介護保険制度では、要介護度によって受けられるサービス料の上限が決まっています。 ケアマネジャーは、決められた上限の範囲におさまるようにサービスを調整しなければなりません。 本記事では、介護保険の上限が決まっていることや、この上限を超過した場合の対策、自己負担を軽くする制度について解説します。 介護保険の上限は区分支給限度基準額で決まっている 介護保険のサービスは、訪問介護やショートステイ等のサービスごとに使用できる単位数が決められています。 そして、要介護度によって1ヶ月間に使用できる単位数の上限が決められており、それを区分支給限度基準額といいます。 区分支給限度基準額とは 区分支給限度基準額とは、要介護度ごとに設定された介護保険サービスの月の上限を単位数として設定しているものです。 介護保険はサービス毎に単位が決められており、ケアマネジャーは区分支給限度基準額を超えない範囲で、サービスを組み合わせて調整します。 利用者の自己負担は、所得によって1〜3割に設定されていますが、在宅介護を続けていくと、加齢やADLの低下にともない必要なサービス量は増えるものです。 サービス量が増えると、自己負担とともに介護保険の公的なお金の利用も増えていきます。 しかし、財源に限りがあるので上限が設けられているため、その範囲内でサービスを調整するよう求められています。 ○在宅サービスの区分支給限度額と自己負担額 区分 支給限度基準額(単位) 利用限度額 (円) 1割負担の時の 自己負担額(円) 要支援1 5,032 50,320 5,032 要支援2 10,531 105,310 10,531 要介護1 16,765 167,650 16,765 要介護2 19,705 197,050 19,705 要介護3 27,048 270,480 27,048 要介護4 30,938 309,380 30,938 要介護5 36,217 362,170 36,217 ※1割負担、1単位=10円の場合 参考:目黒区 区分支給限度額(介護保険から給付される一か月あたりの上限額) 区分支給限度額を超過すると全額自己負担になる 区分支給限度基準額を超過してしまった場合、超過した分の介護保険は利用できないので、全額自己負担で支払うことになります。 例えば、1割負担で要介護5の人が1ヶ月に400,000円分の介護保険サービスを利用したとします。 1割負担の支払額は40,000円ですが、限度額は36,217円なので、40,000−36,217の3,783円分超過してしまいます。 この場合、超過した3,783円は全額自己負担になりますので負担額は10倍の37,830円です。 全ての負担額の1割負担分の36,217円と全額自己負担分の37,830円を足して、74,047円がこの方の自己負担額になります。 急に負担が増えてしまいますので、ケアマネジャーは上限の範囲内でサービス調整する必要があります。 介護保険の上限を超えないようにするための対策の一つは、要介護度の区分変更を申請することです。 介護保険の上限を超えないようにするには区分変更を申請する 介護保険の上限を超えないようにするには区分変更申請が有効です。 要介護度が上がると区分支給限度基準額が上がりますので、利用できるサービスの量を増やせるからです。 例を挙げると以下のようになります。 要介護1の時は車椅子のレンタルができなかったが、要介護3になったらできるようになった。 要介護2では他のサービスとの兼ね合いでショートステイが1週間しか利用できなかったが、要介護4になったことで10日利用できるようになった。 特養入所を考えているが、要介護2の状態では入所できないので要介護3以上にしたい。 上記のように、区分支給限度基準額を超えてしまいそうな時は区分変更申請が有効です。 ケアマネジャーとして、利用者本人や家族の生活状況を見ながら提案してみるのもよいでしょう。 しかし、ご利用者様のご家族から「要介護度が上がると自己負担が増えてしまうので困る」という声が聞こえてくることもあるかもしれません。 次は自己負担を軽減させる制度について解説していきます。 介護保険の自己負担を軽くする制度 在宅介護を続ける上で、費用負担を軽くすることも大きなポイントです。 ここでは、自己負担を軽くする制度である「高額介護サービス費」「介護保険負担限度額認定」や、「介護保険料を滞納すると自己負担が増える」ことについて説明します。 高額介護サービス費 参考:厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます 高額介護サービス費は、「1ヶ月に支払った利用者負担の合計が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される」制度です。 例えば、市町村民税が課税されていて課税所得が380万円未満の人は、上限額44,400円になっているので、1か月の費用が50,000円かかった場合後から6,000円が返還されます。 介護保険の給付対象外の食費や、全額自己負担分は対象にはなりません。 該当する時に、市町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して役所へ提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 介護保険負担限度額認定 介護保険負担限度額認定は、ショートステイや特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険施設を利用する際の負担軽減対策です。 これらの施設の利用料金は、介護保険の自己負担分(1〜3割負担)と食費、居住費が主なものになります。 このうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって段階的に減額されます。 施設入所の場合は通常15〜16万円かかる利用料金が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、役所の介護保険窓口で対象になるのかどうか確認してみてはいかがでしょうか。 介護保険料の滞納 こちらは自己負担を軽くするというよりは、負担を重くしないようにするための注意点です。 40歳から納付義務のある介護保険料は、健康保険料とあわせて納付します。 年金を受給するようになると、特別徴収といって年金から天引きされるのが基本です。 ただし、年金額が年間18万円未満だったり年度途中で65歳になったり、引っ越したりすると普通徴収になり、納付書や口座振替で支払うことになります。 介護保険料を滞納すると、期間によって以下のようなペナルティが課せられるので、注意しましょう。 滞納期間 対応 内容 1年以上 介護保険給付の支払い方法の変更(償還払い化) 通常1〜3割負担のところ、一旦10割支払い、その後申請をして7〜9割分の払い戻しを受ける。 1年6か月以上 介護保険給付の一時差し止め 一旦10割支払った後、7〜9割の払い戻しが差し止められる。介護保険料を支払えば払い戻されるが、支払わないと差し止め分から差し引かれる場合がある。 2年以上 介護保険給付の減額 時効により介護保険料が納付できなくなる。 また、通常1〜3割の自己負担が3〜4割負担になり、高額介護サービス費の対象外になる。 介護保険料を滞納すると上記のようなペナルティが課され、自己負担が重くなります。 滞納すると市町村から督促状や催告書が送られてきますので、速やかに納付しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、介護保険の上限や、上限を超過した場合の対策と、自己負担を軽くする制度について解説しました。 介護保険の上限は区分支給限度基準額で決まっている 区分支給限度基準額を超過すると、超過した分は全額自己負担になる 区分支給限度基準額を超えないようにするには要介護度の区分変更申請が有効 介護保険の自己負担を軽減させるには、高額介護サービス費や介護保険負担限度額認定などの制度を活用する 介護保険料を滞納すると自己負担が重くなる場合がある 介護保険の制度は複雑で、利用者やその家族が自ら理解して制度を活用することは現実的ではありません。 ケアマネジャーには利用者やその家族が安心してサービスを受けられるよう、制度をうまく活用し導く役割が求められています。 最後までお読みいただきありがとうございました。
在宅介護を受けながら暮らす高齢者が増えている中、支援困難な事例も比例して増加しています。 ケアマネとしては腕の見せどころでもありますが、解決の糸口が見つからないというケースも散見されるようです。 今回の記事では支援困難事例にぶつかったときにどのような解決方法があるのか見ていきましょう。 支援困難事例とは何か そもそも「支援困難事例」とは、どういうものなのでしょうか。 実は具体的な定義はありません。 対応に苦慮する事象や問題の特徴はさまざまですし、複数の要因が重複していることもあり得ます。 そして、問題に取り組むケアマネによって、感じ方・受け止め方が違います。 経験のあるケアマネなら対応できるケースでも、新人ケアマネが対応したときには戸惑う場合もあるでしょう。 言い換えれば、ケアマネとして経験を重ねることで、支援困難だと感じる事例が減ってくるといえます。 ほとんどのケアマネが支援困難事例を経験している 今から約10年前、大阪の社会福祉協議会がケアマネに行ったアンケート結果では、約90%のケアマネが「支援について困った経験がある」と答えています。 この結果から「10人中9人のケアマネが困難事例を担当したことがある」ということがわかります。 経験を積めば困難事例と感じなくなるケースも どんな職業であっても、すべてにおいて最初からうまくできることはありません。 経験を積んでいくことで、成長していきます。 ケアマネも同様で、いろいろなケースに対応していくことで、選択肢の引き出しも増え、心の余裕も生まれてくるものです。 特に対人援助については経験値が上がることで、より良い対応につながるケースは多いといえます。 困難事例を解決する方法 では実際に、自分一人の経験だけでは対処しきれないような困難事例に遭遇したとき、どのようにすればよいでしょうか。 対応の仕方にはいくつかのパターンがありますので、そちらをご紹介します。 似たような困難事例がなかったか事業所内で確認する まずは自分が所属している事業所内で、他のケアマネに相談してみましょう。 実際に、各ケアマネが支援に困っている例を相談する会議を定期的に設けているところもあります。 朝礼や夕礼の場で行う事業所もあるようです。 他のケアマネに相談することで、良い対応方法を教えてもらえたり、似たような事例に対応した経験を持つケアマネもいるかも知れません。 地域包括支援センターや基幹包括支援センターに相談する 地域包括支援センターや基幹包括支援センターは居宅ケアマネが対応に苦慮しているケースの相談に乗ってくれます。 他の事業所からの相談も受けていますので、過去に似たような相談が持ち込まれており、解決のきっかけを与えてくれることがあります。 場合によっては、相談にのってくれるだけでなく、解決に向けて一緒に動いてくれることもあり、とても心強い存在です。 問題解決にはケアマネ個人ではなく、チームで取り組む 自分一人で解決できない事例は、事業所内のケアマネや包括支援センターに相談することが重要ですが、ケアに取り組むチームで情報を共有することも大切です。 たとえば、訪問介護事業所のサービス提供責任者や、福祉用具担当者、デイサービスの責任者などが挙げられます。 対応に苦慮していることを共有し、多くの人から知恵を出してもらうことで、問題が解決に向かうこともあります。 ただし、デリケートな情報を必要以上の人数で共有することはやめましょう。 契約時に個人情報使用の許可を得ていても、必要最低限の人数にとどめるべきです。 相談が解決に結びついた実例4例 それでは、実際にチームケアや包括支援センターに相談することで、解決に向かった実例をご紹介します。 サービス担当者会議をきっかけに解決した例 Aさんはケアマネになってまだ2ヵ月です。 担当する利用者Bさんは認知症が進行してきました。 特に入浴を嫌がり、デイサービスには行くものの入浴は拒否が強く、体臭がするようになってきてしまいました。 他の利用者からも「Bさんが臭う」と苦情が出るようになってしまいました。 ケアマネやヘルパーが入浴するように何度説得しても、耳を貸してくれません。 このままではデイサービスも利用できなくなってしまいます。 どうすべきか、担当者会議を開催したところサービス提供責任者より、「昔、近所のCさんとよく銭湯に行っていたと話していたことがあります。Cさんに相談してみてはどうでしょう」と意見が出ました。 さっそくCさんに相談してみたところ、快く了承いてくれました。 Bさんに「これからはCさんと一緒に銭湯に行きませんか」と話したところ、思いのほか喜んでくれ、週に2回、一緒に銭湯に行ってくれることになりました。 包括支援センターに相談して解決した例 Dさんはケアマネージャーとして長年、介護施設で働いてきました。 担当している利用者Eさんの娘さんは、毎日のように電話をしてきます。 その電話の内容というのが、「なぜ母の部屋しか掃除してくれないのか。洗濯にしてもそう、一緒に住んでいる家族の分までやるのが当然じゃないか」というもので、いくら説明しても介護保険制度を理解してくれません。 困ったDさんは包括支援センターに相談し、括の職員からEさんの娘さんに介護保険制度について 改めて説明してもらうことにしました。 そうしたところ、介護保険制度について理解してくれたようで、その後電話がなることはなくなりました。 問題解決後も、包括支援センターの職員はDケアマネのことを気にかけてくれ、それからというもの、Dさんも相談がしやすくなりました。 事業所内で相談し、解決に向かった例 Eさんについて、近隣より「異臭がする」との情報が寄せられました。 室内は物が散乱している状況で、着衣には汚れが目立ち、尿臭もします。 Fケアマネは訪問介護を提案していますが、Eさんは他者の入室を拒みます。 身寄りはなく、30年以上お一人で暮らしている方です。 事業所内で話し合った結果、「入室を拒む」ということから、プラン立案の段階ではなく、まずはこまめに訪問し、信頼関係を築くことが必要と判断しました。 長年の独居生活から、「ご自分のペースがある」と判断、性急な生活改善はあえて避けました。 その間もちろん、近隣への配慮の連絡も欠かさないようにします。 支援が必要だと本人が判断した段階で、サービスを導入することができました。 弟妹とケースワーカーに協力を仰いだ例 Gさんは認知症が進行してきていました。 また、生活保護を受給されています。 会話をしている限りでは一見問題ないように思えますが、病識がなく、生活全般に困難が生じてきています。 特に食事や水分をきちんと摂れていないようです。 幻覚症状も出現し、気分に波があり、物忘れも多くなってきました。 通帳を紛失したり、身に覚えのない訪問販売の契約書もあります。 親族は高齢で疾病を抱えている弟妹がいます。 Gさんは不安な気持ちが大きくなると、弟妹や訪問介護事業所に電話をするそうです。 ケアマネは成年後見制度の必要性が高いと判断しました。 ただ、日常生活が成り立たないわけではなく、その進め方にも悩みます。 本人の不安な気持ちを解消するためにも、成年後見制度の活用を本人と弟妹に説明し、理解を求めました。 また、ケースワーカーからも話しをしてもらったところ、Gさんも納得され、後見制度の利用に結びつきました。 介護保険以外の他機関を活用も検討を 支援を困難にする要素の1つに、「介護保険サービスしか利用していない」という可能性があります。 その場合は、介護保険外サービスを利用することも検討すると幅が広がります。 ケアマネ研修でも「インフォーマルサービスの活用を」と何度も言われました。 インフォーマルサービスを活用することで、困難事例が解決に向かうことがあります。 行政機関はインフォーマルサービスの活用に長けていますので、相談することが重要なのです。 「ご利用者の経済状態と相談しながら」という条件が付きますが、金銭的に介護保険外のサービスが難しくても、無料で行政のサポートなどが受けられるケースもあります。 まとめ 最後に、今回の記事のまとめです。 約90%のケアマネが困難事例を経験している 困難事例は1人で抱え込まないことが重要。 困難事例の解決策として 事業所内で相談する 地域包括支援センターなど、行政機関にも相談・活用する チームで解決に向けて動く 介護保険外のインフォーマルサービスを活用するなど、柔軟に対処する 支援困難な事例に1人で関わり続けるのは大変なことです。 多くの人に相談し、チームとしてうまく関わることで、解決の糸口が見つかることがあります。 最後までお読みいただきありがとうござます。
「突然、家族に介護が必要になった」 このような可能性は誰にでもあります。 そうなったときに慌てないようにしたいものですが、いざ自分が直面したときには何から始めればよいのでしょうか。 こんな時に頼りになるのがケアマネージャー(以下ケアマネ)です。 今回の記事では、ケアマネが担っている仕事はどのようなものなのかをご紹介していきます。 ケアマネは介護保険を利用するのに必要な存在 介護保険制度は一般の方々にはわかりづらく、すべてを理解するのはかなり困難でもあります。 介護保険を利用したい場合、その道のプロにお願いするのが一番いい方法です。 介護保険の利用を、その方に一番合った形で提案してくれる存在、それがケアマネージャーです。 ケアマネージャーは居宅(きょたく)介護支援事業所というところに所属しています。 居宅と略されることも多いです。 それではここからケアマネの具体的な仕事を見てみましょう。 ケアプラン作成 実は毎月の保険料を払っているだけでは介護保険サービスを利用することができません。 介護保険サービスを利用するには、必ず「ケアプラン」というものが必要になります。 ケアマネの大きな役割の1つが、ケアプランの作成です。 ケアプランとは ケアプランとは、その方の課題を解決するためにどのようなサービスがどの程度必要なのかを盛り込んだ計画書のことです。 ケアプランに記載されていないサービスを利用しても保険給付は受けられないということに注意が必要です。 インテーク ケアプランを作成するために、利用者の現在の状態を把握する必要があります。 まず、電話や対面などで、本人や家族の悩みや課題、体調や環境などを聞きます。 この行為はインテークと呼ばれます。 アセスメント ケアプランを作成するためには「その利用者がどのような方なのか」「どういった価値観を持ち、現在はどのような生活環境にあるのか」といったことを知る必要があります。 そして「どのような生活を望んでいるのか」「それを実現するための課題や問題点は何か」を明確にしていきます。 このために必要な情報を利用者本人や家族から聞き取りし、解決すべき課題を抽出するその行為をアセスメントといいます。 インテークでは聞き出せなかった深い部分まで聞き出せるよう、細かい点まで質問していきます。 たとえば、脳梗塞で倒れて入院中のAさんが「以前のように自宅に戻って生活したい」という要望を持っていたとします。 ケアマネは以下の各項目について課題がないか、Aさんをチェックしていきます。 ・後遺症はあるのか ・リハビリは必要なのか ・自宅で入浴はできるか ・服薬の管理はできるのか ・リハビリ以外に必要なサービスはないか ・他に困り事はないか 等 なお、インテークもしくはアセスメントで経済状況を聞かれることがあります。 年金の受給額など、ケアマネとして知っておかなければならないことだからです。 それはショートステイの利用や、いざ施設に入所するとなったときに、支払いを抑えることができる給付を受けられるかどうかの判断材料にするためです。 しかし、経済的な事情を尋ねるというのはケアマネにとっても聞きづらいものです。 人間関係がしっかりと構築された後ではますます聞きづらくなってしまいます。 そのため、ケアマネも「経済事情は割り切って早めに聞いてしまおう」と決めている人も多いので、1度目もしくは2度目の面談で経済状況を質問されるケースがあります。 ケアプラン原案作成 アセスメントが終わったら、その方の課題を解決するために、またはその方のニーズに応えるためにケアプランを作成します。 先ほど例に挙げたAさんであれば、 ・リハビリが必要なら「訪問リハビリ」「デイケア」 ・自宅内での手すりの設置や段差解消が必要なら「福祉用具」 ・自宅で一人での入浴が難しければ「訪問介護」「訪問入浴」「デイサービス」 といった選択肢が浮かんできます。 それらを基にケアプランの原案が作成されます。 担当者会議 ケアプラン原案を基に、ケアマネや本人・家族、また利用するサービスを提供する業者や主治医等と担当者会議を行います。 ここで本人や家族、また関係者からプラン内容に問題がないか等の意見を聞き、ケアプランに修正の必要があれば、原案を修正し、利用者や家族に同意を得ます。 そうして出来上がったケアプランが利用者や家族に交付され、利用者、もしくは家族にはサインや押印をしてもらいます。 モニタリング ケアプランに基づいたサービスがきちんと提供されているか、また、提供されているサービスで問題はないか、過不足はないか等を確認するために、ケアマネは月に1回以上利用者宅を訪問します。 モニタリングの結果、ケアプランの再考が必要だと判断された場合には、再度、アセスメントから実施し、ケアプランを再度作成します。 以上がケアプラン作成の流れです。 ここで一つ注意点があります。 ケアマネは何十人も担当していますので、月に1度訪問するのがやっとです。 本当は相談したいことや伝えたいことがあるのに、そこで「特に問題ありません」と答えてしまうと、ケアマネが問題に気付くことができず、来月の訪問まで待たなければなりません。 何かあればモニタリング時に相談するようにしましょう。 もちろんモニタリングの時だけでなく、随時、電話で相談することは可能です。 ケアプランには有効期間がある ケアマネにプランを作成してもらっても、ケアプランには有効期間があります。 高齢者は状態も変わりやすいためです。 有効期間の終了日が近づいてくると、再度アセスメントからケアプラン交付までの流れを繰り返し、新たなプランの交付を受けます。 なお、有効期間はケアマネが管理するものですので、利用者や家族の方が気にしなければならないものではありません。 申請代行 ケアプラン作成以外にもケアマネにお願いする業務があります。 それが申請代行と呼ばれるものです。 申請代行とは、利用者の意思を踏まえて申請書の入手や記入(自署部分は除く)、提出を本人に代わって行うものです。 介護保険を利用するには認定を受けなければなりませんが、その認定を受けるためには申請が必要になります。 利用者本人や家族が役所へ行かなくても、ケアマネが代わりに行ってくれるのが申請代行です。 申請した書類が受理されると調査のために認定調査員がやってきます。 これは申請代行を行ったケアマネ以外の第三者となります。 調査員が生活状態や身体の状況、認知機能など聞き取り、介護度を決定する認定審査会に提出する資料を作成するのです。 調査には通常ですと、30分から1時間程度かかりますが、これはあくまでも目安です。 場合によってはもっと短いケースもありますし、長く時間がかかる場合もあります。 利用者本人だけでは質問の受け答えが難しい場合には、家族の方が同席するようにしてください。 なお、申請を行ってから認定が下りるまでは通常は一か月ほどかかります。 その他の相談にも乗ってくれる 申請を代行するのは介護保険関係だけではありません。 たとえば、生活に困っている方には生活保護の申請を行うこともあります。 行政から届く書類は難解なものも多いので、手続きの相談に乗ってくれます。 また、在宅生活を続けていくのが難しいという方も多くいらっしゃいますが、もちろん施設への入所の相談にも乗ってくれます。 まとめ 最後に、今回の記事の内容をまとめてみます。 ・介護保険サービスを利用するにはケアプランが必要 ・ケアプランを作成するのはケアマネ ・ケアプラン作成のスタンダードな流れは以下のとおり ① インテーク ② アセスメント ③ ケアプラン原案作成 ④ 担当者会議開催 ⑤ モニタリング ・ケアプランは有効期間がある ・ケアマネは介護保険、その他の書類の申請業務を代行してくれる ・施設入所の相談もケアマネに ケアプランは「自分らしく生きるための大切な計画書」です。 作成してもらう際にはしっかりと希望を伝え、納得のいくプランを作成してもらうようにしてください。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
高齢化率が上昇している日本において、ケアマネの役割はますます重要になってきています。 2022年9月に総務省が発表した、日本の総人口における高齢者(65歳以上)の割合は29.1%です。 これはざっくり言うと10人に3人は高齢者ということです。 しかし、ケアマネの受験者数は年々減少しています。 これには「業務負担の増加」「やらなければならない業務が多く負担が大きい」「対価が低い」などの理由が挙げられます。 これらについて1つ1つ見ていきましょう。 ケアマネって何をする人? そもそもケアマネの業務には以下のようなものがあります。 ・状態の把握 ・課題の抽出 ・利用者、家族からの聞き取り ・ケアプランの作成 ・担当者会議の開催 ケアマネの業務を進める中で、他職種の専門的な意見を聞いたりすることも重要です。 リハビリが必要な利用者であれば理学療法士や作業療法士、または言語聴覚士といったリハビリの専門家、医療的なケアが必要であれば医師や看護師などです。 デイサービスや訪問介護、福祉用具等々それぞれの専門家に意見を募ることができれば、多角的な視点でより良いケアプランが作成できる可能性も高まります。 居宅と施設で違いがあるものの、どちらのケアマネもメイン業務は利用者の困りごとを解決していくことだといえます。 ただ、居宅ケアマネと施設ケアマネでは業務内容には違いがあります。 居宅ケアマネの業務 新たな利用者への居宅ケアマネの最初の仕事は、利用者宅を訪問して面談し、アセスメントを取ることです。 その上で、困りごとや課題を抽出し、ケアプランの原案を作成します。 そして担当者会議を開催といった流れがオーソドックスでしょう。 そこで出た意見を検討し、必要であればプランを修正、その後にモニタリング(当初のケアプランを継続してもよいか、それとも変更の必要があるかの確認・検討を行うこと)を行っていきます。 また、その他で居宅ケアマネで重要なことは「介護度に応じて設定されている『区分支給限度額(介護保険では介護度に応じて給付される上限額が決まっておりその限度額のこと)』を越えないように、月のサービス利用状況を把握すること」です。 限度額を超えると介護保険は利用できず、自費で支払いを行わなくてはならなくなってしまいますので、充分気を付けなくてはいけません。 施設ケアマネの業務 施設ケアマネは、その施設で過ごされる方のプランを作成します。 利用者宅の訪問がない他は、居宅ケアマネと流れは一緒です。 流れは一緒とはいえ、自宅と施設では環境面で大きな違いがあるため、同一の利用者の方でも在宅か施設課で大きくケアプランは変わってくるでしょう。 また、施設ケアマネは人手が足りないときには介護職の手伝いをしたり、夜勤に入ったりするというケースも見聞きします。 生活相談員のヘルプをしている施設もあります。 そういった中で、ケアプランを立案・作成し、担当者会議を開催していくことになります。 さらに毎月のモニタリング等々の業務があるというわけです。 ケアマネの担当件数は何件まで? これらの業務をこなしながら、ケアマネ一人当たりが受け持てる件数はどれくらいなのでしょうか。 居宅ケアマネについては、その事業所がICT(業務の効率化を図るためにコンピュータ技術を活用すること)を導入しているかどうかで変わってきます。 ・居宅ケアマネ(ICTを導入している場合)➡44件まで ・居宅ケアマネ(ICTを導入していない場合)➡39件まで ・施設ケアマネ➡99件まで ただし、上記を越える件数を受け持ってはいけないわけではありません。 1件当たりの報酬は減額されてしまいますが、受け持つこと自体は可能です。 なお、要支援の利用者は2件で要介護1件相当という計算になります。 ところで、居宅ケアマネと施設ケアマネで担当件数が大きく違うのはなぜでしょうか。 居宅ケアマネは、利用者の自宅はもちろんのこと、これから利用するかもしれないデイサービスの見学や、入院している利用者様の状態把握のために病院に行ったり、カンファレンスに呼ばれることもあります。 そのため、各事業所や役所、病院、地域包括支援センターなどの関係機関を訪問する機会も多く、面談や移動などにも多くの時間を割かなければなりません。 それに対し、施設ケアマネは多くの業務が施設内で完結できますので、その分、対応可能な件数も多く設定されています。 ケアマネの適正な担当件数は? 1人のケアマネで99人の利用者を受け持つことが可能なのでしょうか。 可能だとしても、それが利用者のためだといえるのでしょうか。 この点では疑問を感じざるを得ません。 それは居宅ケアマネでも施設ケアマネでも同様です。 1ヵ月の稼働時間の中で、39人ないし44人、もしくは100人の利用者を担当し、ケアプランを作成し、加えて担当者会議を行わなくてはいけません。 その他にも、入退院の調整が必要な場合もあるでしょうし、居宅ケアマネは要介護の方には訪問してモニタリングを行わなくてはなりません。 また、事業所の見学に行くこともあれば、家族と話し合うこともあるでしょう。 加えて研修があったり、管理者であれば事業所内での問題の解決にも当たる必要があります。 当然ケアマネとしては利用者の状態を把握していなければなりません。 つまり、常時40人以上の利用者の状態を把握しておくということですが、利用者ご本人からは大きな変化がないと連絡をくれないケースも多々あります。 それを考えると、担当件数ギリギリまで受け持つのは好ましいとはいえないでしょう。 ケアマネの担当件数は年々増加傾向 しかし、ケアマネ1人当たりの担当件数は年々増加傾向にあります。 担当可能件数ギリギリまで受け持つかどうかは、事業所の方針によるところも大きいので、ケアマネ業務を考えている方は必ず確認しておくとよいでしょう。 担当件数が増加しているのは次のような要因が考えられます。 ① 高齢者の増加 ② ケアマネが不足している ③ 待遇が改善されない 介護保険を利用する方が増加している昨今、ケアプランを作成するケアマネの人数も増加しなければ、1人当たりが受け持つ人数も増加していくのは必然です。 しかし、冒頭で触れたようにケアマネの受験者数は年々減少傾向です。 2018年には前年に比べて、なんと6割以上も受験者が減少するという衝撃的な数字でした。 ケアマネの報酬は適切なのか? この原因は、1つにはケアマネの業務内容と報酬が釣り合っていないからだと言われています。 介護職に対する処遇改善は進んでいますが、ケアマネについては責任の大きさの割にはそういった恩恵が少なく、待遇面に満足できないという方が多くいます。 一時期は介護職の待遇が社会的にも問題となっていましたが、今はケアマネの社会的な評価の低さが問題視されるようになってきています。 そのためケアマネを志す人も少なく、また現在ケアマネ業務に従事していても、離れて行ってしまう方も多くなってきています。 現在はケアマネの待遇改善を望む声も多くなりました。 まとめ 最後に今回の記事の要点をまとめます。 ・ケアマネの業務は多岐にわたるが、メインは利用者の困りごとを解決するケアプランを作成すること ・居宅と施設ではケアマネの業務には大きな違いがある ・ケアマネ1人当たりの担当件数は以下のとおり ① ICT活用居宅事業所は44件 ② ICT未活用居宅事業所は39件 ③ 施設ケアマネは99件 これ以上担当することも可能だが、1件当たりの報酬が減額される ・担当件数ギリギリまで受け持つと、業務が回らなくなる恐れがある ・ケアマネを志望する人は減少傾向 ・ケアマネの待遇改善が求められている ・実際に何人を受け持つかは、最終的には事業所の判断になる ケアマネは資格を取るにも、また更新時も長時間の研修が必要になります。 利用者・ご家族と向き合って問題を解決していくチームの中心者ともいうべき役割といえるでしょう。 責任が重い分、やりがいのある仕事です。 それだけに1人1人の利用者に丁寧に対応していくためにも、適切な担当件数で働ける事業所を選択するのも一つの手段です。 最後までお読みいただきありがとうございます。
やるべきことが多すぎて本来のケアマネジャーの仕事が出来ない!と思われているケアマネージャーは結構多いものです。 ケアマネジャーは介護保険制度内の他職種と対比した場合、サービス提供時間やサービス内容も明確にされていないのが現状です。 ここでは居宅ケアマネジャーを悩ませる業務について説明します。 介護支援専門員(ケアマネジャー)の本来の仕事内容とは? ケアマネジャーとは要介護・要支援の状態にある高齢者の心身状況に応じ、適切な介護サービスが利用できるようケアプランを作成し、市町村やサービス事業所や介護保険施設と連絡・調整を行う専門職です。 ケアマネジャーは居宅ケアマネジャー、施設ケアマネジャー、介護予防マネジメントの大きく3つに分別されます。 居宅ケアマネジャー 居宅ケアマネジャーは自宅で介護を受ける人を対象にケアプランを作成します。 サービス利用者の自宅を訪問して状況を確認し、利用者がスムーズにサービスを受けられるよう、関係各所との調整を行います。 施設ケアマネジャー 施設ケアマネジャーは介護老人福祉施設などに勤務し、入所者のケアプランを作成します。 施設ケアマネジャーは入居者の状態変化を把握しやすい反面、担当件数が居宅ケアマネジャーより多く各職種とのチームワークが必要となります。 介護予防ケアマネジメント(総合事業) 介護予防マネジメントとは、要支援の認定を受けた人が、要介護状態にならないようにサポートする取り組みです。 介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが統括しており、委託を受けた居宅介護支援事業所でも行う事が出来ます。 ケアマネージャーの主な仕事内容 ケアマネージャーの主な仕事内容は、以下の通りです。 ・インテーク ・アセスメント(課題分析) ・ケアプランや各種書類の作成 ・月1回のモニタリング訪問 ・介護保険関係の手続き ・各事業所、医療機関とのやり取り ・請求業務(給付管理) ケアマネジャーはケアマネジメントを開始するにあたって、初回の顔合わせ(インテーク)を通じて、介護サービスやケアマネジャーの役割を利用者やその家族に伝え、契約を行います。 契約後、利用者や家族の意向を確認し、本人の身体状況や置かれている環境、介護保険外の支援などを分析し(アセスメント)総合的な援助方針を検討します。 ケアマネジャーの仕事には利用者の権利擁護やサービスの公平・中立性のほか、プライバシー保護などの倫理が求められます。 インフォーマルな社会資源の活用などを駆使し、利用者やその家族が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的な知識と技術が必要になります。 ケアマネジャーの主な仕事内容は業務範囲外になりやすい 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると65歳以上の者がいる世帯は、全世帯の約半分で単独世帯や夫婦のみ世帯が全体の過半数と、一人暮らしの高齢者は年々増加しています。 家族情景やケアマネジャーという職種の把握からか、担当ケアマネジャーが家族の役割を担うようになり、本来の業務ではない仕事が際限なく増えています。 主な仕事内容である「ケアマネジャーは月1回のモニタリング訪問をして必要時にケアプランを作成」「各関係機関とのやり取りや請求業務を行う」は、いわばやれて当たり前なのです。 ケアマネジャーの仕事がこれだけで済むのであれば平穏な日々を過ごせます。 ケアマネジャーを悩ませる業務外の仕事とは ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外は突然やってきます。 高齢者は加齢に伴う生理的老化の進行によって臓器機能、自律神経、免疫機能等の低下、病気の併存などの身体的特徴が多く、複数の症状や病気を抱えがちです。 そのため、急変などのサービスの調整や業務範囲外の仕事が発生しやすくなります。 高齢者は退職による「職業や社会的立場の喪失」と併せ、身体面の老化といった心理的、肉体上の喪失体験も重なり精神的機能の低下により頑固になることが多々あります。 また、保守的傾向になる事が多く、町内会や自治会など、域コミュニティから孤立する高齢者も増えてきているのです。 そのため、問題が表面化されず突然、行政から連絡が入ることもあります。 居宅ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外の仕事 ケアマネージャーに発生しがちな業務範囲外の仕事は以下のようなものがあります。 救急搬送や受診同行 ケアマネジャーは救急車への同乗や搬送先への同行を求められることがあります。 治療が必要な疾患や症状を放置している高齢者が急変することや、受診を拒むため受診予約にあわせた通院ができず訪問介護の通院介助などのサービス調整が難しい場合等、ケアマネジャー通院時の付き添いをすることは多く見られます。 親族が近くにいない、身寄りがないなどの場合、救急搬送はもちろん、病院の入院手続き入院時の必要物品準備などを医療機関から依頼されることもあり、一日のスケジュールが狂ってしまうこともあります。 近隣住民からの苦情対応 住居から悪臭や異臭を放っていたり、敷地外に大量のゴミや不用品が溢れ、近隣住民からケアマネジャーへ対応を求めてくる場合もあります。 ゴミの分別ができず、指定日にゴミを出さないなどと近隣とトラブルになっていたり、室内がゴミ屋敷で足の踏み場もないなんてこともあるのです。 65歳以上の高齢者の住宅火災による死者数は平成27年は611人で、全死者数に占める割合は66.8%と高くなっています。 本人は全く気にはしていなくても「火事になるのでは?」「どうして施設に入所させないんだ」などと近隣住民より不安を煽られることもあります。 地域から疎外され心を閉ざした高齢者の心を解きほぐすにはさらに時間を要し、訪問介護の生活援助も大掃除は出来ないため、介入出来る環境までを作るためにケアマネジャーが関わる場合があります。 金銭・財産管理の欠如 生活費のほとんどをアルコールやギャンブルに散財していたり、家賃や公共料金などが数カ月にわたり滞納している場合があります。 この場合でも、関係業者へケアマネジャーが対応することがあるのです。 生計の理解が乏しくなる反面、必要な支払いをしている家族がお金を盗んだと思い込む事や、必要な公共料金さえも「そんなものは払わなくていい」などと支払いを滞っている場合もあります。 そのため、居宅サービスの依頼をうけ、いざ訪問をしたら電気・ガス・水道などのライフラインが止まりそう、なんてこともよくあることです。 金銭管理ができないことや金銭感覚など、認知面や性格的な部分への介入や後見人制度の手続きを含め、ケアマネジャーが一役をかうことになるでしょう。 認知症への対応 認知症高齢者が行方不明になり家族や警察と認知症高齢者の捜索をしたり、消費者被害の対応をケアマネジャーがすることもあります。 行政からの必要書類が郵送されていても紛失している事があり、必要書類の再発行や郵便物の配達にあわせて訪問したり、仕分け等も必要時に応じて行なうことがあります。 知らないうちに電話勧誘販売や無料キャンペーンなどを強調し、初回以外や一定期間内に解約をしないことで料金が発生する無料商法などの消費者被害にあって多額の借金を背負っていたり、金銭を搾取されている場合があります。 また、ペットの飼育が出来なくなっていたり、野良猫などに餌をあたえ、猫屋敷になったまま放置されているなど、多頭飼育崩壊していることもあります。 ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をする理由とは ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をするのはケアマネの業務範囲が明確ではなく、利用者や家族の介護保険への理解、多職種や業種によるケアマネジャー本来の仕事に対して共通認識が出来ていないからです。 境界線を張り「ここまでは自分の仕事」として割り切ることを提言する行政や、上司なども多いですが要支援・要介護の高齢者を地域で支えていく仕組みの中で、ケアマネが足りない部分を補う非常に重要な役割を担っているのも現実です。 ケアマネの業務範囲外の仕事を断る対処法とは そもそもケアマネが業務範囲外の事を請け負う必要はありません。 利用者さんやその家族が困っているから、と、そのすべてを引き受けていたら、ケアマネが倒れてしまいます。 ケアマネの業務範囲外の事を頼まれたら適切に対応し、本来のケアマネの仕事をきちんとできるようにすることがとても重要です。 では、実際にケアマネの業務範囲外の仕事を頼まれたときにどう対処すればよいか、その方法についてご紹介します。 対応できない理由を利用者や家族に伝える そもそもケアマネージャーはなんでも屋ではありません。 できない理由を丁寧に伝えしっかりと断るようにしましょう。 そうすることでケアマネとしてやるべき本来の仕事が円滑にできるようになります。 そのくらい対応できる、と引き受けていると、頼まれる内容がどんどん増大になることが考えられます。 1人のケアマネージャーが業務外のことを行ってしまうと、他のケアマネージャーにも迷惑がかかってしまうこともありますので、毅然とした態度でお断りすることが重要です。 行政や管理者に相談する 利用者やその家族に業務範囲外の事を頼まれて困ってしまったら、まずは施設の管理者などに相談するようにしましょう。 もし、ここで対応するように言われたら、そこで働くことを検討することをおすすめします。 何にせよ、誰にも話さずに一人でなんとかしようとしては行けません。 利用者様や家族との信頼関係が壊れる、と悩む方もいるかもしれませんが、まずはケアマネとしての仕事がスムーズにできるようになることが重要です。 なにより、他の利用者様の対応がおろそかになってしまいます。 あまりにも悪質な場合は行政に相談しましょう。 まずは自分をきちんと守ってあげることが重要です。 まとめ ケアマネジャーは介護保険の基本理念である「利用者本位」を実現するうえで、各関係機関とのサービス調整を行う専門職です。 ケアマネジャーの業務は多岐にわたり、地域共生型社会の実現に向け、高齢者の支援にとどまらず、障害や児童のケアマネジメントにも目を向けて職域を広げる活動をしています。 本人らしい生活を支え、身近で相談しやすい存在であり、ときに人生の最終段階までの伴奏者となる対人援助の専門職であるからこそ、利用者の生活全般に関わる事になります。 そのため、時に制度のはざまにある人への支援として「なんでも屋」にならざる得ないのが現状です。 しかし、それだけ高齢者にとって重要な役割を担った職務であるといえます。
誰かの役に立ちたい」という想いからこの業界で働くことを選んだ方も多いのではないでしょうか。 本来、介護やケアマネの仕事は魅力に満ちあふれています。 しかし、その想いを保ち続けることは容易ではないこともまた事実です。 半面、メンタルダウンを上手に乗り越える人もいます。 また、介護職員は常に人手不足です。 特にケアマネージャーの仕事は人手不足が問題となっています。 今回の記事では、「ケアマネージャーや介護職の人手不足の原因」や「介護職員のモチベーションアップのコツ」を見ていきましょう。 ケアマネージャーの仕事内容 ケアマネージャーは「ケアマネ」と略されることがありますが、正式名称では「介護支援専門員」といいます。 ケアマネージャーの仕事は、要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成し、市町村やサービス事業者、本人、家族との連絡調整をする専門職です。 専門職であるため、ケアマネージャーになるには資格が必要です。 ケアマネージャーの資格の取得方法 ケアマネージャーの資格を取得するためには、指定業務を5年以上かつ900日以上経験するという条件をクリアし、試験に合格する必要があります。 ケアマネージャーの資格試験は年に1回10月に行われています。 主任ケアマネージャーとは ケアマネージャーの上位には主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)という職業があり、2021年3月施行の改正介護保険法では「居宅介護支援事業所の管理者は、原則主任ケアマネでなければならない」と改訂されています。 そのため、主任ケアマネージャーは現在とても重要視されています。 主任ケアマネージャーになるには特に資格試験があるわけではありません。 以下の条件を満たしたうえで、「主任介護支援専門員研修」を受講する必要があります。 専任のケアマネジャーとして勤務していた期間が、通算で5年(60カ月)以上である人 ケアマネジメントリーダー養成研修を修めた人で、さらに専任のケアマネジャーとして働いた期間が通算して3年(36か月)以上である人 主任介護支援専門員に準ずる者として、地域包括支援センターに配置されている人 ケアマネジャーの業務に関し十分な知識と経験を持っており、都道府県によって認められた人 ケアマネージャーが人手不足な理由 ケアマネージャーや主任ケアマネージャーは常に人手不足が問題となっています。 ケアマネージャーの人手不足が続いているには、以下の理由が考えられます。 資格取得が難しい ケアマネージャーの資格試験の合格率は10~20%程度を推移しています。 そのうえ、毎年受験者数も減ってきているのです。 受験者数が減ってきているのは、頑張って資格を取得しても給料などの待遇面がよくならないことが考えられます。 給料などの待遇面が悪い 令和3年現在、ケアマネージャーの平均年収は約410万円です。 介護職全体での給料平均は約380万円とされているので、年収としてみると30万円のアップになります。 しかし、全国的な年収で見ると決して高いといえる金額ではありません。 そのため、2019年には「介護職員等特定処遇改善加算」が実施されていますが、すべての事業所が対象ではないため、大きな改善にはいたってはいません。 介護職員のモチベーションを下げる要因 介護職員が増えない理由にはモチベーションを保つことができないことも挙げられています。 では、介護従事者のやる気が削られてしまうのか、要因を1つ1つ見ていきましょう。 給料が安い 介護業界で働いていると、他の業界に比べて待遇の悪さを感じる人が多いようです。 また、同じ介護業界でも介護職・相談員・ケアマネなどの職種によっても待遇に差があります。 夜勤がある施設の介護職は、夜勤手当がある分他の職種や夜勤なしの介護職(たとえばデイサービスの職員など)に比べると給与は若干良くなるでしょう。 また、同じ介護職でも勤め先によって待遇差が生じます。 当然ながら業績により賞与には差が出ますし、特養などの公的施設と有料老人ホームなどの民間施設では利用者が支払う利用料にも差があるので、当然といえば当然です。 しかし、国が介護士の処遇改善に乗り出してくれたこともあり、一昔前に比べれば介護士の給与は良くなってきていると言えます。 また、役職が上がれば責任も伴いますが、手当も上がります。 役職に就く見込みがあるのかどうかを見極めることも大切になってくるでしょう。 職場の人間関係がツラい 介護業界の魅力を半減させてしまう要素は、何も給与などの待遇面だけではありません。 人間関係も大きな要素になっています。 アンケートによっては、この人間関係が退職理由の1位になっているものもあるくらいです。 介護士やケアマネは1人で利用者のケアをすることはできません。 必然的に他の介護士や他職種と連携を取る場面が多くなってきます。 そこでの人間関係に問題がなければよいのですが、やはり何人か集まれば合わない人も出てくるのが世の常です。 仕事だからとお互いが割り切れればよいのですが、何かにつけて粗さがしをしてくる人はどの業界にもいるものです。 そういった人間関係がイヤで「職場を離れる」「介護を辞める」という声も聞きます。 でも、どの業界・どの職場にも、自分に合わない人は一定数いるもの。 上司に相談したり、うまくストレス解消をしながら、乗り越えていきましょう。 家族からのクレーム 近年よく耳にするようになった「カスタマーハラスメント」 介護業界も例外ではありません。 介護保険法でできることとできないことが決まっていますが、それに納得がいかずに利用者本人やご家族からもクレームになるのはよく聞くケースです。 また、最近では入所施設でコロナ禍で思うように面会できず、ご家族の知らない間にADLが低下していてクレームになるというケースも増えています。 それが常識の範囲内であればまだしも、度を越えたクレームに心をやられてしまう職員も少なくないようです。 カスハラは社会的にも問題になっています。 こういった問題に直面した場合は、迷わず上司に相談しましょう。 人手不足など職場の体制 ご存知のように、介護業界では多くの事業所が人手不足です。 その中を、今いる人手でなんとかやりくりしているのが現状です。 そうした中で、さらに辞める人が出てくると、残った職員にしわ寄せが行ってしまいます。 夜勤に月10回前後入るとか、休日出勤する人もいます。 どこの事業所も必死に募集をかけており、派遣や紹介会社を活用して、人員確保に東奔西走しています。 しかし、身体が資本ですのであまりに長い間改善されないのであれば、自分の身体を第一に考えた選択肢を視野に入れてもいいのではないでしょうか。 実地検査・行政指導 筆者の知り合いのケアマネでは実地指導がイヤで、ケアマネ業務を離れた人もいます。 いわく「休日返上で利用者やご家族の要望に応えようと頑張っているのに、実地検査ではかなり厳しく細かいところまで追及された。微々たるものだが返還も発生してしまった。今までの頑張りを否定された気分になった」とのことでした。 普段から定められたことを守って業務ができていればまったく問題ありませんが、時には気付かずに業務を進行してしまうこともあるでしょう。 複数の目で定期的に確認しながら業務を進めていくことが大切ですね。 事業所の理念に不満 法人や事業所の理念・考え方についていけずに退職をするケースもあります。 人手不足なのに職員が入る前にどんどん新規利用者を獲得したり、現場の声に耳を傾けてくれない決定ばかりだと「やっぱり経営陣は何もわかってくれない」と愛想を尽かしてしまう方が多くいます。 ろくに休みも取れずに働いているのに労いの言葉がなかったりすれば、そうなってしまうのも仕方ないと言えるかもしれません。 モチベーションが低下した時の対処法 これまで見てきたような不満が溜まりに溜まってしまい、やる気を失くしてしまう職員は多いものです。 それでは、どのようにモチベーションアップを図ればよいのでしょうか。 いくつかの方法をご紹介します。 研修に参加する 研修に参加する本来の目的は知識やスキルをアップさせることですが、「知識よりもモチベーションをアップした」という方も、実は多くいます。 積極的に活用するのも一つの手です。 職場の良い点を紙に書き出す どんな職場でも良いところは必ずあるものです。 それを書き出すことで、あらためて認識できるようになるかもしれません。 たとえば ・気の合う仲間がいる ・他に比べて給与が高い ・家から近くて通うのに便利 などを書き出すことにより、意識していなかったことを脳が認識する効果もあります。 「仕事だから」と割り切る 「今は仕事だから」と割り切ってしまいましょう。 「仕事だから楽しいことばかりではない」と思って、せめて自宅にまでは落ち込んだ気持ちを持ち込まないように努めてみてはいかがでしょうか。 家であれこれ考えても余計ストレスが溜まるだけです。 周囲に相談する 問題の中には自分一人では解決できそうにないことも多いですし、時間が解決してくれないものもあります。 そういう時は思いきって周囲に相談するのも良い方法です。 話しを聞いてもらうだけでスッキリすることもありますし、もし相談したのが職場の人であれば解決に向かって動き出すこともあるでしょう。 しっかり休む 介護職員やケアマネが笑顔や元気でいることが、良いパフォーマンスを提供することにつながります。 しかし、人間ですから、どんな対策を講じても気分が解消されないこともあります。 そんな時には思い切って休むことも大切です。 一番大事なのは、ご自身の健康です。 休職して心身ともにリフレッシュさせるのも1つの方法です。 真面目な方は「人手不足なのに私だけ休むなんて」と考えてしまいます。 しかし、1番大事なのはご自身の心と体の健康です。 自分を守ってあげられるのは自分だけです。 まとめ 最後に要点をまとめておきます。 ケアマネージャーの仕事とは ・要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成と調整 ケアマネージャーの人手不足の原因 ・給料などの待遇面の悪さ モチベーションを低下させる、介護の魅力を奪うもの 給与 人間関係 クレーム 人手不足 実地指導 事業所の理念 モチベーションを上げる方法 研修に参加する 職場のいいところを紙に書き出す 仕事と割り切る 周囲に相談する しっかり休む ご自分にあったリフレッシュ方法を見つけ出して、上手にストレス発散してください。
介護職からケアマネジャーに転身しようと考えているが、仕事内容に対して不安を感じている人は多いのではないでしょうか? ここでは介護職からケアマネジャーへ転身する際に知っておいた方が良い知識について説明します。 介護支援専門員(ケアマネジャー)になるには 介護職からケアマネジャーになるには、介護福祉士の場合、最短で5年の実務経験が必要です。 ケアマネジャー試験の要件として、 「指定の国家資格にもとづく業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事」または「施設などで相談援助業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事」している事とされています。 施設などでの相談業務については、老人福祉施設での生活相談員または老人保健施設での支援相談員、障害者施設での計画相談に携わる相談支援専門員などが対象となり、主に社会福祉士などの有資格者が対象となります。 ケアマネジャーの試験は2017年まで法定資格がなくても、実務経験が10年以上あれば試験を受ける事ができましたが、2018年より無資格による受験は出来なくなりました。 受験対象となる指定の国家資格 ケアマネジャーの試験には以下のいずれかの国家資格を保有していることが条件です。 ・医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師 ・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護福祉士・社会福祉士 ・精神保健福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士 ・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 ・柔道整復師・栄養士 無資格の介護職からケアマネジャーへ転身するには、3年の実務経験を経て介護福祉士試験に合格し、5年の実務経験後、ケアマネジャーを目指すケースが多いです。 居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーの違い ケアマネジャーは居宅介護支援事業所の居宅ケアマネジャーと老人福祉施設や老人保健施設などの施設ケアマネジャーに区分されます。 居宅ケアマネジャーは約35件程度の担当利用者のケアマネジメントを行い、利用者の在宅生活に対する課題を分析し継続した生活が出来るよう、居宅サービスを組み合わせ居宅サービス計画書を作成します。 一方、施設ケアマネジャーは施設規模によりますが、約100件程度の入居者のケアマネジメントを行い施設内で本人らしい生活が継続できるよう施設サービス計画書を作成します。 居宅ケアマネと施設ケアマネでは担当件数の違いはあるものの、ケアマネジメントのプロセスは一緒は一緒なので働き方にあわせて選ぶとよいでしょう。 ケアマネジメントのプロセス ケアマネジャーは利用者が在宅や施設で自分らしい生活を継続出来るよう支援していくため、次のケアマネジメントの過程を行う必要があります。 ケアマネジメントの流れ インテーク(初回面接) アセスメント(課題分析) ケアプランの作成 担当者会議 サービス開始 モニタリング 状況に応じてアセスメントに戻ることがあります。 インテークの注意点 インテークの際、利用者に対して複数のサービス事業所などを紹介し、選択できるようにする必要があります。 サービス事業所の選定理由も説明できるようにしなければなりません。 アセスメントの注意点 アセスメントはケアプランのサービス内容に対して根拠となるよう、23項目の課題分析標準項目について客観的に評価分析する必要があります。 ケアマネジャーの質問力によって利用者の課題の抽出が異なる場合があるため注意が必要です。 ケアプラン作成の注意点 特定事業所加算を算定している居宅介護支援事業所は、ケアプランにインフォーマルサービスの位置づけをしなくてはいけません。 多様な主体などが提供する生活支援として、社会資源の調整や介護保険外のサービスについての知識や情報も必要です。 モニタリングの注意点 ケアプラン作成後、月に一回以上利用者とのモニタリング訪問面談を実施し、結果を記録しなければなりません。 利用者や家族の満足度の確認のほか、新たな課題が発生していないか、サービス状況の聞き取りだけではなく、実際の生活環境から観察することも必要です。 その他、担当者会議の開催やケアプランの交付など、ケアマネジメントが適切に行えていない場合には運営基準減算となってしまうので注意が必要です。 要介護認定と認定調査 ケアマネジャーの業務として、介護認定更新の申請代行や認定調査の委託業務があります。 ケアマネジャーは利用者が切れ目がなく適切にサービスが受けられるよう、介護保険証の確認、必要に応じ、更新に伴う手続きに対して支援しなければなりません。 福祉用具貸与サービスの中には、車椅子や特殊寝台など、要介護2以上でなければ基本使用できないサービスや、要介護3以上が入所要件となる特別養護老人ホームなどがあります。 要介護度によって使えるサービスに制限があるため、利用者の状況に応じ区分変更申請を行うことも必要な業務の一つでしょう。 要介護認定におけるプロセス 要介護認定の申請 認定調査 主治医意見書 介護認定審査会 要介護及び支援の認定 認定調査は市町村職員または市町村から委託を受けた事業者の介護支援専門員が、全国一律の基準と様式を使用し調査を行います。 認定調査項目を理解することで利用者の介護状態を予測し、サービス調整が図れるでしょう。 給付管理・請求業務 ケアマネジャーの業務に給付管理があります。 国保連への請求業務はサービス提供月の翌月10日までに行わなければなりません。 居宅介護支援事業所の請求業務はサービス事業所のサービス提供票の実績を確認し、「給付管理票」と「居宅介護支援介護給付費明細書」を作成します。 給付管理に誤りがあるとサービス提供事業所に支払いが行われなくなるため、細心の注意が必要です。 期間中は通常業務をこなしながらレセプト提出準備をしなければならないため、スケジュール管理にも留意しましょう。 地域包括支援センターとの関わり 居宅介護支援事業や小規模多機能型居宅介護などのケアマネジャーは、予防支援の委託業務に携わることがあります。 予防支援の委託業務に携わる場合、介護予防支援や介護予防ケアマネジメントにより、要支援者などに対し総合事業によるサービス等が適切に提供できるよう、ケアマネジメントしていく必要があります。 地域包括支援センターの主な業務 介護予防マネジメント ケアマネジャー支援 総合相談 権利擁護 地域包括支援センターはさまざまな地域課題に対応できるよう、主任介護支援専門員、社会福祉士、保健師などの3つの専門職がいるため、困難事例を抱えた場合でも助言や情報提供をしてもらえるので、積極的に関わっていくとよいでしょう。 業務で役立つ資格 ケアマネジャーはケアマネジメントや各種の介護申請以外に各種書類の作成などにも対応しなければなりません。 介護請求業務や認知症の方の権利擁護、高齢者虐待など地域の問題などにも多岐にわたるため 業務に役立つ資格を活用してみましょう。 業務で役立つ資格は以下のようなものがあります。 介護事務管理士 福祉用具専門相談員 福祉住環境コーディネーター 認知症介護実践者研修 社会福祉士 介護事務管理士 介護保険施設や居宅介護支援事業所などで介護サービスにかかる費用の請求や、ケアマネジャーの補助的な事務をする専門職です。 介護報酬明細書などの作成業務に対する知識や過誤請求対応などのトラブルを防ぐことができます。 福祉用具専門相談員 福祉用具専門員は利用者の心身の状況、希望や置かれている環境などに応じ、専門的な知識にもとづき福祉用具の選定や使用についての助言、福祉用具の機能、安全性、衛生状態などについての点検・調整を行います。 福祉用具貸与サービスや特定福祉用具購入をプランニングする際に活用できる資格の一つです。 福祉住環境コーディネーター 高齢者や障がい者などに配慮した住宅の改修や生活環境のあり方について提案したり、住宅改修のプランニングなどを行います。 介護保険の住宅改修の「住宅改修が必要な理由書」の作成に対しての知識を学ぶことができます。 認知症介護実践者研修 認知症介護実践者研修では、認知症介護について深く学ぶことができます。 グループホームや小規模多機能型居宅介護で働くケアマネジャーや計画作成担当者などは、認知症介護実践者研修の修了者を配置する義務があります。 2021年4月からは無資格で働く介護職は認知症介護基礎研修の受講が義務化されたこともあり、認知症ケアについての知識についてはさらに必要となってくるでしょう。 社会福祉士 社会福祉士は高齢者や身体障がい者、知的障がい者、児童など援護を必要とする人や、その家族に対し相談や助言、指導、援助を行います。 地域包括支援センターの必須専門職の一つであるとともに、地域福祉のコーディネーターとしての役割や権利擁護など、利用者を取り巻く社会問題の解決に対する知識やネットワークを構築する資格であり、ケアマネジャーの業務でも役立つ資格の一つです。 まとめ 介護職からケアマネジャーになる場合、最短でも介護福祉士で5年の経験年数が必要です。 ケアマネジメントは、一定のプロセスを遵守する必要があり、適切なプロセスを行わないと基準違反となってしまいます。 居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーは、さまざまな居宅サービス事業所のサービスについての理解も必要です。 しかし、利用者の望む生活を支援するため、介護職の経験をいかし、障がい者自立支援や医療保険サービス、地域のインフォーマルなサービスなどを、活用できるケアマネジャーを目指してみてはどうでしょうか。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。
福祉用具は需要の高い、介護保険のサービスの1つです。 福祉用具には様々なものがあるため、選定も悩みどころです。 今回はケアマネが福祉用具を取り入れるポイントや流れを紹介します。 福祉用具とは? 福祉用具は、要介護認定を受けた人などが生活の幅を広げることができる用具です。 福祉用具を使用することで、自立した毎日を送る手助けになるからです。 福祉用具は、本人だけでなく家族の介護量を減らすこともできます。 たとえば、ベッドから起き上がれない人の生活圏はベッドで、限られています。 そこで、ベッドのそばに手すりを置いてみると、手すりにつかまって1人で起き上がることができ、生活圏が広がります。 動作ができるようになるだけでなく、「自分1人でできた!」という、自信も出てくるのです。 家族も起きるための手伝いをしなくて良くなり、介護量が減ります。 このように、福祉用具は介護認定を受けた人だけでなく、家族の生活も良くする用具なのです。 ですが、種類も多く、どれを導入すればよいかわかりにくいですよね。 福祉用具を取り入れる時はポイントがありますので、紹介していきます。 福祉用具にはどんな品目がある? 福祉用具は、大きくわけて2種類あります。 レンタルの「福祉用具貸与」と、購入の「特定福祉用具販売」です。 福祉用具は基本的には「貸与」が原則となっていますが、外れるものもあります。 それが、入浴や排泄時に使用する「特定福祉用具販売」です。 衛生面の観点からみても、他者が再利用するには心理的に抵抗感があるものになるからです。 たとえば、ポータブルトイレ、シャワーチェアなどがあります。 ポータブルトイレやシャワーチェアなどは、直接肌が触れたり摩耗します。 このため、「福祉用具貸与」ではなく、「特定福祉用具販売」で対応します。 福祉用具貸与(13品目) 以下の福祉用具はレンタルすることができます。 車いす 車いす付属品 特殊寝台 特殊寝台付属品 床ずれ防止用具 体位変換器 移動用リフト(つり具の部分を除く) 認知症老人徘徊感知機器 自動排泄処理装置 手すり スロープ 歩行器 歩行補助杖 原則として、要支援1・2、要介護1の人は「手すり」「スロープ」「歩行器」「歩行補助杖」以外は利用できません。 また、要支援1・2、要介護1・2・3の人は「自動排泄処理装置」は利用できません。 これらの用具を利用する状態が想定しづらいからです。 利用料金は、所得によって異なりますが、費用の1〜3割です。 介護度に応じた支給限度額が決まっているため、その額の中で必要に応じて貸与します。 特定福祉用具販売(6品目) 購入する福祉用具は以下の6品です。 腰掛便座 自動排泄処理装置の交換可能部品 排泄予測支援機器 簡易浴槽 移動用リフトのつり具の部分 入浴補助具 特定福祉用具販売は、1年間で購入できる金額は10万円までと決まっています。 そのうちの自己負担分は、所得によりことなりますが、1~3万円です。 1度全額負担支払う必要があり、手続き後に自己負担分以外が返ってきます。 10万円を超えると、超えた分は自己負担になりますので、注意してください。 福祉用具を取り入れるポイントは? 福祉用具を取り入れるポイントは、「福祉用具を使って、利用者の生活の質が上がっているか」です。 福祉用具は、「日常生活の便宜を図ったり機能訓練のための用具で介護保険の給付対象」とされているからです。 福祉用具を取り入れることで、状態が悪くなったり、過ごしにくくなってしまっては、意味がありません。 例えば、歩行が不安定になったからといって、杖を取り入れるのが一概に正しいとはいえません。 認知面の低下が強い利用者に杖を取り入れても、正しく使用するのは難しくなります。 杖を自分の足に引っかけるなど、かえって転倒リスクが高まってしまうのです。 転倒すると痛みが出たり、場合によっては骨折してしまい、生活の質が低下してしまいます。 福祉用具が利用者の生活のさまたげになっていないか、質が上がっているか必ず確認してください。 また、現在の利用者の状態に合っているかをチェックするのも大切です。 例えば、現在は車いすを自走できるのに、先を見据えて介助式の車いすを選んだとします。 これは利用者のできる力を奪ってしまうため、間違った選択です。 自立どころか、介護が必要な状態になってしまいます。 逆もしかりで、現在の能力では扱うのが難しい福祉用具を選択するのは避けましょう。 このため、状態に合わせて福祉用具を選ぶことが大切なのです。 細かく利用者の状態を評価して、必要な福祉用具を検討する必要があります。 また、福祉用具は、以下の点をおさえると、取り入れやすくなります。 利用者や家族のニーズを確認する。 利用者のアセスメント(課題を分析して、要望をくみ取ること)をしっかり行う。 可能な場合は即決せずに、福祉用具を試用する。 (できれば、特定福祉用具は実物をみる) 本人にも介護者にも使いやすいものを選ぶ。 リハビリ職や福祉用具事業所の職員から助言をもらう。 また、継続して長く使うものは「特定福祉用具販売」を、体の状態に合わせて定期的に交換の検討が必要なものは「福祉用具貸与」がおすすめです。 福祉用具購入は費用面で負担が大きくなったり、返却ができないため状態が変わった時に使い道がなく、困ることがあります。 大きいものやメンテナンスが必要なものは、「福祉用具貸与」がおすすめです。 場所をとるような大きなものだと、必要なくなった時に撤去するのに大変です。 メンテナンスは定期的に行う必要がありますし、専門的な知識や道具が必要なことがあります。 福祉用具を利用するには? 福祉用具を利用するためには、手続きを行う必要があります。 手続きなどの流れを守らなければ、福祉用具を利用できないからです。 福祉用具を利用するためには、「ケアプラン」などの計画書が必要になります。 福祉用具を利用するための手続きの流れを紹介します。 ① 利用者がケアマネに「福祉用具利用希望」を申し出る。 ② ケアマネが「ケアプラン」を作成、利用者に同意を得る。 ③ ケアマネが福祉用具事業所に依頼する。 ④ 福祉用具事業所は「福祉用具サービス計画書」を作成し、利用者に同意を得る。 ⑤ 福祉用具事業所は「福祉用具」を選定。利用者と契約後、サービス開始。 ⑥ 福祉用具事業所はモニタリングを行い、ケアマネに報告する。 まとめ ここまで、福祉用具を取り入れるポイントや流れについて、紹介してきました。 福祉用具には、「福祉用具貸与」と「特定福祉用具販売」がある。 「福祉用具貸与」には13品目あり、要介護認定を受けた人すべてが使えるわけではない。 「特定福祉用具販売」は6品目あり、1年間で購入できるのは10万円まで。 福祉用具を取り入れるポイントは、「利用者の生活の質が上がっているか」をみること。 現在の状態に合った福祉用具を取り入れる。 利用者や家族のニーズを把握し、アセスメントを行い、状態を把握する。 可能な場合は、福祉用具を日常生活で試用させてもらう。 使いやすい福祉用具を選ぶ。 プロの職種からアドバイスをもらう。 福祉用具を利用するためには、ケアプランなど計画書が必要。 ぜひ、福祉用具を取り入れるポイントを押さえましょう。 ぴったりな福祉用具を利用者や家族に、自信を持ってすすめられるからです。 利用者に合った福祉用具を選べば、利用者のできることが増え、自立を促すことができます。 福祉用具を取り入れるポイントを必ず押さえて、ぴったりな福祉用具を選びましょう。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ケアマネジャーは利用者のサービス調整だけではなく、適切なケアマネジメントをするためにも、 ケアマネジャー自身のスケジューリングを意識しなければなりません。 ここでは、ケアマネジャーのスケジュール管理におすすめなケアマネ手帳について紹介します。 ケアマネジャーの月間業務 ケアマネジャーの月間業務は、利用者宅の訪問や各事業所とのサービス調整のほか、事業所の規模や委託業務などに応じ請求業務や書類作成の事務作業サービスを行ったり、認定調査認定調査などの業務調整が必要です。 ケアマネジャーの主な月間業務は以下のものがあります。 ・給付管理、請求業務 ・モニタリング訪問 ・担当者会議の開催 ・認定調査の実施 ・研修、定例会議の実施 ・利用票、サービス提供票の交付 上旬は「実績管理」などに追われることが多いです。 ケアマネジャーの月初め サービス提供票との実績管理や給付管理票と居宅介護給付費の作成といった請求業務を行います。 居宅介護給付費の請求書と給付管理票は、10日までに国民健康保険団体連合会(国保連)に電送しなければなりません。 月初めでも新規相談や急なサービス調整、その他のケアマネジメントのプロセスをこなしていかなければいけないため、慌てて誤請求などがないように月初めから10日までのスケジュールを管理しながら請求業務を行うことが大切です。 中旬からのモニタリング訪問スケジュール 給付管理業務が一段落した中旬からは利用者宅へのモニタリング訪問や担当者会議を行います。 認定結果やモニタリングに応じて再アセスメントを実施しサービス調整が必要になる時期でもあり、サービス担当者会議などの開催のためサービス事業所と日程設定する必要があります。 担当者会議は参加者のスケジュールを確認しつつ、開催時期を設定できるよう余裕をもって開催時期を設定することが望ましいでしょう。 モニタリングは要介護の利用者に対しては最低月1回のモニタリング訪問が義務づけられています。 利用者のサービスや受診日、家族の就労スタイルなどにも配慮し、早めにアポイントをとることを心がけることが大切です。 認定調査や研修・地域連携の活動 市町村から認定調査の委託業務を受けている場合、提出期限に留意しスケジュールを組まなければなりません。 特定事業所の算定をしている場合、利用者の情報やサービス提供上の留意事項などの伝達を目的とした会議をおおむね週1回以上、定期的に開催しなければなりません。 また、介護支援専門員に対し、計画的な研修の実施や地域包括支援センターが主催する事例検討会や、他の法人が運営する居宅介護支援事業所と共同で事例検討会や研修などを行う必要性があります。 その他にも現任者向けの研修をはじめ、ケアマネジャーの資格を更新するための更新研修や管理者要件である主任ケアマネジャーの資格習得、更新研修など研修受講の必要性があるため、年間スケジュールを管理することが必要です。 下旬のサービス 下旬にはサービス利用票・提供票を作成し、利用者と各サービス事業者に交付します。 地域包括支援センターから介護予防支援事業の受託をしている場合、地域包括支援センターが給付管理業務を行うための情報提供も必要です。 また、翌月の介護認定更新の手続き準備や、ケアプランの短期目標期間にも留意して次月のスケジュールを調整することも大切です。 おすすめのケアマネ手帳 第一法規 ケアマネスマートダイアリー2023 監修 特定非営利活動法人 千葉県介護支援専門員協議会 A5版/216頁/定価1,430円(本体1,300円+税10%) ケアマネ手帳はレイアウトや利便性を追求したデザインで、介護保険制度に伴う法令・通知・資料など、最新の介護報酬改定にも対応しています。 予定管理に役立つほか、訪問先での資料も収録されていたり、手帳によっては専用WEBサイトにダウンロードが可能な関連通知などの資料が掲載されていたりするので確認しながら業務が行えます。 薄くて軽く他資料などと鞄に持ち合わせても支障がなく、記載欄も大きく使いやすいため、現場のケアマネ必須の頼れる手帳です。 年間・月間・週間カレンダー部分はシンプルに使いやすさを追求しておりタスク管理が出来るようになっています。 ダイアリー巻末資料一覧 ・2023(令和5)年用 年齢早見表 ・令和3年度から令和5年度までの間の地域区分の適用地域 ・介護保険で利用することができる主なサービスと単位数 ・高齢者の日常生活自立度判定基準 (障害高齢者の日常生活自立度判定基準、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準) ・身体各部の名称と骨・関節の名称 ・検査項目の説明と基準値 ・私の社会資源(関係機関連絡先) 参照::ケアマネスマートダイアリー2023 中央法規 ケアマネジャー手帳2023 監修 高村成幸/編集 ケアマネジャー編集部 A5版/272頁/定価1,540円(本体1,400円+税10%) 中央法規出版のケアマネジャー手帳は書き込みやすさにこだわり、使いやすいデザインで時間管理のサポートがあります。 また、いざ記載の際にペンを探すなんて事がない「ペンホルダー」付きなこともうれしいポイントです。 ケアマネジャーの質問力の著者で地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと「新しい福祉の人材育成」を掲げて活躍をしている高室氏、ケアマネジャー編集部が総力を結集してつくったケアマネ専用手帳のため、使える情報が満載の「便利帳」もついています。 便利帳 ・高室の目 ・介護保険制度 ・介護報酬算定 ・関連する制度等 ・ICTを活用したケアマネジメント ・多職種連携の必須資料 ・介護報酬の概要 ・アドレス帳 参照:ケアマネジャー・介護職 手帳2023 | 特集 | 中央法規出版 ユーキャンのケア実用手帳2023年版 著/文/編集 ユーキャン学び出版ケア実用手帳研究会 A5版/272頁/定価1,628円(本体1,480円+税10%) ユーキャンの介護職従事者向け手帳といえば、全国主要書店売上合計16年連続NO.1の実績があります。 現職ケアマネさんと共同開発ならではの工夫が満載なうえ、中面は目に優しいグリーンを基調に見やすく、表紙デザインもテキスタイル調の地に北欧風の一枚絵をあしらっておりデザインにもこだわっています。 年齢早見表は裏面の利用者向け介護保険利用フロー図が記載されており、制度の説明や厚紙製のため、押印の下じきにもなって契約の時に便利です。 今年はお客様の声をもとに以下も改善されています。 改善ポイント より軽い紙を採用 より開く製本形式に変更 ビニールカバーに「ペンホルダー」と「しおりタグ」 カラー巻頭(特集) ・介護制度改正情報 ・高齢者施設の種類 ・日常生活自立度判定基準 ・人体部位名称 ・医療的ケア ・介護/医療保険の給付対象区分 ・16種類の特定疾病 ・検査値 ・権利擁護 ・請求前チェック項目など 参照:2023年版 ユーキャンのケア実用手帳 スケジュール管理のポイントと訪問先での活用 ケアマネジャーの業務は利用者との面談以外に多くの事務作業をこなさなくてはいけません。 スケジュールを組んでいても、高齢者は体調の不良などで急遽のサービス調整が必要になることもあり、日々飛び込んでくる業務に必要な事務作業時間を確保することが大切です。 まとめ ケアマネジャーは予定外の業務に追われることが多く、タスク管理などで全ての業務を可視化しスケジュール調整を出来るようにすることが必要です。 また、訪問や担当者会議などの記録作成が出来る時間を確保するなどの仕事の抱え込みすぎを防ぐことが重要です。 ケアマネ手帳で自分のすべき「今」を把握し、効果的に物事をすすめる時間管理こそ仕事を支配する第一歩ですので、活用してみてはいかがでしょうか? 最後までお読みいただきましてありがとうございました。
介護保険制度では、要介護度によって受けられるサービス料の上限が決まっています。 ケアマネジャーは、決められた上限の範囲におさまるようにサービスを調整しなければなりません。 本記事では、介護保険の上限が決まっていることや、この上限を超過した場合の対策、自己負担を軽くする制度について解説します。 介護保険の上限は区分支給限度基準額で決まっている 介護保険のサービスは、訪問介護やショートステイ等のサービスごとに使用できる単位数が決められています。 そして、要介護度によって1ヶ月間に使用できる単位数の上限が決められており、それを区分支給限度基準額といいます。 区分支給限度基準額とは 区分支給限度基準額とは、要介護度ごとに設定された介護保険サービスの月の上限を単位数として設定しているものです。 介護保険はサービス毎に単位が決められており、ケアマネジャーは区分支給限度基準額を超えない範囲で、サービスを組み合わせて調整します。 利用者の自己負担は、所得によって1〜3割に設定されていますが、在宅介護を続けていくと、加齢やADLの低下にともない必要なサービス量は増えるものです。 サービス量が増えると、自己負担とともに介護保険の公的なお金の利用も増えていきます。 しかし、財源に限りがあるので上限が設けられているため、その範囲内でサービスを調整するよう求められています。 ○在宅サービスの区分支給限度額と自己負担額 区分 支給限度基準額(単位) 利用限度額 (円) 1割負担の時の 自己負担額(円) 要支援1 5,032 50,320 5,032 要支援2 10,531 105,310 10,531 要介護1 16,765 167,650 16,765 要介護2 19,705 197,050 19,705 要介護3 27,048 270,480 27,048 要介護4 30,938 309,380 30,938 要介護5 36,217 362,170 36,217 ※1割負担、1単位=10円の場合 参考:目黒区 区分支給限度額(介護保険から給付される一か月あたりの上限額) 区分支給限度額を超過すると全額自己負担になる 区分支給限度基準額を超過してしまった場合、超過した分の介護保険は利用できないので、全額自己負担で支払うことになります。 例えば、1割負担で要介護5の人が1ヶ月に400,000円分の介護保険サービスを利用したとします。 1割負担の支払額は40,000円ですが、限度額は36,217円なので、40,000−36,217の3,783円分超過してしまいます。 この場合、超過した3,783円は全額自己負担になりますので負担額は10倍の37,830円です。 全ての負担額の1割負担分の36,217円と全額自己負担分の37,830円を足して、74,047円がこの方の自己負担額になります。 急に負担が増えてしまいますので、ケアマネジャーは上限の範囲内でサービス調整する必要があります。 介護保険の上限を超えないようにするための対策の一つは、要介護度の区分変更を申請することです。 介護保険の上限を超えないようにするには区分変更を申請する 介護保険の上限を超えないようにするには区分変更申請が有効です。 要介護度が上がると区分支給限度基準額が上がりますので、利用できるサービスの量を増やせるからです。 例を挙げると以下のようになります。 要介護1の時は車椅子のレンタルができなかったが、要介護3になったらできるようになった。 要介護2では他のサービスとの兼ね合いでショートステイが1週間しか利用できなかったが、要介護4になったことで10日利用できるようになった。 特養入所を考えているが、要介護2の状態では入所できないので要介護3以上にしたい。 上記のように、区分支給限度基準額を超えてしまいそうな時は区分変更申請が有効です。 ケアマネジャーとして、利用者本人や家族の生活状況を見ながら提案してみるのもよいでしょう。 しかし、ご利用者様のご家族から「要介護度が上がると自己負担が増えてしまうので困る」という声が聞こえてくることもあるかもしれません。 次は自己負担を軽減させる制度について解説していきます。 介護保険の自己負担を軽くする制度 在宅介護を続ける上で、費用負担を軽くすることも大きなポイントです。 ここでは、自己負担を軽くする制度である「高額介護サービス費」「介護保険負担限度額認定」や、「介護保険料を滞納すると自己負担が増える」ことについて説明します。 高額介護サービス費 参考:厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます 高額介護サービス費は、「1ヶ月に支払った利用者負担の合計が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される」制度です。 例えば、市町村民税が課税されていて課税所得が380万円未満の人は、上限額44,400円になっているので、1か月の費用が50,000円かかった場合後から6,000円が返還されます。 介護保険の給付対象外の食費や、全額自己負担分は対象にはなりません。 該当する時に、市町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して役所へ提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 介護保険負担限度額認定 介護保険負担限度額認定は、ショートステイや特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険施設を利用する際の負担軽減対策です。 これらの施設の利用料金は、介護保険の自己負担分(1〜3割負担)と食費、居住費が主なものになります。 このうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって段階的に減額されます。 施設入所の場合は通常15〜16万円かかる利用料金が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、役所の介護保険窓口で対象になるのかどうか確認してみてはいかがでしょうか。 介護保険料の滞納 こちらは自己負担を軽くするというよりは、負担を重くしないようにするための注意点です。 40歳から納付義務のある介護保険料は、健康保険料とあわせて納付します。 年金を受給するようになると、特別徴収といって年金から天引きされるのが基本です。 ただし、年金額が年間18万円未満だったり年度途中で65歳になったり、引っ越したりすると普通徴収になり、納付書や口座振替で支払うことになります。 介護保険料を滞納すると、期間によって以下のようなペナルティが課せられるので、注意しましょう。 滞納期間 対応 内容 1年以上 介護保険給付の支払い方法の変更(償還払い化) 通常1〜3割負担のところ、一旦10割支払い、その後申請をして7〜9割分の払い戻しを受ける。 1年6か月以上 介護保険給付の一時差し止め 一旦10割支払った後、7〜9割の払い戻しが差し止められる。介護保険料を支払えば払い戻されるが、支払わないと差し止め分から差し引かれる場合がある。 2年以上 介護保険給付の減額 時効により介護保険料が納付できなくなる。 また、通常1〜3割の自己負担が3〜4割負担になり、高額介護サービス費の対象外になる。 介護保険料を滞納すると上記のようなペナルティが課され、自己負担が重くなります。 滞納すると市町村から督促状や催告書が送られてきますので、速やかに納付しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、介護保険の上限や、上限を超過した場合の対策と、自己負担を軽くする制度について解説しました。 介護保険の上限は区分支給限度基準額で決まっている 区分支給限度基準額を超過すると、超過した分は全額自己負担になる 区分支給限度基準額を超えないようにするには要介護度の区分変更申請が有効 介護保険の自己負担を軽減させるには、高額介護サービス費や介護保険負担限度額認定などの制度を活用する 介護保険料を滞納すると自己負担が重くなる場合がある 介護保険の制度は複雑で、利用者やその家族が自ら理解して制度を活用することは現実的ではありません。 ケアマネジャーには利用者やその家族が安心してサービスを受けられるよう、制度をうまく活用し導く役割が求められています。 最後までお読みいただきありがとうございました。
在宅介護を受けながら暮らす高齢者が増えている中、支援困難な事例も比例して増加しています。 ケアマネとしては腕の見せどころでもありますが、解決の糸口が見つからないというケースも散見されるようです。 今回の記事では支援困難事例にぶつかったときにどのような解決方法があるのか見ていきましょう。 支援困難事例とは何か そもそも「支援困難事例」とは、どういうものなのでしょうか。 実は具体的な定義はありません。 対応に苦慮する事象や問題の特徴はさまざまですし、複数の要因が重複していることもあり得ます。 そして、問題に取り組むケアマネによって、感じ方・受け止め方が違います。 経験のあるケアマネなら対応できるケースでも、新人ケアマネが対応したときには戸惑う場合もあるでしょう。 言い換えれば、ケアマネとして経験を重ねることで、支援困難だと感じる事例が減ってくるといえます。 ほとんどのケアマネが支援困難事例を経験している 今から約10年前、大阪の社会福祉協議会がケアマネに行ったアンケート結果では、約90%のケアマネが「支援について困った経験がある」と答えています。 この結果から「10人中9人のケアマネが困難事例を担当したことがある」ということがわかります。 経験を積めば困難事例と感じなくなるケースも どんな職業であっても、すべてにおいて最初からうまくできることはありません。 経験を積んでいくことで、成長していきます。 ケアマネも同様で、いろいろなケースに対応していくことで、選択肢の引き出しも増え、心の余裕も生まれてくるものです。 特に対人援助については経験値が上がることで、より良い対応につながるケースは多いといえます。 困難事例を解決する方法 では実際に、自分一人の経験だけでは対処しきれないような困難事例に遭遇したとき、どのようにすればよいでしょうか。 対応の仕方にはいくつかのパターンがありますので、そちらをご紹介します。 似たような困難事例がなかったか事業所内で確認する まずは自分が所属している事業所内で、他のケアマネに相談してみましょう。 実際に、各ケアマネが支援に困っている例を相談する会議を定期的に設けているところもあります。 朝礼や夕礼の場で行う事業所もあるようです。 他のケアマネに相談することで、良い対応方法を教えてもらえたり、似たような事例に対応した経験を持つケアマネもいるかも知れません。 地域包括支援センターや基幹包括支援センターに相談する 地域包括支援センターや基幹包括支援センターは居宅ケアマネが対応に苦慮しているケースの相談に乗ってくれます。 他の事業所からの相談も受けていますので、過去に似たような相談が持ち込まれており、解決のきっかけを与えてくれることがあります。 場合によっては、相談にのってくれるだけでなく、解決に向けて一緒に動いてくれることもあり、とても心強い存在です。 問題解決にはケアマネ個人ではなく、チームで取り組む 自分一人で解決できない事例は、事業所内のケアマネや包括支援センターに相談することが重要ですが、ケアに取り組むチームで情報を共有することも大切です。 たとえば、訪問介護事業所のサービス提供責任者や、福祉用具担当者、デイサービスの責任者などが挙げられます。 対応に苦慮していることを共有し、多くの人から知恵を出してもらうことで、問題が解決に向かうこともあります。 ただし、デリケートな情報を必要以上の人数で共有することはやめましょう。 契約時に個人情報使用の許可を得ていても、必要最低限の人数にとどめるべきです。 相談が解決に結びついた実例4例 それでは、実際にチームケアや包括支援センターに相談することで、解決に向かった実例をご紹介します。 サービス担当者会議をきっかけに解決した例 Aさんはケアマネになってまだ2ヵ月です。 担当する利用者Bさんは認知症が進行してきました。 特に入浴を嫌がり、デイサービスには行くものの入浴は拒否が強く、体臭がするようになってきてしまいました。 他の利用者からも「Bさんが臭う」と苦情が出るようになってしまいました。 ケアマネやヘルパーが入浴するように何度説得しても、耳を貸してくれません。 このままではデイサービスも利用できなくなってしまいます。 どうすべきか、担当者会議を開催したところサービス提供責任者より、「昔、近所のCさんとよく銭湯に行っていたと話していたことがあります。Cさんに相談してみてはどうでしょう」と意見が出ました。 さっそくCさんに相談してみたところ、快く了承いてくれました。 Bさんに「これからはCさんと一緒に銭湯に行きませんか」と話したところ、思いのほか喜んでくれ、週に2回、一緒に銭湯に行ってくれることになりました。 包括支援センターに相談して解決した例 Dさんはケアマネージャーとして長年、介護施設で働いてきました。 担当している利用者Eさんの娘さんは、毎日のように電話をしてきます。 その電話の内容というのが、「なぜ母の部屋しか掃除してくれないのか。洗濯にしてもそう、一緒に住んでいる家族の分までやるのが当然じゃないか」というもので、いくら説明しても介護保険制度を理解してくれません。 困ったDさんは包括支援センターに相談し、括の職員からEさんの娘さんに介護保険制度について 改めて説明してもらうことにしました。 そうしたところ、介護保険制度について理解してくれたようで、その後電話がなることはなくなりました。 問題解決後も、包括支援センターの職員はDケアマネのことを気にかけてくれ、それからというもの、Dさんも相談がしやすくなりました。 事業所内で相談し、解決に向かった例 Eさんについて、近隣より「異臭がする」との情報が寄せられました。 室内は物が散乱している状況で、着衣には汚れが目立ち、尿臭もします。 Fケアマネは訪問介護を提案していますが、Eさんは他者の入室を拒みます。 身寄りはなく、30年以上お一人で暮らしている方です。 事業所内で話し合った結果、「入室を拒む」ということから、プラン立案の段階ではなく、まずはこまめに訪問し、信頼関係を築くことが必要と判断しました。 長年の独居生活から、「ご自分のペースがある」と判断、性急な生活改善はあえて避けました。 その間もちろん、近隣への配慮の連絡も欠かさないようにします。 支援が必要だと本人が判断した段階で、サービスを導入することができました。 弟妹とケースワーカーに協力を仰いだ例 Gさんは認知症が進行してきていました。 また、生活保護を受給されています。 会話をしている限りでは一見問題ないように思えますが、病識がなく、生活全般に困難が生じてきています。 特に食事や水分をきちんと摂れていないようです。 幻覚症状も出現し、気分に波があり、物忘れも多くなってきました。 通帳を紛失したり、身に覚えのない訪問販売の契約書もあります。 親族は高齢で疾病を抱えている弟妹がいます。 Gさんは不安な気持ちが大きくなると、弟妹や訪問介護事業所に電話をするそうです。 ケアマネは成年後見制度の必要性が高いと判断しました。 ただ、日常生活が成り立たないわけではなく、その進め方にも悩みます。 本人の不安な気持ちを解消するためにも、成年後見制度の活用を本人と弟妹に説明し、理解を求めました。 また、ケースワーカーからも話しをしてもらったところ、Gさんも納得され、後見制度の利用に結びつきました。 介護保険以外の他機関を活用も検討を 支援を困難にする要素の1つに、「介護保険サービスしか利用していない」という可能性があります。 その場合は、介護保険外サービスを利用することも検討すると幅が広がります。 ケアマネ研修でも「インフォーマルサービスの活用を」と何度も言われました。 インフォーマルサービスを活用することで、困難事例が解決に向かうことがあります。 行政機関はインフォーマルサービスの活用に長けていますので、相談することが重要なのです。 「ご利用者の経済状態と相談しながら」という条件が付きますが、金銭的に介護保険外のサービスが難しくても、無料で行政のサポートなどが受けられるケースもあります。 まとめ 最後に、今回の記事のまとめです。 約90%のケアマネが困難事例を経験している 困難事例は1人で抱え込まないことが重要。 困難事例の解決策として 事業所内で相談する 地域包括支援センターなど、行政機関にも相談・活用する チームで解決に向けて動く 介護保険外のインフォーマルサービスを活用するなど、柔軟に対処する 支援困難な事例に1人で関わり続けるのは大変なことです。 多くの人に相談し、チームとしてうまく関わることで、解決の糸口が見つかることがあります。 最後までお読みいただきありがとうござます。
「突然、家族に介護が必要になった」 このような可能性は誰にでもあります。 そうなったときに慌てないようにしたいものですが、いざ自分が直面したときには何から始めればよいのでしょうか。 こんな時に頼りになるのがケアマネージャー(以下ケアマネ)です。 今回の記事では、ケアマネが担っている仕事はどのようなものなのかをご紹介していきます。 ケアマネは介護保険を利用するのに必要な存在 介護保険制度は一般の方々にはわかりづらく、すべてを理解するのはかなり困難でもあります。 介護保険を利用したい場合、その道のプロにお願いするのが一番いい方法です。 介護保険の利用を、その方に一番合った形で提案してくれる存在、それがケアマネージャーです。 ケアマネージャーは居宅(きょたく)介護支援事業所というところに所属しています。 居宅と略されることも多いです。 それではここからケアマネの具体的な仕事を見てみましょう。 ケアプラン作成 実は毎月の保険料を払っているだけでは介護保険サービスを利用することができません。 介護保険サービスを利用するには、必ず「ケアプラン」というものが必要になります。 ケアマネの大きな役割の1つが、ケアプランの作成です。 ケアプランとは ケアプランとは、その方の課題を解決するためにどのようなサービスがどの程度必要なのかを盛り込んだ計画書のことです。 ケアプランに記載されていないサービスを利用しても保険給付は受けられないということに注意が必要です。 インテーク ケアプランを作成するために、利用者の現在の状態を把握する必要があります。 まず、電話や対面などで、本人や家族の悩みや課題、体調や環境などを聞きます。 この行為はインテークと呼ばれます。 アセスメント ケアプランを作成するためには「その利用者がどのような方なのか」「どういった価値観を持ち、現在はどのような生活環境にあるのか」といったことを知る必要があります。 そして「どのような生活を望んでいるのか」「それを実現するための課題や問題点は何か」を明確にしていきます。 このために必要な情報を利用者本人や家族から聞き取りし、解決すべき課題を抽出するその行為をアセスメントといいます。 インテークでは聞き出せなかった深い部分まで聞き出せるよう、細かい点まで質問していきます。 たとえば、脳梗塞で倒れて入院中のAさんが「以前のように自宅に戻って生活したい」という要望を持っていたとします。 ケアマネは以下の各項目について課題がないか、Aさんをチェックしていきます。 ・後遺症はあるのか ・リハビリは必要なのか ・自宅で入浴はできるか ・服薬の管理はできるのか ・リハビリ以外に必要なサービスはないか ・他に困り事はないか 等 なお、インテークもしくはアセスメントで経済状況を聞かれることがあります。 年金の受給額など、ケアマネとして知っておかなければならないことだからです。 それはショートステイの利用や、いざ施設に入所するとなったときに、支払いを抑えることができる給付を受けられるかどうかの判断材料にするためです。 しかし、経済的な事情を尋ねるというのはケアマネにとっても聞きづらいものです。 人間関係がしっかりと構築された後ではますます聞きづらくなってしまいます。 そのため、ケアマネも「経済事情は割り切って早めに聞いてしまおう」と決めている人も多いので、1度目もしくは2度目の面談で経済状況を質問されるケースがあります。 ケアプラン原案作成 アセスメントが終わったら、その方の課題を解決するために、またはその方のニーズに応えるためにケアプランを作成します。 先ほど例に挙げたAさんであれば、 ・リハビリが必要なら「訪問リハビリ」「デイケア」 ・自宅内での手すりの設置や段差解消が必要なら「福祉用具」 ・自宅で一人での入浴が難しければ「訪問介護」「訪問入浴」「デイサービス」 といった選択肢が浮かんできます。 それらを基にケアプランの原案が作成されます。 担当者会議 ケアプラン原案を基に、ケアマネや本人・家族、また利用するサービスを提供する業者や主治医等と担当者会議を行います。 ここで本人や家族、また関係者からプラン内容に問題がないか等の意見を聞き、ケアプランに修正の必要があれば、原案を修正し、利用者や家族に同意を得ます。 そうして出来上がったケアプランが利用者や家族に交付され、利用者、もしくは家族にはサインや押印をしてもらいます。 モニタリング ケアプランに基づいたサービスがきちんと提供されているか、また、提供されているサービスで問題はないか、過不足はないか等を確認するために、ケアマネは月に1回以上利用者宅を訪問します。 モニタリングの結果、ケアプランの再考が必要だと判断された場合には、再度、アセスメントから実施し、ケアプランを再度作成します。 以上がケアプラン作成の流れです。 ここで一つ注意点があります。 ケアマネは何十人も担当していますので、月に1度訪問するのがやっとです。 本当は相談したいことや伝えたいことがあるのに、そこで「特に問題ありません」と答えてしまうと、ケアマネが問題に気付くことができず、来月の訪問まで待たなければなりません。 何かあればモニタリング時に相談するようにしましょう。 もちろんモニタリングの時だけでなく、随時、電話で相談することは可能です。 ケアプランには有効期間がある ケアマネにプランを作成してもらっても、ケアプランには有効期間があります。 高齢者は状態も変わりやすいためです。 有効期間の終了日が近づいてくると、再度アセスメントからケアプラン交付までの流れを繰り返し、新たなプランの交付を受けます。 なお、有効期間はケアマネが管理するものですので、利用者や家族の方が気にしなければならないものではありません。 申請代行 ケアプラン作成以外にもケアマネにお願いする業務があります。 それが申請代行と呼ばれるものです。 申請代行とは、利用者の意思を踏まえて申請書の入手や記入(自署部分は除く)、提出を本人に代わって行うものです。 介護保険を利用するには認定を受けなければなりませんが、その認定を受けるためには申請が必要になります。 利用者本人や家族が役所へ行かなくても、ケアマネが代わりに行ってくれるのが申請代行です。 申請した書類が受理されると調査のために認定調査員がやってきます。 これは申請代行を行ったケアマネ以外の第三者となります。 調査員が生活状態や身体の状況、認知機能など聞き取り、介護度を決定する認定審査会に提出する資料を作成するのです。 調査には通常ですと、30分から1時間程度かかりますが、これはあくまでも目安です。 場合によってはもっと短いケースもありますし、長く時間がかかる場合もあります。 利用者本人だけでは質問の受け答えが難しい場合には、家族の方が同席するようにしてください。 なお、申請を行ってから認定が下りるまでは通常は一か月ほどかかります。 その他の相談にも乗ってくれる 申請を代行するのは介護保険関係だけではありません。 たとえば、生活に困っている方には生活保護の申請を行うこともあります。 行政から届く書類は難解なものも多いので、手続きの相談に乗ってくれます。 また、在宅生活を続けていくのが難しいという方も多くいらっしゃいますが、もちろん施設への入所の相談にも乗ってくれます。 まとめ 最後に、今回の記事の内容をまとめてみます。 ・介護保険サービスを利用するにはケアプランが必要 ・ケアプランを作成するのはケアマネ ・ケアプラン作成のスタンダードな流れは以下のとおり ① インテーク ② アセスメント ③ ケアプラン原案作成 ④ 担当者会議開催 ⑤ モニタリング ・ケアプランは有効期間がある ・ケアマネは介護保険、その他の書類の申請業務を代行してくれる ・施設入所の相談もケアマネに ケアプランは「自分らしく生きるための大切な計画書」です。 作成してもらう際にはしっかりと希望を伝え、納得のいくプランを作成してもらうようにしてください。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
高齢化率が上昇している日本において、ケアマネの役割はますます重要になってきています。 2022年9月に総務省が発表した、日本の総人口における高齢者(65歳以上)の割合は29.1%です。 これはざっくり言うと10人に3人は高齢者ということです。 しかし、ケアマネの受験者数は年々減少しています。 これには「業務負担の増加」「やらなければならない業務が多く負担が大きい」「対価が低い」などの理由が挙げられます。 これらについて1つ1つ見ていきましょう。 ケアマネって何をする人? そもそもケアマネの業務には以下のようなものがあります。 ・状態の把握 ・課題の抽出 ・利用者、家族からの聞き取り ・ケアプランの作成 ・担当者会議の開催 ケアマネの業務を進める中で、他職種の専門的な意見を聞いたりすることも重要です。 リハビリが必要な利用者であれば理学療法士や作業療法士、または言語聴覚士といったリハビリの専門家、医療的なケアが必要であれば医師や看護師などです。 デイサービスや訪問介護、福祉用具等々それぞれの専門家に意見を募ることができれば、多角的な視点でより良いケアプランが作成できる可能性も高まります。 居宅と施設で違いがあるものの、どちらのケアマネもメイン業務は利用者の困りごとを解決していくことだといえます。 ただ、居宅ケアマネと施設ケアマネでは業務内容には違いがあります。 居宅ケアマネの業務 新たな利用者への居宅ケアマネの最初の仕事は、利用者宅を訪問して面談し、アセスメントを取ることです。 その上で、困りごとや課題を抽出し、ケアプランの原案を作成します。 そして担当者会議を開催といった流れがオーソドックスでしょう。 そこで出た意見を検討し、必要であればプランを修正、その後にモニタリング(当初のケアプランを継続してもよいか、それとも変更の必要があるかの確認・検討を行うこと)を行っていきます。 また、その他で居宅ケアマネで重要なことは「介護度に応じて設定されている『区分支給限度額(介護保険では介護度に応じて給付される上限額が決まっておりその限度額のこと)』を越えないように、月のサービス利用状況を把握すること」です。 限度額を超えると介護保険は利用できず、自費で支払いを行わなくてはならなくなってしまいますので、充分気を付けなくてはいけません。 施設ケアマネの業務 施設ケアマネは、その施設で過ごされる方のプランを作成します。 利用者宅の訪問がない他は、居宅ケアマネと流れは一緒です。 流れは一緒とはいえ、自宅と施設では環境面で大きな違いがあるため、同一の利用者の方でも在宅か施設課で大きくケアプランは変わってくるでしょう。 また、施設ケアマネは人手が足りないときには介護職の手伝いをしたり、夜勤に入ったりするというケースも見聞きします。 生活相談員のヘルプをしている施設もあります。 そういった中で、ケアプランを立案・作成し、担当者会議を開催していくことになります。 さらに毎月のモニタリング等々の業務があるというわけです。 ケアマネの担当件数は何件まで? これらの業務をこなしながら、ケアマネ一人当たりが受け持てる件数はどれくらいなのでしょうか。 居宅ケアマネについては、その事業所がICT(業務の効率化を図るためにコンピュータ技術を活用すること)を導入しているかどうかで変わってきます。 ・居宅ケアマネ(ICTを導入している場合)➡44件まで ・居宅ケアマネ(ICTを導入していない場合)➡39件まで ・施設ケアマネ➡99件まで ただし、上記を越える件数を受け持ってはいけないわけではありません。 1件当たりの報酬は減額されてしまいますが、受け持つこと自体は可能です。 なお、要支援の利用者は2件で要介護1件相当という計算になります。 ところで、居宅ケアマネと施設ケアマネで担当件数が大きく違うのはなぜでしょうか。 居宅ケアマネは、利用者の自宅はもちろんのこと、これから利用するかもしれないデイサービスの見学や、入院している利用者様の状態把握のために病院に行ったり、カンファレンスに呼ばれることもあります。 そのため、各事業所や役所、病院、地域包括支援センターなどの関係機関を訪問する機会も多く、面談や移動などにも多くの時間を割かなければなりません。 それに対し、施設ケアマネは多くの業務が施設内で完結できますので、その分、対応可能な件数も多く設定されています。 ケアマネの適正な担当件数は? 1人のケアマネで99人の利用者を受け持つことが可能なのでしょうか。 可能だとしても、それが利用者のためだといえるのでしょうか。 この点では疑問を感じざるを得ません。 それは居宅ケアマネでも施設ケアマネでも同様です。 1ヵ月の稼働時間の中で、39人ないし44人、もしくは100人の利用者を担当し、ケアプランを作成し、加えて担当者会議を行わなくてはいけません。 その他にも、入退院の調整が必要な場合もあるでしょうし、居宅ケアマネは要介護の方には訪問してモニタリングを行わなくてはなりません。 また、事業所の見学に行くこともあれば、家族と話し合うこともあるでしょう。 加えて研修があったり、管理者であれば事業所内での問題の解決にも当たる必要があります。 当然ケアマネとしては利用者の状態を把握していなければなりません。 つまり、常時40人以上の利用者の状態を把握しておくということですが、利用者ご本人からは大きな変化がないと連絡をくれないケースも多々あります。 それを考えると、担当件数ギリギリまで受け持つのは好ましいとはいえないでしょう。 ケアマネの担当件数は年々増加傾向 しかし、ケアマネ1人当たりの担当件数は年々増加傾向にあります。 担当可能件数ギリギリまで受け持つかどうかは、事業所の方針によるところも大きいので、ケアマネ業務を考えている方は必ず確認しておくとよいでしょう。 担当件数が増加しているのは次のような要因が考えられます。 ① 高齢者の増加 ② ケアマネが不足している ③ 待遇が改善されない 介護保険を利用する方が増加している昨今、ケアプランを作成するケアマネの人数も増加しなければ、1人当たりが受け持つ人数も増加していくのは必然です。 しかし、冒頭で触れたようにケアマネの受験者数は年々減少傾向です。 2018年には前年に比べて、なんと6割以上も受験者が減少するという衝撃的な数字でした。 ケアマネの報酬は適切なのか? この原因は、1つにはケアマネの業務内容と報酬が釣り合っていないからだと言われています。 介護職に対する処遇改善は進んでいますが、ケアマネについては責任の大きさの割にはそういった恩恵が少なく、待遇面に満足できないという方が多くいます。 一時期は介護職の待遇が社会的にも問題となっていましたが、今はケアマネの社会的な評価の低さが問題視されるようになってきています。 そのためケアマネを志す人も少なく、また現在ケアマネ業務に従事していても、離れて行ってしまう方も多くなってきています。 現在はケアマネの待遇改善を望む声も多くなりました。 まとめ 最後に今回の記事の要点をまとめます。 ・ケアマネの業務は多岐にわたるが、メインは利用者の困りごとを解決するケアプランを作成すること ・居宅と施設ではケアマネの業務には大きな違いがある ・ケアマネ1人当たりの担当件数は以下のとおり ① ICT活用居宅事業所は44件 ② ICT未活用居宅事業所は39件 ③ 施設ケアマネは99件 これ以上担当することも可能だが、1件当たりの報酬が減額される ・担当件数ギリギリまで受け持つと、業務が回らなくなる恐れがある ・ケアマネを志望する人は減少傾向 ・ケアマネの待遇改善が求められている ・実際に何人を受け持つかは、最終的には事業所の判断になる ケアマネは資格を取るにも、また更新時も長時間の研修が必要になります。 利用者・ご家族と向き合って問題を解決していくチームの中心者ともいうべき役割といえるでしょう。 責任が重い分、やりがいのある仕事です。 それだけに1人1人の利用者に丁寧に対応していくためにも、適切な担当件数で働ける事業所を選択するのも一つの手段です。 最後までお読みいただきありがとうございます。
やるべきことが多すぎて本来のケアマネジャーの仕事が出来ない!と思われているケアマネージャーは結構多いものです。 ケアマネジャーは介護保険制度内の他職種と対比した場合、サービス提供時間やサービス内容も明確にされていないのが現状です。 ここでは居宅ケアマネジャーを悩ませる業務について説明します。 介護支援専門員(ケアマネジャー)の本来の仕事内容とは? ケアマネジャーとは要介護・要支援の状態にある高齢者の心身状況に応じ、適切な介護サービスが利用できるようケアプランを作成し、市町村やサービス事業所や介護保険施設と連絡・調整を行う専門職です。 ケアマネジャーは居宅ケアマネジャー、施設ケアマネジャー、介護予防マネジメントの大きく3つに分別されます。 居宅ケアマネジャー 居宅ケアマネジャーは自宅で介護を受ける人を対象にケアプランを作成します。 サービス利用者の自宅を訪問して状況を確認し、利用者がスムーズにサービスを受けられるよう、関係各所との調整を行います。 施設ケアマネジャー 施設ケアマネジャーは介護老人福祉施設などに勤務し、入所者のケアプランを作成します。 施設ケアマネジャーは入居者の状態変化を把握しやすい反面、担当件数が居宅ケアマネジャーより多く各職種とのチームワークが必要となります。 介護予防ケアマネジメント(総合事業) 介護予防マネジメントとは、要支援の認定を受けた人が、要介護状態にならないようにサポートする取り組みです。 介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターが統括しており、委託を受けた居宅介護支援事業所でも行う事が出来ます。 ケアマネージャーの主な仕事内容 ケアマネージャーの主な仕事内容は、以下の通りです。 ・インテーク ・アセスメント(課題分析) ・ケアプランや各種書類の作成 ・月1回のモニタリング訪問 ・介護保険関係の手続き ・各事業所、医療機関とのやり取り ・請求業務(給付管理) ケアマネジャーはケアマネジメントを開始するにあたって、初回の顔合わせ(インテーク)を通じて、介護サービスやケアマネジャーの役割を利用者やその家族に伝え、契約を行います。 契約後、利用者や家族の意向を確認し、本人の身体状況や置かれている環境、介護保険外の支援などを分析し(アセスメント)総合的な援助方針を検討します。 ケアマネジャーの仕事には利用者の権利擁護やサービスの公平・中立性のほか、プライバシー保護などの倫理が求められます。 インフォーマルな社会資源の活用などを駆使し、利用者やその家族が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的な知識と技術が必要になります。 ケアマネジャーの主な仕事内容は業務範囲外になりやすい 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると65歳以上の者がいる世帯は、全世帯の約半分で単独世帯や夫婦のみ世帯が全体の過半数と、一人暮らしの高齢者は年々増加しています。 家族情景やケアマネジャーという職種の把握からか、担当ケアマネジャーが家族の役割を担うようになり、本来の業務ではない仕事が際限なく増えています。 主な仕事内容である「ケアマネジャーは月1回のモニタリング訪問をして必要時にケアプランを作成」「各関係機関とのやり取りや請求業務を行う」は、いわばやれて当たり前なのです。 ケアマネジャーの仕事がこれだけで済むのであれば平穏な日々を過ごせます。 ケアマネジャーを悩ませる業務外の仕事とは ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外は突然やってきます。 高齢者は加齢に伴う生理的老化の進行によって臓器機能、自律神経、免疫機能等の低下、病気の併存などの身体的特徴が多く、複数の症状や病気を抱えがちです。 そのため、急変などのサービスの調整や業務範囲外の仕事が発生しやすくなります。 高齢者は退職による「職業や社会的立場の喪失」と併せ、身体面の老化といった心理的、肉体上の喪失体験も重なり精神的機能の低下により頑固になることが多々あります。 また、保守的傾向になる事が多く、町内会や自治会など、域コミュニティから孤立する高齢者も増えてきているのです。 そのため、問題が表面化されず突然、行政から連絡が入ることもあります。 居宅ケアマネジャーを悩ませる業務範囲外の仕事 ケアマネージャーに発生しがちな業務範囲外の仕事は以下のようなものがあります。 救急搬送や受診同行 ケアマネジャーは救急車への同乗や搬送先への同行を求められることがあります。 治療が必要な疾患や症状を放置している高齢者が急変することや、受診を拒むため受診予約にあわせた通院ができず訪問介護の通院介助などのサービス調整が難しい場合等、ケアマネジャー通院時の付き添いをすることは多く見られます。 親族が近くにいない、身寄りがないなどの場合、救急搬送はもちろん、病院の入院手続き入院時の必要物品準備などを医療機関から依頼されることもあり、一日のスケジュールが狂ってしまうこともあります。 近隣住民からの苦情対応 住居から悪臭や異臭を放っていたり、敷地外に大量のゴミや不用品が溢れ、近隣住民からケアマネジャーへ対応を求めてくる場合もあります。 ゴミの分別ができず、指定日にゴミを出さないなどと近隣とトラブルになっていたり、室内がゴミ屋敷で足の踏み場もないなんてこともあるのです。 65歳以上の高齢者の住宅火災による死者数は平成27年は611人で、全死者数に占める割合は66.8%と高くなっています。 本人は全く気にはしていなくても「火事になるのでは?」「どうして施設に入所させないんだ」などと近隣住民より不安を煽られることもあります。 地域から疎外され心を閉ざした高齢者の心を解きほぐすにはさらに時間を要し、訪問介護の生活援助も大掃除は出来ないため、介入出来る環境までを作るためにケアマネジャーが関わる場合があります。 金銭・財産管理の欠如 生活費のほとんどをアルコールやギャンブルに散財していたり、家賃や公共料金などが数カ月にわたり滞納している場合があります。 この場合でも、関係業者へケアマネジャーが対応することがあるのです。 生計の理解が乏しくなる反面、必要な支払いをしている家族がお金を盗んだと思い込む事や、必要な公共料金さえも「そんなものは払わなくていい」などと支払いを滞っている場合もあります。 そのため、居宅サービスの依頼をうけ、いざ訪問をしたら電気・ガス・水道などのライフラインが止まりそう、なんてこともよくあることです。 金銭管理ができないことや金銭感覚など、認知面や性格的な部分への介入や後見人制度の手続きを含め、ケアマネジャーが一役をかうことになるでしょう。 認知症への対応 認知症高齢者が行方不明になり家族や警察と認知症高齢者の捜索をしたり、消費者被害の対応をケアマネジャーがすることもあります。 行政からの必要書類が郵送されていても紛失している事があり、必要書類の再発行や郵便物の配達にあわせて訪問したり、仕分け等も必要時に応じて行なうことがあります。 知らないうちに電話勧誘販売や無料キャンペーンなどを強調し、初回以外や一定期間内に解約をしないことで料金が発生する無料商法などの消費者被害にあって多額の借金を背負っていたり、金銭を搾取されている場合があります。 また、ペットの飼育が出来なくなっていたり、野良猫などに餌をあたえ、猫屋敷になったまま放置されているなど、多頭飼育崩壊していることもあります。 ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をする理由とは ケアマネジャーが業務範囲外の仕事をするのはケアマネの業務範囲が明確ではなく、利用者や家族の介護保険への理解、多職種や業種によるケアマネジャー本来の仕事に対して共通認識が出来ていないからです。 境界線を張り「ここまでは自分の仕事」として割り切ることを提言する行政や、上司なども多いですが要支援・要介護の高齢者を地域で支えていく仕組みの中で、ケアマネが足りない部分を補う非常に重要な役割を担っているのも現実です。 ケアマネの業務範囲外の仕事を断る対処法とは そもそもケアマネが業務範囲外の事を請け負う必要はありません。 利用者さんやその家族が困っているから、と、そのすべてを引き受けていたら、ケアマネが倒れてしまいます。 ケアマネの業務範囲外の事を頼まれたら適切に対応し、本来のケアマネの仕事をきちんとできるようにすることがとても重要です。 では、実際にケアマネの業務範囲外の仕事を頼まれたときにどう対処すればよいか、その方法についてご紹介します。 対応できない理由を利用者や家族に伝える そもそもケアマネージャーはなんでも屋ではありません。 できない理由を丁寧に伝えしっかりと断るようにしましょう。 そうすることでケアマネとしてやるべき本来の仕事が円滑にできるようになります。 そのくらい対応できる、と引き受けていると、頼まれる内容がどんどん増大になることが考えられます。 1人のケアマネージャーが業務外のことを行ってしまうと、他のケアマネージャーにも迷惑がかかってしまうこともありますので、毅然とした態度でお断りすることが重要です。 行政や管理者に相談する 利用者やその家族に業務範囲外の事を頼まれて困ってしまったら、まずは施設の管理者などに相談するようにしましょう。 もし、ここで対応するように言われたら、そこで働くことを検討することをおすすめします。 何にせよ、誰にも話さずに一人でなんとかしようとしては行けません。 利用者様や家族との信頼関係が壊れる、と悩む方もいるかもしれませんが、まずはケアマネとしての仕事がスムーズにできるようになることが重要です。 なにより、他の利用者様の対応がおろそかになってしまいます。 あまりにも悪質な場合は行政に相談しましょう。 まずは自分をきちんと守ってあげることが重要です。 まとめ ケアマネジャーは介護保険の基本理念である「利用者本位」を実現するうえで、各関係機関とのサービス調整を行う専門職です。 ケアマネジャーの業務は多岐にわたり、地域共生型社会の実現に向け、高齢者の支援にとどまらず、障害や児童のケアマネジメントにも目を向けて職域を広げる活動をしています。 本人らしい生活を支え、身近で相談しやすい存在であり、ときに人生の最終段階までの伴奏者となる対人援助の専門職であるからこそ、利用者の生活全般に関わる事になります。 そのため、時に制度のはざまにある人への支援として「なんでも屋」にならざる得ないのが現状です。 しかし、それだけ高齢者にとって重要な役割を担った職務であるといえます。
誰かの役に立ちたい」という想いからこの業界で働くことを選んだ方も多いのではないでしょうか。 本来、介護やケアマネの仕事は魅力に満ちあふれています。 しかし、その想いを保ち続けることは容易ではないこともまた事実です。 半面、メンタルダウンを上手に乗り越える人もいます。 また、介護職員は常に人手不足です。 特にケアマネージャーの仕事は人手不足が問題となっています。 今回の記事では、「ケアマネージャーや介護職の人手不足の原因」や「介護職員のモチベーションアップのコツ」を見ていきましょう。 ケアマネージャーの仕事内容 ケアマネージャーは「ケアマネ」と略されることがありますが、正式名称では「介護支援専門員」といいます。 ケアマネージャーの仕事は、要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成し、市町村やサービス事業者、本人、家族との連絡調整をする専門職です。 専門職であるため、ケアマネージャーになるには資格が必要です。 ケアマネージャーの資格の取得方法 ケアマネージャーの資格を取得するためには、指定業務を5年以上かつ900日以上経験するという条件をクリアし、試験に合格する必要があります。 ケアマネージャーの資格試験は年に1回10月に行われています。 主任ケアマネージャーとは ケアマネージャーの上位には主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)という職業があり、2021年3月施行の改正介護保険法では「居宅介護支援事業所の管理者は、原則主任ケアマネでなければならない」と改訂されています。 そのため、主任ケアマネージャーは現在とても重要視されています。 主任ケアマネージャーになるには特に資格試験があるわけではありません。 以下の条件を満たしたうえで、「主任介護支援専門員研修」を受講する必要があります。 専任のケアマネジャーとして勤務していた期間が、通算で5年(60カ月)以上である人 ケアマネジメントリーダー養成研修を修めた人で、さらに専任のケアマネジャーとして働いた期間が通算して3年(36か月)以上である人 主任介護支援専門員に準ずる者として、地域包括支援センターに配置されている人 ケアマネジャーの業務に関し十分な知識と経験を持っており、都道府県によって認められた人 ケアマネージャーが人手不足な理由 ケアマネージャーや主任ケアマネージャーは常に人手不足が問題となっています。 ケアマネージャーの人手不足が続いているには、以下の理由が考えられます。 資格取得が難しい ケアマネージャーの資格試験の合格率は10~20%程度を推移しています。 そのうえ、毎年受験者数も減ってきているのです。 受験者数が減ってきているのは、頑張って資格を取得しても給料などの待遇面がよくならないことが考えられます。 給料などの待遇面が悪い 令和3年現在、ケアマネージャーの平均年収は約410万円です。 介護職全体での給料平均は約380万円とされているので、年収としてみると30万円のアップになります。 しかし、全国的な年収で見ると決して高いといえる金額ではありません。 そのため、2019年には「介護職員等特定処遇改善加算」が実施されていますが、すべての事業所が対象ではないため、大きな改善にはいたってはいません。 介護職員のモチベーションを下げる要因 介護職員が増えない理由にはモチベーションを保つことができないことも挙げられています。 では、介護従事者のやる気が削られてしまうのか、要因を1つ1つ見ていきましょう。 給料が安い 介護業界で働いていると、他の業界に比べて待遇の悪さを感じる人が多いようです。 また、同じ介護業界でも介護職・相談員・ケアマネなどの職種によっても待遇に差があります。 夜勤がある施設の介護職は、夜勤手当がある分他の職種や夜勤なしの介護職(たとえばデイサービスの職員など)に比べると給与は若干良くなるでしょう。 また、同じ介護職でも勤め先によって待遇差が生じます。 当然ながら業績により賞与には差が出ますし、特養などの公的施設と有料老人ホームなどの民間施設では利用者が支払う利用料にも差があるので、当然といえば当然です。 しかし、国が介護士の処遇改善に乗り出してくれたこともあり、一昔前に比べれば介護士の給与は良くなってきていると言えます。 また、役職が上がれば責任も伴いますが、手当も上がります。 役職に就く見込みがあるのかどうかを見極めることも大切になってくるでしょう。 職場の人間関係がツラい 介護業界の魅力を半減させてしまう要素は、何も給与などの待遇面だけではありません。 人間関係も大きな要素になっています。 アンケートによっては、この人間関係が退職理由の1位になっているものもあるくらいです。 介護士やケアマネは1人で利用者のケアをすることはできません。 必然的に他の介護士や他職種と連携を取る場面が多くなってきます。 そこでの人間関係に問題がなければよいのですが、やはり何人か集まれば合わない人も出てくるのが世の常です。 仕事だからとお互いが割り切れればよいのですが、何かにつけて粗さがしをしてくる人はどの業界にもいるものです。 そういった人間関係がイヤで「職場を離れる」「介護を辞める」という声も聞きます。 でも、どの業界・どの職場にも、自分に合わない人は一定数いるもの。 上司に相談したり、うまくストレス解消をしながら、乗り越えていきましょう。 家族からのクレーム 近年よく耳にするようになった「カスタマーハラスメント」 介護業界も例外ではありません。 介護保険法でできることとできないことが決まっていますが、それに納得がいかずに利用者本人やご家族からもクレームになるのはよく聞くケースです。 また、最近では入所施設でコロナ禍で思うように面会できず、ご家族の知らない間にADLが低下していてクレームになるというケースも増えています。 それが常識の範囲内であればまだしも、度を越えたクレームに心をやられてしまう職員も少なくないようです。 カスハラは社会的にも問題になっています。 こういった問題に直面した場合は、迷わず上司に相談しましょう。 人手不足など職場の体制 ご存知のように、介護業界では多くの事業所が人手不足です。 その中を、今いる人手でなんとかやりくりしているのが現状です。 そうした中で、さらに辞める人が出てくると、残った職員にしわ寄せが行ってしまいます。 夜勤に月10回前後入るとか、休日出勤する人もいます。 どこの事業所も必死に募集をかけており、派遣や紹介会社を活用して、人員確保に東奔西走しています。 しかし、身体が資本ですのであまりに長い間改善されないのであれば、自分の身体を第一に考えた選択肢を視野に入れてもいいのではないでしょうか。 実地検査・行政指導 筆者の知り合いのケアマネでは実地指導がイヤで、ケアマネ業務を離れた人もいます。 いわく「休日返上で利用者やご家族の要望に応えようと頑張っているのに、実地検査ではかなり厳しく細かいところまで追及された。微々たるものだが返還も発生してしまった。今までの頑張りを否定された気分になった」とのことでした。 普段から定められたことを守って業務ができていればまったく問題ありませんが、時には気付かずに業務を進行してしまうこともあるでしょう。 複数の目で定期的に確認しながら業務を進めていくことが大切ですね。 事業所の理念に不満 法人や事業所の理念・考え方についていけずに退職をするケースもあります。 人手不足なのに職員が入る前にどんどん新規利用者を獲得したり、現場の声に耳を傾けてくれない決定ばかりだと「やっぱり経営陣は何もわかってくれない」と愛想を尽かしてしまう方が多くいます。 ろくに休みも取れずに働いているのに労いの言葉がなかったりすれば、そうなってしまうのも仕方ないと言えるかもしれません。 モチベーションが低下した時の対処法 これまで見てきたような不満が溜まりに溜まってしまい、やる気を失くしてしまう職員は多いものです。 それでは、どのようにモチベーションアップを図ればよいのでしょうか。 いくつかの方法をご紹介します。 研修に参加する 研修に参加する本来の目的は知識やスキルをアップさせることですが、「知識よりもモチベーションをアップした」という方も、実は多くいます。 積極的に活用するのも一つの手です。 職場の良い点を紙に書き出す どんな職場でも良いところは必ずあるものです。 それを書き出すことで、あらためて認識できるようになるかもしれません。 たとえば ・気の合う仲間がいる ・他に比べて給与が高い ・家から近くて通うのに便利 などを書き出すことにより、意識していなかったことを脳が認識する効果もあります。 「仕事だから」と割り切る 「今は仕事だから」と割り切ってしまいましょう。 「仕事だから楽しいことばかりではない」と思って、せめて自宅にまでは落ち込んだ気持ちを持ち込まないように努めてみてはいかがでしょうか。 家であれこれ考えても余計ストレスが溜まるだけです。 周囲に相談する 問題の中には自分一人では解決できそうにないことも多いですし、時間が解決してくれないものもあります。 そういう時は思いきって周囲に相談するのも良い方法です。 話しを聞いてもらうだけでスッキリすることもありますし、もし相談したのが職場の人であれば解決に向かって動き出すこともあるでしょう。 しっかり休む 介護職員やケアマネが笑顔や元気でいることが、良いパフォーマンスを提供することにつながります。 しかし、人間ですから、どんな対策を講じても気分が解消されないこともあります。 そんな時には思い切って休むことも大切です。 一番大事なのは、ご自身の健康です。 休職して心身ともにリフレッシュさせるのも1つの方法です。 真面目な方は「人手不足なのに私だけ休むなんて」と考えてしまいます。 しかし、1番大事なのはご自身の心と体の健康です。 自分を守ってあげられるのは自分だけです。 まとめ 最後に要点をまとめておきます。 ケアマネージャーの仕事とは ・要介護者や要支援者の状態に合った介護保険サービスを受けられるようにするためのケアプランを作成と調整 ケアマネージャーの人手不足の原因 ・給料などの待遇面の悪さ モチベーションを低下させる、介護の魅力を奪うもの 給与 人間関係 クレーム 人手不足 実地指導 事業所の理念 モチベーションを上げる方法 研修に参加する 職場のいいところを紙に書き出す 仕事と割り切る 周囲に相談する しっかり休む ご自分にあったリフレッシュ方法を見つけ出して、上手にストレス発散してください。
介護職からケアマネジャーに転身しようと考えているが、仕事内容に対して不安を感じている人は多いのではないでしょうか? ここでは介護職からケアマネジャーへ転身する際に知っておいた方が良い知識について説明します。 介護支援専門員(ケアマネジャー)になるには 介護職からケアマネジャーになるには、介護福祉士の場合、最短で5年の実務経験が必要です。 ケアマネジャー試験の要件として、 「指定の国家資格にもとづく業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事」または「施設などで相談援助業務に通算5年以上(かつ900日以上)従事」している事とされています。 施設などでの相談業務については、老人福祉施設での生活相談員または老人保健施設での支援相談員、障害者施設での計画相談に携わる相談支援専門員などが対象となり、主に社会福祉士などの有資格者が対象となります。 ケアマネジャーの試験は2017年まで法定資格がなくても、実務経験が10年以上あれば試験を受ける事ができましたが、2018年より無資格による受験は出来なくなりました。 受験対象となる指定の国家資格 ケアマネジャーの試験には以下のいずれかの国家資格を保有していることが条件です。 ・医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師 ・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・介護福祉士・社会福祉士 ・精神保健福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士 ・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 ・柔道整復師・栄養士 無資格の介護職からケアマネジャーへ転身するには、3年の実務経験を経て介護福祉士試験に合格し、5年の実務経験後、ケアマネジャーを目指すケースが多いです。 居宅ケアマネジャーと施設ケアマネジャーの違い ケアマネジャーは居宅介護支援事業所の居宅ケアマネジャーと老人福祉施設や老人保健施設などの施設ケアマネジャーに区分されます。 居宅ケアマネジャーは約35件程度の担当利用者のケアマネジメントを行い、利用者の在宅生活に対する課題を分析し継続した生活が出来るよう、居宅サービスを組み合わせ居宅サービス計画書を作成します。 一方、施設ケアマネジャーは施設規模によりますが、約100件程度の入居者のケアマネジメントを行い施設内で本人らしい生活が継続できるよう施設サービス計画書を作成します。 居宅ケアマネと施設ケアマネでは担当件数の違いはあるものの、ケアマネジメントのプロセスは一緒は一緒なので働き方にあわせて選ぶとよいでしょう。 ケアマネジメントのプロセス ケアマネジャーは利用者が在宅や施設で自分らしい生活を継続出来るよう支援していくため、次のケアマネジメントの過程を行う必要があります。 ケアマネジメントの流れ インテーク(初回面接) アセスメント(課題分析) ケアプランの作成 担当者会議 サービス開始 モニタリング 状況に応じてアセスメントに戻ることがあります。 インテークの注意点 インテークの際、利用者に対して複数のサービス事業所などを紹介し、選択できるようにする必要があります。 サービス事業所の選定理由も説明できるようにしなければなりません。 アセスメントの注意点 アセスメントはケアプランのサービス内容に対して根拠となるよう、23項目の課題分析標準項目について客観的に評価分析する必要があります。 ケアマネジャーの質問力によって利用者の課題の抽出が異なる場合があるため注意が必要です。 ケアプラン作成の注意点 特定事業所加算を算定している居宅介護支援事業所は、ケアプランにインフォーマルサービスの位置づけをしなくてはいけません。 多様な主体などが提供する生活支援として、社会資源の調整や介護保険外のサービスについての知識や情報も必要です。 モニタリングの注意点 ケアプラン作成後、月に一回以上利用者とのモニタリング訪問面談を実施し、結果を記録しなければなりません。 利用者や家族の満足度の確認のほか、新たな課題が発生していないか、サービス状況の聞き取りだけではなく、実際の生活環境から観察することも必要です。 その他、担当者会議の開催やケアプランの交付など、ケアマネジメントが適切に行えていない場合には運営基準減算となってしまうので注意が必要です。 要介護認定と認定調査 ケアマネジャーの業務として、介護認定更新の申請代行や認定調査の委託業務があります。 ケアマネジャーは利用者が切れ目がなく適切にサービスが受けられるよう、介護保険証の確認、必要に応じ、更新に伴う手続きに対して支援しなければなりません。 福祉用具貸与サービスの中には、車椅子や特殊寝台など、要介護2以上でなければ基本使用できないサービスや、要介護3以上が入所要件となる特別養護老人ホームなどがあります。 要介護度によって使えるサービスに制限があるため、利用者の状況に応じ区分変更申請を行うことも必要な業務の一つでしょう。 要介護認定におけるプロセス 要介護認定の申請 認定調査 主治医意見書 介護認定審査会 要介護及び支援の認定 認定調査は市町村職員または市町村から委託を受けた事業者の介護支援専門員が、全国一律の基準と様式を使用し調査を行います。 認定調査項目を理解することで利用者の介護状態を予測し、サービス調整が図れるでしょう。 給付管理・請求業務 ケアマネジャーの業務に給付管理があります。 国保連への請求業務はサービス提供月の翌月10日までに行わなければなりません。 居宅介護支援事業所の請求業務はサービス事業所のサービス提供票の実績を確認し、「給付管理票」と「居宅介護支援介護給付費明細書」を作成します。 給付管理に誤りがあるとサービス提供事業所に支払いが行われなくなるため、細心の注意が必要です。 期間中は通常業務をこなしながらレセプト提出準備をしなければならないため、スケジュール管理にも留意しましょう。 地域包括支援センターとの関わり 居宅介護支援事業や小規模多機能型居宅介護などのケアマネジャーは、予防支援の委託業務に携わることがあります。 予防支援の委託業務に携わる場合、介護予防支援や介護予防ケアマネジメントにより、要支援者などに対し総合事業によるサービス等が適切に提供できるよう、ケアマネジメントしていく必要があります。 地域包括支援センターの主な業務 介護予防マネジメント ケアマネジャー支援 総合相談 権利擁護 地域包括支援センターはさまざまな地域課題に対応できるよう、主任介護支援専門員、社会福祉士、保健師などの3つの専門職がいるため、困難事例を抱えた場合でも助言や情報提供をしてもらえるので、積極的に関わっていくとよいでしょう。 業務で役立つ資格 ケアマネジャーはケアマネジメントや各種の介護申請以外に各種書類の作成などにも対応しなければなりません。 介護請求業務や認知症の方の権利擁護、高齢者虐待など地域の問題などにも多岐にわたるため 業務に役立つ資格を活用してみましょう。 業務で役立つ資格は以下のようなものがあります。 介護事務管理士 福祉用具専門相談員 福祉住環境コーディネーター 認知症介護実践者研修 社会福祉士 介護事務管理士 介護保険施設や居宅介護支援事業所などで介護サービスにかかる費用の請求や、ケアマネジャーの補助的な事務をする専門職です。 介護報酬明細書などの作成業務に対する知識や過誤請求対応などのトラブルを防ぐことができます。 福祉用具専門相談員 福祉用具専門員は利用者の心身の状況、希望や置かれている環境などに応じ、専門的な知識にもとづき福祉用具の選定や使用についての助言、福祉用具の機能、安全性、衛生状態などについての点検・調整を行います。 福祉用具貸与サービスや特定福祉用具購入をプランニングする際に活用できる資格の一つです。 福祉住環境コーディネーター 高齢者や障がい者などに配慮した住宅の改修や生活環境のあり方について提案したり、住宅改修のプランニングなどを行います。 介護保険の住宅改修の「住宅改修が必要な理由書」の作成に対しての知識を学ぶことができます。 認知症介護実践者研修 認知症介護実践者研修では、認知症介護について深く学ぶことができます。 グループホームや小規模多機能型居宅介護で働くケアマネジャーや計画作成担当者などは、認知症介護実践者研修の修了者を配置する義務があります。 2021年4月からは無資格で働く介護職は認知症介護基礎研修の受講が義務化されたこともあり、認知症ケアについての知識についてはさらに必要となってくるでしょう。 社会福祉士 社会福祉士は高齢者や身体障がい者、知的障がい者、児童など援護を必要とする人や、その家族に対し相談や助言、指導、援助を行います。 地域包括支援センターの必須専門職の一つであるとともに、地域福祉のコーディネーターとしての役割や権利擁護など、利用者を取り巻く社会問題の解決に対する知識やネットワークを構築する資格であり、ケアマネジャーの業務でも役立つ資格の一つです。 まとめ 介護職からケアマネジャーになる場合、最短でも介護福祉士で5年の経験年数が必要です。 ケアマネジメントは、一定のプロセスを遵守する必要があり、適切なプロセスを行わないと基準違反となってしまいます。 居宅介護支援事業所で働くケアマネジャーは、さまざまな居宅サービス事業所のサービスについての理解も必要です。 しかし、利用者の望む生活を支援するため、介護職の経験をいかし、障がい者自立支援や医療保険サービス、地域のインフォーマルなサービスなどを、活用できるケアマネジャーを目指してみてはどうでしょうか。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。
福祉用具は需要の高い、介護保険のサービスの1つです。 福祉用具には様々なものがあるため、選定も悩みどころです。 今回はケアマネが福祉用具を取り入れるポイントや流れを紹介します。 福祉用具とは? 福祉用具は、要介護認定を受けた人などが生活の幅を広げることができる用具です。 福祉用具を使用することで、自立した毎日を送る手助けになるからです。 福祉用具は、本人だけでなく家族の介護量を減らすこともできます。 たとえば、ベッドから起き上がれない人の生活圏はベッドで、限られています。 そこで、ベッドのそばに手すりを置いてみると、手すりにつかまって1人で起き上がることができ、生活圏が広がります。 動作ができるようになるだけでなく、「自分1人でできた!」という、自信も出てくるのです。 家族も起きるための手伝いをしなくて良くなり、介護量が減ります。 このように、福祉用具は介護認定を受けた人だけでなく、家族の生活も良くする用具なのです。 ですが、種類も多く、どれを導入すればよいかわかりにくいですよね。 福祉用具を取り入れる時はポイントがありますので、紹介していきます。 福祉用具にはどんな品目がある? 福祉用具は、大きくわけて2種類あります。 レンタルの「福祉用具貸与」と、購入の「特定福祉用具販売」です。 福祉用具は基本的には「貸与」が原則となっていますが、外れるものもあります。 それが、入浴や排泄時に使用する「特定福祉用具販売」です。 衛生面の観点からみても、他者が再利用するには心理的に抵抗感があるものになるからです。 たとえば、ポータブルトイレ、シャワーチェアなどがあります。 ポータブルトイレやシャワーチェアなどは、直接肌が触れたり摩耗します。 このため、「福祉用具貸与」ではなく、「特定福祉用具販売」で対応します。 福祉用具貸与(13品目) 以下の福祉用具はレンタルすることができます。 車いす 車いす付属品 特殊寝台 特殊寝台付属品 床ずれ防止用具 体位変換器 移動用リフト(つり具の部分を除く) 認知症老人徘徊感知機器 自動排泄処理装置 手すり スロープ 歩行器 歩行補助杖 原則として、要支援1・2、要介護1の人は「手すり」「スロープ」「歩行器」「歩行補助杖」以外は利用できません。 また、要支援1・2、要介護1・2・3の人は「自動排泄処理装置」は利用できません。 これらの用具を利用する状態が想定しづらいからです。 利用料金は、所得によって異なりますが、費用の1〜3割です。 介護度に応じた支給限度額が決まっているため、その額の中で必要に応じて貸与します。 特定福祉用具販売(6品目) 購入する福祉用具は以下の6品です。 腰掛便座 自動排泄処理装置の交換可能部品 排泄予測支援機器 簡易浴槽 移動用リフトのつり具の部分 入浴補助具 特定福祉用具販売は、1年間で購入できる金額は10万円までと決まっています。 そのうちの自己負担分は、所得によりことなりますが、1~3万円です。 1度全額負担支払う必要があり、手続き後に自己負担分以外が返ってきます。 10万円を超えると、超えた分は自己負担になりますので、注意してください。 福祉用具を取り入れるポイントは? 福祉用具を取り入れるポイントは、「福祉用具を使って、利用者の生活の質が上がっているか」です。 福祉用具は、「日常生活の便宜を図ったり機能訓練のための用具で介護保険の給付対象」とされているからです。 福祉用具を取り入れることで、状態が悪くなったり、過ごしにくくなってしまっては、意味がありません。 例えば、歩行が不安定になったからといって、杖を取り入れるのが一概に正しいとはいえません。 認知面の低下が強い利用者に杖を取り入れても、正しく使用するのは難しくなります。 杖を自分の足に引っかけるなど、かえって転倒リスクが高まってしまうのです。 転倒すると痛みが出たり、場合によっては骨折してしまい、生活の質が低下してしまいます。 福祉用具が利用者の生活のさまたげになっていないか、質が上がっているか必ず確認してください。 また、現在の利用者の状態に合っているかをチェックするのも大切です。 例えば、現在は車いすを自走できるのに、先を見据えて介助式の車いすを選んだとします。 これは利用者のできる力を奪ってしまうため、間違った選択です。 自立どころか、介護が必要な状態になってしまいます。 逆もしかりで、現在の能力では扱うのが難しい福祉用具を選択するのは避けましょう。 このため、状態に合わせて福祉用具を選ぶことが大切なのです。 細かく利用者の状態を評価して、必要な福祉用具を検討する必要があります。 また、福祉用具は、以下の点をおさえると、取り入れやすくなります。 利用者や家族のニーズを確認する。 利用者のアセスメント(課題を分析して、要望をくみ取ること)をしっかり行う。 可能な場合は即決せずに、福祉用具を試用する。 (できれば、特定福祉用具は実物をみる) 本人にも介護者にも使いやすいものを選ぶ。 リハビリ職や福祉用具事業所の職員から助言をもらう。 また、継続して長く使うものは「特定福祉用具販売」を、体の状態に合わせて定期的に交換の検討が必要なものは「福祉用具貸与」がおすすめです。 福祉用具購入は費用面で負担が大きくなったり、返却ができないため状態が変わった時に使い道がなく、困ることがあります。 大きいものやメンテナンスが必要なものは、「福祉用具貸与」がおすすめです。 場所をとるような大きなものだと、必要なくなった時に撤去するのに大変です。 メンテナンスは定期的に行う必要がありますし、専門的な知識や道具が必要なことがあります。 福祉用具を利用するには? 福祉用具を利用するためには、手続きを行う必要があります。 手続きなどの流れを守らなければ、福祉用具を利用できないからです。 福祉用具を利用するためには、「ケアプラン」などの計画書が必要になります。 福祉用具を利用するための手続きの流れを紹介します。 ① 利用者がケアマネに「福祉用具利用希望」を申し出る。 ② ケアマネが「ケアプラン」を作成、利用者に同意を得る。 ③ ケアマネが福祉用具事業所に依頼する。 ④ 福祉用具事業所は「福祉用具サービス計画書」を作成し、利用者に同意を得る。 ⑤ 福祉用具事業所は「福祉用具」を選定。利用者と契約後、サービス開始。 ⑥ 福祉用具事業所はモニタリングを行い、ケアマネに報告する。 まとめ ここまで、福祉用具を取り入れるポイントや流れについて、紹介してきました。 福祉用具には、「福祉用具貸与」と「特定福祉用具販売」がある。 「福祉用具貸与」には13品目あり、要介護認定を受けた人すべてが使えるわけではない。 「特定福祉用具販売」は6品目あり、1年間で購入できるのは10万円まで。 福祉用具を取り入れるポイントは、「利用者の生活の質が上がっているか」をみること。 現在の状態に合った福祉用具を取り入れる。 利用者や家族のニーズを把握し、アセスメントを行い、状態を把握する。 可能な場合は、福祉用具を日常生活で試用させてもらう。 使いやすい福祉用具を選ぶ。 プロの職種からアドバイスをもらう。 福祉用具を利用するためには、ケアプランなど計画書が必要。 ぜひ、福祉用具を取り入れるポイントを押さえましょう。 ぴったりな福祉用具を利用者や家族に、自信を持ってすすめられるからです。 利用者に合った福祉用具を選べば、利用者のできることが増え、自立を促すことができます。 福祉用具を取り入れるポイントを必ず押さえて、ぴったりな福祉用具を選びましょう。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
ケアマネジャーは利用者のサービス調整だけではなく、適切なケアマネジメントをするためにも、 ケアマネジャー自身のスケジューリングを意識しなければなりません。 ここでは、ケアマネジャーのスケジュール管理におすすめなケアマネ手帳について紹介します。 ケアマネジャーの月間業務 ケアマネジャーの月間業務は、利用者宅の訪問や各事業所とのサービス調整のほか、事業所の規模や委託業務などに応じ請求業務や書類作成の事務作業サービスを行ったり、認定調査認定調査などの業務調整が必要です。 ケアマネジャーの主な月間業務は以下のものがあります。 ・給付管理、請求業務 ・モニタリング訪問 ・担当者会議の開催 ・認定調査の実施 ・研修、定例会議の実施 ・利用票、サービス提供票の交付 上旬は「実績管理」などに追われることが多いです。 ケアマネジャーの月初め サービス提供票との実績管理や給付管理票と居宅介護給付費の作成といった請求業務を行います。 居宅介護給付費の請求書と給付管理票は、10日までに国民健康保険団体連合会(国保連)に電送しなければなりません。 月初めでも新規相談や急なサービス調整、その他のケアマネジメントのプロセスをこなしていかなければいけないため、慌てて誤請求などがないように月初めから10日までのスケジュールを管理しながら請求業務を行うことが大切です。 中旬からのモニタリング訪問スケジュール 給付管理業務が一段落した中旬からは利用者宅へのモニタリング訪問や担当者会議を行います。 認定結果やモニタリングに応じて再アセスメントを実施しサービス調整が必要になる時期でもあり、サービス担当者会議などの開催のためサービス事業所と日程設定する必要があります。 担当者会議は参加者のスケジュールを確認しつつ、開催時期を設定できるよう余裕をもって開催時期を設定することが望ましいでしょう。 モニタリングは要介護の利用者に対しては最低月1回のモニタリング訪問が義務づけられています。 利用者のサービスや受診日、家族の就労スタイルなどにも配慮し、早めにアポイントをとることを心がけることが大切です。 認定調査や研修・地域連携の活動 市町村から認定調査の委託業務を受けている場合、提出期限に留意しスケジュールを組まなければなりません。 特定事業所の算定をしている場合、利用者の情報やサービス提供上の留意事項などの伝達を目的とした会議をおおむね週1回以上、定期的に開催しなければなりません。 また、介護支援専門員に対し、計画的な研修の実施や地域包括支援センターが主催する事例検討会や、他の法人が運営する居宅介護支援事業所と共同で事例検討会や研修などを行う必要性があります。 その他にも現任者向けの研修をはじめ、ケアマネジャーの資格を更新するための更新研修や管理者要件である主任ケアマネジャーの資格習得、更新研修など研修受講の必要性があるため、年間スケジュールを管理することが必要です。 下旬のサービス 下旬にはサービス利用票・提供票を作成し、利用者と各サービス事業者に交付します。 地域包括支援センターから介護予防支援事業の受託をしている場合、地域包括支援センターが給付管理業務を行うための情報提供も必要です。 また、翌月の介護認定更新の手続き準備や、ケアプランの短期目標期間にも留意して次月のスケジュールを調整することも大切です。 おすすめのケアマネ手帳 第一法規 ケアマネスマートダイアリー2023 監修 特定非営利活動法人 千葉県介護支援専門員協議会 A5版/216頁/定価1,430円(本体1,300円+税10%) ケアマネ手帳はレイアウトや利便性を追求したデザインで、介護保険制度に伴う法令・通知・資料など、最新の介護報酬改定にも対応しています。 予定管理に役立つほか、訪問先での資料も収録されていたり、手帳によっては専用WEBサイトにダウンロードが可能な関連通知などの資料が掲載されていたりするので確認しながら業務が行えます。 薄くて軽く他資料などと鞄に持ち合わせても支障がなく、記載欄も大きく使いやすいため、現場のケアマネ必須の頼れる手帳です。 年間・月間・週間カレンダー部分はシンプルに使いやすさを追求しておりタスク管理が出来るようになっています。 ダイアリー巻末資料一覧 ・2023(令和5)年用 年齢早見表 ・令和3年度から令和5年度までの間の地域区分の適用地域 ・介護保険で利用することができる主なサービスと単位数 ・高齢者の日常生活自立度判定基準 (障害高齢者の日常生活自立度判定基準、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準) ・身体各部の名称と骨・関節の名称 ・検査項目の説明と基準値 ・私の社会資源(関係機関連絡先) 参照::ケアマネスマートダイアリー2023 中央法規 ケアマネジャー手帳2023 監修 高村成幸/編集 ケアマネジャー編集部 A5版/272頁/定価1,540円(本体1,400円+税10%) 中央法規出版のケアマネジャー手帳は書き込みやすさにこだわり、使いやすいデザインで時間管理のサポートがあります。 また、いざ記載の際にペンを探すなんて事がない「ペンホルダー」付きなこともうれしいポイントです。 ケアマネジャーの質問力の著者で地域福祉を支える「地域ケアシステム」づくりと「新しい福祉の人材育成」を掲げて活躍をしている高室氏、ケアマネジャー編集部が総力を結集してつくったケアマネ専用手帳のため、使える情報が満載の「便利帳」もついています。 便利帳 ・高室の目 ・介護保険制度 ・介護報酬算定 ・関連する制度等 ・ICTを活用したケアマネジメント ・多職種連携の必須資料 ・介護報酬の概要 ・アドレス帳 参照:ケアマネジャー・介護職 手帳2023 | 特集 | 中央法規出版 ユーキャンのケア実用手帳2023年版 著/文/編集 ユーキャン学び出版ケア実用手帳研究会 A5版/272頁/定価1,628円(本体1,480円+税10%) ユーキャンの介護職従事者向け手帳といえば、全国主要書店売上合計16年連続NO.1の実績があります。 現職ケアマネさんと共同開発ならではの工夫が満載なうえ、中面は目に優しいグリーンを基調に見やすく、表紙デザインもテキスタイル調の地に北欧風の一枚絵をあしらっておりデザインにもこだわっています。 年齢早見表は裏面の利用者向け介護保険利用フロー図が記載されており、制度の説明や厚紙製のため、押印の下じきにもなって契約の時に便利です。 今年はお客様の声をもとに以下も改善されています。 改善ポイント より軽い紙を採用 より開く製本形式に変更 ビニールカバーに「ペンホルダー」と「しおりタグ」 カラー巻頭(特集) ・介護制度改正情報 ・高齢者施設の種類 ・日常生活自立度判定基準 ・人体部位名称 ・医療的ケア ・介護/医療保険の給付対象区分 ・16種類の特定疾病 ・検査値 ・権利擁護 ・請求前チェック項目など 参照:2023年版 ユーキャンのケア実用手帳 スケジュール管理のポイントと訪問先での活用 ケアマネジャーの業務は利用者との面談以外に多くの事務作業をこなさなくてはいけません。 スケジュールを組んでいても、高齢者は体調の不良などで急遽のサービス調整が必要になることもあり、日々飛び込んでくる業務に必要な事務作業時間を確保することが大切です。 まとめ ケアマネジャーは予定外の業務に追われることが多く、タスク管理などで全ての業務を可視化しスケジュール調整を出来るようにすることが必要です。 また、訪問や担当者会議などの記録作成が出来る時間を確保するなどの仕事の抱え込みすぎを防ぐことが重要です。 ケアマネ手帳で自分のすべき「今」を把握し、効果的に物事をすすめる時間管理こそ仕事を支配する第一歩ですので、活用してみてはいかがでしょうか? 最後までお読みいただきましてありがとうございました。