「認知症専門医」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。
認知症を患った場合、進行を遅らせるための治療が重要です。
そのため、医師の選び方も関わってきます。
今回は、認知症の医療に特化した認知症専門医について紹介します。
認知症専門医とは?
認知症専門医とは、日本認知症学会および日本老年精神医学会に認定されている医師で、全国に約2,000人存在します。
主に精神科、神経内科、老年科に在籍しており、認知症の早期発見や早期治療を担っています。
しかし、人数が少ないため、お近くの病院に在籍していないこともあるので注意が必要です。
良い認知症専門医の見分け方
良い認知症専門医の見分け方のポイントは以下の3つがあります。
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ここでは、3つのポイントをそれぞれ解説します。
丁寧な「問診」
良い認知症専門医の見分け方のポイント1つ目は「問診」です。
問診は、定期的な受診をすると必ず行われるものですが、内容が最も重要です。
良い認知症専門医は、認知症患者にどのような症状や行動があるのか、現状家族にどのような負担があるのか等、丁寧な聞き取りをしてくれます。
また、前回の受診時からそのような変化があるのか、それに対して今後の医療計画や薬の処方内容はどうしていくのか、話し合いの時間を設けてくれます。
介護家族は認知症患者の日々の様子や変化をしっかり専門医に伝えられるよう、現状の把握しておきましょう。
デイサービスや高齢者施設を利用している場合は、介護スタッフから事前に聞いておくことが重要です。
CTやMRIなどの「画像診断」
良い認知症専門医の見分け方のポイント2つ目は「画像診断」です。
CT(コンピュータ断層装置)やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)などを使い、脳の状態を画像で判断します。
実際の脳の画像を元に、認知症が以前と比べてどれだけ進行しているか、服用している薬の効き目があるのかを診断するため、より確実な医療方針を決められます。
また、定期的に画像診断を行うことで、認知症の進行度合いも把握できます。
数値化する「認知症テスト」
良い認知症専門医の見分け方のポイント3つ目は「認知症テスト」です。
認知症テストとは、認知機能障害の有無を調べるために行う簡単なテストです。
長谷川式スケールやMMSEという種類があり、テストの結果で認知症の状態を数値化し、どのくらいの認知機能障害があるか判断します。
認知症テストをすることで、実際にどれくらい認知症が進行しているのか把握できます。
認知症専門医を見つけるためには?
認知症専門医を見つけるために有効な手段は、「ケアマネジャー」や「地域包括支援センター」を尋ねることです。
ケアマネジャー
ケアマネジャーは、介護や支援を必要とする方から相談を受け、心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるように介護計画を作成する役割を担う人です。
ケアマネジャーは、実際に介護現場で認知症患者のケアを経験したことがある人も多く、小認知症患者や介護家族に対しての理解があります。
地域の居宅介護支援事業所に常駐しているため、近くの事業所を探しましょう。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、地域内の高齢者の相談や権利擁護、支援体制作り、介護予防に必要な援助などを行う公的機関です。
全国に約5,000ヵ所以上あり、介護の必要の有無に関わらずすべての高齢者の相談を受ける施設です。
ホームページで確認する
認知症専門医は日本老年精神医学会と日本認知症学会のホームページからも検索することが出来ます。
また厚生労働省は、全国約250カ所に 「認知症疾患医療センター」を設置してます。
ここでは認知症専門医が鑑別診断や治療、精神保健福祉士などの専門の相談員による医療福祉相談など医療・福祉関係者を支援する体制が整えられているので、こちらを利用するのもいいかもしれません
直接認知症専門外来を受診する方法もありますが、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。
認知症専門医にかかるメリット
認知症には治療法がないため、「早期発見・早期治療」が重要です。
早期発見から早期治療につなげることで、進行を遅らせることができます。
かかりつけ医から認知症専門医にかかるメリットは、主に以下の4つがあります。
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選択肢が増える
認知症専門医にかかるメリット1つ目は、知識や経験が豊富なため「選択肢が増える」ことです。
かかりつけ医は認知症に関する知識が少ない場合もあります。
認知症には、明確な治療法がなく、一人ひとりの症状や環境に合わせたケアが重要です。
知識や経験が豊富な認知症専門医にかかることで、具体的なケアを考えることができます。
患者の状態を把握し常に医療方針を考えてくれる
認知症専門医にかかるメリット2つ目は、患者本人の変化や状態を把握し「常に医療方針を考えてくれる」ことです。
認知症専門医は、認知症患者の心身の状態を把握し、新しい医療方針を提供してくれます。
かかりつけ医の場合は、定期検診で認知症患者に異常がなければ簡単に診察を終わらせてしまう可能性があります。
介護家族の負担を減らすことを考えてくれる
認知症専門医にかかるメリット3つ目は、「介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる」ことです。
認知症専門医は、介護家族の負担を減らすことを考えて、医療方針を考えてくれます。
介護が負担になるという理由で薬を増やすだけでは、意味がありません。
飲み方を変える、別の薬を利用するなど、家族の意見とともに医療方針を決めていきます。
医療連携が速やかである
認知症専門医にかかるメリット4つ目は、大きな病院などの「医療連携が速やかである」ことです。
認知症専門医が在籍する科には、「認知症センター」や「もの忘れ外来」など認知症が専門となります。
認知症の専門外来には、脳の画像検査機器であるCTやMRIが設置されていることが多く、認知症患者の状態を正確に把握できます。
また、大きな病院とも連携しており、必要があれば速やかに受診できる仕組みです。
どのような時に認知症専門医にかかる?
ここまで、認知症専門医について紹介しました。
しかし、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えれば良いのかわからない方も多いのではないのでしょうか。
認知症には明確な治療法がないため、認知症患者に合わせた早期治療が大切です。
以下の点が思い当たる場合、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えることをおすすめします。
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認知症の進行が明らかに早い
認知症の進行が明らかに早いと感じた場合、治療法が合っていない場合があります。
認知症専門医に相談することで、薬以外の治療法も見つけることが可能です。
例えば、リハビリなどの運動療法や、楽器などを使用する音楽療法も効果が期待できる治療法などがあります。
治療で薬の調整しか行わない
認知症の症状である、うつ・徘徊などの治療薬として、抗精神病薬や睡眠薬が処方される場合があります。
しかし、患者の症状が進行した際、過度に服薬をすると副作用が大きくなります。
薬が効きすぎると、意識が朦朧とする、歩行が不安定になるなどの症状が現れることがあり、転倒などのリスクも高くなるため注意が必要です。
まとめ
今回は、認知症専門医についてと認知症専門医にかかるメリットをお伝えしました。
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最後までご覧いただきありがとうございます。