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特別養護老人ホーム

  • 特別養護老人保健施設にスムーズに入る為の工夫とは?待機時期にできることもご紹介!

    昨今《特養》というワードがかなり聞かれるようになり、社会に浸透してきました。 ただ入居施設の中では低価格で利用できることから、入居待ちをしている方も非常に多くいらっしゃいます。 家族の方もいつ入居できるのか分からないまま、不安な中日々一生懸命に介護されている方も多いのではないでしょうか。 その不安を少しでも払拭するために、今回は特養にスムーズに入居するための方法はあるのか?入居の待機期間にできることはあるか?などをお伝えします。 《特養》の特徴とは? 《特養》とは特別養護老人ホームの略で、文字通り生活のサポートが必要になった高齢者の方が安心して暮らせるための施設です。 公的な施設のため入居施設の中では低価格で利用できます。 病気による入院や特別な事情がない限りは基本的に入居されると最期を特養で迎えられることがほとんどです。 ちなみに同じく入居施設の老人保健施設は自宅で健康に過ごす在宅復帰が目的のため、原則3か月限定の入居となります。 有料老人ホーム等の施設と、どの程度価格の面で違いがあるのかご説明します。 価格 まず大きな違いは特養に入居する際に支払う入居金が必要ないことです。 有料老人ホームであれば築年数やサービス体制などで差はありますが、低いところで0円、高いところで数百万必要となってきます。 また同じく入居施設であるグループホームと比較するとこちらは少し安く0円~百万程です。 ただグループホームは認知症と医師に診断されることが入居条件になるので、入居できる方が絞られます。 では月額料金を比較するとどうでしょうか。 特養の場合はその時の所得によって個人差があるのですが、基本的にどんな所得状況であっても15万円程あれば1か月利用することができます。 しかし有料老人ホームは最低でも15万円~となることが多いです。 施設が新しかったり、サービスが充実している有料老人ホームであれば、30万円近く必要となるケースもあります。 これに加えて、特養であっても有料老人ホームであっても、病院での治療費や美容室代、季節のイベント代などが別途必要となります。 数か月の入居であればなんとか有料老人ホームで頑張れたとしても、最期までとなると月にかかってくるお金は検討したいところ。 これが特養の入居待ちが多い所以です。 入居条件 特養に入居するには原則要介護3以上あり、65歳以上であることなど、いくつか条件があります。 ただし64歳以下であっても特定疾病を持っている方は入居することができます。 また特養入居中に要介護2や1に下がってしまった場合、退所になることはありませんので安心してください。 特養の入居待ち問題 特養は入居条件を設けているとはいえ、かなり多くの方が入居待ちをしています。 これは社会問題となっており《特養の入居待ち問題》と言われています。 厚生労働省の調査によると、令和元年の段階で29.2万人が特養の入居待ちをしている状況だということです。 2015年の介護保険法改正により入所条件が要介護3以上と制限されたので待機人数は減りましたが、まだまだ入居待ちをしている方がかなり多くいます。 色々な条件がそろえば比較的スムーズに入居できる場合もありますが、長い方だと年単位で待っている方もいらっしゃいます。 どういった状況であればスムーズに入居することが可能かをご説明します。 《特養》にスムーズに入居する条件とは? 特養にスムーズに入るためには、以下の事柄に気を付けることが重要です。 ①ケアマネージャーに状況を詳細に伝える 一番大切なのは身近なサポーターであるケアマネージャーに今の介護の状況についてしっかりと伝えることです。 例えば認知症の症状が強く介護が辛くなっている、寝たきり状態なので介護者の身体に負担がかかっているなどです。 ケアマネージャーは特養の相談員と関わることも多いので、情報をたくさん持っています。 今の状況をケアマネージャーに伝えておくことで、待機期間が少なく入居できるチャンスがあるかもしれません。 ②特養の入所申込書をしっかり記入する 特養に入居したいと思った場合、まずは入所申込書を記入し提出する必要があります。 入所申込書を提出し、その後数多くいる待機者の中から選ばれるまで待機期間となります。 入所決定となる順番は早い者勝ちではなく、ご本人や介護者の状況によって優先度は変わってくるのです。 特養の入居待ちをしている方は、日ごろ要介護3以上の方を介護しています。 皆さん介護に疲れていたり、何か理由があって特養に入居してほしいと思って申し込みしていますので、同じような状況の方が多くいらっしゃいます。 その中で他の方と差をつけるために特養の入所申込書をしっかりと埋めて、今の状況をきちんと理解してもらいましょう。 嘘をつくことはしてはいけませんが、謙虚に記入する必要はありません。 ③複数の特養に申し込みしておく 特養の申し込みは1施設ではなく、複数申し込むことが可能です。 複数というのは申込みの地域によって変わります。 例えば横浜市だと5施設までと決められていますし、特に制限を設けない地域もあります。 申込み予定の地域はどのようになっているのか確認しておきましょう。 また複数の特養に申込みをしたあと無事特養への入居が決定した場合は、申込みをおこなった全ての施設へ必ず入所したことを伝えておきましょう。 ④ショートステイの連続利用を検討する 原則ショートステイは基本的に2泊3日や長くても2週間ほどの利用ですが、状況によってはショートステイを長期間利用することもできます。 これをショートステイの”ロング”と呼びます。 ロング利用することによって、特養にそのまま入居できるケースがあります。 ただしロング利用するにはいくつか条件があるので注意しましょう。 まずショートステイはあくまで”ショート”ですので、31日目の利用日は介護保険の利用ができません。 31日目は完全に自費となり、そして再び1日目から30日目までは、介護保険の利用、31日目が自費というローテーションとなります。 自費の日がある分、1か月の請求額は上がってきます。 もう1つの注意がそもそも空きがあるかどうかです。 ショートステイも人気の介護サービスですので、空きがない場合やロングの利用は難しいこともあります。 本人と介護者の状況などでやむを得ない場合は、ケアマネージャーと相談してショートステイのロング利用は可能かを検討してみましょう。 ⑤ユニット型の施設を検討する 特養には従来型とユニット型があります。 従来型は多床室も多く入所している人数がかなり多いのが特徴です。 ユニット型は個室も多く少人数制であることが特徴です。 一見ユニット型に魅力を感じますが、ユニット型の方が費用が高くなってしまうのがデメリットです。 特養に入居する魅力はやはり価格の面でしょう。 ですのでユニット型の特養の方が入居待ちが少ないケースもあります。 必ずしもそうというわけではありませんが、利用料金が高くても早く入居したいと考える方は検討しましょう。 《特養》の待機期間中にできることは? 待機期間だからといって何もせず待っているのは少しもったいないかもしれません。 介護疲れを少しでも軽減するために工夫してみましょう。 ①ショートステイやデイサービスを利用する すでに利用している方も多くいらっしゃるでしょう。 先ほどショートステイのロング利用についてお話ししましたが、ロング利用でなくてもショートステイを利用することで、そこの施設の職員と顔見知りになることができます。 施設としても初めてお会いする方をお迎えするより、普段からADLや精神状態を理解している方をお迎えする方が安心です。 ショートステイ利用から特養に入所となる可能性もあります。 また特養に併設しているデイサービスを利用すると、上記と同じような流れになるケースも考えられます。 介護疲れの軽減ももちろんですが、こういった理由もショートステイやデイサービスを利用するメリットです。 ②老人保健施設や有料老人ホームを利用する これは直接特養の入所に繋がるわけではありません。 介護疲れ軽減のために検討してみましょう。 最期まで有料老人ホームを利用するとお金の面でかなりの負担となりますが、待機期間中の一時的な利用であれば可能だという方は有料老人ホームに連絡してください。 もし一時的であっても難しい方は老人保健施設、所謂《老健》の利用をケアマネージャーに相談しましょう。 ただし老健も人気施設であること、また原則3か月で一度退所となってしまうので気をつけてください。 まとめ いかがでしたでしょうか。 早く特養に入居したいのになかなか決定しなかったり、いつ入居できるのか分からず精神的にも不安になりますよね。 これを読んだ方が少しでも不安から解消されると幸いです。 以下、まとめになります。 ・特養は入居金がいらず、月額の利用料金も入居施設の中では低価格で利用できる。 ・特養には2015年より原則65歳以上の要介護3以上の利用条件が設定されている。 ・令和元年の時点で特養の入居待ちは29.2万人となっており、状況によってはすぐの入居が難しい場合も多い。 ・ケアマネージャーに今の状況をしっかりと説明し、施設の情報収集を行う。 ・特養の申込みは地域によるが複数施設可能で、入所申込書を書く際は詳細に状況を記入する。 ・ショートステイは原則一時的な利用であるが、状況によってはロング利用も可能であるのでケアマネージャーに相談する。 ・従来型よりは少し利用料の高いユニット型を検討することで早く入居できるケースもある。 ・待機期間はショートステイやデイサービスを利用することで、その施設の職員にADLや精神状態を理解してもらうことで入居に繋がるケースもある。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。  

  • ユニット型特養とはどんなもの?従来型との違いやメリット・デメリットを解説!

    老人ホーム探しで「ユニット型特養」という言葉を良く見たりしませんか? しかし、ほとんどの方が「ユニット型特養」についての概要がよくわからないのではないでしょうか。 ここではユニット型特養とはどんなところなのか、ユニットケアとはどんなものなのかについてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。 ユニットケアとは?? 厚生労働省のユニットケアの定義では、「居宅に近い居住環境の下、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位を一致させたケア」と定義しています。 こういう言い回しではわかりずらいので、具体的に説明します。 介護を必要とする方を10名から12名で1つのユニットとします。 お部屋は個別に提供し、そこにはその方にとってなじみのあるもの、例えば家具や仏壇などを置くことで、「アパートやマンション」に引っ越してきたという感覚で生活していただけます。 入居されている方は、自由に居室や食堂を行き来できますし、顔なじみになった介護スタッフが常時いるので、在宅にいた時と同じように安心して生活のサポートを受けられると言ったほうがしっくりくるかもしれません。 従来型とユニット型特養の違いとは? 今までは従来型として経営してきた特養が、どんどんユニット型特養に移行しています。 それは、個別での居室を求められる方が増えてきていることが影響しているのかもしれません。 それでは従来型とユニット型特養の違いとはなんでしょうか? 従来型特養の特長 従来型特養とは、入居者の居室の人数が2名から4名、1フロア40名〜50名の入居者の介護を集団で行う場所です。 1フロアでは最大6名から8名の介護職の皆さんがシフト制で動いていると言われています。 病院のような環境な為、以下のような問題点が挙げられます。 ・家族だけで面会するのが難しい。 ・カーテン1枚だけで仕切られているため、プライバシーがあまり保たれていない。 ・入居される方の好きなものが置けない。 ・常に職員が動いているので、家族が確認したいことをその場で聞けず解決できない。 ユニット型特養の特長 ユニット型は、10名から12名の入居者のグループになっています。 入居者の身体状況や自立具合によって、ユニットごとに異なったケアを行っている特養です。 従来型は、「集団」対応となりますが、ユニット型特養は「個別」対応を目指している施設となります。 例えば排泄介助を入居者さんのペースで行ったり、予め決まった時間に食事を摂る必要もありません。 食堂兼リビングで過ごしてもいいですし、居室でゆっくり過ごしていても問題ありません。 食事についてもごはんや味噌汁は、ユニットのキッチンで作り、入居者の皆さんの食欲を促す工夫をしている施設もあります。 また、職員の数が固定されていることは「入居者が気持ちを伝えやすい」という最大のメリットもあります。 ユニット型特養のデメリット ユニット型特養でもやはりデメリットはあります。 それは入居されている方同士の人間関係の問題です。 中には「ボス的存在」の入居者さんがいて、集団で特定の入居者さんへ攻撃したり、周りに迷惑をかけてクレームやケンカをしたりすることもあります。 また介護度の高い入居者さんや認知症の症状が強くて、周りを歩き回る方や大声を出したりする方もいます。 集団生活がもともと苦手という方で金銭的な余裕がある場合は、有料施設などの方が向いている場合もあるでしょう。 従来型とユニット型特養の値段の違いについて 従来型の特養の月々の費用は、全国平均で8〜9万円と言われています。 ユニット型特養ですと、月々の費用は全国平均で12万〜14万と言われています。 これは個室にかかる居住費・備品代・光熱費や電気代などが含まれている為です。 年金だけで入居したい、あるいはさせたいという場合の選択肢は従来型となりますが、そちらは希望される方も多く、入所の空き待ちに時間がかかっています。 その点、ユニット型では費用面の課題がクリアされれば比較的早く入所できる場合も多く、残された人生を快適に過ごさせたい、プライバシーを充実させてあげたいと思う場合におすすめです。 もちろんご本人の希望もありますから、よく話し合って決めることが大事です。 従来型特養とユニット型特養、どっちがおすすめ? 従来型特養とユニット型特養の費用や仕組みについてはお話ししてまいりました。 従来型とユニット型特養のどちらが良いかは、施設の特性がその方とマッチするのかが重要となります。 従来型特養というと、寝たきりの方が多く入居されるケースが多いのですが、ユニット型特養は、どちらかというとある程度自立で行動できる方が向いていると言えます。 ある程度自立されている人から寝たきりの方まで幅広く介護を必要とする人への受け入れ態勢のあるのがユニット型特養です。 ・手厚い介護を最期までしてもらいたい。 ・入居される方の自立に合わせた介護をしてもらいたい このようなご希望のある方にはユニット型特養のほうがオススメと言えそうです。 ユニット型特養へ入居の検討をされている方へ ユニット型特養は時間の流れがゆっくりなので、入居されてる方もゆっくり過ごせます。 そのため、決められた食事や入浴以外はリビングで他の入居者さんとおしゃべりしたり、お部屋でテレビを見て好きなように過ごすことが可能です。 実際に入居されている方のお部屋を見ますと、思い出の品や趣味などを楽しんで生活されている方もいらっしゃいます。 また、介護スタッフと簡単なレクレーションをしたり、普段は食べられないおやつを作って食べたりして楽しむ機会が多くあるのがユニット型特養の大きな特徴です。 また、従来型特養とは異なりユニット型特養はプライバシーが守られているので、家族の面会はお部屋でゆっくりできます。 中にはスタッフに助けてもらいながら携帯電話で家族に電話したり、好きなパソコンで家族との通話をする方もいらっしゃいます。 敷地が広いユニット型特養や自然に囲まれたユニット型特養だと、外を散歩できたりミニ家庭菜園を作って水やりをしたり成長を見たりしながら収穫を楽しみにしている入居者様もいらっしゃいます。 従来型特養に比べると月々の料金は上がってしまいますが、立地や入居条件、入居される方の希望などに沿ったユニット型特養を探してみてはいかがでしょうか? また、ユニット型特養には短期入所(ショートステイ)が併用されている施設や、最近では小規模多機能施設を併用している施設もあります。 まずはお試しという形で利用してみて、どんな生活ぶりか体験することも可能です。 実際にあるユニット型特養のショートステイでは、一度ロングステイとして長く入居体験して、そのまま入居されたという方もいらっしゃいます。 もちろん、入居希望の方には見学だけでもできます。 気になるユニット型特養があれば直接でも構いませんし、ケアマネージャーさんを通して問い合わせをしてみましょう。 まとめ ユニット型特養に実際に働いていて、気づいた点をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか? 近年、「集団ケア」から「個別ケア」への転換が行われております。 今まで従来型だった特養がユニット型特養に変わったり、グループホームや有料老人ホームでも個室化され、個別ケアが行われています。 ユニット型特養はこれからも色々な形で進化して介護施設の魁として業界を盛り上げてくれることでしょう。 老人ホームを探すに当たっては、立地や空きの有無、経済面など様々な課題をクリアしていかなければいけません。 しかし、介護が必要なご本人が納得して入居されることが一番重要です。 そのご本人の意向を良く聞き、実際に見学して様子を体験していただいたうえでその方にあったユニット型特養を探すための参考にしていただければと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございます。

  • 特別養護老人保健施設にスムーズに入る為の工夫とは?待機時期にできることもご紹介!

    昨今《特養》というワードがかなり聞かれるようになり、社会に浸透してきました。 ただ入居施設の中では低価格で利用できることから、入居待ちをしている方も非常に多くいらっしゃいます。 家族の方もいつ入居できるのか分からないまま、不安な中日々一生懸命に介護されている方も多いのではないでしょうか。 その不安を少しでも払拭するために、今回は特養にスムーズに入居するための方法はあるのか?入居の待機期間にできることはあるか?などをお伝えします。 《特養》の特徴とは? 《特養》とは特別養護老人ホームの略で、文字通り生活のサポートが必要になった高齢者の方が安心して暮らせるための施設です。 公的な施設のため入居施設の中では低価格で利用できます。 病気による入院や特別な事情がない限りは基本的に入居されると最期を特養で迎えられることがほとんどです。 ちなみに同じく入居施設の老人保健施設は自宅で健康に過ごす在宅復帰が目的のため、原則3か月限定の入居となります。 有料老人ホーム等の施設と、どの程度価格の面で違いがあるのかご説明します。 価格 まず大きな違いは特養に入居する際に支払う入居金が必要ないことです。 有料老人ホームであれば築年数やサービス体制などで差はありますが、低いところで0円、高いところで数百万必要となってきます。 また同じく入居施設であるグループホームと比較するとこちらは少し安く0円~百万程です。 ただグループホームは認知症と医師に診断されることが入居条件になるので、入居できる方が絞られます。 では月額料金を比較するとどうでしょうか。 特養の場合はその時の所得によって個人差があるのですが、基本的にどんな所得状況であっても15万円程あれば1か月利用することができます。 しかし有料老人ホームは最低でも15万円~となることが多いです。 施設が新しかったり、サービスが充実している有料老人ホームであれば、30万円近く必要となるケースもあります。 これに加えて、特養であっても有料老人ホームであっても、病院での治療費や美容室代、季節のイベント代などが別途必要となります。 数か月の入居であればなんとか有料老人ホームで頑張れたとしても、最期までとなると月にかかってくるお金は検討したいところ。 これが特養の入居待ちが多い所以です。 入居条件 特養に入居するには原則要介護3以上あり、65歳以上であることなど、いくつか条件があります。 ただし64歳以下であっても特定疾病を持っている方は入居することができます。 また特養入居中に要介護2や1に下がってしまった場合、退所になることはありませんので安心してください。 特養の入居待ち問題 特養は入居条件を設けているとはいえ、かなり多くの方が入居待ちをしています。 これは社会問題となっており《特養の入居待ち問題》と言われています。 厚生労働省の調査によると、令和元年の段階で29.2万人が特養の入居待ちをしている状況だということです。 2015年の介護保険法改正により入所条件が要介護3以上と制限されたので待機人数は減りましたが、まだまだ入居待ちをしている方がかなり多くいます。 色々な条件がそろえば比較的スムーズに入居できる場合もありますが、長い方だと年単位で待っている方もいらっしゃいます。 どういった状況であればスムーズに入居することが可能かをご説明します。 《特養》にスムーズに入居する条件とは? 特養にスムーズに入るためには、以下の事柄に気を付けることが重要です。 ①ケアマネージャーに状況を詳細に伝える 一番大切なのは身近なサポーターであるケアマネージャーに今の介護の状況についてしっかりと伝えることです。 例えば認知症の症状が強く介護が辛くなっている、寝たきり状態なので介護者の身体に負担がかかっているなどです。 ケアマネージャーは特養の相談員と関わることも多いので、情報をたくさん持っています。 今の状況をケアマネージャーに伝えておくことで、待機期間が少なく入居できるチャンスがあるかもしれません。 ②特養の入所申込書をしっかり記入する 特養に入居したいと思った場合、まずは入所申込書を記入し提出する必要があります。 入所申込書を提出し、その後数多くいる待機者の中から選ばれるまで待機期間となります。 入所決定となる順番は早い者勝ちではなく、ご本人や介護者の状況によって優先度は変わってくるのです。 特養の入居待ちをしている方は、日ごろ要介護3以上の方を介護しています。 皆さん介護に疲れていたり、何か理由があって特養に入居してほしいと思って申し込みしていますので、同じような状況の方が多くいらっしゃいます。 その中で他の方と差をつけるために特養の入所申込書をしっかりと埋めて、今の状況をきちんと理解してもらいましょう。 嘘をつくことはしてはいけませんが、謙虚に記入する必要はありません。 ③複数の特養に申し込みしておく 特養の申し込みは1施設ではなく、複数申し込むことが可能です。 複数というのは申込みの地域によって変わります。 例えば横浜市だと5施設までと決められていますし、特に制限を設けない地域もあります。 申込み予定の地域はどのようになっているのか確認しておきましょう。 また複数の特養に申込みをしたあと無事特養への入居が決定した場合は、申込みをおこなった全ての施設へ必ず入所したことを伝えておきましょう。 ④ショートステイの連続利用を検討する 原則ショートステイは基本的に2泊3日や長くても2週間ほどの利用ですが、状況によってはショートステイを長期間利用することもできます。 これをショートステイの”ロング”と呼びます。 ロング利用することによって、特養にそのまま入居できるケースがあります。 ただしロング利用するにはいくつか条件があるので注意しましょう。 まずショートステイはあくまで”ショート”ですので、31日目の利用日は介護保険の利用ができません。 31日目は完全に自費となり、そして再び1日目から30日目までは、介護保険の利用、31日目が自費というローテーションとなります。 自費の日がある分、1か月の請求額は上がってきます。 もう1つの注意がそもそも空きがあるかどうかです。 ショートステイも人気の介護サービスですので、空きがない場合やロングの利用は難しいこともあります。 本人と介護者の状況などでやむを得ない場合は、ケアマネージャーと相談してショートステイのロング利用は可能かを検討してみましょう。 ⑤ユニット型の施設を検討する 特養には従来型とユニット型があります。 従来型は多床室も多く入所している人数がかなり多いのが特徴です。 ユニット型は個室も多く少人数制であることが特徴です。 一見ユニット型に魅力を感じますが、ユニット型の方が費用が高くなってしまうのがデメリットです。 特養に入居する魅力はやはり価格の面でしょう。 ですのでユニット型の特養の方が入居待ちが少ないケースもあります。 必ずしもそうというわけではありませんが、利用料金が高くても早く入居したいと考える方は検討しましょう。 《特養》の待機期間中にできることは? 待機期間だからといって何もせず待っているのは少しもったいないかもしれません。 介護疲れを少しでも軽減するために工夫してみましょう。 ①ショートステイやデイサービスを利用する すでに利用している方も多くいらっしゃるでしょう。 先ほどショートステイのロング利用についてお話ししましたが、ロング利用でなくてもショートステイを利用することで、そこの施設の職員と顔見知りになることができます。 施設としても初めてお会いする方をお迎えするより、普段からADLや精神状態を理解している方をお迎えする方が安心です。 ショートステイ利用から特養に入所となる可能性もあります。 また特養に併設しているデイサービスを利用すると、上記と同じような流れになるケースも考えられます。 介護疲れの軽減ももちろんですが、こういった理由もショートステイやデイサービスを利用するメリットです。 ②老人保健施設や有料老人ホームを利用する これは直接特養の入所に繋がるわけではありません。 介護疲れ軽減のために検討してみましょう。 最期まで有料老人ホームを利用するとお金の面でかなりの負担となりますが、待機期間中の一時的な利用であれば可能だという方は有料老人ホームに連絡してください。 もし一時的であっても難しい方は老人保健施設、所謂《老健》の利用をケアマネージャーに相談しましょう。 ただし老健も人気施設であること、また原則3か月で一度退所となってしまうので気をつけてください。 まとめ いかがでしたでしょうか。 早く特養に入居したいのになかなか決定しなかったり、いつ入居できるのか分からず精神的にも不安になりますよね。 これを読んだ方が少しでも不安から解消されると幸いです。 以下、まとめになります。 ・特養は入居金がいらず、月額の利用料金も入居施設の中では低価格で利用できる。 ・特養には2015年より原則65歳以上の要介護3以上の利用条件が設定されている。 ・令和元年の時点で特養の入居待ちは29.2万人となっており、状況によってはすぐの入居が難しい場合も多い。 ・ケアマネージャーに今の状況をしっかりと説明し、施設の情報収集を行う。 ・特養の申込みは地域によるが複数施設可能で、入所申込書を書く際は詳細に状況を記入する。 ・ショートステイは原則一時的な利用であるが、状況によってはロング利用も可能であるのでケアマネージャーに相談する。 ・従来型よりは少し利用料の高いユニット型を検討することで早く入居できるケースもある。 ・待機期間はショートステイやデイサービスを利用することで、その施設の職員にADLや精神状態を理解してもらうことで入居に繋がるケースもある。 最後までお読みいただきましてありがとうございます。  

  • ユニット型特養とはどんなもの?従来型との違いやメリット・デメリットを解説!

    老人ホーム探しで「ユニット型特養」という言葉を良く見たりしませんか? しかし、ほとんどの方が「ユニット型特養」についての概要がよくわからないのではないでしょうか。 ここではユニット型特養とはどんなところなのか、ユニットケアとはどんなものなのかについてまとめてみましたので、ぜひ参考にしてください。 ユニットケアとは?? 厚生労働省のユニットケアの定義では、「居宅に近い居住環境の下、居宅における生活に近い日常の生活の中でケアを行うこと、すなわち、生活単位と介護単位を一致させたケア」と定義しています。 こういう言い回しではわかりずらいので、具体的に説明します。 介護を必要とする方を10名から12名で1つのユニットとします。 お部屋は個別に提供し、そこにはその方にとってなじみのあるもの、例えば家具や仏壇などを置くことで、「アパートやマンション」に引っ越してきたという感覚で生活していただけます。 入居されている方は、自由に居室や食堂を行き来できますし、顔なじみになった介護スタッフが常時いるので、在宅にいた時と同じように安心して生活のサポートを受けられると言ったほうがしっくりくるかもしれません。 従来型とユニット型特養の違いとは? 今までは従来型として経営してきた特養が、どんどんユニット型特養に移行しています。 それは、個別での居室を求められる方が増えてきていることが影響しているのかもしれません。 それでは従来型とユニット型特養の違いとはなんでしょうか? 従来型特養の特長 従来型特養とは、入居者の居室の人数が2名から4名、1フロア40名〜50名の入居者の介護を集団で行う場所です。 1フロアでは最大6名から8名の介護職の皆さんがシフト制で動いていると言われています。 病院のような環境な為、以下のような問題点が挙げられます。 ・家族だけで面会するのが難しい。 ・カーテン1枚だけで仕切られているため、プライバシーがあまり保たれていない。 ・入居される方の好きなものが置けない。 ・常に職員が動いているので、家族が確認したいことをその場で聞けず解決できない。 ユニット型特養の特長 ユニット型は、10名から12名の入居者のグループになっています。 入居者の身体状況や自立具合によって、ユニットごとに異なったケアを行っている特養です。 従来型は、「集団」対応となりますが、ユニット型特養は「個別」対応を目指している施設となります。 例えば排泄介助を入居者さんのペースで行ったり、予め決まった時間に食事を摂る必要もありません。 食堂兼リビングで過ごしてもいいですし、居室でゆっくり過ごしていても問題ありません。 食事についてもごはんや味噌汁は、ユニットのキッチンで作り、入居者の皆さんの食欲を促す工夫をしている施設もあります。 また、職員の数が固定されていることは「入居者が気持ちを伝えやすい」という最大のメリットもあります。 ユニット型特養のデメリット ユニット型特養でもやはりデメリットはあります。 それは入居されている方同士の人間関係の問題です。 中には「ボス的存在」の入居者さんがいて、集団で特定の入居者さんへ攻撃したり、周りに迷惑をかけてクレームやケンカをしたりすることもあります。 また介護度の高い入居者さんや認知症の症状が強くて、周りを歩き回る方や大声を出したりする方もいます。 集団生活がもともと苦手という方で金銭的な余裕がある場合は、有料施設などの方が向いている場合もあるでしょう。 従来型とユニット型特養の値段の違いについて 従来型の特養の月々の費用は、全国平均で8〜9万円と言われています。 ユニット型特養ですと、月々の費用は全国平均で12万〜14万と言われています。 これは個室にかかる居住費・備品代・光熱費や電気代などが含まれている為です。 年金だけで入居したい、あるいはさせたいという場合の選択肢は従来型となりますが、そちらは希望される方も多く、入所の空き待ちに時間がかかっています。 その点、ユニット型では費用面の課題がクリアされれば比較的早く入所できる場合も多く、残された人生を快適に過ごさせたい、プライバシーを充実させてあげたいと思う場合におすすめです。 もちろんご本人の希望もありますから、よく話し合って決めることが大事です。 従来型特養とユニット型特養、どっちがおすすめ? 従来型特養とユニット型特養の費用や仕組みについてはお話ししてまいりました。 従来型とユニット型特養のどちらが良いかは、施設の特性がその方とマッチするのかが重要となります。 従来型特養というと、寝たきりの方が多く入居されるケースが多いのですが、ユニット型特養は、どちらかというとある程度自立で行動できる方が向いていると言えます。 ある程度自立されている人から寝たきりの方まで幅広く介護を必要とする人への受け入れ態勢のあるのがユニット型特養です。 ・手厚い介護を最期までしてもらいたい。 ・入居される方の自立に合わせた介護をしてもらいたい このようなご希望のある方にはユニット型特養のほうがオススメと言えそうです。 ユニット型特養へ入居の検討をされている方へ ユニット型特養は時間の流れがゆっくりなので、入居されてる方もゆっくり過ごせます。 そのため、決められた食事や入浴以外はリビングで他の入居者さんとおしゃべりしたり、お部屋でテレビを見て好きなように過ごすことが可能です。 実際に入居されている方のお部屋を見ますと、思い出の品や趣味などを楽しんで生活されている方もいらっしゃいます。 また、介護スタッフと簡単なレクレーションをしたり、普段は食べられないおやつを作って食べたりして楽しむ機会が多くあるのがユニット型特養の大きな特徴です。 また、従来型特養とは異なりユニット型特養はプライバシーが守られているので、家族の面会はお部屋でゆっくりできます。 中にはスタッフに助けてもらいながら携帯電話で家族に電話したり、好きなパソコンで家族との通話をする方もいらっしゃいます。 敷地が広いユニット型特養や自然に囲まれたユニット型特養だと、外を散歩できたりミニ家庭菜園を作って水やりをしたり成長を見たりしながら収穫を楽しみにしている入居者様もいらっしゃいます。 従来型特養に比べると月々の料金は上がってしまいますが、立地や入居条件、入居される方の希望などに沿ったユニット型特養を探してみてはいかがでしょうか? また、ユニット型特養には短期入所(ショートステイ)が併用されている施設や、最近では小規模多機能施設を併用している施設もあります。 まずはお試しという形で利用してみて、どんな生活ぶりか体験することも可能です。 実際にあるユニット型特養のショートステイでは、一度ロングステイとして長く入居体験して、そのまま入居されたという方もいらっしゃいます。 もちろん、入居希望の方には見学だけでもできます。 気になるユニット型特養があれば直接でも構いませんし、ケアマネージャーさんを通して問い合わせをしてみましょう。 まとめ ユニット型特養に実際に働いていて、気づいた点をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか? 近年、「集団ケア」から「個別ケア」への転換が行われております。 今まで従来型だった特養がユニット型特養に変わったり、グループホームや有料老人ホームでも個室化され、個別ケアが行われています。 ユニット型特養はこれからも色々な形で進化して介護施設の魁として業界を盛り上げてくれることでしょう。 老人ホームを探すに当たっては、立地や空きの有無、経済面など様々な課題をクリアしていかなければいけません。 しかし、介護が必要なご本人が納得して入居されることが一番重要です。 そのご本人の意向を良く聞き、実際に見学して様子を体験していただいたうえでその方にあったユニット型特養を探すための参考にしていただければと思います。 最後まで読んでいただきありがとうございます。