今まで元気だった家族が突然倒れ、介護が必要な状況になったら、あなたはどうしますか?
病院に任せきりになっても、いつかは、自宅または転院、施設の入所などを決断する時はやってきます。
この記事は、突然の介護に慌てないための事前準備について紹介します。
家族が、いざという時の基本的な知識として持っていて欲しい内容です。
介護は突然始まるもの
家族介護は、何の前触れもなく、突然、始まることが多く、不十分な準備のもとで介護に臨めば、困ることが多々あります。
特に仕事を持つ社会人にとっては、今後の対応が予想困難で仕事と介護の両立ができずに離職する可能性もあるのです。
今は親も家族も健康だからといって、介護の基本的な知識がないと突然の介護でパニックに陥ることも考えられます。
今は大丈夫だからではなく、これから起こるかもしれない現実から目をそらさない行動が、介護で困らない第一歩です。
突然の介護に困らないようにするには
病気や怪我で倒れた家族の介護は、準備を怠れば不十分な状態で不安を抱えながら、始まります。
突然の介護に困らないようにするには、事前の心構えや準備が大切です。
家族でよく話し合う
家族で介護についてよく話し合うことは大切ですが、ベストなタイミングは、介護を必要としない親や家族が元気な時です。
このタイミングを逃すと、突然の介護に対応できる時間の余裕がなくなります。
家族のライフスタイルは、年齢や生活環境によって変わりますが、話し合いだけでもしておけば、突然の介護でも動揺する気持ちを最小限に抑えられます。
以下のポイントについて家族で話し合っておきましょう。
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厚生労働省ツールを活用する
厚生労働省のホームページに「介護への事前の備え」といったツールが用意されています。
このツールは、親や配偶者など家族の個人情報をはじめ、介護に関する必要な情報を網羅できるシートです。
家族の話し合いに活用でき、家族の状況に応じてシートを増やすことで、介護に直面した時に役立ちます。
介護情報が豊富な本を見ておく
介護に関する本は数多くありますが、中でも介護情報が豊富な本を事前に見ておくことも大切です。
特に在宅介護に特化し、介護保険制度など最新の情報を記載した本は必ず役に立ちます。
介護が始まるまでには、最低1~2冊購入し、知識を増やしておけばいざという時に活用できます。
Webサイトで最新の介護情報を確認しておく
本と共に、ネット上にあるWebサイトでも最新情報が確認できます。
自分が必要とする情報だけでも有効活用すれば、事前の準備に役立てられるのです。
特に医療・介護従事者が作成した記事がある介護情報サイトは、信頼性の高い情報が得られるため、おススメです。
在宅介護をスムーズに行うためには
在宅介護をスムーズに行うためには、介護者が自覚を持つことは大切ですが、準備すべきことは沢山あります。
しかし、介護をスタートダッシュすれば、必ず、介護疲れを早めに感じてしまいます。
介護はマラソンです。
決して短距離走で息切れしない対策も考えておきましょう。
症状や薬の情報を知っておく
被介護者の症状や薬の情報を知っておくことはとても大事です。
介護が始まると、日々の介護に追われて、処方された薬の情報まで詳しく知る時間がありません。
しかし、薬の作用、副作用を介護者が知っておかないと、訪問診療の際に問題が起こることも考えられます。
担当医に薬の情報を確認しておけば、訪問医療や訪問看護でも要介護者の正確な情報を伝えられます。
また、過去の既往歴や服用していた薬は、かかりつけ医やお薬手帳で確認しておくことも大切です。
入院先で治療にあたる医師や看護師の情報になり、在宅での診療にも役立ちます。
入院中から行動しておく
病気や怪我によって入院した場合、退院までの期間が症状や状況により変わることがありますす。
退院後の介護を視野に入れるには、入院中から行動しておくことが大切です。
病院のソーシャルワーカーに相談し、退院に向けた道筋をはっきり決めておけば、在宅介護をスムーズに行えます。
介護力を上げておく
家族の介護力を上げておくことも大切なポイントです。
介護に自信がない状況で介護生活を迎えると、最悪、介護放棄につながりかねません。
入院期間中に、病院の看護師やヘルパーに介護方法について学び、可能であれば、実際におむつ交換や体位変換、痰の吸引などを経験しておけば、安心し、介護を始められます。
ただし、コロナ禍で直接介護ができない場合は、自治体などが行っている介護教室を利用するのもおススメです。
ケアマネを探しておく
介護サービスを利用し、在宅ケアにつなげるためにはケアマネの存在が不可欠です。
特に入院中の場合は、病院の医療相談員やソーシャルワーカーなどに相談してケアマネを紹介してもらえば、介護サービスの手続きや福祉用具相談員とも連携でき、在宅介護の不安が減ります。
自宅の環境を整備する
在宅介護は、現在の自宅の環境で問題がないかプロの目で確認してもらわないと、転倒などの思わぬ事故につながる可能性があります。
要介護者や介護家族のストレスの軽減、福祉用具の準備のためにもプロのアドバイスは必須といえるでしょう。
しかし、居住している家によっては、在宅介護が不可能と判断されることも考えられます。
自宅の環境整備を早めに行えば、万が一の場合も次の対応をとる時間もできます。
自治体に相談しておく
介護サービス以外で介護に役に立つのがお住いの市町村の介護福祉課や地域包括支援センターです。
介護費用に補填できる補助金などの支援があり、知っておいても損はありません。
介護が必要な主な病気や原因
突然の介護は、どのような病気や原因で始まるのでしょうか。
2019年国民生活基礎調査の概況では、介護が必要になる病気や原因ははっきりと示されています。
介護が必要になる病気であれば、退院までに介護支援を確認、調整しておくことが大切です。
介護が必要になる主な病気
介護が必要になる主な病気は、認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱が主となっており、脳疾患による介護が全体の4割を占めています。
また、事故や転倒などによる骨折で、車椅子生活になり、在宅介護になるケースも増えています。
特に長期間の入院生活で認知症になり、家族介護の大変さから在宅から施設入所を決断する家族も増えているのです。
健康で高齢になる前に、介護に直面した時の備えが必要なことは明らかでしょう。
退院支援は病気によって変わる
退院支援は病気によって変わります。
入院中の健康状態や障害によって介護方法は変わるため、病院や施設との連携が大切です。
入院中の対応が遅れると、家族の心構えを初めとする在宅介護にスムーズにつながりません。
退院支援の体制を整えておくには次の点に注意しておきましょう。
病院と話し合っておく
医師や看護師、ソーシャルワーカーなど、病院と話し合い、退院後の治療方針などを確認して決めておくことが大切です。
入院時と退院時では健康状態や障害の状況など変わっていることが多いため、退院前には医師に聞いておきたいことを挙げてみます。
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介護が始まるまでに家族で考えておこう
介護が始まるまでに家族で考え、話し合いを重ねることは重要です。
退院時の症状によっては、在宅介護か施設の利用かの検討が必要になることもあるでしょう。
しかし、基本は患者本人の希望です。
自宅に帰りたいという意向が強いのであれば、在宅介護に向けた家族の対応や医療・介護支援が必要であるという認識を持つことが大切なのです。
まとめ
この記事のポイントは次のとおりです。
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高齢になると、些細な病気や怪我でも、介護が必要になる可能性が高くなります。
親や配偶者が元気な間に、突然の介護に困らないように、在宅か施設かを考えておくことが大切です。