訪問介護中に緊急事態!被介護者1人しかいないときはどうすればよい?

profile img

narumi

contents section

この記事は約14分で読めます。

訪問介護で訪問した際に、ヘルパーなら一度は思わぬ緊急事態に遭遇してしまう経験をした事があるのではないでしょうか。

今回はそんな「独居利用者の場合、緊急事態時にどう対応する?」を事例を踏まえながら紹介します。

訪問介護サービスに入る前の基本

訪問介護サービスに入る場合、まずは利用者の情報を知る事から始まります。

それは独居、同居者家族がいる場合どちらのケースでも同じです。

ごく当たり前の事ですが、意外ときちんと押さえられていない事が多かったりします。

訪問介護サービス前に必要な情報を確認する書類は下記の図を参照して下さい。

基本的な礼節、メモ類の準備と押えるべき点

基本中の基本ではありますが、訪問介護サービスに入るという事は他人様のお宅に訪問する事なので世間一般での礼節は弁える事を忘れてはいけません。

あまりにも型苦しい、余所余所しい言動は今後、訪問介護で関係を築いていくには少々壁の様に感じるかもしれません。

しかし、あくまでも訪問介護サービスのヘルパーとして入る訳ですから、身内の様な気持ちで接する事は有っても馴れ馴れしい言動を表立って行うのは失礼に当たります。

また、訪問介護サービスに入る際にメモ類を準備しておく事で、今後の訪問介護においての注意事項や計画書又はアセスメント等の書類だけでは見えてこなかった利用者の情報をメモする事で洩らさず拾う事ができます。

個人情報であるが為に、踏み込んで良いラインと踏み止まるラインの線引きが難しい所ではあります。

しかし、これが緊急事態時や困難事例になりうる際に、その情報が対利用者の大事な引き出しとなり適切に対応できるものへと繋がるのです。

これは新規だけではなく、サービスの回数を経て数か月~数年と対応している熟練のヘルパーでも同じ事が言えるのですが、経験を積めば積む程なかなか拾わなくなってしまうのが現実だったりします。

礼節を弁えるのは勿論の事、書類を踏まえた上での利用者の状況や状態気付きをメモする=現場のヘルパーでしかできない事です。

何よりも俯瞰で物事を見る・気付く・対応する事が今後への最適な対応策であり、いざという時に揺らぐ事の無いヘルパー自身の力となります。

訪問介護、いざ実際は?

上記でも述べた通りですが、書類の確認や事前打合せやサービスに入ったら礼節を弁えた接遇マナーの遵守、利用者の状況や状態に応じての ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)が重要です。

訪問介護では、利用者に応じてケアプランが立てられ、そのケアプランに沿った訪問介護計画書が作成されます。

そもそも訪問介護サービスは、40歳以上の人達が支払っている保険料を財源とする介護保険を使用して、介護が必要と認定された人達の在宅時に訪問し行われるものです。

言い換えれば、国の税金と利用者の一部負担で賄われている為、介護保険制度を遵守しなければなりませんし、介護の基本を根底にした上で臨機応変な対応が求められます。

基本に忠実にサービスを行う事ができたならば、思わぬ事態や状況に面しても対応できる力が備わっていると言えるでしょう。

独居であるが故に

訪問介護サービスの利用者には、独居の利用者も当然ながら居られるのですが、独居にも様々なタイプの方がいらっしゃいます。

①長年一人で過ごされている身内のいない独居の方

 ②理由が有って近年新しく独居になられた方

 ③身内はいるけれども日中は一時的に独居となる方

 ④遠方に身内がいる、年に数回は面会のある独居の方

独居とはその名の通り、一人で生活されている方なのですが
一人であるが故の強みと弱みが混在されています。

①の長年一人で生活されていた方は、生活サイクルが確立されている為に訪問介護を利用する事に抵抗を感じる方もいらっしゃるようです。

利用者自身は自分で何もかもできていると思って生活していますので、第三者から見た場合と自身の実感とでは感覚のズレを生じる事もあります。

「自分でやろう」とする意欲を損なう事無く、本当にできない部分や生活面で困難となる部分が計画書には練られて作成されていますので、サービスを行いながら、実際の状況や状態はどうであるかきちんと確認をする方が良いでしょう。

②と③はその方のケースにもよりますが、何等かの形でも近しく共に生活されていた(又はされている)形跡がある為、訪問介護利用に関しては理解頂ける事も多いようです。

ヘルパーが訪問介護サービスに入る際には声掛け確認を行いますが、話すというコミュニケーション方法に対して、割合友好的に捉えて貰えることが多いです。

そのため、利用者の困っている事の相談を受けたり、ちょっとした愚痴を聞いたりする等の手法が、距離を早めに縮める有効な方法である事も有ります。

しかしその反面、距離が縮まりすぎる事でチームを組んでサービスを行った時に、

「〇〇さんはこうしてくれた、ああしてくれたのに」と利用者から指摘される事になり易かったりする副作用があるのも忘れないようにしましょう。

ヘルパーも人ですから、介護保険で関われる限界点や枠がある事は理解していても、情というものに動かされてしまう気持ちは分かります

しかし踏み込むラインと踏み込まないラインはしっかり守らなければなりません。

④の場合、面会の回数や身内の住む距離の近さにもよるのですが、休みの度に顔を見せに来る身内がいらっしゃる場合は、比較的心身共に安定されている場合が多いようです。

春と秋のお彼岸時期や夏の盆休み冬の正月といった各季節に1回ずつの場合や、夏休みや正月の年2回といった本当に年数回片手に数えられる程の場合は、①~③がミックスされたような対応をする場合があります。

(「自身でできるから必要ない」と言われるも時間の経過と共に依存心を見せてくる等)

いずれのケースにおいても、まずは基本を踏まえ、計画書にあるサービスを行い、その中で見つかる注意事項や新たな情報を洩らす事の無いように、何等かの形=メモ等に留め、介護サービス全体のチームで情報を共有して反映していく事が大切です。

こんな時はどうする?訪問したら〇〇だった!

1.訪問したら家にいない


※この日は「訪問介護の日である」事を伝えておいても利用者がどうしても買い物へ行きたいとの希望が強かったり、またお隣さんが一緒に付いて行って貰える上に一緒にお茶をしたいと希望が一致した為、事業所やケアマネに再々度連絡し状況を報告した所、今回はサービスを中止する形となりました。

2.訪問したら返事がない


※緊急連絡表には、①医療機関への連絡②家族・身内への連絡の順である上に、利用者の状態から本人の生命を最優先し、医療機関=主治医の指示に従って即行動をとった形です。

(医療機関へ搬送した後、②の家族・身内への連絡を行っています。)

事業所やケアマネへも連絡し、その後の対応については医療機関対応となるので、ヘルパーが介護で対応するのはそこまでとなりました。

※利用者は誤嚥性肺炎と脱水を併発しており、病院に搬送した時には、高血圧であった利用者の血圧が急激に下がっている危険な状態であったとの事でした。

正しい治療をした結果、退院して現在も訪問介護を利用しながら在宅生活を続けられています。

3.予期せぬ天災と人災

※訪問介護計画書にある通りにヘルパーは訪問しますが、今回の場合はヘルパーにも訪問中に土砂崩れに巻き込まれたり
河川氾濫による事故に遭遇する危険性が高い事と状況が明確である為、大雨による生活被害を確認する意味でも民生委員の協力を仰ぐ事となりました。

臨機応変力と地域連携力

独居利用者の訪問介護サービスで起こった緊急事態での遭遇事例の一部を挙げました。

いずれにおいても基本的な緊急連絡先の確認やアセスメントの理解、訪問介護計画書の備考欄に記載されていた注意事項をヘルパーがしっかり落とし込んでいたので対応できたとも言えます。

しかし、前触れもなく突然やってくる緊急事態に動揺はつきものです。

ヘルパーも人間ですので、慌てますし、不安を感じたり無理だと思ってしまう事も当然です。

ここで『訪問介護のヘルパーだから絶対こうしなくてはいけない、自分が何とかしないといけない』と思い込んでしまうのは良くありません。

窮地に立った時程、周りを見る、積み重ねていた経験と知恵を使う、チームや地域を頼る、分からなければ素直に尋ねるを行えば、結果はどうであれ解決策を得られるのです。

基本の確認、礼節を弁えた上での関係構築、メモによる状況状態の情報取得、得た情報の共有が緊急事態時を含めた介護力の維持向上に繋がるでしょう。

まとめ


今回は「緊急事態時にどう対応する?独居利用者の場合」を
事例を踏まえながら紹介しました。

・訪問介護サービスに入る前には、必要書類(緊急連絡先、アセスメント、担当者会議録
ケアプラン、訪問介護計画書等)の確認や事前にサービスについての打合せから始める。

・サービスにおいて基本的な礼節を弁えた対応は勿論の事、サービス前後やサービス中に
気付いた事項や利用者の言動についてメモ等する事で今後サービスを行う上での
貴重な情報を得る事ができ、チームで共有する事で連携やヘルパーの介護力の向上が図れる。

・介護サービスは期間が長くなればなる程慣れが生じるが、どんな時でも基本に忠実にを
忘れず対応する。

・訪問介護サービスの利用者には多くの独居利用者がおり、事情も様々で
その対応
も異なってくる。

・訪問したら家にいない、訪問したら返事が無い、状況状態が急変している
天災や人災があった場合等、訪問介護において様々な緊急事態のケースがある。

・どの緊急事態の場合でも、臨機応変力と地域連携力を養い積み重ねていれば
解決策が得られ対応できる。

信念を持って対応するのは良い事ですが
一歩対応を間違うとフォローの利かない状況に陥ってしまいます。

慌てるな、動揺するな、不安になるなとは言いませんが
そういった状況になっても基本を忘れず
常日頃からのチェックを忘れずにいれば対応できるんだと
自信を持って訪問介護サービスを行いましょう。