介護現場での情報共有の大切さとは!情報共有する相手や方法を解説

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narumi

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皆さんは情報共有を積極的に行えていますか?

介護の世界では「情報共有」はとても大切なことです。

それは職員の間だけではなく、利用者の方やご家族等にも情報共有が十分にできていないと、トラブルが発生する原因となります。

今回は情報共有の大切さと、どのようにすればスムーズに行えるのかをご紹介します。

情報共有ってどのくらい大切?

介護においての情報共有の関係には3パターンあります。

まずは職員対職員。次に職員対ご家族、最後にご家族対ご家族。

この3つに分けて情報共有の大切さをお伝えします。

①職員対職員の情報共有

職員間で最も大切なのは利用者の方の身体や精神のケアについての情報共有です。

薬が変更になったり、食事形態が変わったりなどケアの方法が変わることはよくあることです。

また利用者の方が置かれている環境の変化についての情報共有も行います。

例えばキーパーソンが変わったり、連絡先が変更になったり、ご家族が亡くなったりとこちらも大切な情報です。

特にセンシティブな情報は利用者の方の不安感に繋がるので、注意して取り扱うことが必要です。

また介護業界は日勤や夜勤、正社員とパートなど様々な勤務形態の職員が混在しています。

しっかりと情報共有をしておかなければ、漏れが出てくる場合があるので気をつけましょう。

②職員対ご家族の情報共有

職員対ご家族も入念な情報共有が必要となります。

ご家族→職員の情報共有

これは特に「デイサービス」や「ホームヘルパー」など在宅介護に関係のある現場で必要です。

入所施設であれば施設職員が日常の様子や、定期的な通院など変化に気づきます。

しかし在宅介護の現場であれば利用者の方と関わる時間は僅かですので、ご家族からの情報でケアの方法が変更となるケースが多いです。

独居の利用者の方であれば「最近着替えていることが少ない」「布のパンツでは排泄が難しそう」など、介護士やケアマネージャーが気づくこともあります。

職員→ご家族への情報共有

入所施設などの施設介護は職員→ご家族への情報共有が必要です。

定期的に面会に来られるご家族であれば利用者の方の変化に気づくことは容易ですが、遠方にお住まいのご家族であれば気づくことが難しいでしょう。

久しぶりの面会で自立度が落ちてしまい、以前とあまりに様子が変わっていると驚いてショックを受ける可能性も少なくありません。

他にも持病の調子が変わった、体調が悪いなど通院の結果や日常の変化まで伝えておくとご家族も安心できます。

ご家族の立場に立って些細なことでも情報共有を怠らないようにすることが大切です。

③介護をしているご家族同士の情報共有

1日、2日で終わることのない介護で、不安や負担を感じているご家族も多いはず。

周りにも頼れる環境であれば良いですが、孤立して孤独を感じている介護者の方もいます。

ただでさえ身体的、精神的に負担のかかる介護ですから、少しでも精神面を安定させるために同じように介護で悩んでいる方との情報共有も大切です。

他の方と情報共有することで少しでも前向きになれたり、孤独感を減らすことができるかもしれません。

Twitterでは#(ハッシュタグ)家族介護などで介護者同士コミュニケーションをとったり、他にも介護をしている方を孤独にさせない取り組みも全国で行われていたりします。

介護で悩む介護者の方は、同じく介護の悩みをもつ方と情報共有してみましょう。

介護現場で情報共有するための課題

このように介護現場では情報共有することがとても重要です。

しかし、情報共有行う上での課題もあります。

記載方法が人によって違う

働いているスタッフの性格や経験、スキルなどによって記載する情報の制度に差が出てしまいます。

そのため情報のボリュームが1つずつ異なり、適切な情報共有ができなくなってしまうのです。

介護施設で共有しなくてはいけない情報は数が多いため、確実に統一した情報量で記載するのは困難です。

できるだけ情報量にばらつきが出ないように記載項目を統一するなどの対策が重要です。

情報共有に時間がかかる

先も解説した通り、介護施設でスタッフ間が共有しなくてはいけない情報量は膨大です。

そのため、情報共有をするためのアウトプットもインプットも多くの時間がかかってしまいます。

しかし、情報共有だけに多くの時間を割いてしまうと、肝心の利用者様へのケアがおろそかになってしまいます。

できるだけ短時間で効率よく情報共有できる仕組みづくりをすることが重要です。

スタッフ全体で情報共有すること

施設で働くスタッフはシフト制ですし、訪問介護の場合は利用者様のご自宅に行くため、スタッフ全員が集まって情報共有するのは難しいのです。

しかし、利用者様に適切なケアをするためには、スタッフ全体で共有するべき情報は数多くあります。

そのため、すべてのスタッフが確実に必要な情報を理解しているのかを管理することが重要です。

情報共有不足で起きるトラブルとは?

最も大切な職員間の情報共有が上手くできていないと何が起こってしまうのかを4つお伝えします。

①誤った介護につながる恐れがある

間違った介護をすることが仕事をするうえで一番怖いことです。

例えば薬が追加された情報が共有できていなかった場合、もしその薬が命に関わるものだったらどうなるでしょうか。

それがきっかけとなって命を落としてしまう可能性もあります。

命に関わるものでなくても、その方にとっては症状を緩和させる大切な薬です。

また食事形態の変化なども気をつけておかなければ、誤嚥や窒息につながる恐れがあります。

大きなトラブルとならないよう職員全員が利用者様の情報を確認しておくことが重要です。

②ケアの目的に差が発生する

どういった目的でその介護サービスを利用しているのかの情報も大切です。

例えばコミュニケーションをとることが難しい方が利用していたとします。

「スタッフが間に入り他の利用者の方とコミュニケーションをとれるようになった方が良いのか」、それとも「自分のペースでゆっくり過ごせたら良いのか」、目的によってケアの方法が全く違います。

後者が目的でサービスを利用しているにもかかわらず、無理にスタッフが間に入ることで状態が悪化してしまったり、利用者の方が不安になる可能性もあります。

リハビリや食事や入浴、利用者の方にとって目的は様々です。

無理なケアとならないよう、職員間でその方にあったケアの目的を共有しましょう。

③利用者の方、ご家族の方が不信感を抱く

利用者様の事故が実際に起こってしまうと利用者の方やご家族が不安に思ったり不信感を抱いたりします。

利用者の方が今までできていたことが進んでできなくなったり、笑顔や会話が減ってしまったりする場合もあります。

ご家族もそんな利用者の方の様子を見て、万が一サービスの利用を停止してしまうとまた介護の負担がご家族にかかってしまいます。

利用者様にもご家族の方にも安心してご利用いただけるように、情報共有を確実に行うようにしましょう。

④職員のモチベーションが低下し、人間関係の悪化に繋がる

共有せず情報を得た人だけ抱えたり、日誌で共有しても見てもらえなかったり、そういうことが起きると職員のモチベーションの低下に繋がります。

きちんと情報共有されておらず、自分1人だけその情報を知らなかったら、疎外や孤立を感じて人間関係の悪化に繋がります。

介護はチームワークがとても大切です。

得た情報は自分だけで抱えず、すぐにスタッフ間で共有するようにしましょう。

積極的に情報共有を行うには?

情報共有を積極的に行うために、以下のことを心がけるようにしましょう。

毎日ミーティングを行うようにする

スタッフ間のコミュニケーションをとるためにも、毎日10~15分程度のコミュニケーションを行うことをおすすめします。

ミーティングの内容は、当日の予定や連絡事項、問題点など共有したい内容を簡単に伝えるだけでも十分効果的です。

時間帯は皆が集まりやすい始業前や、シフトの切り替えタイミングを使うようにしましょう。

話し合いをできる場を作る

全員で集まるのは難しいかもしれませんが、スタッフ間で意見を言い合う場をつくることをおすすめします。

お互いの意見を言い合い、相手の立場や意見を尊重するようにできれば、協調性も生まれることでしょう。

また、スタッフ間のコミュニケーションの場にもなります。

情報共有できるツールを取り入れる

できればスタッフ間でこまめにコミュニケーションをとったりやり取りができることがよいのですが、日々の業務に追われてなかなかうまくいかないこともあります。

そういった状況でも情報のやり取りがきちんとできるように、ツールを使用することはとても重要です。

ここでは介護現場で使用するのにおすすめのツールをご紹介します。

①LINEWORKS

「LINEWORKSって何?」「聞いたことあるけどどういったもの?」という方にご説明します。

職員対職員

介護の現場では日誌などの紙媒体を使った情報共有が多いのではないでしょうか?

LINEWORKSを使用すると無料で職員全員とメッセージや通話ができるようになります。

写真や画像を用いてメッセージを送ることができ、使用感はLINEと同じような感覚です。

薬や食事形態の変更、ケガなど文章だけでは不十分でも、写真や動画を一緒にすることでより適切な情報共有が可能です。

また送ったメッセージは1職員だけでなく、フロアごとや施設全体などの一斉送信も可能なので共有の漏れもありません。

またビデオ通話もでき、オンラインで1対1の面談をすることもできます。

職員対ご家族

職員間だけでなく、ご家族との連絡もLINEWORKSで行うことができます。

職員からお伝えしたいこと、ご家族からお伝えしたいことを気軽にサッと連絡できるので便利です。

またこちらでも写真や動画を使ったメッセージが可能なので、事務的な連絡だけでなく日常生活を遠方のご家族に伝えることもできて安心です。

施設を利用した介護はどうしてもキーパーソンの方に負担がかかってしまいがちですが、一斉にメッセージを行う機能を使えばキーパーソンの方の手間や負担を減らすことができます。

オンライン面会を取り入れよう

コロナが発生したことにより面会を制限する施設も増えました。

入所施設からオンライン面会の案内をされたことのあるご家族も多いのではないでしょうか。

オンライン面会では遠方だったり自身の置かれている環境で、なかなか施設へ足を運べない方に便利なサービスです。

15分や30分程の短い時間であっても、どのように過ごしているのか様子を見ることができると安心します。

施設職員もご家族へ一緒に情報共有ができて、両者共に利点があります。

しかしLINEWORKSもオンライン面会も取り入れるのはハードルが高く感じますよね。

そこで今回ご紹介したいのは介護業界のIT活用を支援する「タダカヨ」というNPO法人です。

タダカヨ」さんは「タダイゴをくしよう!」をテーマにしていて、なるべくお金をかけずに、介護をより良いものにできるよう活動しています。

・LINEWORKSマニュアルの無償提供

タダカヨ」さんではLINEWORKSを推進しており、無償提供のマニュアルではLINEWORKSを利用するメリットや利用方法が詳しく紹介されています。

・オンライン面会マニュアルの無償提供

オンライン面会ですが操作方法や始め方が分からず、実行できていない方もいらっしゃいます。

「タダカヨ」さんではそんな方向けにオンライン面会のマニュアルを無償適用しています。

LINE版、Zoom版の公開がされており、面会希望者向けにオンライン面会の案内テンプレートも用意されています。

まとめ

・薬や食事形態の変更だったり、利用者の方の周りの環境の変化だったりと様々な情報が存在する。

・介護業界は人によって勤務時間や形態に違いがあるので、漏れがないように情報共有する。

・トラブル防止のため在宅介護においてはご家族→職員、施設介護においては職員→ご家族を特に大切にする。

・介護者同士の情報共有は孤独や孤立を感じないために大切なので、SNSなどを利用して積極的に行う。

・情報共有不足は命に関わることもあるので気をつける。

・利用者の方が望んでいるケアを行うために、ケアの目的を周知しておく。

・利用者の方やご家族の不信感に繋がる恐れがあるので、情報共有はきちんと行う。

・職員間や、ご家族との情報共有のためにLINEWORKSは非常に有効である。

・オンライン面会を取り入れることで、直接の面会は難しくても、表情や声などの情報をご家族に伝えることができる。

・「タダカヨ」さんではLINEWORKSとオンライン面会のマニュアルが無償提供されている。

最後までお読みいただきありがとうございました。