訪問介護は利用者さんのお宅で介護を行うサービスです。
そんな訪問介護ヘルパーにとって重要なスキルとはいったいどのようなものなのでしょうか?
今回はそのスキルを5つご紹介していきます。
介護の知識
まず最初に欠かせないのは、「介護の知識」です。
これは当たり前のように聞こえるかもしれませんが、介護を行う上でこの部分ができていない人が現場で意外に多い印象だったため、上げさせていただきました。
訪問介護の大きな特徴として「介護は基本1人で対応する」という状況があります。
どのお宅に行くにも、この条件はついて回ります。
最低限の介護の知識を持ち合わせていないと、その場その場でのとっさの状況判断に対応できないということが起こるかもしれません。
そのため、介護の知識は回り回って介護士であるあなた自身を守るために必要なものになると言えます。
状況判断力と介護
介護の知識を踏まえた上で必要なのが、状況判断力です。
訪問してまず最初に確認するのは、利用者様の状況把握と住環境の状況判断です。
利用者様の身体状況は安全かどうかの確認や、1人暮らしで生活している人は特に生活環境に変化はないかなどの観察が必要になります。
訪問介護は、基本的に利用者様へのサービス内容が契約時に決まっているので、その契約を超えるサービスを行うことはしません。
そのため、状況を把握し契約の中でサービスを行う必要があります。
もしご家族がお宅にいるのであれば、状況を伺い対応することもできますが、一人暮らしの場合、訪問介護員の判断に委ねられる場合が多いです。
観察力と介護
次に必要なスキルが観察力になります。
世間でよく言われる人間観察に近いものですが、介護の場合は少し独特です。
まず大前提として、高齢者の方々はお年を召されている分、体調の変化が激しい傾向があります。
わたしの経験談で例を上げます。
普段よくお話をして自分から積極的にコミュニケーションを取ろうとする女性の利用者がいました。
年は87歳で車椅子で生活をされている方でしたが、とある天気のあまりすぐれない日にお話をした時のことでした。
「何だか話し方がおかしい、、、。」
舌の周りが悪い様子で普段はハキハキ喋るのに、スローモーションで話すようなゆっくりとした話し方なのです。
そう思い、すぐに看護師に報告をしました。
しばらくして看護師が到着し、その後すぐに救急車を呼ぶことになりました。
わたしは次のサービスがあったためその場を後にしましたが、後で看護師に聞いた話だと、その女性の利用者は軽い「脳梗塞」だったそうです。
幸いにも発見が早く大きな障害は残らなかったので、今でも元気に過ごされているようです。
この様に、ちょっとした違いで利用者様の命運を大きく分けることもあるため、観察力は訪問介護のヘルパーにとって欠かせないスキルになります。
臨機応変力と介護
次に必要なスキルは、臨機応変力です。
訪問介護では、それぞれの場所で介護環境が違います。
例えば介護ベットの作りや、部屋の作り、水を補給する場所や、介護用品の充実度も違います。
基本的に、訪問介護は訪問先のサービス手順書というものがあります。
こでは、各サービス先でどのようなサービスを行うのかという内容を記載している書類です。
この手順書に介護用品の場所、住環境の特徴などが記載されているのですが、いざ訪問するとそこにあるはずの介護用品がなかったり、聞いている情報と違う環境になっているということもしばしばあります。
しかしサービスをやらずに帰るわけにはいきません。
そのため、上司や責任者に指示を仰ぐこともありますが、その上司や責任者が音信不通の時、この臨機応変力が必要になります。
例えば、足りない介護用品は何で代用できるのかなどの課題もあるでしょう。
他にも、訪問した際に利用者様が玄関で倒れていることもありました。
そのため、利用者様がどのような状態なのかをよく観察して介護をする必要があります。
頭を打っていないか、流血をしていないか、話せるかどうかなどの確認をする必要があります。
上司に連絡をしてられる余裕があるならしたほうがいいですし、一刻を争う場合ですぐにでも動かなければ危ない時は動く必要があります。
このように、臨機応変力は訪問介護において重要な役割を担っていると言えます。
コミュニケーション力と介護
次に必要なスキルがコミュニケーション力です。
どのような仕事でもコミュニケーション力は必要ですが、訪問介護においては特に重要なスキルとなってきます。
介護という仕事は、主に利用者様の生活や身の回りのお世話をする仕事です。
つまり、訪問介護ヘルパーは利用者様のプライベートなところにお邪魔して、排泄介助や、入浴介助、居室の掃除などプライベートの空間を共有させてもらうことになります。
もしあなたが介護をされる側だった場合、全く何も言わず黙々と介助をされてどう思うでしょうか。
あまりいい気分はしないと思います。
なので、円滑なコミュニケーションはサービスの提供を円滑に行う上で必要なのです。
例えば訪問介護には買い物代行というサービスがあります。
この買い物代行サービスは、食品や、日用品、時には文房具などの購入依頼をされる時があります。
例えば、利用者様から牛肉と醤油、トイレットペーパーを買ってきてほしいという買い物代行サービスがあると仮定します。
この時、牛肉と言ってもどのようなお肉なのか聞く必要があります。
また醤油も好みのものが何なのかを聞かなければいけませんし、トイレットペーパーもブランドにこだわりがある場合は聞く必要があると思います。
渡された予算も、どこまで使用していいのか聞いてから買い物代行に行くことをオススメします。
以上のことから、訪問介護においてコミュニケーション力は重要になってきます。
今までは、実用的な部分でコミュニケーション力が必要であるとお伝えしてきましたが、訪問介護ヘルパーとして関わる上で利用者様の人格や尊厳を尊重しサービスを提供するということは外してはいけません。
まとめ
以下に訪問介護に必要なスキルをまとめました。
①介助の知識 ・介助は基本1人で行うため、知識がないと何もできない ・介助は利用者様の体を守る上でも知識を必要とする ・介助の知識はあればあるほど、介護を行う自分自身を守ることにもつながる ②状況判断能力 ・介護の仕事は対人のため、毎回同じ状況とは限らない ・違う状況の際のとるべき行動を間違えないために状況を把握する必要がある ・状況を把握し、適切な介護を提供する ③観察力 ・介護の選択を誤らない ・なんとなく対応していると、場合によっては大きなトラブルも起こり得る ・何より利用者様と、ヘルパー自身の安全を守る ④臨機応変力 ・どの訪問先も同じ環境ではない ・サービスで必要な物品がない時など、何を代用しサービスを行うのかの臨機応変さが求められる ・この力を養うと、介護の知識以上にヘルパーの引き出しが増える ⑤コミュニケーション力 ・介護をする上で、利用者様の細やかな要望の聞き取りが必要 ・利用者様の意思を尊重し、事故なくサービスを提供する ・利用者様と円滑なコミュニケーションをとり、お互いが気分良くサービスを提供する |
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