高齢化が進む中、多くの人は介護を必要とする状態になっても、可能な限り住み慣れた自宅や、地域での生活を希望する事が多いです。
しかし、単身世帯や高齢者のみの世帯増加もあり、行政や関係者の力だけではさまざまなニーズに対応する事に限界があります。
介護保険などの支援を受けている高齢者はもちろん、介護保険を受けていない高齢者高齢者が住み慣れた地域で生活を続けるにはインフォーマルな支援が重要です。
ここではオススメの社会資源や保険外サービスについて紹介します。
インフォーマルなサービスとは
インフォーマルなサービスとは、公的機関や制度に基づく専門職によるサービス(フォーマルサービス)以外の支援の事をいいます。
インフォーマルサービスは家族や友人、地域住民、ボランティアなど制度に基づかない援助ですが、
補えない支援や住み慣れた地域と事情に応じた支援ができます。
インフォーマルの種類 ・家族や友人 ・ボランティア ・民生委員 ・商店 |
社会資源は、地域包括ケアシステムを基幹としたさまざまなサービスが誕生することにより、高齢者の細かなニーズに対応できる環境を整備することができます。
民間事業者が提供するサービスは全額自己負担ですが、法的規制が少なく公的サービスにない細やかなニーズに対応できるため、希望するサービスを受けることができます。
高齢者を取り巻く社会的問題
高齢者を取り巻く社会的問題として、独居による孤独死や買い物難民、認知症高齢者の増加などが問題となっています。
高齢者が住み慣れた自宅や地域で住み続けるうえでの困りごととして、日本能率協会総合研究所の「高齢者未充足ニーズ調査 2019年」の結果による高齢者の生活全般に関する代表的な困りごと57項目は以下のとおりです。
57項目の代表的な困りごと ・文章を読んでいて理解するのに時間がかる ・相手の言っていることが、すぐに理解できない ・何をしようとしたのか忘れる ・コンロの火の消し忘れが不安になる ・買い物に行っても必要なものを買い忘れる ・買い物がおっくうと感じる ・薄暗くなると段差が見えず怖い 等 |
このように、認知機能の低下や身体的変化が危惧されます。
インフォーマルサービスの一例
インフォーマルサービスには以下のようなものがあります。
・病院や介護施設から帰宅するときの介助 ・民間企業による食事や入浴、排せつ介助や見守りなど ・声かけや傾聴ボランティアによる話し相手 ・地域サロン ・各種機関による電話相談 など |
インフォーマルサービスのメリットとデメリット
インフォーマルサービスのメリットは、支援内容に縛りがないため、幅広い支援を受けられることです。
そのため、フォーマルサービスでは対応できないような細かいニーズを解消できます。
ボランティアなどが運営しているため、金銭的に厳しくないものも多いです。
しかし、フォーマルサービスのように専門性のあるサービや安定た支援を受けることができません。
また、インフォーマルサービスは全額負担になるため、サービス内容によっては、高額の介護費用がかかることがあります。
高齢者の悩みに寄り添ったITツールが必要不可欠
健康・福祉分野では健康づくりの総合的推進や持続可能な介護保険制度の運営、介護サービスの充実(介護離職ゼロの実現)、認知症高齢者支援施策の推進などが実施されています。
反面、インターネットによる情報収集やSNSなどコミュニケーションがオンラインでおこなわれるなか、高齢者の情報リテラシーの低さにより格差が生まれており、地域に取り残されている高齢者が増加しています。
高齢者におすすめのIT機器
身体的に不自由があっても、適したITツールを活用することで生活の困りごとを解消できます。
高齢者は身体的機能低下による活動範囲の縮小や認知機能低下により、コミュニケーションスキルに不安を感じているものです。
ここでは、高齢者自身が問題を解決出来るようスムーズに扱えるIT機器について紹介します。
音声で情報を入力できる Alexa Echo Show
Echo Showは、15.6インチフルHDのディスプレイでビデオ通話ができるので、離れて暮らす高齢の家族をサポートが出来るだけでなくコミュニケーションを緊密にしてくれます。
そのほか、ウィジェット機能で、天気やメモ、買い物リスト、カレンダー、お気に入りのスマートホームなど、さまざまな情報をホーム画面に配置できます。
また、ビジュアルID機能にも対応しているので、自分だけにカスタマイズされた情報をチェックすることも可能です。
機能性だけでなく声をかけるだけであらゆる操作ができるので、機械の操作が苦手な高齢者世代でも直感的に使用できます。
見守りに活用
Echo Showは、呼びかけ機能やビデオ通話でいつでも実家とつながる事ができるので、安否確認・コミュニケーションツールとして活用できます。
セキュリティカメラを実家に設置しておけば、Echo Showシリーズのデバイスを介して、家族と会話できるだけでなく、モーション検知やライブ映像などの見守り機能を利用し転倒や徘徊などの早期発見ができます。
スケジュール管理
通院日や介護サービスなどの予定などの情報をひと目で確認できるよう、ホーム画面に表示するウィジェットを選択できます。
服薬を忘れてしまう高齢者に対して、Alexaに「朝食後に薬を飲む、をリマインドして」と声をかけると、薬の飲み忘れをしないように時間になったらリマインドしてくれます。
声掛けにより飲み物忘れを回避することが可能です。
買物や調理の準備をお手伝い
店舗先までの移動に不安があっても、Echo ShowがあればAmazonで買い物のサポートができます。
買い物忘れもAlexaなら、足りない材料を買い物リストに追加しておくことで買い物中にスマホのAlexaアプリで確認できたり、いつもAmazonで買っている常備品を声だけで再注文できます。
調理面でも冷蔵庫にある食材で献立に不安があっても、Alexaでクックパッドのレシピ検索を活用したり、Echo Show 15の大きな画面でレシピを見ながら調理できます。
スマートホームを一元管理
Alexaに対応する別売りのライト、エアコン、ロボット掃除機などのスマート家電やスマートリモコンを使えば、旧来のリモコン家電の多くがEcho Show で操作可能です。
対応するスマートホームデバイスをホーム画面に追加して手軽に操作できるだけでなく、それらすべてのデバイスをダッシュボードで一元管理することもできます。
そのため、ベッド上で過ごすことが多い寝たきりの高齢者でも、自室の環境を整える事が出来るので介護負担の軽減になります。
高齢者を支える地域の活動
地域のさまざまな生活課題に対して課題の把握から解決のため、関係機関や団体などと連携することで具体的な方向性を示すことができます。
認知症カフェ
認知症カフェには認知症を患っている方だけでなく、そのご家族の方や地域の方など誰でも参加できる場所で、「オレンジカフェ」と呼ばれることもあります。
認知症カフェは認知症の方々が触れ合うだけでなく、専門家に相談することや、地域の方々と情報交換をする場です。
参加費用は数百円であることが多いので、金銭的な負担はあまりありません。
認知症カフェの開催日は地域によって異なるため、各自治体のHPなどで調べてみるとよいでしょう。
食事の宅配サービス
近年では食事の宅配サービスが増えてきました。
食事配達サービスを利用することで、食事を準備することや片づけをしなくてよくなります。
介護の必要な家族の負担軽減だけでなく、高齢者の一人暮らしや高齢者のみの世帯にもおすすめのサービスです。
企業シャトルバスやスクールバスを活用したコミュニティバス事業
コミュニティバス事業は、公共交通空白地の地域住民の移動手段の確保として活用できます。
高齢に伴い免許を返納した方や、路線の削減や廃線により通院や買物などの移動手段が困難になっている方は大勢います。
次世代モビリティとして企業のシャトルバスやスクールバスとして活用されている車両に一般利用者が混乗することで、移動に係る問題の解決と利便性の充実を図れます。
また、タクシーを利用する場合、配車アプリと併せて活用する事によって、出先でも正確な乗車位置を伝える事ができ、目的地までの乗車料金や距離が把握できるため、予定や予算などの心配がなく使用できます。
生活支援コーディネーター
生活支援コーディネーターは、高齢者やその家族が暮らしやすい環境を実現するために、地域の方々と支え合う仕組みを考え、課題解決をします。
生活支援コーディネーターの役割として生活支援ニーズの把握をしたり、地域でボランティアとして活動する方の養成や支援を行うほか、高齢者自身がこれまでの経験を活かし地域を支えてくれる支援のマッチングなどインフォーマルな取り組みを繋げてくれます。
まとめ
インフォーマルなサービスは介護保険制度のルールに縛られることなく、介護保険対象者以外の方も利用することができます。
高齢化が進む中で、専門職による人材不足が懸念される中、自由にサービスを選択できるインフォーマルにも目を向け、高齢者自身が活用できるIT機器を活用することで生活レベルは大きく変化するでしょう。
制度の中でできる、できないにこだわるのではなく、自分の地域に地域になにがあるのかを把握すると共に各地域の情報を参考に地域特性に応じたインフォーマルを作り出すことが重要です。
上記に記載したものだけでなく、さまざまなサービスがありますので、興味のある方は一度調べてみることをおすすめします。
最後までお読みいただきましてありがとうございます。