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施設での介護情報

  • 介護医療院とはどういうもの?概要や入所のメリットとデメリットなどを解説!

    介護医療院とは要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。 2018年に法制化されたばかりの新しい種類の施設なので、実際どんなところなのか、自分の親が入所できるのかなどわからないこともあるのではないでしょうか。 本記事では、介護医療院の概要や入所のメリットとデメリット、利用料金や入所する方法を解説します。 ぜひ最後までお読みください。 介護医療院ってどんなところ? [caption id="attachment_1970" align="alignnone" width="512"] Woman in a white coat[/caption] 介護医療院は介護保険制度を利用した介護施設ですが、医療的なケアも受けられて長期間利用できる施設です。 介護保険制度が始まる2000年以前は、治療がなくても病院へ入院している社会的入院が問題となっていました。 退院できるけど生活する場がない人の受け皿として介護療養型医療施設が創設されましたが、医療の必要性の低い利用者も多く入院している状況は変わりませんでした。 医療費の圧迫や人手不足の問題もあることから、2023年度末で介護療養型医療施設は廃止されることになり、介護医療院が新設されることになりました。 サービスの内容 介護医療院で受けられるサービスには、介護サービスと医療サービスがあります。 介護サービス 介護医療院は同じ介護保険施設の枠組みにある特別養護老人ホームや、介護老人保健施設(老健)と同じように、食事や排泄、入浴など、その人に必要な介護を受けられます。 担当のケアマネジャーを中心に作成する施設サービス計画をもとに、日常生活上必要な介護やレクリエーション、機能訓練などが提供されています。 医療サービス 介護医療院では、たんの吸引や胃ろう、点滴、在宅酸素、褥瘡のケアなど 医療的なケアの対応ができる他、看取り介護も行われています。 入院して治療するほどではないが医療的な観察が必要な場合、特別養護老人ホームなどでは受け入れができない場合があるので、介護医療院が選択肢になるでしょう。 2つのタイプ 介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。 Ⅰ型は重篤な身体疾患のある方や身体合併症がある認知症高齢者が対象で 病院色の強いタイプ。 Ⅱ型はより安定している高齢者が対象で、老健のようにリハビリをして 家庭復帰をサポートしています。 Ⅰ型とⅡ型では、施設の人員や設備、運営基準に違いがあります。 (引用:厚生労働省「介護医療院の概要」) 対象者 入所の対象になるのは、要介護1〜要介護5の認定を受けた65歳以上の方と 40歳から64歳で特定疾病による要介護1〜要介護5の認定を受けている方。 要支援の方は対象外のため入所できません。 その人の状態によってⅠ型かⅡ型かが決まります。 介護医療院は、医療的なケアを提供する場なので、実際の入所者は医療依存度の高い高齢者が多い傾向です。 介護医療院に入所するメリットとデメリット 医療的なケアを受けながら長期療養できる介護医療院ですが、メリットだけではありません。 入所者本人にとってよい選択ができるようメリット、デメリットともに把握することが大切です。 メリット 介護医療院に入所するメリットは以下の3点です。 医療的なケアを受けられる 長期療養が可能で看取り介護も対応できる 生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある デメリット デメリットは以下の3点です。 多床室は家具とカーテンで仕切られているだけでプライバシーの確保が不安 長期になると費用が高額になる まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる 施設によって特徴に違いがありますので、資料請求や見学をして情報収集することが大切です。 介護医療院の費用    介護医療院の費用は月額の利用料金のみで、入居金などの初期費用はかかりません。 医療的ケアを受けられることで、特別養護老人ホームに比べると高く設定されているので、入所前によく確認しましょう。 月額利用料金の内訳   介護医療院でかかる月額利用料金の内訳は以下のとおりです。 施設サービス費・介護加算 施設サービス費は要介護度ごとに設定されていて、他にも介護保険の負担割合や施設の形態によって金額が異なります。 表はⅠ型、Ⅱ型それぞれ1割負担の場合の金額です。( 記事執筆23年2月) Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 694円 803円 820円 要介護2 802円 911円 928円 要介護3 1,035円 1,144円 1,161円 要介護4 1,134円 1,243円 1,260円 要介護5 1,223円 1,332円 1,349円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 649円 758円 819円 要介護2 743円 852円 919円 要介護3 947円 1,056円 1,135円 要介護4 1,034円 1,143円 1,227円 要介護5 1,112円 1,221円 1,310円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) 他にも施設の体制にかかる加算項目がありますので、説明を聞く際に確認が必要です。 居住費・食費 室料や光熱費にあたる居住費や、食材料費や調理費にあたる食費は各施設ごとに決められています。 厚生労働省が基準費用額を定めているので、以下をご確認ください。 基準費用額 居住費 多床室 377円 従来型個室 1,668円 ユニット型個室 2,006円 ユニット型個室的多床室 1,668円 食費 1,445円 (参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和3年3月9日)) 日常生活費 日常生活費は歯ブラシやティッシュペーパー、理美容や入れ歯の洗浄剤など、生活の中で必要になる費用です。 保険の適用にはならず実費負担となり、施設によって金額が異なるので 入所前に確認する項目の一つです。 月額利用料の目安 上記を参考に月額の目安を計算すると以下のようになります。 Ⅰ型 1割負担 要介護4 ユニット型個室の場合 →140,340円 + 日常生活費 Ⅱ型 1割負担 要介護3 多床室の場合 → 86,340円 + 日常生活費 介護保険の負担割合や要介護度、居室のタイプによって利用料金が大きくかわるので、負担が大きくなってしまう可能性もあります。 少しでも負担を抑えるために、次から介護医療院で使える減免制度について説明します。 介護医療院の減免制度 介護医療院の費用に関する減免制度は主に3つです。 支払いに不安のある場合は以下の制度を活用することで、自己負担額を低くすることができます。 介護保険負担限度額認定 介護医療院の費用のうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって、段階的に減額されます。 段階によっては居住費と食費が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、保険者となっている市区町村の介護保険窓口で対象になるのかどうか、確認してみるとよいでしょう。 高額介護サービス費 高額介護サービス費は、1カ月に支払った施設サービス費が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度です。 居住費や食費、日常生活費は対象にはなりません。 該当する時に市区町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 高額医療・高額介護合算制度 高額医療・高額介護合算制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、所得によって決められた限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。 高額介護サービス費と同じように、対象者には申請用紙が届きますのでそれぞれの役所へ提出します。 介護医療院に入所する方法 [caption id="attachment_1968" align="alignnone" width="512"] A room in a nursing facility[/caption] 介護医療院に入所する流れは以下のようになります。 要介護認定を受ける 入院・入所中の病院や施設の相談員へ相談し介護医療院を探す 資料請求や見学をして施設へ直接申し込む 診療情報提供書や血液検査などのデータを元に介護医療院が入所判定を行う 入所前面談を行い、施設での生活や療養方針について確認する 入所 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では介護医療院の概要やサービス内容、入所のメリットとデメリット、費用や入所する方法を解説しました。 介護医療院は医療的なケアを受けられて、長期療養できる介護保険施設 利用者の状態によってⅠ型とⅡ型に分けられる 対象になるのは65歳以上、もしくは40歳から64歳で特定疾病による 要介護1〜要介護5の認定を受けている方 介護医療院に入所するメリットは「医療的なケアを受けられる」 「長期療養が可能で看取り介護も対応できる」 「生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある」 デメリットは「多床室は家具とカーテンで仕切られているだけで プライバシーの確保が不安」「長期になると費用が高額になる」 「まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる」 1カ月の費用の主な内訳は、施設サービス費+居住費+食費+日常生活費 利用料金の減免制度として介護保険負担限度額認定、高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算制度などがある 介護医療院は医療的ケアも介護サービスも受けられます。 家族内、ケアマネジャー、入院・入所している病院や施設の相談員などとよく相談し、より良い選択をするようにしましょう。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 監視カメラを介護現場で活用する目的とは?問題点と活用方法等を解説!

    最近、介護現場での犯罪や暴力行為等が報道されることが増えています。 客観的な証拠を残すという目的で、監視カメラを導入している施設も多くなってきています。 監視カメラの設置を希望しているのは、施設運営する事業者と大切な家族を施設へ預けている利用者家族の双方です。 監視カメラを活用すると、防犯や虐待に対する抑止力、事故の検証等の面で、速やかかつ明確な事実確認ができ、スタッフや利用者を守ることにもつながります。 ですが、常に監視されているスタッフや利用者の心理的な負担は大きいものです。 本記事では、介護現場で上手に監視カメラを活用する方法と、今後の監視カメラの使用目的について解説します。 介護現場に監視カメラを導入する目的 Wikipediaによると、監視カメラとは「何らかの目的で何らかの対象を監視するためのビデオカメラである」とのことです。 起きた出来事を映像として記録する監視カメラですが、介護現場に設置する目的は以下のようになります。 ・防犯 ・虐待等、スタッフの言動に対する抑止力 ・事故発生時の検証 以下で一つずつ説明していきます。 防犯 主に施設の正面玄関やスタッフ専用の出入り口等、外部から施設内への入口部分に設置します。 外部からの予期せぬ侵入者の証拠が残るため、障害者施設で起きた外部侵入者による殺傷事件以降、需要が高まっています。 他には、利用者の家族が帰った時刻を確認したり、近隣で事件が起きた時に警察からデータ提供を求められたりする場合もあります。 虐待等、スタッフの言動に対する抑止力 スタッフの不適切な言動や金品の紛失について報道されるケースがあります。 起きてはならないことですが、今後も起きてしまう可能性はゼロではありません。 事業所としても、まさか自施設で起こるとは思いたくありませんが、リスク管理としてカメラを設置する選択肢は有効です。 食堂や廊下、場合によっては居室にカメラを設置し普段から映像を録画しておくことで、何か起きた際に確認できる環境を作ります。 カメラがあるというだけで抑止力になりますし、業務改善としてスタッフの動き方を考える上でも有効活用できます。 事故発生時の検証 転倒等の事故が起きた時、転倒した瞬間を見ていないケースが多く、日ごろの利用者の行動や発見時の状況から「おそらくこのように転んでしまったのだろう」と原因を推測します。 食堂や廊下にカメラが設置してあれば、事故が起きた時の映像がそのまま残ります。 何かにぶつかったのか、体の向きを変えたときにバランスを崩したのか、頭を打っていないか等の原因や状況が誰が見ても明らかです。 初期対応の応急処置や受診が必要かどうかの判断がスムーズになり、受診先でも医師への正確な情報提供が可能になります。 再発防止策を検討する際も、映像を見ながら検討することでより現実的な対策を出せるでしょう。 監視カメラを設置する目的は以上のようなものがありますが、導入するには主に心理面の障壁もありますので、次の項目で説明していきます。 介護現場に監視カメラを導入する時の問題点 介護現場への監視カメラの導入を進めるにあたり、一番問題となるのはプライバシーの侵害にあたることです。 施設とは言え利用者にとっては生活の場です。 生活の場を監視して管理するというイメージがあり、道徳的にいかがなものかと考える方も多いのではないでしょうか。 生活する利用者からみてもカメラに監視されて生活するのは息苦しいものです。 まじめに働いているスタッフも、自分の些細な言動が逐一チェックされるのは働きにくいでしょう。 「信頼されていない」と感じるスタッフがでてくる可能性もあります。 導入すれば活躍の場面が多い監視カメラですが、心理面の障壁はモチベーションが低下する一因になることもあります。 スタッフや利用者、利用者の家族に向けて導入の目的を明確にし、根気よく説明することが求められます。 次は監視カメラを上手に活用する方法について説明していきます。 介護現場で監視カメラを活用する方法 介護現場で監視カメラを活用するために押さえておきたいポイントが5つあります。 ・目的を明確にする ・ルールを作る ・設置場所を検討する ・家族や利用者への説明 ・スタッフへの説明 以下で一つずつ説明していきます。 目的を明確にする 施設としてなぜ監視カメラを設置するのか、どのように活用するのかを明確にしましょう。 前述の防犯、虐待予防、事故検証が主なものになります。 自身の施設にとっての目的を明確にし、利用者やその家族、スタッフの理解を得られるようにしておきます。 傷害事件や虐待について大きく報道される機会もあるので、監視カメラを設置することが自分たちを守ることにつながることを、本人、ご家族、スタッフに説明し相互理解を得る努力をすることが大切です。 ルールを作る 次のポイントは「録画した映像をどのように活用するか」です。 録画した映像は個人情報の為、開示の仕方を決めておく必要があります。 監視カメラを設置した後は基本的には常に録画されている状況です。 家族から「普段の生活の場面を見たい」と映像の開示を求められても安易に見せるものではありません。 行政や警察からの依頼、事故発生時の検証、その他トラブル発生時の確認等、映像を使用する場面をあらかじめ決めておき、文書化しておく必要があります。 設置場所を検討する 設置場所を検討し決めることも必要です。 食堂、廊下、玄関等の共有部分への設置にさほど悩むことはないでしょう。 一番悩ましいのは居室をどうするかです。 居室はスタッフと利用者が密室で1対1になる場なので虐待や不適切なケアが起きやすい環境でもあります。 転倒リスクの高い利用者には行動の把握のためにできれば設置したいところではありますが、プライバシーの侵害になることが心配です。 居室に設置する場合はよく話し合い、どのような目的でどのように設置するのか検討することが大切です。 家族や利用者への説明 安全を守る為に使用する監視カメラですが、一人の人の行動を常に見られる状況であることは間違いありません。 入所する際に、施設の方針として監視カメラを設置していることや、設置している場所や録画している映像の活用方法について説明しましょう。 スタッフへの説明 監視カメラを設置する際は、スタッフへの説明も必要です。 監視することが目的ではなく、事故発生時の検証や虐待を防止することで、自分たちを守ることにつながることを理解してもらう必要があるからです。 施設に過失のない転倒事故が起きた時に、家族から「施設の対応が悪い」等の事実でないクレームを言われてしまっては、関わったスタッフはショックを受けてしまいます。 映像が残っていれば施設は毅然と対応することができます。 監視カメラを設置する目的を利用者や家族だけではなく、スタッフにもしっかり説明することが大切です。 今後の監視カメラの使用目的は「監視」から「記録」へ これまでの監視カメラは、文字通り「監視」が目的でした。 施設にどんな人が出入りしたか、スタッフの振る舞いは適切だったかなどを確認するために監視カメラを導入していたのです。 しかし、権利者意識の強い利用者や家族が増えている昨今、理不尽な要求を強いられたり、事故に対して施設に責任を押し付けられるような場面も想定しなければなりません。 今は一つの転倒事故が裁判にまで発展する時代です。 もちろん、施設側に過失のある事故については相応の対応をする必要があります。 ですが、転倒した場面が記録されていることで、訴訟リスクを回避できる場合もあるでしょう。 「監視」だけでなく「記録」のためにカメラを使用していくことを考える時期がやってきています。 まとめ いかがでしたでしょうか。 介護現場に監視カメラを導入する目的や心理的な障壁、活用する方法について解説しました。 監視カメラを導入する目的は、 ・防犯 ・虐待等、スタッフの言動に対する抑止力 ・事故発生時の検証 等 監視カメラの活用方法については、 ・目的を明確にする ・ルールを作る ・設置場所を検討する ・家族や利用者への説明 ・スタッフへの説明 監視カメラの今後について、 ・使用目的が「監視」から「記録」へ変わっていく ・転倒事故などの映像が適切に保管されると訴訟などのリスクを軽減させられる場合もある 現在は車にもドライブレコーダーがついている時代です。 プライバシーやスタッフの心理的な負担には最大限の配慮をしつつ、上手に監視カメラを活用することで、利用者の安心できる生活や、スタッフの働く環境を整備することができます。 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • こんな介護施設は要注意!?施設を見分ける確認ポイント教えます。

    2000年に介護保険制度が創設され、20年以上が経過しました。 全国に多くの介護施設が作られてきた中、残念ながら入居や利用に注意すべき問題のある介護施設も見受けられます。 ここでは、ご家族の方が介護施設を見分ける確認ポイントをお伝えしていきます。 確認したい4つのポイント 1,「見学お断り」の施設は要注意 施設の利用を検討する前に、見学ができるかどうか施設側に確認してみましょう。 見学のお願いをした段階で、「うちの施設では、見学は無理です」と言われたら、その施設は要注意です。 施設側としては「入居者のプライバシーを守るため」と断りをいれてくることが多いです。 しかし介護保険などの公的資金を使っている施設であれば、国民には見る権利があります。 入居者のプライバシーを守りながら施設を見学できる方法を考えていない施設というのは、その時点で問題です。 見学を拒否する背景として ・劣悪なケアをしている ・身体拘束など、入居者や利用者が自由に生活できない といったことが挙げられます。 しかし、最近は新型コロナの影響で、見学を制限する施設もあるため、「見学できないから、悪い施設だ」とは一概には言えません。 ですが良い施設は、以下のような制限を設けることで、見学者への対応を可能な限り行っています。 ・予め見学可能な日時を伝える ・見学者には検温と消毒、マスクやディスポグローブを着用してもらう ・入浴場など、入居者や利用者がいない場所だけでも案内する 逆に、なんの工夫も交渉もなく見学を一切お断りする施設は要注意です。 その様な施設は候補から外しましょう。 2,私物の持ち込めない介護施設は、認知症の対応ができていない 施設内の見学ができないのであれば、私物を持ち込めるかどうか確認してみましょう。 なぜなら、私物は認知症の人にとって「自分を保つための必需品」だからです。 住み慣れた家から突然、無機質な部屋にベッドだけの空間に移動されたら誰だって不安になりますよね。 そんなとき、私物があることで、心の不安が軽減されるのです。 「私物が多いと、他の入居者とトラブルになったりしないの?」 と、不安に思う人もいますよね。 確かに認知症の中には「私の物だ」と考え、勝手に他人の物を取ることがあります。 しかしそのトラブルを防ぐのは、介護職員など施設側の役割です。 知識があり経験豊富なスタッフであれば、私物を持ってくる人に対しては、 ・物を取られないよう、私物は部屋から出さないように依頼をする ・食堂など皆が集まる場所で使う場合は、必ず名前を書いてもらうようお願いする と、事前に説明をします。 また物を取りやすい入居者や利用者がいる場合は、その人と距離を取ったり、私物を持ってきている人には状況を説明して、なるべく私物を共用スペースへ持ってこないように伝えます。 良い介護施設であれば、職員は自然とこの対応を取ることができます。 「私物を持ってこられると、困ります」と断る施設は、スキルがない職員が多いと考えた方が良いです。 3,機械浴を自慢する介護施設は要注意 介護施設を見学するとき、特にチェックしてもらいたいのが「お風呂場」です。 介護施設の中には、ストレッチャー浴やリフト浴などの機械浴(特殊浴槽)を自慢そうに見せているところもあります。 しかしこういう施設は、考え方が古いです。 ストレッチャーに乗せられた入浴は、怖いし恥ずかしいものなのです。 中には「こんな身体になってしまった」と情けなくなり、ますます閉じこもりがちになってしまう方もいらっしゃいます。 また一般浴に対しても、プールのように広い埋め込み式の浴槽を使っている施設は、古い考え方が残っていることが多いです。 埋め込み式の浴槽は、バリアフリーという言葉を誤解し、段差をまたがないですむようにと作られたものです。 浴槽が広いと掴まる場所がないので溺れそうになります。 また階段の昇降ができる人というのは、施設の入所者では滅多にいません。 そのため「自分の家ではお風呂に入れていたのに、施設に入所したら入れなくなった」という事態が起こりうるのです。 最近の一般浴は、家庭と同じような浴槽に、浴槽と同じ高さの洗い台を設置して入ることが多いです。 浴槽を跨がず片足ずつ浴槽に入れれば、立てない人や歩けない人でも、家庭と同じように入ることができます。 4,施設の運営状態を公表していない事業所は、要注意 介護施設を「終の棲家」と考えている場合、運営している事業所の財務状況や運営状態をチェックしておきましょう。 経営状態の良くない事業所が運営している施設に入居した場合、運営事業者が変わってサービスの質が低下したり、最悪の場合倒産によって退去を求められる場合があるからです。 最近の事業所は、ホームページで決算書などを公表していることが多いです。 視点を変えれば、運営状態を入居希望者に公表しない事業所は、情報公開に前向きでないとも取れるので、注意しましょう。 更に確認したい3つの情報とは!? 事業所が公表している情報で着目してほしい情報は、下記の3つです。 1,入居率 施設のオープンから数年経っているのに入居率が極端に低い場合、施設に何らかの問題がある可能性があります。 2,退去者数 入院や死亡以外に退去者数が多い施設は、トラブルや劣悪な環境など、様々な原因が潜んでいる可能性があります。 3,職員の離職率 職員の離職率が高い施設は、労働環境が良くなかったり、サービスの質が低いことが考えられます。 もしトラブルが起こったら、どうすれば良い? ここまで、注意すべき介護施設のポイントをお伝えしてきました。 しかし、どんなに吟味して選んだ介護施設でも、トラブルは発生するものです。 場合によっては、退去を求められる可能性もあります。 せっかく時間や手間をかけて選んだ施設を、離れたくないという人もいますよね。 そこで、ここではトラブルが起こったときにどうすれば良いか、お伝えしていきます。 1,施設に相談する 利用している中で気になる点や些細なことがあれば、現場スタッフなどの施設に相談しましょう。 現場レベルで解決できれば、大きなトラブルへの発展を防ぐことができます。 状況が改善されない場合は、施設や運営会社へ訴えましょう。 2,第三者へ相談する 施設や運営会社に相談しても解決されない場合や、苦情が言いにくい場合もあります。 そんなときは、第三者へ相談するという方法をとりましょう。 気軽に相談できる電話相談もありますし、市区町村の苦情相談窓口もあります。 連絡先は、施設の契約書や重要事項説明書に「苦情相談窓口」と明記されていることが多いので、予め確認しておくとよいでしょう。 3,国保連へ申し立てる 最終手段として「国保連(国民健康保険団体連合会)」へ申し立てましょう。 国保連は、都道府県と市町村、国民健康保険連合組合が運営している法人です。 国保連では介護相談窓口を設置しており、介護保険サービスについての苦情を受け付けています。 市区町村には介護保険施設の指定を取り消す権限があり、国保連は介護サービス事業者に対して調査や指導、助言を行う権限があります。 トラブルの内容や改善状況によっては、住み替えの検討が最善策となる可能性もあるということも、考えておくと良いです。 まとめ ・施設見学お断りの介護施設は、劣悪な環境など他人に見せられない部分があるのかも知れない ・私物を持ち込めない介護施設は、認知症の対応が上手くできない施設であることが多い ・機械浴を自慢する介護施設は、昔ながらの介護のやり方をしている ・施設の運営状態を公表していない施設は、情報公開に消極的であったり、運営状態が悪いことが多い ・トラブルが起こったら、施設に相談する。 ・施設に言いにくい場合は、市区町村の苦情相談窓口や国保連の介護相談窓口へ相談する。 最後までご覧いただきましてありがとうございます。

  • 今後ショートステイに求められるニーズとは?今後の大切なポイントを解説!

    ショートステイを運営しているけど、「ショートステイを利用していくことで、利用者や家族はどのようなことを求めているのか」と考えている事業主の方もおられるのではないでしょうか。 この記事では、今後ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 そもそもショートステイとは何か? ここではショートステイの「主な利用目的」や「ルール」について解説していきます。 ショートステイの利用シーン ショートステイは一時的に利用できる短期の宿泊サービスです。 自宅での介護が困難な時や介護者のリフレッシュのために利用されることが多いでしょう。 あくまでも短期的に利用するサービスであり、生活の拠点として長期的に利用するサービスではありません。 ショートステイの主な利用シーンは、次のようなケースが考えられます。 介護者の出張や旅行で自宅での介護が困難な時 介護者の入院などで自宅での介護が困難な時 介護者の休息が必要な時(レスパイトケア) 介護者の体調が優れない時 施設への入所前に施設生活に慣れるため ショートステイの日数制限ルール ショートステイは介護保険が利用できる日数に制限が設けられています。 なぜなら、介護保険サービスは各介護度に応じて一ヶ月に利用できる単位数が決められているからです。 そのため単位数を超えない範囲で、利用日数を抑える必要があります。 各介護度で定められた単位数を超えた場合は、介護保険が適用されず利用料金が全額自己負担となります。 最も介護度の低い要支援1の場合5,032単位、一番重度である要介護度5の場合36,217単位となります。 介護保険内でショートステイを利用できる日数の上限は下記のようになります。 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 日数 6日/月 11日/月 17日/月 20日/月 28日/月 30日/月 30日/月 ※一ヶ月あたりの日数の上限になります ※実際の利用可能日数はサービス加算費などによって異なります。 当然のことではありますが、他の介護保険サービスを利用した場合にはさらに日数が短くなります。 上記のことからもショートステイは長期に利用できるサービスとは言い難いでしょう。 ショートステイに求められること ここでは介護業界の現状を踏まえた上で、ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 介護業界の現状 日本では少子高齢化が進み人口は減少してますが高齢者の数は年々増えています。 特に後期高齢者である75歳以上の増加は顕著になっています。 75歳以上の人口を各年度ごとにまとめてみました。※()内は全人口に占める割合です。 2020年……1,860万人(15%) 2025年……2,180万人(18%) 2040年……2,239万人(20%) このように高齢者が増えることで、介護施設の需要はさらに高まっていくと考えられます。 しかし、高齢者を支える働き手が減少していくなかで、満足な介護サービスを受けることができない介護難民が増えていくのではないでしょうか。 肝心の施設を建設しても、働き手が減少している社会構造の中で人材の確保が難しいのが現状です。 ショートステイに求められるニーズとは? 今後、少子高齢化により介護施設の需要が高まるなか、ショートステイに求められるのは足りない施設サービスの穴埋め的存在ではないでしょうか。 いわゆる「長期利用(終の棲家)」です。 また、長期利用を想定した場合「看取り」のニーズも高まるでしょう。 今後のショートステイは長期利用のニーズがさらに高まる ショートステイの本来の目的は短期利用ですが、実情として利用が長期にわたるケースは一定数、存在しています。 2020年の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、ショートステイ事業所の6割が31日以上の長期利用を受け入れています。 また、調査対象となった3万9,375人の利用者のうち、3,396人が長期での利用をしています。 これは全体の8.6%を占める数字です。 長期利用をする理由には「特養入所までの待機場所として」が89.2%と最も多くなっています。 これは準特養と言ってもおかしくないです。 今後、後期高齢者の数が増えることや介護人材の減少が進むことを考えると、その数はさらに増えていくのではないでしょうか。 今後のショートステイでは看取り対応が求められる 今後ショートステイでの長期利用が進むことを考えると、ショートステイでの看取り対応のニーズも高まっていくでしょう。 なぜなら施設への入所を待っている間に、老衰や体調不良で亡くなってしまうケースも避けられないからです。 介護事業所で看取りを行う場合、一定の基準を満たしていれば看取り対応を行うことは可能です。 看取りを行うには、介護保険法の定めによって、下記の条件を満たしている必要があります。 看護職員・医師・診療所指定訪問看護ステーションと24時間連絡をとれる体制である 施設入所の際の指針について、本人や家族に説明し同意を得る 医師・看護師・ケアマネージャー・介護職員が看取りに対し見直しをする 看取りに対して研修を行う 看取りの際は自宅や静養室などの環境を整え、他の入所者に配慮する 現在の看取りは8割が病院、2割が施設や自宅となっています。 今後高齢化が進む中で介護施設での看取りの需要は高まるでしょう。 ただ看取りは「介護職員の精神面への負担も大きいこと」や、「人材の確保」、「医療機関との連携が難しい」などの理由により行ってない施設が多いです。 ショートステイを展開する上で大切なポイント 今後、ショートステイの事業を展開していく上で、求められているニーズをしっかりと踏まえ、差別化をしていくことが大切になってくるでしょう。 具体的なニーズに関しては下記が考えられます。 ショートステイの長期利用 ショートステイでの看取り対応 サービス事業者と利用者をつなぐ居宅介護事業所(ケアマネージャー)に、これらのニーズを満たす事業所と認知してもらえれば、様々なケースの依頼も増えていくでしょう。 各事例を一つ一つクリアしていくことで、その実績が強力な営業ツールになるのではないでしょうか。 各市町村によりショートステイの長期利用に関しての見解も違うためハードルがあるのも事実です。 ただ、可能な範囲で他社との差別化をはかっていくことは、経営していく上で重要です。 まとめ ここまでショートステイの求められるニーズについてまとめてきました。 今後、75歳以上の後期高齢者は加速的に増えていく 高齢者の増加と働き手不足で特養などの施設に入れない高齢者が出てくる 施設不足によりショートステイの長期利用のニーズは高まっていく ショートステイの看取りのニーズは高まっていく 今後、ショートステイでは「長期利用」と「看取り」対応で差別化する事も重要 最後までお読みいただきありがとうございました。  

  • 認知症利用者の転落事故の判例を踏まえて。介護職員が自らを守る方法を解説

    2022年11月1日、神戸地方裁判所において兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故についての判決が下されました。 この判決は多くの医療、福祉分野の関係者を困惑させています。 本記事では、転倒事故の判例を確認し、病院や介護施設など現場で働く自分たちを守るために抑えるべきポイントについて解説します。 事故に至った個別の事情についての批評や、裁判に至った経緯やその判決事態への批判を意図するものではありません。 下されてしまった判決により、今後関係者にどのような影響を与えるかの考察ですのでご注意ください。 転倒事故から判例までの概要 2016年4月2日早朝、認知症を患っている男性は看護師に付き添われてトイレにはいりました。 付き添った看護師は、男性が用を足す間別室の患者にナースコールで呼び出されて排便介助の対応をしました。 用を足し終えた認知症男性は、トイレから出て一人で廊下を歩き転倒してしまいます。 その結果、外傷性くも膜下出血と頭蓋骨骨折の診断を受けました。 その後寝たきりになってしまった男性は、2年後に心不全で死亡しています。 男性の家族は、入院中の転倒により怪我をして治療が必要となった結果、寝たきりになり両手足の機能が衰えたと主張しました。 転倒させた病院に責任があるとし、兵庫県に対し2,575万円の損害賠償を求めます。 対する県側は、「別室の患者は感染症を患っており、排便の介助を急いだことはやむをえないと主張しました。 6年後の今年11月、神戸地裁で出された判決は以下の通りです。 「認知症の男性から目を離せば、勝手にトイレを出て転倒する可能性は充分に予見できた。 別室の患者はおむつに排便すれば問題はなかった。 すでにトイレに入っている人よりも、後からナースコールを押した患者はおむつにすればよかった」 として、県側に532万円の支払うよう命じました。 転倒事故の判例を受けた現場の声 この判例を受け、SNS上では、医療や福祉の関係者から多くの反響がでています。 夜勤一人で20人の対応。コールは重なる。おむつをしていてもおむつにできない。 変な判例を作らないでほしい。認知症の人は抑制をデフォルトにしろということか。 両手に火のついたダイナマイトを持たされて。爆発は予見できたって言ってるようなもの。 これは厳しい。今後、リスクの高い人はおむつにしろと言ってるようなもの。 無理ゲー。 マンパワーが足りない。転ぶ時は一緒に転ぼう。 2チャンネル創設者で実業家のひろゆき氏は、「『87歳の認知症患者が病院で歩いて、転倒したので病院は532万円支払え』という判決。認知症患者は、ベッドに縛り付けて動けなくするのが正解ということですね」と呟いています。 転倒事故の判例の問題点 この判決は、ただ単に一つの病院で起きた裁判というだけではなく、病院や高齢者施設で働く全ての関係者にも影響を起こしかねないことです。 この判決の問題点は3つあります。 訴えられるリスク 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 スタッフは守られない では、一つずつ説明します。 訴えられるリスク 自分が働く施設で同じような転倒事故が起きてしまった場合に、施設が訴えられるリスクが上がったと言えます。 判例が出たということはそれだけ影響のあるものです。 日頃から施設の対応に疑問を持っていた家族が、転倒事故をきっかけに訴えるようになることは容易に想像できるでしょう。 夜勤帯にナースコールが重なり、対応が間に合わず転倒事故が起きてしまうことは、対策をしていても起きてしまうもの。 しかし、判例が出てしまった以上は「転ばないで」と祈るだけではどうにもなりません。 いくら丁寧にケアをしていても、訴えられたら負けてしまいます。 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 今回の判例は、安易な身体拘束を助長させるとともに、認知症のある利用者の受け入れを拒否する施設を増やす危険性を高めてしまいました。 病院では治療のために身体拘束を行うことはありますが、高齢者施設では原則身体拘束は行いません。 しかし、転倒事故が裁判に発展し損害賠償を求められるのであれば話は別です。 利用者本位を謳い一生懸命ケアしていても、一つの転倒事故から多額の損害賠償を求められてしまっては経営が成り立ちません。 身体拘束が認められる緊急やむをえない場合、「切迫性、非代替性、一時性」に当てはめて身体拘束を行う施設が増えることも考えられます。 最終的には認知症のある利用者の受け入れを拒否することに繋がってしまうリスクがあります。 スタッフは守られない 今回の判例を受け、利用者の安全を守るために少ない人員で走り回っても、転倒事故が起きてしまえば、スタッフは守られないことがわかってしまいました。 訴えられているのは県や病院ですが、事故の当事者や同僚のショックは計り知れません。 働き続けるのが難しくなるケースもでてきます。 転倒事故を完全に防ぐにはマンツーマンの対応が必要ですが、急に人員が増えることはないでしょう。 自分たちを守るためにどうすれば良いかを考えなくてはなりません。 介護事故訴訟は増加傾向にある 介護事故の訴訟件数について、具体的な統計は判明していません。 しかし、介護事故による訴訟数は増加傾向にあるとされています。 介護事故による訴訟で最も多いのは転倒事故です。 転倒することで骨折や脱臼をしてしまうなど重傷を負ったため、訴訟になってしまうことが挙げられます。 その他にも、誤飲や誤食、薬の誤配なども訴訟になることがあります。 施設側の責任を否定した裁判もある 先に施設側の責任を認めた判例についてご紹介しましたが、訴訟の中には施設側の責任を否定したものもあります。 それは、東京地裁にて、平成24年11月13日に判決が出たものです。 事案内容は、71歳の利用者がデイケアを利用していた際、転倒してケガを負ったというものです。 原告は利用者の親族でした。 この際、施設側は以下の記録を提出しています。 利用者のアセスメント表(利用者の状態を情報収集した表)には、寝返りや起き上がり、移乗、歩行についての評価は「自立」であった。また、歩行、立位、座位でのバランスも「安定」という記載がされていた 利用者は施設の見学や利用の際にも一人で歩行しており、その際転倒したことはない 日常的に通院していた病院の診療録でも、利用者は転倒や転落歴がなく、歩行時のふらつきもなかった 上記による記載事項から、利用者には歩行能力において特に問題はなく、階段の昇降を含めて歩行時に介助を必要とする状況にはない、とされました。 このため、施設側は、利用者が転倒することを予見するのは不可能だったと認定し、この裁判の判決では施設側に責任はない、とされました。 このほかにも施設側に責任はなかった、とされる事案がいくつか出ています。 予見可能性が重要 上記の判決から見ても、施設やその職員が事故が発生する可能性があると予め認識できたかどうか(予見可能性)、あるいは、実際に認識すべきであったかどうか(予見義務)がとても重要です。 また、事故を回避できる可能性や、事故を回避する義務があるかどうかも考えなければいけません。 基本的に予見と結果回避は別のものです。 基本的に両方がそろわなければ、施設側の責任にはなりません。 しかし、多くの事件では予見が出来れば結果回避するための措置が必要であるとされ、施設側が責任を負う結果になりやすいのです。 自分たちを守るために抑えるべきポイント 転倒事故が起きてしまった時に自分たちを守るためには何が必要でしょうか。 上記の判例を受けての対応として、ここでは3つのポイントを説明します。 ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書類を確認する 自分たちを守る仕組みを作る それぞれ説明します。 ニュースや事例を共有する 今回の西宮病院の判例は病院や高齢者施設で働く全ての人に関係します。 報道されている事故の経緯を確認し、チーム内で共有することが第一歩です。 西宮病院の判例以外にも病院や高齢者施設での事故に関する判例は多くありますので、自分たちに関係のあるものを共有し、自分たちの身に降りかかる可能性があることを認識しましょう。 施設のマニュアルや書類を確認する 次に自分たちが働く施設は、利用者や家族に転倒や事故についてどのような説明をしているのかを確認します。 高齢者は転倒しやすいこと、施設で身体拘束はしないこと等、その中でどのような事故予防をしているのか等の説明内容や交わしている書類を確認しましょう。 何が足りないのかを明らかにし、その仕組みを整えるにはどうすればいいか検討し行動する準備をします。 自分たちを守る仕組みを作る それぞれの事業所の中で、自分たちを守る仕組みができているのであれば特に問題はありません。 しかし、ほとんどの事業所は日ごろの業務や現場で起きていることに集中するあまり、自分たちを守る仕組みづくりに着手できていないのが現状ではないでしょうか。 仕組み作りには「個人だけで考えるのではなく、部署や事業所単位で相談し検討する」ことが大切です。 一人ひとりの自己犠牲ややりがいに頼っていては何も変わりません。 委員会や会議、部署内のミーティング等、スタッフ間で意見交換できる場を作り検討する必要があります。 複数のコールが重なったらどのように動くか 起きてしまった転倒事故の再発防止策 家族への説明書類について不足部分がないか確認し、状況に応じて更新する 利用者に対する記録を付けるようにする 上記のように、細かいことからでも始めて自分たちを守る認識を強く持つよう働きかけ、仕組みを作っていくことが必要です。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故に関する判例から 判例の問題点、自分たちを守るために抑えるべきポイントについて説明しました。 判例の問題点 訴えられるリスクが増した 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否に繋がる スタッフは守られない 自分たちを守るために抑えるべきポイント ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書式を確認する 自分たちを守る仕組みを作る 判例がでてしまった以上は自分たちの身は自分たちで守らなければなりません。 今日転倒事故が起きたら訴えらえれてしまう可能性もあります。 自分たちを守り安心して働き続けられるよう、事業所や部署内で検討を重ね、仕組みを作りをしていくことが大切です。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • レクリエーションの目的とは?効果的なレクレーションを取り入れて生活に活力を!

    介護施設では必ずと言っていいほど一日のスケジュールの中に「レクリエーション」の時間が組み込まれています。 介護にとって身近なレクリエーションですが、楽しめるということは勿論、得られる効果は様々です。 今回はレクリエーションの目的と、効果的に行うための注意点についてご紹介します。 レクリエーションの目的って? レクレーションには3つの目的があると言われています。 ただ参加するのではなく、得られる効果や目的を意識して行いましょう。 ①身体機能の維持や向上が期待できる 介護施設を利用する方のみならず、どんな方でも少なからず年をとるにつれて身体機能は低下していきます。 例えば転びやすくなったり、着脱や入浴など生活の動作が難しくなったりしていくのです。 介護施設で働いていると、転倒やケガを恐れて今まで気軽に外出していた方の行動範囲が狭くなってしまうという話はよく耳にします。 そういった方の運動の機会は日常生活の動作のみとなりますが、その運動量だけでは十分とは言えません。 さらに身体への影響だけではなく、運動量の低下で精神的なストレスとなる可能性も考えられます。 また今は日常生活に支障なく過ごせている方でも今後は分かりません。 そこで必要となるのが介護施設で行う運動や体操です。 身体を動かすレクリエーションの主な目的は、日常生活のサポートや運動機能低下の予防となります。 低下してきている身体機能を今以上に落ちないようにしたり、より向上したりする効果が期待できます。 ②脳の活性化につながる 運動することで身体だけでなく脳の活性化にもつながります。 身体を動かすと「筋肉を動かす」という命令が脳から神経を通って筋肉へ、さらに筋肉から脳へ信号が発信されます。 つまり筋肉と脳は密接な関係にあり、「運動する」ということは認知症の予防や改善に効果があるということです。 また運動のレクリエーションだけではなく、オセロや麻雀、塗り絵やクイズなどそういった活動も脳の活性化につながります。 笑ったり、大きな声を出したりすると認知症の予防にも効果的です。 ③コミュニケーションの場となる 個人で行うものもあれば、皆で一緒に参加できるものも多いレクリエーションもあります。 チーム戦で勝利するために協力したり、話をしながら一緒に間違い探しをしたりなどコミュニケーションをとる機会が多々取り入れることが可能です。 普段はあまり会話をされなくても、レクリエーションでゲームをする時だけは明るく笑顔を見せてくださる方もいらっしゃいます。 1人暮らしをしている方はどうしても他の人と話したり笑ったりする機会は少ないですよね。 また家族と暮らしている方でも家族だけとコミュニケーションをとるのではなく、いつもと違った人と会話をすることも大切です。 交流の場があることで前向きでポジティブになれることがレクリエーションの魅力です。 レクリエーションの内容は? レクリエーションを行うときには、目的に合わせて決めることも大切です。 ①個人のレクリエーション 塗り絵や間違い探しなど1人でも楽しめるレクリエーションのことです。 話すことが苦手だったり、できなかったりする方でも行えるのが利点です。 利用者の方の中に本当に上手に絵を描かれる方がいらっしゃって、聞くと昔は絵を描くことを趣味としていたようです。 そのうち趣味を再開して自宅で描いた絵を持ってきてくださるようになりました。 ただ楽しむだけでなく、過去のことを思い出しながら行うことでより脳の活性化につながります。 ②集団のレクリエーション スプーンリレーや棒サッカーなど皆で協力して行うレクリエーションです。 個人戦も良いですがチーム戦にすることで非常に盛り上がり、得られる効果も大きくなります。 もし参加することが難しくても、観戦で応援して一緒に盛り上がれることができるので一丸となって楽しめます。 どうやったら勝てるのか頭や身体を使ったり、応援のため大きな声を出したりするので心身ともに効果があります。 ③運動のレクリエーション デイサービスなどでよく目にする運動マシンをつかった活動です。 理学療法士や機能訓練指導員の元、適切に身体を使って運動機能の維持や向上を目指します。 日常生活の動作とは全く違う動きができるので、運動不足を感じている方もここで補えます。 ④外出のレクリエーション 付近の公園で季節の花を見たり、普段行かない場所に買い物に行ったりするレクリエーションです。 いつも屋内で過ごすのではなく屋外に出ることでリフレッシュできるため楽しみにする方も多くいます。 また自身の足では外出が難しい方にとっては介護スタッフが一緒なので安心して参加できます。 以前外出レクリエーションで紫陽花を見に行ったことで、外に出ることに対して前向きになった利用者の方がいらっしゃいました。 その後その方は最寄りのコンサートを見に行かれて、会場で友人をつくったという話を聞かせてくださいました。 レクリエーションの結果、運動や脳の活性化だけでなく、外出できるきっかけになることもあります。 こんなレクリエーションを行うデイサービスも!? スリーA「予防ディサービス 折り梅」 「スリーA」とは「あかるく、あたまをつかって、あきらめない」の頭文字から来ている言葉です。 「予防ディサービス 折り梅」では、そんなスリーAを意識したサービスを展開されています。 こちらは静岡県内の病院で看護師長として勤務されていた増田未知子氏が立ち上げた施設です。 認知症の進行を食い止めることだけでなく、今よりさらに良い状態になれることを目指しており、楽しく認知症予防に取り組めるようになっています。 さらには毎月第二水曜日に介護保険の有無にかかわらず、付近に住む方たちが気軽に参加できる「さわやか教室」を開催し、スリーA方式のリハビリで認知症予防を行っています。 カジノ型デイサービス「ラスベガス」 東京を中心に全国に展開している「ラスベガス」というデイサービスがあります。 介護施設らしくない黒のミニバンで送迎し、施設内では機能訓練や食事だけでなく、麻雀やパチンコも楽しめます。 運動したりゲームに勝ったりすると「ベガス」と呼ばれる仮想通貨が得られ、まるで本当のラスベガスで遊んでいるようなデイサービスです。 しかし機能訓練の時間もしっかりと設けられていて、デイサービスとしての機能も十分発揮しています。 このような施設はここだけでなく全国で増加しており、楽しんで通うことでより効果を得られます。 レクリエーションの注意点は? ①無理に参加させない 麻痺などで参加が難しい方は勿論ですが、精神的に参加したくない方もいます。 ご家族からなるべく参加するようお願いされている場合を除き、無理矢理に参加させるのは逆効果です。 それにより怒ってしまったり、デイサービスの場合利用中止になってしまう可能性もゼロではありません。 その方の表情を見て参加をお願いしましょう。 ②トラブルが起きないように注意する 「ズルをした」「負けて悔しい」などがきっかけでトラブルに繋がるケースを目にしたことがあります。 ゲームのレクリエーションは盛り上がるのですが、利用者の方によっては本気になりすぎてケンカとなる場合もあります。 そういったトラブルが起きないように相性を考えながらチームを組んだり、職員は盛り上げつつも注意して進行したりすることが大切です。 万が一トラブルとなってしまった場合は、職員が間に入って話を聞いたり、他のことに意識がうつるように会話の内容を変えたりしましょう。 ③ケガには十分気をつける レクリエーションは日常生活とは違った動きをすることも多いです。 転倒やケガなどには気をつけて行ってください。 特にゲームや外出をする場合は、本番を行う前に職員同士で実践したり、想像できる危険性を話し合ったりすると良いでしょう。 ④マイナスな評価はしない 利用者の方の意欲を削ぐような発言は控えましょう。 例えば絵であれば「この花はこんな色じゃない」「塗り絵の色がはみ出ている」など評価する必要はありません。 レクリエーションは楽しむため、心身機能のために行っていることを忘れずにいてください。 利用者の方がポジティブな気持ちで楽しめるよう職員はサポートすることに努めましょう。 ⑤大きな声でハッキリ明るく進める ゲームなどを進行する際は大きな声でゆっくりと分かりやすく、そして明るく行いましょう。 私たちでもテーマパークなどの進行係の方が楽しく進めてくれると、気分がのってより楽しめます。 それと同じように利用者の方の気分を盛り上げることが大切です。 また中には聴力の弱い方もいるので、全員が平等に参加できるように進行しましょう。 まとめ この記事では、レクリエーションの目的や効果、注意点などについて解説しました。 ・レクリエーションの目的は「身体機能の維持や向上」「脳の活性化につながる」「コミュニケーションの場となる」の3つである。 ・コミュニケーションの苦手な方にとって塗り絵などの個人のレクリエーションは良い。 ・ゲームで協力して盛り上がることで脳の活性化につながる。 ・専門職員指導のもと日常生活とは違った運動で行うことで、身体機能の維持や向上に期待ができる。 ・普段外出のできない方でも外出レクリエーションは、安心して参加でき、気持ちのリフレッシュにもなる。 ・無理矢理参加させることはしない。 ・利用者間でトラブルが起きないように職員は注意する。 ・日常とは違う動きとなる可能性もあるので安全に行う。 ・楽しんで行うことが大切なのでマイナスな評価はしないようにする。 ・大きな声でハッキリと明るく進行して、全員が楽しめるようにサポートする。 最後までご覧いただきありがとうございました。

  • 認知症の在宅介護の限界になる前に。グループホームがおすすめな理由とは?

    認知症はだれもがなりうる病気で、家族や身近な人が認知症になることなどを含め、多くの人にとって身近なものです。 認知症が進行すると興奮や幻覚、徘徊など、介護者に多くの負担がかかる場合があります。 その負担が蓄積してくると在宅での介護に限界が生じて共倒れとなる恐れが出てきます。 在宅での介護が辛くなってきたとき、もう限界となる前に、施設への入所、特に認知症グループホームという選択肢があるという知識を持っていることが大切です。 今回は認知症グル-プホームがお薦めな理由についてご紹介させていただきます。 グループホームとは 認知症対応型共同生活介護は、認知症グループホーム(以下グループホームと表記)とも呼ばれています。 認知症の方が住み慣れた地域で可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、家庭的な 環境の中で食事や入浴などの日常生活上の支援が受けられるサービスです。 それでは、入所についての条件やメリットを説明していきます。 グループホームの入居条件 グループホームに入所するためには以下の条件がそろっていることが必要です。 ➀専門医から認知症の診断を受けている。 ②施設の所在地と同一市区町村に住民票を持っている。 ③要介護認定で要支援2以上の認定が必要。 グループホームのメリット それでは、グループホームには、どんなメリットがあるでしょうか? ➀少人数でのユニット制 5~9人で一つのユニットとなっており、少人数のグループのなかで家庭的でゆったりとした、気心知れた環境で暮らすことが出来ます。 ②認知症の対応を知り尽くした職員が対応 入所当初は、周囲の雰囲気に馴染めず居心地が悪くなったり、徘徊につながる場合があります。 しかし、認知症の対応に熟知しているスタッフは、適切な声掛けや寄り添いながら支援することで、利用者と信頼関係を構築しているのです。 そのため、利用者の問題行動が落ち着き、穏やかに暮らしていける支援を受けられます。 ③利用者と介護従事者が共同で行い、日常生活を維持できる。 グループホームの特徴として、利用者の食事その他の家事等は原則として利用者と介護従事者が共同で行うよう努めるものと運営基準上で示されています。 「台所」を設けることも基準化されており、これまで在宅で出来ていた生活を維持する為の支援を目的としています。 ④役割・生きがい、楽しみの創出 認知症の人の中では、役割がなく生き甲斐が失われて寂しい思いを持たれている方も多いのです。 以前好きだった趣味活動、料理が得意だったことなど、そんな情報を基にしながら職員と入居者が一緒にコミュニケーションを取っていきます。 そうしていくことで、出来なかったことを出来るように変えていく働きかけが刺激となって、認知機能の低下や予防が図れます。 グループホームでの仕事は高齢者の失われかけた能力を最大限に引き出しながら活かすことが出来る仕事です。 そんなところにやりがいを感じると言われる職員さんの言葉はとても素敵ですね。 グループホームのデメリット グループホームはメリットだけではありません。 以下のようなデメリットもあります。 ➀他入居者とトラブルになる可能性がある 少人数という環境は入居者同士の相性がとても重要となります。 集団生活に支障をきたす恐れのある方や、他の入居者と相性が合わないために居心地の悪さを感じてしまう方もでてしまいます。 その場合は、調整が難しく、退所も検討しなければならなくなります。 ②グループホーム自体が少ない グループホームは元々数が多くありません。 そのため、人気のあるグループホームは満床になりやすく、すぐに入居することは難しいです。 なかには予約待ちを入れて空きが出るまで有料老人ホームに入っている方もいらっしゃいます。 ③医療的なケア対応に限界がある グループホームは、看護師の配置の義務がないため、医療ケア対応に限界があります。 他施設との違いについて 老人ホームにはさまざまな種類があります。 介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などの民間施設であり、公的施設としては特別養護老人ホームと介護老人保健施設、介護医療院などがあります。 簡単にそれぞれの特長をお伝えします。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、「要介護3以上」の認定を受けている方が対象の施設です。 車椅子や寝たきりの利用者が多く、入所にかかる費用は他の施設より一番安いので、希望者も多いことがあります。 そのため、入所できるまで時間を要する事が可能性が高いです。 また、要介護度1〜2の入居には自治体による特例入所が必要となります。 介護老人保健施設 介護老人保健施設は、骨折や脳梗塞などで退院後すぐに在宅生活ができない高齢者が、在宅復帰を目指す施設です。 そのため大抵は3か月という一定期間の間で退去することが前提の施設です。 特別養護老人ホームと比較すると入居しやすい状況ではありますが、終(つい)の棲家にはできません。 介護医療院とは 介護医療院とは、胃ろう等の経管栄養や喀痰吸引等、日常生活上に医療処置が必要な方が入所できる施設となります 。 グループホームのおすすめポイント それでは、グループホームのおすすめポイントを見ていきましょう。 ➀人員配置基準が手厚い グループホームは以下のような人員配置がされています。 ・日中の体制 グループホームでは入居者3名に対し常勤換算で職員1名以上の配置が必要と定められています。 従来型特養は「定員あたりの人員配置」に対しての基準です。 グループホームは「1日あたりの人員配置」が基準となっています。 ・夜勤体制 グループホームでの夜間は入居者9名に対し常勤換算で職員1名以上の配置が必要と定められています。 サービス付き高齢者住宅とか有料老人ホームの場合は住宅のため基準がありませんが、一般的には30人〜70人に一人の夜勤の配置となっているようです。 人員配置基準上、最も人手がある配置基準となっているのがグループホームであると言えます。 ②費用面について 公的施設と比べると高額となりますが、他の民間施設より大体5万円程度安い月額費用で入居できるようです。 ただし、入所一時金がかかるところもあるので、良く調べておく必要があります ③計画作成担当者は、ユニットごとに1名以上配置 グループホームでは適切な介護サービスを提供するために、利用者に合わせたケアプランを作成するための計画作成担当者の配置基準があります。 計画作成担当者のうち、1名以上は介護支援専門員の資格を有していることが人員配置基準の1つです。 また、グループホームの運営基準は、最大3ユニットまでですので、27名までの計画作成となります。 これは、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の担当件数である35件よりも、担当件数が少なく、認知症の方の支援に併せたプランが期待されている背景とも汲み取れるでしょう。 施設選びの要は介護者自身 今までデイサービスやヘルパーの手配をしてくれていたケアマネですが、ケアマネは在宅支援のコーディネーターという役割です。 施設への入所を検討をする場合には、役割外となります。 そのため、施設の情報が入った資料の提供をしますが、各施設の詳しい情報を持ち合わせていません。 施設選びを率先して行うのは、介護者自身となるというところを心得ておきましょう。 最初は有料老人ホームに入所しておきながら、グループホームの空き待ちを予約しておくことが重要です。 空いたのちに、認知症の知識を持ったスタッフの元で残存能力を生かし、生活支援を受けながら入居者も介護者も笑顔が戻ったという話もあります。 グループホームへの入所も選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。 まとめ 認知症の人は、理解力や記憶力などの中核症状と併せ徘徊や興奮などの周辺症状の増悪を伴う場合があり、長期の介護負担は介護者の生活を脅かす危険性があります。 特に認知症を有する高齢者は入所後、精神的に不安定になりやすい事もあります。 できれば少人数で自宅のような環境や人員配置の多いグループホームでの生活が望ましいでしょう。 在宅生活の限界を感じ施設入所を検討する場合、認知症グループホームは入所の条件として施設と同一の市町村に住民票が必要なので注意が必要です。 しかし、グループホームは小規模な施設であるため馴染みの環境を作りやすいです。 また、介護の知識や認知症の対応を知り尽くした職員が対応をするため、認知症の方でも安心して暮らすことが出来ます。 是非、介護の限界になるまえに事前に情報を得ておいて検討してみてはいかがでしょうか? 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • デイサービスには違いがある!自分に合う事業所選びのポイントを紹介!

    デイサービスにはさまざまな種類があります。 そのため、どんなサービスを行いどんな違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 今回はデイサービスの違いと、自分に合う施設の選び方を解説します。 デイサービスとは? まずは、デイサービスとはどんな所かをご紹介します。  デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所です。 また、一緒に暮らす家族の介護負担軽減も役割の1つです。  高齢になるにつれ、心身機能が低下し家で生活することが難しくなります。 そのために、デイサービスで日常生活に関するサービスを受け、住み慣れた家で生活できるように支援しています。 また、デイサービスで他者と交流することで心の機能回復も目的としています。  サービスの内容は、食事、排泄、口腔ケア、入浴、機能訓練、相談や助言など日常生活に関することです。 どんなデイサービスがある?違いを知って選ぼう デイサービスは、それぞれに特色があり以下の5つ種類があります。 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護  どんなサービスを提供しているのか具体的に解説します。 違いを知ることで、自分にあった所を選びやすくなります。 ①通所介護 通所介護とは、高齢者が在宅で自立した生活ができるように支援する場所です。 サービスの内容は、機能訓練や社会交流、家族の介護負担軽減、日常生活に関する支援、相談を行っています。 ②通所リハビリテーション 通所リハビリテーション(以下通リハ)とは、リハビリに特化したデイサービスです。 主治医の指示で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職がリハビリを実施します。 通リハはリハビリを目的としていますが、食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスも提供しています。  参照元:厚生労働省 通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 認知症対応型デイサービスとは、認知症に特化したデイサービスです。 通常のデイサービスでも認知症の方は通えますが、利用人数が多いと対応が難しい場合があります。 認知症のデイサービスは、利用者の人数が12人以下と定められています。 また、デイサービスの責任者は、「認知症対応型サービス事業管理研修」を修了していることが義務付けられています。  食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスはもちろん、認知症進行の緩和や認知症に対するケアが受けられます。  参照元:LIFULL介護 認知症対応型通所介護とは ④地域密着型通所介護 地域密着型通所介護は定員数が18人以下で、「事業所がある市町村に住んでいる人」と定められています。 これは、より細やかなニーズと手厚い支援を受けられるように限するためです。 サービス内容は通所介護とほとんど変わりませんが、人数が少ないので、利用者一人一人に合ったケアを提供しています。 参照元:健康ネット 地域密着型通所介護とは?サービスや通うメリットについて解説!   ⑤療養型通所介護施設 療養型通所型介護施設は、医療的なケアを必要とする人が利用できるデイサービスです。 通常のデイサービスでも、利用できますが事業所によって受け入れに制限があります。 看護師が常駐する中で、日常生活の全般の支援から機能訓練を行います。 対象者は、難病や脳血管疾患後遺症・がん末期など常に医療ケアが必要な人等です。 参照元:介護ワーカー 療養通所介護とはどんなサービス?役割や仕事内容について解説!  違いが分かったところで、次の章ではデイサービスの選び方のポイントを紹介します。 ポイントを押さえて自分に合った事業所を選びましょう。 デイサービスの選び方のポイントは4つ ここでは、デイサービスを選ぶ時に押さえたいポイントを4つ解説していきます。 ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容はどうなのか ③対応できる利用時間 ④入浴やトイレの設備の確認 それぞれのポイントを具体的にご紹介します。 ①デイサービスの人数はどれくらいか デイサービスの1日の利用者人数を確認しておくと雰囲気が分かります。 人数が少ないと利用者の一人一人の細かいニーズに応えやすいです。 人数が多いと法人運営しているところが大半になるので、スタッフの育成がしっかりできています。 デイサービスの1日の利用者人数を見るのもデイサービス選びのポイントの一つです。  ②食事の内容を確認する デイサービスでは食事にこだわっている事業所が多く、主食を魚かお肉に選択できたり、すべて手作りの施設もあります。 まとめて食事を作っている事業所もあるので、糖尿病や塩分制限がある方は、食事が対応できるか確認しましょう。 ③対応できる利用時間 どれくらいの時間を利用できるのか、短時間など対応してくれるのかなどを確認しましょう。 身体の調子が悪い時や退院後は長時間のデイサービスが体力的にきつい場合があります。 また、病院を受診するから早く帰宅したい、ヘルパーの利用があるから短時間にしたいなど、要望に応えられるか確認しておくと安心です。 ④入浴やトイレなど施設の設備を確認する 施設によって、入浴設備が自宅のようなお風呂だったり大浴場のお風呂だったりします。 入浴時は職員がついていますが、恥ずかしいから個浴で入りたい、温泉のようにみんなでワイワイと入りたいなど好みがあるのでチェックしておきたい設備です。  また、トイレもみておきたい設備の一つです。 たくさんの事業所がある中で、古民家を改装したデイサービスもあるので、トイレの向きによっては麻痺がある人は使いにくくなってしまいます。 トイレの設備が自分の身体に合うか確認しましょう。  デイサービスの選び方のポイントを押さえたところで、次は見学する時にみておきたい項目をご紹介します。 デイサービスを見学する時のポイント デイサービスの見学はした方がいいと言われますが、どこを見ればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。 この章では、見学する際のポイントをご紹介します。 ①いつも出入りするに人に対して挨拶しているのか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している人の雰囲気を見る  一つ一つ具体的に解説していきます。 ①いつも出入りする人に対して挨拶がきちんとしているか 基本的にお客さんにはきちんと挨拶するので、ここではいつも施設に出入りがある業者や職員同士が挨拶をきちんとしているかチェックします。 いつも出入りする人に対しては、自然な対応になるので、見ておきたいポイントなのです。  ②方針や方向性が定められているか デイサービスでの方針や方向性が定まっていると職員間で摩擦が生じにくく、ケアに対して統一感があります。 例えば、利用者の目標をきちんと職員が共有出来ており、やるべきケアが統一されている施設もあります。 職員の動きは、見学時に確認しておきたい項目です。 ③現在利用されている方の雰囲気をみる 施設全体の雰囲気が合うのかチェックするのも大切ですが、今利用されている方が楽しそうにされているか見るのもポイントです。 職員は新規利用者獲得の為、良いところを見せようとする場合がありますが、今利用されている方は楽しそうに取り繕う必要性がないからです。  実際、自分に合うかは利用して見ないと分かりませんが、大半のデイサービスは1日体験利用を実施しています。 上記ポイントを意識して、体験利用してみると自分に合う事業所が見つけやすくなります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 デイサービスの違いと自分に合う選び方のポイントをご紹介しました。 ・デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所である ・デイサービス 5つの種類 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 ・デイサービスの選び方 4つのポイント ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容 ③利用時間 ④施設の設備を確認する ・デイサービスを見学時の3つのポイント ①顔見知りの人に挨拶しているか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している方の雰囲気を見る  最後まで読んでいただきありがとうございました。  

  • 特別養護老人保健施設にスムーズに入る為の工夫とは?待機時期にできることもご紹介!

    昨今《特養》というワードがかなり聞かれるようになり、社会に浸透してきました。 ただ入居施設の中では低価格で利用できることから、入居待ちをしている方も非常に多くいらっしゃいます。 家族の方もいつ入居できるのか分からないまま、不安な中日々一生懸命に介護されている方も多いのではないでしょうか。 その不安を少しでも払拭するために、今回は特養にスムーズに入居するための方法はあるのか?入居の待機期間にできることはあるか?などをお伝えします。 《特養》の特徴とは? 《特養》とは特別養護老人ホームの略で、文字通り生活のサポートが必要になった高齢者の方が安心して暮らせるための施設です。 公的な施設のため入居施設の中では低価格で利用できます。 病気による入院や特別な事情がない限りは基本的に入居されると最期を特養で迎えられることがほとんどです。 ちなみに同じく入居施設の老人保健施設は自宅で健康に過ごす在宅復帰が目的のため、原則3か月限定の入居となります。 有料老人ホーム等の施設と、どの程度価格の面で違いがあるのかご説明します。 価格 まず大きな違いは特養に入居する際に支払う入居金が必要ないことです。 有料老人ホームであれば築年数やサービス体制などで差はありますが、低いところで0円、高いところで数百万必要となってきます。 また同じく入居施設であるグループホームと比較するとこちらは少し安く0円~百万程です。 ただグループホームは認知症と医師に診断されることが入居条件になるので、入居できる方が絞られます。 では月額料金を比較するとどうでしょうか。 特養の場合はその時の所得によって個人差があるのですが、基本的にどんな所得状況であっても15万円程あれば1か月利用することができます。 しかし有料老人ホームは最低でも15万円~となることが多いです。 施設が新しかったり、サービスが充実している有料老人ホームであれば、30万円近く必要となるケースもあります。 これに加えて、特養であっても有料老人ホームであっても、病院での治療費や美容室代、季節のイベント代などが別途必要となります。 数か月の入居であればなんとか有料老人ホームで頑張れたとしても、最期までとなると月にかかってくるお金は検討したいところ。 これが特養の入居待ちが多い所以です。 入居条件 特養に入居するには原則要介護3以上あり、65歳以上であることなど、いくつか条件があります。 ただし64歳以下であっても特定疾病を持っている方は入居することができます。 また特養入居中に要介護2や1に下がってしまった場合、退所になることはありませんので安心してください。 特養の入居待ち問題 特養は入居条件を設けているとはいえ、かなり多くの方が入居待ちをしています。 これは社会問題となっており《特養の入居待ち問題》と言われています。 厚生労働省の調査によると、令和元年の段階で29.2万人が特養の入居待ちをしている状況だということです。 2015年の介護保険法改正により入所条件が要介護3以上と制限されたので待機人数は減りましたが、まだまだ入居待ちをしている方がかなり多くいます。 色々な条件がそろえば比較的スムーズに入居できる場合もありますが、長い方だと年単位で待っている方もいらっしゃいます。 どういった状況であればスムーズに入居することが可能かをご説明します。 《特養》にスムーズに入居する条件とは? 特養にスムーズに入るためには、以下の事柄に気を付けることが重要です。 ①ケアマネージャーに状況を詳細に伝える 一番大切なのは身近なサポーターであるケアマネージャーに今の介護の状況についてしっかりと伝えることです。 例えば認知症の症状が強く介護が辛くなっている、寝たきり状態なので介護者の身体に負担がかかっているなどです。 ケアマネージャーは特養の相談員と関わることも多いので、情報をたくさん持っています。 今の状況をケアマネージャーに伝えておくことで、待機期間が少なく入居できるチャンスがあるかもしれません。 ②特養の入所申込書をしっかり記入する 特養に入居したいと思った場合、まずは入所申込書を記入し提出する必要があります。 入所申込書を提出し、その後数多くいる待機者の中から選ばれるまで待機期間となります。 入所決定となる順番は早い者勝ちではなく、ご本人や介護者の状況によって優先度は変わってくるのです。 特養の入居待ちをしている方は、日ごろ要介護3以上の方を介護しています。 皆さん介護に疲れていたり、何か理由があって特養に入居してほしいと思って申し込みしていますので、同じような状況の方が多くいらっしゃいます。 その中で他の方と差をつけるために特養の入所申込書をしっかりと埋めて、今の状況をきちんと理解してもらいましょう。 嘘をつくことはしてはいけませんが、謙虚に記入する必要はありません。 ③複数の特養に申し込みしておく 特養の申し込みは1施設ではなく、複数申し込むことが可能です。 複数というのは申込みの地域によって変わります。 例えば横浜市だと5施設までと決められていますし、特に制限を設けない地域もあります。 申込み予定の地域はどのようになっているのか確認しておきましょう。 また複数の特養に申込みをしたあと無事特養への入居が決定した場合は、申込みをおこなった全ての施設へ必ず入所したことを伝えておきましょう。 ④ショートステイの連続利用を検討する 原則ショートステイは基本的に2泊3日や長くても2週間ほどの利用ですが、状況によってはショートステイを長期間利用することもできます。 これをショートステイの”ロング”と呼びます。 ロング利用することによって、特養にそのまま入居できるケースがあります。 ただしロング利用するにはいくつか条件があるので注意しましょう。 まずショートステイはあくまで”ショート”ですので、31日目の利用日は介護保険の利用ができません。 31日目は完全に自費となり、そして再び1日目から30日目までは、介護保険の利用、31日目が自費というローテーションとなります。 自費の日がある分、1か月の請求額は上がってきます。 もう1つの注意がそもそも空きがあるかどうかです。 ショートステイも人気の介護サービスですので、空きがない場合やロングの利用は難しいこともあります。 本人と介護者の状況などでやむを得ない場合は、ケアマネージャーと相談してショートステイのロング利用は可能かを検討してみましょう。 ⑤ユニット型の施設を検討する 特養には従来型とユニット型があります。 従来型は多床室も多く入所している人数がかなり多いのが特徴です。 ユニット型は個室も多く少人数制であることが特徴です。 一見ユニット型に魅力を感じますが、ユニット型の方が費用が高くなってしまうのがデメリットです。 特養に入居する魅力はやはり価格の面でしょう。 ですのでユニット型の特養の方が入居待ちが少ないケースもあります。 必ずしもそうというわけではありませんが、利用料金が高くても早く入居したいと考える方は検討しましょう。 《特養》の待機期間中にできることは? 待機期間だからといって何もせず待っているのは少しもったいないかもしれません。 介護疲れを少しでも軽減するために工夫してみましょう。 ①ショートステイやデイサービスを利用する すでに利用している方も多くいらっしゃるでしょう。 先ほどショートステイのロング利用についてお話ししましたが、ロング利用でなくてもショートステイを利用することで、そこの施設の職員と顔見知りになることができます。 施設としても初めてお会いする方をお迎えするより、普段からADLや精神状態を理解している方をお迎えする方が安心です。 ショートステイ利用から特養に入所となる可能性もあります。 また特養に併設しているデイサービスを利用すると、上記と同じような流れになるケースも考えられます。 介護疲れの軽減ももちろんですが、こういった理由もショートステイやデイサービスを利用するメリットです。 ②老人保健施設や有料老人ホームを利用する これは直接特養の入所に繋がるわけではありません。 介護疲れ軽減のために検討してみましょう。 最期まで有料老人ホームを利用するとお金の面でかなりの負担となりますが、待機期間中の一時的な利用であれば可能だという方は有料老人ホームに連絡してください。 もし一時的であっても難しい方は老人保健施設、所謂《老健》の利用をケアマネージャーに相談しましょう。 ただし老健も人気施設であること、また原則3か月で一度退所となってしまうので気をつけてください。 まとめ いかがでしたでしょうか。 早く特養に入居したいのになかなか決定しなかったり、いつ入居できるのか分からず精神的にも不安になりますよね。 これを読んだ方が少しでも不安から解消されると幸いです。 以下、まとめになります。 ・特養は入居金がいらず、月額の利用料金も入居施設の中では低価格で利用できる。 ・特養には2015年より原則65歳以上の要介護3以上の利用条件が設定されている。 ・令和元年の時点で特養の入居待ちは29.2万人となっており、状況によってはすぐの入居が難しい場合も多い。 ・ケアマネージャーに今の状況をしっかりと説明し、施設の情報収集を行う。 ・特養の申込みは地域によるが複数施設可能で、入所申込書を書く際は詳細に状況を記入する。 ・ショートステイは原則一時的な利用であるが、状況によってはロング利用も可能であるのでケアマネージャーに相談する。 ・従来型よりは少し利用料の高いユニット型を検討することで早く入居できるケースもある。 ・待機期間はショートステイやデイサービスを利用することで、その施設の職員にADLや精神状態を理解してもらうことで入居に繋がるケースもある。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。  

  • 経験者だからわかる良い介護施設の選び方とは?職員や施設の内情のチェック方法を解説!

    そろそろ家族を介護施設へと検討している人向けに、介護施設での勤務経験者が教える、良い介護施設の特徴や、選び方についてお伝えしていきます。 介護施設勤務経験者が伝える良い介護施設の見分け方 ではどのようなことに気を付けて良い施設を見つければよいのか、そのポイントについてご紹介します。 1,入居者の身だしなみが整っている ここでいう身だしなみとは以下の事柄を指します。 ・髭が剃られている ・髪が整えられている ・服が汚れていない、皺が寄ってくちゃくちゃになっていないできちんと着られている 介護施設の場合、朝方は特に忙しいです。 数人の高齢者を介護職員1人で起こさなければなりません。 1人の着替えや更衣を行いながら、他の入居者から呼ばれたら対応しなければいけないので、バタバタします。 そんな忙しい中でも、整容を心掛けることができる介護職員がいる施設は、良い介護施設の特徴の1つです。 2,どんな人にも挨拶をする ブラックな介護施設の特徴として以下のことが挙げられることが多いです。 ・職員の表情に覇気がない ・疲れ切っている ・職員の身だしなみが整えられていない 良い介護職員の特徴としては「誰にでも挨拶をする」ことが挙げられます。 介護施設にはリネン業者や清掃業者など外部の業者も出入りしていますので、外部の方と接触する機会が案外多いものなのです。 しかし、介護職員の中には、家族には挨拶をするけれど外部の業者には挨拶をしないという人が多いです。 なぜなら「外部の業者にまで挨拶をする、精神的な余裕がない」からです。 良い介護職員は、外部の業者に会ったら挨拶して会釈します。 これは「誰にでも挨拶をする」という考えもあるのですが、もう1つ理由があります。 それは「外部の業者がどんな人なのか」を把握しておくためです。 清掃業者は、入居者や利用者の居室に入り掃除をすることがあります。 居室には入居者や利用者の私物があり、高価な物が置かれている場合もあるのです。 「清掃業者が居室の掃除をしているフリをして、物を盗んだ」ということも起こりえます。 なので良い介護職員はこうした防犯上の理由から、外部の業者にも挨拶し、どんな人が出入りしているのかを把握しているのです。 3,整理整頓されている これは介護施設に限らずどこの職場においても共通されていることですが、整理整頓は、仕事を効率的に進めるにあたって、必要不可欠です。 介護施設の場合は多くの物があります 物が散らかっているとどこに何があるのか探すだけで時間がかかるだけでなく、無くなったものが書類や薬などだと大きな問題になってしまいます。 しかし、日中は入居者や利用者の対応をしなければいけないので、整理整頓をするのは難しいです。 そのため夜勤の空いている時間に整理整頓をしたり、薬や書類を必要な場所に保管するといった作業を行うことが多いです。 もし介護施設を見学する機会があれば、入居者や利用者が集まる食堂の様子を見ることをおすすめします。 以下のような施設は要注意です。 ・入居者や利用者の塗り絵や貼り絵が無造作に置かれている ・通いで来ている利用者の連絡帳が適切な場所に置かれていない ・薬が出しっぱなしである 4.換気がされている 新型コロナウイルスが流行し始めてから注目され始めたのが「換気」です。 介護施設ではコロナが流行る前から「標準予防策」として、換気や消毒が日常的に行われています。 良い介護施設が行っている換気方法としては以下のようなものがあります。 ・入居者や利用者が食堂にいるときに、居室の窓を開けて換気をしている。 ・居室に戻る少し前に窓を閉め、その日の気温に合わせて温度を調節している。 ・居室で寝たきりの人は入浴に行っている間に窓を開け、入浴から戻ってくる少し前に窓を閉めている。 この方法は、介護職員にとっては「手間」です。 しかし換気を行わないと居室に匂いがこもってしまうため、入居者や利用者が不快な思いをするだけでなく、体調不良等何かあったときに、介護職員が気づきにくいことがあるのです。 5,介護施設にいるどの職種の人も、爪が切られている 「なぜ爪?」と思う人もいるかもしれません。 介護施設では介護職員や看護師だけでなく、ケアマネジャーや事務職の人も入居者や利用者と関わります。 爪が伸びていると入居者や利用者の皮膚を引っ掻いてしまい、ケガをさせてしまう可能性があるのです。 「家族を介護施設に利用させたい」と考えているのであれば、現場の職員だけでなく事務職の爪もさりげなく確認しましょう。 爪が切りそろえられていれば、入居者や利用者と関わっても安心な、良い介護施設であると言えます。 良い介護施設を見分けるにはどうすれば良いか ここまで、良い介護施設の特徴についてお伝えしてきました。 しかし、「良い介護施設を見分けるにはどうすれば良いか」「見学に行く時間もそんなに取れない」と悩む人も多いのではないでしょうか。 ここからは良い介護施設を見分ける方法について3つのポイントを紹介していきます。 1,利用する本人や家族にとって「何を最優先にするか」を明確にしておく 良い介護施設を見分けるに当たってまずやるべきことは、「何を最優先にするか」をはっきりとしておくことです。 ・本人が介護が必要になり、日中見てくれるところであればどこでも良い ・自宅から近く、何かあれば駆けつけられる ・送迎の時間を柔軟に対応してくれる ・緊急の泊まりにも対応してくれる 等、在宅介護において本人や家族の生活上、介護施設に何を求めているかは各家庭によって異なります。 ケアマネジャーに要望を伝えやすくする為にも、「その介護施設に何を1番求めるか」を明確にしておきましょう。 2,複数の施設を候補として挙げておく 介護施設を利用すると決めたら、複数の介護施設を候補として挙げましょう。 この時注意してもらいたいのは「ネットの評判や口コミ情報はあてにならない」ということです。 介護施設を探すときに最も良く使われる手段はネットです。 その介護施設の評価を投稿できるサイトも数多くありますが、悪評が多くなりがちです。 例えば利用している本人が「泊まったときに何回も呼んだけれど、来てくれなかった」と家族に言ったとします。 この言葉だけ聞くと、「なんて対応の悪い介護施設だ」と思いますよね。 しかし実際は数分おきに何てこと無い用事で呼び、その内の1回のことを言っていたのであれば、どうでしょうか。 誰だって仕事中に何回も呼ばれたら、嫌になってしまいます。 このようにネットで書かれている評判の多くは個人の一方的な意見なので、あまり参考にしないことをおすすめします。 3,質問に対し、分かりやすく説明してくれるか ・泊まるときに何が必要か、持っていって悪いものは何か ・利用料金はどの程度かかるのか 等の質問に対し、介護施設側が家族側に説明する場面があります。 その時、専門用語を使わずに一般的な言葉で説明してくれる職員であれば、良い介護施設であると言えます。 「施設側でもケガや転倒がないように最善は尽くしますが、夜間は職員が少なく、対応しきれない場合もあります。その点ご理解頂けると幸いです」等と、予めデメリットも家族側に伝える施設であれば尚良いです。 介護施設側にとって、デメリットを伝えるということは「施設の欠点を伝える」ことになります。 しかしこうした欠点を伝え、かつ「もし○○ということが起きた場合△△という対応を取らせていただきます」と介護施設側から説明を受けていればもし利用中に何かあっても、安心です。 施設見学のときに質問できる機会があったら、デメリットについても聞いてみましょう。 まとめ 良い介護施設のポイント ・入居者や利用者の身だしなみが整えられている ・職員が家族だけでなく、外部の業者にも挨拶をする ・食堂や居室が整理整頓されている ・換気がされている ・介護職員だけでなく、事務職も爪が切りそろえられている 良い介護施設を見分ける特徴 ・「介護施設に何を求めるか」を明確にする ・選ぶときは事前に複数候補として挙げる。介護施設の評判サイトは個人的意見が強いので当てにしない ・デメリットについても説明してくれるかどうか確認する     最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 介護医療院とはどういうもの?概要や入所のメリットとデメリットなどを解説!

    介護医療院とは要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。 2018年に法制化されたばかりの新しい種類の施設なので、実際どんなところなのか、自分の親が入所できるのかなどわからないこともあるのではないでしょうか。 本記事では、介護医療院の概要や入所のメリットとデメリット、利用料金や入所する方法を解説します。 ぜひ最後までお読みください。 介護医療院ってどんなところ? [caption id="attachment_1970" align="alignnone" width="512"] Woman in a white coat[/caption] 介護医療院は介護保険制度を利用した介護施設ですが、医療的なケアも受けられて長期間利用できる施設です。 介護保険制度が始まる2000年以前は、治療がなくても病院へ入院している社会的入院が問題となっていました。 退院できるけど生活する場がない人の受け皿として介護療養型医療施設が創設されましたが、医療の必要性の低い利用者も多く入院している状況は変わりませんでした。 医療費の圧迫や人手不足の問題もあることから、2023年度末で介護療養型医療施設は廃止されることになり、介護医療院が新設されることになりました。 サービスの内容 介護医療院で受けられるサービスには、介護サービスと医療サービスがあります。 介護サービス 介護医療院は同じ介護保険施設の枠組みにある特別養護老人ホームや、介護老人保健施設(老健)と同じように、食事や排泄、入浴など、その人に必要な介護を受けられます。 担当のケアマネジャーを中心に作成する施設サービス計画をもとに、日常生活上必要な介護やレクリエーション、機能訓練などが提供されています。 医療サービス 介護医療院では、たんの吸引や胃ろう、点滴、在宅酸素、褥瘡のケアなど 医療的なケアの対応ができる他、看取り介護も行われています。 入院して治療するほどではないが医療的な観察が必要な場合、特別養護老人ホームなどでは受け入れができない場合があるので、介護医療院が選択肢になるでしょう。 2つのタイプ 介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。 Ⅰ型は重篤な身体疾患のある方や身体合併症がある認知症高齢者が対象で 病院色の強いタイプ。 Ⅱ型はより安定している高齢者が対象で、老健のようにリハビリをして 家庭復帰をサポートしています。 Ⅰ型とⅡ型では、施設の人員や設備、運営基準に違いがあります。 (引用:厚生労働省「介護医療院の概要」) 対象者 入所の対象になるのは、要介護1〜要介護5の認定を受けた65歳以上の方と 40歳から64歳で特定疾病による要介護1〜要介護5の認定を受けている方。 要支援の方は対象外のため入所できません。 その人の状態によってⅠ型かⅡ型かが決まります。 介護医療院は、医療的なケアを提供する場なので、実際の入所者は医療依存度の高い高齢者が多い傾向です。 介護医療院に入所するメリットとデメリット 医療的なケアを受けながら長期療養できる介護医療院ですが、メリットだけではありません。 入所者本人にとってよい選択ができるようメリット、デメリットともに把握することが大切です。 メリット 介護医療院に入所するメリットは以下の3点です。 医療的なケアを受けられる 長期療養が可能で看取り介護も対応できる 生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある デメリット デメリットは以下の3点です。 多床室は家具とカーテンで仕切られているだけでプライバシーの確保が不安 長期になると費用が高額になる まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる 施設によって特徴に違いがありますので、資料請求や見学をして情報収集することが大切です。 介護医療院の費用    介護医療院の費用は月額の利用料金のみで、入居金などの初期費用はかかりません。 医療的ケアを受けられることで、特別養護老人ホームに比べると高く設定されているので、入所前によく確認しましょう。 月額利用料金の内訳   介護医療院でかかる月額利用料金の内訳は以下のとおりです。 施設サービス費・介護加算 施設サービス費は要介護度ごとに設定されていて、他にも介護保険の負担割合や施設の形態によって金額が異なります。 表はⅠ型、Ⅱ型それぞれ1割負担の場合の金額です。( 記事執筆23年2月) Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 694円 803円 820円 要介護2 802円 911円 928円 要介護3 1,035円 1,144円 1,161円 要介護4 1,134円 1,243円 1,260円 要介護5 1,223円 1,332円 1,349円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 要介護度 従来型個室 多床室 ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 要介護1 649円 758円 819円 要介護2 743円 852円 919円 要介護3 947円 1,056円 1,135円 要介護4 1,034円 1,143円 1,227円 要介護5 1,112円 1,221円 1,310円 (参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) 他にも施設の体制にかかる加算項目がありますので、説明を聞く際に確認が必要です。 居住費・食費 室料や光熱費にあたる居住費や、食材料費や調理費にあたる食費は各施設ごとに決められています。 厚生労働省が基準費用額を定めているので、以下をご確認ください。 基準費用額 居住費 多床室 377円 従来型個室 1,668円 ユニット型個室 2,006円 ユニット型個室的多床室 1,668円 食費 1,445円 (参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和3年3月9日)) 日常生活費 日常生活費は歯ブラシやティッシュペーパー、理美容や入れ歯の洗浄剤など、生活の中で必要になる費用です。 保険の適用にはならず実費負担となり、施設によって金額が異なるので 入所前に確認する項目の一つです。 月額利用料の目安 上記を参考に月額の目安を計算すると以下のようになります。 Ⅰ型 1割負担 要介護4 ユニット型個室の場合 →140,340円 + 日常生活費 Ⅱ型 1割負担 要介護3 多床室の場合 → 86,340円 + 日常生活費 介護保険の負担割合や要介護度、居室のタイプによって利用料金が大きくかわるので、負担が大きくなってしまう可能性もあります。 少しでも負担を抑えるために、次から介護医療院で使える減免制度について説明します。 介護医療院の減免制度 介護医療院の費用に関する減免制度は主に3つです。 支払いに不安のある場合は以下の制度を活用することで、自己負担額を低くすることができます。 介護保険負担限度額認定 介護医療院の費用のうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって、段階的に減額されます。 段階によっては居住費と食費が半額程度になる場合もあります。 要件が複雑ですので、保険者となっている市区町村の介護保険窓口で対象になるのかどうか、確認してみるとよいでしょう。 高額介護サービス費 高額介護サービス費は、1カ月に支払った施設サービス費が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度です。 居住費や食費、日常生活費は対象にはなりません。 該当する時に市区町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して提出します。 次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。 高額医療・高額介護合算制度 高額医療・高額介護合算制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、所得によって決められた限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。 高額介護サービス費と同じように、対象者には申請用紙が届きますのでそれぞれの役所へ提出します。 介護医療院に入所する方法 [caption id="attachment_1968" align="alignnone" width="512"] A room in a nursing facility[/caption] 介護医療院に入所する流れは以下のようになります。 要介護認定を受ける 入院・入所中の病院や施設の相談員へ相談し介護医療院を探す 資料請求や見学をして施設へ直接申し込む 診療情報提供書や血液検査などのデータを元に介護医療院が入所判定を行う 入所前面談を行い、施設での生活や療養方針について確認する 入所 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では介護医療院の概要やサービス内容、入所のメリットとデメリット、費用や入所する方法を解説しました。 介護医療院は医療的なケアを受けられて、長期療養できる介護保険施設 利用者の状態によってⅠ型とⅡ型に分けられる 対象になるのは65歳以上、もしくは40歳から64歳で特定疾病による 要介護1〜要介護5の認定を受けている方 介護医療院に入所するメリットは「医療的なケアを受けられる」 「長期療養が可能で看取り介護も対応できる」 「生活の場なのでレクリエーションルームや談話コーナーがある」 デメリットは「多床室は家具とカーテンで仕切られているだけで プライバシーの確保が不安」「長期になると費用が高額になる」 「まだ数が少なく、地域によっては選択肢が絞られる」 1カ月の費用の主な内訳は、施設サービス費+居住費+食費+日常生活費 利用料金の減免制度として介護保険負担限度額認定、高額介護サービス費 高額医療・高額介護合算制度などがある 介護医療院は医療的ケアも介護サービスも受けられます。 家族内、ケアマネジャー、入院・入所している病院や施設の相談員などとよく相談し、より良い選択をするようにしましょう。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • 監視カメラを介護現場で活用する目的とは?問題点と活用方法等を解説!

    最近、介護現場での犯罪や暴力行為等が報道されることが増えています。 客観的な証拠を残すという目的で、監視カメラを導入している施設も多くなってきています。 監視カメラの設置を希望しているのは、施設運営する事業者と大切な家族を施設へ預けている利用者家族の双方です。 監視カメラを活用すると、防犯や虐待に対する抑止力、事故の検証等の面で、速やかかつ明確な事実確認ができ、スタッフや利用者を守ることにもつながります。 ですが、常に監視されているスタッフや利用者の心理的な負担は大きいものです。 本記事では、介護現場で上手に監視カメラを活用する方法と、今後の監視カメラの使用目的について解説します。 介護現場に監視カメラを導入する目的 Wikipediaによると、監視カメラとは「何らかの目的で何らかの対象を監視するためのビデオカメラである」とのことです。 起きた出来事を映像として記録する監視カメラですが、介護現場に設置する目的は以下のようになります。 ・防犯 ・虐待等、スタッフの言動に対する抑止力 ・事故発生時の検証 以下で一つずつ説明していきます。 防犯 主に施設の正面玄関やスタッフ専用の出入り口等、外部から施設内への入口部分に設置します。 外部からの予期せぬ侵入者の証拠が残るため、障害者施設で起きた外部侵入者による殺傷事件以降、需要が高まっています。 他には、利用者の家族が帰った時刻を確認したり、近隣で事件が起きた時に警察からデータ提供を求められたりする場合もあります。 虐待等、スタッフの言動に対する抑止力 スタッフの不適切な言動や金品の紛失について報道されるケースがあります。 起きてはならないことですが、今後も起きてしまう可能性はゼロではありません。 事業所としても、まさか自施設で起こるとは思いたくありませんが、リスク管理としてカメラを設置する選択肢は有効です。 食堂や廊下、場合によっては居室にカメラを設置し普段から映像を録画しておくことで、何か起きた際に確認できる環境を作ります。 カメラがあるというだけで抑止力になりますし、業務改善としてスタッフの動き方を考える上でも有効活用できます。 事故発生時の検証 転倒等の事故が起きた時、転倒した瞬間を見ていないケースが多く、日ごろの利用者の行動や発見時の状況から「おそらくこのように転んでしまったのだろう」と原因を推測します。 食堂や廊下にカメラが設置してあれば、事故が起きた時の映像がそのまま残ります。 何かにぶつかったのか、体の向きを変えたときにバランスを崩したのか、頭を打っていないか等の原因や状況が誰が見ても明らかです。 初期対応の応急処置や受診が必要かどうかの判断がスムーズになり、受診先でも医師への正確な情報提供が可能になります。 再発防止策を検討する際も、映像を見ながら検討することでより現実的な対策を出せるでしょう。 監視カメラを設置する目的は以上のようなものがありますが、導入するには主に心理面の障壁もありますので、次の項目で説明していきます。 介護現場に監視カメラを導入する時の問題点 介護現場への監視カメラの導入を進めるにあたり、一番問題となるのはプライバシーの侵害にあたることです。 施設とは言え利用者にとっては生活の場です。 生活の場を監視して管理するというイメージがあり、道徳的にいかがなものかと考える方も多いのではないでしょうか。 生活する利用者からみてもカメラに監視されて生活するのは息苦しいものです。 まじめに働いているスタッフも、自分の些細な言動が逐一チェックされるのは働きにくいでしょう。 「信頼されていない」と感じるスタッフがでてくる可能性もあります。 導入すれば活躍の場面が多い監視カメラですが、心理面の障壁はモチベーションが低下する一因になることもあります。 スタッフや利用者、利用者の家族に向けて導入の目的を明確にし、根気よく説明することが求められます。 次は監視カメラを上手に活用する方法について説明していきます。 介護現場で監視カメラを活用する方法 介護現場で監視カメラを活用するために押さえておきたいポイントが5つあります。 ・目的を明確にする ・ルールを作る ・設置場所を検討する ・家族や利用者への説明 ・スタッフへの説明 以下で一つずつ説明していきます。 目的を明確にする 施設としてなぜ監視カメラを設置するのか、どのように活用するのかを明確にしましょう。 前述の防犯、虐待予防、事故検証が主なものになります。 自身の施設にとっての目的を明確にし、利用者やその家族、スタッフの理解を得られるようにしておきます。 傷害事件や虐待について大きく報道される機会もあるので、監視カメラを設置することが自分たちを守ることにつながることを、本人、ご家族、スタッフに説明し相互理解を得る努力をすることが大切です。 ルールを作る 次のポイントは「録画した映像をどのように活用するか」です。 録画した映像は個人情報の為、開示の仕方を決めておく必要があります。 監視カメラを設置した後は基本的には常に録画されている状況です。 家族から「普段の生活の場面を見たい」と映像の開示を求められても安易に見せるものではありません。 行政や警察からの依頼、事故発生時の検証、その他トラブル発生時の確認等、映像を使用する場面をあらかじめ決めておき、文書化しておく必要があります。 設置場所を検討する 設置場所を検討し決めることも必要です。 食堂、廊下、玄関等の共有部分への設置にさほど悩むことはないでしょう。 一番悩ましいのは居室をどうするかです。 居室はスタッフと利用者が密室で1対1になる場なので虐待や不適切なケアが起きやすい環境でもあります。 転倒リスクの高い利用者には行動の把握のためにできれば設置したいところではありますが、プライバシーの侵害になることが心配です。 居室に設置する場合はよく話し合い、どのような目的でどのように設置するのか検討することが大切です。 家族や利用者への説明 安全を守る為に使用する監視カメラですが、一人の人の行動を常に見られる状況であることは間違いありません。 入所する際に、施設の方針として監視カメラを設置していることや、設置している場所や録画している映像の活用方法について説明しましょう。 スタッフへの説明 監視カメラを設置する際は、スタッフへの説明も必要です。 監視することが目的ではなく、事故発生時の検証や虐待を防止することで、自分たちを守ることにつながることを理解してもらう必要があるからです。 施設に過失のない転倒事故が起きた時に、家族から「施設の対応が悪い」等の事実でないクレームを言われてしまっては、関わったスタッフはショックを受けてしまいます。 映像が残っていれば施設は毅然と対応することができます。 監視カメラを設置する目的を利用者や家族だけではなく、スタッフにもしっかり説明することが大切です。 今後の監視カメラの使用目的は「監視」から「記録」へ これまでの監視カメラは、文字通り「監視」が目的でした。 施設にどんな人が出入りしたか、スタッフの振る舞いは適切だったかなどを確認するために監視カメラを導入していたのです。 しかし、権利者意識の強い利用者や家族が増えている昨今、理不尽な要求を強いられたり、事故に対して施設に責任を押し付けられるような場面も想定しなければなりません。 今は一つの転倒事故が裁判にまで発展する時代です。 もちろん、施設側に過失のある事故については相応の対応をする必要があります。 ですが、転倒した場面が記録されていることで、訴訟リスクを回避できる場合もあるでしょう。 「監視」だけでなく「記録」のためにカメラを使用していくことを考える時期がやってきています。 まとめ いかがでしたでしょうか。 介護現場に監視カメラを導入する目的や心理的な障壁、活用する方法について解説しました。 監視カメラを導入する目的は、 ・防犯 ・虐待等、スタッフの言動に対する抑止力 ・事故発生時の検証 等 監視カメラの活用方法については、 ・目的を明確にする ・ルールを作る ・設置場所を検討する ・家族や利用者への説明 ・スタッフへの説明 監視カメラの今後について、 ・使用目的が「監視」から「記録」へ変わっていく ・転倒事故などの映像が適切に保管されると訴訟などのリスクを軽減させられる場合もある 現在は車にもドライブレコーダーがついている時代です。 プライバシーやスタッフの心理的な負担には最大限の配慮をしつつ、上手に監視カメラを活用することで、利用者の安心できる生活や、スタッフの働く環境を整備することができます。 最後までお読みいただきありがとうございます。

  • こんな介護施設は要注意!?施設を見分ける確認ポイント教えます。

    2000年に介護保険制度が創設され、20年以上が経過しました。 全国に多くの介護施設が作られてきた中、残念ながら入居や利用に注意すべき問題のある介護施設も見受けられます。 ここでは、ご家族の方が介護施設を見分ける確認ポイントをお伝えしていきます。 確認したい4つのポイント 1,「見学お断り」の施設は要注意 施設の利用を検討する前に、見学ができるかどうか施設側に確認してみましょう。 見学のお願いをした段階で、「うちの施設では、見学は無理です」と言われたら、その施設は要注意です。 施設側としては「入居者のプライバシーを守るため」と断りをいれてくることが多いです。 しかし介護保険などの公的資金を使っている施設であれば、国民には見る権利があります。 入居者のプライバシーを守りながら施設を見学できる方法を考えていない施設というのは、その時点で問題です。 見学を拒否する背景として ・劣悪なケアをしている ・身体拘束など、入居者や利用者が自由に生活できない といったことが挙げられます。 しかし、最近は新型コロナの影響で、見学を制限する施設もあるため、「見学できないから、悪い施設だ」とは一概には言えません。 ですが良い施設は、以下のような制限を設けることで、見学者への対応を可能な限り行っています。 ・予め見学可能な日時を伝える ・見学者には検温と消毒、マスクやディスポグローブを着用してもらう ・入浴場など、入居者や利用者がいない場所だけでも案内する 逆に、なんの工夫も交渉もなく見学を一切お断りする施設は要注意です。 その様な施設は候補から外しましょう。 2,私物の持ち込めない介護施設は、認知症の対応ができていない 施設内の見学ができないのであれば、私物を持ち込めるかどうか確認してみましょう。 なぜなら、私物は認知症の人にとって「自分を保つための必需品」だからです。 住み慣れた家から突然、無機質な部屋にベッドだけの空間に移動されたら誰だって不安になりますよね。 そんなとき、私物があることで、心の不安が軽減されるのです。 「私物が多いと、他の入居者とトラブルになったりしないの?」 と、不安に思う人もいますよね。 確かに認知症の中には「私の物だ」と考え、勝手に他人の物を取ることがあります。 しかしそのトラブルを防ぐのは、介護職員など施設側の役割です。 知識があり経験豊富なスタッフであれば、私物を持ってくる人に対しては、 ・物を取られないよう、私物は部屋から出さないように依頼をする ・食堂など皆が集まる場所で使う場合は、必ず名前を書いてもらうようお願いする と、事前に説明をします。 また物を取りやすい入居者や利用者がいる場合は、その人と距離を取ったり、私物を持ってきている人には状況を説明して、なるべく私物を共用スペースへ持ってこないように伝えます。 良い介護施設であれば、職員は自然とこの対応を取ることができます。 「私物を持ってこられると、困ります」と断る施設は、スキルがない職員が多いと考えた方が良いです。 3,機械浴を自慢する介護施設は要注意 介護施設を見学するとき、特にチェックしてもらいたいのが「お風呂場」です。 介護施設の中には、ストレッチャー浴やリフト浴などの機械浴(特殊浴槽)を自慢そうに見せているところもあります。 しかしこういう施設は、考え方が古いです。 ストレッチャーに乗せられた入浴は、怖いし恥ずかしいものなのです。 中には「こんな身体になってしまった」と情けなくなり、ますます閉じこもりがちになってしまう方もいらっしゃいます。 また一般浴に対しても、プールのように広い埋め込み式の浴槽を使っている施設は、古い考え方が残っていることが多いです。 埋め込み式の浴槽は、バリアフリーという言葉を誤解し、段差をまたがないですむようにと作られたものです。 浴槽が広いと掴まる場所がないので溺れそうになります。 また階段の昇降ができる人というのは、施設の入所者では滅多にいません。 そのため「自分の家ではお風呂に入れていたのに、施設に入所したら入れなくなった」という事態が起こりうるのです。 最近の一般浴は、家庭と同じような浴槽に、浴槽と同じ高さの洗い台を設置して入ることが多いです。 浴槽を跨がず片足ずつ浴槽に入れれば、立てない人や歩けない人でも、家庭と同じように入ることができます。 4,施設の運営状態を公表していない事業所は、要注意 介護施設を「終の棲家」と考えている場合、運営している事業所の財務状況や運営状態をチェックしておきましょう。 経営状態の良くない事業所が運営している施設に入居した場合、運営事業者が変わってサービスの質が低下したり、最悪の場合倒産によって退去を求められる場合があるからです。 最近の事業所は、ホームページで決算書などを公表していることが多いです。 視点を変えれば、運営状態を入居希望者に公表しない事業所は、情報公開に前向きでないとも取れるので、注意しましょう。 更に確認したい3つの情報とは!? 事業所が公表している情報で着目してほしい情報は、下記の3つです。 1,入居率 施設のオープンから数年経っているのに入居率が極端に低い場合、施設に何らかの問題がある可能性があります。 2,退去者数 入院や死亡以外に退去者数が多い施設は、トラブルや劣悪な環境など、様々な原因が潜んでいる可能性があります。 3,職員の離職率 職員の離職率が高い施設は、労働環境が良くなかったり、サービスの質が低いことが考えられます。 もしトラブルが起こったら、どうすれば良い? ここまで、注意すべき介護施設のポイントをお伝えしてきました。 しかし、どんなに吟味して選んだ介護施設でも、トラブルは発生するものです。 場合によっては、退去を求められる可能性もあります。 せっかく時間や手間をかけて選んだ施設を、離れたくないという人もいますよね。 そこで、ここではトラブルが起こったときにどうすれば良いか、お伝えしていきます。 1,施設に相談する 利用している中で気になる点や些細なことがあれば、現場スタッフなどの施設に相談しましょう。 現場レベルで解決できれば、大きなトラブルへの発展を防ぐことができます。 状況が改善されない場合は、施設や運営会社へ訴えましょう。 2,第三者へ相談する 施設や運営会社に相談しても解決されない場合や、苦情が言いにくい場合もあります。 そんなときは、第三者へ相談するという方法をとりましょう。 気軽に相談できる電話相談もありますし、市区町村の苦情相談窓口もあります。 連絡先は、施設の契約書や重要事項説明書に「苦情相談窓口」と明記されていることが多いので、予め確認しておくとよいでしょう。 3,国保連へ申し立てる 最終手段として「国保連(国民健康保険団体連合会)」へ申し立てましょう。 国保連は、都道府県と市町村、国民健康保険連合組合が運営している法人です。 国保連では介護相談窓口を設置しており、介護保険サービスについての苦情を受け付けています。 市区町村には介護保険施設の指定を取り消す権限があり、国保連は介護サービス事業者に対して調査や指導、助言を行う権限があります。 トラブルの内容や改善状況によっては、住み替えの検討が最善策となる可能性もあるということも、考えておくと良いです。 まとめ ・施設見学お断りの介護施設は、劣悪な環境など他人に見せられない部分があるのかも知れない ・私物を持ち込めない介護施設は、認知症の対応が上手くできない施設であることが多い ・機械浴を自慢する介護施設は、昔ながらの介護のやり方をしている ・施設の運営状態を公表していない施設は、情報公開に消極的であったり、運営状態が悪いことが多い ・トラブルが起こったら、施設に相談する。 ・施設に言いにくい場合は、市区町村の苦情相談窓口や国保連の介護相談窓口へ相談する。 最後までご覧いただきましてありがとうございます。

  • 今後ショートステイに求められるニーズとは?今後の大切なポイントを解説!

    ショートステイを運営しているけど、「ショートステイを利用していくことで、利用者や家族はどのようなことを求めているのか」と考えている事業主の方もおられるのではないでしょうか。 この記事では、今後ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 そもそもショートステイとは何か? ここではショートステイの「主な利用目的」や「ルール」について解説していきます。 ショートステイの利用シーン ショートステイは一時的に利用できる短期の宿泊サービスです。 自宅での介護が困難な時や介護者のリフレッシュのために利用されることが多いでしょう。 あくまでも短期的に利用するサービスであり、生活の拠点として長期的に利用するサービスではありません。 ショートステイの主な利用シーンは、次のようなケースが考えられます。 介護者の出張や旅行で自宅での介護が困難な時 介護者の入院などで自宅での介護が困難な時 介護者の休息が必要な時(レスパイトケア) 介護者の体調が優れない時 施設への入所前に施設生活に慣れるため ショートステイの日数制限ルール ショートステイは介護保険が利用できる日数に制限が設けられています。 なぜなら、介護保険サービスは各介護度に応じて一ヶ月に利用できる単位数が決められているからです。 そのため単位数を超えない範囲で、利用日数を抑える必要があります。 各介護度で定められた単位数を超えた場合は、介護保険が適用されず利用料金が全額自己負担となります。 最も介護度の低い要支援1の場合5,032単位、一番重度である要介護度5の場合36,217単位となります。 介護保険内でショートステイを利用できる日数の上限は下記のようになります。 要支援1 要支援2 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5 日数 6日/月 11日/月 17日/月 20日/月 28日/月 30日/月 30日/月 ※一ヶ月あたりの日数の上限になります ※実際の利用可能日数はサービス加算費などによって異なります。 当然のことではありますが、他の介護保険サービスを利用した場合にはさらに日数が短くなります。 上記のことからもショートステイは長期に利用できるサービスとは言い難いでしょう。 ショートステイに求められること ここでは介護業界の現状を踏まえた上で、ショートステイに求められるニーズについて考えていきます。 介護業界の現状 日本では少子高齢化が進み人口は減少してますが高齢者の数は年々増えています。 特に後期高齢者である75歳以上の増加は顕著になっています。 75歳以上の人口を各年度ごとにまとめてみました。※()内は全人口に占める割合です。 2020年……1,860万人(15%) 2025年……2,180万人(18%) 2040年……2,239万人(20%) このように高齢者が増えることで、介護施設の需要はさらに高まっていくと考えられます。 しかし、高齢者を支える働き手が減少していくなかで、満足な介護サービスを受けることができない介護難民が増えていくのではないでしょうか。 肝心の施設を建設しても、働き手が減少している社会構造の中で人材の確保が難しいのが現状です。 ショートステイに求められるニーズとは? 今後、少子高齢化により介護施設の需要が高まるなか、ショートステイに求められるのは足りない施設サービスの穴埋め的存在ではないでしょうか。 いわゆる「長期利用(終の棲家)」です。 また、長期利用を想定した場合「看取り」のニーズも高まるでしょう。 今後のショートステイは長期利用のニーズがさらに高まる ショートステイの本来の目的は短期利用ですが、実情として利用が長期にわたるケースは一定数、存在しています。 2020年の三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、ショートステイ事業所の6割が31日以上の長期利用を受け入れています。 また、調査対象となった3万9,375人の利用者のうち、3,396人が長期での利用をしています。 これは全体の8.6%を占める数字です。 長期利用をする理由には「特養入所までの待機場所として」が89.2%と最も多くなっています。 これは準特養と言ってもおかしくないです。 今後、後期高齢者の数が増えることや介護人材の減少が進むことを考えると、その数はさらに増えていくのではないでしょうか。 今後のショートステイでは看取り対応が求められる 今後ショートステイでの長期利用が進むことを考えると、ショートステイでの看取り対応のニーズも高まっていくでしょう。 なぜなら施設への入所を待っている間に、老衰や体調不良で亡くなってしまうケースも避けられないからです。 介護事業所で看取りを行う場合、一定の基準を満たしていれば看取り対応を行うことは可能です。 看取りを行うには、介護保険法の定めによって、下記の条件を満たしている必要があります。 看護職員・医師・診療所指定訪問看護ステーションと24時間連絡をとれる体制である 施設入所の際の指針について、本人や家族に説明し同意を得る 医師・看護師・ケアマネージャー・介護職員が看取りに対し見直しをする 看取りに対して研修を行う 看取りの際は自宅や静養室などの環境を整え、他の入所者に配慮する 現在の看取りは8割が病院、2割が施設や自宅となっています。 今後高齢化が進む中で介護施設での看取りの需要は高まるでしょう。 ただ看取りは「介護職員の精神面への負担も大きいこと」や、「人材の確保」、「医療機関との連携が難しい」などの理由により行ってない施設が多いです。 ショートステイを展開する上で大切なポイント 今後、ショートステイの事業を展開していく上で、求められているニーズをしっかりと踏まえ、差別化をしていくことが大切になってくるでしょう。 具体的なニーズに関しては下記が考えられます。 ショートステイの長期利用 ショートステイでの看取り対応 サービス事業者と利用者をつなぐ居宅介護事業所(ケアマネージャー)に、これらのニーズを満たす事業所と認知してもらえれば、様々なケースの依頼も増えていくでしょう。 各事例を一つ一つクリアしていくことで、その実績が強力な営業ツールになるのではないでしょうか。 各市町村によりショートステイの長期利用に関しての見解も違うためハードルがあるのも事実です。 ただ、可能な範囲で他社との差別化をはかっていくことは、経営していく上で重要です。 まとめ ここまでショートステイの求められるニーズについてまとめてきました。 今後、75歳以上の後期高齢者は加速的に増えていく 高齢者の増加と働き手不足で特養などの施設に入れない高齢者が出てくる 施設不足によりショートステイの長期利用のニーズは高まっていく ショートステイの看取りのニーズは高まっていく 今後、ショートステイでは「長期利用」と「看取り」対応で差別化する事も重要 最後までお読みいただきありがとうございました。  

  • 認知症利用者の転落事故の判例を踏まえて。介護職員が自らを守る方法を解説

    2022年11月1日、神戸地方裁判所において兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故についての判決が下されました。 この判決は多くの医療、福祉分野の関係者を困惑させています。 本記事では、転倒事故の判例を確認し、病院や介護施設など現場で働く自分たちを守るために抑えるべきポイントについて解説します。 事故に至った個別の事情についての批評や、裁判に至った経緯やその判決事態への批判を意図するものではありません。 下されてしまった判決により、今後関係者にどのような影響を与えるかの考察ですのでご注意ください。 転倒事故から判例までの概要 2016年4月2日早朝、認知症を患っている男性は看護師に付き添われてトイレにはいりました。 付き添った看護師は、男性が用を足す間別室の患者にナースコールで呼び出されて排便介助の対応をしました。 用を足し終えた認知症男性は、トイレから出て一人で廊下を歩き転倒してしまいます。 その結果、外傷性くも膜下出血と頭蓋骨骨折の診断を受けました。 その後寝たきりになってしまった男性は、2年後に心不全で死亡しています。 男性の家族は、入院中の転倒により怪我をして治療が必要となった結果、寝たきりになり両手足の機能が衰えたと主張しました。 転倒させた病院に責任があるとし、兵庫県に対し2,575万円の損害賠償を求めます。 対する県側は、「別室の患者は感染症を患っており、排便の介助を急いだことはやむをえないと主張しました。 6年後の今年11月、神戸地裁で出された判決は以下の通りです。 「認知症の男性から目を離せば、勝手にトイレを出て転倒する可能性は充分に予見できた。 別室の患者はおむつに排便すれば問題はなかった。 すでにトイレに入っている人よりも、後からナースコールを押した患者はおむつにすればよかった」 として、県側に532万円の支払うよう命じました。 転倒事故の判例を受けた現場の声 この判例を受け、SNS上では、医療や福祉の関係者から多くの反響がでています。 夜勤一人で20人の対応。コールは重なる。おむつをしていてもおむつにできない。 変な判例を作らないでほしい。認知症の人は抑制をデフォルトにしろということか。 両手に火のついたダイナマイトを持たされて。爆発は予見できたって言ってるようなもの。 これは厳しい。今後、リスクの高い人はおむつにしろと言ってるようなもの。 無理ゲー。 マンパワーが足りない。転ぶ時は一緒に転ぼう。 2チャンネル創設者で実業家のひろゆき氏は、「『87歳の認知症患者が病院で歩いて、転倒したので病院は532万円支払え』という判決。認知症患者は、ベッドに縛り付けて動けなくするのが正解ということですね」と呟いています。 転倒事故の判例の問題点 この判決は、ただ単に一つの病院で起きた裁判というだけではなく、病院や高齢者施設で働く全ての関係者にも影響を起こしかねないことです。 この判決の問題点は3つあります。 訴えられるリスク 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 スタッフは守られない では、一つずつ説明します。 訴えられるリスク 自分が働く施設で同じような転倒事故が起きてしまった場合に、施設が訴えられるリスクが上がったと言えます。 判例が出たということはそれだけ影響のあるものです。 日頃から施設の対応に疑問を持っていた家族が、転倒事故をきっかけに訴えるようになることは容易に想像できるでしょう。 夜勤帯にナースコールが重なり、対応が間に合わず転倒事故が起きてしまうことは、対策をしていても起きてしまうもの。 しかし、判例が出てしまった以上は「転ばないで」と祈るだけではどうにもなりません。 いくら丁寧にケアをしていても、訴えられたら負けてしまいます。 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否 今回の判例は、安易な身体拘束を助長させるとともに、認知症のある利用者の受け入れを拒否する施設を増やす危険性を高めてしまいました。 病院では治療のために身体拘束を行うことはありますが、高齢者施設では原則身体拘束は行いません。 しかし、転倒事故が裁判に発展し損害賠償を求められるのであれば話は別です。 利用者本位を謳い一生懸命ケアしていても、一つの転倒事故から多額の損害賠償を求められてしまっては経営が成り立ちません。 身体拘束が認められる緊急やむをえない場合、「切迫性、非代替性、一時性」に当てはめて身体拘束を行う施設が増えることも考えられます。 最終的には認知症のある利用者の受け入れを拒否することに繋がってしまうリスクがあります。 スタッフは守られない 今回の判例を受け、利用者の安全を守るために少ない人員で走り回っても、転倒事故が起きてしまえば、スタッフは守られないことがわかってしまいました。 訴えられているのは県や病院ですが、事故の当事者や同僚のショックは計り知れません。 働き続けるのが難しくなるケースもでてきます。 転倒事故を完全に防ぐにはマンツーマンの対応が必要ですが、急に人員が増えることはないでしょう。 自分たちを守るためにどうすれば良いかを考えなくてはなりません。 介護事故訴訟は増加傾向にある 介護事故の訴訟件数について、具体的な統計は判明していません。 しかし、介護事故による訴訟数は増加傾向にあるとされています。 介護事故による訴訟で最も多いのは転倒事故です。 転倒することで骨折や脱臼をしてしまうなど重傷を負ったため、訴訟になってしまうことが挙げられます。 その他にも、誤飲や誤食、薬の誤配なども訴訟になることがあります。 施設側の責任を否定した裁判もある 先に施設側の責任を認めた判例についてご紹介しましたが、訴訟の中には施設側の責任を否定したものもあります。 それは、東京地裁にて、平成24年11月13日に判決が出たものです。 事案内容は、71歳の利用者がデイケアを利用していた際、転倒してケガを負ったというものです。 原告は利用者の親族でした。 この際、施設側は以下の記録を提出しています。 利用者のアセスメント表(利用者の状態を情報収集した表)には、寝返りや起き上がり、移乗、歩行についての評価は「自立」であった。また、歩行、立位、座位でのバランスも「安定」という記載がされていた 利用者は施設の見学や利用の際にも一人で歩行しており、その際転倒したことはない 日常的に通院していた病院の診療録でも、利用者は転倒や転落歴がなく、歩行時のふらつきもなかった 上記による記載事項から、利用者には歩行能力において特に問題はなく、階段の昇降を含めて歩行時に介助を必要とする状況にはない、とされました。 このため、施設側は、利用者が転倒することを予見するのは不可能だったと認定し、この裁判の判決では施設側に責任はない、とされました。 このほかにも施設側に責任はなかった、とされる事案がいくつか出ています。 予見可能性が重要 上記の判決から見ても、施設やその職員が事故が発生する可能性があると予め認識できたかどうか(予見可能性)、あるいは、実際に認識すべきであったかどうか(予見義務)がとても重要です。 また、事故を回避できる可能性や、事故を回避する義務があるかどうかも考えなければいけません。 基本的に予見と結果回避は別のものです。 基本的に両方がそろわなければ、施設側の責任にはなりません。 しかし、多くの事件では予見が出来れば結果回避するための措置が必要であるとされ、施設側が責任を負う結果になりやすいのです。 自分たちを守るために抑えるべきポイント 転倒事故が起きてしまった時に自分たちを守るためには何が必要でしょうか。 上記の判例を受けての対応として、ここでは3つのポイントを説明します。 ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書類を確認する 自分たちを守る仕組みを作る それぞれ説明します。 ニュースや事例を共有する 今回の西宮病院の判例は病院や高齢者施設で働く全ての人に関係します。 報道されている事故の経緯を確認し、チーム内で共有することが第一歩です。 西宮病院の判例以外にも病院や高齢者施設での事故に関する判例は多くありますので、自分たちに関係のあるものを共有し、自分たちの身に降りかかる可能性があることを認識しましょう。 施設のマニュアルや書類を確認する 次に自分たちが働く施設は、利用者や家族に転倒や事故についてどのような説明をしているのかを確認します。 高齢者は転倒しやすいこと、施設で身体拘束はしないこと等、その中でどのような事故予防をしているのか等の説明内容や交わしている書類を確認しましょう。 何が足りないのかを明らかにし、その仕組みを整えるにはどうすればいいか検討し行動する準備をします。 自分たちを守る仕組みを作る それぞれの事業所の中で、自分たちを守る仕組みができているのであれば特に問題はありません。 しかし、ほとんどの事業所は日ごろの業務や現場で起きていることに集中するあまり、自分たちを守る仕組みづくりに着手できていないのが現状ではないでしょうか。 仕組み作りには「個人だけで考えるのではなく、部署や事業所単位で相談し検討する」ことが大切です。 一人ひとりの自己犠牲ややりがいに頼っていては何も変わりません。 委員会や会議、部署内のミーティング等、スタッフ間で意見交換できる場を作り検討する必要があります。 複数のコールが重なったらどのように動くか 起きてしまった転倒事故の再発防止策 家族への説明書類について不足部分がないか確認し、状況に応じて更新する 利用者に対する記録を付けるようにする 上記のように、細かいことからでも始めて自分たちを守る認識を強く持つよう働きかけ、仕組みを作っていくことが必要です。 まとめ いかがでしたでしょうか。 本記事では、兵庫県立西宮病院で起きた転倒事故に関する判例から 判例の問題点、自分たちを守るために抑えるべきポイントについて説明しました。 判例の問題点 訴えられるリスクが増した 身体拘束の助長や認知症のある利用者の受け入れ拒否に繋がる スタッフは守られない 自分たちを守るために抑えるべきポイント ニュースや事例を共有する 施設のマニュアルや書式を確認する 自分たちを守る仕組みを作る 判例がでてしまった以上は自分たちの身は自分たちで守らなければなりません。 今日転倒事故が起きたら訴えらえれてしまう可能性もあります。 自分たちを守り安心して働き続けられるよう、事業所や部署内で検討を重ね、仕組みを作りをしていくことが大切です。 最後までお読みいただきありがとうございました。

  • レクリエーションの目的とは?効果的なレクレーションを取り入れて生活に活力を!

    介護施設では必ずと言っていいほど一日のスケジュールの中に「レクリエーション」の時間が組み込まれています。 介護にとって身近なレクリエーションですが、楽しめるということは勿論、得られる効果は様々です。 今回はレクリエーションの目的と、効果的に行うための注意点についてご紹介します。 レクリエーションの目的って? レクレーションには3つの目的があると言われています。 ただ参加するのではなく、得られる効果や目的を意識して行いましょう。 ①身体機能の維持や向上が期待できる 介護施設を利用する方のみならず、どんな方でも少なからず年をとるにつれて身体機能は低下していきます。 例えば転びやすくなったり、着脱や入浴など生活の動作が難しくなったりしていくのです。 介護施設で働いていると、転倒やケガを恐れて今まで気軽に外出していた方の行動範囲が狭くなってしまうという話はよく耳にします。 そういった方の運動の機会は日常生活の動作のみとなりますが、その運動量だけでは十分とは言えません。 さらに身体への影響だけではなく、運動量の低下で精神的なストレスとなる可能性も考えられます。 また今は日常生活に支障なく過ごせている方でも今後は分かりません。 そこで必要となるのが介護施設で行う運動や体操です。 身体を動かすレクリエーションの主な目的は、日常生活のサポートや運動機能低下の予防となります。 低下してきている身体機能を今以上に落ちないようにしたり、より向上したりする効果が期待できます。 ②脳の活性化につながる 運動することで身体だけでなく脳の活性化にもつながります。 身体を動かすと「筋肉を動かす」という命令が脳から神経を通って筋肉へ、さらに筋肉から脳へ信号が発信されます。 つまり筋肉と脳は密接な関係にあり、「運動する」ということは認知症の予防や改善に効果があるということです。 また運動のレクリエーションだけではなく、オセロや麻雀、塗り絵やクイズなどそういった活動も脳の活性化につながります。 笑ったり、大きな声を出したりすると認知症の予防にも効果的です。 ③コミュニケーションの場となる 個人で行うものもあれば、皆で一緒に参加できるものも多いレクリエーションもあります。 チーム戦で勝利するために協力したり、話をしながら一緒に間違い探しをしたりなどコミュニケーションをとる機会が多々取り入れることが可能です。 普段はあまり会話をされなくても、レクリエーションでゲームをする時だけは明るく笑顔を見せてくださる方もいらっしゃいます。 1人暮らしをしている方はどうしても他の人と話したり笑ったりする機会は少ないですよね。 また家族と暮らしている方でも家族だけとコミュニケーションをとるのではなく、いつもと違った人と会話をすることも大切です。 交流の場があることで前向きでポジティブになれることがレクリエーションの魅力です。 レクリエーションの内容は? レクリエーションを行うときには、目的に合わせて決めることも大切です。 ①個人のレクリエーション 塗り絵や間違い探しなど1人でも楽しめるレクリエーションのことです。 話すことが苦手だったり、できなかったりする方でも行えるのが利点です。 利用者の方の中に本当に上手に絵を描かれる方がいらっしゃって、聞くと昔は絵を描くことを趣味としていたようです。 そのうち趣味を再開して自宅で描いた絵を持ってきてくださるようになりました。 ただ楽しむだけでなく、過去のことを思い出しながら行うことでより脳の活性化につながります。 ②集団のレクリエーション スプーンリレーや棒サッカーなど皆で協力して行うレクリエーションです。 個人戦も良いですがチーム戦にすることで非常に盛り上がり、得られる効果も大きくなります。 もし参加することが難しくても、観戦で応援して一緒に盛り上がれることができるので一丸となって楽しめます。 どうやったら勝てるのか頭や身体を使ったり、応援のため大きな声を出したりするので心身ともに効果があります。 ③運動のレクリエーション デイサービスなどでよく目にする運動マシンをつかった活動です。 理学療法士や機能訓練指導員の元、適切に身体を使って運動機能の維持や向上を目指します。 日常生活の動作とは全く違う動きができるので、運動不足を感じている方もここで補えます。 ④外出のレクリエーション 付近の公園で季節の花を見たり、普段行かない場所に買い物に行ったりするレクリエーションです。 いつも屋内で過ごすのではなく屋外に出ることでリフレッシュできるため楽しみにする方も多くいます。 また自身の足では外出が難しい方にとっては介護スタッフが一緒なので安心して参加できます。 以前外出レクリエーションで紫陽花を見に行ったことで、外に出ることに対して前向きになった利用者の方がいらっしゃいました。 その後その方は最寄りのコンサートを見に行かれて、会場で友人をつくったという話を聞かせてくださいました。 レクリエーションの結果、運動や脳の活性化だけでなく、外出できるきっかけになることもあります。 こんなレクリエーションを行うデイサービスも!? スリーA「予防ディサービス 折り梅」 「スリーA」とは「あかるく、あたまをつかって、あきらめない」の頭文字から来ている言葉です。 「予防ディサービス 折り梅」では、そんなスリーAを意識したサービスを展開されています。 こちらは静岡県内の病院で看護師長として勤務されていた増田未知子氏が立ち上げた施設です。 認知症の進行を食い止めることだけでなく、今よりさらに良い状態になれることを目指しており、楽しく認知症予防に取り組めるようになっています。 さらには毎月第二水曜日に介護保険の有無にかかわらず、付近に住む方たちが気軽に参加できる「さわやか教室」を開催し、スリーA方式のリハビリで認知症予防を行っています。 カジノ型デイサービス「ラスベガス」 東京を中心に全国に展開している「ラスベガス」というデイサービスがあります。 介護施設らしくない黒のミニバンで送迎し、施設内では機能訓練や食事だけでなく、麻雀やパチンコも楽しめます。 運動したりゲームに勝ったりすると「ベガス」と呼ばれる仮想通貨が得られ、まるで本当のラスベガスで遊んでいるようなデイサービスです。 しかし機能訓練の時間もしっかりと設けられていて、デイサービスとしての機能も十分発揮しています。 このような施設はここだけでなく全国で増加しており、楽しんで通うことでより効果を得られます。 レクリエーションの注意点は? ①無理に参加させない 麻痺などで参加が難しい方は勿論ですが、精神的に参加したくない方もいます。 ご家族からなるべく参加するようお願いされている場合を除き、無理矢理に参加させるのは逆効果です。 それにより怒ってしまったり、デイサービスの場合利用中止になってしまう可能性もゼロではありません。 その方の表情を見て参加をお願いしましょう。 ②トラブルが起きないように注意する 「ズルをした」「負けて悔しい」などがきっかけでトラブルに繋がるケースを目にしたことがあります。 ゲームのレクリエーションは盛り上がるのですが、利用者の方によっては本気になりすぎてケンカとなる場合もあります。 そういったトラブルが起きないように相性を考えながらチームを組んだり、職員は盛り上げつつも注意して進行したりすることが大切です。 万が一トラブルとなってしまった場合は、職員が間に入って話を聞いたり、他のことに意識がうつるように会話の内容を変えたりしましょう。 ③ケガには十分気をつける レクリエーションは日常生活とは違った動きをすることも多いです。 転倒やケガなどには気をつけて行ってください。 特にゲームや外出をする場合は、本番を行う前に職員同士で実践したり、想像できる危険性を話し合ったりすると良いでしょう。 ④マイナスな評価はしない 利用者の方の意欲を削ぐような発言は控えましょう。 例えば絵であれば「この花はこんな色じゃない」「塗り絵の色がはみ出ている」など評価する必要はありません。 レクリエーションは楽しむため、心身機能のために行っていることを忘れずにいてください。 利用者の方がポジティブな気持ちで楽しめるよう職員はサポートすることに努めましょう。 ⑤大きな声でハッキリ明るく進める ゲームなどを進行する際は大きな声でゆっくりと分かりやすく、そして明るく行いましょう。 私たちでもテーマパークなどの進行係の方が楽しく進めてくれると、気分がのってより楽しめます。 それと同じように利用者の方の気分を盛り上げることが大切です。 また中には聴力の弱い方もいるので、全員が平等に参加できるように進行しましょう。 まとめ この記事では、レクリエーションの目的や効果、注意点などについて解説しました。 ・レクリエーションの目的は「身体機能の維持や向上」「脳の活性化につながる」「コミュニケーションの場となる」の3つである。 ・コミュニケーションの苦手な方にとって塗り絵などの個人のレクリエーションは良い。 ・ゲームで協力して盛り上がることで脳の活性化につながる。 ・専門職員指導のもと日常生活とは違った運動で行うことで、身体機能の維持や向上に期待ができる。 ・普段外出のできない方でも外出レクリエーションは、安心して参加でき、気持ちのリフレッシュにもなる。 ・無理矢理参加させることはしない。 ・利用者間でトラブルが起きないように職員は注意する。 ・日常とは違う動きとなる可能性もあるので安全に行う。 ・楽しんで行うことが大切なのでマイナスな評価はしないようにする。 ・大きな声でハッキリと明るく進行して、全員が楽しめるようにサポートする。 最後までご覧いただきありがとうございました。

  • 認知症の在宅介護の限界になる前に。グループホームがおすすめな理由とは?

    認知症はだれもがなりうる病気で、家族や身近な人が認知症になることなどを含め、多くの人にとって身近なものです。 認知症が進行すると興奮や幻覚、徘徊など、介護者に多くの負担がかかる場合があります。 その負担が蓄積してくると在宅での介護に限界が生じて共倒れとなる恐れが出てきます。 在宅での介護が辛くなってきたとき、もう限界となる前に、施設への入所、特に認知症グループホームという選択肢があるという知識を持っていることが大切です。 今回は認知症グル-プホームがお薦めな理由についてご紹介させていただきます。 グループホームとは 認知症対応型共同生活介護は、認知症グループホーム(以下グループホームと表記)とも呼ばれています。 認知症の方が住み慣れた地域で可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、家庭的な 環境の中で食事や入浴などの日常生活上の支援が受けられるサービスです。 それでは、入所についての条件やメリットを説明していきます。 グループホームの入居条件 グループホームに入所するためには以下の条件がそろっていることが必要です。 ➀専門医から認知症の診断を受けている。 ②施設の所在地と同一市区町村に住民票を持っている。 ③要介護認定で要支援2以上の認定が必要。 グループホームのメリット それでは、グループホームには、どんなメリットがあるでしょうか? ➀少人数でのユニット制 5~9人で一つのユニットとなっており、少人数のグループのなかで家庭的でゆったりとした、気心知れた環境で暮らすことが出来ます。 ②認知症の対応を知り尽くした職員が対応 入所当初は、周囲の雰囲気に馴染めず居心地が悪くなったり、徘徊につながる場合があります。 しかし、認知症の対応に熟知しているスタッフは、適切な声掛けや寄り添いながら支援することで、利用者と信頼関係を構築しているのです。 そのため、利用者の問題行動が落ち着き、穏やかに暮らしていける支援を受けられます。 ③利用者と介護従事者が共同で行い、日常生活を維持できる。 グループホームの特徴として、利用者の食事その他の家事等は原則として利用者と介護従事者が共同で行うよう努めるものと運営基準上で示されています。 「台所」を設けることも基準化されており、これまで在宅で出来ていた生活を維持する為の支援を目的としています。 ④役割・生きがい、楽しみの創出 認知症の人の中では、役割がなく生き甲斐が失われて寂しい思いを持たれている方も多いのです。 以前好きだった趣味活動、料理が得意だったことなど、そんな情報を基にしながら職員と入居者が一緒にコミュニケーションを取っていきます。 そうしていくことで、出来なかったことを出来るように変えていく働きかけが刺激となって、認知機能の低下や予防が図れます。 グループホームでの仕事は高齢者の失われかけた能力を最大限に引き出しながら活かすことが出来る仕事です。 そんなところにやりがいを感じると言われる職員さんの言葉はとても素敵ですね。 グループホームのデメリット グループホームはメリットだけではありません。 以下のようなデメリットもあります。 ➀他入居者とトラブルになる可能性がある 少人数という環境は入居者同士の相性がとても重要となります。 集団生活に支障をきたす恐れのある方や、他の入居者と相性が合わないために居心地の悪さを感じてしまう方もでてしまいます。 その場合は、調整が難しく、退所も検討しなければならなくなります。 ②グループホーム自体が少ない グループホームは元々数が多くありません。 そのため、人気のあるグループホームは満床になりやすく、すぐに入居することは難しいです。 なかには予約待ちを入れて空きが出るまで有料老人ホームに入っている方もいらっしゃいます。 ③医療的なケア対応に限界がある グループホームは、看護師の配置の義務がないため、医療ケア対応に限界があります。 他施設との違いについて 老人ホームにはさまざまな種類があります。 介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などの民間施設であり、公的施設としては特別養護老人ホームと介護老人保健施設、介護医療院などがあります。 簡単にそれぞれの特長をお伝えします。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、「要介護3以上」の認定を受けている方が対象の施設です。 車椅子や寝たきりの利用者が多く、入所にかかる費用は他の施設より一番安いので、希望者も多いことがあります。 そのため、入所できるまで時間を要する事が可能性が高いです。 また、要介護度1〜2の入居には自治体による特例入所が必要となります。 介護老人保健施設 介護老人保健施設は、骨折や脳梗塞などで退院後すぐに在宅生活ができない高齢者が、在宅復帰を目指す施設です。 そのため大抵は3か月という一定期間の間で退去することが前提の施設です。 特別養護老人ホームと比較すると入居しやすい状況ではありますが、終(つい)の棲家にはできません。 介護医療院とは 介護医療院とは、胃ろう等の経管栄養や喀痰吸引等、日常生活上に医療処置が必要な方が入所できる施設となります 。 グループホームのおすすめポイント それでは、グループホームのおすすめポイントを見ていきましょう。 ➀人員配置基準が手厚い グループホームは以下のような人員配置がされています。 ・日中の体制 グループホームでは入居者3名に対し常勤換算で職員1名以上の配置が必要と定められています。 従来型特養は「定員あたりの人員配置」に対しての基準です。 グループホームは「1日あたりの人員配置」が基準となっています。 ・夜勤体制 グループホームでの夜間は入居者9名に対し常勤換算で職員1名以上の配置が必要と定められています。 サービス付き高齢者住宅とか有料老人ホームの場合は住宅のため基準がありませんが、一般的には30人〜70人に一人の夜勤の配置となっているようです。 人員配置基準上、最も人手がある配置基準となっているのがグループホームであると言えます。 ②費用面について 公的施設と比べると高額となりますが、他の民間施設より大体5万円程度安い月額費用で入居できるようです。 ただし、入所一時金がかかるところもあるので、良く調べておく必要があります ③計画作成担当者は、ユニットごとに1名以上配置 グループホームでは適切な介護サービスを提供するために、利用者に合わせたケアプランを作成するための計画作成担当者の配置基準があります。 計画作成担当者のうち、1名以上は介護支援専門員の資格を有していることが人員配置基準の1つです。 また、グループホームの運営基準は、最大3ユニットまでですので、27名までの計画作成となります。 これは、居宅介護支援事業所の介護支援専門員の担当件数である35件よりも、担当件数が少なく、認知症の方の支援に併せたプランが期待されている背景とも汲み取れるでしょう。 施設選びの要は介護者自身 今までデイサービスやヘルパーの手配をしてくれていたケアマネですが、ケアマネは在宅支援のコーディネーターという役割です。 施設への入所を検討をする場合には、役割外となります。 そのため、施設の情報が入った資料の提供をしますが、各施設の詳しい情報を持ち合わせていません。 施設選びを率先して行うのは、介護者自身となるというところを心得ておきましょう。 最初は有料老人ホームに入所しておきながら、グループホームの空き待ちを予約しておくことが重要です。 空いたのちに、認知症の知識を持ったスタッフの元で残存能力を生かし、生活支援を受けながら入居者も介護者も笑顔が戻ったという話もあります。 グループホームへの入所も選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。 まとめ 認知症の人は、理解力や記憶力などの中核症状と併せ徘徊や興奮などの周辺症状の増悪を伴う場合があり、長期の介護負担は介護者の生活を脅かす危険性があります。 特に認知症を有する高齢者は入所後、精神的に不安定になりやすい事もあります。 できれば少人数で自宅のような環境や人員配置の多いグループホームでの生活が望ましいでしょう。 在宅生活の限界を感じ施設入所を検討する場合、認知症グループホームは入所の条件として施設と同一の市町村に住民票が必要なので注意が必要です。 しかし、グループホームは小規模な施設であるため馴染みの環境を作りやすいです。 また、介護の知識や認知症の対応を知り尽くした職員が対応をするため、認知症の方でも安心して暮らすことが出来ます。 是非、介護の限界になるまえに事前に情報を得ておいて検討してみてはいかがでしょうか? 最後までお読みいただきましてありがとうございます。

  • デイサービスには違いがある!自分に合う事業所選びのポイントを紹介!

    デイサービスにはさまざまな種類があります。 そのため、どんなサービスを行いどんな違いがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。 今回はデイサービスの違いと、自分に合う施設の選び方を解説します。 デイサービスとは? まずは、デイサービスとはどんな所かをご紹介します。  デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所です。 また、一緒に暮らす家族の介護負担軽減も役割の1つです。  高齢になるにつれ、心身機能が低下し家で生活することが難しくなります。 そのために、デイサービスで日常生活に関するサービスを受け、住み慣れた家で生活できるように支援しています。 また、デイサービスで他者と交流することで心の機能回復も目的としています。  サービスの内容は、食事、排泄、口腔ケア、入浴、機能訓練、相談や助言など日常生活に関することです。 どんなデイサービスがある?違いを知って選ぼう デイサービスは、それぞれに特色があり以下の5つ種類があります。 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護  どんなサービスを提供しているのか具体的に解説します。 違いを知ることで、自分にあった所を選びやすくなります。 ①通所介護 通所介護とは、高齢者が在宅で自立した生活ができるように支援する場所です。 サービスの内容は、機能訓練や社会交流、家族の介護負担軽減、日常生活に関する支援、相談を行っています。 ②通所リハビリテーション 通所リハビリテーション(以下通リハ)とは、リハビリに特化したデイサービスです。 主治医の指示で理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の専門職がリハビリを実施します。 通リハはリハビリを目的としていますが、食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスも提供しています。  参照元:厚生労働省 通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 認知症対応型デイサービスとは、認知症に特化したデイサービスです。 通常のデイサービスでも認知症の方は通えますが、利用人数が多いと対応が難しい場合があります。 認知症のデイサービスは、利用者の人数が12人以下と定められています。 また、デイサービスの責任者は、「認知症対応型サービス事業管理研修」を修了していることが義務付けられています。  食事・排泄・入浴・口腔ケアの介護サービスはもちろん、認知症進行の緩和や認知症に対するケアが受けられます。  参照元:LIFULL介護 認知症対応型通所介護とは ④地域密着型通所介護 地域密着型通所介護は定員数が18人以下で、「事業所がある市町村に住んでいる人」と定められています。 これは、より細やかなニーズと手厚い支援を受けられるように限するためです。 サービス内容は通所介護とほとんど変わりませんが、人数が少ないので、利用者一人一人に合ったケアを提供しています。 参照元:健康ネット 地域密着型通所介護とは?サービスや通うメリットについて解説!   ⑤療養型通所介護施設 療養型通所型介護施設は、医療的なケアを必要とする人が利用できるデイサービスです。 通常のデイサービスでも、利用できますが事業所によって受け入れに制限があります。 看護師が常駐する中で、日常生活の全般の支援から機能訓練を行います。 対象者は、難病や脳血管疾患後遺症・がん末期など常に医療ケアが必要な人等です。 参照元:介護ワーカー 療養通所介護とはどんなサービス?役割や仕事内容について解説!  違いが分かったところで、次の章ではデイサービスの選び方のポイントを紹介します。 ポイントを押さえて自分に合った事業所を選びましょう。 デイサービスの選び方のポイントは4つ ここでは、デイサービスを選ぶ時に押さえたいポイントを4つ解説していきます。 ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容はどうなのか ③対応できる利用時間 ④入浴やトイレの設備の確認 それぞれのポイントを具体的にご紹介します。 ①デイサービスの人数はどれくらいか デイサービスの1日の利用者人数を確認しておくと雰囲気が分かります。 人数が少ないと利用者の一人一人の細かいニーズに応えやすいです。 人数が多いと法人運営しているところが大半になるので、スタッフの育成がしっかりできています。 デイサービスの1日の利用者人数を見るのもデイサービス選びのポイントの一つです。  ②食事の内容を確認する デイサービスでは食事にこだわっている事業所が多く、主食を魚かお肉に選択できたり、すべて手作りの施設もあります。 まとめて食事を作っている事業所もあるので、糖尿病や塩分制限がある方は、食事が対応できるか確認しましょう。 ③対応できる利用時間 どれくらいの時間を利用できるのか、短時間など対応してくれるのかなどを確認しましょう。 身体の調子が悪い時や退院後は長時間のデイサービスが体力的にきつい場合があります。 また、病院を受診するから早く帰宅したい、ヘルパーの利用があるから短時間にしたいなど、要望に応えられるか確認しておくと安心です。 ④入浴やトイレなど施設の設備を確認する 施設によって、入浴設備が自宅のようなお風呂だったり大浴場のお風呂だったりします。 入浴時は職員がついていますが、恥ずかしいから個浴で入りたい、温泉のようにみんなでワイワイと入りたいなど好みがあるのでチェックしておきたい設備です。  また、トイレもみておきたい設備の一つです。 たくさんの事業所がある中で、古民家を改装したデイサービスもあるので、トイレの向きによっては麻痺がある人は使いにくくなってしまいます。 トイレの設備が自分の身体に合うか確認しましょう。  デイサービスの選び方のポイントを押さえたところで、次は見学する時にみておきたい項目をご紹介します。 デイサービスを見学する時のポイント デイサービスの見学はした方がいいと言われますが、どこを見ればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。 この章では、見学する際のポイントをご紹介します。 ①いつも出入りするに人に対して挨拶しているのか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している人の雰囲気を見る  一つ一つ具体的に解説していきます。 ①いつも出入りする人に対して挨拶がきちんとしているか 基本的にお客さんにはきちんと挨拶するので、ここではいつも施設に出入りがある業者や職員同士が挨拶をきちんとしているかチェックします。 いつも出入りする人に対しては、自然な対応になるので、見ておきたいポイントなのです。  ②方針や方向性が定められているか デイサービスでの方針や方向性が定まっていると職員間で摩擦が生じにくく、ケアに対して統一感があります。 例えば、利用者の目標をきちんと職員が共有出来ており、やるべきケアが統一されている施設もあります。 職員の動きは、見学時に確認しておきたい項目です。 ③現在利用されている方の雰囲気をみる 施設全体の雰囲気が合うのかチェックするのも大切ですが、今利用されている方が楽しそうにされているか見るのもポイントです。 職員は新規利用者獲得の為、良いところを見せようとする場合がありますが、今利用されている方は楽しそうに取り繕う必要性がないからです。  実際、自分に合うかは利用して見ないと分かりませんが、大半のデイサービスは1日体験利用を実施しています。 上記ポイントを意識して、体験利用してみると自分に合う事業所が見つけやすくなります。 まとめ いかがでしたでしょうか。 デイサービスの違いと自分に合う選び方のポイントをご紹介しました。 ・デイサービスとは、高齢者が住み慣れた家で生活できるよう支援を行う場所である ・デイサービス 5つの種類 ①通所介護 ②通所リハビリテーション ③認知症対応型通所介護 ④地域密着型通所介護 ⑤療養型通所介護 ・デイサービスの選び方 4つのポイント ①デイサービスの人数はどれくらいか ②食事の内容 ③利用時間 ④施設の設備を確認する ・デイサービスを見学時の3つのポイント ①顔見知りの人に挨拶しているか ②方針や方向性が定められているか ③現在利用している方の雰囲気を見る  最後まで読んでいただきありがとうございました。  

  • 特別養護老人保健施設にスムーズに入る為の工夫とは?待機時期にできることもご紹介!

    昨今《特養》というワードがかなり聞かれるようになり、社会に浸透してきました。 ただ入居施設の中では低価格で利用できることから、入居待ちをしている方も非常に多くいらっしゃいます。 家族の方もいつ入居できるのか分からないまま、不安な中日々一生懸命に介護されている方も多いのではないでしょうか。 その不安を少しでも払拭するために、今回は特養にスムーズに入居するための方法はあるのか?入居の待機期間にできることはあるか?などをお伝えします。 《特養》の特徴とは? 《特養》とは特別養護老人ホームの略で、文字通り生活のサポートが必要になった高齢者の方が安心して暮らせるための施設です。 公的な施設のため入居施設の中では低価格で利用できます。 病気による入院や特別な事情がない限りは基本的に入居されると最期を特養で迎えられることがほとんどです。 ちなみに同じく入居施設の老人保健施設は自宅で健康に過ごす在宅復帰が目的のため、原則3か月限定の入居となります。 有料老人ホーム等の施設と、どの程度価格の面で違いがあるのかご説明します。 価格 まず大きな違いは特養に入居する際に支払う入居金が必要ないことです。 有料老人ホームであれば築年数やサービス体制などで差はありますが、低いところで0円、高いところで数百万必要となってきます。 また同じく入居施設であるグループホームと比較するとこちらは少し安く0円~百万程です。 ただグループホームは認知症と医師に診断されることが入居条件になるので、入居できる方が絞られます。 では月額料金を比較するとどうでしょうか。 特養の場合はその時の所得によって個人差があるのですが、基本的にどんな所得状況であっても15万円程あれば1か月利用することができます。 しかし有料老人ホームは最低でも15万円~となることが多いです。 施設が新しかったり、サービスが充実している有料老人ホームであれば、30万円近く必要となるケースもあります。 これに加えて、特養であっても有料老人ホームであっても、病院での治療費や美容室代、季節のイベント代などが別途必要となります。 数か月の入居であればなんとか有料老人ホームで頑張れたとしても、最期までとなると月にかかってくるお金は検討したいところ。 これが特養の入居待ちが多い所以です。 入居条件 特養に入居するには原則要介護3以上あり、65歳以上であることなど、いくつか条件があります。 ただし64歳以下であっても特定疾病を持っている方は入居することができます。 また特養入居中に要介護2や1に下がってしまった場合、退所になることはありませんので安心してください。 特養の入居待ち問題 特養は入居条件を設けているとはいえ、かなり多くの方が入居待ちをしています。 これは社会問題となっており《特養の入居待ち問題》と言われています。 厚生労働省の調査によると、令和元年の段階で29.2万人が特養の入居待ちをしている状況だということです。 2015年の介護保険法改正により入所条件が要介護3以上と制限されたので待機人数は減りましたが、まだまだ入居待ちをしている方がかなり多くいます。 色々な条件がそろえば比較的スムーズに入居できる場合もありますが、長い方だと年単位で待っている方もいらっしゃいます。 どういった状況であればスムーズに入居することが可能かをご説明します。 《特養》にスムーズに入居する条件とは? 特養にスムーズに入るためには、以下の事柄に気を付けることが重要です。 ①ケアマネージャーに状況を詳細に伝える 一番大切なのは身近なサポーターであるケアマネージャーに今の介護の状況についてしっかりと伝えることです。 例えば認知症の症状が強く介護が辛くなっている、寝たきり状態なので介護者の身体に負担がかかっているなどです。 ケアマネージャーは特養の相談員と関わることも多いので、情報をたくさん持っています。 今の状況をケアマネージャーに伝えておくことで、待機期間が少なく入居できるチャンスがあるかもしれません。 ②特養の入所申込書をしっかり記入する 特養に入居したいと思った場合、まずは入所申込書を記入し提出する必要があります。 入所申込書を提出し、その後数多くいる待機者の中から選ばれるまで待機期間となります。 入所決定となる順番は早い者勝ちではなく、ご本人や介護者の状況によって優先度は変わってくるのです。 特養の入居待ちをしている方は、日ごろ要介護3以上の方を介護しています。 皆さん介護に疲れていたり、何か理由があって特養に入居してほしいと思って申し込みしていますので、同じような状況の方が多くいらっしゃいます。 その中で他の方と差をつけるために特養の入所申込書をしっかりと埋めて、今の状況をきちんと理解してもらいましょう。 嘘をつくことはしてはいけませんが、謙虚に記入する必要はありません。 ③複数の特養に申し込みしておく 特養の申し込みは1施設ではなく、複数申し込むことが可能です。 複数というのは申込みの地域によって変わります。 例えば横浜市だと5施設までと決められていますし、特に制限を設けない地域もあります。 申込み予定の地域はどのようになっているのか確認しておきましょう。 また複数の特養に申込みをしたあと無事特養への入居が決定した場合は、申込みをおこなった全ての施設へ必ず入所したことを伝えておきましょう。 ④ショートステイの連続利用を検討する 原則ショートステイは基本的に2泊3日や長くても2週間ほどの利用ですが、状況によってはショートステイを長期間利用することもできます。 これをショートステイの”ロング”と呼びます。 ロング利用することによって、特養にそのまま入居できるケースがあります。 ただしロング利用するにはいくつか条件があるので注意しましょう。 まずショートステイはあくまで”ショート”ですので、31日目の利用日は介護保険の利用ができません。 31日目は完全に自費となり、そして再び1日目から30日目までは、介護保険の利用、31日目が自費というローテーションとなります。 自費の日がある分、1か月の請求額は上がってきます。 もう1つの注意がそもそも空きがあるかどうかです。 ショートステイも人気の介護サービスですので、空きがない場合やロングの利用は難しいこともあります。 本人と介護者の状況などでやむを得ない場合は、ケアマネージャーと相談してショートステイのロング利用は可能かを検討してみましょう。 ⑤ユニット型の施設を検討する 特養には従来型とユニット型があります。 従来型は多床室も多く入所している人数がかなり多いのが特徴です。 ユニット型は個室も多く少人数制であることが特徴です。 一見ユニット型に魅力を感じますが、ユニット型の方が費用が高くなってしまうのがデメリットです。 特養に入居する魅力はやはり価格の面でしょう。 ですのでユニット型の特養の方が入居待ちが少ないケースもあります。 必ずしもそうというわけではありませんが、利用料金が高くても早く入居したいと考える方は検討しましょう。 《特養》の待機期間中にできることは? 待機期間だからといって何もせず待っているのは少しもったいないかもしれません。 介護疲れを少しでも軽減するために工夫してみましょう。 ①ショートステイやデイサービスを利用する すでに利用している方も多くいらっしゃるでしょう。 先ほどショートステイのロング利用についてお話ししましたが、ロング利用でなくてもショートステイを利用することで、そこの施設の職員と顔見知りになることができます。 施設としても初めてお会いする方をお迎えするより、普段からADLや精神状態を理解している方をお迎えする方が安心です。 ショートステイ利用から特養に入所となる可能性もあります。 また特養に併設しているデイサービスを利用すると、上記と同じような流れになるケースも考えられます。 介護疲れの軽減ももちろんですが、こういった理由もショートステイやデイサービスを利用するメリットです。 ②老人保健施設や有料老人ホームを利用する これは直接特養の入所に繋がるわけではありません。 介護疲れ軽減のために検討してみましょう。 最期まで有料老人ホームを利用するとお金の面でかなりの負担となりますが、待機期間中の一時的な利用であれば可能だという方は有料老人ホームに連絡してください。 もし一時的であっても難しい方は老人保健施設、所謂《老健》の利用をケアマネージャーに相談しましょう。 ただし老健も人気施設であること、また原則3か月で一度退所となってしまうので気をつけてください。 まとめ いかがでしたでしょうか。 早く特養に入居したいのになかなか決定しなかったり、いつ入居できるのか分からず精神的にも不安になりますよね。 これを読んだ方が少しでも不安から解消されると幸いです。 以下、まとめになります。 ・特養は入居金がいらず、月額の利用料金も入居施設の中では低価格で利用できる。 ・特養には2015年より原則65歳以上の要介護3以上の利用条件が設定されている。 ・令和元年の時点で特養の入居待ちは29.2万人となっており、状況によってはすぐの入居が難しい場合も多い。 ・ケアマネージャーに今の状況をしっかりと説明し、施設の情報収集を行う。 ・特養の申込みは地域によるが複数施設可能で、入所申込書を書く際は詳細に状況を記入する。 ・ショートステイは原則一時的な利用であるが、状況によってはロング利用も可能であるのでケアマネージャーに相談する。 ・従来型よりは少し利用料の高いユニット型を検討することで早く入居できるケースもある。 ・待機期間はショートステイやデイサービスを利用することで、その施設の職員にADLや精神状態を理解してもらうことで入居に繋がるケースもある。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。  

  • 経験者だからわかる良い介護施設の選び方とは?職員や施設の内情のチェック方法を解説!

    そろそろ家族を介護施設へと検討している人向けに、介護施設での勤務経験者が教える、良い介護施設の特徴や、選び方についてお伝えしていきます。 介護施設勤務経験者が伝える良い介護施設の見分け方 ではどのようなことに気を付けて良い施設を見つければよいのか、そのポイントについてご紹介します。 1,入居者の身だしなみが整っている ここでいう身だしなみとは以下の事柄を指します。 ・髭が剃られている ・髪が整えられている ・服が汚れていない、皺が寄ってくちゃくちゃになっていないできちんと着られている 介護施設の場合、朝方は特に忙しいです。 数人の高齢者を介護職員1人で起こさなければなりません。 1人の着替えや更衣を行いながら、他の入居者から呼ばれたら対応しなければいけないので、バタバタします。 そんな忙しい中でも、整容を心掛けることができる介護職員がいる施設は、良い介護施設の特徴の1つです。 2,どんな人にも挨拶をする ブラックな介護施設の特徴として以下のことが挙げられることが多いです。 ・職員の表情に覇気がない ・疲れ切っている ・職員の身だしなみが整えられていない 良い介護職員の特徴としては「誰にでも挨拶をする」ことが挙げられます。 介護施設にはリネン業者や清掃業者など外部の業者も出入りしていますので、外部の方と接触する機会が案外多いものなのです。 しかし、介護職員の中には、家族には挨拶をするけれど外部の業者には挨拶をしないという人が多いです。 なぜなら「外部の業者にまで挨拶をする、精神的な余裕がない」からです。 良い介護職員は、外部の業者に会ったら挨拶して会釈します。 これは「誰にでも挨拶をする」という考えもあるのですが、もう1つ理由があります。 それは「外部の業者がどんな人なのか」を把握しておくためです。 清掃業者は、入居者や利用者の居室に入り掃除をすることがあります。 居室には入居者や利用者の私物があり、高価な物が置かれている場合もあるのです。 「清掃業者が居室の掃除をしているフリをして、物を盗んだ」ということも起こりえます。 なので良い介護職員はこうした防犯上の理由から、外部の業者にも挨拶し、どんな人が出入りしているのかを把握しているのです。 3,整理整頓されている これは介護施設に限らずどこの職場においても共通されていることですが、整理整頓は、仕事を効率的に進めるにあたって、必要不可欠です。 介護施設の場合は多くの物があります 物が散らかっているとどこに何があるのか探すだけで時間がかかるだけでなく、無くなったものが書類や薬などだと大きな問題になってしまいます。 しかし、日中は入居者や利用者の対応をしなければいけないので、整理整頓をするのは難しいです。 そのため夜勤の空いている時間に整理整頓をしたり、薬や書類を必要な場所に保管するといった作業を行うことが多いです。 もし介護施設を見学する機会があれば、入居者や利用者が集まる食堂の様子を見ることをおすすめします。 以下のような施設は要注意です。 ・入居者や利用者の塗り絵や貼り絵が無造作に置かれている ・通いで来ている利用者の連絡帳が適切な場所に置かれていない ・薬が出しっぱなしである 4.換気がされている 新型コロナウイルスが流行し始めてから注目され始めたのが「換気」です。 介護施設ではコロナが流行る前から「標準予防策」として、換気や消毒が日常的に行われています。 良い介護施設が行っている換気方法としては以下のようなものがあります。 ・入居者や利用者が食堂にいるときに、居室の窓を開けて換気をしている。 ・居室に戻る少し前に窓を閉め、その日の気温に合わせて温度を調節している。 ・居室で寝たきりの人は入浴に行っている間に窓を開け、入浴から戻ってくる少し前に窓を閉めている。 この方法は、介護職員にとっては「手間」です。 しかし換気を行わないと居室に匂いがこもってしまうため、入居者や利用者が不快な思いをするだけでなく、体調不良等何かあったときに、介護職員が気づきにくいことがあるのです。 5,介護施設にいるどの職種の人も、爪が切られている 「なぜ爪?」と思う人もいるかもしれません。 介護施設では介護職員や看護師だけでなく、ケアマネジャーや事務職の人も入居者や利用者と関わります。 爪が伸びていると入居者や利用者の皮膚を引っ掻いてしまい、ケガをさせてしまう可能性があるのです。 「家族を介護施設に利用させたい」と考えているのであれば、現場の職員だけでなく事務職の爪もさりげなく確認しましょう。 爪が切りそろえられていれば、入居者や利用者と関わっても安心な、良い介護施設であると言えます。 良い介護施設を見分けるにはどうすれば良いか ここまで、良い介護施設の特徴についてお伝えしてきました。 しかし、「良い介護施設を見分けるにはどうすれば良いか」「見学に行く時間もそんなに取れない」と悩む人も多いのではないでしょうか。 ここからは良い介護施設を見分ける方法について3つのポイントを紹介していきます。 1,利用する本人や家族にとって「何を最優先にするか」を明確にしておく 良い介護施設を見分けるに当たってまずやるべきことは、「何を最優先にするか」をはっきりとしておくことです。 ・本人が介護が必要になり、日中見てくれるところであればどこでも良い ・自宅から近く、何かあれば駆けつけられる ・送迎の時間を柔軟に対応してくれる ・緊急の泊まりにも対応してくれる 等、在宅介護において本人や家族の生活上、介護施設に何を求めているかは各家庭によって異なります。 ケアマネジャーに要望を伝えやすくする為にも、「その介護施設に何を1番求めるか」を明確にしておきましょう。 2,複数の施設を候補として挙げておく 介護施設を利用すると決めたら、複数の介護施設を候補として挙げましょう。 この時注意してもらいたいのは「ネットの評判や口コミ情報はあてにならない」ということです。 介護施設を探すときに最も良く使われる手段はネットです。 その介護施設の評価を投稿できるサイトも数多くありますが、悪評が多くなりがちです。 例えば利用している本人が「泊まったときに何回も呼んだけれど、来てくれなかった」と家族に言ったとします。 この言葉だけ聞くと、「なんて対応の悪い介護施設だ」と思いますよね。 しかし実際は数分おきに何てこと無い用事で呼び、その内の1回のことを言っていたのであれば、どうでしょうか。 誰だって仕事中に何回も呼ばれたら、嫌になってしまいます。 このようにネットで書かれている評判の多くは個人の一方的な意見なので、あまり参考にしないことをおすすめします。 3,質問に対し、分かりやすく説明してくれるか ・泊まるときに何が必要か、持っていって悪いものは何か ・利用料金はどの程度かかるのか 等の質問に対し、介護施設側が家族側に説明する場面があります。 その時、専門用語を使わずに一般的な言葉で説明してくれる職員であれば、良い介護施設であると言えます。 「施設側でもケガや転倒がないように最善は尽くしますが、夜間は職員が少なく、対応しきれない場合もあります。その点ご理解頂けると幸いです」等と、予めデメリットも家族側に伝える施設であれば尚良いです。 介護施設側にとって、デメリットを伝えるということは「施設の欠点を伝える」ことになります。 しかしこうした欠点を伝え、かつ「もし○○ということが起きた場合△△という対応を取らせていただきます」と介護施設側から説明を受けていればもし利用中に何かあっても、安心です。 施設見学のときに質問できる機会があったら、デメリットについても聞いてみましょう。 まとめ 良い介護施設のポイント ・入居者や利用者の身だしなみが整えられている ・職員が家族だけでなく、外部の業者にも挨拶をする ・食堂や居室が整理整頓されている ・換気がされている ・介護職員だけでなく、事務職も爪が切りそろえられている 良い介護施設を見分ける特徴 ・「介護施設に何を求めるか」を明確にする ・選ぶときは事前に複数候補として挙げる。介護施設の評判サイトは個人的意見が強いので当てにしない ・デメリットについても説明してくれるかどうか確認する     最後までお読みいただきましてありがとうございます。