訪問介護は家政婦さんとは違う!訪問介護が担う自立支援とはどんな内容なのかを解説!

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narumi

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家政婦さんと間違えられてしまう訪問介護ですが、実際は目的や意義が全く違う仕事です。

そのなかでも今回は家政婦さんとは違う「訪問介護が担う自立支援」とは?についてお伝えします。

「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違い

「家政婦さん」と聞いてまず思い浮かぶのは、以下のようなイメージではないでしょうか。

「家政婦さんは裕福な家に居る何でも助けてくれる人」

・「料理や洗濯などの家事全般をしてくれる人」

では次に「訪問介護員(ホームヘルパー)」と聞いて思い浮かぶのはどのようなイメージでしょうか?

「自宅で介護士さんに助けてもらって生活を出来るようにしてもらう」

「元気で病気もしていないけれど、一人にしておくのは不安だから介護士さんに様子を見てもらおう」

どちらも「自宅で家族の身の回りお世話を行う」ことや「家族の手助けをする」部分で大きな違いはありません。

訪問介護の成り立ちをひも解いてみますと、以前は「家庭内で家族のお世話をする」という状態が当たり前でした。

戦後20年が経ち、戦争による生活困窮者のために訪問介護の前身である「家庭養護婦」と言う仕事が誕生し時を経て「訪問介護」に変わりました。

家政婦さんの場合は家族全員が対象になり、家族に関わることであればどんな事でも行いますし、本人が出来ることであっても代わりに行います。

介護士の場合は、助けが必要な人が誰なのか、介護士の基本の一つである自立支援を目的としているかの2点で、目的と仕事の内容が違います。

「訪問介護とは」

訪問介護とは、ご利用者様が在宅における生活の中で自立した日常生活が行えるように、訪問介護員がご利用者様のご自宅へ訪問をし身体的な支援や介助を行う「身体介護」と、家事などを支援したり介助する「生活援助」の2種類があります。

介護保険が始まる前は「ホームヘルプ」と呼ばれ、介護保険開始後は「訪問介護」の名称に変わりました。

訪問介護には高齢者の方達だけではなく、「障害者総合支援法」という障害者の方を支援し介助も行います。

訪問介護では日常生活の援助に該当しない行為は行えません。

例えば草むしり・ペットのお世話・大掃除等のご利用者様本人に関わることでないと訪問介護を行う事ができません。

「介護保険が始まる前と始まった後の違い」

介護や支援を求める方が増えて、2000年より介護保険の制度が始まりました。

高齢者や障害者の方の自宅を訪問し、「身体介護」「生活援助」の二つを行う事には介護保険が開始される前後で大きく変わりません。

介護保険開始前は自宅での介護福祉は各都道府県の市町村にある社会福祉協議会や福祉公社になどによる措置の制度であった為、サービス内容を選べず利用料は所得に応じた負担になっていました。

変わった部分として、介護保険開始後は利用者または家族が申請して利用できるようになり、サービスも選べるようになったことです。

現在は介護保険の法整備が進み、社会保険の制度の一つになっています。

サービス提供に様々な民間団体や法人組織が参加しており、自分や家族に必要なサービスを選択し提供してもらう形になっています。

介護保険が始まった当初は「介護」を行う上で「ご利用者様の出来ないことを代りに行う」ことを中心に行っており、家政婦さんとの違いもはっきりとは認識されておらず家政婦さんのように利用する方もいました。

その結果「自分で出来ること」を奪ってしまう事になり、次第に「介護」を必要とするひとが増える要因の一つになりました。

この問題に対して2001年に「介護を必要とする人の出来ること」に注目をして様々な要因や環境を見つけ出し、生活の全体像を掴み支援や介助を行う考え方が提唱され、QOLの向上や自立支援に注目するようになりました。

※QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは
一般にひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた「生活の質」のことを指し、
どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。

「訪問介護が担う自立支援」

自立支援とはご利用者様に「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」です。

できる限り自分の力で生活するためのサポート」と一言でいってもご利用者様ひとりひとり状況と状態が違い、はじめは信頼関係もなく一人で行う事が難しく、なかなか上手くいかない事に落ち込んだりやる気を出せないでいるご利用者様もいます。

そういう様々なご利用者様に対して、一人で行えるようまたは行いやすくなる為の道具の提案を行ったり、環境を整えて一人でも行える様にする事が介護員の役目になります。

では現場ではどのようにして「自立支援」が行われているかの事例を紹介します。

自立支援の事例

介護員が女性のご利用者様のご自宅に訪問をしました。

ご利用者様に元気がないため、どうしたのか尋ねると「最近こけてばかりだから、庭の草むしりをしないでほしいと家族に言われた」との言葉が返ってきました。

ご利用者様は「草むしりをすることで少しでも家族の役に立ちたい」「草むしり中に近所の方と話すのが楽しみ」と介護員に話をしました。

そこで介護員はご利用者様の希望の「草むしり」を安全に行えない原因を考えました。

・なぜこけたのか。

・なにが危険なのか。

・どうすれば安全にできるか。

この3点について、ご本人様と家族様、話を伺い様々な事がわかりました。

・腰が少し曲がっていて、前のめりの姿勢である。

・腰が少し曲がっている為、前のめりにこけてしまっている。

・前のめりにこけてしまうので、何度も頭をぶつけている。

・庭が広く、草むしりをするために、移動する必要がある。

そこで介護員は、庭が広く移動しながら「草むしり」をしている為に転倒してしまう可能性が高いと考え、ご自宅にあった「小さな椅子」を使って少しづつ移動しながら、座って草むしりを出来ないかと、ご利用者様と家族様に提案してみました。

後日、訪問した際にご利用者様より「座って(草むしり)したら1度も危ないことにならず、転倒する心配もなくなった。ありがとう」「生き甲斐が戻ってきた」と草むしりが継続して出来ることを喜ばれました。

ご家族様からは「安全にできる方法を考えてくれたおかげでおばあちゃんに笑顔が戻ってきて嬉しいです。」との言葉をいただきました。

ご家族からの「危ないからやめてほしい」との声で全て制限してしまえば、活気や生活の楽しみが失われ生活の質が低下してしまっていたでしょう。

また、以前のように「なんでもしてしまう介護」や家政婦さんに「やってもらう」という利用が続いていれば、「草むしり」という一つのやりがいが失われ、活動量の低下や元気がなくなりさらなる介護が必要になっていたかもしれません。

今回の事例のように、「自立支援」や「QOLの向上」に注目をし、訪問をしているからこそ気付き、アドバイスすることで、ご利用者様は活気を取り戻されてご近所付き合いも継続出るようになりました。

ご家族様もおばあちゃんに活気が戻り、以前のような生活に戻ったことを安心される結果に繋がりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違いについて、介護保険が始まった前と後の違い」について、そして最後に「訪問介護の担う自立支援」について事例を交えてお伝えしました。

・「家政婦さん」と「訪問介護員」の違いは資格の有無や専門知識があるかないか
できることに制限があるかないか。

・自立支援とは「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」。

・訪問介護が担っている自立支援は、ご本人様・家族・関わる人全てに繋がる援助。

最後まで読んでいただきありがとうございます。