訪問介護は日中のサービスだけではありません。実は夜間にサービスを行う訪問介護もあります。
こちらの記事では夜間の訪問介護はどのようなサービスを行っているのかを解説いたします。
夜間に対応する訪問介護ってなに?
一般に訪問介護と聞くと、ヘルパーが日中のみ来訪しご利用者様の介護を行い、夜間は家族が介護するイメージが強いのではないでしょうか。
しかし寝たきりの被介護者を介護をする家族の方が、高齢などの理由により体力を必要とする介護ができない場合、ヘルパーが帰ってしまった後は
十分なケアをすることができません。
そのような悩みに寄り添ってできたサービスが、夜間対応に特化した「定期巡回サービス」です。
正式には「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」と呼ばれています。
このサービスは、在宅で頻回にサービスを必要とされているご利用者様に適したサービスで、このサービスは夜間訪問も対応しています。
定期巡回サービスとは
定期巡回・随時対応型訪問介護看護とは、在宅で生活しながら、24時間体制で訪問介護のサービスを受けられるといったサービスです。
このサービスは、「施設に入りたくない」「自分の住み慣れた自宅で最後まで過ごしたい」「家族が遠くて何かあったとき心配だ」といった様々なニーズに対応したサービスとなっています。
このサービスの中に、夜間に訪問する介護サービスが含まれているのです。
夜間に対応する訪問介護が必要な人とは
家族が日常的に介護をしていても、常に家族が被介護者の介護をできるとは限りません。
仕事や子育て、体力の限界など各ご家庭さまざまな事情があるものです。
1人暮らしができている方でも、誰かの手を借りないと生活するのが困難な方もいらっしゃいます。
そういった方々が、夜間の訪問介護が可能なこの制度の利用に適しています。
他にも、昼夜問わず定期的な介護サービスを必要としている方なども、おすすめです。
夜間はどんなサービスを提供してくれるのか
夜間対応では主に以下のサービスを提供しています。
①排泄介助・おむつ交換
このサービスは特に要介護度が高いご利用者様に必要なサービスです。
要介護度が低い人でもベットの近くにあるポータブルトイレへ誘導したり
普通のトイレまでお連れして排泄介助をすると言うサービス内容もあります。
②体位変換のサービス
このサービスは寝たきりご利用者様に適したサービスです。人は寝ている時に体を動かさないと体とベッドに面した部分に圧がかかり、皮膚が壊死してしまいます。
普通の人だと寝返りで無意識のうちに圧力を分散しますが、寝たきりのご利用者様は基本的にそれができない人が多いです。
そのため職員が一定の時間間隔で訪問し体の向きを変えて除圧します。
③安否確認サービス
独居で住んでいるご利用者様は、安否確認が必要です。
体調の急変もいつ起こるかわからず、そういった意味での安否確認が必要になるのです。
このサービスを利用するご利用者様や家族は多くいます。
④基本的にはご利用者様に対するサービスのみ
基本的にこのサービスは、ご利用者様に関わることしか行えないと言う決まりがあります。
例えば家族に関するサービスを行うことは禁止されています。
夜間も対応の随時訪問サービス
夜間対応には、随時訪問のサービスがあります。
随時訪問とはご自宅で1人で過ごしている人には特に必要なサービスになります。
例えば自宅で転んでしまったものの一人暮らしで立ち上がることができない時などに、事業所から配布されたナースコールでヘルパーを呼び、対応してもらうという仕組みです。
筆者は夜勤時の随時訪問で、主に排泄介助を緊急で行ってほしいというコールや転倒して助けて欲しいが、家族が寝ていて助けてもらえないので来てほしいなどのコールがありました。
他には認知症の方で、幻覚や幻聴が聞こえる等の問い合わせで対応したこともあります。
夜間対応の時は、一時的にご自宅の鍵を預かって訪問し鍵を開けて入室します。
そのため、緊急時にも対応が可能ですし、夜間も伺うことができるのです。
基本的に随時訪問で可能な稼働時間は約30分程度です。
私が過去に実際に行って要した時間は長くて20分程度だったと記憶しています。
それぐらいの短めのサービス内容である事が多いです。
オペレーションサービス
ご利用者様のコールを受け取り、訪問するヘルパーに伝達する役割も必要です。
最初の電話の段階で、このコールは緊急性があるかどうかの判断をします。
実際多方面からコールが複数回来る場合もあり、優先順位を間違えると、ご利用者様の命に関わる場面もあるからです。
この判断をするオペレーターは基本的に、看護師、ケアマネジャー、介護福祉士の資格を持つ職員です。
どれも国家資格のため、利用者の通報内容からご利用者様への的確な指示を伝え、ヘルパーの派遣をし、場合によっては救急車の手配も行います。
オペレーターを行う人は定期的にご利用者様宅を訪問し、適切な判断をするために様子観察を行う必要があります。
また、オペレーションセンターではご利用者様300人に対して、オペレーションセンター1箇所の設置になります。
しかし、事業所のご利用者様が少なく、ヘルパーが直接利用者様からのコールに対応できるときは、オペレーションセンターの設置を行わない場合もあります。
このオペレーションサービスは2016年から介護保険の対象になり、ご利用者様が利用しやすいようになりました。
オペレーターの従事者の条件は、2018年の介護報酬改定により緩和されています。
元々は医師、看護師、介護福祉士の仕事に3年以上従事した人限定でしたが
現在は1年以上従事した人が対応できるようになりました。
夜間に対応する訪問介護のメリット
夜間に訪問介護のサービスを受けることは、以下のようなメリットがあります。
①夜間緊急時に連絡可能
どのような環境のご利用者様も、事業所から配布されたナースコールを押すだけで、オペレーションセンターにつながります。
ナースコールは、一人暮らしのご利用者様に特に重宝されます。
他にも、家族が遠くてすぐに駆けつけられないなど、対応できない時に便利です。
②家族の介護負担軽減になる
先にも説明しましたが、このナースコールがあることでヘルパーが随時対応できます。
そのため、介護者が介護のために仕事を辞めたりする必要もなく、日中夜間含めて自分の時間を守ることが可能です。
夜間に対応する訪問介護のデメリット
夜間の訪問介護はメリットばかりに感じられますが、デメリットも存在ます。
メリットとデメリットの双方を考え、利用することが重要です。
①料金が高額になることがある
コールの端末にはレンタル料などはかかりませんが、夜間対応型訪問介護には月額料金がかかります。
他にサービスを利用すると1回毎に料金が発生するため、利用回数によっては料金が高くなる可能性があります。
②住んでいる市区町村の事業所だけしか使えない
このサービスは、ご利用者様自身が住んでいる市区町村内の事業所しか
利用できないと言う決まりがあります。
そのため、夜間の訪問介護を行っている事業所を探す場合は、担当のケアマネジャーか、住んでいる地域の担当窓口に相談することをおすすめいたします。
まとめ
ここでは夜間に対応する訪問介護「定期巡回サービス」について解説いたしました。
夜間の介護は寝ているから何も起きないわけではありません。さまざまな手が必要になる場合もあります。
利用する必要が出てくる前に、近くにサービスを受けられる事業所があるかどうかを探しておいてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。