訪問介護サービスの一つに、利用者の病院受診の一連を介助する「通院介助」があります。 今回は通院介助一連に纏わるトラブルや対応について、事例を交えながら紹介します。 通院介助とはどんな介助? ここでは通院介護がどのようなサービスなのかを解説します。 病院受診する為に利用者の移動支援を行う介護サービスです。 訪問介護サービスには、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つに分かれます。 通院介助は下記の図の通り①~⑤の対応の仕方があり、其々の介助に分けられています。 ①と②に代表されるのは介護タクシーで、介護資格のある運転手が病院への行き帰りの対応を行うものです。 一般的に通院等乗降介助と呼ばれるもので、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も含まれます。 ③は病院へ受診する為の外出介助で、帰宅まで訪問介護のためヘルパーが対応しますが、院内は基本病院側の対応となる為、介護保険適用外となります。 例外として、病院側が対応できない、院内での家族付き添い対応ができない、利用者の心身不安定による見守りや介助を要する等、理由によってはケアマネージャーが事前確認の上で訪問介護にて院内介助が行える場合もあります。 ④の様に介護度が4~5と重度で相当時間数の身体介護を必要とする場合は、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も、通院等乗降介助の乗車前や降車後介助の一環とならずに身体介護中心型という形になります。 ⑤は要介護認定(介護度1~5)の利用者が病院受診をする前と後に、受診に関連する介助ではない別の身体介護中心の介護を30分~1時間程度以上のサービスを行う場合が対象となります。 ①~⑤に関して、要介護度認定を受けた利用者が病院受診前後の介助を訪問介護サービス(介護保険)で対応し。病院内の対応は医療機関である病院側(医療保険)が対応する事が前提です。 但し③でも述べましたが、例外として院内介助も介護サービスとして対応できるケースもあります。 要支援の人はどうするの? 基本的に通院介助は要介護認定を受けた利用者でケアマネージャーがケアプランに通院介助が必要であると記載され、訪問介護を計画された場合のみです。 要支援1~2の認定を受けた利用者は、通院等乗降介助は介護保険サービスとして算定できません。 要支援は簡単に言うと「基本的に日常生活を送る能力は持っているが、支援を必要する部分もある」という事を示しいます。 そのため、要支援者の介助は、 「自分でできる事は自分で行う」 「できない事のみ支援する」 「できない事が少しでもできる様になる」 という利用者が自立を維持しながら日々を過ごせる為の支援であると考えると分かりやすいかもしれません。 要支援者と認定された場合、「移動」という動作・行動が自身でできる状態にある事が多く、通院に関してもヘルパーが介助する必要性は無いと判断される傾向にあります。 また要支援は、日常生活支援総合事業の訪問型サービス(旧:介護予防訪問介護)という形でヘルパーがサービスに入る事もありますが、週に1~3回程度で月に4~13回程度入るといった回数が決まっています。 月に回数が定められている中で、病院受診が毎週あるとは考えづらい点や、病院までの移動にヘルパーの介助の必要性を問われる点からも、要支援の認定を受けた利用者がヘルパーによる通院介助を受けづらいとされるのです。 要支援であっても病院受診をするのに不安な面がある場合等、理由によっては支援を受ける事ができる例もあります。 (例1)要支援認定であるが、現病歴による後遺症があり、身体の動きが悪く、躓いたり転倒する危険性があり、日常生活において支障がある場合。 (例2)入院していた要支援の利用者が退院し、退院後の日々の生活において身体状態の不安定がみられ、支援を必要とする場合。 他にも色々なケースがありますが、いずれもヘルパーによる支援が必要とされる場合は、ケアマネージャーや包括支援センター、市町村等の自治体と相談や協議を行い、その上でケアプランに必要性を謳う事で可能となる事もあります。 但し要介護の利用者の様な通院介助ではなく、外出支援(移動支援)という形での対応です。 そのため、介護タクシー(介護保険適用)は利用できない代わりに福祉タクシー(介護保険の適用無し)で対応する等の対応になります。 あくまでも「支援」であり「介助」では無い事と、基本的に要支援対象者は通院介助は介護保険では認められない傾向にあると考えた方が良いでしょう。 利用者の思惑、ヘルパーの困惑 通院介助を行う上でサービスの内容を確認するのは当然です。 例えば、訪問介護側と利用者側で「通院介助にかかる費用」や、「どこまで介助が可能なのか」「病院受診後ついでに、と急な依頼への対応」など、色々と確認しなければいけない事があります。 ケアマネージャーからも通院介助をケアプランに追加する際は事前に説明等を行いますが、介護を行う側と受ける側双方が認識を共有しておかなければなりません。 <下記の図にある、様々なトラブルに繋がってしまう言動事例も参照下さい。> 移動手段もいろいろ、意外とお金もかかる? 「病院受診は訪問介護でヘルパーが対応するから大丈夫だ。」と、受診に関する一連の行動や必要とされる介護のみにクローズアップされがちです。 しかし、介護保険とは別にお金がかかる場合もある事を忘れてはいけません。 勿論、ヘルパーも通院介助においてできる事・できない事の認識をしておく事は絶対です。 例えば、利用者側からすれば「訪問介護サービスでの介護利用だから1割負担(又は2割負担)で済む」との認識をされている場合もあります。 間違いでは無いのですが、通院等乗降介助では「利用者宅から車両で病院へ移動し、受診手続きや薬の受取り等対応しまた利用者宅へ移動する介助」に該当する介護サービスのみ、介護単価で行われます。 当然、車両運賃は介護サービスには含まれません。 介護タクシーでは、通院等乗降介助の介護サービス費とタクシーとしての運賃との合算で請求されます。 介護タクシーを利用しない場合でも、ヘルパーの介助を伴いながら各交通機関を利用した際は 利用者本人の交通機関の運賃と共にヘルパーの運賃も発生します。 一般タクシーを利用する場合は乗合となる為に、1人でも2人でも料金は同じです。 しかし、バスや電車を利用する場合は2人分の運賃が発生し、それは利用者負担となるのです。 また院内介助を行う際に、介護保険対応とならない場合は自費サービスを利用される事があります。 自費サービスは介護保険の様に1割負担(又は2割負担)ではなく、全額負担であったり、介護事業所による金額設定が為されています。 そのため、介護サービス費用の感覚でいくと割高に感じるかもしれません。 重ねて院内での時間が長くなれば、自費サービスの時間も長くなります。 また、通院介助の総額が高額になる場合もあるので、ヘルパーに介助を依頼したいけれど金銭面での負担が苦となることがあります。 利用者側のストレスが、更にトラブルへと発展しかねない状況を生み出す原因とも成り得るのです。 予め、利用者へのモニタリングで病院への経路や受診に掛かる時間を確認しておき、費用を概算し、事前に書面化してお知らせしておく事が出来たらお互い安心かもしれません。 いざ病院へ!と行ったはいいけれど。 何度も言いますが、基本的に病院内での対応は医療管轄である病院側であり、介護保険での利用はできません。 でも実際は、病院受診で受付を済ませて、診察又は検査で待つ間や呼ばれて対応する際に病院側の介助は無く、ヘルパーが対応する事態になる事も少なくはありません。 病院側も人手不足であったり、ヘルパーの付添があるならばそちらで対応したらいいと言う様な言動を取られた事もヘルパーを経験した者ならばあるでしょう。 そんな病院内での対応に関するトラブルの例です。 何れも、通院介助を行う訪問介護側と病院側との連携・確認不足による不手際がトラブルに繋がってしまったケースです。 事前にケアマネージャーと病院側との確認はなされており、その通りに進むべきではあるのですが まれにこういった予想しなかった事態になってしまう事も起こり得るのです。 事前確認し、ケアプランに追加された後、訪問介護側でも通院介助時の訪問介護計画や予定の再確認 予測外の事態に備えての対応策を講じておく等、訪問介護側もヘルパーと再度情報を共有して介助を行う様にしていく事が重要になってきます。 また、自費サービスが発生する場合は、利用者側にも了解を得る形をしっかり取って双方できる限り負担の掛からないようにしなければなりません。 利用者側と訪問介護側で金銭面以外でもこんなトラブルが発生する事もあります。 ①~③の例を上げましたが、通院介助を行う前はきちんと説明をして了承を得ていても、いざ病院に行く=外出するとなると「ああしたい、こうしたい」の欲求が出てくる事もあるようです。 ①の様に「ちょっとだけ良いだろう」という考えでヘルパーに依頼してくる事もあります。 これは訪問介護で対応可能なのか?ケアプランにその介助内容は含まれているか?をよく考えて対応し、分からない場合は訪問介護事業所の責任者に報告・連絡・相談が必要です。 ②のケースは、たまたまその利用者の訪問介護計画に買い物や整理整頓の見守り的支援があった為に 可能となったサービスです。 これが「美容室に寄って帰りたい」や「娘家族のお土産買って帰りたい」等であった場合は対応不可となります。 ③に関して滅多に無いとは思われますが、利用者やその家族からの「訪問介護の契約をしているから、ヘルパーに何でも頼んでおけば良い」という考えの下に出た発言です。 訪問介護のヘルパーによくある「何でも屋」扱いですが、ここでは利用者からきちんと断ってくれた為、トラブルとはなりませんでした。 ヘルパーは第三者からの突然の言動にも落ち着いて対応できないといけません。 他にも色々とトラブルへ繋がる様な事態が発生する事もあります。 基本はケアマネージャーと病院側で確認した上で計画された訪問介護(通院介助)の計画をよく確認し、当日どう対応するのかをヘルパー含めたチームで理解し対応する事が求められます。 また、ヘルパー自身が対応に困る事態が起きた場合は、すぐに訪問介護事業所へ連絡することが重要です。 サービス提供責任者や、場合によってはケアマネージャーに対応を依頼する事も必要となります。 ヘルパー自身の曖昧な判断で対応したり、良かれと思って対応した結果、後に難しいトラブルへと発展してしまう事にも繋がりかねません。 病院という在宅外での介護の為、臨機応変な対応が求められる場合もありますが、あくまでも訪問介護サービスである事を踏まえた上での対応にヘルパーは従事しましょう。 まとめ 今回は通院介助についてや介助時のトラブル、対応等を紹介しました。 ・通院介助とは、要介護度認定を受けた利用者が病院受診をする為に行われる訪問介護であり、通院等乗降介助や身体介護中心型といった形がある。 ・基本的に病院内は医療機関の対応となるが、事前確認によっては訪問介護で対応する事もある。 ・要支援は通院介助の対象外であるが、場合によっては外出支援として対応できる事もある。 ・通院介助では利用者の負担が介護保険以外にも発生する事があるので、双方の確認が必要である。 ・訪問介護で院内の介助を行う場合は、病院側と訪問介護側との連携や確認が再度必要であり、利用者との間にも自費サービスが発生する場合の確認を行っておく必要がある。 ・利用者と訪問介護側の間でも、通院介助をする際にできる事やできない事の確認を行い、双方が理解しておく必要がある。 通院介助は各自治体によっての解釈が異なる場合があります。 利用者の居住する自治体が、どこまで通院に対し、介護対応を許容するのかをよく確認した上で、病院側、利用者側、訪問介護側との連携を踏まえてサービスする事も大切です。 訪問介護でヘルパーが通院介助を行う為の情報の一つとしてお役立て下さい。
あなたは「訪問介護」に対し、どんなイメージを持つでしょうか? 今回は幾つかの事例を踏まえつつ、訪問介護が担う役割や現状、重要性を、ヘルパーの視点から紹介します。 訪問介護のヘルパーは何をする人? ここでは訪問介護のヘルパーがどのような仕事をしているか、詳しく解説します。 「高齢者の身の回りの世話をする人」=半分正解、半分不正解です。 世間一般で「訪問介護」の「ヘルパー」と聞いたら、まず何を思い浮かべるでしょうか? 実際によく耳にしたのは、「家に行って世話をする人」「家で介護をする人」「高齢者の代わりに家事とか身の回りの事をする人」で、次に「きつい、しんどい仕事」とイメージするようでした。 家族や身内に介護対象者がいる場合は、訪問介護についてのイメージは介護の説明を受けている分理解があるのですが、まだ介護に携わる経験が無い世代では、よく言われる一般論やきつい労働のイメージから、ややマイナス傾向に捉えるものが多いようです。 では実際に、訪問介護のヘルパーは何をするのでしょうか? 「介護、身の回りの世話でしょ。」と答える人が大半です。 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解です。 では「家政婦とヘルパーの違いは何ですか?」と問われたら何と答えるでしょうか? 家政婦も契約した利用者の世話をする事もあります。 「洗濯物が溜まったから洗って欲しい。」「朝はいるけど昼と夕は娘(又は息子)がいないから、ごはんを作って一緒に食べて欲しい。」等、色々要望があるようです。 中には、契約者のご両親が高齢な為に、自分が仕事で不在の1か月の内、週5日の日中ずっと世話をして看て欲しいという要望もあるそうです。 訪問介護のヘルパーは、残念ながら上記のような希望通りに物事を行う事はできません。 「介護を行う事」は「利用者の希望通りの世話を行う事」では無いのです。 そして介護を受ける利用者やその家族も、正しい認識が為されていない事も多いのです。 介護保険の理念 訪問介護は介護保険サービスの一つです。 下記の図のように、3つのサービスに分かれ、主に身体介護や生活援助をメインに行われます。 訪問介護は介護保険法に則りサービスが行われています。 介護保険法には、第一章・総則の(目的)第一条に、要介護状態となった利用者が介護保険サービスを利用する為の目的を謳っています。 それは、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」ということです。 要介護となり介護を必要とする状態にあったとしても、人として生きる為に自分自身でできる動作・作業・行動があればそれを維持するように努めることや、人としての尊厳を失う事が無いように日々の生活が送れるように支援する事が介護保険を利用してのサービスであると謳っているのです。 そして介護保険法の第四条に(国民の努力及び義務)があり、要介護状態になる事を予防する為、健康でいる事に努めるよう謳っています。 また、要介護状態になった場合においても、適切な医療または介護サービスを利用する事で、未だ本人が多かれ少なかれ自身で行える動作・作業・行動の能力の維持向上に努めるよう謳っています。 それを踏まえた上で、訪問介護のヘルパーは何をする人なのでしょうか? 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解の意味が分かりましたでしょうか。 介護認定を受けた利用者が、日々生活を送る上で難しいとされる動作・作業・行動を介助する事で、 「その人が、その人らしい、その人なり」の自立した日常生活を送れるように支援するサービスが訪問介護であり、その介助をする者がヘルパーなのです。 利用者又はその家族や身内の希望する、日常生活での困った事、こうしてくれたら便利だと思う事を代行する「何でも屋」では無く、介護保険という国の制度を利用しているサービスなのだという事の認識が求められます。 訪問介護ヘルパーのあるある、色々大変なのです。 先程の介護保険の理念でも述べましたが、訪問介護は介護保険という国の制度を利用しているサービスです。 つまり、介護保険法という法律を遵守した上で、利用者が自身の身体状態や生活状況に応じ、自立した生活を送れるように支援を行うものです。 しかし、実際に訪問介護でサービスに入ると、予想しない事態や心身共に参ってしまうような問題に直面する事があります。 他にも色々ありますが、訪問介護サービスでヘルパーとして入り、こういった場に直面した際は、その状況や場に応じ、臨機応変に対応していく事になります。 多くの場合は訪問介護事業所に報告や連絡、相談する必要性があるものばかりですが、なかにはサービス提供責任者やケアマネージャーに報告や相談し、サービス内容の見直しや利用者への説明対応が必要になってくるものもあります。 特に訪問介護サービスに入って暫く経過し、利用者との対人関係や状況に慣れてきた頃、慣れが生じてそうなってしまう傾向もあるようです。 ヘルパーにそう言う事で、(あの人はああしてくれた、こうしてくれた等)このヘルパーにもあれこれ動いて貰おうとする意を持つ場合もあります。 また、ヘルパー自身の技術力や対応面の未熟さへの苦言である可能性もあるので、言われた事は一度受け止めて、どう介助すべきか対応の仕方について考える事も必要になります。 夏冬の訪問でよくある例ですが、その状況が利用者にとって、その季節においての過ごし方であれば、その状況で訪問介護を行うようになる事もあります。 あまりに環境が適しておらず、脱水や熱中症、または火事などの生命の危険を孕む場合は、できる限り環境を改善していくように支援していきます。 しかし、なかなかスムーズにいかないことが多いです。 「ずっとこれで生活してきたから大丈夫」と、長年生活してきた経験を根拠とし、不変を望む相手を納得させるのは大変です。 そのため、サービス提供責任者やケアマネージャー、身内の方との協力の下で意見を聞きながら対応していくようにします。 一般的には問題行動を言われる行為・行動がある場合、なぜそういう行動に出るのか、なぜそのような暴言や妄想被害を言ってしまうのかという事をチームでカンファレンスをする必要があります。 ヘルパーも利用者も同じ人間ですので、何か利用者本人にとって不都合が生じていることや、思わぬ障害が潜んでいる可能性があります。 または、ただ単に男尊女卑の考え方が強い等の様々な理由からそういった行為・行動を起こす事もあります。 双方が怪我をしてしまってはいけないので、早めに対応策を講じ、決して一人で解決しないように抱え込まないように訪問介護事業所側もヘルパーをフォローしなければなりません。 緊急性が高い対応を求められることもあります。 家にいない理由は人それぞれですが、「急に病院受診で出掛けた」「ちょっと散歩に出掛けた」 「訪問介護の中止の連絡を忘れて家族や身内と外出されている」等、無事が確認できるものはまだ良いです。 しかし、徘徊傾向のある人が突然出て行った場合や、ベランダや屋内のどこかで倒れていた場合等、利用者の身の安全が守れない、危険に晒されている場合は早急の対応が必要になります。 救急対応が求められ、近くに家族や身内がいない場合はヘルパーが早急に119に電話するなど、然るべき対応を取り、いち早い利用者の安全を守るように動きます。 介護保険を利用してサービスを受けた利用者の支払う費用は、1割負担若しくは所得に応じて2~3割負担となっています。 家政婦や家事代行と比べると金額は低いですが、利用者にとって出費には変わりありません。 お金を出してサービスを受けるという意味では家政婦や家事代行と混同されてしまいがちになりますが、ただ身体介護を行っている、生活援助を行っているだけではありません。 介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはあるのです。 ちょっとした言葉が大きな力と成長に。 上記でも紹介した思わぬ事態や状況、問題に直面する事も多々ありますが、訪問介護サービスに入って感謝の気持ちを耳にしたり、利用者の状態や状況が改善されて良い方向に進むと仕事とは言え嬉しくなるものです。 「ヘルパーさんが入ってくれてから、入院しないで良いようになった。」 「家族からは色々怒られるけど、ヘルパーさんは話を聞いてくれる。」 「このままずっとこの家に住んでいけたらいいなぁ。」 「ありがとなぁ。」 「退院してきたから、また宜しくな。」 「ヘルパーさんがアンタで良かったわ。」 会話や介助の節々でポロっと言われたり、帰る間際に何気なく言われたりすると、その言葉でヘルパーのやる気も出ます。 どうしたら利用者の状態が悪くならないようにできるかを考えて行動したり、住み慣れた自宅で望む生活を送れるようになるかを共に考えていけるようになるのです。 訪問介護事業所もヘルパーも前向きな力と成長を手にし、利用者は自立した生活を送れるようになる「win-winの関係」となるでしょう。 まとめ 色々な例を交えながら訪問介護が担う役割や現状、重要性をヘルパーからの視点ベースで紹介しました。 ・訪問介護の仕事は、あくまでも利用者の身体介護や生活援助を行う事で、家政婦や家事代行の仕事と似ている部分はあっても希望通り全ての家事や世話を行うものではない。 ・訪問介護は介護保険サービスの理念である「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」に沿って利用者へ介護サービスを行う。 ・状態の悪化を予防し、また悪化を防げず進行したとしても、出来得る限りの能力の維持向上に努めなければならない。 ・訪問介護サービスに入ると、予想しない事態や心身共に参るような問題に直面する事が多々ある。 ・そのような事態や問題も解決する為の対応方法や考え方がある。 ・介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはある。 ・利用者の何気ない言葉や感謝の気持ちは、訪問介護事業に関わる人達の力と成長に繋がる。 目に見えるようなはっきりとした成果は表れずとも、利用者やその家族や身内が、緩やかに穏やかに毎日を「当たり前に」自立して過ごせるようになります。 サービスを行う介護事業(訪問介護事業所やヘルパー、ケアマネージャー等)側も、その支援を責任を持って担う事で、双方が「より良い関係を築き上げられるパートナー」となります。 訪問介護で誰よりも利用者と接するヘルパーは、もっと評価されるに値するのではないでしょうか。 どうか誇りを持ち続け、胸を張って介護サービスに携わって下さい。 最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
家政婦さんと間違えられてしまう訪問介護ですが、実際は目的や意義が全く違う仕事です。 そのなかでも今回は家政婦さんとは違う「訪問介護が担う自立支援」とは?についてお伝えします。 「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違い 「家政婦さん」と聞いてまず思い浮かぶのは、以下のようなイメージではないでしょうか。 ・「家政婦さんは裕福な家に居る何でも助けてくれる人」 ・「料理や洗濯などの家事全般をしてくれる人」 では次に「訪問介護員(ホームヘルパー)」と聞いて思い浮かぶのはどのようなイメージでしょうか? ・「自宅で介護士さんに助けてもらって生活を出来るようにしてもらう」 ・「元気で病気もしていないけれど、一人にしておくのは不安だから介護士さんに様子を見てもらおう」 どちらも「自宅で家族の身の回りお世話を行う」ことや「家族の手助けをする」部分で大きな違いはありません。 訪問介護の成り立ちをひも解いてみますと、以前は「家庭内で家族のお世話をする」という状態が当たり前でした。 戦後20年が経ち、戦争による生活困窮者のために訪問介護の前身である「家庭養護婦」と言う仕事が誕生し時を経て「訪問介護」に変わりました。 家政婦さんの場合は家族全員が対象になり、家族に関わることであればどんな事でも行いますし、本人が出来ることであっても代わりに行います。 介護士の場合は、助けが必要な人が誰なのか、介護士の基本の一つである自立支援を目的としているかの2点で、目的と仕事の内容が違います。 「訪問介護とは」 訪問介護とは、ご利用者様が在宅における生活の中で自立した日常生活が行えるように、訪問介護員がご利用者様のご自宅へ訪問をし身体的な支援や介助を行う「身体介護」と、家事などを支援したり介助する「生活援助」の2種類があります。 介護保険が始まる前は「ホームヘルプ」と呼ばれ、介護保険開始後は「訪問介護」の名称に変わりました。 訪問介護には高齢者の方達だけではなく、「障害者総合支援法」という障害者の方を支援し介助も行います。 訪問介護では「日常生活の援助に該当しない行為」は行えません。 例えば草むしり・ペットのお世話・大掃除等のご利用者様本人に関わることでないと訪問介護を行う事ができません。 「介護保険が始まる前と始まった後の違い」 介護や支援を求める方が増えて、2000年より介護保険の制度が始まりました。 高齢者や障害者の方の自宅を訪問し、「身体介護」「生活援助」の二つを行う事には介護保険が開始される前後で大きく変わりません。 介護保険開始前は自宅での介護福祉は各都道府県の市町村にある社会福祉協議会や福祉公社になどによる措置の制度であった為、サービス内容を選べず利用料は所得に応じた負担になっていました。 変わった部分として、介護保険開始後は利用者または家族が申請して利用できるようになり、サービスも選べるようになったことです。 現在は介護保険の法整備が進み、社会保険の制度の一つになっています。 サービス提供に様々な民間団体や法人組織が参加しており、自分や家族に必要なサービスを選択し提供してもらう形になっています。 介護保険が始まった当初は「介護」を行う上で「ご利用者様の出来ないことを代りに行う」ことを中心に行っており、家政婦さんとの違いもはっきりとは認識されておらず家政婦さんのように利用する方もいました。 その結果「自分で出来ること」を奪ってしまう事になり、次第に「介護」を必要とするひとが増える要因の一つになりました。 この問題に対して2001年に「介護を必要とする人の出来ること」に注目をして様々な要因や環境を見つけ出し、生活の全体像を掴み支援や介助を行う考え方が提唱され、QOL※の向上や自立支援に注目するようになりました。 ※QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは 一般にひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた「生活の質」のことを指し、どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。 「訪問介護が担う自立支援」 自立支援とはご利用者様に「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」です。 「できる限り自分の力で生活するためのサポート」と一言でいってもご利用者様ひとりひとり状況と状態が違い、はじめは信頼関係もなく一人で行う事が難しく、なかなか上手くいかない事に落ち込んだりやる気を出せないでいるご利用者様もいます。 そういう様々なご利用者様に対して、一人で行えるようまたは行いやすくなる為の道具の提案を行ったり、環境を整えて一人でも行える様にする事が介護員の役目になります。 では現場ではどのようにして「自立支援」が行われているかの事例を紹介します。 自立支援の事例 介護員が女性のご利用者様のご自宅に訪問をしました。 ご利用者様に元気がないため、どうしたのか尋ねると「最近こけてばかりだから、庭の草むしりをしないでほしいと家族に言われた」との言葉が返ってきました。 ご利用者様は「草むしりをすることで少しでも家族の役に立ちたい」「草むしり中に近所の方と話すのが楽しみ」と介護員に話をしました。 そこで介護員はご利用者様の希望の「草むしり」を安全に行えない原因を考えました。 ・なぜこけたのか。 ・なにが危険なのか。 ・どうすれば安全にできるか。 この3点について、ご本人様と家族様、話を伺い様々な事がわかりました。 ・腰が少し曲がっていて、前のめりの姿勢である。 ・腰が少し曲がっている為、前のめりにこけてしまっている。 ・前のめりにこけてしまうので、何度も頭をぶつけている。 ・庭が広く、草むしりをするために、移動する必要がある。 そこで介護員は、庭が広く移動しながら「草むしり」をしている為に転倒してしまう可能性が高いと考え、ご自宅にあった「小さな椅子」を使って少しづつ移動しながら、座って草むしりを出来ないかと、ご利用者様と家族様に提案してみました。 後日、訪問した際にご利用者様より「座って(草むしり)したら1度も危ないことにならず、転倒する心配もなくなった。ありがとう」「生き甲斐が戻ってきた」と草むしりが継続して出来ることを喜ばれました。 ご家族様からは「安全にできる方法を考えてくれたおかげでおばあちゃんに笑顔が戻ってきて嬉しいです。」との言葉をいただきました。 ご家族からの「危ないからやめてほしい」との声で全て制限してしまえば、活気や生活の楽しみが失われ生活の質が低下してしまっていたでしょう。 また、以前のように「なんでもしてしまう介護」や家政婦さんに「やってもらう」という利用が続いていれば、「草むしり」という一つのやりがいが失われ、活動量の低下や元気がなくなりさらなる介護が必要になっていたかもしれません。 今回の事例のように、「自立支援」や「QOLの向上」に注目をし、訪問をしているからこそ気付き、アドバイスすることで、ご利用者様は活気を取り戻されてご近所付き合いも継続出るようになりました。 ご家族様もおばあちゃんに活気が戻り、以前のような生活に戻ったことを安心される結果に繋がりました。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違いについて、「介護保険が始まった前と後の違い」について、そして最後に「訪問介護の担う自立支援」について事例を交えてお伝えしました。 ・「家政婦さん」と「訪問介護員」の違いは資格の有無や専門知識があるかないか できることに制限があるかないか。 ・自立支援とは「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」。 ・訪問介護が担っている自立支援は、ご本人様・家族・関わる人全てに繋がる援助。 最後まで読んでいただきありがとうございます。
訪問介護サービスの一つに、利用者の病院受診の一連を介助する「通院介助」があります。 今回は通院介助一連に纏わるトラブルや対応について、事例を交えながら紹介します。 通院介助とはどんな介助? ここでは通院介護がどのようなサービスなのかを解説します。 病院受診する為に利用者の移動支援を行う介護サービスです。 訪問介護サービスには、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つに分かれます。 通院介助は下記の図の通り①~⑤の対応の仕方があり、其々の介助に分けられています。 ①と②に代表されるのは介護タクシーで、介護資格のある運転手が病院への行き帰りの対応を行うものです。 一般的に通院等乗降介助と呼ばれるもので、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も含まれます。 ③は病院へ受診する為の外出介助で、帰宅まで訪問介護のためヘルパーが対応しますが、院内は基本病院側の対応となる為、介護保険適用外となります。 例外として、病院側が対応できない、院内での家族付き添い対応ができない、利用者の心身不安定による見守りや介助を要する等、理由によってはケアマネージャーが事前確認の上で訪問介護にて院内介助が行える場合もあります。 ④の様に介護度が4~5と重度で相当時間数の身体介護を必要とする場合は、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も、通院等乗降介助の乗車前や降車後介助の一環とならずに身体介護中心型という形になります。 ⑤は要介護認定(介護度1~5)の利用者が病院受診をする前と後に、受診に関連する介助ではない別の身体介護中心の介護を30分~1時間程度以上のサービスを行う場合が対象となります。 ①~⑤に関して、要介護度認定を受けた利用者が病院受診前後の介助を訪問介護サービス(介護保険)で対応し。病院内の対応は医療機関である病院側(医療保険)が対応する事が前提です。 但し③でも述べましたが、例外として院内介助も介護サービスとして対応できるケースもあります。 要支援の人はどうするの? 基本的に通院介助は要介護認定を受けた利用者でケアマネージャーがケアプランに通院介助が必要であると記載され、訪問介護を計画された場合のみです。 要支援1~2の認定を受けた利用者は、通院等乗降介助は介護保険サービスとして算定できません。 要支援は簡単に言うと「基本的に日常生活を送る能力は持っているが、支援を必要する部分もある」という事を示しいます。 そのため、要支援者の介助は、 「自分でできる事は自分で行う」 「できない事のみ支援する」 「できない事が少しでもできる様になる」 という利用者が自立を維持しながら日々を過ごせる為の支援であると考えると分かりやすいかもしれません。 要支援者と認定された場合、「移動」という動作・行動が自身でできる状態にある事が多く、通院に関してもヘルパーが介助する必要性は無いと判断される傾向にあります。 また要支援は、日常生活支援総合事業の訪問型サービス(旧:介護予防訪問介護)という形でヘルパーがサービスに入る事もありますが、週に1~3回程度で月に4~13回程度入るといった回数が決まっています。 月に回数が定められている中で、病院受診が毎週あるとは考えづらい点や、病院までの移動にヘルパーの介助の必要性を問われる点からも、要支援の認定を受けた利用者がヘルパーによる通院介助を受けづらいとされるのです。 要支援であっても病院受診をするのに不安な面がある場合等、理由によっては支援を受ける事ができる例もあります。 (例1)要支援認定であるが、現病歴による後遺症があり、身体の動きが悪く、躓いたり転倒する危険性があり、日常生活において支障がある場合。 (例2)入院していた要支援の利用者が退院し、退院後の日々の生活において身体状態の不安定がみられ、支援を必要とする場合。 他にも色々なケースがありますが、いずれもヘルパーによる支援が必要とされる場合は、ケアマネージャーや包括支援センター、市町村等の自治体と相談や協議を行い、その上でケアプランに必要性を謳う事で可能となる事もあります。 但し要介護の利用者の様な通院介助ではなく、外出支援(移動支援)という形での対応です。 そのため、介護タクシー(介護保険適用)は利用できない代わりに福祉タクシー(介護保険の適用無し)で対応する等の対応になります。 あくまでも「支援」であり「介助」では無い事と、基本的に要支援対象者は通院介助は介護保険では認められない傾向にあると考えた方が良いでしょう。 利用者の思惑、ヘルパーの困惑 通院介助を行う上でサービスの内容を確認するのは当然です。 例えば、訪問介護側と利用者側で「通院介助にかかる費用」や、「どこまで介助が可能なのか」「病院受診後ついでに、と急な依頼への対応」など、色々と確認しなければいけない事があります。 ケアマネージャーからも通院介助をケアプランに追加する際は事前に説明等を行いますが、介護を行う側と受ける側双方が認識を共有しておかなければなりません。 <下記の図にある、様々なトラブルに繋がってしまう言動事例も参照下さい。> 移動手段もいろいろ、意外とお金もかかる? 「病院受診は訪問介護でヘルパーが対応するから大丈夫だ。」と、受診に関する一連の行動や必要とされる介護のみにクローズアップされがちです。 しかし、介護保険とは別にお金がかかる場合もある事を忘れてはいけません。 勿論、ヘルパーも通院介助においてできる事・できない事の認識をしておく事は絶対です。 例えば、利用者側からすれば「訪問介護サービスでの介護利用だから1割負担(又は2割負担)で済む」との認識をされている場合もあります。 間違いでは無いのですが、通院等乗降介助では「利用者宅から車両で病院へ移動し、受診手続きや薬の受取り等対応しまた利用者宅へ移動する介助」に該当する介護サービスのみ、介護単価で行われます。 当然、車両運賃は介護サービスには含まれません。 介護タクシーでは、通院等乗降介助の介護サービス費とタクシーとしての運賃との合算で請求されます。 介護タクシーを利用しない場合でも、ヘルパーの介助を伴いながら各交通機関を利用した際は 利用者本人の交通機関の運賃と共にヘルパーの運賃も発生します。 一般タクシーを利用する場合は乗合となる為に、1人でも2人でも料金は同じです。 しかし、バスや電車を利用する場合は2人分の運賃が発生し、それは利用者負担となるのです。 また院内介助を行う際に、介護保険対応とならない場合は自費サービスを利用される事があります。 自費サービスは介護保険の様に1割負担(又は2割負担)ではなく、全額負担であったり、介護事業所による金額設定が為されています。 そのため、介護サービス費用の感覚でいくと割高に感じるかもしれません。 重ねて院内での時間が長くなれば、自費サービスの時間も長くなります。 また、通院介助の総額が高額になる場合もあるので、ヘルパーに介助を依頼したいけれど金銭面での負担が苦となることがあります。 利用者側のストレスが、更にトラブルへと発展しかねない状況を生み出す原因とも成り得るのです。 予め、利用者へのモニタリングで病院への経路や受診に掛かる時間を確認しておき、費用を概算し、事前に書面化してお知らせしておく事が出来たらお互い安心かもしれません。 いざ病院へ!と行ったはいいけれど。 何度も言いますが、基本的に病院内での対応は医療管轄である病院側であり、介護保険での利用はできません。 でも実際は、病院受診で受付を済ませて、診察又は検査で待つ間や呼ばれて対応する際に病院側の介助は無く、ヘルパーが対応する事態になる事も少なくはありません。 病院側も人手不足であったり、ヘルパーの付添があるならばそちらで対応したらいいと言う様な言動を取られた事もヘルパーを経験した者ならばあるでしょう。 そんな病院内での対応に関するトラブルの例です。 何れも、通院介助を行う訪問介護側と病院側との連携・確認不足による不手際がトラブルに繋がってしまったケースです。 事前にケアマネージャーと病院側との確認はなされており、その通りに進むべきではあるのですが まれにこういった予想しなかった事態になってしまう事も起こり得るのです。 事前確認し、ケアプランに追加された後、訪問介護側でも通院介助時の訪問介護計画や予定の再確認 予測外の事態に備えての対応策を講じておく等、訪問介護側もヘルパーと再度情報を共有して介助を行う様にしていく事が重要になってきます。 また、自費サービスが発生する場合は、利用者側にも了解を得る形をしっかり取って双方できる限り負担の掛からないようにしなければなりません。 利用者側と訪問介護側で金銭面以外でもこんなトラブルが発生する事もあります。 ①~③の例を上げましたが、通院介助を行う前はきちんと説明をして了承を得ていても、いざ病院に行く=外出するとなると「ああしたい、こうしたい」の欲求が出てくる事もあるようです。 ①の様に「ちょっとだけ良いだろう」という考えでヘルパーに依頼してくる事もあります。 これは訪問介護で対応可能なのか?ケアプランにその介助内容は含まれているか?をよく考えて対応し、分からない場合は訪問介護事業所の責任者に報告・連絡・相談が必要です。 ②のケースは、たまたまその利用者の訪問介護計画に買い物や整理整頓の見守り的支援があった為に 可能となったサービスです。 これが「美容室に寄って帰りたい」や「娘家族のお土産買って帰りたい」等であった場合は対応不可となります。 ③に関して滅多に無いとは思われますが、利用者やその家族からの「訪問介護の契約をしているから、ヘルパーに何でも頼んでおけば良い」という考えの下に出た発言です。 訪問介護のヘルパーによくある「何でも屋」扱いですが、ここでは利用者からきちんと断ってくれた為、トラブルとはなりませんでした。 ヘルパーは第三者からの突然の言動にも落ち着いて対応できないといけません。 他にも色々とトラブルへ繋がる様な事態が発生する事もあります。 基本はケアマネージャーと病院側で確認した上で計画された訪問介護(通院介助)の計画をよく確認し、当日どう対応するのかをヘルパー含めたチームで理解し対応する事が求められます。 また、ヘルパー自身が対応に困る事態が起きた場合は、すぐに訪問介護事業所へ連絡することが重要です。 サービス提供責任者や、場合によってはケアマネージャーに対応を依頼する事も必要となります。 ヘルパー自身の曖昧な判断で対応したり、良かれと思って対応した結果、後に難しいトラブルへと発展してしまう事にも繋がりかねません。 病院という在宅外での介護の為、臨機応変な対応が求められる場合もありますが、あくまでも訪問介護サービスである事を踏まえた上での対応にヘルパーは従事しましょう。 まとめ 今回は通院介助についてや介助時のトラブル、対応等を紹介しました。 ・通院介助とは、要介護度認定を受けた利用者が病院受診をする為に行われる訪問介護であり、通院等乗降介助や身体介護中心型といった形がある。 ・基本的に病院内は医療機関の対応となるが、事前確認によっては訪問介護で対応する事もある。 ・要支援は通院介助の対象外であるが、場合によっては外出支援として対応できる事もある。 ・通院介助では利用者の負担が介護保険以外にも発生する事があるので、双方の確認が必要である。 ・訪問介護で院内の介助を行う場合は、病院側と訪問介護側との連携や確認が再度必要であり、利用者との間にも自費サービスが発生する場合の確認を行っておく必要がある。 ・利用者と訪問介護側の間でも、通院介助をする際にできる事やできない事の確認を行い、双方が理解しておく必要がある。 通院介助は各自治体によっての解釈が異なる場合があります。 利用者の居住する自治体が、どこまで通院に対し、介護対応を許容するのかをよく確認した上で、病院側、利用者側、訪問介護側との連携を踏まえてサービスする事も大切です。 訪問介護でヘルパーが通院介助を行う為の情報の一つとしてお役立て下さい。
あなたは「訪問介護」に対し、どんなイメージを持つでしょうか? 今回は幾つかの事例を踏まえつつ、訪問介護が担う役割や現状、重要性を、ヘルパーの視点から紹介します。 訪問介護のヘルパーは何をする人? ここでは訪問介護のヘルパーがどのような仕事をしているか、詳しく解説します。 「高齢者の身の回りの世話をする人」=半分正解、半分不正解です。 世間一般で「訪問介護」の「ヘルパー」と聞いたら、まず何を思い浮かべるでしょうか? 実際によく耳にしたのは、「家に行って世話をする人」「家で介護をする人」「高齢者の代わりに家事とか身の回りの事をする人」で、次に「きつい、しんどい仕事」とイメージするようでした。 家族や身内に介護対象者がいる場合は、訪問介護についてのイメージは介護の説明を受けている分理解があるのですが、まだ介護に携わる経験が無い世代では、よく言われる一般論やきつい労働のイメージから、ややマイナス傾向に捉えるものが多いようです。 では実際に、訪問介護のヘルパーは何をするのでしょうか? 「介護、身の回りの世話でしょ。」と答える人が大半です。 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解です。 では「家政婦とヘルパーの違いは何ですか?」と問われたら何と答えるでしょうか? 家政婦も契約した利用者の世話をする事もあります。 「洗濯物が溜まったから洗って欲しい。」「朝はいるけど昼と夕は娘(又は息子)がいないから、ごはんを作って一緒に食べて欲しい。」等、色々要望があるようです。 中には、契約者のご両親が高齢な為に、自分が仕事で不在の1か月の内、週5日の日中ずっと世話をして看て欲しいという要望もあるそうです。 訪問介護のヘルパーは、残念ながら上記のような希望通りに物事を行う事はできません。 「介護を行う事」は「利用者の希望通りの世話を行う事」では無いのです。 そして介護を受ける利用者やその家族も、正しい認識が為されていない事も多いのです。 介護保険の理念 訪問介護は介護保険サービスの一つです。 下記の図のように、3つのサービスに分かれ、主に身体介護や生活援助をメインに行われます。 訪問介護は介護保険法に則りサービスが行われています。 介護保険法には、第一章・総則の(目的)第一条に、要介護状態となった利用者が介護保険サービスを利用する為の目的を謳っています。 それは、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」ということです。 要介護となり介護を必要とする状態にあったとしても、人として生きる為に自分自身でできる動作・作業・行動があればそれを維持するように努めることや、人としての尊厳を失う事が無いように日々の生活が送れるように支援する事が介護保険を利用してのサービスであると謳っているのです。 そして介護保険法の第四条に(国民の努力及び義務)があり、要介護状態になる事を予防する為、健康でいる事に努めるよう謳っています。 また、要介護状態になった場合においても、適切な医療または介護サービスを利用する事で、未だ本人が多かれ少なかれ自身で行える動作・作業・行動の能力の維持向上に努めるよう謳っています。 それを踏まえた上で、訪問介護のヘルパーは何をする人なのでしょうか? 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解の意味が分かりましたでしょうか。 介護認定を受けた利用者が、日々生活を送る上で難しいとされる動作・作業・行動を介助する事で、 「その人が、その人らしい、その人なり」の自立した日常生活を送れるように支援するサービスが訪問介護であり、その介助をする者がヘルパーなのです。 利用者又はその家族や身内の希望する、日常生活での困った事、こうしてくれたら便利だと思う事を代行する「何でも屋」では無く、介護保険という国の制度を利用しているサービスなのだという事の認識が求められます。 訪問介護ヘルパーのあるある、色々大変なのです。 先程の介護保険の理念でも述べましたが、訪問介護は介護保険という国の制度を利用しているサービスです。 つまり、介護保険法という法律を遵守した上で、利用者が自身の身体状態や生活状況に応じ、自立した生活を送れるように支援を行うものです。 しかし、実際に訪問介護でサービスに入ると、予想しない事態や心身共に参ってしまうような問題に直面する事があります。 他にも色々ありますが、訪問介護サービスでヘルパーとして入り、こういった場に直面した際は、その状況や場に応じ、臨機応変に対応していく事になります。 多くの場合は訪問介護事業所に報告や連絡、相談する必要性があるものばかりですが、なかにはサービス提供責任者やケアマネージャーに報告や相談し、サービス内容の見直しや利用者への説明対応が必要になってくるものもあります。 特に訪問介護サービスに入って暫く経過し、利用者との対人関係や状況に慣れてきた頃、慣れが生じてそうなってしまう傾向もあるようです。 ヘルパーにそう言う事で、(あの人はああしてくれた、こうしてくれた等)このヘルパーにもあれこれ動いて貰おうとする意を持つ場合もあります。 また、ヘルパー自身の技術力や対応面の未熟さへの苦言である可能性もあるので、言われた事は一度受け止めて、どう介助すべきか対応の仕方について考える事も必要になります。 夏冬の訪問でよくある例ですが、その状況が利用者にとって、その季節においての過ごし方であれば、その状況で訪問介護を行うようになる事もあります。 あまりに環境が適しておらず、脱水や熱中症、または火事などの生命の危険を孕む場合は、できる限り環境を改善していくように支援していきます。 しかし、なかなかスムーズにいかないことが多いです。 「ずっとこれで生活してきたから大丈夫」と、長年生活してきた経験を根拠とし、不変を望む相手を納得させるのは大変です。 そのため、サービス提供責任者やケアマネージャー、身内の方との協力の下で意見を聞きながら対応していくようにします。 一般的には問題行動を言われる行為・行動がある場合、なぜそういう行動に出るのか、なぜそのような暴言や妄想被害を言ってしまうのかという事をチームでカンファレンスをする必要があります。 ヘルパーも利用者も同じ人間ですので、何か利用者本人にとって不都合が生じていることや、思わぬ障害が潜んでいる可能性があります。 または、ただ単に男尊女卑の考え方が強い等の様々な理由からそういった行為・行動を起こす事もあります。 双方が怪我をしてしまってはいけないので、早めに対応策を講じ、決して一人で解決しないように抱え込まないように訪問介護事業所側もヘルパーをフォローしなければなりません。 緊急性が高い対応を求められることもあります。 家にいない理由は人それぞれですが、「急に病院受診で出掛けた」「ちょっと散歩に出掛けた」 「訪問介護の中止の連絡を忘れて家族や身内と外出されている」等、無事が確認できるものはまだ良いです。 しかし、徘徊傾向のある人が突然出て行った場合や、ベランダや屋内のどこかで倒れていた場合等、利用者の身の安全が守れない、危険に晒されている場合は早急の対応が必要になります。 救急対応が求められ、近くに家族や身内がいない場合はヘルパーが早急に119に電話するなど、然るべき対応を取り、いち早い利用者の安全を守るように動きます。 介護保険を利用してサービスを受けた利用者の支払う費用は、1割負担若しくは所得に応じて2~3割負担となっています。 家政婦や家事代行と比べると金額は低いですが、利用者にとって出費には変わりありません。 お金を出してサービスを受けるという意味では家政婦や家事代行と混同されてしまいがちになりますが、ただ身体介護を行っている、生活援助を行っているだけではありません。 介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはあるのです。 ちょっとした言葉が大きな力と成長に。 上記でも紹介した思わぬ事態や状況、問題に直面する事も多々ありますが、訪問介護サービスに入って感謝の気持ちを耳にしたり、利用者の状態や状況が改善されて良い方向に進むと仕事とは言え嬉しくなるものです。 「ヘルパーさんが入ってくれてから、入院しないで良いようになった。」 「家族からは色々怒られるけど、ヘルパーさんは話を聞いてくれる。」 「このままずっとこの家に住んでいけたらいいなぁ。」 「ありがとなぁ。」 「退院してきたから、また宜しくな。」 「ヘルパーさんがアンタで良かったわ。」 会話や介助の節々でポロっと言われたり、帰る間際に何気なく言われたりすると、その言葉でヘルパーのやる気も出ます。 どうしたら利用者の状態が悪くならないようにできるかを考えて行動したり、住み慣れた自宅で望む生活を送れるようになるかを共に考えていけるようになるのです。 訪問介護事業所もヘルパーも前向きな力と成長を手にし、利用者は自立した生活を送れるようになる「win-winの関係」となるでしょう。 まとめ 色々な例を交えながら訪問介護が担う役割や現状、重要性をヘルパーからの視点ベースで紹介しました。 ・訪問介護の仕事は、あくまでも利用者の身体介護や生活援助を行う事で、家政婦や家事代行の仕事と似ている部分はあっても希望通り全ての家事や世話を行うものではない。 ・訪問介護は介護保険サービスの理念である「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」に沿って利用者へ介護サービスを行う。 ・状態の悪化を予防し、また悪化を防げず進行したとしても、出来得る限りの能力の維持向上に努めなければならない。 ・訪問介護サービスに入ると、予想しない事態や心身共に参るような問題に直面する事が多々ある。 ・そのような事態や問題も解決する為の対応方法や考え方がある。 ・介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはある。 ・利用者の何気ない言葉や感謝の気持ちは、訪問介護事業に関わる人達の力と成長に繋がる。 目に見えるようなはっきりとした成果は表れずとも、利用者やその家族や身内が、緩やかに穏やかに毎日を「当たり前に」自立して過ごせるようになります。 サービスを行う介護事業(訪問介護事業所やヘルパー、ケアマネージャー等)側も、その支援を責任を持って担う事で、双方が「より良い関係を築き上げられるパートナー」となります。 訪問介護で誰よりも利用者と接するヘルパーは、もっと評価されるに値するのではないでしょうか。 どうか誇りを持ち続け、胸を張って介護サービスに携わって下さい。 最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
家政婦さんと間違えられてしまう訪問介護ですが、実際は目的や意義が全く違う仕事です。 そのなかでも今回は家政婦さんとは違う「訪問介護が担う自立支援」とは?についてお伝えします。 「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違い 「家政婦さん」と聞いてまず思い浮かぶのは、以下のようなイメージではないでしょうか。 ・「家政婦さんは裕福な家に居る何でも助けてくれる人」 ・「料理や洗濯などの家事全般をしてくれる人」 では次に「訪問介護員(ホームヘルパー)」と聞いて思い浮かぶのはどのようなイメージでしょうか? ・「自宅で介護士さんに助けてもらって生活を出来るようにしてもらう」 ・「元気で病気もしていないけれど、一人にしておくのは不安だから介護士さんに様子を見てもらおう」 どちらも「自宅で家族の身の回りお世話を行う」ことや「家族の手助けをする」部分で大きな違いはありません。 訪問介護の成り立ちをひも解いてみますと、以前は「家庭内で家族のお世話をする」という状態が当たり前でした。 戦後20年が経ち、戦争による生活困窮者のために訪問介護の前身である「家庭養護婦」と言う仕事が誕生し時を経て「訪問介護」に変わりました。 家政婦さんの場合は家族全員が対象になり、家族に関わることであればどんな事でも行いますし、本人が出来ることであっても代わりに行います。 介護士の場合は、助けが必要な人が誰なのか、介護士の基本の一つである自立支援を目的としているかの2点で、目的と仕事の内容が違います。 「訪問介護とは」 訪問介護とは、ご利用者様が在宅における生活の中で自立した日常生活が行えるように、訪問介護員がご利用者様のご自宅へ訪問をし身体的な支援や介助を行う「身体介護」と、家事などを支援したり介助する「生活援助」の2種類があります。 介護保険が始まる前は「ホームヘルプ」と呼ばれ、介護保険開始後は「訪問介護」の名称に変わりました。 訪問介護には高齢者の方達だけではなく、「障害者総合支援法」という障害者の方を支援し介助も行います。 訪問介護では「日常生活の援助に該当しない行為」は行えません。 例えば草むしり・ペットのお世話・大掃除等のご利用者様本人に関わることでないと訪問介護を行う事ができません。 「介護保険が始まる前と始まった後の違い」 介護や支援を求める方が増えて、2000年より介護保険の制度が始まりました。 高齢者や障害者の方の自宅を訪問し、「身体介護」「生活援助」の二つを行う事には介護保険が開始される前後で大きく変わりません。 介護保険開始前は自宅での介護福祉は各都道府県の市町村にある社会福祉協議会や福祉公社になどによる措置の制度であった為、サービス内容を選べず利用料は所得に応じた負担になっていました。 変わった部分として、介護保険開始後は利用者または家族が申請して利用できるようになり、サービスも選べるようになったことです。 現在は介護保険の法整備が進み、社会保険の制度の一つになっています。 サービス提供に様々な民間団体や法人組織が参加しており、自分や家族に必要なサービスを選択し提供してもらう形になっています。 介護保険が始まった当初は「介護」を行う上で「ご利用者様の出来ないことを代りに行う」ことを中心に行っており、家政婦さんとの違いもはっきりとは認識されておらず家政婦さんのように利用する方もいました。 その結果「自分で出来ること」を奪ってしまう事になり、次第に「介護」を必要とするひとが増える要因の一つになりました。 この問題に対して2001年に「介護を必要とする人の出来ること」に注目をして様々な要因や環境を見つけ出し、生活の全体像を掴み支援や介助を行う考え方が提唱され、QOL※の向上や自立支援に注目するようになりました。 ※QOL(クオリティ・オブ・ライフ)とは 一般にひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた「生活の質」のことを指し、どれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念です。 「訪問介護が担う自立支援」 自立支援とはご利用者様に「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」です。 「できる限り自分の力で生活するためのサポート」と一言でいってもご利用者様ひとりひとり状況と状態が違い、はじめは信頼関係もなく一人で行う事が難しく、なかなか上手くいかない事に落ち込んだりやる気を出せないでいるご利用者様もいます。 そういう様々なご利用者様に対して、一人で行えるようまたは行いやすくなる為の道具の提案を行ったり、環境を整えて一人でも行える様にする事が介護員の役目になります。 では現場ではどのようにして「自立支援」が行われているかの事例を紹介します。 自立支援の事例 介護員が女性のご利用者様のご自宅に訪問をしました。 ご利用者様に元気がないため、どうしたのか尋ねると「最近こけてばかりだから、庭の草むしりをしないでほしいと家族に言われた」との言葉が返ってきました。 ご利用者様は「草むしりをすることで少しでも家族の役に立ちたい」「草むしり中に近所の方と話すのが楽しみ」と介護員に話をしました。 そこで介護員はご利用者様の希望の「草むしり」を安全に行えない原因を考えました。 ・なぜこけたのか。 ・なにが危険なのか。 ・どうすれば安全にできるか。 この3点について、ご本人様と家族様、話を伺い様々な事がわかりました。 ・腰が少し曲がっていて、前のめりの姿勢である。 ・腰が少し曲がっている為、前のめりにこけてしまっている。 ・前のめりにこけてしまうので、何度も頭をぶつけている。 ・庭が広く、草むしりをするために、移動する必要がある。 そこで介護員は、庭が広く移動しながら「草むしり」をしている為に転倒してしまう可能性が高いと考え、ご自宅にあった「小さな椅子」を使って少しづつ移動しながら、座って草むしりを出来ないかと、ご利用者様と家族様に提案してみました。 後日、訪問した際にご利用者様より「座って(草むしり)したら1度も危ないことにならず、転倒する心配もなくなった。ありがとう」「生き甲斐が戻ってきた」と草むしりが継続して出来ることを喜ばれました。 ご家族様からは「安全にできる方法を考えてくれたおかげでおばあちゃんに笑顔が戻ってきて嬉しいです。」との言葉をいただきました。 ご家族からの「危ないからやめてほしい」との声で全て制限してしまえば、活気や生活の楽しみが失われ生活の質が低下してしまっていたでしょう。 また、以前のように「なんでもしてしまう介護」や家政婦さんに「やってもらう」という利用が続いていれば、「草むしり」という一つのやりがいが失われ、活動量の低下や元気がなくなりさらなる介護が必要になっていたかもしれません。 今回の事例のように、「自立支援」や「QOLの向上」に注目をし、訪問をしているからこそ気付き、アドバイスすることで、ご利用者様は活気を取り戻されてご近所付き合いも継続出るようになりました。 ご家族様もおばあちゃんに活気が戻り、以前のような生活に戻ったことを安心される結果に繋がりました。 まとめ いかがでしたでしょうか。 今回は「家政婦さん」と「訪問介護員(ホームヘルパー)」の違いについて、「介護保険が始まった前と後の違い」について、そして最後に「訪問介護の担う自立支援」について事例を交えてお伝えしました。 ・「家政婦さん」と「訪問介護員」の違いは資格の有無や専門知識があるかないか できることに制限があるかないか。 ・自立支援とは「できる限り自分の力で生活ができるようにサポートをすること」。 ・訪問介護が担っている自立支援は、ご本人様・家族・関わる人全てに繋がる援助。 最後まで読んでいただきありがとうございます。