訪問介護の仕事は、施設型の介護とは違った特殊な技術を必要とします。 介護スキル以外の能力で必要なこともあれば、施設とはまた違った環境下での介護スキルなど、同じ介護でも大きな違いがあります。 今回は、そんな訪問介護で必要な介護技術を、経験者がお伝えします。 訪問介護に特化した技術って何? 今回の記事では、訪問介護に特化した技術で、筆者自身が経験して必要と感じた技術やスキルをお伝えしていこうと思います。 実際の現場での体験談をもとに書いていきますので、今訪問介護をやっている方や、これからやろうと思う方の参考になれればと思います。 土地勘は必ず身に付けよう 当たり前の話ですが、訪問介護は施設介護と違い、広大な土地を介護のために移動しています。 本当であれば介護技術を例にあげるのですが、私は最初に訪問介護ならではの「土地勘」の大切さをお伝えしたいと思います。 訪問介護は基本的に自転車で行う方が多いと思います。 他にも場所によっては車で訪問したり、徒歩で向かう時もあるかもしれません。 どちらにせよ、この時大切になってくるのが土地勘です。 私自身、最初は慣れない土地で複雑な道や、訪問先の場所などは事前に調べて向かっていました。 私が訪問介護をやっていた時は、スマホなどの便利な機器もなく、地図に頼っての訪問でした。 地図だと行き先を見つけるのが一苦労で、スマホが出来てからは非常に助かったのを覚えています。 訪問介護は、訪問件数によっては土地勘がないことで大きくタイムロスを起こす可能性があります。 そうすると、一つ一つのケアが疎かになり、いいサービスが提供できなくなってしまうのです。 そのため、訪問先の道を覚えて土地勘をつけることは、スムーズな仕事にも役立ちますし、サービスの質の向上にも繋がります。 大切なことですので、しっかり土地勘を身につけてください。 安全運転を心がけよう 介護をするために一軒一軒のお宅に自転車や車で移動するので、訪問介護は常に事故と隣り合わせです。 なぜここまで当たり前のことを言うのか、それには大きな理由があります。 これは私が前いた職場であった事です。 訪問を終えてステーションに戻ると、管理者だけ急遽本社に来るように連絡が入ったのです。 今までになかった事ですから、みんな何が起こったのかとソワソワしていたのを覚えています。 結論から言うと、他のステーションの訪問介護員が、移動中に大きなトラックに撥ねられて還らぬ人となったのです。 しかもその事故が起こった事故現場は、私自身よく通る場所でした。 その事故現場の近さを聞いて、私自身ゾッとしたのを今でも覚えています。 一歩間違えたら私自身も、同じ運命を辿っていたかもしれないからです。 なぜ事故にあったのか? 色々な調べで分かったことは、事故に遭った職員は以下の3点から事故に遭ったとみられています。 ①次の仕事先に急いで向かっていた ②車の位置や安全確認を怠っていた ③車通りの多い道路を走ろうとしていた 当時の事故の様子だと、その職員は車と車の間から道路に飛び出して、自転車を漕ごうとしていた時に事故にあったようなのです。 これは訪問介護ならではの事故です。 施設型の介護だと、基本的にこんなことにはなりません。 しかし、訪問介護はケアの時間が長引いたり、訪問件数が多かったりすると、どうしても移動を急いでしまいがちです。 もちろん無理なシフトを回らせる職場も悪いです。 危ないと感じたら慌てずに行動し、明らかに無理なシフトを渡された時は、正直にシフト作成者に伝えてみてください。 大切なことなので念押ししますが、命は一度失ったら2度と戻りません。 なので無理をせず無事故を心がけて、訪問先の移動を行ってください。 介護技術で必要と感じたもの 前回の章では、技術の中でも自身の身を守るための技術をお伝えしました。 この章では、実際の介護技術を経験談も交えてお伝えしていきます。 何かしらのお役に立てれば、幸いです。 ご利用者様・家族と仲良くなる技術 訪問介護は施設型と違い、被介護者以外に家族とも会話をする時があります。 このような時、しっかりと挨拶や一般的な社会人らしい振る舞いを心がけてください。 家族は介護サービスだけしてもらえればいいと言うわけではありません。 個人差はもちろんありますが、実は訪問介護員の所作を一つ一つ、細かく見ていたりします。 その行動次第では、「この人に任せて平気かしら?」と思われるかもしれません。 そのため、挨拶や言動、清潔感や服装など家族と関わる上で気をつける点はたくさんあります。 訪問介護の大切な点として、訪問したらまずはご利用者様と家族、どちらとも仲良くなる必要があります。 大切なのでお伝えしておきます。 基本的に1人で対応する技術 訪問介護は1人で仕事をするため、1人で仕事をしていたい人にとってはいい環境です。 ただそれは、裏を返せば1人で全ての業務をこなし、問題に対処していかねばならないと言うことです。 実はこの技術と経験は、施設型の介護をする時にもいろいろな面で役に立ちます。 役に立つポイントとしては以下の点です。 ①トラブルなどがあっても動じなくなる ②頼る人のいない環境下での判断経験値がつく ③1人で状況を打開する技術力が身に付く 今回は訪問介護をする上で必要な技術の話ですが、この1人で状況を打開できるスキルを身につければ、訪問介護以外の業態で仕事をする時も役立ちます。 さらに一言付け加えると、どの職場に行っても応用の効く人として重宝される強みもあります。 ぜひ意識して身につけてください。 1人で状況判断する技術 訪問介護をしていると、突然のトラブルに巻き込まれることが時々あります。 これは場合によっては不可避なことも多いです。 例えば訪問時にご利用者様が突然の熱発で倒れていたり、食事介助中に嘔吐したりなどがあります。 これらは職員に咄嗟の判断を必要と迫るものが多く、すぐにその場で対処することが必要です。 基本的には電話などを使い、管理者に状況を説明して打開策を聞くのも良いです。 そちらの方が何かあったときに、介護士自身の身を守ることにもつながるからです。 しかし突発的で、今すぐの対処が必要なときは致し方ありません。 ご自身の経験則ですぐに対処する必要があります。 ここからは実際に私が体験した内容を1つ紹介して、どのように対応したのかも記載しようと思います。 訪問したら床が汚物まみれで、ご利用者様が転倒されていた その方は身体機能が落ちている男性のご利用者様で、その方には居室清掃のサービスを提供しています。 訪問すると玄関から異臭がしていて、その臭いの原因を確認するべくトイレの近くを見ると、トイレの前に失敗した形跡がありました。 臭いの原因はその失敗した汚物が原因だったようで、さらにご利用者様はその汚物で足を滑らせたのか転倒されていたのです。 衛生的にも悪く、そのままの状況を管理者に伝えて判断を仰ごうとしましたが繋がりません。 そのままにしておくわけにもいかないので、まずはご利用者様の様子を確認しました。 頭を打った形跡もなく、意識もはっきりしていることを確認できたため、ゆっくりと一部介助をしながら起こします。 その後、着ていた服が汚れていたので、急いで着替えをし、床の汚物を処理や、着ていた洋服を洗ってその後洗濯機にかけました。 居室の換気もして空気の入れ替えもし、なんとか環境も落ち着いてくると、ご利用者様も安堵の表情です。 その後経過報告を行うと、判断を特に咎められることもなくご利用者様に至っては経過観察になりました。 このように、突然の出来事に対してご利用者様に適切な対処をすることがとても大事です。 まとめ 訪問介護の職員にとって必要な技術を一言でまとめるなら、「個で解決出来る力」ではないでしょうか。 それは介護技術だけの話ではなく、自身の安全を守ることも必要となってきます。 訪問介護は介護技術を基礎としてまずは移動中の安全を確保することが最優先だと感じました。 今後も違う視点からの発信をしていきたいです。
訪問介護はご利用者様の自宅に訪問して、介護サービスをする仕事です。 その訪問介護の現場で、実際に仕事をしていた時のトラブルをお伝えしていきます。 実体験の内容なので、今後訪問介護をしようと思っている人や、現在現役で働いている人の学びや力になれればと思います。 訪問介護で実際にあったトラブル 訪問介護は、特定のご自宅に訪問してご利用者様に介護サービスを提供する仕事です。 施設型の介護と大きく違うのは、ほとんどの仕事を1人で行わなければいけないという所です。 施設型の介護だと、困ったことがあっても人手があることが多いため、トラブルがある時は2人で介助をすることができます。 しかし、訪問介護は大体のことを1人で解決しなければいけません。 もちろんイレギュラーな時もあり、他の介護員を派遣することもあるかもしれませんが、大体が1人で訪問して1人で対応します。 この記事では、訪問介護経験者の筆者が実際に合ったトラブルについて紹介します。 警察に保護されたご利用者様 夜勤で訪問介護をしていた時の話です。 サービスを提供していた場所の土地柄、車で訪問介護を行なっていた時のことです。 その日は訪問介護では珍しい、夜勤をしていた日のことでした。 時間はちょうど0時を過ぎていました。 別の先輩ヘルパーから、「今どこにいる?」と着信があったのです。 「今◯◯様のサービスが終わって、◯◯の近くにいます」と返事をしました。 すると、「◯◯⁉︎ちょうどよかった!」といわれました。 詳しく聞くとどうやら丁度この近くで、とあるご利用者様が徘徊していたところ、警察官に保護されたと言うのです。 時間が夜中で、家族も対応ができそうにないと言うことで、日中にも伺ったことのある私が迎えに行くことになりました。 ご利用者様は、認知症を患っている1人暮らしの女性 とにかく急げとばかりに、保護されている警察署に迎えにいきました。 警察署の受付で、「◯◯介護事業所の◯◯と言いますが、こちらで保護されている方がいると聞いてきたのですが…」と伝えると、奥に見覚えのあるご利用者様がいらっしゃったのです。 念のため、本人確認をした後にその後利用者様の保護された時の状況を聞きました。 どうやら住宅街で保護された時、そのご利用者様は紙袋を持ち歩きながら、目的地が定まらない様子で歩いていたようです。 気になった警察官が職務質問をしたところ、すぐに様子がおかしいことに気づきました。 職務質問をした後、ご利用者様が持っている紙袋に視線がいきました。 どうやら、財布のほかに布に包まれた包丁が入っていたみたいで、すぐに保護することになったようです。 しかし、連絡する先もよくわからず、ご利用者様も認知症なためまともに会話はできません。 財布にあった紙に、うちの事業所の電話番号があったことから、このように迎えに行く事になったようでした。 警察官も時折認知症を患った人を保護することがあるようです。 警察では認知症の人への対応は困難 認知症の人への対応は素人と言っても良いほどなので、対応に困っていたようでした。 文章だと伝えづらいですが、認知症の人はイレギュラーな状況や、予想外の出来事に弱いです。 ましてや警察に連れて行かれるという状況です。 私が迎えに行った時のご利用者様の不安そうな表情は、今でも忘れられません。 その後、車に乗せて自宅まで送った時は表情も良くなり、落ち着いた表情でした。 自宅の環境をある程度整えてあげて、その後は退室しました。 訪問介護をしていると、このようなこともあるのかと感じたのを覚えています。 この記事を読んで、これから訪問介護をしようと思っている方の学びの1つになればと思います。 訪問したら目の前で… この日は日中の訪問で、集合住宅のマンションでした。 その日は気温が高く、水分補給をしながら一件一件訪問をしていました。 そしてとあるマンションを訪問したところ、玄関の入り口付近でご利用者様が倒れていたのです。 私はびっくりして、「大丈夫ですか!?」と声をかけましたが、反応が薄く、私はかなり焦りました。 転倒した時、すぐに頭を動かしたりするのは危険です。 そのため、もう一度声をかけると、ゆっくりと起きあがろうとして動き出しました。 その様子を見て、私も利用者様が立とうとするのをゆっくりと起こすサポートします。 その後椅子に座ってもらい、お水を飲みたいというので提供しました。 家の中の状況は… 家の中の状況を確認すると、床が濡れているのが確認できました。 どうやらその水で滑ってしまい、転倒してしまったようです。 幸い怪我はなく、本人が転倒してからすぐに私が訪問したようでした。 ご利用者様の状況が急変する可能性もあるので、椅子に座っていただいてからは様子を見ながらサービスの提供をします。 身体介護のサービスではなく、居室清掃のサービスだったため、ご利用者様の様子を見守りつつ掃除を行いました。 念のため、管理者にも連絡をしました。 訪問した時に状況を説明した後、退室時にも様子を報告します。 その上で一旦退室することにし、もし何かあれば連絡をもらえるようにお伝えして退室しました。 このご利用者様は、男性で1人暮らしのためやや不安ではありましたが、その後訪問した訪問介護院からも状況を聞いていたので、特にその後は問題なかったようです。 このように、訪問すると目の前で突然のトラブルに遭うことがあります。 このような時に落ち着いて冷静な行動をすることも、訪問介護員には必要な力と言えます。 訪室した部屋に感じる違和感 今回の話は、訪問した時に感じた違和感の話です。 そのお宅は、共に80前後の夫婦のお宅でした。 奥様は認知症の方で、旦那様は難聴で耳が聞こえづらく大きな声で話しかけてもほとんど聞こえていないような方でした。 ちなみに旦那様は補聴器をつけても聞こえづらい方です。 さらにキーパーソンとなる娘さんが、3階の居室に住んでいるようでしたが、親子関係はあまり良くなかったようでした。 全くというわけではないものの、やや両親は放置されているような環境です。 そのため、訪問介護員である私たちがお宅に伺い、身の回りのお世話を行っていました。 主に行うのは、居室やお風呂の掃除をメインに体調管理(血圧測定・体温測定・薬の内服状況)などです。 訪問した時の違和感 その時の訪問で感じた違和感は、「匂い」でした。 居室の中は綺麗になっているし、とりわけ大きな変化も見られません。 ただ不快な匂いが居室内にかすかに充満していて、この匂いはどこからくるのか分かりませんでした。 すると奥様が立ち上がり、何やら押し入れの中を物色し始めました。 ちょうど私は記録を記入していたタイミングだったので、話をしながら様子を伺っていたところ匂いが強くなったのです。 場所がわかったので、私はすぐにその押入れの中を確認しました。 押し入れの中には… 押し入れの中には奥様の汚れた下着がありました。 通常であれば、汚物で汚れた下着は水洗いするなどして洗濯しますが、認知症の方は違います。 全員ではないかもしれませんが、大体の人が汚れた下着をどこかに隠すのです。 理由としては大人になって自分がトイレを失敗したことを、知られたくないし認めたくないことがあります。 その為、咄嗟に取る行動が「隠す」です。 この時大きく怒ったり、否定したりしてはいけません。 私はその時、笑いながら誰のものかわからない体で水洗いをして洗濯したのを覚えています。 このような時に大切なのは、相手を否定せずに自尊心を傷つけない声かけをすることなのです。 まとめ 訪問介護の仕事に予想外の出来事はつきものです。 またその起こる出来事が、ほとんどの場合一緒でないのも事実です。 その都度冷静に判断し、行動に移して対処していく必要があります。
介護の仕事をしている人は優しい人が多いけれど、実際のところ人間関係ってどんな感じか気になりませんか? 今回は実際に訪問介護事業所で働いたことのある筆者が、その人間関係についてお伝えします。 訪問介護の人間関係 今回は訪問介護の人間関係について、筆者の経験を織り交ぜながらお伝えします。 中には人間関係の生々しい部分も出てくるかと思いますが、ぜひ最後まで読んで頂けると幸いです。 訪問介護で関わる人たち 訪問介護は仕事をするときに、基本的に1人で移動して介護サービスを提供しています。 そのため仕事をしている時は、自分1人だと思いがちです。 しかし、実際に仕事をしていると色々な人と関わっていることに気づきます。 今までの体験を元に、実際に関わったことのある人を振り返ってみようと思います。 ①ご利用者様 まずはご利用者様です。 ご利用者様あっての、訪問介護なのでここは1番にあげました。 ②ご利用者様の家族 次によく関わるのが、ご利用者様の家族です。 もっとも訪問介護は、家族が在宅で介護をしているけれど、仕事やプライベートの用事で面倒を見れないときに頼むことが多いです。 そのため、ご家庭によっては、ほとんど家族と合わないところもあります。 しかし、家族が利用を決定しているところが多いので2番目にあげました。 ③事業所の管理者 訪問介護事業所の管理者へは、仕事をしている過程でも困った事があったときに相談することが多いです。 筆者は実際の現場で、会社貸与のスマホがあったため、常にスマホを使用し相談や解決策を聞いたりしていました。 その他にも、ご利用者様が行方不明になっていたり、自身がトラブルに遭って動けないときなど、困り事はすぐに相談する大切な存在でした。 ④事業所の同僚 事業所には複数の人員が配置されています。 筆者が最初に配置された事業所は、女性管理者1人、その年に入職した新卒の男性職員、ベテランの40代女性職員、50代の男性ケアマネジャー1人の合計4人でした。 その事業所は、会社の中でも立ち上げたばかりの事業所で、筆者はそこで即戦力として働いていました。 この事業所は、1年後に15人ほどの職員が務める事業所になりますが、当初は人員が本当に少ない事業所でした。 ⑤事業所の事務員 事業所運営において、職員のシフト管理や事業所の経費管理、現場の職員ができない影の部分で働いてくれる職員が事務員さんです。 この事務員さんがどのように動いてくれるかで、事業所の印象は大きく変わります。 基本的に大切な電話は、最初に事業所にかかってきます。 そのため、その事業所の窓口として、最初に対応してくれる大切なポジションです。 ⑥事業所のケアマネジャー 事業所運営の上で、ケアマネジャーは絶対に必要な人員ではありません。 しかし筆者が勤めていたところには1人いました。 ケアマネジャーは介護の知識はもちろんのこと、介護における法律の部分などにも精通しているため、話をしていて勉強になります。 話した内容が、実際の現場で役立つこともあるため、重要な立場の1人です。 ⑦訪問看護の看護師 訪問介護の現場で、ご利用者様の次によく会うのが訪問看護師です。 在宅介護では、医療的ケアを必要としている人も一定数います。 そのため、定期的に訪問看護のサービスを利用しているご利用者様のお宅では、定期的にバッティングする時があります。 その他にも、訪問看護師から訪問介護員に指導が必要となったときに立ち会う事があります。 自身の事業所にいる訪問看護師の時もありますが、他事業所の訪問看護師の時もあるので、筆者自身丁寧に対応することを心がけていました。 ⑧他事業所のケアマネジャー ご利用者様が介護を受けるときに、ケアプラン作成のために必要な職種がケアマネジャーです。 普段の仕事中はほとんど関わりませんが、介護ではサービスの見直しをするためにケアカンファレンスというものが開かれます。 そのときに各事業所がご利用者様の自宅に集まり、ケアプランの見直しを家族を交えて行います。 その際、あまりその回数は多くはありませんが他事業所のケアマネジャーと関わることもあります。 中でも重要なのは? 上で挙げた中でも、重要なのはご利用者様と事業所の職員、そして訪問看護師さんです。 1日稼働していく中でも、よく関わるのがこの3つの方達です。 では実際の現場ではどうだったかをお伝えしていきます。 ご利用者様との関係 いうまでもなくご利用者様との関係は、関わる人たちの中で1番大切です。 ご利用者様との関わり方次第では、出禁になることもあります。 これは実際にあった体験ですが、筆者とは別の訪問介護員の話です。 とある男性職員が、あるお宅に介護に行った時の話です。 介護を受けているのは、そのお宅にいる娘さんのお母さんでした。 後で聞いた話によると、その娘さんはお母さんをすごく大切に介護してきていたようで、当時最初に訪問した男性職員の介護が雑で耐えられなかったそうです。 そもそも、ご利用者様とその家族とも関係性を築けていない中での訪問だった為、仕方のないところはあるものの、そのような出来事が実際に起こってしまいました。 筆者自身も、あまり聞いたことはありませんでしたが、以来そのようなこともあるのだと知り、仕事を改めて丁寧に行うきっかけになったことを覚えています。 事業所の職員との関係 次に重要なのが、事業所の職員です。 訪問介護は勤務時間によって、まる1日事業所の職員と関わらずに終わる日もあります。 つまり、訪問件数と勤務時間によっては事業所の職員と関わることなく業務を終える職員もいます。 基本的に、仲のいい同期や先輩などを中心にいい関係の人が多かったのですが、中には意地悪な職員もいたりします。 筆者が経験した事業所の職員で、事業所の窓口である事務員さんとの関係に悩んだ事がありました。 もちろん印象の悪い人ばかりではないですが、筆者が関わった事務員さんは訪問介護員に非協力的な方でした。 そのため、緊急時は苦労もしましたが上司などに相談をして困難を乗り越えた経験があります。 その時の経験から、訪問介護の空いている時間に事業所の職員と食事をしたり、仕事の後すこし話をする事が、普段の仕事に関わることもある事を学びました。 訪問看護師との関係 訪問看護師は、介護士より知識があると言う自負からか、介護士を下に見る方もいます。 ありがたいことに筆者は、訪問看護師に恵まれたため苦労した経験はなく、悪い印象もありません。 しかし、他の職員の話だと馬鹿にされたり、本来看護師がするべき仕事を押し付けられたなどの話を聞いたことがあります。 本来介護は、看護師が行う仕事の一部を切り取り、看護師の負担を減らすのが目的で出来た仕事です。 両者ともに助け合って仕事をしたいものです。 人間関係が悪いのは本当? 介護の人間関係が大変だといわれるのは、関わる人が他の職場に比べて多いことです。 介護の仕事は上記に示した通り、数多くの人たちと関わりを持ちます。 年代も幅広く、さまざまな業種の人たちと関わることがあります。 お互いにきちんと理解しあわないと、人間関係がこじれてしまいます。 また、苦手な人と関わることもあるでしょう。 介護という仕事柄、さまざまな人たちと密なコミュニケーションを取らなくてはいけません。 介護士は人手不足であることが多く、数多くの業務を抱えています。 そのため精神的に余裕が無く、感情的になりやすいです。 したがって、人間関係で苦労する介護職の人たちが多いのは本当です。 人間関係をスムーズにするために 人間関係が悪化してしまうと、仕事へのストレスをさらに増やしてしまいます。 働きやすい職場にするためにも、人間関係をスムーズにし、職場の府に気を良くすることはとても重要です。 働きやすい職場することは、利用者へのサービスの向上や仕事の効率化にもつながります。 では、どのようにすれば人間関係を良くすることができるのでしょうか。 相手のことを考える そもそも他人は自分と異なる意見を持っていることが多いです。 まずは反発せずに素直に相手の意見を聞いてみましょう。 反論がある場合は、その後に自分の考えを伝えればよいのです。 忙しくても感謝と笑顔を忘れない 笑顔や感謝のない職場は全体的にピリピリした雰囲気になりやすいです。 それが人間関係を悪化させることにもなってしまいます。 どんなに忙しくても、相手への感謝や笑顔を忘れないようにしましょう。 人間関係が辛いときは? どうしても人間関係が辛いときは、誰でもよいので相談してみましょう。 ストレスがたまると仕事の効率が悪化するだけでなく、健康被害を起こすこともあります。 自分なりのストレス解消法を見つけることも重要です。 もしもどうにもならずに仕事が辛くなってしまったら、転職を考えるのも1つの手段です。 人間関係の良い職場を見つけるために 人間関係の良い職場を見つけるためには、いくつかコツがあります。 頻繁に求人をしているところは要注意 頻繁にしているところは頻繁に人が入れ替わっている可能性が高いので、職場の人間関係が悪いことが多いです。 求人の内容をよく確認し、職場見学するなどして十分にリサーチするようにしましょう。 全体的に元気がないところは要注意 気になる求人がある場合は、必ず職場見学に行きましょう。 利用者やスタッフに笑顔や会話がない場合、何かしらの問題があることが多いです。 雰囲気が嫌だと思ったら、そこで働くことはやめた方が良いかもしれません。 まとめ 訪問介護は1人で行える仕事として、施設型にはない魅力のある仕事です。 しかし実際は多くの人が関わって成り立っている仕事であり、助け合っていることを忘れてはいけません。 介護士に限らず、他の職種の人も介護職員が介護をして収入を得ている側面もあります。お互いが支え合い、いい事業所づくりをしてほしいです。
訪問介護の仕事は楽しいこともあるけども、辛い事もあります。 今回の記事では、実際に訪問介護を経験した筆者が、その体験を基に辛かったことをお伝えします。 訪問介護の辛いところ 介護の仕事は人に感謝されるいい仕事です。 介護以外の仕事も経験してよりわかった介護の仕事の魅力は、他者からの感謝を本当の意味で受け取れるところに魅力があります。 そんな中「きつい、しんどい、きたない」と言われるこの仕事を、喜んでしたいと言う人が少ないのも現実です。 個人的には魅力的だと思える介護の仕事ですが、今回は筆者が体験した訪問介護での辛かった体験をお伝えし、その対応策も付け加えようと思います。 それでは始めていきます。 自転車移動が辛かった これはシンプルに訪問するための自転車移動が辛かったです。 都市部での訪問介護の仕事は、自転車移動が基本になります。 地方の移動距離が長い事業所なんかだと、車で移動するところもあるようですが、都心部での基本は自転車です。 自転車移動での足腰への負担は、1件1件の移動を毎日積み重なると大きく、なかなか辛い経験でした。 電動自転車になってからはかなり楽になりましたが、それ以前はまるで足腰を鍛える修行をしているような物でした。 また事業所によっては、1日の訪問件数が多いところもあります。 筆者は、割と短めのケアを複数訪問していたため、1日の訪問件数は平均して15件前後でした。 この数字は、訪問介護業界の方でないとピンとこないかもしれません。 参考までに、筆者が聞いた他事業所の訪問件数は、1日平均5件ぐらいが基本でした。 若い訪問介護員でも多くて10件程度だそうです。 私は毎日3倍走っていたことになります。 訪問介護はご自宅同士の距離が遠いこともあるため、件数が短くても距離が遠かったりしてその移動で疲れるという事もあります。体力に自信のある方や身体を鍛えたい方などにはよいかもしれませんが、そうでない場合は電動自転車をおすすめします。 ご利用者様との人間関係 これも筆者の訪問先にいたあるご利用者様ですが、そのお宅はお風呂とトイレが共同の家でした。 部屋は6畳1間で、家賃も1ヶ月1万円程度のお宅でした。 そこのご利用者様は、服薬確認と安否確認だけのサービスでしたが訪問するや否や罵詈雑言の嵐でした。 さらに提供したいサービスを受けてくれないものですから終わりたくても終われない事もしばしばでした。 最終的に何もせずに帰らざる終えない時もありましたが、このようなご利用者様もいました。 ただ全ての人がこのような人ばかりと言うわけではありません。 あくまで一部のご利用者様だけなので、今紹介したような方はごく稀です。 他にも訪問先でご利用者様の家族に手を握られたり、セクハラのようなことをされた時もあります。 そういう事があった時は、訪問介護が辛いなと思ったりもしました。 ゴミ屋敷への訪問 表現が難しいのですが、いわゆる衛生環境が極端に良くないお宅は一定数あり、その割合は少なくありません。 筆者が経験した訪問先で、訪問するたびにスリッパを使用して入室する訪問先がありました。 そのお宅はマンションのとある一室でしたが、廊下にいるだけで異臭が立ち込めてきて、部屋の中はゴミでいっぱいでした。 訪問介護サービスを利用すると言うこともあって、入り口や洗面台、トイレや浴室などの介護で使用する場所は多少掃除されていました。 しかし衛生的とは言えませんでした。 私たちもプロですので、その環境下で介護をしました。 他にも、訪問先のお宅の中を土足で入ることになっているお宅もありました。 このお宅は、訪問入浴のサービスがありお風呂だけはすごく綺麗だったのを覚えています。 しかしそれ以外は足の踏み場もないぐらいゴミ袋の山でした。 必ずしもそのようなお宅ばかりではないですが、そのような環境を見たことが無い筆者にとっては、なかなか衝撃的で辛い経験だったのを覚えています。 1人で仕事していること 元も子もない話ですが、1人で仕事をしていることが辛い時もありました。 訪問介護は、基本的に1人で介護をして1人で完結して訪問先を退出します。 ほとんどの場合、家族はおらずご利用者様1人の時が多いです。 例えばご利用者様にトラブルがあったり、その他のアクシデントなどは1人で対応しなければいけません。 また介護保険以外のサービスの要求をしてくるご利用者様や、そのご家族がいたこともあります。 そのようなときに全て1人で対応するという面が、施設型の介護と違う大変さでした。 他にも、筆者が1人の訪問で辛いと感じたのは、1日の中であまり会話がない時でした。 自立度が高いご利用者様だと会話を多く交わして退出できるのですが、自立度の低いご利用者様だと、失語症などの理由で会話をできずにサービスを終えてしまうことが多かったです。 職員にもよりますが訪問介護の場合、他の職員との会話もあまりないため、ご利用者様とその家族と会話をしない限り、会話をする機会がありませんでした。 そのため、仕事はしているけれど淡々と目の前の仕事をこなし続けていることを、辛いと思う時期が何度かありました。 もちろん職員全員に当てはまることではありませんが、少なくとも筆者はそのように感じる場面がいくつかありました。 訪問介護が辛いと思った時の対処法 訪問介護が辛いと思ったときは現状を変えるためにも以下のような方法をとると良いでしょう。 管理者に相談 例えば、訪問先のご利用者様からセクハラや、モラハラを受けている時はまず上司に話しましょう。 筆者は実際にそのようなお宅があったときに、当時の管理者に相談しています。 訪問介護員も人間ですので、辛いときは無理をしてはいけません。 筆者の場合正直にそのときの現状を伝えた結果、訪問先を変更してくれました。 他にも、自転車移動の距離が長く移動が辛いことも話しました。 改めて訪問先の見直しをしてくれて、結果的に移動がかなり楽になり体への負担が減りました。 介護は体を使う仕事ですので、他の負担は極力減らした方がいいですね。 困った時は、管理者に相談してください。 最初の課題解決の動きだしは、まずそこからかもしれません。 環境を変える 環境を変えるのも1つの手です。 筆者は異動や、転職は行いませんでしたが、他の職員で異動をして仕事環境が変わり、前よりイキイキと仕事をしている職員がいました。 会社の規模にもよりますが、社内で異動が叶うのであれば事業所を変えてみるといいです。 その行動だけで、世界が大きく変わってきます。 もし事業所を移動できなかったり、異動しても環境が変わらず辛い時は、転職も選択肢に入れてください。 訪問介護の事業所は、探せば多くあります。 できればご自身が働いたことが無い地域がいいかもしれません。 事業所の環境や、雇用条件など見るところは多くありますが、転職をして今以上に良い環境で働いている職員もいたため、1つの選択肢としておすすめです。 まとめ 今回、実際に働いた体験談をもとに、訪問介護で辛かったことをお伝えしました。 しかし、訪問介護は何も辛いことばかりではありません。 仕事をしていて楽しいことももちろんあります。 辛いと言う点も個人差があり、上に挙げたもの以外にも辛いと思うポイントはあるのではないでしょうか。 大切なのは、その環境下で自分自身がどうしたいかです。 それを考えられる記事になっていれば嬉しいです。
介護の仕事にはいろいろな働き方があります。 施設や病院など大勢の介護士の中で働く仕事や、1人で介護する仕事などさまざまです。 訪問介護は介護士が1人で介護をする仕事です。 ここでは訪問介護に向いている人とはどんな人なのか、元訪問介護士が解説します。 訪問介護とはどんな仕事? まずは訪問介護とはどのような仕事なのか、その概要についてご紹介します。 訪問介護とは、要介護に認定されたご利用者様の自宅に訪問し、介護サービスを提供する仕事です。 サービスの提供内容はさまざまありますが、大きく分けて3つに分けることができます。 身体介護 身体介護とは、食事、排泄、入浴などの介助をするために、利用者さんの体に触れて介護サポートをすることです。 これは通所型や入所型の施設でも同様の介護サポートが行われますが、訪問介護ではより生活に踏み込んだ介助を行います。 生活援助 生活援助とは、利用者さんの生活をサポートするために行われるものです。 主に以下のような内容があります。 料理 洗濯 買い物 掃除 等 どのようなサポートをするのかは利用者さんの希望によります。 また、生活援助には食事介助などの身体介護は含まれません。 通院介助 通院介助は病院までの送迎をサポートするもので、以下のようなものがあります。 車の乗降介助や車椅子の積み下ろし 受診手続き 薬の受け取り ただし、病院内の付き添いは医療保険の対象となり、介護保険が適用できないことがあります。 そのため、介護の必要がある場合のみになることが多いです。 訪問介護に必要な資格とは 訪問介護で働くには介護職員初任者研修以上の資格が必要です。 中には無資格であっても働きながら資格を取得するのであれば就業できるところもあるので、施設に確認をしてみてください。 介護職員初任者研修は介護職の基本ともいえる資格で、通信教育などで取得することが可能です。 教育機関にもよりますが、最短1か月程度で取得することができます。 介護職には介護福祉士実務者研修や認知症介護実務者研修などさまざまな資格があります。 スキルアップするためにも、仕事をしながら介護に関する資格取得を目指してみるのもおすすめです。 訪問介護に向いている人とは? では、訪問介護に向いているのはどんな人なのか、元訪問介護士が経験を織り交ぜて解説していきます。 1人で仕事したい人 訪問介護の仕事は、1人で仕事したい人に向いています。施設型の介護施設と違い、訪問介護は自宅が介護をする場所になります。 施設で働く場合、閉鎖的な空間で常に職員や他のご利用者様がいて、そういう環境が苦手な職員もいます。 その点、訪問介護は基本的には1人です。 訪問先に行くのも、次の訪問先に行く時も1人なので周りの職員を気にする事なく自分のペースで仕事ができます。もちろん決まった時間に訪問しなければいけないのは大前提です。 しかし仕事によっては、あらかじめ決められた時間よりも早く終わることもあります。なので、少し早目に訪問先を出ることも可能だったりと、自分のペースで仕事ができます。 休憩を好きな時に取りたい人 施設で働くと、休憩時間はシフトによって前後します。例えば、早番の場合朝は大体7時前後から仕事に出てきて、昼休憩は11時〜12時の間になります。 日勤の場合、8時30分ごろが出勤時間のため12時〜13時頃が休憩時間です。このように施設だと、ほぼ確実に休憩は取れるものの時間が決められてしまうことが多いです。 自分自身が休憩したい時に休憩ができないため、人によっては辛い人も出てくるのではないでしょうか。その点、訪問介護だと休憩は空いている時間に好きなタイミングで取得できます。 もちろん、勤務状況によっては好きな時間に取得できない時もあります。 しかし、その日のシフトを見てあらかじめこの時間に取得しようということを決めて仕事に臨むと、仕事が楽しく感じます。 なので、自分のペースで休憩を調整したい人は数ある介護の仕事の中でも、訪問介護が向いています。 場所に縛られたくない人 施設で介護の仕事をすると、基本的に1つの場所で仕事をし続けることになります。 例えば異動などの勤務場所の変更がない限りは、1つの場所で仕事を続けることになります。仕事をする上で、1つの場所に縛られたくない人にはこのような働き方は辛いところがあります。 その点、訪問介護の仕事は場所に縛られることはありません。 勤め先のステーションにもよりますが、訪問介護の仕事は時と場合により訪問先が変わることもあり、仕事先は一定では無いのです。 なので、仕事先がずっと一緒なのが嫌だという方には、訪問介護の仕事は向いていると言えます。 気分転換したい人 訪問介護の仕事はシフトにもよりますが、外で仕事することがほとんどです。そのため、気分転換したい時などがあれば、空き時間に外で気分転換したりします。 私自身の実体験ですが次の訪問先の時間まで時間があり、ステーションに戻る時間がない時がありました。そういう時間を利用して、公園のベンチで桜を見たりして気分転換したのを覚えています。 施設で仕事をしていると、休憩中やレクリエーション、買い出しの時ぐらいしか外に出ることがありません。 定期的に気分転換したい人には訪問介護はおすすめの仕事です。 夜勤をしたくない人 訪問介護は、基本的に夜勤がありません。一般的な訪問介護に限定されますが、夜勤勤務がないところは訪問介護の魅力といえます。 施設型の介護の仕事は、24時間体制でご利用者様の介護やお世話をする必要があるので、シフトに夜勤の勤務があります。 訪問介護の場合は、主に日中での介護業務がほとんどで、夜勤のシフトはない所が多いです。 ただし、定期巡回型の訪問介護をしているところは別です。 定期巡回型の場合、雇用条件によりますが夜勤のシフトを求められる事もあります。 もし希望する勤め先が定期巡回型の訪問介護事業所であれば、夜勤の勤務があるかどうかを事前に確認するようにしましょう。 夜勤がある場合は、夜勤のシフトに入らない旨を伝えたほうがいいです。 夜勤勤務を希望しないのであれば、違う職場を選ぶことをおすすめします。 ご利用者様と1対1で仕事したい人 訪問介護は基本的に1対1で仕事するものです。つまり自分1人に対して、ご利用者様は1人であることがほとんどです。 訪問介護ならではですが、ご利用者様が1人だとその方だけを見守っていれば良い為、事故の危険性も減ります。 特に特別養護老人ホームなどの大きい施設で仕事をすると、1人で10人の見守りをする場合もあります。 どちらも体験談ですが、1人で見守りを行う上で見守りできる人数には限りがあります。 10人を1人で見守るとして、全員が歩行不安定で立ち上がり頻回だとします。 被介護者が歩くことができる場合、転倒する可能性が非常に高いといえます。この時点で1人で10人を見守りを行うのは不可能です。 そのような大型の施設はそういった点も考慮した上で、環境を構築しています。 ここまで訪問介護は1対1の介護と記載してきましたが、時々2人のご利用者様の対応をすることがあります。それはご利用者様が夫婦でサービスを利用している場合です。 このような場合、大体のご利用者様が寝たきりか認知症になっている状況が多く、むしろ介護する上で困難なことは少なかったです。 訪問介護先の状況や対応方法を、訪問前に事前に先輩社員によく確認しておくようにしましょう。 移動が楽しい人 訪問介護の移動は基本自転車での移動が主流です。 土地が広くて、1軒1軒の距離が遠い場合は車を使用することもありますが、住宅街が密集しているところでは自転車移動が多いです。 施設の介護と訪問介護の違いは、ご利用者様の住んでいる家まで行くという距離が挙げられます。 訪問介護の場合、この距離を自転車や車でカバーして介護を行います。 施設だと、居室は歩いていける距離なため時間も節約されて、残りの時間は介護に充てることが可能です。 訪問介護だと、シフトによっては数十分の時間をかけて訪問して、介護サービスを提供します。 この移動が楽しめる人は、訪問介護に向いていると言えます。 訪問介護のヘルパーとして働くメリットとは? 訪問介護の仕事にはどのようなメリットがあるのか、経験を踏まえてご紹介します。 長期的に働きやすい 介護が必要な人が全て施設に入るわけではありません。 自宅で暮らしたい人、施設待ちをしている人など、家で生活している人は多くいらっしゃいます。 そのため、訪問介護には施設型や入所型よりも需要が高い傾向があります。 もし何らかの事情により介護の仕事から離れたとしても、再就職しやすいです。 キャリアアップができる 訪問介護の仕事に就くために年齢は関係ありません。 いくつであっても、経験を積むことでキャリアアップすることができます。 また、利用者さんは一人ひとり生活習慣や必要なケアが異なります。 そのため、さまざまな利用者さんに適応できるスキルを身に付けられます。 訪問介護のヘルパーとして働くデメリットとは? 訪問介護の仕事には、メリットだけでなくデメリットもあります。 ここでは訪問介護のデメリットについてご紹介します。 責任が大きい 先にも記載しましたが、訪問介護は1人でケアを行う仕事です。 そのため施設など大勢の介護職員の中で働くよりも、利用者さんに対して大きな責任を置くことになります。 特に、訪問介護の経験の浅い方には大きなストレスになってしまいがちです。 訪問介護は最初から1人で仕事をするわけではありません。 最初のうちは先輩スタッフが同行します。 また、何かあった場合は事業所の責任者に相談することもできます。 少しずつ仕事に慣れて経験を積んでいくことが重要です。 天候によって移動が大変になる 訪問介護は介護職員が利用者の家に出向く必要があります。 そのため、天候の悪い場合は移動が困難になることがあります。 天候が悪くても利用者さんの介護は必要です。 着替えを用意したり、移動方法を考えるなどの工夫が重要です。 まとめ 訪問介護は外で仕事ができる分、仕事への切り替えや、気分転換がやりやすい仕事です。 1つの場所に囚われるのが嫌な介護士には、仕事環境が毎度違うのは新鮮で、マンネリ化を防げます。 この利点をよく理解して、自身に合っていると思う人はぜひ訪問介護の仕事にチャレンジしてみてください。
訪問介護サービスの際に、利用者に同居家族がいたとしても 緊急事態に遭遇してしまう事があります。 今回は同居家族がいる場合に被介護者に緊急事態が起きた場合の事例を踏まえながら対処方法をご紹介します。 訪問介護サービスに入る前の基本と準備 訪問介護中に緊急事態!被介護者1人しかいないときはどうすればよい?でも紹介しましたが、訪問介護サービスに入る前には、利用者の情報を知る事から始まります。 ヘルパー側は勿論ですが利用者側にも確認をして頂き、情報に洩れや誤りが無いかどうか、双方認識する事が大事です。 ・必要書類の確認 ・サービス計画についての事前打合せ ※訪問介護サービスが生活援助中心であった場合 ・同居家族の状況、状態、問題点 ・各関係機関との連携、対応方法の確認 ヘルパーの基本的な心構えと準備(同居家族がいる場合) 社会人として基本的な、世間一般での礼節を弁える事や接遇マナーの遵守は当然です。 その上に利用者本人だけでなく、同居家族との関係性も直に構築していく上において、独居とはまた違う心構えや準備が必要になってきます。 訪問介護サービスに入る前のヘルパーとしていつもの準備にメモ類を準備しておく事は当然ですが、 「なぜ同居家族が居るにも拘らず訪問介護を要するのか?」 その背景・原因・問題点を書類面だけでなく実際に体面して確認する事が利用者の日常生活の維持において必要となります。 ケア会議等で書類打合せで得られる情報と、実際に会ってヘルパー自身が生活動作を確認し得られる情報とには差異があります。 そのため、状況を理解する上で異なる面がある可能性も高いです。 気付いたことや追加される情報等、メモ類に洩らす事が無い様に留めておく事が重要です。 同居家族がいる場合の訪問介護 一般的に同居家族と言われたら、「一緒に住んでいる世帯」と考える人は多いでしょう。 けれども、一口で「同居」や「家族」と言われても様々な形の「同居」や「家族」がいるものです。 訪問介護においての同居や家族の考え方については下記の表を参照して下さい。 〇同居とするもの ・同じ建物に利用者含めた家族が一緒に住み、暮らしている ・生活基盤は別でも、利用者の世帯と子達の世帯が同じ建物に住み、暮らしている ・建物は違うが利用者またはその家族の同一敷地内に住み、暮らしている 〇家族とするもの ・左記の同居とするものにある身内、親族、同居人 ※但し、義務教育修了までの15歳未満の中学生以下においては、訪問介護の生活援助ができる対象とする「家族」からは対象外 ※同居とするものにもありますが、2番目の利用者の世帯と子の世帯が住む、いわゆる二世帯住宅は、生活基盤や世帯主が別です。 特に深刻な問題がある訳では無いけれども、互いの生活に踏み込んでいない=援助とは別個として考えるように思う方もいるかもしれません。 しかし、介護保険においては、「一般的に援助を行う事が可能だとされる利用者との近い距離に住んでいる」事を指しているので 別世帯であっても同じ建物、近さにある場合は同居とするものに考えられます。 基本的には身体介護のみ可能 同居家族がいる場合で訪問介護サービスが認められるのは、身体介護に纏わるものです。 厚生労働省 各介護サービスについて「1.訪問介護」より 上記の表にもありますが、身体介護とは ①利用者の身体に直接接触して行う介助サービス ②利用者のADL(日常生活動作)、IADL(手段的日常生活動作) QOL(生活の質)や意欲の向上の為に利用者と共に行う 自立支援・重度化防止の為のサービス ③その他専門的知識・技術をもって行う利用者の日常生活上 社会生活上の為のサービス とされています。 身体介護は、同居家族がいても利用者が必要であると認められた場合は、サービスを計画し提供される事が可能です。 生活援助は条件によっては可能 基本的に、訪問介護は同居家族がいる場合では生活援助のサービスは提供できません。 但し、自立支援の観点において条件によっては生活援助が認められるものもあります。 障害、疾病がある場合 ①同居家族が身体または精神への障害を持っており、日常生活においての家事等が難しい場合 ②同居家族が病気やケガをしており、その為に日常生活においての家事等が難しい場合 その他やむを得ない場合 ①同居家族が仕事や学業等の為に日中不在にしており、同居家族が利用者へ日中に必要とする家事等ができないと認められる場合 ※同居家族が仕事や学業等の休日に当たる日や、朝夕の在宅が認められる時間においての生活援助は対象外 ②同居家族が要支援又は要介護認定を受けており、家事等を行う事が難しい状況の場合 ③同居家族と利用者との間に非常に深刻な問題があり、援助が難しい場合 ※「非常に深刻な問題」⇒介護放棄、虐待、血縁断絶状態などの状況下にある場合を指す ※厚生労働省 「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」 参照 上記の様に「障害、疾病がある場合」「その他やむを得ない場合」という条件の下、生活援助が必要であると認められた場合は、サービス可能となる事もあります。 但し、生活援助の対象者はあくまでも利用者本人ですので、同居家族に対して同様のサービスは行えません。 こんな時はどうする? 色々な同居家族がいるんです 1.老々介護…そのサービスは本当に必要ですか? 緊急事態とまで言えるものではありませんが、夫婦それぞれ別のケアマネージャーが作成したケアプランによる訪問介護サービスが変更になったケースです。 実際、最初の生活援助にあった調理に関しては、長時間の立位が難しい為に訪問介護を利用するという事には問題はありませんでした。 掃除や片付けその後の室内での洗濯干しは今まで妻がしていた生活動作でもあった為、継続の意向が強くプランに組まれました。 ケアマネージャー側とサービス事業所側が、利用者側のニーズをきちんと確認し、本当に継続で良いのか、必要なものが他にあるかどうかを見定め、プランに反映しサービスを行う事で初めて連携が取れたと言えます。 隠されたニーズ・本質を見極めできなければ、万が一緊急事態に陥った時に対応が遅れる恐れがあるので注意しなければなりません。 2.ご家族も多忙ですが…日中独居が本当の独居になる 始めは同居家族が日中不在による日中独居でした。 1年後には月の半分以上家を空けていたり、家を出た状態でもあったりしたにも関わらず、同居家族による連絡が事業所側にはありませんでした。 利用者本人は「大丈夫大丈夫、できるできる。」が口癖で、近隣の方との会話やケアマネージャーによる月末のモニタリングでも、相談が無かった為に状況がスルーされていました。 そのままの状態であれば、本人のADLやIADLも低下しかねない事態です。 サービスを行う中で、利用者の状態や状況が本当に安定傾向なのか、在宅で日常生活が維持できるのかをきちんと確認することが重要です。 各事業所で保管する書類表面上だけの連携ではなく、各事業所が責任を持って対応する真の連携を図らなければなりません。 3.「良い親子関係だな」と思っていました。 家族関係が良いと思われていましたが、身内の入院をきっかけに誤った方向へ進んでしまい、日常生活が脅かされる事態になっていた件です。 利用者との関係は、踏み込む線引きが難しい面もあります。こういった緊急事態では解決に向けて専門的な要素も必要になりますので早い段階で関係各所への協力を要します。 プライバシー侵害になるのか、虐待防止へとなるのかは俯瞰して物事を見る力と慣れによる惰性の回避、日頃からの情報収集の蓄積が物を言います。 厳しい事を言いますが、もし何か問題に気付いたとして、担当しているヘルパー自身だけで何とかしよう解決しようとしてもできる事は何一つ無いのが現実なのです。 何等かの違和感を感じたり、異変を少しでも確認したりした際は、すぐに報告・連絡・相談して、関係各所専門担当者と連携の上。早く解決や改善される方向へ進んでいく事が何よりも大切です。 まとめ 今回は同居家族がいる場合に被介護者に緊急事態が起きた場合の事例を踏まえながら紹介しました。 ・訪問介護サービスへ入る前は同居家族がいる場合でも、基本や準備は同じである。 ・同居とするものとは「同じ建物に利用者含めた家族が一緒に住み、暮らしている」 「生活基盤は別でも、利用者の世帯と子達の世帯が同じ建物に住み、暮らしている」 「建物は違うが利用者またはその家族の同一敷地内に住み、暮らしている」を指している。 ・家族とするものとは「同居とするものにある身内、親族、同居人」の事をいう。 ・但し、義務教育修了までの15歳未満の中学生以下においては 訪問介護の生活援助ができる対象とする「家族」からは対象外とされる。 ・同居家族がいる場合で訪問介護サービスが認められるのは身体介護であるが、生活援助は障害や疾病がある場合とその他やむを得ない場合という条件があれば可能である。 ・同居家族がいる場合の訪問介護で様々な形の緊急事態のケースが発生するが、サービス事業所側やケアマネージャー側のみの連携では解決できないケースも多い。 地域との連携や医療機関との連携、地域包括支援センターや社会福祉協議会との連携自治体との連携が必要となる。 ・緊急事態を未然に防ぐ場合や緊急事態が起こってしまった場合は、何よりも「報告・連絡・相談」が現状改善や問題解決の一歩であり大切である。 家族という形は本来、協力し合うものという概念がありますが、何かと多忙だったり時代に応じた様々な生活スタイルによって、変貌しているのが現状です。 介護に関する法律や制度、方針が追加されたり変更されたりするのも、介護を必要とする利用者の生活や取り巻く環境が同じように変貌しているからです。 介護の基本理念は変わりませんが、家族という関係においても 不変のものと変化するものをきちんと見極めて対応できるようにしましょう。
訪問介護で訪問した際に、ヘルパーなら一度は思わぬ緊急事態に遭遇してしまう経験をした事があるのではないでしょうか。 今回はそんな「独居利用者の場合、緊急事態時にどう対応する?」を事例を踏まえながら紹介します。 訪問介護サービスに入る前の基本 訪問介護サービスに入る場合、まずは利用者の情報を知る事から始まります。 それは独居、同居者家族がいる場合どちらのケースでも同じです。 ごく当たり前の事ですが、意外ときちんと押さえられていない事が多かったりします。 訪問介護サービス前に必要な情報を確認する書類は下記の図を参照して下さい。 基本的な礼節、メモ類の準備と押えるべき点 基本中の基本ではありますが、訪問介護サービスに入るという事は他人様のお宅に訪問する事なので世間一般での礼節は弁える事を忘れてはいけません。 あまりにも型苦しい、余所余所しい言動は今後、訪問介護で関係を築いていくには少々壁の様に感じるかもしれません。 しかし、あくまでも訪問介護サービスのヘルパーとして入る訳ですから、身内の様な気持ちで接する事は有っても馴れ馴れしい言動を表立って行うのは失礼に当たります。 また、訪問介護サービスに入る際にメモ類を準備しておく事で、今後の訪問介護においての注意事項や計画書又はアセスメント等の書類だけでは見えてこなかった利用者の情報をメモする事で洩らさず拾う事ができます。 個人情報であるが為に、踏み込んで良いラインと踏み止まるラインの線引きが難しい所ではあります。 しかし、これが緊急事態時や困難事例になりうる際に、その情報が対利用者の大事な引き出しとなり適切に対応できるものへと繋がるのです。 これは新規だけではなく、サービスの回数を経て数か月~数年と対応している熟練のヘルパーでも同じ事が言えるのですが、経験を積めば積む程なかなか拾わなくなってしまうのが現実だったりします。 礼節を弁えるのは勿論の事、書類を踏まえた上での利用者の状況や状態気付きをメモする=現場のヘルパーでしかできない事です。 何よりも俯瞰で物事を見る・気付く・対応する事が今後への最適な対応策であり、いざという時に揺らぐ事の無いヘルパー自身の力となります。 訪問介護、いざ実際は? 上記でも述べた通りですが、書類の確認や事前打合せやサービスに入ったら礼節を弁えた接遇マナーの遵守、利用者の状況や状態に応じての ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)が重要です。 訪問介護では、利用者に応じてケアプランが立てられ、そのケアプランに沿った訪問介護計画書が作成されます。 そもそも訪問介護サービスは、40歳以上の人達が支払っている保険料を財源とする介護保険を使用して、介護が必要と認定された人達の在宅時に訪問し行われるものです。 言い換えれば、国の税金と利用者の一部負担で賄われている為、介護保険制度を遵守しなければなりませんし、介護の基本を根底にした上で臨機応変な対応が求められます。 基本に忠実にサービスを行う事ができたならば、思わぬ事態や状況に面しても対応できる力が備わっていると言えるでしょう。 独居であるが故に 訪問介護サービスの利用者には、独居の利用者も当然ながら居られるのですが、独居にも様々なタイプの方がいらっしゃいます。 ①長年一人で過ごされている身内のいない独居の方 ②理由が有って近年新しく独居になられた方 ③身内はいるけれども日中は一時的に独居となる方 ④遠方に身内がいる、年に数回は面会のある独居の方 独居とはその名の通り、一人で生活されている方なのですが 一人であるが故の強みと弱みが混在されています。 ①の長年一人で生活されていた方は、生活サイクルが確立されている為に訪問介護を利用する事に抵抗を感じる方もいらっしゃるようです。 利用者自身は自分で何もかもできていると思って生活していますので、第三者から見た場合と自身の実感とでは感覚のズレを生じる事もあります。 「自分でやろう」とする意欲を損なう事無く、本当にできない部分や生活面で困難となる部分が計画書には練られて作成されていますので、サービスを行いながら、実際の状況や状態はどうであるかきちんと確認をする方が良いでしょう。 ②と③はその方のケースにもよりますが、何等かの形でも近しく共に生活されていた(又はされている)形跡がある為、訪問介護利用に関しては理解頂ける事も多いようです。 ヘルパーが訪問介護サービスに入る際には声掛け確認を行いますが、話すというコミュニケーション方法に対して、割合友好的に捉えて貰えることが多いです。 そのため、利用者の困っている事の相談を受けたり、ちょっとした愚痴を聞いたりする等の手法が、距離を早めに縮める有効な方法である事も有ります。 しかしその反面、距離が縮まりすぎる事でチームを組んでサービスを行った時に、 「〇〇さんはこうしてくれた、ああしてくれたのに」と利用者から指摘される事になり易かったりする副作用があるのも忘れないようにしましょう。 ヘルパーも人ですから、介護保険で関われる限界点や枠がある事は理解していても、情というものに動かされてしまう気持ちは分かります。 しかし踏み込むラインと踏み込まないラインはしっかり守らなければなりません。 ④の場合、面会の回数や身内の住む距離の近さにもよるのですが、休みの度に顔を見せに来る身内がいらっしゃる場合は、比較的心身共に安定されている場合が多いようです。 春と秋のお彼岸時期や夏の盆休み冬の正月といった各季節に1回ずつの場合や、夏休みや正月の年2回といった本当に年数回片手に数えられる程の場合は、①~③がミックスされたような対応をする場合があります。 (「自身でできるから必要ない」と言われるも時間の経過と共に依存心を見せてくる等) いずれのケースにおいても、まずは基本を踏まえ、計画書にあるサービスを行い、その中で見つかる注意事項や新たな情報を洩らす事の無いように、何等かの形=メモ等に留め、介護サービス全体のチームで情報を共有して反映していく事が大切です。 こんな時はどうする?訪問したら〇〇だった! 1.訪問したら家にいない ※この日は「訪問介護の日である」事を伝えておいても利用者がどうしても買い物へ行きたいとの希望が強かったり、またお隣さんが一緒に付いて行って貰える上に一緒にお茶をしたいと希望が一致した為、事業所やケアマネに再々度連絡し状況を報告した所、今回はサービスを中止する形となりました。 2.訪問したら返事がない ※緊急連絡表には、①医療機関への連絡②家族・身内への連絡の順である上に、利用者の状態から本人の生命を最優先し、医療機関=主治医の指示に従って即行動をとった形です。 (医療機関へ搬送した後、②の家族・身内への連絡を行っています。) 事業所やケアマネへも連絡し、その後の対応については医療機関対応となるので、ヘルパーが介護で対応するのはそこまでとなりました。 ※利用者は誤嚥性肺炎と脱水を併発しており、病院に搬送した時には、高血圧であった利用者の血圧が急激に下がっている危険な状態であったとの事でした。 正しい治療をした結果、退院して現在も訪問介護を利用しながら在宅生活を続けられています。 3.予期せぬ天災と人災 ※訪問介護計画書にある通りにヘルパーは訪問しますが、今回の場合はヘルパーにも訪問中に土砂崩れに巻き込まれたり 河川氾濫による事故に遭遇する危険性が高い事と状況が明確である為、大雨による生活被害を確認する意味でも民生委員の協力を仰ぐ事となりました。 臨機応変力と地域連携力 独居利用者の訪問介護サービスで起こった緊急事態での遭遇事例の一部を挙げました。 いずれにおいても基本的な緊急連絡先の確認やアセスメントの理解、訪問介護計画書の備考欄に記載されていた注意事項をヘルパーがしっかり落とし込んでいたので対応できたとも言えます。 しかし、前触れもなく突然やってくる緊急事態に動揺はつきものです。 ヘルパーも人間ですので、慌てますし、不安を感じたり無理だと思ってしまう事も当然です。 ここで『訪問介護のヘルパーだから絶対こうしなくてはいけない、自分が何とかしないといけない』と思い込んでしまうのは良くありません。 窮地に立った時程、周りを見る、積み重ねていた経験と知恵を使う、チームや地域を頼る、分からなければ素直に尋ねるを行えば、結果はどうであれ解決策を得られるのです。 基本の確認、礼節を弁えた上での関係構築、メモによる状況状態の情報取得、得た情報の共有が緊急事態時を含めた介護力の維持向上に繋がるでしょう。 まとめ 今回は「緊急事態時にどう対応する?独居利用者の場合」を 事例を踏まえながら紹介しました。 ・訪問介護サービスに入る前には、必要書類(緊急連絡先、アセスメント、担当者会議録 ケアプラン、訪問介護計画書等)の確認や事前にサービスについての打合せから始める。 ・サービスにおいて基本的な礼節を弁えた対応は勿論の事、サービス前後やサービス中に 気付いた事項や利用者の言動についてメモ等する事で今後サービスを行う上での 貴重な情報を得る事ができ、チームで共有する事で連携やヘルパーの介護力の向上が図れる。 ・介護サービスは期間が長くなればなる程慣れが生じるが、どんな時でも基本に忠実にを 忘れず対応する。 ・訪問介護サービスの利用者には多くの独居利用者がおり、事情も様々で その対応も異なってくる。 ・訪問したら家にいない、訪問したら返事が無い、状況状態が急変している 天災や人災があった場合等、訪問介護において様々な緊急事態のケースがある。 ・どの緊急事態の場合でも、臨機応変力と地域連携力を養い積み重ねていれば 解決策が得られ対応できる。 信念を持って対応するのは良い事ですが 一歩対応を間違うとフォローの利かない状況に陥ってしまいます。 慌てるな、動揺するな、不安になるなとは言いませんが そういった状況になっても基本を忘れず 常日頃からのチェックを忘れずにいれば対応できるんだと 自信を持って訪問介護サービスを行いましょう。
介護保険を使った訪問介護。 実は生活援助と身体介護には違いがあります。 今回はその点をご説明します。 生活援助って何? 介護の業界を知らない人に「生活援助と聞いて何を連想しますか?」と聞いたことがあります。 その方は「高齢者の出来ない買い物とか、掃除とかですか?」と答えていました。 それも生活援助の一つですが、細かく言うと他にもたくさんの生活援助の内容があるのです。 この章では生活援助の中身をご説明していきます。 生活援助でやってはいけないこと 生活援助とは身体介護以外のサービスで、ご利用者様が日常生活で行う活動内容を、代わりに訪問介護ヘルパーが行う支援のことを指します。 ここで注意点があります。 生活援助はあくまで「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるのが基本です。 そのため、生活援助で行っては行けないことがあります。 以下のようなサービスは生活援助のサービス外です。 ・ご利用者様が飼っているペットのゲージの掃除や散歩などの世話 ・ご利用者様以外の食事を作る(ご利用者様の家族など) ・ご利用者様本人が使わない部屋や、庭の掃除 ・イベント時に特別な料理を作る ・ご利用者様の家族の買い物 ・家電や家具などの移動や修理 ・車の運転代行 ・ご利用者様の家にある車の清掃 ・預貯金の引き出し代行、お金を扱うこと ・家にある植木や、草花の手入れ ・酒やタバコなど嗜好品の購入代行 ・室内の電球取り替え ・ご利用者様が家にいない状態での留守番サービス 訪問介護を実際に行うと正直なぜ行ってはダメなのか分からない内容もあります。 例えば電球の交換などは行なってもいいように感じます。 しかし、実際は禁止されているのです。 このように、生活援助と言ってもやっていいこと、やってはいけないことがあることを事前に利用者にお伝えしておかなくてはいけません。 その上で生活援助の内容をご説明していきます。 生活援助でやっていいこと 基本的な決まりとして、生活援助は「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるとお伝えしました。 この決まりを踏まえて今から生活援助の具体的な内容をお伝えしていきます。 買い物代行 このサービスはご利用者様が生活する上で必要な食材や日用品などをメインに、生活に必要なものだけをヘルパーが代わりに買い物代行するサービスになります。 掃除代行 このサービスは、ご利用者様の住環境の清潔な環境を整えるためのサービスです。 ご利用者様によっては、右半身麻痺だけど自分で歩ける人もいたりします。 そのような方は、掃除を自分で行えないことがあるので、ヘルパーが代わりにゴミを集めたり、床の掃除を行なったりします。 実際、1時間ほどでトイレ、居室、お風呂の掃除のみのサービスなどもあります。 洗濯代行 ご利用者様が使用した衣服や、生活の中で汚れたものなどを洗濯するサービスです。 過去に干したものを回収し、洗濯したものを干すまでがサービスの一つです。 場合によっては、訪問した時に汚れたシーツや身の回りのものがあれば、それも洗濯することもあります。 ベッドメイキング 訪問介護の仕事をしていると、訪問先のベッドメイキングの仕事もあります。 このサービスは、経験上あまり行なったことはありませんが、ごく稀にサービスとして行うことがあるので、覚えておいて損をすることはないと思います。 伺うお宅によって使う布団やシーツの種類なども違うので、臨機応変にサービスの行い方を学ぶことができます。 衣類の整理、被服の補修 ご利用者様の生活を守る上で、衣服の整理や被服の補修は重要になってきます。 認知症のご利用者様などは暑い真夏の季節でも厚手のダウンを着ようとする方もいます。 そのような方がいることもあるので、季節に合った衣服の準備や整理整頓、被服の補修はご利用者様の生活を守る上で重要になってきます。 薬の受け取り代行 ご利用者様の生活の中で重要になる薬の受け取り代行も生活援助の一つとして行います。 訪問介護をしていると、ほとんどのご利用者様が薬の内服をおこなっているので、ご利用者様によっては薬の受け取りを行うサービスを必要としている人もいます。 重要なので覚えておきましょう。 身体介護って何? この章では身体介護についてお伝えしていきます。 結論からお伝えすると、身体介護はご利用者様の体に触れてサービスを提供するものです。 具体的は以下の内容になります。 ・ご利用者様の体に直接触れて行う介助サービス ・ご利用者様の自立支援・重度化防止のためのサービス ・その他の専門的知識・技術を要する生活上のサービス (出典‘厚生労働省「「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」」の一部改正について」) ではさらに細かく分解するとどのようなサービスなのかをご説明していきます。 身体介護の種類と内容 では、身体介護はどのような種類と内容があるのか、詳しく解説していきます。 食事介助 身体介護の中でも代表的な食事介助ですが、主に食事をご自身で食べることが難しいご利用者様を対象に行う介助です。 食事介助は、見守りで大丈夫な場合と一部を誘導やお手伝いすれば大丈夫なもの、また全ての介助をしなければならないものと3パターンに分かれます。 他に食事形態の面でも違いがあり、ヘルパーはご利用者様がどの職形態で食べれるかも把握して、介助を行う必要があります。 介助方法もご利用者様によって違い、食具も変わります。 食事介助は、多岐に渡り注意しながら行う必要のある介助です。 排泄介助 排泄介助は、何パターンかに環境が分かれています。 ①トイレで排泄する場合 ご利用者様の身体状況で大きく変わりますが 職員1人で介助可能な方もいれば、職員2名で対応する必要のある方もいらっしゃいます。 ②ベッドなどで排泄介助をする場合 主にトイレで排泄介助困難なご利用者様が、この状態にあたります。 この場合職員1人で行うときと、2人で行うときがあります。 理由としては、ご利用者様の身体状況などで大きく変化するためです。 ベット上での排泄介助は必ず体位変換が必要となるのですが、その体位変換が職員1人で行えない時などは職員2名体制で行います。 更衣介助 主に起床した時と寝る前に行うことが多いです。 その他にもイベントの時や、入浴の前後などにも行います。 更衣介助は基本的には職員1人で対応できるご利用者様が多く、更衣の時は「脱健着患」を守り介助を行います。 「脱健着患」とは 健康な手や足から服を脱ぎ、患側(体の一部が麻痺してて動かない等)から服を着る事で ご利用者様の負担を少なくする基本となる介助ルールです。 入浴介助 もう一つ代表的な介助が入浴介助です。 これは全身浴と部分浴に分かれます。 全身浴とは、全身を洗い湯船に入浴していただく一般的な入浴介助で、部分浴は足のみ、もしくは手や頭のみを洗浄するといった、部分的な入浴のことを言います。 身体状況と目的別でこの全身浴と部分欲は分かれますが、この介助も技術力が必要な介助なのでしっかりと学び行う必要があります。 まとめ 今回は介護保険適応時の生活援助と身体介護の違いについてご紹介しました。 ・生活援助はご利用者様の体に触れることなく ご利用者様の身の回りの生活のお世話を生活援助という。・身体介護は、ご利用者様の体に触れて介助を行う。 この2つの違いは、ご利用者様の体に触れてサービスを提供するかどうかが、大きく違うものになってきます。 最後までお読み頂きましてありがとうございます。
ヘルパーの仕事の醍醐味はなんと言ってもご利用者様との一対一の支援です! やりがい満載!ヘルパーとご利用者様の一対一の支援について、その魅力をお伝えしていきます。 介護は一対一の支援が1番 介護の仕事をする上で、ご利用者様にとっても職員にとっても1番ベストなのは一対一の支援です。 何がどのように良いのかを、実際の介護の現場を経験してきた体験も交えつつご説明していきます。 基本的に同じ人のケアを受けられる 訪問介護のヘルパー援助において一対一の支援の魅力は、ご利用者様にとって「基本的にいつも同じ人のケアを受けられる」と言う点です。 もちろんシフト制のため毎日同じと言うわけではありませんが、施設系の現場に比べると訪問介護の方が、ヘルパーが固定されていることが多いです。 例えば施設で行う介護ですと、ある一定の職員がシフト制で多数のご利用者様のケアにあたります。 これはご利用者様目線で言うと、いつも入浴や排泄介助の職員が変わるため、ご利用者様によっては落ち着かない人も出てくるのです。 特に、施設入所されている方でもご自身でしっかりと意思を伝える方もいらっしゃいます。 そのようなご利用者様ですと、特定の職員に対してケアされたくないとおっしゃる方もいらっしゃいます。 しかし施設型の介護環境ですと、そのような要望が人員的に困難なため、仕方なくケアを受けるご利用者様を多く見てきました。 なので、施設介護も訪問介護も経験した者から言えるのは、訪問介護のヘルパーの方がご利用者が安心してケアを受けれてもらえます。 しかも、訪問介護は基本的に一対一の支援がメインになります。 コミュニケーションを取るのも、ケアを行うのも目の前のご利用者様一名のみです。 ご利用者様にとって訪問介護の一対一の支援は、メンタル的にも安心できる環境なのです。 ご利用者様に丁寧なケアを提供できる 介護の仕事を長くやっていると、ご利用者様との関わりが多くなり、職員のご利用者様への対応が大雑把になってくる職員が出てきます。 この差は個人差はあるものの、多くの職員に見られる傾向です。 特に訪問介護と違い、特別養護老人ホームや、有料老人ホームなどの施設系の介護現場だと、特にこの傾向が強く見てとれます。 訪問介護の一対一の支援と違い、介護施設だと一対多数の所がほとんどなのです。 ケアにあたるその瞬間は一対一なのですが、排泄介助や入浴介助を行う際は制限時間内に順番のケアを行うため、あまり丁寧にケアを行えない時もあります。 これは介護施設の大きな問題で、人員不足により生じてしまう問題でもあります。 その点訪問介護の良いところとして挙げられるのが、ケアが一対一の支援であるということです。 一対一の支援だと、目の前のご利用者様に集中できます。 1人に対するケアのためサービス内容が決まっていて、そのサービスに集中できるからです。 施設介護だと一対多数の環境ですので、他のご利用者の見守りを行いながらケアをします。 そのため丁寧にケアできない環境も生まれてきてしまいます。 このようなことから訪問介護において一対一の支援ほど、ご利用者様と職員にとって良い環境はないのです。 ご利用者様のストレス軽減 訪問介護による一対一の支援は、ご利用者様にとってストレス軽減の効果もあります。 それは、限りなくご自身が安心する環境下でサービスを受けることができるからです。 詳しい内容を以下でご説明いたします。 一体一の支援はヘルパーにとっても良い 一対一の支援に特化した訪問介護の良いところは、ご利用者様の住みたい環境下でサービスを提供することができると言うところです。 介護業界で働いていると分かるのですが、施設で入居しているご利用者様より、訪問介護を活用し在宅介護で過ごされているご利用者様の方が、落ち着いていらっしゃる傾向があります。 不穏な様子を見せる人が少なく、全体に落ち着いている印象を私は持っています。 施設で仕事をしていると、「自分の家に帰りたい」と帰宅願望を訴える方を多く見てきました。 例えば夜中に居室から出てきて、「もう帰らなきゃ、帰って朝ごはん作らなきゃいけない」と訴えるご利用者様などがいらっしゃいます。 その方は認知症で、半年前に入居されていたのですが半年経った今でも夜中に同じ訴えを言い、落ち着かない夜を過ごされています。 職員としても、施設外へ出てしまう恐れもあるので見守りが欠かせません。 ご利用者様も、やりたいことを止められてストレスになりますし、職員としても他のご利用者様の対応などもあるので大変ではあります。 ご利用者様、職員ともに良い環境とは言えないのです。 その点、一対一の支援ができる訪問介護はご利用者様と職員双方のストレスを軽減できます。 いきなり知らないところに入居して、見慣れない景色や環境の中、生活しなければならないことを考えると誰でも不安になります。 なのでヘルパーの視点から言っても、環境をあまり変えずに一対一の支援を受けられる訪問介護はご利用者様と職員にとって良いことづくしであると言えます。 一対一の支援はヘルパーの実力アップ シンプルに、一対一の支援はヘルパーとしてのスキル全体の実力アップにつながります。 どう言う実力がつくのかと言う点についてご説明していきます。 臨機応変力がつく 一対一の支援がメインになる訪問介護では、基本的に職員1人に対してご利用者様1人です。 訪問介護は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設介護との大きく異なり、なんでも1人で対応していかなくてはいけません。 実際に訪問介護の現場では、1人での介護が厳しいと感じるご利用者様は多くいました。 私の経験の中で1つ上げると、ある男性利用者が体が180㎝くらいある大きい方でした。 その方は体重が重い上に半身麻痺の症状をお持ちだった為、1人で介護をするには困難を伴いました。 もう1人いれば簡単に介助できるのですが、もちろん現場では自分1人です。 そのため、私は自身で様々な工夫をして介助を試み、そのご利用者様にも満足頂くことができました。 その時の経験により、その後大きな体格のご利用者様の介護でも、腰を痛めることもなく1人で介助できる技術を身につける事ができました。 訪問介護の一対一の支援で、介護現場での臨機応変さを学ぶ事ができ、それは大きなメリットと言えます。 訪問介護の現場では、ヘルパーとして得られることは非常に多いです。 いろいろな介護度の人から学べる 一対一の支援がメインである訪問介護は、多種多様なご利用者様と関わります。 認知症を発症しているご利用者様や、半身麻痺のご利用者様など、症状も様々に在宅で過ごされています。 その介護度は要支援1から要介護5まで幅広く、中には安否確認だけを必要とする要支援1の方もいれば、全介助で要介護5の寝たきりの一人暮らしの方もいました。 グループホームなどは別ですが、費用の安い特別養護老人ホームは要介護3以上でないと入所できません。 在宅では症状が幅広く様々な介護度のご利用者様を知ることができます。 まとめ ここでは、ヘルパーが利用者に行う一対一の支援の良いところについて、ご紹介してきました。 ①基本的に同じ人の支援(介助)を受けられる ②ご利用者様に丁寧なケアを提供できる ③ご利用者様のストレス軽減が可能 ④一対一の支援でヘルパーもストレス軽減になる ⑤ヘルパー介護力の臨機応変力がつく ⑥いろんな介護度のご利用者様を知ることができる 一対一の支援に特化した訪問介護の良いところは、限りなくご利用者様の住みたい環境下でサービスを提供することができると言うところです。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
訪問介護とは、要介護度の利用者が日常生活の上で困難とする動作や作業をヘルパーが訪問し介護を行うサービスです。 今回は、訪問介護の「自立支援型」について紹介します。 訪問介護のあり方 訪問介護はなぜ存在しているのか、その理由についてご紹介します。 なぜ訪問してまで介護をするの? 昨今、団塊の世代が75歳(後期高齢者)を迎える「2025年問題」がすぐそこまで迫ってきています。 まだまだ元気で若々しい高齢者も増えている反面、介護を必要とする高齢者も増加してきているのが現状です。 「子供達に迷惑をかけない」「事前に調べてサービスに興味を持った」等、様々な理由で施設入所を希望される方もいます。 しかし、多くの人は「できるだけ長く住み慣れた自宅で過ごしたい」という思いが強いようです。 家族のいる高齢者は、一日も長く一緒に家で過ごす事を、独居となった高齢者は思い出が詰まった家でゆっくり過ごしたいと其々の理由はある様です。 しかし、在宅生活に支障を来す様になってはそんな思いも叶えられません。 また、最初にも述べましたが「2025年問題」は少子高齢化が進み、国民の4人に1人が75歳以上となる事で様々な影響を及ぼすと言われています。 支えて欲しい人が増える一方、反比例する様に支える人が居なくなるという事は、日常生活に困難があっても支えてくれる人が少ない利用者側と、支えたくても人数も支援も負担も賄い切れない介護側とのパワーバランスが崩れて共倒れに成りかねないことを意味しているのです。 要介護認定を受けたとしても、住み慣れた自宅で日常生活上必要な動作や行為が少しでも自身で行える様になれたら、それは身体的にも日常生活を送る上でも生活の質を維持向上する上でも意義のあるものであり差し迫った問題に対し解答の糸口へと繋がります。 介護が必要になった方たちの生活の質を維持しながら、在宅で過ごせるようにするために訪問介護があるのです。 昔は「お世話型」今は? 介護保険制度が始まったのは2000年(平成12年)4月からです。 介護保険制度は「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み=介護保険」という形でスタートしています。 現在の介護保険も、「高齢者が尊厳を保ちながら暮らし続けることができる社会の実現を目指す」とされていて、高齢者も皆と同じ様に其々が地域で元気に自立し暮らしていく事ができる共存社会を目指しています。 基本的に介護保険は「高齢者の自立支援」を始めから謳っているのですが、昔から ・お年寄りは大切に ・お年寄りの面倒は若い者が看るもの ・子が親の老後を看るのは当たり前 という思考や伝承の傾向が根強くあります。 そのためか、訪問介護サービスもどちらかと言えば「お世話型」と呼ばれるサービスを行いがちでした。 事実介護認定を受けて訪問介護サービスを受ける事になった利用者は、生活を送る上でできない事をヘルパーにしてもらう=日常生活が送れる様になるというプランでヘルパーによるサービスを受けていた所が多かったのではないでしょうか? 上記の図の様に、要介護1も要介護5も同じようにできない事をしてもらっているばかりでは、どんどんできない事が増えていくだけです。 そして、介護度が増すに連れてサービスの内容も日数も増えていくという緩やかな悪循環に陥ります。 家族の形は変わっていきます。 大家族から核家族へ、子供も兄弟姉妹から一人っ子へ、結婚して家庭に入っても夫婦共働きが増え、隣近所が誰か分からないというようにご近所同士の繋がりも薄くなりました。 そのため、近年では孤立化が目立つようになっています。 そんな現実の中、上記にも述べた様な高齢者に対する昔からの思考・伝承が特に介護では反映されている事態が多い為、 「お年寄りにあれこれさせてはいけない=お世話する、面倒を看るのが介護だ」 という認識を世間一般では当然とされているのが現状です。 介護サービスも例に洩れず、「お世話型」という形で行われていたのも少なくはありません。 ここで間違えないで頂きたいのは、決してこの思考・伝承が悪いという事ではないということです。 古来より守り継がれてきた先駆者、功労者を大切にするという考えは大切であり、素晴らしい事です。 しかし、何でも大切にした結果「まだできる」事を「できない」事に変えてはいけないという事がとても重要です。 腰痛により重い物があまり持てず、歩行もやや不安定な利用者が訪問介護で生活援助を利用したとします。 お世話型のサービスでは、ヘルパーによる掃除機での掃除や洗濯物の取り込み整理整頓が行われた場合は利用者はただそのサービスをしてもらうのみです。 この場合、ヘルパーによって「清潔が維持できる」「安全に過ごす事ができる」「生活環境が保たれる」のみの授受一択となってしまいます。 例えば、利用者が軽い物が持てた場合は、柄の長い箒を使用して掃くことをお願います。 洗濯物の取り込みはヘルパーが行い、利用者はヘルパー見守りの下テーブルで洗濯物を畳む 整理整頓はヘルパーと共に行ってもらいます。 このように利用者も出来得る範囲で行動し今後に繋がる形にすれば、 「共に行う事で清潔が維持できる」 「共に行い確認する事で安全に過ごす事ができる」 「共に行う事で生活環境が保たれる」 という自立支援に向けたサービスの提供となります。 利用者の中には、何でもしてもらいたい人もいるかもしれません。 訪問介護サービスを契約して利用しているのだから、ヘルパーにはできない事を何でもしてもらいたいという気持ちは分かります。 しかし、ヘルパーは家政婦ではありません。 この先地域で暮らしていく上で、本当に困った事を地域社会全体で支え合い、日常生活を維持していく為の介護保険である事を今一度見直す必要があるのではないでしょうか。 その人なりの自立した生活を 訪問介護サービスのケアプランに謳われる「残存機能の維持」は、身体介護にも生活援助にも該当し、自立した生活を送る為に最低限必要とされる能力です。 介護度も人様々であり、生活環境や身体状況や経済状況、現症歴によって、できる事とできない事には差があります。 ケアプランに沿った訪問介護サービスを提供する事は当然ですが、ヘルパーは誰よりも利用者の近くで対応する為、利用者の心身の変化に気付きやすいものです。 現在の介護保険は自立支援型であり、 「その人が生活する上で行える動作をどうすれば継続していけるか?」 「プランでは共に行う作業であっても今の身体状況ではちょっと無理なのでは?」 「この部分はヘルパーが対応する形だけれど、一緒に行う能力があるのでは?」 等、訪問介護に入ったヘルパーからの報告でプランが見直され変わっていく事も珍しくはありません。 例えば、生活援助で夕食の下ごしらえをヘルパーが行うというプランがあるとします。 ケアプランに沿った訪問介護計画が立てられ、ヘルパーは計画通りに訪問介護に入ります。 長時間の立位が困難で台所に立つ事が難しいけれど、最後の味付けは自分でしたいという希望があれば、下ごしらえはヘルパーが行います。 しかし、実はイスに座って玉ねぎの皮を剥くやピューラーで根菜の側を剥くといった作業ができると 気付いた場合にヘルパーの取るべき対応はどうすべきなのでしょうか? ①ケアプラン通りに、そのまま調理の下ごしらえをヘルパーが行い、最後の味付けは利用者にしてもらう。 ②サービスの度にその場に応じて利用者ができる調理の下ごしらえ(イスに座っての野菜の皮剥き等)をしてもらい、調理を完成させる。 一応両方とも「形式上」は自立支援型の訪問介護サービスではあります。 不正解ではないのですが、①はほぼ「生活援助の調理」です。 ケアプラン通り、訪問介護計画書通りにサービスを遂行しているだけであり、別に悪い訳ではありません。 しかし、最後の味付け以外にも利用者のできる作業があると気付いていても、プランは下ごしらえがヘルパー対応となっています。 ヘルパーがプラン通りに料理を作ってしまうのは、自立を促すという自分でできる事を少しずつでも広げて利用者のできる能力を維持するのには弱いかもしれません。 ②は自立支援型の訪問介護に見えますが、一点注意すべき所があります。 「サービスの度にその場に応じて利用者ができる調理の下ごしらえ」がきちんとサービス提供責任者やケアマネージャー、本人や家族に伝えられているはずです。 それに応じて担当者会議が行われケアプランの変更が為され了承されています。 ヘルパーが利用者の状態に気付いて自立支援に向けたサービスを行うには、ヘルパー単独の意思決定で勝手にサービスを変える事はできません。 きちんとサービスの内容変更の手順を踏まえた上で提供すれば、「生活援助で夕食の下ごしらえをヘルパーが行うというプラン」は「できる範囲での下ごしらえを共に行いながら調理する見守り的援助の身体介護」となります。 サービス単価は若干上がりますが、利用者の今後動ける可動域は広がりその人なりの自立した日常生活を過ごす事ができる未来へと繋がる可能性があります。 事前のモニタリングやアセスメントだけでは分からないことは多々あり、ヘルパーがサービスに入って初めて気付く事も少なくはありません。 テンプレート通りに介護サービスは行えませんし、また利用者其々に応じた自立の形があります。 訪問介護はその時の状況や状態によって日々変化していき、自立の形も並行して良くも悪くも変化していくという事を忘れないようにしましょう。 まとめ 今回は訪問介護における自立支援型のサービスについて紹介しました。 ・高齢者の現状と2025年に迎える問題は、介護を求める人と介護を行う人とのバランスが崩れて共倒れの危険性がある。 ・高齢者であっても自分でできる事が増えれば、これまで通り在宅での生活を維持でき、懸念される介護の担い手不足による共倒れを回避できるきっかけとなる。 ・介護保険は2000年4月にスタートし、高齢者を社会全体で支え合う仕組みとして始まった。 ・現在は、高齢者も自立して日常生活を送れる様に地域と共存して暮らしていく形を目指しており、訪問介護もお世話型から自立支援型へ移行している。 ・お年寄りを大切にするという考えは大切だが、 何でも全てお世話をしてしまうのではなく、日常生活でできない事を支えて援助しできる事はそのままできるように維持を図る事が自立支援型の訪問介護サービスである。 ・訪問介護は在宅での日常生活を維持していく為の介護保険サービスであり、利用者の変化に気付いたヘルパーはケアマネージャーやサービス提供責任者、利用者、その家族等とよく確認し話し合い、利用者の状態や状況に応じた訪問介護を計画に則り提供していく必要がある。 訪問介護を利用する側もサービスを提供するヘルパーも、長年携わってくるとその利用者の状況や状態がよく分かってくるものです。 情が沸く事もあるかもしれませんが、その介護は本当にその人の為になるのか?ケアプランに沿ったサービスなのか?あの人はああしてくれた、こうしてくれたの言葉に揺らいでお世話型のサービスを提供してはいないか?等ヘルパーの判断が試される事もあります。 最初にも述べましたが、2025年問題はもうすぐそこにまで迫っています。 75歳以上の後期高齢者が爆発的に増えるまであと数年です。 高齢者であっても、特別な事をせずに、その人がその人なりに日々の生活を普段通りに送れる事が幸せであると考え、訪問介護サービスが行われる事を願います。
訪問介護の仕事は、施設型の介護とは違った特殊な技術を必要とします。 介護スキル以外の能力で必要なこともあれば、施設とはまた違った環境下での介護スキルなど、同じ介護でも大きな違いがあります。 今回は、そんな訪問介護で必要な介護技術を、経験者がお伝えします。 訪問介護に特化した技術って何? 今回の記事では、訪問介護に特化した技術で、筆者自身が経験して必要と感じた技術やスキルをお伝えしていこうと思います。 実際の現場での体験談をもとに書いていきますので、今訪問介護をやっている方や、これからやろうと思う方の参考になれればと思います。 土地勘は必ず身に付けよう 当たり前の話ですが、訪問介護は施設介護と違い、広大な土地を介護のために移動しています。 本当であれば介護技術を例にあげるのですが、私は最初に訪問介護ならではの「土地勘」の大切さをお伝えしたいと思います。 訪問介護は基本的に自転車で行う方が多いと思います。 他にも場所によっては車で訪問したり、徒歩で向かう時もあるかもしれません。 どちらにせよ、この時大切になってくるのが土地勘です。 私自身、最初は慣れない土地で複雑な道や、訪問先の場所などは事前に調べて向かっていました。 私が訪問介護をやっていた時は、スマホなどの便利な機器もなく、地図に頼っての訪問でした。 地図だと行き先を見つけるのが一苦労で、スマホが出来てからは非常に助かったのを覚えています。 訪問介護は、訪問件数によっては土地勘がないことで大きくタイムロスを起こす可能性があります。 そうすると、一つ一つのケアが疎かになり、いいサービスが提供できなくなってしまうのです。 そのため、訪問先の道を覚えて土地勘をつけることは、スムーズな仕事にも役立ちますし、サービスの質の向上にも繋がります。 大切なことですので、しっかり土地勘を身につけてください。 安全運転を心がけよう 介護をするために一軒一軒のお宅に自転車や車で移動するので、訪問介護は常に事故と隣り合わせです。 なぜここまで当たり前のことを言うのか、それには大きな理由があります。 これは私が前いた職場であった事です。 訪問を終えてステーションに戻ると、管理者だけ急遽本社に来るように連絡が入ったのです。 今までになかった事ですから、みんな何が起こったのかとソワソワしていたのを覚えています。 結論から言うと、他のステーションの訪問介護員が、移動中に大きなトラックに撥ねられて還らぬ人となったのです。 しかもその事故が起こった事故現場は、私自身よく通る場所でした。 その事故現場の近さを聞いて、私自身ゾッとしたのを今でも覚えています。 一歩間違えたら私自身も、同じ運命を辿っていたかもしれないからです。 なぜ事故にあったのか? 色々な調べで分かったことは、事故に遭った職員は以下の3点から事故に遭ったとみられています。 ①次の仕事先に急いで向かっていた ②車の位置や安全確認を怠っていた ③車通りの多い道路を走ろうとしていた 当時の事故の様子だと、その職員は車と車の間から道路に飛び出して、自転車を漕ごうとしていた時に事故にあったようなのです。 これは訪問介護ならではの事故です。 施設型の介護だと、基本的にこんなことにはなりません。 しかし、訪問介護はケアの時間が長引いたり、訪問件数が多かったりすると、どうしても移動を急いでしまいがちです。 もちろん無理なシフトを回らせる職場も悪いです。 危ないと感じたら慌てずに行動し、明らかに無理なシフトを渡された時は、正直にシフト作成者に伝えてみてください。 大切なことなので念押ししますが、命は一度失ったら2度と戻りません。 なので無理をせず無事故を心がけて、訪問先の移動を行ってください。 介護技術で必要と感じたもの 前回の章では、技術の中でも自身の身を守るための技術をお伝えしました。 この章では、実際の介護技術を経験談も交えてお伝えしていきます。 何かしらのお役に立てれば、幸いです。 ご利用者様・家族と仲良くなる技術 訪問介護は施設型と違い、被介護者以外に家族とも会話をする時があります。 このような時、しっかりと挨拶や一般的な社会人らしい振る舞いを心がけてください。 家族は介護サービスだけしてもらえればいいと言うわけではありません。 個人差はもちろんありますが、実は訪問介護員の所作を一つ一つ、細かく見ていたりします。 その行動次第では、「この人に任せて平気かしら?」と思われるかもしれません。 そのため、挨拶や言動、清潔感や服装など家族と関わる上で気をつける点はたくさんあります。 訪問介護の大切な点として、訪問したらまずはご利用者様と家族、どちらとも仲良くなる必要があります。 大切なのでお伝えしておきます。 基本的に1人で対応する技術 訪問介護は1人で仕事をするため、1人で仕事をしていたい人にとってはいい環境です。 ただそれは、裏を返せば1人で全ての業務をこなし、問題に対処していかねばならないと言うことです。 実はこの技術と経験は、施設型の介護をする時にもいろいろな面で役に立ちます。 役に立つポイントとしては以下の点です。 ①トラブルなどがあっても動じなくなる ②頼る人のいない環境下での判断経験値がつく ③1人で状況を打開する技術力が身に付く 今回は訪問介護をする上で必要な技術の話ですが、この1人で状況を打開できるスキルを身につければ、訪問介護以外の業態で仕事をする時も役立ちます。 さらに一言付け加えると、どの職場に行っても応用の効く人として重宝される強みもあります。 ぜひ意識して身につけてください。 1人で状況判断する技術 訪問介護をしていると、突然のトラブルに巻き込まれることが時々あります。 これは場合によっては不可避なことも多いです。 例えば訪問時にご利用者様が突然の熱発で倒れていたり、食事介助中に嘔吐したりなどがあります。 これらは職員に咄嗟の判断を必要と迫るものが多く、すぐにその場で対処することが必要です。 基本的には電話などを使い、管理者に状況を説明して打開策を聞くのも良いです。 そちらの方が何かあったときに、介護士自身の身を守ることにもつながるからです。 しかし突発的で、今すぐの対処が必要なときは致し方ありません。 ご自身の経験則ですぐに対処する必要があります。 ここからは実際に私が体験した内容を1つ紹介して、どのように対応したのかも記載しようと思います。 訪問したら床が汚物まみれで、ご利用者様が転倒されていた その方は身体機能が落ちている男性のご利用者様で、その方には居室清掃のサービスを提供しています。 訪問すると玄関から異臭がしていて、その臭いの原因を確認するべくトイレの近くを見ると、トイレの前に失敗した形跡がありました。 臭いの原因はその失敗した汚物が原因だったようで、さらにご利用者様はその汚物で足を滑らせたのか転倒されていたのです。 衛生的にも悪く、そのままの状況を管理者に伝えて判断を仰ごうとしましたが繋がりません。 そのままにしておくわけにもいかないので、まずはご利用者様の様子を確認しました。 頭を打った形跡もなく、意識もはっきりしていることを確認できたため、ゆっくりと一部介助をしながら起こします。 その後、着ていた服が汚れていたので、急いで着替えをし、床の汚物を処理や、着ていた洋服を洗ってその後洗濯機にかけました。 居室の換気もして空気の入れ替えもし、なんとか環境も落ち着いてくると、ご利用者様も安堵の表情です。 その後経過報告を行うと、判断を特に咎められることもなくご利用者様に至っては経過観察になりました。 このように、突然の出来事に対してご利用者様に適切な対処をすることがとても大事です。 まとめ 訪問介護の職員にとって必要な技術を一言でまとめるなら、「個で解決出来る力」ではないでしょうか。 それは介護技術だけの話ではなく、自身の安全を守ることも必要となってきます。 訪問介護は介護技術を基礎としてまずは移動中の安全を確保することが最優先だと感じました。 今後も違う視点からの発信をしていきたいです。
訪問介護はご利用者様の自宅に訪問して、介護サービスをする仕事です。 その訪問介護の現場で、実際に仕事をしていた時のトラブルをお伝えしていきます。 実体験の内容なので、今後訪問介護をしようと思っている人や、現在現役で働いている人の学びや力になれればと思います。 訪問介護で実際にあったトラブル 訪問介護は、特定のご自宅に訪問してご利用者様に介護サービスを提供する仕事です。 施設型の介護と大きく違うのは、ほとんどの仕事を1人で行わなければいけないという所です。 施設型の介護だと、困ったことがあっても人手があることが多いため、トラブルがある時は2人で介助をすることができます。 しかし、訪問介護は大体のことを1人で解決しなければいけません。 もちろんイレギュラーな時もあり、他の介護員を派遣することもあるかもしれませんが、大体が1人で訪問して1人で対応します。 この記事では、訪問介護経験者の筆者が実際に合ったトラブルについて紹介します。 警察に保護されたご利用者様 夜勤で訪問介護をしていた時の話です。 サービスを提供していた場所の土地柄、車で訪問介護を行なっていた時のことです。 その日は訪問介護では珍しい、夜勤をしていた日のことでした。 時間はちょうど0時を過ぎていました。 別の先輩ヘルパーから、「今どこにいる?」と着信があったのです。 「今◯◯様のサービスが終わって、◯◯の近くにいます」と返事をしました。 すると、「◯◯⁉︎ちょうどよかった!」といわれました。 詳しく聞くとどうやら丁度この近くで、とあるご利用者様が徘徊していたところ、警察官に保護されたと言うのです。 時間が夜中で、家族も対応ができそうにないと言うことで、日中にも伺ったことのある私が迎えに行くことになりました。 ご利用者様は、認知症を患っている1人暮らしの女性 とにかく急げとばかりに、保護されている警察署に迎えにいきました。 警察署の受付で、「◯◯介護事業所の◯◯と言いますが、こちらで保護されている方がいると聞いてきたのですが…」と伝えると、奥に見覚えのあるご利用者様がいらっしゃったのです。 念のため、本人確認をした後にその後利用者様の保護された時の状況を聞きました。 どうやら住宅街で保護された時、そのご利用者様は紙袋を持ち歩きながら、目的地が定まらない様子で歩いていたようです。 気になった警察官が職務質問をしたところ、すぐに様子がおかしいことに気づきました。 職務質問をした後、ご利用者様が持っている紙袋に視線がいきました。 どうやら、財布のほかに布に包まれた包丁が入っていたみたいで、すぐに保護することになったようです。 しかし、連絡する先もよくわからず、ご利用者様も認知症なためまともに会話はできません。 財布にあった紙に、うちの事業所の電話番号があったことから、このように迎えに行く事になったようでした。 警察官も時折認知症を患った人を保護することがあるようです。 警察では認知症の人への対応は困難 認知症の人への対応は素人と言っても良いほどなので、対応に困っていたようでした。 文章だと伝えづらいですが、認知症の人はイレギュラーな状況や、予想外の出来事に弱いです。 ましてや警察に連れて行かれるという状況です。 私が迎えに行った時のご利用者様の不安そうな表情は、今でも忘れられません。 その後、車に乗せて自宅まで送った時は表情も良くなり、落ち着いた表情でした。 自宅の環境をある程度整えてあげて、その後は退室しました。 訪問介護をしていると、このようなこともあるのかと感じたのを覚えています。 この記事を読んで、これから訪問介護をしようと思っている方の学びの1つになればと思います。 訪問したら目の前で… この日は日中の訪問で、集合住宅のマンションでした。 その日は気温が高く、水分補給をしながら一件一件訪問をしていました。 そしてとあるマンションを訪問したところ、玄関の入り口付近でご利用者様が倒れていたのです。 私はびっくりして、「大丈夫ですか!?」と声をかけましたが、反応が薄く、私はかなり焦りました。 転倒した時、すぐに頭を動かしたりするのは危険です。 そのため、もう一度声をかけると、ゆっくりと起きあがろうとして動き出しました。 その様子を見て、私も利用者様が立とうとするのをゆっくりと起こすサポートします。 その後椅子に座ってもらい、お水を飲みたいというので提供しました。 家の中の状況は… 家の中の状況を確認すると、床が濡れているのが確認できました。 どうやらその水で滑ってしまい、転倒してしまったようです。 幸い怪我はなく、本人が転倒してからすぐに私が訪問したようでした。 ご利用者様の状況が急変する可能性もあるので、椅子に座っていただいてからは様子を見ながらサービスの提供をします。 身体介護のサービスではなく、居室清掃のサービスだったため、ご利用者様の様子を見守りつつ掃除を行いました。 念のため、管理者にも連絡をしました。 訪問した時に状況を説明した後、退室時にも様子を報告します。 その上で一旦退室することにし、もし何かあれば連絡をもらえるようにお伝えして退室しました。 このご利用者様は、男性で1人暮らしのためやや不安ではありましたが、その後訪問した訪問介護院からも状況を聞いていたので、特にその後は問題なかったようです。 このように、訪問すると目の前で突然のトラブルに遭うことがあります。 このような時に落ち着いて冷静な行動をすることも、訪問介護員には必要な力と言えます。 訪室した部屋に感じる違和感 今回の話は、訪問した時に感じた違和感の話です。 そのお宅は、共に80前後の夫婦のお宅でした。 奥様は認知症の方で、旦那様は難聴で耳が聞こえづらく大きな声で話しかけてもほとんど聞こえていないような方でした。 ちなみに旦那様は補聴器をつけても聞こえづらい方です。 さらにキーパーソンとなる娘さんが、3階の居室に住んでいるようでしたが、親子関係はあまり良くなかったようでした。 全くというわけではないものの、やや両親は放置されているような環境です。 そのため、訪問介護員である私たちがお宅に伺い、身の回りのお世話を行っていました。 主に行うのは、居室やお風呂の掃除をメインに体調管理(血圧測定・体温測定・薬の内服状況)などです。 訪問した時の違和感 その時の訪問で感じた違和感は、「匂い」でした。 居室の中は綺麗になっているし、とりわけ大きな変化も見られません。 ただ不快な匂いが居室内にかすかに充満していて、この匂いはどこからくるのか分かりませんでした。 すると奥様が立ち上がり、何やら押し入れの中を物色し始めました。 ちょうど私は記録を記入していたタイミングだったので、話をしながら様子を伺っていたところ匂いが強くなったのです。 場所がわかったので、私はすぐにその押入れの中を確認しました。 押し入れの中には… 押し入れの中には奥様の汚れた下着がありました。 通常であれば、汚物で汚れた下着は水洗いするなどして洗濯しますが、認知症の方は違います。 全員ではないかもしれませんが、大体の人が汚れた下着をどこかに隠すのです。 理由としては大人になって自分がトイレを失敗したことを、知られたくないし認めたくないことがあります。 その為、咄嗟に取る行動が「隠す」です。 この時大きく怒ったり、否定したりしてはいけません。 私はその時、笑いながら誰のものかわからない体で水洗いをして洗濯したのを覚えています。 このような時に大切なのは、相手を否定せずに自尊心を傷つけない声かけをすることなのです。 まとめ 訪問介護の仕事に予想外の出来事はつきものです。 またその起こる出来事が、ほとんどの場合一緒でないのも事実です。 その都度冷静に判断し、行動に移して対処していく必要があります。
介護の仕事をしている人は優しい人が多いけれど、実際のところ人間関係ってどんな感じか気になりませんか? 今回は実際に訪問介護事業所で働いたことのある筆者が、その人間関係についてお伝えします。 訪問介護の人間関係 今回は訪問介護の人間関係について、筆者の経験を織り交ぜながらお伝えします。 中には人間関係の生々しい部分も出てくるかと思いますが、ぜひ最後まで読んで頂けると幸いです。 訪問介護で関わる人たち 訪問介護は仕事をするときに、基本的に1人で移動して介護サービスを提供しています。 そのため仕事をしている時は、自分1人だと思いがちです。 しかし、実際に仕事をしていると色々な人と関わっていることに気づきます。 今までの体験を元に、実際に関わったことのある人を振り返ってみようと思います。 ①ご利用者様 まずはご利用者様です。 ご利用者様あっての、訪問介護なのでここは1番にあげました。 ②ご利用者様の家族 次によく関わるのが、ご利用者様の家族です。 もっとも訪問介護は、家族が在宅で介護をしているけれど、仕事やプライベートの用事で面倒を見れないときに頼むことが多いです。 そのため、ご家庭によっては、ほとんど家族と合わないところもあります。 しかし、家族が利用を決定しているところが多いので2番目にあげました。 ③事業所の管理者 訪問介護事業所の管理者へは、仕事をしている過程でも困った事があったときに相談することが多いです。 筆者は実際の現場で、会社貸与のスマホがあったため、常にスマホを使用し相談や解決策を聞いたりしていました。 その他にも、ご利用者様が行方不明になっていたり、自身がトラブルに遭って動けないときなど、困り事はすぐに相談する大切な存在でした。 ④事業所の同僚 事業所には複数の人員が配置されています。 筆者が最初に配置された事業所は、女性管理者1人、その年に入職した新卒の男性職員、ベテランの40代女性職員、50代の男性ケアマネジャー1人の合計4人でした。 その事業所は、会社の中でも立ち上げたばかりの事業所で、筆者はそこで即戦力として働いていました。 この事業所は、1年後に15人ほどの職員が務める事業所になりますが、当初は人員が本当に少ない事業所でした。 ⑤事業所の事務員 事業所運営において、職員のシフト管理や事業所の経費管理、現場の職員ができない影の部分で働いてくれる職員が事務員さんです。 この事務員さんがどのように動いてくれるかで、事業所の印象は大きく変わります。 基本的に大切な電話は、最初に事業所にかかってきます。 そのため、その事業所の窓口として、最初に対応してくれる大切なポジションです。 ⑥事業所のケアマネジャー 事業所運営の上で、ケアマネジャーは絶対に必要な人員ではありません。 しかし筆者が勤めていたところには1人いました。 ケアマネジャーは介護の知識はもちろんのこと、介護における法律の部分などにも精通しているため、話をしていて勉強になります。 話した内容が、実際の現場で役立つこともあるため、重要な立場の1人です。 ⑦訪問看護の看護師 訪問介護の現場で、ご利用者様の次によく会うのが訪問看護師です。 在宅介護では、医療的ケアを必要としている人も一定数います。 そのため、定期的に訪問看護のサービスを利用しているご利用者様のお宅では、定期的にバッティングする時があります。 その他にも、訪問看護師から訪問介護員に指導が必要となったときに立ち会う事があります。 自身の事業所にいる訪問看護師の時もありますが、他事業所の訪問看護師の時もあるので、筆者自身丁寧に対応することを心がけていました。 ⑧他事業所のケアマネジャー ご利用者様が介護を受けるときに、ケアプラン作成のために必要な職種がケアマネジャーです。 普段の仕事中はほとんど関わりませんが、介護ではサービスの見直しをするためにケアカンファレンスというものが開かれます。 そのときに各事業所がご利用者様の自宅に集まり、ケアプランの見直しを家族を交えて行います。 その際、あまりその回数は多くはありませんが他事業所のケアマネジャーと関わることもあります。 中でも重要なのは? 上で挙げた中でも、重要なのはご利用者様と事業所の職員、そして訪問看護師さんです。 1日稼働していく中でも、よく関わるのがこの3つの方達です。 では実際の現場ではどうだったかをお伝えしていきます。 ご利用者様との関係 いうまでもなくご利用者様との関係は、関わる人たちの中で1番大切です。 ご利用者様との関わり方次第では、出禁になることもあります。 これは実際にあった体験ですが、筆者とは別の訪問介護員の話です。 とある男性職員が、あるお宅に介護に行った時の話です。 介護を受けているのは、そのお宅にいる娘さんのお母さんでした。 後で聞いた話によると、その娘さんはお母さんをすごく大切に介護してきていたようで、当時最初に訪問した男性職員の介護が雑で耐えられなかったそうです。 そもそも、ご利用者様とその家族とも関係性を築けていない中での訪問だった為、仕方のないところはあるものの、そのような出来事が実際に起こってしまいました。 筆者自身も、あまり聞いたことはありませんでしたが、以来そのようなこともあるのだと知り、仕事を改めて丁寧に行うきっかけになったことを覚えています。 事業所の職員との関係 次に重要なのが、事業所の職員です。 訪問介護は勤務時間によって、まる1日事業所の職員と関わらずに終わる日もあります。 つまり、訪問件数と勤務時間によっては事業所の職員と関わることなく業務を終える職員もいます。 基本的に、仲のいい同期や先輩などを中心にいい関係の人が多かったのですが、中には意地悪な職員もいたりします。 筆者が経験した事業所の職員で、事業所の窓口である事務員さんとの関係に悩んだ事がありました。 もちろん印象の悪い人ばかりではないですが、筆者が関わった事務員さんは訪問介護員に非協力的な方でした。 そのため、緊急時は苦労もしましたが上司などに相談をして困難を乗り越えた経験があります。 その時の経験から、訪問介護の空いている時間に事業所の職員と食事をしたり、仕事の後すこし話をする事が、普段の仕事に関わることもある事を学びました。 訪問看護師との関係 訪問看護師は、介護士より知識があると言う自負からか、介護士を下に見る方もいます。 ありがたいことに筆者は、訪問看護師に恵まれたため苦労した経験はなく、悪い印象もありません。 しかし、他の職員の話だと馬鹿にされたり、本来看護師がするべき仕事を押し付けられたなどの話を聞いたことがあります。 本来介護は、看護師が行う仕事の一部を切り取り、看護師の負担を減らすのが目的で出来た仕事です。 両者ともに助け合って仕事をしたいものです。 人間関係が悪いのは本当? 介護の人間関係が大変だといわれるのは、関わる人が他の職場に比べて多いことです。 介護の仕事は上記に示した通り、数多くの人たちと関わりを持ちます。 年代も幅広く、さまざまな業種の人たちと関わることがあります。 お互いにきちんと理解しあわないと、人間関係がこじれてしまいます。 また、苦手な人と関わることもあるでしょう。 介護という仕事柄、さまざまな人たちと密なコミュニケーションを取らなくてはいけません。 介護士は人手不足であることが多く、数多くの業務を抱えています。 そのため精神的に余裕が無く、感情的になりやすいです。 したがって、人間関係で苦労する介護職の人たちが多いのは本当です。 人間関係をスムーズにするために 人間関係が悪化してしまうと、仕事へのストレスをさらに増やしてしまいます。 働きやすい職場にするためにも、人間関係をスムーズにし、職場の府に気を良くすることはとても重要です。 働きやすい職場することは、利用者へのサービスの向上や仕事の効率化にもつながります。 では、どのようにすれば人間関係を良くすることができるのでしょうか。 相手のことを考える そもそも他人は自分と異なる意見を持っていることが多いです。 まずは反発せずに素直に相手の意見を聞いてみましょう。 反論がある場合は、その後に自分の考えを伝えればよいのです。 忙しくても感謝と笑顔を忘れない 笑顔や感謝のない職場は全体的にピリピリした雰囲気になりやすいです。 それが人間関係を悪化させることにもなってしまいます。 どんなに忙しくても、相手への感謝や笑顔を忘れないようにしましょう。 人間関係が辛いときは? どうしても人間関係が辛いときは、誰でもよいので相談してみましょう。 ストレスがたまると仕事の効率が悪化するだけでなく、健康被害を起こすこともあります。 自分なりのストレス解消法を見つけることも重要です。 もしもどうにもならずに仕事が辛くなってしまったら、転職を考えるのも1つの手段です。 人間関係の良い職場を見つけるために 人間関係の良い職場を見つけるためには、いくつかコツがあります。 頻繁に求人をしているところは要注意 頻繁にしているところは頻繁に人が入れ替わっている可能性が高いので、職場の人間関係が悪いことが多いです。 求人の内容をよく確認し、職場見学するなどして十分にリサーチするようにしましょう。 全体的に元気がないところは要注意 気になる求人がある場合は、必ず職場見学に行きましょう。 利用者やスタッフに笑顔や会話がない場合、何かしらの問題があることが多いです。 雰囲気が嫌だと思ったら、そこで働くことはやめた方が良いかもしれません。 まとめ 訪問介護は1人で行える仕事として、施設型にはない魅力のある仕事です。 しかし実際は多くの人が関わって成り立っている仕事であり、助け合っていることを忘れてはいけません。 介護士に限らず、他の職種の人も介護職員が介護をして収入を得ている側面もあります。お互いが支え合い、いい事業所づくりをしてほしいです。
訪問介護の仕事は楽しいこともあるけども、辛い事もあります。 今回の記事では、実際に訪問介護を経験した筆者が、その体験を基に辛かったことをお伝えします。 訪問介護の辛いところ 介護の仕事は人に感謝されるいい仕事です。 介護以外の仕事も経験してよりわかった介護の仕事の魅力は、他者からの感謝を本当の意味で受け取れるところに魅力があります。 そんな中「きつい、しんどい、きたない」と言われるこの仕事を、喜んでしたいと言う人が少ないのも現実です。 個人的には魅力的だと思える介護の仕事ですが、今回は筆者が体験した訪問介護での辛かった体験をお伝えし、その対応策も付け加えようと思います。 それでは始めていきます。 自転車移動が辛かった これはシンプルに訪問するための自転車移動が辛かったです。 都市部での訪問介護の仕事は、自転車移動が基本になります。 地方の移動距離が長い事業所なんかだと、車で移動するところもあるようですが、都心部での基本は自転車です。 自転車移動での足腰への負担は、1件1件の移動を毎日積み重なると大きく、なかなか辛い経験でした。 電動自転車になってからはかなり楽になりましたが、それ以前はまるで足腰を鍛える修行をしているような物でした。 また事業所によっては、1日の訪問件数が多いところもあります。 筆者は、割と短めのケアを複数訪問していたため、1日の訪問件数は平均して15件前後でした。 この数字は、訪問介護業界の方でないとピンとこないかもしれません。 参考までに、筆者が聞いた他事業所の訪問件数は、1日平均5件ぐらいが基本でした。 若い訪問介護員でも多くて10件程度だそうです。 私は毎日3倍走っていたことになります。 訪問介護はご自宅同士の距離が遠いこともあるため、件数が短くても距離が遠かったりしてその移動で疲れるという事もあります。体力に自信のある方や身体を鍛えたい方などにはよいかもしれませんが、そうでない場合は電動自転車をおすすめします。 ご利用者様との人間関係 これも筆者の訪問先にいたあるご利用者様ですが、そのお宅はお風呂とトイレが共同の家でした。 部屋は6畳1間で、家賃も1ヶ月1万円程度のお宅でした。 そこのご利用者様は、服薬確認と安否確認だけのサービスでしたが訪問するや否や罵詈雑言の嵐でした。 さらに提供したいサービスを受けてくれないものですから終わりたくても終われない事もしばしばでした。 最終的に何もせずに帰らざる終えない時もありましたが、このようなご利用者様もいました。 ただ全ての人がこのような人ばかりと言うわけではありません。 あくまで一部のご利用者様だけなので、今紹介したような方はごく稀です。 他にも訪問先でご利用者様の家族に手を握られたり、セクハラのようなことをされた時もあります。 そういう事があった時は、訪問介護が辛いなと思ったりもしました。 ゴミ屋敷への訪問 表現が難しいのですが、いわゆる衛生環境が極端に良くないお宅は一定数あり、その割合は少なくありません。 筆者が経験した訪問先で、訪問するたびにスリッパを使用して入室する訪問先がありました。 そのお宅はマンションのとある一室でしたが、廊下にいるだけで異臭が立ち込めてきて、部屋の中はゴミでいっぱいでした。 訪問介護サービスを利用すると言うこともあって、入り口や洗面台、トイレや浴室などの介護で使用する場所は多少掃除されていました。 しかし衛生的とは言えませんでした。 私たちもプロですので、その環境下で介護をしました。 他にも、訪問先のお宅の中を土足で入ることになっているお宅もありました。 このお宅は、訪問入浴のサービスがありお風呂だけはすごく綺麗だったのを覚えています。 しかしそれ以外は足の踏み場もないぐらいゴミ袋の山でした。 必ずしもそのようなお宅ばかりではないですが、そのような環境を見たことが無い筆者にとっては、なかなか衝撃的で辛い経験だったのを覚えています。 1人で仕事していること 元も子もない話ですが、1人で仕事をしていることが辛い時もありました。 訪問介護は、基本的に1人で介護をして1人で完結して訪問先を退出します。 ほとんどの場合、家族はおらずご利用者様1人の時が多いです。 例えばご利用者様にトラブルがあったり、その他のアクシデントなどは1人で対応しなければいけません。 また介護保険以外のサービスの要求をしてくるご利用者様や、そのご家族がいたこともあります。 そのようなときに全て1人で対応するという面が、施設型の介護と違う大変さでした。 他にも、筆者が1人の訪問で辛いと感じたのは、1日の中であまり会話がない時でした。 自立度が高いご利用者様だと会話を多く交わして退出できるのですが、自立度の低いご利用者様だと、失語症などの理由で会話をできずにサービスを終えてしまうことが多かったです。 職員にもよりますが訪問介護の場合、他の職員との会話もあまりないため、ご利用者様とその家族と会話をしない限り、会話をする機会がありませんでした。 そのため、仕事はしているけれど淡々と目の前の仕事をこなし続けていることを、辛いと思う時期が何度かありました。 もちろん職員全員に当てはまることではありませんが、少なくとも筆者はそのように感じる場面がいくつかありました。 訪問介護が辛いと思った時の対処法 訪問介護が辛いと思ったときは現状を変えるためにも以下のような方法をとると良いでしょう。 管理者に相談 例えば、訪問先のご利用者様からセクハラや、モラハラを受けている時はまず上司に話しましょう。 筆者は実際にそのようなお宅があったときに、当時の管理者に相談しています。 訪問介護員も人間ですので、辛いときは無理をしてはいけません。 筆者の場合正直にそのときの現状を伝えた結果、訪問先を変更してくれました。 他にも、自転車移動の距離が長く移動が辛いことも話しました。 改めて訪問先の見直しをしてくれて、結果的に移動がかなり楽になり体への負担が減りました。 介護は体を使う仕事ですので、他の負担は極力減らした方がいいですね。 困った時は、管理者に相談してください。 最初の課題解決の動きだしは、まずそこからかもしれません。 環境を変える 環境を変えるのも1つの手です。 筆者は異動や、転職は行いませんでしたが、他の職員で異動をして仕事環境が変わり、前よりイキイキと仕事をしている職員がいました。 会社の規模にもよりますが、社内で異動が叶うのであれば事業所を変えてみるといいです。 その行動だけで、世界が大きく変わってきます。 もし事業所を移動できなかったり、異動しても環境が変わらず辛い時は、転職も選択肢に入れてください。 訪問介護の事業所は、探せば多くあります。 できればご自身が働いたことが無い地域がいいかもしれません。 事業所の環境や、雇用条件など見るところは多くありますが、転職をして今以上に良い環境で働いている職員もいたため、1つの選択肢としておすすめです。 まとめ 今回、実際に働いた体験談をもとに、訪問介護で辛かったことをお伝えしました。 しかし、訪問介護は何も辛いことばかりではありません。 仕事をしていて楽しいことももちろんあります。 辛いと言う点も個人差があり、上に挙げたもの以外にも辛いと思うポイントはあるのではないでしょうか。 大切なのは、その環境下で自分自身がどうしたいかです。 それを考えられる記事になっていれば嬉しいです。
介護の仕事にはいろいろな働き方があります。 施設や病院など大勢の介護士の中で働く仕事や、1人で介護する仕事などさまざまです。 訪問介護は介護士が1人で介護をする仕事です。 ここでは訪問介護に向いている人とはどんな人なのか、元訪問介護士が解説します。 訪問介護とはどんな仕事? まずは訪問介護とはどのような仕事なのか、その概要についてご紹介します。 訪問介護とは、要介護に認定されたご利用者様の自宅に訪問し、介護サービスを提供する仕事です。 サービスの提供内容はさまざまありますが、大きく分けて3つに分けることができます。 身体介護 身体介護とは、食事、排泄、入浴などの介助をするために、利用者さんの体に触れて介護サポートをすることです。 これは通所型や入所型の施設でも同様の介護サポートが行われますが、訪問介護ではより生活に踏み込んだ介助を行います。 生活援助 生活援助とは、利用者さんの生活をサポートするために行われるものです。 主に以下のような内容があります。 料理 洗濯 買い物 掃除 等 どのようなサポートをするのかは利用者さんの希望によります。 また、生活援助には食事介助などの身体介護は含まれません。 通院介助 通院介助は病院までの送迎をサポートするもので、以下のようなものがあります。 車の乗降介助や車椅子の積み下ろし 受診手続き 薬の受け取り ただし、病院内の付き添いは医療保険の対象となり、介護保険が適用できないことがあります。 そのため、介護の必要がある場合のみになることが多いです。 訪問介護に必要な資格とは 訪問介護で働くには介護職員初任者研修以上の資格が必要です。 中には無資格であっても働きながら資格を取得するのであれば就業できるところもあるので、施設に確認をしてみてください。 介護職員初任者研修は介護職の基本ともいえる資格で、通信教育などで取得することが可能です。 教育機関にもよりますが、最短1か月程度で取得することができます。 介護職には介護福祉士実務者研修や認知症介護実務者研修などさまざまな資格があります。 スキルアップするためにも、仕事をしながら介護に関する資格取得を目指してみるのもおすすめです。 訪問介護に向いている人とは? では、訪問介護に向いているのはどんな人なのか、元訪問介護士が経験を織り交ぜて解説していきます。 1人で仕事したい人 訪問介護の仕事は、1人で仕事したい人に向いています。施設型の介護施設と違い、訪問介護は自宅が介護をする場所になります。 施設で働く場合、閉鎖的な空間で常に職員や他のご利用者様がいて、そういう環境が苦手な職員もいます。 その点、訪問介護は基本的には1人です。 訪問先に行くのも、次の訪問先に行く時も1人なので周りの職員を気にする事なく自分のペースで仕事ができます。もちろん決まった時間に訪問しなければいけないのは大前提です。 しかし仕事によっては、あらかじめ決められた時間よりも早く終わることもあります。なので、少し早目に訪問先を出ることも可能だったりと、自分のペースで仕事ができます。 休憩を好きな時に取りたい人 施設で働くと、休憩時間はシフトによって前後します。例えば、早番の場合朝は大体7時前後から仕事に出てきて、昼休憩は11時〜12時の間になります。 日勤の場合、8時30分ごろが出勤時間のため12時〜13時頃が休憩時間です。このように施設だと、ほぼ確実に休憩は取れるものの時間が決められてしまうことが多いです。 自分自身が休憩したい時に休憩ができないため、人によっては辛い人も出てくるのではないでしょうか。その点、訪問介護だと休憩は空いている時間に好きなタイミングで取得できます。 もちろん、勤務状況によっては好きな時間に取得できない時もあります。 しかし、その日のシフトを見てあらかじめこの時間に取得しようということを決めて仕事に臨むと、仕事が楽しく感じます。 なので、自分のペースで休憩を調整したい人は数ある介護の仕事の中でも、訪問介護が向いています。 場所に縛られたくない人 施設で介護の仕事をすると、基本的に1つの場所で仕事をし続けることになります。 例えば異動などの勤務場所の変更がない限りは、1つの場所で仕事を続けることになります。仕事をする上で、1つの場所に縛られたくない人にはこのような働き方は辛いところがあります。 その点、訪問介護の仕事は場所に縛られることはありません。 勤め先のステーションにもよりますが、訪問介護の仕事は時と場合により訪問先が変わることもあり、仕事先は一定では無いのです。 なので、仕事先がずっと一緒なのが嫌だという方には、訪問介護の仕事は向いていると言えます。 気分転換したい人 訪問介護の仕事はシフトにもよりますが、外で仕事することがほとんどです。そのため、気分転換したい時などがあれば、空き時間に外で気分転換したりします。 私自身の実体験ですが次の訪問先の時間まで時間があり、ステーションに戻る時間がない時がありました。そういう時間を利用して、公園のベンチで桜を見たりして気分転換したのを覚えています。 施設で仕事をしていると、休憩中やレクリエーション、買い出しの時ぐらいしか外に出ることがありません。 定期的に気分転換したい人には訪問介護はおすすめの仕事です。 夜勤をしたくない人 訪問介護は、基本的に夜勤がありません。一般的な訪問介護に限定されますが、夜勤勤務がないところは訪問介護の魅力といえます。 施設型の介護の仕事は、24時間体制でご利用者様の介護やお世話をする必要があるので、シフトに夜勤の勤務があります。 訪問介護の場合は、主に日中での介護業務がほとんどで、夜勤のシフトはない所が多いです。 ただし、定期巡回型の訪問介護をしているところは別です。 定期巡回型の場合、雇用条件によりますが夜勤のシフトを求められる事もあります。 もし希望する勤め先が定期巡回型の訪問介護事業所であれば、夜勤の勤務があるかどうかを事前に確認するようにしましょう。 夜勤がある場合は、夜勤のシフトに入らない旨を伝えたほうがいいです。 夜勤勤務を希望しないのであれば、違う職場を選ぶことをおすすめします。 ご利用者様と1対1で仕事したい人 訪問介護は基本的に1対1で仕事するものです。つまり自分1人に対して、ご利用者様は1人であることがほとんどです。 訪問介護ならではですが、ご利用者様が1人だとその方だけを見守っていれば良い為、事故の危険性も減ります。 特に特別養護老人ホームなどの大きい施設で仕事をすると、1人で10人の見守りをする場合もあります。 どちらも体験談ですが、1人で見守りを行う上で見守りできる人数には限りがあります。 10人を1人で見守るとして、全員が歩行不安定で立ち上がり頻回だとします。 被介護者が歩くことができる場合、転倒する可能性が非常に高いといえます。この時点で1人で10人を見守りを行うのは不可能です。 そのような大型の施設はそういった点も考慮した上で、環境を構築しています。 ここまで訪問介護は1対1の介護と記載してきましたが、時々2人のご利用者様の対応をすることがあります。それはご利用者様が夫婦でサービスを利用している場合です。 このような場合、大体のご利用者様が寝たきりか認知症になっている状況が多く、むしろ介護する上で困難なことは少なかったです。 訪問介護先の状況や対応方法を、訪問前に事前に先輩社員によく確認しておくようにしましょう。 移動が楽しい人 訪問介護の移動は基本自転車での移動が主流です。 土地が広くて、1軒1軒の距離が遠い場合は車を使用することもありますが、住宅街が密集しているところでは自転車移動が多いです。 施設の介護と訪問介護の違いは、ご利用者様の住んでいる家まで行くという距離が挙げられます。 訪問介護の場合、この距離を自転車や車でカバーして介護を行います。 施設だと、居室は歩いていける距離なため時間も節約されて、残りの時間は介護に充てることが可能です。 訪問介護だと、シフトによっては数十分の時間をかけて訪問して、介護サービスを提供します。 この移動が楽しめる人は、訪問介護に向いていると言えます。 訪問介護のヘルパーとして働くメリットとは? 訪問介護の仕事にはどのようなメリットがあるのか、経験を踏まえてご紹介します。 長期的に働きやすい 介護が必要な人が全て施設に入るわけではありません。 自宅で暮らしたい人、施設待ちをしている人など、家で生活している人は多くいらっしゃいます。 そのため、訪問介護には施設型や入所型よりも需要が高い傾向があります。 もし何らかの事情により介護の仕事から離れたとしても、再就職しやすいです。 キャリアアップができる 訪問介護の仕事に就くために年齢は関係ありません。 いくつであっても、経験を積むことでキャリアアップすることができます。 また、利用者さんは一人ひとり生活習慣や必要なケアが異なります。 そのため、さまざまな利用者さんに適応できるスキルを身に付けられます。 訪問介護のヘルパーとして働くデメリットとは? 訪問介護の仕事には、メリットだけでなくデメリットもあります。 ここでは訪問介護のデメリットについてご紹介します。 責任が大きい 先にも記載しましたが、訪問介護は1人でケアを行う仕事です。 そのため施設など大勢の介護職員の中で働くよりも、利用者さんに対して大きな責任を置くことになります。 特に、訪問介護の経験の浅い方には大きなストレスになってしまいがちです。 訪問介護は最初から1人で仕事をするわけではありません。 最初のうちは先輩スタッフが同行します。 また、何かあった場合は事業所の責任者に相談することもできます。 少しずつ仕事に慣れて経験を積んでいくことが重要です。 天候によって移動が大変になる 訪問介護は介護職員が利用者の家に出向く必要があります。 そのため、天候の悪い場合は移動が困難になることがあります。 天候が悪くても利用者さんの介護は必要です。 着替えを用意したり、移動方法を考えるなどの工夫が重要です。 まとめ 訪問介護は外で仕事ができる分、仕事への切り替えや、気分転換がやりやすい仕事です。 1つの場所に囚われるのが嫌な介護士には、仕事環境が毎度違うのは新鮮で、マンネリ化を防げます。 この利点をよく理解して、自身に合っていると思う人はぜひ訪問介護の仕事にチャレンジしてみてください。
訪問介護サービスの際に、利用者に同居家族がいたとしても 緊急事態に遭遇してしまう事があります。 今回は同居家族がいる場合に被介護者に緊急事態が起きた場合の事例を踏まえながら対処方法をご紹介します。 訪問介護サービスに入る前の基本と準備 訪問介護中に緊急事態!被介護者1人しかいないときはどうすればよい?でも紹介しましたが、訪問介護サービスに入る前には、利用者の情報を知る事から始まります。 ヘルパー側は勿論ですが利用者側にも確認をして頂き、情報に洩れや誤りが無いかどうか、双方認識する事が大事です。 ・必要書類の確認 ・サービス計画についての事前打合せ ※訪問介護サービスが生活援助中心であった場合 ・同居家族の状況、状態、問題点 ・各関係機関との連携、対応方法の確認 ヘルパーの基本的な心構えと準備(同居家族がいる場合) 社会人として基本的な、世間一般での礼節を弁える事や接遇マナーの遵守は当然です。 その上に利用者本人だけでなく、同居家族との関係性も直に構築していく上において、独居とはまた違う心構えや準備が必要になってきます。 訪問介護サービスに入る前のヘルパーとしていつもの準備にメモ類を準備しておく事は当然ですが、 「なぜ同居家族が居るにも拘らず訪問介護を要するのか?」 その背景・原因・問題点を書類面だけでなく実際に体面して確認する事が利用者の日常生活の維持において必要となります。 ケア会議等で書類打合せで得られる情報と、実際に会ってヘルパー自身が生活動作を確認し得られる情報とには差異があります。 そのため、状況を理解する上で異なる面がある可能性も高いです。 気付いたことや追加される情報等、メモ類に洩らす事が無い様に留めておく事が重要です。 同居家族がいる場合の訪問介護 一般的に同居家族と言われたら、「一緒に住んでいる世帯」と考える人は多いでしょう。 けれども、一口で「同居」や「家族」と言われても様々な形の「同居」や「家族」がいるものです。 訪問介護においての同居や家族の考え方については下記の表を参照して下さい。 〇同居とするもの ・同じ建物に利用者含めた家族が一緒に住み、暮らしている ・生活基盤は別でも、利用者の世帯と子達の世帯が同じ建物に住み、暮らしている ・建物は違うが利用者またはその家族の同一敷地内に住み、暮らしている 〇家族とするもの ・左記の同居とするものにある身内、親族、同居人 ※但し、義務教育修了までの15歳未満の中学生以下においては、訪問介護の生活援助ができる対象とする「家族」からは対象外 ※同居とするものにもありますが、2番目の利用者の世帯と子の世帯が住む、いわゆる二世帯住宅は、生活基盤や世帯主が別です。 特に深刻な問題がある訳では無いけれども、互いの生活に踏み込んでいない=援助とは別個として考えるように思う方もいるかもしれません。 しかし、介護保険においては、「一般的に援助を行う事が可能だとされる利用者との近い距離に住んでいる」事を指しているので 別世帯であっても同じ建物、近さにある場合は同居とするものに考えられます。 基本的には身体介護のみ可能 同居家族がいる場合で訪問介護サービスが認められるのは、身体介護に纏わるものです。 厚生労働省 各介護サービスについて「1.訪問介護」より 上記の表にもありますが、身体介護とは ①利用者の身体に直接接触して行う介助サービス ②利用者のADL(日常生活動作)、IADL(手段的日常生活動作) QOL(生活の質)や意欲の向上の為に利用者と共に行う 自立支援・重度化防止の為のサービス ③その他専門的知識・技術をもって行う利用者の日常生活上 社会生活上の為のサービス とされています。 身体介護は、同居家族がいても利用者が必要であると認められた場合は、サービスを計画し提供される事が可能です。 生活援助は条件によっては可能 基本的に、訪問介護は同居家族がいる場合では生活援助のサービスは提供できません。 但し、自立支援の観点において条件によっては生活援助が認められるものもあります。 障害、疾病がある場合 ①同居家族が身体または精神への障害を持っており、日常生活においての家事等が難しい場合 ②同居家族が病気やケガをしており、その為に日常生活においての家事等が難しい場合 その他やむを得ない場合 ①同居家族が仕事や学業等の為に日中不在にしており、同居家族が利用者へ日中に必要とする家事等ができないと認められる場合 ※同居家族が仕事や学業等の休日に当たる日や、朝夕の在宅が認められる時間においての生活援助は対象外 ②同居家族が要支援又は要介護認定を受けており、家事等を行う事が難しい状況の場合 ③同居家族と利用者との間に非常に深刻な問題があり、援助が難しい場合 ※「非常に深刻な問題」⇒介護放棄、虐待、血縁断絶状態などの状況下にある場合を指す ※厚生労働省 「同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて」 参照 上記の様に「障害、疾病がある場合」「その他やむを得ない場合」という条件の下、生活援助が必要であると認められた場合は、サービス可能となる事もあります。 但し、生活援助の対象者はあくまでも利用者本人ですので、同居家族に対して同様のサービスは行えません。 こんな時はどうする? 色々な同居家族がいるんです 1.老々介護…そのサービスは本当に必要ですか? 緊急事態とまで言えるものではありませんが、夫婦それぞれ別のケアマネージャーが作成したケアプランによる訪問介護サービスが変更になったケースです。 実際、最初の生活援助にあった調理に関しては、長時間の立位が難しい為に訪問介護を利用するという事には問題はありませんでした。 掃除や片付けその後の室内での洗濯干しは今まで妻がしていた生活動作でもあった為、継続の意向が強くプランに組まれました。 ケアマネージャー側とサービス事業所側が、利用者側のニーズをきちんと確認し、本当に継続で良いのか、必要なものが他にあるかどうかを見定め、プランに反映しサービスを行う事で初めて連携が取れたと言えます。 隠されたニーズ・本質を見極めできなければ、万が一緊急事態に陥った時に対応が遅れる恐れがあるので注意しなければなりません。 2.ご家族も多忙ですが…日中独居が本当の独居になる 始めは同居家族が日中不在による日中独居でした。 1年後には月の半分以上家を空けていたり、家を出た状態でもあったりしたにも関わらず、同居家族による連絡が事業所側にはありませんでした。 利用者本人は「大丈夫大丈夫、できるできる。」が口癖で、近隣の方との会話やケアマネージャーによる月末のモニタリングでも、相談が無かった為に状況がスルーされていました。 そのままの状態であれば、本人のADLやIADLも低下しかねない事態です。 サービスを行う中で、利用者の状態や状況が本当に安定傾向なのか、在宅で日常生活が維持できるのかをきちんと確認することが重要です。 各事業所で保管する書類表面上だけの連携ではなく、各事業所が責任を持って対応する真の連携を図らなければなりません。 3.「良い親子関係だな」と思っていました。 家族関係が良いと思われていましたが、身内の入院をきっかけに誤った方向へ進んでしまい、日常生活が脅かされる事態になっていた件です。 利用者との関係は、踏み込む線引きが難しい面もあります。こういった緊急事態では解決に向けて専門的な要素も必要になりますので早い段階で関係各所への協力を要します。 プライバシー侵害になるのか、虐待防止へとなるのかは俯瞰して物事を見る力と慣れによる惰性の回避、日頃からの情報収集の蓄積が物を言います。 厳しい事を言いますが、もし何か問題に気付いたとして、担当しているヘルパー自身だけで何とかしよう解決しようとしてもできる事は何一つ無いのが現実なのです。 何等かの違和感を感じたり、異変を少しでも確認したりした際は、すぐに報告・連絡・相談して、関係各所専門担当者と連携の上。早く解決や改善される方向へ進んでいく事が何よりも大切です。 まとめ 今回は同居家族がいる場合に被介護者に緊急事態が起きた場合の事例を踏まえながら紹介しました。 ・訪問介護サービスへ入る前は同居家族がいる場合でも、基本や準備は同じである。 ・同居とするものとは「同じ建物に利用者含めた家族が一緒に住み、暮らしている」 「生活基盤は別でも、利用者の世帯と子達の世帯が同じ建物に住み、暮らしている」 「建物は違うが利用者またはその家族の同一敷地内に住み、暮らしている」を指している。 ・家族とするものとは「同居とするものにある身内、親族、同居人」の事をいう。 ・但し、義務教育修了までの15歳未満の中学生以下においては 訪問介護の生活援助ができる対象とする「家族」からは対象外とされる。 ・同居家族がいる場合で訪問介護サービスが認められるのは身体介護であるが、生活援助は障害や疾病がある場合とその他やむを得ない場合という条件があれば可能である。 ・同居家族がいる場合の訪問介護で様々な形の緊急事態のケースが発生するが、サービス事業所側やケアマネージャー側のみの連携では解決できないケースも多い。 地域との連携や医療機関との連携、地域包括支援センターや社会福祉協議会との連携自治体との連携が必要となる。 ・緊急事態を未然に防ぐ場合や緊急事態が起こってしまった場合は、何よりも「報告・連絡・相談」が現状改善や問題解決の一歩であり大切である。 家族という形は本来、協力し合うものという概念がありますが、何かと多忙だったり時代に応じた様々な生活スタイルによって、変貌しているのが現状です。 介護に関する法律や制度、方針が追加されたり変更されたりするのも、介護を必要とする利用者の生活や取り巻く環境が同じように変貌しているからです。 介護の基本理念は変わりませんが、家族という関係においても 不変のものと変化するものをきちんと見極めて対応できるようにしましょう。
訪問介護で訪問した際に、ヘルパーなら一度は思わぬ緊急事態に遭遇してしまう経験をした事があるのではないでしょうか。 今回はそんな「独居利用者の場合、緊急事態時にどう対応する?」を事例を踏まえながら紹介します。 訪問介護サービスに入る前の基本 訪問介護サービスに入る場合、まずは利用者の情報を知る事から始まります。 それは独居、同居者家族がいる場合どちらのケースでも同じです。 ごく当たり前の事ですが、意外ときちんと押さえられていない事が多かったりします。 訪問介護サービス前に必要な情報を確認する書類は下記の図を参照して下さい。 基本的な礼節、メモ類の準備と押えるべき点 基本中の基本ではありますが、訪問介護サービスに入るという事は他人様のお宅に訪問する事なので世間一般での礼節は弁える事を忘れてはいけません。 あまりにも型苦しい、余所余所しい言動は今後、訪問介護で関係を築いていくには少々壁の様に感じるかもしれません。 しかし、あくまでも訪問介護サービスのヘルパーとして入る訳ですから、身内の様な気持ちで接する事は有っても馴れ馴れしい言動を表立って行うのは失礼に当たります。 また、訪問介護サービスに入る際にメモ類を準備しておく事で、今後の訪問介護においての注意事項や計画書又はアセスメント等の書類だけでは見えてこなかった利用者の情報をメモする事で洩らさず拾う事ができます。 個人情報であるが為に、踏み込んで良いラインと踏み止まるラインの線引きが難しい所ではあります。 しかし、これが緊急事態時や困難事例になりうる際に、その情報が対利用者の大事な引き出しとなり適切に対応できるものへと繋がるのです。 これは新規だけではなく、サービスの回数を経て数か月~数年と対応している熟練のヘルパーでも同じ事が言えるのですが、経験を積めば積む程なかなか拾わなくなってしまうのが現実だったりします。 礼節を弁えるのは勿論の事、書類を踏まえた上での利用者の状況や状態気付きをメモする=現場のヘルパーでしかできない事です。 何よりも俯瞰で物事を見る・気付く・対応する事が今後への最適な対応策であり、いざという時に揺らぐ事の無いヘルパー自身の力となります。 訪問介護、いざ実際は? 上記でも述べた通りですが、書類の確認や事前打合せやサービスに入ったら礼節を弁えた接遇マナーの遵守、利用者の状況や状態に応じての ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)が重要です。 訪問介護では、利用者に応じてケアプランが立てられ、そのケアプランに沿った訪問介護計画書が作成されます。 そもそも訪問介護サービスは、40歳以上の人達が支払っている保険料を財源とする介護保険を使用して、介護が必要と認定された人達の在宅時に訪問し行われるものです。 言い換えれば、国の税金と利用者の一部負担で賄われている為、介護保険制度を遵守しなければなりませんし、介護の基本を根底にした上で臨機応変な対応が求められます。 基本に忠実にサービスを行う事ができたならば、思わぬ事態や状況に面しても対応できる力が備わっていると言えるでしょう。 独居であるが故に 訪問介護サービスの利用者には、独居の利用者も当然ながら居られるのですが、独居にも様々なタイプの方がいらっしゃいます。 ①長年一人で過ごされている身内のいない独居の方 ②理由が有って近年新しく独居になられた方 ③身内はいるけれども日中は一時的に独居となる方 ④遠方に身内がいる、年に数回は面会のある独居の方 独居とはその名の通り、一人で生活されている方なのですが 一人であるが故の強みと弱みが混在されています。 ①の長年一人で生活されていた方は、生活サイクルが確立されている為に訪問介護を利用する事に抵抗を感じる方もいらっしゃるようです。 利用者自身は自分で何もかもできていると思って生活していますので、第三者から見た場合と自身の実感とでは感覚のズレを生じる事もあります。 「自分でやろう」とする意欲を損なう事無く、本当にできない部分や生活面で困難となる部分が計画書には練られて作成されていますので、サービスを行いながら、実際の状況や状態はどうであるかきちんと確認をする方が良いでしょう。 ②と③はその方のケースにもよりますが、何等かの形でも近しく共に生活されていた(又はされている)形跡がある為、訪問介護利用に関しては理解頂ける事も多いようです。 ヘルパーが訪問介護サービスに入る際には声掛け確認を行いますが、話すというコミュニケーション方法に対して、割合友好的に捉えて貰えることが多いです。 そのため、利用者の困っている事の相談を受けたり、ちょっとした愚痴を聞いたりする等の手法が、距離を早めに縮める有効な方法である事も有ります。 しかしその反面、距離が縮まりすぎる事でチームを組んでサービスを行った時に、 「〇〇さんはこうしてくれた、ああしてくれたのに」と利用者から指摘される事になり易かったりする副作用があるのも忘れないようにしましょう。 ヘルパーも人ですから、介護保険で関われる限界点や枠がある事は理解していても、情というものに動かされてしまう気持ちは分かります。 しかし踏み込むラインと踏み込まないラインはしっかり守らなければなりません。 ④の場合、面会の回数や身内の住む距離の近さにもよるのですが、休みの度に顔を見せに来る身内がいらっしゃる場合は、比較的心身共に安定されている場合が多いようです。 春と秋のお彼岸時期や夏の盆休み冬の正月といった各季節に1回ずつの場合や、夏休みや正月の年2回といった本当に年数回片手に数えられる程の場合は、①~③がミックスされたような対応をする場合があります。 (「自身でできるから必要ない」と言われるも時間の経過と共に依存心を見せてくる等) いずれのケースにおいても、まずは基本を踏まえ、計画書にあるサービスを行い、その中で見つかる注意事項や新たな情報を洩らす事の無いように、何等かの形=メモ等に留め、介護サービス全体のチームで情報を共有して反映していく事が大切です。 こんな時はどうする?訪問したら〇〇だった! 1.訪問したら家にいない ※この日は「訪問介護の日である」事を伝えておいても利用者がどうしても買い物へ行きたいとの希望が強かったり、またお隣さんが一緒に付いて行って貰える上に一緒にお茶をしたいと希望が一致した為、事業所やケアマネに再々度連絡し状況を報告した所、今回はサービスを中止する形となりました。 2.訪問したら返事がない ※緊急連絡表には、①医療機関への連絡②家族・身内への連絡の順である上に、利用者の状態から本人の生命を最優先し、医療機関=主治医の指示に従って即行動をとった形です。 (医療機関へ搬送した後、②の家族・身内への連絡を行っています。) 事業所やケアマネへも連絡し、その後の対応については医療機関対応となるので、ヘルパーが介護で対応するのはそこまでとなりました。 ※利用者は誤嚥性肺炎と脱水を併発しており、病院に搬送した時には、高血圧であった利用者の血圧が急激に下がっている危険な状態であったとの事でした。 正しい治療をした結果、退院して現在も訪問介護を利用しながら在宅生活を続けられています。 3.予期せぬ天災と人災 ※訪問介護計画書にある通りにヘルパーは訪問しますが、今回の場合はヘルパーにも訪問中に土砂崩れに巻き込まれたり 河川氾濫による事故に遭遇する危険性が高い事と状況が明確である為、大雨による生活被害を確認する意味でも民生委員の協力を仰ぐ事となりました。 臨機応変力と地域連携力 独居利用者の訪問介護サービスで起こった緊急事態での遭遇事例の一部を挙げました。 いずれにおいても基本的な緊急連絡先の確認やアセスメントの理解、訪問介護計画書の備考欄に記載されていた注意事項をヘルパーがしっかり落とし込んでいたので対応できたとも言えます。 しかし、前触れもなく突然やってくる緊急事態に動揺はつきものです。 ヘルパーも人間ですので、慌てますし、不安を感じたり無理だと思ってしまう事も当然です。 ここで『訪問介護のヘルパーだから絶対こうしなくてはいけない、自分が何とかしないといけない』と思い込んでしまうのは良くありません。 窮地に立った時程、周りを見る、積み重ねていた経験と知恵を使う、チームや地域を頼る、分からなければ素直に尋ねるを行えば、結果はどうであれ解決策を得られるのです。 基本の確認、礼節を弁えた上での関係構築、メモによる状況状態の情報取得、得た情報の共有が緊急事態時を含めた介護力の維持向上に繋がるでしょう。 まとめ 今回は「緊急事態時にどう対応する?独居利用者の場合」を 事例を踏まえながら紹介しました。 ・訪問介護サービスに入る前には、必要書類(緊急連絡先、アセスメント、担当者会議録 ケアプラン、訪問介護計画書等)の確認や事前にサービスについての打合せから始める。 ・サービスにおいて基本的な礼節を弁えた対応は勿論の事、サービス前後やサービス中に 気付いた事項や利用者の言動についてメモ等する事で今後サービスを行う上での 貴重な情報を得る事ができ、チームで共有する事で連携やヘルパーの介護力の向上が図れる。 ・介護サービスは期間が長くなればなる程慣れが生じるが、どんな時でも基本に忠実にを 忘れず対応する。 ・訪問介護サービスの利用者には多くの独居利用者がおり、事情も様々で その対応も異なってくる。 ・訪問したら家にいない、訪問したら返事が無い、状況状態が急変している 天災や人災があった場合等、訪問介護において様々な緊急事態のケースがある。 ・どの緊急事態の場合でも、臨機応変力と地域連携力を養い積み重ねていれば 解決策が得られ対応できる。 信念を持って対応するのは良い事ですが 一歩対応を間違うとフォローの利かない状況に陥ってしまいます。 慌てるな、動揺するな、不安になるなとは言いませんが そういった状況になっても基本を忘れず 常日頃からのチェックを忘れずにいれば対応できるんだと 自信を持って訪問介護サービスを行いましょう。
介護保険を使った訪問介護。 実は生活援助と身体介護には違いがあります。 今回はその点をご説明します。 生活援助って何? 介護の業界を知らない人に「生活援助と聞いて何を連想しますか?」と聞いたことがあります。 その方は「高齢者の出来ない買い物とか、掃除とかですか?」と答えていました。 それも生活援助の一つですが、細かく言うと他にもたくさんの生活援助の内容があるのです。 この章では生活援助の中身をご説明していきます。 生活援助でやってはいけないこと 生活援助とは身体介護以外のサービスで、ご利用者様が日常生活で行う活動内容を、代わりに訪問介護ヘルパーが行う支援のことを指します。 ここで注意点があります。 生活援助はあくまで「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるのが基本です。 そのため、生活援助で行っては行けないことがあります。 以下のようなサービスは生活援助のサービス外です。 ・ご利用者様が飼っているペットのゲージの掃除や散歩などの世話 ・ご利用者様以外の食事を作る(ご利用者様の家族など) ・ご利用者様本人が使わない部屋や、庭の掃除 ・イベント時に特別な料理を作る ・ご利用者様の家族の買い物 ・家電や家具などの移動や修理 ・車の運転代行 ・ご利用者様の家にある車の清掃 ・預貯金の引き出し代行、お金を扱うこと ・家にある植木や、草花の手入れ ・酒やタバコなど嗜好品の購入代行 ・室内の電球取り替え ・ご利用者様が家にいない状態での留守番サービス 訪問介護を実際に行うと正直なぜ行ってはダメなのか分からない内容もあります。 例えば電球の交換などは行なってもいいように感じます。 しかし、実際は禁止されているのです。 このように、生活援助と言ってもやっていいこと、やってはいけないことがあることを事前に利用者にお伝えしておかなくてはいけません。 その上で生活援助の内容をご説明していきます。 生活援助でやっていいこと 基本的な決まりとして、生活援助は「ご利用者様本人の生活」に必要なサービスに限定されるとお伝えしました。 この決まりを踏まえて今から生活援助の具体的な内容をお伝えしていきます。 買い物代行 このサービスはご利用者様が生活する上で必要な食材や日用品などをメインに、生活に必要なものだけをヘルパーが代わりに買い物代行するサービスになります。 掃除代行 このサービスは、ご利用者様の住環境の清潔な環境を整えるためのサービスです。 ご利用者様によっては、右半身麻痺だけど自分で歩ける人もいたりします。 そのような方は、掃除を自分で行えないことがあるので、ヘルパーが代わりにゴミを集めたり、床の掃除を行なったりします。 実際、1時間ほどでトイレ、居室、お風呂の掃除のみのサービスなどもあります。 洗濯代行 ご利用者様が使用した衣服や、生活の中で汚れたものなどを洗濯するサービスです。 過去に干したものを回収し、洗濯したものを干すまでがサービスの一つです。 場合によっては、訪問した時に汚れたシーツや身の回りのものがあれば、それも洗濯することもあります。 ベッドメイキング 訪問介護の仕事をしていると、訪問先のベッドメイキングの仕事もあります。 このサービスは、経験上あまり行なったことはありませんが、ごく稀にサービスとして行うことがあるので、覚えておいて損をすることはないと思います。 伺うお宅によって使う布団やシーツの種類なども違うので、臨機応変にサービスの行い方を学ぶことができます。 衣類の整理、被服の補修 ご利用者様の生活を守る上で、衣服の整理や被服の補修は重要になってきます。 認知症のご利用者様などは暑い真夏の季節でも厚手のダウンを着ようとする方もいます。 そのような方がいることもあるので、季節に合った衣服の準備や整理整頓、被服の補修はご利用者様の生活を守る上で重要になってきます。 薬の受け取り代行 ご利用者様の生活の中で重要になる薬の受け取り代行も生活援助の一つとして行います。 訪問介護をしていると、ほとんどのご利用者様が薬の内服をおこなっているので、ご利用者様によっては薬の受け取りを行うサービスを必要としている人もいます。 重要なので覚えておきましょう。 身体介護って何? この章では身体介護についてお伝えしていきます。 結論からお伝えすると、身体介護はご利用者様の体に触れてサービスを提供するものです。 具体的は以下の内容になります。 ・ご利用者様の体に直接触れて行う介助サービス ・ご利用者様の自立支援・重度化防止のためのサービス ・その他の専門的知識・技術を要する生活上のサービス (出典‘厚生労働省「「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」」の一部改正について」) ではさらに細かく分解するとどのようなサービスなのかをご説明していきます。 身体介護の種類と内容 では、身体介護はどのような種類と内容があるのか、詳しく解説していきます。 食事介助 身体介護の中でも代表的な食事介助ですが、主に食事をご自身で食べることが難しいご利用者様を対象に行う介助です。 食事介助は、見守りで大丈夫な場合と一部を誘導やお手伝いすれば大丈夫なもの、また全ての介助をしなければならないものと3パターンに分かれます。 他に食事形態の面でも違いがあり、ヘルパーはご利用者様がどの職形態で食べれるかも把握して、介助を行う必要があります。 介助方法もご利用者様によって違い、食具も変わります。 食事介助は、多岐に渡り注意しながら行う必要のある介助です。 排泄介助 排泄介助は、何パターンかに環境が分かれています。 ①トイレで排泄する場合 ご利用者様の身体状況で大きく変わりますが 職員1人で介助可能な方もいれば、職員2名で対応する必要のある方もいらっしゃいます。 ②ベッドなどで排泄介助をする場合 主にトイレで排泄介助困難なご利用者様が、この状態にあたります。 この場合職員1人で行うときと、2人で行うときがあります。 理由としては、ご利用者様の身体状況などで大きく変化するためです。 ベット上での排泄介助は必ず体位変換が必要となるのですが、その体位変換が職員1人で行えない時などは職員2名体制で行います。 更衣介助 主に起床した時と寝る前に行うことが多いです。 その他にもイベントの時や、入浴の前後などにも行います。 更衣介助は基本的には職員1人で対応できるご利用者様が多く、更衣の時は「脱健着患」を守り介助を行います。 「脱健着患」とは 健康な手や足から服を脱ぎ、患側(体の一部が麻痺してて動かない等)から服を着る事で ご利用者様の負担を少なくする基本となる介助ルールです。 入浴介助 もう一つ代表的な介助が入浴介助です。 これは全身浴と部分浴に分かれます。 全身浴とは、全身を洗い湯船に入浴していただく一般的な入浴介助で、部分浴は足のみ、もしくは手や頭のみを洗浄するといった、部分的な入浴のことを言います。 身体状況と目的別でこの全身浴と部分欲は分かれますが、この介助も技術力が必要な介助なのでしっかりと学び行う必要があります。 まとめ 今回は介護保険適応時の生活援助と身体介護の違いについてご紹介しました。 ・生活援助はご利用者様の体に触れることなく ご利用者様の身の回りの生活のお世話を生活援助という。・身体介護は、ご利用者様の体に触れて介助を行う。 この2つの違いは、ご利用者様の体に触れてサービスを提供するかどうかが、大きく違うものになってきます。 最後までお読み頂きましてありがとうございます。
ヘルパーの仕事の醍醐味はなんと言ってもご利用者様との一対一の支援です! やりがい満載!ヘルパーとご利用者様の一対一の支援について、その魅力をお伝えしていきます。 介護は一対一の支援が1番 介護の仕事をする上で、ご利用者様にとっても職員にとっても1番ベストなのは一対一の支援です。 何がどのように良いのかを、実際の介護の現場を経験してきた体験も交えつつご説明していきます。 基本的に同じ人のケアを受けられる 訪問介護のヘルパー援助において一対一の支援の魅力は、ご利用者様にとって「基本的にいつも同じ人のケアを受けられる」と言う点です。 もちろんシフト制のため毎日同じと言うわけではありませんが、施設系の現場に比べると訪問介護の方が、ヘルパーが固定されていることが多いです。 例えば施設で行う介護ですと、ある一定の職員がシフト制で多数のご利用者様のケアにあたります。 これはご利用者様目線で言うと、いつも入浴や排泄介助の職員が変わるため、ご利用者様によっては落ち着かない人も出てくるのです。 特に、施設入所されている方でもご自身でしっかりと意思を伝える方もいらっしゃいます。 そのようなご利用者様ですと、特定の職員に対してケアされたくないとおっしゃる方もいらっしゃいます。 しかし施設型の介護環境ですと、そのような要望が人員的に困難なため、仕方なくケアを受けるご利用者様を多く見てきました。 なので、施設介護も訪問介護も経験した者から言えるのは、訪問介護のヘルパーの方がご利用者が安心してケアを受けれてもらえます。 しかも、訪問介護は基本的に一対一の支援がメインになります。 コミュニケーションを取るのも、ケアを行うのも目の前のご利用者様一名のみです。 ご利用者様にとって訪問介護の一対一の支援は、メンタル的にも安心できる環境なのです。 ご利用者様に丁寧なケアを提供できる 介護の仕事を長くやっていると、ご利用者様との関わりが多くなり、職員のご利用者様への対応が大雑把になってくる職員が出てきます。 この差は個人差はあるものの、多くの職員に見られる傾向です。 特に訪問介護と違い、特別養護老人ホームや、有料老人ホームなどの施設系の介護現場だと、特にこの傾向が強く見てとれます。 訪問介護の一対一の支援と違い、介護施設だと一対多数の所がほとんどなのです。 ケアにあたるその瞬間は一対一なのですが、排泄介助や入浴介助を行う際は制限時間内に順番のケアを行うため、あまり丁寧にケアを行えない時もあります。 これは介護施設の大きな問題で、人員不足により生じてしまう問題でもあります。 その点訪問介護の良いところとして挙げられるのが、ケアが一対一の支援であるということです。 一対一の支援だと、目の前のご利用者様に集中できます。 1人に対するケアのためサービス内容が決まっていて、そのサービスに集中できるからです。 施設介護だと一対多数の環境ですので、他のご利用者の見守りを行いながらケアをします。 そのため丁寧にケアできない環境も生まれてきてしまいます。 このようなことから訪問介護において一対一の支援ほど、ご利用者様と職員にとって良い環境はないのです。 ご利用者様のストレス軽減 訪問介護による一対一の支援は、ご利用者様にとってストレス軽減の効果もあります。 それは、限りなくご自身が安心する環境下でサービスを受けることができるからです。 詳しい内容を以下でご説明いたします。 一体一の支援はヘルパーにとっても良い 一対一の支援に特化した訪問介護の良いところは、ご利用者様の住みたい環境下でサービスを提供することができると言うところです。 介護業界で働いていると分かるのですが、施設で入居しているご利用者様より、訪問介護を活用し在宅介護で過ごされているご利用者様の方が、落ち着いていらっしゃる傾向があります。 不穏な様子を見せる人が少なく、全体に落ち着いている印象を私は持っています。 施設で仕事をしていると、「自分の家に帰りたい」と帰宅願望を訴える方を多く見てきました。 例えば夜中に居室から出てきて、「もう帰らなきゃ、帰って朝ごはん作らなきゃいけない」と訴えるご利用者様などがいらっしゃいます。 その方は認知症で、半年前に入居されていたのですが半年経った今でも夜中に同じ訴えを言い、落ち着かない夜を過ごされています。 職員としても、施設外へ出てしまう恐れもあるので見守りが欠かせません。 ご利用者様も、やりたいことを止められてストレスになりますし、職員としても他のご利用者様の対応などもあるので大変ではあります。 ご利用者様、職員ともに良い環境とは言えないのです。 その点、一対一の支援ができる訪問介護はご利用者様と職員双方のストレスを軽減できます。 いきなり知らないところに入居して、見慣れない景色や環境の中、生活しなければならないことを考えると誰でも不安になります。 なのでヘルパーの視点から言っても、環境をあまり変えずに一対一の支援を受けられる訪問介護はご利用者様と職員にとって良いことづくしであると言えます。 一対一の支援はヘルパーの実力アップ シンプルに、一対一の支援はヘルパーとしてのスキル全体の実力アップにつながります。 どう言う実力がつくのかと言う点についてご説明していきます。 臨機応変力がつく 一対一の支援がメインになる訪問介護では、基本的に職員1人に対してご利用者様1人です。 訪問介護は、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設介護との大きく異なり、なんでも1人で対応していかなくてはいけません。 実際に訪問介護の現場では、1人での介護が厳しいと感じるご利用者様は多くいました。 私の経験の中で1つ上げると、ある男性利用者が体が180㎝くらいある大きい方でした。 その方は体重が重い上に半身麻痺の症状をお持ちだった為、1人で介護をするには困難を伴いました。 もう1人いれば簡単に介助できるのですが、もちろん現場では自分1人です。 そのため、私は自身で様々な工夫をして介助を試み、そのご利用者様にも満足頂くことができました。 その時の経験により、その後大きな体格のご利用者様の介護でも、腰を痛めることもなく1人で介助できる技術を身につける事ができました。 訪問介護の一対一の支援で、介護現場での臨機応変さを学ぶ事ができ、それは大きなメリットと言えます。 訪問介護の現場では、ヘルパーとして得られることは非常に多いです。 いろいろな介護度の人から学べる 一対一の支援がメインである訪問介護は、多種多様なご利用者様と関わります。 認知症を発症しているご利用者様や、半身麻痺のご利用者様など、症状も様々に在宅で過ごされています。 その介護度は要支援1から要介護5まで幅広く、中には安否確認だけを必要とする要支援1の方もいれば、全介助で要介護5の寝たきりの一人暮らしの方もいました。 グループホームなどは別ですが、費用の安い特別養護老人ホームは要介護3以上でないと入所できません。 在宅では症状が幅広く様々な介護度のご利用者様を知ることができます。 まとめ ここでは、ヘルパーが利用者に行う一対一の支援の良いところについて、ご紹介してきました。 ①基本的に同じ人の支援(介助)を受けられる ②ご利用者様に丁寧なケアを提供できる ③ご利用者様のストレス軽減が可能 ④一対一の支援でヘルパーもストレス軽減になる ⑤ヘルパー介護力の臨機応変力がつく ⑥いろんな介護度のご利用者様を知ることができる 一対一の支援に特化した訪問介護の良いところは、限りなくご利用者様の住みたい環境下でサービスを提供することができると言うところです。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
訪問介護とは、要介護度の利用者が日常生活の上で困難とする動作や作業をヘルパーが訪問し介護を行うサービスです。 今回は、訪問介護の「自立支援型」について紹介します。 訪問介護のあり方 訪問介護はなぜ存在しているのか、その理由についてご紹介します。 なぜ訪問してまで介護をするの? 昨今、団塊の世代が75歳(後期高齢者)を迎える「2025年問題」がすぐそこまで迫ってきています。 まだまだ元気で若々しい高齢者も増えている反面、介護を必要とする高齢者も増加してきているのが現状です。 「子供達に迷惑をかけない」「事前に調べてサービスに興味を持った」等、様々な理由で施設入所を希望される方もいます。 しかし、多くの人は「できるだけ長く住み慣れた自宅で過ごしたい」という思いが強いようです。 家族のいる高齢者は、一日も長く一緒に家で過ごす事を、独居となった高齢者は思い出が詰まった家でゆっくり過ごしたいと其々の理由はある様です。 しかし、在宅生活に支障を来す様になってはそんな思いも叶えられません。 また、最初にも述べましたが「2025年問題」は少子高齢化が進み、国民の4人に1人が75歳以上となる事で様々な影響を及ぼすと言われています。 支えて欲しい人が増える一方、反比例する様に支える人が居なくなるという事は、日常生活に困難があっても支えてくれる人が少ない利用者側と、支えたくても人数も支援も負担も賄い切れない介護側とのパワーバランスが崩れて共倒れに成りかねないことを意味しているのです。 要介護認定を受けたとしても、住み慣れた自宅で日常生活上必要な動作や行為が少しでも自身で行える様になれたら、それは身体的にも日常生活を送る上でも生活の質を維持向上する上でも意義のあるものであり差し迫った問題に対し解答の糸口へと繋がります。 介護が必要になった方たちの生活の質を維持しながら、在宅で過ごせるようにするために訪問介護があるのです。 昔は「お世話型」今は? 介護保険制度が始まったのは2000年(平成12年)4月からです。 介護保険制度は「高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み=介護保険」という形でスタートしています。 現在の介護保険も、「高齢者が尊厳を保ちながら暮らし続けることができる社会の実現を目指す」とされていて、高齢者も皆と同じ様に其々が地域で元気に自立し暮らしていく事ができる共存社会を目指しています。 基本的に介護保険は「高齢者の自立支援」を始めから謳っているのですが、昔から ・お年寄りは大切に ・お年寄りの面倒は若い者が看るもの ・子が親の老後を看るのは当たり前 という思考や伝承の傾向が根強くあります。 そのためか、訪問介護サービスもどちらかと言えば「お世話型」と呼ばれるサービスを行いがちでした。 事実介護認定を受けて訪問介護サービスを受ける事になった利用者は、生活を送る上でできない事をヘルパーにしてもらう=日常生活が送れる様になるというプランでヘルパーによるサービスを受けていた所が多かったのではないでしょうか? 上記の図の様に、要介護1も要介護5も同じようにできない事をしてもらっているばかりでは、どんどんできない事が増えていくだけです。 そして、介護度が増すに連れてサービスの内容も日数も増えていくという緩やかな悪循環に陥ります。 家族の形は変わっていきます。 大家族から核家族へ、子供も兄弟姉妹から一人っ子へ、結婚して家庭に入っても夫婦共働きが増え、隣近所が誰か分からないというようにご近所同士の繋がりも薄くなりました。 そのため、近年では孤立化が目立つようになっています。 そんな現実の中、上記にも述べた様な高齢者に対する昔からの思考・伝承が特に介護では反映されている事態が多い為、 「お年寄りにあれこれさせてはいけない=お世話する、面倒を看るのが介護だ」 という認識を世間一般では当然とされているのが現状です。 介護サービスも例に洩れず、「お世話型」という形で行われていたのも少なくはありません。 ここで間違えないで頂きたいのは、決してこの思考・伝承が悪いという事ではないということです。 古来より守り継がれてきた先駆者、功労者を大切にするという考えは大切であり、素晴らしい事です。 しかし、何でも大切にした結果「まだできる」事を「できない」事に変えてはいけないという事がとても重要です。 腰痛により重い物があまり持てず、歩行もやや不安定な利用者が訪問介護で生活援助を利用したとします。 お世話型のサービスでは、ヘルパーによる掃除機での掃除や洗濯物の取り込み整理整頓が行われた場合は利用者はただそのサービスをしてもらうのみです。 この場合、ヘルパーによって「清潔が維持できる」「安全に過ごす事ができる」「生活環境が保たれる」のみの授受一択となってしまいます。 例えば、利用者が軽い物が持てた場合は、柄の長い箒を使用して掃くことをお願います。 洗濯物の取り込みはヘルパーが行い、利用者はヘルパー見守りの下テーブルで洗濯物を畳む 整理整頓はヘルパーと共に行ってもらいます。 このように利用者も出来得る範囲で行動し今後に繋がる形にすれば、 「共に行う事で清潔が維持できる」 「共に行い確認する事で安全に過ごす事ができる」 「共に行う事で生活環境が保たれる」 という自立支援に向けたサービスの提供となります。 利用者の中には、何でもしてもらいたい人もいるかもしれません。 訪問介護サービスを契約して利用しているのだから、ヘルパーにはできない事を何でもしてもらいたいという気持ちは分かります。 しかし、ヘルパーは家政婦ではありません。 この先地域で暮らしていく上で、本当に困った事を地域社会全体で支え合い、日常生活を維持していく為の介護保険である事を今一度見直す必要があるのではないでしょうか。 その人なりの自立した生活を 訪問介護サービスのケアプランに謳われる「残存機能の維持」は、身体介護にも生活援助にも該当し、自立した生活を送る為に最低限必要とされる能力です。 介護度も人様々であり、生活環境や身体状況や経済状況、現症歴によって、できる事とできない事には差があります。 ケアプランに沿った訪問介護サービスを提供する事は当然ですが、ヘルパーは誰よりも利用者の近くで対応する為、利用者の心身の変化に気付きやすいものです。 現在の介護保険は自立支援型であり、 「その人が生活する上で行える動作をどうすれば継続していけるか?」 「プランでは共に行う作業であっても今の身体状況ではちょっと無理なのでは?」 「この部分はヘルパーが対応する形だけれど、一緒に行う能力があるのでは?」 等、訪問介護に入ったヘルパーからの報告でプランが見直され変わっていく事も珍しくはありません。 例えば、生活援助で夕食の下ごしらえをヘルパーが行うというプランがあるとします。 ケアプランに沿った訪問介護計画が立てられ、ヘルパーは計画通りに訪問介護に入ります。 長時間の立位が困難で台所に立つ事が難しいけれど、最後の味付けは自分でしたいという希望があれば、下ごしらえはヘルパーが行います。 しかし、実はイスに座って玉ねぎの皮を剥くやピューラーで根菜の側を剥くといった作業ができると 気付いた場合にヘルパーの取るべき対応はどうすべきなのでしょうか? ①ケアプラン通りに、そのまま調理の下ごしらえをヘルパーが行い、最後の味付けは利用者にしてもらう。 ②サービスの度にその場に応じて利用者ができる調理の下ごしらえ(イスに座っての野菜の皮剥き等)をしてもらい、調理を完成させる。 一応両方とも「形式上」は自立支援型の訪問介護サービスではあります。 不正解ではないのですが、①はほぼ「生活援助の調理」です。 ケアプラン通り、訪問介護計画書通りにサービスを遂行しているだけであり、別に悪い訳ではありません。 しかし、最後の味付け以外にも利用者のできる作業があると気付いていても、プランは下ごしらえがヘルパー対応となっています。 ヘルパーがプラン通りに料理を作ってしまうのは、自立を促すという自分でできる事を少しずつでも広げて利用者のできる能力を維持するのには弱いかもしれません。 ②は自立支援型の訪問介護に見えますが、一点注意すべき所があります。 「サービスの度にその場に応じて利用者ができる調理の下ごしらえ」がきちんとサービス提供責任者やケアマネージャー、本人や家族に伝えられているはずです。 それに応じて担当者会議が行われケアプランの変更が為され了承されています。 ヘルパーが利用者の状態に気付いて自立支援に向けたサービスを行うには、ヘルパー単独の意思決定で勝手にサービスを変える事はできません。 きちんとサービスの内容変更の手順を踏まえた上で提供すれば、「生活援助で夕食の下ごしらえをヘルパーが行うというプラン」は「できる範囲での下ごしらえを共に行いながら調理する見守り的援助の身体介護」となります。 サービス単価は若干上がりますが、利用者の今後動ける可動域は広がりその人なりの自立した日常生活を過ごす事ができる未来へと繋がる可能性があります。 事前のモニタリングやアセスメントだけでは分からないことは多々あり、ヘルパーがサービスに入って初めて気付く事も少なくはありません。 テンプレート通りに介護サービスは行えませんし、また利用者其々に応じた自立の形があります。 訪問介護はその時の状況や状態によって日々変化していき、自立の形も並行して良くも悪くも変化していくという事を忘れないようにしましょう。 まとめ 今回は訪問介護における自立支援型のサービスについて紹介しました。 ・高齢者の現状と2025年に迎える問題は、介護を求める人と介護を行う人とのバランスが崩れて共倒れの危険性がある。 ・高齢者であっても自分でできる事が増えれば、これまで通り在宅での生活を維持でき、懸念される介護の担い手不足による共倒れを回避できるきっかけとなる。 ・介護保険は2000年4月にスタートし、高齢者を社会全体で支え合う仕組みとして始まった。 ・現在は、高齢者も自立して日常生活を送れる様に地域と共存して暮らしていく形を目指しており、訪問介護もお世話型から自立支援型へ移行している。 ・お年寄りを大切にするという考えは大切だが、 何でも全てお世話をしてしまうのではなく、日常生活でできない事を支えて援助しできる事はそのままできるように維持を図る事が自立支援型の訪問介護サービスである。 ・訪問介護は在宅での日常生活を維持していく為の介護保険サービスであり、利用者の変化に気付いたヘルパーはケアマネージャーやサービス提供責任者、利用者、その家族等とよく確認し話し合い、利用者の状態や状況に応じた訪問介護を計画に則り提供していく必要がある。 訪問介護を利用する側もサービスを提供するヘルパーも、長年携わってくるとその利用者の状況や状態がよく分かってくるものです。 情が沸く事もあるかもしれませんが、その介護は本当にその人の為になるのか?ケアプランに沿ったサービスなのか?あの人はああしてくれた、こうしてくれたの言葉に揺らいでお世話型のサービスを提供してはいないか?等ヘルパーの判断が試される事もあります。 最初にも述べましたが、2025年問題はもうすぐそこにまで迫っています。 75歳以上の後期高齢者が爆発的に増えるまであと数年です。 高齢者であっても、特別な事をせずに、その人がその人なりに日々の生活を普段通りに送れる事が幸せであると考え、訪問介護サービスが行われる事を願います。