介護が始まればさまざまな介護サービスを利用することになります。
サービスの数が多くあるため、当初はケアプラン中心の介護になるでしょう。
この記事は、ケアプランをベースに介護の中心となる家族に向けて、負担感の少ない介護になるように、必要なサービスや特徴、メリットを紹介します。
基本的な内容を知れば、家族の希望を盛り込んだケアプラン見直しの提案、調整ができます。
ぜひ参考にしてください。
介護のベースはケアプラン
介護のベースはケアマネジャーが作成するケアプランになるため、ケアマネジャーとの連携は欠かせません。
介護保険サービスを詳しく知らない場合、ケアマネジャーが中心で介護が進みます。
しかし、介護経験を積みスキルが向上した介護者になれば、ケアプランの見直しをケアマネジャーに提案することが必要になる時が来るでしょう。
家族の要望を盛り込んだケアプランも重要
ケアプランは利用者のための計画書ですが、家族の希望を盛り込んだケアプランも重要です。
なぜなら、利用者と家族にとって、より良いケアプランが、介護を続ける秘訣の1つだからです。
ここでは、家族の希望を踏まえたケアプランにするための4つのポイントを紹介します。
①家族の要望を整理する
利用者だけでなく、家族の希望を整理する必要があります。
家族の健康状態や家庭の経済状況、介護者の経験年数、生活環境の変化等を考慮しながら、これからの介護に関する希望を整理しておけば、ケアプランに反映しやすくなります。
②サービス内容・限度基準額を確認する
利用しているサービス内容と利用限度基準額を確認しておきましょう。
サービス内容や利用する頻度やレンタル福祉用具等をチェックし、現在の利用限度基準額と実際の自己負担額を確認しておくことは大切です。
③介護保険サービスを知る
介護保険サービスを知ることも大切なポイントの1つです。
介護保険サービスは数が多く、さらに細分化されています。
利用しているサービスに目を通し、要介護状態区分やケアプランの目標に合ったサービスなのか確認しておくことも大切です。
特に定期的な介護認定による要介護度の見直しによってケアプランも変わるため、注意しておきましょう。
④経済状況の変化に見合ったケアプランの見直し
家庭の経済状況の変化に見合ったケアプランの見直しも、時には必要です。
介護にかかる費用は、福祉用具や介護用品など、意外に出費がかさみます。
経済的に苦しい状況が続くと、家族の精神的、経済的負担が大きくなります。
少しでも経済状況に不安がある場合は、早めにケアマネジャーにケアプランの見直しを依頼しましょう。
家族のニーズを積極的に伝え、ケアマネジャー任せの介護になっていないか確認することも大切です。
要介護認定でサービスが決まる
要介護度認定で、利用できるサービスが決まります。
要介護認定とは、介護サービスの利用希望者に対し介護の必要性を判断するためのもので、「要支援」「要介護」で判定、区分けされます。
要支援認定
介護の必要性はないが、自立した生活のための見守りや手助けなど、介護予防が必要な状態を指します。
要支援1,2の2段階あり、介護保険を利用した介護予防サービスが使えます。
要介護認定
すでに介護が必要な状態を指します。
要介護度は5段階あり、介護保険サービスのすべてが使えます。
介護保険サービスとは
介護保険サービスとは、介護保険を利用して受けられるサービスです。
要支援は、地域総括支援センターで作成するケアプランに基づき、居宅または地域密着型サービスを利用できます。
一方、要介護はすべての介護サービスを利用できますが、ケアプランによって利用できるサービスが増減します。
また、介護サービスには、保険適用の「介護保険サービス」と保険適用外の「介護保険外サービス」があるため、利用する際は注意が必要です。
介護保険サービスの自己負担割合
介護保険を利用するサービスで、自己負担割合は、原則、支給限度額までは1割負担です。
ただし、一定の所得がある人は、所得額によって、2割または3割負担になります。
要支援で利用できるサービス
要介護を防ぐために、次のような介護予防サービスが受けられます。
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要介護で利用できるサービス
要介護で利用できるサービスは、次のとおりです。
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介護保険外サービス
介護保険外サービスは、全額、自己負担になります。
しかし、日常生活をサポートするサービスのため生活環境に合わせた利用ができます。
一例として、次のようなサービスがあります。
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要介護度で自己負担額が変わるサービスもある
要介護度が増すと介護保険からの支給限度額が増えるため、多くのサービスが利用でき、お得と思われる人もいるでしょう。
しかし、サービスによっては自己負担額が一定の場合と変わる場合があり、利用状況によっては、自己負担額が増えることも考えられます。
特にサービスを追加する場合は、ケアマネジャーに自己負担額の確認などが必要です。
自己負担額が一定のサービス
要介護度に関係なく、自己負担額が一定のサービスは次のとおりです。
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利用状況により負担額が変わるサービス
要介護度や健康状態の変化などで、利用状況により負担額が変わるサービスは、次のとおりです。
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知っておきたい介護保険サービスの種類や特徴、メリット
介護する環境や生活スタイルの変化に応じ、各種サービスの組み替えが必要な時もあります。
ここでは、家族として、知っておきたい介護保険サービスの種類や特徴、利用者側のメリットを簡単に紹介します。
介護保険サービスの種類や特徴、メリット
介護保険サービスの種類は、居宅や施設、地域密着型サービスの3種類あります。
それぞれの特徴や利用者側のメリットは次のとおりです。
居宅サービスの特徴とメリット
居宅サービスとは、家で介護サービスを受けられるものです。
特徴
通所サービスや短期入所サービスなどを併用して利用でき、介護者のニーズに合わせられます。
メリット
在宅で生活でき、必要時または希望に応じた介護保険サービスが受けられます。
施設サービスの特徴とメリット
施設サービスとは施設への通所や入居することで受けられるサービスです。
特徴
介護老人福祉施設や介護老人保健施設で介護を受けられるため、容態の急変などに迅速に対応できます。
メリット
専門的な知識、経験を持つ職員によるケアを受けられるため、利用者の心身の負担が減らせます。
地域密着型サービスとメリット
地域密着型サービスとは住み慣れた地域で生活できるように、市町村指定の事業者が行っているサービスです。
特徴
住み慣れた地域で介護や医療が受けられます
メリット
小規模多機能型居宅介護を利用すれば1つの事業所で通所や短期入所ができるなど、自宅と施設の両方でサービスを受けられます。
家族の希望を反映したケアプランにする
家族の希望を反映したケアプランにすれば、介護者の負担感は減ります。
介護負担を減らすことは、自宅で介護を続けるための優先課題です。
施設に任せた介護は、ケアマネジャーや事業所の介護士とトラブルに発展する可能性もあります。
介護にかかる費用を減らせば家族に介護負担がかかり、介護サービスの回数を増やせば介護負担は減りますが、介護費用が重くのしかかります。
家族は積極的に介護にかかわり、介護保険サービスや介護保険外サービスを上手に利用することが、支出のバランスを取り、負担感の少ない介護になるのです。
まとめ
この記事のポイントは以下の5つです。
・ケアプランには積極的に家族の希望も考慮することが大切 ・家族からも意見提起すれば、より良い介護になる ・家族が積極的にかかわらない介護は、ケアマネジャーや介護士とのトラブルの種になる ・利用する介護サービスの情報を知っておく ・利用者と家族で考えを共有しておく ただし、利用者が判断できない場合、介護者が責任を担う |
介護サービスの基本となるケアプランは、時には家族の精神的、肉体的、経済的な課題に沿った内容へ見直すことも必要です。
しかし、介護サービスの種類は多く、利用する種類や回数によって、負担額も変わります。
介護の中心は家族です。
家族は、ライフスタイルの変化も留意したケアプランへの見直しを積極的にケアマネジャーに提案してもいいのではないでしょうか。