介護認定申請で正しい認定結果をもらうためには?家族が同伴して審査を受けよう

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narumi

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介護認定結果の通知を受け、いざサービスを利用・継続しようと思ったものの、

「希望するサービスが受けられない」
「介護の手間は増えているのに介護度が低くなり、今まで受けていたサービスが受けられなくなった」
ということが起きることがあります。

状態に適した認定結果をもらうために、介護認定調査時のポイントについて説明します。

介護認定申請とは

介護保険によるサービスを利用・継続するには、要介護認定の申請を行う必要があり、介護保険申請書が必要となります。

40~64歳までの第2号被保険者が申請を行う場合には、要介護状態等の原因である身体上及び精神上の障害が特定疾病によることが要件とされています。

認定調査とは

介護認定には、認定調査員が行う「認定調査」と主治医が作成する「主治医の意見書」の2つの書類が必要になります。

認定調査は新規申請を除き、介護認定有効期間の満了の日の60日前から満了の日までに市町村へ提出します。

申請後は、市区町村の職員または委託を受けた介護支援専門員が自宅や施設などを訪問し、心身の状況に関する調査を行います。

主治医意見書の作成については市区町村が主治医に依頼をしますが、主治医がいない場合は、市区町村の指定医の診察が必要です。

認定調査員とは

令和2年4月 1日 より指定市町村事務受託法人における認定調査は介護支援専門員が行うことを基本とはしています。

しかしm介護支援専門員その他の保健、医療または福祉に関する専門的知識を有する者が行うこともできるようになりました。

厚生労働省「要介護認定等の実施について」の一部改正について.pdf

認定調査内容とは

認定調査は74項目の基本調査と特記事項からなり、認定調査の74項目は大きく次の5つの群と3軸の判定から成り立ちます。

認定調査の5つの群

・1群 身体機能・起居動作

・2群 生活機能

・3群 認知機能

・4群 精神・行動障害

・5群 社会生活への適応

判定基準の3軸

・能力を確認して判定する

・介助の方法(生活を営む上で他者からどのような介助が提供されているか)

・障がいや現象(行動)の有無

これらの5つの群を3軸の内容を組み合わせて調査することにより、タイムスタディに基づく樹形モデルから、申請者にかかる介護の手間としての「要介護認定等基準時間」が算出されます。 

介護度が決定する仕組み

介護認定は一次判定結果をもとに二次判定で審査され決定します。

一次判定とは、調査結果および主治医意見書の5項目をコンピューターに入力し、全国一律の判定方法により要介護度が判定されます。

一次判定の結果と主治医意見書に基づき、介護認定審査会による要介護度の判定が行われることを二次判定といいます。

そのため、一次判定結果の内容で例え要介護状態であっても、審査会で要支援状態になることがあります。

認定審査会に伝わる特記を書いてもらうには

判定基準の能力判定および介助の方法については、原則として実際に出来るか、出来ないか、介助が行われている、いないかで選択します。

認定調査時に普段は行えていない動作を無理に行うことや、出来ていない事も自分で行っていると答えてしまう可能性があります。

本人の返答が事実と違う場合も想定されるため、調査員に伝えやすいよう本人の死角になる位置で本人の言った言葉に対し、首を横に振るなどジェスチャーで違うことを気付いて貰うとよいでしょう。

本人の前で事実を説明することで、調査後に本人と家族がトラブルになる事もあるので、調査後に電話で再確認して貰うようメモを調査員に渡す事も効果的です。

実際に試行した結果と日頃の状況が異なる場合は、一定期間(調査日よりおおむね過去1週間)の状況において、より頻回な状況に基づき選択されます。

家族が同席し日頃の動作について調査員に説明することが望ましいでしょう。

認定審査会で検討されるケースとは

調査時に行えている行為が適切でない場合や、介助項目における「見守り等」や「一部介助」「全介助」といった選択肢は、介助の量を意味していません。

具体的な介助の量については、その内容が具体的に特記事項に記載されていることが必要です。

例えば、麻痺や疼痛などがある独居高齢者の更衣動作の場合、介助をする人がおらずベッド上で1時間程度かけている、認知症高齢者の場合では着衣動作自体は可能ではあるが、同じ衣類や汚れた衣類を何日も実際には着ている、下着が後ろ前や裏返しで着用しているなどの場合もあります。

また、有無の項目(BPSD関連)は、その有無だけで介護の手間が発生しているかどうかは必ずしも判断できません。

介護の手間を二次判定で適切に評価するためには、特記事項に記載されている介護の手間を、頻度もあわせて検討する必要があります。

介護者による介助がBPSDを引き起こしている場合などもあり、介助方法が、不適切であると認定調査員が判断する場合は、特記事項にその理由と適切な介助について記載し、介護認定審査会の判断を仰ぎます。

BPSD(行動心理症状)とは、記憶障害や見当識障害といった認知症の中核症状に伴ってみられる二次的な症状指します。

不安や混乱が続くことに適応しようと模索して、強い不安・混乱・自尊心の低下等から徘徊や興奮、暴力行為といった様々な問題が起こってしまうのです。

実際に行われている介助が不適切と考える状況

・独居や日中独居などによる介護者不在のために適切な介助が提供されていない場合 

・介護放棄、介護抵抗のために適切な介助が提供されていない場合 

・介護者の心身の状態から介助が提供できない場合

・介護者による介助がむしろ本人の自立を阻害しているような場合

介護の手間の判断は、一部介助であるか全介助であるかといった選択だけで行われるものではありません。

介助をするほうが本人にとって適切な介助であったり、介助者にとっても介護の手間がかからないものの、本人のこだわりや介護拒否から見守りや声掛けなどをしながら本人の意向に配慮して変更するなどの対応が求められる場合もあります。

このような細かい内容を認定調査員に説明することが必要です。

介護認定審査会とは

介護認定審査会とは、市町村の附属機関として設置され、要介護者などの保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成される合議体です。

介護認定審査会複数の市町村が共同で設置することも可能になっています。

認定審査委員会のメンバーは、医師や歯科医師・薬剤師・看護師・保健師・歯科衛生士・介護福祉士・社会福祉士・介護支援専門員などの有識者が市町村長から任命されます。

認定審査会では認定調査員が作成した調査書からコンピューターによる一次判定結果を元に、主治医に意見書をもとに介護度を決定することとなります。

そのため、実際に申請者から直接、審査に必要な情報を記載する認定調査員と主治医は重要な立場と言えるでしょう。

介護度の違いによるサービスへの影響

要支援2と要介護1、要介護1と要介護2では使えるサービスに大きな違いが出てきます。

例えば、要支援2と要介護1では訪問介護や通所介護の利用回数が大きく異なるので注意が必要です。

要支援状態になると訪問介護では通院乗降等介助や通院介助といった受診に伴うサービスや、
看護小規模多機能型居宅介護の利用が出来なくなります。

また、施設系サービスでは老人保健施設への入所も出来なくなります。

また、要介護1と要介護2では車椅子や特殊寝台などの福祉用具貸与など、生活環境に与える影響が大きいため、注意が必要です。

要支援状態から介護状態に切り替わるポイント

・認知症の有無

・状態の安定性

運動機能だけでなく思考力や理解力の低下がみられるなど、認知症の疑いが高いと判断された場合、一次判定で要支援2であっても要介護1と判定されることや、主治医の意見書などの調査により
半年以内に状態が大きく変わる可能性があると判断された場合、要介護1と判定されることがあります。

認定審査会の簡素化及び有効期間の延長について

平成30年4月1日以降、一定の要件を満たす場合、認定審査会の簡素化が可能となりました。

簡素化の要件は以下の6つです。

簡素化の要件

・第1号被保険者であること 

・要介護更新申請であること 

・一次判定における要介護度が、前回認定結果の要介護度と同一であること

・現在の認定有効期間が12か月以上であること 

・一次判定における要介護度が「要支援2」又は「要介護1」であり、状態の安定性判定ロジックの判定結果が「不安定」でないこと 

・一次判定における要介護認定等基準時間が、一段階高い要介護度から3分以内でないこと

簡素化により審査会の審議が迅速に対応できるので、多くの件数の認定結果を出せる事となります。

しかし、認定調査の特記事項などの詳細な審査が行われなくなるため、申請者の不利益・不公平につながる可能性があるとの見解もあります。

認定結果や身体状態変化に併せ都度、区分変更なども検討する事が望ましいでしょう。

まとめ

介護保険では、要介護度に応じて受けられるサービスが決まっているため、適切な介護認定結果を受けられるよう認定調査時には家族が同席して普段の生活について確実に調査員に説明しましょう。

介護認定審査会における一次判定からの判定の変化には、認定調査の69項目と併せ主治医意見書による5項目が認知症の有無や病状の安定性が反映されます。

介護認定結果への反映の為には明確な根拠と具体的な「介護の手間」と「頻度」を特記事項に記載し、認定調査員が適切と考える介助の方法と実際に行われている介助の方法との判断の違いを、介護認定審査会で検討して貰えるよう、その理由や事実を特記事項に記載して貰う事が重要です。

最後までお読みいただきましてありがとうございます。