親が高齢になると、急に介護が必要になることがあります。
今回は、家族に介護が必要になり、介護家族になった際に後悔しないよう準備しておくべきことを紹介します。
介護家族は介護を受ける親の情報を把握しておく
介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の1つ目は、「介護家族は介護を受ける親の情報を把握しておく」ことです。
把握しておくべき情報は、主に以下の3つです。
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これらの情報は、親が望む介護・必要とする介護を提供するために参考になります。
親の健康状態
まずは、「親の健康状態」について知っておきましょう。
必要な介護を受けるためには、親の現在の体調、服用している薬、過去の病歴や怪我など基本的な情報が重要です。
かかりつけの病院や、親と親交のある近所の人など、介護が必要になる前の様子や体調がわかる人に話を聞いておきましょう。
親の経済状況
次に、「親の経済状況」を確認しましょう。
認知症などの病気によって、自己管理ができなくなる場合もあります。
通帳や印鑑の場所、証書類やカード類などを整理しておくと安心です。
しかし、介護にどのくらいのお金が必要であるかわからない方も多いのではないでしょうか。
介護度別の平均介護費用額は、以下の表のようになります。
介護度 | 介護費用 |
要介護1 | 月3.3万円 |
要介護2 | 月4.4万円 |
要介護3 | 月5.9万円 |
要介護4 | 月5.9万円 |
要介護5 | 月7.5万円 |
介護度は、どの程度の介護を必要とするかを表す基準です。
要介護1は、家事や歩行などの動作に見守りなど一部の介助が必要な方、要介護5は、ほぼ寝たきりの方を指します。
要介護度が高くなるほど、介護費用も高くなる傾向にあります。
また、介護が必要になった場合に準備すべきものは、主に以下の4つです。
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歩行に不安が現れた際は、車いすや歩行器を利用します。
身体が不自由な人でも利用しやすい衣類などの消耗品も必要になります。
介護を必要とする生活はいつまで続くかわからないため、経済面での余裕は重要です。
介護家族の負担を増やさないためにも、金銭管理は早めにしておきましょう。
介護に関する親の希望
「介護に関する親の希望」は、介護家族が後悔しないために重要なポイントです。
「在宅介護」か「施設介護」か
介護が必要になった場合、住み慣れた家で生活を続ける「在宅介護」にするのか、高齢者向けの施設に入居する「施設介護」にするのかを決めなければいけません。
今まで自由な生活を送っていた場合、施設に入居することに抵抗を持つ方もいます。
しかし、介護家族側は、常に見守ってもらえる環境が整う施設に入居してほしいと望む方が多くなります。
「どのような生活を送りたいか」も、事前に話し合っておくべき重要な点です。
介護士経験者からの重要ポイント
病気が進行し治療法がなくなった際に必要になるのが「看取り」に関する決断です。
「看取り」とは、病気が治る見込みがなくなった場合に、延命治療を行わず、安らかに最期を迎えることです。
延命治療は体力的にも負担がかかるため、治療を中止して苦痛のない看取りを選ぶのか、本人と家族の意見が重要になる場面です。
親と意思疎通が取れなくなった場合に、親がどう考えているのかわからず後悔する家族もいます。
そうならないためにも、事前に将来のことを話し合い、親の希望に寄り添う準備をしておきましょう。
介護家族内で介護方針や役割分担を決めておく
介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の2つ目は、「介護家族内で介護方針や役割分担を決めておく」ことです。
介護方針
基本的な決定権は、介護を必要とする親と家族であるため、意見をまとめておくことが重要です。
親の治療に関して積極的に行っていくのか、病気が悪化した場合どうするのかなどさまざまな選択が必要になります。
家族同士で意見が異なると、スムーズに介護方針を決められません。
役割分担
家族内での役割分担をしておきましょう。
在宅介護を選択した場合、24時間ひとりで介護を行うことは現実的ではありません。
親戚と情報共有をして、時間や曜日で役割分担し、協力するようにしましょう。
介護士経験者からの重要ポイント
役割の一つとして、1番目の緊急連絡先となる「キーパーソン」を決めなければいけません。
親の急な体調不良などがあった場合、主治医や介護事業所から連絡が入ります。
また、本人が意思表示できない場合の意思決定を行う役割もあります。
病院や介護事業所など介護機関と最も多く関わる役割であるため、柔軟に対応できる方や、親について最も理解している方が向いています。
介護家族は必要な知識を身につけておく
介護家族が後悔しないためにしておくべき準備の3つ目は、「必要な知識を身につけておく」ことです。
介護サービスについて
介護は、家族のみで行うものではありません。
高齢者支援サービスや行政サービスを利用して、介護家族の負担を減らすことができます。
情報不足によって制度などを利用できなかったということがないように注意しましょう。
介護保険サービス
必要な介護の度合いを表す要介護認定を受けることで、介護保険サービスを利用できます。
親と家族だけでは負担できない部分を補えるサービスです。
介護保険サービスには、主に以下の6種類があります。
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介護保険サービスを利用すれば、介護に関する相談ができる、介護サービスを提供する機関と連携ができるなどのメリットがあり、初心者の方でも安心です。
介護保険サービスは、在宅介護でも施設介護でも利用できます。
介護保険外サービス
介護保険サービス以外にも、自治体や地域のボランティアが行うさまざまなサービスがあります。
自治体が行うサービスには、以下の4つのようなものがあります。
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自治体によって、実施対象者や金額はさまざまですが、利用することで負担を減らせます。
地域のボランティア団体や民間が行うサービスには、高齢者向けの付き添いや安否確認サービス、弁当などの配色サービスがあります。
家族の負担を減らすためにも利用したいサービスです。
自治体や地域のサービスは、広告していることが少ないため、住んでいる地域について一度調べてみましょう。
介護家族の支援制度について
介護支援制度には「介護休暇制度」と「介護休業制度」があります。
介護休暇制度
「介護休暇制度」は、親の通院などの付き添いなどで短期間の休みが必要な場合に、労働者が利用できる制度です。
以下の表は、介護休暇制度の特徴です。
対象となる労働者 | 対象家族を介護する男女の労働者(日々雇用を除く) |
対象家族 | 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 |
取得可能日数 | 年5日まで/対象家族が1人 年10日まで/対象家族が2人以上 |
取得単位 | 1日または時間単位 |
介護休暇制度は、取得できる休暇日数は少ないですが、対象となる労働者の基準が低く、気軽に取得できます。
介護休業制度
「介護休業制度」は、休業して介護を行いながら、仕事と両立できる環境を整える制度です。
以下の表は介護休業制度の特徴です。
対象となる労働者 | 取得予定日から起算して、93日を経過する日から 6ヶ月を経過する日までに契約期間が満了し、 更新されないことが明らかでないこと。 |
対象家族 | 配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫 |
利用期間/回数 | 対象家族一人人1人につき3回まで、通算93日 |
介護休業制度は、仕事と介護の両立を支援する制度であり、自治体やケアマネジャーと連携しながら介護を行えます。
まとめ
今回は、介護家族が後悔しないために準備しておくポイントについてお伝えしました。
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最後までご覧下さり、ありがとうございます。