介護を続けるためには、医療従事者や介護従事者の方の協力は不可欠です。
しかし、大切な家族の介護を他人に任せられないという考えで介護を利用者だけで抱え込むと、質の良い介護の提供は受けられません。
この記事では、利用者側からとるべきケアマネジャーや介護士とのコミュニケーション方法について紹介します。
基本的なコミュニケーションは信頼関係を結ぶ大事な要素になりますので、利用者の方はぜひ参考にしてください。
ケアマネジャーや介護士とのコミュニケーション方法
介護を始めるための第一歩は、ケアマネジャーや介護士とのコミュニケーションです。
介護の質は、利用者とケアマネジャー、介護士との信頼関係によって変わります。
しかし、一部の利用者の中にはすべて自分の考えが通るという思い込みが激しい人がいるのも事実です。
その思い込みを招く原因は、ケアマネジャーや介護士の役割や仕事内容など利用者の理解不足ともいえます。
利用者とケアマネジャー、介護士の関係が良好でなければ、要介護者にとって良質な介護にはなりません。
介護施設などを利用するまでに、ケアマネジャーや介護士の役割や仕事内容について知ることが大切です。
ケアマネジャーとのコミュニケーション
利用者にとって、ケアマネジャーとのコミュニケーションは、一番大切で基本です。
ケアマネジャーと信頼関係を築くためには、利用者は、役割と仕事内容を知ったうえで、協力を求めることになります。
ケアマネジャーの役割、仕事内容とは?
ケアマネジャーの正式名称は、介護支援専門員です。
介護を初めて担う介護者にとって、施設との連絡や調整、最適な介護サービスの利用など、ケアマネジャーは欠かせない存在になります。
まずは、利用者の知識として、ケアマネジャーの役割や仕事内容を知っておきましょう。
ケアマネージャーの役割、仕事内容は次のとおりです。
ケアプランの作成
要介護者の介護度や健康状態などを把握し、ケアプランを作成します。
介護保険サービスを利用しながら、目標を決め、自立できる生活に向けて支援します。
利用者と介護施設との調整役
訪問介護の利用や介護施設、福祉施設などの介護サービス事業者との調整を行います。
また、介護施設に対する要望やクレームなどの対応や調整役も担っています。
ケアマネージャーの種類とは
ケアマネジャーは、所属先によって居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーに分かれ、仕事内容も異なります。
居宅ケアマネ
通所介護施設となる居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーで、在宅介護を支援する仕事です。
在宅で介護サービスを受ける利用者のケアプランの作成や関係個所との調整を行います。
施設ケアマネ
特別養護老人ホームや介護老人福祉施設に所属するケアマネジャーで、施設に入居する利用者のサポートが主な仕事です。
施設内の利用者を担当するため、居宅ケアマネジャーに比べ、担当する利用者が多くなる可能性があります。
介護士とのコミュニケーション
ケアマネジャーとのコミュニケーションも大切ですが、直接、利用者の介護に携わる介護士とのコミュニケーションも大切です。
介護士の役割、仕事内容は次のとおりです。
介護士の役割や仕事内容とは?
通所施設または入所施設で、利用者が安心して日常生活を過ごせるように身の回りの世話や相談などの介護サービスを提供します。
所属する介護サービス事業者の形態によって、若干異なりますが、主な仕事内容は、次のとおりです。
身体介護
利用者の日常生活のお世話をします。
主に「排泄介助」「入浴介助」「食事介助」「移乗介助」があり、直接利用者の身体に触れて介護します。
生活援助
食事の準備や掃除、洗濯など、身の回りをサポートします。
利用者のニーズに沿った生活援助を行います。
その他
リハビリやレクリエーションなど、身体や精神面のケアを行います。
利用者はどうあるべき?
利用者は、ケアマネジャーや介護士の役割や仕事内容を知ったうえで対応することが大切です。
お互いの意思疎通が良好にできなければ、適切な介護につながりません。
ここでは、利用者が気をつけたいポイントを紹介します。
要介護者が気をつけたいポイント3つ
特に高齢者に多いと思われるのが、ケアマネジャーや介護士に対するハラスメントです。
利用しているから当たり前という考えは、適切な介護サービスを受けられなくなる可能性があるため、要注意です。
すべて自分の要望が通ると思わない
要介護者の中には、自分の要求がすべて通ると思われる人もいます。
しかし、ケアマネジャーや介護士は、役割と仕事が決められています。
仕事の範囲外の要求には応えられないことを理解しておきましょう。
暴言暴力は慎む
暴言暴力は、慎まなければなりません。
ケアマネジャー、介護士も人間です。感情があります。
利用者と反対の立場で物事を考えるなど気持ちを改めることが必要です。
体調や気分などを伝えておく
体調や気分が悪いなど、身体の不調は介護者に伝えておくことが大切です。
介護士は、日々、利用者と接しているとはいえ、すべての利用者の体調を把握できるとは限りません。
身体の不調は、事前に介護士に伝えるなどの情報共有が必要です。
介護者が気をつけたいポイント3つ
介護者である家族は、要介護者の状況を良く知る立場です。
しかし、ケアマネジャーや介護士に上手く伝えないとトラブルの原因にもなりかねません。
要介護者の気持ちを理解し、介護士とコミュニケーションを取り、適切な介護につなげることが介護者の立場です。
利用しているという立場で物事を考えていると、1人で抱える介護になりかねないため、注意が必要です。
ひとりで介護を続けられない
介護者ひとりでは、介護は続けられません。
ケアマネや介護士の協力がなければ、独りよがりの介護になり、要介護が自立した生活に向けた支援にはならないのです。
介護サービスによって介護が成り立っていることを理解しなければなりません。
介護士にもスキルの差がある
介護士の経験年数や年齢などによって、介護スキルには差があります。
すべての介護士のスキルは同等という思い込みは、必要以上の介護を要求することにもつながります。
仕事内容を理解した上で、介護士によってスキルに差があることを理解し、無理な要求は、避けなければなりません。
困ったときは都度、確認する
介護ではさまざまな問題に直面するため、困ったときはその都度ケアマネジャーに確認することも大切です。
介護者は、排泄介助や食事介助、リハビリ方法など悩むことが多くあります。
しかし、現状の介助方法がすべて正しいとは限りません。
誤った介護方法は、要介護者にとって苦痛になるのです。
困ったときは、その都度ケアマネや介護士に確認し、必要であれば看護師やリハビリの担当者に協力を仰ぐことが大切です。
利用者とケアマネジャー、介護士とのコミュニケーションは大切
利用者とケアマネジャー、介護士のコミュニケーションは、介護を続けるためには大切です。
ここでは、利用者としてのコミュニケーション方法の取り方について紹介します。
特に現場をよく知る介護士は、介護者にとっては強い味方です。
お互いの立場をよく理解し、信頼関係を結ぶことが、より良い介護につながります。
口頭だけでなく、連絡ノートやITツールを活用する
伝えたい内容は、口頭だけでなく、連絡ノートに書き留めることが大切です。
口頭による伝え方は、多くの利用者を担当する介護士にとっては情報として残りにくいことも考えられます。
連絡ノートに必要な内容を書き留め、特に重要な内容については口頭でも伝えることが確実に意思疎通できる方法です。
また、ITツールを活用した連絡方法も有効な手段です。
LINEやメールなどのコミュニケーション方法でも記録が残り、確実に意思疎通が図れます。
なお、ITツールはスマートフォンやipadなどを活用し、ご高齢の方でも使いやすい大きな文字や簡素化した入力方法にしたり、体温やSPO2の指示などの数値は選択式にするなどの工夫をすれば、活用度が高まります。
介護士によって態度を変えない
介護士によって、利用者が態度を変えることは、良くありません。
利用者によっては、第一印象が良くない介護士とのコミュニケーションを避ける傾向にあります。
特に介護者は、すべての介護士と協調性を持たないと、介護は成り立ちません。
介護士は、介護者の良き相棒であると認識しておきましょう。
まとめ
コミュニケーション能力は、ケアマネジャーや介護士に求められるスキルですが、利用者にも必要です。
意思疎通が少ない介護は、利用者と介護従事者との確執を生み、介護の質を左右します。
介護従事者だけにコミュニケーション能力を求めるだけでは、一法通行の介護になり、利用者が望む介護サービスから遠ざかります。
利用者は、ケアマネジャーや介護士の役割や仕事内容を知ることで仕事範囲外のサービスを求める行為を避けることが大切です。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。