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認知症について

  • 親が認知症化かも!認知症の疑いのある親を早く受診させる方法とは

    親が年齢を重ねると、子供の心配事の一つになるのは親の認知症です。 親の認知症を疑うのは子供にとって心苦しいものですが、認知症の症状に気づくのが遅れると家族の生活は一変します。 この記事では、認知症の疑いのある親を早く受診させるための方法を「もし自分の親が認知症になったら」という視点でステップ毎に紹介します。 認知症の疑いをどのように確認し、どう接するのか、また今後どうするのか対応方法を一緒に考えてみましょう。 本当に認知症なのか? 認知症は脳の病気で、記憶や自己判断力という認知機能の低下という症状があります。 65歳以上の高齢者の方が認知症を発症する可能性が高いといわれていますが、65歳未満の方も発症する若年性認知症も増えています。 まずは、「本当に認知症なのか?」を判断し、治療が必要なのか判断するのが、子供にできる第一歩です。 もの忘れか、認知症か? もの忘れか、認知症か、子供でも判断は容易ではないでしょう。 もの忘れは、高齢者の方でなくても多忙な時や加齢など誰にでも起こる症状ですが、認知症となると話は変わってきます。 もの忘れは一時的なもので、何かヒントがあれば思い出すため、日常生活に支障はありません。 しかし、認知症は忘れたことを本人が自覚できず、ヒントがあっても思い出せないなど日常生活に支障が出る言動をとります。 ただし、注意深くみていないと気がつきにくいため、子供も知らない間に親の認知症が進むこともあるのです。 加齢などによるもの忘れと認知症の違いは、一般的に次のとおりです。確認しておきましょう。 もの忘れ ・忘れたことを本人が自覚している ・記憶の一部を忘れているが、ヒントがあれば思い出す ・判断力はある ・日常生活は支障なくできる 認知症 ・忘れたことを本人が自覚していない ・ヒントがあっても、思い出せない ・判断力が低下している ・日常生活に支障がある もの忘れは、きっかけがあれば思い出しますが、認知症はそもそも記憶力が低下しているため、日常生活に支障がある症状です。 ステップ①親の認知症を疑う前のチェック 認知症の兆候は分かりにくいものですが、早期発見・早期治療につなげるために、子供が親の言動に違和感を持ち、いち早く認知症の兆候に気づく必要があります。 そして親の認知症を疑う前に、子供が簡単にチェックしておくことが大切です。 子供がチェックできる項目 1.家族すべての名前を言えない 2.同じ会話を何度も繰り返す 3.自分の名前や簡単な漢字が書けない 4.家の中にごみが散乱している 5.新聞や郵便物を確認していない 6.期限切れの食品がたくさんある 7.同じ食品や日用品がたくさんある 8.友達や近所の人との交流がなくなった 9.人を疑いやすくなった 10.身だしなみに気を遣わなくなった 11.季節や気温に合わせた服を着ていない   特に別居している子供は、定期的に電話で安否確認するとともに、少しでも会話に違和感があれば自宅に帰り、異変を早めに察知することが大切です。 日常の生活はどうしているのか、困り事がないかなど、自然な会話で質問しながら確認するなどのテクニックが必要になります。いずれも親の異変に気づく手がかりになるでしょう。 ステップ②認知症の疑いがある場合 認知症ではないかと思えば、専門機関での受診につなげていけるよう、まずは相談していくことを考えましょう。 認知症の疑いがある親が自覚していなくても、子供や友達など周りの人の気づきがあれば子供だけで悩みを抱え込まないでください。 早めに専門家に相談、受診させることが最優先の対応です。 主な相談先 かかりつけ医 地域包括支援センター 親にかかりつけ医がいる場合、気がかりなポイントをメモにして、親と一緒に同席して相談しましょう。 かかりつけ医がいない場合、お住まいの地域包括支援センターに相談すれば、色々なアドバイスや情報をもらえます。 早めに治療を開始できれば、適切な医療や介護につなげられます。 受診拒否がある場合 本人が受診しようという気になっていない場合、受診させることはとても難しいです。 認知症ではないかと親本人に伝えても自覚がない分、はぐらかしたり、プライドを傷つけられて怒り出すこともあります。 子供にとっても、早く受診させなければと気持ちが焦り「説得」を試みますが、ここでは「納得」する伝え方が大切です。 ・健康診断として一緒に受診してみる。 ・早めの受診が有効な例を伝えてみる。 例:認知症の疑いで受診したら脳血管障害が見つかった :認知症症状ではなくて老人性うつ症状だった ・信頼おける第三者から声をかけてもらう。 身近な第三者からの声掛けも受診につながるケースが多いです。ケアマネが担当すれば、その点も考慮して受診につなげていく援助が受けられます。 認知症の症状を知っておく 認知症を事前に調べ、知っておくことも大切です。 認知症の原因や症状を事前に調べておかないと、受診した際のショックが大きく、親の治療方針や接し方など大切な情報まで頭が回らなくなります。 ネットや書籍などで専門医が監修する信頼性の高い情報を 事前に知識を得ておくことも必要です。 また認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)についても 事前に情報を得ておくと、早めの認知症予防につながります。 ステップ③親が認知症と分かった場合 親が認知症と分かった場合、子供はさらにショックを受けるでしょう。 これからの治療で症状が改善するか不明な状況で、今後どう対応し生活していくか、不安なことばかりになります。 特に誰が主に親をサポートするのか、介護サービスを利用した介護か、施設に入所してもらうのか早急な対応の決断をしなければなりません。 また場合によっては、介護離職の決断をせまられる可能性もあります。 親の認知症を受け入れるのは、子供にとってはショックな出来事です。 しかし、早急に適切な対応や処置を施さないと、症状は悪化するだけでなく、日常生活にも支障を生じます。 子供といえども選択を誤ると、親と子供にとって不幸な結果を招きかねないため、よく考えて決断しましょう。 症状の進行は意外と早い 症状の進行は意外に早いという家族の体験談をよく見かけます。 子供が気づかない間に症状が進行しているケースも見られるため、受診した時点では日常生活が困難という場合もあるのです。 認知症の種類と特徴をいち早く知り、今後の治療や親の生活を見極める必要があるでしょう。 自宅介護か施設入所か 親のために自宅で介護したいと思う方もいるでしょう。 認知症であっても身体が元気な方は、子供が目を離している間に、徘徊や昼夜逆転生活、暴言を浴びせられるなど症状の悪化します。 それと共に介護者の負担感が大きくなってしまいます。 まずは、相談先のかかりつけ医や地域包括センターに相談し 介護認定を早急に申請することが先決です。 そして可能な限り介護を家族で分担して行う、介護サービスを最大限活用するなど、介護負担を軽減する対策を決めておきましょう。 また自宅介護が困難と判断した時点で、早めに施設入所を決めておくことも大切です。 自宅介護が親にとって最適な対応とは限らないのです。 認知症は初期症状での早めの対応がポイント 認知症に限りませんが、病気や症状は早期発見、早期治療で 完治または症状の緩和や進行を遅らせることができます。 特に認知症の場合、症状が軽い間に今後の治療方針や介護 場合によっては施設の利用や入所など考える時間ができ 早めの対応や行動ができます。 子供は親の言動の変化をいち早く感じ取る立場です。 認知症の疑いが晴れれば、それで良し 認知症であれば、前向きに行動し親や子供にベストな環境をつくる 子供にとって大切な2つの心構えです。 まとめ 親に認知症の疑いがあれば、子供による早めのチェックで 医療機関の受診につなげることが大切です。 ・早めに相談、受診につなげる ・子供は親の診察に付き添う ・認知症の症状を事前に知っておく ・親の介護生活の情報を集めておく。 子供の世話になりたくないという親は多いでしょう。 しかし、本人が気づかない間に認知症の症状は進行します。 親が高齢になるまでに事前に介護の情報を目にしておくことや 定期的に健康や介護など話し合いを持ち、お互いを見守る環境をつくっておくことが大切な時代になりました。  

  • 認知症で徘徊をしてしまう!徘徊の正しい対処方法をご紹介!

    徘徊は認知症の症状の一つです。 外や家の中をうろうろ歩きまわるため、介護者の介護疲れの要因の一つに挙げられています。 一人暮らしをしている親に認知症がある場合、普段の生活について心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。 本記事では、徘徊中に電車にはねられてしまった方の判例を紹介し、徘徊のリスクや原因、対処方法について解説しています。 認知症のある方を介護している家族や介護職におすすめの記事ですので、ぜひ最後までお読みください。 認知症とは [caption id="attachment_2017" align="alignnone" width="512"] Asian caregiver and a senior woman at the room[/caption] 認知症は、一度発達した脳が病気や障害などさまざまな原因により認知機能が低下し、日常生活全般に症状が出てくる状態のことです。 2020年現在、日本国内の65歳以上の人で認知症のある人は約600万人いるとされています。 これはおおよそ6人に1人が認知症になっていることになり、2025年には700万人、5人に1人が認知症になるといわれています。 認知症の症状とは 認知症の症状には、中核症状と周辺症状の大きく2通りに分けられます。 ではどのような症状なのかを確認していきましょう。 中核症状 中核症状は、記憶の障害や、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力、判断力の低下などがみられる症状です。 脳が萎縮したり脳卒中で損傷を受けたりすることで症状が出現することがあります。 中核症状には以下のような特徴があります。 数分前や数時間前の出来事を忘れている 同じことを何度も言う 同じ物を何度も買ってくる 等 周辺症状 周辺症状は、中核症状を原因として二次的に起こる症状のことです。 記憶や見当識があいまいになることで不安を感じ、心理面や行動面に症状がでてきます。 時間や場所の認識がなく、自分がなぜここにいるのかわからなくなり とりあえず歩き回った結果徘徊に至る 財布をどこに置いたかわからなくなり、身近にいる子や嫁が持っていってしまったと 取り繕うことで物盗られ妄想に至る これまで受けていた介護でも、理解力が低下し何をされるのかわからず 介護者の手を払い除けた結果介護拒否と言われる 認知症のある人の介護でもっとも大変なことの一つは、この周辺症状への対応かもしれません。 徘徊は周辺症状の一つ 徘徊は周辺症状の一つで、目的もなくうろうろ歩き回ることとされています。 介護者からするとただ歩き回っているように見え、何度も繰り返したり、制止が効かなかったりすることがあります。 そのため、介護者にとっては負担を感じやすい症状です。 徘徊に至る要因は、記憶力や見当識が低下することで、その場で起きていることの理解や判断ができない不安から、徘徊という行動をとっていると考えられます。 自分がどこにいるのか、何をしていたのか、周りにいる人が誰だかわからないという状況の中、とても大きな不安を感じている中での行動と言えるでしょう。 安全に歩ける環境であればまだよいですが、認知症により危険に対する認識がなくなってしまうこともあります。 歩道があるのに車道を歩いてしまったり、信号を守れなかったりすることもあるかもしれません。 住み慣れた集合住宅の敷地内を散歩して自宅に戻れなくなる事例も多くあります。 徘徊はなぜ起きる? 徘徊が起こる原因には、いくつか原因が考えられます。 身体的な違和感が原因 徘徊する原因には何かがしたいと思っていたのに、そのことを忘れてしまうため、その違和感により徘徊してしまうのです。 この場合、排泄や飲食をすることで気持ちが落ちつき、徘徊が落ち着くことがあります。 排泄が原因の場合は、主治医に相談をして排泄に関する薬を飲むことで落ち着く場合が考えられます。 日々の排泄など体調管理を行うようにしましょう。 心理的なストレスが原因 夕方や夜になると気持ちが落ち着かなくなり、外に出かけようとする方がいらっしゃいます。 これは認知障害だけでなく、不安や焦燥感などを感じてしまい、その衝動が徘徊になってしまうのです。 ストレスの内容には以下のような事柄があげられます。 ・過去の習慣によるもの ・若い時や数年前の記憶などが蘇ることで誤認してしまう ・判断力や記憶力が低下してしまったため、行きたい場所を忘れてしまう ・不安や不満などによるもの 普段からよく観察し、何がストレスになっているのかを考えたり、ご本人に話を聞いてみてください。 ストレスを軽減することができれば、徘徊の症状を改善することができるかもしれません。 環境によるもの 環境が変わることで居心地悪く感じてしまい、徘徊になることがあります。 ご本人が過ごしやすい環境にし、居心地よくしてあげることで徘徊を抑えることができます。 前頭側頭型認知症 前頭側頭型認知症は人格や社会性をつかさどる前頭葉と、言語や記憶、聴覚をつかさどる側頭葉が萎縮してしまう病気です。 前頭側頭型認知症になると、以下のような症状が現れます。 ・人目を気にしなくなる ・感情が抑制できなくなる ・同じことを繰り返す 前頭側頭型認知症は病気自体が原因で徘徊行動を起こしてしまいます。 徘徊に関する判例(2021年3月28日 京都新聞) 2007年12月7日、愛知県で、妻と二人暮らしをしている高齢男性が電車にはねられ死亡しました。 男性には認知症があり、デイサービスから帰宅後まもなく、妻がうたた寝をした6〜7分の間に外出し、事故に遭っています。 所持金はなかったものの、改札をすり抜けて電車に乗り、一つ先の駅で降りたあと、ホームにおり、フェンスの扉を開けて線路に入った様子でした。 そのため、トイレを探して迷い込んだと見られています。 一審では妻の居眠りが過失にあたり、介護方針を決めていた別居の息子にも監督義務があったとして、2人は約720万円の支払いを命じられました。 二審でも、対象者から息子を外し、支払額を半額の360万円とした判決がでています。 この判例は、認知症のある方の介護をしている介護者から大きな反響があり、社会問題となります。 徘徊のある人に対して24時間見守り続けなければならず、家に鍵をかけて閉じ込めておくしかないのかと、ニュースでも連日報道されていました。 その後の2016年3月、最高裁は請求を棄却し、認知症の人による事故で防ぎきれないものまでは家族が責任を負わない、とするはじめての判決が下されたのです。 徘徊への対処方法 上記判例では逆転勝訴で無罪という判決がでましたが、事故が起きてから判決がでるまで9年かかりました。 この間の家族の不安は想像に絶します。 大きな事故や裁判に至らなくても、徘徊に関するトラブルは後を絶ちません。 そして、徘徊自体をなくすことは自宅や部屋に鍵をかけて閉じ込めてしまう以外には難しいでしょう。 では、認知症により徘徊のある人に対してどう対処していけば良いかを、一つずつ解説していきます。 関わりによる対処方法 徘徊している本人に対し、介護者の見守りや声かけで対応をします。 辻褄の合わないことを行っている時でも、否定はせず本人なりの徘徊の理由を理解しましょう。 なぜ歩いているのか理由を聞くだけでも安心できる場合もあります。 帰宅願望などで「家に帰ります」と言いながら歩いている場合でも、「外は寒いので上着をきましょう」「車を呼んでいるからお茶を飲みながら待ちましょう」などと、気を逸らすことも効果的です。 サービスや福祉用具による対処方法 どんなに上手に介護していても、1人で認知症のある方の介護を続けるには限界があります。 デイサービスやショートステイなどの介護保険サービスをうまく使い、プロに任せられる部分は任せましょう。 少しでも介護から離れる時間を作り、介護者が自由に使える時間を作ることも大切なことです。 また、ベッドや自宅の出入り口などにセンサーを設置することで、徘徊に速やかに気づけます。 認知症のある本人を閉じ込めるのではなく、動きを察知して対処することが可能です。 地域と連携する対処方法 徘徊だけでなく、認知症のある方の介護をしていくには、地域との連携を図ることが大切です。 家族だけで介護していくにはいずれ限界がやってきます。 本人が不安がっていたら声をかけてもらうよう近所の方に話をしておいたり、ゴミの出し方を間違えているようであれば、否定しないように指摘してもらったりすることも効果的です。 家族だけが抱え込むのではなく、うまく地域と連携しその方をケアすることで本人も家族も安心して生活できます。 まとめ  いかがでしたでしょうか。 本記事では、認知症による徘徊から電車にはねられ訴訟に至った判例や、徘徊への対処法について解説しました。 認知症の症状には中核症状と周辺症状がある。 徘徊は周辺症状の一つで、介護者にとっては負担感の大きいものである。 周囲から見ると、目的なく歩き回っているように見えるが、認知症による記憶や見当識 理解力や判断力が低下したことで起こる不安から出てくる症状である。 対応としては否定するのではなくその人の不安を取り除く関わりが必要。 介護者だけが抱え込むのではなく、介護保険サービスやセンサーの活用 地域との連携が徘徊への対処方法として大切である。 今後認知症がありながらも地域の中で暮らしていく方は増えていきます。 徘徊で自宅に帰れなくなる場面に出くわすこともあるかもしれません。 地域によっては徘徊と呼ばずに「ひとり歩き」と言う地域もあります。 認知症のある方の不安を取り除けるよう対処し、本人も介護者も安心して生活できるように関わっていくようにしましょう。

  • 認知症を改善・予防する3つの方法とは?食べ物や運動の効果について解説

    「認知症の症状を改善したい」 「認知症にならないように予防したい」 そう考えることはないでしょうか。 認知症の症状は正しいケアをすることで改善できます。 また生活習慣を整えることによって認知症は予防することが可能です。 この記事では認知症の症状の改善や認知症の予防について解説していきます。 認知症の予防にはカレーがおすすめ みんな大好きなカレー、もはや国民食と言っても良いでしょう。 そんなカレーですが、実は認知症の予防に効果があると言われてます。 カレーを食べれば認知症予防になる!カレーの3つの効果 ではカレーはどのような理由から認知症予防に効果があると言われているのでしょうか。 詳しく解説していきます。 【効果①】カレーに含まれるスパイスの一種クルクミンに秘密がある カレーに含まれる代表的なスパイスにターメリックがあります。 そのターメリックにはポリフェノールの一種であるクルクミンが含まれていますが、そのクルクミンに認知症の原因となる「アミロイドβ」の生成を防ぎ、分解する作用があると言われています。 実際にシンガポールに住む60歳から93歳の1,000人を調査した結果によると、カレーを一ヶ月に一回食べる人は、まったく食べない人と比較して認知症の発症率が50%も低かったという調査もあります。 【効果②】カレーはバランスの良い優秀な食べ物。 カレーは肉や野菜など様々な具材が入っているバランスの良い食事です。 バランスの良い食事は低栄養状態を防ぎ、筋肉量の低下を防ぐことにも繋がります。 筋肉量の低下を防げれば転倒防止になり、寝たきりリスクを減らすこが可能です。 寝たきり状態は認知症リスクを高めるため、いかに転倒しないよう注意するかが大切です。 筋肉量を維持するためにもバランスの良い食事を心がけましょう。 【効果③】料理をすること自体が認知症予防になる カレーだけでなく料理全般に言えることですが、料理は脳と身体を使います。 同時に脳と身体を使うことにより認知症の予防になると言われています。 料理は「献立を考える」「具材の買出し」「料理の段取りを考える」「実際に料理をする」「味を整える」「盛り付ける」など複数の工程から成り立ちます。 複数のことを同時に進めるには、脳の司令塔である「前頭葉」を使うため、脳に良い刺激となるため、認知症予防になると言われています。 また、作った料理を誰かに食べてもらう喜びも、感情的に脳に良い刺激になるでしょう。 認知症の予防には適度な運動が最適 運動が健康に良いと良く言われていますが、これは本当のことです。 では認知症の予防に対してどこまで効果があるのでしょうか。 なぜ運動が認知症予防になるのか?4つの理由 運動すればすぐに認知症予防になるわけではなく、継続的に運動を続けていく必要があります。 その理由について以下で解説していきます。 ①運動することで脳への血流が改善し、栄養や酸素が行き渡りやすくなる 高齢者やアルツハイマー型認知症の方は、若い人と比較して脳への血流低下が見られます。 そのため脳に必要な栄養や酸素が行き届かなくなり、脳機能に影響を及ぼすと言われています。 しかし、定期的に運動すれば身体の血流が改善され、脳に必要な栄養や酸素が行き届くようになります。 また歩くことで脳の血流を良くするアセチルコリンの分泌が増えるとも言われています。 ②運動することで物理的に脳が成長する 運動をすると脳の神経を成長させるBDNFという物質が海馬で分泌されます。 BDNFには 代表的な効果に「脳細胞の新生を促す」「脳細胞の老化を遅らせる」「脳細胞が傷つかないように保護する」などがあります。 運動することでBDNFを分泌させ、海馬の機能維持や成長に効果を得るのです。 海馬は記憶を司る機能があるため、海馬の機能維持や成長を促すことは認知症予防に大きな効果があります。 ③運動によって認知症の危険因子である高血圧、肥満、糖尿病のリスクを減らせる 肥満、高血圧、糖尿病は認知症の危険因子とも言われています。 実際に成人後期のBMI(体格指数)が「肥満」と判定された人は、「正常」な範囲内にある人と比較して、認知症を発症するリスクが3割も増加するというデータがあるほどです。 認知症を予防するためにはこれらの危険因子を改善する必要があります。 定期的な運動は肥満の解消になり、ひいては高血圧や糖尿病リスクも軽減させることが可能です。 当然ですが運動をしても暴飲暴食をしては意味がないので、あわせて食生活も整えていきましょう。 ④運動により認知症の原因物質が取り除かれる。 認知症を予防するためには、「アミロイドβ」や「タウたんぱく」という毒素を脳内から取り除く必要があります。 なぜなら、認知症は「アミロイドβ」や「タウたんぱく」といった毒素が脳内に溜まることで発症すると言われているからです。 「運動習慣のない人」の脳内には「アミロイドβ」や「タウたんぱく」が排出されないことが判明しています。 その詳しいメカニズムは解明されていませんが、運動により脳内の血流が改善し、結果として老廃物と一緒に原因物質が排出されるのではないかと言われています。 認知症予防にはどんな運動が効果的? では実際に認知症予防に効果的な運動はどういったものか解説していきます。 認知症の予防では決して激しい運動をする必要はありません。 逆に無理のない範囲で行える有酸素運動が効果的であると言われています。 ①ウォーキング 「歩く」ことは認知症の予防に効果的です。 血圧があまり上がらない程度の無理のない歩行を行うと、海馬でのアセチルコリン(脳の血流を良くする物質)の分泌量が増え、海馬の血流が良くなります。 1日3.2㎞歩くと、認知症発生率は42%低下するというデータもあります。 歩行する際の目安は1日30分以上、週3回を目安に取り組みましょう。 ②コグニサイズ コグニサイズは英語のcognition (認知) とexercise (運動)を組み合わせた造語で、国立長寿医療研究センターが開発した「ながら運動」になります。 コグニサイズ(ながら運動)は、身体運動と同時に認知課題に取り組むことによって、認知症予防を目的としたエクササイズになります。 具体的には、①身体運動(歩行や足踏み運動など)と②認知課題(足し算引き算などの計算)を同時に、30秒で1セットを目安に行います。 国立長寿医療研究センターが愛知県で行った調査によると、軽度認知症と診断された高齢者のうち、コグニサイズを行ったグループは記憶テストの成績が改善し、脳萎縮の進行も抑えられたというデータもあります。 水分を飲むことで認知症の周辺症状が改善する 脱水により引き起こされる症状には認知症の周辺症状によく似た症状があるため、認知症と間違われてしまうことがよくあります。 ただ、しっかりと水分を摂取し脱水を防ぐことにより症状は治まります。 脱水による症状にはどういうものがある? まずは認知症の周辺症状によく似た脱水の症状には「せん妄」があります。 せん妄は一種の意識精神障害で、高齢者に多く見られる症状です。 せん妄の症状は「見当識障害(時間や場所を上手く認識できなくなる)」「思考力の低下」「注意力の低下」「感情の変動」など認知症の症状と非常によく似ています。 せん妄は脱水のほかに身体疾患や薬の影響などでも症状が現れることがあります。 また、以下のような症状が起きることもあるので。注意が必要です。 傾眠脱水…意識が朦朧としてウトウトとする状態 便秘…水分摂取が少なくなることで、便が硬くなり排便することが困難になる。 脱水にならないためには? 脱水にならないためには1日に2,500㎖の水分摂取が必要と言われています。 「そんなにたくさん飲めない」と感じるのではないでしょうか。 しかし、水分は飲むだけでなく、食事からも摂取できます。 例えば、味噌汁、果物、野菜などが挙げられます。 一般的に普段の食事から1,000㎖は摂取しているので、純粋な水分からの必要摂取量は1,500㎖ほどで大丈夫です。 効率的に水分を取って頂くために 高齢者や認知症のかたに一日1,500㎖の水分を摂取して頂くのは難しいものです。 以下のような方法で水分摂取を促してみましょう。 お茶の時間を定期的に設ける ゼリーや寒天を上手に使う 本人の好みに応じた水分を提供する スポーツ飲料などの吸収率の良いものを活用する 体操やレクリエーションの後に飲んでもらう 散歩時に外で水分を飲んでもらう まとめ ここまで認知症の周辺症状に効果のあることや、認知症予防に効果のあることを解説してきました。 認知症予防にはカレーがおすすめである   ・クルクミンが認知症に効果的   ・バランスの良い食事が認知症予防になる   ・料理をすることで認知症予防である 認知症予防には軽い運動がおすすめである   ・30分程度のウォーキングを週に3回程度行う   ・頭と身体を使ったコグニサイズを取り入れる 脱水を防げば認知症の周辺症状を改善できる   ・1日1,500㎖の水分摂取を目標にする   ・寒天やゼリー、本人の好みを意識して水分を飲んでもらう 最後までお読みいただきありがとうございました。  

  • 認知症専門医とは?かかりつけ医から専門医に変更するメリットを解説!

    「認知症専門医」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。 認知症を患った場合、進行を遅らせるための治療が重要です。 そのため、医師の選び方も関わってきます。 今回は、認知症の医療に特化した認知症専門医について紹介します。 認知症専門医とは? 認知症専門医とは、日本認知症学会および日本老年精神医学会に認定されている医師で、全国に約2,000人存在します。 主に精神科、神経内科、老年科に在籍しており、認知症の早期発見や早期治療を担っています。 しかし、人数が少ないため、お近くの病院に在籍していないこともあるので注意が必要です。 良い認知症専門医の見分け方 良い認知症専門医の見分け方のポイントは以下の3つがあります。 MRIなどの「画像診断」を行ってくれる 「認知症テスト」を実施してくれる 定期受診時に丁寧な「問診」を行ってくれる ここでは、3つのポイントをそれぞれ解説します。 丁寧な「問診」 良い認知症専門医の見分け方のポイント1つ目は「問診」です。 問診は、定期的な受診をすると必ず行われるものですが、内容が最も重要です。 良い認知症専門医は、認知症患者にどのような症状や行動があるのか、現状家族にどのような負担があるのか等、丁寧な聞き取りをしてくれます。 また、前回の受診時からそのような変化があるのか、それに対して今後の医療計画や薬の処方内容はどうしていくのか、話し合いの時間を設けてくれます。 介護家族は認知症患者の日々の様子や変化をしっかり専門医に伝えられるよう、現状の把握しておきましょう。 デイサービスや高齢者施設を利用している場合は、介護スタッフから事前に聞いておくことが重要です。 CTやMRIなどの「画像診断」 良い認知症専門医の見分け方のポイント2つ目は「画像診断」です。 CT(コンピュータ断層装置)やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)などを使い、脳の状態を画像で判断します。 実際の脳の画像を元に、認知症が以前と比べてどれだけ進行しているか、服用している薬の効き目があるのかを診断するため、より確実な医療方針を決められます。 また、定期的に画像診断を行うことで、認知症の進行度合いも把握できます。 数値化する「認知症テスト」 良い認知症専門医の見分け方のポイント3つ目は「認知症テスト」です。 認知症テストとは、認知機能障害の有無を調べるために行う簡単なテストです。 長谷川式スケールやMMSEという種類があり、テストの結果で認知症の状態を数値化し、どのくらいの認知機能障害があるか判断します。 認知症テストをすることで、実際にどれくらい認知症が進行しているのか把握できます。 認知症専門医を見つけるためには? 認知症専門医を見つけるために有効な手段は、「ケアマネジャー」や「地域包括支援センター」を尋ねることです。 ケアマネジャー ケアマネジャーは、介護や支援を必要とする方から相談を受け、心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるように介護計画を作成する役割を担う人です。 ケアマネジャーは、実際に介護現場で認知症患者のケアを経験したことがある人も多く、小認知症患者や介護家族に対しての理解があります。 地域の居宅介護支援事業所に常駐しているため、近くの事業所を探しましょう。 地域包括支援センター 地域包括支援センターは、地域内の高齢者の相談や権利擁護、支援体制作り、介護予防に必要な援助などを行う公的機関です。 全国に約5,000ヵ所以上あり、介護の必要の有無に関わらずすべての高齢者の相談を受ける施設です。 ホームページで確認する 認知症専門医は日本老年精神医学会と日本認知症学会のホームページからも検索することが出来ます。 公益社団法人日本老年精神医学会 日本認知症学会 また厚生労働省は、全国約250カ所に 「認知症疾患医療センター」を設置してます。 ここでは認知症専門医が鑑別診断や治療、精神保健福祉士などの専門の相談員による医療福祉相談など医療・福祉関係者を支援する体制が整えられているので、こちらを利用するのもいいかもしれません 認知症疾患医療センター 直接認知症専門外来を受診する方法もありますが、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。 認知症専門医にかかるメリット 認知症には治療法がないため、「早期発見・早期治療」が重要です。 早期発見から早期治療につなげることで、進行を遅らせることができます。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるメリットは、主に以下の4つがあります。 知識や経験が豊富なため、選択肢が増える 患者本人の変化や状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる 大きな病院などの医療連携が速やかである 選択肢が増える 認知症専門医にかかるメリット1つ目は、知識や経験が豊富なため「選択肢が増える」ことです。 かかりつけ医は認知症に関する知識が少ない場合もあります。 認知症には、明確な治療法がなく、一人ひとりの症状や環境に合わせたケアが重要です。 知識や経験が豊富な認知症専門医にかかることで、具体的なケアを考えることができます。 患者の状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット2つ目は、患者本人の変化や状態を把握し「常に医療方針を考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、認知症患者の心身の状態を把握し、新しい医療方針を提供してくれます。 かかりつけ医の場合は、定期検診で認知症患者に異常がなければ簡単に診察を終わらせてしまう可能性があります。 介護家族の負担を減らすことを考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット3つ目は、「介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、介護家族の負担を減らすことを考えて、医療方針を考えてくれます。 介護が負担になるという理由で薬を増やすだけでは、意味がありません。 飲み方を変える、別の薬を利用するなど、家族の意見とともに医療方針を決めていきます。 医療連携が速やかである 認知症専門医にかかるメリット4つ目は、大きな病院などの「医療連携が速やかである」ことです。 認知症専門医が在籍する科には、「認知症センター」や「もの忘れ外来」など認知症が専門となります。 認知症の専門外来には、脳の画像検査機器であるCTやMRIが設置されていることが多く、認知症患者の状態を正確に把握できます。 また、大きな病院とも連携しており、必要があれば速やかに受診できる仕組みです。 どのような時に認知症専門医にかかる? ここまで、認知症専門医について紹介しました。 しかし、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えれば良いのかわからない方も多いのではないのでしょうか。 認知症には明確な治療法がないため、認知症患者に合わせた早期治療が大切です。 以下の点が思い当たる場合、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えることをおすすめします。 認知症の症状の進行が明らかに早い 症状に変化があった場合、薬の調整しか行わない 認知症の進行が明らかに早い 認知症の進行が明らかに早いと感じた場合、治療法が合っていない場合があります。 認知症専門医に相談することで、薬以外の治療法も見つけることが可能です。 例えば、リハビリなどの運動療法や、楽器などを使用する音楽療法も効果が期待できる治療法などがあります。 治療で薬の調整しか行わない 認知症の症状である、うつ・徘徊などの治療薬として、抗精神病薬や睡眠薬が処方される場合があります。 しかし、患者の症状が進行した際、過度に服薬をすると副作用が大きくなります。 薬が効きすぎると、意識が朦朧とする、歩行が不安定になるなどの症状が現れることがあり、転倒などのリスクも高くなるため注意が必要です。 まとめ 今回は、認知症専門医についてと認知症専門医にかかるメリットをお伝えしました。 認知症専門医は、日本に約2,000人存在し、認知症の早期発見や早期治療を担う医師である。 良い認知症専門医を見分けるための3つのポイントは、「丁寧な問診」「CTなどを利用した画像診断」「認知症テストを用いた診断」である。 認知症専門医は、認知症患者の変化をしっかり把握し、医療方針を考えてくれる。 認知症専門医にかかるメリットは、「選択肢が増える」「患者の状態を把握し常に新しい医療方針を考えてくれる」 「介護家族の負担を減らすことを考えてくれる」「医療連携が速やかである」の4つである。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるタイミングは、「認知症の進行が明らかに早い」「治療で薬の調整しか行わない」場合である。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 認知症は改善できる?認知症の種類と改善例を解説!

    高齢者が発症しやすい病気としてよく聞く「認知症」。 しかし、認知症にもさまざまな種類があり、症状によっては改善したり進行を遅らせたりする方法があることをご存知でしょうか。 今回は、認知症の種類や改善例について紹介します。 認知症の種類と原因・症状 では認知症とはどのような症状がでるのか、種類や認知症の原因について解説します。 認知症とは? 認知症とは、脳の病気や障害などが原因で認知機能が低下する病気です。 認知症は高齢になるほど発症リスクが高まると言われ、2020年時点で日本の65歳以上の患者数は約600万人です。 認知症の代表的な症状として、以下の6種類があります。 自分の体験や過去の記憶が欠落する「記憶障害」 計画を立てて物事が行えなくなる「実行機能障害」 時間や場所など自分の状況が把握できなくなる「見当識障害」 言葉の理解や表出が難しくなる「言語障害(失語)」 ご飯を食べるなど日常的な行為ができなくなる「失効」 自分の体の状態や自分と物との位置関係などの空間認識が難しくなる「失認」 認知症は、一時的に思い出せない、一部分を忘れてしまうなどの加齢による物忘れとは異なります。 自分の環境や状況を正しく理解できない、今までできていたことができなくなるなど日常生活に支障をきたすようになります。 また、認知症には主に以下の4種類があります。 アルツハイマー型認知症 血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 4種類の認知症は、それぞれ発症する原因と症状が異なります。 それぞれの認知症の原因・症状 次に、4種類の認知症について紹介します。 アルツハイマー型認知症 「アルツハイマー型認知症」は、日本で最も多いと言われている認知症で、認知症患者全体の約63%を占めます。 脳の神経細胞にタンパク質であるアミロイドベータが溜まり、神経細胞が破壊され脳が萎縮することで起こります。 原因は、加齢や遺伝が影響する可能性が高いとされていますが、近年では、糖尿病や高血圧の人が発症しやすいと明らかになりました。 アルツハイマー型認知症の初期症状は、物忘れから始まり、食事をしたことを忘れるなど行動そのものを忘れる記憶障害が現れます。 症状の進行は緩やかですが、徐々に脳の萎縮が進行します。 血管性認知症 「血管性認知症」は、認知症患者全体の約20%を占め、2番目に多いとされる認知症です。 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害によって脳の血流が阻害され、脳の一部が壊死することで起こります。 原因は、脳梗塞などを引き起こす高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病です。 血管性認知症の症状は、障害が起きた脳の部位によって異なります。 主な症状には、歩行障害や手足のしびれ、排尿障害、言葉が出にくくなる言語障害、感情のコントロールができないなどの精神障害があります。 また、脳梗塞や脳出血などの血管障害の発作を繰り返すと症状も重くなっていきます。 レビー小体型認知症 「レビー小体型認知症」は、神経細胞にできる特殊なタンパク質である「レビー小体」が脳に溜まり、神経細胞を破壊することで起こります。 しかし、レビー小体が脳に溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 レビー小体型認知症の症状には、手足の震えや体がこわばるなどの身体障害が挙げられ、徐々に進行し、転びやすくなります。 他にも、実際には存在しないものや人物が見える幻覚、うつ症状も現れます。 調子の良し悪しで、気分や行動が異なり、症状の変化が大きいことが特徴です。 前頭側頭型認知症 「前頭側頭型認知症」は、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで起こります。 65歳未満で発症することが多い認知症であり、10年以上かけて症状が進行していく場合がほとんどとなります。 原因は、脳に、異常構造物である「ピック球」が溜まることによるものと、タンパク質である「TDP-43」が溜まるものと言われています。 しかし、ピック球とTDP-43が溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 前頭側頭型認知症の症状には、性格が極端に変わることが多くなり、万引きや悪ふざけなどの反社会的行動が増える、衛生面の管理ができないなどが挙げられます。 また、同じ行動を繰り返す、身勝手な行動をとる、時間通りに行動しないと気がすまないなどの症状が特徴です。 症状が進行すると、言葉の意味がわからなくなる、言葉が出なくなる症状も現れます。 認知症は改善するの? 脳の神経障害によって起こる認知症には、現在根本的な治療法はないと言われています。 また、認知症は完治するものではありませんが、ケアによって症状の改善が見込まれる場合もあります。 次は、実際に体験した認知症の改善方法について紹介します。 認知症の改善例①食事を自己摂取されない高齢者Aさん 認知症の症状には、自分で食事をとる、洋服を着るなど、今までできていた行動ができなくなる「失効」があります。 認知症の進行により、食事を自己摂取できなくなった高齢者Aさんに自分で食べてもらうよう促しますが、何度スプーンを渡してもテーブルに戻してしまいます。 しつこく介助をすると、怒ることもありました。 実施したケア Aさんの座席の前に、よく喋りよく食べる高齢者Bさんに座っていただき、Bさんが食事する様子を見てもらいながら、最初は介助にて食事を取ってもらいます。 そして、お皿を持ってもらう、おかずをのせたスプーンを持ってもらうなど促すと、真似をして少しずつ自己摂取するようになりました。 また、Bさんが話しかけてくれることで笑顔や発語する様子も見られるようになりました。 認知症の改善例②介護スタッフが抱えて移乗していた高齢者Cさん Cさんは、認知症の症状によって意思の疎通が難しく、脚の力はありますが、ベッドから立ち上がってくれません。 また、ベッドから車いすに移る際に怖がってしまい、ベッド柵を握るなど力を入れてしまいます。 ベッド柵を握っていては安全に移乗ができないため、介護スタッフの肩に手を回してもらい、全介助にて移乗を行っていました。 実施したケア ベッドから立ち上がる、車いすに座るという行為を繰り返し行うことで、移乗の行為を覚えてもらうよう努めました。 その際、毎回車いすを見せて示すことで、「ここ(車いす)に座る」という認識をしてもらいやすくなります。 また、日常的に声掛けをすることで気持ちも穏やかになり、介護スタッフに対する不安などがなくなり、力むこともなくなりました。 最終的には、Cさんは見守りをするだけで車いすに移乗できるようになります。 ここで紹介したAさんとCさんは、一時的に認知症の改善が見られましたが、認知症が進行すると元の状態に戻ることも考えられます。 また、すべての認知症を持つ患者さんに当てはまるものでもありません。 しかし、声のかけ方や何度も繰り返し促すことで、理解できるようになる場合もあるため、一人ひとりに合ったケアが重要です。 まとめ 今回は、認知症の内容、改善例についてお伝えしました。 認知症とは、脳の神経に障害が起こることによって発症する病気である。 認知症は、記憶障害・実行機能障害・見当識障害・言語障害・失効・失認の症状が現れる。 認知症には、主に、アルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の4種類がある。 認知症は、現在も原因が明らかになっていないものが多い病気である。 認知症を治す治療法はなく、一人ひとりに合わせたケアが必要である。 認知症は、声のかけ方や促し方の工夫によって、改善が見られる場合もある。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 認知症は生活習慣改善が鍵だ!症状改善の試みやメカニズムを解説!

    皆さんは、記憶が失われていくアルツハイマー型認知症の症状改善に対する新たな試みが「NHK BS」の放送で紹介されたのをご存知ですか。 これまでは、薬による症状の進行を遅らせることが主な治療であった認知症が、生活習慣を徹底的に見直すことで症状を緩和するという新たな試みがクローズアップされて紹介されました。 認知症の症状や対策、改善事例を知ることで、認知症に対処できる明るい未来も見えてきているのです。 この記事では、認知症に苦しむ患者や家族にアメリカの脳科学者が提案した新たな治療法の模索など、最新の認知症に関する情報について紹介します。 未だ課題はありますが、認知症に苦しむ方やご家族の方は ぜひご一読ください。 認知症の症状改善に新たな試み 認知症は、今まで、改善する治療法はなく、唯一、薬で症状の進行を抑えるだけの対処法しかない症状でした。 しかし、現在では症状を改善させようとする新たな試みが注目されています。 その方法とは、食事や運動という生活習慣の改善により、症状を改善させる試みです。 ここでは、生活習慣を改善することで、認知症の症状を改善させる新しい方法について紹介します。 生活習慣改善は新たな認知症対策 認知症の患者数は、アメリカで約600万人、日本では約400万人といわれています。 認知症に苦しむ患者や家族は、社会でさまざまな制約を受けてしまいます。 認知症で日常生活まで支障を生じている現状を改善するために、主に薬による治療を受けているのが現状です。 しかし、近年、アメリカの脳研究者であり、アルツハイマー病の権威である医学博士デール・ブレデセン氏の30年間の研究の成果が世界で脚光を浴びています。 薬に頼らない認知症予防 デール・ブレデセン氏によると、認知症は薬だけの治療は症状の進行を抑えるだけで、根本的な治療ではないため、新たな治療法が必要だと説いていました。 その新しい治療法とは、生活習慣の改善(リコード法)です。 この方法は、薬に頼らず、生活の中心となる5つの習慣を見直すことで認知症を改善しようとする試みです。 生活習慣の基本5か条(リコード法) 生活習慣の基本5か条とは、次の5つの習慣を見直せば、認知症に効果があるとされ、リコード法と呼ばれています。 食事・・・・糖質を野菜中心の食生活に変える(ブロッコリーは特に効果的) 運動・・・・毎日30分以上の有酸素運動を行う 睡眠・・・・8時間の睡眠が必要 プチ断食・・夕食は寝る前の3時間までに摂る、夕食から朝食まで12時間は空ける ストレス軽減・・めい想する その他の環境・・毒性物質(カビ、大気汚染など)も影響する ヘルスコーチとの二人三脚 ヘルスコーチとは、医師の診断結果に基づき、生活習慣や環境を指導する役割を担います。 医師は病気の専門家ですが、食事などの生活習慣に対する具体的な改善方法までは提示しません。 特に認知症の症状改善には、生活習慣の改善が効果的であるため、ヘルスコーチによる生活改善が主体の治療が必要になります。 ヘルスコーチと患者や家族との二人三脚が大切なのです。 ある脳研究者の挑戦 アメリカの脳科学者でアルツハイマー病の権威であるデール・ブレデセン博士は、カリフォルニア大学で30年、認知症の研究を行ってきました。 その研究の中で、脳には1,000億個の神経細胞があり、アルツハイマー型認知症は神経細胞の先端のシナプスが死滅するメカニズムで発症することを突きとめたのです。 しかし、認知症の症状はさまざまで、現状は薬で症状の進行を抑える治療に留まっています。 デール・ブレデセン博士は、生活習慣の改善により認知症は改善するという信念のもとに、アルツハイマー病協会(アメリカ・シカゴ)に協力を求めています。 認知症の現状 認知症の現状として、人によって症状はさまざまです。。 しかし、医師の処方や診察、ヘルスコーチの指導による生活習慣を改善することで、認知症の進行は抑えられている症例を紹介します。 【日本人男性の例】 父親の介護中に物忘れが多くなった自分に気づき、病院で診察を受けた結果、認知症の発症を告げられました。 彼は薬を処方されたことにショックを受けます。 当時は保険会社勤めをしていましたが、ますます物忘れが進行していきます。 彼は、このまま仕事を続けると会社にも迷惑がかかると考え、退職しました。 現在は農業を営んでいます。 彼は、デール・ブレデセン博士のセミナーで感銘を受け、生活習慣の改善に努めるようになりました。 現在は進行の症状は少しずつではありますが抑えられています。 【アメリカ人女性の例】 親しい知人でも名前と顔を思い出せないほど認知症の症状が進行していました。 自分が認知機能が低下していると考えると日々怖く感じてしまい、日常生活に不安を感じていました。 生活習慣を改善した結果、認知症の進行が少しずつ抑えられ、4か月が経過した頃から効果を感じ始めるようになりました。 認知症の薬は症状の進行を抑えるだけ アミロイドβという物質は、早ければ40代から脳内に蓄積し始めます。 アミロイドβは、アルツハイマー病に重大な影響を与えるといわれています。 そのため、現在の新薬はアミロイドβ仮説に基づき開発されたものが患者に処方されています。 しかし、新薬でも認知機能の低下を完全に抑えることはできないのが実態です。 認知症に至るメカニズム 認知症に深く関わっているアミロイドβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)が大きく関与しているのです。 APPは脳細胞の運命を決めるともいわれる物質で、神経細胞に密集した斑点を形成します。 APPが蓄積すると脳は徐々に本来の機能を失い。認知症を発症します。 人によって認知症の症状はさまざま 「もの忘れ」と「認知症」の大きな違いは、体験の一部のみ忘れるか、過去の経験や体験を忘れるかです。 認知機能の低下には、次の6段階に分かれます。 非常に軽度 若干のもの忘れはあるが、日常生活に支障がない段階です。 軽度 家族や友人が変化に気づく段階です。 中等度 明らかな症状が見られる段階です。 やや重度 記憶障害や認知障害があり、サポートが必要な段階です。 重度 さらに記憶障害の進行が顕著になり、人格が変わる、大幅なサポートが必要な段階です。 非常に重度 アルツハイマー病の最終段階といわれ、環境への反応や会話が成立しない 異常な反射対応、筋肉の硬直なども見られるようになります。 生活習慣改善は認知症を予防する 認知症は病名ではなく、脳の認知機能の低下による症状です。 認知症を引き起こす疾患はさまざまですが、その中でも、次の4つの疾患が多数を占めています。 1.アルツハイマー型認知症 2.脳疾患性認知症 3.レビー小体型認知症 4.前頭側頭型認知症 この4つの疾患の内、脳疾患性認知症だけは脳血管に障害を受けて発症したものですが、その他3つの認知症は、脳の神経変性により発症します。 脳の神経変性は、主に糖分の摂りすぎによるインスリンの増加や、ビタミン・ホルモン不足などが引き金だと指摘されています。 生活習慣を見直し健康状態を保つことが、脳の神経変性を抑える効果があるのです。 生活習慣を改善したことで認知症への効果は? 2014年にデール・ブレデセン博士が論文で発表して以降、さまざまな症例の患者にリコード法を試みており、改善効果は次のとおりです。 軽度の認知障害・・・・・改善効果は50%程度 早期アルツハイマー病・・改善効果は30%程度 重度アルツハイマー病・・改善は困難 リコード法による症状の改善は、軽度から早期のアルツハイマー病に効果があると見られます。 今後の課題 リコード法はアルツハイマー病の新しい治療法ですが、すべてが確立された治療ではありません。 未だ、残された課題があります。 高額な検査費用 日本では、リコード法を活用した医療が進んでおらず、一部の医療機関しか対応していないのが現状です。 また、日本国内ではすべての検査ができず、海外に検査依頼しているため、高額な検査費用(約40万円)がかかります。 ヘルスコーチの絶対数の少なさ ヘルスコーチの絶対的な少なさも、リコード法の妨げになっています。 継続的な生活改善を続けるためには、ヘルスコーチによる指導や医師の治療が必要です。 ヘルスコーチの育成も課題の1つです。 まとめ この記事をまとめると次のとおりです。 ・認知症で処方される薬は、症状の進行を抑えるだけである ・生活習慣の見直しで症状を改善する可能性がある ・生活の基本5か条(リコード法)を知る ・早期の発見、対応に効果がある ・ヘルスコーチの協力が不可欠である 認知症が進行すると、日常生活でさまざまな問題が生じます。 また、患者や家族は悩み、苦しみ、場合によっては生命の危険を及ぼす行動をとるなど、社会的な問題を抱えています。 しかし、処方される薬に頼ることなく、患者本人や家族の努力の積み重ねでも症状が改善できる治療法もあることを覚えておいてください。 認知症は進行する前の早期発見、対応がポイントです。

  • 重度認知症でも「尊厳の保持」って守られている?介護現場の実情を解説!

    「施設で認知症の方のプライバシーや自由って守られてるの?」「もし自分の母親が認知症になったらどうなるんだろう?」と不安になりませんか。 今回の記事では認知症のかたの尊厳に関して、介護歴10年の介護福祉士が分かりやすく解説します。 介護現場で重度認知症のかたの尊厳は守られているのか? 「重度認知症」と「尊厳」という言葉、介護の世界ではよく聞く言葉です。 まずは言葉の意味を確認していきましょう。 重度認知症とはどういう状態? 重度認知症の方は自分のいる場所や時間、人の顔の判断が難しくなります。 それに、トイレや食事、衣類の更衣、お風呂といった日常生活を営む上で必要な生活動作を一人で行うことが困難になります。 普段の生活を営む上で介護者の助けが常に必要な状態です。 尊厳とは何か? 尊厳とは、その人の自尊心を守り人間を人間として扱うことです。 当たり前のことですが、お互いを尊重し自分がされて嫌なことは相手にもしないことです。 言葉の意味を押さえた上で介護の現場で重度認知症の方の尊厳が守られているか考えてみましょう。 結論としては認知症の方の尊厳は完璧には守られてはいないのが実情になります。 なぜなら「施設のハード面」や「施設のルール」、「介護職員の質」に左右される側面が大きいからです。 尊厳を「守れている施設」もあれば、「守れてない施設」もあり、「尊厳を守れている職員」もいれば、「守れてない職員」もいます。 なぜ重度認知症のかたの尊厳は守られないのか? ①どこかで重度認知症の方を下に見ている?馬鹿にしている? 当たり前のことですが人を馬鹿にするような行為は許されることではありません。 ただ、職員の中には重度認知症の方に対して、見下すような態度をする職員がいることは否定できません。 では、どのような心理が働いて重度認知症の方を見下すのでしょうか。 考えられる主な心理的な理由として、以下の内容が考えられます。 「どうせ言っても分からないから…」 「しゃべれないから別にいいや…」 「どうせすぐに忘れてしまうから…」 等 このような介護職員の心理が原因となり、重度認知症のかたの「羞恥心」や「自尊心」、「自由」を無視したような対応に繋がると考えられます。 ②重度認知症の方は意思表示をすることが困難なので介護士が主導ですべて決めてしまう 私たちは自分で意思表示をして、日常の生活を選択しています。 「いつ起きていつ寝るか」「いつ何を食べるか」「いつお風呂に入るか」など、様々な選択を自分の意思で判断して行っています。 しかし重度認知症のかたは自分の意思を表示することが困難な状態です。 頭では自分の考えがグルグルと巡っているのに肝心の言葉がなかなか出てきません。 本来であれば過去の生活歴や趣味嗜好に配慮したうえで介護職員が認知症の方の選択をサポートするのが理想です。 ただ、現状では介護職員が独断で判断している部分が多いのではないでしょうか。 ③施設のルールやハード面で尊厳の保持が難しい場合もある 介護施設では施設の種類により、入居者様の人数が多い施設もあれば少ない施設もあります。 ただ、基本的にどの施設でも集団での生活になります。 このような状況の中で、一人一人の趣味嗜好や要望に応えるのは困難な状況です。 重度認知症の方の尊厳が守られてないってどういう状況? では実際に尊厳の保持が守られてないってどういう状況なのか具体例を交えて解説していきます。 トイレ 排泄はズボンを下げ下半身を露出させるため、羞恥心に配慮すべき行為であります。 ただ、重度の認知症の方になると自分でズボンを下ろすことも困難な状態です。 それに便器という認識もできない方もいます。 そのため、介護職員がトイレへ付き添い介助するケースがほとんどです。 他人が隣にいる状態で用を足すことは誰でも嫌なものです。 お風呂 お風呂に入ることも羞恥心に配慮すべき行為で、誰しもが他者に裸を見られたくないでしょう。 ただ、前述したトイレと同様に認知症のかたは一人でお風呂に入ることが困難な状態です。 そのため、介護者に身体を洗ってもらうことになります。 大きい特別養護老人ホームなどでは、大浴場に複数の利用者様を入れる所もあります。 とても入居者様の羞恥心に配慮しているとは言えない状況です。 不適切な声かけ 認知症の方に対して不適切な声かけをする職員がいることも否定できません。 例えば、食事の時に「あーん」と赤ちゃん言葉を使ったり、トイレに誘導するときに「しっこ行こうか」など、羞恥心や自尊心を傷つける発言をする職員がいます。 逆の立場になったら馬鹿にされているようで嫌な気分になるのではないでしょうか。 相手の自尊心を傷つけないためにも言葉遣いには細心の注意を払うべきです。 本人の選択の自由が制限されている 介護施設では集団での生活になるため、施設のルールやタイムスケジュールで運用されていることが多いです。 例えば以下のような内容があります。 起床時間や就寝時間 食事の時間やメニュー 入浴の曜日や時間 外出の制限……等 私たちのような健常者から見ればいかにも窮屈な生活です。 言葉や向精神薬での抑制 認知症の方には様々な症状があります。 同じ言動を繰り返したり、帰宅願望だったりと様々です。 なかには徘徊する認知症の方が歩き回り他者の居室に入ったり、他者の私物を盗ったりすることもあります。 介護職員が徘徊などを制止するために「動かないでください」「立ったら危ないですよ」と制止する事もあります。 夜間帯など介護職員の人数に限りがある場合は、向精神薬で行動を抑制することもあります。 どうすれば重度認知症の方の尊厳は守られる? ではどのようにすれば重度認知症の方の尊厳を守れるのでしょうか? 「学校からイジメをなくそう」と同じようになかなか難しい問題ではあります。 ここでは尊厳を守るための3つのポイントをご紹介します。 ①職員の教育 接遇やプライバシーに関する研修を繰り返し行うことによって、他者の尊厳や自尊心を守ることの大切さを潜在意識まで刷り込むことが大切です。 研修を定期的に行うことが難しい施設もあると思います。 そういった場合には、朝礼などで遵守すべき行動規範を読み合わせるのも良いでしょう。 事業所のビジョンや目指すべき介護を繰り返し伝えることは重要です。 あと、不適切な職員は採用しないに尽きます。 ②職員間でお互いを相互評価する まず「相互評価で何を評価するのか?」が重要です。 「利用者様を制止する言動はないか」「利用者様を馬鹿にした言動をしてないか」「羞恥心に配慮した介助ができているか」など…。 こういった項目を職員間で無記名で評価することにより、不適切な言動の抑止力になるのではないでしょうか。 もちろん賞与の査定基準にすることも検討して良いでしょう。 ③職員一人一人が心の余裕を持つために無駄な業務は減らす 人間誰でも忙しくて時間に追われると、心の余裕が無くなりイライラするものです。 そういう時に入居者様に対して不適切な言動をすることがあるのではないでしょうか。 「ちょっと待ってください」「座ってください」と行動を制限する発言をしたり、利用者様の意思も確認せずに勝手にトイレに連れて行ったりと様々あるかもしれません。 忙しいことで一番重要な入居者様の「尊厳」や「自尊心」「羞恥心」を守れないのであれば本末転倒です。 思い切って利用者様にとって不必要な業務を排除してみるのも重要です。 「委員会」や「無駄な会議」、「書き物」「昔からの慣習で行っている業務」など削れる業務は削りましょう。 削って不都合があれば、また再開すれば良いのです。 まとめ ここまで重度認知症の方の尊厳の保持に関して解説してきました。 現状では尊厳を保持することは難しい側面があります。 ただ、取り組み次第では防げることもあります。最後に復習していきましょう。 重度認知症の方の尊厳の保持は守られてないのが現状である 重度認知症の方の尊厳を守るために職員の研修をすべきである 重度認知症の方の尊厳を守るために不適切な職員の採用は見送るべきである 重度認知症の方の尊厳を守るために職員間の相互評価を取り入れるべきである 重度認知症の方の尊厳を守るために職員の業務量を減らし余裕を持たせるべきである 最後までお読み頂きありがとうございました。

  • 親が認知症化かも!認知症の疑いのある親を早く受診させる方法とは

    親が年齢を重ねると、子供の心配事の一つになるのは親の認知症です。 親の認知症を疑うのは子供にとって心苦しいものですが、認知症の症状に気づくのが遅れると家族の生活は一変します。 この記事では、認知症の疑いのある親を早く受診させるための方法を「もし自分の親が認知症になったら」という視点でステップ毎に紹介します。 認知症の疑いをどのように確認し、どう接するのか、また今後どうするのか対応方法を一緒に考えてみましょう。 本当に認知症なのか? 認知症は脳の病気で、記憶や自己判断力という認知機能の低下という症状があります。 65歳以上の高齢者の方が認知症を発症する可能性が高いといわれていますが、65歳未満の方も発症する若年性認知症も増えています。 まずは、「本当に認知症なのか?」を判断し、治療が必要なのか判断するのが、子供にできる第一歩です。 もの忘れか、認知症か? もの忘れか、認知症か、子供でも判断は容易ではないでしょう。 もの忘れは、高齢者の方でなくても多忙な時や加齢など誰にでも起こる症状ですが、認知症となると話は変わってきます。 もの忘れは一時的なもので、何かヒントがあれば思い出すため、日常生活に支障はありません。 しかし、認知症は忘れたことを本人が自覚できず、ヒントがあっても思い出せないなど日常生活に支障が出る言動をとります。 ただし、注意深くみていないと気がつきにくいため、子供も知らない間に親の認知症が進むこともあるのです。 加齢などによるもの忘れと認知症の違いは、一般的に次のとおりです。確認しておきましょう。 もの忘れ ・忘れたことを本人が自覚している ・記憶の一部を忘れているが、ヒントがあれば思い出す ・判断力はある ・日常生活は支障なくできる 認知症 ・忘れたことを本人が自覚していない ・ヒントがあっても、思い出せない ・判断力が低下している ・日常生活に支障がある もの忘れは、きっかけがあれば思い出しますが、認知症はそもそも記憶力が低下しているため、日常生活に支障がある症状です。 ステップ①親の認知症を疑う前のチェック 認知症の兆候は分かりにくいものですが、早期発見・早期治療につなげるために、子供が親の言動に違和感を持ち、いち早く認知症の兆候に気づく必要があります。 そして親の認知症を疑う前に、子供が簡単にチェックしておくことが大切です。 子供がチェックできる項目 1.家族すべての名前を言えない 2.同じ会話を何度も繰り返す 3.自分の名前や簡単な漢字が書けない 4.家の中にごみが散乱している 5.新聞や郵便物を確認していない 6.期限切れの食品がたくさんある 7.同じ食品や日用品がたくさんある 8.友達や近所の人との交流がなくなった 9.人を疑いやすくなった 10.身だしなみに気を遣わなくなった 11.季節や気温に合わせた服を着ていない   特に別居している子供は、定期的に電話で安否確認するとともに、少しでも会話に違和感があれば自宅に帰り、異変を早めに察知することが大切です。 日常の生活はどうしているのか、困り事がないかなど、自然な会話で質問しながら確認するなどのテクニックが必要になります。いずれも親の異変に気づく手がかりになるでしょう。 ステップ②認知症の疑いがある場合 認知症ではないかと思えば、専門機関での受診につなげていけるよう、まずは相談していくことを考えましょう。 認知症の疑いがある親が自覚していなくても、子供や友達など周りの人の気づきがあれば子供だけで悩みを抱え込まないでください。 早めに専門家に相談、受診させることが最優先の対応です。 主な相談先 かかりつけ医 地域包括支援センター 親にかかりつけ医がいる場合、気がかりなポイントをメモにして、親と一緒に同席して相談しましょう。 かかりつけ医がいない場合、お住まいの地域包括支援センターに相談すれば、色々なアドバイスや情報をもらえます。 早めに治療を開始できれば、適切な医療や介護につなげられます。 受診拒否がある場合 本人が受診しようという気になっていない場合、受診させることはとても難しいです。 認知症ではないかと親本人に伝えても自覚がない分、はぐらかしたり、プライドを傷つけられて怒り出すこともあります。 子供にとっても、早く受診させなければと気持ちが焦り「説得」を試みますが、ここでは「納得」する伝え方が大切です。 ・健康診断として一緒に受診してみる。 ・早めの受診が有効な例を伝えてみる。 例:認知症の疑いで受診したら脳血管障害が見つかった :認知症症状ではなくて老人性うつ症状だった ・信頼おける第三者から声をかけてもらう。 身近な第三者からの声掛けも受診につながるケースが多いです。ケアマネが担当すれば、その点も考慮して受診につなげていく援助が受けられます。 認知症の症状を知っておく 認知症を事前に調べ、知っておくことも大切です。 認知症の原因や症状を事前に調べておかないと、受診した際のショックが大きく、親の治療方針や接し方など大切な情報まで頭が回らなくなります。 ネットや書籍などで専門医が監修する信頼性の高い情報を 事前に知識を得ておくことも必要です。 また認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)についても 事前に情報を得ておくと、早めの認知症予防につながります。 ステップ③親が認知症と分かった場合 親が認知症と分かった場合、子供はさらにショックを受けるでしょう。 これからの治療で症状が改善するか不明な状況で、今後どう対応し生活していくか、不安なことばかりになります。 特に誰が主に親をサポートするのか、介護サービスを利用した介護か、施設に入所してもらうのか早急な対応の決断をしなければなりません。 また場合によっては、介護離職の決断をせまられる可能性もあります。 親の認知症を受け入れるのは、子供にとってはショックな出来事です。 しかし、早急に適切な対応や処置を施さないと、症状は悪化するだけでなく、日常生活にも支障を生じます。 子供といえども選択を誤ると、親と子供にとって不幸な結果を招きかねないため、よく考えて決断しましょう。 症状の進行は意外と早い 症状の進行は意外に早いという家族の体験談をよく見かけます。 子供が気づかない間に症状が進行しているケースも見られるため、受診した時点では日常生活が困難という場合もあるのです。 認知症の種類と特徴をいち早く知り、今後の治療や親の生活を見極める必要があるでしょう。 自宅介護か施設入所か 親のために自宅で介護したいと思う方もいるでしょう。 認知症であっても身体が元気な方は、子供が目を離している間に、徘徊や昼夜逆転生活、暴言を浴びせられるなど症状の悪化します。 それと共に介護者の負担感が大きくなってしまいます。 まずは、相談先のかかりつけ医や地域包括センターに相談し 介護認定を早急に申請することが先決です。 そして可能な限り介護を家族で分担して行う、介護サービスを最大限活用するなど、介護負担を軽減する対策を決めておきましょう。 また自宅介護が困難と判断した時点で、早めに施設入所を決めておくことも大切です。 自宅介護が親にとって最適な対応とは限らないのです。 認知症は初期症状での早めの対応がポイント 認知症に限りませんが、病気や症状は早期発見、早期治療で 完治または症状の緩和や進行を遅らせることができます。 特に認知症の場合、症状が軽い間に今後の治療方針や介護 場合によっては施設の利用や入所など考える時間ができ 早めの対応や行動ができます。 子供は親の言動の変化をいち早く感じ取る立場です。 認知症の疑いが晴れれば、それで良し 認知症であれば、前向きに行動し親や子供にベストな環境をつくる 子供にとって大切な2つの心構えです。 まとめ 親に認知症の疑いがあれば、子供による早めのチェックで 医療機関の受診につなげることが大切です。 ・早めに相談、受診につなげる ・子供は親の診察に付き添う ・認知症の症状を事前に知っておく ・親の介護生活の情報を集めておく。 子供の世話になりたくないという親は多いでしょう。 しかし、本人が気づかない間に認知症の症状は進行します。 親が高齢になるまでに事前に介護の情報を目にしておくことや 定期的に健康や介護など話し合いを持ち、お互いを見守る環境をつくっておくことが大切な時代になりました。  

  • 認知症で徘徊をしてしまう!徘徊の正しい対処方法をご紹介!

    徘徊は認知症の症状の一つです。 外や家の中をうろうろ歩きまわるため、介護者の介護疲れの要因の一つに挙げられています。 一人暮らしをしている親に認知症がある場合、普段の生活について心配になってしまう方も多いのではないでしょうか。 本記事では、徘徊中に電車にはねられてしまった方の判例を紹介し、徘徊のリスクや原因、対処方法について解説しています。 認知症のある方を介護している家族や介護職におすすめの記事ですので、ぜひ最後までお読みください。 認知症とは [caption id="attachment_2017" align="alignnone" width="512"] Asian caregiver and a senior woman at the room[/caption] 認知症は、一度発達した脳が病気や障害などさまざまな原因により認知機能が低下し、日常生活全般に症状が出てくる状態のことです。 2020年現在、日本国内の65歳以上の人で認知症のある人は約600万人いるとされています。 これはおおよそ6人に1人が認知症になっていることになり、2025年には700万人、5人に1人が認知症になるといわれています。 認知症の症状とは 認知症の症状には、中核症状と周辺症状の大きく2通りに分けられます。 ではどのような症状なのかを確認していきましょう。 中核症状 中核症状は、記憶の障害や、時間や場所がわからなくなる見当識障害や理解力、判断力の低下などがみられる症状です。 脳が萎縮したり脳卒中で損傷を受けたりすることで症状が出現することがあります。 中核症状には以下のような特徴があります。 数分前や数時間前の出来事を忘れている 同じことを何度も言う 同じ物を何度も買ってくる 等 周辺症状 周辺症状は、中核症状を原因として二次的に起こる症状のことです。 記憶や見当識があいまいになることで不安を感じ、心理面や行動面に症状がでてきます。 時間や場所の認識がなく、自分がなぜここにいるのかわからなくなり とりあえず歩き回った結果徘徊に至る 財布をどこに置いたかわからなくなり、身近にいる子や嫁が持っていってしまったと 取り繕うことで物盗られ妄想に至る これまで受けていた介護でも、理解力が低下し何をされるのかわからず 介護者の手を払い除けた結果介護拒否と言われる 認知症のある人の介護でもっとも大変なことの一つは、この周辺症状への対応かもしれません。 徘徊は周辺症状の一つ 徘徊は周辺症状の一つで、目的もなくうろうろ歩き回ることとされています。 介護者からするとただ歩き回っているように見え、何度も繰り返したり、制止が効かなかったりすることがあります。 そのため、介護者にとっては負担を感じやすい症状です。 徘徊に至る要因は、記憶力や見当識が低下することで、その場で起きていることの理解や判断ができない不安から、徘徊という行動をとっていると考えられます。 自分がどこにいるのか、何をしていたのか、周りにいる人が誰だかわからないという状況の中、とても大きな不安を感じている中での行動と言えるでしょう。 安全に歩ける環境であればまだよいですが、認知症により危険に対する認識がなくなってしまうこともあります。 歩道があるのに車道を歩いてしまったり、信号を守れなかったりすることもあるかもしれません。 住み慣れた集合住宅の敷地内を散歩して自宅に戻れなくなる事例も多くあります。 徘徊はなぜ起きる? 徘徊が起こる原因には、いくつか原因が考えられます。 身体的な違和感が原因 徘徊する原因には何かがしたいと思っていたのに、そのことを忘れてしまうため、その違和感により徘徊してしまうのです。 この場合、排泄や飲食をすることで気持ちが落ちつき、徘徊が落ち着くことがあります。 排泄が原因の場合は、主治医に相談をして排泄に関する薬を飲むことで落ち着く場合が考えられます。 日々の排泄など体調管理を行うようにしましょう。 心理的なストレスが原因 夕方や夜になると気持ちが落ち着かなくなり、外に出かけようとする方がいらっしゃいます。 これは認知障害だけでなく、不安や焦燥感などを感じてしまい、その衝動が徘徊になってしまうのです。 ストレスの内容には以下のような事柄があげられます。 ・過去の習慣によるもの ・若い時や数年前の記憶などが蘇ることで誤認してしまう ・判断力や記憶力が低下してしまったため、行きたい場所を忘れてしまう ・不安や不満などによるもの 普段からよく観察し、何がストレスになっているのかを考えたり、ご本人に話を聞いてみてください。 ストレスを軽減することができれば、徘徊の症状を改善することができるかもしれません。 環境によるもの 環境が変わることで居心地悪く感じてしまい、徘徊になることがあります。 ご本人が過ごしやすい環境にし、居心地よくしてあげることで徘徊を抑えることができます。 前頭側頭型認知症 前頭側頭型認知症は人格や社会性をつかさどる前頭葉と、言語や記憶、聴覚をつかさどる側頭葉が萎縮してしまう病気です。 前頭側頭型認知症になると、以下のような症状が現れます。 ・人目を気にしなくなる ・感情が抑制できなくなる ・同じことを繰り返す 前頭側頭型認知症は病気自体が原因で徘徊行動を起こしてしまいます。 徘徊に関する判例(2021年3月28日 京都新聞) 2007年12月7日、愛知県で、妻と二人暮らしをしている高齢男性が電車にはねられ死亡しました。 男性には認知症があり、デイサービスから帰宅後まもなく、妻がうたた寝をした6〜7分の間に外出し、事故に遭っています。 所持金はなかったものの、改札をすり抜けて電車に乗り、一つ先の駅で降りたあと、ホームにおり、フェンスの扉を開けて線路に入った様子でした。 そのため、トイレを探して迷い込んだと見られています。 一審では妻の居眠りが過失にあたり、介護方針を決めていた別居の息子にも監督義務があったとして、2人は約720万円の支払いを命じられました。 二審でも、対象者から息子を外し、支払額を半額の360万円とした判決がでています。 この判例は、認知症のある方の介護をしている介護者から大きな反響があり、社会問題となります。 徘徊のある人に対して24時間見守り続けなければならず、家に鍵をかけて閉じ込めておくしかないのかと、ニュースでも連日報道されていました。 その後の2016年3月、最高裁は請求を棄却し、認知症の人による事故で防ぎきれないものまでは家族が責任を負わない、とするはじめての判決が下されたのです。 徘徊への対処方法 上記判例では逆転勝訴で無罪という判決がでましたが、事故が起きてから判決がでるまで9年かかりました。 この間の家族の不安は想像に絶します。 大きな事故や裁判に至らなくても、徘徊に関するトラブルは後を絶ちません。 そして、徘徊自体をなくすことは自宅や部屋に鍵をかけて閉じ込めてしまう以外には難しいでしょう。 では、認知症により徘徊のある人に対してどう対処していけば良いかを、一つずつ解説していきます。 関わりによる対処方法 徘徊している本人に対し、介護者の見守りや声かけで対応をします。 辻褄の合わないことを行っている時でも、否定はせず本人なりの徘徊の理由を理解しましょう。 なぜ歩いているのか理由を聞くだけでも安心できる場合もあります。 帰宅願望などで「家に帰ります」と言いながら歩いている場合でも、「外は寒いので上着をきましょう」「車を呼んでいるからお茶を飲みながら待ちましょう」などと、気を逸らすことも効果的です。 サービスや福祉用具による対処方法 どんなに上手に介護していても、1人で認知症のある方の介護を続けるには限界があります。 デイサービスやショートステイなどの介護保険サービスをうまく使い、プロに任せられる部分は任せましょう。 少しでも介護から離れる時間を作り、介護者が自由に使える時間を作ることも大切なことです。 また、ベッドや自宅の出入り口などにセンサーを設置することで、徘徊に速やかに気づけます。 認知症のある本人を閉じ込めるのではなく、動きを察知して対処することが可能です。 地域と連携する対処方法 徘徊だけでなく、認知症のある方の介護をしていくには、地域との連携を図ることが大切です。 家族だけで介護していくにはいずれ限界がやってきます。 本人が不安がっていたら声をかけてもらうよう近所の方に話をしておいたり、ゴミの出し方を間違えているようであれば、否定しないように指摘してもらったりすることも効果的です。 家族だけが抱え込むのではなく、うまく地域と連携しその方をケアすることで本人も家族も安心して生活できます。 まとめ  いかがでしたでしょうか。 本記事では、認知症による徘徊から電車にはねられ訴訟に至った判例や、徘徊への対処法について解説しました。 認知症の症状には中核症状と周辺症状がある。 徘徊は周辺症状の一つで、介護者にとっては負担感の大きいものである。 周囲から見ると、目的なく歩き回っているように見えるが、認知症による記憶や見当識 理解力や判断力が低下したことで起こる不安から出てくる症状である。 対応としては否定するのではなくその人の不安を取り除く関わりが必要。 介護者だけが抱え込むのではなく、介護保険サービスやセンサーの活用 地域との連携が徘徊への対処方法として大切である。 今後認知症がありながらも地域の中で暮らしていく方は増えていきます。 徘徊で自宅に帰れなくなる場面に出くわすこともあるかもしれません。 地域によっては徘徊と呼ばずに「ひとり歩き」と言う地域もあります。 認知症のある方の不安を取り除けるよう対処し、本人も介護者も安心して生活できるように関わっていくようにしましょう。

  • 認知症を改善・予防する3つの方法とは?食べ物や運動の効果について解説

    「認知症の症状を改善したい」 「認知症にならないように予防したい」 そう考えることはないでしょうか。 認知症の症状は正しいケアをすることで改善できます。 また生活習慣を整えることによって認知症は予防することが可能です。 この記事では認知症の症状の改善や認知症の予防について解説していきます。 認知症の予防にはカレーがおすすめ みんな大好きなカレー、もはや国民食と言っても良いでしょう。 そんなカレーですが、実は認知症の予防に効果があると言われてます。 カレーを食べれば認知症予防になる!カレーの3つの効果 ではカレーはどのような理由から認知症予防に効果があると言われているのでしょうか。 詳しく解説していきます。 【効果①】カレーに含まれるスパイスの一種クルクミンに秘密がある カレーに含まれる代表的なスパイスにターメリックがあります。 そのターメリックにはポリフェノールの一種であるクルクミンが含まれていますが、そのクルクミンに認知症の原因となる「アミロイドβ」の生成を防ぎ、分解する作用があると言われています。 実際にシンガポールに住む60歳から93歳の1,000人を調査した結果によると、カレーを一ヶ月に一回食べる人は、まったく食べない人と比較して認知症の発症率が50%も低かったという調査もあります。 【効果②】カレーはバランスの良い優秀な食べ物。 カレーは肉や野菜など様々な具材が入っているバランスの良い食事です。 バランスの良い食事は低栄養状態を防ぎ、筋肉量の低下を防ぐことにも繋がります。 筋肉量の低下を防げれば転倒防止になり、寝たきりリスクを減らすこが可能です。 寝たきり状態は認知症リスクを高めるため、いかに転倒しないよう注意するかが大切です。 筋肉量を維持するためにもバランスの良い食事を心がけましょう。 【効果③】料理をすること自体が認知症予防になる カレーだけでなく料理全般に言えることですが、料理は脳と身体を使います。 同時に脳と身体を使うことにより認知症の予防になると言われています。 料理は「献立を考える」「具材の買出し」「料理の段取りを考える」「実際に料理をする」「味を整える」「盛り付ける」など複数の工程から成り立ちます。 複数のことを同時に進めるには、脳の司令塔である「前頭葉」を使うため、脳に良い刺激となるため、認知症予防になると言われています。 また、作った料理を誰かに食べてもらう喜びも、感情的に脳に良い刺激になるでしょう。 認知症の予防には適度な運動が最適 運動が健康に良いと良く言われていますが、これは本当のことです。 では認知症の予防に対してどこまで効果があるのでしょうか。 なぜ運動が認知症予防になるのか?4つの理由 運動すればすぐに認知症予防になるわけではなく、継続的に運動を続けていく必要があります。 その理由について以下で解説していきます。 ①運動することで脳への血流が改善し、栄養や酸素が行き渡りやすくなる 高齢者やアルツハイマー型認知症の方は、若い人と比較して脳への血流低下が見られます。 そのため脳に必要な栄養や酸素が行き届かなくなり、脳機能に影響を及ぼすと言われています。 しかし、定期的に運動すれば身体の血流が改善され、脳に必要な栄養や酸素が行き届くようになります。 また歩くことで脳の血流を良くするアセチルコリンの分泌が増えるとも言われています。 ②運動することで物理的に脳が成長する 運動をすると脳の神経を成長させるBDNFという物質が海馬で分泌されます。 BDNFには 代表的な効果に「脳細胞の新生を促す」「脳細胞の老化を遅らせる」「脳細胞が傷つかないように保護する」などがあります。 運動することでBDNFを分泌させ、海馬の機能維持や成長に効果を得るのです。 海馬は記憶を司る機能があるため、海馬の機能維持や成長を促すことは認知症予防に大きな効果があります。 ③運動によって認知症の危険因子である高血圧、肥満、糖尿病のリスクを減らせる 肥満、高血圧、糖尿病は認知症の危険因子とも言われています。 実際に成人後期のBMI(体格指数)が「肥満」と判定された人は、「正常」な範囲内にある人と比較して、認知症を発症するリスクが3割も増加するというデータがあるほどです。 認知症を予防するためにはこれらの危険因子を改善する必要があります。 定期的な運動は肥満の解消になり、ひいては高血圧や糖尿病リスクも軽減させることが可能です。 当然ですが運動をしても暴飲暴食をしては意味がないので、あわせて食生活も整えていきましょう。 ④運動により認知症の原因物質が取り除かれる。 認知症を予防するためには、「アミロイドβ」や「タウたんぱく」という毒素を脳内から取り除く必要があります。 なぜなら、認知症は「アミロイドβ」や「タウたんぱく」といった毒素が脳内に溜まることで発症すると言われているからです。 「運動習慣のない人」の脳内には「アミロイドβ」や「タウたんぱく」が排出されないことが判明しています。 その詳しいメカニズムは解明されていませんが、運動により脳内の血流が改善し、結果として老廃物と一緒に原因物質が排出されるのではないかと言われています。 認知症予防にはどんな運動が効果的? では実際に認知症予防に効果的な運動はどういったものか解説していきます。 認知症の予防では決して激しい運動をする必要はありません。 逆に無理のない範囲で行える有酸素運動が効果的であると言われています。 ①ウォーキング 「歩く」ことは認知症の予防に効果的です。 血圧があまり上がらない程度の無理のない歩行を行うと、海馬でのアセチルコリン(脳の血流を良くする物質)の分泌量が増え、海馬の血流が良くなります。 1日3.2㎞歩くと、認知症発生率は42%低下するというデータもあります。 歩行する際の目安は1日30分以上、週3回を目安に取り組みましょう。 ②コグニサイズ コグニサイズは英語のcognition (認知) とexercise (運動)を組み合わせた造語で、国立長寿医療研究センターが開発した「ながら運動」になります。 コグニサイズ(ながら運動)は、身体運動と同時に認知課題に取り組むことによって、認知症予防を目的としたエクササイズになります。 具体的には、①身体運動(歩行や足踏み運動など)と②認知課題(足し算引き算などの計算)を同時に、30秒で1セットを目安に行います。 国立長寿医療研究センターが愛知県で行った調査によると、軽度認知症と診断された高齢者のうち、コグニサイズを行ったグループは記憶テストの成績が改善し、脳萎縮の進行も抑えられたというデータもあります。 水分を飲むことで認知症の周辺症状が改善する 脱水により引き起こされる症状には認知症の周辺症状によく似た症状があるため、認知症と間違われてしまうことがよくあります。 ただ、しっかりと水分を摂取し脱水を防ぐことにより症状は治まります。 脱水による症状にはどういうものがある? まずは認知症の周辺症状によく似た脱水の症状には「せん妄」があります。 せん妄は一種の意識精神障害で、高齢者に多く見られる症状です。 せん妄の症状は「見当識障害(時間や場所を上手く認識できなくなる)」「思考力の低下」「注意力の低下」「感情の変動」など認知症の症状と非常によく似ています。 せん妄は脱水のほかに身体疾患や薬の影響などでも症状が現れることがあります。 また、以下のような症状が起きることもあるので。注意が必要です。 傾眠脱水…意識が朦朧としてウトウトとする状態 便秘…水分摂取が少なくなることで、便が硬くなり排便することが困難になる。 脱水にならないためには? 脱水にならないためには1日に2,500㎖の水分摂取が必要と言われています。 「そんなにたくさん飲めない」と感じるのではないでしょうか。 しかし、水分は飲むだけでなく、食事からも摂取できます。 例えば、味噌汁、果物、野菜などが挙げられます。 一般的に普段の食事から1,000㎖は摂取しているので、純粋な水分からの必要摂取量は1,500㎖ほどで大丈夫です。 効率的に水分を取って頂くために 高齢者や認知症のかたに一日1,500㎖の水分を摂取して頂くのは難しいものです。 以下のような方法で水分摂取を促してみましょう。 お茶の時間を定期的に設ける ゼリーや寒天を上手に使う 本人の好みに応じた水分を提供する スポーツ飲料などの吸収率の良いものを活用する 体操やレクリエーションの後に飲んでもらう 散歩時に外で水分を飲んでもらう まとめ ここまで認知症の周辺症状に効果のあることや、認知症予防に効果のあることを解説してきました。 認知症予防にはカレーがおすすめである   ・クルクミンが認知症に効果的   ・バランスの良い食事が認知症予防になる   ・料理をすることで認知症予防である 認知症予防には軽い運動がおすすめである   ・30分程度のウォーキングを週に3回程度行う   ・頭と身体を使ったコグニサイズを取り入れる 脱水を防げば認知症の周辺症状を改善できる   ・1日1,500㎖の水分摂取を目標にする   ・寒天やゼリー、本人の好みを意識して水分を飲んでもらう 最後までお読みいただきありがとうございました。  

  • 認知症専門医とは?かかりつけ医から専門医に変更するメリットを解説!

    「認知症専門医」という言葉を初めて聞く方も多いのではないでしょうか。 認知症を患った場合、進行を遅らせるための治療が重要です。 そのため、医師の選び方も関わってきます。 今回は、認知症の医療に特化した認知症専門医について紹介します。 認知症専門医とは? 認知症専門医とは、日本認知症学会および日本老年精神医学会に認定されている医師で、全国に約2,000人存在します。 主に精神科、神経内科、老年科に在籍しており、認知症の早期発見や早期治療を担っています。 しかし、人数が少ないため、お近くの病院に在籍していないこともあるので注意が必要です。 良い認知症専門医の見分け方 良い認知症専門医の見分け方のポイントは以下の3つがあります。 MRIなどの「画像診断」を行ってくれる 「認知症テスト」を実施してくれる 定期受診時に丁寧な「問診」を行ってくれる ここでは、3つのポイントをそれぞれ解説します。 丁寧な「問診」 良い認知症専門医の見分け方のポイント1つ目は「問診」です。 問診は、定期的な受診をすると必ず行われるものですが、内容が最も重要です。 良い認知症専門医は、認知症患者にどのような症状や行動があるのか、現状家族にどのような負担があるのか等、丁寧な聞き取りをしてくれます。 また、前回の受診時からそのような変化があるのか、それに対して今後の医療計画や薬の処方内容はどうしていくのか、話し合いの時間を設けてくれます。 介護家族は認知症患者の日々の様子や変化をしっかり専門医に伝えられるよう、現状の把握しておきましょう。 デイサービスや高齢者施設を利用している場合は、介護スタッフから事前に聞いておくことが重要です。 CTやMRIなどの「画像診断」 良い認知症専門医の見分け方のポイント2つ目は「画像診断」です。 CT(コンピュータ断層装置)やMRI(核磁気共鳴コンピュータ断層装置)などを使い、脳の状態を画像で判断します。 実際の脳の画像を元に、認知症が以前と比べてどれだけ進行しているか、服用している薬の効き目があるのかを診断するため、より確実な医療方針を決められます。 また、定期的に画像診断を行うことで、認知症の進行度合いも把握できます。 数値化する「認知症テスト」 良い認知症専門医の見分け方のポイント3つ目は「認知症テスト」です。 認知症テストとは、認知機能障害の有無を調べるために行う簡単なテストです。 長谷川式スケールやMMSEという種類があり、テストの結果で認知症の状態を数値化し、どのくらいの認知機能障害があるか判断します。 認知症テストをすることで、実際にどれくらい認知症が進行しているのか把握できます。 認知症専門医を見つけるためには? 認知症専門医を見つけるために有効な手段は、「ケアマネジャー」や「地域包括支援センター」を尋ねることです。 ケアマネジャー ケアマネジャーは、介護や支援を必要とする方から相談を受け、心身の状況に応じて、介護サービスを受けられるように介護計画を作成する役割を担う人です。 ケアマネジャーは、実際に介護現場で認知症患者のケアを経験したことがある人も多く、小認知症患者や介護家族に対しての理解があります。 地域の居宅介護支援事業所に常駐しているため、近くの事業所を探しましょう。 地域包括支援センター 地域包括支援センターは、地域内の高齢者の相談や権利擁護、支援体制作り、介護予防に必要な援助などを行う公的機関です。 全国に約5,000ヵ所以上あり、介護の必要の有無に関わらずすべての高齢者の相談を受ける施設です。 ホームページで確認する 認知症専門医は日本老年精神医学会と日本認知症学会のホームページからも検索することが出来ます。 公益社団法人日本老年精神医学会 日本認知症学会 また厚生労働省は、全国約250カ所に 「認知症疾患医療センター」を設置してます。 ここでは認知症専門医が鑑別診断や治療、精神保健福祉士などの専門の相談員による医療福祉相談など医療・福祉関係者を支援する体制が整えられているので、こちらを利用するのもいいかもしれません 認知症疾患医療センター 直接認知症専門外来を受診する方法もありますが、かかりつけ医に相談するのもおすすめです。 認知症専門医にかかるメリット 認知症には治療法がないため、「早期発見・早期治療」が重要です。 早期発見から早期治療につなげることで、進行を遅らせることができます。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるメリットは、主に以下の4つがあります。 知識や経験が豊富なため、選択肢が増える 患者本人の変化や状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる 大きな病院などの医療連携が速やかである 選択肢が増える 認知症専門医にかかるメリット1つ目は、知識や経験が豊富なため「選択肢が増える」ことです。 かかりつけ医は認知症に関する知識が少ない場合もあります。 認知症には、明確な治療法がなく、一人ひとりの症状や環境に合わせたケアが重要です。 知識や経験が豊富な認知症専門医にかかることで、具体的なケアを考えることができます。 患者の状態を把握し常に医療方針を考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット2つ目は、患者本人の変化や状態を把握し「常に医療方針を考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、認知症患者の心身の状態を把握し、新しい医療方針を提供してくれます。 かかりつけ医の場合は、定期検診で認知症患者に異常がなければ簡単に診察を終わらせてしまう可能性があります。 介護家族の負担を減らすことを考えてくれる 認知症専門医にかかるメリット3つ目は、「介護家族側の負担を減らすことを考えてくれる」ことです。 認知症専門医は、介護家族の負担を減らすことを考えて、医療方針を考えてくれます。 介護が負担になるという理由で薬を増やすだけでは、意味がありません。 飲み方を変える、別の薬を利用するなど、家族の意見とともに医療方針を決めていきます。 医療連携が速やかである 認知症専門医にかかるメリット4つ目は、大きな病院などの「医療連携が速やかである」ことです。 認知症専門医が在籍する科には、「認知症センター」や「もの忘れ外来」など認知症が専門となります。 認知症の専門外来には、脳の画像検査機器であるCTやMRIが設置されていることが多く、認知症患者の状態を正確に把握できます。 また、大きな病院とも連携しており、必要があれば速やかに受診できる仕組みです。 どのような時に認知症専門医にかかる? ここまで、認知症専門医について紹介しました。 しかし、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えれば良いのかわからない方も多いのではないのでしょうか。 認知症には明確な治療法がないため、認知症患者に合わせた早期治療が大切です。 以下の点が思い当たる場合、かかりつけ医から認知症専門医に切り替えることをおすすめします。 認知症の症状の進行が明らかに早い 症状に変化があった場合、薬の調整しか行わない 認知症の進行が明らかに早い 認知症の進行が明らかに早いと感じた場合、治療法が合っていない場合があります。 認知症専門医に相談することで、薬以外の治療法も見つけることが可能です。 例えば、リハビリなどの運動療法や、楽器などを使用する音楽療法も効果が期待できる治療法などがあります。 治療で薬の調整しか行わない 認知症の症状である、うつ・徘徊などの治療薬として、抗精神病薬や睡眠薬が処方される場合があります。 しかし、患者の症状が進行した際、過度に服薬をすると副作用が大きくなります。 薬が効きすぎると、意識が朦朧とする、歩行が不安定になるなどの症状が現れることがあり、転倒などのリスクも高くなるため注意が必要です。 まとめ 今回は、認知症専門医についてと認知症専門医にかかるメリットをお伝えしました。 認知症専門医は、日本に約2,000人存在し、認知症の早期発見や早期治療を担う医師である。 良い認知症専門医を見分けるための3つのポイントは、「丁寧な問診」「CTなどを利用した画像診断」「認知症テストを用いた診断」である。 認知症専門医は、認知症患者の変化をしっかり把握し、医療方針を考えてくれる。 認知症専門医にかかるメリットは、「選択肢が増える」「患者の状態を把握し常に新しい医療方針を考えてくれる」 「介護家族の負担を減らすことを考えてくれる」「医療連携が速やかである」の4つである。 かかりつけ医から認知症専門医にかかるタイミングは、「認知症の進行が明らかに早い」「治療で薬の調整しか行わない」場合である。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 認知症は改善できる?認知症の種類と改善例を解説!

    高齢者が発症しやすい病気としてよく聞く「認知症」。 しかし、認知症にもさまざまな種類があり、症状によっては改善したり進行を遅らせたりする方法があることをご存知でしょうか。 今回は、認知症の種類や改善例について紹介します。 認知症の種類と原因・症状 では認知症とはどのような症状がでるのか、種類や認知症の原因について解説します。 認知症とは? 認知症とは、脳の病気や障害などが原因で認知機能が低下する病気です。 認知症は高齢になるほど発症リスクが高まると言われ、2020年時点で日本の65歳以上の患者数は約600万人です。 認知症の代表的な症状として、以下の6種類があります。 自分の体験や過去の記憶が欠落する「記憶障害」 計画を立てて物事が行えなくなる「実行機能障害」 時間や場所など自分の状況が把握できなくなる「見当識障害」 言葉の理解や表出が難しくなる「言語障害(失語)」 ご飯を食べるなど日常的な行為ができなくなる「失効」 自分の体の状態や自分と物との位置関係などの空間認識が難しくなる「失認」 認知症は、一時的に思い出せない、一部分を忘れてしまうなどの加齢による物忘れとは異なります。 自分の環境や状況を正しく理解できない、今までできていたことができなくなるなど日常生活に支障をきたすようになります。 また、認知症には主に以下の4種類があります。 アルツハイマー型認知症 血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 4種類の認知症は、それぞれ発症する原因と症状が異なります。 それぞれの認知症の原因・症状 次に、4種類の認知症について紹介します。 アルツハイマー型認知症 「アルツハイマー型認知症」は、日本で最も多いと言われている認知症で、認知症患者全体の約63%を占めます。 脳の神経細胞にタンパク質であるアミロイドベータが溜まり、神経細胞が破壊され脳が萎縮することで起こります。 原因は、加齢や遺伝が影響する可能性が高いとされていますが、近年では、糖尿病や高血圧の人が発症しやすいと明らかになりました。 アルツハイマー型認知症の初期症状は、物忘れから始まり、食事をしたことを忘れるなど行動そのものを忘れる記憶障害が現れます。 症状の進行は緩やかですが、徐々に脳の萎縮が進行します。 血管性認知症 「血管性認知症」は、認知症患者全体の約20%を占め、2番目に多いとされる認知症です。 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの脳血管障害によって脳の血流が阻害され、脳の一部が壊死することで起こります。 原因は、脳梗塞などを引き起こす高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病です。 血管性認知症の症状は、障害が起きた脳の部位によって異なります。 主な症状には、歩行障害や手足のしびれ、排尿障害、言葉が出にくくなる言語障害、感情のコントロールができないなどの精神障害があります。 また、脳梗塞や脳出血などの血管障害の発作を繰り返すと症状も重くなっていきます。 レビー小体型認知症 「レビー小体型認知症」は、神経細胞にできる特殊なタンパク質である「レビー小体」が脳に溜まり、神経細胞を破壊することで起こります。 しかし、レビー小体が脳に溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 レビー小体型認知症の症状には、手足の震えや体がこわばるなどの身体障害が挙げられ、徐々に進行し、転びやすくなります。 他にも、実際には存在しないものや人物が見える幻覚、うつ症状も現れます。 調子の良し悪しで、気分や行動が異なり、症状の変化が大きいことが特徴です。 前頭側頭型認知症 「前頭側頭型認知症」は、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮することで起こります。 65歳未満で発症することが多い認知症であり、10年以上かけて症状が進行していく場合がほとんどとなります。 原因は、脳に、異常構造物である「ピック球」が溜まることによるものと、タンパク質である「TDP-43」が溜まるものと言われています。 しかし、ピック球とTDP-43が溜まる原因は、いまだ明らかになっていません。 前頭側頭型認知症の症状には、性格が極端に変わることが多くなり、万引きや悪ふざけなどの反社会的行動が増える、衛生面の管理ができないなどが挙げられます。 また、同じ行動を繰り返す、身勝手な行動をとる、時間通りに行動しないと気がすまないなどの症状が特徴です。 症状が進行すると、言葉の意味がわからなくなる、言葉が出なくなる症状も現れます。 認知症は改善するの? 脳の神経障害によって起こる認知症には、現在根本的な治療法はないと言われています。 また、認知症は完治するものではありませんが、ケアによって症状の改善が見込まれる場合もあります。 次は、実際に体験した認知症の改善方法について紹介します。 認知症の改善例①食事を自己摂取されない高齢者Aさん 認知症の症状には、自分で食事をとる、洋服を着るなど、今までできていた行動ができなくなる「失効」があります。 認知症の進行により、食事を自己摂取できなくなった高齢者Aさんに自分で食べてもらうよう促しますが、何度スプーンを渡してもテーブルに戻してしまいます。 しつこく介助をすると、怒ることもありました。 実施したケア Aさんの座席の前に、よく喋りよく食べる高齢者Bさんに座っていただき、Bさんが食事する様子を見てもらいながら、最初は介助にて食事を取ってもらいます。 そして、お皿を持ってもらう、おかずをのせたスプーンを持ってもらうなど促すと、真似をして少しずつ自己摂取するようになりました。 また、Bさんが話しかけてくれることで笑顔や発語する様子も見られるようになりました。 認知症の改善例②介護スタッフが抱えて移乗していた高齢者Cさん Cさんは、認知症の症状によって意思の疎通が難しく、脚の力はありますが、ベッドから立ち上がってくれません。 また、ベッドから車いすに移る際に怖がってしまい、ベッド柵を握るなど力を入れてしまいます。 ベッド柵を握っていては安全に移乗ができないため、介護スタッフの肩に手を回してもらい、全介助にて移乗を行っていました。 実施したケア ベッドから立ち上がる、車いすに座るという行為を繰り返し行うことで、移乗の行為を覚えてもらうよう努めました。 その際、毎回車いすを見せて示すことで、「ここ(車いす)に座る」という認識をしてもらいやすくなります。 また、日常的に声掛けをすることで気持ちも穏やかになり、介護スタッフに対する不安などがなくなり、力むこともなくなりました。 最終的には、Cさんは見守りをするだけで車いすに移乗できるようになります。 ここで紹介したAさんとCさんは、一時的に認知症の改善が見られましたが、認知症が進行すると元の状態に戻ることも考えられます。 また、すべての認知症を持つ患者さんに当てはまるものでもありません。 しかし、声のかけ方や何度も繰り返し促すことで、理解できるようになる場合もあるため、一人ひとりに合ったケアが重要です。 まとめ 今回は、認知症の内容、改善例についてお伝えしました。 認知症とは、脳の神経に障害が起こることによって発症する病気である。 認知症は、記憶障害・実行機能障害・見当識障害・言語障害・失効・失認の症状が現れる。 認知症には、主に、アルツハイマー型認知症・血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症の4種類がある。 認知症は、現在も原因が明らかになっていないものが多い病気である。 認知症を治す治療法はなく、一人ひとりに合わせたケアが必要である。 認知症は、声のかけ方や促し方の工夫によって、改善が見られる場合もある。 最後までご覧いただきありがとうございます。

  • 認知症は生活習慣改善が鍵だ!症状改善の試みやメカニズムを解説!

    皆さんは、記憶が失われていくアルツハイマー型認知症の症状改善に対する新たな試みが「NHK BS」の放送で紹介されたのをご存知ですか。 これまでは、薬による症状の進行を遅らせることが主な治療であった認知症が、生活習慣を徹底的に見直すことで症状を緩和するという新たな試みがクローズアップされて紹介されました。 認知症の症状や対策、改善事例を知ることで、認知症に対処できる明るい未来も見えてきているのです。 この記事では、認知症に苦しむ患者や家族にアメリカの脳科学者が提案した新たな治療法の模索など、最新の認知症に関する情報について紹介します。 未だ課題はありますが、認知症に苦しむ方やご家族の方は ぜひご一読ください。 認知症の症状改善に新たな試み 認知症は、今まで、改善する治療法はなく、唯一、薬で症状の進行を抑えるだけの対処法しかない症状でした。 しかし、現在では症状を改善させようとする新たな試みが注目されています。 その方法とは、食事や運動という生活習慣の改善により、症状を改善させる試みです。 ここでは、生活習慣を改善することで、認知症の症状を改善させる新しい方法について紹介します。 生活習慣改善は新たな認知症対策 認知症の患者数は、アメリカで約600万人、日本では約400万人といわれています。 認知症に苦しむ患者や家族は、社会でさまざまな制約を受けてしまいます。 認知症で日常生活まで支障を生じている現状を改善するために、主に薬による治療を受けているのが現状です。 しかし、近年、アメリカの脳研究者であり、アルツハイマー病の権威である医学博士デール・ブレデセン氏の30年間の研究の成果が世界で脚光を浴びています。 薬に頼らない認知症予防 デール・ブレデセン氏によると、認知症は薬だけの治療は症状の進行を抑えるだけで、根本的な治療ではないため、新たな治療法が必要だと説いていました。 その新しい治療法とは、生活習慣の改善(リコード法)です。 この方法は、薬に頼らず、生活の中心となる5つの習慣を見直すことで認知症を改善しようとする試みです。 生活習慣の基本5か条(リコード法) 生活習慣の基本5か条とは、次の5つの習慣を見直せば、認知症に効果があるとされ、リコード法と呼ばれています。 食事・・・・糖質を野菜中心の食生活に変える(ブロッコリーは特に効果的) 運動・・・・毎日30分以上の有酸素運動を行う 睡眠・・・・8時間の睡眠が必要 プチ断食・・夕食は寝る前の3時間までに摂る、夕食から朝食まで12時間は空ける ストレス軽減・・めい想する その他の環境・・毒性物質(カビ、大気汚染など)も影響する ヘルスコーチとの二人三脚 ヘルスコーチとは、医師の診断結果に基づき、生活習慣や環境を指導する役割を担います。 医師は病気の専門家ですが、食事などの生活習慣に対する具体的な改善方法までは提示しません。 特に認知症の症状改善には、生活習慣の改善が効果的であるため、ヘルスコーチによる生活改善が主体の治療が必要になります。 ヘルスコーチと患者や家族との二人三脚が大切なのです。 ある脳研究者の挑戦 アメリカの脳科学者でアルツハイマー病の権威であるデール・ブレデセン博士は、カリフォルニア大学で30年、認知症の研究を行ってきました。 その研究の中で、脳には1,000億個の神経細胞があり、アルツハイマー型認知症は神経細胞の先端のシナプスが死滅するメカニズムで発症することを突きとめたのです。 しかし、認知症の症状はさまざまで、現状は薬で症状の進行を抑える治療に留まっています。 デール・ブレデセン博士は、生活習慣の改善により認知症は改善するという信念のもとに、アルツハイマー病協会(アメリカ・シカゴ)に協力を求めています。 認知症の現状 認知症の現状として、人によって症状はさまざまです。。 しかし、医師の処方や診察、ヘルスコーチの指導による生活習慣を改善することで、認知症の進行は抑えられている症例を紹介します。 【日本人男性の例】 父親の介護中に物忘れが多くなった自分に気づき、病院で診察を受けた結果、認知症の発症を告げられました。 彼は薬を処方されたことにショックを受けます。 当時は保険会社勤めをしていましたが、ますます物忘れが進行していきます。 彼は、このまま仕事を続けると会社にも迷惑がかかると考え、退職しました。 現在は農業を営んでいます。 彼は、デール・ブレデセン博士のセミナーで感銘を受け、生活習慣の改善に努めるようになりました。 現在は進行の症状は少しずつではありますが抑えられています。 【アメリカ人女性の例】 親しい知人でも名前と顔を思い出せないほど認知症の症状が進行していました。 自分が認知機能が低下していると考えると日々怖く感じてしまい、日常生活に不安を感じていました。 生活習慣を改善した結果、認知症の進行が少しずつ抑えられ、4か月が経過した頃から効果を感じ始めるようになりました。 認知症の薬は症状の進行を抑えるだけ アミロイドβという物質は、早ければ40代から脳内に蓄積し始めます。 アミロイドβは、アルツハイマー病に重大な影響を与えるといわれています。 そのため、現在の新薬はアミロイドβ仮説に基づき開発されたものが患者に処方されています。 しかし、新薬でも認知機能の低下を完全に抑えることはできないのが実態です。 認知症に至るメカニズム 認知症に深く関わっているアミロイドβは、アミロイド前駆体タンパク質(APP)が大きく関与しているのです。 APPは脳細胞の運命を決めるともいわれる物質で、神経細胞に密集した斑点を形成します。 APPが蓄積すると脳は徐々に本来の機能を失い。認知症を発症します。 人によって認知症の症状はさまざま 「もの忘れ」と「認知症」の大きな違いは、体験の一部のみ忘れるか、過去の経験や体験を忘れるかです。 認知機能の低下には、次の6段階に分かれます。 非常に軽度 若干のもの忘れはあるが、日常生活に支障がない段階です。 軽度 家族や友人が変化に気づく段階です。 中等度 明らかな症状が見られる段階です。 やや重度 記憶障害や認知障害があり、サポートが必要な段階です。 重度 さらに記憶障害の進行が顕著になり、人格が変わる、大幅なサポートが必要な段階です。 非常に重度 アルツハイマー病の最終段階といわれ、環境への反応や会話が成立しない 異常な反射対応、筋肉の硬直なども見られるようになります。 生活習慣改善は認知症を予防する 認知症は病名ではなく、脳の認知機能の低下による症状です。 認知症を引き起こす疾患はさまざまですが、その中でも、次の4つの疾患が多数を占めています。 1.アルツハイマー型認知症 2.脳疾患性認知症 3.レビー小体型認知症 4.前頭側頭型認知症 この4つの疾患の内、脳疾患性認知症だけは脳血管に障害を受けて発症したものですが、その他3つの認知症は、脳の神経変性により発症します。 脳の神経変性は、主に糖分の摂りすぎによるインスリンの増加や、ビタミン・ホルモン不足などが引き金だと指摘されています。 生活習慣を見直し健康状態を保つことが、脳の神経変性を抑える効果があるのです。 生活習慣を改善したことで認知症への効果は? 2014年にデール・ブレデセン博士が論文で発表して以降、さまざまな症例の患者にリコード法を試みており、改善効果は次のとおりです。 軽度の認知障害・・・・・改善効果は50%程度 早期アルツハイマー病・・改善効果は30%程度 重度アルツハイマー病・・改善は困難 リコード法による症状の改善は、軽度から早期のアルツハイマー病に効果があると見られます。 今後の課題 リコード法はアルツハイマー病の新しい治療法ですが、すべてが確立された治療ではありません。 未だ、残された課題があります。 高額な検査費用 日本では、リコード法を活用した医療が進んでおらず、一部の医療機関しか対応していないのが現状です。 また、日本国内ではすべての検査ができず、海外に検査依頼しているため、高額な検査費用(約40万円)がかかります。 ヘルスコーチの絶対数の少なさ ヘルスコーチの絶対的な少なさも、リコード法の妨げになっています。 継続的な生活改善を続けるためには、ヘルスコーチによる指導や医師の治療が必要です。 ヘルスコーチの育成も課題の1つです。 まとめ この記事をまとめると次のとおりです。 ・認知症で処方される薬は、症状の進行を抑えるだけである ・生活習慣の見直しで症状を改善する可能性がある ・生活の基本5か条(リコード法)を知る ・早期の発見、対応に効果がある ・ヘルスコーチの協力が不可欠である 認知症が進行すると、日常生活でさまざまな問題が生じます。 また、患者や家族は悩み、苦しみ、場合によっては生命の危険を及ぼす行動をとるなど、社会的な問題を抱えています。 しかし、処方される薬に頼ることなく、患者本人や家族の努力の積み重ねでも症状が改善できる治療法もあることを覚えておいてください。 認知症は進行する前の早期発見、対応がポイントです。

  • 重度認知症でも「尊厳の保持」って守られている?介護現場の実情を解説!

    「施設で認知症の方のプライバシーや自由って守られてるの?」「もし自分の母親が認知症になったらどうなるんだろう?」と不安になりませんか。 今回の記事では認知症のかたの尊厳に関して、介護歴10年の介護福祉士が分かりやすく解説します。 介護現場で重度認知症のかたの尊厳は守られているのか? 「重度認知症」と「尊厳」という言葉、介護の世界ではよく聞く言葉です。 まずは言葉の意味を確認していきましょう。 重度認知症とはどういう状態? 重度認知症の方は自分のいる場所や時間、人の顔の判断が難しくなります。 それに、トイレや食事、衣類の更衣、お風呂といった日常生活を営む上で必要な生活動作を一人で行うことが困難になります。 普段の生活を営む上で介護者の助けが常に必要な状態です。 尊厳とは何か? 尊厳とは、その人の自尊心を守り人間を人間として扱うことです。 当たり前のことですが、お互いを尊重し自分がされて嫌なことは相手にもしないことです。 言葉の意味を押さえた上で介護の現場で重度認知症の方の尊厳が守られているか考えてみましょう。 結論としては認知症の方の尊厳は完璧には守られてはいないのが実情になります。 なぜなら「施設のハード面」や「施設のルール」、「介護職員の質」に左右される側面が大きいからです。 尊厳を「守れている施設」もあれば、「守れてない施設」もあり、「尊厳を守れている職員」もいれば、「守れてない職員」もいます。 なぜ重度認知症のかたの尊厳は守られないのか? ①どこかで重度認知症の方を下に見ている?馬鹿にしている? 当たり前のことですが人を馬鹿にするような行為は許されることではありません。 ただ、職員の中には重度認知症の方に対して、見下すような態度をする職員がいることは否定できません。 では、どのような心理が働いて重度認知症の方を見下すのでしょうか。 考えられる主な心理的な理由として、以下の内容が考えられます。 「どうせ言っても分からないから…」 「しゃべれないから別にいいや…」 「どうせすぐに忘れてしまうから…」 等 このような介護職員の心理が原因となり、重度認知症のかたの「羞恥心」や「自尊心」、「自由」を無視したような対応に繋がると考えられます。 ②重度認知症の方は意思表示をすることが困難なので介護士が主導ですべて決めてしまう 私たちは自分で意思表示をして、日常の生活を選択しています。 「いつ起きていつ寝るか」「いつ何を食べるか」「いつお風呂に入るか」など、様々な選択を自分の意思で判断して行っています。 しかし重度認知症のかたは自分の意思を表示することが困難な状態です。 頭では自分の考えがグルグルと巡っているのに肝心の言葉がなかなか出てきません。 本来であれば過去の生活歴や趣味嗜好に配慮したうえで介護職員が認知症の方の選択をサポートするのが理想です。 ただ、現状では介護職員が独断で判断している部分が多いのではないでしょうか。 ③施設のルールやハード面で尊厳の保持が難しい場合もある 介護施設では施設の種類により、入居者様の人数が多い施設もあれば少ない施設もあります。 ただ、基本的にどの施設でも集団での生活になります。 このような状況の中で、一人一人の趣味嗜好や要望に応えるのは困難な状況です。 重度認知症の方の尊厳が守られてないってどういう状況? では実際に尊厳の保持が守られてないってどういう状況なのか具体例を交えて解説していきます。 トイレ 排泄はズボンを下げ下半身を露出させるため、羞恥心に配慮すべき行為であります。 ただ、重度の認知症の方になると自分でズボンを下ろすことも困難な状態です。 それに便器という認識もできない方もいます。 そのため、介護職員がトイレへ付き添い介助するケースがほとんどです。 他人が隣にいる状態で用を足すことは誰でも嫌なものです。 お風呂 お風呂に入ることも羞恥心に配慮すべき行為で、誰しもが他者に裸を見られたくないでしょう。 ただ、前述したトイレと同様に認知症のかたは一人でお風呂に入ることが困難な状態です。 そのため、介護者に身体を洗ってもらうことになります。 大きい特別養護老人ホームなどでは、大浴場に複数の利用者様を入れる所もあります。 とても入居者様の羞恥心に配慮しているとは言えない状況です。 不適切な声かけ 認知症の方に対して不適切な声かけをする職員がいることも否定できません。 例えば、食事の時に「あーん」と赤ちゃん言葉を使ったり、トイレに誘導するときに「しっこ行こうか」など、羞恥心や自尊心を傷つける発言をする職員がいます。 逆の立場になったら馬鹿にされているようで嫌な気分になるのではないでしょうか。 相手の自尊心を傷つけないためにも言葉遣いには細心の注意を払うべきです。 本人の選択の自由が制限されている 介護施設では集団での生活になるため、施設のルールやタイムスケジュールで運用されていることが多いです。 例えば以下のような内容があります。 起床時間や就寝時間 食事の時間やメニュー 入浴の曜日や時間 外出の制限……等 私たちのような健常者から見ればいかにも窮屈な生活です。 言葉や向精神薬での抑制 認知症の方には様々な症状があります。 同じ言動を繰り返したり、帰宅願望だったりと様々です。 なかには徘徊する認知症の方が歩き回り他者の居室に入ったり、他者の私物を盗ったりすることもあります。 介護職員が徘徊などを制止するために「動かないでください」「立ったら危ないですよ」と制止する事もあります。 夜間帯など介護職員の人数に限りがある場合は、向精神薬で行動を抑制することもあります。 どうすれば重度認知症の方の尊厳は守られる? ではどのようにすれば重度認知症の方の尊厳を守れるのでしょうか? 「学校からイジメをなくそう」と同じようになかなか難しい問題ではあります。 ここでは尊厳を守るための3つのポイントをご紹介します。 ①職員の教育 接遇やプライバシーに関する研修を繰り返し行うことによって、他者の尊厳や自尊心を守ることの大切さを潜在意識まで刷り込むことが大切です。 研修を定期的に行うことが難しい施設もあると思います。 そういった場合には、朝礼などで遵守すべき行動規範を読み合わせるのも良いでしょう。 事業所のビジョンや目指すべき介護を繰り返し伝えることは重要です。 あと、不適切な職員は採用しないに尽きます。 ②職員間でお互いを相互評価する まず「相互評価で何を評価するのか?」が重要です。 「利用者様を制止する言動はないか」「利用者様を馬鹿にした言動をしてないか」「羞恥心に配慮した介助ができているか」など…。 こういった項目を職員間で無記名で評価することにより、不適切な言動の抑止力になるのではないでしょうか。 もちろん賞与の査定基準にすることも検討して良いでしょう。 ③職員一人一人が心の余裕を持つために無駄な業務は減らす 人間誰でも忙しくて時間に追われると、心の余裕が無くなりイライラするものです。 そういう時に入居者様に対して不適切な言動をすることがあるのではないでしょうか。 「ちょっと待ってください」「座ってください」と行動を制限する発言をしたり、利用者様の意思も確認せずに勝手にトイレに連れて行ったりと様々あるかもしれません。 忙しいことで一番重要な入居者様の「尊厳」や「自尊心」「羞恥心」を守れないのであれば本末転倒です。 思い切って利用者様にとって不必要な業務を排除してみるのも重要です。 「委員会」や「無駄な会議」、「書き物」「昔からの慣習で行っている業務」など削れる業務は削りましょう。 削って不都合があれば、また再開すれば良いのです。 まとめ ここまで重度認知症の方の尊厳の保持に関して解説してきました。 現状では尊厳を保持することは難しい側面があります。 ただ、取り組み次第では防げることもあります。最後に復習していきましょう。 重度認知症の方の尊厳の保持は守られてないのが現状である 重度認知症の方の尊厳を守るために職員の研修をすべきである 重度認知症の方の尊厳を守るために不適切な職員の採用は見送るべきである 重度認知症の方の尊厳を守るために職員間の相互評価を取り入れるべきである 重度認知症の方の尊厳を守るために職員の業務量を減らし余裕を持たせるべきである 最後までお読み頂きありがとうございました。