高齢化社会が進む中、毎年人口が減っている日本では介護業界の人材不足が課題となっています。
今回は、介護業界をより魅力的にする方法と、人材不足を解消する方法について紹介します。
介護業界の人材が不足している理由
介護業界の人材が不足している理由は、主に以下の2つが挙げられます。
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まずは、この2つを説明します。
日本の少子高齢化
介護業界の人材が不足している理由の1つ目は、「少子高齢化」です。
内閣府のホームページによると、2019年現在で、日本の人口の28.4%が65歳以上となっています。
総人口は減少するも高齢化は進み続け、総人口における65歳以上の割合は、2036年には33.3%になると言われています。
高齢化によって、介護を受ける高齢者が増えていくことでしょう。
また、日本は高齢化が進む中、出生率の減少が続き少子化も問題となっています。
介護を必要とする高齢者が増えるにも関わらず、働き手である若者の割合が減少することが主な原因です。
そのため、企業が人材を確保する競争率も高くなります。
ネガティブなイメージがある
介護職を知らない人に介護業界のイメージを尋ねると、ほとんどの人が「大変そう」「体力仕事」「汚い」「給料が安い」と答えるのではないでしょうか。
介護職の経験を持つ筆者も、親戚や友人に介護職として働くことを伝えた際には同じような回答が返ってきました。
このように介護業界には、ネガティブなイメージが植え付けられています。
これらの理由で、介護業界の人材は不足すると言えます。
介護業界をより魅力的に
介護業界の人材不足を解消するために、まずは介護業界をより魅力的にする必要があります。
介護業界をより魅力的にするためには、「イメージアップ」が重要です。
筆者も介護業界について全く知識がなかった頃は、「介護の仕事は、大変そうで汚い、給料が安い」というネガティブなイメージを持っていました。
しかし、実際に現場で働いてみると、もちろん「大変」と思う面もありましたが、介護職になって良かったと実感する瞬間もありました。
「介護職の仕事は大変で汚い」というイメージをなくす
介護の仕事は、入浴介助やオムツ交換などの排泄介助を一般的な介護の仕事として想像されます。
しかし、働く施設や利用者の介護度によって働き方も異なります。
働く施設や形態などによる違い
介護の仕事は、働く施設や形態によってさまざまです。
デイサービスや介護付きの高齢者施設に勤務する働き方と、介護を必要とする高齢者が住む家を回る訪問介護と呼ばれる働き方があります。
デイサービスは、日中のみ高齢者を受け入れる施設のため、レクリエーションや食事などがメインとなります。
介護スタッフも、基本的な勤務時間は営業時間の8時〜18時です。
また、デイサービスは土日の営業がない施設が多く、休日も確保しやすいと言えます。
高齢者施設は規模に合わせて介護スタッフが必要なため、数十人の介護スタッフが同じ現場で働きます。
そのため、スタッフ同士の協力によって一人ひとりの負担を減らすことができます。
また、苦手とする仕事や大変な仕事は手伝ってもらうなど、働き方の工夫も可能です。
利用者の介護度による違い
介護職の仕事は、介護サービスを利用する高齢者の介護度によっても異なります。
介護度は、要支援1.2と要介護1〜5で表される要介護状態等区分のことであり、その人が必要とする介護、支援の物差しとなる数字です。
ある程度自立した生活を送ることができる支援1.2の高齢者に行うケアは、一般的に「掃除や食事などの一部を介助する」「買い物、通院に同行する」などがあります。
家事の手伝いなどがメインとなるため、体力的な負担は少なくなります。
「介護職は給料が安い」というイメージをなくす
介護業界の賃金を改善するために、2019年10月1日に「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。
介護職員等特定処遇改善加算は、職場のリーダー的立場にある職員の年収を平均年収まで引き上げ、介護業界の人手不足解消を促すものです。
また、勤続10年以上の介護福祉士には月8万円の手当が支給されます。
介護業界で働くと、キャリアアップと給料アップも可能です。
介護業界の人材不足を解消するには
介護業界の人材不足を解消するためには、どのようにすればよいのでしょうか?
新たな人材の発掘
介護業界の人材不足を解消するには、「新たな人材の発掘」が必要です。
新しい人材を発掘するためには、以下の方法が考えられます。
介護未経験者を「介護助手」とする
介護業界の人材不足を解消するための対策1つ目は、「介護助手という役割を作ること」です。
介護未経験者や介護の資格を持っていない人を介護助手として雇うことで、介護スタッフが介護の仕事に専念できるようになります。
例えば、生活援助と呼ばれる部屋の掃除や買い物は、介護の資格を必要としません。
資格を必要とする仕事とそうでない仕事の役割を分担することで、介護職が働きやすい環境を作ることができます。
外国人労働者を雇う
介護業界の人手不足を解消するための対策2つ目は、「外国人労働者を活用すること」です。
すでに政府は、技能実習制度や特定技能などの制度を作り、インドネシアやフィリピンなどの国と協定を結んでいます。
技能実習制度は、外国人を日本で最長5年間受け入れ、母国では取得できない技能を取得できるようにする制度です。
この制度を利用して、外国人でも介護の資格を取得できます。
環境の工夫
介護業界の人材不足を解消するには、環境を工夫することが重要です。
環境の工夫をするために必要なことは「ICTの導入」です。
ICTは、「Information and Communication Technology」の総称を指します。
日本語では「情報通信技術」と訳され、通信を使用してデジタル化された情報をやり取りする技術です。
例えば、スマートフォンなどのタブレット端末で、先輩や同僚とコミュニケーションや情報共有をすることが挙げられます。
介護業界でICTを使用するメリットは2つあります。
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ICTを使用するメリットの1つ目は、「業務の効率化を図れる」ことです。
業務の効率化を図ることで、介護職の負担を軽減できます。
さらに、事務作業にかかる時間を減らすことができれば、介護サービスに時間を割くことが可能です。
利用者に関する記録などを、紙媒体に記入するよりタブレットなどで入力できるため効率が良くなります。
データでまとめて記録できるため、印刷する書き換えるなどの手間が省けて情報共有も簡単です。
ICTを使用するメリットの2つ目は、「情報の連携がしやすい」ことです。
介護サービスには、サービス利用者の家族・介護施設・病院などの医療機関・訪問介護事業所などの繋がりが重要になります。
高齢者に体調不良が見られた場合、医療機関へ繋ぎ、家族にも連絡しなければいけません。
タブレットなどの端末上で、高齢者に関する情報をどこからでも閲覧できます。
スムーズに情報交換ができることで、余分な連絡を取る必要がなく、介護職の負担も削減されます。
また、介護サービスを利用する高齢者の情報は、膨大な量になります。
ICTを利用すると、膨大な量の情報を一括でまとめ、複数の場所で管理可能です。
ICTを利用し、介護職に時間を設けることで、介護サービスの質を向上できます。
そのため高齢者や家族の満足度もあがり、クレームなどを減らすことにも繋がります。
まとめ
今回は、介護業界に魅力を持ってもらう方法と、人材を確保する方法についてお伝えしました。
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最後までご覧くださり、ありがとうございます。