訪問介護サービスの一つに、利用者の病院受診の一連を介助する「通院介助」があります。 今回は通院介助一連に纏わるトラブルや対応について、事例を交えながら紹介します。 通院介助とはどんな介助? ここでは通院介護がどのようなサービスなのかを解説します。 病院受診する為に利用者の移動支援を行う介護サービスです。 訪問介護サービスには、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つに分かれます。 通院介助は下記の図の通り①~⑤の対応の仕方があり、其々の介助に分けられています。 ①と②に代表されるのは介護タクシーで、介護資格のある運転手が病院への行き帰りの対応を行うものです。 一般的に通院等乗降介助と呼ばれるもので、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も含まれます。 ③は病院へ受診する為の外出介助で、帰宅まで訪問介護のためヘルパーが対応しますが、院内は基本病院側の対応となる為、介護保険適用外となります。 例外として、病院側が対応できない、院内での家族付き添い対応ができない、利用者の心身不安定による見守りや介助を要する等、理由によってはケアマネージャーが事前確認の上で訪問介護にて院内介助が行える場合もあります。 ④の様に介護度が4~5と重度で相当時間数の身体介護を必要とする場合は、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も、通院等乗降介助の乗車前や降車後介助の一環とならずに身体介護中心型という形になります。 ⑤は要介護認定(介護度1~5)の利用者が病院受診をする前と後に、受診に関連する介助ではない別の身体介護中心の介護を30分~1時間程度以上のサービスを行う場合が対象となります。 ①~⑤に関して、要介護度認定を受けた利用者が病院受診前後の介助を訪問介護サービス(介護保険)で対応し。病院内の対応は医療機関である病院側(医療保険)が対応する事が前提です。 但し③でも述べましたが、例外として院内介助も介護サービスとして対応できるケースもあります。 要支援の人はどうするの? 基本的に通院介助は要介護認定を受けた利用者でケアマネージャーがケアプランに通院介助が必要であると記載され、訪問介護を計画された場合のみです。 要支援1~2の認定を受けた利用者は、通院等乗降介助は介護保険サービスとして算定できません。 要支援は簡単に言うと「基本的に日常生活を送る能力は持っているが、支援を必要する部分もある」という事を示しいます。 そのため、要支援者の介助は、 「自分でできる事は自分で行う」 「できない事のみ支援する」 「できない事が少しでもできる様になる」 という利用者が自立を維持しながら日々を過ごせる為の支援であると考えると分かりやすいかもしれません。 要支援者と認定された場合、「移動」という動作・行動が自身でできる状態にある事が多く、通院に関してもヘルパーが介助する必要性は無いと判断される傾向にあります。 また要支援は、日常生活支援総合事業の訪問型サービス(旧:介護予防訪問介護)という形でヘルパーがサービスに入る事もありますが、週に1~3回程度で月に4~13回程度入るといった回数が決まっています。 月に回数が定められている中で、病院受診が毎週あるとは考えづらい点や、病院までの移動にヘルパーの介助の必要性を問われる点からも、要支援の認定を受けた利用者がヘルパーによる通院介助を受けづらいとされるのです。 要支援であっても病院受診をするのに不安な面がある場合等、理由によっては支援を受ける事ができる例もあります。 (例1)要支援認定であるが、現病歴による後遺症があり、身体の動きが悪く、躓いたり転倒する危険性があり、日常生活において支障がある場合。 (例2)入院していた要支援の利用者が退院し、退院後の日々の生活において身体状態の不安定がみられ、支援を必要とする場合。 他にも色々なケースがありますが、いずれもヘルパーによる支援が必要とされる場合は、ケアマネージャーや包括支援センター、市町村等の自治体と相談や協議を行い、その上でケアプランに必要性を謳う事で可能となる事もあります。 但し要介護の利用者の様な通院介助ではなく、外出支援(移動支援)という形での対応です。 そのため、介護タクシー(介護保険適用)は利用できない代わりに福祉タクシー(介護保険の適用無し)で対応する等の対応になります。 あくまでも「支援」であり「介助」では無い事と、基本的に要支援対象者は通院介助は介護保険では認められない傾向にあると考えた方が良いでしょう。 利用者の思惑、ヘルパーの困惑 通院介助を行う上でサービスの内容を確認するのは当然です。 例えば、訪問介護側と利用者側で「通院介助にかかる費用」や、「どこまで介助が可能なのか」「病院受診後ついでに、と急な依頼への対応」など、色々と確認しなければいけない事があります。 ケアマネージャーからも通院介助をケアプランに追加する際は事前に説明等を行いますが、介護を行う側と受ける側双方が認識を共有しておかなければなりません。 <下記の図にある、様々なトラブルに繋がってしまう言動事例も参照下さい。> 移動手段もいろいろ、意外とお金もかかる? 「病院受診は訪問介護でヘルパーが対応するから大丈夫だ。」と、受診に関する一連の行動や必要とされる介護のみにクローズアップされがちです。 しかし、介護保険とは別にお金がかかる場合もある事を忘れてはいけません。 勿論、ヘルパーも通院介助においてできる事・できない事の認識をしておく事は絶対です。 例えば、利用者側からすれば「訪問介護サービスでの介護利用だから1割負担(又は2割負担)で済む」との認識をされている場合もあります。 間違いでは無いのですが、通院等乗降介助では「利用者宅から車両で病院へ移動し、受診手続きや薬の受取り等対応しまた利用者宅へ移動する介助」に該当する介護サービスのみ、介護単価で行われます。 当然、車両運賃は介護サービスには含まれません。 介護タクシーでは、通院等乗降介助の介護サービス費とタクシーとしての運賃との合算で請求されます。 介護タクシーを利用しない場合でも、ヘルパーの介助を伴いながら各交通機関を利用した際は 利用者本人の交通機関の運賃と共にヘルパーの運賃も発生します。 一般タクシーを利用する場合は乗合となる為に、1人でも2人でも料金は同じです。 しかし、バスや電車を利用する場合は2人分の運賃が発生し、それは利用者負担となるのです。 また院内介助を行う際に、介護保険対応とならない場合は自費サービスを利用される事があります。 自費サービスは介護保険の様に1割負担(又は2割負担)ではなく、全額負担であったり、介護事業所による金額設定が為されています。 そのため、介護サービス費用の感覚でいくと割高に感じるかもしれません。 重ねて院内での時間が長くなれば、自費サービスの時間も長くなります。 また、通院介助の総額が高額になる場合もあるので、ヘルパーに介助を依頼したいけれど金銭面での負担が苦となることがあります。 利用者側のストレスが、更にトラブルへと発展しかねない状況を生み出す原因とも成り得るのです。 予め、利用者へのモニタリングで病院への経路や受診に掛かる時間を確認しておき、費用を概算し、事前に書面化してお知らせしておく事が出来たらお互い安心かもしれません。 いざ病院へ!と行ったはいいけれど。 何度も言いますが、基本的に病院内での対応は医療管轄である病院側であり、介護保険での利用はできません。 でも実際は、病院受診で受付を済ませて、診察又は検査で待つ間や呼ばれて対応する際に病院側の介助は無く、ヘルパーが対応する事態になる事も少なくはありません。 病院側も人手不足であったり、ヘルパーの付添があるならばそちらで対応したらいいと言う様な言動を取られた事もヘルパーを経験した者ならばあるでしょう。 そんな病院内での対応に関するトラブルの例です。 何れも、通院介助を行う訪問介護側と病院側との連携・確認不足による不手際がトラブルに繋がってしまったケースです。 事前にケアマネージャーと病院側との確認はなされており、その通りに進むべきではあるのですが まれにこういった予想しなかった事態になってしまう事も起こり得るのです。 事前確認し、ケアプランに追加された後、訪問介護側でも通院介助時の訪問介護計画や予定の再確認 予測外の事態に備えての対応策を講じておく等、訪問介護側もヘルパーと再度情報を共有して介助を行う様にしていく事が重要になってきます。 また、自費サービスが発生する場合は、利用者側にも了解を得る形をしっかり取って双方できる限り負担の掛からないようにしなければなりません。 利用者側と訪問介護側で金銭面以外でもこんなトラブルが発生する事もあります。 ①~③の例を上げましたが、通院介助を行う前はきちんと説明をして了承を得ていても、いざ病院に行く=外出するとなると「ああしたい、こうしたい」の欲求が出てくる事もあるようです。 ①の様に「ちょっとだけ良いだろう」という考えでヘルパーに依頼してくる事もあります。 これは訪問介護で対応可能なのか?ケアプランにその介助内容は含まれているか?をよく考えて対応し、分からない場合は訪問介護事業所の責任者に報告・連絡・相談が必要です。 ②のケースは、たまたまその利用者の訪問介護計画に買い物や整理整頓の見守り的支援があった為に 可能となったサービスです。 これが「美容室に寄って帰りたい」や「娘家族のお土産買って帰りたい」等であった場合は対応不可となります。 ③に関して滅多に無いとは思われますが、利用者やその家族からの「訪問介護の契約をしているから、ヘルパーに何でも頼んでおけば良い」という考えの下に出た発言です。 訪問介護のヘルパーによくある「何でも屋」扱いですが、ここでは利用者からきちんと断ってくれた為、トラブルとはなりませんでした。 ヘルパーは第三者からの突然の言動にも落ち着いて対応できないといけません。 他にも色々とトラブルへ繋がる様な事態が発生する事もあります。 基本はケアマネージャーと病院側で確認した上で計画された訪問介護(通院介助)の計画をよく確認し、当日どう対応するのかをヘルパー含めたチームで理解し対応する事が求められます。 また、ヘルパー自身が対応に困る事態が起きた場合は、すぐに訪問介護事業所へ連絡することが重要です。 サービス提供責任者や、場合によってはケアマネージャーに対応を依頼する事も必要となります。 ヘルパー自身の曖昧な判断で対応したり、良かれと思って対応した結果、後に難しいトラブルへと発展してしまう事にも繋がりかねません。 病院という在宅外での介護の為、臨機応変な対応が求められる場合もありますが、あくまでも訪問介護サービスである事を踏まえた上での対応にヘルパーは従事しましょう。 まとめ 今回は通院介助についてや介助時のトラブル、対応等を紹介しました。 ・通院介助とは、要介護度認定を受けた利用者が病院受診をする為に行われる訪問介護であり、通院等乗降介助や身体介護中心型といった形がある。 ・基本的に病院内は医療機関の対応となるが、事前確認によっては訪問介護で対応する事もある。 ・要支援は通院介助の対象外であるが、場合によっては外出支援として対応できる事もある。 ・通院介助では利用者の負担が介護保険以外にも発生する事があるので、双方の確認が必要である。 ・訪問介護で院内の介助を行う場合は、病院側と訪問介護側との連携や確認が再度必要であり、利用者との間にも自費サービスが発生する場合の確認を行っておく必要がある。 ・利用者と訪問介護側の間でも、通院介助をする際にできる事やできない事の確認を行い、双方が理解しておく必要がある。 通院介助は各自治体によっての解釈が異なる場合があります。 利用者の居住する自治体が、どこまで通院に対し、介護対応を許容するのかをよく確認した上で、病院側、利用者側、訪問介護側との連携を踏まえてサービスする事も大切です。 訪問介護でヘルパーが通院介助を行う為の情報の一つとしてお役立て下さい。
ショートステイを運営しているけど、「ショートステイを利用していくことで、利用者や家族はどのようなことを求めているのか」と考えている事業主の方もおられるのではないでしょうか。 この記事では、今後ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 そもそもショートステイとは何か? ここではショートステイの「主な利用目的」や「ルール」について解説していきます。 ショートステイの利用シーン ショートステイは一時的に利用できる短期の宿泊サービスです。 自宅での介護が困難な時や介護者のリフレッシュのために利用されることが多いでしょう。 あくまでも短期的に利用するサービスであり、生活の拠点として長期的に利用するサービスではありません。 ショートステイの主な利用シーンは、次のようなケースが考えられます。 介護者の出張や旅行で自宅での介護が困難な時 介護者の入院などで自宅での介護が困難な時 介護者の休息が必要な時(レスパイトケア) 介護者の体調が優れない時 施設への入所前に施設生活に慣れるため ショートステイの日数制限ルール ショートステイは介護保険が利用できる日数に制限が設けられています。 なぜなら、介護保険サービスは各介護度に応じて一ヶ月に利用できる単位数が決められているからです。 そのため単位数を超えない範囲で、利用日数を抑える必要があります。 各介護度で定められた単位数を超えた場合は、介護保険が適用されず利用料金が全額自己負担となります。 最も介護度の低い要支援1の場合5,032単位、一番重度である要介護度5の場合36,217単位となります。 介護保険内でショートステイを利用できる日数の上限は下記のようになります。 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 日数 6日/月 11日/月 17日/月 20日/月 28日/月 30日/月 30日/月 ※一ヶ月あたりの日数の上限になります ※実際の利用可能日数はサービス加算費などによって異なります。 当然のことではありますが、他の介護保険サービスを利用した場合にはさらに日数が短くなります。 上記のことからもショートステイは長期に利用できるサービスとは言い難いでしょう。 ショートステイに求められること ここでは介護業界の現状を踏まえた上で、ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 介護業界の現状 日本では少子高齢化が進み人口は減少してますが高齢者の数は年々増えています。 特に後期高齢者である75歳以上の増加は顕著になっています。 75歳以上の人口を各年度ごとにまとめてみました。※()内は全人口に占める割合です。 2020年……1,860万人(15%) 2025年……2,180万人(18%) 2040年……2,239万人(20%) このように高齢者が増えることで、介護施設の需要はさらに高まっていくと考えられます。 しかし、高齢者を支える働き手が減少していくなかで、満足な介護サービスを受けることができない介護難民が増えていくのではないでしょうか。 肝心の施設を建設しても、働き手が減少している社会構造の中で人材の確保が難しいのが現状です。 ショートステイに求められるニーズとは? 今後、少子高齢化により介護施設の需要が高まるなか、ショートステイに求められるのは足りない施設サービスの穴埋め的存在ではないでしょうか。 いわゆる「長期利用(終の棲家)」です。 また、長期利用を想定した場合「看取り」のニーズも高まるでしょう。 今後のショートステイは長期利用のニーズがさらに高まる ショートステイの本来の目的は短期利用ですが、実情として利用が長期にわたるケースは一定数、存在しています。 2020年の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、ショートステイ事業所の6割が31日以上の長期利用を受け入れています。 また、調査対象となった3万9,375人の利用者のうち、3,396人が長期での利用をしています。 これは全体の8.6%を占める数字です。 長期利用をする理由には「特養入所までの待機場所として」が89.2%と最も多くなっています。 これは準特養と言ってもおかしくないです。 今後、後期高齢者の数が増えることや介護人材の減少が進むことを考えると、その数はさらに増えていくのではないでしょうか。 今後のショートステイでは看取り対応が求められる 今後ショートステイでの長期利用が進むことを考えると、ショートステイでの看取り対応のニーズも高まっていくでしょう。 なぜなら施設への入所を待っている間に、老衰や体調不良で亡くなってしまうケースも避けられないからです。 介護事業所で看取りを行う場合、一定の基準を満たしていれば看取り対応を行うことは可能です。 看取りを行うには、介護保険法の定めによって、下記の条件を満たしている必要があります。 看護職員・医師・診療所指定訪問看護ステーションと24時間連絡をとれる体制である 施設入所の際の指針について、本人や家族に説明し同意を得る 医師・看護師・ケアマネージャー・介護職員が看取りに対し見直しをする 看取りに対して研修を行う 看取りの際は自宅や静養室などの環境を整え、他の入所者に配慮する 現在の看取りは8割が病院、2割が施設や自宅となっています。 今後高齢化が進む中で介護施設での看取りの需要は高まるでしょう。 ただ看取りは「介護職員の精神面への負担も大きいこと」や、「人材の確保」、「医療機関との連携が難しい」などの理由により行ってない施設が多いです。 ショートステイを展開する上で大切なポイント 今後、ショートステイの事業を展開していく上で、求められているニーズをしっかりと踏まえ、差別化をしていくことが大切になってくるでしょう。 具体的なニーズに関しては下記が考えられます。 ショートステイの長期利用 ショートステイでの看取り対応 サービス事業者と利用者をつなぐ居宅介護事業所(ケアマネージャー)に、これらのニーズを満たす事業所と認知してもらえれば、様々なケースの依頼も増えていくでしょう。 各事例を一つ一つクリアしていくことで、その実績が強力な営業ツールになるのではないでしょうか。 各市町村によりショートステイの長期利用に関しての見解も違うためハードルがあるのも事実です。 ただ、可能な範囲で他社との差別化をはかっていくことは、経営していく上で重要です。 まとめ ここまでショートステイの求められるニーズについてまとめてきました。 今後、75歳以上の後期高齢者は加速的に増えていく 高齢者の増加と働き手不足で特養などの施設に入れない高齢者が出てくる 施設不足によりショートステイの長期利用のニーズは高まっていく ショートステイの看取りのニーズは高まっていく 今後、ショートステイでは「長期利用」と「看取り」対応で差別化する事も重要 最後までお読みいただきありがとうございました。
高齢化社会が進む中、毎年人口が減っている日本では介護業界の人材不足が課題となっています。 今回は、介護業界をより魅力的にする方法と、人材不足を解消する方法について紹介します。 介護業界の人材が不足している理由 介護業界の人材が不足している理由は、主に以下の2つが挙げられます。 日本は少子高齢化が進み、人口バランスが崩れている。 介護業界はネガティブなイメージが多く、求職者はすくなく離職率も高い。 まずは、この2つを説明します。 日本の少子高齢化 介護業界の人材が不足している理由の1つ目は、「少子高齢化」です。 内閣府のホームページによると、2019年現在で、日本の人口の28.4%が65歳以上となっています。 総人口は減少するも高齢化は進み続け、総人口における65歳以上の割合は、2036年には33.3%になると言われています。 高齢化によって、介護を受ける高齢者が増えていくことでしょう。 また、日本は高齢化が進む中、出生率の減少が続き少子化も問題となっています。 介護を必要とする高齢者が増えるにも関わらず、働き手である若者の割合が減少することが主な原因です。 そのため、企業が人材を確保する競争率も高くなります。 ネガティブなイメージがある 介護職を知らない人に介護業界のイメージを尋ねると、ほとんどの人が「大変そう」「体力仕事」「汚い」「給料が安い」と答えるのではないでしょうか。 介護職の経験を持つ筆者も、親戚や友人に介護職として働くことを伝えた際には同じような回答が返ってきました。 このように介護業界には、ネガティブなイメージが植え付けられています。 これらの理由で、介護業界の人材は不足すると言えます。 介護業界をより魅力的に 介護業界の人材不足を解消するために、まずは介護業界をより魅力的にする必要があります。 介護業界をより魅力的にするためには、「イメージアップ」が重要です。 筆者も介護業界について全く知識がなかった頃は、「介護の仕事は、大変そうで汚い、給料が安い」というネガティブなイメージを持っていました。 しかし、実際に現場で働いてみると、もちろん「大変」と思う面もありましたが、介護職になって良かったと実感する瞬間もありました。 「介護職の仕事は大変で汚い」というイメージをなくす 介護の仕事は、入浴介助やオムツ交換などの排泄介助を一般的な介護の仕事として想像されます。 しかし、働く施設や利用者の介護度によって働き方も異なります。 働く施設や形態などによる違い 介護の仕事は、働く施設や形態によってさまざまです。 デイサービスや介護付きの高齢者施設に勤務する働き方と、介護を必要とする高齢者が住む家を回る訪問介護と呼ばれる働き方があります。 デイサービスは、日中のみ高齢者を受け入れる施設のため、レクリエーションや食事などがメインとなります。 介護スタッフも、基本的な勤務時間は営業時間の8時〜18時です。 また、デイサービスは土日の営業がない施設が多く、休日も確保しやすいと言えます。 高齢者施設は規模に合わせて介護スタッフが必要なため、数十人の介護スタッフが同じ現場で働きます。 そのため、スタッフ同士の協力によって一人ひとりの負担を減らすことができます。 また、苦手とする仕事や大変な仕事は手伝ってもらうなど、働き方の工夫も可能です。 利用者の介護度による違い 介護職の仕事は、介護サービスを利用する高齢者の介護度によっても異なります。 介護度は、要支援1.2と要介護1〜5で表される要介護状態等区分のことであり、その人が必要とする介護、支援の物差しとなる数字です。 ある程度自立した生活を送ることができる支援1.2の高齢者に行うケアは、一般的に「掃除や食事などの一部を介助する」「買い物、通院に同行する」などがあります。 家事の手伝いなどがメインとなるため、体力的な負担は少なくなります。 「介護職は給料が安い」というイメージをなくす 介護業界の賃金を改善するために、2019年10月1日に「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。 介護職員等特定処遇改善加算は、職場のリーダー的立場にある職員の年収を平均年収まで引き上げ、介護業界の人手不足解消を促すものです。 また、勤続10年以上の介護福祉士には月8万円の手当が支給されます。 介護業界で働くと、キャリアアップと給料アップも可能です。 介護業界の人材不足を解消するには 介護業界の人材不足を解消するためには、どのようにすればよいのでしょうか? 新たな人材の発掘 介護業界の人材不足を解消するには、「新たな人材の発掘」が必要です。 新しい人材を発掘するためには、以下の方法が考えられます。 介護未経験者を「介護助手」とする 介護業界の人材不足を解消するための対策1つ目は、「介護助手という役割を作ること」です。 介護未経験者や介護の資格を持っていない人を介護助手として雇うことで、介護スタッフが介護の仕事に専念できるようになります。 例えば、生活援助と呼ばれる部屋の掃除や買い物は、介護の資格を必要としません。 資格を必要とする仕事とそうでない仕事の役割を分担することで、介護職が働きやすい環境を作ることができます。 外国人労働者を雇う 介護業界の人手不足を解消するための対策2つ目は、「外国人労働者を活用すること」です。 すでに政府は、技能実習制度や特定技能などの制度を作り、インドネシアやフィリピンなどの国と協定を結んでいます。 技能実習制度は、外国人を日本で最長5年間受け入れ、母国では取得できない技能を取得できるようにする制度です。 この制度を利用して、外国人でも介護の資格を取得できます。 環境の工夫 介護業界の人材不足を解消するには、環境を工夫することが重要です。 環境の工夫をするために必要なことは「ICTの導入」です。 ICTは、「Information and Communication Technology」の総称を指します。 日本語では「情報通信技術」と訳され、通信を使用してデジタル化された情報をやり取りする技術です。 例えば、スマートフォンなどのタブレット端末で、先輩や同僚とコミュニケーションや情報共有をすることが挙げられます。 介護業界でICTを使用するメリットは2つあります。 業務の効率化を図れる 情報の連携がしやすい ICTを使用するメリットの1つ目は、「業務の効率化を図れる」ことです。 業務の効率化を図ることで、介護職の負担を軽減できます。 さらに、事務作業にかかる時間を減らすことができれば、介護サービスに時間を割くことが可能です。 利用者に関する記録などを、紙媒体に記入するよりタブレットなどで入力できるため効率が良くなります。 データでまとめて記録できるため、印刷する書き換えるなどの手間が省けて情報共有も簡単です。 ICTを使用するメリットの2つ目は、「情報の連携がしやすい」ことです。 介護サービスには、サービス利用者の家族・介護施設・病院などの医療機関・訪問介護事業所などの繋がりが重要になります。 高齢者に体調不良が見られた場合、医療機関へ繋ぎ、家族にも連絡しなければいけません。 タブレットなどの端末上で、高齢者に関する情報をどこからでも閲覧できます。 スムーズに情報交換ができることで、余分な連絡を取る必要がなく、介護職の負担も削減されます。 また、介護サービスを利用する高齢者の情報は、膨大な量になります。 ICTを利用すると、膨大な量の情報を一括でまとめ、複数の場所で管理可能です。 ICTを利用し、介護職に時間を設けることで、介護サービスの質を向上できます。 そのため高齢者や家族の満足度もあがり、クレームなどを減らすことにも繋がります。 まとめ 今回は、介護業界に魅力を持ってもらう方法と、人材を確保する方法についてお伝えしました。 介護業界の人材が不足している理由には、「少子高齢化」と 「ネガティブなイメージが多い」ことが挙げられる。 介護業界をより魅力的にするために「イメージアップ」が重要である。 介護業界の人材不足を解消するためには、「介護助手という役割を作る」 「外国人労働者を雇う」、「環境の工夫をする」ことが必要である。 最後までご覧くださり、ありがとうございます。
2022年11月1日、神戸地方裁判所において兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故についての判決が下されました。 この判決は多くの医療、福祉分野の関係者を困惑させています。 本記事では、転倒事故の判例を確認し、病院や介護施設など現場で働く自分たちを守るために抑えるべきポイントについて解説します。 事故に至った個別の事情についての批評や、裁判に至った経緯やその判決事態への批判を意図するものではありません。 下されてしまった判決により、今後関係者にどのような影響を与えるかの考察ですのでご注意ください。 転倒事故から判例までの概要 2016年4月2日早朝、認知症を患っている男性は看護師に付き添われてトイレにはいりました。 付き添った看護師は、男性が用を足す間別室の患者にナースコールで呼び出されて排便介助の対応をしました。 用を足し終えた認知症男性は、トイレから出て一人で廊下を歩き転倒してしまいます。 その結果、外傷性くも膜下出血と頭蓋骨骨折の診断を受けました。 その後寝たきりになってしまった男性は、2年後に心不全で死亡しています。 男性の家族は、入院中の転倒により怪我をして治療が必要となった結果、寝たきりになり両手足の機能が衰えたと主張しました。 転倒させた病院に責任があるとし、兵庫県に対し2,575万円の損害賠償を求めます。 対する県側は、「別室の患者は感染症を患っており、排便の介助を急いだことはやむをえないと主張しました。 6年後の今年11月、神戸地裁で出された判決は以下の通りです。 「認知症の男性から目を離せば、勝手にトイレを出て転倒する可能性は充分に予見できた。 別室の患者はおむつに排便すれば問題はなかった。 すでにトイレに入っている人よりも、後からナースコールを押した患者はおむつにすればよかった」 として、県側に532万円の支払うよう命じました。 転倒事故の判例を受けた現場の声 この判例を受け、SNS上では、医療や福祉の関係者から多くの反響がでています。 夜勤一人で20人の対応。コールは重なる。おむつをしていてもおむつにできない。 変な判例を作らないでほしい。認知症の人は抑制をデフォルトにしろということか。 両手に火のついたダイナマイトを持たされて。爆発は予見できたって言ってるようなもの。 これは厳しい。今後、リスクの高い人はおむつにしろと言ってるようなもの。 無理ゲー。 マンパワーが足りない。転ぶ時は一緒に転ぼう。 2チャンネル創設者で実業家のひろゆき氏は、「『87歳の認知症患者が病院で歩いて、転倒したので病院は532万円支払え』という判決。認知症患者は、ベッドに縛り付けて動けなくするのが正解ということですね」と呟いています。 転倒事故の判例の問題点 この判決は、ただ単に一つの病院で起きた裁判というだけではなく、病院や高齢者施設で働く全ての関係者にも影響を起こしかねないことです。 この判決の問題点は3つあります。 訴えられるリスク 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 スタッフは守られない では、一つずつ説明します。 訴えられるリスク 自分が働く施設で同じような転倒事故が起きてしまった場合に、施設が訴えられるリスクが上がったと言えます。 判例が出たということはそれだけ影響のあるものです。 日頃から施設の対応に疑問を持っていた家族が、転倒事故をきっかけに訴えるようになることは容易に想像できるでしょう。 夜勤帯にナースコールが重なり、対応が間に合わず転倒事故が起きてしまうことは、対策をしていても起きてしまうもの。 しかし、判例が出てしまった以上は「転ばないで」と祈るだけではどうにもなりません。 いくら丁寧にケアをしていても、訴えられたら負けてしまいます。 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 今回の判例は、安易な身体拘束を助長させるとともに、認知症のある利用者の受け入れを拒否する施設を増やす危険性を高めてしまいました。 病院では治療のために身体拘束を行うことはありますが、高齢者施設では原則身体拘束は行いません。 しかし、転倒事故が裁判に発展し損害賠償を求められるのであれば話は別です。 利用者本位を謳い一生懸命ケアしていても、一つの転倒事故から多額の損害賠償を求められてしまっては経営が成り立ちません。 身体拘束が認められる緊急やむをえない場合、「切迫性、非代替性、一時性」に当てはめて身体拘束を行う施設が増えることも考えられます。 最終的には認知症のある利用者の受け入れを拒否することに繋がってしまうリスクがあります。 スタッフは守られない 今回の判例を受け、利用者の安全を守るために少ない人員で走り回っても、転倒事故が起きてしまえば、スタッフは守られないことがわかってしまいました。 訴えられているのは県や病院ですが、事故の当事者や同僚のショックは計り知れません。 働き続けるのが難しくなるケースもでてきます。 転倒事故を完全に防ぐにはマンツーマンの対応が必要ですが、急に人員が増えることはないでしょう。 自分たちを守るためにどうすれば良いかを考えなくてはなりません。 介護事故訴訟は増加傾向にある 介護事故の訴訟件数について、具体的な統計は判明していません。 しかし、介護事故による訴訟数は増加傾向にあるとされています。 介護事故による訴訟で最も多いのは転倒事故です。 転倒することで骨折や脱臼をしてしまうなど重傷を負ったため、訴訟になってしまうことが挙げられます。 その他にも、誤飲や誤食、薬の誤配なども訴訟になることがあります。 施設側の責任を否定した裁判もある 先に施設側の責任を認めた判例についてご紹介しましたが、訴訟の中には施設側の責任を否定したものもあります。 それは、東京地裁にて、平成24年11月13日に判決が出たものです。 事案内容は、71歳の利用者がデイケアを利用していた際、転倒してケガを負ったというものです。 原告は利用者の親族でした。 この際、施設側は以下の記録を提出しています。 利用者のアセスメント表(利用者の状態を情報収集した表)には、寝返りや起き上がり、移乗、歩行についての評価は「自立」であった。また、歩行、立位、座位でのバランスも「安定」という記載がされていた 利用者は施設の見学や利用の際にも一人で歩行しており、その際転倒したことはない 日常的に通院していた病院の診療録でも、利用者は転倒や転落歴がなく、歩行時のふらつきもなかった 上記による記載事項から、利用者には歩行能力において特に問題はなく、階段の昇降を含めて歩行時に介助を必要とする状況にはない、とされました。 このため、施設側は、利用者が転倒することを予見するのは不可能だったと認定し、この裁判の判決では施設側に責任はない、とされました。 このほかにも施設側に責任はなかった、とされる事案がいくつか出ています。 予見可能性が重要 上記の判決から見ても、施設やその職員が事故が発生する可能性があると予め認識できたかどうか(予見可能性)、あるいは、実際に認識すべきであったかどうか(予見義務)がとても重要です。 また、事故を回避できる可能性や、事故を回避する義務があるかどうかも考えなければいけません。 基本的に予見と結果回避は別のものです。 基本的に両方がそろわなければ、施設側の責任にはなりません。 しかし、多くの事件では予見が出来れば結果回避するための措置が必要であるとされ、施設側が責任を負う結果になりやすいのです。 自分たちを守るために抑えるべきポイント 転倒事故が起きてしまった時に自分たちを守るためには何が必要でしょうか。 上記の判例を受けての対応として、ここでは3つのポイントを説明します。 ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書類を確認する 自分たちを守る仕組みを作る それぞれ説明します。 ニュースや事例を共有する 今回の西宮病院の判例は病院や高齢者施設で働く全ての人に関係します。 報道されている事故の経緯を確認し、チーム内で共有することが第一歩です。 西宮病院の判例以外にも病院や高齢者施設での事故に関する判例は多くありますので、自分たちに関係のあるものを共有し、自分たちの身に降りかかる可能性があることを認識しましょう。 施設のマニュアルや書類を確認する 次に自分たちが働く施設は、利用者や家族に転倒や事故についてどのような説明をしているのかを確認します。 高齢者は転倒しやすいこと、施設で身体拘束はしないこと等、その中でどのような事故予防をしているのか等の説明内容や交わしている書類を確認しましょう。 何が足りないのかを明らかにし、その仕組みを整えるにはどうすればいいか検討し行動する準備をします。 自分たちを守る仕組みを作る それぞれの事業所の中で、自分たちを守る仕組みができているのであれば特に問題はありません。 しかし、ほとんどの事業所は日ごろの業務や現場で起きていることに集中するあまり、自分たちを守る仕組みづくりに着手できていないのが現状ではないでしょうか。 仕組み作りには「個人だけで考えるのではなく、部署や事業所単位で相談し検討する」ことが大切です。 一人ひとりの自己犠牲ややりがいに頼っていては何も変わりません。 委員会や会議、部署内のミーティング等、スタッフ間で意見交換できる場を作り検討する必要があります。 複数のコールが重なったらどのように動くか 起きてしまった転倒事故の再発防止策 家族への説明書類について不足部分がないか確認し、状況に応じて更新する 利用者に対する記録を付けるようにする 上記のように、細かいことからでも始めて自分たちを守る認識を強く持つよう働きかけ、仕組みを作っていくことが必要です。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故に関する判例から 判例の問題点、自分たちを守るために抑えるべきポイントについて説明しました。 判例の問題点 訴えられるリスクが増した 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否に繋がる スタッフは守られない 自分たちを守るために抑えるべきポイント ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書式を確認する 自分たちを守る仕組みを作る 判例がでてしまった以上は自分たちの身は自分たちで守らなければなりません。 今日転倒事故が起きたら訴えらえれてしまう可能性もあります。 自分たちを守り安心して働き続けられるよう、事業所や部署内で検討を重ね、仕組みを作りをしていくことが大切です。 最後までお読みいただきありがとうございました。
「ユマニチュードで介護拒否が少なくなったと聞くけど本当?」 「そもそもユマニチュードって何?」 今回の記事ではこのようなユマニチュードの疑問について解説していきます。 ユマニチュードとは ユマニチュードはフランスの体育学の専門家であるイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したケアの技法になります。 言葉の意味は「人間らしさを取り戻す」という意味を持つフランス語の造語です。 ユマニチュードの基本理念は相手との信頼関係を構築して「絆」を深めることにあります。 代表的な4つの技術である「見る」「話す」「触れる」「立つ」を駆使して相手との「絆」を深めることを目指しているものです。 相手との信頼関係を構築するために嫌がること(強制ケア)をしないのも大切なポイントになります。 なぜ介護の現場でユマニチュードが必要なのか? ユマニチュードは相手との信頼関係を構築し「絆」を深める技法です。 介護の仕事は人を相手にする仕事であるため、相手との信頼関係を深めることは非常に重要です。 そのような理由からも介護の仕事ではユマニチュードは必要ではないでしょうか。 ユマニチュードの具体的な技術4選 人は「周囲からのまなざし」や「声をかけられること」「触れられること」が希薄になると周囲との絆が弱まり、「人間として扱われているという感覚」を失ってしまいます。 ユマニチュードではより良い絆を結ぶための具体的な技術として、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱を定めてます。 ここでは各項目に沿ってそれぞれ説明していきます。 ①ユマニチュードの「見る」技術 相手を見るという行為は、あなたは存在していると伝えることです。 最悪な状態は「相手を見ない」ということです。 なぜなら「相手を見ない」ということは、「あなたは存在しない」というメッセージを発していることに他ならないからです。 では「見る」とは実際にどのようにすればいいのでしょうか。 水平な高さで相手を見る 正面の位置から相手を見る 近い距離から相手を見る 逆にやってはいけないのが、以下の行動です。 相手を見下ろす……これは「支配・見下し」という非言語のメッセージになります 横から目の端で見る……これは「攻撃的」な印象を相手に与えます 遠くから見る……これは「関係性の薄さや否定的」な印象を相手に与えます 相手を見るというのは非常に重要な技術になります。 ぜひ試してみましょう ②ユマニチュードの「話す」技術 進行した認知症のかたは、話しかけても適切な反応が得られないことがあります。 時には無反応なこともあるでしょう。 私たちは相手が反応を示さないと、だんだんと話しかけなくなってしまいます。 それは、ある意味仕方の無いことではあります。 しかし、私たちはケアのプロフェッショナルです。 相手が無反応だからと言って無視してもいい理由にはなりません。 相手に話しかけることは「あなたはここにいる」と相手に伝える重要なメッセージにもなります。 しかし、実際に反応のない認知症の利用者様に対してどう接すればよいか悩むのではないでしょうか。 そこでユマニチュードでは、自分が行なっているケアの動きを「オートフィードバック」という手法で実況中継します。 実際の入浴時のシーンで「今から頭を洗いますよ」と声をかけたり、背中を洗う際は「背中を流していきますね」と、実際に行っているケアの内容を声に出しながら行っていきます。 メッセージを伝える際は「気持ちいいですよ」「肌が綺麗ですね」とポジティブな表現を使うことが大切です。 「相手が応答してくれないから、こちらも反応しなくてもいい」という罠に陥らないよう注意しましょう。 ③ユマニチュードの「触れる」技術 介助で相手に優しく触れることは、ケアを受ける相手に優しさを伝える技術になります。 ユマニチュードでは広い面積で、ゆっくりと、優しく触れます。 同じ力でも面積が広くなれば、相手に与える圧力も小さくなり、逆に面積が小さくなれば与える圧力も強くなり相手に不快感を与えることになります。 ケアを行う人が「必要な行為」と考えて行う触れ方が受け手にとっては「攻撃的な触れ方」になっていることもあるため注意が必要です。 ユマニチュードの「立つ」技術 人間の尊厳は立つことによってもたらされる側面が強く、これは死の直前まで尊重されなければいけません。 また立つことは下記に示すように身体的によい影響を及ぼします。 立つことによる身体に与える効果は以下の通りです。 骨・関節系…骨に体重がかかることにより骨粗鬆症を防ぐ 骨格筋系…立つことで筋力の低下を防げる 循環器系…血液の循環状態を改善する 呼吸器系…肺の容積を増やすことができる 立つことは「人間らしさ」の表現のひとつでもあります。 現在病院や介護施設で寝たきりになっている人も、「レベルに応じた適切なケア」を受けていれば今でも立つことができたかもしれません。 少なくとも1日合計20分立つ時間を作れば立つ能力は保たれ、寝たきりになることを防げるでしょう。 実際にケアに入る前の5つのステップ 実際にケアに入る前には、ケアを受ける相手に私たちのことを受け入れてもらう必要があります。 認知症が進行し相手が分からないだろうと考えて、相手の了解も得ずにケアに入っては相手との信頼関係は築けません。 認知機能が低下した人だからこそ、普段常識的におこなっている関わり方が大切になってきます。 ここから実際にケアに入る前の5つのステップを紹介します。 ①出会いの準備 最初のステップでは自分の来訪を相手に伝えケアの予告をする段階になります。 ケアの予告をすることは非常に重要です。 なぜなら相手がケアに同意してないのに突然布団をめくってしまうと、相手は驚きケアに対して拒否反応を示す可能性にも繋がるためです。 まず自分の来訪を告げ、相手の領域に入りケアの説明をしましょう。 ②ケアの準備 2つめのステップでは、相手からこれから行うケアに対して合意を得ることです。 ここで大切なことは、3分以内に合意が得られなければ「ケアをあきらめる」ことです。 長い時間相手を説得しても、相手は不信感ばかりが強くなり信頼関係の構築はできません。 あまりにも拒否が強い場合は、午前に声かけをしたら次の声かけは午後にするなどしましょう。 合意のないままケアを行うことは「強制ケア」になってしまいます。 例え必要なケアであったとしても、相手は暴力を振るわれたと思い込みます。 これでは「この人は悪い人」という印象を与え、顔を見ただけで拒否されるようになってしまうでしょう。 ③知覚の連結 知覚の連結とは実際にケアに入った際に使う手法になります。 「視覚」「聴覚」「触覚」の3つの感覚に対して、ポジティブな感情を与えることにより、ケアを受ける人が心地よい状態になることを目指します。 実際にケアを行う際に「笑顔」で「穏やかな声」で、そして「優しく触れる」ことです。 知覚の連結を意識したケアを実践することで相手の緊張感がやわらぎます。 「見る」「話す」「触れる」の技術を包括的に行うことが必要になります。 ④感情の固定 感情の固定とはケアが終わった後に、「気持ちよかった」「楽しかった」と利用者様にポジティブな感情をしっかりと残すことです。 そうすることで次のケアにつなげることができます。 シャワー後の声かけを例に説明します ケアの内容を前向きに評価 「シャワー気持ちよかったですね」 相手を前向きに評価 「○○さん、シャワーをして綺麗になりましたよ」 「○○さん、たくさん協力して下さいましたね」 共に過ごした時間を前向きに評価する 「わたしもとっても楽しかったですよ」 「お話しできて嬉しかったです」 このようにケアの後にポジティブな声かけをすることで、「この人は嫌なことをしない人だ」と記憶してもらうのです。 認知症になっても「楽しい」「嬉しい」という感情は維持されます。 やや大げさにポジティブな声かけをすることがオススメです。 そうすることで相手との「絆」もより深まるでしょう。 ⑤再会の約束 最後のステップは、ケアが終わり相手のそばを離れる前に「再会の約束」をします。 相手が約束した内容を忘れたとしても心地よかった記憶や感情が残っていれば、次にそのスタッフの顔を見たときに笑顔で迎えてくれるでしょう ユマニチュードの実際の効果は? ユマニチュードによるケアを実施することで、認知症患者の態度が柔らかくなったり、攻撃的な言動や行動が減ったりするという効果があります。 これは介護者と認知症患者で信頼関係が結べていることが大きな理由ではないでしょうか。 実際にユマニチュードを取り入れた病院での報告を取り上げてみました。 『福岡県久留米市の聖マリア病院では、集中治療室の全看護師が技法を学ぶと患者を身体拘束する割合は半減し、せん妄の発生率は5分の1に下がった』 福岡市で導入3カ月後の変化を調査した結果、介護への抵抗など認知症に伴う行動・心理症状の発生頻度が減り、家族の介護負担感の軽減に有効と確認された』 一番の効果は、介護者が抱きがちな「罪悪感」から解放されることではないでしょうか。 実際に介護現場で働いていると介護する側もされる側も「申し訳ない」という気持ちを感じる場面が多いのも事実です。 信頼関係を高め「絆」を深めることにより一緒に笑い、充実感に包まれることが、ユマニチュードの一番の効果ではないでしょうか。 まとめ ここまでユマニチュードの技術について説明してきました。 ユマニチュードは相手との信頼関係を構築するための技法である ユマニチュードでは決して強制ケアをしない ユマニチュードの技術には「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つのがある ユマニチュードでは実際にケアに入る前に5つの段階を踏む 「出会いの準備」「ケアの準備」「知覚の連結」「感情の固定」「再会の約束」 最後までお読みいただきありがとうございます。
あなたは「訪問介護」に対し、どんなイメージを持つでしょうか? 今回は幾つかの事例を踏まえつつ、訪問介護が担う役割や現状、重要性を、ヘルパーの視点から紹介します。 訪問介護のヘルパーは何をする人? ここでは訪問介護のヘルパーがどのような仕事をしているか、詳しく解説します。 「高齢者の身の回りの世話をする人」=半分正解、半分不正解です。 世間一般で「訪問介護」の「ヘルパー」と聞いたら、まず何を思い浮かべるでしょうか? 実際によく耳にしたのは、「家に行って世話をする人」「家で介護をする人」「高齢者の代わりに家事とか身の回りの事をする人」で、次に「きつい、しんどい仕事」とイメージするようでした。 家族や身内に介護対象者がいる場合は、訪問介護についてのイメージは介護の説明を受けている分理解があるのですが、まだ介護に携わる経験が無い世代では、よく言われる一般論やきつい労働のイメージから、ややマイナス傾向に捉えるものが多いようです。 では実際に、訪問介護のヘルパーは何をするのでしょうか? 「介護、身の回りの世話でしょ。」と答える人が大半です。 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解です。 では「家政婦とヘルパーの違いは何ですか?」と問われたら何と答えるでしょうか? 家政婦も契約した利用者の世話をする事もあります。 「洗濯物が溜まったから洗って欲しい。」「朝はいるけど昼と夕は娘(又は息子)がいないから、ごはんを作って一緒に食べて欲しい。」等、色々要望があるようです。 中には、契約者のご両親が高齢な為に、自分が仕事で不在の1か月の内、週5日の日中ずっと世話をして看て欲しいという要望もあるそうです。 訪問介護のヘルパーは、残念ながら上記のような希望通りに物事を行う事はできません。 「介護を行う事」は「利用者の希望通りの世話を行う事」では無いのです。 そして介護を受ける利用者やその家族も、正しい認識が為されていない事も多いのです。 介護保険の理念 訪問介護は介護保険サービスの一つです。 下記の図のように、3つのサービスに分かれ、主に身体介護や生活援助をメインに行われます。 訪問介護は介護保険法に則りサービスが行われています。 介護保険法には、第一章・総則の(目的)第一条に、要介護状態となった利用者が介護保険サービスを利用する為の目的を謳っています。 それは、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」ということです。 要介護となり介護を必要とする状態にあったとしても、人として生きる為に自分自身でできる動作・作業・行動があればそれを維持するように努めることや、人としての尊厳を失う事が無いように日々の生活が送れるように支援する事が介護保険を利用してのサービスであると謳っているのです。 そして介護保険法の第四条に(国民の努力及び義務)があり、要介護状態になる事を予防する為、健康でいる事に努めるよう謳っています。 また、要介護状態になった場合においても、適切な医療または介護サービスを利用する事で、未だ本人が多かれ少なかれ自身で行える動作・作業・行動の能力の維持向上に努めるよう謳っています。 それを踏まえた上で、訪問介護のヘルパーは何をする人なのでしょうか? 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解の意味が分かりましたでしょうか。 介護認定を受けた利用者が、日々生活を送る上で難しいとされる動作・作業・行動を介助する事で、 「その人が、その人らしい、その人なり」の自立した日常生活を送れるように支援するサービスが訪問介護であり、その介助をする者がヘルパーなのです。 利用者又はその家族や身内の希望する、日常生活での困った事、こうしてくれたら便利だと思う事を代行する「何でも屋」では無く、介護保険という国の制度を利用しているサービスなのだという事の認識が求められます。 訪問介護ヘルパーのあるある、色々大変なのです。 先程の介護保険の理念でも述べましたが、訪問介護は介護保険という国の制度を利用しているサービスです。 つまり、介護保険法という法律を遵守した上で、利用者が自身の身体状態や生活状況に応じ、自立した生活を送れるように支援を行うものです。 しかし、実際に訪問介護でサービスに入ると、予想しない事態や心身共に参ってしまうような問題に直面する事があります。 他にも色々ありますが、訪問介護サービスでヘルパーとして入り、こういった場に直面した際は、その状況や場に応じ、臨機応変に対応していく事になります。 多くの場合は訪問介護事業所に報告や連絡、相談する必要性があるものばかりですが、なかにはサービス提供責任者やケアマネージャーに報告や相談し、サービス内容の見直しや利用者への説明対応が必要になってくるものもあります。 特に訪問介護サービスに入って暫く経過し、利用者との対人関係や状況に慣れてきた頃、慣れが生じてそうなってしまう傾向もあるようです。 ヘルパーにそう言う事で、(あの人はああしてくれた、こうしてくれた等)このヘルパーにもあれこれ動いて貰おうとする意を持つ場合もあります。 また、ヘルパー自身の技術力や対応面の未熟さへの苦言である可能性もあるので、言われた事は一度受け止めて、どう介助すべきか対応の仕方について考える事も必要になります。 夏冬の訪問でよくある例ですが、その状況が利用者にとって、その季節においての過ごし方であれば、その状況で訪問介護を行うようになる事もあります。 あまりに環境が適しておらず、脱水や熱中症、または火事などの生命の危険を孕む場合は、できる限り環境を改善していくように支援していきます。 しかし、なかなかスムーズにいかないことが多いです。 「ずっとこれで生活してきたから大丈夫」と、長年生活してきた経験を根拠とし、不変を望む相手を納得させるのは大変です。 そのため、サービス提供責任者やケアマネージャー、身内の方との協力の下で意見を聞きながら対応していくようにします。 一般的には問題行動を言われる行為・行動がある場合、なぜそういう行動に出るのか、なぜそのような暴言や妄想被害を言ってしまうのかという事をチームでカンファレンスをする必要があります。 ヘルパーも利用者も同じ人間ですので、何か利用者本人にとって不都合が生じていることや、思わぬ障害が潜んでいる可能性があります。 または、ただ単に男尊女卑の考え方が強い等の様々な理由からそういった行為・行動を起こす事もあります。 双方が怪我をしてしまってはいけないので、早めに対応策を講じ、決して一人で解決しないように抱え込まないように訪問介護事業所側もヘルパーをフォローしなければなりません。 緊急性が高い対応を求められることもあります。 家にいない理由は人それぞれですが、「急に病院受診で出掛けた」「ちょっと散歩に出掛けた」 「訪問介護の中止の連絡を忘れて家族や身内と外出されている」等、無事が確認できるものはまだ良いです。 しかし、徘徊傾向のある人が突然出て行った場合や、ベランダや屋内のどこかで倒れていた場合等、利用者の身の安全が守れない、危険に晒されている場合は早急の対応が必要になります。 救急対応が求められ、近くに家族や身内がいない場合はヘルパーが早急に119に電話するなど、然るべき対応を取り、いち早い利用者の安全を守るように動きます。 介護保険を利用してサービスを受けた利用者の支払う費用は、1割負担若しくは所得に応じて2~3割負担となっています。 家政婦や家事代行と比べると金額は低いですが、利用者にとって出費には変わりありません。 お金を出してサービスを受けるという意味では家政婦や家事代行と混同されてしまいがちになりますが、ただ身体介護を行っている、生活援助を行っているだけではありません。 介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはあるのです。 ちょっとした言葉が大きな力と成長に。 上記でも紹介した思わぬ事態や状況、問題に直面する事も多々ありますが、訪問介護サービスに入って感謝の気持ちを耳にしたり、利用者の状態や状況が改善されて良い方向に進むと仕事とは言え嬉しくなるものです。 「ヘルパーさんが入ってくれてから、入院しないで良いようになった。」 「家族からは色々怒られるけど、ヘルパーさんは話を聞いてくれる。」 「このままずっとこの家に住んでいけたらいいなぁ。」 「ありがとなぁ。」 「退院してきたから、また宜しくな。」 「ヘルパーさんがアンタで良かったわ。」 会話や介助の節々でポロっと言われたり、帰る間際に何気なく言われたりすると、その言葉でヘルパーのやる気も出ます。 どうしたら利用者の状態が悪くならないようにできるかを考えて行動したり、住み慣れた自宅で望む生活を送れるようになるかを共に考えていけるようになるのです。 訪問介護事業所もヘルパーも前向きな力と成長を手にし、利用者は自立した生活を送れるようになる「win-winの関係」となるでしょう。 まとめ 色々な例を交えながら訪問介護が担う役割や現状、重要性をヘルパーからの視点ベースで紹介しました。 ・訪問介護の仕事は、あくまでも利用者の身体介護や生活援助を行う事で、家政婦や家事代行の仕事と似ている部分はあっても希望通り全ての家事や世話を行うものではない。 ・訪問介護は介護保険サービスの理念である「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」に沿って利用者へ介護サービスを行う。 ・状態の悪化を予防し、また悪化を防げず進行したとしても、出来得る限りの能力の維持向上に努めなければならない。 ・訪問介護サービスに入ると、予想しない事態や心身共に参るような問題に直面する事が多々ある。 ・そのような事態や問題も解決する為の対応方法や考え方がある。 ・介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはある。 ・利用者の何気ない言葉や感謝の気持ちは、訪問介護事業に関わる人達の力と成長に繋がる。 目に見えるようなはっきりとした成果は表れずとも、利用者やその家族や身内が、緩やかに穏やかに毎日を「当たり前に」自立して過ごせるようになります。 サービスを行う介護事業(訪問介護事業所やヘルパー、ケアマネージャー等)側も、その支援を責任を持って担う事で、双方が「より良い関係を築き上げられるパートナー」となります。 訪問介護で誰よりも利用者と接するヘルパーは、もっと評価されるに値するのではないでしょうか。 どうか誇りを持ち続け、胸を張って介護サービスに携わって下さい。 最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
これから介護の仕事を始めてみたいけど、「自分にできるかな?」「続けられるかな?」「介護って難しそうだな」と不安になっていませんか。 この記事では介護の仕事の素晴らしさについて、分かりやすく解説していきます。 そもそも介護の仕事ってどういうことをするの? 簡単に自己紹介をします 私は介護業界10年目の現役介護福祉士です。 いままで3つの法人で働いてきて、いろんな職員や利用者様とかかわってきました。 今までの経験談や見聞きしたことを踏まえた上で、介護の仕事の素晴らしさをお伝えしていきます。 介護の仕事に興味がある方は、 「介護の仕事に挑戦してみたいけど実際にどういうことをするの?」と不安に思っているのではないでしょうか。 ここでは簡単に介護士の仕事の内容を説明していきます。 介護の仕事内容とは 介護施設を利用されている利用者様には様々な身体レベルのかたがいます。 「自分で全部できる人」「ある程度は自分でできる人」「まったく自分でできない人」…と様々です。 私たち介護士は利用者様のできない部分のお手伝いをするのが仕事です。 従事する施設により業務内容は異なりますが、主に次のような業務に携わることになるでしょう。 食事のお手伝い トイレのお手伝い お風呂のお手伝い 就寝のお手伝い 起床のお手伝い 着替えのお手伝い 歯磨きのお手伝い 定期的なシーツ交換 レクリエーションの提供など その他にも、職員間での情報共有(申し送り)や医療職との連携、ご家族様とのやりとりなど業務は多岐にわたります。 介護の仕事の魅力とは 介護の仕事の一番の魅力は利用者様に貢献することで、直接感謝の言葉をいただけることではないでしょうか。 そこで得られる喜びや達成感は仕事へのモチベーションにもなります。 人間だれしも誰かに認められたい、必要とされたいという欲求があります。 介護の仕事は日々の仕事を通じて、他者から認められ、自己肯定感を高められる素晴らしい仕事です。 介護で身につけられる3つのスキル 介護の仕事の魅力は、どの業界でも通用する汎用的なスキルを身に付けられることです。 介護の仕事には、おむつ交換や食事介助など技術的なスキルを求められる事が多くあります。 しかし、思考力や人間性、コミュニケーションスキルなど、ビジネスの根幹となるスキルも求められる仕事です。 一つ一つ解説していきます。 ①人間性 介護の仕事のみならず、どの仕事もそうですが人間性が問われます。 ただ介護は、より人間性が求められる職業ではないでしょうか。 なぜなら介護は自分自身が商品だからです。 一般的な商売なら物を仕入れ販売してお金を受け取ります。 なので物が商品になります。 ただ、介護は物を販売するのではなく、自分達の提供するサービス自体が商品になります。 そのサービスに対して利用者様はお金を支払います。 具体的に介護職が利用者様に提供するサービスには以下のようなものがあります。 おむつ交換 トイレ介助 就寝介助、離床介助 お風呂介助 リクリエーション 日常的なコミュニケーション おむつ交換一つとっても羞恥心に配慮せず適当に対応する職員もいれば、丁寧に声かけをして羞恥心に配慮した介助ができる職員もいます。 日常的なコミュニケーションでも、無愛想な表情で馴れ馴れしい言葉遣いをする職員もいれば、いつも笑顔で礼儀正しい職員もいます。 自分が逆の立場だったら、どちらにサービスを提供して欲しいか明白です。 利用者様は良いサービスを受けようが、悪いサービスを受けようが、選択の余地もなく私達に対して利用料を支払って下さいます。 なので介護の仕事では、プロ意識を持ち、常に自分の商品価値を高める努力をしなければなりません。 人間性という資質が活かせるのも魅力ですし、仕事を通じて人間性を高めることも可能です。 ②コミュニケーションスキル 介護の仕事ではコミュニケーションスキルが不可欠です。 なぜなら利用者様の健康や安心を支えるためには、他職種やご家族様との円滑な情報共有が欠かせないからです。 そのためにも、コミュニケーションスキルは必須と言えるでしょう。 ただ、コミュニケーションスキルと言っても範囲が広いので、分かりづらいと感じるのではないでしょうか? まず介護で必要なコミュニケーションスキルは何か考えてみます。 誰にでも分かりやすく伝えるスキル 介護の仕事では様々な人達とかかわります。 看護師やケアマネ、生活相談員、ご家族様など多種多様です。 職員一人とってもベテランもいれば経験の浅い新人もいます。 仕事の性質上、利用者様の命にかかわる大切な情報もあるため、正確に分かりやすく伝える技術が求められます。 そのためにも、受け手のレベルに応じた伝わる表現を習得する必要があります。 「事実」と「意見」をしっかりと分けて伝えるスキル 一つの事象に対して受け取り方は人それぞれです。 外気が20度下回ると「寒い」と感じる人もいれば「涼しい」と感じる人もいます。 同じように利用者様の健康状態も職員の捉え方によりバラバラです。 利用者様の血圧が平時より若干高い場合、介護職の勝手な判断でたぶん大丈夫と判断するのは危険です。 もしかしたら薬を飲む必要があるかもしれません。 利用者様の安全を守るためにも、自分の意見ではなく、事実をしっかりと伝えるスキルが必要になります。 相手を不快にさせないためのコミュニケーションスキル チームで仕事を進めるためには、スタッフ同士が気持ちよく仕事をする必要があります。 そのために必要なスキルが相手を不快にさせないコミュニケーションではないでしょうか。 日頃からの率先した挨拶や笑顔での対応、約束を守ること、悪口を言わないなど、人として当たり前のことをしっかりと行うことで相手との信頼関係が高まります。 そうすることで、仕事もスムーズにはかどり、利用者様の満足にも繋がるでしょう。 ③問題解決力 介護の仕事では問題解決力が鍛えられます。 現場では日々様々な問題が発生するため解決策を考える必要があります。 「利用者様の転倒」や「感染症の発生」「利用者様同士のトラブル」など日々発生する問題は様々です。 再発させないためにも発生した問題に対して、「なぜ?」を繰り返し発生原因を突き詰める必要があります。 原因に対して効果的な対策を講じたり、その後の経過を検証したりとやるべき事はたくさんあります。大変ですが「学び」も多いです。 介護の仕事にはその他にもたくさんの魅力がある 今までご紹介してきたように、介護の仕事にはさまざま魅力があり、多くのスキルを身に付けられます。 ここでは介護の仕事をすることで感じられる、その他の魅力についてご紹介します。 資格取得を通じてステップアップしやすい 介護には「介護初任者研修」や「実務者研修」「介護福祉士」、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」など様々な資格があります。 資格取得を通じて計画的なステップアップを目指せるのが魅力です。 もちろん資格に応じた手当もあります。 事業所の多くは職員のキャリアアップに積極的で、費用負担してくれる法人も多くあります。 機械(AI)にとって変わられない 介護は人と人がかかわる仕事のため、工場の機械化のように仕事が奪われることはないでしょう。 今ではロボットや機械を使って介護の仕事を楽にできるものがたくさん開発されています。 しあし、微妙な表情や声のトーンから相手の感情を読み取ることは人間にしかできない技です。 それに、利用者様は生身の人間(職員)とのコミュニケーションに生きがいを感じるものです。 将来の親の介護に役立つ 当たり前ですが、介護の仕事に携わると高齢者の疾患や認知症の症状に詳しくなります。 そこで得た知識は将来自分の親が介護状態になったときに活かせるでしょう。 また介護業界で人脈ができることは将来自分の親を介護する際に大きな手助けとなります。 まとめ ここまで介護の仕事の素晴らしさについて解説してきました。 介護は自己肯定感を高められる素晴らしい職業である 介護は人間性が高められる素晴らしい職業である 介護はコミュニケーションスキルを高められる素晴らしい職業である 介護は問題解決力を高められる素晴らしい職業である 介護は資格取得を通じてステップアップしやすい職業である 介護は機械(AI)に取って代わられない職業である 介護は将来、自分の親を介護する時に役立つ職業である 最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さんは情報共有を積極的に行えていますか? 介護の世界では「情報共有」はとても大切なことです。 それは職員の間だけではなく、利用者の方やご家族等にも情報共有が十分にできていないと、トラブルが発生する原因となります。 今回は情報共有の大切さと、どのようにすればスムーズに行えるのかをご紹介します。 情報共有ってどのくらい大切? 介護においての情報共有の関係には3パターンあります。 まずは職員対職員。次に職員対ご家族、最後にご家族対ご家族。 この3つに分けて情報共有の大切さをお伝えします。 ①職員対職員の情報共有 職員間で最も大切なのは利用者の方の身体や精神のケアについての情報共有です。 薬が変更になったり、食事形態が変わったりなどケアの方法が変わることはよくあることです。 また利用者の方が置かれている環境の変化についての情報共有も行います。 例えばキーパーソンが変わったり、連絡先が変更になったり、ご家族が亡くなったりとこちらも大切な情報です。 特にセンシティブな情報は利用者の方の不安感に繋がるので、注意して取り扱うことが必要です。 また介護業界は日勤や夜勤、正社員とパートなど様々な勤務形態の職員が混在しています。 しっかりと情報共有をしておかなければ、漏れが出てくる場合があるので気をつけましょう。 ②職員対ご家族の情報共有 職員対ご家族も入念な情報共有が必要となります。 ご家族→職員の情報共有 これは特に「デイサービス」や「ホームヘルパー」など在宅介護に関係のある現場で必要です。 入所施設であれば施設職員が日常の様子や、定期的な通院など変化に気づきます。 しかし在宅介護の現場であれば利用者の方と関わる時間は僅かですので、ご家族からの情報でケアの方法が変更となるケースが多いです。 独居の利用者の方であれば「最近着替えていることが少ない」「布のパンツでは排泄が難しそう」など、介護士やケアマネージャーが気づくこともあります。 職員→ご家族への情報共有 入所施設などの施設介護は職員→ご家族への情報共有が必要です。 定期的に面会に来られるご家族であれば利用者の方の変化に気づくことは容易ですが、遠方にお住まいのご家族であれば気づくことが難しいでしょう。 久しぶりの面会で自立度が落ちてしまい、以前とあまりに様子が変わっていると驚いてショックを受ける可能性も少なくありません。 他にも持病の調子が変わった、体調が悪いなど通院の結果や日常の変化まで伝えておくとご家族も安心できます。 ご家族の立場に立って些細なことでも情報共有を怠らないようにすることが大切です。 ③介護をしているご家族同士の情報共有 1日、2日で終わることのない介護で、不安や負担を感じているご家族も多いはず。 周りにも頼れる環境であれば良いですが、孤立して孤独を感じている介護者の方もいます。 ただでさえ身体的、精神的に負担のかかる介護ですから、少しでも精神面を安定させるために同じように介護で悩んでいる方との情報共有も大切です。 他の方と情報共有することで少しでも前向きになれたり、孤独感を減らすことができるかもしれません。 Twitterでは#(ハッシュタグ)家族介護などで介護者同士コミュニケーションをとったり、他にも介護をしている方を孤独にさせない取り組みも全国で行われていたりします。 介護で悩む介護者の方は、同じく介護の悩みをもつ方と情報共有してみましょう。 介護現場で情報共有するための課題 このように介護現場では情報共有することがとても重要です。 しかし、情報共有行う上での課題もあります。 記載方法が人によって違う 働いているスタッフの性格や経験、スキルなどによって記載する情報の制度に差が出てしまいます。 そのため情報のボリュームが1つずつ異なり、適切な情報共有ができなくなってしまうのです。 介護施設で共有しなくてはいけない情報は数が多いため、確実に統一した情報量で記載するのは困難です。 できるだけ情報量にばらつきが出ないように記載項目を統一するなどの対策が重要です。 情報共有に時間がかかる 先も解説した通り、介護施設でスタッフ間が共有しなくてはいけない情報量は膨大です。 そのため、情報共有をするためのアウトプットもインプットも多くの時間がかかってしまいます。 しかし、情報共有だけに多くの時間を割いてしまうと、肝心の利用者様へのケアがおろそかになってしまいます。 できるだけ短時間で効率よく情報共有できる仕組みづくりをすることが重要です。 スタッフ全体で情報共有すること 施設で働くスタッフはシフト制ですし、訪問介護の場合は利用者様のご自宅に行くため、スタッフ全員が集まって情報共有するのは難しいのです。 しかし、利用者様に適切なケアをするためには、スタッフ全体で共有するべき情報は数多くあります。 そのため、すべてのスタッフが確実に必要な情報を理解しているのかを管理することが重要です。 情報共有不足で起きるトラブルとは? 最も大切な職員間の情報共有が上手くできていないと何が起こってしまうのかを4つお伝えします。 ①誤った介護につながる恐れがある 間違った介護をすることが仕事をするうえで一番怖いことです。 例えば薬が追加された情報が共有できていなかった場合、もしその薬が命に関わるものだったらどうなるでしょうか。 それがきっかけとなって命を落としてしまう可能性もあります。 命に関わるものでなくても、その方にとっては症状を緩和させる大切な薬です。 また食事形態の変化なども気をつけておかなければ、誤嚥や窒息につながる恐れがあります。 大きなトラブルとならないよう職員全員が利用者様の情報を確認しておくことが重要です。 ②ケアの目的に差が発生する どういった目的でその介護サービスを利用しているのかの情報も大切です。 例えばコミュニケーションをとることが難しい方が利用していたとします。 「スタッフが間に入り他の利用者の方とコミュニケーションをとれるようになった方が良いのか」、それとも「自分のペースでゆっくり過ごせたら良いのか」、目的によってケアの方法が全く違います。 後者が目的でサービスを利用しているにもかかわらず、無理にスタッフが間に入ることで状態が悪化してしまったり、利用者の方が不安になる可能性もあります。 リハビリや食事や入浴、利用者の方にとって目的は様々です。 無理なケアとならないよう、職員間でその方にあったケアの目的を共有しましょう。 ③利用者の方、ご家族の方が不信感を抱く 利用者様の事故が実際に起こってしまうと利用者の方やご家族が不安に思ったり不信感を抱いたりします。 利用者の方が今までできていたことが進んでできなくなったり、笑顔や会話が減ってしまったりする場合もあります。 ご家族もそんな利用者の方の様子を見て、万が一サービスの利用を停止してしまうとまた介護の負担がご家族にかかってしまいます。 利用者様にもご家族の方にも安心してご利用いただけるように、情報共有を確実に行うようにしましょう。 ④職員のモチベーションが低下し、人間関係の悪化に繋がる 共有せず情報を得た人だけ抱えたり、日誌で共有しても見てもらえなかったり、そういうことが起きると職員のモチベーションの低下に繋がります。 きちんと情報共有されておらず、自分1人だけその情報を知らなかったら、疎外や孤立を感じて人間関係の悪化に繋がります。 介護はチームワークがとても大切です。 得た情報は自分だけで抱えず、すぐにスタッフ間で共有するようにしましょう。 積極的に情報共有を行うには? 情報共有を積極的に行うために、以下のことを心がけるようにしましょう。 毎日ミーティングを行うようにする スタッフ間のコミュニケーションをとるためにも、毎日10~15分程度のコミュニケーションを行うことをおすすめします。 ミーティングの内容は、当日の予定や連絡事項、問題点など共有したい内容を簡単に伝えるだけでも十分効果的です。 時間帯は皆が集まりやすい始業前や、シフトの切り替えタイミングを使うようにしましょう。 話し合いをできる場を作る 全員で集まるのは難しいかもしれませんが、スタッフ間で意見を言い合う場をつくることをおすすめします。 お互いの意見を言い合い、相手の立場や意見を尊重するようにできれば、協調性も生まれることでしょう。 また、スタッフ間のコミュニケーションの場にもなります。 情報共有できるツールを取り入れる できればスタッフ間でこまめにコミュニケーションをとったりやり取りができることがよいのですが、日々の業務に追われてなかなかうまくいかないこともあります。 そういった状況でも情報のやり取りがきちんとできるように、ツールを使用することはとても重要です。 ここでは介護現場で使用するのにおすすめのツールをご紹介します。 ①LINEWORKS 「LINEWORKSって何?」「聞いたことあるけどどういったもの?」という方にご説明します。 職員対職員 介護の現場では日誌などの紙媒体を使った情報共有が多いのではないでしょうか? LINEWORKSを使用すると無料で職員全員とメッセージや通話ができるようになります。 写真や画像を用いてメッセージを送ることができ、使用感はLINEと同じような感覚です。 薬や食事形態の変更、ケガなど文章だけでは不十分でも、写真や動画を一緒にすることでより適切な情報共有が可能です。 また送ったメッセージは1職員だけでなく、フロアごとや施設全体などの一斉送信も可能なので共有の漏れもありません。 またビデオ通話もでき、オンラインで1対1の面談をすることもできます。 職員対ご家族 職員間だけでなく、ご家族との連絡もLINEWORKSで行うことができます。 職員からお伝えしたいこと、ご家族からお伝えしたいことを気軽にサッと連絡できるので便利です。 またこちらでも写真や動画を使ったメッセージが可能なので、事務的な連絡だけでなく日常生活を遠方のご家族に伝えることもできて安心です。 施設を利用した介護はどうしてもキーパーソンの方に負担がかかってしまいがちですが、一斉にメッセージを行う機能を使えばキーパーソンの方の手間や負担を減らすことができます。 オンライン面会を取り入れよう コロナが発生したことにより面会を制限する施設も増えました。 入所施設からオンライン面会の案内をされたことのあるご家族も多いのではないでしょうか。 オンライン面会では遠方だったり自身の置かれている環境で、なかなか施設へ足を運べない方に便利なサービスです。 15分や30分程の短い時間であっても、どのように過ごしているのか様子を見ることができると安心します。 施設職員もご家族へ一緒に情報共有ができて、両者共に利点があります。 しかしLINEWORKSもオンライン面会も取り入れるのはハードルが高く感じますよね。 そこで今回ご紹介したいのは介護業界のIT活用を支援する「タダカヨ」というNPO法人です。 「タダカヨ」さんは「タダでカイゴをヨくしよう!」をテーマにしていて、なるべくお金をかけずに、介護をより良いものにできるよう活動しています。 ・LINEWORKSマニュアルの無償提供 「タダカヨ」さんではLINEWORKSを推進しており、無償提供のマニュアルではLINEWORKSを利用するメリットや利用方法が詳しく紹介されています。 ・オンライン面会マニュアルの無償提供 オンライン面会ですが操作方法や始め方が分からず、実行できていない方もいらっしゃいます。 「タダカヨ」さんではそんな方向けにオンライン面会のマニュアルを無償適用しています。 LINE版、Zoom版の公開がされており、面会希望者向けにオンライン面会の案内テンプレートも用意されています。 まとめ ・薬や食事形態の変更だったり、利用者の方の周りの環境の変化だったりと様々な情報が存在する。 ・介護業界は人によって勤務時間や形態に違いがあるので、漏れがないように情報共有する。 ・トラブル防止のため在宅介護においてはご家族→職員、施設介護においては職員→ご家族を特に大切にする。 ・介護者同士の情報共有は孤独や孤立を感じないために大切なので、SNSなどを利用して積極的に行う。 ・情報共有不足は命に関わることもあるので気をつける。 ・利用者の方が望んでいるケアを行うために、ケアの目的を周知しておく。 ・利用者の方やご家族の不信感に繋がる恐れがあるので、情報共有はきちんと行う。 ・職員間や、ご家族との情報共有のためにLINEWORKSは非常に有効である。 ・オンライン面会を取り入れることで、直接の面会は難しくても、表情や声などの情報をご家族に伝えることができる。 ・「タダカヨ」さんではLINEWORKSとオンライン面会のマニュアルが無償提供されている。 最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さんは介護業界にどのようなイメージをお持ちですか? 3Kと呼ばれる「汚い」「きつい」「危険」や、給料が安いなどネガティブなワードを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 今回は介護業界の実態とそんな介護業界で働くことのメリットをお伝えします。 介護業界ってどんなイメージ? 冒頭でも述べましたが、介護業界というより「介護」自体にネガティブなイメージを持っている方は非常に多いです。 ではなぜ世間ではそのようなイメージを持っているのでしょうか。 その要因は主に3つあります。 ①テレビや新聞が与えるネガティブなイメージ 日本では長年、少子高齢化社会が問題とされており、それによる「老老介護」など介護の問題が注視されています。 それにまつわるニュースが取り上げられることも日々の中で非常に多く、介護は日本人共通の問題です。 また介護に追われる日々を過ごしている方に密着して報道したりと、リアリティのある番組もよく目にします。 そんなメディアに共通するのは「暗い声のナレーションや音楽」で、見ていても決して明るい気分にはならないことです。 確かに社会問題としてはそのような表現は適切で、実態を世間に訴えかけるのは大切なことです。 しかし、やりがいを感じて楽しく介護業界で働く方も多くいらっしゃいます。 そういった方に着目したメディアはまだまだ非常に少ないです。 世間で「介護=ネガティブ」というイメージとなってしまうのには、こういった理由が挙げられます。 ②周囲の人に「偉いね」「凄いね」と言われる 介護士であれば一度は経験したことがあるのではないでしょうか。 これは自分が介護士として働いていると周囲に伝えると、「介護士をするなんて凄い」「偉い」と言われるということです。 上記で説明した介護=ネガティブというイメージがあるため、「介護業界で働いているなんて凄い」に繋がります。 そういった声かけでネガティブなイメージは周囲に連鎖していきます。 介護業界や介護士だって他の仕事と同じです。 ③職員同士のネガティブな声かけ 職員から職員へネガティブな声かけがされているのを耳にすることもあります。 「大学まで出たのに介護士なんて親が悲しむ」「若いのになんで介護士なんて選んだの?」 実際に私が言われた言葉です。 同じ介護業界にいる職員の言葉は、世間から言われるより一層ネガティブな気持ちになります。 こういった声かけを職員間で行うと、世間という外部からだけでなく、内部から介護業界のネガティブなイメージを植え付けてしまう結果となります。 上記の3つの要因も、介護業界で働くことが嫌煙されている理由の一つです。 では世間が抱く介護のイメージの実態は正しいのでしょうか。 介護業界の実態って? 世間で持たれている介護業界のイメージの中でも、特に多い4つの実態をお話します。 3Kの「汚い」「きつい」「危険」って本当? 介護の仕事として排泄業務や入浴業務などがあります。 これは介護にとって切っては切れない業務になりますので、結果3Kは正しいと言えます。 人手不足という点からどうしても慌ただしくなることも多く、「きつい」と感じる瞬間は非常に多いです。 また利用者の方の中には歩行が不安定であったり、嚥下が上手く行えない方も多くいらっしゃいます。 利用者の方には安全に過ごしてもらわなければならないので、そういった理由で常に「危険」を意識して仕事をします。 介護業界は給料が安い? 介護業界といっても働き方は本当にそれぞれです。 介護士やケアマネージャー、介護事務、ドライバー、施設長、などたくさんの仕事があります。 実は皆さんが想像するような介護士の仕事は、無資格でも働くことができます。 未経験で無資格の介護士として働く場合は、やはり給料は安くなる傾向にあります。 しかし介護業界はキャリアアップできるのが良いところです。 無資格だったとしても初任者研修や実務者研修の取得ができますし、経験を積んで国家資格である介護福祉士を取得することもできます。 最初は希望のお給料でなくても、キャリアアップをすることで、納得のいくお給料を得ることができる可能性も高くなります。 介護業界は離職率が高い? 介護業界は離職率が高いイメージの方も多いのではないでしょうか。 実は他産業と比較しても離職率にそれほど差はありません。 公益財団法人介護労働安定センターによると、平成19年度に21.6%とピークを迎えたものの その後下がってきており令和2年度には14.9%となっています。 処遇改善が行われた結果、介護業界の離職率は年々下がっている傾向にあります。 また全産業の離職率は14.2%ですから、比較しても介護業界が飛びぬけて離職率が高いというわけではありません。 介護業界の人間関係は悪い? こちらもよく聞かれるイメージではないでしょうか。 介護というのは「尊厳や接遇を大切に」「拘束は原則行わない」など大まかなマニュアルはあるものの、十人十色のケアを提供する必要がある仕事です。 それにより職員間で意見がぶつかることも多々あります。 また人手不足による余裕の無さで、会話が淡白になってしまうこともあります。 ただこういったケースは介護業界だけではありません。 人間関係の悩みも他業界でもよくあることです。 介護業界だけが特別多いということはありません。 介護業界で働くことの良い点は? どうしてもネガティブなイメージを持たれやすい介護業界で働くことで得られることは何があるでしょうか? 4つご紹介します。 ①やりがいを感じることができる やはり介護士として働く中で利用者の方から「ありがとう」と言ってもらえることは一番のやる気に繋がります。 中にはコミュニケーションをとることが難しい利用者の方もいらっしゃいます。 ですが日々のケアで少しずつ信頼関係を築き喜ばれたりと、やりがいを感じることができる仕事です。 自分の成長を感じやすい業界なので、モチベーションを保って仕事に充実感を得れるのも介護業界の特色です。 ②性別や年齢、学歴に左右されない 介護士は間口が広く、無資格・未経験でも務めることができる仕事です。 学歴が問われることも少なく、興味のある方は飛び込みやすい業界であるともいえます。 介護業界と普段関わりのない方の中には、資格が必要ないという事実を意外と知らない方も多くいらっしゃいます。 勿論資格がある方が就職や給与面で有利です。 ですが介護士としてまず最初に取得を目指すであろう初任者研修や実務者研修などは比較的難易度の低い資格です。 介護業界が自分に向いていると実感してから取得のために行動しても遅くありません。 ③様々な年代の方と関わることができる 多くの企業では職員の中で最も高齢の方は70歳前後でしょう。 介護業界は職場によりますが職員を含めると、10代~100歳までと本当に幅広い年齢の方が集まる場所です。 今では考えられないような当時の話や感覚を知ることができ、驚くこともよくあります。 人生の大先輩から学べる機会が多くあるのは介護業界ならではです。 ④健康の大切さを実感することができる 介護を必要とする方は身体や精神に悩みや不安のある方ばかりです。 介護度が高くなると自分の足で歩いたり、食べたいものを食べたり、当たり前にできていたことが難しくなります。 そんな介護度の高い方と一緒に過ごしていると健康の大切さや尊さを実感します。 行きたい場所に自分の足で行ける、食べたいものを自分で作って食べれるという、そんな簡単なことでも有難いと思える瞬間が必ずあります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 こちらを読んだ方が少しでも介護業界に対してポジティブな印象を持ってくださると幸いです。 ・介護業界がネガティブなイメージを持たれがちな要因として、メディアから与えられた印象、周囲の反応、職員間のネガティブな会話が挙げられる。 ・3K「汚い」「きつい」「危険」は事実である。 ・介護業界でもキャリアアップすれば給与面の悩みは払拭される可能性がある。 ・介護業界だからといって他業界より明らかに離職率が高いわけではない。 ・ケアへの価値観の違いですれ違うことはあるものの、特別人間関係が悪い業界だとは言えない。 ・自分の成長を実感しやすい業界なので、やりがいを感じる場面は多い。 ・性別や年齢、学歴にとらわれず、間口が広い業界である。 ・他業界より幅広い年齢の方と関わる機会も多く、その分学びも多い。 ・自分の足で歩けたり食べたいものを食べたりと、今まで気にも留めなかった健康が大切なものだと実感することができる。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
質の高いケアを提供する上で、チームの連携は不可欠といえます。 これは介護施設でも在宅介護でも同様です。 チームの連携が取れていれば、利用者にクオリティの高いケアを提供することができます。 逆に、チームとして連携が不十分である場合、提供するケアの質が下がってしまうケースが多々あります。 当然ながら、ケアマネとしては事業所内でスムーズに連携が取れているところに仕事を依頼したくなるものです。 では、ケアマネはどのような時にチームとして連携が取れていると感じているのでしょうか。 連携不足の弊害 連携が取れていないチームの場合、以下のような弊害が生まれてきてしまいます。 提供するサービスのクオリティを統一できない 情報共有ができない(特に他職種) 職員同士の仲を深められない さっそく1つ1つ、具体的に見ていきましょう。 提供するサービスのクオリティを統一できない 一番の弊害は何といっても、提供するサービスを統一できなくなることです。 介護職は利用者に対して、1対1で接するのが基本となります。 また、施設であればシフト制で数日会わない職員もいますし、訪問介護であれば個人で対応することが基本となってきます。 それでも、介護職員によって提供するケアがバラバラであってはなりません。 たとえば、嚥下能力が落ちてきているご利用者に対し、水分100ccにどの程度のトロミ剤を使用するのかということがチーム内で統一されていなければ、職員が個々の考えで勝手に決めてしまいます。 すると、対応する職員によってトロミの固さにバラつきが出てしまいます。 これではご利用者やご家族は安心できませんし、プロフェッショナルの仕事とは言えません。 情報共有ができない(特に他職種) 連携が重要なのは、他の職種に対しても同様です。 「めまいを訴えていたご利用者が、横になったらすぐに落ち着いた」とします。 落ち着いたので、看護チームには伝えなかったということでいいのでしょうか。 もしかしたら、大きな病気の前兆かもしれません。 その日の深夜に同様の訴えが出た場合、どう対処すればよいでしょうか。 些細なことでも、情報があることで先に手を打てる可能性があります。 何よりも、他職種と連携が取れていれば、それだけ幅広い視点でのケアを提供することができるようになり、結局はご利用者に還元することができるのです。 職員同士の仲を深められない 連携が十分に取れていないことを気にかけている職員は、必ずいるはずです。 そういった職員は不満を抱えている可能性があります。 それだけならまだしも、周りの職員に不満を漏らしているケースすらあります。 そうなると職場や上司へ不満を抱く職員も出てきてしまうことでしょう。 負の連鎖が始まる前に、しっかりとコミュニケーションを図る必要があります。 上記のような弊害が生じてくることで、結局、割りを食ってしまうのはご利用者とその家族です。 お金をいただいているプロフェッショナルであるならば、こうした事態は避けたいものです。 連携不足はこうして起こる うまく連携を取れていない介護チームは、数多くあります。 その事実を、ご利用者やご家族から指摘されるケースもあるようです。 なぜ、こういったことが起こるのでしょうか。 連携不足が起こるのは、以下のような理由があります。 報連相の重要性を理解していない チームケアの重要性を理解していない どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 1つ1つ解説していきます。 報連相の重要性を理解していない 1点目は報告・連絡・相談の重要性を職員が理解していないという点が挙げられます。 こういった職員に対しては、「情報を共有するとケアの質が上がる」ということを指導していく必要があります。 チームケアの重要性を理解していない 2点目として、チームケアの重要性を理解していないということが挙げられます。 「ケア」というものは個人で行うものでなく、チームで行うものです。 介護職だけでなく、医療やリハビリ・福祉用具の専門家、ケアマネや行政も関わってくる場合もあるでしょう。 関わる全員がすべての情報を共有する必要はない場合もあるかもしれません。 しかし、最低限知っておくべきことはきちんと伝えられるようにするべきです。 どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 職員の中には(特に入社したばかりの職員)は、どんなタイミングで、どんな情報を共有すればいいのかわからないというケースがあるようです。 これについては、マニュアル化しておくのがベストです。 マニュアルがなかったとしても、先輩が具体的に示してあげる必要があります。 連携不足にならないために それでは、きちんと連携が取れているチームを構築するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。 以下の点に気を付けるだけで、格段に連携が取れるようになります。 リーダー役が必要 連携の重要性を確認する チームで目標を共有する 情報を共有するツールを作る リーダー役を明確にする チームとしてうまく連携を取りあい機能させるには、リーダーが必要になります。 在宅介護であれば、その役割を担うのはケアマネです。 また、1人の利用者に対し複数のヘルパーが介入する訪問介護事業所なら、サービス提供責任者がリーダーとなるでしょう。 それぞれのチームにおいて、リーダー役や中心になる人が必要となります。 連携の重要性を理解する 「連携の重要性を理解していない」という要因に対しては、研修が有効です。 もちろん、入社時に報連相の重要性をきちんと伝える必要はありますし、これはどこの事業所も実践していることでしょう。 しかし、人間は忘れる動物です。 日々の忙しさに流され、基本がおろそかになってしまうという経験は誰しもあるはずです。 そのため、研修で連携の重要性について学びなおすことは、とても価値があります。 チームで目標を共有する もう1つ重要なのが、チームとして目標を共有することです。 目標が明確であれば、ご利用者に対して「どのようなケアを行ったのか」「その効果はどうだったのか」「次にどのようなケアをしていくべきか」など、情報共有をする目的ができるため、自然と連携を取りやすくなります。 情報を共有するツールを作る 連携の必要性を理解していたとしても、「どのように連携を取りあえばいいのか、わからない」という職員もいます。 そのため、リーダーは連携を取るためのツールを用意してあげましょう。 今は介護記録をスマホで入力し、クラウド上で共有することもできます。 施設であれば、ノートだって構いません。 いずれにしても「重要な情報はここに記載し、業務の前に一読する」などのルールを設定し、研修でその重要性を訴えていきましょう。 信頼は連携から生まれる 連携というのは介護の基本でもあり、かつ最重要事項といっても過言ではありません。 なぜなら、介護というものは1人では成立しないからです。 ケアマネからすると「伝えたはずのことが事業所内できちんと全員に伝わっていない」 ということになれば、次にお仕事を頼むのはやっぱり二の足を踏んでしまいます。 反対に、些細なことでも情報共有ができている事業所にはまたお仕事をお願いしたくなるものです。 まとめ ケアを提供するにあたり、チームの連携、情報共有は不可欠です。 連携不足だと以下のような弊害が生じます。 提供するサービスを統一できない 特に他職種への情報提供が不足する 職員同士の仲を深めることができない 連携不足になる要因には以下のような事柄が考えられます。 職員が報連相の重要性を理解できていない チームケアの重要性を理解できていない どの情報を、どのタイミングで共有すればいいか悩んでいる 連携不足を解消するためには、以下のような方法をとりましょう。 リーダー役を明確にする 連携の重要性を理解する チームで目標を共有する 情報共有のためのツールを用意する 連携は介護における最重要事項の1つです。 「いい介護はいい連携から」ということを常に頭においておきましょう。 チームの全員が連携の重要性を理解できるよう働きかけ、いい介護を提供していってください。
訪問介護サービスの一つに、利用者の病院受診の一連を介助する「通院介助」があります。 今回は通院介助一連に纏わるトラブルや対応について、事例を交えながら紹介します。 通院介助とはどんな介助? ここでは通院介護がどのようなサービスなのかを解説します。 病院受診する為に利用者の移動支援を行う介護サービスです。 訪問介護サービスには、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院等乗降介助」の3つに分かれます。 通院介助は下記の図の通り①~⑤の対応の仕方があり、其々の介助に分けられています。 ①と②に代表されるのは介護タクシーで、介護資格のある運転手が病院への行き帰りの対応を行うものです。 一般的に通院等乗降介助と呼ばれるもので、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も含まれます。 ③は病院へ受診する為の外出介助で、帰宅まで訪問介護のためヘルパーが対応しますが、院内は基本病院側の対応となる為、介護保険適用外となります。 例外として、病院側が対応できない、院内での家族付き添い対応ができない、利用者の心身不安定による見守りや介助を要する等、理由によってはケアマネージャーが事前確認の上で訪問介護にて院内介助が行える場合もあります。 ④の様に介護度が4~5と重度で相当時間数の身体介護を必要とする場合は、病院受診前の準備や外出する為の身体介護(移動・移乗・整容・更衣・排泄等)も、通院等乗降介助の乗車前や降車後介助の一環とならずに身体介護中心型という形になります。 ⑤は要介護認定(介護度1~5)の利用者が病院受診をする前と後に、受診に関連する介助ではない別の身体介護中心の介護を30分~1時間程度以上のサービスを行う場合が対象となります。 ①~⑤に関して、要介護度認定を受けた利用者が病院受診前後の介助を訪問介護サービス(介護保険)で対応し。病院内の対応は医療機関である病院側(医療保険)が対応する事が前提です。 但し③でも述べましたが、例外として院内介助も介護サービスとして対応できるケースもあります。 要支援の人はどうするの? 基本的に通院介助は要介護認定を受けた利用者でケアマネージャーがケアプランに通院介助が必要であると記載され、訪問介護を計画された場合のみです。 要支援1~2の認定を受けた利用者は、通院等乗降介助は介護保険サービスとして算定できません。 要支援は簡単に言うと「基本的に日常生活を送る能力は持っているが、支援を必要する部分もある」という事を示しいます。 そのため、要支援者の介助は、 「自分でできる事は自分で行う」 「できない事のみ支援する」 「できない事が少しでもできる様になる」 という利用者が自立を維持しながら日々を過ごせる為の支援であると考えると分かりやすいかもしれません。 要支援者と認定された場合、「移動」という動作・行動が自身でできる状態にある事が多く、通院に関してもヘルパーが介助する必要性は無いと判断される傾向にあります。 また要支援は、日常生活支援総合事業の訪問型サービス(旧:介護予防訪問介護)という形でヘルパーがサービスに入る事もありますが、週に1~3回程度で月に4~13回程度入るといった回数が決まっています。 月に回数が定められている中で、病院受診が毎週あるとは考えづらい点や、病院までの移動にヘルパーの介助の必要性を問われる点からも、要支援の認定を受けた利用者がヘルパーによる通院介助を受けづらいとされるのです。 要支援であっても病院受診をするのに不安な面がある場合等、理由によっては支援を受ける事ができる例もあります。 (例1)要支援認定であるが、現病歴による後遺症があり、身体の動きが悪く、躓いたり転倒する危険性があり、日常生活において支障がある場合。 (例2)入院していた要支援の利用者が退院し、退院後の日々の生活において身体状態の不安定がみられ、支援を必要とする場合。 他にも色々なケースがありますが、いずれもヘルパーによる支援が必要とされる場合は、ケアマネージャーや包括支援センター、市町村等の自治体と相談や協議を行い、その上でケアプランに必要性を謳う事で可能となる事もあります。 但し要介護の利用者の様な通院介助ではなく、外出支援(移動支援)という形での対応です。 そのため、介護タクシー(介護保険適用)は利用できない代わりに福祉タクシー(介護保険の適用無し)で対応する等の対応になります。 あくまでも「支援」であり「介助」では無い事と、基本的に要支援対象者は通院介助は介護保険では認められない傾向にあると考えた方が良いでしょう。 利用者の思惑、ヘルパーの困惑 通院介助を行う上でサービスの内容を確認するのは当然です。 例えば、訪問介護側と利用者側で「通院介助にかかる費用」や、「どこまで介助が可能なのか」「病院受診後ついでに、と急な依頼への対応」など、色々と確認しなければいけない事があります。 ケアマネージャーからも通院介助をケアプランに追加する際は事前に説明等を行いますが、介護を行う側と受ける側双方が認識を共有しておかなければなりません。 <下記の図にある、様々なトラブルに繋がってしまう言動事例も参照下さい。> 移動手段もいろいろ、意外とお金もかかる? 「病院受診は訪問介護でヘルパーが対応するから大丈夫だ。」と、受診に関する一連の行動や必要とされる介護のみにクローズアップされがちです。 しかし、介護保険とは別にお金がかかる場合もある事を忘れてはいけません。 勿論、ヘルパーも通院介助においてできる事・できない事の認識をしておく事は絶対です。 例えば、利用者側からすれば「訪問介護サービスでの介護利用だから1割負担(又は2割負担)で済む」との認識をされている場合もあります。 間違いでは無いのですが、通院等乗降介助では「利用者宅から車両で病院へ移動し、受診手続きや薬の受取り等対応しまた利用者宅へ移動する介助」に該当する介護サービスのみ、介護単価で行われます。 当然、車両運賃は介護サービスには含まれません。 介護タクシーでは、通院等乗降介助の介護サービス費とタクシーとしての運賃との合算で請求されます。 介護タクシーを利用しない場合でも、ヘルパーの介助を伴いながら各交通機関を利用した際は 利用者本人の交通機関の運賃と共にヘルパーの運賃も発生します。 一般タクシーを利用する場合は乗合となる為に、1人でも2人でも料金は同じです。 しかし、バスや電車を利用する場合は2人分の運賃が発生し、それは利用者負担となるのです。 また院内介助を行う際に、介護保険対応とならない場合は自費サービスを利用される事があります。 自費サービスは介護保険の様に1割負担(又は2割負担)ではなく、全額負担であったり、介護事業所による金額設定が為されています。 そのため、介護サービス費用の感覚でいくと割高に感じるかもしれません。 重ねて院内での時間が長くなれば、自費サービスの時間も長くなります。 また、通院介助の総額が高額になる場合もあるので、ヘルパーに介助を依頼したいけれど金銭面での負担が苦となることがあります。 利用者側のストレスが、更にトラブルへと発展しかねない状況を生み出す原因とも成り得るのです。 予め、利用者へのモニタリングで病院への経路や受診に掛かる時間を確認しておき、費用を概算し、事前に書面化してお知らせしておく事が出来たらお互い安心かもしれません。 いざ病院へ!と行ったはいいけれど。 何度も言いますが、基本的に病院内での対応は医療管轄である病院側であり、介護保険での利用はできません。 でも実際は、病院受診で受付を済ませて、診察又は検査で待つ間や呼ばれて対応する際に病院側の介助は無く、ヘルパーが対応する事態になる事も少なくはありません。 病院側も人手不足であったり、ヘルパーの付添があるならばそちらで対応したらいいと言う様な言動を取られた事もヘルパーを経験した者ならばあるでしょう。 そんな病院内での対応に関するトラブルの例です。 何れも、通院介助を行う訪問介護側と病院側との連携・確認不足による不手際がトラブルに繋がってしまったケースです。 事前にケアマネージャーと病院側との確認はなされており、その通りに進むべきではあるのですが まれにこういった予想しなかった事態になってしまう事も起こり得るのです。 事前確認し、ケアプランに追加された後、訪問介護側でも通院介助時の訪問介護計画や予定の再確認 予測外の事態に備えての対応策を講じておく等、訪問介護側もヘルパーと再度情報を共有して介助を行う様にしていく事が重要になってきます。 また、自費サービスが発生する場合は、利用者側にも了解を得る形をしっかり取って双方できる限り負担の掛からないようにしなければなりません。 利用者側と訪問介護側で金銭面以外でもこんなトラブルが発生する事もあります。 ①~③の例を上げましたが、通院介助を行う前はきちんと説明をして了承を得ていても、いざ病院に行く=外出するとなると「ああしたい、こうしたい」の欲求が出てくる事もあるようです。 ①の様に「ちょっとだけ良いだろう」という考えでヘルパーに依頼してくる事もあります。 これは訪問介護で対応可能なのか?ケアプランにその介助内容は含まれているか?をよく考えて対応し、分からない場合は訪問介護事業所の責任者に報告・連絡・相談が必要です。 ②のケースは、たまたまその利用者の訪問介護計画に買い物や整理整頓の見守り的支援があった為に 可能となったサービスです。 これが「美容室に寄って帰りたい」や「娘家族のお土産買って帰りたい」等であった場合は対応不可となります。 ③に関して滅多に無いとは思われますが、利用者やその家族からの「訪問介護の契約をしているから、ヘルパーに何でも頼んでおけば良い」という考えの下に出た発言です。 訪問介護のヘルパーによくある「何でも屋」扱いですが、ここでは利用者からきちんと断ってくれた為、トラブルとはなりませんでした。 ヘルパーは第三者からの突然の言動にも落ち着いて対応できないといけません。 他にも色々とトラブルへ繋がる様な事態が発生する事もあります。 基本はケアマネージャーと病院側で確認した上で計画された訪問介護(通院介助)の計画をよく確認し、当日どう対応するのかをヘルパー含めたチームで理解し対応する事が求められます。 また、ヘルパー自身が対応に困る事態が起きた場合は、すぐに訪問介護事業所へ連絡することが重要です。 サービス提供責任者や、場合によってはケアマネージャーに対応を依頼する事も必要となります。 ヘルパー自身の曖昧な判断で対応したり、良かれと思って対応した結果、後に難しいトラブルへと発展してしまう事にも繋がりかねません。 病院という在宅外での介護の為、臨機応変な対応が求められる場合もありますが、あくまでも訪問介護サービスである事を踏まえた上での対応にヘルパーは従事しましょう。 まとめ 今回は通院介助についてや介助時のトラブル、対応等を紹介しました。 ・通院介助とは、要介護度認定を受けた利用者が病院受診をする為に行われる訪問介護であり、通院等乗降介助や身体介護中心型といった形がある。 ・基本的に病院内は医療機関の対応となるが、事前確認によっては訪問介護で対応する事もある。 ・要支援は通院介助の対象外であるが、場合によっては外出支援として対応できる事もある。 ・通院介助では利用者の負担が介護保険以外にも発生する事があるので、双方の確認が必要である。 ・訪問介護で院内の介助を行う場合は、病院側と訪問介護側との連携や確認が再度必要であり、利用者との間にも自費サービスが発生する場合の確認を行っておく必要がある。 ・利用者と訪問介護側の間でも、通院介助をする際にできる事やできない事の確認を行い、双方が理解しておく必要がある。 通院介助は各自治体によっての解釈が異なる場合があります。 利用者の居住する自治体が、どこまで通院に対し、介護対応を許容するのかをよく確認した上で、病院側、利用者側、訪問介護側との連携を踏まえてサービスする事も大切です。 訪問介護でヘルパーが通院介助を行う為の情報の一つとしてお役立て下さい。
ショートステイを運営しているけど、「ショートステイを利用していくことで、利用者や家族はどのようなことを求めているのか」と考えている事業主の方もおられるのではないでしょうか。 この記事では、今後ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 そもそもショートステイとは何か? ここではショートステイの「主な利用目的」や「ルール」について解説していきます。 ショートステイの利用シーン ショートステイは一時的に利用できる短期の宿泊サービスです。 自宅での介護が困難な時や介護者のリフレッシュのために利用されることが多いでしょう。 あくまでも短期的に利用するサービスであり、生活の拠点として長期的に利用するサービスではありません。 ショートステイの主な利用シーンは、次のようなケースが考えられます。 介護者の出張や旅行で自宅での介護が困難な時 介護者の入院などで自宅での介護が困難な時 介護者の休息が必要な時(レスパイトケア) 介護者の体調が優れない時 施設への入所前に施設生活に慣れるため ショートステイの日数制限ルール ショートステイは介護保険が利用できる日数に制限が設けられています。 なぜなら、介護保険サービスは各介護度に応じて一ヶ月に利用できる単位数が決められているからです。 そのため単位数を超えない範囲で、利用日数を抑える必要があります。 各介護度で定められた単位数を超えた場合は、介護保険が適用されず利用料金が全額自己負担となります。 最も介護度の低い要支援1の場合5,032単位、一番重度である要介護度5の場合36,217単位となります。 介護保険内でショートステイを利用できる日数の上限は下記のようになります。 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 日数 6日/月 11日/月 17日/月 20日/月 28日/月 30日/月 30日/月 ※一ヶ月あたりの日数の上限になります ※実際の利用可能日数はサービス加算費などによって異なります。 当然のことではありますが、他の介護保険サービスを利用した場合にはさらに日数が短くなります。 上記のことからもショートステイは長期に利用できるサービスとは言い難いでしょう。 ショートステイに求められること ここでは介護業界の現状を踏まえた上で、ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 介護業界の現状 日本では少子高齢化が進み人口は減少してますが高齢者の数は年々増えています。 特に後期高齢者である75歳以上の増加は顕著になっています。 75歳以上の人口を各年度ごとにまとめてみました。※()内は全人口に占める割合です。 2020年……1,860万人(15%) 2025年……2,180万人(18%) 2040年……2,239万人(20%) このように高齢者が増えることで、介護施設の需要はさらに高まっていくと考えられます。 しかし、高齢者を支える働き手が減少していくなかで、満足な介護サービスを受けることができない介護難民が増えていくのではないでしょうか。 肝心の施設を建設しても、働き手が減少している社会構造の中で人材の確保が難しいのが現状です。 ショートステイに求められるニーズとは? 今後、少子高齢化により介護施設の需要が高まるなか、ショートステイに求められるのは足りない施設サービスの穴埋め的存在ではないでしょうか。 いわゆる「長期利用(終の棲家)」です。 また、長期利用を想定した場合「看取り」のニーズも高まるでしょう。 今後のショートステイは長期利用のニーズがさらに高まる ショートステイの本来の目的は短期利用ですが、実情として利用が長期にわたるケースは一定数、存在しています。 2020年の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、ショートステイ事業所の6割が31日以上の長期利用を受け入れています。 また、調査対象となった3万9,375人の利用者のうち、3,396人が長期での利用をしています。 これは全体の8.6%を占める数字です。 長期利用をする理由には「特養入所までの待機場所として」が89.2%と最も多くなっています。 これは準特養と言ってもおかしくないです。 今後、後期高齢者の数が増えることや介護人材の減少が進むことを考えると、その数はさらに増えていくのではないでしょうか。 今後のショートステイでは看取り対応が求められる 今後ショートステイでの長期利用が進むことを考えると、ショートステイでの看取り対応のニーズも高まっていくでしょう。 なぜなら施設への入所を待っている間に、老衰や体調不良で亡くなってしまうケースも避けられないからです。 介護事業所で看取りを行う場合、一定の基準を満たしていれば看取り対応を行うことは可能です。 看取りを行うには、介護保険法の定めによって、下記の条件を満たしている必要があります。 看護職員・医師・診療所指定訪問看護ステーションと24時間連絡をとれる体制である 施設入所の際の指針について、本人や家族に説明し同意を得る 医師・看護師・ケアマネージャー・介護職員が看取りに対し見直しをする 看取りに対して研修を行う 看取りの際は自宅や静養室などの環境を整え、他の入所者に配慮する 現在の看取りは8割が病院、2割が施設や自宅となっています。 今後高齢化が進む中で介護施設での看取りの需要は高まるでしょう。 ただ看取りは「介護職員の精神面への負担も大きいこと」や、「人材の確保」、「医療機関との連携が難しい」などの理由により行ってない施設が多いです。 ショートステイを展開する上で大切なポイント 今後、ショートステイの事業を展開していく上で、求められているニーズをしっかりと踏まえ、差別化をしていくことが大切になってくるでしょう。 具体的なニーズに関しては下記が考えられます。 ショートステイの長期利用 ショートステイでの看取り対応 サービス事業者と利用者をつなぐ居宅介護事業所(ケアマネージャー)に、これらのニーズを満たす事業所と認知してもらえれば、様々なケースの依頼も増えていくでしょう。 各事例を一つ一つクリアしていくことで、その実績が強力な営業ツールになるのではないでしょうか。 各市町村によりショートステイの長期利用に関しての見解も違うためハードルがあるのも事実です。 ただ、可能な範囲で他社との差別化をはかっていくことは、経営していく上で重要です。 まとめ ここまでショートステイの求められるニーズについてまとめてきました。 今後、75歳以上の後期高齢者は加速的に増えていく 高齢者の増加と働き手不足で特養などの施設に入れない高齢者が出てくる 施設不足によりショートステイの長期利用のニーズは高まっていく ショートステイの看取りのニーズは高まっていく 今後、ショートステイでは「長期利用」と「看取り」対応で差別化する事も重要 最後までお読みいただきありがとうございました。
高齢化社会が進む中、毎年人口が減っている日本では介護業界の人材不足が課題となっています。 今回は、介護業界をより魅力的にする方法と、人材不足を解消する方法について紹介します。 介護業界の人材が不足している理由 介護業界の人材が不足している理由は、主に以下の2つが挙げられます。 日本は少子高齢化が進み、人口バランスが崩れている。 介護業界はネガティブなイメージが多く、求職者はすくなく離職率も高い。 まずは、この2つを説明します。 日本の少子高齢化 介護業界の人材が不足している理由の1つ目は、「少子高齢化」です。 内閣府のホームページによると、2019年現在で、日本の人口の28.4%が65歳以上となっています。 総人口は減少するも高齢化は進み続け、総人口における65歳以上の割合は、2036年には33.3%になると言われています。 高齢化によって、介護を受ける高齢者が増えていくことでしょう。 また、日本は高齢化が進む中、出生率の減少が続き少子化も問題となっています。 介護を必要とする高齢者が増えるにも関わらず、働き手である若者の割合が減少することが主な原因です。 そのため、企業が人材を確保する競争率も高くなります。 ネガティブなイメージがある 介護職を知らない人に介護業界のイメージを尋ねると、ほとんどの人が「大変そう」「体力仕事」「汚い」「給料が安い」と答えるのではないでしょうか。 介護職の経験を持つ筆者も、親戚や友人に介護職として働くことを伝えた際には同じような回答が返ってきました。 このように介護業界には、ネガティブなイメージが植え付けられています。 これらの理由で、介護業界の人材は不足すると言えます。 介護業界をより魅力的に 介護業界の人材不足を解消するために、まずは介護業界をより魅力的にする必要があります。 介護業界をより魅力的にするためには、「イメージアップ」が重要です。 筆者も介護業界について全く知識がなかった頃は、「介護の仕事は、大変そうで汚い、給料が安い」というネガティブなイメージを持っていました。 しかし、実際に現場で働いてみると、もちろん「大変」と思う面もありましたが、介護職になって良かったと実感する瞬間もありました。 「介護職の仕事は大変で汚い」というイメージをなくす 介護の仕事は、入浴介助やオムツ交換などの排泄介助を一般的な介護の仕事として想像されます。 しかし、働く施設や利用者の介護度によって働き方も異なります。 働く施設や形態などによる違い 介護の仕事は、働く施設や形態によってさまざまです。 デイサービスや介護付きの高齢者施設に勤務する働き方と、介護を必要とする高齢者が住む家を回る訪問介護と呼ばれる働き方があります。 デイサービスは、日中のみ高齢者を受け入れる施設のため、レクリエーションや食事などがメインとなります。 介護スタッフも、基本的な勤務時間は営業時間の8時〜18時です。 また、デイサービスは土日の営業がない施設が多く、休日も確保しやすいと言えます。 高齢者施設は規模に合わせて介護スタッフが必要なため、数十人の介護スタッフが同じ現場で働きます。 そのため、スタッフ同士の協力によって一人ひとりの負担を減らすことができます。 また、苦手とする仕事や大変な仕事は手伝ってもらうなど、働き方の工夫も可能です。 利用者の介護度による違い 介護職の仕事は、介護サービスを利用する高齢者の介護度によっても異なります。 介護度は、要支援1.2と要介護1〜5で表される要介護状態等区分のことであり、その人が必要とする介護、支援の物差しとなる数字です。 ある程度自立した生活を送ることができる支援1.2の高齢者に行うケアは、一般的に「掃除や食事などの一部を介助する」「買い物、通院に同行する」などがあります。 家事の手伝いなどがメインとなるため、体力的な負担は少なくなります。 「介護職は給料が安い」というイメージをなくす 介護業界の賃金を改善するために、2019年10月1日に「介護職員等特定処遇改善加算」が創設されました。 介護職員等特定処遇改善加算は、職場のリーダー的立場にある職員の年収を平均年収まで引き上げ、介護業界の人手不足解消を促すものです。 また、勤続10年以上の介護福祉士には月8万円の手当が支給されます。 介護業界で働くと、キャリアアップと給料アップも可能です。 介護業界の人材不足を解消するには 介護業界の人材不足を解消するためには、どのようにすればよいのでしょうか? 新たな人材の発掘 介護業界の人材不足を解消するには、「新たな人材の発掘」が必要です。 新しい人材を発掘するためには、以下の方法が考えられます。 介護未経験者を「介護助手」とする 介護業界の人材不足を解消するための対策1つ目は、「介護助手という役割を作ること」です。 介護未経験者や介護の資格を持っていない人を介護助手として雇うことで、介護スタッフが介護の仕事に専念できるようになります。 例えば、生活援助と呼ばれる部屋の掃除や買い物は、介護の資格を必要としません。 資格を必要とする仕事とそうでない仕事の役割を分担することで、介護職が働きやすい環境を作ることができます。 外国人労働者を雇う 介護業界の人手不足を解消するための対策2つ目は、「外国人労働者を活用すること」です。 すでに政府は、技能実習制度や特定技能などの制度を作り、インドネシアやフィリピンなどの国と協定を結んでいます。 技能実習制度は、外国人を日本で最長5年間受け入れ、母国では取得できない技能を取得できるようにする制度です。 この制度を利用して、外国人でも介護の資格を取得できます。 環境の工夫 介護業界の人材不足を解消するには、環境を工夫することが重要です。 環境の工夫をするために必要なことは「ICTの導入」です。 ICTは、「Information and Communication Technology」の総称を指します。 日本語では「情報通信技術」と訳され、通信を使用してデジタル化された情報をやり取りする技術です。 例えば、スマートフォンなどのタブレット端末で、先輩や同僚とコミュニケーションや情報共有をすることが挙げられます。 介護業界でICTを使用するメリットは2つあります。 業務の効率化を図れる 情報の連携がしやすい ICTを使用するメリットの1つ目は、「業務の効率化を図れる」ことです。 業務の効率化を図ることで、介護職の負担を軽減できます。 さらに、事務作業にかかる時間を減らすことができれば、介護サービスに時間を割くことが可能です。 利用者に関する記録などを、紙媒体に記入するよりタブレットなどで入力できるため効率が良くなります。 データでまとめて記録できるため、印刷する書き換えるなどの手間が省けて情報共有も簡単です。 ICTを使用するメリットの2つ目は、「情報の連携がしやすい」ことです。 介護サービスには、サービス利用者の家族・介護施設・病院などの医療機関・訪問介護事業所などの繋がりが重要になります。 高齢者に体調不良が見られた場合、医療機関へ繋ぎ、家族にも連絡しなければいけません。 タブレットなどの端末上で、高齢者に関する情報をどこからでも閲覧できます。 スムーズに情報交換ができることで、余分な連絡を取る必要がなく、介護職の負担も削減されます。 また、介護サービスを利用する高齢者の情報は、膨大な量になります。 ICTを利用すると、膨大な量の情報を一括でまとめ、複数の場所で管理可能です。 ICTを利用し、介護職に時間を設けることで、介護サービスの質を向上できます。 そのため高齢者や家族の満足度もあがり、クレームなどを減らすことにも繋がります。 まとめ 今回は、介護業界に魅力を持ってもらう方法と、人材を確保する方法についてお伝えしました。 介護業界の人材が不足している理由には、「少子高齢化」と 「ネガティブなイメージが多い」ことが挙げられる。 介護業界をより魅力的にするために「イメージアップ」が重要である。 介護業界の人材不足を解消するためには、「介護助手という役割を作る」 「外国人労働者を雇う」、「環境の工夫をする」ことが必要である。 最後までご覧くださり、ありがとうございます。
2022年11月1日、神戸地方裁判所において兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故についての判決が下されました。 この判決は多くの医療、福祉分野の関係者を困惑させています。 本記事では、転倒事故の判例を確認し、病院や介護施設など現場で働く自分たちを守るために抑えるべきポイントについて解説します。 事故に至った個別の事情についての批評や、裁判に至った経緯やその判決事態への批判を意図するものではありません。 下されてしまった判決により、今後関係者にどのような影響を与えるかの考察ですのでご注意ください。 転倒事故から判例までの概要 2016年4月2日早朝、認知症を患っている男性は看護師に付き添われてトイレにはいりました。 付き添った看護師は、男性が用を足す間別室の患者にナースコールで呼び出されて排便介助の対応をしました。 用を足し終えた認知症男性は、トイレから出て一人で廊下を歩き転倒してしまいます。 その結果、外傷性くも膜下出血と頭蓋骨骨折の診断を受けました。 その後寝たきりになってしまった男性は、2年後に心不全で死亡しています。 男性の家族は、入院中の転倒により怪我をして治療が必要となった結果、寝たきりになり両手足の機能が衰えたと主張しました。 転倒させた病院に責任があるとし、兵庫県に対し2,575万円の損害賠償を求めます。 対する県側は、「別室の患者は感染症を患っており、排便の介助を急いだことはやむをえないと主張しました。 6年後の今年11月、神戸地裁で出された判決は以下の通りです。 「認知症の男性から目を離せば、勝手にトイレを出て転倒する可能性は充分に予見できた。 別室の患者はおむつに排便すれば問題はなかった。 すでにトイレに入っている人よりも、後からナースコールを押した患者はおむつにすればよかった」 として、県側に532万円の支払うよう命じました。 転倒事故の判例を受けた現場の声 この判例を受け、SNS上では、医療や福祉の関係者から多くの反響がでています。 夜勤一人で20人の対応。コールは重なる。おむつをしていてもおむつにできない。 変な判例を作らないでほしい。認知症の人は抑制をデフォルトにしろということか。 両手に火のついたダイナマイトを持たされて。爆発は予見できたって言ってるようなもの。 これは厳しい。今後、リスクの高い人はおむつにしろと言ってるようなもの。 無理ゲー。 マンパワーが足りない。転ぶ時は一緒に転ぼう。 2チャンネル創設者で実業家のひろゆき氏は、「『87歳の認知症患者が病院で歩いて、転倒したので病院は532万円支払え』という判決。認知症患者は、ベッドに縛り付けて動けなくするのが正解ということですね」と呟いています。 転倒事故の判例の問題点 この判決は、ただ単に一つの病院で起きた裁判というだけではなく、病院や高齢者施設で働く全ての関係者にも影響を起こしかねないことです。 この判決の問題点は3つあります。 訴えられるリスク 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 スタッフは守られない では、一つずつ説明します。 訴えられるリスク 自分が働く施設で同じような転倒事故が起きてしまった場合に、施設が訴えられるリスクが上がったと言えます。 判例が出たということはそれだけ影響のあるものです。 日頃から施設の対応に疑問を持っていた家族が、転倒事故をきっかけに訴えるようになることは容易に想像できるでしょう。 夜勤帯にナースコールが重なり、対応が間に合わず転倒事故が起きてしまうことは、対策をしていても起きてしまうもの。 しかし、判例が出てしまった以上は「転ばないで」と祈るだけではどうにもなりません。 いくら丁寧にケアをしていても、訴えられたら負けてしまいます。 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 今回の判例は、安易な身体拘束を助長させるとともに、認知症のある利用者の受け入れを拒否する施設を増やす危険性を高めてしまいました。 病院では治療のために身体拘束を行うことはありますが、高齢者施設では原則身体拘束は行いません。 しかし、転倒事故が裁判に発展し損害賠償を求められるのであれば話は別です。 利用者本位を謳い一生懸命ケアしていても、一つの転倒事故から多額の損害賠償を求められてしまっては経営が成り立ちません。 身体拘束が認められる緊急やむをえない場合、「切迫性、非代替性、一時性」に当てはめて身体拘束を行う施設が増えることも考えられます。 最終的には認知症のある利用者の受け入れを拒否することに繋がってしまうリスクがあります。 スタッフは守られない 今回の判例を受け、利用者の安全を守るために少ない人員で走り回っても、転倒事故が起きてしまえば、スタッフは守られないことがわかってしまいました。 訴えられているのは県や病院ですが、事故の当事者や同僚のショックは計り知れません。 働き続けるのが難しくなるケースもでてきます。 転倒事故を完全に防ぐにはマンツーマンの対応が必要ですが、急に人員が増えることはないでしょう。 自分たちを守るためにどうすれば良いかを考えなくてはなりません。 介護事故訴訟は増加傾向にある 介護事故の訴訟件数について、具体的な統計は判明していません。 しかし、介護事故による訴訟数は増加傾向にあるとされています。 介護事故による訴訟で最も多いのは転倒事故です。 転倒することで骨折や脱臼をしてしまうなど重傷を負ったため、訴訟になってしまうことが挙げられます。 その他にも、誤飲や誤食、薬の誤配なども訴訟になることがあります。 施設側の責任を否定した裁判もある 先に施設側の責任を認めた判例についてご紹介しましたが、訴訟の中には施設側の責任を否定したものもあります。 それは、東京地裁にて、平成24年11月13日に判決が出たものです。 事案内容は、71歳の利用者がデイケアを利用していた際、転倒してケガを負ったというものです。 原告は利用者の親族でした。 この際、施設側は以下の記録を提出しています。 利用者のアセスメント表(利用者の状態を情報収集した表)には、寝返りや起き上がり、移乗、歩行についての評価は「自立」であった。また、歩行、立位、座位でのバランスも「安定」という記載がされていた 利用者は施設の見学や利用の際にも一人で歩行しており、その際転倒したことはない 日常的に通院していた病院の診療録でも、利用者は転倒や転落歴がなく、歩行時のふらつきもなかった 上記による記載事項から、利用者には歩行能力において特に問題はなく、階段の昇降を含めて歩行時に介助を必要とする状況にはない、とされました。 このため、施設側は、利用者が転倒することを予見するのは不可能だったと認定し、この裁判の判決では施設側に責任はない、とされました。 このほかにも施設側に責任はなかった、とされる事案がいくつか出ています。 予見可能性が重要 上記の判決から見ても、施設やその職員が事故が発生する可能性があると予め認識できたかどうか(予見可能性)、あるいは、実際に認識すべきであったかどうか(予見義務)がとても重要です。 また、事故を回避できる可能性や、事故を回避する義務があるかどうかも考えなければいけません。 基本的に予見と結果回避は別のものです。 基本的に両方がそろわなければ、施設側の責任にはなりません。 しかし、多くの事件では予見が出来れば結果回避するための措置が必要であるとされ、施設側が責任を負う結果になりやすいのです。 自分たちを守るために抑えるべきポイント 転倒事故が起きてしまった時に自分たちを守るためには何が必要でしょうか。 上記の判例を受けての対応として、ここでは3つのポイントを説明します。 ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書類を確認する 自分たちを守る仕組みを作る それぞれ説明します。 ニュースや事例を共有する 今回の西宮病院の判例は病院や高齢者施設で働く全ての人に関係します。 報道されている事故の経緯を確認し、チーム内で共有することが第一歩です。 西宮病院の判例以外にも病院や高齢者施設での事故に関する判例は多くありますので、自分たちに関係のあるものを共有し、自分たちの身に降りかかる可能性があることを認識しましょう。 施設のマニュアルや書類を確認する 次に自分たちが働く施設は、利用者や家族に転倒や事故についてどのような説明をしているのかを確認します。 高齢者は転倒しやすいこと、施設で身体拘束はしないこと等、その中でどのような事故予防をしているのか等の説明内容や交わしている書類を確認しましょう。 何が足りないのかを明らかにし、その仕組みを整えるにはどうすればいいか検討し行動する準備をします。 自分たちを守る仕組みを作る それぞれの事業所の中で、自分たちを守る仕組みができているのであれば特に問題はありません。 しかし、ほとんどの事業所は日ごろの業務や現場で起きていることに集中するあまり、自分たちを守る仕組みづくりに着手できていないのが現状ではないでしょうか。 仕組み作りには「個人だけで考えるのではなく、部署や事業所単位で相談し検討する」ことが大切です。 一人ひとりの自己犠牲ややりがいに頼っていては何も変わりません。 委員会や会議、部署内のミーティング等、スタッフ間で意見交換できる場を作り検討する必要があります。 複数のコールが重なったらどのように動くか 起きてしまった転倒事故の再発防止策 家族への説明書類について不足部分がないか確認し、状況に応じて更新する 利用者に対する記録を付けるようにする 上記のように、細かいことからでも始めて自分たちを守る認識を強く持つよう働きかけ、仕組みを作っていくことが必要です。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故に関する判例から 判例の問題点、自分たちを守るために抑えるべきポイントについて説明しました。 判例の問題点 訴えられるリスクが増した 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否に繋がる スタッフは守られない 自分たちを守るために抑えるべきポイント ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書式を確認する 自分たちを守る仕組みを作る 判例がでてしまった以上は自分たちの身は自分たちで守らなければなりません。 今日転倒事故が起きたら訴えらえれてしまう可能性もあります。 自分たちを守り安心して働き続けられるよう、事業所や部署内で検討を重ね、仕組みを作りをしていくことが大切です。 最後までお読みいただきありがとうございました。
「ユマニチュードで介護拒否が少なくなったと聞くけど本当?」 「そもそもユマニチュードって何?」 今回の記事ではこのようなユマニチュードの疑問について解説していきます。 ユマニチュードとは ユマニチュードはフランスの体育学の専門家であるイヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが開発したケアの技法になります。 言葉の意味は「人間らしさを取り戻す」という意味を持つフランス語の造語です。 ユマニチュードの基本理念は相手との信頼関係を構築して「絆」を深めることにあります。 代表的な4つの技術である「見る」「話す」「触れる」「立つ」を駆使して相手との「絆」を深めることを目指しているものです。 相手との信頼関係を構築するために嫌がること(強制ケア)をしないのも大切なポイントになります。 なぜ介護の現場でユマニチュードが必要なのか? ユマニチュードは相手との信頼関係を構築し「絆」を深める技法です。 介護の仕事は人を相手にする仕事であるため、相手との信頼関係を深めることは非常に重要です。 そのような理由からも介護の仕事ではユマニチュードは必要ではないでしょうか。 ユマニチュードの具体的な技術4選 人は「周囲からのまなざし」や「声をかけられること」「触れられること」が希薄になると周囲との絆が弱まり、「人間として扱われているという感覚」を失ってしまいます。 ユマニチュードではより良い絆を結ぶための具体的な技術として、「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの柱を定めてます。 ここでは各項目に沿ってそれぞれ説明していきます。 ①ユマニチュードの「見る」技術 相手を見るという行為は、あなたは存在していると伝えることです。 最悪な状態は「相手を見ない」ということです。 なぜなら「相手を見ない」ということは、「あなたは存在しない」というメッセージを発していることに他ならないからです。 では「見る」とは実際にどのようにすればいいのでしょうか。 水平な高さで相手を見る 正面の位置から相手を見る 近い距離から相手を見る 逆にやってはいけないのが、以下の行動です。 相手を見下ろす……これは「支配・見下し」という非言語のメッセージになります 横から目の端で見る……これは「攻撃的」な印象を相手に与えます 遠くから見る……これは「関係性の薄さや否定的」な印象を相手に与えます 相手を見るというのは非常に重要な技術になります。 ぜひ試してみましょう ②ユマニチュードの「話す」技術 進行した認知症のかたは、話しかけても適切な反応が得られないことがあります。 時には無反応なこともあるでしょう。 私たちは相手が反応を示さないと、だんだんと話しかけなくなってしまいます。 それは、ある意味仕方の無いことではあります。 しかし、私たちはケアのプロフェッショナルです。 相手が無反応だからと言って無視してもいい理由にはなりません。 相手に話しかけることは「あなたはここにいる」と相手に伝える重要なメッセージにもなります。 しかし、実際に反応のない認知症の利用者様に対してどう接すればよいか悩むのではないでしょうか。 そこでユマニチュードでは、自分が行なっているケアの動きを「オートフィードバック」という手法で実況中継します。 実際の入浴時のシーンで「今から頭を洗いますよ」と声をかけたり、背中を洗う際は「背中を流していきますね」と、実際に行っているケアの内容を声に出しながら行っていきます。 メッセージを伝える際は「気持ちいいですよ」「肌が綺麗ですね」とポジティブな表現を使うことが大切です。 「相手が応答してくれないから、こちらも反応しなくてもいい」という罠に陥らないよう注意しましょう。 ③ユマニチュードの「触れる」技術 介助で相手に優しく触れることは、ケアを受ける相手に優しさを伝える技術になります。 ユマニチュードでは広い面積で、ゆっくりと、優しく触れます。 同じ力でも面積が広くなれば、相手に与える圧力も小さくなり、逆に面積が小さくなれば与える圧力も強くなり相手に不快感を与えることになります。 ケアを行う人が「必要な行為」と考えて行う触れ方が受け手にとっては「攻撃的な触れ方」になっていることもあるため注意が必要です。 ユマニチュードの「立つ」技術 人間の尊厳は立つことによってもたらされる側面が強く、これは死の直前まで尊重されなければいけません。 また立つことは下記に示すように身体的によい影響を及ぼします。 立つことによる身体に与える効果は以下の通りです。 骨・関節系…骨に体重がかかることにより骨粗鬆症を防ぐ 骨格筋系…立つことで筋力の低下を防げる 循環器系…血液の循環状態を改善する 呼吸器系…肺の容積を増やすことができる 立つことは「人間らしさ」の表現のひとつでもあります。 現在病院や介護施設で寝たきりになっている人も、「レベルに応じた適切なケア」を受けていれば今でも立つことができたかもしれません。 少なくとも1日合計20分立つ時間を作れば立つ能力は保たれ、寝たきりになることを防げるでしょう。 実際にケアに入る前の5つのステップ 実際にケアに入る前には、ケアを受ける相手に私たちのことを受け入れてもらう必要があります。 認知症が進行し相手が分からないだろうと考えて、相手の了解も得ずにケアに入っては相手との信頼関係は築けません。 認知機能が低下した人だからこそ、普段常識的におこなっている関わり方が大切になってきます。 ここから実際にケアに入る前の5つのステップを紹介します。 ①出会いの準備 最初のステップでは自分の来訪を相手に伝えケアの予告をする段階になります。 ケアの予告をすることは非常に重要です。 なぜなら相手がケアに同意してないのに突然布団をめくってしまうと、相手は驚きケアに対して拒否反応を示す可能性にも繋がるためです。 まず自分の来訪を告げ、相手の領域に入りケアの説明をしましょう。 ②ケアの準備 2つめのステップでは、相手からこれから行うケアに対して合意を得ることです。 ここで大切なことは、3分以内に合意が得られなければ「ケアをあきらめる」ことです。 長い時間相手を説得しても、相手は不信感ばかりが強くなり信頼関係の構築はできません。 あまりにも拒否が強い場合は、午前に声かけをしたら次の声かけは午後にするなどしましょう。 合意のないままケアを行うことは「強制ケア」になってしまいます。 例え必要なケアであったとしても、相手は暴力を振るわれたと思い込みます。 これでは「この人は悪い人」という印象を与え、顔を見ただけで拒否されるようになってしまうでしょう。 ③知覚の連結 知覚の連結とは実際にケアに入った際に使う手法になります。 「視覚」「聴覚」「触覚」の3つの感覚に対して、ポジティブな感情を与えることにより、ケアを受ける人が心地よい状態になることを目指します。 実際にケアを行う際に「笑顔」で「穏やかな声」で、そして「優しく触れる」ことです。 知覚の連結を意識したケアを実践することで相手の緊張感がやわらぎます。 「見る」「話す」「触れる」の技術を包括的に行うことが必要になります。 ④感情の固定 感情の固定とはケアが終わった後に、「気持ちよかった」「楽しかった」と利用者様にポジティブな感情をしっかりと残すことです。 そうすることで次のケアにつなげることができます。 シャワー後の声かけを例に説明します ケアの内容を前向きに評価 「シャワー気持ちよかったですね」 相手を前向きに評価 「○○さん、シャワーをして綺麗になりましたよ」 「○○さん、たくさん協力して下さいましたね」 共に過ごした時間を前向きに評価する 「わたしもとっても楽しかったですよ」 「お話しできて嬉しかったです」 このようにケアの後にポジティブな声かけをすることで、「この人は嫌なことをしない人だ」と記憶してもらうのです。 認知症になっても「楽しい」「嬉しい」という感情は維持されます。 やや大げさにポジティブな声かけをすることがオススメです。 そうすることで相手との「絆」もより深まるでしょう。 ⑤再会の約束 最後のステップは、ケアが終わり相手のそばを離れる前に「再会の約束」をします。 相手が約束した内容を忘れたとしても心地よかった記憶や感情が残っていれば、次にそのスタッフの顔を見たときに笑顔で迎えてくれるでしょう ユマニチュードの実際の効果は? ユマニチュードによるケアを実施することで、認知症患者の態度が柔らかくなったり、攻撃的な言動や行動が減ったりするという効果があります。 これは介護者と認知症患者で信頼関係が結べていることが大きな理由ではないでしょうか。 実際にユマニチュードを取り入れた病院での報告を取り上げてみました。 『福岡県久留米市の聖マリア病院では、集中治療室の全看護師が技法を学ぶと患者を身体拘束する割合は半減し、せん妄の発生率は5分の1に下がった』 福岡市で導入3カ月後の変化を調査した結果、介護への抵抗など認知症に伴う行動・心理症状の発生頻度が減り、家族の介護負担感の軽減に有効と確認された』 一番の効果は、介護者が抱きがちな「罪悪感」から解放されることではないでしょうか。 実際に介護現場で働いていると介護する側もされる側も「申し訳ない」という気持ちを感じる場面が多いのも事実です。 信頼関係を高め「絆」を深めることにより一緒に笑い、充実感に包まれることが、ユマニチュードの一番の効果ではないでしょうか。 まとめ ここまでユマニチュードの技術について説明してきました。 ユマニチュードは相手との信頼関係を構築するための技法である ユマニチュードでは決して強制ケアをしない ユマニチュードの技術には「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つのがある ユマニチュードでは実際にケアに入る前に5つの段階を踏む 「出会いの準備」「ケアの準備」「知覚の連結」「感情の固定」「再会の約束」 最後までお読みいただきありがとうございます。
あなたは「訪問介護」に対し、どんなイメージを持つでしょうか? 今回は幾つかの事例を踏まえつつ、訪問介護が担う役割や現状、重要性を、ヘルパーの視点から紹介します。 訪問介護のヘルパーは何をする人? ここでは訪問介護のヘルパーがどのような仕事をしているか、詳しく解説します。 「高齢者の身の回りの世話をする人」=半分正解、半分不正解です。 世間一般で「訪問介護」の「ヘルパー」と聞いたら、まず何を思い浮かべるでしょうか? 実際によく耳にしたのは、「家に行って世話をする人」「家で介護をする人」「高齢者の代わりに家事とか身の回りの事をする人」で、次に「きつい、しんどい仕事」とイメージするようでした。 家族や身内に介護対象者がいる場合は、訪問介護についてのイメージは介護の説明を受けている分理解があるのですが、まだ介護に携わる経験が無い世代では、よく言われる一般論やきつい労働のイメージから、ややマイナス傾向に捉えるものが多いようです。 では実際に、訪問介護のヘルパーは何をするのでしょうか? 「介護、身の回りの世話でしょ。」と答える人が大半です。 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解です。 では「家政婦とヘルパーの違いは何ですか?」と問われたら何と答えるでしょうか? 家政婦も契約した利用者の世話をする事もあります。 「洗濯物が溜まったから洗って欲しい。」「朝はいるけど昼と夕は娘(又は息子)がいないから、ごはんを作って一緒に食べて欲しい。」等、色々要望があるようです。 中には、契約者のご両親が高齢な為に、自分が仕事で不在の1か月の内、週5日の日中ずっと世話をして看て欲しいという要望もあるそうです。 訪問介護のヘルパーは、残念ながら上記のような希望通りに物事を行う事はできません。 「介護を行う事」は「利用者の希望通りの世話を行う事」では無いのです。 そして介護を受ける利用者やその家族も、正しい認識が為されていない事も多いのです。 介護保険の理念 訪問介護は介護保険サービスの一つです。 下記の図のように、3つのサービスに分かれ、主に身体介護や生活援助をメインに行われます。 訪問介護は介護保険法に則りサービスが行われています。 介護保険法には、第一章・総則の(目的)第一条に、要介護状態となった利用者が介護保険サービスを利用する為の目的を謳っています。 それは、「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」ということです。 要介護となり介護を必要とする状態にあったとしても、人として生きる為に自分自身でできる動作・作業・行動があればそれを維持するように努めることや、人としての尊厳を失う事が無いように日々の生活が送れるように支援する事が介護保険を利用してのサービスであると謳っているのです。 そして介護保険法の第四条に(国民の努力及び義務)があり、要介護状態になる事を予防する為、健康でいる事に努めるよう謳っています。 また、要介護状態になった場合においても、適切な医療または介護サービスを利用する事で、未だ本人が多かれ少なかれ自身で行える動作・作業・行動の能力の維持向上に努めるよう謳っています。 それを踏まえた上で、訪問介護のヘルパーは何をする人なのでしょうか? 介護を行う、それは正解です。 身の回りの世話を行う、半分正解の意味が分かりましたでしょうか。 介護認定を受けた利用者が、日々生活を送る上で難しいとされる動作・作業・行動を介助する事で、 「その人が、その人らしい、その人なり」の自立した日常生活を送れるように支援するサービスが訪問介護であり、その介助をする者がヘルパーなのです。 利用者又はその家族や身内の希望する、日常生活での困った事、こうしてくれたら便利だと思う事を代行する「何でも屋」では無く、介護保険という国の制度を利用しているサービスなのだという事の認識が求められます。 訪問介護ヘルパーのあるある、色々大変なのです。 先程の介護保険の理念でも述べましたが、訪問介護は介護保険という国の制度を利用しているサービスです。 つまり、介護保険法という法律を遵守した上で、利用者が自身の身体状態や生活状況に応じ、自立した生活を送れるように支援を行うものです。 しかし、実際に訪問介護でサービスに入ると、予想しない事態や心身共に参ってしまうような問題に直面する事があります。 他にも色々ありますが、訪問介護サービスでヘルパーとして入り、こういった場に直面した際は、その状況や場に応じ、臨機応変に対応していく事になります。 多くの場合は訪問介護事業所に報告や連絡、相談する必要性があるものばかりですが、なかにはサービス提供責任者やケアマネージャーに報告や相談し、サービス内容の見直しや利用者への説明対応が必要になってくるものもあります。 特に訪問介護サービスに入って暫く経過し、利用者との対人関係や状況に慣れてきた頃、慣れが生じてそうなってしまう傾向もあるようです。 ヘルパーにそう言う事で、(あの人はああしてくれた、こうしてくれた等)このヘルパーにもあれこれ動いて貰おうとする意を持つ場合もあります。 また、ヘルパー自身の技術力や対応面の未熟さへの苦言である可能性もあるので、言われた事は一度受け止めて、どう介助すべきか対応の仕方について考える事も必要になります。 夏冬の訪問でよくある例ですが、その状況が利用者にとって、その季節においての過ごし方であれば、その状況で訪問介護を行うようになる事もあります。 あまりに環境が適しておらず、脱水や熱中症、または火事などの生命の危険を孕む場合は、できる限り環境を改善していくように支援していきます。 しかし、なかなかスムーズにいかないことが多いです。 「ずっとこれで生活してきたから大丈夫」と、長年生活してきた経験を根拠とし、不変を望む相手を納得させるのは大変です。 そのため、サービス提供責任者やケアマネージャー、身内の方との協力の下で意見を聞きながら対応していくようにします。 一般的には問題行動を言われる行為・行動がある場合、なぜそういう行動に出るのか、なぜそのような暴言や妄想被害を言ってしまうのかという事をチームでカンファレンスをする必要があります。 ヘルパーも利用者も同じ人間ですので、何か利用者本人にとって不都合が生じていることや、思わぬ障害が潜んでいる可能性があります。 または、ただ単に男尊女卑の考え方が強い等の様々な理由からそういった行為・行動を起こす事もあります。 双方が怪我をしてしまってはいけないので、早めに対応策を講じ、決して一人で解決しないように抱え込まないように訪問介護事業所側もヘルパーをフォローしなければなりません。 緊急性が高い対応を求められることもあります。 家にいない理由は人それぞれですが、「急に病院受診で出掛けた」「ちょっと散歩に出掛けた」 「訪問介護の中止の連絡を忘れて家族や身内と外出されている」等、無事が確認できるものはまだ良いです。 しかし、徘徊傾向のある人が突然出て行った場合や、ベランダや屋内のどこかで倒れていた場合等、利用者の身の安全が守れない、危険に晒されている場合は早急の対応が必要になります。 救急対応が求められ、近くに家族や身内がいない場合はヘルパーが早急に119に電話するなど、然るべき対応を取り、いち早い利用者の安全を守るように動きます。 介護保険を利用してサービスを受けた利用者の支払う費用は、1割負担若しくは所得に応じて2~3割負担となっています。 家政婦や家事代行と比べると金額は低いですが、利用者にとって出費には変わりありません。 お金を出してサービスを受けるという意味では家政婦や家事代行と混同されてしまいがちになりますが、ただ身体介護を行っている、生活援助を行っているだけではありません。 介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはあるのです。 ちょっとした言葉が大きな力と成長に。 上記でも紹介した思わぬ事態や状況、問題に直面する事も多々ありますが、訪問介護サービスに入って感謝の気持ちを耳にしたり、利用者の状態や状況が改善されて良い方向に進むと仕事とは言え嬉しくなるものです。 「ヘルパーさんが入ってくれてから、入院しないで良いようになった。」 「家族からは色々怒られるけど、ヘルパーさんは話を聞いてくれる。」 「このままずっとこの家に住んでいけたらいいなぁ。」 「ありがとなぁ。」 「退院してきたから、また宜しくな。」 「ヘルパーさんがアンタで良かったわ。」 会話や介助の節々でポロっと言われたり、帰る間際に何気なく言われたりすると、その言葉でヘルパーのやる気も出ます。 どうしたら利用者の状態が悪くならないようにできるかを考えて行動したり、住み慣れた自宅で望む生活を送れるようになるかを共に考えていけるようになるのです。 訪問介護事業所もヘルパーも前向きな力と成長を手にし、利用者は自立した生活を送れるようになる「win-winの関係」となるでしょう。 まとめ 色々な例を交えながら訪問介護が担う役割や現状、重要性をヘルパーからの視点ベースで紹介しました。 ・訪問介護の仕事は、あくまでも利用者の身体介護や生活援助を行う事で、家政婦や家事代行の仕事と似ている部分はあっても希望通り全ての家事や世話を行うものではない。 ・訪問介護は介護保険サービスの理念である「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう」に沿って利用者へ介護サービスを行う。 ・状態の悪化を予防し、また悪化を防げず進行したとしても、出来得る限りの能力の維持向上に努めなければならない。 ・訪問介護サービスに入ると、予想しない事態や心身共に参るような問題に直面する事が多々ある。 ・そのような事態や問題も解決する為の対応方法や考え方がある。 ・介護保険制度を利用して行うサービスだからこその責任と、訪問介護を行う資格を持つヘルパーだからこその対応が「訪問介護事業」にはある。 ・利用者の何気ない言葉や感謝の気持ちは、訪問介護事業に関わる人達の力と成長に繋がる。 目に見えるようなはっきりとした成果は表れずとも、利用者やその家族や身内が、緩やかに穏やかに毎日を「当たり前に」自立して過ごせるようになります。 サービスを行う介護事業(訪問介護事業所やヘルパー、ケアマネージャー等)側も、その支援を責任を持って担う事で、双方が「より良い関係を築き上げられるパートナー」となります。 訪問介護で誰よりも利用者と接するヘルパーは、もっと評価されるに値するのではないでしょうか。 どうか誇りを持ち続け、胸を張って介護サービスに携わって下さい。 最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
これから介護の仕事を始めてみたいけど、「自分にできるかな?」「続けられるかな?」「介護って難しそうだな」と不安になっていませんか。 この記事では介護の仕事の素晴らしさについて、分かりやすく解説していきます。 そもそも介護の仕事ってどういうことをするの? 簡単に自己紹介をします 私は介護業界10年目の現役介護福祉士です。 いままで3つの法人で働いてきて、いろんな職員や利用者様とかかわってきました。 今までの経験談や見聞きしたことを踏まえた上で、介護の仕事の素晴らしさをお伝えしていきます。 介護の仕事に興味がある方は、 「介護の仕事に挑戦してみたいけど実際にどういうことをするの?」と不安に思っているのではないでしょうか。 ここでは簡単に介護士の仕事の内容を説明していきます。 介護の仕事内容とは 介護施設を利用されている利用者様には様々な身体レベルのかたがいます。 「自分で全部できる人」「ある程度は自分でできる人」「まったく自分でできない人」…と様々です。 私たち介護士は利用者様のできない部分のお手伝いをするのが仕事です。 従事する施設により業務内容は異なりますが、主に次のような業務に携わることになるでしょう。 食事のお手伝い トイレのお手伝い お風呂のお手伝い 就寝のお手伝い 起床のお手伝い 着替えのお手伝い 歯磨きのお手伝い 定期的なシーツ交換 レクリエーションの提供など その他にも、職員間での情報共有(申し送り)や医療職との連携、ご家族様とのやりとりなど業務は多岐にわたります。 介護の仕事の魅力とは 介護の仕事の一番の魅力は利用者様に貢献することで、直接感謝の言葉をいただけることではないでしょうか。 そこで得られる喜びや達成感は仕事へのモチベーションにもなります。 人間だれしも誰かに認められたい、必要とされたいという欲求があります。 介護の仕事は日々の仕事を通じて、他者から認められ、自己肯定感を高められる素晴らしい仕事です。 介護で身につけられる3つのスキル 介護の仕事の魅力は、どの業界でも通用する汎用的なスキルを身に付けられることです。 介護の仕事には、おむつ交換や食事介助など技術的なスキルを求められる事が多くあります。 しかし、思考力や人間性、コミュニケーションスキルなど、ビジネスの根幹となるスキルも求められる仕事です。 一つ一つ解説していきます。 ①人間性 介護の仕事のみならず、どの仕事もそうですが人間性が問われます。 ただ介護は、より人間性が求められる職業ではないでしょうか。 なぜなら介護は自分自身が商品だからです。 一般的な商売なら物を仕入れ販売してお金を受け取ります。 なので物が商品になります。 ただ、介護は物を販売するのではなく、自分達の提供するサービス自体が商品になります。 そのサービスに対して利用者様はお金を支払います。 具体的に介護職が利用者様に提供するサービスには以下のようなものがあります。 おむつ交換 トイレ介助 就寝介助、離床介助 お風呂介助 リクリエーション 日常的なコミュニケーション おむつ交換一つとっても羞恥心に配慮せず適当に対応する職員もいれば、丁寧に声かけをして羞恥心に配慮した介助ができる職員もいます。 日常的なコミュニケーションでも、無愛想な表情で馴れ馴れしい言葉遣いをする職員もいれば、いつも笑顔で礼儀正しい職員もいます。 自分が逆の立場だったら、どちらにサービスを提供して欲しいか明白です。 利用者様は良いサービスを受けようが、悪いサービスを受けようが、選択の余地もなく私達に対して利用料を支払って下さいます。 なので介護の仕事では、プロ意識を持ち、常に自分の商品価値を高める努力をしなければなりません。 人間性という資質が活かせるのも魅力ですし、仕事を通じて人間性を高めることも可能です。 ②コミュニケーションスキル 介護の仕事ではコミュニケーションスキルが不可欠です。 なぜなら利用者様の健康や安心を支えるためには、他職種やご家族様との円滑な情報共有が欠かせないからです。 そのためにも、コミュニケーションスキルは必須と言えるでしょう。 ただ、コミュニケーションスキルと言っても範囲が広いので、分かりづらいと感じるのではないでしょうか? まず介護で必要なコミュニケーションスキルは何か考えてみます。 誰にでも分かりやすく伝えるスキル 介護の仕事では様々な人達とかかわります。 看護師やケアマネ、生活相談員、ご家族様など多種多様です。 職員一人とってもベテランもいれば経験の浅い新人もいます。 仕事の性質上、利用者様の命にかかわる大切な情報もあるため、正確に分かりやすく伝える技術が求められます。 そのためにも、受け手のレベルに応じた伝わる表現を習得する必要があります。 「事実」と「意見」をしっかりと分けて伝えるスキル 一つの事象に対して受け取り方は人それぞれです。 外気が20度下回ると「寒い」と感じる人もいれば「涼しい」と感じる人もいます。 同じように利用者様の健康状態も職員の捉え方によりバラバラです。 利用者様の血圧が平時より若干高い場合、介護職の勝手な判断でたぶん大丈夫と判断するのは危険です。 もしかしたら薬を飲む必要があるかもしれません。 利用者様の安全を守るためにも、自分の意見ではなく、事実をしっかりと伝えるスキルが必要になります。 相手を不快にさせないためのコミュニケーションスキル チームで仕事を進めるためには、スタッフ同士が気持ちよく仕事をする必要があります。 そのために必要なスキルが相手を不快にさせないコミュニケーションではないでしょうか。 日頃からの率先した挨拶や笑顔での対応、約束を守ること、悪口を言わないなど、人として当たり前のことをしっかりと行うことで相手との信頼関係が高まります。 そうすることで、仕事もスムーズにはかどり、利用者様の満足にも繋がるでしょう。 ③問題解決力 介護の仕事では問題解決力が鍛えられます。 現場では日々様々な問題が発生するため解決策を考える必要があります。 「利用者様の転倒」や「感染症の発生」「利用者様同士のトラブル」など日々発生する問題は様々です。 再発させないためにも発生した問題に対して、「なぜ?」を繰り返し発生原因を突き詰める必要があります。 原因に対して効果的な対策を講じたり、その後の経過を検証したりとやるべき事はたくさんあります。大変ですが「学び」も多いです。 介護の仕事にはその他にもたくさんの魅力がある 今までご紹介してきたように、介護の仕事にはさまざま魅力があり、多くのスキルを身に付けられます。 ここでは介護の仕事をすることで感じられる、その他の魅力についてご紹介します。 資格取得を通じてステップアップしやすい 介護には「介護初任者研修」や「実務者研修」「介護福祉士」、「介護支援専門員(ケアマネージャー)」など様々な資格があります。 資格取得を通じて計画的なステップアップを目指せるのが魅力です。 もちろん資格に応じた手当もあります。 事業所の多くは職員のキャリアアップに積極的で、費用負担してくれる法人も多くあります。 機械(AI)にとって変わられない 介護は人と人がかかわる仕事のため、工場の機械化のように仕事が奪われることはないでしょう。 今ではロボットや機械を使って介護の仕事を楽にできるものがたくさん開発されています。 しあし、微妙な表情や声のトーンから相手の感情を読み取ることは人間にしかできない技です。 それに、利用者様は生身の人間(職員)とのコミュニケーションに生きがいを感じるものです。 将来の親の介護に役立つ 当たり前ですが、介護の仕事に携わると高齢者の疾患や認知症の症状に詳しくなります。 そこで得た知識は将来自分の親が介護状態になったときに活かせるでしょう。 また介護業界で人脈ができることは将来自分の親を介護する際に大きな手助けとなります。 まとめ ここまで介護の仕事の素晴らしさについて解説してきました。 介護は自己肯定感を高められる素晴らしい職業である 介護は人間性が高められる素晴らしい職業である 介護はコミュニケーションスキルを高められる素晴らしい職業である 介護は問題解決力を高められる素晴らしい職業である 介護は資格取得を通じてステップアップしやすい職業である 介護は機械(AI)に取って代わられない職業である 介護は将来、自分の親を介護する時に役立つ職業である 最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さんは情報共有を積極的に行えていますか? 介護の世界では「情報共有」はとても大切なことです。 それは職員の間だけではなく、利用者の方やご家族等にも情報共有が十分にできていないと、トラブルが発生する原因となります。 今回は情報共有の大切さと、どのようにすればスムーズに行えるのかをご紹介します。 情報共有ってどのくらい大切? 介護においての情報共有の関係には3パターンあります。 まずは職員対職員。次に職員対ご家族、最後にご家族対ご家族。 この3つに分けて情報共有の大切さをお伝えします。 ①職員対職員の情報共有 職員間で最も大切なのは利用者の方の身体や精神のケアについての情報共有です。 薬が変更になったり、食事形態が変わったりなどケアの方法が変わることはよくあることです。 また利用者の方が置かれている環境の変化についての情報共有も行います。 例えばキーパーソンが変わったり、連絡先が変更になったり、ご家族が亡くなったりとこちらも大切な情報です。 特にセンシティブな情報は利用者の方の不安感に繋がるので、注意して取り扱うことが必要です。 また介護業界は日勤や夜勤、正社員とパートなど様々な勤務形態の職員が混在しています。 しっかりと情報共有をしておかなければ、漏れが出てくる場合があるので気をつけましょう。 ②職員対ご家族の情報共有 職員対ご家族も入念な情報共有が必要となります。 ご家族→職員の情報共有 これは特に「デイサービス」や「ホームヘルパー」など在宅介護に関係のある現場で必要です。 入所施設であれば施設職員が日常の様子や、定期的な通院など変化に気づきます。 しかし在宅介護の現場であれば利用者の方と関わる時間は僅かですので、ご家族からの情報でケアの方法が変更となるケースが多いです。 独居の利用者の方であれば「最近着替えていることが少ない」「布のパンツでは排泄が難しそう」など、介護士やケアマネージャーが気づくこともあります。 職員→ご家族への情報共有 入所施設などの施設介護は職員→ご家族への情報共有が必要です。 定期的に面会に来られるご家族であれば利用者の方の変化に気づくことは容易ですが、遠方にお住まいのご家族であれば気づくことが難しいでしょう。 久しぶりの面会で自立度が落ちてしまい、以前とあまりに様子が変わっていると驚いてショックを受ける可能性も少なくありません。 他にも持病の調子が変わった、体調が悪いなど通院の結果や日常の変化まで伝えておくとご家族も安心できます。 ご家族の立場に立って些細なことでも情報共有を怠らないようにすることが大切です。 ③介護をしているご家族同士の情報共有 1日、2日で終わることのない介護で、不安や負担を感じているご家族も多いはず。 周りにも頼れる環境であれば良いですが、孤立して孤独を感じている介護者の方もいます。 ただでさえ身体的、精神的に負担のかかる介護ですから、少しでも精神面を安定させるために同じように介護で悩んでいる方との情報共有も大切です。 他の方と情報共有することで少しでも前向きになれたり、孤独感を減らすことができるかもしれません。 Twitterでは#(ハッシュタグ)家族介護などで介護者同士コミュニケーションをとったり、他にも介護をしている方を孤独にさせない取り組みも全国で行われていたりします。 介護で悩む介護者の方は、同じく介護の悩みをもつ方と情報共有してみましょう。 介護現場で情報共有するための課題 このように介護現場では情報共有することがとても重要です。 しかし、情報共有行う上での課題もあります。 記載方法が人によって違う 働いているスタッフの性格や経験、スキルなどによって記載する情報の制度に差が出てしまいます。 そのため情報のボリュームが1つずつ異なり、適切な情報共有ができなくなってしまうのです。 介護施設で共有しなくてはいけない情報は数が多いため、確実に統一した情報量で記載するのは困難です。 できるだけ情報量にばらつきが出ないように記載項目を統一するなどの対策が重要です。 情報共有に時間がかかる 先も解説した通り、介護施設でスタッフ間が共有しなくてはいけない情報量は膨大です。 そのため、情報共有をするためのアウトプットもインプットも多くの時間がかかってしまいます。 しかし、情報共有だけに多くの時間を割いてしまうと、肝心の利用者様へのケアがおろそかになってしまいます。 できるだけ短時間で効率よく情報共有できる仕組みづくりをすることが重要です。 スタッフ全体で情報共有すること 施設で働くスタッフはシフト制ですし、訪問介護の場合は利用者様のご自宅に行くため、スタッフ全員が集まって情報共有するのは難しいのです。 しかし、利用者様に適切なケアをするためには、スタッフ全体で共有するべき情報は数多くあります。 そのため、すべてのスタッフが確実に必要な情報を理解しているのかを管理することが重要です。 情報共有不足で起きるトラブルとは? 最も大切な職員間の情報共有が上手くできていないと何が起こってしまうのかを4つお伝えします。 ①誤った介護につながる恐れがある 間違った介護をすることが仕事をするうえで一番怖いことです。 例えば薬が追加された情報が共有できていなかった場合、もしその薬が命に関わるものだったらどうなるでしょうか。 それがきっかけとなって命を落としてしまう可能性もあります。 命に関わるものでなくても、その方にとっては症状を緩和させる大切な薬です。 また食事形態の変化なども気をつけておかなければ、誤嚥や窒息につながる恐れがあります。 大きなトラブルとならないよう職員全員が利用者様の情報を確認しておくことが重要です。 ②ケアの目的に差が発生する どういった目的でその介護サービスを利用しているのかの情報も大切です。 例えばコミュニケーションをとることが難しい方が利用していたとします。 「スタッフが間に入り他の利用者の方とコミュニケーションをとれるようになった方が良いのか」、それとも「自分のペースでゆっくり過ごせたら良いのか」、目的によってケアの方法が全く違います。 後者が目的でサービスを利用しているにもかかわらず、無理にスタッフが間に入ることで状態が悪化してしまったり、利用者の方が不安になる可能性もあります。 リハビリや食事や入浴、利用者の方にとって目的は様々です。 無理なケアとならないよう、職員間でその方にあったケアの目的を共有しましょう。 ③利用者の方、ご家族の方が不信感を抱く 利用者様の事故が実際に起こってしまうと利用者の方やご家族が不安に思ったり不信感を抱いたりします。 利用者の方が今までできていたことが進んでできなくなったり、笑顔や会話が減ってしまったりする場合もあります。 ご家族もそんな利用者の方の様子を見て、万が一サービスの利用を停止してしまうとまた介護の負担がご家族にかかってしまいます。 利用者様にもご家族の方にも安心してご利用いただけるように、情報共有を確実に行うようにしましょう。 ④職員のモチベーションが低下し、人間関係の悪化に繋がる 共有せず情報を得た人だけ抱えたり、日誌で共有しても見てもらえなかったり、そういうことが起きると職員のモチベーションの低下に繋がります。 きちんと情報共有されておらず、自分1人だけその情報を知らなかったら、疎外や孤立を感じて人間関係の悪化に繋がります。 介護はチームワークがとても大切です。 得た情報は自分だけで抱えず、すぐにスタッフ間で共有するようにしましょう。 積極的に情報共有を行うには? 情報共有を積極的に行うために、以下のことを心がけるようにしましょう。 毎日ミーティングを行うようにする スタッフ間のコミュニケーションをとるためにも、毎日10~15分程度のコミュニケーションを行うことをおすすめします。 ミーティングの内容は、当日の予定や連絡事項、問題点など共有したい内容を簡単に伝えるだけでも十分効果的です。 時間帯は皆が集まりやすい始業前や、シフトの切り替えタイミングを使うようにしましょう。 話し合いをできる場を作る 全員で集まるのは難しいかもしれませんが、スタッフ間で意見を言い合う場をつくることをおすすめします。 お互いの意見を言い合い、相手の立場や意見を尊重するようにできれば、協調性も生まれることでしょう。 また、スタッフ間のコミュニケーションの場にもなります。 情報共有できるツールを取り入れる できればスタッフ間でこまめにコミュニケーションをとったりやり取りができることがよいのですが、日々の業務に追われてなかなかうまくいかないこともあります。 そういった状況でも情報のやり取りがきちんとできるように、ツールを使用することはとても重要です。 ここでは介護現場で使用するのにおすすめのツールをご紹介します。 ①LINEWORKS 「LINEWORKSって何?」「聞いたことあるけどどういったもの?」という方にご説明します。 職員対職員 介護の現場では日誌などの紙媒体を使った情報共有が多いのではないでしょうか? LINEWORKSを使用すると無料で職員全員とメッセージや通話ができるようになります。 写真や画像を用いてメッセージを送ることができ、使用感はLINEと同じような感覚です。 薬や食事形態の変更、ケガなど文章だけでは不十分でも、写真や動画を一緒にすることでより適切な情報共有が可能です。 また送ったメッセージは1職員だけでなく、フロアごとや施設全体などの一斉送信も可能なので共有の漏れもありません。 またビデオ通話もでき、オンラインで1対1の面談をすることもできます。 職員対ご家族 職員間だけでなく、ご家族との連絡もLINEWORKSで行うことができます。 職員からお伝えしたいこと、ご家族からお伝えしたいことを気軽にサッと連絡できるので便利です。 またこちらでも写真や動画を使ったメッセージが可能なので、事務的な連絡だけでなく日常生活を遠方のご家族に伝えることもできて安心です。 施設を利用した介護はどうしてもキーパーソンの方に負担がかかってしまいがちですが、一斉にメッセージを行う機能を使えばキーパーソンの方の手間や負担を減らすことができます。 オンライン面会を取り入れよう コロナが発生したことにより面会を制限する施設も増えました。 入所施設からオンライン面会の案内をされたことのあるご家族も多いのではないでしょうか。 オンライン面会では遠方だったり自身の置かれている環境で、なかなか施設へ足を運べない方に便利なサービスです。 15分や30分程の短い時間であっても、どのように過ごしているのか様子を見ることができると安心します。 施設職員もご家族へ一緒に情報共有ができて、両者共に利点があります。 しかしLINEWORKSもオンライン面会も取り入れるのはハードルが高く感じますよね。 そこで今回ご紹介したいのは介護業界のIT活用を支援する「タダカヨ」というNPO法人です。 「タダカヨ」さんは「タダでカイゴをヨくしよう!」をテーマにしていて、なるべくお金をかけずに、介護をより良いものにできるよう活動しています。 ・LINEWORKSマニュアルの無償提供 「タダカヨ」さんではLINEWORKSを推進しており、無償提供のマニュアルではLINEWORKSを利用するメリットや利用方法が詳しく紹介されています。 ・オンライン面会マニュアルの無償提供 オンライン面会ですが操作方法や始め方が分からず、実行できていない方もいらっしゃいます。 「タダカヨ」さんではそんな方向けにオンライン面会のマニュアルを無償適用しています。 LINE版、Zoom版の公開がされており、面会希望者向けにオンライン面会の案内テンプレートも用意されています。 まとめ ・薬や食事形態の変更だったり、利用者の方の周りの環境の変化だったりと様々な情報が存在する。 ・介護業界は人によって勤務時間や形態に違いがあるので、漏れがないように情報共有する。 ・トラブル防止のため在宅介護においてはご家族→職員、施設介護においては職員→ご家族を特に大切にする。 ・介護者同士の情報共有は孤独や孤立を感じないために大切なので、SNSなどを利用して積極的に行う。 ・情報共有不足は命に関わることもあるので気をつける。 ・利用者の方が望んでいるケアを行うために、ケアの目的を周知しておく。 ・利用者の方やご家族の不信感に繋がる恐れがあるので、情報共有はきちんと行う。 ・職員間や、ご家族との情報共有のためにLINEWORKSは非常に有効である。 ・オンライン面会を取り入れることで、直接の面会は難しくても、表情や声などの情報をご家族に伝えることができる。 ・「タダカヨ」さんではLINEWORKSとオンライン面会のマニュアルが無償提供されている。 最後までお読みいただきありがとうございました。
皆さんは介護業界にどのようなイメージをお持ちですか? 3Kと呼ばれる「汚い」「きつい」「危険」や、給料が安いなどネガティブなワードを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。 今回は介護業界の実態とそんな介護業界で働くことのメリットをお伝えします。 介護業界ってどんなイメージ? 冒頭でも述べましたが、介護業界というより「介護」自体にネガティブなイメージを持っている方は非常に多いです。 ではなぜ世間ではそのようなイメージを持っているのでしょうか。 その要因は主に3つあります。 ①テレビや新聞が与えるネガティブなイメージ 日本では長年、少子高齢化社会が問題とされており、それによる「老老介護」など介護の問題が注視されています。 それにまつわるニュースが取り上げられることも日々の中で非常に多く、介護は日本人共通の問題です。 また介護に追われる日々を過ごしている方に密着して報道したりと、リアリティのある番組もよく目にします。 そんなメディアに共通するのは「暗い声のナレーションや音楽」で、見ていても決して明るい気分にはならないことです。 確かに社会問題としてはそのような表現は適切で、実態を世間に訴えかけるのは大切なことです。 しかし、やりがいを感じて楽しく介護業界で働く方も多くいらっしゃいます。 そういった方に着目したメディアはまだまだ非常に少ないです。 世間で「介護=ネガティブ」というイメージとなってしまうのには、こういった理由が挙げられます。 ②周囲の人に「偉いね」「凄いね」と言われる 介護士であれば一度は経験したことがあるのではないでしょうか。 これは自分が介護士として働いていると周囲に伝えると、「介護士をするなんて凄い」「偉い」と言われるということです。 上記で説明した介護=ネガティブというイメージがあるため、「介護業界で働いているなんて凄い」に繋がります。 そういった声かけでネガティブなイメージは周囲に連鎖していきます。 介護業界や介護士だって他の仕事と同じです。 ③職員同士のネガティブな声かけ 職員から職員へネガティブな声かけがされているのを耳にすることもあります。 「大学まで出たのに介護士なんて親が悲しむ」「若いのになんで介護士なんて選んだの?」 実際に私が言われた言葉です。 同じ介護業界にいる職員の言葉は、世間から言われるより一層ネガティブな気持ちになります。 こういった声かけを職員間で行うと、世間という外部からだけでなく、内部から介護業界のネガティブなイメージを植え付けてしまう結果となります。 上記の3つの要因も、介護業界で働くことが嫌煙されている理由の一つです。 では世間が抱く介護のイメージの実態は正しいのでしょうか。 介護業界の実態って? 世間で持たれている介護業界のイメージの中でも、特に多い4つの実態をお話します。 3Kの「汚い」「きつい」「危険」って本当? 介護の仕事として排泄業務や入浴業務などがあります。 これは介護にとって切っては切れない業務になりますので、結果3Kは正しいと言えます。 人手不足という点からどうしても慌ただしくなることも多く、「きつい」と感じる瞬間は非常に多いです。 また利用者の方の中には歩行が不安定であったり、嚥下が上手く行えない方も多くいらっしゃいます。 利用者の方には安全に過ごしてもらわなければならないので、そういった理由で常に「危険」を意識して仕事をします。 介護業界は給料が安い? 介護業界といっても働き方は本当にそれぞれです。 介護士やケアマネージャー、介護事務、ドライバー、施設長、などたくさんの仕事があります。 実は皆さんが想像するような介護士の仕事は、無資格でも働くことができます。 未経験で無資格の介護士として働く場合は、やはり給料は安くなる傾向にあります。 しかし介護業界はキャリアアップできるのが良いところです。 無資格だったとしても初任者研修や実務者研修の取得ができますし、経験を積んで国家資格である介護福祉士を取得することもできます。 最初は希望のお給料でなくても、キャリアアップをすることで、納得のいくお給料を得ることができる可能性も高くなります。 介護業界は離職率が高い? 介護業界は離職率が高いイメージの方も多いのではないでしょうか。 実は他産業と比較しても離職率にそれほど差はありません。 公益財団法人介護労働安定センターによると、平成19年度に21.6%とピークを迎えたものの その後下がってきており令和2年度には14.9%となっています。 処遇改善が行われた結果、介護業界の離職率は年々下がっている傾向にあります。 また全産業の離職率は14.2%ですから、比較しても介護業界が飛びぬけて離職率が高いというわけではありません。 介護業界の人間関係は悪い? こちらもよく聞かれるイメージではないでしょうか。 介護というのは「尊厳や接遇を大切に」「拘束は原則行わない」など大まかなマニュアルはあるものの、十人十色のケアを提供する必要がある仕事です。 それにより職員間で意見がぶつかることも多々あります。 また人手不足による余裕の無さで、会話が淡白になってしまうこともあります。 ただこういったケースは介護業界だけではありません。 人間関係の悩みも他業界でもよくあることです。 介護業界だけが特別多いということはありません。 介護業界で働くことの良い点は? どうしてもネガティブなイメージを持たれやすい介護業界で働くことで得られることは何があるでしょうか? 4つご紹介します。 ①やりがいを感じることができる やはり介護士として働く中で利用者の方から「ありがとう」と言ってもらえることは一番のやる気に繋がります。 中にはコミュニケーションをとることが難しい利用者の方もいらっしゃいます。 ですが日々のケアで少しずつ信頼関係を築き喜ばれたりと、やりがいを感じることができる仕事です。 自分の成長を感じやすい業界なので、モチベーションを保って仕事に充実感を得れるのも介護業界の特色です。 ②性別や年齢、学歴に左右されない 介護士は間口が広く、無資格・未経験でも務めることができる仕事です。 学歴が問われることも少なく、興味のある方は飛び込みやすい業界であるともいえます。 介護業界と普段関わりのない方の中には、資格が必要ないという事実を意外と知らない方も多くいらっしゃいます。 勿論資格がある方が就職や給与面で有利です。 ですが介護士としてまず最初に取得を目指すであろう初任者研修や実務者研修などは比較的難易度の低い資格です。 介護業界が自分に向いていると実感してから取得のために行動しても遅くありません。 ③様々な年代の方と関わることができる 多くの企業では職員の中で最も高齢の方は70歳前後でしょう。 介護業界は職場によりますが職員を含めると、10代~100歳までと本当に幅広い年齢の方が集まる場所です。 今では考えられないような当時の話や感覚を知ることができ、驚くこともよくあります。 人生の大先輩から学べる機会が多くあるのは介護業界ならではです。 ④健康の大切さを実感することができる 介護を必要とする方は身体や精神に悩みや不安のある方ばかりです。 介護度が高くなると自分の足で歩いたり、食べたいものを食べたり、当たり前にできていたことが難しくなります。 そんな介護度の高い方と一緒に過ごしていると健康の大切さや尊さを実感します。 行きたい場所に自分の足で行ける、食べたいものを自分で作って食べれるという、そんな簡単なことでも有難いと思える瞬間が必ずあります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 こちらを読んだ方が少しでも介護業界に対してポジティブな印象を持ってくださると幸いです。 ・介護業界がネガティブなイメージを持たれがちな要因として、メディアから与えられた印象、周囲の反応、職員間のネガティブな会話が挙げられる。 ・3K「汚い」「きつい」「危険」は事実である。 ・介護業界でもキャリアアップすれば給与面の悩みは払拭される可能性がある。 ・介護業界だからといって他業界より明らかに離職率が高いわけではない。 ・ケアへの価値観の違いですれ違うことはあるものの、特別人間関係が悪い業界だとは言えない。 ・自分の成長を実感しやすい業界なので、やりがいを感じる場面は多い。 ・性別や年齢、学歴にとらわれず、間口が広い業界である。 ・他業界より幅広い年齢の方と関わる機会も多く、その分学びも多い。 ・自分の足で歩けたり食べたいものを食べたりと、今まで気にも留めなかった健康が大切なものだと実感することができる。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。
質の高いケアを提供する上で、チームの連携は不可欠といえます。 これは介護施設でも在宅介護でも同様です。 チームの連携が取れていれば、利用者にクオリティの高いケアを提供することができます。 逆に、チームとして連携が不十分である場合、提供するケアの質が下がってしまうケースが多々あります。 当然ながら、ケアマネとしては事業所内でスムーズに連携が取れているところに仕事を依頼したくなるものです。 では、ケアマネはどのような時にチームとして連携が取れていると感じているのでしょうか。 連携不足の弊害 連携が取れていないチームの場合、以下のような弊害が生まれてきてしまいます。 提供するサービスのクオリティを統一できない 情報共有ができない(特に他職種) 職員同士の仲を深められない さっそく1つ1つ、具体的に見ていきましょう。 提供するサービスのクオリティを統一できない 一番の弊害は何といっても、提供するサービスを統一できなくなることです。 介護職は利用者に対して、1対1で接するのが基本となります。 また、施設であればシフト制で数日会わない職員もいますし、訪問介護であれば個人で対応することが基本となってきます。 それでも、介護職員によって提供するケアがバラバラであってはなりません。 たとえば、嚥下能力が落ちてきているご利用者に対し、水分100ccにどの程度のトロミ剤を使用するのかということがチーム内で統一されていなければ、職員が個々の考えで勝手に決めてしまいます。 すると、対応する職員によってトロミの固さにバラつきが出てしまいます。 これではご利用者やご家族は安心できませんし、プロフェッショナルの仕事とは言えません。 情報共有ができない(特に他職種) 連携が重要なのは、他の職種に対しても同様です。 「めまいを訴えていたご利用者が、横になったらすぐに落ち着いた」とします。 落ち着いたので、看護チームには伝えなかったということでいいのでしょうか。 もしかしたら、大きな病気の前兆かもしれません。 その日の深夜に同様の訴えが出た場合、どう対処すればよいでしょうか。 些細なことでも、情報があることで先に手を打てる可能性があります。 何よりも、他職種と連携が取れていれば、それだけ幅広い視点でのケアを提供することができるようになり、結局はご利用者に還元することができるのです。 職員同士の仲を深められない 連携が十分に取れていないことを気にかけている職員は、必ずいるはずです。 そういった職員は不満を抱えている可能性があります。 それだけならまだしも、周りの職員に不満を漏らしているケースすらあります。 そうなると職場や上司へ不満を抱く職員も出てきてしまうことでしょう。 負の連鎖が始まる前に、しっかりとコミュニケーションを図る必要があります。 上記のような弊害が生じてくることで、結局、割りを食ってしまうのはご利用者とその家族です。 お金をいただいているプロフェッショナルであるならば、こうした事態は避けたいものです。 連携不足はこうして起こる うまく連携を取れていない介護チームは、数多くあります。 その事実を、ご利用者やご家族から指摘されるケースもあるようです。 なぜ、こういったことが起こるのでしょうか。 連携不足が起こるのは、以下のような理由があります。 報連相の重要性を理解していない チームケアの重要性を理解していない どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 1つ1つ解説していきます。 報連相の重要性を理解していない 1点目は報告・連絡・相談の重要性を職員が理解していないという点が挙げられます。 こういった職員に対しては、「情報を共有するとケアの質が上がる」ということを指導していく必要があります。 チームケアの重要性を理解していない 2点目として、チームケアの重要性を理解していないということが挙げられます。 「ケア」というものは個人で行うものでなく、チームで行うものです。 介護職だけでなく、医療やリハビリ・福祉用具の専門家、ケアマネや行政も関わってくる場合もあるでしょう。 関わる全員がすべての情報を共有する必要はない場合もあるかもしれません。 しかし、最低限知っておくべきことはきちんと伝えられるようにするべきです。 どのような情報を、いつ共有すればよいのかわからない 職員の中には(特に入社したばかりの職員)は、どんなタイミングで、どんな情報を共有すればいいのかわからないというケースがあるようです。 これについては、マニュアル化しておくのがベストです。 マニュアルがなかったとしても、先輩が具体的に示してあげる必要があります。 連携不足にならないために それでは、きちんと連携が取れているチームを構築するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。 以下の点に気を付けるだけで、格段に連携が取れるようになります。 リーダー役が必要 連携の重要性を確認する チームで目標を共有する 情報を共有するツールを作る リーダー役を明確にする チームとしてうまく連携を取りあい機能させるには、リーダーが必要になります。 在宅介護であれば、その役割を担うのはケアマネです。 また、1人の利用者に対し複数のヘルパーが介入する訪問介護事業所なら、サービス提供責任者がリーダーとなるでしょう。 それぞれのチームにおいて、リーダー役や中心になる人が必要となります。 連携の重要性を理解する 「連携の重要性を理解していない」という要因に対しては、研修が有効です。 もちろん、入社時に報連相の重要性をきちんと伝える必要はありますし、これはどこの事業所も実践していることでしょう。 しかし、人間は忘れる動物です。 日々の忙しさに流され、基本がおろそかになってしまうという経験は誰しもあるはずです。 そのため、研修で連携の重要性について学びなおすことは、とても価値があります。 チームで目標を共有する もう1つ重要なのが、チームとして目標を共有することです。 目標が明確であれば、ご利用者に対して「どのようなケアを行ったのか」「その効果はどうだったのか」「次にどのようなケアをしていくべきか」など、情報共有をする目的ができるため、自然と連携を取りやすくなります。 情報を共有するツールを作る 連携の必要性を理解していたとしても、「どのように連携を取りあえばいいのか、わからない」という職員もいます。 そのため、リーダーは連携を取るためのツールを用意してあげましょう。 今は介護記録をスマホで入力し、クラウド上で共有することもできます。 施設であれば、ノートだって構いません。 いずれにしても「重要な情報はここに記載し、業務の前に一読する」などのルールを設定し、研修でその重要性を訴えていきましょう。 信頼は連携から生まれる 連携というのは介護の基本でもあり、かつ最重要事項といっても過言ではありません。 なぜなら、介護というものは1人では成立しないからです。 ケアマネからすると「伝えたはずのことが事業所内できちんと全員に伝わっていない」 ということになれば、次にお仕事を頼むのはやっぱり二の足を踏んでしまいます。 反対に、些細なことでも情報共有ができている事業所にはまたお仕事をお願いしたくなるものです。 まとめ ケアを提供するにあたり、チームの連携、情報共有は不可欠です。 連携不足だと以下のような弊害が生じます。 提供するサービスを統一できない 特に他職種への情報提供が不足する 職員同士の仲を深めることができない 連携不足になる要因には以下のような事柄が考えられます。 職員が報連相の重要性を理解できていない チームケアの重要性を理解できていない どの情報を、どのタイミングで共有すればいいか悩んでいる 連携不足を解消するためには、以下のような方法をとりましょう。 リーダー役を明確にする 連携の重要性を理解する チームで目標を共有する 情報共有のためのツールを用意する 連携は介護における最重要事項の1つです。 「いい介護はいい連携から」ということを常に頭においておきましょう。 チームの全員が連携の重要性を理解できるよう働きかけ、いい介護を提供していってください。