Category

介護の基礎知識

  • 高齢者におすすめのインフォーマルなサービスとは?さまざまなサービスをご紹介!

    高齢化が進む中、多くの人は介護を必要とする状態になっても、可能な限り住み慣れた自宅や、地域での生活を希望する事が多いです。 しかし、単身世帯や高齢者のみの世帯増加もあり、行政や関係者の力だけではさまざまなニーズに対応する事に限界があります。    介護保険などの支援を受けている高齢者はもちろん、介護保険を受けていない高齢者高齢者が住み慣れた地域で生活を続けるにはインフォーマルな支援が重要です。 ここではオススメの社会資源や保険外サービスについて紹介します。 インフォーマルなサービスとは インフォーマルなサービスとは、公的機関や制度に基づく専門職によるサービス(フォーマルサービス)以外の支援の事をいいます。 インフォーマルサービスは家族や友人、地域住民、ボランティアなど制度に基づかない援助ですが、 補えない支援や住み慣れた地域と事情に応じた支援ができます。 インフォーマルの種類 ・家族や友人 ・ボランティア ・民生委員 ・商店 社会資源は、地域包括ケアシステムを基幹としたさまざまなサービスが誕生することにより、高齢者の細かなニーズに対応できる環境を整備することができます。    民間事業者が提供するサービスは全額自己負担ですが、法的規制が少なく公的サービスにない細やかなニーズに対応できるため、希望するサービスを受けることができます。 高齢者を取り巻く社会的問題 高齢者を取り巻く社会的問題として、独居による孤独死や買い物難民、認知症高齢者の増加などが問題となっています。 高齢者が住み慣れた自宅や地域で住み続けるうえでの困りごととして、日本能率協会総合研究所の「高齢者未充足ニーズ調査 2019年」の結果による高齢者の生活全般に関する代表的な困りごと57項目は以下のとおりです。 57項目の代表的な困りごと ・文章を読んでいて理解するのに時間がかる ・相手の言っていることが、すぐに理解できない ・何をしようとしたのか忘れる ・コンロの火の消し忘れが不安になる ・買い物に行っても必要なものを買い忘れる ・買い物がおっくうと感じる ・薄暗くなると段差が見えず怖い 等 このように、認知機能の低下や身体的変化が危惧されます。 インフォーマルサービスの一例 インフォーマルサービスには以下のようなものがあります。 ・病院や介護施設から帰宅するときの介助 ・民間企業による食事や入浴、排せつ介助や見守りなど ・声かけや傾聴ボランティアによる話し相手 ・地域サロン ・各種機関による電話相談 など インフォーマルサービスのメリットとデメリット インフォーマルサービスのメリットは、支援内容に縛りがないため、幅広い支援を受けられることです。 そのため、フォーマルサービスでは対応できないような細かいニーズを解消できます。 ボランティアなどが運営しているため、金銭的に厳しくないものも多いです。 しかし、フォーマルサービスのように専門性のあるサービや安定た支援を受けることができません。 また、インフォーマルサービスは全額負担になるため、サービス内容によっては、高額の介護費用がかかることがあります。 高齢者の悩みに寄り添ったITツールが必要不可欠 健康・福祉分野では健康づくりの総合的推進や持続可能な介護保険制度の運営、介護サービスの充実(介護離職ゼロの実現)、認知症高齢者支援施策の推進などが実施されています。 反面、インターネットによる情報収集やSNSなどコミュニケーションがオンラインでおこなわれるなか、高齢者の情報リテラシーの低さにより格差が生まれており、地域に取り残されている高齢者が増加しています。 高齢者におすすめのIT機器 身体的に不自由があっても、適したITツールを活用することで生活の困りごとを解消できます。 高齢者は身体的機能低下による活動範囲の縮小や認知機能低下により、コミュニケーションスキルに不安を感じているものです。 ここでは、高齢者自身が問題を解決出来るようスムーズに扱えるIT機器について紹介します。 音声で情報を入力できる Alexa Echo Show Echo Showは、15.6インチフルHDのディスプレイでビデオ通話ができるので、離れて暮らす高齢の家族をサポートが出来るだけでなくコミュニケーションを緊密にしてくれます。 そのほか、ウィジェット機能で、天気やメモ、買い物リスト、カレンダー、お気に入りのスマートホームなど、さまざまな情報をホーム画面に配置できます。 また、ビジュアルID機能にも対応しているので、自分だけにカスタマイズされた情報をチェックすることも可能です。 機能性だけでなく声をかけるだけであらゆる操作ができるので、機械の操作が苦手な高齢者世代でも直感的に使用できます。 見守りに活用 Echo Showは、呼びかけ機能やビデオ通話でいつでも実家とつながる事ができるので、安否確認・コミュニケーションツールとして活用できます。 セキュリティカメラを実家に設置しておけば、Echo Showシリーズのデバイスを介して、家族と会話できるだけでなく、モーション検知やライブ映像などの見守り機能を利用し転倒や徘徊などの早期発見ができます。 スケジュール管理 通院日や介護サービスなどの予定などの情報をひと目で確認できるよう、ホーム画面に表示するウィジェットを選択できます。 服薬を忘れてしまう高齢者に対して、Alexaに「朝食後に薬を飲む、をリマインドして」と声をかけると、薬の飲み忘れをしないように時間になったらリマインドしてくれます。 声掛けにより飲み物忘れを回避することが可能です。 買物や調理の準備をお手伝い 店舗先までの移動に不安があっても、Echo ShowがあればAmazonで買い物のサポートができます。 買い物忘れもAlexaなら、足りない材料を買い物リストに追加しておくことで買い物中にスマホのAlexaアプリで確認できたり、いつもAmazonで買っている常備品を声だけで再注文できます。 調理面でも冷蔵庫にある食材で献立に不安があっても、Alexaでクックパッドのレシピ検索を活用したり、Echo Show 15の大きな画面でレシピを見ながら調理できます。 スマートホームを一元管理 Alexaに対応する別売りのライト、エアコン、ロボット掃除機などのスマート家電やスマートリモコンを使えば、旧来のリモコン家電の多くがEcho Show で操作可能です。 対応するスマートホームデバイスをホーム画面に追加して手軽に操作できるだけでなく、それらすべてのデバイスをダッシュボードで一元管理することもできます。 そのため、ベッド上で過ごすことが多い寝たきりの高齢者でも、自室の環境を整える事が出来るので介護負担の軽減になります。 高齢者を支える地域の活動 地域のさまざまな生活課題に対して課題の把握から解決のため、関係機関や団体などと連携することで具体的な方向性を示すことができます。 認知症カフェ 認知症カフェには認知症を患っている方だけでなく、そのご家族の方や地域の方など誰でも参加できる場所で、「オレンジカフェ」と呼ばれることもあります。 認知症カフェは認知症の方々が触れ合うだけでなく、専門家に相談することや、地域の方々と情報交換をする場です。 参加費用は数百円であることが多いので、金銭的な負担はあまりありません。 認知症カフェの開催日は地域によって異なるため、各自治体のHPなどで調べてみるとよいでしょう。 食事の宅配サービス 近年では食事の宅配サービスが増えてきました。 食事配達サービスを利用することで、食事を準備することや片づけをしなくてよくなります。 介護の必要な家族の負担軽減だけでなく、高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯にもおすすめのサービスです。 企業シャトルバスやスクールバスを活用したコミュニティバス事業 コミュニティバス事業は、公共交通空白地の地域住民の移動手段の確保として活用できます。 高齢に伴い免許を返納した方や、路線の削減や廃線により通院や買物などの移動手段が困難になっている方は大勢います。 次世代モビリティとして企業のシャトルバスやスクールバスとして活用されている車両に一般利用者が混乗することで、移動に係る問題の解決と利便性の充実を図れます。 また、タクシーを利用する場合、配車アプリと併せて活用する事によって、出先でも正確な乗車位置を伝える事ができ、目的地までの乗車料金や距離が把握できるため、予定や予算などの心配がなく使用できます。 生活支援コーディネーター 生活支援コーディネーターは、高齢者やその家族が暮らしやすい環境を実現するために、地域の方々と支え合う仕組みを考え、課題解決をします。 生活支援コーディネーターの役割として生活支援ニーズの把握をしたり、地域でボランティアとして活動する方の養成や支援を行うほか、高齢者自身がこれまでの経験を活かし地域を支えてくれる支援のマッチングなどインフォーマルな取り組みを繋げてくれます。 まとめ インフォーマルなサービスは介護保険制度のルールに縛られることなく、介護保険対象者以外の方も利用することができます。 高齢化が進む中で、専門職による人材不足が懸念される中、自由にサービスを選択できるインフォーマルにも目を向け、高齢者自身が活用できるIT機器を活用することで生活レベルは大きく変化するでしょう。 制度の中でできる、できないにこだわるのではなく、自分の地域に地域になにがあるのかを把握すると共に各地域の情報を参考に地域特性に応じたインフォーマルを作り出すことが重要です。 上記に記載したものだけでなく、さまざまなサービスがありますので、興味のある方は一度調べてみることをおすすめします。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • レクリエーションの目的とは?効果的なレクレーションを取り入れて生活に活力を!

    介護施設では必ずと言っていいほど一日のスケジュールの中に「レクリエーション」の時間が組み込まれています。 介護にとって身近なレクリエーションですが、楽しめるということは勿論、得られる効果は様々です。 今回はレクリエーションの目的と、効果的に行うための注意点についてご紹介します。 レクリエーションの目的って? レクレーションには3つの目的があると言われています。 ただ参加するのではなく、得られる効果や目的を意識して行いましょう。 ①身体機能の維持や向上が期待できる 介護施設を利用する方のみならず、どんな方でも少なからず年をとるにつれて身体機能は低下していきます。 例えば転びやすくなったり、着脱や入浴など生活の動作が難しくなったりしていくのです。 介護施設で働いていると、転倒やケガを恐れて今まで気軽に外出していた方の行動範囲が狭くなってしまうという話はよく耳にします。 そういった方の運動の機会は日常生活の動作のみとなりますが、その運動量だけでは十分とは言えません。 さらに身体への影響だけではなく、運動量の低下で精神的なストレスとなる可能性も考えられます。 また今は日常生活に支障なく過ごせている方でも今後は分かりません。 そこで必要となるのが介護施設で行う運動や体操です。 身体を動かすレクリエーションの主な目的は、日常生活のサポートや運動機能低下の予防となります。 低下してきている身体機能を今以上に落ちないようにしたり、より向上したりする効果が期待できます。 ②脳の活性化につながる 運動することで身体だけでなく脳の活性化にもつながります。 身体を動かすと「筋肉を動かす」という命令が脳から神経を通って筋肉へ、さらに筋肉から脳へ信号が発信されます。 つまり筋肉と脳は密接な関係にあり、「運動する」ということは認知症の予防や改善に効果があるということです。 また運動のレクリエーションだけではなく、オセロや麻雀、塗り絵やクイズなどそういった活動も脳の活性化につながります。 笑ったり、大きな声を出したりすると認知症の予防にも効果的です。 ③コミュニケーションの場となる 個人で行うものもあれば、皆で一緒に参加できるものも多いレクリエーションもあります。 チーム戦で勝利するために協力したり、話をしながら一緒に間違い探しをしたりなどコミュニケーションをとる機会が多々取り入れることが可能です。 普段はあまり会話をされなくても、レクリエーションでゲームをする時だけは明るく笑顔を見せてくださる方もいらっしゃいます。 1人暮らしをしている方はどうしても他の人と話したり笑ったりする機会は少ないですよね。 また家族と暮らしている方でも家族だけとコミュニケーションをとるのではなく、いつもと違った人と会話をすることも大切です。 交流の場があることで前向きでポジティブになれることがレクリエーションの魅力です。 レクリエーションの内容は? レクリエーションを行うときには、目的に合わせて決めることも大切です。 ①個人のレクリエーション 塗り絵や間違い探しなど1人でも楽しめるレクリエーションのことです。 話すことが苦手だったり、できなかったりする方でも行えるのが利点です。 利用者の方の中に本当に上手に絵を描かれる方がいらっしゃって、聞くと昔は絵を描くことを趣味としていたようです。 そのうち趣味を再開して自宅で描いた絵を持ってきてくださるようになりました。 ただ楽しむだけでなく、過去のことを思い出しながら行うことでより脳の活性化につながります。 ②集団のレクリエーション スプーンリレーや棒サッカーなど皆で協力して行うレクリエーションです。 個人戦も良いですがチーム戦にすることで非常に盛り上がり、得られる効果も大きくなります。 もし参加することが難しくても、観戦で応援して一緒に盛り上がれることができるので一丸となって楽しめます。 どうやったら勝てるのか頭や身体を使ったり、応援のため大きな声を出したりするので心身ともに効果があります。 ③運動のレクリエーション デイサービスなどでよく目にする運動マシンをつかった活動です。 理学療法士や機能訓練指導員の元、適切に身体を使って運動機能の維持や向上を目指します。 日常生活の動作とは全く違う動きができるので、運動不足を感じている方もここで補えます。 ④外出のレクリエーション 付近の公園で季節の花を見たり、普段行かない場所に買い物に行ったりするレクリエーションです。 いつも屋内で過ごすのではなく屋外に出ることでリフレッシュできるため楽しみにする方も多くいます。 また自身の足では外出が難しい方にとっては介護スタッフが一緒なので安心して参加できます。 以前外出レクリエーションで紫陽花を見に行ったことで、外に出ることに対して前向きになった利用者の方がいらっしゃいました。 その後その方は最寄りのコンサートを見に行かれて、会場で友人をつくったという話を聞かせてくださいました。 レクリエーションの結果、運動や脳の活性化だけでなく、外出できるきっかけになることもあります。 こんなレクリエーションを行うデイサービスも!? スリーA「予防ディサービス 折り梅」 「スリーA」とは「あかるく、あたまをつかって、あきらめない」の頭文字から来ている言葉です。 「予防ディサービス 折り梅」では、そんなスリーAを意識したサービスを展開されています。 こちらは静岡県内の病院で看護師長として勤務されていた増田未知子氏が立ち上げた施設です。 認知症の進行を食い止めることだけでなく、今よりさらに良い状態になれることを目指しており、楽しく認知症予防に取り組めるようになっています。 さらには毎月第二水曜日に介護保険の有無にかかわらず、付近に住む方たちが気軽に参加できる「さわやか教室」を開催し、スリーA方式のリハビリで認知症予防を行っています。 カジノ型デイサービス「ラスベガス」 東京を中心に全国に展開している「ラスベガス」というデイサービスがあります。 介護施設らしくない黒のミニバンで送迎し、施設内では機能訓練や食事だけでなく、麻雀やパチンコも楽しめます。 運動したりゲームに勝ったりすると「ベガス」と呼ばれる仮想通貨が得られ、まるで本当のラスベガスで遊んでいるようなデイサービスです。 しかし機能訓練の時間もしっかりと設けられていて、デイサービスとしての機能も十分発揮しています。 このような施設はここだけでなく全国で増加しており、楽しんで通うことでより効果を得られます。 レクリエーションの注意点は? ①無理に参加させない 麻痺などで参加が難しい方は勿論ですが、精神的に参加したくない方もいます。 ご家族からなるべく参加するようお願いされている場合を除き、無理矢理に参加させるのは逆効果です。 それにより怒ってしまったり、デイサービスの場合利用中止になってしまう可能性もゼロではありません。 その方の表情を見て参加をお願いしましょう。 ②トラブルが起きないように注意する 「ズルをした」「負けて悔しい」などがきっかけでトラブルに繋がるケースを目にしたことがあります。 ゲームのレクリエーションは盛り上がるのですが、利用者の方によっては本気になりすぎてケンカとなる場合もあります。 そういったトラブルが起きないように相性を考えながらチームを組んだり、職員は盛り上げつつも注意して進行したりすることが大切です。 万が一トラブルとなってしまった場合は、職員が間に入って話を聞いたり、他のことに意識がうつるように会話の内容を変えたりしましょう。 ③ケガには十分気をつける レクリエーションは日常生活とは違った動きをすることも多いです。 転倒やケガなどには気をつけて行ってください。 特にゲームや外出をする場合は、本番を行う前に職員同士で実践したり、想像できる危険性を話し合ったりすると良いでしょう。 ④マイナスな評価はしない 利用者の方の意欲を削ぐような発言は控えましょう。 例えば絵であれば「この花はこんな色じゃない」「塗り絵の色がはみ出ている」など評価する必要はありません。 レクリエーションは楽しむため、心身機能のために行っていることを忘れずにいてください。 利用者の方がポジティブな気持ちで楽しめるよう職員はサポートすることに努めましょう。 ⑤大きな声でハッキリ明るく進める ゲームなどを進行する際は大きな声でゆっくりと分かりやすく、そして明るく行いましょう。 私たちでもテーマパークなどの進行係の方が楽しく進めてくれると、気分がのってより楽しめます。 それと同じように利用者の方の気分を盛り上げることが大切です。 また中には聴力の弱い方もいるので、全員が平等に参加できるように進行しましょう。 まとめ この記事では、レクリエーションの目的や効果、注意点などについて解説しました。 ・レクリエーションの目的は「身体機能の維持や向上」「脳の活性化につながる」「コミュニケーションの場となる」の3つである。 ・コミュニケーションの苦手な方にとって塗り絵などの個人のレクリエーションは良い。 ・ゲームで協力して盛り上がることで脳の活性化につながる。 ・専門職員指導のもと日常生活とは違った運動で行うことで、身体機能の維持や向上に期待ができる。 ・普段外出のできない方でも外出レクリエーションは、安心して参加でき、気持ちのリフレッシュにもなる。 ・無理矢理参加させることはしない。 ・利用者間でトラブルが起きないように職員は注意する。 ・日常とは違う動きとなる可能性もあるので安全に行う。 ・楽しんで行うことが大切なのでマイナスな評価はしないようにする。 ・大きな声でハッキリと明るく進行して、全員が楽しめるようにサポートする。 最後までご覧いただきありがとうございました。

  • 介護の調査訪問とは?家族が準備するためのチェックポイントを解説

    家族に介護が必要な状況となり、「初めて認定調査を受けることになった」という方は、何が必要か分からず不安でいっぱいではないでしょうか。 認定調査は介護者と要介護者にとって非常に大切なものです。 今回は認定調査を受けるにあたって、必要なものや当日スムーズに行えるように事前に準備しておくと良いものをご紹介します。 「認定調査」について では認定調査とはどのようなものなのかを解説します。 認定調査とは? 認定調査とは要介護申請後に申請を受けた市区町村が訪問員を派遣し、要介護者がどの程度自立しているのかを調査することです。 認定調査の聞き取り先は本人と立ち会っている家族や施設の方になります。 これは要介護認定を受けるには必ず必要なことで、デイサービスやヘルパーなどの介護サービスを利用したい方にとって認定調査は必須です。 認定調査を受けるためには? 認定調査を受ける前に、まず市区町村へ要介護認定の申請を行うことが必要です。 要介護認定に必要なものは以下の通りです。 ・申請書(市区町村の窓口またはホームページよりダウンロード可能です) ・マイナンバーカードまたは通知書 ・介護保険被保険者証(65歳以上) ・健康保険被保険者証(64歳以下) ただし、各市町村によって必要なものが異なる場合があるので、事前に役所のホームページなどで確認しておくようにしましょう。 また、かかりつけ医がいる方はその診察券も用意しておくようにしてください。 また認定調査と並行して、市区町村から要介護者のかかりつけ医に「主治医の意見書」を作成するように申し入れがあります。 主治医の意見書とは要介護者の既往歴など、介護するにあたって重要な情報が記載されている大切な書類のことです。 市区町村からかかりつけ医へ依頼されますが、事前に病院へ相談しておくとスムーズですので可能であれば前もって打診しておきましょう。 かかりつけ医がいない要介護者は市区町村が指定した医師を受診することになります。 認定調査の内容とは? 認定調査の所要時間は30分~1時間程度で、74項目を対象に要介護者の普段の様子や困りごとについて調査します。 74項目の調査内容は以下の5つの分野に分かれます。 ①身体機能、起居動作・・・立位、座位が保てるか、麻痺があるかどうかなど ②生活機能・・・食事や入浴、排泄が可能かなど ③認知機能・・・生年月日や短期記憶、意思の伝達が可能かなど ④精神、行動障害・・・被害的な思考ではないか、情緒が安定しているかなど ⑤社会への適応・・・簡単な調理が可能か、薬や金銭の管理が可能かなど これは一部を抜粋したもので全てではありません。 実際の調査はさらに詳細な内容になります。 「認定調査」を受ける前に準備しておくことは? 74項目と聞くと、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その不安から認定調査が終わった後に言い残しや聞き残しがないようにすることが大切です。 当日スムーズに進むように5つのポイントに分けて、事前に準備しておくと良いことをお話します。 ①普段の様子を理解しておく どんな時に介護のサポートが必要だと感じたのかということです。 食事なのか入浴なのか、外出先でなのか都度メモをしておいてください。 徘徊や会話の受け答えが以前と違うと感じた介護者は、動画や写真に残すのも良いでしょう。 特に介護度が低い場合は、初対面の調査員にとってどの程度介護が必要だと理解するのは難しいです。 麻痺があったり、不穏であったり明らかに介護が必要な方であれば、分かりやすいのですが、明るく出迎え、自分で歩行ができている様子を見ると「しっかりしている」という第一印象を受けます。 調査の短い時間の中で、症状が出るとは限りません。 ですので普段の様子をありのまま伝えることはとても大切です。 ②介護者の困りごとを確認しておく 普段の様子を踏まえ、介護者がどんなことで困っているのかを調査員に伝えましょう。 勿論調査対象となるのは要介護者ですが、介護者がどのようなことで困っているのかを伝えることも大切です。 また介護者である家族の住まいが遠方であったり、自身にも体調に問題があったりと介護をすることが難しい方もいます。 介護者の置かれている状況も併せて説明しましょう。 ③認定調査の項目を把握しておく 74項目を記憶する必要はありませんが、当日回答に困らないために調査項目に目を通しておきましょう。 普段の生活で意識していなかったことや、調査項目を見ることで思い出す困りごともあるかもしれません。 ④要介護者に聞かれたくないことはメモで伝える 例えば認知機能の低下により介護が必要だと介護者が判断していた場合、「認知症の可能性がある」と心配していることを要介護者の耳に入れたくない方も多いです。 困っている事実を伝えたくても、要介護者の前で初対面の調査員にありのままを伝えることに抵抗を感じる介護者もいるでしょう。 その時は要介護者から少し離れた場所で会話したり、メモを使って伝えてみたりしましょう。 ⑤病気や怪我なども伝え漏れがないようにする 主治医の意見書があってもそこに全ての既往歴が記載されているとは限りません。 また長年のかかりつけ医が作成した場合ではなく、市区町村が指定した病院で主治医を作成した場合は漏れがある可能性もあります。 些細なことでも良いのでしっかりと伝えましょう。 「認定調査」で気をつけたいこと 認定調査で決定される介護度はとても重要です。 介護度によって受けることができる介護サービスに制限があったり、介護保険を利用できる額も変わってきます。 調査員に適切な判断をしてもらえず実際の介護度より低く判定されてしまった場合、介護者にとっては大きな負担となりかねませんので注意が必要です。 ここでは特に気をつけたい点を2つご紹介します。 ①認定調査にはなるべく立ち合いましょう すでに入所をしていて施設で認定調査を受ける場合はそこの施設職員が立ち合うことが多いですが、自宅で受ける場合は要介護者本人1人で受けることができます。 遠方であったり、やむを得ない都合でどうしても難しい場合を除き、認定調査には必ず立ち合ってください。 認定調査に立ち会う人数に制限は基本的にありません。 様々な目線から調査員に現状を伝えましょう。 立ち合いが必要な理由を例として挙げると、初対面の方やお客さんを前にすると普段よりハキハキと話すことができたり、調子が良くなったりするという話を耳にしたことはありませんでしょうか? また歩行にふらつきのある方が認定調査の際にしっかり歩いてまるで別人のようになるなどは聞いたことがありますよね。 調査員に「何でもできる方だ」と判断されてしまうことを避けるために、本人1人だけで認定調査を受けることはなるべく避けましょう。 また先ほど話した通り、介護者や家族の立場から困っていることを伝える必要もあります。 ②「認定調査」について要介護者にどのように伝えるか 後期高齢者であったり、自覚症状が強くある方は「介護サービスを日常に取り入れよう」と言われても抵抗なく受け入れられるかもしれません。 しかしまだ60代、70代で周りに介護を受けている人が少ない年齢の方や、自覚症状のない方はいきなり「介護」と言われると受け入れ難いものです。 そのような方に「介護サービスを使ってほしいから認定調査を受けよう」と伝えるとどうでしょうか。 調査員が訪問しても普段の姿で認定調査が受けられなかったり、頑張ってしまったり、そもそも認定調査を受けてくれない可能性もあります。 ですので「認定調査を受けよう」ではなく、「市から健康調査のために調査員が来る」というような直接的な表現を避けて要介護者の自尊心を傷つけないように配慮しましょう。 このような表現を要介護者にすることで、嘘をついているような感覚になり罪悪感のある方もいます。 そのような場合は要介護者と向き合い、介護者自身が困っていることや協力してほしいことを本人に伝えてみましょう。 気持ちが上手く伝われば要介護者、介護者両者ともに積極的に認定調査を受けることができます。 まとめ いかがでしたでしょうか。 初めての認定調査で分からないことも多く緊張してしまいますが、要介護者本人がなるべく普段通りの様子でいることが一番大切です。 適切な判断をしてもらえるように立ち会う方はサポートに努めましょう。 ・要介護認定を受けるために認定調査は必須で、申請した市区町村から調査員が訪問する。 ・かかりつけ医がいる方は事前に打診しておくと主治医の意見書をスムーズに作成できる。 ・認定調査では74項目の質問をされて、およそ30分~1時間の時間を要する。 ・要介護者の普段の様子を理解しておき、メモや動画などに残すことが良い。 ・介護者の立場から困っていることをメモしておく。 ・認定調査の当日に焦りがないように調査項目には目を通しておく。 ・要介護者に聞かれたくないが、調査員に伝えたいことはメモに書いて渡す。 ・主治医の意見書だけでは不十分な場合もあるので、既往歴や身体で心配のある部分は伝える。 ・要介護者1人だけで認定調査を受けることも可能だが、普段と違う振る舞いをしてしまう恐れもあるので可能な限り調査には立ち会う。 ・「介護」というワードから認定調査に構えてしまう要介護者には直接的な表現は避ける。 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • 介護保険で住宅改修をしよう!改修箇所別のポイントを解説!

    高齢者の暮らしを支える住宅改修。 有効に使って、要介護者も介護する人も共に暮らしやすいようにしたいですよね。  介護保険での住宅改修ができるのは下記の5箇所と決まっています。 手すりの取り付け 段差解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のためのまたは通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え これから、それぞれのポイントや注意点を紹介します。   手すりの取り付け 介護保険の住宅改修でもっとも工事件数が多いのが、手すりの取り付けです。 手すりは、歩行や立ち上がりの補助をする働きがあります。 そんな手すりですが、たくさん取り付けても意味がありません。 邪魔になって通路が狭くなったり、使わない可能性があるからです。 生活動線や本人の能力を考慮したうえで、手すりを取り付けるようにしましょう。   手すりの役割  手すりの役割は、以下のようなものがあります。 立ち上がりの補助 歩行の補助や誘導  それぞれ、詳しく紹介していきます。  立ち上がりの補助 加齢とともに筋力が落ちて、立ち上がりに時間がかかったり、1人でできなくなりがちです。 そうなると、誰かの手助けが必要になって、介護の負担が増えることになってしまいます。 しかし、すりにつかまれば、立ち上がりが楽にできるようになります。 手すりが、立ち上がりを助けてくれるからです。 たとえば、トイレの壁に手すりを取り付けた場合には、手すりにつかまってスムーズに立ち上がることができます。  1人で立ち上がりができるようになるためにも、介護負担が増えないためにも、補助をしてくれる手すりの取り付けが重要です。  歩行の補助や誘導  加齢とともに落ちるのは、筋力だけではありません。 バランス能力も低くなってふらつきが多くなり、転びやすい状態になります。  壁に手すりを取り付けることで、転ばずに歩くことができます。 手すりが、ふらつかずにバランスをとる支えになるからです。 例えば、夜中にトイレに行きたくなると、トイレまで移動するために暗い場所を歩かなくてはなりません。 そんな時に廊下にに手すりがあることで、移動を助けてくれたり、誘導してくれるので、転ばずに歩くことができます。 転ばずに目的地まで歩くためにも、手すりの取り付けが重要になります。  手すりの種類  手すりには、大きくわけて、5種類あります。  横手すり 縦手すり(I型) L字型 階段用 据え置き型  しかし、どのタイプを取り付ければいいのか迷ってしまいがちです。 それぞれ、どんな時に使用するのか、詳しく解説します。  横手すり  横手すりは、地面に対して水平に取り付ける手すりで、もっとも一般的なタイプです。 つかまって移動する時に使用できるため、廊下や玄関への取り付けが多くみられます。   縦手すり(I型)  縦手すりは、地面に対して垂直に取り付ける手すりです。 段差を上がる時や立ち上がりの時の補助になるので、玄関やトイレに取り付けることが多いタイプになります。  L字型  L字型の手すりは、横手すりと縦手すりが一体化したものです。 立ち上がりと立位保持の手助けをするので、トイレや浴室に取り付けることが多くみられます。  階段用  階段用の手すりは、階段の昇り降りを補助する手すりです。 両側にとりつけることが望ましいですが、片側だけの時は降りる時の利き手側に取り付けるようにしましょう。 しかし高齢者は自室を1階にしていることが多いため、使用する頻度が少ないです。  据え置き型  床に置いて使用するタイプの手すりです。 手すりを取り付けることができない場所にも置くことができます。 工事を必要としないため、住宅改修での対応はできません。 福祉用具貸与での対応になります。  段差の解消 次に、段差の解消です。 対象は、自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差になります。 電力で稼働する段差昇降機や工事を伴わないスロープは、福祉用具貸与の対象外になりますので注意しましょう。  それでは、場所別に解説していきます。  玄関  玄関の上がりかまちは、高齢者にとって大きな障害です。 特に日本家屋は段差が高く、上がるのが大変だからです。 工事としては式台の設置が行われますが、工事を伴わない場合は、介護保険の対象外になります。  駐車場  高齢者にとって屋外の移動は段差も多く、転倒のリスクが高くなります。 筋力やバランス能力など、身体機能が低下しているからです。  たとえば、病院に行く時など外出の際には、駐車場に移動する必要があります。 駐車場までに段差など障害がある時は、スロープを設置したり、階段の段数を増やして、一段ごとの高さを低くすることができます。 敷居 若い人にとってなんともない少しの段差でも、高齢者にとっては転ぶ要因になります。 敷居などは取り外すことが難しいので、小さなスロープを取り付けて段差を解消します。 この時、1/4〜1/5の勾配にすることがポイントです。   滑りの防止及び移動の円滑等のための床または通路面の材料の変更 床などの通路は素材によっては、滑りやすく転倒しやすい要因になっています。 材料を変更することで、転倒予防を図ることができるのです。 もしくは、畳やカーペットでは車椅子の運びが悪いため材料を変更することで、移動をしやすくなります。  ただし、生活動線以外の工事や老朽化によるものは、対象外ですので注意してください。 引き戸等への扉の取替え [caption id="attachment_1295" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 日本の玄関は、「開き戸」が多く使われています。 しかし、「開き戸」は、筋力が低下した人にとっては、開け閉めがつらいものになります。 扉の開け閉め時に、扉の開きしろを考慮するため、筋力やバランスが必要になるからです。 そこで、「引き戸」にすることで、扉の開きしろを気にせずに開け閉めができます。  ちなみに、ドアノブをレバー型に変更することも、住宅改修の対象です。 ただし、扉の老朽化といった交換は、対象外になっています。   洋式便器への取替え 洋式便器への取替えは、和式便器を洋式便器に取り替える場合が一般的に想定されています。 その他、どういった工事が対象になるのか、紹介します。  和式便器を洋式便器へ  現代では少なくなりましたが、日本家屋では和式便器が主流で、現在も残存しているところがあります。 ですが、和式便器は高齢者にとって、使いにくいものです。 しゃがむ動作をする必要がありますが、足の変形から痛みを伴い困難になっていきます。 また、筋力も低下しているので、しゃがんだはいいものの、立ち上がれなかったりすることもあります。  こういった時に、洋式便器への交換は有用です。  暖房・洗浄機能付便器への取替え  現在洋式のものを交換はできませんが、和式を洋式に変更する時は住宅改修の対象になります。  便器の取替えに伴う給排水設備工事  便器を取り替える時は、水回りの交換も必要になりますが、給排水にかかわる工事も住宅改修の対象です。 ただし、もともと水洗だったトイレのみになります。  便器の取替えに伴う床材変更  便器を取替える時は、床や壁も改修が必要になりますが、これも対象になります。  こういった時は対象外  住宅改修の対象外にもなる工事もあります。 洋式トイレを新設 手洗い器やペーパーホルダーの新設 基本的に、新設する場合は対象外です。 既存のものを交換する場合のみ対象になりますので、ご注意ください。  まとめ ここまで、介護保険での住宅改修のポイントや注意点を箇所別にわけて、紹介してきました。  ・手すりは歩行や立ち上がりの補助をするが、たくさん取りつけても意味がない。  手すりは数タイプあるので、目的や場所によってわける。 ・段差解消は自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差をなくすもの。  工事を伴わない段差解消機やスロープの取り付けは、住宅改修の対象にならない。 ・床または通路面の材料の変更は、生活動線以外や老朽化によるものは対象外。 ・引き戸等への扉の取替えは、高齢者にとって開け閉めが難しい開き戸を取替える時に有用。  開けやすいドアノブへの変更も住宅改修の対象だが、老朽化による扉の交換は対象外。 ・洋式便器への取替えは、一般的に和式便器を洋式便器に変更する時。  洋式トイレやペーパーホルダーを新設する場合は対象外。 親に元気に家で過ごしてもらうために、住宅改修を利用して生活環境を整えましょう。  そのためには、箇所別にポイントを把握しておくことが大切です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • 福祉用具の住宅改修とは?基本的な内容から注意点まで解説! 

    介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。  ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは  住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。  親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。   福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption]  「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。   どんな人が使えるの?   住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている  介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。  介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。  入院中などではなく、現在家で生活している  住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。  しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。  家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。  本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る  住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。   いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。  住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。  ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。   1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は?   住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。  要介護度が3段階以上上がった時  要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。  引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。   支払い方法は?   住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。  償還払い  償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。  受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。  ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。   まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。  住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 認知症専門医とは?かかりつけ医から専門医に変更するメリットを解説!

    「認知症専門医」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。 認知症を患った場合、進行を遅らせるための治療が重要です。 そのため、医師の選び方も関わってきます。 今回は、認知症の医療に特化した認知症専門医について紹介します。 認知症専門医とは? 認知症専門医とは、日本認知症学会および日本老年精神医学会に認定されている医師で、全国に約2,000人存在します。 主に精神科、神経内科、老年科に在籍しており、認知症の早期発見や早期治療を担っています。 しかし、人数が少ないため、お近くの病院に在籍していないこともあるので注意が必要です。 良い認知症専門医の見分け方 良い認知症専門医の見分け方のポイントは以下の3つがあります。 MRIなどの「画像診断」を行ってくれる 「認知症テスト」を実施してくれる 定期受診時に丁寧な「問診」を行ってくれる ここでは、3つのポイントをそれぞれ解説します。 丁寧な「問診」 良い認知症専門医の見分け方のポイント1つ目は「問診」です。 問診は、定期的な受診をすると必ず行われるものですが、内容が最も重要です。 良い認知症専門医は、認知症患者にどのような症状や行動があるのか、現状家族にどのような負担があるのか等、丁寧な聞き取りをしてくれます。 また、前回の受診時からそのような変化があるのか、それに対して今後の医療計画や薬の処方内容はどうしていくのか、話し合いの時間を設けてくれます。 介護家族は認知症患者の日々の様子や変化をしっかり専門医に伝えられるよう、現状の把握しておきましょう。 デイサービスや高齢者施設を利用している場合は、介護スタッフから事前に聞いておくことが重要です。 CTやMRIなどの「画像診断」 良い認知症専門医の見分け方のポイント2つ目は「画像診断」です。 CT(コンピュータ断層装置)やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)などを使い、脳の状態を画像で判断します。 実際の脳の画像を元に、認知症が以前と比べてどれだけ進行しているか、服用している薬の効き目があるのかを診断するため、より確実な医療方針を決められます。 また、定期的に画像診断を行うことで、認知症の進行度合いも把握できます。 数値化する「認知症テスト」 良い認知症専門医の見分け方のポイント3つ目は「認知症テスト」です。 認知症テストとは、認知機能障害の有無を調べるために行う簡単なテストです。 長谷川式スケールやMMSEという種類があり、テストの結果で認知症の状態を数値化し、どのくらいの認知機能障害があるか判断します。 認知症テストをすることで、実際にどれくらい認知症が進行しているのか把握できます。 認知症専門医を見つけるためには? 認知症専門医を見つけるために有効な手段は、「ケアマネジャー」や「地域包括支援センター」を尋ねることです。 ケアマネジャー ケアマネジャーは、介護や支援を必要とする方から相談を受け、心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるように介護計画を作成する役割を担う人です。 ケアマネジャーは、実際に介護現場で認知症患者のケアを経験したことがある人も多く、小認知症患者や介護家族に対しての理解があります。 地域の居宅介護支援事業所に常駐しているため、近くの事業所を探しましょう。 地域包括支援センター 地域包括支援センターは、地域内の高齢者の相談や権利擁護、支援体制作り、介護予防に必要な援助などを行う公的機関です。 全国に約5,000ヵ所以上あり、介護の必要の有無に関わらずすべての高齢者の相談を受ける施設です。 ホームページで確認する 認知症専門医は日本老年精神医学会と日本認知症学会のホームページからも検索することが出来ます。 公益社団法人日本老年精神医学会 日本認知症学会 また厚生労働省は、全国約250カ所に 「認知症疾患医療センター」を設置してます。 ここでは認知症専門医が鑑別診断や治療、精神保健福祉士などの専門の相談員による医療福祉相談など医療・福祉関係者を支援する体制が整えられているので、こちらを利用するのもいいかもしれません 認知症疾患医療センター 直接認知症専門外来を受診する方法もありますが、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。 認知症専門医にかかるメリット 認知症には治療法がないため、「早期発見・早期治療」が重要です。 早期発見から早期治療につなげることで、進行を遅らせることができます。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるメリットは、主に以下の4つがあります。 知識や経験が豊富なため、選択肢が増える 患者本人の変化や状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる 大きな病院などの医療連携が速やかである 選択肢が増える 認知症専門医にかかるメリット1つ目は、知識や経験が豊富なため「選択肢が増える」ことです。 かかりつけ医は認知症に関する知識が少ない場合もあります。 認知症には、明確な治療法がなく、一人ひとりの症状や環境に合わせたケアが重要です。 知識や経験が豊富な認知症専門医にかかることで、具体的なケアを考えることができます。 患者の状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット2つ目は、患者本人の変化や状態を把握し「常に医療方針を考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、認知症患者の心身の状態を把握し、新しい医療方針を提供してくれます。 かかりつけ医の場合は、定期検診で認知症患者に異常がなければ簡単に診察を終わらせてしまう可能性があります。 介護家族の負担を減らすことを考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット3つ目は、「介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、介護家族の負担を減らすことを考えて、医療方針を考えてくれます。 介護が負担になるという理由で薬を増やすだけでは、意味がありません。 飲み方を変える、別の薬を利用するなど、家族の意見とともに医療方針を決めていきます。 医療連携が速やかである 認知症専門医にかかるメリット4つ目は、大きな病院などの「医療連携が速やかである」ことです。 認知症専門医が在籍する科には、「認知症センター」や「もの忘れ外来」など認知症が専門となります。 認知症の専門外来には、脳の画像検査機器であるCTやMRIが設置されていることが多く、認知症患者の状態を正確に把握できます。 また、大きな病院とも連携しており、必要があれば速やかに受診できる仕組みです。 どのような時に認知症専門医にかかる? ここまで、認知症専門医について紹介しました。 しかし、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えれば良いのかわからない方も多いのではないのでしょうか。 認知症には明確な治療法がないため、認知症患者に合わせた早期治療が大切です。 以下の点が思い当たる場合、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えることをおすすめします。 認知症の症状の進行が明らかに早い 症状に変化があった場合、薬の調整しか行わない 認知症の進行が明らかに早い 認知症の進行が明らかに早いと感じた場合、治療法が合っていない場合があります。 認知症専門医に相談することで、薬以外の治療法も見つけることが可能です。 例えば、リハビリなどの運動療法や、楽器などを使用する音楽療法も効果が期待できる治療法などがあります。 治療で薬の調整しか行わない 認知症の症状である、うつ・徘徊などの治療薬として、抗精神病薬や睡眠薬が処方される場合があります。 しかし、患者の症状が進行した際、過度に服薬をすると副作用が大きくなります。 薬が効きすぎると、意識が朦朧とする、歩行が不安定になるなどの症状が現れることがあり、転倒などのリスクも高くなるため注意が必要です。 まとめ 今回は、認知症専門医についてと認知症専門医にかかるメリットをお伝えしました。 認知症専門医は、日本に約2,000人存在し、認知症の早期発見や早期治療を担う医師である。 良い認知症専門医を見分けるための3つのポイントは、「丁寧な問診」「CTなどを利用した画像診断」「認知症テストを用いた診断」である。 認知症専門医は、認知症患者の変化をしっかり把握し、医療方針を考えてくれる。 認知症専門医にかかるメリットは、「選択肢が増える」「患者の状態を把握し常に新しい医療方針を考えてくれる」 「介護家族の負担を減らすことを考えてくれる」「医療連携が速やかである」の4つである。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるタイミングは、「認知症の進行が明らかに早い」「治療で薬の調整しか行わない」場合である。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 将来介護されることになった時はどうすればよい?先の不安に備えてやっておくことをご紹介

    将来介護されることになったら不安ですよね。 不安を解消するには、早め早めの対応と備えが大切です。 今回は、将来介護されることになった時の備えを紹介します。 将来介護されることになった時の不安な理由は? 将来介護されることになった時の不安な理由は、家族に迷惑をかけたくない、頼れる人がいない、病気に対する不安、経済面が心配、など人によって様々です。 中にはよく分からないけど、不安を抱えているという人もいます。 この章では、内閣府が55歳以上の人を対象に、介護の不安に対する調査を行った結果を元に具体的な理由を紹介します。 まずは自分が何に対して不安を感じているのか整理してみましょう。 介護に対する不安な内容 ①家族に肉体的・精神的負担をかけること  50.6% ②身体の自由が感じられなくなること    40.5% ③介護に要する経済的負担が大きいこと      28.8% ④特に理由はないが、漠然と不安を感じる  22.2% ⑤人生の楽しみが感じられなくなること   20.6% ⑥希望する介護施設等に入られないこと   17.8% ⑦収入がなくなること           16.7% ⑧特に不安なことはない          15.6% ⑨介護をしてくれる家族がいないこと    14.1% ⑩現在の住宅構造に問題があること     10.5% 約半数の人が、家族に肉体的・精神的負担をかけることを不安に感じていました。 一番の理想は住み慣れた家で最後を過ごすことですが、核家族が多い中では難しいのが現実です。 また、他にも身体面や経済面が不安といった内容も多かったです。 環境面では介護状態になった場合、現在の家に住めなくなるという心配点もあります。 不安な理由は、5つに分類できます。 次の章では、不安な理由を分類し今からできる備えをご紹介します。 将来介護されることになった時の解決策と備え 介護をされることになった時に不安を感じる具体的な内容が分かった所で 理由を分類すると大きく5つに分かれます。 ①家族 ②身体面 ③経済面 ④環境面 ⑤生きがい この分類を元に不安に対する対策を考えていきましょう。 ①家族について 解決方法は、家族に自分が思っていることを正直に話すことです。 具体的な内容は自分が不安に思っていること、自分の生活や人間関係、必要であればお金のことや希望の施設があれば話しておくと安心です。 直接話すのが難しい場合は、紙に書いておくと分かりやすいです。 子どもが遠くに住んでいたり、配偶者が先立っている場合があります。 いざという時の保証人を決めておきましょう。 介護施設を利用する場合、「緊急時に対応してくれる人」が必要です。 保証人がいないとなると利用できない場合があります。 調査結果で一番多かった回答が「家族に迷惑かけたくない」というものでした。 核家族がすすみ、介護は家族がするものという価値は変化しています。 まずは、自分自身ができることから始めましょう。 ②身体面 運動や規則正しい生活をしたり、定期的に病院に通うなど、いわゆる「介護予防」をしておくことが大切です。 介護予防とは要介護状態の発生をできるだけ遅らせることと定義されています。 具体的な内容は、運動機能の維持や食生活の見直しなどがあげられます。 身体のことだけではなく、社会参加や生活の中での役割を持って 生きがいがある生活を送っていくことも大切です。 参考サイト:厚生労働省 介護予防について ③経済面 まずは毎月の収支やどれだけのお金を持っているか金銭面の把握をしましょう。 預貯金以外にも、契約している保険や不動産関係も確認しておくと安心です。 老後の費用を「増やす」という方法もあります。 増やす方法は、貯蓄・投資・保険の3種類です。 ・現在の収支から出来る範囲でお金を貯めていく「貯蓄」 ・投資信託や株式などを購入し利益を見込む「投資」 ・日常で起こるリスクに備えて準備をしておく「保険」 それぞれに経済状況が違うので自分にあった方法を活用することも大事です。 ④環境面 家の中の片付けや不用品の処理を元気なうちにしておくと安心です。 高齢になると筋力の低下とともに転倒するリスクが高くなります。 そして、転倒する多くの場所が自宅内なので、片づけをすることで転倒予防になります。 また、自宅内の転倒が多い場所は以下の通りです。 ①お風呂場 ②庭・駐車場 ③ベット・布団 ④玄関・勝手口 ⑤階段 転倒の原因は滑る・つまずく・ふらつく・移動している時・引っ掛かるなどです。 家をバリアフリーにするにはお金が掛かりますし、賃貸の場合は住宅の改修ができません。 家の片づけはすぐできるので動線を確保したり、使用頻度が高い物は取りやすくしておくなど住宅を見直ししておきましょう。 参照サイト:消費者庁 ⑤生きがい 生きがいとは、「人生の価値」や「生きていく喜び」などと表記されています。 価値や喜びは人それぞれ違うので、生きがいもその人によって異なります。 シニア世代は仕事を退職したり、子育てがひと段落するので、生活に張り合いがなくなったと感じる人が多いです。 そこで「生きがい」が大切になってきます。 では「生きがい」はどうやってみつけるのでしょうか。 生きがいを見つける4つのポイント ①自分が楽しい・嬉しいと感じること ②社会参加や役割を持つ ③新しいことにチャレンジする ④暮らしの中で幸せを感じるよう意識する これを軸としてこの機会に生きがいを考えてみてくださいね。 将来の介護に対する不安に対しての具体例を紹介 ここの章では、高齢期に備えてみんながどんな備えをしているのか、アンケートを行った結果をご紹介します。 ぜひ参考にしてみてください。 ①健康維持・体力作り  64% ②日々の節約・体力作り 51% ③身の回りの整理をしておく  36% (不用品の処分、通帳、クレジットカードなど重要書類の整理、運転免許証納品など) ④資産形成    35% (金融商品への投資、保険商品の加入など各種資産運用) ⑤長く続けられる趣味・娯楽を始める 33% ⑥老後の家計予想・シミュレーション 30% ⑦家族、親戚、知人、近隣などとの付き合いや交流の拡充・維持 19% ⑧高齢期に住む住宅の検討または購入 11% アンケートの中身を具体的に見ていくと、健康に対する意識は、9割以上が日頃から自分の健康状態に気を付けて生活しているとの回答があがっています。 また、「定期的な健康診断」「食事の管理」「適度な運動スポーツ」を行っている人が6割です。 健康に関しては、日頃から取り組んでいる人が多いという結果でした。 参考サイト:2019年10月高齢期の暮らしに関する意識調査・実態調査 将来介護される前に備えておくことが大事 将来、介護されるのは誰だって嫌だし不安ですよね。 筆者自身、介護職として約10年間施設で働いていましたが、介護をしてほしいという人はいませんでした。 可能であれば、自分でできることは自分でしたい、身の回りのことは自分でしたいという人が大半です。 しかし、早めに対策しておくことで介護が必要になった時の備えはできます。 人それぞれに価値観や環境が違うので、出来ることから自分に合った備えをしていきましょう。 まとめ 今回は、将来介護が必要になった時の備えについてご紹介しました。 いかがでしたでしょうか。 ・将来介護が必要になった時の不安な理由を整理しておくこと大事である ・不安な理由を大まかに分類すると①家族②身体面③経済面④環境面⑤生きがいについての5つである ・この理由を元に将来介護が必要になった時の備えをしていく方法がある ・平成29年に実施したアンケート結果を参考にしてみる ・将来介護が必要にる前に出来ることから早めに対策しておくことで備えができる 最後まで読んでいただきありがとうございました。  

  • 認定調査で納得できる結果を出すポイントとは?認定調査の流れや内容をご紹介!

    親の認定調査を受けたら思ったより低い結果が出て納得できなかった方もいるのではないでしょうか。 なぜ、実際と違う結果が出るのか、気になりますよね。 今回は正しく認定を受けられるように、認定調査を受けるポイントを紹介します。 これから介護認定を検討している人もポイントをおさえて、正しく認定を受けましょう。 認定調査とは 認定調査とは、正式には「要介護認定調査」といいます。  介護保険サービスを受けたい時は、介護の必要度を判断する「要介護・要支援認定」を受けなければなりません。 「要介護・要支援認定」を申請すると、認定調査員が自宅に訪問し、心身状態について、本人や家族に聞き取り調査が行われます。  認定を受けるためには、認定調査を受ける必要がありますが、適当ではいけません。 正しく認定調査を受ける必要があります。 認定調査次第では、認定結果が変わってくることがあるからです。 介護度によって介護保険を使える額が違うので、利用できる介護保険サービスや回数に差が出てきます。 そのため、正しく認定調査を受けることが大切なのです。   要介護・要支援認定の流れ 要介護・要支援認定の流れを紹介します。   申請  ↓  主治医意見書の作成 ↓  認定調査  ↓  一次判定  ↓  二次判定  ↓  認定通知  認定調査は、調査員である市町村の職員やケアマネジャーが自宅訪問を行います。 そこで、本人と家族に聞き取りと、本人に動作の確認を行うのです。 認定調査員は聞き取りや動作確認の内容を、認定調査票に書き込んでいきます。  認定調査の内容は、介護の手間にかかわる審査判定である「一次判定」に大きく影響します。 認定調査の内容と主治医意見書の一部は、コンピューターで審査されるからです。  「二次判定」は、「一次判定」の結果と主治医意見書をもと、「介護認定審査会」が介護認定を行います。 認定は「非該当」、「要支援1・2」、「要介護1~5」の8段階から決定します。 認定結果は申請から1ヶ月程度で決定、家に被保険者証が郵送にされる流れです。   認定調査の内容 [caption id="attachment_891" align="alignnone" width="512"] Check list and marker[/caption] 聞き取りと動作確認の内容ですが、全部で74項目あります。 大きく分けると7項目ありますが、本人や家族に確認されるのは6項目です。 「できる・できない」か、「介助が必要かどうか」を答えます。  ① 身体機能・起居動作(体の動かしにくさや歩くなどについて) ② 生活機能(食べる、排泄するなどの日常動作について) ③ 認知機能(生年月日が言えるか、直前にしていたことを思い出せるかなど短期記憶について) ④ 精神・行動障害(ひどい物忘れや被害妄想などの症状があるかについて) ⑤ 社会生活への適応(薬の内服や金銭管理について) ⑥ 特別な医療(点滴・胃ろう・人工透析をしているかについて) ⑦ 日常生活自立度  その他にも、「概況調査」があります。 家族構成や介護保険を申請した経緯、利用したい(続けたい)サービスについての確認です。    認定調査を受けるポイント  認定調査を行き当たりばったりで受けるのはおすすめしません。 認定調査の内容が、要介護度決定に強く影響するからです。 介護度次第で、利用できるサービス額や内容が大きく違ってきます。 ここでは、認定調査前におさえておきたいポイントや、当日に心がけたいポイントについて紹介します。  認定調査を受ける前のポイント 認定調査を受ける前に、以下のことを確認しましょう。  普段している介護内容をメモしておく 毎日の生活でどのような介護を行っているのか、メモをしておきましょう。 今どんなことに困っているのかも、合わせてメモをとっておくと、認定調査員に伝えやすいです。 認知症がある時は、どのような行動があったのかも忘れずに。 これまでにした病気やケガをまとめる 主治医意見書にも記載されますが、すべてが記載されるとは限りません。 介護を行っていて気になる病気やケガがあれば、メモにまとめておきましょう。 本人がいる前では伝えにくいことをメモしておく 認定調査を受ける中には、プライドが高かったり、家族とは違った内容を話す人もいます。 これでは正しい認定結果が出にくくなるため、前もってメモにまとめておきましょう。 認定調査当日に、認定調査員にメモを渡すのがおすすめです。   認定調査当日のポイント 認定調査当日に確認しておきたいポイントは、以下のことです。 体調が良い日に受ける 体調が悪い日に、無理して認定調査を受けるのは避けましょう。 普段と違った状態のため、正しい調査を受けにくくなります。 調査を受けるのが難しそうな時は、早めに認定調査員に連絡をして、日程の調整をしましょう 必ず家族が立ち会う 本人だけで認定調査を受けると、普段できないことをできると答えたり 現状と違う内容が反映されることがあります。 プライドの高さや認知症があると、このような事態が起きます。 必ず家族も立ち会い、現状を認定調査員に伝えましょう。 困っていることを具体的に伝える 認定調査員に、ただ困っていると伝えるだけでは、正確な判断が難しくなります。 「どういった時にどんなことに困っているのか」など、具体的に認定調査員に伝えましょう。 例)夜中によくトイレに行くが、手すりもないので、フラフラしながらトイレに行っており、毎回付き添わなければいけないので大変等。 ありのままの状態を伝える 認定調査員に状態をひかえめに伝えたり、オーバーに伝えたりすると、再調査になる可能性があります。 主治医意見書と内容が合わずに、矛盾しているととられるからです。 受けたいサービスを受けるのも遅れたり、要介護認定の結果が出るのに時間がかかります。 必ずありのままの状態を伝えるようにしましょう。 認定調査当日に出ていない症状も伝える 当日に出ていない症状についても、認定調査員に必ず伝えましょう。 特に認知症がある場合は、症状も日や時間帯によって症状がみられないこともあるからです。 例)午前中は穏やかにしているが、午後になると表情が一変して暴言が出たりするなど   認定結果に納得できない時は  認定結果に納得できない時は、「不服申し立て」ができます。 「不服申し立て」は都道府県に設置されている、介護保険審査会で行います。 「不服申し立て」を行うことで、再度認定調査や判定が行われるため、認定結果が変わることがあります。 ただし、調査や判定には時間がかかり、結果が出るまでに3ヶ月程かかりますので、注意してください。 申請は、認定結果が出た翌日から60日以内に行う必要があります。  また、「区分変更申請」をする方法もあります。 「区分変更申請」は、現在の介護度と現在の状態が合っていない時に申請するものです。 申請することで、要介護度を再判定してもらえます。 「区分変更申請」は申請期限がないため、いつでも行うことができ、結果が出るのも1ヶ月程度です。    まとめ ここまで、正しく認定を受けるために、認定調査を受けるポイントを紹介してきました。 ・「要介護認定、要支援認定」を申請すると、認定調査員が本人や家族に心身状態について聞き取り調査を行う。 ・聞き取り調査後に判定があり、約1ヶ月で結果が出て、自宅に被保険者証が郵送される。  ・認定調査の内容は、全部で74項目。概況調査もある。  ・認定調査前と当日に、ポイントを確認して認定調査を受けると、正しい認定が出やすくなる。  ・認定結果に納得できない時は、結果が出てから60日以内に介護保険審査会に「不服申し立て」を行う。  ・「区分変更申請」であれば申請期限はなく、再認定が出るまでに1ヶ月程度かかる。 上記のぜひポイントをおさえて、認定調査を受けましょう。 正しく認定調査を受けることで、思っていた介護認定と違う事態を避けられます。 また、使いたいサービスも利用できる可能性も高くなります。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 認知症は生活習慣改善が鍵だ!症状改善の試みやメカニズムを解説!

    皆さんは、記憶が失われていくアルツハイマー型認知症の症状改善に対する新たな試みが「NHK BS」の放送で紹介されたのをご存知ですか。 これまでは、薬による症状の進行を遅らせることが主な治療であった認知症が、生活習慣を徹底的に見直すことで症状を緩和するという新たな試みがクローズアップされて紹介されました。 認知症の症状や対策、改善事例を知ることで、認知症に対処できる明るい未来も見えてきているのです。 この記事では、認知症に苦しむ患者や家族にアメリカの脳科学者が提案した新たな治療法の模索など、最新の認知症に関する情報について紹介します。 未だ課題はありますが、認知症に苦しむ方やご家族の方は ぜひご一読ください。 認知症の症状改善に新たな試み 認知症は、今まで、改善する治療法はなく、唯一、薬で症状の進行を抑えるだけの対処法しかない症状でした。 しかし、現在では症状を改善させようとする新たな試みが注目されています。 その方法とは、食事や運動という生活習慣の改善により、症状を改善させる試みです。 ここでは、生活習慣を改善することで、認知症の症状を改善させる新しい方法について紹介します。 生活習慣改善は新たな認知症対策 認知症の患者数は、アメリカで約600万人、日本では約400万人といわれています。 認知症に苦しむ患者や家族は、社会でさまざまな制約を受けてしまいます。 認知症で日常生活まで支障を生じている現状を改善するために、主に薬による治療を受けているのが現状です。 しかし、近年、アメリカの脳研究者であり、アルツハイマー病の権威である医学博士デール・ブレデセン氏の30年間の研究の成果が世界で脚光を浴びています。 薬に頼らない認知症予防 デール・ブレデセン氏によると、認知症は薬だけの治療は症状の進行を抑えるだけで、根本的な治療ではないため、新たな治療法が必要だと説いていました。 その新しい治療法とは、生活習慣の改善(リコード法)です。 この方法は、薬に頼らず、生活の中心となる5つの習慣を見直すことで認知症を改善しようとする試みです。 生活習慣の基本5か条(リコード法) 生活習慣の基本5か条とは、次の5つの習慣を見直せば、認知症に効果があるとされ、リコード法と呼ばれています。 食事・・・・糖質を野菜中心の食生活に変える(ブロッコリーは特に効果的) 運動・・・・毎日30分以上の有酸素運動を行う 睡眠・・・・8時間の睡眠が必要 プチ断食・・夕食は寝る前の3時間までに摂る、夕食から朝食まで12時間は空ける ストレス軽減・・めい想する その他の環境・・毒性物質(カビ、大気汚染など)も影響する ヘルスコーチとの二人三脚 ヘルスコーチとは、医師の診断結果に基づき、生活習慣や環境を指導する役割を担います。 医師は病気の専門家ですが、食事などの生活習慣に対する具体的な改善方法までは提示しません。 特に認知症の症状改善には、生活習慣の改善が効果的であるため、ヘルスコーチによる生活改善が主体の治療が必要になります。 ヘルスコーチと患者や家族との二人三脚が大切なのです。 ある脳研究者の挑戦 アメリカの脳科学者でアルツハイマー病の権威であるデール・ブレデセン博士は、カリフォルニア大学で30年、認知症の研究を行ってきました。 その研究の中で、脳には1,000億個の神経細胞があり、アルツハイマー型認知症は神経細胞の先端のシナプスが死滅するメカニズムで発症することを突きとめたのです。 しかし、認知症の症状はさまざまで、現状は薬で症状の進行を抑える治療に留まっています。 デール・ブレデセン博士は、生活習慣の改善により認知症は改善するという信念のもとに、アルツハイマー病協会(アメリカ・シカゴ)に協力を求めています。 認知症の現状 認知症の現状として、人によって症状はさまざまです。。 しかし、医師の処方や診察、ヘルスコーチの指導による生活習慣を改善することで、認知症の進行は抑えられている症例を紹介します。 【日本人男性の例】 父親の介護中に物忘れが多くなった自分に気づき、病院で診察を受けた結果、認知症の発症を告げられました。 彼は薬を処方されたことにショックを受けます。 当時は保険会社勤めをしていましたが、ますます物忘れが進行していきます。 彼は、このまま仕事を続けると会社にも迷惑がかかると考え、退職しました。 現在は農業を営んでいます。 彼は、デール・ブレデセン博士のセミナーで感銘を受け、生活習慣の改善に努めるようになりました。 現在は進行の症状は少しずつではありますが抑えられています。 【アメリカ人女性の例】 親しい知人でも名前と顔を思い出せないほど認知症の症状が進行していました。 自分が認知機能が低下していると考えると日々怖く感じてしまい、日常生活に不安を感じていました。 生活習慣を改善した結果、認知症の進行が少しずつ抑えられ、4か月が経過した頃から効果を感じ始めるようになりました。 認知症の薬は症状の進行を抑えるだけ アミロイドβという物質は、早ければ40代から脳内に蓄積し始めます。 アミロイドβは、アルツハイマー病に重大な影響を与えるといわれています。 そのため、現在の新薬はアミロイドβ仮説に基づき開発されたものが患者に処方されています。 しかし、新薬でも認知機能の低下を完全に抑えることはできないのが実態です。 認知症に至るメカニズム 認知症に深く関わっているアミロイドβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)が大きく関与しているのです。 APPは脳細胞の運命を決めるともいわれる物質で、神経細胞に密集した斑点を形成します。 APPが蓄積すると脳は徐々に本来の機能を失い。認知症を発症します。 人によって認知症の症状はさまざま 「もの忘れ」と「認知症」の大きな違いは、体験の一部のみ忘れるか、過去の経験や体験を忘れるかです。 認知機能の低下には、次の6段階に分かれます。 非常に軽度 若干のもの忘れはあるが、日常生活に支障がない段階です。 軽度 家族や友人が変化に気づく段階です。 中等度 明らかな症状が見られる段階です。 やや重度 記憶障害や認知障害があり、サポートが必要な段階です。 重度 さらに記憶障害の進行が顕著になり、人格が変わる、大幅なサポートが必要な段階です。 非常に重度 アルツハイマー病の最終段階といわれ、環境への反応や会話が成立しない 異常な反射対応、筋肉の硬直なども見られるようになります。 生活習慣改善は認知症を予防する 認知症は病名ではなく、脳の認知機能の低下による症状です。 認知症を引き起こす疾患はさまざまですが、その中でも、次の4つの疾患が多数を占めています。 1.アルツハイマー型認知症 2.脳疾患性認知症 3.レビー小体型認知症 4.前頭側頭型認知症 この4つの疾患の内、脳疾患性認知症だけは脳血管に障害を受けて発症したものですが、その他3つの認知症は、脳の神経変性により発症します。 脳の神経変性は、主に糖分の摂りすぎによるインスリンの増加や、ビタミン・ホルモン不足などが引き金だと指摘されています。 生活習慣を見直し健康状態を保つことが、脳の神経変性を抑える効果があるのです。 生活習慣を改善したことで認知症への効果は? 2014年にデール・ブレデセン博士が論文で発表して以降、さまざまな症例の患者にリコード法を試みており、改善効果は次のとおりです。 軽度の認知障害・・・・・改善効果は50%程度 早期アルツハイマー病・・改善効果は30%程度 重度アルツハイマー病・・改善は困難 リコード法による症状の改善は、軽度から早期のアルツハイマー病に効果があると見られます。 今後の課題 リコード法はアルツハイマー病の新しい治療法ですが、すべてが確立された治療ではありません。 未だ、残された課題があります。 高額な検査費用 日本では、リコード法を活用した医療が進んでおらず、一部の医療機関しか対応していないのが現状です。 また、日本国内ではすべての検査ができず、海外に検査依頼しているため、高額な検査費用(約40万円)がかかります。 ヘルスコーチの絶対数の少なさ ヘルスコーチの絶対的な少なさも、リコード法の妨げになっています。 継続的な生活改善を続けるためには、ヘルスコーチによる指導や医師の治療が必要です。 ヘルスコーチの育成も課題の1つです。 まとめ この記事をまとめると次のとおりです。 ・認知症で処方される薬は、症状の進行を抑えるだけである ・生活習慣の見直しで症状を改善する可能性がある ・生活の基本5か条(リコード法)を知る ・早期の発見、対応に効果がある ・ヘルスコーチの協力が不可欠である 認知症が進行すると、日常生活でさまざまな問題が生じます。 また、患者や家族は悩み、苦しみ、場合によっては生命の危険を及ぼす行動をとるなど、社会的な問題を抱えています。 しかし、処方される薬に頼ることなく、患者本人や家族の努力の積み重ねでも症状が改善できる治療法もあることを覚えておいてください。 認知症は進行する前の早期発見、対応がポイントです。

  • 地域包括ケアシステムとは?内容を詳しくご紹介!

    「地域包括ケアシステム」と言われても、どんな内容のシステムなのかイメージがしにくいかもしれません。 少子高齢化の日本は介護保険制度のみだと高齢者を支えるのが難しい状態です。 ここでは地域で支える取り組みである「地域包括ケアシステム」について紹介します。  地域包括ケアシステムとは 「地域包括ケアシステム」とは、高齢や介護が必要な状態になっても地域全体で支えようというものです。 住みなれたところで最期まで自分らしく生活するには地域で支える必要があるからです。 これまでは介護保険制度のみで高齢者を支えてきましたが、高齢化とともに難しくなってきています。 このため、介護保険制度と医療保険制度から地域全体を支えていく必要があるのです。  ちなみに、「地域」とは、自宅から30分以内でサービスが提供される範囲です。 わかりやすくいうと、中学校校区が目安になります。 「地域包括ケアシステム」は、自治体である都道府県や市町村がその地域の特性に応じてサービスを作っていきます。 主体となって「地域包括ケアシステム」を実行するのは「地域包括支援センター」です。  なぜ地域包括ケアシステムが推進されているの? 現在、「地域包括ケアシステム」が推進されています。 これまでの介護サービスだけでは高齢者を支えることができなくなってきているからです。 日本は高齢社会となっており、2022年9月15日時点での65歳以上の人口は、3,627万人です。 2042年には、約3,900万人になることが予測されています。 団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、医療や介護の需要が増加することが予想されています。 このため、2025年をめどに地域の力を活用する「地域包括ケアシステム」が推進されているのです。 また、介護施設が全国的に不足しており国はケアの場を施設から在宅へと計画しています。  厚生労働省は、2025年には地域の包括的な支援やサービスを提供できるように、取り組みを推進しています。   地域包括ケアシステムの歴史 「地域包括ケアシステム」は1980年代に広島県の御調町の取り組みによって生まれたものです。 医療と福祉行政が連携して「高齢者の寝たきりゼロ」を目指した取り組みが、実施されました。 これが、「地域包括ケアシステム」と呼ばれるようになります。  2000年には介護保険制度が始まりました。 高齢者を支えるためには、これまでの医療と介護の連携だけでなく、生活支援サービスも必要であることがわかってきました。 医療サービスと介護サービスに生活支援サービスが連携された「地域包括ケアシステム」が、注目されるようになったのです。 そして、2014年には「医療介護総合確保推進法」が施行されます。 これにより、「地域包括ケアシステム」の構築が全国的に進められるようになりました。   地域包括ケアシステムの中身 Microsoft PowerPoint - 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方(基礎資料・HP用) (mhlw.go.jp)より では、「地域包括ケアシステム」の中身は、どんなものでしょうか。 「地域包括ケアシステム」は、5つの要素で作られています。 住まい 高齢者が暮らす家など(サービス付き高齢者向け住宅なども含む)   医療 かかりつけ医など医療サービス全般   介護 介護が必要になった時に受けれるサービス(居宅・施設サービスを状況に合わせて使う)    生活支援 高齢者の自立した暮らしを支えるためのサービス(配食サービス、家事援助、見守りサービスなど)   介護予防 高齢者が元気に過ごすためのサービス(カフェ、サロンなど)  「地域包括ケアシステム」は、これらを一体的に提供することを目指しています。 そのためには、自治体である市町村や都道府県が地域の特性に応じてサービスを作ることが必要です。  Microsoft PowerPoint - 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方(基礎資料・HP用) (mhlw.go.jp)より  5つの要素は、「植木鉢」に例えられています。  平成28年版厚生労働白書 -人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)より  5つの構成要素が、互いに結びついて「地域包括ケアシステム」を形作っているからです。  ① すまいとすまい方:植木鉢 ② 介護予防・生活支援:土 ③ 医療・看護:葉 ④ 介護・リハビリテーション:葉 ⑤ 保健・福祉:葉  本人の選択と本人・家族の心構え:皿  ①②は生活の基盤で、③④⑤は専門的なサービスになっています。  植木鉢のないところに、植物は育ちません。 同様に、高齢者が「すまい」で毎日を安心して過ごすために、「介護予防・生活支援」があることが、基礎になります。 しっかりした基礎があれば、専門的なサービスである「医療・看護」、「介護・リハビリテーション」、「保健・福祉」が有効に働くのです。 サービスを受けるには、皿である「本人の背択と本人・家族の心構え」が大切になってきます。   4つの助について 「地域包括ケアシステム」をすすめていくには、4つの助が大切と言われています。  ・自助 ・公助 ・互助 ・共助  これらが結びついて、さまざまな生活課題を解決していくことが必要です。 それぞれについて、詳しく説明します。   自助 健康寿命を伸ばすために取り組む、「セルフケア」 定期的な健康診断や介護予防活動などへの参加   公助 生活保護など、生活保障制度や社会福祉制度のこと   互助 家族、近所の人などの支えなど、公的な制度ではないもの ボランティアやNPOなど含む   共助 医療、年金、介護保険や社会保険など、制度化されたもの  この中でも基礎になるのは、ひとりひとりの努力が必要な「自助」です。 自分の健康を大切にして、生活を豊かにするものだからです。 たとえば、健康診断を受けたり、介護予防活動への参加があります。 ひとりひとりが健康に気をつかうことが生活を豊かにするため、「自助」が基礎になるのです。  自分ひとりで支えるのには限界があるので、ここで重要になってくるのが「互助」です。 もちろん、「互助」にも限界があり、「互助」を助けるものが「共助」です。 「共助」を活用することで、「互助」の負担を減らすことができます。  「自助」、「互助」、「共助」をつかっても解決が難しい「貧困」や「虐待」などに対して、「共助」が必要になります。   今後の地域包括ケアシステム 今後、「地域包括ケアシステム」を構築するには、3つの流れを踏む必要があります。  ・地域の課題の把握と社会資源の発掘 ・会議などの開催と対応策の検討 ・対応策の決定と実行 地域の課題の把握と社会資源の発掘  自治体が、地域に暮らす高齢者がどんなことで悩んでいるか調査します。 高齢者がどのような問題を抱え、それに対策する必要があるからです。 そのために地域ケア会議が開催され、課題が分析されます。 同時に地域サービスである「ボランティア」や「NPO」などが、発掘されます。 このため、高齢者がどんな問題に直面しているか調査する必要があるのです。   会議などの開催と対応策の検討  自治体が「地域ケア会議」を開いて、地域の関係者が問題を共有し、解決策を話し合います。  対応策の決定と実行 「地域ケア会議」で解決策が出たら、介護保険事業の中に盛りこんでいきます。 地域にかかわるさまざまな支援メニューが用意され、実現されていくのです。  まとめ ここまで、「地域包括ケアシステム」について紹介していきました。  ・「地域包括ケアシステム」とは、高齢や介護が必要な状態になっても地域で支えようとするもの。  ・「地域包括ケアシステム」は自治体が、地域の特性に応じてサービスを作る。  ・「地域包括ケアシステム」が推進されているのは、介護サービスだけでは高齢者を支えることが難しくなってきているから。  ・高齢者を支えるためには、医療と介護の連携だけでなく、生活支援サービスも必要。 ・「地域包括ケアシステム」は、 「住まい」「医療」「介護」「生活支援」「介護予防」の 5つの構成要素から成り立っており、一体的に提供するもの。 ・「地域包括ケアシステム」をすすめていくには、 「自助」「公助」「互助」「共助」の「4つの助」が大切。  ・今後、「地域包括ケアシステム」を構築するには、「地域の課題の把握と社会資源の発掘」「会議などの開催と対応策の検討「対応策の決定と実行」の 3つの流れを踏む必要がある。  「地域包括ケアシステム」はなじみにくい内容ですが少しでもお分かりいただけたでしょうか?  今後も高齢社会が続くと予想されており、「地域包括ケアシステム」を構築していく必要があります。 高齢者が安心して住みなれた地域で生活できるよう地域全体で高齢者を支えましょう。 少しでも「地域包括ケアシステム」に興味をもっていただけましたら、幸いです。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 高齢者におすすめのインフォーマルなサービスとは?さまざまなサービスをご紹介!

    高齢化が進む中、多くの人は介護を必要とする状態になっても、可能な限り住み慣れた自宅や、地域での生活を希望する事が多いです。 しかし、単身世帯や高齢者のみの世帯増加もあり、行政や関係者の力だけではさまざまなニーズに対応する事に限界があります。    介護保険などの支援を受けている高齢者はもちろん、介護保険を受けていない高齢者高齢者が住み慣れた地域で生活を続けるにはインフォーマルな支援が重要です。 ここではオススメの社会資源や保険外サービスについて紹介します。 インフォーマルなサービスとは インフォーマルなサービスとは、公的機関や制度に基づく専門職によるサービス(フォーマルサービス)以外の支援の事をいいます。 インフォーマルサービスは家族や友人、地域住民、ボランティアなど制度に基づかない援助ですが、 補えない支援や住み慣れた地域と事情に応じた支援ができます。 インフォーマルの種類 ・家族や友人 ・ボランティア ・民生委員 ・商店 社会資源は、地域包括ケアシステムを基幹としたさまざまなサービスが誕生することにより、高齢者の細かなニーズに対応できる環境を整備することができます。    民間事業者が提供するサービスは全額自己負担ですが、法的規制が少なく公的サービスにない細やかなニーズに対応できるため、希望するサービスを受けることができます。 高齢者を取り巻く社会的問題 高齢者を取り巻く社会的問題として、独居による孤独死や買い物難民、認知症高齢者の増加などが問題となっています。 高齢者が住み慣れた自宅や地域で住み続けるうえでの困りごととして、日本能率協会総合研究所の「高齢者未充足ニーズ調査 2019年」の結果による高齢者の生活全般に関する代表的な困りごと57項目は以下のとおりです。 57項目の代表的な困りごと ・文章を読んでいて理解するのに時間がかる ・相手の言っていることが、すぐに理解できない ・何をしようとしたのか忘れる ・コンロの火の消し忘れが不安になる ・買い物に行っても必要なものを買い忘れる ・買い物がおっくうと感じる ・薄暗くなると段差が見えず怖い 等 このように、認知機能の低下や身体的変化が危惧されます。 インフォーマルサービスの一例 インフォーマルサービスには以下のようなものがあります。 ・病院や介護施設から帰宅するときの介助 ・民間企業による食事や入浴、排せつ介助や見守りなど ・声かけや傾聴ボランティアによる話し相手 ・地域サロン ・各種機関による電話相談 など インフォーマルサービスのメリットとデメリット インフォーマルサービスのメリットは、支援内容に縛りがないため、幅広い支援を受けられることです。 そのため、フォーマルサービスでは対応できないような細かいニーズを解消できます。 ボランティアなどが運営しているため、金銭的に厳しくないものも多いです。 しかし、フォーマルサービスのように専門性のあるサービや安定た支援を受けることができません。 また、インフォーマルサービスは全額負担になるため、サービス内容によっては、高額の介護費用がかかることがあります。 高齢者の悩みに寄り添ったITツールが必要不可欠 健康・福祉分野では健康づくりの総合的推進や持続可能な介護保険制度の運営、介護サービスの充実(介護離職ゼロの実現)、認知症高齢者支援施策の推進などが実施されています。 反面、インターネットによる情報収集やSNSなどコミュニケーションがオンラインでおこなわれるなか、高齢者の情報リテラシーの低さにより格差が生まれており、地域に取り残されている高齢者が増加しています。 高齢者におすすめのIT機器 身体的に不自由があっても、適したITツールを活用することで生活の困りごとを解消できます。 高齢者は身体的機能低下による活動範囲の縮小や認知機能低下により、コミュニケーションスキルに不安を感じているものです。 ここでは、高齢者自身が問題を解決出来るようスムーズに扱えるIT機器について紹介します。 音声で情報を入力できる Alexa Echo Show Echo Showは、15.6インチフルHDのディスプレイでビデオ通話ができるので、離れて暮らす高齢の家族をサポートが出来るだけでなくコミュニケーションを緊密にしてくれます。 そのほか、ウィジェット機能で、天気やメモ、買い物リスト、カレンダー、お気に入りのスマートホームなど、さまざまな情報をホーム画面に配置できます。 また、ビジュアルID機能にも対応しているので、自分だけにカスタマイズされた情報をチェックすることも可能です。 機能性だけでなく声をかけるだけであらゆる操作ができるので、機械の操作が苦手な高齢者世代でも直感的に使用できます。 見守りに活用 Echo Showは、呼びかけ機能やビデオ通話でいつでも実家とつながる事ができるので、安否確認・コミュニケーションツールとして活用できます。 セキュリティカメラを実家に設置しておけば、Echo Showシリーズのデバイスを介して、家族と会話できるだけでなく、モーション検知やライブ映像などの見守り機能を利用し転倒や徘徊などの早期発見ができます。 スケジュール管理 通院日や介護サービスなどの予定などの情報をひと目で確認できるよう、ホーム画面に表示するウィジェットを選択できます。 服薬を忘れてしまう高齢者に対して、Alexaに「朝食後に薬を飲む、をリマインドして」と声をかけると、薬の飲み忘れをしないように時間になったらリマインドしてくれます。 声掛けにより飲み物忘れを回避することが可能です。 買物や調理の準備をお手伝い 店舗先までの移動に不安があっても、Echo ShowがあればAmazonで買い物のサポートができます。 買い物忘れもAlexaなら、足りない材料を買い物リストに追加しておくことで買い物中にスマホのAlexaアプリで確認できたり、いつもAmazonで買っている常備品を声だけで再注文できます。 調理面でも冷蔵庫にある食材で献立に不安があっても、Alexaでクックパッドのレシピ検索を活用したり、Echo Show 15の大きな画面でレシピを見ながら調理できます。 スマートホームを一元管理 Alexaに対応する別売りのライト、エアコン、ロボット掃除機などのスマート家電やスマートリモコンを使えば、旧来のリモコン家電の多くがEcho Show で操作可能です。 対応するスマートホームデバイスをホーム画面に追加して手軽に操作できるだけでなく、それらすべてのデバイスをダッシュボードで一元管理することもできます。 そのため、ベッド上で過ごすことが多い寝たきりの高齢者でも、自室の環境を整える事が出来るので介護負担の軽減になります。 高齢者を支える地域の活動 地域のさまざまな生活課題に対して課題の把握から解決のため、関係機関や団体などと連携することで具体的な方向性を示すことができます。 認知症カフェ 認知症カフェには認知症を患っている方だけでなく、そのご家族の方や地域の方など誰でも参加できる場所で、「オレンジカフェ」と呼ばれることもあります。 認知症カフェは認知症の方々が触れ合うだけでなく、専門家に相談することや、地域の方々と情報交換をする場です。 参加費用は数百円であることが多いので、金銭的な負担はあまりありません。 認知症カフェの開催日は地域によって異なるため、各自治体のHPなどで調べてみるとよいでしょう。 食事の宅配サービス 近年では食事の宅配サービスが増えてきました。 食事配達サービスを利用することで、食事を準備することや片づけをしなくてよくなります。 介護の必要な家族の負担軽減だけでなく、高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯にもおすすめのサービスです。 企業シャトルバスやスクールバスを活用したコミュニティバス事業 コミュニティバス事業は、公共交通空白地の地域住民の移動手段の確保として活用できます。 高齢に伴い免許を返納した方や、路線の削減や廃線により通院や買物などの移動手段が困難になっている方は大勢います。 次世代モビリティとして企業のシャトルバスやスクールバスとして活用されている車両に一般利用者が混乗することで、移動に係る問題の解決と利便性の充実を図れます。 また、タクシーを利用する場合、配車アプリと併せて活用する事によって、出先でも正確な乗車位置を伝える事ができ、目的地までの乗車料金や距離が把握できるため、予定や予算などの心配がなく使用できます。 生活支援コーディネーター 生活支援コーディネーターは、高齢者やその家族が暮らしやすい環境を実現するために、地域の方々と支え合う仕組みを考え、課題解決をします。 生活支援コーディネーターの役割として生活支援ニーズの把握をしたり、地域でボランティアとして活動する方の養成や支援を行うほか、高齢者自身がこれまでの経験を活かし地域を支えてくれる支援のマッチングなどインフォーマルな取り組みを繋げてくれます。 まとめ インフォーマルなサービスは介護保険制度のルールに縛られることなく、介護保険対象者以外の方も利用することができます。 高齢化が進む中で、専門職による人材不足が懸念される中、自由にサービスを選択できるインフォーマルにも目を向け、高齢者自身が活用できるIT機器を活用することで生活レベルは大きく変化するでしょう。 制度の中でできる、できないにこだわるのではなく、自分の地域に地域になにがあるのかを把握すると共に各地域の情報を参考に地域特性に応じたインフォーマルを作り出すことが重要です。 上記に記載したものだけでなく、さまざまなサービスがありますので、興味のある方は一度調べてみることをおすすめします。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • レクリエーションの目的とは?効果的なレクレーションを取り入れて生活に活力を!

    介護施設では必ずと言っていいほど一日のスケジュールの中に「レクリエーション」の時間が組み込まれています。 介護にとって身近なレクリエーションですが、楽しめるということは勿論、得られる効果は様々です。 今回はレクリエーションの目的と、効果的に行うための注意点についてご紹介します。 レクリエーションの目的って? レクレーションには3つの目的があると言われています。 ただ参加するのではなく、得られる効果や目的を意識して行いましょう。 ①身体機能の維持や向上が期待できる 介護施設を利用する方のみならず、どんな方でも少なからず年をとるにつれて身体機能は低下していきます。 例えば転びやすくなったり、着脱や入浴など生活の動作が難しくなったりしていくのです。 介護施設で働いていると、転倒やケガを恐れて今まで気軽に外出していた方の行動範囲が狭くなってしまうという話はよく耳にします。 そういった方の運動の機会は日常生活の動作のみとなりますが、その運動量だけでは十分とは言えません。 さらに身体への影響だけではなく、運動量の低下で精神的なストレスとなる可能性も考えられます。 また今は日常生活に支障なく過ごせている方でも今後は分かりません。 そこで必要となるのが介護施設で行う運動や体操です。 身体を動かすレクリエーションの主な目的は、日常生活のサポートや運動機能低下の予防となります。 低下してきている身体機能を今以上に落ちないようにしたり、より向上したりする効果が期待できます。 ②脳の活性化につながる 運動することで身体だけでなく脳の活性化にもつながります。 身体を動かすと「筋肉を動かす」という命令が脳から神経を通って筋肉へ、さらに筋肉から脳へ信号が発信されます。 つまり筋肉と脳は密接な関係にあり、「運動する」ということは認知症の予防や改善に効果があるということです。 また運動のレクリエーションだけではなく、オセロや麻雀、塗り絵やクイズなどそういった活動も脳の活性化につながります。 笑ったり、大きな声を出したりすると認知症の予防にも効果的です。 ③コミュニケーションの場となる 個人で行うものもあれば、皆で一緒に参加できるものも多いレクリエーションもあります。 チーム戦で勝利するために協力したり、話をしながら一緒に間違い探しをしたりなどコミュニケーションをとる機会が多々取り入れることが可能です。 普段はあまり会話をされなくても、レクリエーションでゲームをする時だけは明るく笑顔を見せてくださる方もいらっしゃいます。 1人暮らしをしている方はどうしても他の人と話したり笑ったりする機会は少ないですよね。 また家族と暮らしている方でも家族だけとコミュニケーションをとるのではなく、いつもと違った人と会話をすることも大切です。 交流の場があることで前向きでポジティブになれることがレクリエーションの魅力です。 レクリエーションの内容は? レクリエーションを行うときには、目的に合わせて決めることも大切です。 ①個人のレクリエーション 塗り絵や間違い探しなど1人でも楽しめるレクリエーションのことです。 話すことが苦手だったり、できなかったりする方でも行えるのが利点です。 利用者の方の中に本当に上手に絵を描かれる方がいらっしゃって、聞くと昔は絵を描くことを趣味としていたようです。 そのうち趣味を再開して自宅で描いた絵を持ってきてくださるようになりました。 ただ楽しむだけでなく、過去のことを思い出しながら行うことでより脳の活性化につながります。 ②集団のレクリエーション スプーンリレーや棒サッカーなど皆で協力して行うレクリエーションです。 個人戦も良いですがチーム戦にすることで非常に盛り上がり、得られる効果も大きくなります。 もし参加することが難しくても、観戦で応援して一緒に盛り上がれることができるので一丸となって楽しめます。 どうやったら勝てるのか頭や身体を使ったり、応援のため大きな声を出したりするので心身ともに効果があります。 ③運動のレクリエーション デイサービスなどでよく目にする運動マシンをつかった活動です。 理学療法士や機能訓練指導員の元、適切に身体を使って運動機能の維持や向上を目指します。 日常生活の動作とは全く違う動きができるので、運動不足を感じている方もここで補えます。 ④外出のレクリエーション 付近の公園で季節の花を見たり、普段行かない場所に買い物に行ったりするレクリエーションです。 いつも屋内で過ごすのではなく屋外に出ることでリフレッシュできるため楽しみにする方も多くいます。 また自身の足では外出が難しい方にとっては介護スタッフが一緒なので安心して参加できます。 以前外出レクリエーションで紫陽花を見に行ったことで、外に出ることに対して前向きになった利用者の方がいらっしゃいました。 その後その方は最寄りのコンサートを見に行かれて、会場で友人をつくったという話を聞かせてくださいました。 レクリエーションの結果、運動や脳の活性化だけでなく、外出できるきっかけになることもあります。 こんなレクリエーションを行うデイサービスも!? スリーA「予防ディサービス 折り梅」 「スリーA」とは「あかるく、あたまをつかって、あきらめない」の頭文字から来ている言葉です。 「予防ディサービス 折り梅」では、そんなスリーAを意識したサービスを展開されています。 こちらは静岡県内の病院で看護師長として勤務されていた増田未知子氏が立ち上げた施設です。 認知症の進行を食い止めることだけでなく、今よりさらに良い状態になれることを目指しており、楽しく認知症予防に取り組めるようになっています。 さらには毎月第二水曜日に介護保険の有無にかかわらず、付近に住む方たちが気軽に参加できる「さわやか教室」を開催し、スリーA方式のリハビリで認知症予防を行っています。 カジノ型デイサービス「ラスベガス」 東京を中心に全国に展開している「ラスベガス」というデイサービスがあります。 介護施設らしくない黒のミニバンで送迎し、施設内では機能訓練や食事だけでなく、麻雀やパチンコも楽しめます。 運動したりゲームに勝ったりすると「ベガス」と呼ばれる仮想通貨が得られ、まるで本当のラスベガスで遊んでいるようなデイサービスです。 しかし機能訓練の時間もしっかりと設けられていて、デイサービスとしての機能も十分発揮しています。 このような施設はここだけでなく全国で増加しており、楽しんで通うことでより効果を得られます。 レクリエーションの注意点は? ①無理に参加させない 麻痺などで参加が難しい方は勿論ですが、精神的に参加したくない方もいます。 ご家族からなるべく参加するようお願いされている場合を除き、無理矢理に参加させるのは逆効果です。 それにより怒ってしまったり、デイサービスの場合利用中止になってしまう可能性もゼロではありません。 その方の表情を見て参加をお願いしましょう。 ②トラブルが起きないように注意する 「ズルをした」「負けて悔しい」などがきっかけでトラブルに繋がるケースを目にしたことがあります。 ゲームのレクリエーションは盛り上がるのですが、利用者の方によっては本気になりすぎてケンカとなる場合もあります。 そういったトラブルが起きないように相性を考えながらチームを組んだり、職員は盛り上げつつも注意して進行したりすることが大切です。 万が一トラブルとなってしまった場合は、職員が間に入って話を聞いたり、他のことに意識がうつるように会話の内容を変えたりしましょう。 ③ケガには十分気をつける レクリエーションは日常生活とは違った動きをすることも多いです。 転倒やケガなどには気をつけて行ってください。 特にゲームや外出をする場合は、本番を行う前に職員同士で実践したり、想像できる危険性を話し合ったりすると良いでしょう。 ④マイナスな評価はしない 利用者の方の意欲を削ぐような発言は控えましょう。 例えば絵であれば「この花はこんな色じゃない」「塗り絵の色がはみ出ている」など評価する必要はありません。 レクリエーションは楽しむため、心身機能のために行っていることを忘れずにいてください。 利用者の方がポジティブな気持ちで楽しめるよう職員はサポートすることに努めましょう。 ⑤大きな声でハッキリ明るく進める ゲームなどを進行する際は大きな声でゆっくりと分かりやすく、そして明るく行いましょう。 私たちでもテーマパークなどの進行係の方が楽しく進めてくれると、気分がのってより楽しめます。 それと同じように利用者の方の気分を盛り上げることが大切です。 また中には聴力の弱い方もいるので、全員が平等に参加できるように進行しましょう。 まとめ この記事では、レクリエーションの目的や効果、注意点などについて解説しました。 ・レクリエーションの目的は「身体機能の維持や向上」「脳の活性化につながる」「コミュニケーションの場となる」の3つである。 ・コミュニケーションの苦手な方にとって塗り絵などの個人のレクリエーションは良い。 ・ゲームで協力して盛り上がることで脳の活性化につながる。 ・専門職員指導のもと日常生活とは違った運動で行うことで、身体機能の維持や向上に期待ができる。 ・普段外出のできない方でも外出レクリエーションは、安心して参加でき、気持ちのリフレッシュにもなる。 ・無理矢理参加させることはしない。 ・利用者間でトラブルが起きないように職員は注意する。 ・日常とは違う動きとなる可能性もあるので安全に行う。 ・楽しんで行うことが大切なのでマイナスな評価はしないようにする。 ・大きな声でハッキリと明るく進行して、全員が楽しめるようにサポートする。 最後までご覧いただきありがとうございました。

  • 介護の調査訪問とは?家族が準備するためのチェックポイントを解説

    家族に介護が必要な状況となり、「初めて認定調査を受けることになった」という方は、何が必要か分からず不安でいっぱいではないでしょうか。 認定調査は介護者と要介護者にとって非常に大切なものです。 今回は認定調査を受けるにあたって、必要なものや当日スムーズに行えるように事前に準備しておくと良いものをご紹介します。 「認定調査」について では認定調査とはどのようなものなのかを解説します。 認定調査とは? 認定調査とは要介護申請後に申請を受けた市区町村が訪問員を派遣し、要介護者がどの程度自立しているのかを調査することです。 認定調査の聞き取り先は本人と立ち会っている家族や施設の方になります。 これは要介護認定を受けるには必ず必要なことで、デイサービスやヘルパーなどの介護サービスを利用したい方にとって認定調査は必須です。 認定調査を受けるためには? 認定調査を受ける前に、まず市区町村へ要介護認定の申請を行うことが必要です。 要介護認定に必要なものは以下の通りです。 ・申請書(市区町村の窓口またはホームページよりダウンロード可能です) ・マイナンバーカードまたは通知書 ・介護保険被保険者証(65歳以上) ・健康保険被保険者証(64歳以下) ただし、各市町村によって必要なものが異なる場合があるので、事前に役所のホームページなどで確認しておくようにしましょう。 また、かかりつけ医がいる方はその診察券も用意しておくようにしてください。 また認定調査と並行して、市区町村から要介護者のかかりつけ医に「主治医の意見書」を作成するように申し入れがあります。 主治医の意見書とは要介護者の既往歴など、介護するにあたって重要な情報が記載されている大切な書類のことです。 市区町村からかかりつけ医へ依頼されますが、事前に病院へ相談しておくとスムーズですので可能であれば前もって打診しておきましょう。 かかりつけ医がいない要介護者は市区町村が指定した医師を受診することになります。 認定調査の内容とは? 認定調査の所要時間は30分~1時間程度で、74項目を対象に要介護者の普段の様子や困りごとについて調査します。 74項目の調査内容は以下の5つの分野に分かれます。 ①身体機能、起居動作・・・立位、座位が保てるか、麻痺があるかどうかなど ②生活機能・・・食事や入浴、排泄が可能かなど ③認知機能・・・生年月日や短期記憶、意思の伝達が可能かなど ④精神、行動障害・・・被害的な思考ではないか、情緒が安定しているかなど ⑤社会への適応・・・簡単な調理が可能か、薬や金銭の管理が可能かなど これは一部を抜粋したもので全てではありません。 実際の調査はさらに詳細な内容になります。 「認定調査」を受ける前に準備しておくことは? 74項目と聞くと、不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。 その不安から認定調査が終わった後に言い残しや聞き残しがないようにすることが大切です。 当日スムーズに進むように5つのポイントに分けて、事前に準備しておくと良いことをお話します。 ①普段の様子を理解しておく どんな時に介護のサポートが必要だと感じたのかということです。 食事なのか入浴なのか、外出先でなのか都度メモをしておいてください。 徘徊や会話の受け答えが以前と違うと感じた介護者は、動画や写真に残すのも良いでしょう。 特に介護度が低い場合は、初対面の調査員にとってどの程度介護が必要だと理解するのは難しいです。 麻痺があったり、不穏であったり明らかに介護が必要な方であれば、分かりやすいのですが、明るく出迎え、自分で歩行ができている様子を見ると「しっかりしている」という第一印象を受けます。 調査の短い時間の中で、症状が出るとは限りません。 ですので普段の様子をありのまま伝えることはとても大切です。 ②介護者の困りごとを確認しておく 普段の様子を踏まえ、介護者がどんなことで困っているのかを調査員に伝えましょう。 勿論調査対象となるのは要介護者ですが、介護者がどのようなことで困っているのかを伝えることも大切です。 また介護者である家族の住まいが遠方であったり、自身にも体調に問題があったりと介護をすることが難しい方もいます。 介護者の置かれている状況も併せて説明しましょう。 ③認定調査の項目を把握しておく 74項目を記憶する必要はありませんが、当日回答に困らないために調査項目に目を通しておきましょう。 普段の生活で意識していなかったことや、調査項目を見ることで思い出す困りごともあるかもしれません。 ④要介護者に聞かれたくないことはメモで伝える 例えば認知機能の低下により介護が必要だと介護者が判断していた場合、「認知症の可能性がある」と心配していることを要介護者の耳に入れたくない方も多いです。 困っている事実を伝えたくても、要介護者の前で初対面の調査員にありのままを伝えることに抵抗を感じる介護者もいるでしょう。 その時は要介護者から少し離れた場所で会話したり、メモを使って伝えてみたりしましょう。 ⑤病気や怪我なども伝え漏れがないようにする 主治医の意見書があってもそこに全ての既往歴が記載されているとは限りません。 また長年のかかりつけ医が作成した場合ではなく、市区町村が指定した病院で主治医を作成した場合は漏れがある可能性もあります。 些細なことでも良いのでしっかりと伝えましょう。 「認定調査」で気をつけたいこと 認定調査で決定される介護度はとても重要です。 介護度によって受けることができる介護サービスに制限があったり、介護保険を利用できる額も変わってきます。 調査員に適切な判断をしてもらえず実際の介護度より低く判定されてしまった場合、介護者にとっては大きな負担となりかねませんので注意が必要です。 ここでは特に気をつけたい点を2つご紹介します。 ①認定調査にはなるべく立ち合いましょう すでに入所をしていて施設で認定調査を受ける場合はそこの施設職員が立ち合うことが多いですが、自宅で受ける場合は要介護者本人1人で受けることができます。 遠方であったり、やむを得ない都合でどうしても難しい場合を除き、認定調査には必ず立ち合ってください。 認定調査に立ち会う人数に制限は基本的にありません。 様々な目線から調査員に現状を伝えましょう。 立ち合いが必要な理由を例として挙げると、初対面の方やお客さんを前にすると普段よりハキハキと話すことができたり、調子が良くなったりするという話を耳にしたことはありませんでしょうか? また歩行にふらつきのある方が認定調査の際にしっかり歩いてまるで別人のようになるなどは聞いたことがありますよね。 調査員に「何でもできる方だ」と判断されてしまうことを避けるために、本人1人だけで認定調査を受けることはなるべく避けましょう。 また先ほど話した通り、介護者や家族の立場から困っていることを伝える必要もあります。 ②「認定調査」について要介護者にどのように伝えるか 後期高齢者であったり、自覚症状が強くある方は「介護サービスを日常に取り入れよう」と言われても抵抗なく受け入れられるかもしれません。 しかしまだ60代、70代で周りに介護を受けている人が少ない年齢の方や、自覚症状のない方はいきなり「介護」と言われると受け入れ難いものです。 そのような方に「介護サービスを使ってほしいから認定調査を受けよう」と伝えるとどうでしょうか。 調査員が訪問しても普段の姿で認定調査が受けられなかったり、頑張ってしまったり、そもそも認定調査を受けてくれない可能性もあります。 ですので「認定調査を受けよう」ではなく、「市から健康調査のために調査員が来る」というような直接的な表現を避けて要介護者の自尊心を傷つけないように配慮しましょう。 このような表現を要介護者にすることで、嘘をついているような感覚になり罪悪感のある方もいます。 そのような場合は要介護者と向き合い、介護者自身が困っていることや協力してほしいことを本人に伝えてみましょう。 気持ちが上手く伝われば要介護者、介護者両者ともに積極的に認定調査を受けることができます。 まとめ いかがでしたでしょうか。 初めての認定調査で分からないことも多く緊張してしまいますが、要介護者本人がなるべく普段通りの様子でいることが一番大切です。 適切な判断をしてもらえるように立ち会う方はサポートに努めましょう。 ・要介護認定を受けるために認定調査は必須で、申請した市区町村から調査員が訪問する。 ・かかりつけ医がいる方は事前に打診しておくと主治医の意見書をスムーズに作成できる。 ・認定調査では74項目の質問をされて、およそ30分~1時間の時間を要する。 ・要介護者の普段の様子を理解しておき、メモや動画などに残すことが良い。 ・介護者の立場から困っていることをメモしておく。 ・認定調査の当日に焦りがないように調査項目には目を通しておく。 ・要介護者に聞かれたくないが、調査員に伝えたいことはメモに書いて渡す。 ・主治医の意見書だけでは不十分な場合もあるので、既往歴や身体で心配のある部分は伝える。 ・要介護者1人だけで認定調査を受けることも可能だが、普段と違う振る舞いをしてしまう恐れもあるので可能な限り調査には立ち会う。 ・「介護」というワードから認定調査に構えてしまう要介護者には直接的な表現は避ける。 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • 介護保険で住宅改修をしよう!改修箇所別のポイントを解説!

    高齢者の暮らしを支える住宅改修。 有効に使って、要介護者も介護する人も共に暮らしやすいようにしたいですよね。  介護保険での住宅改修ができるのは下記の5箇所と決まっています。 手すりの取り付け 段差解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のためのまたは通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え これから、それぞれのポイントや注意点を紹介します。   手すりの取り付け 介護保険の住宅改修でもっとも工事件数が多いのが、手すりの取り付けです。 手すりは、歩行や立ち上がりの補助をする働きがあります。 そんな手すりですが、たくさん取り付けても意味がありません。 邪魔になって通路が狭くなったり、使わない可能性があるからです。 生活動線や本人の能力を考慮したうえで、手すりを取り付けるようにしましょう。   手すりの役割  手すりの役割は、以下のようなものがあります。 立ち上がりの補助 歩行の補助や誘導  それぞれ、詳しく紹介していきます。  立ち上がりの補助 加齢とともに筋力が落ちて、立ち上がりに時間がかかったり、1人でできなくなりがちです。 そうなると、誰かの手助けが必要になって、介護の負担が増えることになってしまいます。 しかし、すりにつかまれば、立ち上がりが楽にできるようになります。 手すりが、立ち上がりを助けてくれるからです。 たとえば、トイレの壁に手すりを取り付けた場合には、手すりにつかまってスムーズに立ち上がることができます。  1人で立ち上がりができるようになるためにも、介護負担が増えないためにも、補助をしてくれる手すりの取り付けが重要です。  歩行の補助や誘導  加齢とともに落ちるのは、筋力だけではありません。 バランス能力も低くなってふらつきが多くなり、転びやすい状態になります。  壁に手すりを取り付けることで、転ばずに歩くことができます。 手すりが、ふらつかずにバランスをとる支えになるからです。 例えば、夜中にトイレに行きたくなると、トイレまで移動するために暗い場所を歩かなくてはなりません。 そんな時に廊下にに手すりがあることで、移動を助けてくれたり、誘導してくれるので、転ばずに歩くことができます。 転ばずに目的地まで歩くためにも、手すりの取り付けが重要になります。  手すりの種類  手すりには、大きくわけて、5種類あります。  横手すり 縦手すり(I型) L字型 階段用 据え置き型  しかし、どのタイプを取り付ければいいのか迷ってしまいがちです。 それぞれ、どんな時に使用するのか、詳しく解説します。  横手すり  横手すりは、地面に対して水平に取り付ける手すりで、もっとも一般的なタイプです。 つかまって移動する時に使用できるため、廊下や玄関への取り付けが多くみられます。   縦手すり(I型)  縦手すりは、地面に対して垂直に取り付ける手すりです。 段差を上がる時や立ち上がりの時の補助になるので、玄関やトイレに取り付けることが多いタイプになります。  L字型  L字型の手すりは、横手すりと縦手すりが一体化したものです。 立ち上がりと立位保持の手助けをするので、トイレや浴室に取り付けることが多くみられます。  階段用  階段用の手すりは、階段の昇り降りを補助する手すりです。 両側にとりつけることが望ましいですが、片側だけの時は降りる時の利き手側に取り付けるようにしましょう。 しかし高齢者は自室を1階にしていることが多いため、使用する頻度が少ないです。  据え置き型  床に置いて使用するタイプの手すりです。 手すりを取り付けることができない場所にも置くことができます。 工事を必要としないため、住宅改修での対応はできません。 福祉用具貸与での対応になります。  段差の解消 次に、段差の解消です。 対象は、自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差になります。 電力で稼働する段差昇降機や工事を伴わないスロープは、福祉用具貸与の対象外になりますので注意しましょう。  それでは、場所別に解説していきます。  玄関  玄関の上がりかまちは、高齢者にとって大きな障害です。 特に日本家屋は段差が高く、上がるのが大変だからです。 工事としては式台の設置が行われますが、工事を伴わない場合は、介護保険の対象外になります。  駐車場  高齢者にとって屋外の移動は段差も多く、転倒のリスクが高くなります。 筋力やバランス能力など、身体機能が低下しているからです。  たとえば、病院に行く時など外出の際には、駐車場に移動する必要があります。 駐車場までに段差など障害がある時は、スロープを設置したり、階段の段数を増やして、一段ごとの高さを低くすることができます。 敷居 若い人にとってなんともない少しの段差でも、高齢者にとっては転ぶ要因になります。 敷居などは取り外すことが難しいので、小さなスロープを取り付けて段差を解消します。 この時、1/4〜1/5の勾配にすることがポイントです。   滑りの防止及び移動の円滑等のための床または通路面の材料の変更 床などの通路は素材によっては、滑りやすく転倒しやすい要因になっています。 材料を変更することで、転倒予防を図ることができるのです。 もしくは、畳やカーペットでは車椅子の運びが悪いため材料を変更することで、移動をしやすくなります。  ただし、生活動線以外の工事や老朽化によるものは、対象外ですので注意してください。 引き戸等への扉の取替え [caption id="attachment_1295" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 日本の玄関は、「開き戸」が多く使われています。 しかし、「開き戸」は、筋力が低下した人にとっては、開け閉めがつらいものになります。 扉の開け閉め時に、扉の開きしろを考慮するため、筋力やバランスが必要になるからです。 そこで、「引き戸」にすることで、扉の開きしろを気にせずに開け閉めができます。  ちなみに、ドアノブをレバー型に変更することも、住宅改修の対象です。 ただし、扉の老朽化といった交換は、対象外になっています。   洋式便器への取替え 洋式便器への取替えは、和式便器を洋式便器に取り替える場合が一般的に想定されています。 その他、どういった工事が対象になるのか、紹介します。  和式便器を洋式便器へ  現代では少なくなりましたが、日本家屋では和式便器が主流で、現在も残存しているところがあります。 ですが、和式便器は高齢者にとって、使いにくいものです。 しゃがむ動作をする必要がありますが、足の変形から痛みを伴い困難になっていきます。 また、筋力も低下しているので、しゃがんだはいいものの、立ち上がれなかったりすることもあります。  こういった時に、洋式便器への交換は有用です。  暖房・洗浄機能付便器への取替え  現在洋式のものを交換はできませんが、和式を洋式に変更する時は住宅改修の対象になります。  便器の取替えに伴う給排水設備工事  便器を取り替える時は、水回りの交換も必要になりますが、給排水にかかわる工事も住宅改修の対象です。 ただし、もともと水洗だったトイレのみになります。  便器の取替えに伴う床材変更  便器を取替える時は、床や壁も改修が必要になりますが、これも対象になります。  こういった時は対象外  住宅改修の対象外にもなる工事もあります。 洋式トイレを新設 手洗い器やペーパーホルダーの新設 基本的に、新設する場合は対象外です。 既存のものを交換する場合のみ対象になりますので、ご注意ください。  まとめ ここまで、介護保険での住宅改修のポイントや注意点を箇所別にわけて、紹介してきました。  ・手すりは歩行や立ち上がりの補助をするが、たくさん取りつけても意味がない。  手すりは数タイプあるので、目的や場所によってわける。 ・段差解消は自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差をなくすもの。  工事を伴わない段差解消機やスロープの取り付けは、住宅改修の対象にならない。 ・床または通路面の材料の変更は、生活動線以外や老朽化によるものは対象外。 ・引き戸等への扉の取替えは、高齢者にとって開け閉めが難しい開き戸を取替える時に有用。  開けやすいドアノブへの変更も住宅改修の対象だが、老朽化による扉の交換は対象外。 ・洋式便器への取替えは、一般的に和式便器を洋式便器に変更する時。  洋式トイレやペーパーホルダーを新設する場合は対象外。 親に元気に家で過ごしてもらうために、住宅改修を利用して生活環境を整えましょう。  そのためには、箇所別にポイントを把握しておくことが大切です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

  • 福祉用具の住宅改修とは?基本的な内容から注意点まで解説! 

    介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。  ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは  住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。  親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。   福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption]  「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。   どんな人が使えるの?   住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている  介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。  介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。  入院中などではなく、現在家で生活している  住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。  しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。  家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。  本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る  住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。   いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。  住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。  ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。   1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は?   住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。  要介護度が3段階以上上がった時  要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。  引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。   支払い方法は?   住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。  償還払い  償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。  受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。  ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。   まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。  住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 認知症専門医とは?かかりつけ医から専門医に変更するメリットを解説!

    「認知症専門医」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。 認知症を患った場合、進行を遅らせるための治療が重要です。 そのため、医師の選び方も関わってきます。 今回は、認知症の医療に特化した認知症専門医について紹介します。 認知症専門医とは? 認知症専門医とは、日本認知症学会および日本老年精神医学会に認定されている医師で、全国に約2,000人存在します。 主に精神科、神経内科、老年科に在籍しており、認知症の早期発見や早期治療を担っています。 しかし、人数が少ないため、お近くの病院に在籍していないこともあるので注意が必要です。 良い認知症専門医の見分け方 良い認知症専門医の見分け方のポイントは以下の3つがあります。 MRIなどの「画像診断」を行ってくれる 「認知症テスト」を実施してくれる 定期受診時に丁寧な「問診」を行ってくれる ここでは、3つのポイントをそれぞれ解説します。 丁寧な「問診」 良い認知症専門医の見分け方のポイント1つ目は「問診」です。 問診は、定期的な受診をすると必ず行われるものですが、内容が最も重要です。 良い認知症専門医は、認知症患者にどのような症状や行動があるのか、現状家族にどのような負担があるのか等、丁寧な聞き取りをしてくれます。 また、前回の受診時からそのような変化があるのか、それに対して今後の医療計画や薬の処方内容はどうしていくのか、話し合いの時間を設けてくれます。 介護家族は認知症患者の日々の様子や変化をしっかり専門医に伝えられるよう、現状の把握しておきましょう。 デイサービスや高齢者施設を利用している場合は、介護スタッフから事前に聞いておくことが重要です。 CTやMRIなどの「画像診断」 良い認知症専門医の見分け方のポイント2つ目は「画像診断」です。 CT(コンピュータ断層装置)やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)などを使い、脳の状態を画像で判断します。 実際の脳の画像を元に、認知症が以前と比べてどれだけ進行しているか、服用している薬の効き目があるのかを診断するため、より確実な医療方針を決められます。 また、定期的に画像診断を行うことで、認知症の進行度合いも把握できます。 数値化する「認知症テスト」 良い認知症専門医の見分け方のポイント3つ目は「認知症テスト」です。 認知症テストとは、認知機能障害の有無を調べるために行う簡単なテストです。 長谷川式スケールやMMSEという種類があり、テストの結果で認知症の状態を数値化し、どのくらいの認知機能障害があるか判断します。 認知症テストをすることで、実際にどれくらい認知症が進行しているのか把握できます。 認知症専門医を見つけるためには? 認知症専門医を見つけるために有効な手段は、「ケアマネジャー」や「地域包括支援センター」を尋ねることです。 ケアマネジャー ケアマネジャーは、介護や支援を必要とする方から相談を受け、心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるように介護計画を作成する役割を担う人です。 ケアマネジャーは、実際に介護現場で認知症患者のケアを経験したことがある人も多く、小認知症患者や介護家族に対しての理解があります。 地域の居宅介護支援事業所に常駐しているため、近くの事業所を探しましょう。 地域包括支援センター 地域包括支援センターは、地域内の高齢者の相談や権利擁護、支援体制作り、介護予防に必要な援助などを行う公的機関です。 全国に約5,000ヵ所以上あり、介護の必要の有無に関わらずすべての高齢者の相談を受ける施設です。 ホームページで確認する 認知症専門医は日本老年精神医学会と日本認知症学会のホームページからも検索することが出来ます。 公益社団法人日本老年精神医学会 日本認知症学会 また厚生労働省は、全国約250カ所に 「認知症疾患医療センター」を設置してます。 ここでは認知症専門医が鑑別診断や治療、精神保健福祉士などの専門の相談員による医療福祉相談など医療・福祉関係者を支援する体制が整えられているので、こちらを利用するのもいいかもしれません 認知症疾患医療センター 直接認知症専門外来を受診する方法もありますが、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。 認知症専門医にかかるメリット 認知症には治療法がないため、「早期発見・早期治療」が重要です。 早期発見から早期治療につなげることで、進行を遅らせることができます。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるメリットは、主に以下の4つがあります。 知識や経験が豊富なため、選択肢が増える 患者本人の変化や状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる 大きな病院などの医療連携が速やかである 選択肢が増える 認知症専門医にかかるメリット1つ目は、知識や経験が豊富なため「選択肢が増える」ことです。 かかりつけ医は認知症に関する知識が少ない場合もあります。 認知症には、明確な治療法がなく、一人ひとりの症状や環境に合わせたケアが重要です。 知識や経験が豊富な認知症専門医にかかることで、具体的なケアを考えることができます。 患者の状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット2つ目は、患者本人の変化や状態を把握し「常に医療方針を考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、認知症患者の心身の状態を把握し、新しい医療方針を提供してくれます。 かかりつけ医の場合は、定期検診で認知症患者に異常がなければ簡単に診察を終わらせてしまう可能性があります。 介護家族の負担を減らすことを考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット3つ目は、「介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、介護家族の負担を減らすことを考えて、医療方針を考えてくれます。 介護が負担になるという理由で薬を増やすだけでは、意味がありません。 飲み方を変える、別の薬を利用するなど、家族の意見とともに医療方針を決めていきます。 医療連携が速やかである 認知症専門医にかかるメリット4つ目は、大きな病院などの「医療連携が速やかである」ことです。 認知症専門医が在籍する科には、「認知症センター」や「もの忘れ外来」など認知症が専門となります。 認知症の専門外来には、脳の画像検査機器であるCTやMRIが設置されていることが多く、認知症患者の状態を正確に把握できます。 また、大きな病院とも連携しており、必要があれば速やかに受診できる仕組みです。 どのような時に認知症専門医にかかる? ここまで、認知症専門医について紹介しました。 しかし、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えれば良いのかわからない方も多いのではないのでしょうか。 認知症には明確な治療法がないため、認知症患者に合わせた早期治療が大切です。 以下の点が思い当たる場合、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えることをおすすめします。 認知症の症状の進行が明らかに早い 症状に変化があった場合、薬の調整しか行わない 認知症の進行が明らかに早い 認知症の進行が明らかに早いと感じた場合、治療法が合っていない場合があります。 認知症専門医に相談することで、薬以外の治療法も見つけることが可能です。 例えば、リハビリなどの運動療法や、楽器などを使用する音楽療法も効果が期待できる治療法などがあります。 治療で薬の調整しか行わない 認知症の症状である、うつ・徘徊などの治療薬として、抗精神病薬や睡眠薬が処方される場合があります。 しかし、患者の症状が進行した際、過度に服薬をすると副作用が大きくなります。 薬が効きすぎると、意識が朦朧とする、歩行が不安定になるなどの症状が現れることがあり、転倒などのリスクも高くなるため注意が必要です。 まとめ 今回は、認知症専門医についてと認知症専門医にかかるメリットをお伝えしました。 認知症専門医は、日本に約2,000人存在し、認知症の早期発見や早期治療を担う医師である。 良い認知症専門医を見分けるための3つのポイントは、「丁寧な問診」「CTなどを利用した画像診断」「認知症テストを用いた診断」である。 認知症専門医は、認知症患者の変化をしっかり把握し、医療方針を考えてくれる。 認知症専門医にかかるメリットは、「選択肢が増える」「患者の状態を把握し常に新しい医療方針を考えてくれる」 「介護家族の負担を減らすことを考えてくれる」「医療連携が速やかである」の4つである。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるタイミングは、「認知症の進行が明らかに早い」「治療で薬の調整しか行わない」場合である。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 将来介護されることになった時はどうすればよい?先の不安に備えてやっておくことをご紹介

    将来介護されることになったら不安ですよね。 不安を解消するには、早め早めの対応と備えが大切です。 今回は、将来介護されることになった時の備えを紹介します。 将来介護されることになった時の不安な理由は? 将来介護されることになった時の不安な理由は、家族に迷惑をかけたくない、頼れる人がいない、病気に対する不安、経済面が心配、など人によって様々です。 中にはよく分からないけど、不安を抱えているという人もいます。 この章では、内閣府が55歳以上の人を対象に、介護の不安に対する調査を行った結果を元に具体的な理由を紹介します。 まずは自分が何に対して不安を感じているのか整理してみましょう。 介護に対する不安な内容 ①家族に肉体的・精神的負担をかけること  50.6% ②身体の自由が感じられなくなること    40.5% ③介護に要する経済的負担が大きいこと      28.8% ④特に理由はないが、漠然と不安を感じる  22.2% ⑤人生の楽しみが感じられなくなること   20.6% ⑥希望する介護施設等に入られないこと   17.8% ⑦収入がなくなること           16.7% ⑧特に不安なことはない          15.6% ⑨介護をしてくれる家族がいないこと    14.1% ⑩現在の住宅構造に問題があること     10.5% 約半数の人が、家族に肉体的・精神的負担をかけることを不安に感じていました。 一番の理想は住み慣れた家で最後を過ごすことですが、核家族が多い中では難しいのが現実です。 また、他にも身体面や経済面が不安といった内容も多かったです。 環境面では介護状態になった場合、現在の家に住めなくなるという心配点もあります。 不安な理由は、5つに分類できます。 次の章では、不安な理由を分類し今からできる備えをご紹介します。 将来介護されることになった時の解決策と備え 介護をされることになった時に不安を感じる具体的な内容が分かった所で 理由を分類すると大きく5つに分かれます。 ①家族 ②身体面 ③経済面 ④環境面 ⑤生きがい この分類を元に不安に対する対策を考えていきましょう。 ①家族について 解決方法は、家族に自分が思っていることを正直に話すことです。 具体的な内容は自分が不安に思っていること、自分の生活や人間関係、必要であればお金のことや希望の施設があれば話しておくと安心です。 直接話すのが難しい場合は、紙に書いておくと分かりやすいです。 子どもが遠くに住んでいたり、配偶者が先立っている場合があります。 いざという時の保証人を決めておきましょう。 介護施設を利用する場合、「緊急時に対応してくれる人」が必要です。 保証人がいないとなると利用できない場合があります。 調査結果で一番多かった回答が「家族に迷惑かけたくない」というものでした。 核家族がすすみ、介護は家族がするものという価値は変化しています。 まずは、自分自身ができることから始めましょう。 ②身体面 運動や規則正しい生活をしたり、定期的に病院に通うなど、いわゆる「介護予防」をしておくことが大切です。 介護予防とは要介護状態の発生をできるだけ遅らせることと定義されています。 具体的な内容は、運動機能の維持や食生活の見直しなどがあげられます。 身体のことだけではなく、社会参加や生活の中での役割を持って 生きがいがある生活を送っていくことも大切です。 参考サイト:厚生労働省 介護予防について ③経済面 まずは毎月の収支やどれだけのお金を持っているか金銭面の把握をしましょう。 預貯金以外にも、契約している保険や不動産関係も確認しておくと安心です。 老後の費用を「増やす」という方法もあります。 増やす方法は、貯蓄・投資・保険の3種類です。 ・現在の収支から出来る範囲でお金を貯めていく「貯蓄」 ・投資信託や株式などを購入し利益を見込む「投資」 ・日常で起こるリスクに備えて準備をしておく「保険」 それぞれに経済状況が違うので自分にあった方法を活用することも大事です。 ④環境面 家の中の片付けや不用品の処理を元気なうちにしておくと安心です。 高齢になると筋力の低下とともに転倒するリスクが高くなります。 そして、転倒する多くの場所が自宅内なので、片づけをすることで転倒予防になります。 また、自宅内の転倒が多い場所は以下の通りです。 ①お風呂場 ②庭・駐車場 ③ベット・布団 ④玄関・勝手口 ⑤階段 転倒の原因は滑る・つまずく・ふらつく・移動している時・引っ掛かるなどです。 家をバリアフリーにするにはお金が掛かりますし、賃貸の場合は住宅の改修ができません。 家の片づけはすぐできるので動線を確保したり、使用頻度が高い物は取りやすくしておくなど住宅を見直ししておきましょう。 参照サイト:消費者庁 ⑤生きがい 生きがいとは、「人生の価値」や「生きていく喜び」などと表記されています。 価値や喜びは人それぞれ違うので、生きがいもその人によって異なります。 シニア世代は仕事を退職したり、子育てがひと段落するので、生活に張り合いがなくなったと感じる人が多いです。 そこで「生きがい」が大切になってきます。 では「生きがい」はどうやってみつけるのでしょうか。 生きがいを見つける4つのポイント ①自分が楽しい・嬉しいと感じること ②社会参加や役割を持つ ③新しいことにチャレンジする ④暮らしの中で幸せを感じるよう意識する これを軸としてこの機会に生きがいを考えてみてくださいね。 将来の介護に対する不安に対しての具体例を紹介 ここの章では、高齢期に備えてみんながどんな備えをしているのか、アンケートを行った結果をご紹介します。 ぜひ参考にしてみてください。 ①健康維持・体力作り  64% ②日々の節約・体力作り 51% ③身の回りの整理をしておく  36% (不用品の処分、通帳、クレジットカードなど重要書類の整理、運転免許証納品など) ④資産形成    35% (金融商品への投資、保険商品の加入など各種資産運用) ⑤長く続けられる趣味・娯楽を始める 33% ⑥老後の家計予想・シミュレーション 30% ⑦家族、親戚、知人、近隣などとの付き合いや交流の拡充・維持 19% ⑧高齢期に住む住宅の検討または購入 11% アンケートの中身を具体的に見ていくと、健康に対する意識は、9割以上が日頃から自分の健康状態に気を付けて生活しているとの回答があがっています。 また、「定期的な健康診断」「食事の管理」「適度な運動スポーツ」を行っている人が6割です。 健康に関しては、日頃から取り組んでいる人が多いという結果でした。 参考サイト:2019年10月高齢期の暮らしに関する意識調査・実態調査 将来介護される前に備えておくことが大事 将来、介護されるのは誰だって嫌だし不安ですよね。 筆者自身、介護職として約10年間施設で働いていましたが、介護をしてほしいという人はいませんでした。 可能であれば、自分でできることは自分でしたい、身の回りのことは自分でしたいという人が大半です。 しかし、早めに対策しておくことで介護が必要になった時の備えはできます。 人それぞれに価値観や環境が違うので、出来ることから自分に合った備えをしていきましょう。 まとめ 今回は、将来介護が必要になった時の備えについてご紹介しました。 いかがでしたでしょうか。 ・将来介護が必要になった時の不安な理由を整理しておくこと大事である ・不安な理由を大まかに分類すると①家族②身体面③経済面④環境面⑤生きがいについての5つである ・この理由を元に将来介護が必要になった時の備えをしていく方法がある ・平成29年に実施したアンケート結果を参考にしてみる ・将来介護が必要にる前に出来ることから早めに対策しておくことで備えができる 最後まで読んでいただきありがとうございました。  

  • 認定調査で納得できる結果を出すポイントとは?認定調査の流れや内容をご紹介!

    親の認定調査を受けたら思ったより低い結果が出て納得できなかった方もいるのではないでしょうか。 なぜ、実際と違う結果が出るのか、気になりますよね。 今回は正しく認定を受けられるように、認定調査を受けるポイントを紹介します。 これから介護認定を検討している人もポイントをおさえて、正しく認定を受けましょう。 認定調査とは 認定調査とは、正式には「要介護認定調査」といいます。  介護保険サービスを受けたい時は、介護の必要度を判断する「要介護・要支援認定」を受けなければなりません。 「要介護・要支援認定」を申請すると、認定調査員が自宅に訪問し、心身状態について、本人や家族に聞き取り調査が行われます。  認定を受けるためには、認定調査を受ける必要がありますが、適当ではいけません。 正しく認定調査を受ける必要があります。 認定調査次第では、認定結果が変わってくることがあるからです。 介護度によって介護保険を使える額が違うので、利用できる介護保険サービスや回数に差が出てきます。 そのため、正しく認定調査を受けることが大切なのです。   要介護・要支援認定の流れ 要介護・要支援認定の流れを紹介します。   申請  ↓  主治医意見書の作成 ↓  認定調査  ↓  一次判定  ↓  二次判定  ↓  認定通知  認定調査は、調査員である市町村の職員やケアマネジャーが自宅訪問を行います。 そこで、本人と家族に聞き取りと、本人に動作の確認を行うのです。 認定調査員は聞き取りや動作確認の内容を、認定調査票に書き込んでいきます。  認定調査の内容は、介護の手間にかかわる審査判定である「一次判定」に大きく影響します。 認定調査の内容と主治医意見書の一部は、コンピューターで審査されるからです。  「二次判定」は、「一次判定」の結果と主治医意見書をもと、「介護認定審査会」が介護認定を行います。 認定は「非該当」、「要支援1・2」、「要介護1~5」の8段階から決定します。 認定結果は申請から1ヶ月程度で決定、家に被保険者証が郵送にされる流れです。   認定調査の内容 [caption id="attachment_891" align="alignnone" width="512"] Check list and marker[/caption] 聞き取りと動作確認の内容ですが、全部で74項目あります。 大きく分けると7項目ありますが、本人や家族に確認されるのは6項目です。 「できる・できない」か、「介助が必要かどうか」を答えます。  ① 身体機能・起居動作(体の動かしにくさや歩くなどについて) ② 生活機能(食べる、排泄するなどの日常動作について) ③ 認知機能(生年月日が言えるか、直前にしていたことを思い出せるかなど短期記憶について) ④ 精神・行動障害(ひどい物忘れや被害妄想などの症状があるかについて) ⑤ 社会生活への適応(薬の内服や金銭管理について) ⑥ 特別な医療(点滴・胃ろう・人工透析をしているかについて) ⑦ 日常生活自立度  その他にも、「概況調査」があります。 家族構成や介護保険を申請した経緯、利用したい(続けたい)サービスについての確認です。    認定調査を受けるポイント  認定調査を行き当たりばったりで受けるのはおすすめしません。 認定調査の内容が、要介護度決定に強く影響するからです。 介護度次第で、利用できるサービス額や内容が大きく違ってきます。 ここでは、認定調査前におさえておきたいポイントや、当日に心がけたいポイントについて紹介します。  認定調査を受ける前のポイント 認定調査を受ける前に、以下のことを確認しましょう。  普段している介護内容をメモしておく 毎日の生活でどのような介護を行っているのか、メモをしておきましょう。 今どんなことに困っているのかも、合わせてメモをとっておくと、認定調査員に伝えやすいです。 認知症がある時は、どのような行動があったのかも忘れずに。 これまでにした病気やケガをまとめる 主治医意見書にも記載されますが、すべてが記載されるとは限りません。 介護を行っていて気になる病気やケガがあれば、メモにまとめておきましょう。 本人がいる前では伝えにくいことをメモしておく 認定調査を受ける中には、プライドが高かったり、家族とは違った内容を話す人もいます。 これでは正しい認定結果が出にくくなるため、前もってメモにまとめておきましょう。 認定調査当日に、認定調査員にメモを渡すのがおすすめです。   認定調査当日のポイント 認定調査当日に確認しておきたいポイントは、以下のことです。 体調が良い日に受ける 体調が悪い日に、無理して認定調査を受けるのは避けましょう。 普段と違った状態のため、正しい調査を受けにくくなります。 調査を受けるのが難しそうな時は、早めに認定調査員に連絡をして、日程の調整をしましょう 必ず家族が立ち会う 本人だけで認定調査を受けると、普段できないことをできると答えたり 現状と違う内容が反映されることがあります。 プライドの高さや認知症があると、このような事態が起きます。 必ず家族も立ち会い、現状を認定調査員に伝えましょう。 困っていることを具体的に伝える 認定調査員に、ただ困っていると伝えるだけでは、正確な判断が難しくなります。 「どういった時にどんなことに困っているのか」など、具体的に認定調査員に伝えましょう。 例)夜中によくトイレに行くが、手すりもないので、フラフラしながらトイレに行っており、毎回付き添わなければいけないので大変等。 ありのままの状態を伝える 認定調査員に状態をひかえめに伝えたり、オーバーに伝えたりすると、再調査になる可能性があります。 主治医意見書と内容が合わずに、矛盾しているととられるからです。 受けたいサービスを受けるのも遅れたり、要介護認定の結果が出るのに時間がかかります。 必ずありのままの状態を伝えるようにしましょう。 認定調査当日に出ていない症状も伝える 当日に出ていない症状についても、認定調査員に必ず伝えましょう。 特に認知症がある場合は、症状も日や時間帯によって症状がみられないこともあるからです。 例)午前中は穏やかにしているが、午後になると表情が一変して暴言が出たりするなど   認定結果に納得できない時は  認定結果に納得できない時は、「不服申し立て」ができます。 「不服申し立て」は都道府県に設置されている、介護保険審査会で行います。 「不服申し立て」を行うことで、再度認定調査や判定が行われるため、認定結果が変わることがあります。 ただし、調査や判定には時間がかかり、結果が出るまでに3ヶ月程かかりますので、注意してください。 申請は、認定結果が出た翌日から60日以内に行う必要があります。  また、「区分変更申請」をする方法もあります。 「区分変更申請」は、現在の介護度と現在の状態が合っていない時に申請するものです。 申請することで、要介護度を再判定してもらえます。 「区分変更申請」は申請期限がないため、いつでも行うことができ、結果が出るのも1ヶ月程度です。    まとめ ここまで、正しく認定を受けるために、認定調査を受けるポイントを紹介してきました。 ・「要介護認定、要支援認定」を申請すると、認定調査員が本人や家族に心身状態について聞き取り調査を行う。 ・聞き取り調査後に判定があり、約1ヶ月で結果が出て、自宅に被保険者証が郵送される。  ・認定調査の内容は、全部で74項目。概況調査もある。  ・認定調査前と当日に、ポイントを確認して認定調査を受けると、正しい認定が出やすくなる。  ・認定結果に納得できない時は、結果が出てから60日以内に介護保険審査会に「不服申し立て」を行う。  ・「区分変更申請」であれば申請期限はなく、再認定が出るまでに1ヶ月程度かかる。 上記のぜひポイントをおさえて、認定調査を受けましょう。 正しく認定調査を受けることで、思っていた介護認定と違う事態を避けられます。 また、使いたいサービスも利用できる可能性も高くなります。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 認知症は生活習慣改善が鍵だ!症状改善の試みやメカニズムを解説!

    皆さんは、記憶が失われていくアルツハイマー型認知症の症状改善に対する新たな試みが「NHK BS」の放送で紹介されたのをご存知ですか。 これまでは、薬による症状の進行を遅らせることが主な治療であった認知症が、生活習慣を徹底的に見直すことで症状を緩和するという新たな試みがクローズアップされて紹介されました。 認知症の症状や対策、改善事例を知ることで、認知症に対処できる明るい未来も見えてきているのです。 この記事では、認知症に苦しむ患者や家族にアメリカの脳科学者が提案した新たな治療法の模索など、最新の認知症に関する情報について紹介します。 未だ課題はありますが、認知症に苦しむ方やご家族の方は ぜひご一読ください。 認知症の症状改善に新たな試み 認知症は、今まで、改善する治療法はなく、唯一、薬で症状の進行を抑えるだけの対処法しかない症状でした。 しかし、現在では症状を改善させようとする新たな試みが注目されています。 その方法とは、食事や運動という生活習慣の改善により、症状を改善させる試みです。 ここでは、生活習慣を改善することで、認知症の症状を改善させる新しい方法について紹介します。 生活習慣改善は新たな認知症対策 認知症の患者数は、アメリカで約600万人、日本では約400万人といわれています。 認知症に苦しむ患者や家族は、社会でさまざまな制約を受けてしまいます。 認知症で日常生活まで支障を生じている現状を改善するために、主に薬による治療を受けているのが現状です。 しかし、近年、アメリカの脳研究者であり、アルツハイマー病の権威である医学博士デール・ブレデセン氏の30年間の研究の成果が世界で脚光を浴びています。 薬に頼らない認知症予防 デール・ブレデセン氏によると、認知症は薬だけの治療は症状の進行を抑えるだけで、根本的な治療ではないため、新たな治療法が必要だと説いていました。 その新しい治療法とは、生活習慣の改善(リコード法)です。 この方法は、薬に頼らず、生活の中心となる5つの習慣を見直すことで認知症を改善しようとする試みです。 生活習慣の基本5か条(リコード法) 生活習慣の基本5か条とは、次の5つの習慣を見直せば、認知症に効果があるとされ、リコード法と呼ばれています。 食事・・・・糖質を野菜中心の食生活に変える(ブロッコリーは特に効果的) 運動・・・・毎日30分以上の有酸素運動を行う 睡眠・・・・8時間の睡眠が必要 プチ断食・・夕食は寝る前の3時間までに摂る、夕食から朝食まで12時間は空ける ストレス軽減・・めい想する その他の環境・・毒性物質(カビ、大気汚染など)も影響する ヘルスコーチとの二人三脚 ヘルスコーチとは、医師の診断結果に基づき、生活習慣や環境を指導する役割を担います。 医師は病気の専門家ですが、食事などの生活習慣に対する具体的な改善方法までは提示しません。 特に認知症の症状改善には、生活習慣の改善が効果的であるため、ヘルスコーチによる生活改善が主体の治療が必要になります。 ヘルスコーチと患者や家族との二人三脚が大切なのです。 ある脳研究者の挑戦 アメリカの脳科学者でアルツハイマー病の権威であるデール・ブレデセン博士は、カリフォルニア大学で30年、認知症の研究を行ってきました。 その研究の中で、脳には1,000億個の神経細胞があり、アルツハイマー型認知症は神経細胞の先端のシナプスが死滅するメカニズムで発症することを突きとめたのです。 しかし、認知症の症状はさまざまで、現状は薬で症状の進行を抑える治療に留まっています。 デール・ブレデセン博士は、生活習慣の改善により認知症は改善するという信念のもとに、アルツハイマー病協会(アメリカ・シカゴ)に協力を求めています。 認知症の現状 認知症の現状として、人によって症状はさまざまです。。 しかし、医師の処方や診察、ヘルスコーチの指導による生活習慣を改善することで、認知症の進行は抑えられている症例を紹介します。 【日本人男性の例】 父親の介護中に物忘れが多くなった自分に気づき、病院で診察を受けた結果、認知症の発症を告げられました。 彼は薬を処方されたことにショックを受けます。 当時は保険会社勤めをしていましたが、ますます物忘れが進行していきます。 彼は、このまま仕事を続けると会社にも迷惑がかかると考え、退職しました。 現在は農業を営んでいます。 彼は、デール・ブレデセン博士のセミナーで感銘を受け、生活習慣の改善に努めるようになりました。 現在は進行の症状は少しずつではありますが抑えられています。 【アメリカ人女性の例】 親しい知人でも名前と顔を思い出せないほど認知症の症状が進行していました。 自分が認知機能が低下していると考えると日々怖く感じてしまい、日常生活に不安を感じていました。 生活習慣を改善した結果、認知症の進行が少しずつ抑えられ、4か月が経過した頃から効果を感じ始めるようになりました。 認知症の薬は症状の進行を抑えるだけ アミロイドβという物質は、早ければ40代から脳内に蓄積し始めます。 アミロイドβは、アルツハイマー病に重大な影響を与えるといわれています。 そのため、現在の新薬はアミロイドβ仮説に基づき開発されたものが患者に処方されています。 しかし、新薬でも認知機能の低下を完全に抑えることはできないのが実態です。 認知症に至るメカニズム 認知症に深く関わっているアミロイドβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)が大きく関与しているのです。 APPは脳細胞の運命を決めるともいわれる物質で、神経細胞に密集した斑点を形成します。 APPが蓄積すると脳は徐々に本来の機能を失い。認知症を発症します。 人によって認知症の症状はさまざま 「もの忘れ」と「認知症」の大きな違いは、体験の一部のみ忘れるか、過去の経験や体験を忘れるかです。 認知機能の低下には、次の6段階に分かれます。 非常に軽度 若干のもの忘れはあるが、日常生活に支障がない段階です。 軽度 家族や友人が変化に気づく段階です。 中等度 明らかな症状が見られる段階です。 やや重度 記憶障害や認知障害があり、サポートが必要な段階です。 重度 さらに記憶障害の進行が顕著になり、人格が変わる、大幅なサポートが必要な段階です。 非常に重度 アルツハイマー病の最終段階といわれ、環境への反応や会話が成立しない 異常な反射対応、筋肉の硬直なども見られるようになります。 生活習慣改善は認知症を予防する 認知症は病名ではなく、脳の認知機能の低下による症状です。 認知症を引き起こす疾患はさまざまですが、その中でも、次の4つの疾患が多数を占めています。 1.アルツハイマー型認知症 2.脳疾患性認知症 3.レビー小体型認知症 4.前頭側頭型認知症 この4つの疾患の内、脳疾患性認知症だけは脳血管に障害を受けて発症したものですが、その他3つの認知症は、脳の神経変性により発症します。 脳の神経変性は、主に糖分の摂りすぎによるインスリンの増加や、ビタミン・ホルモン不足などが引き金だと指摘されています。 生活習慣を見直し健康状態を保つことが、脳の神経変性を抑える効果があるのです。 生活習慣を改善したことで認知症への効果は? 2014年にデール・ブレデセン博士が論文で発表して以降、さまざまな症例の患者にリコード法を試みており、改善効果は次のとおりです。 軽度の認知障害・・・・・改善効果は50%程度 早期アルツハイマー病・・改善効果は30%程度 重度アルツハイマー病・・改善は困難 リコード法による症状の改善は、軽度から早期のアルツハイマー病に効果があると見られます。 今後の課題 リコード法はアルツハイマー病の新しい治療法ですが、すべてが確立された治療ではありません。 未だ、残された課題があります。 高額な検査費用 日本では、リコード法を活用した医療が進んでおらず、一部の医療機関しか対応していないのが現状です。 また、日本国内ではすべての検査ができず、海外に検査依頼しているため、高額な検査費用(約40万円)がかかります。 ヘルスコーチの絶対数の少なさ ヘルスコーチの絶対的な少なさも、リコード法の妨げになっています。 継続的な生活改善を続けるためには、ヘルスコーチによる指導や医師の治療が必要です。 ヘルスコーチの育成も課題の1つです。 まとめ この記事をまとめると次のとおりです。 ・認知症で処方される薬は、症状の進行を抑えるだけである ・生活習慣の見直しで症状を改善する可能性がある ・生活の基本5か条(リコード法)を知る ・早期の発見、対応に効果がある ・ヘルスコーチの協力が不可欠である 認知症が進行すると、日常生活でさまざまな問題が生じます。 また、患者や家族は悩み、苦しみ、場合によっては生命の危険を及ぼす行動をとるなど、社会的な問題を抱えています。 しかし、処方される薬に頼ることなく、患者本人や家族の努力の積み重ねでも症状が改善できる治療法もあることを覚えておいてください。 認知症は進行する前の早期発見、対応がポイントです。

  • 地域包括ケアシステムとは?内容を詳しくご紹介!

    「地域包括ケアシステム」と言われても、どんな内容のシステムなのかイメージがしにくいかもしれません。 少子高齢化の日本は介護保険制度のみだと高齢者を支えるのが難しい状態です。 ここでは地域で支える取り組みである「地域包括ケアシステム」について紹介します。  地域包括ケアシステムとは 「地域包括ケアシステム」とは、高齢や介護が必要な状態になっても地域全体で支えようというものです。 住みなれたところで最期まで自分らしく生活するには地域で支える必要があるからです。 これまでは介護保険制度のみで高齢者を支えてきましたが、高齢化とともに難しくなってきています。 このため、介護保険制度と医療保険制度から地域全体を支えていく必要があるのです。  ちなみに、「地域」とは、自宅から30分以内でサービスが提供される範囲です。 わかりやすくいうと、中学校校区が目安になります。 「地域包括ケアシステム」は、自治体である都道府県や市町村がその地域の特性に応じてサービスを作っていきます。 主体となって「地域包括ケアシステム」を実行するのは「地域包括支援センター」です。  なぜ地域包括ケアシステムが推進されているの? 現在、「地域包括ケアシステム」が推進されています。 これまでの介護サービスだけでは高齢者を支えることができなくなってきているからです。 日本は高齢社会となっており、2022年9月15日時点での65歳以上の人口は、3,627万人です。 2042年には、約3,900万人になることが予測されています。 団塊の世代が75歳以上となる2025年以降は、医療や介護の需要が増加することが予想されています。 このため、2025年をめどに地域の力を活用する「地域包括ケアシステム」が推進されているのです。 また、介護施設が全国的に不足しており国はケアの場を施設から在宅へと計画しています。  厚生労働省は、2025年には地域の包括的な支援やサービスを提供できるように、取り組みを推進しています。   地域包括ケアシステムの歴史 「地域包括ケアシステム」は1980年代に広島県の御調町の取り組みによって生まれたものです。 医療と福祉行政が連携して「高齢者の寝たきりゼロ」を目指した取り組みが、実施されました。 これが、「地域包括ケアシステム」と呼ばれるようになります。  2000年には介護保険制度が始まりました。 高齢者を支えるためには、これまでの医療と介護の連携だけでなく、生活支援サービスも必要であることがわかってきました。 医療サービスと介護サービスに生活支援サービスが連携された「地域包括ケアシステム」が、注目されるようになったのです。 そして、2014年には「医療介護総合確保推進法」が施行されます。 これにより、「地域包括ケアシステム」の構築が全国的に進められるようになりました。   地域包括ケアシステムの中身 Microsoft PowerPoint - 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方(基礎資料・HP用) (mhlw.go.jp)より では、「地域包括ケアシステム」の中身は、どんなものでしょうか。 「地域包括ケアシステム」は、5つの要素で作られています。 住まい 高齢者が暮らす家など(サービス付き高齢者向け住宅なども含む)   医療 かかりつけ医など医療サービス全般   介護 介護が必要になった時に受けれるサービス(居宅・施設サービスを状況に合わせて使う)    生活支援 高齢者の自立した暮らしを支えるためのサービス(配食サービス、家事援助、見守りサービスなど)   介護予防 高齢者が元気に過ごすためのサービス(カフェ、サロンなど)  「地域包括ケアシステム」は、これらを一体的に提供することを目指しています。 そのためには、自治体である市町村や都道府県が地域の特性に応じてサービスを作ることが必要です。  Microsoft PowerPoint - 介護予防・日常生活支援総合事業の基本的な考え方(基礎資料・HP用) (mhlw.go.jp)より  5つの要素は、「植木鉢」に例えられています。  平成28年版厚生労働白書 -人口高齢化を乗り越える社会モデルを考える-|厚生労働省 (mhlw.go.jp)より  5つの構成要素が、互いに結びついて「地域包括ケアシステム」を形作っているからです。  ① すまいとすまい方:植木鉢 ② 介護予防・生活支援:土 ③ 医療・看護:葉 ④ 介護・リハビリテーション:葉 ⑤ 保健・福祉:葉  本人の選択と本人・家族の心構え:皿  ①②は生活の基盤で、③④⑤は専門的なサービスになっています。  植木鉢のないところに、植物は育ちません。 同様に、高齢者が「すまい」で毎日を安心して過ごすために、「介護予防・生活支援」があることが、基礎になります。 しっかりした基礎があれば、専門的なサービスである「医療・看護」、「介護・リハビリテーション」、「保健・福祉」が有効に働くのです。 サービスを受けるには、皿である「本人の背択と本人・家族の心構え」が大切になってきます。   4つの助について 「地域包括ケアシステム」をすすめていくには、4つの助が大切と言われています。  ・自助 ・公助 ・互助 ・共助  これらが結びついて、さまざまな生活課題を解決していくことが必要です。 それぞれについて、詳しく説明します。   自助 健康寿命を伸ばすために取り組む、「セルフケア」 定期的な健康診断や介護予防活動などへの参加   公助 生活保護など、生活保障制度や社会福祉制度のこと   互助 家族、近所の人などの支えなど、公的な制度ではないもの ボランティアやNPOなど含む   共助 医療、年金、介護保険や社会保険など、制度化されたもの  この中でも基礎になるのは、ひとりひとりの努力が必要な「自助」です。 自分の健康を大切にして、生活を豊かにするものだからです。 たとえば、健康診断を受けたり、介護予防活動への参加があります。 ひとりひとりが健康に気をつかうことが生活を豊かにするため、「自助」が基礎になるのです。  自分ひとりで支えるのには限界があるので、ここで重要になってくるのが「互助」です。 もちろん、「互助」にも限界があり、「互助」を助けるものが「共助」です。 「共助」を活用することで、「互助」の負担を減らすことができます。  「自助」、「互助」、「共助」をつかっても解決が難しい「貧困」や「虐待」などに対して、「共助」が必要になります。   今後の地域包括ケアシステム 今後、「地域包括ケアシステム」を構築するには、3つの流れを踏む必要があります。  ・地域の課題の把握と社会資源の発掘 ・会議などの開催と対応策の検討 ・対応策の決定と実行 地域の課題の把握と社会資源の発掘  自治体が、地域に暮らす高齢者がどんなことで悩んでいるか調査します。 高齢者がどのような問題を抱え、それに対策する必要があるからです。 そのために地域ケア会議が開催され、課題が分析されます。 同時に地域サービスである「ボランティア」や「NPO」などが、発掘されます。 このため、高齢者がどんな問題に直面しているか調査する必要があるのです。   会議などの開催と対応策の検討  自治体が「地域ケア会議」を開いて、地域の関係者が問題を共有し、解決策を話し合います。  対応策の決定と実行 「地域ケア会議」で解決策が出たら、介護保険事業の中に盛りこんでいきます。 地域にかかわるさまざまな支援メニューが用意され、実現されていくのです。  まとめ ここまで、「地域包括ケアシステム」について紹介していきました。  ・「地域包括ケアシステム」とは、高齢や介護が必要な状態になっても地域で支えようとするもの。  ・「地域包括ケアシステム」は自治体が、地域の特性に応じてサービスを作る。  ・「地域包括ケアシステム」が推進されているのは、介護サービスだけでは高齢者を支えることが難しくなってきているから。  ・高齢者を支えるためには、医療と介護の連携だけでなく、生活支援サービスも必要。 ・「地域包括ケアシステム」は、 「住まい」「医療」「介護」「生活支援」「介護予防」の 5つの構成要素から成り立っており、一体的に提供するもの。 ・「地域包括ケアシステム」をすすめていくには、 「自助」「公助」「互助」「共助」の「4つの助」が大切。  ・今後、「地域包括ケアシステム」を構築するには、「地域の課題の把握と社会資源の発掘」「会議などの開催と対応策の検討「対応策の決定と実行」の 3つの流れを踏む必要がある。  「地域包括ケアシステム」はなじみにくい内容ですが少しでもお分かりいただけたでしょうか?  今後も高齢社会が続くと予想されており、「地域包括ケアシステム」を構築していく必要があります。 高齢者が安心して住みなれた地域で生活できるよう地域全体で高齢者を支えましょう。 少しでも「地域包括ケアシステム」に興味をもっていただけましたら、幸いです。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。