特別養護老人保健施設にスムーズに入る為の工夫とは?待機時期にできることもご紹介!

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narumi

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昨今《特養》というワードがかなり聞かれるようになり、社会に浸透してきました。

ただ入居施設の中では低価格で利用できることから、入居待ちをしている方も非常に多くいらっしゃいます。

家族の方もいつ入居できるのか分からないまま、不安な中日々一生懸命に介護されている方も多いのではないでしょうか。

その不安を少しでも払拭するために、今回は特養にスムーズに入居するための方法はあるのか?入居の待機期間にできることはあるか?などをお伝えします。

《特養》の特徴とは?



《特養》とは特別養護老人ホームの略で、文字通り生活のサポートが必要になった高齢者の方が安心して暮らせるための施設です。

公的な施設のため入居施設の中では低価格で利用できます。

病気による入院や特別な事情がない限りは基本的に入居されると最期を特養で迎えられることがほとんどです。

ちなみに同じく入居施設の老人保健施設は自宅で健康に過ごす在宅復帰が目的のため、原則3か月限定の入居となります。

有料老人ホーム等の施設と、どの程度価格の面で違いがあるのかご説明します。

価格

まず大きな違いは特養に入居する際に支払う入居金が必要ないことです

有料老人ホームであれば築年数やサービス体制などで差はありますが、低いところで0円、高いところで数百万必要となってきます。

また同じく入居施設であるグループホームと比較するとこちらは少し安く0円~百万程です。

ただグループホームは認知症と医師に診断されることが入居条件になるので、入居できる方が絞られます。

では月額料金を比較するとどうでしょうか。

特養の場合はその時の所得によって個人差があるのですが、基本的にどんな所得状況であっても15万円程あれば1か月利用することができます。

しかし有料老人ホームは最低でも15万円~となることが多いです。

施設が新しかったり、サービスが充実している有料老人ホームであれば、30万円近く必要となるケースもあります。

これに加えて、特養であっても有料老人ホームであっても、病院での治療費や美容室代、季節のイベント代などが別途必要となります。

数か月の入居であればなんとか有料老人ホームで頑張れたとしても、最期までとなると月にかかってくるお金は検討したいところ。

これが特養の入居待ちが多い所以です。

入居条件

特養に入居するには原則要介護3以上あり、65歳以上であることなど、いくつか条件があります。

ただし64歳以下であっても特定疾病を持っている方は入居することができます。

また特養入居中に要介護2や1に下がってしまった場合、退所になることはありませんので安心してください。

特養の入居待ち問題

特養は入居条件を設けているとはいえ、かなり多くの方が入居待ちをしています。

これは社会問題となっており《特養の入居待ち問題》と言われています。

厚生労働省の調査によると、令和元年の段階で29.2万人が特養の入居待ちをしている状況だということです。

2015年の介護保険法改正により入所条件が要介護3以上と制限されたので待機人数は減りましたが、まだまだ入居待ちをしている方がかなり多くいます。

色々な条件がそろえば比較的スムーズに入居できる場合もありますが、長い方だと年単位で待っている方もいらっしゃいます。

どういった状況であればスムーズに入居することが可能かをご説明します。

《特養》にスムーズに入居する条件とは?

特養にスムーズに入るためには、以下の事柄に気を付けることが重要です。

①ケアマネージャーに状況を詳細に伝える

一番大切なのは身近なサポーターであるケアマネージャーに今の介護の状況についてしっかりと伝えることです。

例えば認知症の症状が強く介護が辛くなっている、寝たきり状態なので介護者の身体に負担がかかっているなどです。

ケアマネージャーは特養の相談員と関わることも多いので、情報をたくさん持っています。

今の状況をケアマネージャーに伝えておくことで、待機期間が少なく入居できるチャンスがあるかもしれません。

②特養の入所申込書をしっかり記入する

特養に入居したいと思った場合、まずは入所申込書を記入し提出する必要があります。

入所申込書を提出し、その後数多くいる待機者の中から選ばれるまで待機期間となります。

入所決定となる順番は早い者勝ちではなく、ご本人や介護者の状況によって優先度は変わってくるのです。

特養の入居待ちをしている方は、日ごろ要介護3以上の方を介護しています。

皆さん介護に疲れていたり、何か理由があって特養に入居してほしいと思って申し込みしていますので、同じような状況の方が多くいらっしゃいます。

その中で他の方と差をつけるために特養の入所申込書をしっかりと埋めて、今の状況をきちんと理解してもらいましょう。

嘘をつくことはしてはいけませんが、謙虚に記入する必要はありません。

③複数の特養に申し込みしておく

特養の申し込みは1施設ではなく、複数申し込むことが可能です。

複数というのは申込みの地域によって変わります。

例えば横浜市だと5施設までと決められていますし、特に制限を設けない地域もあります。

申込み予定の地域はどのようになっているのか確認しておきましょう。

また複数の特養に申込みをしたあと無事特養への入居が決定した場合は、申込みをおこなった全ての施設へ必ず入所したことを伝えておきましょう。

④ショートステイの連続利用を検討する

原則ショートステイは基本的に2泊3日や長くても2週間ほどの利用ですが、状況によってはショートステイを長期間利用することもできます。

これをショートステイの”ロング”と呼びます。

ロング利用することによって、特養にそのまま入居できるケースがあります。

ただしロング利用するにはいくつか条件があるので注意しましょう。

まずショートステイはあくまで”ショート”ですので、31日目の利用日は介護保険の利用ができません。

31日目は完全に自費となり、そして再び1日目から30日目までは、介護保険の利用、31日目が自費というローテーションとなります。

自費の日がある分、1か月の請求額は上がってきます。

もう1つの注意がそもそも空きがあるかどうかです。

ショートステイも人気の介護サービスですので、空きがない場合やロングの利用は難しいこともあります。

本人と介護者の状況などでやむを得ない場合は、ケアマネージャーと相談してショートステイのロング利用は可能かを検討してみましょう。

⑤ユニット型の施設を検討する

特養には従来型とユニット型があります。

従来型は多床室も多く入所している人数がかなり多いのが特徴です。

ユニット型は個室も多く少人数制であることが特徴です。

一見ユニット型に魅力を感じますが、ユニット型の方が費用が高くなってしまうのがデメリットです。

特養に入居する魅力はやはり価格の面でしょう。

ですのでユニット型の特養の方が入居待ちが少ないケースもあります。

必ずしもそうというわけではありませんが、利用料金が高くても早く入居したいと考える方は検討しましょう。

《特養》の待機期間中にできることは?

待機期間だからといって何もせず待っているのは少しもったいないかもしれません。

介護疲れを少しでも軽減するために工夫してみましょう。

①ショートステイやデイサービスを利用する

すでに利用している方も多くいらっしゃるでしょう。

先ほどショートステイのロング利用についてお話ししましたが、ロング利用でなくてもショートステイを利用することで、そこの施設の職員と顔見知りになることができます。

施設としても初めてお会いする方をお迎えするより、普段からADLや精神状態を理解している方をお迎えする方が安心です。

ショートステイ利用から特養に入所となる可能性もあります。

また特養に併設しているデイサービスを利用すると、上記と同じような流れになるケースも考えられます。

介護疲れの軽減ももちろんですが、こういった理由もショートステイやデイサービスを利用するメリットです。

②老人保健施設や有料老人ホームを利用する

これは直接特養の入所に繋がるわけではありません。

介護疲れ軽減のために検討してみましょう。

最期まで有料老人ホームを利用するとお金の面でかなりの負担となりますが、待機期間中の一時的な利用であれば可能だという方は有料老人ホームに連絡してください。

もし一時的であっても難しい方は老人保健施設、所謂《老健》の利用をケアマネージャーに相談しましょう。

ただし老健も人気施設であること、また原則3か月で一度退所となってしまうので気をつけてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

早く特養に入居したいのになかなか決定しなかったり、いつ入居できるのか分からず精神的にも不安になりますよね。

これを読んだ方が少しでも不安から解消されると幸いです。

以下、まとめになります。

・特養は入居金がいらず、月額の利用料金も入居施設の中では低価格で利用できる。

・特養には2015年より原則65歳以上の要介護3以上の利用条件が設定されている。

・令和元年の時点で特養の入居待ちは29.2万人となっており、状況によってはすぐの入居が難しい場合も多い。

・ケアマネージャーに今の状況をしっかりと説明し、施設の情報収集を行う。

・特養の申込みは地域によるが複数施設可能で、入所申込書を書く際は詳細に状況を記入する。

・ショートステイは原則一時的な利用であるが、状況によってはロング利用も可能であるのでケアマネージャーに相談する。

・従来型よりは少し利用料の高いユニット型を検討することで早く入居できるケースもある。

・待機期間はショートステイやデイサービスを利用することで、その施設の職員にADLや精神状態を理解してもらうことで入居に繋がるケースもある。

最後までお読みいただきましてありがとうございます。