「自分の生活もあるけれど、親を施設には入れることに悩んでいる」と悩んでいる方に小規模多機能はおすすめのサービスです。
今回は小規模多機能について分かりやすく解説します。
そもそも小規模多機能ってどういう仕組み?
小規模多機能はご家族様の都合に合わせて「通い」「宿泊」「訪問」を利用できる介護保険のサービスです。
上手に活用すれば介護する側、される側にとって負担軽減になるおすすめのサービスです。
ここでは小規模多機能の3つの特徴と気になる料金形態を解説します。
1.通い(利用者様が事業所に行ってサービスを受けること)
通いは事業所で入浴や食事、レクリエーションなどを受けるサービスになります。
提供サービスは事業所により異なるので一度気になる事業所があったら相談してみましょう。
朝夕の送迎サービスもあるのでご本人もご家族も安心して利用できます。
2.泊り(事業所で泊まること)
事前に事業所へ連絡することで宿泊サービスを利用することが可能です。
ご家族様の急な予定で宿泊を利用したい場合も、定員に余裕があれば宿泊サービスを利用することができます。
ただ、ベッド数に限りがあるため事前に相談することをおすすめします。
3.訪問(介護職員がご自宅にお伺いしてサービス提供をすること)
介護職員がご自宅にお伺いして様々なニーズに応じたサービスを提供します。
サービス内容にはトイレ介助などの身体介助や服薬確認、買い物支援、家事のお手伝いなどがあります。
回数や時間をご家族様の状況にあわせて柔軟に変更できるのが特徴です。
小規模多機能の料金形態
小規模多機能の料金形態は①基本利用料(定額)+②加算+③日常生活費の3つから構成されます。
①基本利用料(定額制)
基本利用料は利用者様の介護度に応じた定額制となります。
介護保険の自己負担は基本1割負担ですが、所得に応じて2~3割負担となる場合もあるため、事前に市区町壮の窓口に相談してみましょう
要介護度 | 単位数 | 1ヶ月の料金 | 介護保険1割負担 | 介護保険2割負担 | 介護保険3割負担 |
要支援1 | 3,418単位 | 34,180円 | 3,418円 | 6,836円 | 10,254円 |
要支援2 | 6,908単位 | 69,080円 | 6,908円 | 13,816円 | 20,724円 |
要介護1 | 10,364単位 | 103,640円 | 10,364円 | 20,728円 | 31,092円 |
要介護2 | 15,232単位 | 152,320円 | 15,232円 | 30,464円 | 45,696円 |
要介護3 | 22,157単位 | 221,570円 | 22,157円 | 44,314円 | 66,471円 |
要介護4 | 24,454単位 | 244,540円 | 24,454円 | 48,908円 | 73,362円 |
要介護5 | 26,964単位 | 269,640円 | 26,964円 | 53,928 | 80,892円 |
(1単位=10円)
介護保険サービスはお住まいの地域によって1単位あたりの単価に変動があります。
大きな変動はないですがお住まいの地域により自己負担額が異なるため、一度利用する事業所の負担額を確認しておきましょう。
②加算
小規模多機能は事業所の体制により様々な加算があります。
加算とは専門的なケアの提供など質の高いサービス体制を整えている事業所への報酬になります。
加算があることは利用料の面では負担になりますが、質の高いケアを提供しているという証にもなります。
下記に主な加算を記載します。
|
それぞれの事業所により取得している加算に違いがあるため、一度利用を検討している事業所に相談してみましょう。
③日常生活費
日常生活費は介護保険給付の対象外の費用です。
給付対象外のため全額が自己負担となります。下記に主な日常生活費を記載します。
|
④料金のイメージ
イメージしにくいと思うので事例を元にシュミレーションをしてみました。
(事例)…要介護度2、介護保険1割負担、月に5回宿泊を利用、通いを5回利用した場合 1.基本利用料(定額制)⇒ 15,232円 要介護度2、1割負担の場合15,232円となります。 2.加算 ⇒ 4,500円 今回のケースでは分かりやすいように4,500円で計算しました。 (実際は事業所により算定している加算にバラツキがあるので一度確認してみることをお勧めします。) 3.日常生活費 ⇒ 23,000円 宿泊費…3,000円(1泊)× 5日=15,000円 食事代…500円(1食)×15食分(5日分)=7,500円 おやつ代…500円(5日分) |
事例のパターンで計算すると42,732円が1ヶ月の利用料になります。
実際に契約する前に利用料のシュミレーションを事業所に依頼するのもオススメです。
小規模多機能を利用するにはどうしたらいい?
では、小規模多機能を利用するためには、どのようにすればよいのでしょうか。
まだ介護保険サービスを利用したことがない場合
小規模多機能を利用するには要介護認定の申請をすることが必要です。
まだ要介護認定を受けてない場合は市区町村の担当窓口で相談しましょう。
すでに他の介護保険サービスを利用している場合
小規模多機能の利用を検討している場合は担当のケアマネージャーにまずは相談してみましょう。
注意点は、新たに小規模多機能と契約するには小規模多機能のケアマネージャーに変更する必要があることです。
担当ケアマネージャーに相談しにくい場合は、地域の相談窓口である地域包括支援センターに相談してみましょう。
小規模多機能のメリット3つ
小規模多機能には以下の3つのメリットが考えられます。
1つの事業所で「通い」「訪問」「宿泊」のサービスが受けられる
小規模多機能は1つの事業所と契約することで3つのサービスを受けることができます。
顔なじみのスタッフが「通い」「訪問」「宿泊」の対応をするため、環境変化にストレスを抱えやすい利用者様にとって優しいサービスです。
1つの事業所に利用者様の情報が集約されるため、適切なケアができるのも特徴です。
柔軟な対応が可能
ご家族様の状況に応じて臨機応変にサービス内容を変えられるのが特徴です。
「日中は仕事だから通いを利用しよう」「明後日は急な出張だから宿泊を利用しよう」など、様々な状況に応じて臨機応変に対応することが可能です。
職員や利用者様との信頼が構築しやすい
3つのサービスを同じ事業所の職員が対応するため信頼関係の構築がしやすいです。
サービスを受ける利用者様も顔なじみの職員が対応してくれるため安心感が得られるでしょう。
また、小規模多機能は1日の通いの定員が概ね18人以下、宿泊は概ね9人以下と少人数になります。
そのため、利用者様間での関係性の構築もしやすいのが特徴です。
小規模多機能のデメリット3つ
小規模多機能を利用することは、メリットだけでなく以下のデメリットも考えられます。
ケアマネージャーが変わる
小規模多機能と契約する場合、馴染みのケアマネージャーから小規模多機能のケアマネージャーに変更する必要があります。
通い、宿泊が定員制
小規模多機能には定員があります。
もし利用したい時に定員が上限に達していたら利用できないこともあります。
事業所の登録人数にもよりますが、通いは概ね18人宿泊は9人が定員の上限値になるため注意が必要です。
別のサービスを利用できない
「小規模多機能便利だけど通いサービスは前のデイサービスが良かったな」という場合、通いだけ他の事業所と契約することはできません。
訪問や宿泊も同様に他のサービス事業との契約ができないので注意が必要です。
その他にも、訪問入浴介護、デイケア、居宅介護支援も併用が不可になります。
まとめ
ここまで小規模多機能の特徴や料金形態、メリットデメリットを解説してきました。
|
小規模多機能にはメリットもあればデメリットもあります。
1人で悩まずにケアマネージャーや地域の相談窓口に相談してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。