介護従事者必見!いざという時身を守る記録の重要性について解説

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narumi

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介護保険制度では、介護記録を残すことが定められています。

介護記録とは提供したサービス内容や、利用者の状態変化を記録したものです。

また、年々介護事故による訴訟や賠償なども増えてきています。

利用者や家族のために懸命に仕事に取り組んでいても、事故は起きてしまうものです。

そんなとき大切になってくるのが介護記録です。

今回は介護記録の目的や書き方についてご紹介します。 

介護記録を書く目的

先述したとおり、提供したサービスを記録に残すことは、介護保険法で定められています。

それはなぜなのか、その目的について、考えたことはありますか?

目的はいくつかありますが、そこを理解しておくことで、記録も書きやすくなります。 

スタッフ間の情報共有

介護現場では多くの方が一人の利用者に関わります。

ヘルパーや介護士も複数でケアに当たりますし、看護師や理学療法士など、多くの職種の方が関わり、その方の生活を支えてくれます。

しかし、関わる全員が同日同時刻に関与するわけではありません。

そのため、日々変化する状況を全員が共有する必要があるわけです。

利用者は日々の生活の中で、体調が安定しているときもあれば、そうでないこともあります。

「あまり食事を摂りたがらない」「微熱がある」等普段と変わったことがあれば、いつから、どういう状況なのかを記録に残すことによって、情報を共有し、統一した対応を行うことができます。

個人ではなく、組織として、より良いサービスを継続的に提供していくことができるのです。 

 利用者や家族とのコミュニケーションを深める



日常的に様子を記録しておくことで、家族から普段の様子を聞かれたときにも、的確に答えることができます。

また、利用者本人と話しをする際にも、自分が関わっていなかったときの記録に「膝の痛みを訴えていた」「頭痛を訴えていた」等とあれば、その情報を基に「体調はいかがですか?」などと声をかけ、コミュニケーションを深めていくことが可能になります。 

ケアプランに反映させる

普段の様子を記録に残しておくことで、ケアプランの達成度合いが見えやすくなります。

「もう少し、違う角度からアプローチしてみようか」とチームでも検討しやすくなることでしょう。

また、新たなニーズについても発見しやすくなるというメリットもあります。 

介護記録は事故が起きたときに身を守る証拠にもなる

これまで見てきたように、介護記録は利用者や家族と事業所を信頼でつなぐツールになります。

日常的にいくら素晴らしいサービスを提供していたとしても、それが正確に記録されていなければ
いざ事故が起きてしまい、訴訟となったときに不利な立場におかれてしまうことになりかねません。

事故が起きたときには、家族から記録の開示を求められることがあります。

その際に記録が不正確であったり、記録そのものがなかったりすると信頼を損なうだけでなく、社会的責任を追及される事態にもなってしまいます。

逆に言えば、万が一訴訟に発展してしまったような場合でも、適切な介護記録があれば、適切な介護サービスを提供しており、職員は適切な行動をとっていたという証明にすることができます。

事業所や職員を守る法的証拠となるのです。 

介護事故から記録が守ってくれる例

たとえば、転倒事故であれば、利用者の普段の様子(歩行能力等)はどうだったのか。

「この1~2週間、膝の痛みを訴えていて転倒の危険性が高まっており、職員が側につきそうようにしていた」

それが記録にあるかどうかで、訴訟になった際の過失割合は変わってくる可能性が高いです。

「いざ」という時、正確な介護記録が身を守る武器となってくれる。

記録というのは、それほど大事なものなのです。 

介護記録の書き方のルールとポイント

ここからは、介護記録の書き方について解説していきます。

様式に決まりはありませんが、いくつかのルールが存在します。

それは以下の項目を必ず記載することです。

  • 日時
  • 記録者
  • 事実を記載する

 上記の3点を正確に記載するようにしてください。

次に記載するときのポイントを解説します。

以下のポイントを理解していることで、書きやすさが格段に変わります。 

メモを残す

サービス提供中や会議の最中にはこと細かく記録をする時間はありません。

そのため、要点や気が付いたことをメモしておくことで、後々記録を書く際に忘れてしまうのを防ぐことができます。

メモは忘備録のためですので、箇条書きでもよいでしょう。

メモを取ることを習慣にすると、「どうだったっけな」と思い悩むことも少なくなります。

結果的に記録の時間を短縮できる上、記録抜け・記録漏れを防ぐことができます。 

5W1H

記録の基本は5WHです。

  • いつ(When
  • どこで(Where
  • 誰が(Who
  • 何を(What
  • なぜ(Why
  • どのように(How

 上記の6項目を網羅して記録すれば、読んだ人が「何を言っているのか、わからない」ということはありません。

常に5WHを意識して、記録をするよう心掛けてください。 

である調で書く

記録は「である調」で記載します。

「ですます調」で記載してはいけないというものではありませんが、それこそ訴訟などになったときには公式の文書ともなるため、である調での記載が望ましいでしょう。 

客観的事実を書く

記録には、客観的な事実のみを記載します。

提供したサービスの内容や、利用者の行動や発言、また、体調などです。

「私は○○と思ったが」という主観や感想、また憶測などは記載しないようにしましょう。 

専門用語の使用は控える

介護記録は利用者や家族から提示を求められることもあり得ます。

「介護記録は開示されるもの」という意識でいた方がよいでしょう。

その際、専門用語やその事業所特有の略語などを使用していると、外部の方には理解することができません。

略語を使うと、記録の時間を短縮することができるように感じますが、実際には5分も10分も短縮できるわけではありません。

上記のような理由から、一般的にも馴染みのある言葉で記録をすることが望ましいといえます。

 当然ながら利用者や家族が読んだときにも不快な気持ちを抱かせない表現を使用するようにしましょう。

「させた」などの命令表現や、人格を否定するような言葉を用いることは絶対に許されません。

 また、介護職では当たり前のように使う表現でも家族はイヤな気持ちになるのが以下のことばです。

  • 「認知」
  • 「不穏」
  • 「徘徊」

それぞれ「認知症」「落ち着かない」「一人歩き」などと言い換えるとよいでしょう。 

【まとめ】

・介護保険制度では、介護記録を残すことが義務付けられている

 ・介護記録の目的

  1.  スタッフの情報共有
  2.  利用者、家族とのコミュニケーションのため
  3.  ケアプランに反映させ、ケアの質を高める
  4.  事故が起きて、訴訟などの際に正当性を主張する証拠となる

・介護記録のポイント

  1. 忘れないようにメモをとっておく
  2. 5W1Hを意識する
  3. である調で記載する
  4. 主観を交えず、客観的事実を記録に残す
  5. 専門用語、略語は控える
  6. 利用者や家族が読んだ時に、不快な念を抱かせない表現を使う

上記のポイントを頭に入れておくと、記録業務がスムーズにいきます。

また、「いざ」という時にも自分の身を守ってくれることとなります。

「記録業務も、立派な介護業務の一環」という気持ちで取り組むようにしましょう。