介護医療院とは要介護高齢者の長期療養・生活のための施設です。
2018年に法制化されたばかりの新しい種類の施設なので、実際どんなところなのか、自分の親が入所できるのかなどわからないこともあるのではないでしょうか。
本記事では、介護医療院の概要や入所のメリットとデメリット、利用料金や入所する方法を解説します。
ぜひ最後までお読みください。
介護医療院ってどんなところ?
介護医療院は介護保険制度を利用した介護施設ですが、医療的なケアも受けられて長期間利用できる施設です。
介護保険制度が始まる2000年以前は、治療がなくても病院へ入院している社会的入院が問題となっていました。
退院できるけど生活する場がない人の受け皿として介護療養型医療施設が創設されましたが、医療の必要性の低い利用者も多く入院している状況は変わりませんでした。
医療費の圧迫や人手不足の問題もあることから、2023年度末で介護療養型医療施設は廃止されることになり、介護医療院が新設されることになりました。
サービスの内容
介護医療院で受けられるサービスには、介護サービスと医療サービスがあります。
介護サービス
介護医療院は同じ介護保険施設の枠組みにある特別養護老人ホームや、介護老人保健施設(老健)と同じように、食事や排泄、入浴など、その人に必要な介護を受けられます。
担当のケアマネジャーを中心に作成する施設サービス計画をもとに、日常生活上必要な介護やレクリエーション、機能訓練などが提供されています。
医療サービス
介護医療院では、たんの吸引や胃ろう、点滴、在宅酸素、褥瘡のケアなど
医療的なケアの対応ができる他、看取り介護も行われています。
入院して治療するほどではないが医療的な観察が必要な場合、特別養護老人ホームなどでは受け入れができない場合があるので、介護医療院が選択肢になるでしょう。
2つのタイプ
介護医療院にはⅠ型とⅡ型の2つのタイプがあります。
Ⅰ型は重篤な身体疾患のある方や身体合併症がある認知症高齢者が対象で
病院色の強いタイプ。
Ⅱ型はより安定している高齢者が対象で、老健のようにリハビリをして
家庭復帰をサポートしています。
Ⅰ型とⅡ型では、施設の人員や設備、運営基準に違いがあります。
(引用:厚生労働省「介護医療院の概要」)
対象者
入所の対象になるのは、要介護1〜要介護5の認定を受けた65歳以上の方と
40歳から64歳で特定疾病による要介護1〜要介護5の認定を受けている方。
要支援の方は対象外のため入所できません。
その人の状態によってⅠ型かⅡ型かが決まります。
介護医療院は、医療的なケアを提供する場なので、実際の入所者は医療依存度の高い高齢者が多い傾向です。
介護医療院に入所するメリットとデメリット
医療的なケアを受けながら長期療養できる介護医療院ですが、メリットだけではありません。
入所者本人にとってよい選択ができるようメリット、デメリットともに把握することが大切です。
メリット
介護医療院に入所するメリットは以下の3点です。
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デメリット
デメリットは以下の3点です。
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施設によって特徴に違いがありますので、資料請求や見学をして情報収集することが大切です。
介護医療院の費用
介護医療院の費用は月額の利用料金のみで、入居金などの初期費用はかかりません。
医療的ケアを受けられることで、特別養護老人ホームに比べると高く設定されているので、入所前によく確認しましょう。
月額利用料金の内訳
介護医療院でかかる月額利用料金の内訳は以下のとおりです。
施設サービス費・介護加算
施設サービス費は要介護度ごとに設定されていて、他にも介護保険の負担割合や施設の形態によって金額が異なります。
表はⅠ型、Ⅱ型それぞれ1割負担の場合の金額です。( 記事執筆23年2月)
Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 | |||
要介護度 | 従来型個室 | 多床室 | ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 |
要介護1 | 694円 | 803円 | 820円 |
要介護2 | 802円 | 911円 | 928円 |
要介護3 | 1,035円 | 1,144円 | 1,161円 |
要介護4 | 1,134円 | 1,243円 | 1,260円 |
要介護5 | 1,223円 | 1,332円 | 1,349円 |
(参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) Ⅱ型介護医療院サービス費(Ⅰ) 1割負担の場合の日額 | |||
要介護度 | 従来型個室 | 多床室 | ユニット型個室 ユニット型個室的多床室 |
要介護1 | 649円 | 758円 | 819円 |
要介護2 | 743円 | 852円 | 919円 |
要介護3 | 947円 | 1,056円 | 1,135円 |
要介護4 | 1,034円 | 1,143円 | 1,227円 |
要介護5 | 1,112円 | 1,221円 | 1,310円 |
(参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? − 介護医療院」) |
他にも施設の体制にかかる加算項目がありますので、説明を聞く際に確認が必要です。
居住費・食費
室料や光熱費にあたる居住費や、食材料費や調理費にあたる食費は各施設ごとに決められています。
厚生労働省が基準費用額を定めているので、以下をご確認ください。
基準費用額 | ||
居住費 | 多床室 | 377円 |
従来型個室 | 1,668円 | |
ユニット型個室 | 2,006円 | |
ユニット型個室的多床室 | 1,668円 | |
食費 | 1,445円 |
(参考:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(令和3年3月9日))
日常生活費
日常生活費は歯ブラシやティッシュペーパー、理美容や入れ歯の洗浄剤など、生活の中で必要になる費用です。
保険の適用にはならず実費負担となり、施設によって金額が異なるので
入所前に確認する項目の一つです。
月額利用料の目安
上記を参考に月額の目安を計算すると以下のようになります。
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介護保険の負担割合や要介護度、居室のタイプによって利用料金が大きくかわるので、負担が大きくなってしまう可能性もあります。
少しでも負担を抑えるために、次から介護医療院で使える減免制度について説明します。
介護医療院の減免制度
介護医療院の費用に関する減免制度は主に3つです。
支払いに不安のある場合は以下の制度を活用することで、自己負担額を低くすることができます。
介護保険負担限度額認定
介護医療院の費用のうち、食費と居住費が住民税の課税状況や年金額、預貯金などによって、段階的に減額されます。
段階によっては居住費と食費が半額程度になる場合もあります。
要件が複雑ですので、保険者となっている市区町村の介護保険窓口で対象になるのかどうか、確認してみるとよいでしょう。
高額介護サービス費
高額介護サービス費は、1カ月に支払った施設サービス費が所得に応じた負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻される制度です。
居住費や食費、日常生活費は対象にはなりません。
該当する時に市区町村から申請書が届きますので、必要事項を記載して提出します。
次回以降は自動で振り込まれますが、はじめに申請をしないともらえないので注意が必要です。
高額医療・高額介護合算制度
高額医療・高額介護合算制度は、1年間に支払った医療保険と介護保険の自己負担の合計額が、所得によって決められた限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。
高額介護サービス費と同じように、対象者には申請用紙が届きますのでそれぞれの役所へ提出します。
介護医療院に入所する方法
介護医療院に入所する流れは以下のようになります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
本記事では介護医療院の概要やサービス内容、入所のメリットとデメリット、費用や入所する方法を解説しました。
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介護医療院は医療的ケアも介護サービスも受けられます。
家族内、ケアマネジャー、入院・入所している病院や施設の相談員などとよく相談し、より良い選択をするようにしましょう。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。