今後ショートステイに求められるニーズとは?今後の大切なポイントを解説!

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narumi

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ショートステイを運営しているけど、「ショートステイを利用していくことで、利用者や家族はどのようなことを求めているのか」と考えている事業主の方もおられるのではないでしょうか。

この記事では、今後ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。

そもそもショートステイとは何か?

ここではショートステイの「主な利用目的」や「ルール」について解説していきます。

ショートステイの利用シーン

ショートステイは一時的に利用できる短期の宿泊サービスです。

自宅での介護が困難な時や介護者のリフレッシュのために利用されることが多いでしょう。

あくまでも短期的に利用するサービスであり、生活の拠点として長期的に利用するサービスではありません。

ショートステイの主な利用シーンは、次のようなケースが考えられます。

  • 介護者の出張や旅行で自宅での介護が困難な時
  • 介護者の入院などで自宅での介護が困難な時
  • 介護者の休息が必要な時(レスパイトケア)
  • 介護者の体調が優れない時
  • 施設への入所前に施設生活に慣れるため

ショートステイの日数制限ルール

ショートステイは介護保険が利用できる日数に制限が設けられています。

なぜなら、介護保険サービスは各介護度に応じて一ヶ月に利用できる単位数が決められているからです。

そのため単位数を超えない範囲で、利用日数を抑える必要があります。

各介護度で定められた単位数を超えた場合は、介護保険が適用されず利用料金が全額自己負担となります。

最も介護度の低い要支援1の場合5,032単位、一番重度である要介護度5の場合36,217単位となります。

介護保険内でショートステイを利用できる日数の上限は下記のようになります。

要支援1要支援2要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
日数6日/月11日/月17日/月20日/月28日/月30日/月30日/月

※一ヶ月あたりの日数の上限になります

※実際の利用可能日数はサービス加算費などによって異なります。

当然のことではありますが、他の介護保険サービスを利用した場合にはさらに日数が短くなります。

上記のことからもショートステイは長期に利用できるサービスとは言い難いでしょう。

ショートステイに求められること

ここでは介護業界の現状を踏まえた上で、ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。

介護業界の現状

日本では少子高齢化が進み人口は減少してますが高齢者の数は年々増えています。

特に後期高齢者である75歳以上の増加は顕著になっています。

75歳以上の人口を各年度ごとにまとめてみました。※()内は全人口に占める割合です。

  • 2020年……1,860万人(15%)
  • 2025年……2,180万人(18%)
  • 2040年……2,239万人(20%)

このように高齢者が増えることで、介護施設の需要はさらに高まっていくと考えられます。

しかし、高齢者を支える働き手が減少していくなかで、満足な介護サービスを受けることができない介護難民が増えていくのではないでしょうか。

肝心の施設を建設しても、働き手が減少している社会構造の中で人材の確保が難しいのが現状です。

ショートステイに求められるニーズとは?

今後、少子高齢化により介護施設の需要が高まるなか、ショートステイに求められるのは足りない施設サービスの穴埋め的存在ではないでしょうか。

いわゆる「長期利用(終の棲家)」です。

また、長期利用を想定した場合「看取り」のニーズも高まるでしょう。

今後のショートステイは長期利用のニーズがさらに高まる

ショートステイの本来の目的は短期利用ですが、実情として利用が長期にわたるケースは一定数、存在しています。

2020年の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、ショートステイ事業所の6割が31日以上の長期利用を受け入れています。

また、調査対象となった3万9,375人の利用者のうち、3,396人が長期での利用をしています。

これは全体の8.6%を占める数字です。

長期利用をする理由には「特養入所までの待機場所として」が89.2%と最も多くなっています。

これは準特養と言ってもおかしくないです。

今後、後期高齢者の数が増えることや介護人材の減少が進むことを考えると、その数はさらに増えていくのではないでしょうか。

今後のショートステイでは看取り対応が求められる

今後ショートステイでの長期利用が進むことを考えると、ショートステイでの看取り対応のニーズも高まっていくでしょう。

なぜなら施設への入所を待っている間に、老衰や体調不良で亡くなってしまうケースも避けられないからです。

介護事業所で看取りを行う場合、一定の基準を満たしていれば看取り対応を行うことは可能です。

看取りを行うには、介護保険法の定めによって、下記の条件を満たしている必要があります。

  • 看護職員・医師・診療所指定訪問看護ステーションと24時間連絡をとれる体制である
  • 施設入所の際の指針について、本人や家族に説明し同意を得る
  • 医師・看護師・ケアマネージャー・介護職員が看取りに対し見直しをする
  • 看取りに対して研修を行う
  • 看取りの際は自宅や静養室などの環境を整え、他の入所者に配慮する

現在の看取りは8割が病院、2割が施設や自宅となっています。

今後高齢化が進む中で介護施設での看取りの需要は高まるでしょう。

ただ看取りは「介護職員の精神面への負担も大きいこと」や、「人材の確保」、「医療機関との連携が難しい」などの理由により行ってない施設が多いです。

ショートステイを展開する上で大切なポイント

今後、ショートステイの事業を展開していく上で、求められているニーズをしっかりと踏まえ、差別化をしていくことが大切になってくるでしょう。

具体的なニーズに関しては下記が考えられます。

  • ショートステイの長期利用
  • ショートステイでの看取り対応

サービス事業者と利用者をつなぐ居宅介護事業所(ケアマネージャー)に、これらのニーズを満たす事業所と認知してもらえれば、様々なケースの依頼も増えていくでしょう。

各事例を一つ一つクリアしていくことで、その実績が強力な営業ツールになるのではないでしょうか。

各市町村によりショートステイの長期利用に関しての見解も違うためハードルがあるのも事実です。

ただ、可能な範囲で他社との差別化をはかっていくことは、経営していく上で重要です。

まとめ



ここまでショートステイの求められるニーズについてまとめてきました。

  • 今後、75歳以上の後期高齢者は加速的に増えていく
  • 高齢者の増加と働き手不足で特養などの施設に入れない高齢者が出てくる
  • 施設不足によりショートステイの長期利用のニーズは高まっていく
  • ショートステイの看取りのニーズは高まっていく
  • 今後、ショートステイでは「長期利用」と「看取り」対応で差別化する事も重要

最後までお読みいただきありがとうございました。