在宅介護と呼ばれるサービスには様々なものがあります。 そんな在宅介護のサービスの中に「ディサービス」や「ディケア」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 名前が似ていて同じものだと思われがちですが、実はディサービスとディケアは意外と違いが多いのです。 今回は「ディサービス」と「ディケア」の違いを様々な側面からお話しします。 「ディサービス」と「ディケア」のサービスの違いは? まず両者を比較すると利用する目的が大きく違います。 その違いから見ていきましょう。 「ディサービス」の利用目的 ディサービスの特徴として、自宅での入浴が難しいなど自立度の低い方も多く利用しているという点が挙げられます。 これはディサービスの利用目的として自宅での自立度を高めたり、ご家族の負担を軽減することがあるからです。 ですので入浴や食事など日常生活の介護がサービスの中心となります。 また他者とのコミュニケーションをとる場面も多く、レクリエーションの内容が充実しているのも特徴です。 入浴や食事の時間の他に身体を動かす時間が設定されていたり、席の近い方とお話ししたり、趣味やテレビの時間を作ったりとゆったりと過ごす時間も多いのがディサービスです。 「ディケア」の利用目的 ディケアは「通所リハビリテーション」とも呼ばれ、最大の特徴は医師が常駐していることです。 医師から医療的なアドバイスが受けられたり、健康管理をしてもらえたりすることがサービスの内容に含まれます。 ディサービスにも看護師が常駐していますが、ディケアの方がより医療体制が整っていると言えます。 またリハビリ専門職がいることもあり、サービスの目的は身体機能の維持や回復で、しっかりと身体を動かしてリハビリに取り組む時間が多く設けられています。 また施設によって1日だったり半日などの短時間だったり、食事や入浴の時間はなかったりと様々です。 「ディサービス」と「ディケア」の人員配置の違いは? 上記のようなサービス内容の違いから、サービスに携わる専門職にも違いが出ています。 「ディサービス」の人員配置 ディサービスは介護士、看護師、生活相談員の人員配置で成り立っています。 日常生活の支援を行うのがディサービスの利用目的になるので、介護士が入浴や食事を、看護師がバイタルチェックなどで健康管理を行い、そして機能訓練指導員が機能訓練を行います。 またディサービスを利用する方の多くは、日常生活に不安を抱えています。 そこで自宅での介護の不安を相談できる生活相談員が常駐しているのが特徴です。 「ディケア」の人員配置 一方ディケアでは介護士、看護師に、リハビリ専門職と医師が加わります。 リハビリ専門職とは理学療法士や言語聴覚士、作業療法士です。 このようなリハビリ専門職が常駐していることで、リハビリに特化した時間を過ごすことができ、より身体機能の回復が期待されます。 また医師が常駐していることで、先ほど説明した健康への不安を緩和することができます。 「ディサービス」と「ディケア」の利用条件は? 料金は? ディサービスは自宅での生活に不安のある方が多く、ディケアは身体機能を維持・回復を目的とする方が多いということはご理解いただけたでしょう。 それは両者の利用条件でも確認することができます。 ディサービスは通所介護のため利用条件は、介護認定の内要介護1~5の方のみと設定されています。(今回の記事では、介護予防を含めず記載しています。) 一方ディケアは要支援でも要介護でも関係なく介護認定を受けていれば、介護保険を使用して、サービスを利用することができます。 また介護認定を受けていなくても自費であれば利用することが可能です。 では利用料金にはどのような違いがあるでしょうか。 ディケアには医師が常駐していたり、受けるリハビリも専門的なものになるので、ディサービスと比較すると少し高い料金が設定されています。 自治体にもよりますが、1日あたりおよそ100円~300円程度ディケアの方が高くなります。 「ディサービス」と「ディケア」どちらがオススメ? 両者の特徴を様々な側面からお話しましたが、利用する方によってどちらがオススメなのかは違います。 「ディサービス」がオススメの方 まず自宅での入浴や食事に不安があり、本人や家族に自宅での負担が大きくかかっている場合は ディサービスの方がオススメです。 また、「運動は少しだけ行いたい」や「身体で痛めている部分があるので無理はしたくない」という方にもディサービスの方が良いでしょう。 ディケアは運動を積極的に行いたい方が多いため、「運動は程々にしたい」または「一切したくない」という方が利用してしまうと精神的にも不安を感じてしまいます。 ディサービスは他の利用者の方とコミュニケーションをとりやすい場なので、「おしゃべりを楽しみたい」や「友人をつくりたい」という方にも楽しめる介護サービスです。 「ディケア」がオススメの方 医師が常駐していることもあり、退院したばかりの方や、身体機能の不安が大きい方はディケアの方が安心して利用することができます。 リハビリ専門職が揃っていることで身体をしっかりと動かして、とにかくリハビリを頑張りたいと思っている方も満足して利用できます。 ディサービスと比較するとディケアを利用する方は日常生活の動作に不安がある方は少ないです。 今の健康を維持したい、より元気になりたい方には、ディケアの方がオススメです。 リハビリ型ディサービスとは? ここまでディサービスとディケアの違いについて説明しましたが、「リハビリ型ディサービス」というサービスもあります。 リハビリ型ディサービスの多くが、午前と午後で利用する方が入れ替わる半日型を採用しています。 半日型であるため食事や入浴はサービスには含まれていません。 こう聞くと「リハビリ型ディサービス」と「ディケア」の違いがないように思いますが、大きな違いがあります。 それはディケアは医師の指導のもとリハビリが行われていることです。 リハビリ型ディサービスはそうではありません。 同じようなサービス内容だとしても身体の不安が大きい方はディケアを検討しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 同じ「ディ」というワードがついていても、サービスの内容は大きく違うので、利用する方の希望や状況に合わせて適切に選択しましょう。 ・ディサービスを利用する方は自宅での日常生活に不安を抱えている場合が多いので、食事や入浴などの時間が中心である。 ・ディサービスでは趣味やレクリエーションなど、他の利用者の方とのコミュニケーションをとる場面も多い。 ・ディケアは身体機能の維持や回復を目的として利用している方が多い。 ・ディサービスには生活相談員が常駐しているため、 気軽に介護の相談を聞いてもらいやすい。 ・ディケアには医師が常駐しているので、健康面での不安が多い方は安心して利用できる。 ・またリハビリ専門職と呼ばれる人員配置がディケアにはあるので、身体機能の維持や回復も期待できる。 ・ディサービスは要介護1~5の方という制限があるが、ディケアの場合は介護認定を受けていれば要支援でも制限なく、介護保険を使用して利用できる。 ・自治体にも差があるが医師が常駐しているという理由で、ディケアの方が1日あたり100円~300円程度利用料が高い。 ・リハビリ型ディサービスは半日型で食事や入浴なしとしている場合が多く、ディケアとの違いはリハビリが医師の指導のもとであるかどうかである。 最後までお読みいただきありがとうございます。
高齢者の暮らしを支える住宅改修。 有効に使って、要介護者も介護する人も共に暮らしやすいようにしたいですよね。 介護保険での住宅改修ができるのは下記の5箇所と決まっています。 手すりの取り付け 段差解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のためのまたは通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え これから、それぞれのポイントや注意点を紹介します。 手すりの取り付け 介護保険の住宅改修でもっとも工事件数が多いのが、手すりの取り付けです。 手すりは、歩行や立ち上がりの補助をする働きがあります。 そんな手すりですが、たくさん取り付けても意味がありません。 邪魔になって通路が狭くなったり、使わない可能性があるからです。 生活動線や本人の能力を考慮したうえで、手すりを取り付けるようにしましょう。 手すりの役割 手すりの役割は、以下のようなものがあります。 立ち上がりの補助 歩行の補助や誘導 それぞれ、詳しく紹介していきます。 立ち上がりの補助 加齢とともに筋力が落ちて、立ち上がりに時間がかかったり、1人でできなくなりがちです。 そうなると、誰かの手助けが必要になって、介護の負担が増えることになってしまいます。 しかし、すりにつかまれば、立ち上がりが楽にできるようになります。 手すりが、立ち上がりを助けてくれるからです。 たとえば、トイレの壁に手すりを取り付けた場合には、手すりにつかまってスムーズに立ち上がることができます。 1人で立ち上がりができるようになるためにも、介護負担が増えないためにも、補助をしてくれる手すりの取り付けが重要です。 歩行の補助や誘導 加齢とともに落ちるのは、筋力だけではありません。 バランス能力も低くなってふらつきが多くなり、転びやすい状態になります。 壁に手すりを取り付けることで、転ばずに歩くことができます。 手すりが、ふらつかずにバランスをとる支えになるからです。 例えば、夜中にトイレに行きたくなると、トイレまで移動するために暗い場所を歩かなくてはなりません。 そんな時に廊下にに手すりがあることで、移動を助けてくれたり、誘導してくれるので、転ばずに歩くことができます。 転ばずに目的地まで歩くためにも、手すりの取り付けが重要になります。 手すりの種類 手すりには、大きくわけて、5種類あります。 横手すり 縦手すり(I型) L字型 階段用 据え置き型 しかし、どのタイプを取り付ければいいのか迷ってしまいがちです。 それぞれ、どんな時に使用するのか、詳しく解説します。 横手すり 横手すりは、地面に対して水平に取り付ける手すりで、もっとも一般的なタイプです。 つかまって移動する時に使用できるため、廊下や玄関への取り付けが多くみられます。 縦手すり(I型) 縦手すりは、地面に対して垂直に取り付ける手すりです。 段差を上がる時や立ち上がりの時の補助になるので、玄関やトイレに取り付けることが多いタイプになります。 L字型 L字型の手すりは、横手すりと縦手すりが一体化したものです。 立ち上がりと立位保持の手助けをするので、トイレや浴室に取り付けることが多くみられます。 階段用 階段用の手すりは、階段の昇り降りを補助する手すりです。 両側にとりつけることが望ましいですが、片側だけの時は降りる時の利き手側に取り付けるようにしましょう。 しかし高齢者は自室を1階にしていることが多いため、使用する頻度が少ないです。 据え置き型 床に置いて使用するタイプの手すりです。 手すりを取り付けることができない場所にも置くことができます。 工事を必要としないため、住宅改修での対応はできません。 福祉用具貸与での対応になります。 段差の解消 次に、段差の解消です。 対象は、自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差になります。 電力で稼働する段差昇降機や工事を伴わないスロープは、福祉用具貸与の対象外になりますので注意しましょう。 それでは、場所別に解説していきます。 玄関 玄関の上がりかまちは、高齢者にとって大きな障害です。 特に日本家屋は段差が高く、上がるのが大変だからです。 工事としては式台の設置が行われますが、工事を伴わない場合は、介護保険の対象外になります。 駐車場 高齢者にとって屋外の移動は段差も多く、転倒のリスクが高くなります。 筋力やバランス能力など、身体機能が低下しているからです。 たとえば、病院に行く時など外出の際には、駐車場に移動する必要があります。 駐車場までに段差など障害がある時は、スロープを設置したり、階段の段数を増やして、一段ごとの高さを低くすることができます。 敷居 若い人にとってなんともない少しの段差でも、高齢者にとっては転ぶ要因になります。 敷居などは取り外すことが難しいので、小さなスロープを取り付けて段差を解消します。 この時、1/4〜1/5の勾配にすることがポイントです。 滑りの防止及び移動の円滑等のための床または通路面の材料の変更 床などの通路は素材によっては、滑りやすく転倒しやすい要因になっています。 材料を変更することで、転倒予防を図ることができるのです。 もしくは、畳やカーペットでは車椅子の運びが悪いため材料を変更することで、移動をしやすくなります。 ただし、生活動線以外の工事や老朽化によるものは、対象外ですので注意してください。 引き戸等への扉の取替え [caption id="attachment_1295" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 日本の玄関は、「開き戸」が多く使われています。 しかし、「開き戸」は、筋力が低下した人にとっては、開け閉めがつらいものになります。 扉の開け閉め時に、扉の開きしろを考慮するため、筋力やバランスが必要になるからです。 そこで、「引き戸」にすることで、扉の開きしろを気にせずに開け閉めができます。 ちなみに、ドアノブをレバー型に変更することも、住宅改修の対象です。 ただし、扉の老朽化といった交換は、対象外になっています。 洋式便器への取替え 洋式便器への取替えは、和式便器を洋式便器に取り替える場合が一般的に想定されています。 その他、どういった工事が対象になるのか、紹介します。 和式便器を洋式便器へ 現代では少なくなりましたが、日本家屋では和式便器が主流で、現在も残存しているところがあります。 ですが、和式便器は高齢者にとって、使いにくいものです。 しゃがむ動作をする必要がありますが、足の変形から痛みを伴い困難になっていきます。 また、筋力も低下しているので、しゃがんだはいいものの、立ち上がれなかったりすることもあります。 こういった時に、洋式便器への交換は有用です。 暖房・洗浄機能付便器への取替え 現在洋式のものを交換はできませんが、和式を洋式に変更する時は住宅改修の対象になります。 便器の取替えに伴う給排水設備工事 便器を取り替える時は、水回りの交換も必要になりますが、給排水にかかわる工事も住宅改修の対象です。 ただし、もともと水洗だったトイレのみになります。 便器の取替えに伴う床材変更 便器を取替える時は、床や壁も改修が必要になりますが、これも対象になります。 こういった時は対象外 住宅改修の対象外にもなる工事もあります。 洋式トイレを新設 手洗い器やペーパーホルダーの新設 基本的に、新設する場合は対象外です。 既存のものを交換する場合のみ対象になりますので、ご注意ください。 まとめ ここまで、介護保険での住宅改修のポイントや注意点を箇所別にわけて、紹介してきました。 ・手すりは歩行や立ち上がりの補助をするが、たくさん取りつけても意味がない。 手すりは数タイプあるので、目的や場所によってわける。 ・段差解消は自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差をなくすもの。 工事を伴わない段差解消機やスロープの取り付けは、住宅改修の対象にならない。 ・床または通路面の材料の変更は、生活動線以外や老朽化によるものは対象外。 ・引き戸等への扉の取替えは、高齢者にとって開け閉めが難しい開き戸を取替える時に有用。 開けやすいドアノブへの変更も住宅改修の対象だが、老朽化による扉の交換は対象外。 ・洋式便器への取替えは、一般的に和式便器を洋式便器に変更する時。 洋式トイレやペーパーホルダーを新設する場合は対象外。 親に元気に家で過ごしてもらうために、住宅改修を利用して生活環境を整えましょう。 そのためには、箇所別にポイントを把握しておくことが大切です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。 ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは 住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。 親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。 福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。 どんな人が使えるの? 住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。 入院中などではなく、現在家で生活している 住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。 しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。 家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。 いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。 住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。 ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。 1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は? 住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。 要介護度が3段階以上上がった時 要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。 引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。 支払い方法は? 住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。 償還払い 償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。 受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。 ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。 まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。 住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
デイサービスにはさまざまな種類があります。 そのため、どんなサービスを行いどんな違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 今回はデイサービスの違いと、自分に合う施設の選び方を解説します。 デイサービスとは? まずは、デイサービスとはどんな所かをご紹介します。 デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所です。 また、一緒に暮らす家族の介護負担軽減も役割の1つです。 高齢になるにつれ、心身機能が低下し家で生活することが難しくなります。 そのために、デイサービスで日常生活に関するサービスを受け、住み慣れた家で生活できるように支援しています。 また、デイサービスで他者と交流することで心の機能回復も目的としています。 サービスの内容は、食事、排泄、口腔ケア、入浴、機能訓練、相談や助言など日常生活に関することです。 どんなデイサービスがある?違いを知って選ぼう デイサービスは、それぞれに特色があり以下の5つ種類があります。 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 どんなサービスを提供しているのか具体的に解説します。 違いを知ることで、自分にあった所を選びやすくなります。 ①通所介護 通所介護とは、高齢者が在宅で自立した生活ができるように支援する場所です。 サービスの内容は、機能訓練や社会交流、家族の介護負担軽減、日常生活に関する支援、相談を行っています。 ②通所リハビリテーション 通所リハビリテーション(以下通リハ)とは、リハビリに特化したデイサービスです。 主治医の指示で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職がリハビリを実施します。 通リハはリハビリを目的としていますが、食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスも提供しています。 参照元:厚生労働省 通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 認知症対応型デイサービスとは、認知症に特化したデイサービスです。 通常のデイサービスでも認知症の方は通えますが、利用人数が多いと対応が難しい場合があります。 認知症のデイサービスは、利用者の人数が12人以下と定められています。 また、デイサービスの責任者は、「認知症対応型サービス事業管理研修」を修了していることが義務付けられています。 食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスはもちろん、認知症進行の緩和や認知症に対するケアが受けられます。 参照元:LIFULL介護 認知症対応型通所介護とは ④地域密着型通所介護 地域密着型通所介護は定員数が18人以下で、「事業所がある市町村に住んでいる人」と定められています。 これは、より細やかなニーズと手厚い支援を受けられるように限するためです。 サービス内容は通所介護とほとんど変わりませんが、人数が少ないので、利用者一人一人に合ったケアを提供しています。 参照元:健康ネット 地域密着型通所介護とは?サービスや通うメリットについて解説! ⑤療養型通所介護施設 療養型通所型介護施設は、医療的なケアを必要とする人が利用できるデイサービスです。 通常のデイサービスでも、利用できますが事業所によって受け入れに制限があります。 看護師が常駐する中で、日常生活の全般の支援から機能訓練を行います。 対象者は、難病や脳血管疾患後遺症・がん末期など常に医療ケアが必要な人等です。 参照元:介護ワーカー 療養通所介護とはどんなサービス?役割や仕事内容について解説! 違いが分かったところで、次の章ではデイサービスの選び方のポイントを紹介します。 ポイントを押さえて自分に合った事業所を選びましょう。 デイサービスの選び方のポイントは4つ ここでは、デイサービスを選ぶ時に押さえたいポイントを4つ解説していきます。 ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容はどうなのか ③対応できる利用時間 ④入浴やトイレの設備の確認 それぞれのポイントを具体的にご紹介します。 ①デイサービスの人数はどれくらいか デイサービスの1日の利用者人数を確認しておくと雰囲気が分かります。 人数が少ないと利用者の一人一人の細かいニーズに応えやすいです。 人数が多いと法人運営しているところが大半になるので、スタッフの育成がしっかりできています。 デイサービスの1日の利用者人数を見るのもデイサービス選びのポイントの一つです。 ②食事の内容を確認する デイサービスでは食事にこだわっている事業所が多く、主食を魚かお肉に選択できたり、すべて手作りの施設もあります。 まとめて食事を作っている事業所もあるので、糖尿病や塩分制限がある方は、食事が対応できるか確認しましょう。 ③対応できる利用時間 どれくらいの時間を利用できるのか、短時間など対応してくれるのかなどを確認しましょう。 身体の調子が悪い時や退院後は長時間のデイサービスが体力的にきつい場合があります。 また、病院を受診するから早く帰宅したい、ヘルパーの利用があるから短時間にしたいなど、要望に応えられるか確認しておくと安心です。 ④入浴やトイレなど施設の設備を確認する 施設によって、入浴設備が自宅のようなお風呂だったり大浴場のお風呂だったりします。 入浴時は職員がついていますが、恥ずかしいから個浴で入りたい、温泉のようにみんなでワイワイと入りたいなど好みがあるのでチェックしておきたい設備です。 また、トイレもみておきたい設備の一つです。 たくさんの事業所がある中で、古民家を改装したデイサービスもあるので、トイレの向きによっては麻痺がある人は使いにくくなってしまいます。 トイレの設備が自分の身体に合うか確認しましょう。 デイサービスの選び方のポイントを押さえたところで、次は見学する時にみておきたい項目をご紹介します。 デイサービスを見学する時のポイント デイサービスの見学はした方がいいと言われますが、どこを見ればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。 この章では、見学する際のポイントをご紹介します。 ①いつも出入りするに人に対して挨拶しているのか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している人の雰囲気を見る 一つ一つ具体的に解説していきます。 ①いつも出入りする人に対して挨拶がきちんとしているか 基本的にお客さんにはきちんと挨拶するので、ここではいつも施設に出入りがある業者や職員同士が挨拶をきちんとしているかチェックします。 いつも出入りする人に対しては、自然な対応になるので、見ておきたいポイントなのです。 ②方針や方向性が定められているか デイサービスでの方針や方向性が定まっていると職員間で摩擦が生じにくく、ケアに対して統一感があります。 例えば、利用者の目標をきちんと職員が共有出来ており、やるべきケアが統一されている施設もあります。 職員の動きは、見学時に確認しておきたい項目です。 ③現在利用されている方の雰囲気をみる 施設全体の雰囲気が合うのかチェックするのも大切ですが、今利用されている方が楽しそうにされているか見るのもポイントです。 職員は新規利用者獲得の為、良いところを見せようとする場合がありますが、今利用されている方は楽しそうに取り繕う必要性がないからです。 実際、自分に合うかは利用して見ないと分かりませんが、大半のデイサービスは1日体験利用を実施しています。 上記ポイントを意識して、体験利用してみると自分に合う事業所が見つけやすくなります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 デイサービスの違いと自分に合う選び方のポイントをご紹介しました。 ・デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所である ・デイサービス 5つの種類 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 ・デイサービスの選び方 4つのポイント ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容 ③利用時間 ④施設の設備を確認する ・デイサービスを見学時の3つのポイント ①顔見知りの人に挨拶しているか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している方の雰囲気を見る 最後まで読んでいただきありがとうございました。
「転倒骨折が原因で入院している親の退院後はこのまま施設しかない?」 「高齢の親が退院するけどこのまま家に帰すには不安だから施設?」と心配してる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 退院後、家に帰れなかったら施設入所と考えている方が多いと思いますが、そんなことはありません。 家と施設の中間地点としての役割を果たしている「介護老人保健施設」があります。 退院後は「介護老人保健施設」に一旦入所して家に帰るためのリハビリ等を受けられます。 今回は、「介護老人保健施設」について紹介します。 「退院後すぐに親を家に帰すのは不安だけど、ずっと施設に入れておくのは嫌!」という方は、ぜひ参考にしてください。 介護老人保健施設ってどんなところ? 介護老人保健施設は、要介護者にリハビリをメインに行うことで在宅復帰を目指す施設です。 略して「老健」と呼ばれていて、自宅と施設の中間地点の施設です。 いわゆる「特養」など、期間が定められず入所して生活する施設とは違います。 たとえば、親が転倒して骨折すると、急性期の病院に入院して治療を受けます。 その後、転院して集中してリハビリを受けることになります。 リハビリが集中的に行われる回復期リハビリ病棟がある病院は、入院期間が決まっているのです。 骨折などの疾患の場合の入院期間は、最長90日間です。 90日間で在宅復帰が難しいと思った時は、介護老人保健施設に一旦入所して、引き続きリハビリを受けることができます。 リハビリをメインに受けて、在宅復帰して自立した生活を送ることを目標にしているのが、介護老人保健施設です。 どんな人が入所できる? ここでは、どんな人が介護老人保健施設に入所できるのか、その条件について紹介します。 要介護1~5の判定を受けている、原則65歳以上の人 入所できるのは、要介護1以上の65歳以上の人です。 関節リウマチや脳血管疾患などの特定疾病によって要介護認定を受けた40~64歳の人も、入所できます。 要支援1~2の人は入所できませんので、ご注意ください。 症状が安定している人 介護老人保健施設が医療費を全額負担するので、症状が安定していない人は入所を断られることがあります。 また、在宅復帰を目的としている、リハビリや医療行為が必要な人が優先されます。 「入院しておくほどではないけど、親を家に帰すのは不安」という人に、ぴったりです。 感染症にかかっていない人 施設ですので、集団生活になります。 そのため、感染症にかかっている人は対象外になってしまいます。 介護老人保健施設のサービスはどんなものがある? 介護老人保健施設のサービスには、入所して利用するものと在宅生活をしながら利用できるものがあります。 入所サービス リハビリ 医療・看護 介護 栄養管理 在宅サービス 通所リハビリ(デイケア) 訪問リハビリ ショートステイ 介護老人保健施設は、入所期間が原則3~6ヶ月と決められています。 退所してからも在宅生活をサポートするサービスを受けられるのが、介護老人保健施設の特徴です。 介護老人保健施設は医療従事者も多く、医療体制が整っているため、本人も家族も安心して過ごせるのが特徴です。 それでは1つ1つの項目について、詳しく解説していきます。 リハビリ 介護老人保健施設は、リハビリを受けられるのが大きな特徴です。 リハビリを受けて、家での暮らしをすることを目的にしているからです。 リハビリの専門職を入所定員100人に対して1人以上配置するように決められています。 そのため、専門職による個別でのリハビリを受けられる体制が整っているのです。 リハビリは、「週に2回以上、1回につき20~30分」受けることができます。 料金が上がりますが、入所後3ヶ月間は週3回以上受けられるので、在宅復帰にグっと近づくことができますよ。 医療・看護 介護老人保健施設は、入所定員100人に対し、医師が1人以上配置されています。 看護師は9人に対し、1人の配置です。 医療スタッフが入所者の体調管理を行っているので、医療面で心配な方も入所が可能です。 床ずれの処置や経管栄養、インシュリン注射の対応なども行われています。 介護職員の数も多く、食事や排泄介助、入浴介助など、基本的なサービスが受けることが可能です。 レクリエーションもあるので、楽しく過ごせます。 栄養 栄養士も配置されていて、栄養ケアが行われています。 在宅復帰に向けて必要な食事の面からサポートしてくれているのです。 病気や嚥下能力に応じた食事形態も配慮されていて、バランスの良い食事が提供されます。 介護老人保健施設の費用はどれくらいかかる? 介護老人保健施設は公的施設ですので、民間の施設と比べると安く入所できます。 また、収入が少ない世帯では、居住費や食事代が安くなる場合もあります。 なぜなら国が利用者負担軽減策を設けているからです。 入所一時金など、初期費用もかかりません。 医療費も介護老人保健施設が全額負担することになっています。 そのため、比較的安く入所サービスを受けることが可能です。 以下に介護老人保健施設の費用についてまとめましたので、参考にしてください。 (令和3年8月1日時点) ざっくりとみて、月10万円前後 介護老人保健施設は、居住費や食事代込みで、月におおよそ10万円前後です。 要介護度や部屋のタイプによって、料金が変わってきます。 基本料金(介護保険給付サービス) 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 個室 836円 910円 974円 1,030円 1,085円 多床室 756円 828円 890円 946円 1,003円 これは、1日にかかる基本料金です。 1割負担の金額を載せていますが、所得に応じて2~3割負担のこともあります。 居住費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 個室 490円 490円 1,310円 1,310円 多床室 0円 370円 370円 370円 一定の低所得要件を満たした人が適用されるため、段階によって金額が変わります。 食費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 300円 390円 650円 1,360円 食費も所得に応じた負担限度額が設定されています。 その他、日常生活費 理美容代、新聞、娯楽にかかわるものなどは実費負担です。 おむつなどは施設サービス費に含まれていますので、別途でかかることはありません。 加算料金(介護保険給付サービス) 介護老人保健施設は、基本料金にかかる加算があります。 たとえば、リハビリを3ヶ月間集中的に受ける加算は、1割負担の場合、1回につき240円かかります。 その他、在宅復帰に向けた加算が複数あり、手厚いサービスを受けることができるのです。 まとめ ここまで、介護老人保健施設について、紹介してきました。 介護老人保健施設は、自宅と施設の中間地点で、在宅復帰を目標にしている。 リハビリをメインに、医療や介護サービスを受けられる。 入所できるのは、要介護認定を受けた人のみで、要支援の人は不可。 1ヶ月間の費用は、おおよそ月10万円前後で、民間の施設と比べると割安。 入所にかかわる初期費用もかからず、所得に応じて 食費や居住費の負担限度額が設定されている。 入所できる期間は3~6ヶ月で、退所後も在宅サービスを受けることができる。 入院中の親を家に帰してあげたいけれど、今家に帰すことに不安を覚えていたり、親を施設にずっといれておくのは気が引けると感じている人は、介護老人保健施設でリハビリを受けてもらってはいかがでしょうか。 介護老人保健施設は、在宅復帰に向けてサポートを手厚く行ってくれます。 期間も限定されているので、家に帰る時期が明確です。 あなたの大切な人が再び家で暮らせるよう、応援しています。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ヘルパーが訪問介護サービスを行う際はケアプランに沿ったサービスが基本です。 今回は判断に迷う、あいまいなグレーゾーンと呼ばれる事例とその対応の仕方を解説します。 訪問介護でヘルパーができる事とできない事 訪問介護のヘルパーにはできる仕事内容が決められています。 まずはその基本的なところを確認していきましょう。 訪問介護は3つのサービスに分けられる 訪問介護は訪問介護員(以下「ヘルパー」という)が介護認定を受けた利用者の居宅を訪問し、身体介護や生活援助などを提供するものを言います。 訪問介護に入るヘルパーは、介護福祉士や実務者研修修了者、初任者研修修了者、旧基礎研修修了者、訪問介護員1級又は2級(ヘルパー1級又は2級)のいずれかの資格が無いとサービスに入る事はできません。 (※2018年新設の「生活援助従事者研修修了者」という生活援助限定の資格もあります。) 訪問介護は下記の3つにサービスが分けられます。 身体介護 生活援助 通院等乗降介助 利用者の身体に直接触れる 必要性のある介助。 身体介護以外の利用者が 日常生活を送る上で 必要な生活支援をする介助。 一般的には介護タクシーが 行う事が多い。 ※食事、排泄、入浴、更衣 身体整容、移動・移乗 通院・外出、起床・寝床など ※調理、配膳・後片付け、洗濯 掃除、整理整頓、買い物 ベッドメイクなど ※車への乗降、乗車前 または降車後の移動、受診手続き 薬の受取りなど 訪問介護のヘルパーは利用者のケアマネージャーが立てたケアプランに沿って、利用者本人の為の自立した日常生活に関する身体介護や生活援助サービスを行うものです。 あくまでも訪問介護は介護保険内のサービスですので、ケアプランに含まれていない、ただ利用者がしてほしい事や、その家族、同居者の為のサービスを行う事はできません。 重ねて「医行為」と呼ばれる医師・看護師が行う行為は、ヘルパーが行う事を禁止されています。 *ヘルパーが行える医療行為には、医行為に該当しないものや、一定の研修を受けたヘルパーのみが行える医療行為もあります。 介護サービスをはじめるときには、介護保険内のサービスの有無、できる事できない事の説明をきちんと行い、双方で理解しておくことがとても重要です。 しかし、関わり合いが長くなると「ついでに」「ちょっとだけ」「あの人はしてくれるのに」と ヘルパーに代行を少しずつ依頼してくる事もあるようです。 介護保険ではできないサービス、ケアプランに無いサービスを相談された時は、一旦訪問介護事業所に持ち帰りましょう。 そして、サービス提供責任者やケアマネージャーに報告した上で、利用者が感じている困った事をどうすれば解決できるのかを考え、対応していく事も必要となるでしょう。 ケアプランの変更や追加、自費サービスでの対応を勧める場合もありますし、断りを入れる場合もあります。 利用者本人が、在宅生活を送る上で困難且つ必要とされる身体・生活動作について、介護保険を利用し、日々自立した生活を過ごす事ができるようにケアプランに沿ったサービスを提供することが訪問介護なのです。 訪問介護でヘルパーが迷うグレーゾーン 訪問介護は利用するのにわかりにくいところも多くあります。 ここではそのようなグレーゾーンの対処法について解説します。 同居者や家族がいる場合 まず訪問介護サービスを行う際、利用者本人が独居状態か、その家族や同居者がどういう状態や状況にあるのかを把握する必要があります。 訪問介護の主なサービスである身体介護や生活援助は、その状態や状況によってはサービスが受けられない事もあるのです。 同居者や家族等がいても、サービスができるかどうかは下記の表の通りです。 できる できない 〇身体介護 ※見守り的援助も身体介護であるので可。 但し「ただ見守る」「ただ声掛けする」は 見守り的援助とはならない。 ×生活援助 ※原則的に同居者や家族等がいる場合は不可。 但し「障害や疾病、やむを得ない理由」がある場合は 認められる事もある。 ここでの「障害や疾病がある場合」とは、「同居者や家族等が何らかの障害や疾病がある為に 家事をすることが困難な状態」にある事をいいます。 「やむを得ない場合」は「障害や疾病は無いが家事ができない(する事を見込めない)状態」に ある事をいいます。 やむを得ない場合とは ①同居者や家族等が高齢であり、それに伴う筋力低下等の身体能力低下の為に家事をする事が困難な場合 ②同居者や家族等が全員介護認定を受けている場合 ③同居者や家族等に深刻な問題が発生している場合(関係断絶、虐待、介護放棄等) ④同居者や家族等に介護疲れが目立ち、共倒れの危険性があると判断される場合 ⑤同居者や家族等が就労等で不在とする時間が長く、利用者の安全・健康・衛生上に援助を必要とする事が高く求められる場合 生活援助は、「家事や生活動作を手伝ってくれないと毎日の生活が成り立たない」為に介護保険を利用してその成り立たない部分を援助するサービスです。 同居者や家族、利用者本人のその時の感情や根拠の無い憶測、個人的な要望だけでは行う事はできません。 例えば、妻が利用者で夫は要支援、同居する息子夫婦は共に仕事の為、日中は不在とします。 同居者や家族が複数人いる場合、「必要な部分を同居者や家族が分担すれば日常生活は可能」と 判断された場合は「やむを得ない」状態や状況とは考えられずにサービスを外される事もあります。 また生活援助では、居宅においての共有部分での掃除はできません。 <共有部分とは> 居間、寝室、玄関、台所、浴室、トイレ等の居住する人が共有して利用する場所 <注意事項> ・原則として生活援助の掃除は不可。 (利用者だけでなく同居者や家族等も使用する場所で、日中の不在時でなくても 在宅時や時間のある時に掃除ができると考えられる為) ・やむを得ない場合とはの5例に該当する理由がある場合 生活をする上での安全性、自立性、衛生面、健康維持の全ての必要性が 認められた場合は生活援助サービスの提供が可能。 単に「日中は仕事で誰もいないし、利用者の夫は要支援で掃除機を持ったり移動する事が難しいので、利用者も一人で掃除するのは危ないから生活援助(寝室や居室等の掃除)に入ってほしい。」 という同居者や家族の希望だけではサービスは行えないという事です。 寝室の掃除や整理整頓に際しては、夫と利用者の共有スペースにあたります。 そのため、共に要介護と要支援という事で、夫側の要支援である総合事業の訪問型サービスを利用するという方法や、利用者の見守り的援助(身体介護)として寝室の掃除や整理整頓を行うといった方法もあります。 見守り的援助の場合 見守り的援助とは、要介護である利用者が自立した生活を送る為の支援です。 毎日の身体動作や生活動作、日々過ごす生活の質が落ちないように、維持・向上するという観点から利用者の安全を確保しつつ、何かあった場合はすぐに介助できる状態で行う見守り等の事をいいます。 同居者がいる例にもありました「見守り的援助」は身体介護となりますが、あくまでも「自立した生活をする為の支援」でありただ見守るだけ、ただ声を掛けるだけでは見守り的援助とはなりません。 また生活動作に対してあいまいな解釈で対応すると生活援助と判断されて身体介護としてサービスが行えなくなる場合もあります。 例えば、独居で要介護1の利用者が洗濯物を取入れて衣類をたたみ収納するといった一連の動作を行う身体介護のプランがあるとします。 ヘルパーは利用者が動作上どうしても難しい所、援助が必要な所は一緒に行うといった手助けをする事で利用者が未だ持っている自立した動作ができる機能の維持を促します。 動作時にふらつきや転倒といった事故が発生しないように、また体調の不具合や疲労感の有無を確認する為に見守りや声掛けを行う事は、見守り的援助であり身体介護サービスとなります。 また、ヘルパーが洗濯物の取入れをし、その間利用者は別の動作をしていた場合、(居間を片付けていた等)は、ヘルパーと利用者が一緒に行っていない為、洗濯物の取入れは生活援助となり、見守り的援助には適用せず身体介護から外れる事になります。 院内介助の場合 訪問介護はその名の通り利用者宅へ訪問しヘルパーが利用者の為に行うサービスです。 そのため、院内介助の場合は居宅では無い場所でのサービスの為、本来は介護保険のサービスとは言えません。 また病院は医療機関であり、病院内での介助は本来は病院のスタッフが対応するものとされ、介護保険ではなく医療保険が適用されます。 但し理由によっては、介護保険としてサービスができる場合(通院等乗降介助、訪問介護で身体介護・見守り的援助対応)もあります。 訪問介護でヘルパーが対応する場合は下表の通りの流れとなります。 <訪問介護にてヘルパーが院内介助を行うまでの流れ> 訪問介護で院内介助サービスが可能となる理由(必要性) ①受診する病院のスタッフによる対応ができない、または困難である場合。 ②利用者に家族や同居者がいるが、介助を要するにも関わらず付き添いができない場合。 ③利用者が院内の移動に介助を必要とする場合。 ④認知症や精神的不安定な症状があり、常に見守りを必要とする場合。 ⑤トイレ等の排泄介助を必要とする場合。 ⑥視覚、聴覚に不自由がある場合。 ↓ ケアマネージャーによる病院への事前確認(電話確認可) ↙ ↘ 病院側の受診時の院内介助対応が可能 ・介護保険サービス不可 (医療での対応) 病院側の受診時の院内介助対応が不可 ・支援経過記録(ケアマネージャー) ①事前に病院側への介助依頼した内容の記録 ②病院スタッフが介助できない理由 ③利用者が受診時に必要とされるサービス ↓ ・サービス担当者会議の開催 (訪問介護側、利用者側の参加) ↓ ・サービス計画書に記載し、説明、配布 ↓ ・訪問介護計画書に追加、説明、配布 ↓ ヘルパーによる院内介助が可能。 例えば、下記のような状態・状況があるとします。 認知症外来、神経内科、血液検査の受診予定がある利用者 認知症レベルは重度で日常生活自立度がⅢa 家族は今回付き添えません。院内では徘徊行動する可能性が高く、見守りが必要とされています。 排泄もいつ排泄意が来るか不明な上に、トイレ介助が必要な状態です。 院内の移動もどこへ向かっているのかが分からず移動時は声掛けや見守りが必要な状態です。 この場合、明らかに介助を必要とされる状態にあるのですが、病院側が院内介助の体制が整わないとの理由で医療での院内介助は見込めなくなりました。 注意すべき点は、訪問介護で院内介助と認められるのは、「受診手続き、病院内の移動・移乗介助や見守り的援助、トイレでの排泄介助、清潔動作、医療費の支払い、薬の受取り」となります。 待ち時間や診察や検査の立ち合いは、訪問介護としては認められません。 但し、例にあるように利用者の認知症レベルが重度のⅢaである事から、検査や診察等の医療行為以外は院内介助として認められる事になりました。 この場合は「自立生活支援の為の見守り的援助」として介助の内容や掛かった時間、利用者の状態をサービス実施記録や計画書に記載し、ケアマネに実施報告を行っています。 繰り返し言いますが、院内介助は病院側のスタッフが対応とするのが原則です。 本来は医療で対応するものであり、介護で対応する時は何等かの理由がある場合であり、単なる家族の付き添いの代わりではないのです。 まとめ 今回は訪問介護において、訪問介護の基本と3つのあいまいなグレーゾーンについての解説や事例、対応方法をお話しました。 ・訪問介護は、身体介護・生活援助・通院等乗降介助の3つに分けられる。 ・訪問介護はケアマネージャーのプランに則ったサービスを行う。 ・同居者や家族がいる場合は、本来は身体介護以外は入れない。 ・生活援助は「障害や疾病、やむを得ない理由」がある場合のみ、同居者や家族がいてもサービス可能である。 ・見守り的援助とは身体介護の区分で、利用者と共に行いつつ、何かあればすぐに介助できる状態で見守りや声掛けをしながら動作、作業を行う援助である。 ・院内介助は原則として医療の管轄であるが、利用者の状態や状況により介護の必要性が認められた場合はヘルパーによる院内介助が可能となる。 最後まで読んで下さりありがとうございました。
”転倒”は どこで起こることが一番多いと思いますか? 実は屋外ではなく、屋内の方が転倒の危険性が高いと言われています。 特に高齢者の方は屋内の中でも自宅で過ごす時間がとても長く、そのため自宅での転倒予防が非常に大切です。 また転倒は転んだ瞬間の「痛い」ではなく、転倒後の怪我や気持ちの変化が懸念されます。 今回は転倒によって起こる事例と、転倒予防の方法についてお話します。 近年の転倒事故についてと介護との関係 厚労省の発表によると65歳以上の高齢者の転倒・転落・墜落の死亡事故は年々増加しており、令和2年では8,851件発生しています。 これは交通事故の約4倍となり、ただの転倒と思って甘く見ていると大変なことになります。 さらにこの内の1,678件は自宅で起こった事故であり、この数字に驚いた方も多いのではないでしょうか。 また消費者庁のデータによると65歳以上の転倒の半数は自宅内で起こっています。 介護が必要になってしまった原因といえば《病気》が想像されますが、「骨折・転倒」が介護の原因となった割合は「認知症」「脳卒中」「高齢による衰弱」ときて、4番目の13.0%とかなり高い数字です。 たとえ死亡事故に至らなかったとしても、転倒や転落は介護に直接結びつく原因となる恐れがあり、自宅で起こる可能性の高さを考えると、自宅での転倒を予防することは非常に大切だと言えます。 転倒の危険性について まず高齢者の転倒はなぜ起こってしまうのでしょうか。 理由は主に2つ挙げられます。 1つめの内的要因 内的要因とは加齢に伴う身体の変化のことです。 高齢になるにつれて筋力の低下、平衡感覚機能の低下、また視力の低下も考えられます。 場合によっては服用している薬の影響で、ふらつきやぼーっとしてしまう方もいらっしゃいます。 こういった内的要因の影響で、以前であれば起きなかった転倒につながる可能性がグンと上がります。 2つめの外的要因 外的要因とは自宅の中に必ず存在する段差です。 「家には大した段差はないから大丈夫」・・・と思っても安心できません。 数ミリの段差でも転倒のリスクがあり、その結果死に至る可能性があると言われています。 段差のほかにもスリッパ、カーペット、電化製品のコードなど、今まで気にしていなかったもの全てが転倒につながる恐れがあります。 それでは転倒してしまったらどうなるのでしょうか。 上記で死に至る可能性があるとお話しましたが、怪我をしてしまうだけでも十分なリスクがあるのが転倒の怖いところです。 若い方と比べて高齢者の方は転倒することで骨折のリスクが非常に高いといえます。 どの部分を骨折しても辛いですが、一番心配したいのは太ももに通っている骨である大腿骨の骨折です。 大腿骨は上半身を支えたり歩く上で非常に大切な骨で、骨折してしまった場合は多くの場合痛みで歩くことが難しくなります。 しばらくはベッド上で安静に過ごすこととなり、場合によってはその後寝たきりの生活につながってしまう可能性があるということです。 今まで認知症の心配もなく元気に過ごされていたとしても、大腿骨骨折で寝たきりの生活となりその後認知症が発症してしまう事例もあります。 転倒して特に怪我がなかったとしても、転倒した恐怖から歩くことが怖くなり、運動する機会が減る場合もあります。 その場合も同じように認知症のリスクや、運動機能の低下が心配されます。 だからこそ自宅での転倒予防は高齢者の方が自宅で過ごす上で見逃すことのできないポイントとなっています。 自宅でできる転倒予防 それでは転倒を意識した自宅での予防・対策をお伝えします。 身体機能低下を防ぐ運動 まずは少しでもいいので歩くことです。 日中テレビを観たりして、ずっと座って1日を過ごすなんてことしていませんか? 座って過ごすだけではなく、いつもより少し意識して立ったり座ったり、歩いて何かを取りに行ったり少しでも良いので動いてみましょう。 自宅で歩くにはスペースの問題で難しいこともあるかもしれませんが、その時は家の近くを軽く散歩することで運動機能の低下だけでなく、脳の活性化にもつながります。 もっと元気な方はラジオ体操をすることで上半身の筋力維持にもなります。 膝や脚の痛みで歩くことが難しい方は、ベッドの柵や椅子の背もたれを持ったりして足踏みを行うだけでも違いがあります。 無理のない範囲で自宅でのトレーニングを日常に取り入れましょう。 室内の段差解消を行いましょう 先ほど数ミリの段差でも転倒のリスクはあると伝えましたが、数ミリは難しくても数センチの段差の解消は簡単です。 段差解消をしたい箇所に室内用のスロープを置くだけで工事は必要ありません。 介護認定を受けており介護保険を使うことができる方は、1割〜3割負担でレンタル商品として使用できます。 もし介護認定を受けていなかったり購入したいという方も、高価でないため自宅に取り入れやすい段差解消アイテムです。 置き型や突っ張り型手すりを設置しましょう 自宅の中でもリビングや寝室は、起き上がり立ち上がりの動作が多く、これらは大きな動作のため転倒のリスクも高くなります。 ただ手すりというのは本来壁に取り付けるもので、取り付けることができるスペースというのは限られてしまいます。 そこで活躍するのが置き型の手すりと突っ張り型の手すりです。 この二つは置いたり突っ張ったりするだけで、手すりとしての機能を発揮します。 つまり場所を選ぶことなく、手すりの欲しい場所に設置することができる優れものです。 形やサイズも様々で、コの字型であったり、高さのあるものから低いものまでさまざまな種類があります。 蓄光テープが貼ってあることで、夜中トイレに行きたい時でも手すりを見失わないようになっているものもあります。 突っ張り型だと床から天井まで手すりがあるので、起き上がりの動作の際に活躍します。 介護保険を使用できる方はレンタル価格で利用できる福祉用具です。 しかしこれは介護保険を使用しない場合、高価な商品になることがデメリットです。 浴室に手すりを設置しましょう 先ほど紹介した置き型や突っ張り型の手すりは浴室に置くことは難しい場合が多いです。 上の画像のような浴槽の淵に取り付けるレンタルできる手すりもありますが、手すりの設置箇所は限られてしまいます。 その場合は住宅改修で手すりを取り付けることになります。 制限がありますが、介護保険はレンタルだけではなく住宅改修でも使用できます。 条件は以下の通りです。 ・原則1人1回まで ・本人が自宅に住んでいる ・介護保険による支給額は20万円まで(費用が20万円の場合自己負担額は2万円となり、18万円が介護保険からの支給となる) 最近はお風呂に手すりがついている家も増えてきましたが、高齢者の方の自宅は古い家も多くまだまだ浴室に手すりがついておらず、危険な場合があります。 住宅改修はお金がかかるため今まで検討できなかった方も、この介護保険の制度を使用することで少し前向きに住宅改修を考えられるのではないでしょうか。 転倒予防のための介護保険を使った福祉用具の取り入れ方 では、どのように福祉用具を取り入れるのか、その方法をご紹介します。 レンタルの場合 まずはケアマネージャーに相談しましょう。 自身の身体の状態を理解してくれているケアマネージャーであれば、安心してお願いすることができます。 その後数ある商品の中から自分に合ったものを選び、福祉用具業者に設置してもらいます。 自宅に届いたからといってそこで終了ではなく、不具合が起きる場合もあります。 何かあれば福祉用具業者に連絡し、メンテナンスを怠らず安全に使用しましょう。 住宅改修の場合 レンタルの時と同じように、まずはケアマネージャーに相談となります。 申請書類と見積書を保険者に提出する必要があり、適切な住宅改修かどうか認められた後に、施工開始することができます。 ただし厚生労働省より2018年から一社からの見積もりではなく、複数社から見積もりをとる”相見積もり”が通達されました。 その結果ケアマネージャーから利用者の方に相見積もりが必要であることが説明されます。 住宅改修する上で必須条件ではありませんが、複数社から見積もりをもらうことで自己負担額が減る可能性もあります。 ここもケアマネージャーに相談するポイントとして忘れないようにしましょう。 まとめ ・屋外ではなく屋内の方が転倒の危険性が高い。 ・転倒には内的要因と外的要因の2つがある。 ・転倒により大腿骨を骨折してしまった場合寝たきりの生活となる可能性もあり、転倒予防は非常に大切。 ・怪我をしなかった場合でも、転倒してしまった恐怖から歩くことにネガティブになりそのまま歩行困難となってしまう恐れがある。 ・自宅でできる転倒予防としてなによりもまず歩行や簡単な運動が大切。 ・少しの段差でも転倒につながるので、室内スロープを置いて段差解消を行う。 ・介護保険が使える方は置き型や突っ張り型手すりを設置し、転倒予防を行う。 ・置き型や突っ張り型手すりの設置が難しい浴室には、介護保険を使用し住宅改修を行って手すりを設置することを検討する。 ・いかなる手すりの設置にも、まずはケアマネージャーに相談する。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。
介護予防支援としてのデイサービスとは具体的にどんな所なのでしょうか。 この記事では、介護予防のデイサービスの目的や利用する方法、対象者、種類や料金を紹介します。 介護予防としてのデイサービスとは? 介護予防のデイサービスとは、高齢者が集まり心身機能の回復または低下しないように訓練を日帰りで行う場所です。 高齢者が住み慣れた場所で生活できることを目的としています。 サービス内容は「生活機能の向上のための機能訓練」です。 生活機能とは人が暮らしていく上で必要な能力で、特に高齢者は自立した生活を送る為に欠かせません。 高齢者の生活機能は基本的日常生活動作と手段的日常生活動作と2つに分類されます。 基本的日常生活動作 【歩く】【食事】【着替え】【入浴】【整容】 手段的日常生活動作 【交通機関の利用】【電話対応】【買物】【家事】【服薬管理】 これらの機能の回復または維持をして在宅で自立した生活ができることを目的としています。 参考サイト:高齢者の生活機能|健康長寿ネット 介護予防のデイサービスを利用するには? 利用する方法は、住んでいる市町村窓口で介護保険申請をします。 以下が介護保険申請の流れです。 ①お住まいの市町村の窓口で介護保険認定申請 申請時に必要な物は「申請書」と「介護保険被保険証」になります。 介護保険被保険証とは、お住まいの市町村から65歳以上の方に発行される保険証です。 64歳から40歳以上の場合は「医療保険証」が必要です。 ②申請後は、認定調査が行われる 認定調査とは、市町村職員または市町村から委託を受けた職員が、自宅に来て現在の心身の状態や暮らしについて調査を行うことです。 ③市町村からの依頼でかかりつけ医が主治医意見書を作成 主治医意見書とは、かかりつけ医が病歴や治療した内容など身体に関することを記載したものです。 かかりつけ医がない場合は、市町村の医師または市町村が指定する医師に作成依頼ができます。 ④主治医意見書と認定調査を基に、コンピューターが判定を行う コンピューター判定のことを「一次判定」と言います。 目的は介護度の目安を出すことです。 ⑤それぞれの専門職が集まり「介護認定調査会」を行う 介護認定審査会とは、認定調査結果や主治医意見書により算出された一次判定をもとに、専門職が集まり審査を行うことです。 これを「二次判定」と言います。 専門職は、保健、医療、福祉の学識者で構成されています。 ここは審査の判定を行う場所なので、介護区分の決定をする権限はありません。 ⑥市町村が介護区分認定を決定・通知 市町村は介護認定結果を申請日から、原則30日以内に出さなければなりません。 そのため、介護認定が分かるまで1か月かかります。 サービスを受けたいと思っても、時間がかかってしまうので注意が必要です。 参考サイト:厚生労働省 サービス利用までの流れ|介護保険の解説 介護保険認定後は、以下のような区分に分けられます。 要支援1 基本的日常生活は自立しているが、手段的日常生活(公共交通機関の利用、電話対応、買物、家事、服薬管理)に介助が必要とする人 要支援2 要支援1の状態に加え、歩く状態が安定せず、介護が必要になる可能性がある人 要介護度1 基本的日常生活に介助が必要で、歩く状態が安定せず、加えて認知機能低下も見られる人 要介護度2 基本的日常生活と手段的日常生活のどちらとも介助が必要で、認知機能低下が見られる人。 要介護度3 自分で歩くことが出来ず、杖、歩行器、車いすを使用している人。 基本的日常生活と手段的日常生活の介助が必要な人。 要介護度4 思考力や判断能力が著しく低下している人。 日常生活の場で常に介助が必要な人。 要介護度5 寝たきり状態で会話も困難で常に介護が必要な人。 要介護度は数字が大きくなってくると、介護度が重くなるという判定になります。 参考サイト:介護保険の介護度とは|健康長寿ネット 【目安がわかる】要介護度とは?8段階の状態像と受けられる介護サービス|みんなの介護 介護予防のデイサービスを利用できる人は? 介護保険申請が非該当でも、事業対象者に該当すると介護予防のデイサービスは利用できます。 事業対象者とは、基本チェックリストに該当する方です。 基本チェックリストとは、25項目の質問に答えて身体状態をチェックできるツールになります。 ▼こちらが実際のチェックリストです。 厚生労働省 表4 基本チェックリスト 運動機能低下、低栄養状態、口腔機能の低下、閉じこもり、認知機能の低下、うつ病の可能性などが判断の基準になります。 基本チェックリストを実施できる場所は、地域包括支援センターや行政です。 地域包括支援センターとは、介護の相談窓口です。 専職員が集まり、住み慣れた地域で暮らしていけるようにサポートしています。 参考サイト:LIFULL介護【はじめての方へ】地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法 チェックリストは、介護保険申請に比べると面倒な手続きがなく5分〜10分で行えます。 参考サイト:基本チェックリストの概要 介護予防のデイサービスはどんな種類やサービスがあるのか 多様なサービスが受けられるように、デイサービスの種類は4つあります。 サービスの種類 サービスの内容 ①通所型介護 ・生活に関する支援 ・生活機能向上の為の機能訓練 ②通所型サービスA ・通所型介護より小さいデイサービス ・運動、レクレーション ③通所型サービスB ・利用者の自主的な通いの場 ・体操、運動 ④通所型サービスC ・3~6か月で生活機能向上を目指す ・運動や栄養改善のプログラムの実施 それぞれサービス内容に特徴があるので具体的に解説します。 ①通所型介護 入浴、排泄、食事、機能訓練、相談など日常生活に関する支援を受けられます。 一番の特徴は、在宅で暮らす上で必要な機能訓練サービスを行っていることです。 機能訓練とは、身体の維持と向上を目指す訓練です。 介護サービス提供者が利用者の身体状況に合わせて目標を設定しプランを作成します。 ②通所型サービスA 通所型サービスAでは、運動やレクリエーションが行われます。 レクリエーションとは、介護現場では娯楽や余暇ではなく心身の向上を目指すことが目的です。 レクリエーションの種類は、身体を使う、手先を使う、頭を使うなどがあります。 通所型介護と比べると小規模のデイサービスです。 ③通所型サービスB サービスの内容は、体操や運動で、利用者主体の通いの場となります。 サービスの提供がボランティアや町内会なので、職員もボランティア主体となります。 イメージとしては、いきいきサロンや町内会の集まりです。 ④通所型サービスC サービスの内容は、3〜6カ月の短期間で生活機能向上を目指します。 実施するプログラム内容は、運動機能や栄養改善などです。 提供が市町村の保健・医療の専門職になっています。 参考サイト:介護予防・日常生活支援総合事業 ガイドライン|厚生労働省 介護予防のデイサービス費用は? デイサービスの費用は市町村によって違います。 以下は2022年10月現在の熊本市の通所型サービスの利用料金です。 通所型介護 料金 要支援1 1,672円/月 要支援2 3,428円/月 基本料金に加え、必要に応じて加算がついてきます。 加算とは、サービスの提供体制や利用者の状況に応じて発生するお金のことです。 加算の内容は、運動器機能向上加算、栄養加算、口腔機能向上加算などがあります。 それぞれの加算は、必要なサービスであると判断された場合介護サービス提供者がプランを作成しサービス提供します。 参考サイト:【開業】介護報酬の構造、加算・減算とは? 通所型介護や通所型A.B.Cは、市町村事業になるので、詳しい金額は異なります。 上記金額は、目安になるのでお住まいの市町村にお問合せかホームページで確認をおすすめします。 【まとめ】 いかがでしたでしょうか。 介護予防のデイサービス利用についてお伝えしました。 ・介護予防のデイサービスは「生活機能の向上のための機能訓練を行う」場所である。 ・介護予防のデイサービスを利用するには、市町村で介護保険申請をする必要がある。 ・介護予防のデイサービスが利用できる対象者は要支援1.2と事業者対象者である。 ・事業対象者は、基本チェックリスト該当者である。 ・介護予防のデイサービスの種類は①通所型介護②通所型サービスA③通所型サービスB④通所型サービスCの4つである。 ・費用は市町村事業の為、金額が異なるので確認がおすすめである。 最後までお読みいただきありがとうございました。
特別養護老人ホーム、老人保健施設、デイサービスやヘルパーなど介護には様々なサービスがあります。 その中に二泊三日など一時的に施設に入所する”ショートステイ”というサービスは皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。 今回はショートステイの利用方法やメリットの注意点を解説します。 家族の方が介護疲れをリフレッシュできるよう、ぜひ参考にしてみてください。 ショートステイとは?利用方法は?費用は? ショートステイとは”短期入所”とも呼ばれ、主に高齢者の方が一時的に介護施設に入所するサービスを言います。 家族の方の都合で一泊や二泊のみの利用の方もいれば、一週間や二週間いらっしゃる方もいたりと、利用日数については利用する方の都合によって差があります。 ショートステイで過ごす間は、そこに入所している利用者の方と基本的に同じように生活します。 そしてショートステイには介護保険を利用する場合と、そうでない場合の2パターンあります。 大きな違いは利用施設と費用、利用方法、そして施設の雰囲気です。 介護保険を利用する場合 介護認定を受けていることが利用の必須条件となります。 【短期入所生活介護】と【短期入所療養介護】と二つに分かれ、利用施設も異なります。 短期入所生活介護の場合の多くは特別養護老人ホームになり、入浴などの生活サポートの他、レクリエーションやリハビリを行います。 短期入所療養介護の場合は老人保健施設が主となり、生活サポートだけでなく医療や看護のサポートも充実しており、医療型ショートステイとも呼ばれています。 両者の価格を比較すると、短期入所療養介護の方が少し高く設定されています。 しかし、どちらとも介護保険を使っての利用となりますので基本的に1割か、所得に応じて2〜3割の負担となります。 金銭的負担も少ないことはメリットなのですが、利用する方も多く空きがない場合もよくあることがデメリットです。 利用方法はまず担当のケアマネージャーに相談しましょう。 お盆や年末年始など時期によっては空きがない場合も多いので、そういった時期に利用したい場合は早めに相談してください。 そうでない場合もなるべく早めに相談した方が希望が通りやすくなるので気を付けておきましょう。 ケアマネージャーに相談して空きがあったあとは、ケアマネージャーと利用施設の担当者でケアプランを作成します。 その後事業者と契約し、ショートステイの利用が可能となります。 施設の雰囲気はどちらも認知症や自立度の低い方など一人での生活が難しい方が集まる施設です。 自立度の高い方が利用するには、少し落ち着かない場合もあります。 事前に施設の情報や雰囲気を情報収集し、なるべく「次回の利用はしたくない」とならないよう、ケアマネージャーに相談して決めましょう。 介護保険を利用しない場合 利用施設は有料老人ホームとなります。 費用については介護保険を利用できないので、全額自己負担となり金銭的に心配なのがデメリットです。 しかし、介護保険を必要としないということは介護認定の有無は問われないということなので、どなたでも利用できる点はメリットでもあります。 入所されている方も比較的自立度の高い方が多いので、度の低い方や介護認定のされていない方がショートステイとして利用する場合も馴染みやすい雰囲気です。 また介護保険を使ったショートステイと違い金銭的負担が大きいため、空きがある場合も多いです。 利用したい場合は基本的にまず施設に問い合わせをしてみましょう。 ショートステイによって家族の方の介護疲れが一時的に和らいでも、生活する中で介護の負担はかかるものです。 ショートステイにポジティブなイメージを持ってもらい、次の利用につながるよう特に初回の施設は慎重に選びましょう。 ショートステイを利用するメリット ショートステイを利用するメリットには、以下のことが考えられます。 家族の方の場合 やはり一番大きいのは日々の介護の負担軽減と言えます。 家で介護をするというのは身体的負担だけでなく、精神的にも負担があります。 やりたいこと、行きたい場所があってもなかなか行動できないことで、介護疲れの心配がでてきます。 デイサービスやヘルパーで日中の負担の軽減も大切ですが、介護の生活から一旦離れることで介護疲れを癒しましょう。 またリフレッシュの目的だけでなく、自身が入院や体調を崩すこともあります。 その際他に介護できる方がいない場合にも、ショートステイを利用していれば安心して家を空けることができます。 急にショートステイを利用しなければならない事態に備えるためにも、事前にショートステイを利用して練習しておくと良いでしょう。 利用者の方の場合 一番の利点は施設に慣れることができるという点です。 ショートステイを何回も利用したり、長期間利用している施設に入所することになる場合もあります。 そこの施設の職員や利用者の方と顔見知りになれたり、施設の空気に慣れていれば入所のストレスは 軽減されます。 たとえ認知症を患っており覚えていなかったとしても、職員がその方にあったケアやサポートを事前に知ってくれているのは安心です。 ショートステイで気をつけておきたいこと ショートステイを利用することはメリットだけではありません。 注意点もあることを十分念頭に置いておくことが必要です。 介護保険においての注意点 まず気をつけたいのがショートステイは1か月で30日しか利用できない決まりだということです。 31日目は全額自己負担となり、その後また1日目から介護保険を使用できます。 次に要介護度で利用日数に制限があることです。 というのも、介護認定を受けるにあたって要介護度別に与えられる単位数に違いがあります。 その単位数を超えない範囲でショートステイを利用しましょう。 超えてしまうと自費になってしまいますので、ケアマネージャーに確認しながら利用日数を決めてください。 ショートステイで過ごす上での注意点 まずは持ち物に関してです。 毎日飲んでいる薬や湿布など、服用しているものがあれば必ず忘れないようしましょう。 ショートステイを利用する方の中に、まれにですがご家族の方が慌てて薬を持ってこられる場合があります。 薬だけでなくこれがないと落ち着かない、だったり、初めてや慣れない場所で緊張する方もいます。 いつも以上に持ち物には配慮しましょう。 また下着や衣服、ハンカチなど自宅から持っていくものには全て名前を書きましょう。 入所している方は本当に色んな方がいらっしゃり、自分のものと勘違いされる方もいます。 トラブルを防ぐためにもきちんと名前を書いておいてください。 そして一番大切なのが利用する方の意見や感想を大切にすること。 個室なのか多床室なのか、職員の雰囲気などショートステイの施設にも違いがたくさんあります。 利用する前と後でギャップをなるべく減らすために、資料やネットの情報だけでなくケアマネージャーから情報を得たり、見学してみるのも良いでしょう。 初めてのショートステイで利用中に「帰りたい」や「もう来たくない」と言う利用者の方も多くいらっしゃいます。 帰宅後、ショートステイはどうだったか、もし嫌だったのであれば何が嫌だったのかを聞いてみてください。 他施設で改善できそうなのか、ショートステイ自体が難しそうなのか、話し合ってみましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 日々の介護で介護者は身体的だけでなく、精神的にも非常に負担がかかっているものです。 ショートステイを上手く利用して、心と身体をしっかりとリフレッシュしましょう。 ・介護保険を使用するショートステイは金銭的負担は少ないが、空きがない場合も多いので数か月前にケアマネージャーに相談しましょう。 ・介護保険を使用しない場合のショートステイは全額自己負担のため、金銭的負担は大きいがその分空いている可能性も高い。 ・利用する側も介護者側も一度ショートステイをして施設の雰囲気に慣れることで練習となる。 ・ショートステイは一か月に30日までしか利用できない。 ・介護度によって介護保険内で利用できる日数も違ってくるので、ケアマネージャーと事前に確認しておく。 ・日ごろから服用している薬は日数分忘れないよう持参して持ち物には全て名前を記入する。 ・利用する本人の希望や感想を大切にして、ショートステイにネガティブな印象をなるべく持たないよう配慮する。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。
親が弱くなってきた時に考えるのが、デイサービス利用です。 元気で過ごしてもらうためにも、デイサービスでの機能訓練は効果があります。 今回は、デイサービスの機能訓練についてご紹介します。 デイサービスとは? デイサービスは、利用者が家に閉じこもっているのを防いで、交流を広げることができる場所です。 家族の介護負担を軽くするという目的もあります。 利用者が家で暮らしを続けられるように、利用者に様々なサービスが提供されるからです。 日帰りかつ自宅までの送迎もあるので、本人も受け入れやすくなっているのもポイント。 ですので、デイサービスは閉じこもり予防ができ、交流の場になるのです。 デイサービスの提供サービスは、以下のようなものがあります。 食事 入浴 機能訓練 口腔機能向上サービス 「入浴」、「機能訓練」、「口腔機能向上サービス」を受けるためには、加算が算定されます。 加算が算定されますが、充実したサービスを受けることが可能です。 デイサービスの提供サービスの中でも、「機能訓練」について説明していきます。 デイサービスでの機能訓練の効果とは デイサービスで機能訓練を受けると、様々な効果があります。 本人だけでなく、家族にも効果があるのです。 自宅での暮らしを続けることができる 1人でできることが増える 自宅への閉じこもりを防げる 認知症予防になる 加齢による起こりやすい病気(誤嚥性肺炎など)を予防できる 家族の介護負担を軽くできる デイサービスでの機能訓練 機能訓練は、利用者が住みなれた家で元気に暮らしを続けられるように、アプローチするものです。 機能訓練は、デイサービスでは「個別機能訓練加算」という項目があり、大きな役割を担っています。 機能訓練とは? 機能訓練とは、生活していくために必要な動きを保ったり、改善を図るものです。 歳を重ねると身体機能が低下し、これまでできていたことが難しくなったりします。 例えば、家に閉じこもりがちになったり、ひどくなると寝たきりになります。 本人だけでなく、家族の介護量も増えます。 こういったことを防ぐ役割があるのが、機能訓練です。 機能訓練を行うことで、生活していくために必要な動きを保ったり、改善することが可能なのです。 機能訓練は、身体機能のみにアプローチするものではありません。 要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。 ※指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第92条より 精神面や家族の介護負担軽減にも、アプローチする必要があるのが特徴です。 機能訓練の内容は? 機能訓練の内容として、大きく3つに分けることができます。 身体機能の改善 生活機能の改善 疾病や疾患の維持・予防 それぞれ紹介します。 身体機能の改善 関節や筋肉に、直接アプローチします。 例えば、「歩く時にフラフラしなくなった」、「腕があがるようになった」などです。 歩行訓練や関節可動域訓練、筋力増強訓練などです。 生活機能の改善 自立した生活を送るために、アプローチします。 例えば、「1人でトイレに行くことができる」、「1人でお風呂に入ることができる」などです。 ズボンの上げ下ろしの動作や、浴槽をまたぐ動作の練習を行います。 なれてきたら、実際に現場で行います。 疾病や疾患の維持・予防 加齢とともにさまざまな機能が低下して、疾病を引き起こします。 例えば、誤嚥性肺炎です。 誤嚥予防のために、摂食訓練や嚥下訓練を行います。 機能訓練を行う人は? デイサービスでの機能訓練は、医師の指示は必要ありません。 ですが、スタッフの誰もが機能訓練を実施するわけではありません。 国家資格保有者である「機能訓練指導員」が、機能訓練を担当します。 医療知識のある職種のスタッフが行うため、抱えている悩みも相談できます。 機能訓練を実施できる人 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 看護師 准看護師 柔道整復師 あん摩マッサージ指圧師 実際に機能訓練をしよう デイサービスで機能訓練をするためには、流れがあります。 しっかり流れを踏んで、親に機能訓練に取り組んでもらいましょう。 すでにケアマネとデイサービスと契約した前提で、機能訓練実施の流れを紹介します。 機能訓練指導員の居宅訪問がある 機能訓練指導員が作成した「個別機能訓練計画書」に署名と捺印 機能訓練指導員が作成した「機能訓練メニュー」に取り組む 定期的に機能訓練の効果判定を受ける ※これを3ヶ月サイクルで繰り返す 居宅訪問 ケアマネージャーなどが自宅への訪問(居宅訪問)することがあります。 利用者の家での生活能力や問題点をしっかり把握するためです。 利用者の生活環境に合った機能訓練を実施するためにも、必要になっています。 このため、居宅訪問が必要になるのです。 個別機能訓練計画書、機能訓練メニュー 居宅訪問が終わると、機能訓練指導員が個別機能訓練計画書を作成します。 居宅訪問の結果を内容に反映しなければならないので、ひとりひとり内容が異なっているのです。 内容は、家での生活を続けていく上での目標や機能訓練メニューが設定されています。 説明を受け十分に納得してから、計画書に署名と捺印をしましょう。 これで、機能訓練がスタートです。 機能訓練メニューに沿って、取り組んでいきましょう。 気になることがあれば、機能訓練指導員に尋ねてください。 効果判定 機能訓練に取り組んだら、終わりではありません。 3ヶ月に1回、効果判定があります。 それぞれのデイサービスで内容は異なりますが、体力測定で身体機能を評価するところが多いです。 機能訓練に取り組んできた内容が正解だったのか、目標設定をクリアしたのかみるために、重要です。 まとめ ここまで、デイサービスでの機能訓練について、紹介してきました。 デイサービスは、利用者が家で暮らしを続けられるように、様々なサービスが提供されます。 機能訓練の効果には以下のものがあります。 1人でできることが増える 自宅への閉じこもりを防げる 認知症予防になる 加齢による起こりやすい病気(誤嚥性肺炎など)を予防できる 家族の介護負担を軽くできる 機能訓練は、身体機能のみでなく、精神面や家族の介護負担軽減にもアプローチする 機能訓練の内容は、「身体機能の改善」、「生活機能の改善」、「疾病や疾患の維持・予防」 機能訓練は、国家資格保有者の「機能訓練指導員」が担当する 機能訓練は、3ヶ月サイクルで効果判定があり、繰り返される 親が弱くなってきたなと感じたら、デイサービスで機能訓練に取り組むことを考えましょう。 親に機能訓練に取り組んでもらうことで、いつまでも元気で家で過ごしてもらえるからです。 デイサービスは体験利用があっているところも多く、お試しで1回利用してみるのも手です。 親が介護を必要とする状態になる前に、デイサービスで機能訓練を受けてみてください。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
在宅介護と呼ばれるサービスには様々なものがあります。 そんな在宅介護のサービスの中に「ディサービス」や「ディケア」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。 名前が似ていて同じものだと思われがちですが、実はディサービスとディケアは意外と違いが多いのです。 今回は「ディサービス」と「ディケア」の違いを様々な側面からお話しします。 「ディサービス」と「ディケア」のサービスの違いは? まず両者を比較すると利用する目的が大きく違います。 その違いから見ていきましょう。 「ディサービス」の利用目的 ディサービスの特徴として、自宅での入浴が難しいなど自立度の低い方も多く利用しているという点が挙げられます。 これはディサービスの利用目的として自宅での自立度を高めたり、ご家族の負担を軽減することがあるからです。 ですので入浴や食事など日常生活の介護がサービスの中心となります。 また他者とのコミュニケーションをとる場面も多く、レクリエーションの内容が充実しているのも特徴です。 入浴や食事の時間の他に身体を動かす時間が設定されていたり、席の近い方とお話ししたり、趣味やテレビの時間を作ったりとゆったりと過ごす時間も多いのがディサービスです。 「ディケア」の利用目的 ディケアは「通所リハビリテーション」とも呼ばれ、最大の特徴は医師が常駐していることです。 医師から医療的なアドバイスが受けられたり、健康管理をしてもらえたりすることがサービスの内容に含まれます。 ディサービスにも看護師が常駐していますが、ディケアの方がより医療体制が整っていると言えます。 またリハビリ専門職がいることもあり、サービスの目的は身体機能の維持や回復で、しっかりと身体を動かしてリハビリに取り組む時間が多く設けられています。 また施設によって1日だったり半日などの短時間だったり、食事や入浴の時間はなかったりと様々です。 「ディサービス」と「ディケア」の人員配置の違いは? 上記のようなサービス内容の違いから、サービスに携わる専門職にも違いが出ています。 「ディサービス」の人員配置 ディサービスは介護士、看護師、生活相談員の人員配置で成り立っています。 日常生活の支援を行うのがディサービスの利用目的になるので、介護士が入浴や食事を、看護師がバイタルチェックなどで健康管理を行い、そして機能訓練指導員が機能訓練を行います。 またディサービスを利用する方の多くは、日常生活に不安を抱えています。 そこで自宅での介護の不安を相談できる生活相談員が常駐しているのが特徴です。 「ディケア」の人員配置 一方ディケアでは介護士、看護師に、リハビリ専門職と医師が加わります。 リハビリ専門職とは理学療法士や言語聴覚士、作業療法士です。 このようなリハビリ専門職が常駐していることで、リハビリに特化した時間を過ごすことができ、より身体機能の回復が期待されます。 また医師が常駐していることで、先ほど説明した健康への不安を緩和することができます。 「ディサービス」と「ディケア」の利用条件は? 料金は? ディサービスは自宅での生活に不安のある方が多く、ディケアは身体機能を維持・回復を目的とする方が多いということはご理解いただけたでしょう。 それは両者の利用条件でも確認することができます。 ディサービスは通所介護のため利用条件は、介護認定の内要介護1~5の方のみと設定されています。(今回の記事では、介護予防を含めず記載しています。) 一方ディケアは要支援でも要介護でも関係なく介護認定を受けていれば、介護保険を使用して、サービスを利用することができます。 また介護認定を受けていなくても自費であれば利用することが可能です。 では利用料金にはどのような違いがあるでしょうか。 ディケアには医師が常駐していたり、受けるリハビリも専門的なものになるので、ディサービスと比較すると少し高い料金が設定されています。 自治体にもよりますが、1日あたりおよそ100円~300円程度ディケアの方が高くなります。 「ディサービス」と「ディケア」どちらがオススメ? 両者の特徴を様々な側面からお話しましたが、利用する方によってどちらがオススメなのかは違います。 「ディサービス」がオススメの方 まず自宅での入浴や食事に不安があり、本人や家族に自宅での負担が大きくかかっている場合は ディサービスの方がオススメです。 また、「運動は少しだけ行いたい」や「身体で痛めている部分があるので無理はしたくない」という方にもディサービスの方が良いでしょう。 ディケアは運動を積極的に行いたい方が多いため、「運動は程々にしたい」または「一切したくない」という方が利用してしまうと精神的にも不安を感じてしまいます。 ディサービスは他の利用者の方とコミュニケーションをとりやすい場なので、「おしゃべりを楽しみたい」や「友人をつくりたい」という方にも楽しめる介護サービスです。 「ディケア」がオススメの方 医師が常駐していることもあり、退院したばかりの方や、身体機能の不安が大きい方はディケアの方が安心して利用することができます。 リハビリ専門職が揃っていることで身体をしっかりと動かして、とにかくリハビリを頑張りたいと思っている方も満足して利用できます。 ディサービスと比較するとディケアを利用する方は日常生活の動作に不安がある方は少ないです。 今の健康を維持したい、より元気になりたい方には、ディケアの方がオススメです。 リハビリ型ディサービスとは? ここまでディサービスとディケアの違いについて説明しましたが、「リハビリ型ディサービス」というサービスもあります。 リハビリ型ディサービスの多くが、午前と午後で利用する方が入れ替わる半日型を採用しています。 半日型であるため食事や入浴はサービスには含まれていません。 こう聞くと「リハビリ型ディサービス」と「ディケア」の違いがないように思いますが、大きな違いがあります。 それはディケアは医師の指導のもとリハビリが行われていることです。 リハビリ型ディサービスはそうではありません。 同じようなサービス内容だとしても身体の不安が大きい方はディケアを検討しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 同じ「ディ」というワードがついていても、サービスの内容は大きく違うので、利用する方の希望や状況に合わせて適切に選択しましょう。 ・ディサービスを利用する方は自宅での日常生活に不安を抱えている場合が多いので、食事や入浴などの時間が中心である。 ・ディサービスでは趣味やレクリエーションなど、他の利用者の方とのコミュニケーションをとる場面も多い。 ・ディケアは身体機能の維持や回復を目的として利用している方が多い。 ・ディサービスには生活相談員が常駐しているため、 気軽に介護の相談を聞いてもらいやすい。 ・ディケアには医師が常駐しているので、健康面での不安が多い方は安心して利用できる。 ・またリハビリ専門職と呼ばれる人員配置がディケアにはあるので、身体機能の維持や回復も期待できる。 ・ディサービスは要介護1~5の方という制限があるが、ディケアの場合は介護認定を受けていれば要支援でも制限なく、介護保険を使用して利用できる。 ・自治体にも差があるが医師が常駐しているという理由で、ディケアの方が1日あたり100円~300円程度利用料が高い。 ・リハビリ型ディサービスは半日型で食事や入浴なしとしている場合が多く、ディケアとの違いはリハビリが医師の指導のもとであるかどうかである。 最後までお読みいただきありがとうございます。
高齢者の暮らしを支える住宅改修。 有効に使って、要介護者も介護する人も共に暮らしやすいようにしたいですよね。 介護保険での住宅改修ができるのは下記の5箇所と決まっています。 手すりの取り付け 段差解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のためのまたは通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え これから、それぞれのポイントや注意点を紹介します。 手すりの取り付け 介護保険の住宅改修でもっとも工事件数が多いのが、手すりの取り付けです。 手すりは、歩行や立ち上がりの補助をする働きがあります。 そんな手すりですが、たくさん取り付けても意味がありません。 邪魔になって通路が狭くなったり、使わない可能性があるからです。 生活動線や本人の能力を考慮したうえで、手すりを取り付けるようにしましょう。 手すりの役割 手すりの役割は、以下のようなものがあります。 立ち上がりの補助 歩行の補助や誘導 それぞれ、詳しく紹介していきます。 立ち上がりの補助 加齢とともに筋力が落ちて、立ち上がりに時間がかかったり、1人でできなくなりがちです。 そうなると、誰かの手助けが必要になって、介護の負担が増えることになってしまいます。 しかし、すりにつかまれば、立ち上がりが楽にできるようになります。 手すりが、立ち上がりを助けてくれるからです。 たとえば、トイレの壁に手すりを取り付けた場合には、手すりにつかまってスムーズに立ち上がることができます。 1人で立ち上がりができるようになるためにも、介護負担が増えないためにも、補助をしてくれる手すりの取り付けが重要です。 歩行の補助や誘導 加齢とともに落ちるのは、筋力だけではありません。 バランス能力も低くなってふらつきが多くなり、転びやすい状態になります。 壁に手すりを取り付けることで、転ばずに歩くことができます。 手すりが、ふらつかずにバランスをとる支えになるからです。 例えば、夜中にトイレに行きたくなると、トイレまで移動するために暗い場所を歩かなくてはなりません。 そんな時に廊下にに手すりがあることで、移動を助けてくれたり、誘導してくれるので、転ばずに歩くことができます。 転ばずに目的地まで歩くためにも、手すりの取り付けが重要になります。 手すりの種類 手すりには、大きくわけて、5種類あります。 横手すり 縦手すり(I型) L字型 階段用 据え置き型 しかし、どのタイプを取り付ければいいのか迷ってしまいがちです。 それぞれ、どんな時に使用するのか、詳しく解説します。 横手すり 横手すりは、地面に対して水平に取り付ける手すりで、もっとも一般的なタイプです。 つかまって移動する時に使用できるため、廊下や玄関への取り付けが多くみられます。 縦手すり(I型) 縦手すりは、地面に対して垂直に取り付ける手すりです。 段差を上がる時や立ち上がりの時の補助になるので、玄関やトイレに取り付けることが多いタイプになります。 L字型 L字型の手すりは、横手すりと縦手すりが一体化したものです。 立ち上がりと立位保持の手助けをするので、トイレや浴室に取り付けることが多くみられます。 階段用 階段用の手すりは、階段の昇り降りを補助する手すりです。 両側にとりつけることが望ましいですが、片側だけの時は降りる時の利き手側に取り付けるようにしましょう。 しかし高齢者は自室を1階にしていることが多いため、使用する頻度が少ないです。 据え置き型 床に置いて使用するタイプの手すりです。 手すりを取り付けることができない場所にも置くことができます。 工事を必要としないため、住宅改修での対応はできません。 福祉用具貸与での対応になります。 段差の解消 次に、段差の解消です。 対象は、自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差になります。 電力で稼働する段差昇降機や工事を伴わないスロープは、福祉用具貸与の対象外になりますので注意しましょう。 それでは、場所別に解説していきます。 玄関 玄関の上がりかまちは、高齢者にとって大きな障害です。 特に日本家屋は段差が高く、上がるのが大変だからです。 工事としては式台の設置が行われますが、工事を伴わない場合は、介護保険の対象外になります。 駐車場 高齢者にとって屋外の移動は段差も多く、転倒のリスクが高くなります。 筋力やバランス能力など、身体機能が低下しているからです。 たとえば、病院に行く時など外出の際には、駐車場に移動する必要があります。 駐車場までに段差など障害がある時は、スロープを設置したり、階段の段数を増やして、一段ごとの高さを低くすることができます。 敷居 若い人にとってなんともない少しの段差でも、高齢者にとっては転ぶ要因になります。 敷居などは取り外すことが難しいので、小さなスロープを取り付けて段差を解消します。 この時、1/4〜1/5の勾配にすることがポイントです。 滑りの防止及び移動の円滑等のための床または通路面の材料の変更 床などの通路は素材によっては、滑りやすく転倒しやすい要因になっています。 材料を変更することで、転倒予防を図ることができるのです。 もしくは、畳やカーペットでは車椅子の運びが悪いため材料を変更することで、移動をしやすくなります。 ただし、生活動線以外の工事や老朽化によるものは、対象外ですので注意してください。 引き戸等への扉の取替え [caption id="attachment_1295" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 日本の玄関は、「開き戸」が多く使われています。 しかし、「開き戸」は、筋力が低下した人にとっては、開け閉めがつらいものになります。 扉の開け閉め時に、扉の開きしろを考慮するため、筋力やバランスが必要になるからです。 そこで、「引き戸」にすることで、扉の開きしろを気にせずに開け閉めができます。 ちなみに、ドアノブをレバー型に変更することも、住宅改修の対象です。 ただし、扉の老朽化といった交換は、対象外になっています。 洋式便器への取替え 洋式便器への取替えは、和式便器を洋式便器に取り替える場合が一般的に想定されています。 その他、どういった工事が対象になるのか、紹介します。 和式便器を洋式便器へ 現代では少なくなりましたが、日本家屋では和式便器が主流で、現在も残存しているところがあります。 ですが、和式便器は高齢者にとって、使いにくいものです。 しゃがむ動作をする必要がありますが、足の変形から痛みを伴い困難になっていきます。 また、筋力も低下しているので、しゃがんだはいいものの、立ち上がれなかったりすることもあります。 こういった時に、洋式便器への交換は有用です。 暖房・洗浄機能付便器への取替え 現在洋式のものを交換はできませんが、和式を洋式に変更する時は住宅改修の対象になります。 便器の取替えに伴う給排水設備工事 便器を取り替える時は、水回りの交換も必要になりますが、給排水にかかわる工事も住宅改修の対象です。 ただし、もともと水洗だったトイレのみになります。 便器の取替えに伴う床材変更 便器を取替える時は、床や壁も改修が必要になりますが、これも対象になります。 こういった時は対象外 住宅改修の対象外にもなる工事もあります。 洋式トイレを新設 手洗い器やペーパーホルダーの新設 基本的に、新設する場合は対象外です。 既存のものを交換する場合のみ対象になりますので、ご注意ください。 まとめ ここまで、介護保険での住宅改修のポイントや注意点を箇所別にわけて、紹介してきました。 ・手すりは歩行や立ち上がりの補助をするが、たくさん取りつけても意味がない。 手すりは数タイプあるので、目的や場所によってわける。 ・段差解消は自宅内の各部屋の間の床の段差と、玄関から道路までの通路の段差をなくすもの。 工事を伴わない段差解消機やスロープの取り付けは、住宅改修の対象にならない。 ・床または通路面の材料の変更は、生活動線以外や老朽化によるものは対象外。 ・引き戸等への扉の取替えは、高齢者にとって開け閉めが難しい開き戸を取替える時に有用。 開けやすいドアノブへの変更も住宅改修の対象だが、老朽化による扉の交換は対象外。 ・洋式便器への取替えは、一般的に和式便器を洋式便器に変更する時。 洋式トイレやペーパーホルダーを新設する場合は対象外。 親に元気に家で過ごしてもらうために、住宅改修を利用して生活環境を整えましょう。 そのためには、箇所別にポイントを把握しておくことが大切です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。 ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは 住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。 親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。 福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption] 「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。 どんな人が使えるの? 住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。 入院中などではなく、現在家で生活している 住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。 しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。 家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。 いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。 住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。 ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。 1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は? 住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。 要介護度が3段階以上上がった時 要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。 引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。 支払い方法は? 住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。 償還払い 償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。 受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。 ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。 まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。 住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。
デイサービスにはさまざまな種類があります。 そのため、どんなサービスを行いどんな違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 今回はデイサービスの違いと、自分に合う施設の選び方を解説します。 デイサービスとは? まずは、デイサービスとはどんな所かをご紹介します。 デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所です。 また、一緒に暮らす家族の介護負担軽減も役割の1つです。 高齢になるにつれ、心身機能が低下し家で生活することが難しくなります。 そのために、デイサービスで日常生活に関するサービスを受け、住み慣れた家で生活できるように支援しています。 また、デイサービスで他者と交流することで心の機能回復も目的としています。 サービスの内容は、食事、排泄、口腔ケア、入浴、機能訓練、相談や助言など日常生活に関することです。 どんなデイサービスがある?違いを知って選ぼう デイサービスは、それぞれに特色があり以下の5つ種類があります。 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 どんなサービスを提供しているのか具体的に解説します。 違いを知ることで、自分にあった所を選びやすくなります。 ①通所介護 通所介護とは、高齢者が在宅で自立した生活ができるように支援する場所です。 サービスの内容は、機能訓練や社会交流、家族の介護負担軽減、日常生活に関する支援、相談を行っています。 ②通所リハビリテーション 通所リハビリテーション(以下通リハ)とは、リハビリに特化したデイサービスです。 主治医の指示で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職がリハビリを実施します。 通リハはリハビリを目的としていますが、食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスも提供しています。 参照元:厚生労働省 通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 認知症対応型デイサービスとは、認知症に特化したデイサービスです。 通常のデイサービスでも認知症の方は通えますが、利用人数が多いと対応が難しい場合があります。 認知症のデイサービスは、利用者の人数が12人以下と定められています。 また、デイサービスの責任者は、「認知症対応型サービス事業管理研修」を修了していることが義務付けられています。 食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスはもちろん、認知症進行の緩和や認知症に対するケアが受けられます。 参照元:LIFULL介護 認知症対応型通所介護とは ④地域密着型通所介護 地域密着型通所介護は定員数が18人以下で、「事業所がある市町村に住んでいる人」と定められています。 これは、より細やかなニーズと手厚い支援を受けられるように限するためです。 サービス内容は通所介護とほとんど変わりませんが、人数が少ないので、利用者一人一人に合ったケアを提供しています。 参照元:健康ネット 地域密着型通所介護とは?サービスや通うメリットについて解説! ⑤療養型通所介護施設 療養型通所型介護施設は、医療的なケアを必要とする人が利用できるデイサービスです。 通常のデイサービスでも、利用できますが事業所によって受け入れに制限があります。 看護師が常駐する中で、日常生活の全般の支援から機能訓練を行います。 対象者は、難病や脳血管疾患後遺症・がん末期など常に医療ケアが必要な人等です。 参照元:介護ワーカー 療養通所介護とはどんなサービス?役割や仕事内容について解説! 違いが分かったところで、次の章ではデイサービスの選び方のポイントを紹介します。 ポイントを押さえて自分に合った事業所を選びましょう。 デイサービスの選び方のポイントは4つ ここでは、デイサービスを選ぶ時に押さえたいポイントを4つ解説していきます。 ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容はどうなのか ③対応できる利用時間 ④入浴やトイレの設備の確認 それぞれのポイントを具体的にご紹介します。 ①デイサービスの人数はどれくらいか デイサービスの1日の利用者人数を確認しておくと雰囲気が分かります。 人数が少ないと利用者の一人一人の細かいニーズに応えやすいです。 人数が多いと法人運営しているところが大半になるので、スタッフの育成がしっかりできています。 デイサービスの1日の利用者人数を見るのもデイサービス選びのポイントの一つです。 ②食事の内容を確認する デイサービスでは食事にこだわっている事業所が多く、主食を魚かお肉に選択できたり、すべて手作りの施設もあります。 まとめて食事を作っている事業所もあるので、糖尿病や塩分制限がある方は、食事が対応できるか確認しましょう。 ③対応できる利用時間 どれくらいの時間を利用できるのか、短時間など対応してくれるのかなどを確認しましょう。 身体の調子が悪い時や退院後は長時間のデイサービスが体力的にきつい場合があります。 また、病院を受診するから早く帰宅したい、ヘルパーの利用があるから短時間にしたいなど、要望に応えられるか確認しておくと安心です。 ④入浴やトイレなど施設の設備を確認する 施設によって、入浴設備が自宅のようなお風呂だったり大浴場のお風呂だったりします。 入浴時は職員がついていますが、恥ずかしいから個浴で入りたい、温泉のようにみんなでワイワイと入りたいなど好みがあるのでチェックしておきたい設備です。 また、トイレもみておきたい設備の一つです。 たくさんの事業所がある中で、古民家を改装したデイサービスもあるので、トイレの向きによっては麻痺がある人は使いにくくなってしまいます。 トイレの設備が自分の身体に合うか確認しましょう。 デイサービスの選び方のポイントを押さえたところで、次は見学する時にみておきたい項目をご紹介します。 デイサービスを見学する時のポイント デイサービスの見学はした方がいいと言われますが、どこを見ればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。 この章では、見学する際のポイントをご紹介します。 ①いつも出入りするに人に対して挨拶しているのか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している人の雰囲気を見る 一つ一つ具体的に解説していきます。 ①いつも出入りする人に対して挨拶がきちんとしているか 基本的にお客さんにはきちんと挨拶するので、ここではいつも施設に出入りがある業者や職員同士が挨拶をきちんとしているかチェックします。 いつも出入りする人に対しては、自然な対応になるので、見ておきたいポイントなのです。 ②方針や方向性が定められているか デイサービスでの方針や方向性が定まっていると職員間で摩擦が生じにくく、ケアに対して統一感があります。 例えば、利用者の目標をきちんと職員が共有出来ており、やるべきケアが統一されている施設もあります。 職員の動きは、見学時に確認しておきたい項目です。 ③現在利用されている方の雰囲気をみる 施設全体の雰囲気が合うのかチェックするのも大切ですが、今利用されている方が楽しそうにされているか見るのもポイントです。 職員は新規利用者獲得の為、良いところを見せようとする場合がありますが、今利用されている方は楽しそうに取り繕う必要性がないからです。 実際、自分に合うかは利用して見ないと分かりませんが、大半のデイサービスは1日体験利用を実施しています。 上記ポイントを意識して、体験利用してみると自分に合う事業所が見つけやすくなります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 デイサービスの違いと自分に合う選び方のポイントをご紹介しました。 ・デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所である ・デイサービス 5つの種類 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 ・デイサービスの選び方 4つのポイント ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容 ③利用時間 ④施設の設備を確認する ・デイサービスを見学時の3つのポイント ①顔見知りの人に挨拶しているか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している方の雰囲気を見る 最後まで読んでいただきありがとうございました。
「転倒骨折が原因で入院している親の退院後はこのまま施設しかない?」 「高齢の親が退院するけどこのまま家に帰すには不安だから施設?」と心配してる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 退院後、家に帰れなかったら施設入所と考えている方が多いと思いますが、そんなことはありません。 家と施設の中間地点としての役割を果たしている「介護老人保健施設」があります。 退院後は「介護老人保健施設」に一旦入所して家に帰るためのリハビリ等を受けられます。 今回は、「介護老人保健施設」について紹介します。 「退院後すぐに親を家に帰すのは不安だけど、ずっと施設に入れておくのは嫌!」という方は、ぜひ参考にしてください。 介護老人保健施設ってどんなところ? 介護老人保健施設は、要介護者にリハビリをメインに行うことで在宅復帰を目指す施設です。 略して「老健」と呼ばれていて、自宅と施設の中間地点の施設です。 いわゆる「特養」など、期間が定められず入所して生活する施設とは違います。 たとえば、親が転倒して骨折すると、急性期の病院に入院して治療を受けます。 その後、転院して集中してリハビリを受けることになります。 リハビリが集中的に行われる回復期リハビリ病棟がある病院は、入院期間が決まっているのです。 骨折などの疾患の場合の入院期間は、最長90日間です。 90日間で在宅復帰が難しいと思った時は、介護老人保健施設に一旦入所して、引き続きリハビリを受けることができます。 リハビリをメインに受けて、在宅復帰して自立した生活を送ることを目標にしているのが、介護老人保健施設です。 どんな人が入所できる? ここでは、どんな人が介護老人保健施設に入所できるのか、その条件について紹介します。 要介護1~5の判定を受けている、原則65歳以上の人 入所できるのは、要介護1以上の65歳以上の人です。 関節リウマチや脳血管疾患などの特定疾病によって要介護認定を受けた40~64歳の人も、入所できます。 要支援1~2の人は入所できませんので、ご注意ください。 症状が安定している人 介護老人保健施設が医療費を全額負担するので、症状が安定していない人は入所を断られることがあります。 また、在宅復帰を目的としている、リハビリや医療行為が必要な人が優先されます。 「入院しておくほどではないけど、親を家に帰すのは不安」という人に、ぴったりです。 感染症にかかっていない人 施設ですので、集団生活になります。 そのため、感染症にかかっている人は対象外になってしまいます。 介護老人保健施設のサービスはどんなものがある? 介護老人保健施設のサービスには、入所して利用するものと在宅生活をしながら利用できるものがあります。 入所サービス リハビリ 医療・看護 介護 栄養管理 在宅サービス 通所リハビリ(デイケア) 訪問リハビリ ショートステイ 介護老人保健施設は、入所期間が原則3~6ヶ月と決められています。 退所してからも在宅生活をサポートするサービスを受けられるのが、介護老人保健施設の特徴です。 介護老人保健施設は医療従事者も多く、医療体制が整っているため、本人も家族も安心して過ごせるのが特徴です。 それでは1つ1つの項目について、詳しく解説していきます。 リハビリ 介護老人保健施設は、リハビリを受けられるのが大きな特徴です。 リハビリを受けて、家での暮らしをすることを目的にしているからです。 リハビリの専門職を入所定員100人に対して1人以上配置するように決められています。 そのため、専門職による個別でのリハビリを受けられる体制が整っているのです。 リハビリは、「週に2回以上、1回につき20~30分」受けることができます。 料金が上がりますが、入所後3ヶ月間は週3回以上受けられるので、在宅復帰にグっと近づくことができますよ。 医療・看護 介護老人保健施設は、入所定員100人に対し、医師が1人以上配置されています。 看護師は9人に対し、1人の配置です。 医療スタッフが入所者の体調管理を行っているので、医療面で心配な方も入所が可能です。 床ずれの処置や経管栄養、インシュリン注射の対応なども行われています。 介護職員の数も多く、食事や排泄介助、入浴介助など、基本的なサービスが受けることが可能です。 レクリエーションもあるので、楽しく過ごせます。 栄養 栄養士も配置されていて、栄養ケアが行われています。 在宅復帰に向けて必要な食事の面からサポートしてくれているのです。 病気や嚥下能力に応じた食事形態も配慮されていて、バランスの良い食事が提供されます。 介護老人保健施設の費用はどれくらいかかる? 介護老人保健施設は公的施設ですので、民間の施設と比べると安く入所できます。 また、収入が少ない世帯では、居住費や食事代が安くなる場合もあります。 なぜなら国が利用者負担軽減策を設けているからです。 入所一時金など、初期費用もかかりません。 医療費も介護老人保健施設が全額負担することになっています。 そのため、比較的安く入所サービスを受けることが可能です。 以下に介護老人保健施設の費用についてまとめましたので、参考にしてください。 (令和3年8月1日時点) ざっくりとみて、月10万円前後 介護老人保健施設は、居住費や食事代込みで、月におおよそ10万円前後です。 要介護度や部屋のタイプによって、料金が変わってきます。 基本料金(介護保険給付サービス) 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 個室 836円 910円 974円 1,030円 1,085円 多床室 756円 828円 890円 946円 1,003円 これは、1日にかかる基本料金です。 1割負担の金額を載せていますが、所得に応じて2~3割負担のこともあります。 居住費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 個室 490円 490円 1,310円 1,310円 多床室 0円 370円 370円 370円 一定の低所得要件を満たした人が適用されるため、段階によって金額が変わります。 食費 第1段階 第2段階 第3段階① 第3段階② 300円 390円 650円 1,360円 食費も所得に応じた負担限度額が設定されています。 その他、日常生活費 理美容代、新聞、娯楽にかかわるものなどは実費負担です。 おむつなどは施設サービス費に含まれていますので、別途でかかることはありません。 加算料金(介護保険給付サービス) 介護老人保健施設は、基本料金にかかる加算があります。 たとえば、リハビリを3ヶ月間集中的に受ける加算は、1割負担の場合、1回につき240円かかります。 その他、在宅復帰に向けた加算が複数あり、手厚いサービスを受けることができるのです。 まとめ ここまで、介護老人保健施設について、紹介してきました。 介護老人保健施設は、自宅と施設の中間地点で、在宅復帰を目標にしている。 リハビリをメインに、医療や介護サービスを受けられる。 入所できるのは、要介護認定を受けた人のみで、要支援の人は不可。 1ヶ月間の費用は、おおよそ月10万円前後で、民間の施設と比べると割安。 入所にかかわる初期費用もかからず、所得に応じて 食費や居住費の負担限度額が設定されている。 入所できる期間は3~6ヶ月で、退所後も在宅サービスを受けることができる。 入院中の親を家に帰してあげたいけれど、今家に帰すことに不安を覚えていたり、親を施設にずっといれておくのは気が引けると感じている人は、介護老人保健施設でリハビリを受けてもらってはいかがでしょうか。 介護老人保健施設は、在宅復帰に向けてサポートを手厚く行ってくれます。 期間も限定されているので、家に帰る時期が明確です。 あなたの大切な人が再び家で暮らせるよう、応援しています。 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ヘルパーが訪問介護サービスを行う際はケアプランに沿ったサービスが基本です。 今回は判断に迷う、あいまいなグレーゾーンと呼ばれる事例とその対応の仕方を解説します。 訪問介護でヘルパーができる事とできない事 訪問介護のヘルパーにはできる仕事内容が決められています。 まずはその基本的なところを確認していきましょう。 訪問介護は3つのサービスに分けられる 訪問介護は訪問介護員(以下「ヘルパー」という)が介護認定を受けた利用者の居宅を訪問し、身体介護や生活援助などを提供するものを言います。 訪問介護に入るヘルパーは、介護福祉士や実務者研修修了者、初任者研修修了者、旧基礎研修修了者、訪問介護員1級又は2級(ヘルパー1級又は2級)のいずれかの資格が無いとサービスに入る事はできません。 (※2018年新設の「生活援助従事者研修修了者」という生活援助限定の資格もあります。) 訪問介護は下記の3つにサービスが分けられます。 身体介護 生活援助 通院等乗降介助 利用者の身体に直接触れる 必要性のある介助。 身体介護以外の利用者が 日常生活を送る上で 必要な生活支援をする介助。 一般的には介護タクシーが 行う事が多い。 ※食事、排泄、入浴、更衣 身体整容、移動・移乗 通院・外出、起床・寝床など ※調理、配膳・後片付け、洗濯 掃除、整理整頓、買い物 ベッドメイクなど ※車への乗降、乗車前 または降車後の移動、受診手続き 薬の受取りなど 訪問介護のヘルパーは利用者のケアマネージャーが立てたケアプランに沿って、利用者本人の為の自立した日常生活に関する身体介護や生活援助サービスを行うものです。 あくまでも訪問介護は介護保険内のサービスですので、ケアプランに含まれていない、ただ利用者がしてほしい事や、その家族、同居者の為のサービスを行う事はできません。 重ねて「医行為」と呼ばれる医師・看護師が行う行為は、ヘルパーが行う事を禁止されています。 *ヘルパーが行える医療行為には、医行為に該当しないものや、一定の研修を受けたヘルパーのみが行える医療行為もあります。 介護サービスをはじめるときには、介護保険内のサービスの有無、できる事できない事の説明をきちんと行い、双方で理解しておくことがとても重要です。 しかし、関わり合いが長くなると「ついでに」「ちょっとだけ」「あの人はしてくれるのに」と ヘルパーに代行を少しずつ依頼してくる事もあるようです。 介護保険ではできないサービス、ケアプランに無いサービスを相談された時は、一旦訪問介護事業所に持ち帰りましょう。 そして、サービス提供責任者やケアマネージャーに報告した上で、利用者が感じている困った事をどうすれば解決できるのかを考え、対応していく事も必要となるでしょう。 ケアプランの変更や追加、自費サービスでの対応を勧める場合もありますし、断りを入れる場合もあります。 利用者本人が、在宅生活を送る上で困難且つ必要とされる身体・生活動作について、介護保険を利用し、日々自立した生活を過ごす事ができるようにケアプランに沿ったサービスを提供することが訪問介護なのです。 訪問介護でヘルパーが迷うグレーゾーン 訪問介護は利用するのにわかりにくいところも多くあります。 ここではそのようなグレーゾーンの対処法について解説します。 同居者や家族がいる場合 まず訪問介護サービスを行う際、利用者本人が独居状態か、その家族や同居者がどういう状態や状況にあるのかを把握する必要があります。 訪問介護の主なサービスである身体介護や生活援助は、その状態や状況によってはサービスが受けられない事もあるのです。 同居者や家族等がいても、サービスができるかどうかは下記の表の通りです。 できる できない 〇身体介護 ※見守り的援助も身体介護であるので可。 但し「ただ見守る」「ただ声掛けする」は 見守り的援助とはならない。 ×生活援助 ※原則的に同居者や家族等がいる場合は不可。 但し「障害や疾病、やむを得ない理由」がある場合は 認められる事もある。 ここでの「障害や疾病がある場合」とは、「同居者や家族等が何らかの障害や疾病がある為に 家事をすることが困難な状態」にある事をいいます。 「やむを得ない場合」は「障害や疾病は無いが家事ができない(する事を見込めない)状態」に ある事をいいます。 やむを得ない場合とは ①同居者や家族等が高齢であり、それに伴う筋力低下等の身体能力低下の為に家事をする事が困難な場合 ②同居者や家族等が全員介護認定を受けている場合 ③同居者や家族等に深刻な問題が発生している場合(関係断絶、虐待、介護放棄等) ④同居者や家族等に介護疲れが目立ち、共倒れの危険性があると判断される場合 ⑤同居者や家族等が就労等で不在とする時間が長く、利用者の安全・健康・衛生上に援助を必要とする事が高く求められる場合 生活援助は、「家事や生活動作を手伝ってくれないと毎日の生活が成り立たない」為に介護保険を利用してその成り立たない部分を援助するサービスです。 同居者や家族、利用者本人のその時の感情や根拠の無い憶測、個人的な要望だけでは行う事はできません。 例えば、妻が利用者で夫は要支援、同居する息子夫婦は共に仕事の為、日中は不在とします。 同居者や家族が複数人いる場合、「必要な部分を同居者や家族が分担すれば日常生活は可能」と 判断された場合は「やむを得ない」状態や状況とは考えられずにサービスを外される事もあります。 また生活援助では、居宅においての共有部分での掃除はできません。 <共有部分とは> 居間、寝室、玄関、台所、浴室、トイレ等の居住する人が共有して利用する場所 <注意事項> ・原則として生活援助の掃除は不可。 (利用者だけでなく同居者や家族等も使用する場所で、日中の不在時でなくても 在宅時や時間のある時に掃除ができると考えられる為) ・やむを得ない場合とはの5例に該当する理由がある場合 生活をする上での安全性、自立性、衛生面、健康維持の全ての必要性が 認められた場合は生活援助サービスの提供が可能。 単に「日中は仕事で誰もいないし、利用者の夫は要支援で掃除機を持ったり移動する事が難しいので、利用者も一人で掃除するのは危ないから生活援助(寝室や居室等の掃除)に入ってほしい。」 という同居者や家族の希望だけではサービスは行えないという事です。 寝室の掃除や整理整頓に際しては、夫と利用者の共有スペースにあたります。 そのため、共に要介護と要支援という事で、夫側の要支援である総合事業の訪問型サービスを利用するという方法や、利用者の見守り的援助(身体介護)として寝室の掃除や整理整頓を行うといった方法もあります。 見守り的援助の場合 見守り的援助とは、要介護である利用者が自立した生活を送る為の支援です。 毎日の身体動作や生活動作、日々過ごす生活の質が落ちないように、維持・向上するという観点から利用者の安全を確保しつつ、何かあった場合はすぐに介助できる状態で行う見守り等の事をいいます。 同居者がいる例にもありました「見守り的援助」は身体介護となりますが、あくまでも「自立した生活をする為の支援」でありただ見守るだけ、ただ声を掛けるだけでは見守り的援助とはなりません。 また生活動作に対してあいまいな解釈で対応すると生活援助と判断されて身体介護としてサービスが行えなくなる場合もあります。 例えば、独居で要介護1の利用者が洗濯物を取入れて衣類をたたみ収納するといった一連の動作を行う身体介護のプランがあるとします。 ヘルパーは利用者が動作上どうしても難しい所、援助が必要な所は一緒に行うといった手助けをする事で利用者が未だ持っている自立した動作ができる機能の維持を促します。 動作時にふらつきや転倒といった事故が発生しないように、また体調の不具合や疲労感の有無を確認する為に見守りや声掛けを行う事は、見守り的援助であり身体介護サービスとなります。 また、ヘルパーが洗濯物の取入れをし、その間利用者は別の動作をしていた場合、(居間を片付けていた等)は、ヘルパーと利用者が一緒に行っていない為、洗濯物の取入れは生活援助となり、見守り的援助には適用せず身体介護から外れる事になります。 院内介助の場合 訪問介護はその名の通り利用者宅へ訪問しヘルパーが利用者の為に行うサービスです。 そのため、院内介助の場合は居宅では無い場所でのサービスの為、本来は介護保険のサービスとは言えません。 また病院は医療機関であり、病院内での介助は本来は病院のスタッフが対応するものとされ、介護保険ではなく医療保険が適用されます。 但し理由によっては、介護保険としてサービスができる場合(通院等乗降介助、訪問介護で身体介護・見守り的援助対応)もあります。 訪問介護でヘルパーが対応する場合は下表の通りの流れとなります。 <訪問介護にてヘルパーが院内介助を行うまでの流れ> 訪問介護で院内介助サービスが可能となる理由(必要性) ①受診する病院のスタッフによる対応ができない、または困難である場合。 ②利用者に家族や同居者がいるが、介助を要するにも関わらず付き添いができない場合。 ③利用者が院内の移動に介助を必要とする場合。 ④認知症や精神的不安定な症状があり、常に見守りを必要とする場合。 ⑤トイレ等の排泄介助を必要とする場合。 ⑥視覚、聴覚に不自由がある場合。 ↓ ケアマネージャーによる病院への事前確認(電話確認可) ↙ ↘ 病院側の受診時の院内介助対応が可能 ・介護保険サービス不可 (医療での対応) 病院側の受診時の院内介助対応が不可 ・支援経過記録(ケアマネージャー) ①事前に病院側への介助依頼した内容の記録 ②病院スタッフが介助できない理由 ③利用者が受診時に必要とされるサービス ↓ ・サービス担当者会議の開催 (訪問介護側、利用者側の参加) ↓ ・サービス計画書に記載し、説明、配布 ↓ ・訪問介護計画書に追加、説明、配布 ↓ ヘルパーによる院内介助が可能。 例えば、下記のような状態・状況があるとします。 認知症外来、神経内科、血液検査の受診予定がある利用者 認知症レベルは重度で日常生活自立度がⅢa 家族は今回付き添えません。院内では徘徊行動する可能性が高く、見守りが必要とされています。 排泄もいつ排泄意が来るか不明な上に、トイレ介助が必要な状態です。 院内の移動もどこへ向かっているのかが分からず移動時は声掛けや見守りが必要な状態です。 この場合、明らかに介助を必要とされる状態にあるのですが、病院側が院内介助の体制が整わないとの理由で医療での院内介助は見込めなくなりました。 注意すべき点は、訪問介護で院内介助と認められるのは、「受診手続き、病院内の移動・移乗介助や見守り的援助、トイレでの排泄介助、清潔動作、医療費の支払い、薬の受取り」となります。 待ち時間や診察や検査の立ち合いは、訪問介護としては認められません。 但し、例にあるように利用者の認知症レベルが重度のⅢaである事から、検査や診察等の医療行為以外は院内介助として認められる事になりました。 この場合は「自立生活支援の為の見守り的援助」として介助の内容や掛かった時間、利用者の状態をサービス実施記録や計画書に記載し、ケアマネに実施報告を行っています。 繰り返し言いますが、院内介助は病院側のスタッフが対応とするのが原則です。 本来は医療で対応するものであり、介護で対応する時は何等かの理由がある場合であり、単なる家族の付き添いの代わりではないのです。 まとめ 今回は訪問介護において、訪問介護の基本と3つのあいまいなグレーゾーンについての解説や事例、対応方法をお話しました。 ・訪問介護は、身体介護・生活援助・通院等乗降介助の3つに分けられる。 ・訪問介護はケアマネージャーのプランに則ったサービスを行う。 ・同居者や家族がいる場合は、本来は身体介護以外は入れない。 ・生活援助は「障害や疾病、やむを得ない理由」がある場合のみ、同居者や家族がいてもサービス可能である。 ・見守り的援助とは身体介護の区分で、利用者と共に行いつつ、何かあればすぐに介助できる状態で見守りや声掛けをしながら動作、作業を行う援助である。 ・院内介助は原則として医療の管轄であるが、利用者の状態や状況により介護の必要性が認められた場合はヘルパーによる院内介助が可能となる。 最後まで読んで下さりありがとうございました。
”転倒”は どこで起こることが一番多いと思いますか? 実は屋外ではなく、屋内の方が転倒の危険性が高いと言われています。 特に高齢者の方は屋内の中でも自宅で過ごす時間がとても長く、そのため自宅での転倒予防が非常に大切です。 また転倒は転んだ瞬間の「痛い」ではなく、転倒後の怪我や気持ちの変化が懸念されます。 今回は転倒によって起こる事例と、転倒予防の方法についてお話します。 近年の転倒事故についてと介護との関係 厚労省の発表によると65歳以上の高齢者の転倒・転落・墜落の死亡事故は年々増加しており、令和2年では8,851件発生しています。 これは交通事故の約4倍となり、ただの転倒と思って甘く見ていると大変なことになります。 さらにこの内の1,678件は自宅で起こった事故であり、この数字に驚いた方も多いのではないでしょうか。 また消費者庁のデータによると65歳以上の転倒の半数は自宅内で起こっています。 介護が必要になってしまった原因といえば《病気》が想像されますが、「骨折・転倒」が介護の原因となった割合は「認知症」「脳卒中」「高齢による衰弱」ときて、4番目の13.0%とかなり高い数字です。 たとえ死亡事故に至らなかったとしても、転倒や転落は介護に直接結びつく原因となる恐れがあり、自宅で起こる可能性の高さを考えると、自宅での転倒を予防することは非常に大切だと言えます。 転倒の危険性について まず高齢者の転倒はなぜ起こってしまうのでしょうか。 理由は主に2つ挙げられます。 1つめの内的要因 内的要因とは加齢に伴う身体の変化のことです。 高齢になるにつれて筋力の低下、平衡感覚機能の低下、また視力の低下も考えられます。 場合によっては服用している薬の影響で、ふらつきやぼーっとしてしまう方もいらっしゃいます。 こういった内的要因の影響で、以前であれば起きなかった転倒につながる可能性がグンと上がります。 2つめの外的要因 外的要因とは自宅の中に必ず存在する段差です。 「家には大した段差はないから大丈夫」・・・と思っても安心できません。 数ミリの段差でも転倒のリスクがあり、その結果死に至る可能性があると言われています。 段差のほかにもスリッパ、カーペット、電化製品のコードなど、今まで気にしていなかったもの全てが転倒につながる恐れがあります。 それでは転倒してしまったらどうなるのでしょうか。 上記で死に至る可能性があるとお話しましたが、怪我をしてしまうだけでも十分なリスクがあるのが転倒の怖いところです。 若い方と比べて高齢者の方は転倒することで骨折のリスクが非常に高いといえます。 どの部分を骨折しても辛いですが、一番心配したいのは太ももに通っている骨である大腿骨の骨折です。 大腿骨は上半身を支えたり歩く上で非常に大切な骨で、骨折してしまった場合は多くの場合痛みで歩くことが難しくなります。 しばらくはベッド上で安静に過ごすこととなり、場合によってはその後寝たきりの生活につながってしまう可能性があるということです。 今まで認知症の心配もなく元気に過ごされていたとしても、大腿骨骨折で寝たきりの生活となりその後認知症が発症してしまう事例もあります。 転倒して特に怪我がなかったとしても、転倒した恐怖から歩くことが怖くなり、運動する機会が減る場合もあります。 その場合も同じように認知症のリスクや、運動機能の低下が心配されます。 だからこそ自宅での転倒予防は高齢者の方が自宅で過ごす上で見逃すことのできないポイントとなっています。 自宅でできる転倒予防 それでは転倒を意識した自宅での予防・対策をお伝えします。 身体機能低下を防ぐ運動 まずは少しでもいいので歩くことです。 日中テレビを観たりして、ずっと座って1日を過ごすなんてことしていませんか? 座って過ごすだけではなく、いつもより少し意識して立ったり座ったり、歩いて何かを取りに行ったり少しでも良いので動いてみましょう。 自宅で歩くにはスペースの問題で難しいこともあるかもしれませんが、その時は家の近くを軽く散歩することで運動機能の低下だけでなく、脳の活性化にもつながります。 もっと元気な方はラジオ体操をすることで上半身の筋力維持にもなります。 膝や脚の痛みで歩くことが難しい方は、ベッドの柵や椅子の背もたれを持ったりして足踏みを行うだけでも違いがあります。 無理のない範囲で自宅でのトレーニングを日常に取り入れましょう。 室内の段差解消を行いましょう 先ほど数ミリの段差でも転倒のリスクはあると伝えましたが、数ミリは難しくても数センチの段差の解消は簡単です。 段差解消をしたい箇所に室内用のスロープを置くだけで工事は必要ありません。 介護認定を受けており介護保険を使うことができる方は、1割〜3割負担でレンタル商品として使用できます。 もし介護認定を受けていなかったり購入したいという方も、高価でないため自宅に取り入れやすい段差解消アイテムです。 置き型や突っ張り型手すりを設置しましょう 自宅の中でもリビングや寝室は、起き上がり立ち上がりの動作が多く、これらは大きな動作のため転倒のリスクも高くなります。 ただ手すりというのは本来壁に取り付けるもので、取り付けることができるスペースというのは限られてしまいます。 そこで活躍するのが置き型の手すりと突っ張り型の手すりです。 この二つは置いたり突っ張ったりするだけで、手すりとしての機能を発揮します。 つまり場所を選ぶことなく、手すりの欲しい場所に設置することができる優れものです。 形やサイズも様々で、コの字型であったり、高さのあるものから低いものまでさまざまな種類があります。 蓄光テープが貼ってあることで、夜中トイレに行きたい時でも手すりを見失わないようになっているものもあります。 突っ張り型だと床から天井まで手すりがあるので、起き上がりの動作の際に活躍します。 介護保険を使用できる方はレンタル価格で利用できる福祉用具です。 しかしこれは介護保険を使用しない場合、高価な商品になることがデメリットです。 浴室に手すりを設置しましょう 先ほど紹介した置き型や突っ張り型の手すりは浴室に置くことは難しい場合が多いです。 上の画像のような浴槽の淵に取り付けるレンタルできる手すりもありますが、手すりの設置箇所は限られてしまいます。 その場合は住宅改修で手すりを取り付けることになります。 制限がありますが、介護保険はレンタルだけではなく住宅改修でも使用できます。 条件は以下の通りです。 ・原則1人1回まで ・本人が自宅に住んでいる ・介護保険による支給額は20万円まで(費用が20万円の場合自己負担額は2万円となり、18万円が介護保険からの支給となる) 最近はお風呂に手すりがついている家も増えてきましたが、高齢者の方の自宅は古い家も多くまだまだ浴室に手すりがついておらず、危険な場合があります。 住宅改修はお金がかかるため今まで検討できなかった方も、この介護保険の制度を使用することで少し前向きに住宅改修を考えられるのではないでしょうか。 転倒予防のための介護保険を使った福祉用具の取り入れ方 では、どのように福祉用具を取り入れるのか、その方法をご紹介します。 レンタルの場合 まずはケアマネージャーに相談しましょう。 自身の身体の状態を理解してくれているケアマネージャーであれば、安心してお願いすることができます。 その後数ある商品の中から自分に合ったものを選び、福祉用具業者に設置してもらいます。 自宅に届いたからといってそこで終了ではなく、不具合が起きる場合もあります。 何かあれば福祉用具業者に連絡し、メンテナンスを怠らず安全に使用しましょう。 住宅改修の場合 レンタルの時と同じように、まずはケアマネージャーに相談となります。 申請書類と見積書を保険者に提出する必要があり、適切な住宅改修かどうか認められた後に、施工開始することができます。 ただし厚生労働省より2018年から一社からの見積もりではなく、複数社から見積もりをとる”相見積もり”が通達されました。 その結果ケアマネージャーから利用者の方に相見積もりが必要であることが説明されます。 住宅改修する上で必須条件ではありませんが、複数社から見積もりをもらうことで自己負担額が減る可能性もあります。 ここもケアマネージャーに相談するポイントとして忘れないようにしましょう。 まとめ ・屋外ではなく屋内の方が転倒の危険性が高い。 ・転倒には内的要因と外的要因の2つがある。 ・転倒により大腿骨を骨折してしまった場合寝たきりの生活となる可能性もあり、転倒予防は非常に大切。 ・怪我をしなかった場合でも、転倒してしまった恐怖から歩くことにネガティブになりそのまま歩行困難となってしまう恐れがある。 ・自宅でできる転倒予防としてなによりもまず歩行や簡単な運動が大切。 ・少しの段差でも転倒につながるので、室内スロープを置いて段差解消を行う。 ・介護保険が使える方は置き型や突っ張り型手すりを設置し、転倒予防を行う。 ・置き型や突っ張り型手すりの設置が難しい浴室には、介護保険を使用し住宅改修を行って手すりを設置することを検討する。 ・いかなる手すりの設置にも、まずはケアマネージャーに相談する。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。
介護予防支援としてのデイサービスとは具体的にどんな所なのでしょうか。 この記事では、介護予防のデイサービスの目的や利用する方法、対象者、種類や料金を紹介します。 介護予防としてのデイサービスとは? 介護予防のデイサービスとは、高齢者が集まり心身機能の回復または低下しないように訓練を日帰りで行う場所です。 高齢者が住み慣れた場所で生活できることを目的としています。 サービス内容は「生活機能の向上のための機能訓練」です。 生活機能とは人が暮らしていく上で必要な能力で、特に高齢者は自立した生活を送る為に欠かせません。 高齢者の生活機能は基本的日常生活動作と手段的日常生活動作と2つに分類されます。 基本的日常生活動作 【歩く】【食事】【着替え】【入浴】【整容】 手段的日常生活動作 【交通機関の利用】【電話対応】【買物】【家事】【服薬管理】 これらの機能の回復または維持をして在宅で自立した生活ができることを目的としています。 参考サイト:高齢者の生活機能|健康長寿ネット 介護予防のデイサービスを利用するには? 利用する方法は、住んでいる市町村窓口で介護保険申請をします。 以下が介護保険申請の流れです。 ①お住まいの市町村の窓口で介護保険認定申請 申請時に必要な物は「申請書」と「介護保険被保険証」になります。 介護保険被保険証とは、お住まいの市町村から65歳以上の方に発行される保険証です。 64歳から40歳以上の場合は「医療保険証」が必要です。 ②申請後は、認定調査が行われる 認定調査とは、市町村職員または市町村から委託を受けた職員が、自宅に来て現在の心身の状態や暮らしについて調査を行うことです。 ③市町村からの依頼でかかりつけ医が主治医意見書を作成 主治医意見書とは、かかりつけ医が病歴や治療した内容など身体に関することを記載したものです。 かかりつけ医がない場合は、市町村の医師または市町村が指定する医師に作成依頼ができます。 ④主治医意見書と認定調査を基に、コンピューターが判定を行う コンピューター判定のことを「一次判定」と言います。 目的は介護度の目安を出すことです。 ⑤それぞれの専門職が集まり「介護認定調査会」を行う 介護認定審査会とは、認定調査結果や主治医意見書により算出された一次判定をもとに、専門職が集まり審査を行うことです。 これを「二次判定」と言います。 専門職は、保健、医療、福祉の学識者で構成されています。 ここは審査の判定を行う場所なので、介護区分の決定をする権限はありません。 ⑥市町村が介護区分認定を決定・通知 市町村は介護認定結果を申請日から、原則30日以内に出さなければなりません。 そのため、介護認定が分かるまで1か月かかります。 サービスを受けたいと思っても、時間がかかってしまうので注意が必要です。 参考サイト:厚生労働省 サービス利用までの流れ|介護保険の解説 介護保険認定後は、以下のような区分に分けられます。 要支援1 基本的日常生活は自立しているが、手段的日常生活(公共交通機関の利用、電話対応、買物、家事、服薬管理)に介助が必要とする人 要支援2 要支援1の状態に加え、歩く状態が安定せず、介護が必要になる可能性がある人 要介護度1 基本的日常生活に介助が必要で、歩く状態が安定せず、加えて認知機能低下も見られる人 要介護度2 基本的日常生活と手段的日常生活のどちらとも介助が必要で、認知機能低下が見られる人。 要介護度3 自分で歩くことが出来ず、杖、歩行器、車いすを使用している人。 基本的日常生活と手段的日常生活の介助が必要な人。 要介護度4 思考力や判断能力が著しく低下している人。 日常生活の場で常に介助が必要な人。 要介護度5 寝たきり状態で会話も困難で常に介護が必要な人。 要介護度は数字が大きくなってくると、介護度が重くなるという判定になります。 参考サイト:介護保険の介護度とは|健康長寿ネット 【目安がわかる】要介護度とは?8段階の状態像と受けられる介護サービス|みんなの介護 介護予防のデイサービスを利用できる人は? 介護保険申請が非該当でも、事業対象者に該当すると介護予防のデイサービスは利用できます。 事業対象者とは、基本チェックリストに該当する方です。 基本チェックリストとは、25項目の質問に答えて身体状態をチェックできるツールになります。 ▼こちらが実際のチェックリストです。 厚生労働省 表4 基本チェックリスト 運動機能低下、低栄養状態、口腔機能の低下、閉じこもり、認知機能の低下、うつ病の可能性などが判断の基準になります。 基本チェックリストを実施できる場所は、地域包括支援センターや行政です。 地域包括支援センターとは、介護の相談窓口です。 専職員が集まり、住み慣れた地域で暮らしていけるようにサポートしています。 参考サイト:LIFULL介護【はじめての方へ】地域包括支援センターとは?その役割と賢い活用法 チェックリストは、介護保険申請に比べると面倒な手続きがなく5分〜10分で行えます。 参考サイト:基本チェックリストの概要 介護予防のデイサービスはどんな種類やサービスがあるのか 多様なサービスが受けられるように、デイサービスの種類は4つあります。 サービスの種類 サービスの内容 ①通所型介護 ・生活に関する支援 ・生活機能向上の為の機能訓練 ②通所型サービスA ・通所型介護より小さいデイサービス ・運動、レクレーション ③通所型サービスB ・利用者の自主的な通いの場 ・体操、運動 ④通所型サービスC ・3~6か月で生活機能向上を目指す ・運動や栄養改善のプログラムの実施 それぞれサービス内容に特徴があるので具体的に解説します。 ①通所型介護 入浴、排泄、食事、機能訓練、相談など日常生活に関する支援を受けられます。 一番の特徴は、在宅で暮らす上で必要な機能訓練サービスを行っていることです。 機能訓練とは、身体の維持と向上を目指す訓練です。 介護サービス提供者が利用者の身体状況に合わせて目標を設定しプランを作成します。 ②通所型サービスA 通所型サービスAでは、運動やレクリエーションが行われます。 レクリエーションとは、介護現場では娯楽や余暇ではなく心身の向上を目指すことが目的です。 レクリエーションの種類は、身体を使う、手先を使う、頭を使うなどがあります。 通所型介護と比べると小規模のデイサービスです。 ③通所型サービスB サービスの内容は、体操や運動で、利用者主体の通いの場となります。 サービスの提供がボランティアや町内会なので、職員もボランティア主体となります。 イメージとしては、いきいきサロンや町内会の集まりです。 ④通所型サービスC サービスの内容は、3〜6カ月の短期間で生活機能向上を目指します。 実施するプログラム内容は、運動機能や栄養改善などです。 提供が市町村の保健・医療の専門職になっています。 参考サイト:介護予防・日常生活支援総合事業 ガイドライン|厚生労働省 介護予防のデイサービス費用は? デイサービスの費用は市町村によって違います。 以下は2022年10月現在の熊本市の通所型サービスの利用料金です。 通所型介護 料金 要支援1 1,672円/月 要支援2 3,428円/月 基本料金に加え、必要に応じて加算がついてきます。 加算とは、サービスの提供体制や利用者の状況に応じて発生するお金のことです。 加算の内容は、運動器機能向上加算、栄養加算、口腔機能向上加算などがあります。 それぞれの加算は、必要なサービスであると判断された場合介護サービス提供者がプランを作成しサービス提供します。 参考サイト:【開業】介護報酬の構造、加算・減算とは? 通所型介護や通所型A.B.Cは、市町村事業になるので、詳しい金額は異なります。 上記金額は、目安になるのでお住まいの市町村にお問合せかホームページで確認をおすすめします。 【まとめ】 いかがでしたでしょうか。 介護予防のデイサービス利用についてお伝えしました。 ・介護予防のデイサービスは「生活機能の向上のための機能訓練を行う」場所である。 ・介護予防のデイサービスを利用するには、市町村で介護保険申請をする必要がある。 ・介護予防のデイサービスが利用できる対象者は要支援1.2と事業者対象者である。 ・事業対象者は、基本チェックリスト該当者である。 ・介護予防のデイサービスの種類は①通所型介護②通所型サービスA③通所型サービスB④通所型サービスCの4つである。 ・費用は市町村事業の為、金額が異なるので確認がおすすめである。 最後までお読みいただきありがとうございました。
特別養護老人ホーム、老人保健施設、デイサービスやヘルパーなど介護には様々なサービスがあります。 その中に二泊三日など一時的に施設に入所する”ショートステイ”というサービスは皆さんも聞いたことがあるのではないでしょうか。 今回はショートステイの利用方法やメリットの注意点を解説します。 家族の方が介護疲れをリフレッシュできるよう、ぜひ参考にしてみてください。 ショートステイとは?利用方法は?費用は? ショートステイとは”短期入所”とも呼ばれ、主に高齢者の方が一時的に介護施設に入所するサービスを言います。 家族の方の都合で一泊や二泊のみの利用の方もいれば、一週間や二週間いらっしゃる方もいたりと、利用日数については利用する方の都合によって差があります。 ショートステイで過ごす間は、そこに入所している利用者の方と基本的に同じように生活します。 そしてショートステイには介護保険を利用する場合と、そうでない場合の2パターンあります。 大きな違いは利用施設と費用、利用方法、そして施設の雰囲気です。 介護保険を利用する場合 介護認定を受けていることが利用の必須条件となります。 【短期入所生活介護】と【短期入所療養介護】と二つに分かれ、利用施設も異なります。 短期入所生活介護の場合の多くは特別養護老人ホームになり、入浴などの生活サポートの他、レクリエーションやリハビリを行います。 短期入所療養介護の場合は老人保健施設が主となり、生活サポートだけでなく医療や看護のサポートも充実しており、医療型ショートステイとも呼ばれています。 両者の価格を比較すると、短期入所療養介護の方が少し高く設定されています。 しかし、どちらとも介護保険を使っての利用となりますので基本的に1割か、所得に応じて2〜3割の負担となります。 金銭的負担も少ないことはメリットなのですが、利用する方も多く空きがない場合もよくあることがデメリットです。 利用方法はまず担当のケアマネージャーに相談しましょう。 お盆や年末年始など時期によっては空きがない場合も多いので、そういった時期に利用したい場合は早めに相談してください。 そうでない場合もなるべく早めに相談した方が希望が通りやすくなるので気を付けておきましょう。 ケアマネージャーに相談して空きがあったあとは、ケアマネージャーと利用施設の担当者でケアプランを作成します。 その後事業者と契約し、ショートステイの利用が可能となります。 施設の雰囲気はどちらも認知症や自立度の低い方など一人での生活が難しい方が集まる施設です。 自立度の高い方が利用するには、少し落ち着かない場合もあります。 事前に施設の情報や雰囲気を情報収集し、なるべく「次回の利用はしたくない」とならないよう、ケアマネージャーに相談して決めましょう。 介護保険を利用しない場合 利用施設は有料老人ホームとなります。 費用については介護保険を利用できないので、全額自己負担となり金銭的に心配なのがデメリットです。 しかし、介護保険を必要としないということは介護認定の有無は問われないということなので、どなたでも利用できる点はメリットでもあります。 入所されている方も比較的自立度の高い方が多いので、度の低い方や介護認定のされていない方がショートステイとして利用する場合も馴染みやすい雰囲気です。 また介護保険を使ったショートステイと違い金銭的負担が大きいため、空きがある場合も多いです。 利用したい場合は基本的にまず施設に問い合わせをしてみましょう。 ショートステイによって家族の方の介護疲れが一時的に和らいでも、生活する中で介護の負担はかかるものです。 ショートステイにポジティブなイメージを持ってもらい、次の利用につながるよう特に初回の施設は慎重に選びましょう。 ショートステイを利用するメリット ショートステイを利用するメリットには、以下のことが考えられます。 家族の方の場合 やはり一番大きいのは日々の介護の負担軽減と言えます。 家で介護をするというのは身体的負担だけでなく、精神的にも負担があります。 やりたいこと、行きたい場所があってもなかなか行動できないことで、介護疲れの心配がでてきます。 デイサービスやヘルパーで日中の負担の軽減も大切ですが、介護の生活から一旦離れることで介護疲れを癒しましょう。 またリフレッシュの目的だけでなく、自身が入院や体調を崩すこともあります。 その際他に介護できる方がいない場合にも、ショートステイを利用していれば安心して家を空けることができます。 急にショートステイを利用しなければならない事態に備えるためにも、事前にショートステイを利用して練習しておくと良いでしょう。 利用者の方の場合 一番の利点は施設に慣れることができるという点です。 ショートステイを何回も利用したり、長期間利用している施設に入所することになる場合もあります。 そこの施設の職員や利用者の方と顔見知りになれたり、施設の空気に慣れていれば入所のストレスは 軽減されます。 たとえ認知症を患っており覚えていなかったとしても、職員がその方にあったケアやサポートを事前に知ってくれているのは安心です。 ショートステイで気をつけておきたいこと ショートステイを利用することはメリットだけではありません。 注意点もあることを十分念頭に置いておくことが必要です。 介護保険においての注意点 まず気をつけたいのがショートステイは1か月で30日しか利用できない決まりだということです。 31日目は全額自己負担となり、その後また1日目から介護保険を使用できます。 次に要介護度で利用日数に制限があることです。 というのも、介護認定を受けるにあたって要介護度別に与えられる単位数に違いがあります。 その単位数を超えない範囲でショートステイを利用しましょう。 超えてしまうと自費になってしまいますので、ケアマネージャーに確認しながら利用日数を決めてください。 ショートステイで過ごす上での注意点 まずは持ち物に関してです。 毎日飲んでいる薬や湿布など、服用しているものがあれば必ず忘れないようしましょう。 ショートステイを利用する方の中に、まれにですがご家族の方が慌てて薬を持ってこられる場合があります。 薬だけでなくこれがないと落ち着かない、だったり、初めてや慣れない場所で緊張する方もいます。 いつも以上に持ち物には配慮しましょう。 また下着や衣服、ハンカチなど自宅から持っていくものには全て名前を書きましょう。 入所している方は本当に色んな方がいらっしゃり、自分のものと勘違いされる方もいます。 トラブルを防ぐためにもきちんと名前を書いておいてください。 そして一番大切なのが利用する方の意見や感想を大切にすること。 個室なのか多床室なのか、職員の雰囲気などショートステイの施設にも違いがたくさんあります。 利用する前と後でギャップをなるべく減らすために、資料やネットの情報だけでなくケアマネージャーから情報を得たり、見学してみるのも良いでしょう。 初めてのショートステイで利用中に「帰りたい」や「もう来たくない」と言う利用者の方も多くいらっしゃいます。 帰宅後、ショートステイはどうだったか、もし嫌だったのであれば何が嫌だったのかを聞いてみてください。 他施設で改善できそうなのか、ショートステイ自体が難しそうなのか、話し合ってみましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 日々の介護で介護者は身体的だけでなく、精神的にも非常に負担がかかっているものです。 ショートステイを上手く利用して、心と身体をしっかりとリフレッシュしましょう。 ・介護保険を使用するショートステイは金銭的負担は少ないが、空きがない場合も多いので数か月前にケアマネージャーに相談しましょう。 ・介護保険を使用しない場合のショートステイは全額自己負担のため、金銭的負担は大きいがその分空いている可能性も高い。 ・利用する側も介護者側も一度ショートステイをして施設の雰囲気に慣れることで練習となる。 ・ショートステイは一か月に30日までしか利用できない。 ・介護度によって介護保険内で利用できる日数も違ってくるので、ケアマネージャーと事前に確認しておく。 ・日ごろから服用している薬は日数分忘れないよう持参して持ち物には全て名前を記入する。 ・利用する本人の希望や感想を大切にして、ショートステイにネガティブな印象をなるべく持たないよう配慮する。 最後までお読みいただきましてありがとうございました。
親が弱くなってきた時に考えるのが、デイサービス利用です。 元気で過ごしてもらうためにも、デイサービスでの機能訓練は効果があります。 今回は、デイサービスの機能訓練についてご紹介します。 デイサービスとは? デイサービスは、利用者が家に閉じこもっているのを防いで、交流を広げることができる場所です。 家族の介護負担を軽くするという目的もあります。 利用者が家で暮らしを続けられるように、利用者に様々なサービスが提供されるからです。 日帰りかつ自宅までの送迎もあるので、本人も受け入れやすくなっているのもポイント。 ですので、デイサービスは閉じこもり予防ができ、交流の場になるのです。 デイサービスの提供サービスは、以下のようなものがあります。 食事 入浴 機能訓練 口腔機能向上サービス 「入浴」、「機能訓練」、「口腔機能向上サービス」を受けるためには、加算が算定されます。 加算が算定されますが、充実したサービスを受けることが可能です。 デイサービスの提供サービスの中でも、「機能訓練」について説明していきます。 デイサービスでの機能訓練の効果とは デイサービスで機能訓練を受けると、様々な効果があります。 本人だけでなく、家族にも効果があるのです。 自宅での暮らしを続けることができる 1人でできることが増える 自宅への閉じこもりを防げる 認知症予防になる 加齢による起こりやすい病気(誤嚥性肺炎など)を予防できる 家族の介護負担を軽くできる デイサービスでの機能訓練 機能訓練は、利用者が住みなれた家で元気に暮らしを続けられるように、アプローチするものです。 機能訓練は、デイサービスでは「個別機能訓練加算」という項目があり、大きな役割を担っています。 機能訓練とは? 機能訓練とは、生活していくために必要な動きを保ったり、改善を図るものです。 歳を重ねると身体機能が低下し、これまでできていたことが難しくなったりします。 例えば、家に閉じこもりがちになったり、ひどくなると寝たきりになります。 本人だけでなく、家族の介護量も増えます。 こういったことを防ぐ役割があるのが、機能訓練です。 機能訓練を行うことで、生活していくために必要な動きを保ったり、改善することが可能なのです。 機能訓練は、身体機能のみにアプローチするものではありません。 要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない。 ※指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準第92条より 精神面や家族の介護負担軽減にも、アプローチする必要があるのが特徴です。 機能訓練の内容は? 機能訓練の内容として、大きく3つに分けることができます。 身体機能の改善 生活機能の改善 疾病や疾患の維持・予防 それぞれ紹介します。 身体機能の改善 関節や筋肉に、直接アプローチします。 例えば、「歩く時にフラフラしなくなった」、「腕があがるようになった」などです。 歩行訓練や関節可動域訓練、筋力増強訓練などです。 生活機能の改善 自立した生活を送るために、アプローチします。 例えば、「1人でトイレに行くことができる」、「1人でお風呂に入ることができる」などです。 ズボンの上げ下ろしの動作や、浴槽をまたぐ動作の練習を行います。 なれてきたら、実際に現場で行います。 疾病や疾患の維持・予防 加齢とともにさまざまな機能が低下して、疾病を引き起こします。 例えば、誤嚥性肺炎です。 誤嚥予防のために、摂食訓練や嚥下訓練を行います。 機能訓練を行う人は? デイサービスでの機能訓練は、医師の指示は必要ありません。 ですが、スタッフの誰もが機能訓練を実施するわけではありません。 国家資格保有者である「機能訓練指導員」が、機能訓練を担当します。 医療知識のある職種のスタッフが行うため、抱えている悩みも相談できます。 機能訓練を実施できる人 理学療法士 作業療法士 言語聴覚士 看護師 准看護師 柔道整復師 あん摩マッサージ指圧師 実際に機能訓練をしよう デイサービスで機能訓練をするためには、流れがあります。 しっかり流れを踏んで、親に機能訓練に取り組んでもらいましょう。 すでにケアマネとデイサービスと契約した前提で、機能訓練実施の流れを紹介します。 機能訓練指導員の居宅訪問がある 機能訓練指導員が作成した「個別機能訓練計画書」に署名と捺印 機能訓練指導員が作成した「機能訓練メニュー」に取り組む 定期的に機能訓練の効果判定を受ける ※これを3ヶ月サイクルで繰り返す 居宅訪問 ケアマネージャーなどが自宅への訪問(居宅訪問)することがあります。 利用者の家での生活能力や問題点をしっかり把握するためです。 利用者の生活環境に合った機能訓練を実施するためにも、必要になっています。 このため、居宅訪問が必要になるのです。 個別機能訓練計画書、機能訓練メニュー 居宅訪問が終わると、機能訓練指導員が個別機能訓練計画書を作成します。 居宅訪問の結果を内容に反映しなければならないので、ひとりひとり内容が異なっているのです。 内容は、家での生活を続けていく上での目標や機能訓練メニューが設定されています。 説明を受け十分に納得してから、計画書に署名と捺印をしましょう。 これで、機能訓練がスタートです。 機能訓練メニューに沿って、取り組んでいきましょう。 気になることがあれば、機能訓練指導員に尋ねてください。 効果判定 機能訓練に取り組んだら、終わりではありません。 3ヶ月に1回、効果判定があります。 それぞれのデイサービスで内容は異なりますが、体力測定で身体機能を評価するところが多いです。 機能訓練に取り組んできた内容が正解だったのか、目標設定をクリアしたのかみるために、重要です。 まとめ ここまで、デイサービスでの機能訓練について、紹介してきました。 デイサービスは、利用者が家で暮らしを続けられるように、様々なサービスが提供されます。 機能訓練の効果には以下のものがあります。 1人でできることが増える 自宅への閉じこもりを防げる 認知症予防になる 加齢による起こりやすい病気(誤嚥性肺炎など)を予防できる 家族の介護負担を軽くできる 機能訓練は、身体機能のみでなく、精神面や家族の介護負担軽減にもアプローチする 機能訓練の内容は、「身体機能の改善」、「生活機能の改善」、「疾病や疾患の維持・予防」 機能訓練は、国家資格保有者の「機能訓練指導員」が担当する 機能訓練は、3ヶ月サイクルで効果判定があり、繰り返される 親が弱くなってきたなと感じたら、デイサービスで機能訓練に取り組むことを考えましょう。 親に機能訓練に取り組んでもらうことで、いつまでも元気で家で過ごしてもらえるからです。 デイサービスは体験利用があっているところも多く、お試しで1回利用してみるのも手です。 親が介護を必要とする状態になる前に、デイサービスで機能訓練を受けてみてください。 最後までご覧いただき、ありがとうございました。