要介護者の転倒の危険性を防ごう!自宅でできる転倒予防や対策をご紹介!

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narumi

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”転倒”は どこで起こることが一番多いと思いますか?

実は屋外ではなく、屋内の方が転倒の危険性が高いと言われています。

特に高齢者の方は屋内の中でも自宅で過ごす時間がとても長く、そのため自宅での転倒予防が非常に大切です。

また転倒は転んだ瞬間の「痛い」ではなく、転倒後の怪我や気持ちの変化が懸念されます。

今回は転倒によって起こる事例と、転倒予防の方法についてお話します。

近年の転倒事故についてと介護との関係

厚労省の発表によると65歳以上の高齢者の転倒・転落・墜落の死亡事故は年々増加しており、令和2年では8,851件発生しています。

これは交通事故の約4倍となり、ただの転倒と思って甘く見ていると大変なことになります。

さらにこの内の1,678件は自宅で起こった事故であり、この数字に驚いた方も多いのではないでしょうか。

また消費者庁のデータによると65歳以上の転倒の半数は自宅内で起こっています。

介護が必要になってしまった原因といえば《病気》が想像されますが、「骨折・転倒」が介護の原因となった割合は「認知症」「脳卒中」「高齢による衰弱」ときて、4番目の13.0%とかなり高い数字です。

たとえ死亡事故に至らなかったとしても、転倒や転落は介護に直接結びつく原因となる恐れがあり、自宅で起こる可能性の高さを考えると、自宅での転倒を予防することは非常に大切だと言えます。

転倒の危険性について

まず高齢者の転倒はなぜ起こってしまうのでしょうか。

理由は主に2つ挙げられます。

1つめの内的要因

内的要因とは加齢に伴う身体の変化のことです。

高齢になるにつれて筋力の低下、平衡感覚機能の低下、また視力の低下も考えられます。

場合によっては服用している薬の影響で、ふらつきやぼーっとしてしまう方もいらっしゃいます。

こういった内的要因の影響で、以前であれば起きなかった転倒につながる可能性がグンと上がります。

2つめの外的要因

外的要因とは自宅の中に必ず存在する段差です。

「家には大した段差はないから大丈夫」・・・と思っても安心できません。

数ミリの段差でも転倒のリスクがあり、その結果死に至る可能性があると言われています。

段差のほかにもスリッパ、カーペット、電化製品のコードなど、今まで気にしていなかったもの全てが転倒につながる恐れがあります。

それでは転倒してしまったらどうなるのでしょうか。

上記で死に至る可能性があるとお話しましたが、怪我をしてしまうだけでも十分なリスクがあるのが転倒の怖いところです。

若い方と比べて高齢者の方は転倒することで骨折のリスクが非常に高いといえます。

どの部分を骨折しても辛いですが、一番心配したいのは太ももに通っている骨である大腿骨の骨折です。

大腿骨は上半身を支えたり歩く上で非常に大切な骨で、骨折してしまった場合は多くの場合痛みで歩くことが難しくなります。

しばらくはベッド上で安静に過ごすこととなり、場合によってはその後寝たきりの生活につながってしまう可能性があるということです。

今まで認知症の心配もなく元気に過ごされていたとしても、大腿骨骨折で寝たきりの生活となりその後認知症が発症してしまう事例もあります。

転倒して特に怪我がなかったとしても、転倒した恐怖から歩くことが怖くなり、運動する機会が減る場合もあります。

その場合も同じように認知症のリスクや、運動機能の低下が心配されます。

だからこそ自宅での転倒予防は高齢者の方が自宅で過ごす上で見逃すことのできないポイントとなっています。

自宅でできる転倒予防

それでは転倒を意識した自宅での予防・対策をお伝えします。

身体機能低下を防ぐ運動

まずは少しでもいいので歩くことです。

日中テレビを観たりして、ずっと座って1日を過ごすなんてことしていませんか?

座って過ごすだけではなく、いつもより少し意識して立ったり座ったり、歩いて何かを取りに行ったり少しでも良いので動いてみましょう。

自宅で歩くにはスペースの問題で難しいこともあるかもしれませんが、その時は家の近くを軽く散歩することで運動機能の低下だけでなく、脳の活性化にもつながります。

もっと元気な方はラジオ体操をすることで上半身の筋力維持にもなります。

膝や脚の痛みで歩くことが難しい方は、ベッドの柵や椅子の背もたれを持ったりして足踏みを行うだけでも違いがあります。

無理のない範囲で自宅でのトレーニングを日常に取り入れましょう。

室内の段差解消を行いましょう

先ほど数ミリの段差でも転倒のリスクはあると伝えましたが、数ミリは難しくても数センチの段差の解消は簡単です。

段差解消をしたい箇所に室内用のスロープを置くだけで工事は必要ありません。

介護認定を受けており介護保険を使うことができる方は、1割〜3割負担でレンタル商品として使用できます。

もし介護認定を受けていなかったり購入したいという方も、高価でないため自宅に取り入れやすい段差解消アイテムです。

置き型や突っ張り型手すりを設置しましょう

 

自宅の中でもリビングや寝室は、起き上がり立ち上がりの動作が多く、これらは大きな動作のため転倒のリスクも高くなります。

ただ手すりというのは本来壁に取り付けるもので、取り付けることができるスペースというのは限られてしまいます。

そこで活躍するのが置き型の手すりと突っ張り型の手すりです。

この二つは置いたり突っ張ったりするだけで、手すりとしての機能を発揮します。

つまり場所を選ぶことなく、手すりの欲しい場所に設置することができる優れものです。

形やサイズも様々で、コの字型であったり、高さのあるものから低いものまでさまざまな種類があります。

蓄光テープが貼ってあることで、夜中トイレに行きたい時でも手すりを見失わないようになっているものもあります。

突っ張り型だと床から天井まで手すりがあるので、起き上がりの動作の際に活躍します。

介護保険を使用できる方はレンタル価格で利用できる福祉用具です。

しかしこれは介護保険を使用しない場合、高価な商品になることがデメリットです。

浴室に手すりを設置しましょう

先ほど紹介した置き型や突っ張り型の手すりは浴室に置くことは難しい場合が多いです。

上の画像のような浴槽の淵に取り付けるレンタルできる手すりもありますが、手すりの設置箇所は限られてしまいます。

その場合は住宅改修で手すりを取り付けることになります。

制限がありますが、介護保険はレンタルだけではなく住宅改修でも使用できます。

条件は以下の通りです。

・原則1人1回まで

・本人が自宅に住んでいる

・介護保険による支給額は20万円まで(費用が20万円の場合自己負担額は2万円となり、18万円が介護保険からの支給となる)

最近はお風呂に手すりがついている家も増えてきましたが、高齢者の方の自宅は古い家も多くまだまだ浴室に手すりがついておらず、危険な場合があります。

住宅改修はお金がかかるため今まで検討できなかった方も、この介護保険の制度を使用することで少し前向きに住宅改修を考えられるのではないでしょうか。

転倒予防のための介護保険を使った福祉用具の取り入れ方

では、どのように福祉用具を取り入れるのか、その方法をご紹介します。

レンタルの場合

まずはケアマネージャーに相談しましょう。

自身の身体の状態を理解してくれているケアマネージャーであれば、安心してお願いすることができます。

その後数ある商品の中から自分に合ったものを選び、福祉用具業者に設置してもらいます。

自宅に届いたからといってそこで終了ではなく、不具合が起きる場合もあります。

何かあれば福祉用具業者に連絡し、メンテナンスを怠らず安全に使用しましょう。

住宅改修の場合

レンタルの時と同じように、まずはケアマネージャーに相談となります。

申請書類と見積書を保険者に提出する必要があり、適切な住宅改修かどうか認められた後に、施工開始することができます。

ただし厚生労働省より2018年から一社からの見積もりではなく、複数社から見積もりをとる”相見積もり”が通達されました。

その結果ケアマネージャーから利用者の方に相見積もりが必要であることが説明されます。

住宅改修する上で必須条件ではありませんが、複数社から見積もりをもらうことで自己負担額が減る可能性もあります。

ここもケアマネージャーに相談するポイントとして忘れないようにしましょう。

まとめ

・屋外ではなく屋内の方が転倒の危険性が高い。

・転倒には内的要因と外的要因の2つがある。

・転倒により大腿骨を骨折してしまった場合寝たきりの生活となる可能性もあり、転倒予防は非常に大切。

・怪我をしなかった場合でも、転倒してしまった恐怖から歩くことにネガティブになりそのまま歩行困難となってしまう恐れがある。

・自宅でできる転倒予防としてなによりもまず歩行や簡単な運動が大切。

・少しの段差でも転倒につながるので、室内スロープを置いて段差解消を行う。

・介護保険が使える方は置き型や突っ張り型手すりを設置し、転倒予防を行う。

・置き型や突っ張り型手すりの設置が難しい浴室には、介護保険を使用し住宅改修を行って手すりを設置することを検討する。

・いかなる手すりの設置にも、まずはケアマネージャーに相談する。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。