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介護費用お役立ち情報

  • 負担限度額認定って何!?利用するための条件や注意点などをご紹介!

    「介護施設の利用を検討しているけど経済的にきびしい」 「介護施設に入所しているけど毎月の支払いがきついな」 そう考えていませんか? 負担限度額認定は一定の条件を満たすことで、経済的にきびしい方の費用負担を軽くする制度です。 この記事では負担限度額認定制度について分かりやすく解説していきます。 負担限度額認定はどんな制度? 負担限度額認定は介護サービスを利用している方の経済的な負担を軽減する制度です。 ただしすべての世帯が対象というわけではなく、所得や預貯金が少ないなど経済的に余裕が無い方を対象としています。 実際に介護施設を利用すると毎月下記の費用が発生します。 介護サービス費(所得に応じて1~3割の自己負担) 日常生活費(理美容代やその他生活に必要な備品代) 居住費(宿泊費) 食費 これらの自己負担額は決して安い金額ではありません。収入の少ない方にとっては非常に大きな負担となってしまいます。 負担限度額認定制度では上記の費用のうち、「居住費」と「食費」を減額することができるため非常にメリットのある制度です。 負担限度額認定を利用するための3つの条件 それでは負担限度額認定証(負担限度額認定制度の対象者に交付される証明書)を交付してもらうためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。 ここでは、それぞれの条件について解説していきます。 条件①:本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であること 1つ目の条件は「本人を含む世帯全員が住民税非課税である」ことです。 本人に収入がなく住民税非課税でも同居する家族に所得があり、誰かが住民税を支払っている場合は、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 また、本人に配偶者がいる場合、事情により別世帯であっても配偶者が住民税を支払っているのであれば、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 ※配偶者からDVを受けている場合や、配偶者が行方不明の場合は否認要件に該当しません。 条件②:所得が基準額以下であること 負担限度額認定制度は経済的に厳しい方の負担を軽減する制度です。 そのため、所得レベルに応じて減免額に差を設けています。 各レベルは4段階あり、所得の額が上がるにつれて費用の減額は少なくなり、制度から受けられる恩恵も小さくなります。 所得要件は以下のようになります。 各段階 要件 第1段階 生活保護受給者 第2段階 ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円以下 第3段階(1) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円を超え120万円以下 第3段階(2) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間120万円超 第4段階(非該当) 負担軽減の対象外:1~3段階の条件に該当しない方 第1段階が制度より受けられる恩恵が最も大きく、段階が上がるにつれて恩恵も小さくなります。 第3段階より所得額が大きくなると負担限度額認定の対象から外れます。 条件③預貯金などの資産が一定額以下であること 負担限度額認定での預貯金の定義は「資産性がある」「換金性が高い」「価格評価が容易である」これらの3つの要因で定義されています。 預貯金に該当するもの 預貯金(普通・定期) 有価証券(株式・国債・地方債・社債など) 金・銀などの貴金属 投資信託 現金 負債(借入金・住宅ローンなど) 生命保険や自動車、貴金属などは預貯金の対象にはなりません。 資産要件は各段階に応じて下記のようになります。 区分 対象 単身 夫婦 第1段階 1,000万円以下 2,000万円以下 第2段階 650万円以下 1,650万円以下 第3段階(1) 550万円以下 1,550万円以下 第3段階(2) 500万円以下 1,500万円以下 負担限度額認定を利用するといくら安くなる? では実際に負担限度額認定制度を利用するとどこまで費用を抑えることができるのでしょうか? 下記の表に各段階に応じた負担額をまとめました(金額は月額換算になります) 表に記してある金額を超える場合、超過分の金額を支払う必要はありません。 例えば第1段階の食費の負担限度額は9,000円になりますが、9,000円を超過した場合の金額は免除されます。 各段階 居住費 食費の負担限度額 ユニット型個室 ユニット型準個室 従来型個室 多床室 特養 老健療養 特養 老健療養 第1段階 24,600円 14,700円 9,600円 14,700円 0円 0円 9,000円 第2段階 24,600円 14,700円 12,600円 14,700円 11,100円 11,100円 11,700円 第3段階(1) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 19,500円 第3段階(2) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 40,800円 第4段階 (非該当) 60,180円 50,040円 35,130円 50,040円 25,650円 11,310円 43,350円 負担限度額認定を利用した場合の シミュレーション 実際に負担限度額認定を「利用した場合」と「利用しなかった場合」を比較し、どれだけ制度からの恩恵を受けられるかみていきましょう。 分かりやすいように事例を想定して考えていきます。 (Aさんの事例) 条件……第2段階で従来型特養の個室を利用していると想定。 第4段階の非該当と比較していきます。 居住費…35,130円(非該当)- 12,600円(第2段階)=22,530円の負担軽減 食費…43,350円(非該当)- 11,700円(第2段階)=31,650円の負担軽減 合計(居住費+食費)=54,180円の負担軽減 このように、制度を活用することで毎月54,180円の負担軽減になります。 年間に換算すると65万円になり、制度から受けられる恩恵はかなり大きいのではないでしょうか。 負担限度額認定制度を活用してない人はぜひ活用しましょう。 負担限度額認定を利用できるサービス 負担限度額認定はすべての介護サービスで利用できるわけではありません。 利用できる施設 特養(特別養護老人ホーム) 老健(介護老人保健施設) 介護医療院 介護療養型医療施設 短期入所生活介護 短期入所療養介護 地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養) グループホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者賃貸住宅は対象外のため、注意が必要です。 負担限度額認定の注意点 負担限度額認定制度にはいくつかの注意点があるため、あわせて確認しておきましょう。 注意点①:負担限度額認定証には有効期間がある 負担限度額認定証には有効期間があります。 期限を過ぎると勝手に自動更新されるわけではないので注意が必要です。 有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間であるため、ご自身で更新の手続きをする必要があります。 毎年、更新月が近づくと書類が送付されてくるので、必要事項を記載し、ご自身で更新の手続きを進めておきましょう。 注意点②:毎年同じ額の費用減免が受けられるわけではない 負担限度額は前年の所得や預貯金などの状況に応じて決定されます。 そのため必ずしも前年と同じ金額が減額されるわけではありません。 所得や資産に大きな変化があった場合、状況によっては非該当になる可能性もあるため、注意が必要です。 まとめ ここまで負担限度額認定制度について解説してきました。 最後に復習しておきましょう。 負担限度額認定制度は経済的に余裕がない世帯の負担を軽減する制度である 負担限度額認定制度を活用するには「住民税非課税」「所得要件」 「資産要件」などの条件を満たす必要がある 負担限度額認定制度は所得や資産によって受けられる恩恵に差がある制度である 負担限度額認定制度を活用すれば金銭的負担をかなり軽減できるので活用すべきである 負担限度額認定証は有効期間があるので注意が必要である 負担限度額認定を受けるための申請書類は地域によって異なることがあります。 負担限度額認定を知らないことで損をしないように、不明点はお住まいの市区町村の自治体や、ケアマネージャーなどに問い合わせましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 世帯分離とはどんなもの?メリットやデメリットを解説!

    「世帯分離で親の介護費用は下がるのかな?」 「世帯分離はだれでもできるのかな?」 「そもそも世帯分離って何だ」 このように世帯分離についてお悩みではないでしょうか? 世帯分離は上手く活用することで介護費用を下げることが可能な制度です。 この記事では世帯分離について分かりやすく解説していきます。 世帯分離とは? では、世帯分離とはどのようなものか詳しく解説していきます。 そもそも世帯とは? 世帯とは住居と生計を共にしている人々の集まりのことです。 一人暮しでも独立して生計を営んでいれば世帯として扱われます。 また、同じ住居で共同で生活していても生計を別にしている場合は、それぞれが別世帯として扱われ、世帯主も複数存在することになります。 世帯分離とは? 世帯分離を簡単に説明すると、同居している家族と住民票を分けることをいいます。 ただし、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」があることが前提となるため、そもそも収入がなく生計を営むのが困難であれば世帯分離はできません。 また、世帯分離は住民票上での分離になるので、今まで通り一緒に生活することも可能ですし、当然戸籍もそのままになります。 世帯分離の目的は? 「そもそもなんで世帯分離するの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することです。 住民税の額は世帯ごとに計算されるため、世帯分離により世帯の所得額が減ることで、住民税の軽減が可能となります。 世帯分離の3つのメリット それでは世帯分離をするとどういうメリットがあるのでしょうか。 具体的に見ていきましょう。 メリット1:介護サービスを利用する際の自己負担額を軽減できる 介護サービスは所得に応じて1~3割の自己負担が発生します。 自己負担割合は基本1割ですが、平成27年度の法改正により一定額以上の所得者は2割、現役並みの所得がある人は3割負担になりました。 この自己負担割合は世帯の所得で判断されるため、世帯分離により親の所得だけが算定要因になれば自己負担割合も軽くなる可能性があります。 仮に要介護1の場合、支給限度額は約167,000円です。 3割負担の場合、自己負担が50,100円ですが、所得額が減ることで1割負担になれば16,700円になります。 毎月の差額が33,400円(年間約40万)になるため、世帯分離により受ける恩恵も大きいのです。 ※支給限度額とは、要支援、要介護と認定された方が介護サービスを利用した際に、介護保険から保険給付される限度額です。限度額を超過した分は自己負担になります。 メリット2:高額介護サービス費制度により自己負担額の上限が下がる 介護サービスの自己負担が1~3割とはいえ、サービスを無限に受け続ければ自己負担額はそれに比例して増えていきます。 そこで利用できる制度が「高額介護サービス費制度」です。 高額介護サービス費制度は世帯の所得に応じ、1ヵ月間に支払う自己負担額に上限額が設定されています。 自己負担の上限額を超えた場合、超過した分の費用は申請することで払い戻されるため、サービスをたくさん利用される方にとっては恩恵の大きい制度です。 一般的な所得の方の負担限度額は44,000円ですが、世帯分離を行うことで 住民税が仮に非課税になれば、上限額が24,600円となります。 月額で2万円(年間24万円)の負担軽減になるためメリットも大きいです。 メリット3:負担限度額認定制度により自己負担額を軽減できる 介護サービスを利用すると様々な費用が発生します。 なかでも食費や居住費は全額自己負担となるため、大きな負担となります。 負担限度額認定制度は介護保険施設を利用した際の食費や居住費を軽減できる制度です。 この制度は所得や資産の少ない方が対象となります。 所得や資産状況にもよりますが、ケースによっては食費と居住費を合わせて、月額5万円程度の負担軽減になることもあります。 世帯分離の4つのデメリット 世帯分離は上手く活用すればメリットも大きいですが、デメリットもあるため、注意するようにしましょう。 デメリット1:高額介護サービス費で介護費用を世帯合算ができない 世帯分離する前に一世帯に要介護者が2人以上いた場合、2人の介護費用を合算し、超過分を「高額介護サービス費制度」により払い戻すことができていました。 しかし、世帯分離によって各世帯に要介護者が1人ずつとなった場合には、今までのように介護費用の合算ができなくなります。 そのため申請後の払戻額も少なくなる可能性があることを覚えておきましょう。 ケースによっては、それぞれの介護サービス費では高額介護サービス費を利用できる上限額に達しないことも想定されるため、そもそも制度を利用できなくなることも考えられます。 デメリット2:各世帯で国民健康保険を納める必要がある 国民健康保険制度の保険料の負担は世帯主が行う必要があります。 そのため世帯分離し世帯が別になれば、それぞれの世帯で国民健康保険料を納める必要がでてくるのです。 仮にそれぞれの世帯での納付額は減っていたとしても、2つの世帯の保険料を合算すると、一世帯で支払っていた保険料よりも高くなってしまう可能性もあります。 そのため世帯の保険料の総額を考えて検討することが必要です。 ケースによっては保険料が逆に下がる可能性もあります。 世帯分離による保険料の増減に関しては、完全にケースバイケースといえます。 デメリット3:手続きの手間が増える 世帯分離により行政などの手続きが煩雑になることが考えられます。 役所の手続きは各世帯で行う必要があるため、同一世帯だった場合は1回の手続きで完結します。 しかし、世帯分離をすることで2世帯分の手続きをする必要がでてくるのです。 その他にも親の行政手続きに委任状が都度必要になるなどの手間も生じるので注意が必要です。 例えば、親の住民票が必要な場合があるとします。 その際、親が高齢で役所に行けない場合、代理で窓口に行くことになりますが、その都度親に委任状を書いてもらわなければなりません。 そのため、さまざまな手続きの手間は増えてしまいます。 デメリット4:扶養手当てや家族手当がもらえない 子供や親を扶養している場合、会社から扶養手当や家族手当などが支給されているのではないでしょうか。 その場合、世帯分離により、扶養から外れてしまうため手当がもらえなくなる可能性があります。 世帯分離を行う前に、一度会社の担当部署に確認しておきましょう。 世帯分離をおすすめできるケースとは 世帯分離でメリットが得られる世帯は、介護サービスをたくさん利用する方がいる世帯です。 世帯分離で所得が減ることにより、制度から受けられる恩恵も多くなる傾向にあるといえます。 高額介護サービス費制度では自己負担の上限額が下がることによって戻ってくる額も大きくなるなどのメリットを受けられます。 また介護保険施設に入所している場合、世帯分離することにより、食費や居住費の自己負担を軽減できる負担限度額認定制度を活用することも可能です。 世帯分離を行う際の注意点 世帯分離をするには住民票のある市区町村で手続きをする必要があります。 担当窓口の方から「世帯分離を行う目的は?」と質問された際に、「介護保険料を軽減したいから」と言うと受理されない可能性があるため注意が必要です。 なぜなら「介護保険料の減額」が、世帯分離の本来の趣旨とズレているためです。 世帯分離の本来の趣旨は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することにあります。 仮に窓口で理由を聞かれたら「生計を別々にするようになった」、「それぞれの家計が別々のため」と言うのが無難でしょう。 世帯分地は同じ住所でも親子同居でも申請することは可能です。 しかし、世帯分離するためには、独立した家計を営んでいることが条件となっています。 生計が同一の場合は世帯分離が認められにくいので注意してください。 世帯分離の手続き方法 では、実際に世帯分離をする際にどのような手続きが必要なのかを確認してみましょう。 書類をそろえる 世帯分離をするときには、以下の書類が必要になります。 ・本人確認書類 ・世帯変更届 ・国民健康保険証 ・印鑑 また、親の手続きを子供が代理で行う場合は委任状も必要です。 書類に不備があると申請できないので、念のため申請前に役所に確認しておくとよいでしょう。 まとめ ここまで世帯分離について解説してきました。 最後にポイントを整理しておきましょう。 世帯分離をするには、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」が必要である。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することである。 世帯分離をすることで介護費用を軽減できるというメリットがある 世帯分離をすることで国民健康保険の保険料が増えるというデメリットがある ※保険料に関してはメリットになる可能性もあり、完全にケースバイケースである 世帯分離をすることで会社からの手当が減ることがあるので注意が必要である 世帯分離により行政の手続きが面倒になるので注意が必要である 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 『高額介護サービス費』とはどんなもの?基準値や利用できるサービスなどを解説!

    高額介護サービス費は、介護保険サービスを利用したときに支払う利用料金の一部が返金される制度す。 いろいろなものが値上がりしている昨今、利用者やその家族は利用料金の負担に不安を感じています。 なかには利用料金に対する不安から必要なサービスの利用を控えている利用者もいるのではないでしょうか。 介護保険の制度の中でも複雑で理解が難しい高額介護サービス費。 本記事を読むと、高額介護サービス費について理解できます。 ぜひ最後までお読みください。 高額介護サービス費とは 高額介護サービス費は、「1ヶ月に支払った利用者負担の合計が所得に応じた負担限度額を超えた時に超えた分が払い戻される」制度です。 介護保険サービスを利用する時、利用者の所得によって、利用料金の1〜3割を利用者が負担しています。 ですが介護を受ける期間が長くなったり、加齢によってサービスを受ける量が増えたりすると、負担する料金がどんどん増えていきます。 利用者の経済的負担を軽減するための制度がこの高額介護サービス費。 利用者の所得によって段階的に基準額が決められています。 たとえば、住民税非課税世帯だと、年金収入やその他の合計所得の合計が年間80万円より高い世帯の上限額は24,600円です。 仮にサービス利用料金が40,000円の場合、差額の15,400円が後から返金されます。 以前は住民税課税世帯の上限額は一律で44,000円でしたが、令和3年8月に制度が改正されて、高所得者世帯の上限が見直されました。 「課税所得380万円未満」「課税所得380万円〜690万円」「課税所得690万円以上」と細分化されています。 高額介護サービス費の基準額は以下を参照してください。 高額介護サービス費の基準額 *2023年2月現在は以下のようになっています。 区分 負担の上限額 (月額) 課税所得690万円(年収1,160万円)以上 140,100円(世帯) 課税所得380万円(年収770万円)〜課税所得690万円(年収1,160万円未満 93,000円(世帯) 市町村民税課税〜課税所得380万円(年収770万円)未満 44,400円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方 24,600円(世帯) 15,000円(個人) 生活保護受給者等 15,000円(世帯) 参考:厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます 間違えやすい制度 以下の2つは高額介護サービス費と間違えやすい制度なので分けて考えてください。 区分支給限度基準額…要介護度ごとに設定された一月に利用できる介護保険サービスの上限額を指します。超過した分は介護権を利用できず全額自己負担です。 高額医療・高額介護合算療養費制度…年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が限度額を超えた時に差額が支払われる制度です。 対象になる時は市区町村から必要書類が送られてくるので、記入して返送します。 高額介護サービス費の対象にならないサービス 高額介護サービス費は、所得などによって決められた基準額を超えた分の 返金を受けられますが、支払った費用の全てが対象になるわけではありません。 対象外になるサービスは以下の通りです。 施設サービスやショートステイの食費や居住費、その他の日常生活費 福祉用具の購入費や住宅改修費 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 施設サービスやショートステイの食費や居住費 その他の日常生活費 高額介護サービス費の対象になるのは、1割から3割の中で負担している介護保険の自己負担分のみです。 そのため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入居施設や、ショートステイを利用したときにかかる食費や居住費は対象にはなりません。 散髪代やその他の日常生活費も対象外です。 もともと介護保険の対象外となっている費用については、対象外になると理解していればよいでしょう。 福祉用具の購入費や住宅改修費 手すりの取り付けやスロープの造設、ポータブルトイレの購入等にかかった費用も対象外です。 額としては大きくまとまった費用がかかりますが、一時的なもので継続的にかかる費用ではありませんので、対象外になります。 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 サービスを多く利用し、支給限度基準額を超えてしまったときの超過分についても、高額介護サービス費の対象からは外れてしまいます。 超過分は介護保険の給付対象ではなく全額自己負担になるからです。 たとえば、サービスを50,000円分利用し、支給限度基準額が30,000円 高額介護サービス費の負担の上限額が15,000円だったと仮定します。 サービスを利用しているのが50,000円で、負担の上限額が15,000円なので 35,000円の返金と考えてしまいますが、これは間違いです。 支給限度基準額が30,000円なので、20,000円は全額自己負担になります。 そのため、高額介護サービス費は30,000円から上限額の15,000円を引いた差額の15,000円です。 計算自体はそれぞれの市区町村が行いますが、仕組みを理解しておくと 返金分を考慮したサービス調整ができるようになります。 高額介護サービス費の申請方法 実際に高額介護サービス費の支給を受けるための手続きは簡単です。 対象になると、市区町村から住民票のある住所地に申請書が送られてきます。 送られてきた書類に基本情報や口座情報などの必要事項を記入し、市区町村に提出するだけです。 郵送でも手続きできるので、わざわざ役所へ行く必要はありません。 受理されて1〜2ヶ月後、申請時に指定した口座に振り込まれます。 一度登録が済むと、その後手続きは自動です。 2回目以降は支給決定通知書や領収書が送られてくるので大切に保管しておきましょう。 確定申告をする場合に必要になります。 申請はいつでもできますが、サービスの利用から2年が経過してしまうと時効になるので早めに手続きしたほうがよいでしょう。 高額介護サービス費は経済的な面でとても助かる制度ですが、申請しなければ返金されることはありません。 申請書が届いたら忘れずに申請しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、高額介護サービス費の制度について、基準額・対象にならないもの・申請方法について説明しました。 高額介護サービス費は、1ヶ月に支払った利用者負担の合計が 所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度。 課税所得や住民税の課税状況によって負担の上限額が決まっている。 高額介護サービス費の対象にならないものもある。 申請は市区町村から送られてくる申請書に必要事項を記入し返送する。 サービスの調整や自己負担額の説明をする際に、それぞれのサービスの料金表に載っている費用だけを伝えると、利用者や家族は負担感を感じることもあります。 後から返ってくる費用もあると知ることで、サービス利用にをする際の経済的不安を減らせるのではないでしょうか。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護医療院とはどういうもの?概要や入所のメリットとデメリットなどを解説!

    介護医療院とは要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。 2018年に法制化されたばかりの新しい種類の施設なので、実際どんなところなのか、自分の親が入所できるのかなどわからないこともあるのではないでしょうか。 本記事では、介護医療院の概要や入所のメリットとデメリット、利用料金や入所する方法を解説します。 ぜひ最後までお読みください。 介護医療院ってどんなところ? [caption id="attachment_1970" align="alignnone" width="512"] Woman in a white coat[/caption] 介護医療院は介護保険制度を利用した介護施設ですが、医療的なケアも受けられて長期間利用できる施設です。 介護保険制度が始まる2000年以前は、治療がなくても病院へ入院している社会的入院が問題となっていました。 退院できるけど生活する場がない人の受け皿として介護療養型医療施設が創設されましたが、医療の必要性の低い利用者も多く入院している状況は変わりませんでした。 医療費の圧迫や人手不足の問題もあることから、2023年度末で介護療養型医療施設は廃止されることになり、介護医療院が新設されることになりました。 サービスの内容 介護医療院で受けられるサービスには、介護サービスと医療サービスがあります。 介護サービス 介護医療院は同じ介護保険施設の枠組みにある特別養護老人ホームや、介護老人保健施設(老健)と同じように、食事や排泄、入浴など、その人に必要な介護を受けられます。 担当のケアマネジャーを中心に作成する施設サービス計画をもとに、日常生活上必要な介護やレクリエーション、機能訓練などが提供されています。 医療サービス 介護医療院では、たんの吸引や胃ろう、点滴、在宅酸素、褥瘡のケアなど 医療的なケアの対応ができる他、看取り介護も行われています。 入院して治療するほどではないが医療的な観察が必要な場合、特別養護老人ホームなどでは受け入れができない場合があるので、介護医療院が選択肢になるでしょう。 2つのタイプ 介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。 Ⅰ型は重篤な身体疾患のある方や身体合併症がある認知症高齢者が対象で 病院色の強いタイプ。 Ⅱ型はより安定している高齢者が対象で、老健のようにリハビリをして 家庭復帰をサポートしています。 Ⅰ型とⅡ型では、施設の人員や設備、運営基準に違いがあります。 (引用:厚生労働省「介護医療院の概要」) 対象者 入所の対象になるのは、要介護1〜要介護5の認定を受けた65歳以上の方と 40歳から64歳で特定疾病による要介護1〜要介護5の認定を受けている方。 要支援の方は対象外のため入所できません。 その人の状態によってⅠ型かⅡ型かが決まります。 介護医療院は、医療的なケアを提供する場なので、実際の入所者は医療依存度の高い高齢者が多い傾向です。 介護医療院に入所するメリットとデメリット 医療的なケアを受けながら長期療養できる介護医療院ですが、メリットだけではありません。 入所者本人にとってよい選択ができるようメリット、デメリットともに把握することが大切です。 メリット 介護医療院に入所するメリットは以下の3点です。 医療的なケアを受けられる 長期療養が可能で看取り介護も対応できる 生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある デメリット デメリットは以下の3点です。 多床室は家具とカーテンで仕切られているだけでプライバシーの確保が不安 長期になると費用が高額になる まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる 施設によって特徴に違いがありますので、資料請求や見学をして情報収集することが大切です。 介護医療院の費用    介護医療院の費用は月額の利用料金のみで、入居金などの初期費用はかかりません。 医療的ケアを受けられることで、特別養護老人ホームに比べると高く設定されているので、入所前によく確認しましょう。 月額利用料金の内訳   介護医療院でかかる月額利用料金の内訳は以下のとおりです。 施設サービス費・介護加算 施設サービス費は要介護度ごとに設定されていて、他にも介護保険の負担割合や施設の形態によって金額が異なります。 表はⅠ型、Ⅱ型それぞれ1割負担の場合の金額です。( 記事執筆23年2月) Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 694円 803円 820円 要介護2 802円 911円 928円 要介護3 1,035円 1,144円 1,161円 要介護4 1,134円 1,243円 1,260円 要介護5 1,223円 1,332円 1,349円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 649円 758円 819円 要介護2 743円 852円 919円 要介護3 947円 1,056円 1,135円 要介護4 1,034円 1,143円 1,227円 要介護5 1,112円 1,221円 1,310円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) 他にも施設の体制にかかる加算項目がありますので、説明を聞く際に確認が必要です。 居住費・食費 室料や光熱費にあたる居住費や、食材料費や調理費にあたる食費は各施設ごとに決められています。 厚生労働省が基準費用額を定めているので、以下をご確認ください。 基準費用額 居住費 多床室 377円 従来型個室 1,668円 ユニット型個室 2,006円 ユニット型個室的多床室 1,668円 食費 1,445円 (参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和3年3月9日)) 日常生活費 日常生活費は歯ブラシやティッシュペーパー、理美容や入れ歯の洗浄剤など、生活の中で必要になる費用です。 保険の適用にはならず実費負担となり、施設によって金額が異なるので 入所前に確認する項目の一つです。 月額利用料の目安 上記を参考に月額の目安を計算すると以下のようになります。 Ⅰ型 1割負担 要介護4 ユニット型個室の場合 →140,340円 + 日常生活費 Ⅱ型 1割負担 要介護3 多床室の場合 → 86,340円 + 日常生活費 介護保険の負担割合や要介護度、居室のタイプによって利用料金が大きくかわるので、負担が大きくなってしまう可能性もあります。 少しでも負担を抑えるために、次から介護医療院で使える減免制度について説明します。 介護医療院の減免制度 介護医療院の費用に関する減免制度は主に3つです。 支払いに不安のある場合は以下の制度を活用することで、自己負担額を低くすることができます。 介護保険負担限度額認定 介護医療院の費用のうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって、段階的に減額されます。 段階によっては居住費と食費が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、保険者となっている市区町村の介護保険窓口で対象になるのかどうか、確認してみるとよいでしょう。 高額介護サービス費 高額介護サービス費は、1カ月に支払った施設サービス費が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度です。 居住費や食費、日常生活費は対象にはなりません。 該当する時に市区町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 高額医療・高額介護合算制度 高額医療・高額介護合算制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、所得によって決められた限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。 高額介護サービス費と同じように、対象者には申請用紙が届きますのでそれぞれの役所へ提出します。 介護医療院に入所する方法 [caption id="attachment_1968" align="alignnone" width="512"] A room in a nursing facility[/caption] 介護医療院に入所する流れは以下のようになります。 要介護認定を受ける 入院・入所中の病院や施設の相談員へ相談し介護医療院を探す 資料請求や見学をして施設へ直接申し込む 診療情報提供書や血液検査などのデータを元に介護医療院が入所判定を行う 入所前面談を行い、施設での生活や療養方針について確認する 入所 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では介護医療院の概要やサービス内容、入所のメリットとデメリット、費用や入所する方法を解説しました。 介護医療院は医療的なケアを受けられて、長期療養できる介護保険施設 利用者の状態によってⅠ型とⅡ型に分けられる 対象になるのは65歳以上、もしくは40歳から64歳で特定疾病による 要介護1〜要介護5の認定を受けている方 介護医療院に入所するメリットは「医療的なケアを受けられる」 「長期療養が可能で看取り介護も対応できる」 「生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある」 デメリットは「多床室は家具とカーテンで仕切られているだけで プライバシーの確保が不安」「長期になると費用が高額になる」 「まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる」 1カ月の費用の主な内訳は、施設サービス費+居住費+食費+日常生活費 利用料金の減免制度として介護保険負担限度額認定、高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算制度などがある 介護医療院は医療的ケアも介護サービスも受けられます。 家族内、ケアマネジャー、入院・入所している病院や施設の相談員などとよく相談し、より良い選択をするようにしましょう。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 成年後見制度にかかる費用とは?制度の種類や費用のシュミレーションを解説!

    「将来に備えて任意後見制度を利用しようと考えてるけど費用はいくらかかるの?」 「認知症になった親のために法定後見制度を利用したいけど いくらかかるんだろう?」 そんな不安や疑問を抱えていませんか? この記事では成年後見制度にかかる費用について、分かりやすく解説していきます。 そもそも成年後見制度ってなに? 成年後見制度とは「認知症」や「障害」などにより判断能力が不十分になった人を守る制度になります。 大切な財産を詐欺などから守ることはもちろんですが、病院の受診や介護施設の契約時など、1人で判断することが難しい時に後見人がサポートしてくれる制度です。 そんな成年後見制度ですが「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類に分かれます。 任意後見制度とは? 任意後見制度とは本人の判断能力十分なうちに「後見人(助けてくれる人)」と「支援して欲しい内容」を決めておく制度になります。 制度を利用する人が元気なうちに将来に備える仕組みです。 法定後見制度とは? 法定後見制度とは認知症などにより既に判断能力が不十分になった人に対して、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。 既に判断能力が不十分になっているため、本人の意向を汲み取ることは困難になります。 また、法定後見制度は本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3種類の類型に分類されます。 法定後見制度にかかる費用は? 法定後見制度にかかる費用には、最初の手続き時のみ発生する「初期費用」と、後見人への報酬など「継続的に発生する費用」の2つに分かれます。 法定後見制度の手続きに発生する初期費用 法定後見制度では本人の判断能力が衰えた時に「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が、家庭裁判所に申立を行います。 その家庭裁判所への申立の際に費用が発生します。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 申立て手数料 800~2,400円 ・類型が補助の場合、補助人への代理権と同意権を付与する申立てが必要なため追加で1,600円(各800円)が必要になります。 ・保佐の場合も必要に応じて代理権と同意権が必要になる場合があります 戸籍謄本 450円 住民票 300円 登記されていないことの証明書 300円 本人が既に成年後見制度を利用してないことを確認するための証明書 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合に必要 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合に必要 郵便切手代 4,000~5,000円 登記費用手数料 2,600円 後見・保佐・補助いずれの類型でも同額 鑑定費用 5万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士などに手続きを依頼した場合 10万~20万 手続きを自分で行うことは可能ですが、弁護士や司法書士などへ依頼することも可能です 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用です。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 法定後見制度の継続的に発生する費用 後見人の業務が開始すると、後見人に対して報酬を支払う義務が発生します。 毎月発生する報酬には2種類あります。 基本報酬:後見人への報酬 成年後見監督人への報酬:成年後見監督人が選任されている場合に発生 ※成年後見監督人は後見人がきちんと業務をしているか監督する立場にあります。 それでは2つの報酬の相場を確認していきましょう。 ①基本報酬(後見人への報酬)の相場 基本報酬は本人の管理してる財産額により決められるのが一般的になります。 また管轄の家庭裁判所により報酬額にバラツキがあるため確認しておきましょう。 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ③成年後見監督人に対する報酬 成年後見人への報酬と同様に管理している財産額によって相場が変わるのが一般的です。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円 法定後見制度の費用シュミレーション 実際に法定後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Aさん80歳】……類型が補助の場合 財産1,000万未満 / 申立て手続きを司法書士に依頼 / 成年後見監督人を選任 Aさんをモデルに初期費用と継続的に発生する費用を確認していきましょう。 ①初期費用(家庭裁判所への申立て費用) 家庭裁判所への申立てにかかる費用 ➡ 約2万円前後 ※鑑定費用は発生しないと想定しました。 理由…鑑定が行われるのは希で、発生する割合は例年1割未満のため。 作成などの手続きを司法書士に依頼 ➡ 150,000円 上記の費用を合算すると、およそ17万円が初期の費用として発生する計算になります。 ②継続的に発生する費用 成年後見人への報酬 ➡ 月額2万円程度 成年後見監督人への報酬 ➡ 月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月4万円程度の支払いが発生する計算になります。 年間にすると48万円の支出になり、決して安い金額とは言えません。 仮に亡くなるまでの期間を20年と想定した場合、960万円の支払が必要になる計算です。 任意後見制度にかかる費用は? ここからは任意後見制度にかかわる費用について見ていきます。 任意後見制度の初期費用 任意後見制度の初期費用には判断能力が十分なうちに発生する 「任意後見契約書の作成費用」と、判断能力が衰えたときに発生する「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなります。 時間をおいて2段階で費用が発生するイメージです。 ①任意後見契約書の作成費用 任意後見制度では判断能力が十分なうち、任意後見人を定める任意後見契約を結ぶ必要があります。 【任意後見契約書の作成費用】 項目 金額 備考 公正証書作成基本手数料 11,000円 ・公証役場への手数料 ・4枚を超える場合は1枚ごとに250円追加 印鑑登録証明書 300円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 正本等の作成手数料 250円 1枚あたり250円 登記嘱託手数料 1,400円 郵便切手代 540円 登記手数料 2,600円 法務局へ納める印紙代 司法書士に依頼した場合 5~10万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約1.7万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で5万〜10万の費用が発生します。 ②家庭裁判所への申立てにかかる費用 実際に本人の判断能力が低下し後見人が必要になったら、任意後見人が家庭裁判所に対して 任意後見監督人選任の申立を行う必要があります。 任意後見制度では任意後見監督人(後見人の監督役)を選任する必要があります。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 任意後見監督人選任申立て手数料 800円 後見登記手数料 1,400円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 後見登記事項証明書 550円 オンライン請求の場合380円 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合 郵便切手代 4,000~5,000円 鑑定費用 10万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士に依頼した場合 10万~20万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 任意後見制度の継続的に発生する費用 任意後見制度の継続的に発生する費用には基本報酬(後見人への報酬)と 後見監督人への報酬があります。 ①基本報酬(後見人への報酬) 任意後見人への報酬は本人と後見人候補者で事前に取り決めた金額になります。 一般の人が後見人になる場合、2万円程度が報酬の相場です。 家族に後見人を依頼するのであれば、0円(無料)になる場合もあります。 弁護士や司法書士などに依頼する場合、管理財産額により報酬が変動するのが一般的です。 【後見人に司法書士などの士業を選任した場合】 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ②任意後見監督人への報酬 任意後見監督人への報酬も本人の管理財産額により報酬が変動します。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円  任意後見制度の費用シュミレーション では実際に任意後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Bさん80歳】……任意後見人を家族に依頼 財産1,000万未満 / 任意後見人を家族に依頼 / 成年後見監督人を選任 ※成年後見契約書作成を司法書士に依頼……10万円 ※家庭裁判所への申立を司法書士に依頼……15万円 ①初期費用 任意後見契約書の作成時:1.7万円+10万円(司法書士への報酬)➡ 約12万円 家庭裁判所への申立て時:2万円+15万円(司法書士への報酬)➡ 17万円 上記の費用を合算すると、およそ29万円が初期の費用として発生する計算になります。 任意後見契約書を作成してから、実際に認知症などにより判断能力が低下するまでには数年から数十年かかることが想定されます。 そのため、一気に27万円の支払いが発生するわけではありません。 ②継続的に発生する費用 任意後見人(家族)への報酬 ➡無料 ※家族のため無料と想定 任意後見監督人への報酬 ➡月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月2万円の支払いが発生する計算になります。 年間では24万の支出です。 ※任意後見人を家族に依頼した場合、必ずしも報酬が無料になるわけではありません。 まとめ ここまで成年後見制度にかかる費用について見てきました。 最後にポイントを復習しておきましょう。 成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」2種類ある 成年後見制度の費用には、申立て費用などの「初期費用」と後見開始後に発生する 「継続的な費用」の2つがある 法定後見制度の「初期費用(家庭裁判所への申立て)」は17万円前後である ※司法書士に手続きを依頼したと想定 法定後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」は月額2~9万である ※後見人への報酬額は管理財産額により変動する 任意後見制度の初期費用は「任意後見契約書の作成費用」と 「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなる。 初期費用の合計はおよそ29万円前後である 任意後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」2~9万円前後である 任意後見制度の後見人を家族に依頼する場合報酬が無料の場合もある 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 福祉用具の住宅改修とは?基本的な内容から注意点まで解説! 

    介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。  ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは  住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。  親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。   福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption]  「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。   どんな人が使えるの?   住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている  介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。  介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。  入院中などではなく、現在家で生活している  住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。  しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。  家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。  本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る  住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。   いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。  住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。  ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。   1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は?   住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。  要介護度が3段階以上上がった時  要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。  引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。   支払い方法は?   住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。  償還払い  償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。  受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。  ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。   まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。  住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  • 負担限度額認定って何!?利用するための条件や注意点などをご紹介!

    「介護施設の利用を検討しているけど経済的にきびしい」 「介護施設に入所しているけど毎月の支払いがきついな」 そう考えていませんか? 負担限度額認定は一定の条件を満たすことで、経済的にきびしい方の費用負担を軽くする制度です。 この記事では負担限度額認定制度について分かりやすく解説していきます。 負担限度額認定はどんな制度? 負担限度額認定は介護サービスを利用している方の経済的な負担を軽減する制度です。 ただしすべての世帯が対象というわけではなく、所得や預貯金が少ないなど経済的に余裕が無い方を対象としています。 実際に介護施設を利用すると毎月下記の費用が発生します。 介護サービス費(所得に応じて1~3割の自己負担) 日常生活費(理美容代やその他生活に必要な備品代) 居住費(宿泊費) 食費 これらの自己負担額は決して安い金額ではありません。収入の少ない方にとっては非常に大きな負担となってしまいます。 負担限度額認定制度では上記の費用のうち、「居住費」と「食費」を減額することができるため非常にメリットのある制度です。 負担限度額認定を利用するための3つの条件 それでは負担限度額認定証(負担限度額認定制度の対象者に交付される証明書)を交付してもらうためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。 ここでは、それぞれの条件について解説していきます。 条件①:本人を含む同一世帯全員が住民税非課税であること 1つ目の条件は「本人を含む世帯全員が住民税非課税である」ことです。 本人に収入がなく住民税非課税でも同居する家族に所得があり、誰かが住民税を支払っている場合は、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 また、本人に配偶者がいる場合、事情により別世帯であっても配偶者が住民税を支払っているのであれば、負担限度額認定証の交付対象にはなりません。 ※配偶者からDVを受けている場合や、配偶者が行方不明の場合は否認要件に該当しません。 条件②:所得が基準額以下であること 負担限度額認定制度は経済的に厳しい方の負担を軽減する制度です。 そのため、所得レベルに応じて減免額に差を設けています。 各レベルは4段階あり、所得の額が上がるにつれて費用の減額は少なくなり、制度から受けられる恩恵も小さくなります。 所得要件は以下のようになります。 各段階 要件 第1段階 生活保護受給者 第2段階 ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円以下 第3段階(1) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間80万円を超え120万円以下 第3段階(2) ・世帯の全員が住民税非課税 ・合計所得金額+年金収入=年間120万円超 第4段階(非該当) 負担軽減の対象外:1~3段階の条件に該当しない方 第1段階が制度より受けられる恩恵が最も大きく、段階が上がるにつれて恩恵も小さくなります。 第3段階より所得額が大きくなると負担限度額認定の対象から外れます。 条件③預貯金などの資産が一定額以下であること 負担限度額認定での預貯金の定義は「資産性がある」「換金性が高い」「価格評価が容易である」これらの3つの要因で定義されています。 預貯金に該当するもの 預貯金(普通・定期) 有価証券(株式・国債・地方債・社債など) 金・銀などの貴金属 投資信託 現金 負債(借入金・住宅ローンなど) 生命保険や自動車、貴金属などは預貯金の対象にはなりません。 資産要件は各段階に応じて下記のようになります。 区分 対象 単身 夫婦 第1段階 1,000万円以下 2,000万円以下 第2段階 650万円以下 1,650万円以下 第3段階(1) 550万円以下 1,550万円以下 第3段階(2) 500万円以下 1,500万円以下 負担限度額認定を利用するといくら安くなる? では実際に負担限度額認定制度を利用するとどこまで費用を抑えることができるのでしょうか? 下記の表に各段階に応じた負担額をまとめました(金額は月額換算になります) 表に記してある金額を超える場合、超過分の金額を支払う必要はありません。 例えば第1段階の食費の負担限度額は9,000円になりますが、9,000円を超過した場合の金額は免除されます。 各段階 居住費 食費の負担限度額 ユニット型個室 ユニット型準個室 従来型個室 多床室 特養 老健療養 特養 老健療養 第1段階 24,600円 14,700円 9,600円 14,700円 0円 0円 9,000円 第2段階 24,600円 14,700円 12,600円 14,700円 11,100円 11,100円 11,700円 第3段階(1) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 19,500円 第3段階(2) 39,300円 39,300円 24,600円 39,300円 11,100円 11,100円 40,800円 第4段階 (非該当) 60,180円 50,040円 35,130円 50,040円 25,650円 11,310円 43,350円 負担限度額認定を利用した場合の シミュレーション 実際に負担限度額認定を「利用した場合」と「利用しなかった場合」を比較し、どれだけ制度からの恩恵を受けられるかみていきましょう。 分かりやすいように事例を想定して考えていきます。 (Aさんの事例) 条件……第2段階で従来型特養の個室を利用していると想定。 第4段階の非該当と比較していきます。 居住費…35,130円(非該当)- 12,600円(第2段階)=22,530円の負担軽減 食費…43,350円(非該当)- 11,700円(第2段階)=31,650円の負担軽減 合計(居住費+食費)=54,180円の負担軽減 このように、制度を活用することで毎月54,180円の負担軽減になります。 年間に換算すると65万円になり、制度から受けられる恩恵はかなり大きいのではないでしょうか。 負担限度額認定制度を活用してない人はぜひ活用しましょう。 負担限度額認定を利用できるサービス 負担限度額認定はすべての介護サービスで利用できるわけではありません。 利用できる施設 特養(特別養護老人ホーム) 老健(介護老人保健施設) 介護医療院 介護療養型医療施設 短期入所生活介護 短期入所療養介護 地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養) グループホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者賃貸住宅は対象外のため、注意が必要です。 負担限度額認定の注意点 負担限度額認定制度にはいくつかの注意点があるため、あわせて確認しておきましょう。 注意点①:負担限度額認定証には有効期間がある 負担限度額認定証には有効期間があります。 期限を過ぎると勝手に自動更新されるわけではないので注意が必要です。 有効期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間であるため、ご自身で更新の手続きをする必要があります。 毎年、更新月が近づくと書類が送付されてくるので、必要事項を記載し、ご自身で更新の手続きを進めておきましょう。 注意点②:毎年同じ額の費用減免が受けられるわけではない 負担限度額は前年の所得や預貯金などの状況に応じて決定されます。 そのため必ずしも前年と同じ金額が減額されるわけではありません。 所得や資産に大きな変化があった場合、状況によっては非該当になる可能性もあるため、注意が必要です。 まとめ ここまで負担限度額認定制度について解説してきました。 最後に復習しておきましょう。 負担限度額認定制度は経済的に余裕がない世帯の負担を軽減する制度である 負担限度額認定制度を活用するには「住民税非課税」「所得要件」 「資産要件」などの条件を満たす必要がある 負担限度額認定制度は所得や資産によって受けられる恩恵に差がある制度である 負担限度額認定制度を活用すれば金銭的負担をかなり軽減できるので活用すべきである 負担限度額認定証は有効期間があるので注意が必要である 負担限度額認定を受けるための申請書類は地域によって異なることがあります。 負担限度額認定を知らないことで損をしないように、不明点はお住まいの市区町村の自治体や、ケアマネージャーなどに問い合わせましょう。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 世帯分離とはどんなもの?メリットやデメリットを解説!

    「世帯分離で親の介護費用は下がるのかな?」 「世帯分離はだれでもできるのかな?」 「そもそも世帯分離って何だ」 このように世帯分離についてお悩みではないでしょうか? 世帯分離は上手く活用することで介護費用を下げることが可能な制度です。 この記事では世帯分離について分かりやすく解説していきます。 世帯分離とは? では、世帯分離とはどのようなものか詳しく解説していきます。 そもそも世帯とは? 世帯とは住居と生計を共にしている人々の集まりのことです。 一人暮しでも独立して生計を営んでいれば世帯として扱われます。 また、同じ住居で共同で生活していても生計を別にしている場合は、それぞれが別世帯として扱われ、世帯主も複数存在することになります。 世帯分離とは? 世帯分離を簡単に説明すると、同居している家族と住民票を分けることをいいます。 ただし、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」があることが前提となるため、そもそも収入がなく生計を営むのが困難であれば世帯分離はできません。 また、世帯分離は住民票上での分離になるので、今まで通り一緒に生活することも可能ですし、当然戸籍もそのままになります。 世帯分離の目的は? 「そもそもなんで世帯分離するの?」と疑問に思われる方もいるでしょう。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することです。 住民税の額は世帯ごとに計算されるため、世帯分離により世帯の所得額が減ることで、住民税の軽減が可能となります。 世帯分離の3つのメリット それでは世帯分離をするとどういうメリットがあるのでしょうか。 具体的に見ていきましょう。 メリット1:介護サービスを利用する際の自己負担額を軽減できる 介護サービスは所得に応じて1~3割の自己負担が発生します。 自己負担割合は基本1割ですが、平成27年度の法改正により一定額以上の所得者は2割、現役並みの所得がある人は3割負担になりました。 この自己負担割合は世帯の所得で判断されるため、世帯分離により親の所得だけが算定要因になれば自己負担割合も軽くなる可能性があります。 仮に要介護1の場合、支給限度額は約167,000円です。 3割負担の場合、自己負担が50,100円ですが、所得額が減ることで1割負担になれば16,700円になります。 毎月の差額が33,400円(年間約40万)になるため、世帯分離により受ける恩恵も大きいのです。 ※支給限度額とは、要支援、要介護と認定された方が介護サービスを利用した際に、介護保険から保険給付される限度額です。限度額を超過した分は自己負担になります。 メリット2:高額介護サービス費制度により自己負担額の上限が下がる 介護サービスの自己負担が1~3割とはいえ、サービスを無限に受け続ければ自己負担額はそれに比例して増えていきます。 そこで利用できる制度が「高額介護サービス費制度」です。 高額介護サービス費制度は世帯の所得に応じ、1ヵ月間に支払う自己負担額に上限額が設定されています。 自己負担の上限額を超えた場合、超過した分の費用は申請することで払い戻されるため、サービスをたくさん利用される方にとっては恩恵の大きい制度です。 一般的な所得の方の負担限度額は44,000円ですが、世帯分離を行うことで 住民税が仮に非課税になれば、上限額が24,600円となります。 月額で2万円(年間24万円)の負担軽減になるためメリットも大きいです。 メリット3:負担限度額認定制度により自己負担額を軽減できる 介護サービスを利用すると様々な費用が発生します。 なかでも食費や居住費は全額自己負担となるため、大きな負担となります。 負担限度額認定制度は介護保険施設を利用した際の食費や居住費を軽減できる制度です。 この制度は所得や資産の少ない方が対象となります。 所得や資産状況にもよりますが、ケースによっては食費と居住費を合わせて、月額5万円程度の負担軽減になることもあります。 世帯分離の4つのデメリット 世帯分離は上手く活用すればメリットも大きいですが、デメリットもあるため、注意するようにしましょう。 デメリット1:高額介護サービス費で介護費用を世帯合算ができない 世帯分離する前に一世帯に要介護者が2人以上いた場合、2人の介護費用を合算し、超過分を「高額介護サービス費制度」により払い戻すことができていました。 しかし、世帯分離によって各世帯に要介護者が1人ずつとなった場合には、今までのように介護費用の合算ができなくなります。 そのため申請後の払戻額も少なくなる可能性があることを覚えておきましょう。 ケースによっては、それぞれの介護サービス費では高額介護サービス費を利用できる上限額に達しないことも想定されるため、そもそも制度を利用できなくなることも考えられます。 デメリット2:各世帯で国民健康保険を納める必要がある 国民健康保険制度の保険料の負担は世帯主が行う必要があります。 そのため世帯分離し世帯が別になれば、それぞれの世帯で国民健康保険料を納める必要がでてくるのです。 仮にそれぞれの世帯での納付額は減っていたとしても、2つの世帯の保険料を合算すると、一世帯で支払っていた保険料よりも高くなってしまう可能性もあります。 そのため世帯の保険料の総額を考えて検討することが必要です。 ケースによっては保険料が逆に下がる可能性もあります。 世帯分離による保険料の増減に関しては、完全にケースバイケースといえます。 デメリット3:手続きの手間が増える 世帯分離により行政などの手続きが煩雑になることが考えられます。 役所の手続きは各世帯で行う必要があるため、同一世帯だった場合は1回の手続きで完結します。 しかし、世帯分離をすることで2世帯分の手続きをする必要がでてくるのです。 その他にも親の行政手続きに委任状が都度必要になるなどの手間も生じるので注意が必要です。 例えば、親の住民票が必要な場合があるとします。 その際、親が高齢で役所に行けない場合、代理で窓口に行くことになりますが、その都度親に委任状を書いてもらわなければなりません。 そのため、さまざまな手続きの手間は増えてしまいます。 デメリット4:扶養手当てや家族手当がもらえない 子供や親を扶養している場合、会社から扶養手当や家族手当などが支給されているのではないでしょうか。 その場合、世帯分離により、扶養から外れてしまうため手当がもらえなくなる可能性があります。 世帯分離を行う前に、一度会社の担当部署に確認しておきましょう。 世帯分離をおすすめできるケースとは 世帯分離でメリットが得られる世帯は、介護サービスをたくさん利用する方がいる世帯です。 世帯分離で所得が減ることにより、制度から受けられる恩恵も多くなる傾向にあるといえます。 高額介護サービス費制度では自己負担の上限額が下がることによって戻ってくる額も大きくなるなどのメリットを受けられます。 また介護保険施設に入所している場合、世帯分離することにより、食費や居住費の自己負担を軽減できる負担限度額認定制度を活用することも可能です。 世帯分離を行う際の注意点 世帯分離をするには住民票のある市区町村で手続きをする必要があります。 担当窓口の方から「世帯分離を行う目的は?」と質問された際に、「介護保険料を軽減したいから」と言うと受理されない可能性があるため注意が必要です。 なぜなら「介護保険料の減額」が、世帯分離の本来の趣旨とズレているためです。 世帯分離の本来の趣旨は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することにあります。 仮に窓口で理由を聞かれたら「生計を別々にするようになった」、「それぞれの家計が別々のため」と言うのが無難でしょう。 世帯分地は同じ住所でも親子同居でも申請することは可能です。 しかし、世帯分離するためには、独立した家計を営んでいることが条件となっています。 生計が同一の場合は世帯分離が認められにくいので注意してください。 世帯分離の手続き方法 では、実際に世帯分離をする際にどのような手続きが必要なのかを確認してみましょう。 書類をそろえる 世帯分離をするときには、以下の書類が必要になります。 ・本人確認書類 ・世帯変更届 ・国民健康保険証 ・印鑑 また、親の手続きを子供が代理で行う場合は委任状も必要です。 書類に不備があると申請できないので、念のため申請前に役所に確認しておくとよいでしょう。 まとめ ここまで世帯分離について解説してきました。 最後にポイントを整理しておきましょう。 世帯分離をするには、それぞれの世帯に「独立した生計を営む収入」が必要である。 世帯分離の本来の目的は「所得が少ない人(親など)の住民税を軽減」することである。 世帯分離をすることで介護費用を軽減できるというメリットがある 世帯分離をすることで国民健康保険の保険料が増えるというデメリットがある ※保険料に関してはメリットになる可能性もあり、完全にケースバイケースである 世帯分離をすることで会社からの手当が減ることがあるので注意が必要である 世帯分離により行政の手続きが面倒になるので注意が必要である 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 『高額介護サービス費』とはどんなもの?基準値や利用できるサービスなどを解説!

    高額介護サービス費は、介護保険サービスを利用したときに支払う利用料金の一部が返金される制度す。 いろいろなものが値上がりしている昨今、利用者やその家族は利用料金の負担に不安を感じています。 なかには利用料金に対する不安から必要なサービスの利用を控えている利用者もいるのではないでしょうか。 介護保険の制度の中でも複雑で理解が難しい高額介護サービス費。 本記事を読むと、高額介護サービス費について理解できます。 ぜひ最後までお読みください。 高額介護サービス費とは 高額介護サービス費は、「1ヶ月に支払った利用者負担の合計が所得に応じた負担限度額を超えた時に超えた分が払い戻される」制度です。 介護保険サービスを利用する時、利用者の所得によって、利用料金の1〜3割を利用者が負担しています。 ですが介護を受ける期間が長くなったり、加齢によってサービスを受ける量が増えたりすると、負担する料金がどんどん増えていきます。 利用者の経済的負担を軽減するための制度がこの高額介護サービス費。 利用者の所得によって段階的に基準額が決められています。 たとえば、住民税非課税世帯だと、年金収入やその他の合計所得の合計が年間80万円より高い世帯の上限額は24,600円です。 仮にサービス利用料金が40,000円の場合、差額の15,400円が後から返金されます。 以前は住民税課税世帯の上限額は一律で44,000円でしたが、令和3年8月に制度が改正されて、高所得者世帯の上限が見直されました。 「課税所得380万円未満」「課税所得380万円〜690万円」「課税所得690万円以上」と細分化されています。 高額介護サービス費の基準額は以下を参照してください。 高額介護サービス費の基準額 *2023年2月現在は以下のようになっています。 区分 負担の上限額 (月額) 課税所得690万円(年収1,160万円)以上 140,100円(世帯) 課税所得380万円(年収770万円)〜課税所得690万円(年収1,160万円未満 93,000円(世帯) 市町村民税課税〜課税所得380万円(年収770万円)未満 44,400円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円を超える方 24,600円(世帯) 世帯全員が市町村民税非課税で、前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方 24,600円(世帯) 15,000円(個人) 生活保護受給者等 15,000円(世帯) 参考:厚生労働省 令和3年8月利用分から高額介護サービス費の負担限度額が見直されます 間違えやすい制度 以下の2つは高額介護サービス費と間違えやすい制度なので分けて考えてください。 区分支給限度基準額…要介護度ごとに設定された一月に利用できる介護保険サービスの上限額を指します。超過した分は介護権を利用できず全額自己負担です。 高額医療・高額介護合算療養費制度…年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が限度額を超えた時に差額が支払われる制度です。 対象になる時は市区町村から必要書類が送られてくるので、記入して返送します。 高額介護サービス費の対象にならないサービス 高額介護サービス費は、所得などによって決められた基準額を超えた分の 返金を受けられますが、支払った費用の全てが対象になるわけではありません。 対象外になるサービスは以下の通りです。 施設サービスやショートステイの食費や居住費、その他の日常生活費 福祉用具の購入費や住宅改修費 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 施設サービスやショートステイの食費や居住費 その他の日常生活費 高額介護サービス費の対象になるのは、1割から3割の中で負担している介護保険の自己負担分のみです。 そのため、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの入居施設や、ショートステイを利用したときにかかる食費や居住費は対象にはなりません。 散髪代やその他の日常生活費も対象外です。 もともと介護保険の対象外となっている費用については、対象外になると理解していればよいでしょう。 福祉用具の購入費や住宅改修費 手すりの取り付けやスロープの造設、ポータブルトイレの購入等にかかった費用も対象外です。 額としては大きくまとまった費用がかかりますが、一時的なもので継続的にかかる費用ではありませんので、対象外になります。 支給限度基準額を超えてサービス利用した自己負担分 サービスを多く利用し、支給限度基準額を超えてしまったときの超過分についても、高額介護サービス費の対象からは外れてしまいます。 超過分は介護保険の給付対象ではなく全額自己負担になるからです。 たとえば、サービスを50,000円分利用し、支給限度基準額が30,000円 高額介護サービス費の負担の上限額が15,000円だったと仮定します。 サービスを利用しているのが50,000円で、負担の上限額が15,000円なので 35,000円の返金と考えてしまいますが、これは間違いです。 支給限度基準額が30,000円なので、20,000円は全額自己負担になります。 そのため、高額介護サービス費は30,000円から上限額の15,000円を引いた差額の15,000円です。 計算自体はそれぞれの市区町村が行いますが、仕組みを理解しておくと 返金分を考慮したサービス調整ができるようになります。 高額介護サービス費の申請方法 実際に高額介護サービス費の支給を受けるための手続きは簡単です。 対象になると、市区町村から住民票のある住所地に申請書が送られてきます。 送られてきた書類に基本情報や口座情報などの必要事項を記入し、市区町村に提出するだけです。 郵送でも手続きできるので、わざわざ役所へ行く必要はありません。 受理されて1〜2ヶ月後、申請時に指定した口座に振り込まれます。 一度登録が済むと、その後手続きは自動です。 2回目以降は支給決定通知書や領収書が送られてくるので大切に保管しておきましょう。 確定申告をする場合に必要になります。 申請はいつでもできますが、サービスの利用から2年が経過してしまうと時効になるので早めに手続きしたほうがよいでしょう。 高額介護サービス費は経済的な面でとても助かる制度ですが、申請しなければ返金されることはありません。 申請書が届いたら忘れずに申請しましょう。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、高額介護サービス費の制度について、基準額・対象にならないもの・申請方法について説明しました。 高額介護サービス費は、1ヶ月に支払った利用者負担の合計が 所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度。 課税所得や住民税の課税状況によって負担の上限額が決まっている。 高額介護サービス費の対象にならないものもある。 申請は市区町村から送られてくる申請書に必要事項を記入し返送する。 サービスの調整や自己負担額の説明をする際に、それぞれのサービスの料金表に載っている費用だけを伝えると、利用者や家族は負担感を感じることもあります。 後から返ってくる費用もあると知ることで、サービス利用にをする際の経済的不安を減らせるのではないでしょうか。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 介護医療院とはどういうもの?概要や入所のメリットとデメリットなどを解説!

    介護医療院とは要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。 2018年に法制化されたばかりの新しい種類の施設なので、実際どんなところなのか、自分の親が入所できるのかなどわからないこともあるのではないでしょうか。 本記事では、介護医療院の概要や入所のメリットとデメリット、利用料金や入所する方法を解説します。 ぜひ最後までお読みください。 介護医療院ってどんなところ? [caption id="attachment_1970" align="alignnone" width="512"] Woman in a white coat[/caption] 介護医療院は介護保険制度を利用した介護施設ですが、医療的なケアも受けられて長期間利用できる施設です。 介護保険制度が始まる2000年以前は、治療がなくても病院へ入院している社会的入院が問題となっていました。 退院できるけど生活する場がない人の受け皿として介護療養型医療施設が創設されましたが、医療の必要性の低い利用者も多く入院している状況は変わりませんでした。 医療費の圧迫や人手不足の問題もあることから、2023年度末で介護療養型医療施設は廃止されることになり、介護医療院が新設されることになりました。 サービスの内容 介護医療院で受けられるサービスには、介護サービスと医療サービスがあります。 介護サービス 介護医療院は同じ介護保険施設の枠組みにある特別養護老人ホームや、介護老人保健施設(老健)と同じように、食事や排泄、入浴など、その人に必要な介護を受けられます。 担当のケアマネジャーを中心に作成する施設サービス計画をもとに、日常生活上必要な介護やレクリエーション、機能訓練などが提供されています。 医療サービス 介護医療院では、たんの吸引や胃ろう、点滴、在宅酸素、褥瘡のケアなど 医療的なケアの対応ができる他、看取り介護も行われています。 入院して治療するほどではないが医療的な観察が必要な場合、特別養護老人ホームなどでは受け入れができない場合があるので、介護医療院が選択肢になるでしょう。 2つのタイプ 介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。 Ⅰ型は重篤な身体疾患のある方や身体合併症がある認知症高齢者が対象で 病院色の強いタイプ。 Ⅱ型はより安定している高齢者が対象で、老健のようにリハビリをして 家庭復帰をサポートしています。 Ⅰ型とⅡ型では、施設の人員や設備、運営基準に違いがあります。 (引用:厚生労働省「介護医療院の概要」) 対象者 入所の対象になるのは、要介護1〜要介護5の認定を受けた65歳以上の方と 40歳から64歳で特定疾病による要介護1〜要介護5の認定を受けている方。 要支援の方は対象外のため入所できません。 その人の状態によってⅠ型かⅡ型かが決まります。 介護医療院は、医療的なケアを提供する場なので、実際の入所者は医療依存度の高い高齢者が多い傾向です。 介護医療院に入所するメリットとデメリット 医療的なケアを受けながら長期療養できる介護医療院ですが、メリットだけではありません。 入所者本人にとってよい選択ができるようメリット、デメリットともに把握することが大切です。 メリット 介護医療院に入所するメリットは以下の3点です。 医療的なケアを受けられる 長期療養が可能で看取り介護も対応できる 生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある デメリット デメリットは以下の3点です。 多床室は家具とカーテンで仕切られているだけでプライバシーの確保が不安 長期になると費用が高額になる まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる 施設によって特徴に違いがありますので、資料請求や見学をして情報収集することが大切です。 介護医療院の費用    介護医療院の費用は月額の利用料金のみで、入居金などの初期費用はかかりません。 医療的ケアを受けられることで、特別養護老人ホームに比べると高く設定されているので、入所前によく確認しましょう。 月額利用料金の内訳   介護医療院でかかる月額利用料金の内訳は以下のとおりです。 施設サービス費・介護加算 施設サービス費は要介護度ごとに設定されていて、他にも介護保険の負担割合や施設の形態によって金額が異なります。 表はⅠ型、Ⅱ型それぞれ1割負担の場合の金額です。( 記事執筆23年2月) Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 694円 803円 820円 要介護2 802円 911円 928円 要介護3 1,035円 1,144円 1,161円 要介護4 1,134円 1,243円 1,260円 要介護5 1,223円 1,332円 1,349円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 649円 758円 819円 要介護2 743円 852円 919円 要介護3 947円 1,056円 1,135円 要介護4 1,034円 1,143円 1,227円 要介護5 1,112円 1,221円 1,310円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) 他にも施設の体制にかかる加算項目がありますので、説明を聞く際に確認が必要です。 居住費・食費 室料や光熱費にあたる居住費や、食材料費や調理費にあたる食費は各施設ごとに決められています。 厚生労働省が基準費用額を定めているので、以下をご確認ください。 基準費用額 居住費 多床室 377円 従来型個室 1,668円 ユニット型個室 2,006円 ユニット型個室的多床室 1,668円 食費 1,445円 (参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和3年3月9日)) 日常生活費 日常生活費は歯ブラシやティッシュペーパー、理美容や入れ歯の洗浄剤など、生活の中で必要になる費用です。 保険の適用にはならず実費負担となり、施設によって金額が異なるので 入所前に確認する項目の一つです。 月額利用料の目安 上記を参考に月額の目安を計算すると以下のようになります。 Ⅰ型 1割負担 要介護4 ユニット型個室の場合 →140,340円 + 日常生活費 Ⅱ型 1割負担 要介護3 多床室の場合 → 86,340円 + 日常生活費 介護保険の負担割合や要介護度、居室のタイプによって利用料金が大きくかわるので、負担が大きくなってしまう可能性もあります。 少しでも負担を抑えるために、次から介護医療院で使える減免制度について説明します。 介護医療院の減免制度 介護医療院の費用に関する減免制度は主に3つです。 支払いに不安のある場合は以下の制度を活用することで、自己負担額を低くすることができます。 介護保険負担限度額認定 介護医療院の費用のうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって、段階的に減額されます。 段階によっては居住費と食費が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、保険者となっている市区町村の介護保険窓口で対象になるのかどうか、確認してみるとよいでしょう。 高額介護サービス費 高額介護サービス費は、1カ月に支払った施設サービス費が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度です。 居住費や食費、日常生活費は対象にはなりません。 該当する時に市区町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 高額医療・高額介護合算制度 高額医療・高額介護合算制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、所得によって決められた限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。 高額介護サービス費と同じように、対象者には申請用紙が届きますのでそれぞれの役所へ提出します。 介護医療院に入所する方法 [caption id="attachment_1968" align="alignnone" width="512"] A room in a nursing facility[/caption] 介護医療院に入所する流れは以下のようになります。 要介護認定を受ける 入院・入所中の病院や施設の相談員へ相談し介護医療院を探す 資料請求や見学をして施設へ直接申し込む 診療情報提供書や血液検査などのデータを元に介護医療院が入所判定を行う 入所前面談を行い、施設での生活や療養方針について確認する 入所 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では介護医療院の概要やサービス内容、入所のメリットとデメリット、費用や入所する方法を解説しました。 介護医療院は医療的なケアを受けられて、長期療養できる介護保険施設 利用者の状態によってⅠ型とⅡ型に分けられる 対象になるのは65歳以上、もしくは40歳から64歳で特定疾病による 要介護1〜要介護5の認定を受けている方 介護医療院に入所するメリットは「医療的なケアを受けられる」 「長期療養が可能で看取り介護も対応できる」 「生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある」 デメリットは「多床室は家具とカーテンで仕切られているだけで プライバシーの確保が不安」「長期になると費用が高額になる」 「まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる」 1カ月の費用の主な内訳は、施設サービス費+居住費+食費+日常生活費 利用料金の減免制度として介護保険負担限度額認定、高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算制度などがある 介護医療院は医療的ケアも介護サービスも受けられます。 家族内、ケアマネジャー、入院・入所している病院や施設の相談員などとよく相談し、より良い選択をするようにしましょう。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 成年後見制度にかかる費用とは?制度の種類や費用のシュミレーションを解説!

    「将来に備えて任意後見制度を利用しようと考えてるけど費用はいくらかかるの?」 「認知症になった親のために法定後見制度を利用したいけど いくらかかるんだろう?」 そんな不安や疑問を抱えていませんか? この記事では成年後見制度にかかる費用について、分かりやすく解説していきます。 そもそも成年後見制度ってなに? 成年後見制度とは「認知症」や「障害」などにより判断能力が不十分になった人を守る制度になります。 大切な財産を詐欺などから守ることはもちろんですが、病院の受診や介護施設の契約時など、1人で判断することが難しい時に後見人がサポートしてくれる制度です。 そんな成年後見制度ですが「任意後見制度」と「法定後見制度」の2種類に分かれます。 任意後見制度とは? 任意後見制度とは本人の判断能力十分なうちに「後見人(助けてくれる人)」と「支援して欲しい内容」を決めておく制度になります。 制度を利用する人が元気なうちに将来に備える仕組みです。 法定後見制度とは? 法定後見制度とは認知症などにより既に判断能力が不十分になった人に対して、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。 既に判断能力が不十分になっているため、本人の意向を汲み取ることは困難になります。 また、法定後見制度は本人の判断能力に応じて「補助」「保佐」「後見」の3種類の類型に分類されます。 法定後見制度にかかる費用は? 法定後見制度にかかる費用には、最初の手続き時のみ発生する「初期費用」と、後見人への報酬など「継続的に発生する費用」の2つに分かれます。 法定後見制度の手続きに発生する初期費用 法定後見制度では本人の判断能力が衰えた時に「この人には助け(後見人)が必要だ」と判断した人が、家庭裁判所に申立を行います。 その家庭裁判所への申立の際に費用が発生します。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 申立て手数料 800~2,400円 ・類型が補助の場合、補助人への代理権と同意権を付与する申立てが必要なため追加で1,600円(各800円)が必要になります。 ・保佐の場合も必要に応じて代理権と同意権が必要になる場合があります 戸籍謄本 450円 住民票 300円 登記されていないことの証明書 300円 本人が既に成年後見制度を利用してないことを確認するための証明書 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合に必要 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合に必要 郵便切手代 4,000~5,000円 登記費用手数料 2,600円 後見・保佐・補助いずれの類型でも同額 鑑定費用 5万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士などに手続きを依頼した場合 10万~20万 手続きを自分で行うことは可能ですが、弁護士や司法書士などへ依頼することも可能です 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用です。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 法定後見制度の継続的に発生する費用 後見人の業務が開始すると、後見人に対して報酬を支払う義務が発生します。 毎月発生する報酬には2種類あります。 基本報酬:後見人への報酬 成年後見監督人への報酬:成年後見監督人が選任されている場合に発生 ※成年後見監督人は後見人がきちんと業務をしているか監督する立場にあります。 それでは2つの報酬の相場を確認していきましょう。 ①基本報酬(後見人への報酬)の相場 基本報酬は本人の管理してる財産額により決められるのが一般的になります。 また管轄の家庭裁判所により報酬額にバラツキがあるため確認しておきましょう。 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ③成年後見監督人に対する報酬 成年後見人への報酬と同様に管理している財産額によって相場が変わるのが一般的です。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円 法定後見制度の費用シュミレーション 実際に法定後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Aさん80歳】……類型が補助の場合 財産1,000万未満 / 申立て手続きを司法書士に依頼 / 成年後見監督人を選任 Aさんをモデルに初期費用と継続的に発生する費用を確認していきましょう。 ①初期費用(家庭裁判所への申立て費用) 家庭裁判所への申立てにかかる費用 ➡ 約2万円前後 ※鑑定費用は発生しないと想定しました。 理由…鑑定が行われるのは希で、発生する割合は例年1割未満のため。 作成などの手続きを司法書士に依頼 ➡ 150,000円 上記の費用を合算すると、およそ17万円が初期の費用として発生する計算になります。 ②継続的に発生する費用 成年後見人への報酬 ➡ 月額2万円程度 成年後見監督人への報酬 ➡ 月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月4万円程度の支払いが発生する計算になります。 年間にすると48万円の支出になり、決して安い金額とは言えません。 仮に亡くなるまでの期間を20年と想定した場合、960万円の支払が必要になる計算です。 任意後見制度にかかる費用は? ここからは任意後見制度にかかわる費用について見ていきます。 任意後見制度の初期費用 任意後見制度の初期費用には判断能力が十分なうちに発生する 「任意後見契約書の作成費用」と、判断能力が衰えたときに発生する「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなります。 時間をおいて2段階で費用が発生するイメージです。 ①任意後見契約書の作成費用 任意後見制度では判断能力が十分なうち、任意後見人を定める任意後見契約を結ぶ必要があります。 【任意後見契約書の作成費用】 項目 金額 備考 公正証書作成基本手数料 11,000円 ・公証役場への手数料 ・4枚を超える場合は1枚ごとに250円追加 印鑑登録証明書 300円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 正本等の作成手数料 250円 1枚あたり250円 登記嘱託手数料 1,400円 郵便切手代 540円 登記手数料 2,600円 法務局へ納める印紙代 司法書士に依頼した場合 5~10万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約1.7万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で5万〜10万の費用が発生します。 ②家庭裁判所への申立てにかかる費用 実際に本人の判断能力が低下し後見人が必要になったら、任意後見人が家庭裁判所に対して 任意後見監督人選任の申立を行う必要があります。 任意後見制度では任意後見監督人(後見人の監督役)を選任する必要があります。 【家庭裁判所への申立てにかかる費用】 項目 金額 備考 任意後見監督人選任申立て手数料 800円 後見登記手数料 1,400円 戸籍謄本 450円 住民票 300円 後見登記事項証明書 550円 オンライン請求の場合380円 医師の診断書 5,000~10,000円 不動産登記簿謄本 600円 本人が不動産を所有する場合 固定資産評価証明書 400円 本人が不動産を所有する場合 郵便切手代 4,000~5,000円 鑑定費用 10万~10万 裁判所が必要と判断した場合。発生するのは希 司法書士に依頼した場合 10万~20万 手続きを司法書士に依頼した場合に発生します 以上の項目を合計すると約2万円前後の費用になります。 ※別途手続きを司法書士などへ依頼した場合は追加で10万〜20万の費用が発生します。 任意後見制度の継続的に発生する費用 任意後見制度の継続的に発生する費用には基本報酬(後見人への報酬)と 後見監督人への報酬があります。 ①基本報酬(後見人への報酬) 任意後見人への報酬は本人と後見人候補者で事前に取り決めた金額になります。 一般の人が後見人になる場合、2万円程度が報酬の相場です。 家族に後見人を依頼するのであれば、0円(無料)になる場合もあります。 弁護士や司法書士などに依頼する場合、管理財産額により報酬が変動するのが一般的です。 【後見人に司法書士などの士業を選任した場合】 管理財産の額 月額の報酬額 1,000万円未満 月額2万円 1,000万円~5,000万円 月額3~4万円 5,000万円以上 月額5~6万円 ②任意後見監督人への報酬 任意後見監督人への報酬も本人の管理財産額により報酬が変動します。 管理財産の額 月額の報酬額 5,000万円未満 月額1~2万円 5,000万円以上 月額2.5~3万円  任意後見制度の費用シュミレーション では実際に任意後見制度を利用した際にいくら費用が必要か見ていきましょう。 イメージしやすいようにモデルケースを設定します。 【Bさん80歳】……任意後見人を家族に依頼 財産1,000万未満 / 任意後見人を家族に依頼 / 成年後見監督人を選任 ※成年後見契約書作成を司法書士に依頼……10万円 ※家庭裁判所への申立を司法書士に依頼……15万円 ①初期費用 任意後見契約書の作成時:1.7万円+10万円(司法書士への報酬)➡ 約12万円 家庭裁判所への申立て時:2万円+15万円(司法書士への報酬)➡ 17万円 上記の費用を合算すると、およそ29万円が初期の費用として発生する計算になります。 任意後見契約書を作成してから、実際に認知症などにより判断能力が低下するまでには数年から数十年かかることが想定されます。 そのため、一気に27万円の支払いが発生するわけではありません。 ②継続的に発生する費用 任意後見人(家族)への報酬 ➡無料 ※家族のため無料と想定 任意後見監督人への報酬 ➡月額2万円程度 上記の費用を合算すると毎月2万円の支払いが発生する計算になります。 年間では24万の支出です。 ※任意後見人を家族に依頼した場合、必ずしも報酬が無料になるわけではありません。 まとめ ここまで成年後見制度にかかる費用について見てきました。 最後にポイントを復習しておきましょう。 成年後見制度には「法定後見制度」と「任意後見制度」2種類ある 成年後見制度の費用には、申立て費用などの「初期費用」と後見開始後に発生する 「継続的な費用」の2つがある 法定後見制度の「初期費用(家庭裁判所への申立て)」は17万円前後である ※司法書士に手続きを依頼したと想定 法定後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」は月額2~9万である ※後見人への報酬額は管理財産額により変動する 任意後見制度の初期費用は「任意後見契約書の作成費用」と 「家庭裁判所への申立て費用」の2つからなる。 初期費用の合計はおよそ29万円前後である 任意後見制度の「継続的な費用(後見人などへの報酬)」2~9万円前後である 任意後見制度の後見人を家族に依頼する場合報酬が無料の場合もある 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • 福祉用具の住宅改修とは?基本的な内容から注意点まで解説! 

    介護保険には、住みなれた自宅での暮らしを続けることができるように支える制度もあります。 介護保険の制度で住環境に関するものが、「福祉用具」と「住宅改修」です。 住みなれた家での暮らしを続けるには工事が必要になる場合もあります。 この時に使える介護保険サービスが「住宅改修」です。 介護保険を使用すると、費用の一部の負担で「住宅改修」を受けることができます。  ここでは、「住宅改修」の基本的な内容について紹介します。 注意点もありますので、住宅改修を考えている方は、最後まで読んでくださいね。 福祉用具の住宅改修とは  住宅改修とは簡単にいうと、リフォームです。 福祉用具の住宅改修とは、要介護認定を受けた人の家での暮らしをサポートする、介護保険サービスの1つになります。  親が介護が必要な状態になってくると、多くの人が「親が暮らしやすいようにリフォームをしたいけど、お金がかかる…」と考えます。 福祉用具の住宅改修では、リフォームにかかった費用の一部の助成が受けられます。 たとえば、手すりを取り付けたり、段差をなくしてバリアフリーにしたりすることが可能です。 住宅改修というサポートで、要介護認定を受けた人が家での暮らしを続けやすくなります。   福祉用具の住宅改修で補助される対象とは [caption id="attachment_1220" align="alignnone" width="512"] Smiling children signing OK[/caption]  「住宅改修で、色々リフォームしよう」とお考えになる方も多いかもしれませんが、住宅改修はすべての工事が補助される対象にはなりません。 厚生労働省が以下の6つのものに決めているからです。 手すりの取り付け 段差の解消(屋外の工事も含む) 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更(屋外の工事も含む) 引き戸等への扉の取替え 洋式便器への取替え その他①~⑤に付帯して必要となる住宅改修 ただし、家の暮らしをサポートする「福祉用具貸与」は住宅改修の対象外ですので、注意してください。 また、「福祉用具貸与」は工事を伴わないので、レンタルになります。   どんな人が使えるの?   住宅改修は、すべての人が使えるものではなく、条件があります。 以下の条件を確認して、住宅改修ができるか検討してください。 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている 介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 入院中などではなく、現在家で生活している 家の所有者の許可を得ている 本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る 要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)を受けている  介護保険サービスの住宅改修を受けるには、要介護認定を受けていなければなりません。 要介護認定がなければ、住宅改修の対象の項目だったとしても、全額自己負担になります。 住宅改修を受けたい場合は、必ず要介護認定を受ける必要があるのです。  介護保険被保険者証に載っている家に住んでいる 住宅改修の対象になるのは、介護保険被保険者証に載っている住所の家のみです。 たとえば、調子が悪い間だけなど一時的に子どもの家に住んでいる場合は、対象外です。 介護保険被保険者証に載っている家(住民票がある家)のみ、住宅改修が可能となります。  入院中などではなく、現在家で生活している  住宅改修を受けるには、現時点で家で生活していることが条件になります。 入院中や施設に入所中は、住宅改修を受けることができません。 住宅改修は家で生活をしている人が受けられる、在宅サービスだからです。 そのため、現時点で家で暮らしていることが必要なのです。  しかし自治体によっては、入院中であっても住宅改修が認められることがあります。 退院や退所後の暮らしを整えるために、住環境の整備が必要だと判断される場合です。 退院日などが決まっている場合は、入院中に事前申請や住宅改修を行えます。 退院後、定められた事後手続きを行います。 住宅改修後、退院できない時や施設入所に変更となって自宅に住めなくなった時は、住宅改修費は全額負担になってしまうので、注意が必要です。 可能であれば、住宅改修は事前申請のみ入院中に行い、工事は退院後に行うことをおすすめします。  家の所有者の許可を得ている 介護被保険者証に載っている家が住宅改修を受ける人の家ではない場合は、所有している人の許可が必要です。 たとえば、子どもの家や賃貸の場合です。 所有者の許可なく、住宅改修を受けることはできません。 「住宅改修の承諾書」に所有者の署名と捺印が必要になります。  本人の自立支援を促したり、介護をする人の負担が減る  住宅改修は、介護を受ける人が住んでいる家であっても、制限なく改修はできません。 介護保険は、介護認定を受けた人が住みなれた家での暮らしの継続をサポートするものだからです。 住宅改修を受けて、本人ができることが増えたり、介護をする人の負担が減ることが前提になります。 たとえば、手すりを取り付けて、1人で立ち上がれるようになるなど、利用者の役に立つことが重要なのです。 このため、住宅改修は補助を受けられる対象が決まっています。 詳しくは、前述した「住宅改修の補助される対象は」をご覧ください。   いくらまで補助される? 住宅改修の支給限度額は要介護度に関係なく、1人につき1回限りで、20万円です。 自己負担額は、介護保険負担割合証に1~3割のどれかが載っていますので、確認してください。 たとえば、1割の場合は2万円を自己負担することになります。  住宅改修費はまとめて使うこともできますし、複数回に分けて使うことも可能です。 たとえば、1回の住宅改修の工事で10万円しか使用しなければ、次の工事で残り10万円分を使えます。  ただし、20万円を超えた分は全額自己負担になりますので、注意してください。 自治体によっては住宅改修補助制度があって、20万円を超えた分も補助を受けられる場合があります。 担当のケアマネなどや自治体に相談してみてください。   1回20万円の住宅改修費がリセットされる時は?   住宅改修の支給限度額は1人につき1回20万円ですが、リセットされる時があります。 どのような場合にリセットされるのか、確認しておきましょう。  要介護度が3段階以上上がった時  要介護度が3段階以上上がると、1回だけ住宅改修費を再度20万円分使うことができます。 たとえば、要介護2から要介護5になった時など、住宅改修費がリセットされて、再度20万円分使うことができるのです。  引っ越した時 もともと住んでいた家で住宅改修を受けていたとしても、引っ越した時はリセットされ、再度20万円分を使えます。 ただし、新築に引っ越し先する場合は、住宅改修として認められないので、注意が必要です。   支払い方法は?   住宅改修費の支払いは、「償還払い」と「受領委任払い」の2つの方法があります。 基本的には「償還払い」で行われますが、業者によっては「受領委任払い」を選ぶこともできるのです。 それぞれの特徴について、紹介します。  償還払い  償還払いは、住宅改修にかかった費用の全額を一旦業者に支払います。 1割負担であれば後日に申請をすることで、残り9割が返ってきます。 ですが、まとまった金額を用意する必要があるため、利用者にとって大きな負担になります。  受領委任払い 受領委任払いは、自己負担分の費用を業者に支払うので、利用者の負担が軽減できる方法です。 保険給付分は業者が申請することで、保険者が業者に支払いを行います。  ただし、受領委任払いを行いたい時は、「受領委任払い取扱事業者」として登録された業者で住宅改修を行う必要があります。 指定業者以外で住宅改修を行うと、受領委任払いでの支払いはできませんので、注意しましょう。   まとめ ここまで、住宅改修の基本的な内容について、説明をしてきました。  住宅改修ができるのは、厚生労働省が定めた6項目のみ。 住宅改修を受けられるのは、住民票に載っている住所に住んでいる人のみ。 入院中など自宅にいない時は、住宅改修を受けることができない。 住宅改修費は20万円まで補助を受けることができる。 住宅改修費は、要介護度が3段階以上上がった時や引っ越した時にリセットされ 再度20万円分使用できる。 住宅改修費の支払い方法は、「償還払い」と「受領委任払い」の2種類がある。 住宅改修をする時は、介護保険を使って行うことをおすすめします。 介護保険を使わずに住宅改修を行うと、全額自己負担することになってしまいます。 そういった事態にならないように、今回のポイントを頭に入れて、住宅改修を受けましょう。  最後までご覧いただき、ありがとうございました。