代の流れに沿った対応に若干違和感を感じられる事もあるかもしれません。 介護認定を受けた利用者も私たちも同じ日常を過ごしているのだから、時代の流れに沿って介護サービスのカタチを変えていくのは必然の流れです。 中には新しい流れを嫌がる利用者もいますが、少しずつ『現在の暮らしの普通のカタチ』を取り入れ、地域に暮らす日常に慣れていく事も「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう(介護保険法第1条)」になるのではないでしょうか。 お掃除ロボ、発進! 一般的という程ではありませんが、最近は自宅にロボット掃除機を導入している所もちらほらあるようです。 訪問介護を受ける利用者宅で導入される事もここ数年、僅かながらもみられるようになりました。 まだ圧倒的に生活援助で掃除のプランが立てられている場合は、掃除機やフローリングワイパー等の掃除用具で行う事が主立っています。 しかし、中には家族が購入したロボット掃除機が活動されている所もあるのです。 訪問介護において、同居家族がいる場合の生活援助は基本的に受ける事ができません。 (但し、同居家族にやむを得ない場合や状況によっては生活援助のサービス利用が可能になる場合もあります。) ロボット掃除機も同様で、独居状態にある利用者へ離れて住む家族や身内から贈られた物、あるいは利用者自身で購入した物であれば、生活環境が利用者中心である為、使用については特に問題はありません。 それに応じたプラン変更は求められますが、日常生活を送る上での一部という事で対応していきます。 同居家族にやむを得ない場合や状況が有り、生活援助サービスを認められた場合では注意が必要です。 ケアマネージャーによる居宅プラン、それに沿って立てられた訪問介護計画書に則りサービスは行いますが、同居家族がいる場合の生活援助は、利用者のみが利用する場所においてサービスが行われ、同居家族が利用する共用場所へのサービスは認められません。 あくまでも訪問介護計画書に記されたサービスしか行えない為、プランが利用者の寝室や寝室周辺(利用者しか利用しない事を前提)の掃除や整理整頓であった場合、ロボット掃除機がリビングにあり、居室指定の設定をせずに利用者の寝室へ辿り着くまでの間の共用部分の掃除をしてしまう事が認められないのです。 「細かすぎる!少し位は良いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、訪問介護は介護保険を利用した介護認定を受けた利用者の為のサービスなのです。(各自治体によっては、許容認可の範囲が違う場合もあるので確認が必要です。) どんなに便利な機器や器具が導入されても、介護保険を利用している訪問介護の基本を踏まえた上で プランに沿ったサービスを行う事を忘れてはいけません。 もはや、もう一人のヘルパーさん 最近では日常生活においてAI機器の導入が色々みられるようになりました。 前述にもありましたロボット掃除機もそうですが、スマートスピーカーも導入され日常生活に反映されているようです。 同居している家族が導入したので利用者も使用するという例もあり、ヘルパーやケアマネージャーも最新の流れをインプットやアウトプットしていく事が求められる様になります。 まず始めに利用者が「これ、どうやって使うんだろう?」と思うように、ヘルパーやケアマネージャーも「これ、どうやって使うんだろう?」「サービスにどう取り入れていけばいいんだろう?」と頭を悩ませるでしょう。 知識を得る為にスマートスピーカーについて学び(インプット)、「こうやって使うんだ!こんな機能があるなら支援や援助に取り入れていこう。」とプランに取り入れてサービスを行う事で実行に移す(アウトプット)形となるのです。 日々の生活が進化していく事に比例して、利用者の生活も進化し、サービスを行う介護事業所全体も進化し追従していかないといけません。 スマートスピーカーでできる事につきましては、下記の図を参照して下さい。 利用者がスマートスピーカーへ「今日の予定は何?」と聞けば、「〇日〇時から訪問介護です。」や「〇時に〇〇病院に受診です。」等のスケジュールを答えてくれます。 また、、「電気点けて、消して。」「エアコン点けて、消して。」「テレビ点けて、消して。」等の家電や機器の操作も音声で対応でき、「今、何時?」にも、時刻を音声で伝え、日用品が切れた時に 「(日用品名)を注文して」と頼めば、ネット注文で買い物もできてしまうのです。 こうなると、もう一人の家族であり、万能ヘルパーでもあります。 とは言っても、流石にできない作業や動作もあります。 そこはアセスメントやモニタリングによって必要となった介護プランに沿ったサービスを行い、AIを上手く活用していく事ができれば日常生活がよりよいものとなるでしょう。 まとめ 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAI化は訪問介護にどう取り入れられるのかを幾つか例を挙げて紹介しました。 ・訪問介護は老計第10号の法令の基本に沿って対応も、最新のデジタル化やAI化によって サービス内容が変化しつつある。・生活援助における買い物同行や代行においても、「宅配ネット注文」 「ネットスーパーの利用」や、店舗にて購入も「セルフレジ」対応、 支払いは「電子マネー決済」対応等、今までの買い物のカタチが変わり 利用者もヘルパーも対応していかなければならない。・生活援助における掃除においては、「ロボット掃除機」が導入されている所もあり 利用については同居家族がいる場合において注意を要する。・「スマートスピーカー」という、AIが搭載された多機能なスピーカーを 導入されている所も少なからずあり、日常生活に反映される対応が可能になっている。 ・「スマートスピーカー」のできる事は ①音楽の再生②家電や機器との連携操作③検索や情報収集やネット対応が可能 ④メールやデータの送受信や音声読み上げ⑤スケジュール管理などがある。 ・デジタル化やAI化が進んでも、日常生活ではできない動作や作業があるので 上手く活用しながら対応していく事が求められる。 デジタル化やAI化の波に乗って訪問介護もカタチを変えつつあります。 しかし未だそういった進化の波とは無縁の環境で日常生活を過ごす利用者がいるのも事実です。 其々の生活環境や状況に応じた対応を求められますが、一朝一夕には対応できません。 介護保険に関する法令遵守や法改正に伴うサービスの変更等に加え、最新のデジタルAI関連にも目を向けないといけない状況はとても大変です。 新旧共々に対応していけるヘルパー力を身に付けていきましょう。

  • 介護を「作業」としてこなす人。「ケア」として向き合う人の違いについて解説

    この記事では、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人の違いについて紹介します。 またお互い協力して仕事ができる方法についてもお伝えします。 介護を「作業」としてこなす人の特徴 1,「速さ」「効率」を重視している 介護を「作業」としてこなしている人は、何よりも「速さ」「効率」を重視しています。 その為、想定外のことが起こったり、声かけに拒否があっても、無理矢理にでも連れて行こうとし、業務時間内に介助を終わらせようとします。 この考え方は、在宅よりも施設、特に多床室のような従来型特養で働いている人に多いです。 従来型特養は、何十人ものケアを時間内で終わらせなければなりません。 その為「速く終わらせること」を求められた結果、「速く、効率的に終わらせることが最優先」という思考回路になってしまうのです。 2,ケアの理由について考えていない 施設内で行う介護(ケア)は、ケアプランに基づいて行われています。 それは、「なぜそのケアがその人にとって必要なのか」という、根拠あり、それを基にケアを行う必要があるからです。 しかし介護を「作業」としてこなしている人の場合、根拠についてあまり考えていません。 「そう決まっているから」と、疑問を持ったり改善しようとせず、自分の業務をこなすことを最優先事項としているのです。 介護を「ケア」として向き合う人の特徴 1,入居者や利用者の気持ちを重視している 介護を「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の気持ちを重視し 1人1人丁寧に向き合っています。 例えば入浴の声かけをして嫌がったとき、「今は無理に行ってもダメだから、時間を置いて声をかけてみよう」と考え方を変えることができます。 また入居者や利用者の気持ちに向き合って対応しているので、不穏な人でもその人が対応すると、落ち着くことが多いです。 2,ケアを行う根拠を把握している ケアとして向き合っている人は、ケアプランの内容を把握し、「なぜこのケアを行うのか」という根拠を明確に説明することができる人が多いです。 根拠を知っていることで、新人職員などに教えるときに分かりやすく説明することができます。 また「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の状態は日々変化しているということを知っています。 なので「ケアプランではこのようなケアを行うとあるけれど、今のこの人には、適応しているのか」と疑問を持ち、改善点を他職種に提案することができるのです。 どちらが正しいとは言えない 上記にて介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合っている人の特徴についてお伝えしてきました。 ここまでだと「仕事としては、ケアとして向き合っている人の方が良いのではないか?」と思いがちです。 しかし実際は、「どちらが正しい」とは、一概には言えないのです。 というのも、介護業務というのは、限られた時間内と人数で業務を回さなければなりません。 その中で、入居者や利用者1人1人に丁寧に向き合っていたら、業務時間内に仕事が終わらなくなってしまいます。 それは、他の職員に迷惑がかかってしまうことになります。 そのため、ある程度「作業」としてこなすことも、必要なことなのです。 両者が協力するために ここでは、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人が、お互い協力する為に、何をすると良いのかお伝えしていきます。 ①お互いを知る 両者が協力するためにまず必要なことは、「お互いを知る」ことです。 具体的には ・日々どのように介護業務を行っているか ・どのような価値観や考え方を持って行っているのか ・他の職員の業務に支障が出ていないか ということが挙げられます。 特に最後の「他の職員の業務に支障が出ていないか」という点を忘れないでおきましょう。 支障が出ていなければ、お互い考え方や価値観を変えず、現状維持するという方法もあります。 人の価値観というのは、簡単に変えることができません。 なので、無理に考え方を変えようとすると、かえって関係性が悪化してしまい、施設全体が悪くなってしまう可能性があります。 ②問題について共有する お互いについて知ることができたら、次は「今施設の中で問題になっていることは何か」を、共有しましょう。 例えば「ナースコールで頻回に呼ぶ利用者がいて、業務が進まない」という問題が挙げられたとします。 介護を「作業」としてこなす人であれば、 「頻回に呼ばれて、業務が進まない」 という点に着目します。 しかし「ケア」として向き合っている人の場合、 「なぜ呼ぶのだろうか」 「寂しいからなのか、何か訴えがあるからなのか」 と、疑問を持ちます。 このように同じ問題でも、着目点が異なるのです。 ③お互いの価値観を用いて、意見を聴く 上記のような問題が発生した場合、お互いの価値観を用いて意見を提案しましょう。 介護を「作業」としてこなす人であれば 「業務が進まないから、ナースコールは無視する」 「何回も呼ばないで欲しい」と、注意する という意見が出てきがちです。 一見すると「介護職としてどうなのか」と思いがちです。 しかし利用者の中には、用もないのに何回も呼ぶ人もいます。 なので時には、注意するということも必要なのです。 一方「ケア」として向き合う人の場合 「日中居室に籠もりがちですることがないので、呼ぶのではないか」 「何か役割を持たせると良いのではないか」 と、疑問や改善点を思い浮かべます。 重要なのは「お互い、相手の意見に最初から否定しない」ことです。 自分にとって意にそぐわない意見だとしても、その人にとっては 「明確な理由があって」話をしています。 「そういう考え方もありますね」と、相手に伝えることで、相手もこちら側の意見を受け入れやすくなります。 ④試行錯誤してみる お互いの立場で意見が出てきたら、実際にやってみましょう。 上記の「ナースコールが頻回な人の対応」については ・役割を持たせて、不安な気持ちを軽減させる ・夜ナースコールが頻回な場合は、日中活動の時間を増やす ・看護師や相談員、ご家族様にも相談し、精神科に受診し、薬を処方してもらう ・それでも頻回な場合は、理由を伝えて「何回も呼ばないで欲しい」と言う といった方法を実践してみましょう。 しかし、1回で成功するとは限りません。 何回も行い、どれがその人にとって1番良い方法なのか、実践してみましょう。 試行錯誤していく中で、「作業」としてこなす人、「ケア」として向き合う人それぞれの価値観が共有されるようになり、結束し、協調して仕事に取り組めるようになります。 試行錯誤した結果、ナースコールが減れば、介護職員の負担が軽減されるだけでなく、利用者本人も不安が減り、施設での生活を快適に送れるようになります。 介護の仕事は、試行錯誤 介護業務、特に施設内のケアというのは、日々同じことの繰り返しに見えるので、単純労働でルーチンの業務だと思いがちです。 しかし上記でも挙げましたが、入居者や利用者の状態は日々変化していくので、臨機応変な対応が求められます。 また医療のように「治癒」という明確なゴールが設定しづらいので、介護職だけでなく、ケアを受ける本人や、他の職種と一緒に、ケアを考え続ける必要があります。 これからのケアは、お互いの価値観ややり方を理解し、「どうすればより良くなれるか」を考え続けることが、求められるのです。   まとめ ここまで介護を作業としてこなす人、「ケア」として向き合う人の違いについて解説してきました。 介護を「作業」としてこなす人の特徴は、「速さ」「効率」を重視している ・「ケア」として向き合う人の特徴は、ケアを行う根拠を理解しながら 入居者や利用者に対応している ・限られた時間と人数で業務を回さなければいけない以上 どちらが正しいとは一概には言えない ・両者が協力するためには、お互いの価値観ややり方を理解した上で 問題を改善するための意見を提案し合い、試行錯誤しながら お互いの価値観を共有していくことが重要である 最後までお読みいただきましてありがとうございます。  

  • これは介護と医療どちらですか?介護と医療が連携する場合の対処方法を解説

    訪問介護のヘルパーはサービス時でも、医療行為や医療機関との連携を求められる状況が発生する場合もあります。 今回は、そんな状況時での対応の仕方について紹介します。 介護なのに医療行為? 訪問介護でのヘルパーさんのボーダーライン 利用者宅へ訪問し、介護サービスを行うヘルパーですが、利用者の日常生活には些細な形でも医療行為を必要とする様な事態や、簡単な処置対応を求められる事があります。 ・自宅で家具にぶつけてしまい、手に小さな擦り傷ができてしまった。 ・高血圧と診断されており、毎日血圧を測るように主治医から言われている。 ・脊柱管狭窄症の為、屈伸動作が難しくなかなか足の爪が切れない。 ・ドライアイが強く、医師より点眼薬が処方されている。 ・加齢による乾皮症で、ワセリンが処方されている。 ・利用者の手が不自由な為、口腔ケアや義歯洗浄ができない。 サービス開始前のケアマネージャーや訪問介護事業所側のモニタリングやアセスメントで以下の事柄を確認します。 ・利用者のADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作) ・身体的にどういった動作ができて、どういった動作が難しいのか ・日常生活では何ができて何が難しいのか ・傷病歴や生活環境等 基本的には、ケアマネージャーの立てたケアプランに則り、訪問介護計画が立てられサービスを行うのですが、時に身体介護においてこれは医行為ではないのか?とヘルパーが判断に迷う事もあります。 基本的に訪問介護のヘルパーは医療行為を行う事はできませんが、下記の図の様に厚生労働省より「医行為ではないと考えられる」とされる事例があるので参照して下さい。 例えば訪問介護サービスにおいて、食事介助と図の⑤にある様に食後の口腔ケアと義歯洗浄まで訪問介護計画にある場合は、計画通りサービスを行わなければなりません。 私達も普段の生活で、食事の後に歯みがきをしたり、人によっては義歯のケアをする事は何の疑問も持たないでしょう。 利用者も同じで、口腔内外に炎症も病例も特に何も無く、食事を安全に行った後の清潔保持の為に行う口腔ケアや義歯洗浄は、ケアプランに立てられていれば、ヘルパーは口腔ケアの介助や見守り的援助にて対応します。 但し、利用者の口内に歯周病や酷い歯槽膿漏があったり、口腔内潰瘍やヘルペスの症状があり医師による診察や治療が行われている状態での口腔ケアや義歯洗浄となると、話は違ってきます。 明らかに医師の対応が必要となる状態=重篤な状態での口腔ケアを行う時は、必ず医師の指示書や看護師の指導の下にサービスを行う必要があります。 そういった場合では基本的には処置や医療行為を求められる為、軽微な状態とは言えず介護対応はできません。 その際は訪問介護ではなく訪問看護での対応となる場合もあるので、利用者の状態においては安易に自己判断したり利用者の言い分要求を鵜呑みにして言われるまま対応したりせず、ケアマネージャーや訪問介護事業所等に報告した上で正しく利用者に応じる等の注意が必要です。 訪問介護でヘルパーができる医療行為は、利用者の心身状態が安定しており、入院の必要が無く、医療技術や専門的な管理、処置を伴う事が無い状態である場合に軽微で簡易的なもののみ行えるものです。 ヘルパーができる医療行為の例外として、研修を受講した介護福祉士が行える喀痰吸引と経管栄養がありますが、「たん吸引は咽頭の手前まで」や「経管栄養の胃ろうや腸ろうの状態確認は看護師対応」等行為にはできる行為とできない行為があるので注意が必要です。 医療機関で訪問介護? 訪問介護はその名の通り、ヘルパーが利用者宅にて訪問して行われるものですが、利用者宅から出て対応する事が必要とされる場合もあります。 日常生活に必要な動作であれば、訪問介護として認められるものもあり、その認められるものに「医療機関への受診対応」も条件によっては可能です。 「ちょっと風邪ひいたから病院行ってくる。」 「毎月の定期受診だから月末病院に行かないといけない。」 「入れ歯のかみ合わせが悪くてご飯が食べにくい、歯医者に掛からないといけない。」 様々な理由により、生活に医療が関わってくるものですが、基本的に医療機関への受診対応は訪問介護ではできないとされています。 ですが、医療機関への対応が利用者一人では困難な場合や利用者の取り巻く環境や、介護を要する事が明らかに認められる状況によっては、事前対応次第で訪問介護にて対応する事が可能となります。 【院内介助ができる条件】 ①要介護度1~5の認定がある利用者 ②医療関係者の介助が望めないと事前に確認済の場合 ③当日、家族や身内の通院付添いが望めない場合 ④院内で常時見守りや介助が必要とされる場合 介護タクシーを利用される場合、訪問介護の基本として当然ながら病院内の院内介助は医療機関対応の為行えませんが、上記にある①~④全てに該当する場合は対応可能となる事もあります。 ここで注意したいのは、ヘルパーが介助できるのは受診受付、院内での移動や、トイレ介助、病院代支払い、薬の受取りです。 心身不安定で一人で待ち時間を過ごす事が困難な場合は条件により介助可能ですが、検査や処置、診察は医療対応の為、介護保険である訪問介護のヘルパーは対応できません。 では、認知症の傾向があったり、または視聴覚が困難な利用者が訪問介護を利用して受診した場合、どうなるでしょうか? 医師の診察において病状の報告や診断結果を受け対応する事は医療対応の為、訪問介護では対応できない事とされています。 この場合は上記でも述べましたが、事前対応によりヘルパー同席が可能になる事もあります。 全ての自治体が事前対応可能とは限らない為、利用者居住区の自治体に相談が必要です。 対象となる利用者が、どの動作に介助を要するのか、またはどこからが医療対応で介護対応では無くなるのかをよく確認した上で線引きし、対応しなければなりません。 介護側が計画通り対応を行っていても、突如介助や見守りを要する事があったり、医師や看護師の説明を聞いたり、利用者の状態を報告したりと、医療と介護の対応が混乱する事も多々ある為、その場その場に応じた臨機応変な対応が求められます。 医療機関で訪問介護(通院介助、院内介助)を行う為に必要な事は下記の図を参照して下さい。 あくまでも「訪問介護対応」で介助しないと病院に受診する事ができない為に、ヘルパーを介して行われるものが、通院介助または院内介助です。 訪問介護対応という事は、先程にもあった通り事前確認やそれに伴う打合せや会議、計画書の作成、記録または報告書の作成等が必要となるという事です。 要介護度認定があっても看護師の介助があれば一人でも受診できたり、医師とのやり取りが可能な場合は、ヘルパーは立ち入る事はできません。 身内や家族の様に寄り添う気持ちは大切ですが、介護保険を利用している事を忘れずに対応しましょう。 皮膚は人の身体の信号機です 訪問介護では、要介護の利用者でも自身で何等かの形でも動ける利用者と、自身の思うようには動けない利用者がいます。 (ここでは、施設や医療機関に入所せず自宅で家族の援助を受けながら過ごす寝たきりに近い状態を指します。) そういった利用者への介護は、ほぼ身体介護メインである事が多いのですが、「寝たきり」状態である場合、ケアマネージャーのプランを踏まえた上で更に注意すべき点がいくつかあります。 ヘルパーは訪問介護を通じて利用者の状態を確認した上で、「おかしいな?」「あれ?前回より状態悪くなってる!」と感じたら、状況や状態の報告を行い、適切な判断や今後の対応を検討しなければなりません。 図の①や②の場合は、状況によっては医師の診断が必要になりますし、介護ではなく訪問看護対応となる事もあります。 図③の場合、医師の診断やケアマネージャーとの検討、利用者の身体状態によっては訪問リハビリ対応となり、介護との連携を図っていく形になる事もあります。 図④~⑤に関して特に図④の場合、皮膚に状態悪化がみられ、褥瘡が確認された場合は注意が必要です。 褥瘡部への処置は医療行為ですので介護では対応できませんが、排泄により患部周辺が汚染された場合は、清拭対応としてヘルパーが介護を行います。 排泄物で汚染されたまま放置では状態悪化に繋がる為、排泄汚染されている場合は、患部周辺の洗浄、ガーゼやパットの交換、おむつやリハビリパンツの交換はヘルパーが対応します。 褥瘡、床ずれは同じ体勢により同じ個所に体圧が掛かってしまった場合にできる事が多いので、体位を定期的に動かし圧を分散させる必要があります。 それと同じくして、栄養摂取においても食事による栄養が摂取できなくなり、低栄養になってくると褥瘡ができやすく、また発症しても治りにくくなってしまいます。 食事による栄養摂取の為には、嚥下状態も大きく関わってきますし、上下肢の動きも体圧分散に繋がる上に、排泄などの基本的な身体動作に上下肢の動きは必須な為、その動作が維持できるかどうかは褥瘡発症のリスク増減に関わってくるので注意が必要です。 図①~⑤は全て連動しており、訪問介護でヘルパーが対応する介助は一つ一つが全て重要なものであると同時に、目に見えてその状態の良し悪しを教えてくれるのが「利用者の皮膚」であったりします。 ・特に状態に問題なく、その利用者なりの日常生活が送れていたら青信号です。 ・日常生活は送れているけれども、何らかの「あれ?おかしいな?」が みられたら黄信号です。 ・はっきりと異常が確認されたら赤信号で、医療対応が必要です。 介護で対応すべき範囲と医療で対応すべき範囲を理解し、利用者から出される信号を正しく受け取り、日常生活を送るという道路を走る車の一つが介護であると考えられるならば、訪問介護にて ヘルパーがどう対応すれば良いのかが分かってくるでしょう。 まとめ 今回は、訪問介護のヘルパーが、医療行為や医療機関との連携を求められる状況時での対応の仕方について紹介しました。 ・利用者の日常生活には、医療行為を必要とする様な事態や簡単な処置対応を 求められる事があり、基本的には医療行為はできないが、介護で対応可能と 解釈されたヘルパーができる医療行為がある。・ヘルパーができる医療行為でも、医療(医師や看護士等)との連携が求められる。・医療機関への受診対応も訪問介護サービスの一つであり 介助を行うには条件や事前または事後の対応が含まれる。・通院または院内介助を計画されサービスを実施しても 介護で行えるサービスと行えないサービスがある。・訪問介護で寝たきりや思うように自身で動けない利用者へのサービスでは ケアプランの他にも気を付けなければならない点があり、実際サービスに入って 認識や確認できる事が少なくない。・嚥下、栄養、可動域、皮膚、排泄の5点は連動しており 皮膚状態は身体全体の良し悪しを現す信号である。 ・状態の変化の気付きを意識して生活状況の対応をし、状態の異常時は すぐに医療との連携を図る事ができる最前線にいるのがヘルパーであるので 訪問介護時はサービスは繋がっている事を意識して行う。 「医療と介護の連携」と言われると難しく捉えられがちですが、基本的にできる事やできない事をきちんと踏まえた上で、サービスを行えば特に問題はないのです。 訪問介護で身体介護を行う、通院または院内介助を行う、身体介護で利用者の状態をよく確認する、これらは全て利用者の日常生活を安全に送る為の一つで、全ては連動しているのだと考えられたならば介護に対しての理解も深まるでしょう。 不安を持ったままサービスを行えば利用者にも不安が伝わります。 「ヘルパーは介護のプロだ」と自信を持って訪問介護サービスを行いましょう。

  • 有効求人倍率15倍!? ヘルパーが働き続けたくなる環境とはどんな職場?

    介護の職場は有効求人倍率15倍と言われています。 人材難の介護業界でヘルパーが働き続けるには何が必要なのでしょうか。 ここでは介護の人材難に向き合う課題についてご紹介していきます。 ヘルパーが働きやすい職場が少ない 介護業界はどこも人材が圧倒的に足りていません。 同じ職場に定着する人の割合が他の業界に比べて少ないことが人手不足の要因にあげられています。 例えば、新卒からずっと同じ職場で働いていると言う職員を筆者はあまり見たことがありません。 ではヘルパーが介護業界で定着しやすい職場はどんなところなのでしょうか。 まずはヘルパーの離職の原因から確認していきます。   ヘルパー離職の原因 職場の人間関係 介護ヘルパーが同じ職場で働き続けたくなくなる理由の1つ目は、職場の人間関係です。 この理由は他職種でもあるかもしれませんが、介護の現場においては特に重要なものになります。 介護の仕事は、夜勤、日勤、遅番などのシフト制がほとんどで、ご利用者様の状態や業務の引き継ぎが必要になります。 それは職員とのやりとりが多くあるということです。 他にも日中の業務で連携をとりながら仕事をする必要もあります。 その際のちょっとした言葉の行き違いなどから不快感を感じ、その積み重ねで徐々に険悪になる職員を多く見てきました。 人は皆違う人生と価値観で生きています。 ちょっとした事から関係性が悪くなり退職する人は多いようです。 そんな事例からも、職場の人間関係が安定している事業所は働きやすく、結果として離職率が低いと言えます。 慢性的な人手不足 ヘルパー離職の理由の2つ目は、慢性的な人手不足です。 介護の仕事は基本的にマンパワーが必要になってきます。 例えば24時間対応の施設系の職場であれば、早番、日勤、遅番、夜勤と最低でも1日のシフトで4人の職員が必要です。 この環境で職員が1人辞めると、3人で現場を回す必要があります。 これは体験しなければわからないことですが、場合によっては休憩が出来ないこともあります。 最悪の場合、時間外で残業をしなければ現場が回らないこともあります。 これが1日だけであればまだ続けようと思えますが、職員の補充があるまでずっと続くところもあります。 職員の補充を求めたとしても、すぐに入ってくるとは限りません。 例え入職してくれる人がいたとしても、そのまま長く続けてくれるとは限りません。 余談ですが、ある時入職した翌日に家族の急病を理由に休んだ新入職員がいました。 そしてそのまま音信不通になり、復職することはありませんでした。 このような事からも、介護業界での定着率は低い傾向がわかります。 給料や待遇面 離職率の高い理由3番目は、介護のヘルパーの給料や待遇は仕事の大変さのわりに低い点です。 さらに昨今、一般企業のサラリーマンやOLとの差は更に開いてきていると感じます。 筆者は社会福祉法人の施設に勤務するまで、ボーナスをもらったことがありませんでした。 それぐらい、介護業界の給料は低い設定になっていて、介護職の定着に大きな影響を与えています。 健康の不安が原因 離職率の高い理由4番目は、健康の悪化です。 特に介護ヘルパーの仕事をしていると痛めるのが腰です。 腰は日常生活でも大切な部分ですが、その腰を酷使する仕事でもあるため、介護の仕事をしてから腰が悪くなったと言う人は多いです。 介護現場では、腰にコルセットを巻かないと仕事ができない人が多くいて、その大半が女性でした。 高齢者は体重の重い人から軽い人まで色々な人がいます。 介助の仕方、技術次第で腰を痛めないも方法もありますが、逆に介助方法を間違えて痛めてしまうこともあります。 なので、介護ヘルパーの健康不安要因1番は腰の痛みです。 その他では、感染症に感染することがあります。 高齢者は免疫力が低下していることもあり、感染症にかかりやすい可能性が高いです。 そのため介護ヘルパーもそこからの2次感染の確率は高く、その点においても健康を害するリスクは高いです。 高齢者の健全な生活を守るヘルパーは、健康面においても離職しやすい環境であると言えます。   ヘルパーが働きたくなる職場とは 先の紹介で介護ヘルパーが、仕事を続けたくなくなる環境のご説明をしてきました。 ではヘルパーが働き続けたくなる職場とはどのような環境なのでしょうか。 将来を描きやすい職場づくり ヘルパーの仕事は、営業などのタスク達成型の仕事と違い、1日の仕事がルーティンワークに近いため、マンネリ化しやすく目標が見えにくい仕事です。 そのため、この仕事を続けても将来が見えないという理由で、他の業界に転職する人も多くいます。 福祉という特徴から、目標にコミットしてそれを達成するという環境づくりが難しい面もあるのです。 なので入職した職員が、この職場でどうなっていけるのかなど将来性を提示できる環境があれば職員の定着率も上がり、求人への応募も増えるのではないでしょうか。 介護現場ではヘルパー自身が未来を描きやすい環境整備が最も重要です。 この職場で働きたいと思える職場づくり 介護ヘルパーが、この職場で働きたいと思える職場作りも、応募してもらうために必要なことです。 全ての環境を他の職場よりベストにできればいいのですが、そう簡単にはいきません。 なので、ご自分の職場でここなら改善できて、うちの職場の魅力としてアピールできるであろうと思うところを見つけて宣伝しましょう。 最初の方でお伝えした、給料、福利厚生、職場の人間関係、研修環境、労働環境など、入職する人によって職場を選ぶ基準は様々です。 ご自身の事業所や職場で改善できる点を取り上げて求人倍率の向上に繋げるようにしましょう。 悩みを抱え込ませない職場づくり 退職で多い理由の人間関係の問題など、各職員が抱えている悩みを出来る限り抱え込ませない環境を作りましょう。 実際に働いてみて感じますが、職員間の対人関係の悩みは尽きません。 それぞれ違う人生を生きてきているわけですから、価値観の違いですれ違いや喧嘩をすることもあります。 個々人の問題であると言えばそれまでですが、その問題はできる限り目を瞑らずに環境改善に取り組むべきです。 例えば、上司の面談をある一定の期間で設定するとか、ストレスチェックシートを書いてもらうなどの対応もいいでしょう。 他にも、上司と職員間での日々のコミュニケーションも大事です。 何か問題などがあれば言いやすい環境づくりは、役職者の責務とも言えます。 悩みを抱え込ませないためにも、コミュニケーションによる運営者側の努力が必要になります。 仕事のオンとオフができる職場づくり 介護ヘルパーの仕事でよくあるのが、仕事のオンとオフが難しい環境であることがあります。 特に中間管理職の職員に多いですが、休みの日にも仕事の電話が鳴り止まず、なかなか休めない人もいます。 一般職員でも、休みの日に引き継ぎの件で確認の電話があったり、人員不足で夜勤明けからの日勤業務で昼まで働くなど過酷な環境があります。 ひどい時だと、日勤をしてから夜勤をするなどの勤務もあります。 一言で言えば過重労働なのです。 このような仕事の切り替えがしづらい環境を変えるために、職員が定着したくなる環境を作り運営していく必要があります。 まとめ 結論として求人倍率15倍の環境を作るためには、シンプルにこの職場にいたいと思える場所を作るのが最短です。 そのためには、給料、福利厚生、職場の人間関係、研修環境、労働環境これらの環境改善を行い、求人票状でも魅力的な職場を作る必要があります。 また、実際にヘルパー同士のコミュニケーションをしっかりと図り、働きやすい環境づくりが必要です。 簡単ではありませんが、1番の近道はコツコツ積み上げて作り上げていくことが大切です。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 在宅介護の救世主!定期巡回・随時対応型訪問介護看護について解説

    できる限り自宅で自立して生活したいと願われるご利用者様の救世主ともいえる定期巡回・随時対応型訪問介護看護とはどんなものなのでしょうか。 ここでは定期巡回や随時対応型訪問介護看護について解説します。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護って何? このサービスの名前を聞きなれない方も多いのではないでしょうか。 このサービスは24時間体制で主に在宅介護で介護を受けているご利用者様へできる限り自立した生活を行ってもらう為の支援サービスです。 このサービスは通常の訪問介護と少し違い、定額でサービスが利用できます。 ここまではざっくりとした説明ですが、ここからは細かい点も含めての説明をしていきます。 定期巡回について このサービスは、ご利用者様ごとに作成した訪問介護計画書をもとにして行われます。 内容としては一般的な訪問介護と一緒で、食事介助、入浴介助、排泄介助といった身体介護のサービスがメインです。 サービス内容にもよりますが、筆者が経験したケースでは、短いもので10〜15分程度、長いもので1時間ほどのサービスでした。 このように、数分で終わる安否確認から、1時間かかる排泄介助、食事の提供等長時間に及ぶものなどさまざまなサービスがあります。 随時対応・随時訪問について このサービスはご自宅にナースコールのようなものを設置し、ご利用者様は緊急時にそのコールを鳴らすことでオペレーターと話をすることができます。 オペレーターにどのようなことで困っているのかを伝え、その結果その方の近くで手の空いている職員に依頼をして対応してもらうと言う流れになります。 基本的に夜間も含む24時間対応で、必要に応じてご利用者様のお宅に伺いサービスの提供を致します。  訪問看護サービスについて   訪問看護は、看護師が自宅に訪問しご利用者様ごとの病気や障害に応じて医療的ケアを行ってくれるサービスです。   このサービスは基本的に医師の指示のもと行いますが、病院と同じような医療処置も行うことがあります。 そのため、ご自宅で最後を迎えたいという希望がある場合は、それに沿った看護も行うことも可能です。 具体的なサービス内容は以下の通りです。 健康状態の観察 ・病状悪化の防止・回復 ・療養生活の相談とアドバイス ・リハビリテーション、点滴、注射などの医療処置 ・痛みの軽減や服薬の管理 ・緊急時の対応 ・主治医・ケアマネジャー・薬剤師・歯科医師との連携 自宅で介護を受けたいご利用者様からすれば、訪問看護の仕事は、定期巡回サービスにおいて欠かせないものであると言えます。 訪問回数はどれくらい? 結論からお伝えすると要介護度が上がれば上がるほど、介助する内容も増えるため訪問回数は増えます。 要介護が低いと基本的にご自身でできることは行ってもらい、ご利用者様の負担になることをヘルパーがお手伝いするケースが多い為、時間も短くなります。 介護度が高いと、基本的に全ての動きでヘルパーに委ねられることが多いため、当然介助に時間がかかります。 なので、訪問頻度も増えるご利用者様が多かった記憶があります。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のメリット   定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスはどのようなメリットがあるのかご説明していきます。 ①24時間対応が可能な唯一の介護サービス 定期巡回・随時対応型訪問介護看護はあらかじめ決められた定期巡回に加えて、緊急のコールの24時間体制サービスが受けられます。 そのため、施設とは違い一人暮らしの方や、家族が遠くてすぐに駆けつけられない方などは安心して在宅生活できるサービスです。 施設入所をすれば、24時間のサービスを受けれるところは多いですが、中には施設入所を拒否されるご利用者様もいらっしゃいます。 経験談として、施設入所をしているご利用者様はご自分の慣れた環境ではないため、不安定になる方が多いです。 その点在宅介護でのご利用者様は、メンタル的な不安定さは感じられず穏やかなご利用者様がほとんどでした。 その点から見ても、このサービスは訪問介護の救世主と言えます。 ②定額制のサービス 通常の訪問介護では介護度が上がると費用も増えて、ご家族の費用負担もサービスの回数ごとに変動します。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスであれば、定額の金額設定なので予算の見通しが立てやすく、経済的にも優しい良いサービスと言えます。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のデメリット 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスはメリットばかりではありません。デメリットも併せてよく考えてから利用するようにしましょう。 ①他サービスとの併用禁止 このサービスは他の訪問介護サービスとの併用禁止です。 利用するサービスが限定的になってしまうため、このサービスを利用をしないと言うご利用者様もいると思います。 ②介護職員が変化する 定期巡回のサービスは、特定の介護職員だけが来ることはなくなります。 特に随時訪問になると近くで手が空いている介護職員の対応になるため、その辺りの理解が必要になります。 介護はご利用様との相性も重要なので、契約の際に事業所の職員の雰囲気なども見ておく事をお勧めします。 ③利用頻度によっては通常の訪問介護の方がお得 定額の部分がメリットとして大きいサービスと説明しましたが、このサービスの利用頻度によっては通常の訪問介護サービスの方がお得になることもあります。 要介護度によって、訪問介護一回にかかる費用が違いますが、実際にどれくらい利用してどのようなサービスを受けたいのかをよく見極める必要があります。 その上で、定期巡回サービスか訪問介護かを決めて利用すると良いでしょう。   どんな人が利用しているの?   この章では定期巡回・随時対応型訪問介護看護の実際のサービス利用者についてお話ししていきます。 サービスの内容はお伝えしましたが、どのような方が利用しているのかを知ることで、今後の介護の参考にしてみてください。 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の利用がおすすめの人とは このサービスは24時間体制で緊急時含めた対応を行なってくれます。 施設ではなく自分の生活してきた環境で介護を受けたい人や、自分の生活してきた環境でサポートを受けながら生活していきたい人などにおすすめです。 特にこのような人にへおすすめします。 ・独居で家族が近くに住んでいないご利用者様 ・一部介助が必要なご利用者様 ・自立しているが安否が心配なご利用者様 ・介護が必要だが、定期的にサービスを受けたいご利用者様 このサービスは定額で、食事・入浴・排泄などを一定の間隔でサービス提供してくれます。 他にもナースコールのようなものが配布され、何かあった際に、随時サービスを提供してくれるのです。 定期的に介護が必要で、安心して自宅で生活したい人に最適なサービスです。 サービスを受けるため条件と対象者とは まず前提条件として、要介護1〜5のご利用者様が対象です。 注意点としては以下の2点に注意しなければいけません。 ①地域密着型サービスなのでご利用者様の住民票が利用したい事業所と同じ地域にある必要があること ②定期巡回・随時対応型訪問介護看護を利用すると他の訪問介護・看護と夜間対応サービスの併用はできないこと この条件を満たした人は、ご自身の地域に定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスを提供している事業所がないかをケアマネジャーさんに聞いてみて、サービス使用の検討をするのも良いかもしれません。 まとめ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護のサービスは以下のような特徴があります。 ・利用頻度が多く特に在宅生活を希望しているご利用者様に適しているサービス ・費用や利用したいサービスの内容がマッチした時は、このサービスのコストパフォーマンスは大きいものになり、ご利用者様と家族の救世主となる。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 介護保険適応時の生活援助と身体介護の違いとは?やっていいことと悪いことを解説

    介護保険を使った訪問介護。 実は生活援助と身体介護には違いがあります。 今回はその点をご説明します。 生活援助って何? 介護の業界を知らない人に「生活援助と聞いて何を連想しますか?」と聞いたことがあります。 その方は「高齢者の出来ない買い物とか、掃除とかですか?」と答えていました。 それも生活援助の一つですが、細かく言うと他にもたくさんの生活援助の内容があるのです。 この章では生活援助の中身をご説明していきます。 生活援助でやってはいけないこと 生活援助とは身体介護以外のサービスで、ご利用者様が日常生活で行う活動内容を、代わりに訪問介護ヘルパーが行う支援のことを指します。 ここで注意点があります。 生活援助はあくまで「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるのが基本です。 そのため、生活援助で行っては行けないことがあります。 以下のようなサービスは生活援助のサービス外です。 ・ご利用者様が飼っているペットのゲージの掃除や散歩などの世話 ・ご利用者様以外の食事を作る(ご利用者様の家族など) ・ご利用者様本人が使わない部屋や、庭の掃除 ・イベント時に特別な料理を作る ・ご利用者様の家族の買い物 ・家電や家具などの移動や修理 ・車の運転代行 ・ご利用者様の家にある車の清掃 ・預貯金の引き出し代行、お金を扱うこと ・家にある植木や、草花の手入れ ・酒やタバコなど嗜好品の購入代行 ・室内の電球取り替え ・ご利用者様が家にいない状態での留守番サービス 訪問介護を実際に行うと正直なぜ行ってはダメなのか分からない内容もあります。 例えば電球の交換などは行なってもいいように感じます。 しかし、実際は禁止されているのです。 このように、生活援助と言ってもやっていいこと、やってはいけないことがあることを事前に利用者にお伝えしておかなくてはいけません。 その上で生活援助の内容をご説明していきます。 生活援助でやっていいこと 基本的な決まりとして、生活援助は「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるとお伝えしました。 この決まりを踏まえて今から生活援助の具体的な内容をお伝えしていきます。 買い物代行 このサービスはご利用者様が生活する上で必要な食材や日用品などをメインに、生活に必要なものだけをヘルパーが代わりに買い物代行するサービスになります。 掃除代行 このサービスは、ご利用者様の住環境の清潔な環境を整えるためのサービスです。 ご利用者様によっては、右半身麻痺だけど自分で歩ける人もいたりします。 そのような方は、掃除を自分で行えないことがあるので、ヘルパーが代わりにゴミを集めたり、床の掃除を行なったりします。 実際、1時間ほどでトイレ、居室、お風呂の掃除のみのサービスなどもあります。 洗濯代行 ご利用者様が使用した衣服や、生活の中で汚れたものなどを洗濯するサービスです。 過去に干したものを回収し、洗濯したものを干すまでがサービスの一つです。 場合によっては、訪問した時に汚れたシーツや身の回りのものがあれば、それも洗濯することもあります。 ベッドメイキング 訪問介護の仕事をしていると、訪問先のベッドメイキングの仕事もあります。 このサービスは、経験上あまり行なったことはありませんが、ごく稀にサービスとして行うことがあるので、覚えておいて損をすることはないと思います。 伺うお宅によって使う布団やシーツの種類なども違うので、臨機応変にサービスの行い方を学ぶことができます。 衣類の整理、被服の補修 ご利用者様の生活を守る上で、衣服の整理や被服の補修は重要になってきます。 認知症のご利用者様などは暑い真夏の季節でも厚手のダウンを着ようとする方もいます。 そのような方がいることもあるので、季節に合った衣服の準備や整理整頓、被服の補修はご利用者様の生活を守る上で重要になってきます。 薬の受け取り代行 ご利用者様の生活の中で重要になる薬の受け取り代行も生活援助の一つとして行います。 訪問介護をしていると、ほとんどのご利用者様が薬の内服をおこなっているので、ご利用者様によっては薬の受け取りを行うサービスを必要としている人もいます。 重要なので覚えておきましょう。 身体介護って何? この章では身体介護についてお伝えしていきます。 結論からお伝えすると、身体介護はご利用者様の体に触れてサービスを提供するものです。 具体的は以下の内容になります。 ・ご利用者様の体に直接触れて行う介助サービス ・ご利用者様の自立支援・重度化防止のためのサービス ・その他の専門的知識・技術を要する生活上のサービス (出典‘厚生労働省「「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」」の一部改正について」) ではさらに細かく分解するとどのようなサービスなのかをご説明していきます。 身体介護の種類と内容 では、身体介護はどのような種類と内容があるのか、詳しく解説していきます。 食事介助 身体介護の中でも代表的な食事介助ですが、主に食事をご自身で食べることが難しいご利用者様を対象に行う介助です。 食事介助は、見守りで大丈夫な場合と一部を誘導やお手伝いすれば大丈夫なもの、また全ての介助をしなければならないものと3パターンに分かれます。 他に食事形態の面でも違いがあり、ヘルパーはご利用者様がどの職形態で食べれるかも把握して、介助を行う必要があります。 介助方法もご利用者様によって違い、食具も変わります。 食事介助は、多岐に渡り注意しながら行う必要のある介助です。 排泄介助 排泄介助は、何パターンかに環境が分かれています。 ①トイレで排泄する場合 ご利用者様の身体状況で大きく変わりますが 職員1人で介助可能な方もいれば、職員2名で対応する必要のある方もいらっしゃいます。 ②ベッドなどで排泄介助をする場合 主にトイレで排泄介助困難なご利用者様が、この状態にあたります。 この場合職員1人で行うときと、2人で行うときがあります。 理由としては、ご利用者様の身体状況などで大きく変化するためです。 ベット上での排泄介助は必ず体位変換が必要となるのですが、その体位変換が職員1人で行えない時などは職員2名体制で行います。 更衣介助 主に起床した時と寝る前に行うことが多いです。 その他にもイベントの時や、入浴の前後などにも行います。 更衣介助は基本的には職員1人で対応できるご利用者様が多く、更衣の時は「脱健着患」を守り介助を行います。 「脱健着患」とは 健康な手や足から服を脱ぎ、患側(体の一部が麻痺してて動かない等)から服を着る事で ご利用者様の負担を少なくする基本となる介助ルールです。 入浴介助 もう一つ代表的な介助が入浴介助です。 これは全身浴と部分浴に分かれます。 全身浴とは、全身を洗い湯船に入浴していただく一般的な入浴介助で、部分浴は足のみ、もしくは手や頭のみを洗浄するといった、部分的な入浴のことを言います。 身体状況と目的別でこの全身浴と部分欲は分かれますが、この介助も技術力が必要な介助なのでしっかりと学び行う必要があります。 まとめ 今回は介護保険適応時の生活援助と身体介護の違いについてご紹介しました。 ・生活援助はご利用者様の体に触れることなく ご利用者様の身の回りの生活のお世話を生活援助という。・身体介護は、ご利用者様の体に触れて介助を行う。 この2つの違いは、ご利用者様の体に触れてサービスを提供するかどうかが、大きく違うものになってきます。 最後までお読み頂きましてありがとうございます。