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  • 親が認知症化かも!認知症の疑いのある親を早く受診させる方法とは

    親が年齢を重ねると、子供の心配事の一つになるのは親の認知症です。 親の認知症を疑うのは子供にとって心苦しいものですが、認知症の症状に気づくのが遅れると家族の生活は一変します。 この記事では、認知症の疑いのある親を早く受診させるための方法を「もし自分の親が認知症になったら」という視点でステップ毎に紹介します。 認知症の疑いをどのように確認し、どう接するのか、また今後どうするのか対応方法を一緒に考えてみましょう。 本当に認知症なのか? 認知症は脳の病気で、記憶や自己判断力という認知機能の低下という症状があります。 65歳以上の高齢者の方が認知症を発症する可能性が高いといわれていますが、65歳未満の方も発症する若年性認知症も増えています。 まずは、「本当に認知症なのか?」を判断し、治療が必要なのか判断するのが、子供にできる第一歩です。 もの忘れか、認知症か? もの忘れか、認知症か、子供でも判断は容易ではないでしょう。 もの忘れは、高齢者の方でなくても多忙な時や加齢など誰にでも起こる症状ですが、認知症となると話は変わってきます。 もの忘れは一時的なもので、何かヒントがあれば思い出すため、日常生活に支障はありません。 しかし、認知症は忘れたことを本人が自覚できず、ヒントがあっても思い出せないなど日常生活に支障が出る言動をとります。 ただし、注意深くみていないと気がつきにくいため、子供も知らない間に親の認知症が進むこともあるのです。 加齢などによるもの忘れと認知症の違いは、一般的に次のとおりです。確認しておきましょう。 もの忘れ ・忘れたことを本人が自覚している ・記憶の一部を忘れているが、ヒントがあれば思い出す ・判断力はある ・日常生活は支障なくできる 認知症 ・忘れたことを本人が自覚していない ・ヒントがあっても、思い出せない ・判断力が低下している ・日常生活に支障がある もの忘れは、きっかけがあれば思い出しますが、認知症はそもそも記憶力が低下しているため、日常生活に支障がある症状です。 ステップ①親の認知症を疑う前のチェック 認知症の兆候は分かりにくいものですが、早期発見・早期治療につなげるために、子供が親の言動に違和感を持ち、いち早く認知症の兆候に気づく必要があります。 そして親の認知症を疑う前に、子供が簡単にチェックしておくことが大切です。 子供がチェックできる項目 1.家族すべての名前を言えない 2.同じ会話を何度も繰り返す 3.自分の名前や簡単な漢字が書けない 4.家の中にごみが散乱している 5.新聞や郵便物を確認していない 6.期限切れの食品がたくさんある 7.同じ食品や日用品がたくさんある 8.友達や近所の人との交流がなくなった 9.人を疑いやすくなった 10.身だしなみに気を遣わなくなった 11.季節や気温に合わせた服を着ていない   特に別居している子供は、定期的に電話で安否確認するとともに、少しでも会話に違和感があれば自宅に帰り、異変を早めに察知することが大切です。 日常の生活はどうしているのか、困り事がないかなど、自然な会話で質問しながら確認するなどのテクニックが必要になります。いずれも親の異変に気づく手がかりになるでしょう。 ステップ②認知症の疑いがある場合 認知症ではないかと思えば、専門機関での受診につなげていけるよう、まずは相談していくことを考えましょう。 認知症の疑いがある親が自覚していなくても、子供や友達など周りの人の気づきがあれば子供だけで悩みを抱え込まないでください。 早めに専門家に相談、受診させることが最優先の対応です。 主な相談先 かかりつけ医 地域包括支援センター 親にかかりつけ医がいる場合、気がかりなポイントをメモにして、親と一緒に同席して相談しましょう。 かかりつけ医がいない場合、お住まいの地域包括支援センターに相談すれば、色々なアドバイスや情報をもらえます。 早めに治療を開始できれば、適切な医療や介護につなげられます。 受診拒否がある場合 本人が受診しようという気になっていない場合、受診させることはとても難しいです。 認知症ではないかと親本人に伝えても自覚がない分、はぐらかしたり、プライドを傷つけられて怒り出すこともあります。 子供にとっても、早く受診させなければと気持ちが焦り「説得」を試みますが、ここでは「納得」する伝え方が大切です。 ・健康診断として一緒に受診してみる。 ・早めの受診が有効な例を伝えてみる。 例:認知症の疑いで受診したら脳血管障害が見つかった :認知症症状ではなくて老人性うつ症状だった ・信頼おける第三者から声をかけてもらう。 身近な第三者からの声掛けも受診につながるケースが多いです。ケアマネが担当すれば、その点も考慮して受診につなげていく援助が受けられます。 認知症の症状を知っておく 認知症を事前に調べ、知っておくことも大切です。 認知症の原因や症状を事前に調べておかないと、受診した際のショックが大きく、親の治療方針や接し方など大切な情報まで頭が回らなくなります。 ネットや書籍などで専門医が監修する信頼性の高い情報を 事前に知識を得ておくことも必要です。 また認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)についても 事前に情報を得ておくと、早めの認知症予防につながります。 ステップ③親が認知症と分かった場合 親が認知症と分かった場合、子供はさらにショックを受けるでしょう。 これからの治療で症状が改善するか不明な状況で、今後どう対応し生活していくか、不安なことばかりになります。 特に誰が主に親をサポートするのか、介護サービスを利用した介護か、施設に入所してもらうのか早急な対応の決断をしなければなりません。 また場合によっては、介護離職の決断をせまられる可能性もあります。 親の認知症を受け入れるのは、子供にとってはショックな出来事です。 しかし、早急に適切な対応や処置を施さないと、症状は悪化するだけでなく、日常生活にも支障を生じます。 子供といえども選択を誤ると、親と子供にとって不幸な結果を招きかねないため、よく考えて決断しましょう。 症状の進行は意外と早い 症状の進行は意外に早いという家族の体験談をよく見かけます。 子供が気づかない間に症状が進行しているケースも見られるため、受診した時点では日常生活が困難という場合もあるのです。 認知症の種類と特徴をいち早く知り、今後の治療や親の生活を見極める必要があるでしょう。 自宅介護か施設入所か 親のために自宅で介護したいと思う方もいるでしょう。 認知症であっても身体が元気な方は、子供が目を離している間に、徘徊や昼夜逆転生活、暴言を浴びせられるなど症状の悪化します。 それと共に介護者の負担感が大きくなってしまいます。 まずは、相談先のかかりつけ医や地域包括センターに相談し 介護認定を早急に申請することが先決です。 そして可能な限り介護を家族で分担して行う、介護サービスを最大限活用するなど、介護負担を軽減する対策を決めておきましょう。 また自宅介護が困難と判断した時点で、早めに施設入所を決めておくことも大切です。 自宅介護が親にとって最適な対応とは限らないのです。 認知症は初期症状での早めの対応がポイント 認知症に限りませんが、病気や症状は早期発見、早期治療で 完治または症状の緩和や進行を遅らせることができます。 特に認知症の場合、症状が軽い間に今後の治療方針や介護 場合によっては施設の利用や入所など考える時間ができ 早めの対応や行動ができます。 子供は親の言動の変化をいち早く感じ取る立場です。 認知症の疑いが晴れれば、それで良し 認知症であれば、前向きに行動し親や子供にベストな環境をつくる 子供にとって大切な2つの心構えです。 まとめ 親に認知症の疑いがあれば、子供による早めのチェックで 医療機関の受診につなげることが大切です。 ・早めに相談、受診につなげる ・子供は親の診察に付き添う ・認知症の症状を事前に知っておく ・親の介護生活の情報を集めておく。 子供の世話になりたくないという親は多いでしょう。 しかし、本人が気づかない間に認知症の症状は進行します。 親が高齢になるまでに事前に介護の情報を目にしておくことや 定期的に健康や介護など話し合いを持ち、お互いを見守る環境をつくっておくことが大切な時代になりました。  

  • 負担限度額認定って何!?利用するための条件や注意点などをご紹介!

    「介護施設の利用を検討しているけど経済的にきびしい」 「介護施設に入所しているけど毎月の支払いがきついな」 そう考えていませんか? 負担限度額認定は一定の条件を満たすことで、経済的にきびしい方の費用負担を軽くする制度です。 この記事では負担限度額認定制度について分かりやすく解説していきます。 負担限度額認定はどんな制度? 負担限度額認定は介護サービスを利用している方の経済的な負担を軽減する制度です。 ただしすべての世帯が対象というわけではなく、所得や預貯金が少ないなど経済的に余裕が無い方を対象としています。 実際に介護施設を利用すると毎月下記の費用が発生します。 介護サービス費(所得に応じて1~3割の自己負担) 日常生活費(理美容代やその他生活に必要な備品代) 居住費(宿泊費) 食費 これらの自己負担額は決して安い金額ではありません。収入の少ない方にとっては非常に大きな負担となってしまいます。 負担限度額認定制度では上記の費用のうち、「居住費」と「食費」を減額することができるため非常にメリットのある制度です。 負担限度額認定を利用するための3つの条件 それでは負担限度額認定証(負担限度額認定制度の対象者に交付される証明書)を交付してもらうためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。 ここでは、それぞれの条件について解説していきます。 条件①:本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であること 1つ目の条件は「本人を含む世帯全員が住民税非課税である」ことです。 本人に収入がなく住民税非課税でも同居する家族に所得があり、誰かが住民税を支払っている場合は、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 また、本人に配偶者がいる場合、事情により別世帯であっても配偶者が住民税を支払っているのであれば、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 ※配偶者からDVを受けている場合や、配偶者が行方不明の場合は否認要件に該当しません。 条件②:所得が基準額以下であること 負担限度額認定制度は経済的に厳しい方の負担を軽減する制度です。 そのため、所得レベルに応じて減免額に差を設けています。 各レベルは4段階あり、所得の額が上がるにつれて費用の減額は少なくなり、制度から受けられる恩恵も小さくなります。 所得要件は以下のようになります。 各段階 要件 第1段階 生活保護受給者 第2段階 ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円以下 第3段階(1) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円を超え120万円以下 第3段階(2) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間120万円超 第4段階(非該当) 負担軽減の対象外:1~3段階の条件に該当しない方 第1段階が制度より受けられる恩恵が最も大きく、段階が上がるにつれて恩恵も小さくなります。 第3段階より所得額が大きくなると負担限度額認定の対象から外れます。 条件③預貯金などの資産が一定額以下であること 負担限度額認定での預貯金の定義は「資産性がある」「換金性が高い」「価格評価が容易である」これらの3つの要因で定義されています。 預貯金に該当するもの 預貯金(普通・定期) 有価証券(株式・国債・地方債・社債など) 金・銀などの貴金属 投資信託 現金 負債(借入金・住宅ローンなど) 生命保険や自動車、貴金属などは預貯金の対象にはなりません。 資産要件は各段階に応じて下記のようになります。 区分 対象 単身 夫婦 第1段階 1,000万円以下 2,000万円以下 第2段階 650万円以下 1,650万円以下 第3段階(1) 550万円以下 1,550万円以下 第3段階(2) 500万円以下 1,500万円以下 負担限度額認定を利用するといくら安くなる? では実際に負担限度額認定制度を利用するとどこまで費用を抑えることができるのでしょうか? 下記の表に各段階に応じた負担額をまとめました(金額は月額換算になります) 表に記してある金額を超える場合、超過分の金額を支払う必要はありません。 例えば第1段階の食費の負担限度額は9,000円になりますが、9,000円を超過した場合の金額は免除されます。 各段階 居住費 食費の負担限度額 ユニット型個室 ユニット型準個室 従来型個室 多床室 特養 老健療養 特養 老健療養 第1段階 24,600円 14,700円 9,600円 14,700円 0円 0円 9,000円 第2段階 24,600円 14,700円 12,600円 14,700円 11,100円 11,100円 11,700円 第3段階(1) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 19,500円 第3段階(2) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 40,800円 第4段階 (非該当) 60,180円 50,040円 35,130円 50,040円 25,650円 11,310円 43,350円 負担限度額認定を利用した場合の シミュレーション 実際に負担限度額認定を「利用した場合」と「利用しなかった場合」を比較し、どれだけ制度からの恩恵を受けられるかみていきましょう。 分かりやすいように事例を想定して考えていきます。 (Aさんの事例) 条件……第2段階で従来型特養の個室を利用していると想定。 第4段階の非該当と比較していきます。 居住費…35,130円(非該当)- 12,600円(第2段階)=22,530円の負担軽減 食費…43,350円(非該当)- 11,700円(第2段階)=31,650円の負担軽減 合計(居住費+食費)=54,180円の負担軽減 このように、制度を活用することで毎月54,180円の負担軽減になります。 年間に換算すると65万円になり、制度から受けられる恩恵はかなり大きいのではないでしょうか。 負担限度額認定制度を活用してない人はぜひ活用しましょう。 負担限度額認定を利用できるサービス 負担限度額認定はすべての介護サービスで利用できるわけではありません。 利用できる施設 特養(特別養護老人ホーム) 老健(介護老人保健施設) 介護医療院 介護療養型医療施設 短期入所生活介護 短期入所療養介護 地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養) グループホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者賃貸住宅は対象外のため、注意が必要です。 負担限度額認定の注意点 負担限度額認定制度にはいくつかの注意点があるため、あわせて確認しておきましょう。 注意点①:負担限度額認定証には有効期間がある 負担限度額認定証には有効期間があります。 期限を過ぎると勝手に自動更新されるわけではないので注意が必要です。 有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間であるため、ご自身で更新の手続きをする必要があります。 毎年、更新月が近づくと書類が送付されてくるので、必要事項を記載し、ご自身で更新の手続きを進めておきましょう。 注意点②:毎年同じ額の費用減免が受けられるわけではない 負担限度額は前年の所得や預貯金などの状況に応じて決定されます。 そのため必ずしも前年と同じ金額が減額されるわけではありません。 所得や資産に大きな変化があった場合、状況によっては非該当になる可能性もあるため、注意が必要です。 まとめ ここまで負担限度額認定制度について解説してきました。 最後に復習しておきましょう。 負担限度額認定制度は経済的に余裕がない世帯の負担を軽減する制度である 負担限度額認定制度を活用するには「住民税非課税」「所得要件」 「資産要件」などの条件を満たす必要がある 負担限度額認定制度は所得や資産によって受けられる恩恵に差がある制度である 負担限度額認定制度を活用すれば金銭的負担をかなり軽減できるので活用すべきである 負担限度額認定証は有効期間があるので注意が必要である 負担限度額認定を受けるための申請書類は地域によって異なることがあります。 負担限度額認定を知らないことで損をしないように、不明点はお住まいの市区町村の自治体や、ケアマネージャーなどに問い合わせましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 世帯分離とはどんなもの?メリットやデメリットを解説!

    「世帯分離で親の介護費用は下がるのかな?」 「世帯分離はだれでもできるのかな?」 「そもそも世帯分離って何だ」 このように世帯分離についてお悩みではないでしょうか? 世帯分離は上手く活用することで介護費用を下げることが可能な制度です。 この記事では世帯分離について分かりやすく解説していきます。 世帯分離とは? では、世帯分離とはどのようなものか詳しく解説していきます。 そもそも世帯とは? 世帯とは住居と生計を共にしている人々の集まりのことです。 一人暮しでも独立して生計を営んでいれば世帯として扱われます。 また、同じ住居で共同で生活していても生計を別にしている場合は、それぞれが別世帯として扱われ、世帯主も複数存在することになります。 世帯分離とは? 世帯分離を簡単に説明すると、同居している家族と住民票を分けることをいいます。 ただし、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」があることが前提となるため、そもそも収入がなく生計を営むのが困難であれば世帯分離はできません。 また、世帯分離は住民票上での分離になるので、今まで通り一緒に生活することも可能ですし、当然戸籍もそのままになります。 世帯分離の目的は? 「そもそもなんで世帯分離するの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することです。 住民税の額は世帯ごとに計算されるため、世帯分離により世帯の所得額が減ることで、住民税の軽減が可能となります。 世帯分離の3つのメリット それでは世帯分離をするとどういうメリットがあるのでしょうか。 具体的に見ていきましょう。 メリット1:介護サービスを利用する際の自己負担額を軽減できる 介護サービスは所得に応じて1~3割の自己負担が発生します。 自己負担割合は基本1割ですが、平成27年度の法改正により一定額以上の所得者は2割、現役並みの所得がある人は3割負担になりました。 この自己負担割合は世帯の所得で判断されるため、世帯分離により親の所得だけが算定要因になれば自己負担割合も軽くなる可能性があります。 仮に要介護1の場合、支給限度額は約167,000円です。 3割負担の場合、自己負担が50,100円ですが、所得額が減ることで1割負担になれば16,700円になります。 毎月の差額が33,400円(年間約40万)になるため、世帯分離により受ける恩恵も大きいのです。 ※支給限度額とは、要支援、要介護と認定された方が介護サービスを利用した際に、介護保険から保険給付される限度額です。限度額を超過した分は自己負担になります。 メリット2:高額介護サービス費制度により自己負担額の上限が下がる 介護サービスの自己負担が1~3割とはいえ、サービスを無限に受け続ければ自己負担額はそれに比例して増えていきます。 そこで利用できる制度が「高額介護サービス費制度」です。 高額介護サービス費制度は世帯の所得に応じ、1ヵ月間に支払う自己負担額に上限額が設定されています。 自己負担の上限額を超えた場合、超過した分の費用は申請することで払い戻されるため、サービスをたくさん利用される方にとっては恩恵の大きい制度です。 一般的な所得の方の負担限度額は44,000円ですが、世帯分離を行うことで 住民税が仮に非課税になれば、上限額が24,600円となります。 月額で2万円(年間24万円)の負担軽減になるためメリットも大きいです。 メリット3:負担限度額認定制度により自己負担額を軽減できる 介護サービスを利用すると様々な費用が発生します。 なかでも食費や居住費は全額自己負担となるため、大きな負担となります。 負担限度額認定制度は介護保険施設を利用した際の食費や居住費を軽減できる制度です。 この制度は所得や資産の少ない方が対象となります。 所得や資産状況にもよりますが、ケースによっては食費と居住費を合わせて、月額5万円程度の負担軽減になることもあります。 世帯分離の4つのデメリット 世帯分離は上手く活用すればメリットも大きいですが、デメリットもあるため、注意するようにしましょう。 デメリット1:高額介護サービス費で介護費用を世帯合算ができない 世帯分離する前に一世帯に要介護者が2人以上いた場合、2人の介護費用を合算し、超過分を「高額介護サービス費制度」により払い戻すことができていました。 しかし、世帯分離によって各世帯に要介護者が1人ずつとなった場合には、今までのように介護費用の合算ができなくなります。 そのため申請後の払戻額も少なくなる可能性があることを覚えておきましょう。 ケースによっては、それぞれの介護サービス費では高額介護サービス費を利用できる上限額に達しないことも想定されるため、そもそも制度を利用できなくなることも考えられます。 デメリット2:各世帯で国民健康保険を納める必要がある 国民健康保険制度の保険料の負担は世帯主が行う必要があります。 そのため世帯分離し世帯が別になれば、それぞれの世帯で国民健康保険料を納める必要がでてくるのです。 仮にそれぞれの世帯での納付額は減っていたとしても、2つの世帯の保険料を合算すると、一世帯で支払っていた保険料よりも高くなってしまう可能性もあります。 そのため世帯の保険料の総額を考えて検討することが必要です。 ケースによっては保険料が逆に下がる可能性もあります。 世帯分離による保険料の増減に関しては、完全にケースバイケースといえます。 デメリット3:手続きの手間が増える 世帯分離により行政などの手続きが煩雑になることが考えられます。 役所の手続きは各世帯で行う必要があるため、同一世帯だった場合は1回の手続きで完結します。 しかし、世帯分離をすることで2世帯分の手続きをする必要がでてくるのです。 その他にも親の行政手続きに委任状が都度必要になるなどの手間も生じるので注意が必要です。 例えば、親の住民票が必要な場合があるとします。 その際、親が高齢で役所に行けない場合、代理で窓口に行くことになりますが、その都度親に委任状を書いてもらわなければなりません。 そのため、さまざまな手続きの手間は増えてしまいます。 デメリット4:扶養手当てや家族手当がもらえない 子供や親を扶養している場合、会社から扶養手当や家族手当などが支給されているのではないでしょうか。 その場合、世帯分離により、扶養から外れてしまうため手当がもらえなくなる可能性があります。 世帯分離を行う前に、一度会社の担当部署に確認しておきましょう。 世帯分離をおすすめできるケースとは 世帯分離でメリットが得られる世帯は、介護サービスをたくさん利用する方がいる世帯です。 世帯分離で所得が減ることにより、制度から受けられる恩恵も多くなる傾向にあるといえます。 高額介護サービス費制度では自己負担の上限額が下がることによって戻ってくる額も大きくなるなどのメリットを受けられます。 また介護保険施設に入所している場合、世帯分離することにより、食費や居住費の自己負担を軽減できる負担限度額認定制度を活用することも可能です。 世帯分離を行う際の注意点 世帯分離をするには住民票のある市区町村で手続きをする必要があります。 担当窓口の方から「世帯分離を行う目的は?」と質問された際に、「介護保険料を軽減したいから」と言うと受理されない可能性があるため注意が必要です。 なぜなら「介護保険料の減額」が、世帯分離の本来の趣旨とズレているためです。 世帯分離の本来の趣旨は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することにあります。 仮に窓口で理由を聞かれたら「生計を別々にするようになった」、「それぞれの家計が別々のため」と言うのが無難でしょう。 世帯分地は同じ住所でも親子同居でも申請することは可能です。 しかし、世帯分離するためには、独立した家計を営んでいることが条件となっています。 生計が同一の場合は世帯分離が認められにくいので注意してください。 世帯分離の手続き方法 では、実際に世帯分離をする際にどのような手続きが必要なのかを確認してみましょう。 書類をそろえる 世帯分離をするときには、以下の書類が必要になります。 ・本人確認書類 ・世帯変更届 ・国民健康保険証 ・印鑑 また、親の手続きを子供が代理で行う場合は委任状も必要です。 書類に不備があると申請できないので、念のため申請前に役所に確認しておくとよいでしょう。 まとめ ここまで世帯分離について解説してきました。 最後にポイントを整理しておきましょう。 世帯分離をするには、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」が必要である。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することである。 世帯分離をすることで介護費用を軽減できるというメリットがある 世帯分離をすることで国民健康保険の保険料が増えるというデメリットがある ※保険料に関してはメリットになる可能性もあり、完全にケースバイケースである 世帯分離をすることで会社からの手当が減ることがあるので注意が必要である 世帯分離により行政の手続きが面倒になるので注意が必要である 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 認知症で徘徊をしてしまう!徘徊の正しい対処方法をご紹介!

    徘徊は認知症の症状の一つです。 外や家の中をうろうろ歩きまわるため、介護者の介護疲れの要因の一つに挙げられています。 一人暮らしをしている親に認知症がある場合、普段の生活について心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。 本記事では、徘徊中に電車にはねられてしまった方の判例を紹介し、徘徊のリスクや原因、対処方法について解説しています。 認知症のある方を介護している家族や介護職におすすめの記事ですので、ぜひ最後までお読みください。 認知症とは [caption id="attachment_2017" align="alignnone" width="512"] Asian caregiver and a senior woman at the room[/caption] 認知症は、一度発達した脳が病気や障害などさまざまな原因により認知機能が低下し、日常生活全般に症状が出てくる状態のことです。 2020年現在、日本国内の65歳以上の人で認知症のある人は約600万人いるとされています。 これはおおよそ6人に1人が認知症になっていることになり、2025年には700万人、5人に1人が認知症になるといわれています。 認知症の症状とは 認知症の症状には、中核症状と周辺症状の大きく2通りに分けられます。 ではどのような症状なのかを確認していきましょう。 中核症状 中核症状は、記憶の障害や、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力、判断力の低下などがみられる症状です。 脳が萎縮したり脳卒中で損傷を受けたりすることで症状が出現することがあります。 中核症状には以下のような特徴があります。 数分前や数時間前の出来事を忘れている 同じことを何度も言う 同じ物を何度も買ってくる 等 周辺症状 周辺症状は、中核症状を原因として二次的に起こる症状のことです。 記憶や見当識があいまいになることで不安を感じ、心理面や行動面に症状がでてきます。 時間や場所の認識がなく、自分がなぜここにいるのかわからなくなり とりあえず歩き回った結果徘徊に至る 財布をどこに置いたかわからなくなり、身近にいる子や嫁が持っていってしまったと 取り繕うことで物盗られ妄想に至る これまで受けていた介護でも、理解力が低下し何をされるのかわからず 介護者の手を払い除けた結果介護拒否と言われる 認知症のある人の介護でもっとも大変なことの一つは、この周辺症状への対応かもしれません。 徘徊は周辺症状の一つ 徘徊は周辺症状の一つで、目的もなくうろうろ歩き回ることとされています。 介護者からするとただ歩き回っているように見え、何度も繰り返したり、制止が効かなかったりすることがあります。 そのため、介護者にとっては負担を感じやすい症状です。 徘徊に至る要因は、記憶力や見当識が低下することで、その場で起きていることの理解や判断ができない不安から、徘徊という行動をとっていると考えられます。 自分がどこにいるのか、何をしていたのか、周りにいる人が誰だかわからないという状況の中、とても大きな不安を感じている中での行動と言えるでしょう。 安全に歩ける環境であればまだよいですが、認知症により危険に対する認識がなくなってしまうこともあります。 歩道があるのに車道を歩いてしまったり、信号を守れなかったりすることもあるかもしれません。 住み慣れた集合住宅の敷地内を散歩して自宅に戻れなくなる事例も多くあります。 徘徊はなぜ起きる? 徘徊が起こる原因には、いくつか原因が考えられます。 身体的な違和感が原因 徘徊する原因には何かがしたいと思っていたのに、そのことを忘れてしまうため、その違和感により徘徊してしまうのです。 この場合、排泄や飲食をすることで気持ちが落ちつき、徘徊が落ち着くことがあります。 排泄が原因の場合は、主治医に相談をして排泄に関する薬を飲むことで落ち着く場合が考えられます。 日々の排泄など体調管理を行うようにしましょう。 心理的なストレスが原因 夕方や夜になると気持ちが落ち着かなくなり、外に出かけようとする方がいらっしゃいます。 これは認知障害だけでなく、不安や焦燥感などを感じてしまい、その衝動が徘徊になってしまうのです。 ストレスの内容には以下のような事柄があげられます。 ・過去の習慣によるもの ・若い時や数年前の記憶などが蘇ることで誤認してしまう ・判断力や記憶力が低下してしまったため、行きたい場所を忘れてしまう ・不安や不満などによるもの 普段からよく観察し、何がストレスになっているのかを考えたり、ご本人に話を聞いてみてください。 ストレスを軽減することができれば、徘徊の症状を改善することができるかもしれません。 環境によるもの 環境が変わることで居心地悪く感じてしまい、徘徊になることがあります。 ご本人が過ごしやすい環境にし、居心地よくしてあげることで徘徊を抑えることができます。 前頭側頭型認知症 前頭側頭型認知症は人格や社会性をつかさどる前頭葉と、言語や記憶、聴覚をつかさどる側頭葉が萎縮してしまう病気です。 前頭側頭型認知症になると、以下のような症状が現れます。 ・人目を気にしなくなる ・感情が抑制できなくなる ・同じことを繰り返す 前頭側頭型認知症は病気自体が原因で徘徊行動を起こしてしまいます。 徘徊に関する判例(2021年3月28日 京都新聞) 2007年12月7日、愛知県で、妻と二人暮らしをしている高齢男性が電車にはねられ死亡しました。 男性には認知症があり、デイサービスから帰宅後まもなく、妻がうたた寝をした6〜7分の間に外出し、事故に遭っています。 所持金はなかったものの、改札をすり抜けて電車に乗り、一つ先の駅で降りたあと、ホームにおり、フェンスの扉を開けて線路に入った様子でした。 そのため、トイレを探して迷い込んだと見られています。 一審では妻の居眠りが過失にあたり、介護方針を決めていた別居の息子にも監督義務があったとして、2人は約720万円の支払いを命じられました。 二審でも、対象者から息子を外し、支払額を半額の360万円とした判決がでています。 この判例は、認知症のある方の介護をしている介護者から大きな反響があり、社会問題となります。 徘徊のある人に対して24時間見守り続けなければならず、家に鍵をかけて閉じ込めておくしかないのかと、ニュースでも連日報道されていました。 その後の2016年3月、最高裁は請求を棄却し、認知症の人による事故で防ぎきれないものまでは家族が責任を負わない、とするはじめての判決が下されたのです。 徘徊への対処方法 上記判例では逆転勝訴で無罪という判決がでましたが、事故が起きてから判決がでるまで9年かかりました。 この間の家族の不安は想像に絶します。 大きな事故や裁判に至らなくても、徘徊に関するトラブルは後を絶ちません。 そして、徘徊自体をなくすことは自宅や部屋に鍵をかけて閉じ込めてしまう以外には難しいでしょう。 では、認知症により徘徊のある人に対してどう対処していけば良いかを、一つずつ解説していきます。 関わりによる対処方法 徘徊している本人に対し、介護者の見守りや声かけで対応をします。 辻褄の合わないことを行っている時でも、否定はせず本人なりの徘徊の理由を理解しましょう。 なぜ歩いているのか理由を聞くだけでも安心できる場合もあります。 帰宅願望などで「家に帰ります」と言いながら歩いている場合でも、「外は寒いので上着をきましょう」「車を呼んでいるからお茶を飲みながら待ちましょう」などと、気を逸らすことも効果的です。 サービスや福祉用具による対処方法 どんなに上手に介護していても、1人で認知症のある方の介護を続けるには限界があります。 デイサービスやショートステイなどの介護保険サービスをうまく使い、プロに任せられる部分は任せましょう。 少しでも介護から離れる時間を作り、介護者が自由に使える時間を作ることも大切なことです。 また、ベッドや自宅の出入り口などにセンサーを設置することで、徘徊に速やかに気づけます。 認知症のある本人を閉じ込めるのではなく、動きを察知して対処することが可能です。 地域と連携する対処方法 徘徊だけでなく、認知症のある方の介護をしていくには、地域との連携を図ることが大切です。 家族だけで介護していくにはいずれ限界がやってきます。 本人が不安がっていたら声をかけてもらうよう近所の方に話をしておいたり、ゴミの出し方を間違えているようであれば、否定しないように指摘してもらったりすることも効果的です。 家族だけが抱え込むのではなく、うまく地域と連携しその方をケアすることで本人も家族も安心して生活できます。 まとめ  いかがでしたでしょうか。 本記事では、認知症による徘徊から電車にはねられ訴訟に至った判例や、徘徊への対処法について解説しました。 認知症の症状には中核症状と周辺症状がある。 徘徊は周辺症状の一つで、介護者にとっては負担感の大きいものである。 周囲から見ると、目的なく歩き回っているように見えるが、認知症による記憶や見当識 理解力や判断力が低下したことで起こる不安から出てくる症状である。 対応としては否定するのではなくその人の不安を取り除く関わりが必要。 介護者だけが抱え込むのではなく、介護保険サービスやセンサーの活用 地域との連携が徘徊への対処方法として大切である。 今後認知症がありながらも地域の中で暮らしていく方は増えていきます。 徘徊で自宅に帰れなくなる場面に出くわすこともあるかもしれません。 地域によっては徘徊と呼ばずに「ひとり歩き」と言う地域もあります。 認知症のある方の不安を取り除けるよう対処し、本人も介護者も安心して生活できるように関わっていくようにしましょう。

  • 『高額介護サービス費』とはどんなもの?基準値や利用できるサービスなどを解説!

    高額介護サービス費は、介護保険サービスを利用したときに支払う利用料金の一部が返金される制度す。 いろいろなものが値上がりしている昨今、利用者やその家族は利用料金の負担に不安を感じています。 なかには利用料金に対する不安から必要なサービスの利用を控えている利用者もいるのではないでしょうか。 介護保険の制度の中でも複雑で理解が難しい高額介護サービス費。 本記事を読むと、高額介護サービス費について理解できます。 ぜひ最後までお読みください。 高額介護サービス費とは 高額介護サービス費は、「1ヶ月に支払った利用者負担の合計が所得に応じた負担限度額を超えた時に超えた分が払い戻される」制度です。 介護保険サービスを利用する時、利用者の所得によって、利用料金の1〜3割を利用者が負担しています。 ですが介護を受ける期間が長くなったり、加齢によってサービスを受ける量が増えたりすると、負担する料金がどんどん増えていきます。 利用者の経済的負担を軽減するための制度がこの高額介護サービス費。 利用者の所得によって段階的に基準額が決められています。 たとえば、住民税非課税世帯だと、年金収入やその他の合計所得の合計が年間80万円より高い世帯の上限額は24,600円です。 仮にサービス利用料金が40,000円の場合、差額の15,400円が後から返金されます。 以前は住民税課税世帯の上限額は一律で44,000円でしたが、令和3年8月に制度が改正されて、高所得者世帯の上限が見直されました。 「課税所得380万円未満」「課税所得380万円〜690万円」「課税所得690万円以上」と細分化されています。 高額介護サービス費の基準額は以下を参照してください。 高額介護サービス費の基準額 *2023年2月現在は以下のようになっています。 区分 負担の上限額 (月額) 課税所得690万円(年収1,160万円)以上 140,100円(世帯) 課税所得380万円(年収770万円)〜課税所得690万円(年収1,160万円未満 93,000円(世帯) 市町村民税課税〜課税所得380万円(年収770万円)未満 44,400円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方 24,600円(世帯) 15,000円(個人) 生活保護受給者等 15,000円(世帯) 参考:厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます 間違えやすい制度 以下の2つは高額介護サービス費と間違えやすい制度なので分けて考えてください。 区分支給限度基準額…要介護度ごとに設定された一月に利用できる介護保険サービスの上限額を指します。超過した分は介護権を利用できず全額自己負担です。 高額医療・高額介護合算療養費制度…年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が限度額を超えた時に差額が支払われる制度です。 対象になる時は市区町村から必要書類が送られてくるので、記入して返送します。 高額介護サービス費の対象にならないサービス 高額介護サービス費は、所得などによって決められた基準額を超えた分の 返金を受けられますが、支払った費用の全てが対象になるわけではありません。 対象外になるサービスは以下の通りです。 施設サービスやショートステイの食費や居住費、その他の日常生活費 福祉用具の購入費や住宅改修費 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 施設サービスやショートステイの食費や居住費 その他の日常生活費 高額介護サービス費の対象になるのは、1割から3割の中で負担している介護保険の自己負担分のみです。 そのため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入居施設や、ショートステイを利用したときにかかる食費や居住費は対象にはなりません。 散髪代やその他の日常生活費も対象外です。 もともと介護保険の対象外となっている費用については、対象外になると理解していればよいでしょう。 福祉用具の購入費や住宅改修費 手すりの取り付けやスロープの造設、ポータブルトイレの購入等にかかった費用も対象外です。 額としては大きくまとまった費用がかかりますが、一時的なもので継続的にかかる費用ではありませんので、対象外になります。 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 サービスを多く利用し、支給限度基準額を超えてしまったときの超過分についても、高額介護サービス費の対象からは外れてしまいます。 超過分は介護保険の給付対象ではなく全額自己負担になるからです。 たとえば、サービスを50,000円分利用し、支給限度基準額が30,000円 高額介護サービス費の負担の上限額が15,000円だったと仮定します。 サービスを利用しているのが50,000円で、負担の上限額が15,000円なので 35,000円の返金と考えてしまいますが、これは間違いです。 支給限度基準額が30,000円なので、20,000円は全額自己負担になります。 そのため、高額介護サービス費は30,000円から上限額の15,000円を引いた差額の15,000円です。 計算自体はそれぞれの市区町村が行いますが、仕組みを理解しておくと 返金分を考慮したサービス調整ができるようになります。 高額介護サービス費の申請方法 実際に高額介護サービス費の支給を受けるための手続きは簡単です。 対象になると、市区町村から住民票のある住所地に申請書が送られてきます。 送られてきた書類に基本情報や口座情報などの必要事項を記入し、市区町村に提出するだけです。 郵送でも手続きできるので、わざわざ役所へ行く必要はありません。 受理されて1〜2ヶ月後、申請時に指定した口座に振り込まれます。 一度登録が済むと、その後手続きは自動です。 2回目以降は支給決定通知書や領収書が送られてくるので大切に保管しておきましょう。 確定申告をする場合に必要になります。 申請はいつでもできますが、サービスの利用から2年が経過してしまうと時効になるので早めに手続きしたほうがよいでしょう。 高額介護サービス費は経済的な面でとても助かる制度ですが、申請しなければ返金されることはありません。 申請書が届いたら忘れずに申請しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、高額介護サービス費の制度について、基準額・対象にならないもの・申請方法について説明しました。 高額介護サービス費は、1ヶ月に支払った利用者負担の合計が 所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度。 課税所得や住民税の課税状況によって負担の上限額が決まっている。 高額介護サービス費の対象にならないものもある。 申請は市区町村から送られてくる申請書に必要事項を記入し返送する。 サービスの調整や自己負担額の説明をする際に、それぞれのサービスの料金表に載っている費用だけを伝えると、利用者や家族は負担感を感じることもあります。 後から返ってくる費用もあると知ることで、サービス利用にをする際の経済的不安を減らせるのではないでしょうか。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護医療院とはどういうもの?概要や入所のメリットとデメリットなどを解説!

    介護医療院とは要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。 2018年に法制化されたばかりの新しい種類の施設なので、実際どんなところなのか、自分の親が入所できるのかなどわからないこともあるのではないでしょうか。 本記事では、介護医療院の概要や入所のメリットとデメリット、利用料金や入所する方法を解説します。 ぜひ最後までお読みください。 介護医療院ってどんなところ? [caption id="attachment_1970" align="alignnone" width="512"] Woman in a white coat[/caption] 介護医療院は介護保険制度を利用した介護施設ですが、医療的なケアも受けられて長期間利用できる施設です。 介護保険制度が始まる2000年以前は、治療がなくても病院へ入院している社会的入院が問題となっていました。 退院できるけど生活する場がない人の受け皿として介護療養型医療施設が創設されましたが、医療の必要性の低い利用者も多く入院している状況は変わりませんでした。 医療費の圧迫や人手不足の問題もあることから、2023年度末で介護療養型医療施設は廃止されることになり、介護医療院が新設されることになりました。 サービスの内容 介護医療院で受けられるサービスには、介護サービスと医療サービスがあります。 介護サービス 介護医療院は同じ介護保険施設の枠組みにある特別養護老人ホームや、介護老人保健施設(老健)と同じように、食事や排泄、入浴など、その人に必要な介護を受けられます。 担当のケアマネジャーを中心に作成する施設サービス計画をもとに、日常生活上必要な介護やレクリエーション、機能訓練などが提供されています。 医療サービス 介護医療院では、たんの吸引や胃ろう、点滴、在宅酸素、褥瘡のケアなど 医療的なケアの対応ができる他、看取り介護も行われています。 入院して治療するほどではないが医療的な観察が必要な場合、特別養護老人ホームなどでは受け入れができない場合があるので、介護医療院が選択肢になるでしょう。 2つのタイプ 介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。 Ⅰ型は重篤な身体疾患のある方や身体合併症がある認知症高齢者が対象で 病院色の強いタイプ。 Ⅱ型はより安定している高齢者が対象で、老健のようにリハビリをして 家庭復帰をサポートしています。 Ⅰ型とⅡ型では、施設の人員や設備、運営基準に違いがあります。 (引用:厚生労働省「介護医療院の概要」) 対象者 入所の対象になるのは、要介護1〜要介護5の認定を受けた65歳以上の方と 40歳から64歳で特定疾病による要介護1〜要介護5の認定を受けている方。 要支援の方は対象外のため入所できません。 その人の状態によってⅠ型かⅡ型かが決まります。 介護医療院は、医療的なケアを提供する場なので、実際の入所者は医療依存度の高い高齢者が多い傾向です。 介護医療院に入所するメリットとデメリット 医療的なケアを受けながら長期療養できる介護医療院ですが、メリットだけではありません。 入所者本人にとってよい選択ができるようメリット、デメリットともに把握することが大切です。 メリット 介護医療院に入所するメリットは以下の3点です。 医療的なケアを受けられる 長期療養が可能で看取り介護も対応できる 生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある デメリット デメリットは以下の3点です。 多床室は家具とカーテンで仕切られているだけでプライバシーの確保が不安 長期になると費用が高額になる まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる 施設によって特徴に違いがありますので、資料請求や見学をして情報収集することが大切です。 介護医療院の費用    介護医療院の費用は月額の利用料金のみで、入居金などの初期費用はかかりません。 医療的ケアを受けられることで、特別養護老人ホームに比べると高く設定されているので、入所前によく確認しましょう。 月額利用料金の内訳   介護医療院でかかる月額利用料金の内訳は以下のとおりです。 施設サービス費・介護加算 施設サービス費は要介護度ごとに設定されていて、他にも介護保険の負担割合や施設の形態によって金額が異なります。 表はⅠ型、Ⅱ型それぞれ1割負担の場合の金額です。( 記事執筆23年2月) Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 694円 803円 820円 要介護2 802円 911円 928円 要介護3 1,035円 1,144円 1,161円 要介護4 1,134円 1,243円 1,260円 要介護5 1,223円 1,332円 1,349円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 649円 758円 819円 要介護2 743円 852円 919円 要介護3 947円 1,056円 1,135円 要介護4 1,034円 1,143円 1,227円 要介護5 1,112円 1,221円 1,310円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) 他にも施設の体制にかかる加算項目がありますので、説明を聞く際に確認が必要です。 居住費・食費 室料や光熱費にあたる居住費や、食材料費や調理費にあたる食費は各施設ごとに決められています。 厚生労働省が基準費用額を定めているので、以下をご確認ください。 基準費用額 居住費 多床室 377円 従来型個室 1,668円 ユニット型個室 2,006円 ユニット型個室的多床室 1,668円 食費 1,445円 (参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和3年3月9日)) 日常生活費 日常生活費は歯ブラシやティッシュペーパー、理美容や入れ歯の洗浄剤など、生活の中で必要になる費用です。 保険の適用にはならず実費負担となり、施設によって金額が異なるので 入所前に確認する項目の一つです。 月額利用料の目安 上記を参考に月額の目安を計算すると以下のようになります。 Ⅰ型 1割負担 要介護4 ユニット型個室の場合 →140,340円 + 日常生活費 Ⅱ型 1割負担 要介護3 多床室の場合 → 86,340円 + 日常生活費 介護保険の負担割合や要介護度、居室のタイプによって利用料金が大きくかわるので、負担が大きくなってしまう可能性もあります。 少しでも負担を抑えるために、次から介護医療院で使える減免制度について説明します。 介護医療院の減免制度 介護医療院の費用に関する減免制度は主に3つです。 支払いに不安のある場合は以下の制度を活用することで、自己負担額を低くすることができます。 介護保険負担限度額認定 介護医療院の費用のうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって、段階的に減額されます。 段階によっては居住費と食費が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、保険者となっている市区町村の介護保険窓口で対象になるのかどうか、確認してみるとよいでしょう。 高額介護サービス費 高額介護サービス費は、1カ月に支払った施設サービス費が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度です。 居住費や食費、日常生活費は対象にはなりません。 該当する時に市区町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 高額医療・高額介護合算制度 高額医療・高額介護合算制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、所得によって決められた限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。 高額介護サービス費と同じように、対象者には申請用紙が届きますのでそれぞれの役所へ提出します。 介護医療院に入所する方法 [caption id="attachment_1968" align="alignnone" width="512"] A room in a nursing facility[/caption] 介護医療院に入所する流れは以下のようになります。 要介護認定を受ける 入院・入所中の病院や施設の相談員へ相談し介護医療院を探す 資料請求や見学をして施設へ直接申し込む 診療情報提供書や血液検査などのデータを元に介護医療院が入所判定を行う 入所前面談を行い、施設での生活や療養方針について確認する 入所 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では介護医療院の概要やサービス内容、入所のメリットとデメリット、費用や入所する方法を解説しました。 介護医療院は医療的なケアを受けられて、長期療養できる介護保険施設 利用者の状態によってⅠ型とⅡ型に分けられる 対象になるのは65歳以上、もしくは40歳から64歳で特定疾病による 要介護1〜要介護5の認定を受けている方 介護医療院に入所するメリットは「医療的なケアを受けられる」 「長期療養が可能で看取り介護も対応できる」 「生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある」 デメリットは「多床室は家具とカーテンで仕切られているだけで プライバシーの確保が不安」「長期になると費用が高額になる」 「まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる」 1カ月の費用の主な内訳は、施設サービス費+居住費+食費+日常生活費 利用料金の減免制度として介護保険負担限度額認定、高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算制度などがある 介護医療院は医療的ケアも介護サービスも受けられます。 家族内、ケアマネジャー、入院・入所している病院や施設の相談員などとよく相談し、より良い選択をするようにしましょう。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」とは?サービス内容やメリット・デメリットを解説!

    訪問介護は日中のサービスだけではありません。実は夜間にサービスを行う訪問介護もあります。 こちらの記事では夜間の訪問介護はどのようなサービスを行っているのかを解説いたします。 夜間に対応する訪問介護ってなに? 一般に訪問介護と聞くと、ヘルパーが日中のみ来訪しご利用者様の介護を行い、夜間は家族が介護するイメージが強いのではないでしょうか。 しかし寝たきりの被介護者を介護をする家族の方が、高齢などの理由により体力を必要とする介護ができない場合、ヘルパーが帰ってしまった後は 十分なケアをすることができません。 そのような悩みに寄り添ってできたサービスが、夜間対応に特化した「定期巡回サービス」です。 正式には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と呼ばれています。 このサービスは、在宅で頻回にサービスを必要とされているご利用者様に適したサービスで、このサービスは夜間訪問も対応しています。 定期巡回サービスとは 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、在宅で生活しながら、24時間体制で訪問介護のサービスを受けられるといったサービスです。 このサービスは、「施設に入りたくない」「自分の住み慣れた自宅で最後まで過ごしたい」「家族が遠くて何かあったとき心配だ」といった様々なニーズに対応したサービスとなっています。 このサービスの中に、夜間に訪問する介護サービスが含まれているのです。 夜間に対応する訪問介護が必要な人とは 家族が日常的に介護をしていても、常に家族が被介護者の介護をできるとは限りません。 仕事や子育て、体力の限界など各ご家庭さまざまな事情があるものです。 1人暮らしができている方でも、誰かの手を借りないと生活するのが困難な方もいらっしゃいます。 そういった方々が、夜間の訪問介護が可能なこの制度の利用に適しています。 他にも、昼夜問わず定期的な介護サービスを必要としている方なども、おすすめです。 夜間はどんなサービスを提供してくれるのか 夜間対応では主に以下のサービスを提供しています。 ①排泄介助・おむつ交換 このサービスは特に要介護度が高いご利用者様に必要なサービスです。 要介護度が低い人でもベットの近くにあるポータブルトイレへ誘導したり 普通のトイレまでお連れして排泄介助をすると言うサービス内容もあります。 ②体位変換のサービス このサービスは寝たきりご利用者様に適したサービスです。人は寝ている時に体を動かさないと体とベッドに面した部分に圧がかかり、皮膚が壊死してしまいます。 普通の人だと寝返りで無意識のうちに圧力を分散しますが、寝たきりのご利用者様は基本的にそれができない人が多いです。 そのため職員が一定の時間間隔で訪問し体の向きを変えて除圧します。 ③安否確認サービス 独居で住んでいるご利用者様は、安否確認が必要です。 体調の急変もいつ起こるかわからず、そういった意味での安否確認が必要になるのです。 このサービスを利用するご利用者様や家族は多くいます。 ④基本的にはご利用者様に対するサービスのみ 基本的にこのサービスは、ご利用者様に関わることしか行えないと言う決まりがあります。 例えば家族に関するサービスを行うことは禁止されています。 夜間も対応の随時訪問サービス 夜間対応には、随時訪問のサービスがあります。 随時訪問とはご自宅で1人で過ごしている人には特に必要なサービスになります。 例えば自宅で転んでしまったものの一人暮らしで立ち上がることができない時などに、事業所から配布されたナースコールでヘルパーを呼び、対応してもらうという仕組みです。 筆者は夜勤時の随時訪問で、主に排泄介助を緊急で行ってほしいというコールや転倒して助けて欲しいが、家族が寝ていて助けてもらえないので来てほしいなどのコールがありました。 他には認知症の方で、幻覚や幻聴が聞こえる等の問い合わせで対応したこともあります。 夜間対応の時は、一時的にご自宅の鍵を預かって訪問し鍵を開けて入室します。 そのため、緊急時にも対応が可能ですし、夜間も伺うことができるのです。 基本的に随時訪問で可能な稼働時間は約30分程度です。 私が過去に実際に行って要した時間は長くて20分程度だったと記憶しています。 それぐらいの短めのサービス内容である事が多いです。 オペレーションサービス ご利用者様のコールを受け取り、訪問するヘルパーに伝達する役割も必要です。 最初の電話の段階で、このコールは緊急性があるかどうかの判断をします。 実際多方面からコールが複数回来る場合もあり、優先順位を間違えると、ご利用者様の命に関わる場面もあるからです。 この判断をするオペレーターは基本的に、看護師、ケアマネジャー、介護福祉士の資格を持つ職員です。 どれも国家資格のため、利用者の通報内容からご利用者様への的確な指示を伝え、ヘルパーの派遣をし、場合によっては救急車の手配も行います。 オペレーターを行う人は定期的にご利用者様宅を訪問し、適切な判断をするために様子観察を行う必要があります。 また、オペレーションセンターではご利用者様300人に対して、オペレーションセンター1箇所の設置になります。 しかし、事業所のご利用者様が少なく、ヘルパーが直接利用者様からのコールに対応できるときは、オペレーションセンターの設置を行わない場合もあります。 このオペレーションサービスは2016年から介護保険の対象になり、ご利用者様が利用しやすいようになりました。 オペレーターの従事者の条件は、2018年の介護報酬改定により緩和されています。 元々は医師、看護師、介護福祉士の仕事に3年以上従事した人限定でしたが 現在は1年以上従事した人が対応できるようになりました。 夜間に対応する訪問介護のメリット 夜間に訪問介護のサービスを受けることは、以下のようなメリットがあります。 ①夜間緊急時に連絡可能 どのような環境のご利用者様も、事業所から配布されたナースコールを押すだけで、オペレーションセンターにつながります。 ナースコールは、一人暮らしのご利用者様に特に重宝されます。 他にも、家族が遠くてすぐに駆けつけられないなど、対応できない時に便利です。 ②家族の介護負担軽減になる 先にも説明しましたが、このナースコールがあることでヘルパーが随時対応できます。 そのため、介護者が介護のために仕事を辞めたりする必要もなく、日中夜間含めて自分の時間を守ることが可能です。 夜間に対応する訪問介護のデメリット 夜間の訪問介護はメリットばかりに感じられますが、デメリットも存在ます。 メリットとデメリットの双方を考え、利用することが重要です。 ①料金が高額になることがある コールの端末にはレンタル料などはかかりませんが、夜間対応型訪問介護には月額料金がかかります。 他にサービスを利用すると1回毎に料金が発生するため、利用回数によっては料金が高くなる可能性があります。 ②住んでいる市区町村の事業所だけしか使えない このサービスは、ご利用者様自身が住んでいる市区町村内の事業所しか 利用できないと言う決まりがあります。 そのため、夜間の訪問介護を行っている事業所を探す場合は、担当のケアマネジャーか、住んでいる地域の担当窓口に相談することをおすすめいたします。 まとめ ここでは夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」について解説いたしました。 夜間の介護は寝ているから何も起きないわけではありません。さまざまな手が必要になる場合もあります。 利用する必要が出てくる前に、近くにサービスを受けられる事業所があるかどうかを探しておいてはいかがでしょうか。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 成年後見制度にかかる費用とは?制度の種類や費用のシュミレーションを解説!

    「将来に備えて任意後見制度を利用しようと考えてるけど費用はいくらかかるの?」 「認知症になった親のために法定後見制度を利用したいけど いくらかかるんだろう?」 そんな不安や疑問を抱えていませんか? この記事では成年後見制度にかかる費用について、分かりやすく解説していきます。 そもそも成年後見制度ってなに? 成年後見制度とは「認知症」や「障害」などにより判断能力が不十分になった人を守る制度になります。 大切な財産を詐欺などから守ることはもちろんですが、病院の受診や介護施設の契約時など、1人で判断することが難しい時に後見人がサポートしてくれる制度です。 そんな成年後見制度ですが「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類に分かれます。 任意後見制度とは? 任意後見制度とは本人の判断能力十分なうちに「後見人(助けてくれる人)」と「支援して欲しい内容」を決めておく制度になります。 制度を利用する人が元気なうちに将来に備える仕組みです。 法定後見制度とは? 法定後見制度とは認知症などにより既に判断能力が不十分になった人に対して、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。 既に判断能力が不十分になっているため、本人の意向を汲み取ることは困難になります。 また、法定後見制度は本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3種類の類型に分類されます。 法定後見制度にかかる費用は? 法定後見制度にかかる費用には、最初の手続き時のみ発生する「初期費用」と、後見人への報酬など「継続的に発生する費用」の2つに分かれます。 法定後見制度の手続きに発生する初期費用 法定後見制度では本人の判断能力が衰えた時に「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が、家庭裁判所に申立を行います。 その家庭裁判所への申立の際に費用が発生します。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 申立て手数料 800~2,400円 ・類型が補助の場合、補助人への代理権と同意権を付与する申立てが必要なため追加で1,600円(各800円)が必要になります。 ・保佐の場合も必要に応じて代理権と同意権が必要になる場合があります 戸籍謄本 450円 住民票 300円 登記されていないことの証明書 300円 本人が既に成年後見制度を利用してないことを確認するための証明書 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合に必要 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合に必要 郵便切手代 4,000~5,000円 登記費用手数料 2,600円 後見・保佐・補助いずれの類型でも同額 鑑定費用 5万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士などに手続きを依頼した場合 10万~20万 手続きを自分で行うことは可能ですが、弁護士や司法書士などへ依頼することも可能です 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用です。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 法定後見制度の継続的に発生する費用 後見人の業務が開始すると、後見人に対して報酬を支払う義務が発生します。 毎月発生する報酬には2種類あります。 基本報酬:後見人への報酬 成年後見監督人への報酬:成年後見監督人が選任されている場合に発生 ※成年後見監督人は後見人がきちんと業務をしているか監督する立場にあります。 それでは2つの報酬の相場を確認していきましょう。 ①基本報酬(後見人への報酬)の相場 基本報酬は本人の管理してる財産額により決められるのが一般的になります。 また管轄の家庭裁判所により報酬額にバラツキがあるため確認しておきましょう。 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ③成年後見監督人に対する報酬 成年後見人への報酬と同様に管理している財産額によって相場が変わるのが一般的です。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円 法定後見制度の費用シュミレーション 実際に法定後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Aさん80歳】……類型が補助の場合 財産1,000万未満 / 申立て手続きを司法書士に依頼 / 成年後見監督人を選任 Aさんをモデルに初期費用と継続的に発生する費用を確認していきましょう。 ①初期費用(家庭裁判所への申立て費用) 家庭裁判所への申立てにかかる費用 ➡ 約2万円前後 ※鑑定費用は発生しないと想定しました。 理由…鑑定が行われるのは希で、発生する割合は例年1割未満のため。 作成などの手続きを司法書士に依頼 ➡ 150,000円 上記の費用を合算すると、およそ17万円が初期の費用として発生する計算になります。 ②継続的に発生する費用 成年後見人への報酬 ➡ 月額2万円程度 成年後見監督人への報酬 ➡ 月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月4万円程度の支払いが発生する計算になります。 年間にすると48万円の支出になり、決して安い金額とは言えません。 仮に亡くなるまでの期間を20年と想定した場合、960万円の支払が必要になる計算です。 任意後見制度にかかる費用は? ここからは任意後見制度にかかわる費用について見ていきます。 任意後見制度の初期費用 任意後見制度の初期費用には判断能力が十分なうちに発生する 「任意後見契約書の作成費用」と、判断能力が衰えたときに発生する「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなります。 時間をおいて2段階で費用が発生するイメージです。 ①任意後見契約書の作成費用 任意後見制度では判断能力が十分なうち、任意後見人を定める任意後見契約を結ぶ必要があります。 【任意後見契約書の作成費用】 項目 金額 備考 公正証書作成基本手数料 11,000円 ・公証役場への手数料 ・4枚を超える場合は1枚ごとに250円追加 印鑑登録証明書 300円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 正本等の作成手数料 250円 1枚あたり250円 登記嘱託手数料 1,400円 郵便切手代 540円 登記手数料 2,600円 法務局へ納める印紙代 司法書士に依頼した場合 5~10万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約1.7万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で5万〜10万の費用が発生します。 ②家庭裁判所への申立てにかかる費用 実際に本人の判断能力が低下し後見人が必要になったら、任意後見人が家庭裁判所に対して 任意後見監督人選任の申立を行う必要があります。 任意後見制度では任意後見監督人(後見人の監督役)を選任する必要があります。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 任意後見監督人選任申立て手数料 800円 後見登記手数料 1,400円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 後見登記事項証明書 550円 オンライン請求の場合380円 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合 郵便切手代 4,000~5,000円 鑑定費用 10万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士に依頼した場合 10万~20万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 任意後見制度の継続的に発生する費用 任意後見制度の継続的に発生する費用には基本報酬(後見人への報酬)と 後見監督人への報酬があります。 ①基本報酬(後見人への報酬) 任意後見人への報酬は本人と後見人候補者で事前に取り決めた金額になります。 一般の人が後見人になる場合、2万円程度が報酬の相場です。 家族に後見人を依頼するのであれば、0円(無料)になる場合もあります。 弁護士や司法書士などに依頼する場合、管理財産額により報酬が変動するのが一般的です。 【後見人に司法書士などの士業を選任した場合】 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ②任意後見監督人への報酬 任意後見監督人への報酬も本人の管理財産額により報酬が変動します。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円  任意後見制度の費用シュミレーション では実際に任意後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Bさん80歳】……任意後見人を家族に依頼 財産1,000万未満 / 任意後見人を家族に依頼 / 成年後見監督人を選任 ※成年後見契約書作成を司法書士に依頼……10万円 ※家庭裁判所への申立を司法書士に依頼……15万円 ①初期費用 任意後見契約書の作成時:1.7万円+10万円(司法書士への報酬)➡ 約12万円 家庭裁判所への申立て時:2万円+15万円(司法書士への報酬)➡ 17万円 上記の費用を合算すると、およそ29万円が初期の費用として発生する計算になります。 任意後見契約書を作成してから、実際に認知症などにより判断能力が低下するまでには数年から数十年かかることが想定されます。 そのため、一気に27万円の支払いが発生するわけではありません。 ②継続的に発生する費用 任意後見人(家族)への報酬 ➡無料 ※家族のため無料と想定 任意後見監督人への報酬 ➡月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月2万円の支払いが発生する計算になります。 年間では24万の支出です。 ※任意後見人を家族に依頼した場合、必ずしも報酬が無料になるわけではありません。 まとめ ここまで成年後見制度にかかる費用について見てきました。 最後にポイントを復習しておきましょう。 成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」2種類ある 成年後見制度の費用には、申立て費用などの「初期費用」と後見開始後に発生する 「継続的な費用」の2つがある 法定後見制度の「初期費用(家庭裁判所への申立て)」は17万円前後である ※司法書士に手続きを依頼したと想定 法定後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」は月額2~9万である ※後見人への報酬額は管理財産額により変動する 任意後見制度の初期費用は「任意後見契約書の作成費用」と 「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなる。 初期費用の合計はおよそ29万円前後である 任意後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」2~9万円前後である 任意後見制度の後見人を家族に依頼する場合報酬が無料の場合もある 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 訪問介護も新しいカタチへ。時代に合わせた変化への対応と結果をご紹介!

    訪問介護利用者の日常生活を取り巻く環境は、日々変化しています。 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAIは、訪問介護にどう取り入れられるのかを紹介します。 多種多様化、ヘルパーさんも随時対応中 訪問介護には色々な「サービス行為ごとの区分」があります。 利用者の身体に纏わる介助を行う身体介護や、日常生活に纏わる援助を行う生活援助、病院受診等の対応に纏わる介助を行う通院等乗降介助などです。 訪問介護の名の通り、ヘルパーが利用者宅へ訪問し介護や援助を行うことですが、ここ最近では日々の生活にデジタル化やAI化したものは普通に浸透しており、介護保険を利用する利用者も例外ではありません。 訪問介護では、サービスの基準となる「老計第10号」という法令があり、身体介護や生活援助のサービスの基本例が記載されています。 訪問介護に関わるヘルパーや職員には、必ず目にするサービスの教科書の様なものとイメージしたら良いでしょう。 大まかに言えば、介護の基本中の基本であるサービス事例が記されているのですが、ここ数年でサービス対応について幾分内容が変わってきたものがあります。 買い物対応、色々な「カタチ」 訪問介護サービスの一つ生活援助には、買い物・薬の受け取りというものがあり、老計第10号にもサービスの内容例が記されています。 2-6 買い物・薬の受け取り 〇日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む) 〇薬の受け取り  利用者の日常品の買い物に対する介助をこの例を元に計画するのですが、通常は食料品や生活雑貨品を購入する為に利用者と同行するパターンと、代行するパターンがあります。 <利用者同行パターン> ・買い物の為の移動手段の確認 ・利用店舗の確認 ・店舗へ移動 ・買い物、レジにて支払い、釣銭預かり、購入品収納 ・自宅へ移動 ・商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 <ヘルパー代行パターン> ・購入品リスト、金額の確認 ・利用店舗の確認 ・ヘルパーによる買い物代行 (レジ支払い、釣銭預かり、購入品収納) ・利用者宅にて商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 今までは、同行や代行においても利用者とお金の確認をし、店舗でレジにて支払いをし、お釣りがあれば受け取り、最後は利用者と商品や購入金額、釣銭を確認していました。 現在もその形で行っているケースもありますが、近年買い物の形が変わりつつあり、新たなパターンでの対応を求められる事もあります。 実際に訪問介護サービスの生活援助の計画に「買い物援助」がありますが、ここ最近ではこんな事例もあります。 ①宅配ネット注文やネットスーパーで購入 県外に住む長女より「久しぶりに帰省して利用者(母)に会った際に前みたいに歩けない、買い物にも行けなくなった」と言われました。 「これまでは調理と掃除片付けをお願いしていたけど、ヘルパーさんに買い物もお願いしたい。」 との相談があり、始まった買い物援助です。 パソコンの操作方法は、図で分かる様にした物を印刷し、それをコルクボードに貼り付け、ヘルパーが訪問した日に見守りの下で、手順通りに入力し商品を選んで注文しています。 ②スーパーやドラッグストアでセルフレジ対応 独居生活の利用者の週2回ある生活援助の内の一つが買い物同行と整理整頓です。 昨年まで利用店舗は有人レジでしたが、店舗改装後にレジの半分がセルフレジに変更となってしまいました。 買い物援助の際に人対応の方のレジへ並ぶも時間が掛かり、生活援助サービスの時間が押してしまう事もあった為、 「セルフレジで買い物ができるようになる(バーコード読み取り、マイバックに詰める 支払いをする、ショッピングカートに入れて持って帰る)」 という見守り的援助プランに変更しました。 現在も見守りの下で買い物をされています。 ③支払いは電子マネー決済(キャッシュレスで買い物、現金不所持) 長男とは同居も、日中は仕事で出張も多く留守がちで独居状態に近く、利用者が財布類を持つと置いた場所が分からなくなるので、 「母のスマホにダウンロードした電子マネーでの決済」 を希望をされました。 合わせて、できるだけお金を持たせたくないと強く言われます。 利用者も置いたはずのお金がどこにいったか分からなくなる事があるので、長男が準備してくれた金額を使う事を了承済みです。 ケアマネジャーや自治体と相談・検討の結果、 ①利用者のスマートフォンをヘルパーが持ち出すのは、緊急事態時に連絡や対応ができなくなる事 ②紛失した場合に損失が大きい上に日常生活に支障を来す との判断で、買い物代行時の金銭取り扱いは流通系の電子マネー(カード型)対応に変更してもらい、様子をみる形を取りました。 結果としては、現金を取り扱わない事で、利用者宅のあちこちに小銭が見つかる事や財布類が見つからない事も少なくなります。 重ねて台帳管理も上手くいっている為、買い物代行は継続中です。 前述にもありましたが、訪問介護サービスでの買い物援助は人の手を介して現金を取り扱う事が通常だった為に、現代の流れに沿った対応に若干違和感を感じられる事もあるかもしれません。 介護認定を受けた利用者も私たちも同じ日常を過ごしているのだから、時代の流れに沿って介護サービスのカタチを変えていくのは必然の流れです。 中には新しい流れを嫌がる利用者もいますが、少しずつ『現在の暮らしの普通のカタチ』を取り入れ、地域に暮らす日常に慣れていく事も「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう(介護保険法第1条)」になるのではないでしょうか。 お掃除ロボ、発進! 一般的という程ではありませんが、最近は自宅にロボット掃除機を導入している所もちらほらあるようです。 訪問介護を受ける利用者宅で導入される事もここ数年、僅かながらもみられるようになりました。 まだ圧倒的に生活援助で掃除のプランが立てられている場合は、掃除機やフローリングワイパー等の掃除用具で行う事が主立っています。 しかし、中には家族が購入したロボット掃除機が活動されている所もあるのです。 訪問介護において、同居家族がいる場合の生活援助は基本的に受ける事ができません。 (但し、同居家族にやむを得ない場合や状況によっては生活援助のサービス利用が可能になる場合もあります。) ロボット掃除機も同様で、独居状態にある利用者へ離れて住む家族や身内から贈られた物、あるいは利用者自身で購入した物であれば、生活環境が利用者中心である為、使用については特に問題はありません。 それに応じたプラン変更は求められますが、日常生活を送る上での一部という事で対応していきます。 同居家族にやむを得ない場合や状況が有り、生活援助サービスを認められた場合では注意が必要です。 ケアマネージャーによる居宅プラン、それに沿って立てられた訪問介護計画書に則りサービスは行いますが、同居家族がいる場合の生活援助は、利用者のみが利用する場所においてサービスが行われ、同居家族が利用する共用場所へのサービスは認められません。 あくまでも訪問介護計画書に記されたサービスしか行えない為、プランが利用者の寝室や寝室周辺(利用者しか利用しない事を前提)の掃除や整理整頓であった場合、ロボット掃除機がリビングにあり、居室指定の設定をせずに利用者の寝室へ辿り着くまでの間の共用部分の掃除をしてしまう事が認められないのです。 「細かすぎる!少し位は良いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、訪問介護は介護保険を利用した介護認定を受けた利用者の為のサービスなのです。(各自治体によっては、許容認可の範囲が違う場合もあるので確認が必要です。) どんなに便利な機器や器具が導入されても、介護保険を利用している訪問介護の基本を踏まえた上で プランに沿ったサービスを行う事を忘れてはいけません。 もはや、もう一人のヘルパーさん 最近では日常生活においてAI機器の導入が色々みられるようになりました。 前述にもありましたロボット掃除機もそうですが、スマートスピーカーも導入され日常生活に反映されているようです。 同居している家族が導入したので利用者も使用するという例もあり、ヘルパーやケアマネージャーも最新の流れをインプットやアウトプットしていく事が求められる様になります。 まず始めに利用者が「これ、どうやって使うんだろう?」と思うように、ヘルパーやケアマネージャーも「これ、どうやって使うんだろう?」「サービスにどう取り入れていけばいいんだろう?」と頭を悩ませるでしょう。 知識を得る為にスマートスピーカーについて学び(インプット)、「こうやって使うんだ!こんな機能があるなら支援や援助に取り入れていこう。」とプランに取り入れてサービスを行う事で実行に移す(アウトプット)形となるのです。 日々の生活が進化していく事に比例して、利用者の生活も進化し、サービスを行う介護事業所全体も進化し追従していかないといけません。 スマートスピーカーでできる事につきましては、下記の図を参照して下さい。 利用者がスマートスピーカーへ「今日の予定は何?」と聞けば、「〇日〇時から訪問介護です。」や「〇時に〇〇病院に受診です。」等のスケジュールを答えてくれます。 また、、「電気点けて、消して。」「エアコン点けて、消して。」「テレビ点けて、消して。」等の家電や機器の操作も音声で対応でき、「今、何時?」にも、時刻を音声で伝え、日用品が切れた時に 「(日用品名)を注文して」と頼めば、ネット注文で買い物もできてしまうのです。 こうなると、もう一人の家族であり、万能ヘルパーでもあります。 とは言っても、流石にできない作業や動作もあります。 そこはアセスメントやモニタリングによって必要となった介護プランに沿ったサービスを行い、AIを上手く活用していく事ができれば日常生活がよりよいものとなるでしょう。 まとめ 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAI化は訪問介護にどう取り入れられるのかを幾つか例を挙げて紹介しました。 ・訪問介護は老計第10号の法令の基本に沿って対応も、最新のデジタル化やAI化によって サービス内容が変化しつつある。・生活援助における買い物同行や代行においても、「宅配ネット注文」 「ネットスーパーの利用」や、店舗にて購入も「セルフレジ」対応、 支払いは「電子マネー決済」対応等、今までの買い物のカタチが変わり 利用者もヘルパーも対応していかなければならない。・生活援助における掃除においては、「ロボット掃除機」が導入されている所もあり 利用については同居家族がいる場合において注意を要する。・「スマートスピーカー」という、AIが搭載された多機能なスピーカーを 導入されている所も少なからずあり、日常生活に反映される対応が可能になっている。 ・「スマートスピーカー」のできる事は ①音楽の再生②家電や機器との連携操作③検索や情報収集やネット対応が可能 ④メールやデータの送受信や音声読み上げ⑤スケジュール管理などがある。 ・デジタル化やAI化が進んでも、日常生活ではできない動作や作業があるので 上手く活用しながら対応していく事が求められる。 デジタル化やAI化の波に乗って訪問介護もカタチを変えつつあります。 しかし未だそういった進化の波とは無縁の環境で日常生活を過ごす利用者がいるのも事実です。 其々の生活環境や状況に応じた対応を求められますが、一朝一夕には対応できません。 介護保険に関する法令遵守や法改正に伴うサービスの変更等に加え、最新のデジタルAI関連にも目を向けないといけない状況はとても大変です。 新旧共々に対応していけるヘルパー力を身に付けていきましょう。

  • 介護を「作業」としてこなす人。「ケア」として向き合う人の違いについて解説

    この記事では、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人の違いについて紹介します。 またお互い協力して仕事ができる方法についてもお伝えします。 介護を「作業」としてこなす人の特徴 1,「速さ」「効率」を重視している 介護を「作業」としてこなしている人は、何よりも「速さ」「効率」を重視しています。 その為、想定外のことが起こったり、声かけに拒否があっても、無理矢理にでも連れて行こうとし、業務時間内に介助を終わらせようとします。 この考え方は、在宅よりも施設、特に多床室のような従来型特養で働いている人に多いです。 従来型特養は、何十人ものケアを時間内で終わらせなければなりません。 その為「速く終わらせること」を求められた結果、「速く、効率的に終わらせることが最優先」という思考回路になってしまうのです。 2,ケアの理由について考えていない 施設内で行う介護(ケア)は、ケアプランに基づいて行われています。 それは、「なぜそのケアがその人にとって必要なのか」という、根拠あり、それを基にケアを行う必要があるからです。 しかし介護を「作業」としてこなしている人の場合、根拠についてあまり考えていません。 「そう決まっているから」と、疑問を持ったり改善しようとせず、自分の業務をこなすことを最優先事項としているのです。 介護を「ケア」として向き合う人の特徴 1,入居者や利用者の気持ちを重視している 介護を「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の気持ちを重視し 1人1人丁寧に向き合っています。 例えば入浴の声かけをして嫌がったとき、「今は無理に行ってもダメだから、時間を置いて声をかけてみよう」と考え方を変えることができます。 また入居者や利用者の気持ちに向き合って対応しているので、不穏な人でもその人が対応すると、落ち着くことが多いです。 2,ケアを行う根拠を把握している ケアとして向き合っている人は、ケアプランの内容を把握し、「なぜこのケアを行うのか」という根拠を明確に説明することができる人が多いです。 根拠を知っていることで、新人職員などに教えるときに分かりやすく説明することができます。 また「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の状態は日々変化しているということを知っています。 なので「ケアプランではこのようなケアを行うとあるけれど、今のこの人には、適応しているのか」と疑問を持ち、改善点を他職種に提案することができるのです。 どちらが正しいとは言えない 上記にて介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合っている人の特徴についてお伝えしてきました。 ここまでだと「仕事としては、ケアとして向き合っている人の方が良いのではないか?」と思いがちです。 しかし実際は、「どちらが正しい」とは、一概には言えないのです。 というのも、介護業務というのは、限られた時間内と人数で業務を回さなければなりません。 その中で、入居者や利用者1人1人に丁寧に向き合っていたら、業務時間内に仕事が終わらなくなってしまいます。 それは、他の職員に迷惑がかかってしまうことになります。 そのため、ある程度「作業」としてこなすことも、必要なことなのです。 両者が協力するために ここでは、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人が、お互い協力する為に、何をすると良いのかお伝えしていきます。 ①お互いを知る 両者が協力するためにまず必要なことは、「お互いを知る」ことです。 具体的には ・日々どのように介護業務を行っているか ・どのような価値観や考え方を持って行っているのか ・他の職員の業務に支障が出ていないか ということが挙げられます。 特に最後の「他の職員の業務に支障が出ていないか」という点を忘れないでおきましょう。 支障が出ていなければ、お互い考え方や価値観を変えず、現状維持するという方法もあります。 人の価値観というのは、簡単に変えることができません。 なので、無理に考え方を変えようとすると、かえって関係性が悪化してしまい、施設全体が悪くなってしまう可能性があります。 ②問題について共有する お互いについて知ることができたら、次は「今施設の中で問題になっていることは何か」を、共有しましょう。 例えば「ナースコールで頻回に呼ぶ利用者がいて、業務が進まない」という問題が挙げられたとします。 介護を「作業」としてこなす人であれば、 「頻回に呼ばれて、業務が進まない」 という点に着目します。 しかし「ケア」として向き合っている人の場合、 「なぜ呼ぶのだろうか」 「寂しいからなのか、何か訴えがあるからなのか」 と、疑問を持ちます。 このように同じ問題でも、着目点が異なるのです。 ③お互いの価値観を用いて、意見を聴く 上記のような問題が発生した場合、お互いの価値観を用いて意見を提案しましょう。 介護を「作業」としてこなす人であれば 「業務が進まないから、ナースコールは無視する」 「何回も呼ばないで欲しい」と、注意する という意見が出てきがちです。 一見すると「介護職としてどうなのか」と思いがちです。 しかし利用者の中には、用もないのに何回も呼ぶ人もいます。 なので時には、注意するということも必要なのです。 一方「ケア」として向き合う人の場合 「日中居室に籠もりがちですることがないので、呼ぶのではないか」 「何か役割を持たせると良いのではないか」 と、疑問や改善点を思い浮かべます。 重要なのは「お互い、相手の意見に最初から否定しない」ことです。 自分にとって意にそぐわない意見だとしても、その人にとっては 「明確な理由があって」話をしています。 「そういう考え方もありますね」と、相手に伝えることで、相手もこちら側の意見を受け入れやすくなります。 ④試行錯誤してみる お互いの立場で意見が出てきたら、実際にやってみましょう。 上記の「ナースコールが頻回な人の対応」については ・役割を持たせて、不安な気持ちを軽減させる ・夜ナースコールが頻回な場合は、日中活動の時間を増やす ・看護師や相談員、ご家族様にも相談し、精神科に受診し、薬を処方してもらう ・それでも頻回な場合は、理由を伝えて「何回も呼ばないで欲しい」と言う といった方法を実践してみましょう。 しかし、1回で成功するとは限りません。 何回も行い、どれがその人にとって1番良い方法なのか、実践してみましょう。 試行錯誤していく中で、「作業」としてこなす人、「ケア」として向き合う人それぞれの価値観が共有されるようになり、結束し、協調して仕事に取り組めるようになります。 試行錯誤した結果、ナースコールが減れば、介護職員の負担が軽減されるだけでなく、利用者本人も不安が減り、施設での生活を快適に送れるようになります。 介護の仕事は、試行錯誤 介護業務、特に施設内のケアというのは、日々同じことの繰り返しに見えるので、単純労働でルーチンの業務だと思いがちです。 しかし上記でも挙げましたが、入居者や利用者の状態は日々変化していくので、臨機応変な対応が求められます。 また医療のように「治癒」という明確なゴールが設定しづらいので、介護職だけでなく、ケアを受ける本人や、他の職種と一緒に、ケアを考え続ける必要があります。 これからのケアは、お互いの価値観ややり方を理解し、「どうすればより良くなれるか」を考え続けることが、求められるのです。   まとめ ここまで介護を作業としてこなす人、「ケア」として向き合う人の違いについて解説してきました。 介護を「作業」としてこなす人の特徴は、「速さ」「効率」を重視している ・「ケア」として向き合う人の特徴は、ケアを行う根拠を理解しながら 入居者や利用者に対応している ・限られた時間と人数で業務を回さなければいけない以上 どちらが正しいとは一概には言えない ・両者が協力するためには、お互いの価値観ややり方を理解した上で 問題を改善するための意見を提案し合い、試行錯誤しながら お互いの価値観を共有していくことが重要である 最後までお読みいただきましてありがとうございます。  

  • 親が認知症化かも!認知症の疑いのある親を早く受診させる方法とは

    親が年齢を重ねると、子供の心配事の一つになるのは親の認知症です。 親の認知症を疑うのは子供にとって心苦しいものですが、認知症の症状に気づくのが遅れると家族の生活は一変します。 この記事では、認知症の疑いのある親を早く受診させるための方法を「もし自分の親が認知症になったら」という視点でステップ毎に紹介します。 認知症の疑いをどのように確認し、どう接するのか、また今後どうするのか対応方法を一緒に考えてみましょう。 本当に認知症なのか? 認知症は脳の病気で、記憶や自己判断力という認知機能の低下という症状があります。 65歳以上の高齢者の方が認知症を発症する可能性が高いといわれていますが、65歳未満の方も発症する若年性認知症も増えています。 まずは、「本当に認知症なのか?」を判断し、治療が必要なのか判断するのが、子供にできる第一歩です。 もの忘れか、認知症か? もの忘れか、認知症か、子供でも判断は容易ではないでしょう。 もの忘れは、高齢者の方でなくても多忙な時や加齢など誰にでも起こる症状ですが、認知症となると話は変わってきます。 もの忘れは一時的なもので、何かヒントがあれば思い出すため、日常生活に支障はありません。 しかし、認知症は忘れたことを本人が自覚できず、ヒントがあっても思い出せないなど日常生活に支障が出る言動をとります。 ただし、注意深くみていないと気がつきにくいため、子供も知らない間に親の認知症が進むこともあるのです。 加齢などによるもの忘れと認知症の違いは、一般的に次のとおりです。確認しておきましょう。 もの忘れ ・忘れたことを本人が自覚している ・記憶の一部を忘れているが、ヒントがあれば思い出す ・判断力はある ・日常生活は支障なくできる 認知症 ・忘れたことを本人が自覚していない ・ヒントがあっても、思い出せない ・判断力が低下している ・日常生活に支障がある もの忘れは、きっかけがあれば思い出しますが、認知症はそもそも記憶力が低下しているため、日常生活に支障がある症状です。 ステップ①親の認知症を疑う前のチェック 認知症の兆候は分かりにくいものですが、早期発見・早期治療につなげるために、子供が親の言動に違和感を持ち、いち早く認知症の兆候に気づく必要があります。 そして親の認知症を疑う前に、子供が簡単にチェックしておくことが大切です。 子供がチェックできる項目 1.家族すべての名前を言えない 2.同じ会話を何度も繰り返す 3.自分の名前や簡単な漢字が書けない 4.家の中にごみが散乱している 5.新聞や郵便物を確認していない 6.期限切れの食品がたくさんある 7.同じ食品や日用品がたくさんある 8.友達や近所の人との交流がなくなった 9.人を疑いやすくなった 10.身だしなみに気を遣わなくなった 11.季節や気温に合わせた服を着ていない   特に別居している子供は、定期的に電話で安否確認するとともに、少しでも会話に違和感があれば自宅に帰り、異変を早めに察知することが大切です。 日常の生活はどうしているのか、困り事がないかなど、自然な会話で質問しながら確認するなどのテクニックが必要になります。いずれも親の異変に気づく手がかりになるでしょう。 ステップ②認知症の疑いがある場合 認知症ではないかと思えば、専門機関での受診につなげていけるよう、まずは相談していくことを考えましょう。 認知症の疑いがある親が自覚していなくても、子供や友達など周りの人の気づきがあれば子供だけで悩みを抱え込まないでください。 早めに専門家に相談、受診させることが最優先の対応です。 主な相談先 かかりつけ医 地域包括支援センター 親にかかりつけ医がいる場合、気がかりなポイントをメモにして、親と一緒に同席して相談しましょう。 かかりつけ医がいない場合、お住まいの地域包括支援センターに相談すれば、色々なアドバイスや情報をもらえます。 早めに治療を開始できれば、適切な医療や介護につなげられます。 受診拒否がある場合 本人が受診しようという気になっていない場合、受診させることはとても難しいです。 認知症ではないかと親本人に伝えても自覚がない分、はぐらかしたり、プライドを傷つけられて怒り出すこともあります。 子供にとっても、早く受診させなければと気持ちが焦り「説得」を試みますが、ここでは「納得」する伝え方が大切です。 ・健康診断として一緒に受診してみる。 ・早めの受診が有効な例を伝えてみる。 例:認知症の疑いで受診したら脳血管障害が見つかった :認知症症状ではなくて老人性うつ症状だった ・信頼おける第三者から声をかけてもらう。 身近な第三者からの声掛けも受診につながるケースが多いです。ケアマネが担当すれば、その点も考慮して受診につなげていく援助が受けられます。 認知症の症状を知っておく 認知症を事前に調べ、知っておくことも大切です。 認知症の原因や症状を事前に調べておかないと、受診した際のショックが大きく、親の治療方針や接し方など大切な情報まで頭が回らなくなります。 ネットや書籍などで専門医が監修する信頼性の高い情報を 事前に知識を得ておくことも必要です。 また認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)についても 事前に情報を得ておくと、早めの認知症予防につながります。 ステップ③親が認知症と分かった場合 親が認知症と分かった場合、子供はさらにショックを受けるでしょう。 これからの治療で症状が改善するか不明な状況で、今後どう対応し生活していくか、不安なことばかりになります。 特に誰が主に親をサポートするのか、介護サービスを利用した介護か、施設に入所してもらうのか早急な対応の決断をしなければなりません。 また場合によっては、介護離職の決断をせまられる可能性もあります。 親の認知症を受け入れるのは、子供にとってはショックな出来事です。 しかし、早急に適切な対応や処置を施さないと、症状は悪化するだけでなく、日常生活にも支障を生じます。 子供といえども選択を誤ると、親と子供にとって不幸な結果を招きかねないため、よく考えて決断しましょう。 症状の進行は意外と早い 症状の進行は意外に早いという家族の体験談をよく見かけます。 子供が気づかない間に症状が進行しているケースも見られるため、受診した時点では日常生活が困難という場合もあるのです。 認知症の種類と特徴をいち早く知り、今後の治療や親の生活を見極める必要があるでしょう。 自宅介護か施設入所か 親のために自宅で介護したいと思う方もいるでしょう。 認知症であっても身体が元気な方は、子供が目を離している間に、徘徊や昼夜逆転生活、暴言を浴びせられるなど症状の悪化します。 それと共に介護者の負担感が大きくなってしまいます。 まずは、相談先のかかりつけ医や地域包括センターに相談し 介護認定を早急に申請することが先決です。 そして可能な限り介護を家族で分担して行う、介護サービスを最大限活用するなど、介護負担を軽減する対策を決めておきましょう。 また自宅介護が困難と判断した時点で、早めに施設入所を決めておくことも大切です。 自宅介護が親にとって最適な対応とは限らないのです。 認知症は初期症状での早めの対応がポイント 認知症に限りませんが、病気や症状は早期発見、早期治療で 完治または症状の緩和や進行を遅らせることができます。 特に認知症の場合、症状が軽い間に今後の治療方針や介護 場合によっては施設の利用や入所など考える時間ができ 早めの対応や行動ができます。 子供は親の言動の変化をいち早く感じ取る立場です。 認知症の疑いが晴れれば、それで良し 認知症であれば、前向きに行動し親や子供にベストな環境をつくる 子供にとって大切な2つの心構えです。 まとめ 親に認知症の疑いがあれば、子供による早めのチェックで 医療機関の受診につなげることが大切です。 ・早めに相談、受診につなげる ・子供は親の診察に付き添う ・認知症の症状を事前に知っておく ・親の介護生活の情報を集めておく。 子供の世話になりたくないという親は多いでしょう。 しかし、本人が気づかない間に認知症の症状は進行します。 親が高齢になるまでに事前に介護の情報を目にしておくことや 定期的に健康や介護など話し合いを持ち、お互いを見守る環境をつくっておくことが大切な時代になりました。  

  • 負担限度額認定って何!?利用するための条件や注意点などをご紹介!

    「介護施設の利用を検討しているけど経済的にきびしい」 「介護施設に入所しているけど毎月の支払いがきついな」 そう考えていませんか? 負担限度額認定は一定の条件を満たすことで、経済的にきびしい方の費用負担を軽くする制度です。 この記事では負担限度額認定制度について分かりやすく解説していきます。 負担限度額認定はどんな制度? 負担限度額認定は介護サービスを利用している方の経済的な負担を軽減する制度です。 ただしすべての世帯が対象というわけではなく、所得や預貯金が少ないなど経済的に余裕が無い方を対象としています。 実際に介護施設を利用すると毎月下記の費用が発生します。 介護サービス費(所得に応じて1~3割の自己負担) 日常生活費(理美容代やその他生活に必要な備品代) 居住費(宿泊費) 食費 これらの自己負担額は決して安い金額ではありません。収入の少ない方にとっては非常に大きな負担となってしまいます。 負担限度額認定制度では上記の費用のうち、「居住費」と「食費」を減額することができるため非常にメリットのある制度です。 負担限度額認定を利用するための3つの条件 それでは負担限度額認定証(負担限度額認定制度の対象者に交付される証明書)を交付してもらうためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。 ここでは、それぞれの条件について解説していきます。 条件①:本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であること 1つ目の条件は「本人を含む世帯全員が住民税非課税である」ことです。 本人に収入がなく住民税非課税でも同居する家族に所得があり、誰かが住民税を支払っている場合は、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 また、本人に配偶者がいる場合、事情により別世帯であっても配偶者が住民税を支払っているのであれば、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 ※配偶者からDVを受けている場合や、配偶者が行方不明の場合は否認要件に該当しません。 条件②:所得が基準額以下であること 負担限度額認定制度は経済的に厳しい方の負担を軽減する制度です。 そのため、所得レベルに応じて減免額に差を設けています。 各レベルは4段階あり、所得の額が上がるにつれて費用の減額は少なくなり、制度から受けられる恩恵も小さくなります。 所得要件は以下のようになります。 各段階 要件 第1段階 生活保護受給者 第2段階 ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円以下 第3段階(1) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円を超え120万円以下 第3段階(2) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間120万円超 第4段階(非該当) 負担軽減の対象外:1~3段階の条件に該当しない方 第1段階が制度より受けられる恩恵が最も大きく、段階が上がるにつれて恩恵も小さくなります。 第3段階より所得額が大きくなると負担限度額認定の対象から外れます。 条件③預貯金などの資産が一定額以下であること 負担限度額認定での預貯金の定義は「資産性がある」「換金性が高い」「価格評価が容易である」これらの3つの要因で定義されています。 預貯金に該当するもの 預貯金(普通・定期) 有価証券(株式・国債・地方債・社債など) 金・銀などの貴金属 投資信託 現金 負債(借入金・住宅ローンなど) 生命保険や自動車、貴金属などは預貯金の対象にはなりません。 資産要件は各段階に応じて下記のようになります。 区分 対象 単身 夫婦 第1段階 1,000万円以下 2,000万円以下 第2段階 650万円以下 1,650万円以下 第3段階(1) 550万円以下 1,550万円以下 第3段階(2) 500万円以下 1,500万円以下 負担限度額認定を利用するといくら安くなる? では実際に負担限度額認定制度を利用するとどこまで費用を抑えることができるのでしょうか? 下記の表に各段階に応じた負担額をまとめました(金額は月額換算になります) 表に記してある金額を超える場合、超過分の金額を支払う必要はありません。 例えば第1段階の食費の負担限度額は9,000円になりますが、9,000円を超過した場合の金額は免除されます。 各段階 居住費 食費の負担限度額 ユニット型個室 ユニット型準個室 従来型個室 多床室 特養 老健療養 特養 老健療養 第1段階 24,600円 14,700円 9,600円 14,700円 0円 0円 9,000円 第2段階 24,600円 14,700円 12,600円 14,700円 11,100円 11,100円 11,700円 第3段階(1) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 19,500円 第3段階(2) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 40,800円 第4段階 (非該当) 60,180円 50,040円 35,130円 50,040円 25,650円 11,310円 43,350円 負担限度額認定を利用した場合の シミュレーション 実際に負担限度額認定を「利用した場合」と「利用しなかった場合」を比較し、どれだけ制度からの恩恵を受けられるかみていきましょう。 分かりやすいように事例を想定して考えていきます。 (Aさんの事例) 条件……第2段階で従来型特養の個室を利用していると想定。 第4段階の非該当と比較していきます。 居住費…35,130円(非該当)- 12,600円(第2段階)=22,530円の負担軽減 食費…43,350円(非該当)- 11,700円(第2段階)=31,650円の負担軽減 合計(居住費+食費)=54,180円の負担軽減 このように、制度を活用することで毎月54,180円の負担軽減になります。 年間に換算すると65万円になり、制度から受けられる恩恵はかなり大きいのではないでしょうか。 負担限度額認定制度を活用してない人はぜひ活用しましょう。 負担限度額認定を利用できるサービス 負担限度額認定はすべての介護サービスで利用できるわけではありません。 利用できる施設 特養(特別養護老人ホーム) 老健(介護老人保健施設) 介護医療院 介護療養型医療施設 短期入所生活介護 短期入所療養介護 地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養) グループホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者賃貸住宅は対象外のため、注意が必要です。 負担限度額認定の注意点 負担限度額認定制度にはいくつかの注意点があるため、あわせて確認しておきましょう。 注意点①:負担限度額認定証には有効期間がある 負担限度額認定証には有効期間があります。 期限を過ぎると勝手に自動更新されるわけではないので注意が必要です。 有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間であるため、ご自身で更新の手続きをする必要があります。 毎年、更新月が近づくと書類が送付されてくるので、必要事項を記載し、ご自身で更新の手続きを進めておきましょう。 注意点②:毎年同じ額の費用減免が受けられるわけではない 負担限度額は前年の所得や預貯金などの状況に応じて決定されます。 そのため必ずしも前年と同じ金額が減額されるわけではありません。 所得や資産に大きな変化があった場合、状況によっては非該当になる可能性もあるため、注意が必要です。 まとめ ここまで負担限度額認定制度について解説してきました。 最後に復習しておきましょう。 負担限度額認定制度は経済的に余裕がない世帯の負担を軽減する制度である 負担限度額認定制度を活用するには「住民税非課税」「所得要件」 「資産要件」などの条件を満たす必要がある 負担限度額認定制度は所得や資産によって受けられる恩恵に差がある制度である 負担限度額認定制度を活用すれば金銭的負担をかなり軽減できるので活用すべきである 負担限度額認定証は有効期間があるので注意が必要である 負担限度額認定を受けるための申請書類は地域によって異なることがあります。 負担限度額認定を知らないことで損をしないように、不明点はお住まいの市区町村の自治体や、ケアマネージャーなどに問い合わせましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 世帯分離とはどんなもの?メリットやデメリットを解説!

    「世帯分離で親の介護費用は下がるのかな?」 「世帯分離はだれでもできるのかな?」 「そもそも世帯分離って何だ」 このように世帯分離についてお悩みではないでしょうか? 世帯分離は上手く活用することで介護費用を下げることが可能な制度です。 この記事では世帯分離について分かりやすく解説していきます。 世帯分離とは? では、世帯分離とはどのようなものか詳しく解説していきます。 そもそも世帯とは? 世帯とは住居と生計を共にしている人々の集まりのことです。 一人暮しでも独立して生計を営んでいれば世帯として扱われます。 また、同じ住居で共同で生活していても生計を別にしている場合は、それぞれが別世帯として扱われ、世帯主も複数存在することになります。 世帯分離とは? 世帯分離を簡単に説明すると、同居している家族と住民票を分けることをいいます。 ただし、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」があることが前提となるため、そもそも収入がなく生計を営むのが困難であれば世帯分離はできません。 また、世帯分離は住民票上での分離になるので、今まで通り一緒に生活することも可能ですし、当然戸籍もそのままになります。 世帯分離の目的は? 「そもそもなんで世帯分離するの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することです。 住民税の額は世帯ごとに計算されるため、世帯分離により世帯の所得額が減ることで、住民税の軽減が可能となります。 世帯分離の3つのメリット それでは世帯分離をするとどういうメリットがあるのでしょうか。 具体的に見ていきましょう。 メリット1:介護サービスを利用する際の自己負担額を軽減できる 介護サービスは所得に応じて1~3割の自己負担が発生します。 自己負担割合は基本1割ですが、平成27年度の法改正により一定額以上の所得者は2割、現役並みの所得がある人は3割負担になりました。 この自己負担割合は世帯の所得で判断されるため、世帯分離により親の所得だけが算定要因になれば自己負担割合も軽くなる可能性があります。 仮に要介護1の場合、支給限度額は約167,000円です。 3割負担の場合、自己負担が50,100円ですが、所得額が減ることで1割負担になれば16,700円になります。 毎月の差額が33,400円(年間約40万)になるため、世帯分離により受ける恩恵も大きいのです。 ※支給限度額とは、要支援、要介護と認定された方が介護サービスを利用した際に、介護保険から保険給付される限度額です。限度額を超過した分は自己負担になります。 メリット2:高額介護サービス費制度により自己負担額の上限が下がる 介護サービスの自己負担が1~3割とはいえ、サービスを無限に受け続ければ自己負担額はそれに比例して増えていきます。 そこで利用できる制度が「高額介護サービス費制度」です。 高額介護サービス費制度は世帯の所得に応じ、1ヵ月間に支払う自己負担額に上限額が設定されています。 自己負担の上限額を超えた場合、超過した分の費用は申請することで払い戻されるため、サービスをたくさん利用される方にとっては恩恵の大きい制度です。 一般的な所得の方の負担限度額は44,000円ですが、世帯分離を行うことで 住民税が仮に非課税になれば、上限額が24,600円となります。 月額で2万円(年間24万円)の負担軽減になるためメリットも大きいです。 メリット3:負担限度額認定制度により自己負担額を軽減できる 介護サービスを利用すると様々な費用が発生します。 なかでも食費や居住費は全額自己負担となるため、大きな負担となります。 負担限度額認定制度は介護保険施設を利用した際の食費や居住費を軽減できる制度です。 この制度は所得や資産の少ない方が対象となります。 所得や資産状況にもよりますが、ケースによっては食費と居住費を合わせて、月額5万円程度の負担軽減になることもあります。 世帯分離の4つのデメリット 世帯分離は上手く活用すればメリットも大きいですが、デメリットもあるため、注意するようにしましょう。 デメリット1:高額介護サービス費で介護費用を世帯合算ができない 世帯分離する前に一世帯に要介護者が2人以上いた場合、2人の介護費用を合算し、超過分を「高額介護サービス費制度」により払い戻すことができていました。 しかし、世帯分離によって各世帯に要介護者が1人ずつとなった場合には、今までのように介護費用の合算ができなくなります。 そのため申請後の払戻額も少なくなる可能性があることを覚えておきましょう。 ケースによっては、それぞれの介護サービス費では高額介護サービス費を利用できる上限額に達しないことも想定されるため、そもそも制度を利用できなくなることも考えられます。 デメリット2:各世帯で国民健康保険を納める必要がある 国民健康保険制度の保険料の負担は世帯主が行う必要があります。 そのため世帯分離し世帯が別になれば、それぞれの世帯で国民健康保険料を納める必要がでてくるのです。 仮にそれぞれの世帯での納付額は減っていたとしても、2つの世帯の保険料を合算すると、一世帯で支払っていた保険料よりも高くなってしまう可能性もあります。 そのため世帯の保険料の総額を考えて検討することが必要です。 ケースによっては保険料が逆に下がる可能性もあります。 世帯分離による保険料の増減に関しては、完全にケースバイケースといえます。 デメリット3:手続きの手間が増える 世帯分離により行政などの手続きが煩雑になることが考えられます。 役所の手続きは各世帯で行う必要があるため、同一世帯だった場合は1回の手続きで完結します。 しかし、世帯分離をすることで2世帯分の手続きをする必要がでてくるのです。 その他にも親の行政手続きに委任状が都度必要になるなどの手間も生じるので注意が必要です。 例えば、親の住民票が必要な場合があるとします。 その際、親が高齢で役所に行けない場合、代理で窓口に行くことになりますが、その都度親に委任状を書いてもらわなければなりません。 そのため、さまざまな手続きの手間は増えてしまいます。 デメリット4:扶養手当てや家族手当がもらえない 子供や親を扶養している場合、会社から扶養手当や家族手当などが支給されているのではないでしょうか。 その場合、世帯分離により、扶養から外れてしまうため手当がもらえなくなる可能性があります。 世帯分離を行う前に、一度会社の担当部署に確認しておきましょう。 世帯分離をおすすめできるケースとは 世帯分離でメリットが得られる世帯は、介護サービスをたくさん利用する方がいる世帯です。 世帯分離で所得が減ることにより、制度から受けられる恩恵も多くなる傾向にあるといえます。 高額介護サービス費制度では自己負担の上限額が下がることによって戻ってくる額も大きくなるなどのメリットを受けられます。 また介護保険施設に入所している場合、世帯分離することにより、食費や居住費の自己負担を軽減できる負担限度額認定制度を活用することも可能です。 世帯分離を行う際の注意点 世帯分離をするには住民票のある市区町村で手続きをする必要があります。 担当窓口の方から「世帯分離を行う目的は?」と質問された際に、「介護保険料を軽減したいから」と言うと受理されない可能性があるため注意が必要です。 なぜなら「介護保険料の減額」が、世帯分離の本来の趣旨とズレているためです。 世帯分離の本来の趣旨は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することにあります。 仮に窓口で理由を聞かれたら「生計を別々にするようになった」、「それぞれの家計が別々のため」と言うのが無難でしょう。 世帯分地は同じ住所でも親子同居でも申請することは可能です。 しかし、世帯分離するためには、独立した家計を営んでいることが条件となっています。 生計が同一の場合は世帯分離が認められにくいので注意してください。 世帯分離の手続き方法 では、実際に世帯分離をする際にどのような手続きが必要なのかを確認してみましょう。 書類をそろえる 世帯分離をするときには、以下の書類が必要になります。 ・本人確認書類 ・世帯変更届 ・国民健康保険証 ・印鑑 また、親の手続きを子供が代理で行う場合は委任状も必要です。 書類に不備があると申請できないので、念のため申請前に役所に確認しておくとよいでしょう。 まとめ ここまで世帯分離について解説してきました。 最後にポイントを整理しておきましょう。 世帯分離をするには、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」が必要である。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することである。 世帯分離をすることで介護費用を軽減できるというメリットがある 世帯分離をすることで国民健康保険の保険料が増えるというデメリットがある ※保険料に関してはメリットになる可能性もあり、完全にケースバイケースである 世帯分離をすることで会社からの手当が減ることがあるので注意が必要である 世帯分離により行政の手続きが面倒になるので注意が必要である 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 認知症で徘徊をしてしまう!徘徊の正しい対処方法をご紹介!

    徘徊は認知症の症状の一つです。 外や家の中をうろうろ歩きまわるため、介護者の介護疲れの要因の一つに挙げられています。 一人暮らしをしている親に認知症がある場合、普段の生活について心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。 本記事では、徘徊中に電車にはねられてしまった方の判例を紹介し、徘徊のリスクや原因、対処方法について解説しています。 認知症のある方を介護している家族や介護職におすすめの記事ですので、ぜひ最後までお読みください。 認知症とは [caption id="attachment_2017" align="alignnone" width="512"] Asian caregiver and a senior woman at the room[/caption] 認知症は、一度発達した脳が病気や障害などさまざまな原因により認知機能が低下し、日常生活全般に症状が出てくる状態のことです。 2020年現在、日本国内の65歳以上の人で認知症のある人は約600万人いるとされています。 これはおおよそ6人に1人が認知症になっていることになり、2025年には700万人、5人に1人が認知症になるといわれています。 認知症の症状とは 認知症の症状には、中核症状と周辺症状の大きく2通りに分けられます。 ではどのような症状なのかを確認していきましょう。 中核症状 中核症状は、記憶の障害や、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力、判断力の低下などがみられる症状です。 脳が萎縮したり脳卒中で損傷を受けたりすることで症状が出現することがあります。 中核症状には以下のような特徴があります。 数分前や数時間前の出来事を忘れている 同じことを何度も言う 同じ物を何度も買ってくる 等 周辺症状 周辺症状は、中核症状を原因として二次的に起こる症状のことです。 記憶や見当識があいまいになることで不安を感じ、心理面や行動面に症状がでてきます。 時間や場所の認識がなく、自分がなぜここにいるのかわからなくなり とりあえず歩き回った結果徘徊に至る 財布をどこに置いたかわからなくなり、身近にいる子や嫁が持っていってしまったと 取り繕うことで物盗られ妄想に至る これまで受けていた介護でも、理解力が低下し何をされるのかわからず 介護者の手を払い除けた結果介護拒否と言われる 認知症のある人の介護でもっとも大変なことの一つは、この周辺症状への対応かもしれません。 徘徊は周辺症状の一つ 徘徊は周辺症状の一つで、目的もなくうろうろ歩き回ることとされています。 介護者からするとただ歩き回っているように見え、何度も繰り返したり、制止が効かなかったりすることがあります。 そのため、介護者にとっては負担を感じやすい症状です。 徘徊に至る要因は、記憶力や見当識が低下することで、その場で起きていることの理解や判断ができない不安から、徘徊という行動をとっていると考えられます。 自分がどこにいるのか、何をしていたのか、周りにいる人が誰だかわからないという状況の中、とても大きな不安を感じている中での行動と言えるでしょう。 安全に歩ける環境であればまだよいですが、認知症により危険に対する認識がなくなってしまうこともあります。 歩道があるのに車道を歩いてしまったり、信号を守れなかったりすることもあるかもしれません。 住み慣れた集合住宅の敷地内を散歩して自宅に戻れなくなる事例も多くあります。 徘徊はなぜ起きる? 徘徊が起こる原因には、いくつか原因が考えられます。 身体的な違和感が原因 徘徊する原因には何かがしたいと思っていたのに、そのことを忘れてしまうため、その違和感により徘徊してしまうのです。 この場合、排泄や飲食をすることで気持ちが落ちつき、徘徊が落ち着くことがあります。 排泄が原因の場合は、主治医に相談をして排泄に関する薬を飲むことで落ち着く場合が考えられます。 日々の排泄など体調管理を行うようにしましょう。 心理的なストレスが原因 夕方や夜になると気持ちが落ち着かなくなり、外に出かけようとする方がいらっしゃいます。 これは認知障害だけでなく、不安や焦燥感などを感じてしまい、その衝動が徘徊になってしまうのです。 ストレスの内容には以下のような事柄があげられます。 ・過去の習慣によるもの ・若い時や数年前の記憶などが蘇ることで誤認してしまう ・判断力や記憶力が低下してしまったため、行きたい場所を忘れてしまう ・不安や不満などによるもの 普段からよく観察し、何がストレスになっているのかを考えたり、ご本人に話を聞いてみてください。 ストレスを軽減することができれば、徘徊の症状を改善することができるかもしれません。 環境によるもの 環境が変わることで居心地悪く感じてしまい、徘徊になることがあります。 ご本人が過ごしやすい環境にし、居心地よくしてあげることで徘徊を抑えることができます。 前頭側頭型認知症 前頭側頭型認知症は人格や社会性をつかさどる前頭葉と、言語や記憶、聴覚をつかさどる側頭葉が萎縮してしまう病気です。 前頭側頭型認知症になると、以下のような症状が現れます。 ・人目を気にしなくなる ・感情が抑制できなくなる ・同じことを繰り返す 前頭側頭型認知症は病気自体が原因で徘徊行動を起こしてしまいます。 徘徊に関する判例(2021年3月28日 京都新聞) 2007年12月7日、愛知県で、妻と二人暮らしをしている高齢男性が電車にはねられ死亡しました。 男性には認知症があり、デイサービスから帰宅後まもなく、妻がうたた寝をした6〜7分の間に外出し、事故に遭っています。 所持金はなかったものの、改札をすり抜けて電車に乗り、一つ先の駅で降りたあと、ホームにおり、フェンスの扉を開けて線路に入った様子でした。 そのため、トイレを探して迷い込んだと見られています。 一審では妻の居眠りが過失にあたり、介護方針を決めていた別居の息子にも監督義務があったとして、2人は約720万円の支払いを命じられました。 二審でも、対象者から息子を外し、支払額を半額の360万円とした判決がでています。 この判例は、認知症のある方の介護をしている介護者から大きな反響があり、社会問題となります。 徘徊のある人に対して24時間見守り続けなければならず、家に鍵をかけて閉じ込めておくしかないのかと、ニュースでも連日報道されていました。 その後の2016年3月、最高裁は請求を棄却し、認知症の人による事故で防ぎきれないものまでは家族が責任を負わない、とするはじめての判決が下されたのです。 徘徊への対処方法 上記判例では逆転勝訴で無罪という判決がでましたが、事故が起きてから判決がでるまで9年かかりました。 この間の家族の不安は想像に絶します。 大きな事故や裁判に至らなくても、徘徊に関するトラブルは後を絶ちません。 そして、徘徊自体をなくすことは自宅や部屋に鍵をかけて閉じ込めてしまう以外には難しいでしょう。 では、認知症により徘徊のある人に対してどう対処していけば良いかを、一つずつ解説していきます。 関わりによる対処方法 徘徊している本人に対し、介護者の見守りや声かけで対応をします。 辻褄の合わないことを行っている時でも、否定はせず本人なりの徘徊の理由を理解しましょう。 なぜ歩いているのか理由を聞くだけでも安心できる場合もあります。 帰宅願望などで「家に帰ります」と言いながら歩いている場合でも、「外は寒いので上着をきましょう」「車を呼んでいるからお茶を飲みながら待ちましょう」などと、気を逸らすことも効果的です。 サービスや福祉用具による対処方法 どんなに上手に介護していても、1人で認知症のある方の介護を続けるには限界があります。 デイサービスやショートステイなどの介護保険サービスをうまく使い、プロに任せられる部分は任せましょう。 少しでも介護から離れる時間を作り、介護者が自由に使える時間を作ることも大切なことです。 また、ベッドや自宅の出入り口などにセンサーを設置することで、徘徊に速やかに気づけます。 認知症のある本人を閉じ込めるのではなく、動きを察知して対処することが可能です。 地域と連携する対処方法 徘徊だけでなく、認知症のある方の介護をしていくには、地域との連携を図ることが大切です。 家族だけで介護していくにはいずれ限界がやってきます。 本人が不安がっていたら声をかけてもらうよう近所の方に話をしておいたり、ゴミの出し方を間違えているようであれば、否定しないように指摘してもらったりすることも効果的です。 家族だけが抱え込むのではなく、うまく地域と連携しその方をケアすることで本人も家族も安心して生活できます。 まとめ  いかがでしたでしょうか。 本記事では、認知症による徘徊から電車にはねられ訴訟に至った判例や、徘徊への対処法について解説しました。 認知症の症状には中核症状と周辺症状がある。 徘徊は周辺症状の一つで、介護者にとっては負担感の大きいものである。 周囲から見ると、目的なく歩き回っているように見えるが、認知症による記憶や見当識 理解力や判断力が低下したことで起こる不安から出てくる症状である。 対応としては否定するのではなくその人の不安を取り除く関わりが必要。 介護者だけが抱え込むのではなく、介護保険サービスやセンサーの活用 地域との連携が徘徊への対処方法として大切である。 今後認知症がありながらも地域の中で暮らしていく方は増えていきます。 徘徊で自宅に帰れなくなる場面に出くわすこともあるかもしれません。 地域によっては徘徊と呼ばずに「ひとり歩き」と言う地域もあります。 認知症のある方の不安を取り除けるよう対処し、本人も介護者も安心して生活できるように関わっていくようにしましょう。

  • 『高額介護サービス費』とはどんなもの?基準値や利用できるサービスなどを解説!

    高額介護サービス費は、介護保険サービスを利用したときに支払う利用料金の一部が返金される制度す。 いろいろなものが値上がりしている昨今、利用者やその家族は利用料金の負担に不安を感じています。 なかには利用料金に対する不安から必要なサービスの利用を控えている利用者もいるのではないでしょうか。 介護保険の制度の中でも複雑で理解が難しい高額介護サービス費。 本記事を読むと、高額介護サービス費について理解できます。 ぜひ最後までお読みください。 高額介護サービス費とは 高額介護サービス費は、「1ヶ月に支払った利用者負担の合計が所得に応じた負担限度額を超えた時に超えた分が払い戻される」制度です。 介護保険サービスを利用する時、利用者の所得によって、利用料金の1〜3割を利用者が負担しています。 ですが介護を受ける期間が長くなったり、加齢によってサービスを受ける量が増えたりすると、負担する料金がどんどん増えていきます。 利用者の経済的負担を軽減するための制度がこの高額介護サービス費。 利用者の所得によって段階的に基準額が決められています。 たとえば、住民税非課税世帯だと、年金収入やその他の合計所得の合計が年間80万円より高い世帯の上限額は24,600円です。 仮にサービス利用料金が40,000円の場合、差額の15,400円が後から返金されます。 以前は住民税課税世帯の上限額は一律で44,000円でしたが、令和3年8月に制度が改正されて、高所得者世帯の上限が見直されました。 「課税所得380万円未満」「課税所得380万円〜690万円」「課税所得690万円以上」と細分化されています。 高額介護サービス費の基準額は以下を参照してください。 高額介護サービス費の基準額 *2023年2月現在は以下のようになっています。 区分 負担の上限額 (月額) 課税所得690万円(年収1,160万円)以上 140,100円(世帯) 課税所得380万円(年収770万円)〜課税所得690万円(年収1,160万円未満 93,000円(世帯) 市町村民税課税〜課税所得380万円(年収770万円)未満 44,400円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方 24,600円(世帯) 15,000円(個人) 生活保護受給者等 15,000円(世帯) 参考:厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます 間違えやすい制度 以下の2つは高額介護サービス費と間違えやすい制度なので分けて考えてください。 区分支給限度基準額…要介護度ごとに設定された一月に利用できる介護保険サービスの上限額を指します。超過した分は介護権を利用できず全額自己負担です。 高額医療・高額介護合算療養費制度…年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が限度額を超えた時に差額が支払われる制度です。 対象になる時は市区町村から必要書類が送られてくるので、記入して返送します。 高額介護サービス費の対象にならないサービス 高額介護サービス費は、所得などによって決められた基準額を超えた分の 返金を受けられますが、支払った費用の全てが対象になるわけではありません。 対象外になるサービスは以下の通りです。 施設サービスやショートステイの食費や居住費、その他の日常生活費 福祉用具の購入費や住宅改修費 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 施設サービスやショートステイの食費や居住費 その他の日常生活費 高額介護サービス費の対象になるのは、1割から3割の中で負担している介護保険の自己負担分のみです。 そのため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入居施設や、ショートステイを利用したときにかかる食費や居住費は対象にはなりません。 散髪代やその他の日常生活費も対象外です。 もともと介護保険の対象外となっている費用については、対象外になると理解していればよいでしょう。 福祉用具の購入費や住宅改修費 手すりの取り付けやスロープの造設、ポータブルトイレの購入等にかかった費用も対象外です。 額としては大きくまとまった費用がかかりますが、一時的なもので継続的にかかる費用ではありませんので、対象外になります。 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 サービスを多く利用し、支給限度基準額を超えてしまったときの超過分についても、高額介護サービス費の対象からは外れてしまいます。 超過分は介護保険の給付対象ではなく全額自己負担になるからです。 たとえば、サービスを50,000円分利用し、支給限度基準額が30,000円 高額介護サービス費の負担の上限額が15,000円だったと仮定します。 サービスを利用しているのが50,000円で、負担の上限額が15,000円なので 35,000円の返金と考えてしまいますが、これは間違いです。 支給限度基準額が30,000円なので、20,000円は全額自己負担になります。 そのため、高額介護サービス費は30,000円から上限額の15,000円を引いた差額の15,000円です。 計算自体はそれぞれの市区町村が行いますが、仕組みを理解しておくと 返金分を考慮したサービス調整ができるようになります。 高額介護サービス費の申請方法 実際に高額介護サービス費の支給を受けるための手続きは簡単です。 対象になると、市区町村から住民票のある住所地に申請書が送られてきます。 送られてきた書類に基本情報や口座情報などの必要事項を記入し、市区町村に提出するだけです。 郵送でも手続きできるので、わざわざ役所へ行く必要はありません。 受理されて1〜2ヶ月後、申請時に指定した口座に振り込まれます。 一度登録が済むと、その後手続きは自動です。 2回目以降は支給決定通知書や領収書が送られてくるので大切に保管しておきましょう。 確定申告をする場合に必要になります。 申請はいつでもできますが、サービスの利用から2年が経過してしまうと時効になるので早めに手続きしたほうがよいでしょう。 高額介護サービス費は経済的な面でとても助かる制度ですが、申請しなければ返金されることはありません。 申請書が届いたら忘れずに申請しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、高額介護サービス費の制度について、基準額・対象にならないもの・申請方法について説明しました。 高額介護サービス費は、1ヶ月に支払った利用者負担の合計が 所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度。 課税所得や住民税の課税状況によって負担の上限額が決まっている。 高額介護サービス費の対象にならないものもある。 申請は市区町村から送られてくる申請書に必要事項を記入し返送する。 サービスの調整や自己負担額の説明をする際に、それぞれのサービスの料金表に載っている費用だけを伝えると、利用者や家族は負担感を感じることもあります。 後から返ってくる費用もあると知ることで、サービス利用にをする際の経済的不安を減らせるのではないでしょうか。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護医療院とはどういうもの?概要や入所のメリットとデメリットなどを解説!

    介護医療院とは要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。 2018年に法制化されたばかりの新しい種類の施設なので、実際どんなところなのか、自分の親が入所できるのかなどわからないこともあるのではないでしょうか。 本記事では、介護医療院の概要や入所のメリットとデメリット、利用料金や入所する方法を解説します。 ぜひ最後までお読みください。 介護医療院ってどんなところ? [caption id="attachment_1970" align="alignnone" width="512"] Woman in a white coat[/caption] 介護医療院は介護保険制度を利用した介護施設ですが、医療的なケアも受けられて長期間利用できる施設です。 介護保険制度が始まる2000年以前は、治療がなくても病院へ入院している社会的入院が問題となっていました。 退院できるけど生活する場がない人の受け皿として介護療養型医療施設が創設されましたが、医療の必要性の低い利用者も多く入院している状況は変わりませんでした。 医療費の圧迫や人手不足の問題もあることから、2023年度末で介護療養型医療施設は廃止されることになり、介護医療院が新設されることになりました。 サービスの内容 介護医療院で受けられるサービスには、介護サービスと医療サービスがあります。 介護サービス 介護医療院は同じ介護保険施設の枠組みにある特別養護老人ホームや、介護老人保健施設(老健)と同じように、食事や排泄、入浴など、その人に必要な介護を受けられます。 担当のケアマネジャーを中心に作成する施設サービス計画をもとに、日常生活上必要な介護やレクリエーション、機能訓練などが提供されています。 医療サービス 介護医療院では、たんの吸引や胃ろう、点滴、在宅酸素、褥瘡のケアなど 医療的なケアの対応ができる他、看取り介護も行われています。 入院して治療するほどではないが医療的な観察が必要な場合、特別養護老人ホームなどでは受け入れができない場合があるので、介護医療院が選択肢になるでしょう。 2つのタイプ 介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。 Ⅰ型は重篤な身体疾患のある方や身体合併症がある認知症高齢者が対象で 病院色の強いタイプ。 Ⅱ型はより安定している高齢者が対象で、老健のようにリハビリをして 家庭復帰をサポートしています。 Ⅰ型とⅡ型では、施設の人員や設備、運営基準に違いがあります。 (引用:厚生労働省「介護医療院の概要」) 対象者 入所の対象になるのは、要介護1〜要介護5の認定を受けた65歳以上の方と 40歳から64歳で特定疾病による要介護1〜要介護5の認定を受けている方。 要支援の方は対象外のため入所できません。 その人の状態によってⅠ型かⅡ型かが決まります。 介護医療院は、医療的なケアを提供する場なので、実際の入所者は医療依存度の高い高齢者が多い傾向です。 介護医療院に入所するメリットとデメリット 医療的なケアを受けながら長期療養できる介護医療院ですが、メリットだけではありません。 入所者本人にとってよい選択ができるようメリット、デメリットともに把握することが大切です。 メリット 介護医療院に入所するメリットは以下の3点です。 医療的なケアを受けられる 長期療養が可能で看取り介護も対応できる 生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある デメリット デメリットは以下の3点です。 多床室は家具とカーテンで仕切られているだけでプライバシーの確保が不安 長期になると費用が高額になる まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる 施設によって特徴に違いがありますので、資料請求や見学をして情報収集することが大切です。 介護医療院の費用    介護医療院の費用は月額の利用料金のみで、入居金などの初期費用はかかりません。 医療的ケアを受けられることで、特別養護老人ホームに比べると高く設定されているので、入所前によく確認しましょう。 月額利用料金の内訳   介護医療院でかかる月額利用料金の内訳は以下のとおりです。 施設サービス費・介護加算 施設サービス費は要介護度ごとに設定されていて、他にも介護保険の負担割合や施設の形態によって金額が異なります。 表はⅠ型、Ⅱ型それぞれ1割負担の場合の金額です。( 記事執筆23年2月) Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 694円 803円 820円 要介護2 802円 911円 928円 要介護3 1,035円 1,144円 1,161円 要介護4 1,134円 1,243円 1,260円 要介護5 1,223円 1,332円 1,349円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 649円 758円 819円 要介護2 743円 852円 919円 要介護3 947円 1,056円 1,135円 要介護4 1,034円 1,143円 1,227円 要介護5 1,112円 1,221円 1,310円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) 他にも施設の体制にかかる加算項目がありますので、説明を聞く際に確認が必要です。 居住費・食費 室料や光熱費にあたる居住費や、食材料費や調理費にあたる食費は各施設ごとに決められています。 厚生労働省が基準費用額を定めているので、以下をご確認ください。 基準費用額 居住費 多床室 377円 従来型個室 1,668円 ユニット型個室 2,006円 ユニット型個室的多床室 1,668円 食費 1,445円 (参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和3年3月9日)) 日常生活費 日常生活費は歯ブラシやティッシュペーパー、理美容や入れ歯の洗浄剤など、生活の中で必要になる費用です。 保険の適用にはならず実費負担となり、施設によって金額が異なるので 入所前に確認する項目の一つです。 月額利用料の目安 上記を参考に月額の目安を計算すると以下のようになります。 Ⅰ型 1割負担 要介護4 ユニット型個室の場合 →140,340円 + 日常生活費 Ⅱ型 1割負担 要介護3 多床室の場合 → 86,340円 + 日常生活費 介護保険の負担割合や要介護度、居室のタイプによって利用料金が大きくかわるので、負担が大きくなってしまう可能性もあります。 少しでも負担を抑えるために、次から介護医療院で使える減免制度について説明します。 介護医療院の減免制度 介護医療院の費用に関する減免制度は主に3つです。 支払いに不安のある場合は以下の制度を活用することで、自己負担額を低くすることができます。 介護保険負担限度額認定 介護医療院の費用のうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって、段階的に減額されます。 段階によっては居住費と食費が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、保険者となっている市区町村の介護保険窓口で対象になるのかどうか、確認してみるとよいでしょう。 高額介護サービス費 高額介護サービス費は、1カ月に支払った施設サービス費が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度です。 居住費や食費、日常生活費は対象にはなりません。 該当する時に市区町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 高額医療・高額介護合算制度 高額医療・高額介護合算制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、所得によって決められた限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。 高額介護サービス費と同じように、対象者には申請用紙が届きますのでそれぞれの役所へ提出します。 介護医療院に入所する方法 [caption id="attachment_1968" align="alignnone" width="512"] A room in a nursing facility[/caption] 介護医療院に入所する流れは以下のようになります。 要介護認定を受ける 入院・入所中の病院や施設の相談員へ相談し介護医療院を探す 資料請求や見学をして施設へ直接申し込む 診療情報提供書や血液検査などのデータを元に介護医療院が入所判定を行う 入所前面談を行い、施設での生活や療養方針について確認する 入所 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では介護医療院の概要やサービス内容、入所のメリットとデメリット、費用や入所する方法を解説しました。 介護医療院は医療的なケアを受けられて、長期療養できる介護保険施設 利用者の状態によってⅠ型とⅡ型に分けられる 対象になるのは65歳以上、もしくは40歳から64歳で特定疾病による 要介護1〜要介護5の認定を受けている方 介護医療院に入所するメリットは「医療的なケアを受けられる」 「長期療養が可能で看取り介護も対応できる」 「生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある」 デメリットは「多床室は家具とカーテンで仕切られているだけで プライバシーの確保が不安」「長期になると費用が高額になる」 「まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる」 1カ月の費用の主な内訳は、施設サービス費+居住費+食費+日常生活費 利用料金の減免制度として介護保険負担限度額認定、高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算制度などがある 介護医療院は医療的ケアも介護サービスも受けられます。 家族内、ケアマネジャー、入院・入所している病院や施設の相談員などとよく相談し、より良い選択をするようにしましょう。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」とは?サービス内容やメリット・デメリットを解説!

    訪問介護は日中のサービスだけではありません。実は夜間にサービスを行う訪問介護もあります。 こちらの記事では夜間の訪問介護はどのようなサービスを行っているのかを解説いたします。 夜間に対応する訪問介護ってなに? 一般に訪問介護と聞くと、ヘルパーが日中のみ来訪しご利用者様の介護を行い、夜間は家族が介護するイメージが強いのではないでしょうか。 しかし寝たきりの被介護者を介護をする家族の方が、高齢などの理由により体力を必要とする介護ができない場合、ヘルパーが帰ってしまった後は 十分なケアをすることができません。 そのような悩みに寄り添ってできたサービスが、夜間対応に特化した「定期巡回サービス」です。 正式には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と呼ばれています。 このサービスは、在宅で頻回にサービスを必要とされているご利用者様に適したサービスで、このサービスは夜間訪問も対応しています。 定期巡回サービスとは 定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、在宅で生活しながら、24時間体制で訪問介護のサービスを受けられるといったサービスです。 このサービスは、「施設に入りたくない」「自分の住み慣れた自宅で最後まで過ごしたい」「家族が遠くて何かあったとき心配だ」といった様々なニーズに対応したサービスとなっています。 このサービスの中に、夜間に訪問する介護サービスが含まれているのです。 夜間に対応する訪問介護が必要な人とは 家族が日常的に介護をしていても、常に家族が被介護者の介護をできるとは限りません。 仕事や子育て、体力の限界など各ご家庭さまざまな事情があるものです。 1人暮らしができている方でも、誰かの手を借りないと生活するのが困難な方もいらっしゃいます。 そういった方々が、夜間の訪問介護が可能なこの制度の利用に適しています。 他にも、昼夜問わず定期的な介護サービスを必要としている方なども、おすすめです。 夜間はどんなサービスを提供してくれるのか 夜間対応では主に以下のサービスを提供しています。 ①排泄介助・おむつ交換 このサービスは特に要介護度が高いご利用者様に必要なサービスです。 要介護度が低い人でもベットの近くにあるポータブルトイレへ誘導したり 普通のトイレまでお連れして排泄介助をすると言うサービス内容もあります。 ②体位変換のサービス このサービスは寝たきりご利用者様に適したサービスです。人は寝ている時に体を動かさないと体とベッドに面した部分に圧がかかり、皮膚が壊死してしまいます。 普通の人だと寝返りで無意識のうちに圧力を分散しますが、寝たきりのご利用者様は基本的にそれができない人が多いです。 そのため職員が一定の時間間隔で訪問し体の向きを変えて除圧します。 ③安否確認サービス 独居で住んでいるご利用者様は、安否確認が必要です。 体調の急変もいつ起こるかわからず、そういった意味での安否確認が必要になるのです。 このサービスを利用するご利用者様や家族は多くいます。 ④基本的にはご利用者様に対するサービスのみ 基本的にこのサービスは、ご利用者様に関わることしか行えないと言う決まりがあります。 例えば家族に関するサービスを行うことは禁止されています。 夜間も対応の随時訪問サービス 夜間対応には、随時訪問のサービスがあります。 随時訪問とはご自宅で1人で過ごしている人には特に必要なサービスになります。 例えば自宅で転んでしまったものの一人暮らしで立ち上がることができない時などに、事業所から配布されたナースコールでヘルパーを呼び、対応してもらうという仕組みです。 筆者は夜勤時の随時訪問で、主に排泄介助を緊急で行ってほしいというコールや転倒して助けて欲しいが、家族が寝ていて助けてもらえないので来てほしいなどのコールがありました。 他には認知症の方で、幻覚や幻聴が聞こえる等の問い合わせで対応したこともあります。 夜間対応の時は、一時的にご自宅の鍵を預かって訪問し鍵を開けて入室します。 そのため、緊急時にも対応が可能ですし、夜間も伺うことができるのです。 基本的に随時訪問で可能な稼働時間は約30分程度です。 私が過去に実際に行って要した時間は長くて20分程度だったと記憶しています。 それぐらいの短めのサービス内容である事が多いです。 オペレーションサービス ご利用者様のコールを受け取り、訪問するヘルパーに伝達する役割も必要です。 最初の電話の段階で、このコールは緊急性があるかどうかの判断をします。 実際多方面からコールが複数回来る場合もあり、優先順位を間違えると、ご利用者様の命に関わる場面もあるからです。 この判断をするオペレーターは基本的に、看護師、ケアマネジャー、介護福祉士の資格を持つ職員です。 どれも国家資格のため、利用者の通報内容からご利用者様への的確な指示を伝え、ヘルパーの派遣をし、場合によっては救急車の手配も行います。 オペレーターを行う人は定期的にご利用者様宅を訪問し、適切な判断をするために様子観察を行う必要があります。 また、オペレーションセンターではご利用者様300人に対して、オペレーションセンター1箇所の設置になります。 しかし、事業所のご利用者様が少なく、ヘルパーが直接利用者様からのコールに対応できるときは、オペレーションセンターの設置を行わない場合もあります。 このオペレーションサービスは2016年から介護保険の対象になり、ご利用者様が利用しやすいようになりました。 オペレーターの従事者の条件は、2018年の介護報酬改定により緩和されています。 元々は医師、看護師、介護福祉士の仕事に3年以上従事した人限定でしたが 現在は1年以上従事した人が対応できるようになりました。 夜間に対応する訪問介護のメリット 夜間に訪問介護のサービスを受けることは、以下のようなメリットがあります。 ①夜間緊急時に連絡可能 どのような環境のご利用者様も、事業所から配布されたナースコールを押すだけで、オペレーションセンターにつながります。 ナースコールは、一人暮らしのご利用者様に特に重宝されます。 他にも、家族が遠くてすぐに駆けつけられないなど、対応できない時に便利です。 ②家族の介護負担軽減になる 先にも説明しましたが、このナースコールがあることでヘルパーが随時対応できます。 そのため、介護者が介護のために仕事を辞めたりする必要もなく、日中夜間含めて自分の時間を守ることが可能です。 夜間に対応する訪問介護のデメリット 夜間の訪問介護はメリットばかりに感じられますが、デメリットも存在ます。 メリットとデメリットの双方を考え、利用することが重要です。 ①料金が高額になることがある コールの端末にはレンタル料などはかかりませんが、夜間対応型訪問介護には月額料金がかかります。 他にサービスを利用すると1回毎に料金が発生するため、利用回数によっては料金が高くなる可能性があります。 ②住んでいる市区町村の事業所だけしか使えない このサービスは、ご利用者様自身が住んでいる市区町村内の事業所しか 利用できないと言う決まりがあります。 そのため、夜間の訪問介護を行っている事業所を探す場合は、担当のケアマネジャーか、住んでいる地域の担当窓口に相談することをおすすめいたします。 まとめ ここでは夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」について解説いたしました。 夜間の介護は寝ているから何も起きないわけではありません。さまざまな手が必要になる場合もあります。 利用する必要が出てくる前に、近くにサービスを受けられる事業所があるかどうかを探しておいてはいかがでしょうか。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 成年後見制度にかかる費用とは?制度の種類や費用のシュミレーションを解説!

    「将来に備えて任意後見制度を利用しようと考えてるけど費用はいくらかかるの?」 「認知症になった親のために法定後見制度を利用したいけど いくらかかるんだろう?」 そんな不安や疑問を抱えていませんか? この記事では成年後見制度にかかる費用について、分かりやすく解説していきます。 そもそも成年後見制度ってなに? 成年後見制度とは「認知症」や「障害」などにより判断能力が不十分になった人を守る制度になります。 大切な財産を詐欺などから守ることはもちろんですが、病院の受診や介護施設の契約時など、1人で判断することが難しい時に後見人がサポートしてくれる制度です。 そんな成年後見制度ですが「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類に分かれます。 任意後見制度とは? 任意後見制度とは本人の判断能力十分なうちに「後見人(助けてくれる人)」と「支援して欲しい内容」を決めておく制度になります。 制度を利用する人が元気なうちに将来に備える仕組みです。 法定後見制度とは? 法定後見制度とは認知症などにより既に判断能力が不十分になった人に対して、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。 既に判断能力が不十分になっているため、本人の意向を汲み取ることは困難になります。 また、法定後見制度は本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3種類の類型に分類されます。 法定後見制度にかかる費用は? 法定後見制度にかかる費用には、最初の手続き時のみ発生する「初期費用」と、後見人への報酬など「継続的に発生する費用」の2つに分かれます。 法定後見制度の手続きに発生する初期費用 法定後見制度では本人の判断能力が衰えた時に「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が、家庭裁判所に申立を行います。 その家庭裁判所への申立の際に費用が発生します。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 申立て手数料 800~2,400円 ・類型が補助の場合、補助人への代理権と同意権を付与する申立てが必要なため追加で1,600円(各800円)が必要になります。 ・保佐の場合も必要に応じて代理権と同意権が必要になる場合があります 戸籍謄本 450円 住民票 300円 登記されていないことの証明書 300円 本人が既に成年後見制度を利用してないことを確認するための証明書 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合に必要 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合に必要 郵便切手代 4,000~5,000円 登記費用手数料 2,600円 後見・保佐・補助いずれの類型でも同額 鑑定費用 5万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士などに手続きを依頼した場合 10万~20万 手続きを自分で行うことは可能ですが、弁護士や司法書士などへ依頼することも可能です 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用です。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 法定後見制度の継続的に発生する費用 後見人の業務が開始すると、後見人に対して報酬を支払う義務が発生します。 毎月発生する報酬には2種類あります。 基本報酬:後見人への報酬 成年後見監督人への報酬:成年後見監督人が選任されている場合に発生 ※成年後見監督人は後見人がきちんと業務をしているか監督する立場にあります。 それでは2つの報酬の相場を確認していきましょう。 ①基本報酬(後見人への報酬)の相場 基本報酬は本人の管理してる財産額により決められるのが一般的になります。 また管轄の家庭裁判所により報酬額にバラツキがあるため確認しておきましょう。 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ③成年後見監督人に対する報酬 成年後見人への報酬と同様に管理している財産額によって相場が変わるのが一般的です。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円 法定後見制度の費用シュミレーション 実際に法定後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Aさん80歳】……類型が補助の場合 財産1,000万未満 / 申立て手続きを司法書士に依頼 / 成年後見監督人を選任 Aさんをモデルに初期費用と継続的に発生する費用を確認していきましょう。 ①初期費用(家庭裁判所への申立て費用) 家庭裁判所への申立てにかかる費用 ➡ 約2万円前後 ※鑑定費用は発生しないと想定しました。 理由…鑑定が行われるのは希で、発生する割合は例年1割未満のため。 作成などの手続きを司法書士に依頼 ➡ 150,000円 上記の費用を合算すると、およそ17万円が初期の費用として発生する計算になります。 ②継続的に発生する費用 成年後見人への報酬 ➡ 月額2万円程度 成年後見監督人への報酬 ➡ 月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月4万円程度の支払いが発生する計算になります。 年間にすると48万円の支出になり、決して安い金額とは言えません。 仮に亡くなるまでの期間を20年と想定した場合、960万円の支払が必要になる計算です。 任意後見制度にかかる費用は? ここからは任意後見制度にかかわる費用について見ていきます。 任意後見制度の初期費用 任意後見制度の初期費用には判断能力が十分なうちに発生する 「任意後見契約書の作成費用」と、判断能力が衰えたときに発生する「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなります。 時間をおいて2段階で費用が発生するイメージです。 ①任意後見契約書の作成費用 任意後見制度では判断能力が十分なうち、任意後見人を定める任意後見契約を結ぶ必要があります。 【任意後見契約書の作成費用】 項目 金額 備考 公正証書作成基本手数料 11,000円 ・公証役場への手数料 ・4枚を超える場合は1枚ごとに250円追加 印鑑登録証明書 300円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 正本等の作成手数料 250円 1枚あたり250円 登記嘱託手数料 1,400円 郵便切手代 540円 登記手数料 2,600円 法務局へ納める印紙代 司法書士に依頼した場合 5~10万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約1.7万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で5万〜10万の費用が発生します。 ②家庭裁判所への申立てにかかる費用 実際に本人の判断能力が低下し後見人が必要になったら、任意後見人が家庭裁判所に対して 任意後見監督人選任の申立を行う必要があります。 任意後見制度では任意後見監督人(後見人の監督役)を選任する必要があります。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 任意後見監督人選任申立て手数料 800円 後見登記手数料 1,400円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 後見登記事項証明書 550円 オンライン請求の場合380円 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合 郵便切手代 4,000~5,000円 鑑定費用 10万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士に依頼した場合 10万~20万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 任意後見制度の継続的に発生する費用 任意後見制度の継続的に発生する費用には基本報酬(後見人への報酬)と 後見監督人への報酬があります。 ①基本報酬(後見人への報酬) 任意後見人への報酬は本人と後見人候補者で事前に取り決めた金額になります。 一般の人が後見人になる場合、2万円程度が報酬の相場です。 家族に後見人を依頼するのであれば、0円(無料)になる場合もあります。 弁護士や司法書士などに依頼する場合、管理財産額により報酬が変動するのが一般的です。 【後見人に司法書士などの士業を選任した場合】 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ②任意後見監督人への報酬 任意後見監督人への報酬も本人の管理財産額により報酬が変動します。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円  任意後見制度の費用シュミレーション では実際に任意後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Bさん80歳】……任意後見人を家族に依頼 財産1,000万未満 / 任意後見人を家族に依頼 / 成年後見監督人を選任 ※成年後見契約書作成を司法書士に依頼……10万円 ※家庭裁判所への申立を司法書士に依頼……15万円 ①初期費用 任意後見契約書の作成時:1.7万円+10万円(司法書士への報酬)➡ 約12万円 家庭裁判所への申立て時:2万円+15万円(司法書士への報酬)➡ 17万円 上記の費用を合算すると、およそ29万円が初期の費用として発生する計算になります。 任意後見契約書を作成してから、実際に認知症などにより判断能力が低下するまでには数年から数十年かかることが想定されます。 そのため、一気に27万円の支払いが発生するわけではありません。 ②継続的に発生する費用 任意後見人(家族)への報酬 ➡無料 ※家族のため無料と想定 任意後見監督人への報酬 ➡月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月2万円の支払いが発生する計算になります。 年間では24万の支出です。 ※任意後見人を家族に依頼した場合、必ずしも報酬が無料になるわけではありません。 まとめ ここまで成年後見制度にかかる費用について見てきました。 最後にポイントを復習しておきましょう。 成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」2種類ある 成年後見制度の費用には、申立て費用などの「初期費用」と後見開始後に発生する 「継続的な費用」の2つがある 法定後見制度の「初期費用(家庭裁判所への申立て)」は17万円前後である ※司法書士に手続きを依頼したと想定 法定後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」は月額2~9万である ※後見人への報酬額は管理財産額により変動する 任意後見制度の初期費用は「任意後見契約書の作成費用」と 「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなる。 初期費用の合計はおよそ29万円前後である 任意後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」2~9万円前後である 任意後見制度の後見人を家族に依頼する場合報酬が無料の場合もある 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 訪問介護も新しいカタチへ。時代に合わせた変化への対応と結果をご紹介!

    訪問介護利用者の日常生活を取り巻く環境は、日々変化しています。 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAIは、訪問介護にどう取り入れられるのかを紹介します。 多種多様化、ヘルパーさんも随時対応中 訪問介護には色々な「サービス行為ごとの区分」があります。 利用者の身体に纏わる介助を行う身体介護や、日常生活に纏わる援助を行う生活援助、病院受診等の対応に纏わる介助を行う通院等乗降介助などです。 訪問介護の名の通り、ヘルパーが利用者宅へ訪問し介護や援助を行うことですが、ここ最近では日々の生活にデジタル化やAI化したものは普通に浸透しており、介護保険を利用する利用者も例外ではありません。 訪問介護では、サービスの基準となる「老計第10号」という法令があり、身体介護や生活援助のサービスの基本例が記載されています。 訪問介護に関わるヘルパーや職員には、必ず目にするサービスの教科書の様なものとイメージしたら良いでしょう。 大まかに言えば、介護の基本中の基本であるサービス事例が記されているのですが、ここ数年でサービス対応について幾分内容が変わってきたものがあります。 買い物対応、色々な「カタチ」 訪問介護サービスの一つ生活援助には、買い物・薬の受け取りというものがあり、老計第10号にもサービスの内容例が記されています。 2-6 買い物・薬の受け取り 〇日常品等の買い物(内容の確認、品物・釣り銭の確認を含む) 〇薬の受け取り  利用者の日常品の買い物に対する介助をこの例を元に計画するのですが、通常は食料品や生活雑貨品を購入する為に利用者と同行するパターンと、代行するパターンがあります。 <利用者同行パターン> ・買い物の為の移動手段の確認 ・利用店舗の確認 ・店舗へ移動 ・買い物、レジにて支払い、釣銭預かり、購入品収納 ・自宅へ移動 ・商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 <ヘルパー代行パターン> ・購入品リスト、金額の確認 ・利用店舗の確認 ・ヘルパーによる買い物代行 (レジ支払い、釣銭預かり、購入品収納) ・利用者宅にて商品の確認、購入金額と釣銭の確認、商品収納 今までは、同行や代行においても利用者とお金の確認をし、店舗でレジにて支払いをし、お釣りがあれば受け取り、最後は利用者と商品や購入金額、釣銭を確認していました。 現在もその形で行っているケースもありますが、近年買い物の形が変わりつつあり、新たなパターンでの対応を求められる事もあります。 実際に訪問介護サービスの生活援助の計画に「買い物援助」がありますが、ここ最近ではこんな事例もあります。 ①宅配ネット注文やネットスーパーで購入 県外に住む長女より「久しぶりに帰省して利用者(母)に会った際に前みたいに歩けない、買い物にも行けなくなった」と言われました。 「これまでは調理と掃除片付けをお願いしていたけど、ヘルパーさんに買い物もお願いしたい。」 との相談があり、始まった買い物援助です。 パソコンの操作方法は、図で分かる様にした物を印刷し、それをコルクボードに貼り付け、ヘルパーが訪問した日に見守りの下で、手順通りに入力し商品を選んで注文しています。 ②スーパーやドラッグストアでセルフレジ対応 独居生活の利用者の週2回ある生活援助の内の一つが買い物同行と整理整頓です。 昨年まで利用店舗は有人レジでしたが、店舗改装後にレジの半分がセルフレジに変更となってしまいました。 買い物援助の際に人対応の方のレジへ並ぶも時間が掛かり、生活援助サービスの時間が押してしまう事もあった為、 「セルフレジで買い物ができるようになる(バーコード読み取り、マイバックに詰める 支払いをする、ショッピングカートに入れて持って帰る)」 という見守り的援助プランに変更しました。 現在も見守りの下で買い物をされています。 ③支払いは電子マネー決済(キャッシュレスで買い物、現金不所持) 長男とは同居も、日中は仕事で出張も多く留守がちで独居状態に近く、利用者が財布類を持つと置いた場所が分からなくなるので、 「母のスマホにダウンロードした電子マネーでの決済」 を希望をされました。 合わせて、できるだけお金を持たせたくないと強く言われます。 利用者も置いたはずのお金がどこにいったか分からなくなる事があるので、長男が準備してくれた金額を使う事を了承済みです。 ケアマネジャーや自治体と相談・検討の結果、 ①利用者のスマートフォンをヘルパーが持ち出すのは、緊急事態時に連絡や対応ができなくなる事 ②紛失した場合に損失が大きい上に日常生活に支障を来す との判断で、買い物代行時の金銭取り扱いは流通系の電子マネー(カード型)対応に変更してもらい、様子をみる形を取りました。 結果としては、現金を取り扱わない事で、利用者宅のあちこちに小銭が見つかる事や財布類が見つからない事も少なくなります。 重ねて台帳管理も上手くいっている為、買い物代行は継続中です。 前述にもありましたが、訪問介護サービスでの買い物援助は人の手を介して現金を取り扱う事が通常だった為に、現代の流れに沿った対応に若干違和感を感じられる事もあるかもしれません。 介護認定を受けた利用者も私たちも同じ日常を過ごしているのだから、時代の流れに沿って介護サービスのカタチを変えていくのは必然の流れです。 中には新しい流れを嫌がる利用者もいますが、少しずつ『現在の暮らしの普通のカタチ』を取り入れ、地域に暮らす日常に慣れていく事も「尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう(介護保険法第1条)」になるのではないでしょうか。 お掃除ロボ、発進! 一般的という程ではありませんが、最近は自宅にロボット掃除機を導入している所もちらほらあるようです。 訪問介護を受ける利用者宅で導入される事もここ数年、僅かながらもみられるようになりました。 まだ圧倒的に生活援助で掃除のプランが立てられている場合は、掃除機やフローリングワイパー等の掃除用具で行う事が主立っています。 しかし、中には家族が購入したロボット掃除機が活動されている所もあるのです。 訪問介護において、同居家族がいる場合の生活援助は基本的に受ける事ができません。 (但し、同居家族にやむを得ない場合や状況によっては生活援助のサービス利用が可能になる場合もあります。) ロボット掃除機も同様で、独居状態にある利用者へ離れて住む家族や身内から贈られた物、あるいは利用者自身で購入した物であれば、生活環境が利用者中心である為、使用については特に問題はありません。 それに応じたプラン変更は求められますが、日常生活を送る上での一部という事で対応していきます。 同居家族にやむを得ない場合や状況が有り、生活援助サービスを認められた場合では注意が必要です。 ケアマネージャーによる居宅プラン、それに沿って立てられた訪問介護計画書に則りサービスは行いますが、同居家族がいる場合の生活援助は、利用者のみが利用する場所においてサービスが行われ、同居家族が利用する共用場所へのサービスは認められません。 あくまでも訪問介護計画書に記されたサービスしか行えない為、プランが利用者の寝室や寝室周辺(利用者しか利用しない事を前提)の掃除や整理整頓であった場合、ロボット掃除機がリビングにあり、居室指定の設定をせずに利用者の寝室へ辿り着くまでの間の共用部分の掃除をしてしまう事が認められないのです。 「細かすぎる!少し位は良いじゃないか!」と思われるかもしれませんが、訪問介護は介護保険を利用した介護認定を受けた利用者の為のサービスなのです。(各自治体によっては、許容認可の範囲が違う場合もあるので確認が必要です。) どんなに便利な機器や器具が導入されても、介護保険を利用している訪問介護の基本を踏まえた上で プランに沿ったサービスを行う事を忘れてはいけません。 もはや、もう一人のヘルパーさん 最近では日常生活においてAI機器の導入が色々みられるようになりました。 前述にもありましたロボット掃除機もそうですが、スマートスピーカーも導入され日常生活に反映されているようです。 同居している家族が導入したので利用者も使用するという例もあり、ヘルパーやケアマネージャーも最新の流れをインプットやアウトプットしていく事が求められる様になります。 まず始めに利用者が「これ、どうやって使うんだろう?」と思うように、ヘルパーやケアマネージャーも「これ、どうやって使うんだろう?」「サービスにどう取り入れていけばいいんだろう?」と頭を悩ませるでしょう。 知識を得る為にスマートスピーカーについて学び(インプット)、「こうやって使うんだ!こんな機能があるなら支援や援助に取り入れていこう。」とプランに取り入れてサービスを行う事で実行に移す(アウトプット)形となるのです。 日々の生活が進化していく事に比例して、利用者の生活も進化し、サービスを行う介護事業所全体も進化し追従していかないといけません。 スマートスピーカーでできる事につきましては、下記の図を参照して下さい。 利用者がスマートスピーカーへ「今日の予定は何?」と聞けば、「〇日〇時から訪問介護です。」や「〇時に〇〇病院に受診です。」等のスケジュールを答えてくれます。 また、、「電気点けて、消して。」「エアコン点けて、消して。」「テレビ点けて、消して。」等の家電や機器の操作も音声で対応でき、「今、何時?」にも、時刻を音声で伝え、日用品が切れた時に 「(日用品名)を注文して」と頼めば、ネット注文で買い物もできてしまうのです。 こうなると、もう一人の家族であり、万能ヘルパーでもあります。 とは言っても、流石にできない作業や動作もあります。 そこはアセスメントやモニタリングによって必要となった介護プランに沿ったサービスを行い、AIを上手く活用していく事ができれば日常生活がよりよいものとなるでしょう。 まとめ 今回は、在宅生活に対応したデジタル化やAI化は訪問介護にどう取り入れられるのかを幾つか例を挙げて紹介しました。 ・訪問介護は老計第10号の法令の基本に沿って対応も、最新のデジタル化やAI化によって サービス内容が変化しつつある。・生活援助における買い物同行や代行においても、「宅配ネット注文」 「ネットスーパーの利用」や、店舗にて購入も「セルフレジ」対応、 支払いは「電子マネー決済」対応等、今までの買い物のカタチが変わり 利用者もヘルパーも対応していかなければならない。・生活援助における掃除においては、「ロボット掃除機」が導入されている所もあり 利用については同居家族がいる場合において注意を要する。・「スマートスピーカー」という、AIが搭載された多機能なスピーカーを 導入されている所も少なからずあり、日常生活に反映される対応が可能になっている。 ・「スマートスピーカー」のできる事は ①音楽の再生②家電や機器との連携操作③検索や情報収集やネット対応が可能 ④メールやデータの送受信や音声読み上げ⑤スケジュール管理などがある。 ・デジタル化やAI化が進んでも、日常生活ではできない動作や作業があるので 上手く活用しながら対応していく事が求められる。 デジタル化やAI化の波に乗って訪問介護もカタチを変えつつあります。 しかし未だそういった進化の波とは無縁の環境で日常生活を過ごす利用者がいるのも事実です。 其々の生活環境や状況に応じた対応を求められますが、一朝一夕には対応できません。 介護保険に関する法令遵守や法改正に伴うサービスの変更等に加え、最新のデジタルAI関連にも目を向けないといけない状況はとても大変です。 新旧共々に対応していけるヘルパー力を身に付けていきましょう。

  • 介護を「作業」としてこなす人。「ケア」として向き合う人の違いについて解説

    この記事では、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人の違いについて紹介します。 またお互い協力して仕事ができる方法についてもお伝えします。 介護を「作業」としてこなす人の特徴 1,「速さ」「効率」を重視している 介護を「作業」としてこなしている人は、何よりも「速さ」「効率」を重視しています。 その為、想定外のことが起こったり、声かけに拒否があっても、無理矢理にでも連れて行こうとし、業務時間内に介助を終わらせようとします。 この考え方は、在宅よりも施設、特に多床室のような従来型特養で働いている人に多いです。 従来型特養は、何十人ものケアを時間内で終わらせなければなりません。 その為「速く終わらせること」を求められた結果、「速く、効率的に終わらせることが最優先」という思考回路になってしまうのです。 2,ケアの理由について考えていない 施設内で行う介護(ケア)は、ケアプランに基づいて行われています。 それは、「なぜそのケアがその人にとって必要なのか」という、根拠あり、それを基にケアを行う必要があるからです。 しかし介護を「作業」としてこなしている人の場合、根拠についてあまり考えていません。 「そう決まっているから」と、疑問を持ったり改善しようとせず、自分の業務をこなすことを最優先事項としているのです。 介護を「ケア」として向き合う人の特徴 1,入居者や利用者の気持ちを重視している 介護を「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の気持ちを重視し 1人1人丁寧に向き合っています。 例えば入浴の声かけをして嫌がったとき、「今は無理に行ってもダメだから、時間を置いて声をかけてみよう」と考え方を変えることができます。 また入居者や利用者の気持ちに向き合って対応しているので、不穏な人でもその人が対応すると、落ち着くことが多いです。 2,ケアを行う根拠を把握している ケアとして向き合っている人は、ケアプランの内容を把握し、「なぜこのケアを行うのか」という根拠を明確に説明することができる人が多いです。 根拠を知っていることで、新人職員などに教えるときに分かりやすく説明することができます。 また「ケア」として向き合っている人は、入居者や利用者の状態は日々変化しているということを知っています。 なので「ケアプランではこのようなケアを行うとあるけれど、今のこの人には、適応しているのか」と疑問を持ち、改善点を他職種に提案することができるのです。 どちらが正しいとは言えない 上記にて介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合っている人の特徴についてお伝えしてきました。 ここまでだと「仕事としては、ケアとして向き合っている人の方が良いのではないか?」と思いがちです。 しかし実際は、「どちらが正しい」とは、一概には言えないのです。 というのも、介護業務というのは、限られた時間内と人数で業務を回さなければなりません。 その中で、入居者や利用者1人1人に丁寧に向き合っていたら、業務時間内に仕事が終わらなくなってしまいます。 それは、他の職員に迷惑がかかってしまうことになります。 そのため、ある程度「作業」としてこなすことも、必要なことなのです。 両者が協力するために ここでは、介護を「作業」としてこなす人と、「ケア」として向き合う人が、お互い協力する為に、何をすると良いのかお伝えしていきます。 ①お互いを知る 両者が協力するためにまず必要なことは、「お互いを知る」ことです。 具体的には ・日々どのように介護業務を行っているか ・どのような価値観や考え方を持って行っているのか ・他の職員の業務に支障が出ていないか ということが挙げられます。 特に最後の「他の職員の業務に支障が出ていないか」という点を忘れないでおきましょう。 支障が出ていなければ、お互い考え方や価値観を変えず、現状維持するという方法もあります。 人の価値観というのは、簡単に変えることができません。 なので、無理に考え方を変えようとすると、かえって関係性が悪化してしまい、施設全体が悪くなってしまう可能性があります。 ②問題について共有する お互いについて知ることができたら、次は「今施設の中で問題になっていることは何か」を、共有しましょう。 例えば「ナースコールで頻回に呼ぶ利用者がいて、業務が進まない」という問題が挙げられたとします。 介護を「作業」としてこなす人であれば、 「頻回に呼ばれて、業務が進まない」 という点に着目します。 しかし「ケア」として向き合っている人の場合、 「なぜ呼ぶのだろうか」 「寂しいからなのか、何か訴えがあるからなのか」 と、疑問を持ちます。 このように同じ問題でも、着目点が異なるのです。 ③お互いの価値観を用いて、意見を聴く 上記のような問題が発生した場合、お互いの価値観を用いて意見を提案しましょう。 介護を「作業」としてこなす人であれば 「業務が進まないから、ナースコールは無視する」 「何回も呼ばないで欲しい」と、注意する という意見が出てきがちです。 一見すると「介護職としてどうなのか」と思いがちです。 しかし利用者の中には、用もないのに何回も呼ぶ人もいます。 なので時には、注意するということも必要なのです。 一方「ケア」として向き合う人の場合 「日中居室に籠もりがちですることがないので、呼ぶのではないか」 「何か役割を持たせると良いのではないか」 と、疑問や改善点を思い浮かべます。 重要なのは「お互い、相手の意見に最初から否定しない」ことです。 自分にとって意にそぐわない意見だとしても、その人にとっては 「明確な理由があって」話をしています。 「そういう考え方もありますね」と、相手に伝えることで、相手もこちら側の意見を受け入れやすくなります。 ④試行錯誤してみる お互いの立場で意見が出てきたら、実際にやってみましょう。 上記の「ナースコールが頻回な人の対応」については ・役割を持たせて、不安な気持ちを軽減させる ・夜ナースコールが頻回な場合は、日中活動の時間を増やす ・看護師や相談員、ご家族様にも相談し、精神科に受診し、薬を処方してもらう ・それでも頻回な場合は、理由を伝えて「何回も呼ばないで欲しい」と言う といった方法を実践してみましょう。 しかし、1回で成功するとは限りません。 何回も行い、どれがその人にとって1番良い方法なのか、実践してみましょう。 試行錯誤していく中で、「作業」としてこなす人、「ケア」として向き合う人それぞれの価値観が共有されるようになり、結束し、協調して仕事に取り組めるようになります。 試行錯誤した結果、ナースコールが減れば、介護職員の負担が軽減されるだけでなく、利用者本人も不安が減り、施設での生活を快適に送れるようになります。 介護の仕事は、試行錯誤 介護業務、特に施設内のケアというのは、日々同じことの繰り返しに見えるので、単純労働でルーチンの業務だと思いがちです。 しかし上記でも挙げましたが、入居者や利用者の状態は日々変化していくので、臨機応変な対応が求められます。 また医療のように「治癒」という明確なゴールが設定しづらいので、介護職だけでなく、ケアを受ける本人や、他の職種と一緒に、ケアを考え続ける必要があります。 これからのケアは、お互いの価値観ややり方を理解し、「どうすればより良くなれるか」を考え続けることが、求められるのです。   まとめ ここまで介護を作業としてこなす人、「ケア」として向き合う人の違いについて解説してきました。 介護を「作業」としてこなす人の特徴は、「速さ」「効率」を重視している ・「ケア」として向き合う人の特徴は、ケアを行う根拠を理解しながら 入居者や利用者に対応している ・限られた時間と人数で業務を回さなければいけない以上 どちらが正しいとは一概には言えない ・両者が協力するためには、お互いの価値観ややり方を理解した上で 問題を改善するための意見を提案し合い、試行錯誤しながら お互いの価値観を共有していくことが重要である 最後までお読みいただきましてありがとうございます。