介護業務を楽にする!チームで取り組むIT連携の重要さを解説

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narumi

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厚生労働省は、介護現場のIT化を進め、根拠を基にした科学的介護を推奨しています。

介護保険施設で働くスタッフの中にも、チームでIT連携に取り組み、業務を効率化したいと感じている人は多いのではないでしょうか。

業務が効率化できれば人手不足や残業が減少し、直接利用者に関わる時間が増えることにより、ケアの質の向上につながります。

本記事では、介護業務が楽になる、チームで取り組むIT連携について説明します。

介護業務とIT連携の現状

ITとは、「情報技術」のことで、コンピューターやデータ通信に関する技術の総称です。

介護保険施設の管轄である厚生労働省は、科学的介護を推奨し、介護現場におけるIT化を進めています。

ITを活用し業務を効率化することで、本来の介護業務に集中できるよう働きかけており、その為の補助金もだしています。

また、ITを活用しビッグデータを収集することで、根拠に基づく介護サービスを提供できる環境作りを目指しています。

とはいえ業界全体のIT化はなかなか進んでいないのが現状です。

記録や行政への提出書類、契約関係の書類等、介護業界はとにかく紙ベースの仕事が多くなっています。

新しくITを導入しようにも、コストがかかりますし、従来のやり方に慣れているスタッフの抵抗感もあります。

ITに詳しいスタッフや、指導できるスタッフがいる施設とそうでない施設で差が大きくなっているのが現状です。

しかし、ITを活用できれば大きな業務改善につながります。

情報共有をスムーズにするために介護業務×IT連携が効率的

介護業務とITは非常に相性がよいとされています。

厚生労働省が行った令和2年度 ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ によると、ITを導入によって間接業務が見直されたり、業務管理が効率化されたと感じている事業所が約70%あることが分かりました。

引用:令和2年度 ICT導入支援事業 導入効果報告まとめ | 厚生労働省

介護業務にITを導入すると情報共有がスムーズになり、以下のような効果があります。

・間接業務の時間が削減される

・業務管理が効率化される

・単純ミスが減る

・研修等の動画コンテンツを活用しやすくなる

・人手不足の解消につながる

一つずつ説明していきます。

間接業務の時間が削減される

前述の厚生労働省の調査によると、約70%の事業所がITを活用することで、間接業務の削減につながったと感じています。

利用者に対する直接的なケアにかかる労力を削減するのは難しいものです。

しかし、利用者の安全で安楽な生活を守る上でも直接的なケアには時間をかけるべきです。

ITを活用することで、記録にかける時間の削減や内容を充実なものにし、ムダな文書をなくしたり、前回作成したデータを活用することができます。

すると、時間を削減することができるため、直接利用者に関わらない部分の業務スピードを上げることが可能です。

業務管理が効率化される

事業所内外との情報共有が円滑にする、シフト管理を効率化できる、重複する記録を廃止したりする等して、職員一人当たり一日30分から1時間削減することが可能です。

一日3人勤務していたら、1.5時間から3時間が確保できることになります。

これだけ時間が確保できたら、直接利用者に関わる時間も自然と増えていきます。

単純ミスが減る

業務のIT化が進むと、紙に書いていた記録をスマホやタブレット等を使って行うことになるため、文字を書くことなく記録業務が完了します。

記録時間を削減するとともに清書や転記作業がなくなり、同時に他部署との情報共有も可能です。

・紙に書く

・PCで入力

・他部署へ報告

これらの工程が端末への入力のみになるので、この間に起こるヒューマンエラーはなくなります。

うまくITを活用できれば、業務が簡略化されると同時に単純なミスが減ります。

研修等の動画コンテンツを活用しやすくなる

介護現場はシフト制のことが多く、スタッフが一つの場所に集まって行う研修は、時間設定が難しい場合があります。

今は新型コロナウィルス対策で集合研修を控えている事業所も多いのではないでしょうか。

最近ではYou Tubeで動画研修を行ったり、Zoom等を活用してオンラインで講義を行う方法が広まっています。

現場で行うOJT以外にも、動画コンテンツを活用した研修を取り入れることで、法定研修や職員育成につなげることができます。

人手不足の解消につながる

IT化が進むと時間が生まれます。

それまで2時間かかっていたことが半分の1時間でできるようになります。

そうすることで、フロアに一人多く配置できる時間帯もできるでしょう。

普段できない後回しにしていた業務に手が届くようになります。

また、業務にITを取り入れていることをうまく発信できれば、就職や転職活動をしている人に良いアピールが可能です。

結果的にスタッフが集まりやすい事業所になっていきます。

このように、介護業務とITの相性はとても良く、情報共有がスムーズになることで、業務の効率化がすすみ、時間が生まれ、ケアの質を向上することに繋がります。

ただし、個人情報を取り扱うことになるので、人まちがいなどの入力ミスや業務用携帯電話、USBメモリなどの紛失による情報漏洩には十分注意しましょう。

介護業務×IT連携の導入例

実際に介護現場に導入されているIT機器にはどのようなものがあるのでしょうか。

代表的なものには以下のものがあります。

・インカム

・見守り支援システム

・ケア記録システム

・SNSを活用した一括メッセージ送信

・共有フォルダの活用

それぞれ一つずつ説明していきます。

インカム

インカムは、マイク付きのイヤホンやヘッドセットを装着し、相互に通信できる無線機のことです。

複数のスタッフ間で一斉に情報伝達できるのが特徴です。

業務連絡やセンサー作動時に誰が対応するか等、他の業務をしながら相談や指示出しができます。

コストや衛生面、介助中に機器が邪魔になる、自分が望んでいない情報も聴こえてしまう等のデメリットはありますが、補助金の対象になることもあり、介護現場での導入が進んでいます。

見守り支援システム

慢性的な人手不足の介護現場で、見守り支援システムは利用者の状態を察知し、スタッフをサポートしてくれます。

利用者の居室やベッドにカメラやセンサーを設置し、呼吸数や心拍数、眠りの深さや体の動きを可視化することが可能です。

異常や状態に変化のある場合はナースコールやアラームが作動しスタッフに知らせてくれます。

巡回の頻度を減らすことができるのでスタッフの心身の負担軽減にも繋がります。

利用者の動きをリアルタイムで確認できるので事故の防止にも繋がるでしょう。

システムを導入していることが施設の売りの一つとなり、スタッフや利用者の募集に繋がる可能性もあります。

ですが、過度にシステムに頼りすぎると「監視」という形で利用者のプライバシーを侵害することにもなりかねません。

見守り支援システムができるのはあくまで利用者の動きを察知するところまでです。

システムから得た情報を使うのは人間であることに変わりはありません。

転倒リスクのある利用者の動きをセンサーが察知したら、そこに駆けつけるのは人間のスタッフです。

機械を過信しすぎず、上手に活用することが大切です。

ケア記録システム

昔は日々の記録を紙に書いて綴っていましたが、現在ではPC入力が主流です。

さらに近年はスマホと連動し、ケアをしたその場でケア記録を入力することができます。。

利用者の様子やバイタルの測定等の記録をスマホやタブレットから入力すれば、記録時間が短縮され、多職種との情報共有をその場で完結します。

紙へのプリントも不要です。

機器によっては音声入力も可能なため、さらに入力時間が短縮されます。

外出先からも入力できるので訪問先から事業所に戻って記録をすることもなくなります。

検索機能を活用すれば過去の記録を探す時間も大幅削減できるでしょう。

上記のように介護業務を効率化するIT機器には多くのものがありますが、前提としてWi-Fi環境の整備は必須です。

機器の購入やスマホやタブレット等の端末、専用ソフトの整備も必要なので、うまく補助金を活用し負担がかかりすぎないよう工夫しながら導入できるとよいでしょう。

SNSを活用した一括メッセージ送信

スタッフや利用者家族へ一斉に連絡事項を伝えたい時にSNSを活用すると、一括でメッセージを送信することができます。

以前は1件1件電話をしたり、手紙を送ったり、スタッフには連絡網を活用したりと、手間と時間がかかる対応をしていました。

事前に登録しておけば、LINEでメッセージを全体発信することが可能で、公式アカウントを活用すれば家族の個人アカウントが他者へ漏れることもありません。

家族懇談会や施設の会議にZOOMを活用するのもメッセージの発信になります。

内部研修にYoutubeを活用するのも良いでしょう。

導入時に勉強する必要はありますが、効果は絶大なので、検討してみるのはいかがでしょうか。

共有フォルダの活用

他部署で同じ書式を使用するときは、共有フォルダを活用すると効果があります。

例えば委員会の議事録や事故報告書などです。

共有フォルダに保管しておけば、他部署が作成した議事録や報告書もパソコン上で確認することができるようになるので、確認したい時にすぐに確認できるようになります。

各フロアや医務、栄養士とそれぞれの部署のパソコンのデスクトップに保管していると、書式が変わったのに反映されていないなんてことが起きてしまいます。

施設のサーバーに保管され、データを失うリスクも少なくなるので、共有フォルダを活用することも効率化の一つとなります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

介護業務とITが連携することで業務が効率化できることを説明してきました。

介護業務×IT連携が効率的な理由は

情報共有がスムーズになる

・間接業務の時間が削減される

・業務管理が効率化される

・単純ミスが減る

・研修等の動画コンテンツを活用しやすくなる

・人手不足の解消につながる

介護業務×IT連携の導入例として

・インカム

・見守り支援システム

・ケア記録システムなど

・SNSを活用した一括メッセージ送信

・共有フォルダの活用

について説明しました。

IT機器を導入する目的は情報共有をスムーズに行い業務を効率化することで時間を生み、ケアの質を向上させることです。

個人情報の取り扱いとのバランスに留意し、それぞれの事業所にあったIT機器を導入するとよいでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。