「転倒骨折が原因で入院している親の退院後はこのまま施設しかない?」
「高齢の親が退院するけどこのまま家に帰すには不安だから施設?」と心配してる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
退院後、家に帰れなかったら施設入所と考えている方が多いと思いますが、そんなことはありません。
家と施設の中間地点としての役割を果たしている「介護老人保健施設」があります。
退院後は「介護老人保健施設」に一旦入所して家に帰るためのリハビリ等を受けられます。
今回は、「介護老人保健施設」について紹介します。
「退院後すぐに親を家に帰すのは不安だけど、ずっと施設に入れておくのは嫌!」という方は、ぜひ参考にしてください。
介護老人保健施設ってどんなところ?
介護老人保健施設は、要介護者にリハビリをメインに行うことで在宅復帰を目指す施設です。
略して「老健」と呼ばれていて、自宅と施設の中間地点の施設です。
いわゆる「特養」など、期間が定められず入所して生活する施設とは違います。
たとえば、親が転倒して骨折すると、急性期の病院に入院して治療を受けます。
その後、転院して集中してリハビリを受けることになります。
リハビリが集中的に行われる回復期リハビリ病棟がある病院は、入院期間が決まっているのです。
90日間で在宅復帰が難しいと思った時は、介護老人保健施設に一旦入所して、引き続きリハビリを受けることができます。
リハビリをメインに受けて、在宅復帰して自立した生活を送ることを目標にしているのが、介護老人保健施設です。
どんな人が入所できる?
ここでは、どんな人が介護老人保健施設に入所できるのか、その条件について紹介します。
要介護1~5の判定を受けている、原則65歳以上の人
入所できるのは、要介護1以上の65歳以上の人です。
関節リウマチや脳血管疾患などの特定疾病によって要介護認定を受けた40~64歳の人も、入所できます。
要支援1~2の人は入所できませんので、ご注意ください。
症状が安定している人
介護老人保健施設が医療費を全額負担するので、症状が安定していない人は入所を断られることがあります。
また、在宅復帰を目的としている、リハビリや医療行為が必要な人が優先されます。
「入院しておくほどではないけど、親を家に帰すのは不安」という人に、ぴったりです。
感染症にかかっていない人
施設ですので、集団生活になります。
そのため、感染症にかかっている人は対象外になってしまいます。
介護老人保健施設のサービスはどんなものがある?
介護老人保健施設のサービスには、入所して利用するものと在宅生活をしながら利用できるものがあります。
入所サービス |
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在宅サービス |
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介護老人保健施設は、入所期間が原則3~6ヶ月と決められています。
退所してからも在宅生活をサポートするサービスを受けられるのが、介護老人保健施設の特徴です。
介護老人保健施設は医療従事者も多く、医療体制が整っているため、本人も家族も安心して過ごせるのが特徴です。
それでは1つ1つの項目について、詳しく解説していきます。
リハビリ
介護老人保健施設は、リハビリを受けられるのが大きな特徴です。
リハビリを受けて、家での暮らしをすることを目的にしているからです。
リハビリの専門職を入所定員100人に対して1人以上配置するように決められています。
そのため、専門職による個別でのリハビリを受けられる体制が整っているのです。
リハビリは、「週に2回以上、1回につき20~30分」受けることができます。
料金が上がりますが、入所後3ヶ月間は週3回以上受けられるので、在宅復帰にグっと近づくことができますよ。
医療・看護
介護老人保健施設は、入所定員100人に対し、医師が1人以上配置されています。
看護師は9人に対し、1人の配置です。
医療スタッフが入所者の体調管理を行っているので、医療面で心配な方も入所が可能です。
床ずれの処置や経管栄養、インシュリン注射の対応なども行われています。
介護職員の数も多く、食事や排泄介助、入浴介助など、基本的なサービスが受けることが可能です。
レクリエーションもあるので、楽しく過ごせます。
栄養
栄養士も配置されていて、栄養ケアが行われています。
在宅復帰に向けて必要な食事の面からサポートしてくれているのです。
病気や嚥下能力に応じた食事形態も配慮されていて、バランスの良い食事が提供されます。
介護老人保健施設の費用はどれくらいかかる?
介護老人保健施設は公的施設ですので、民間の施設と比べると安く入所できます。
また、収入が少ない世帯では、居住費や食事代が安くなる場合もあります。
なぜなら国が利用者負担軽減策を設けているからです。
入所一時金など、初期費用もかかりません。
医療費も介護老人保健施設が全額負担することになっています。
そのため、比較的安く入所サービスを受けることが可能です。
以下に介護老人保健施設の費用についてまとめましたので、参考にしてください。
(令和3年8月1日時点)
ざっくりとみて、月10万円前後
介護老人保健施設は、居住費や食事代込みで、月におおよそ10万円前後です。
要介護度や部屋のタイプによって、料金が変わってきます。
基本料金(介護保険給付サービス)
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
個室 | 836円 | 910円 | 974円 | 1,030円 | 1,085円 |
多床室 | 756円 | 828円 | 890円 | 946円 | 1,003円 |
これは、1日にかかる基本料金です。
1割負担の金額を載せていますが、所得に応じて2~3割負担のこともあります。
居住費
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② | |
個室 | 490円 | 490円 | 1,310円 | 1,310円 |
多床室 | 0円 | 370円 | 370円 | 370円 |
一定の低所得要件を満たした人が適用されるため、段階によって金額が変わります。
食費
第1段階 | 第2段階 | 第3段階① | 第3段階② |
300円 | 390円 | 650円 | 1,360円 |
食費も所得に応じた負担限度額が設定されています。
その他、日常生活費
理美容代、新聞、娯楽にかかわるものなどは実費負担です。
おむつなどは施設サービス費に含まれていますので、別途でかかることはありません。
加算料金(介護保険給付サービス)
介護老人保健施設は、基本料金にかかる加算があります。
たとえば、リハビリを3ヶ月間集中的に受ける加算は、1割負担の場合、1回につき240円かかります。
その他、在宅復帰に向けた加算が複数あり、手厚いサービスを受けることができるのです。
まとめ
ここまで、介護老人保健施設について、紹介してきました。
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入院中の親を家に帰してあげたいけれど、今家に帰すことに不安を覚えていたり、親を施設にずっといれておくのは気が引けると感じている人は、介護老人保健施設でリハビリを受けてもらってはいかがでしょうか。
介護老人保健施設は、在宅復帰に向けてサポートを手厚く行ってくれます。
期間も限定されているので、家に帰る時期が明確です。
あなたの大切な人が再び家で暮らせるよう、応援しています。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。