監視カメラを介護現場で活用する目的とは?問題点と活用方法等を解説!

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narumi

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最近、介護現場での犯罪や暴力行為等が報道されることが増えています。

客観的な証拠を残すという目的で、監視カメラを導入している施設も多くなってきています。

監視カメラの設置を希望しているのは、施設運営する事業者と大切な家族を施設へ預けている利用者家族の双方です。

監視カメラを活用すると、防犯や虐待に対する抑止力、事故の検証等の面で、速やかかつ明確な事実確認ができ、スタッフや利用者を守ることにもつながります。

ですが、常に監視されているスタッフや利用者の心理的な負担は大きいものです。

本記事では、介護現場で上手に監視カメラを活用する方法と、今後の監視カメラの使用目的について解説します。

介護現場に監視カメラを導入する目的

Wikipediaによると、監視カメラとは「何らかの目的で何らかの対象を監視するためのビデオカメラである」とのことです。

起きた出来事を映像として記録する監視カメラですが、介護現場に設置する目的は以下のようになります。

・防犯

・虐待等、スタッフの言動に対する抑止力

・事故発生時の検証

以下で一つずつ説明していきます。

防犯

主に施設の正面玄関やスタッフ専用の出入り口等、外部から施設内への入口部分に設置します。

外部からの予期せぬ侵入者の証拠が残るため、障害者施設で起きた外部侵入者による殺傷事件以降、需要が高まっています。

他には、利用者の家族が帰った時刻を確認したり、近隣で事件が起きた時に警察からデータ提供を求められたりする場合もあります。

虐待等、スタッフの言動に対する抑止力

スタッフの不適切な言動や金品の紛失について報道されるケースがあります。

起きてはならないことですが、今後も起きてしまう可能性はゼロではありません。

事業所としても、まさか自施設で起こるとは思いたくありませんが、リスク管理としてカメラを設置する選択肢は有効です。

食堂や廊下、場合によっては居室にカメラを設置し普段から映像を録画しておくことで、何か起きた際に確認できる環境を作ります。

カメラがあるというだけで抑止力になりますし、業務改善としてスタッフの動き方を考える上でも有効活用できます。

事故発生時の検証

転倒等の事故が起きた時、転倒した瞬間を見ていないケースが多く、日ごろの利用者の行動や発見時の状況から「おそらくこのように転んでしまったのだろう」と原因を推測します。

食堂や廊下にカメラが設置してあれば、事故が起きた時の映像がそのまま残ります。

何かにぶつかったのか、体の向きを変えたときにバランスを崩したのか、頭を打っていないか等の原因や状況が誰が見ても明らかです。

初期対応の応急処置や受診が必要かどうかの判断がスムーズになり、受診先でも医師への正確な情報提供が可能になります。

再発防止策を検討する際も、映像を見ながら検討することでより現実的な対策を出せるでしょう。

監視カメラを設置する目的は以上のようなものがありますが、導入するには主に心理面の障壁もありますので、次の項目で説明していきます。

介護現場に監視カメラを導入する時の問題点

介護現場への監視カメラの導入を進めるにあたり、一番問題となるのはプライバシーの侵害にあたることです。

施設とは言え利用者にとっては生活の場です。

生活の場を監視して管理するというイメージがあり、道徳的にいかがなものかと考える方も多いのではないでしょうか。

生活する利用者からみてもカメラに監視されて生活するのは息苦しいものです。

まじめに働いているスタッフも、自分の些細な言動が逐一チェックされるのは働きにくいでしょう。

「信頼されていない」と感じるスタッフがでてくる可能性もあります。

導入すれば活躍の場面が多い監視カメラですが、心理面の障壁はモチベーションが低下する一因になることもあります。

スタッフや利用者、利用者の家族に向けて導入の目的を明確にし、根気よく説明することが求められます。

次は監視カメラを上手に活用する方法について説明していきます。

介護現場で監視カメラを活用する方法

介護現場で監視カメラを活用するために押さえておきたいポイントが5つあります。

・目的を明確にする

・ルールを作る

・設置場所を検討する

・家族や利用者への説明

・スタッフへの説明

以下で一つずつ説明していきます。

目的を明確にする

施設としてなぜ監視カメラを設置するのか、どのように活用するのかを明確にしましょう。

前述の防犯、虐待予防、事故検証が主なものになります。

自身の施設にとっての目的を明確にし、利用者やその家族、スタッフの理解を得られるようにしておきます。

傷害事件や虐待について大きく報道される機会もあるので、監視カメラを設置することが自分たちを守ることにつながることを、本人、ご家族、スタッフに説明し相互理解を得る努力をすることが大切です。

ルールを作る

次のポイントは「録画した映像をどのように活用するか」です。

録画した映像は個人情報の為、開示の仕方を決めておく必要があります。

監視カメラを設置した後は基本的には常に録画されている状況です。

家族から「普段の生活の場面を見たい」と映像の開示を求められても安易に見せるものではありません。

行政や警察からの依頼、事故発生時の検証、その他トラブル発生時の確認等、映像を使用する場面をあらかじめ決めておき、文書化しておく必要があります。

設置場所を検討する

設置場所を検討し決めることも必要です。

食堂、廊下、玄関等の共有部分への設置にさほど悩むことはないでしょう。

一番悩ましいのは居室をどうするかです。

居室はスタッフと利用者が密室で1対1になる場なので虐待や不適切なケアが起きやすい環境でもあります。

転倒リスクの高い利用者には行動の把握のためにできれば設置したいところではありますが、プライバシーの侵害になることが心配です。

居室に設置する場合はよく話し合い、どのような目的でどのように設置するのか検討することが大切です。

家族や利用者への説明

安全を守る為に使用する監視カメラですが、一人の人の行動を常に見られる状況であることは間違いありません。

入所する際に、施設の方針として監視カメラを設置していることや、設置している場所や録画している映像の活用方法について説明しましょう。

スタッフへの説明

監視カメラを設置する際は、スタッフへの説明も必要です。

監視することが目的ではなく、事故発生時の検証や虐待を防止することで、自分たちを守ることにつながることを理解してもらう必要があるからです。

施設に過失のない転倒事故が起きた時に、家族から「施設の対応が悪い」等の事実でないクレームを言われてしまっては、関わったスタッフはショックを受けてしまいます。

映像が残っていれば施設は毅然と対応することができます。

監視カメラを設置する目的を利用者や家族だけではなく、スタッフにもしっかり説明することが大切です。

今後の監視カメラの使用目的は「監視」から「記録」へ

これまでの監視カメラは、文字通り「監視」が目的でした。

施設にどんな人が出入りしたか、スタッフの振る舞いは適切だったかなどを確認するために監視カメラを導入していたのです。

しかし、権利者意識の強い利用者や家族が増えている昨今、理不尽な要求を強いられたり、事故に対して施設に責任を押し付けられるような場面も想定しなければなりません。

今は一つの転倒事故が裁判にまで発展する時代です。

もちろん、施設側に過失のある事故については相応の対応をする必要があります。

ですが、転倒した場面が記録されていることで、訴訟リスクを回避できる場合もあるでしょう。

「監視」だけでなく「記録」のためにカメラを使用していくことを考える時期がやってきています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

介護現場に監視カメラを導入する目的や心理的な障壁、活用する方法について解説しました。

監視カメラを導入する目的は、

・防犯

・虐待等、スタッフの言動に対する抑止力

・事故発生時の検証 等

監視カメラの活用方法については、

・目的を明確にする

・ルールを作る

・設置場所を検討する

・家族や利用者への説明

・スタッフへの説明

監視カメラの今後について、

・使用目的が「監視」から「記録」へ変わっていく

・転倒事故などの映像が適切に保管されると訴訟などのリスクを軽減させられる場合もある

現在は車にもドライブレコーダーがついている時代です。

プライバシーやスタッフの心理的な負担には最大限の配慮をしつつ、上手に監視カメラを活用することで、利用者の安心できる生活や、スタッフの働く環境を整備することができます。

最後までお読みいただきありがとうございます。